説明

プログラムおよび画像形成システム

【課題】後処理の準備時間が必要となる印刷ジョブについて、確実に準備時間を短縮できるプログラムおよび画像形成システムを提供する。
【解決手段】本発明にかかるプログラムは、印刷ジョブに基づいて画像を形成する画像形成装置に接続され、画像が形成された印刷媒体に対して後処理を実行する後処理装置を制御するための処理をコンピューターに実行させるためのプログラムであって、画像を形成する条件である印刷設定から、後処理についての後処理設定情報を抽出する手順(a)と、抽出された後処理設定情報を、後処理装置に送信する手順(b)と、抽出された後処理設定情報の送信後に、印刷設定および画像から印刷ジョブを生成する手順(c)と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラムおよび画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
原稿印刷からくるみ製本等の様々な後処理を含む製本までの処理に、小部数でも柔軟に対応できるPOD(Print on Demand)が利用されている。インラインのPODの印刷処理では、プリンターによる印刷処理から後処理装置による製本までの処理が、一連の動作で完了される。このようなPODの印刷処理に使用される後処理装置は、処理準備等に相当時間を必要とする場合がある。したがって、後処理される前までの印刷処理が完了していても、後処理装置の準備が完了するまでに時間がかかって、後処理の開始が遅延される場合がある。これでは、後処理できる状態となった時点から後処理装置の準備が完了するまでの待ち時間が、無駄となってしまう。つまり、PODの印刷処理に余分な時間がかかってしまう。一方、このような余分な待ち時間を節減するために後処理装置を事前に起動させておくと、後処理が必要とされない時も後処理装置が稼動していることになり、電力が無駄に消費されてしまう。
【0003】
これに関連して、後処理装置を備える画像形成システムにおいて、複数の印刷ジョブの処理中、後処理の準備時間が必要となる印刷ジョブがある場合は、先行する印刷ジョブの処理中に後処理の準備が開始される技術が知られている(たとえば、特許文献1、2参照)。また、複数の印刷ジョブを実行する際、後処理の準備時間が必要となる印刷ジョブが開始される前に、後処理の準備が必要とならない印刷ジョブを先に実行する技術も知られている(たとえば、特許文献3参照)。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1〜3に開示される技術では、先行する印刷ジョブがある場合は、先行する印刷ジョブと並行して後処理の準備を処理させるものの、先行する印刷ジョブが無い場合は、後処理の準備と並行して実行するための印刷ジョブがなく、事前に後処理の準備を実行できない。したがって、先行する印刷ジョブが無い場合や、先行する印刷ジョブが直ぐに終了する場合は、結局、後処理装置の準備時間は待たなくてはならず、後処理の開始が遅れてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−160601号公報
【特許文献2】特開2006−199475号公報
【特許文献3】特開2006−072325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明は、上記課題に基づいてなされたものであり、後処理の準備時間が必要となる印刷ジョブについて、確実に後処理準備時間を短縮できるプログラムおよび画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0008】
(1)印刷ジョブに基づいて画像を形成する画像形成装置に接続され、前記画像が形成された印刷媒体に対して後処理を実行する後処理装置を制御するための処理をコンピューターに実行させるためのプログラムであって、前記画像を形成する条件である印刷設定から、前記後処理についての後処理設定情報を抽出する手順(a)と、前記抽出された後処理設定情報を、前記後処理装置に送信する手順(b)と、前記抽出された後処理設定情報の送信後に、前記印刷設定および前記画像から前記印刷ジョブを生成する手順(c)と、を含むプログラム。
【0009】
(2)前記手順(b)で送信された前記後処理設定情報に基づいて、前記後処理装置が前記後処理の準備を開始した後に、前記手順(c)で生成された前記印刷ジョブを前記画像形成装置に送信する手順(d)をさらに含む、上記(1)に記載のプログラム。
【0010】
(3)前記(d)で送信された印刷ジョブに基づいて、前記画像形成装置により前記画像のデータについてラスタライズ処理が実行される、上記(2)に記載のプログラム。
【0011】
(4)画像が形成された印刷媒体に対して後処理を実行する後処理装置を制御するための処理をコンピューターに実行させるためのプログラムであって、前記画像を形成するための条件である印刷設定から抽出された、前記後処理についての設定情報を含む後処理設定情報を受信する手順(e)と、前記手順(e)で受信された前記後処理設定情報に関連する前記後処理の準備を、前記後処理装置に指示する手順(f)と、前記後処理設定情報を受信した後に、前記印刷設定および前記画像から生成された印刷ジョブを受信する手順(g)と、を含むプログラム。
【0012】
(5)前記印刷ジョブに含まれる画像のデータをラスタライズするために要する時間を予測する手順(h)と、前記手順(h)で予測された時間に基づいて、前記後処理の準備を継続するか否かを判断する手順(i)と、をさらに含む、上記(4)に記載のプログラム。
【0013】
(6)前記手順(h)で予測されたラスタライズ処理時間と、前記後処理の準備が完了するまでの時間とを比較する手順(j)をさらに含み、前記後処理の準備を継続するか否かを判断する手順(i)は、前記手順(j)における比較の結果に基づいて実行される、上記(5)に記載のプログラム。
【0014】
(7)異なる複数の前記印刷ジョブのうち、前記後処理を含まない、先行する当該印刷ジョブを処理するために要する時間を予測する手順(k)をさらに含み、
前記手順(k)において予測された時間に基づいて、前記後処理の準備の開始を延期するか否かを判断する手順(l)を含む、上記(4)〜(6)のいずれか一つに記載のプログラム。
【0015】
(8)前記手順(k)において予測された前記先行印刷ジョブの処理時間と、前記後処理の準備が完了するまでの時間とを比較する手順(m)をさらに含み、前記後処理準備の開始の延期をするか否かを判断する手順(l)は、前記手順(m)における比較の結果に基づいて実行される、上記(7)に記載のプログラム。
【0016】
(9)前記後処理の準備が開始された後、前記印刷ジョブが所定時間内に受信されない場合、前記後処理の準備を中止させる手順(n)をさらに含む、上記(4)〜(8)のいずれか一つに記載のプログラム。
【0017】
(10)前記後処理の準備は、前記後処理に使用される接着剤を熱溶融する処理を含む上記(2)〜(9)のいずれか一つに記載のプログラム。
【0018】
(11)前記後処理は、前記印刷ジョブに基づいて印刷された印刷物の束の側面に、熱溶融される接着剤を塗布して表紙用の用紙でくるむ、くるみ製本処理である上記(1)〜(10)のいずれか一つに記載のプログラム。
【0019】
(12)上記(1)〜(11)いずれか一つに記載のプログラムを記録したコンピューター読取り可能な記録媒体。
【0020】
(13)印刷ジョブに基づいて画像を形成する画像形成手段と、前記画像が形成された印刷媒体に対して後処理を実行する後処理手段とを有する画像形成システムであって、前記画像を形成する条件として設定された印刷設定から、前記後処理についての後処理設定情報を抽出する抽出手段と、前記抽出された後処理設定情報を送信する送信手段と、前記後処理設定情報を受信して、当該後処理設定情報に基づいて、前記後処理装置に後処理の準備を指示する指示手段と、前記後処理設定情報の送信後に、前記印刷設定および前記画像から前記印刷ジョブを生成する生成手段と、を含む画像形成システム。
【0021】
(14)前記画像形成装置は、前記印刷ジョブに含まれる画像のデータをラスタライズするために要する時間を予測し、当該予測された時間に基づいて、前記後処理の準備を継続するか否かを判断する制御手段をさらに有する、上記(13)に記載の画像形成システム。
【0022】
(15)前記制御手段は、前記予測されたラスタライズ処理時間と、前記後処理の準備が完了するまでの時間とを比較し、当該比較の結果に基づいて、前記後処理の準備を継続するか否かを判断する、上記(14)に記載の画像形成システム。
【0023】
(16)前記制御手段は、受信された異なる複数の前記印刷ジョブのうち、前記後処理を含まない、先行する当該印刷ジョブを処理するために要する時間を予測し、当該予測された時間に基づいて、前記後処理準備の開始を指示する、上記(13)〜(15)いずれか一つに記載の画像形成システム。
【0024】
(17)前記制御手段は、前記先行印刷ジョブの処理時間と、前記後処理の準備が完了するまでの時間とを比較し、当該比較の結果に基づいて、前記後処理準備の開始を指示する、上記(16)に記載の画像形成システム。
【0025】
(18)前記制御部は、前記後処理準備の開始が指示された後、前記印刷ジョブが所定時間内に受信されない場合、前記後処理の準備を中止させる、上記(13)〜(17)のいずれか一つに記載の画像形成システム。
【0026】
(19)前記後処理準備は、前記後処理に使用される接着剤を熱溶融する処理を含む上記(13)〜(18)のいずれか一つに記載の画像形成システム。
【0027】
(20)前記後処理装置は、前記印刷ジョブに基づいて印刷された印刷物の束の側面に、熱溶融される接着剤を塗布して表紙用の用紙でくるむ、くるみ製本処理を実行する上記(13)〜(19)のいずれか一つに記載の画像形成システム。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、印刷ジョブに含まれる後処理準備が必要となる設定情報が抽出されて、当該抽出された設定情報がネットワークを介して先に後処理装置に送信されるので、後処理装置は抽出された設定情報に基づいて、即座に後処理準備を開始できる。したがって、後処理の準備が完了するまでの余分な待ち時間が確実に短縮される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る画像形成の全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示されるPCの構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示されるMFPの構成を示す概略正面図である。
【図4】図1に示されるMFPの構成を示すブロック図である。
【図5】図1に示されるMFPのプリンターコントローラー部の構成を示すブロック図である。
【図6】図1に示されるMFPのプリンター出力部の構成を示すブロック図である。
【図7】本実施形態に係る後処理装置の構成を示すブロック図である。
【図8】本実施形態に係る排紙装置の構成を示すブロック図である。
【図9】本実施形態に係るプリンタードライバー画面の例を示す図である。
【図10】印刷ジョブの例を概略的に示す図である。
【図11】図10に示される印刷ジョブから抽出された後処理設定情報を含む印刷ジョブ、および他方の印刷ジョブの例を示す図である。
【図12】本実施形態に係る後処理準備の説明に供する図である。
【図13】本実施形態に係る後処理設定情報を抽出するための処理の手順を示すフローチャートである。
【図14】本実施形態に係る、印刷ジョブに基づいてMFPにより実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【図15】本実施形態に係る後処理準備の説明に供する図である。
【図16】第2の実施形態に係る、印刷ジョブに基づいてMFPにより実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【図17】本実施形態に係る後処理準備の説明に供する図である。
【図18】本実施形態に係る、RIP処理完了時間の予測に基づく処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して構成ごとに詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0031】
[第1の実施形態]
(画像形成システム)
図1は、本発明に係る画像形成システムの全体構成を示すブロック図である。
【0032】
本実施形態の画像形成システムは、ネットワーク端末としてのPC(パーソナルコンピューター)10および10’と、MFP(Multi−Functional Peripheral)20とを含み、これらはネットワーク30を介して相互に通信可能に接続されている。
【0033】
ネットワーク30は、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI等の規格によりコンピューターやネットワーク機器同士を接続したLANや、LAN同士を専用線で接続したWAN等からなる。なお、ネットワーク30に接続される機器の種類および台数は、図1に示す例に限定されない。
【0034】
(PC)
図2は、図1に示されるPC10および10’の構成を示すブロック図である。PC10および10’は同様の構成を有しうるので、以下では、代表としてPC10のみの構成について説明する。クライアントコンピューターとしてのPC10は、CPU(Central Processing Unit)11、メモリー12、HDD(Hard Disk Drive)13、ディスプレイ14、入力装置15、グラフィックI/F(Interface)部16、および通信I/F部17を備えており、これらは信号をやり取りするためのバス18を介して相互に接続されている。
【0035】
CPU11は、プログラムにしたがって、上記各部の制御や各種の演算処理(たとえば、文書データ作成、ページ記述言語に変換する処理、印刷ジョブ生成、後処理設定情報を抽出する処理、印刷ジョブ送信等)を行う。PC10の各機能は、対応するプログラムをCPU11が実行することによって発揮される。たとえば、CPU11は、後処理設定情報を抽出する抽出手段や、抽出した後処理設定情報を送信する送信手段等として機能する。
【0036】
メモリー12は、各種プログラムや各種データを格納するためのROM、ワークエリアとして一時的にプログラムやデータを記憶するためのRAM等から構成される。また、メモリー12は、たとえば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)により構成されうる。
【0037】
HDD13は、オペレーティングシステム(OS)を含む各種プログラムや各種データを格納する。HDD13には、画像データやテキストデータを含む文書データを作成、選択または再現したりするための各種アプリケーションが格納されている。また、HDD13は、文書データについての画像データを格納でき、格納された画像データはCPU11によって必要に応じてメモリー12上に読み出され、メモリー12上で処理されうる。
【0038】
また、HDD13には、作成された文書データについて印刷設定したりするためのプリンタードライバーがインストールされている。ユーザーは、プリンタードライバーを介して印刷処理するための文書データを選択したり、当該文書データについて印刷設定を実行したり、所望の後処理により製本するための後処理設定を実行したりできる(詳細は後述する)。設定された文書データは、ユーザーにより設定された印刷設定および製本設定と共に、MFP20が解釈可能なページ記述言語(PDL:Page Description Language)で記述されたPDLデータに変換される。当該印刷設定は、文書データに基づく画像を形成する条件として設定される。印刷指示毎に変換および生成されるPDLデータが、印刷ジョブとなる(詳細は後述する)。なお、PDLの例としては、たとえば、PS(PostScript(登録商標))、XPS(XML Paper Specification)等がある。また、HDD13には、後処理設定をPDLデータから抽出するためのプログラムが格納されている。
【0039】
ディスプレイ14は、OLED(Organic Light‐Emitting Diode)、LCD(Liquid Crystal Display)等であり、各種の情報の表示に使用される。ディスプレイ14は、後述するように、プリンタードライバー画面等のGUI(Graphical User Interface)を表示する。
【0040】
入力装置15は、マウス等のポインティングデバイスやキーボード等を含み、各種情報の入力に使用される。
【0041】
グラフィックI/F部16は、ユーザー操作される入力装置15を介して印刷指示等を受け付け可能にするGUIを、ディスプレイ14を介して表示する。
【0042】
通信I/F部17は、ネットワーク30上の外部機器と通信するためのインターフェースであり、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI(Fiber−Distributed Data Interface)等の規格によるネットワークインターフェース、USB、IEEE1394等のシリアルインターフェース、SCSI、IEEE1284等のパラレルインターフェース、BLUETOOTH(登録商標)、IEEE802.11、HomeRF、IrDA等の無線通信インターフェース等を利用することができる。
【0043】
(MFP)
次に、図3〜図7を参照して、本実施形態に係るMFPの構成について詳細に説明する。
【0044】
図3は図1に示されるMFPの構成を示す概略正面図、図4は図1に示されるMFPの構成を示すブロック図、図5は図1に示されるMFPのプリンターコントローラー部の構成を示すブロック図、図6は図1に示されるMFPのプリンター出力部の構成を示すブロック図、図7は第1および第2後処理装置の構成を示すブロック図、図8は排紙装置の構成を示すブロック図である。
【0045】
図3に示されるように、本実施形態に係るMFP20は、画像形成装置21、第1後処理装置24および第2後処理装置25、ならびに排紙装置26を備える。これらの装置の構成要素について、以下詳細に説明する。なお、以下に説明する構成要素のうち、上述のPC10と同様の構成要素については、説明の重複を避けるためその説明を省略する。
【0046】
(画像形成装置)
画像形成装置21は、ネットワーク30を介してクライアントコンピューターとしてのPC10から受信された印刷ジョブに含まれる文書データおよび印刷設定に基づいて、記録媒体に画像を形成する。印刷装置(プリンター)としての画像形成装置21は、図4に示されるように、プリンターコントローラー部22およびプリンター出力部23を備える。なお、プリンターコントローラー部22およびプリンター出力部23はそれぞれ独立して構成され、専用のインターフェースケーブルやUSB等を介して接続される場合がある。
【0047】
プリンターコントローラー部22は、図5に示されるように、CPU221、メモリー222、HDD223、通信I/F部224およびビデオI/F部225を備える。これらはPCI Express(登録商標)等の内部バス226により、相互に通信可能に接続されている。
【0048】
CPU221は、プログラムに従って上記各部およびプリンター出力部の各部の制御や、各種演算処理(たとえば、ラスタライズ(Raster Image Processing:RIP)処理時間や先行ジョブの処理時間の予測、後処理準備指示の伝達等)を実行する。プリンターコントローラー部22の各機能は、CPU221が対応するプログラムを実行することにより発揮される。
【0049】
HDD223は、OSを含む各種プログラムや各種データを格納する。たとえば、HDD223には、RIP処理に要する時間を予測するためのプログラムや、先行する印刷ジョブがある場合に当該先行ジョブの完了時間を予測するためのプログラム等が格納されている。
【0050】
ビデオI/F部225は、プリンター出力部23と通信するためのインターフェースである。
【0051】
プリンター出力部23は、図6に示されるように、画像形成部231、操作部232、給紙部233、排紙部234および通信I/F部235を備える。これらは内部バス236により相互に通信可能に接続されている。
【0052】
画像形成部231は、帯電、露光、現像、転写および定着の各工程を含む電子写真式プロセス等の周知の作像プロセスを用いて、ビデオI/F部225から受信された画像データに基づく画像を記録媒体に印刷する。なお、画像形成部231は、プリンターコントローラー部22とは別に、画像データについてRIP処理を実行したり、RIP処理された画像データであるラスタデータを印刷したりするために、その制御を行う専用のMPU(Micro−Processing Unit)(不図示)を備えてもよい。この場合、画像形成装置23は、印刷のための画像を展開する記憶装置(たとえばRAMまたはHDD等)を備えうる。
【0053】
操作部232は、タッチパネル、テンキー、スタートボタン、ストップボタン等を備えており、ユーザーによる各種設定の入力および各種情報の表示に使用される。
【0054】
給紙部233は、画像が転写される印刷媒体としての用紙や表紙用の用紙等を収容し、収容された用紙を1枚ずつ画像形成部231または後処理装置に送り出す。給紙部233は複数のトレイからなり、印刷用途別に用紙サイズ、色、紙質を選択できるように構成されうる。たとえば、給紙部233では、画像データまたはテキストデータを印刷するための印刷用紙を収容する給紙トレイと、くるみ製本の表紙として使用される用紙を収容する給紙トレイとが、それぞれ備えられる。
【0055】
排紙部234は、画像形成部231から搬送される用紙を、プリンターコントローラー22からの指示により排出する。画像形成装置21から排出される用紙は、接続された後処理装置に搬出される。
【0056】
(後処理装置)
後処理装置は、第1後処理装置24および第2後処理装置25から構成され、画像形成装置21によって印刷された印刷媒体について、印刷ジョブ内に指定される印刷設定に基づいて後処理を実行する。第1後処理装置24によって実行される後処理には、たとえば、用紙の束をステープルで綴じるステープル処理、用紙の端部にファイリング用の穴をあけるパンチ穴あけ処理、用紙を束ねて本の形に成形する束ね処理、用紙を折る折り加工処理、および用紙の端部を切断するトリマ処理等が挙げられる。第2後処理装置25によって実行される後処理装置には、たとえば、第1後処理装置24によって束ねられて成形された用紙束の側面にホットメルトタイプの接着剤等の溶融された接着剤を塗布して、表紙となる用紙により当該用紙束をくるみこんで製本する、くるみ製本等が挙げられる。ホットメルトタイプの接着剤等を溶融するので、くるみ製本するためには、後処理準備として接着剤を加熱して溶融する時間が必要とされる。なお、後処理装置は、上記のように接着剤を溶融するための加熱手段や温度検出手段(いずれも不図示)をさらに有する。また、後処理装置は、1つの装置で上記全ての後処理が可能に構成されてもよいし、2つ以上の装置から構成されてもよい。
【0057】
後処理装置は、図7に示されるように、制御部241、給紙部242、排紙部243および通信I/F部244を備える。これらは内部バス245により相互に通信可能に接続されている。
【0058】
制御部241は、プログラムに従って上記各部の制御や各種演算処理(たとえば、後処理準備、ジョブID照合等)を実行する。後処理装置の各機能は、CPU(不図示)が対応するプログラムを実行することにより発揮される。
【0059】
給紙部242は、PODの印刷処理を含む印刷処理の上流工程から搬送された印刷物を受け取る。排紙部243は、後処理された印刷物を下流工程用の装置に搬送する。なお、給紙部242は、給紙部233とは独立して、別途用紙を供給できるように構成されてもよい。
【0060】
通信I/F部244は、ネットワーク30や内部バスを介してデータの送受信を行う。通信I/F部244は、PC10や他の通信I/F部と接続を確立し、各種ネットワークプロトコルによりデータの送受信を行う。本実施形態では、印刷ジョブの一部に含まれる、後処理についての後処理設定情報がPC10から送信され、通信I/F部244を介して後処理装置により受信される。
【0061】
(排紙装置)
排紙装置26は、図3にも示されるように、印刷および選択的に後処理された印刷物を排紙トレイ261および262から排出する。排紙装置26は、図8に示されるように、制御部261、給紙部262、排紙部263および通信I/F部264を備える。これらは内部バス265により相互に通信可能に接続されている。
【0062】
制御部261は、プログラムに従って上記各部およびプリンター出力部23の各部の制御や、各種演算処理を実行する。排紙装置26の各機能は、制御部261のCPU(不図示)が対応するプログラムを実行することにより発揮される。たとえば、排紙装置26は、制御部261の指示に基づいて、折り加工やステープル処理等の異なる後処理の種類毎に印刷物をソートし、ソートされた種類毎に異なる排紙先に印刷物を排出する。
【0063】
給紙部262は、後処理装置から排出された印刷物を、排紙装置26に取り入れる。排紙部263は、ソートされた印刷物を排紙トレイ261および262等を介してMFP20外に排出する。
【0064】
なお、PC10およびMFP20は、それぞれ上述した構成要素以外の構成要素を含んでいてもよく、あるいは、上述した構成要素のうちの一部が含まれていなくてもよい。
【0065】
(印刷ジョブおよび後処理設定情報)
次に、図9〜図11を参照して、第1の実施形態に係る後処理についての設定情報(後処理設定情報)を含む印刷ジョブの構成、ならびに抽出後の当該後処理設定情報および印刷ジョブの構成について詳細に説明する。
【0066】
図9は本実施形態に係るプリンタードライバー画面の例を示す図、図10は印刷ジョブの例を概略的に示す図、図11は図10に示される印刷ジョブから抽出された後処理設定情報を含む印刷ジョブ、および後処理設定情報が抽出された後の他方の印刷ジョブの例を示す図である。
【0067】
印刷設定するためのプリンタードライバーは、PC10のHDD13等に記憶されており、ユーザーによる入力装置15の所定操作によってプリンタードライバー画面が立ち上げられ、ディスプレイ14に表示される。プリンタードライバー画面の例は、図9(a)に示される通りである。プリンタードライバー画面40は、印刷を実行するMFPを指定するための「プリンター」項目を含み、図9(a)に示される例では、“Printer ABC”が指定されている。また、プリンタードライバー画面40には、印刷部数を指定するための「部数」項目、PODの印刷処理等についての詳細印刷設定や後処理設定を指定するための画面を立ち上げるための「プロパティ」ボタン、印刷物の外観の様子を確認するための「プレビュー」ボタン、ネットワーク30上で利用可能なプリンターを検索するための「プリンターの検出」ボタン、印刷設定および後処理設定を確定して印刷ジョブをMFP20に送信するための「OK」ボタン、設定を取りやめてプリンタードライバー画面40を閉じるための「閉じる」ボタン等が構成されている。
【0068】
プリンタードライバー画面40の「プロパティ」ボタン41が押下(クリック)されることにより、印刷設定の詳細を指定するための設定画面が立ち上げられる。詳細設定するための設定画面の例は、図9(b)に示される通りである。図9(b)に示されるように、印刷ジョブ設定画面42の左側には、印刷ジョブの基本的な設定をするための「基本」ボタンと、印刷される画像の印刷用紙に対するサイズや位置関係等を設定するための「面付け」ボタンと、印刷時の画質を指定するための「画質」ボタンと、後処理について設定するための「仕上げ」ボタン43と、印刷ジョブについての情報を取得するための「ジョブ情報」ボタンとが含まれる。また、印刷ジョブ設定画面42の右側には、基本設定のための、印刷部数を指定する「コピー部数」項目と、印刷用紙を指定するための「用紙種類」項目と、印刷用紙のサイズを指定するための「用紙サイズ」項目と、印刷用紙の坪量を指定するための「用紙坪量」項目とが含まれる。さらに、印刷ジョブ設定画面42には、詳細設定を確定してプリンタードライバー画面40に戻るための「OK」ボタンと、詳細設定を取りやめるための「キャンセル」ボタンと、詳細設定を反映するための「適用」ボタンと、詳細設定項目について解説情報を表示させるための「ヘルプ」ボタンとが含まれる。
【0069】
印刷ジョブ設定画面42の「仕上げ」ボタン43がクリックされることにより、後処理について詳細設定するための各種項目が、印刷ジョブ設定画面42に表示される。後処理について詳細設定するための各種項目の例は、図9(c)に示される通りである。図9(c)に示されるように、仕上げ設定用の印刷ジョブ設定画面42の右側には、後処理としての仕上げ方法を指定するための「仕上げ方法」項目44が表示される。この「仕上げ方法」項目44において“くるみ製本”が指定されると、「仕上げ方法」項目44の下方に、くるみ製本のための新たな設定項目が表示される。具体的には、くるみ製本の表紙について指定するための「表紙」項目45、および印刷ジョブに含まれる文書データを印刷する用紙を設定するための「本文」項目46が表示される。これらのくるみ製本のための項目は、用紙についての詳細設定するための「用紙設定」ボタンを含む。「用紙設定」ボタンをクリックすると用紙指定するための画面(不図示)が立ち上げられ、給紙トレイ毎の用紙選択を実行することができる。図9(c)に示される例では、「表紙」項目45において、くるみ製本の表紙用の用紙として、“トレイ1”の“カスタム”用紙が指定されている。また、「本文」項目46において、くるみ製本用の本体部分の用紙として、“トレイ3”の“A4”用紙が指定されている。
【0070】
図10は、プリンタードライバー画面40および印刷ジョブ設定画面42上で指定された印刷設定および後処理設定を含む印刷ジョブの例を概略的に示す図である。なお、図示される設定項目等は例として示されたものであり、実際の設定項目とは異なる場合がある。
【0071】
プリンタードライバー画面40の「OK」ボタンがクリックされることにより、印刷設定が確定され、印刷設定が、上述のようにPC10にインストールされたプリンタードライバーによりPDLデータに変換される。このPDLデータが印刷ジョブとなる。図10に示されるように、PDLデータで記述された印刷ジョブ500は、プリンタードライバー画面40および印刷ジョブ設定画面42において設定された印刷設定情報および後処理設定情報を含む。これらの設定情報は、HTML形式またはXML形式に記述されるタグにより定義される単位毎に記述される。たとえば、印刷ジョブは、<ジョブ>〜</ジョブ>に括られる部分により定義される。具体的には、印刷ジョブ自体についての記述を含む<ジョブ>タグ510は、印刷ジョブIDを含む。印刷ジョブIDは、固有の印刷ジョブとして他の印刷ジョブと区別するための識別情報であり、確定された印刷ジョブ毎に、たとえばプリンタードライバーにより付与される。<ジョブ>タグ510には、<ジョブ>タグ510の下位項目として、<印刷設定>タグ520と、<ページ設定>タグ540とが含まれる。
【0072】
印刷ジョブについての設定情報を含む<印刷設定>タグ520は、<プリンター>タグにより記述されるプリンターを特定するための情報と、<印刷ジョブ設定>タグ530により記述される印刷設定および後処理設定を特定するための情報とを含む。<印刷ジョブ設定>タグ530は、<仕上げ>タグ531により記述される仕上げについての設定情報と、<基本設定>タグ533により記述される、上述の印刷ジョブ設定画面42の「基本」設定画面で指定された基本印刷設定についての情報を含む。また、<印刷ジョブ設定>タグ530は、<面付け>タグ534により記述される面付けについての設定情報と、<画質>タグ535により記述される画質についての設定情報と、を含む。
【0073】
<仕上げ>タグ531は、<仕上げ方法>タグ532により記述される後処理としての仕上げ方法についての値(“くるみ製本”)を含む。また、<仕上げ>タグ531は、<表紙>タグにより記述される、当該くるみ製本に使用される表紙の収容箇所および種類についての設定情報(“トレイ1 カスタム”)を含む。さらに、<仕上げ>タグ531は、<本文>タグにより記述される、印刷物本体用の印刷用紙の収容箇所および種類についての設定情報(“トレイ3 A4”)とを含む。
【0074】
また、印刷ジョブ500は、<ページ設定>タグ540により記述される、印刷物本体等に印刷されるオブジェクト単位の文書データや画像データについての情報を含む。
【0075】
図11は、図10に示された印刷ジョブ500のうち、抽出された後処理設定情報を含む印刷ジョブ、および後処理設定情報が抽出された後の他方の印刷ジョブの例を示す図である。本実施形態では、印刷ジョブ500の後処理設定情報の一部が抽出され、抽出された設定情報を含む印刷ジョブと、抽出された印刷ジョブを含まない、他の印刷ジョブとが生成される。図11に示される例では、印刷ジョブ500の後処理設定について記述する<仕上げ>タグ531の情報の一部が抽出されている。すなわち、「仕上げ」のうち「仕上げ方法」についての情報が抽出され、抽出された情報を含む印刷ジョブ500’が生成される。同時に、抽出された情報を含まない、抽出元の他方の印刷ジョブ500’’が生成される。
【0076】
図11(a)に示されるように、印刷ジョブ500’は、印刷ジョブ500の<印刷設定>タグ520に記述された<仕上げ>タグ531のうち、<仕上げ方法>タグ532の値(“くるみ製本”)を、抽出された情報として含む。また、印刷ジョブ500’は、後処理設定情報が抽出された時に付与される、抽出元の印刷ジョブ500と同一のジョブIDを含む。ジョブIDが照合されることにより、後処理準備用に生成された印刷ジョブ500’と、他方の印刷ジョブ500’’とが、同一印刷ジョブとして処理されるべきであると判断されうる。また、印刷ジョブ500’は、後処理装置に送信された時、後処理準備指示として機能する。すなわち、印刷ジョブ500’を受信した後処理装置は、印刷ジョブ500’の内容に基づいて、後処理の準備を開始する。たとえば、図11(a)に示された例では、印刷ジョブ500’は設定情報として“くるみ製本”を含むので、後処理装置は、くるみ製本の準備として、接着剤の熱溶融を開始する。詳細は後述する。
【0077】
図11(b)に示されるように、印刷ジョブ500’’は、「仕上げ」についての設定情報のうち、抽出された「仕上げ方法」についての情報を含まず、「仕上げ方法」以外の設定情報を含む。印刷ジョブ500’’は、通常の印刷ジョブとして、印刷ジョブ500’が送信された後にMFP20に送信される。
【0078】
(各種処理の相互関係)
次に、図12を参照して、第1の実施形態に係る、後処理準備設定情報が抽出および送信されて処理されるまでの、PCおよびMFPによる各種処理の経時的な相互関係について詳細に説明する。
【0079】
図12は、本実施形態に係る後処理準備の説明に供する図である。図12(a)は、左から右に延びる横線を時間軸として、縦軸に沿って示された各種処理に対する動作の処理時間と、各種処理の処理タイミングの相互関係を示す。図12(b)は、図12(a)の特定の処理に対応して、後処理装置準備としての加熱が実行されるタイミングおよび加熱による温度変化を示す。
【0080】
まず、図12(a)に示される各種処理の内容について説明する。
【0081】
PDL変換処理は、図9に示したプリンタードライバー画面40および42において設定された印刷設定が、図10に示した印刷ジョブとしてのPDLデータに変換する処理である。印刷ジョブとしてのPDLデータは、変換されたPDLデータのうち転送可能となった部分から順次、ネットワーク30を介してMFP20に転送されうる。
【0082】
ジョブ転送処理は、PDLデータに変換された印刷ジョブを、ネットワーク30を介してMFP20に送信する処理である。図12(a)に示されるジョブ転送処理の時間幅は、PDLデータが転送されるために要する時間を表す。
【0083】
RIP処理は、転送されたジョブを受信したMFP20のCPU221が、ジョブ内に含まれる文書データをラスタデータに変換する処理である。図12(a)では、PC10およびPC10’から転送されたジョブのうち、MFP20に到着した部分から、順次RIP処理されるように示されている。
【0084】
印刷処理は、MFP20の画像形成部231が、RIP処理された印刷ジョブ内の文書データを、印刷ジョブに含まれる印刷設定に基づいて印刷する処理である。印刷処理に要する時間は、印刷ジョブに含まれる文書データのサイズ等により異なる。
【0085】
後処理準備は、後処理装置が、受信された後処理準備指示(印刷ジョブ500’)に基づいて、後処理の準備を開始する処理である。本実施形態では、後述するように、くるみ製本を実行する第2後処理装置25が後処理準備指示を受信し、後処理準備として、くるみ製本処理するために接着剤を溶融する処理を開始する。
【0086】
後処理は、後処理装置が、印刷ジョブに基づいて印刷された用紙等に後処理を実行する処理である。
【0087】
次に、図12(b)に示される、後処理装置による温度制御について説明する。
【0088】
横軸は、図12(a)同様、時間軸である。縦軸は、後処理装置の加熱手段により加熱される接着剤容器等の温度を示す(いずれも不図示)。本実施形態では、まず、「予備加熱目標温度」まで加熱され、待機する必要がある場合には「予備加熱目標温度」が維持される。製本時は、「予備加熱目標温度」から「製本温度」まで最終加熱され、「製本温度」が維持されうる。
【0089】
次に、上記各種処理の経時的な相互関係について、詳細に説明する。
【0090】
図12(a)に示されるように、ネットワーク30上の異なる2つのクライアントコンピューターとしてのPC10およびPC10’が、それぞれ異なる時間に、ジョブA〜Cについて印刷指示を実行して、印刷設定をPDLデータに変換する。具体的には、PC10’は後処理設定情報を含まないジョブAをPDLデータに変換する処理を実行し、その後、PC10が後処理設定情報を含むジョブBをPDLデータに変換する処理を実行する。その後、PC10’は、後処理設定情報を含まないジョブCをPDLデータに変換する処理を実行する。
【0091】
ここで、後処理設定情報を含むジョブBについては、上述のように、PC10のプリンタードライバーにより当該後処理設定情報の一部が抽出される。その結果、ジョブBは、図11で示した後処理設定情報の一部のみを含む印刷ジョブ500’と、当該抽出された後処理設定情報の一部を含まない印刷ジョブ500’’とに分けられる。印刷ジョブ500’は、分けられた他方の印刷ジョブ500’’の前に後処理装置に送信される。
【0092】
たとえば、印刷ジョブ500’は、PC10から印刷ジョブBの実行が指示された直後に後処理装置に送信されうる(図12(a)における、PC10のジョブBから下方に延びる点線矢印を参照)。したがって、当該印刷ジョブ500’を受信した後処理装置は、後処理設定情報に基づいて、後処理についての準備を即座に開始できる。本実施形態では、抽出される後処理設定情報は“くるみ製本”であり、この情報が印刷ジョブ500’に含まれ、第2後処理装置25に送信される。図12(b)に示されるように、印刷ジョブ500’を受信した第2後処理装置25は、「OFF」から「ウォームアップ」に動作状態を変更し、くるみ製本するための接着剤の加熱が開始される。したがって、第2後処理装置25の接着剤の温度は、T1から上昇し始める。
【0093】
なお、印刷ジョブ500内の後処理設定情報のみを抽出した後、PDLデータへ変換して送信するために要する処理時間は、印刷ジョブ500のその他の部分をPDLデータに変換したり、転送したりする時間に比べて極めて短いので、図12等においては、処理時間が無いものとして示している。
【0094】
また、図12(a)および(b)に示されるように、第2後処理装置25による後処理準備は、T2においてウォームアップを終了し、引き続き最終加熱を続行して、T5において加熱処理が完了される。ジョブB(印刷ジョブ500’’)に基づいて印刷処理された印刷物は、T5からT6において、くるみ製本される。図12に示される例では、ジョブBのRIP処理が終了する時点T4以降に、加熱(ウォームアップおよび最終加熱)が完了されるので、ジョブBの後処理(くるみ製本処理)は、T5において、加熱終了と同時に開始されうる。
【0095】
ここで、第2後処理装置25の余分な稼動消費電力を効率的に節減するためには、加熱処理が完了する時点T5は、ジョブBのRIP処理が完了して、印刷処理が開始される時点T4と同時であることが望ましい。本実施形態では、後述するように、T4とT5とが同時となるように、加熱処理が即座に開始されずに、加熱処理が遅れて開始される。すなわち、加熱開始時点T1が延期される。
【0096】
(後処理設定情報を抽出する処理の手順)
次に、図13を参照して、本実施形態に係る後処理設定情報を抽出する処理の手順について詳細に説明する。
【0097】
図13は、PC10にインストールされたプリンタードライバーのプログラムに従ってCPU11よって実行される、後処理設定情報を抽出するための処理の手順を示すフローチャートである。なお、図13に示されるフローチャートのアルゴリズムは、PC10のメモリー12等に格納されており、CPU11により実行される。
【0098】
図13に示されるように、まず、印刷ジョブの設定が確定される(ステップS11)。このステップでは、ユーザー操作により、上述の図9に示されたプリンタードライバーの印刷ジョブ設定画面40および42において、印刷ジョブが設定される。上述の図9(a)のプリンタードライバー画面40において、「OK」ボタンがクリックされることにより、当該画面40で設定された印刷ジョブが確定される。
【0099】
続いて、後処理設定情報が抽出される(ステップS12)。このステップでは、ステップS11で確定された印刷設定のうち、後処理設定情報が抽出される。後処理設定は、たとえば、予め記憶された後処理設定情報に合致する文字列またはスクリプトが、印刷設定を含む情報の中から読み出されて、抽出されうる。
【0100】
続いて、抽出された後処理設定情報についての判断が実行される(ステップS13)。このステップでは、ステップS12で抽出された後処理設定情報の内容について、どの後処理装置に転送されるべきか等の判断が実行される。たとえば、図11に示された印刷ジョブ500’の例では、後処理設定情報は、「仕上げ方法」として“くるみ製本”が指定されているので、抽出された後処理設定情報は、第2後処理装置25に送信されるべきと判断される。抽出された後処理設定情報に適切な後処理装置がない場合、エラーメッセージ(不図示)等を表示させうる。
【0101】
続いて、抽出された後処理設定についての情報が送信される(ステップS14)。このステップでは、ステップS12において抽出された後処理設定情報が、先にMFP20に送信される。なお、抽出された後処理設定情報が送信される時、たとえば図11(a)に示された印刷ジョブ500’のようなPDLデータに変換されてから、送信されてもよい。なお、後述するように、MFP20により受信された印刷ジョブ500’は、後処理準備指示として、適切な後処理装置に送信される。
【0102】
続いて、印刷設定がPDL変換される(ステップS15)。このステップでは、印刷設定のうち、ステップS12で抽出された情報以外の、他の印刷設定がPDL変換される。印刷設定には様々な設定やデータが含まれるので、図12等に示されるように、PDL変換するために所定時間必要とされる。したがって、本実施形態では、このステップにおけるPDL変換を実行する前に、後処理準備のための後処理設定情報が抽出される(ステップS12)ので、いち早く後処理設定情報を送信(ステップS14)して、後処理準備を開始させることができる。
【0103】
続いて、他方の印刷ジョブが送信される(ステップS16)。このステップでは、ステップS15で図11(b)に示されたような印刷ジョブ500’’にPDL変換された印刷ジョブが、MFP20に送信される。本実施形態では、このステップで送信された印刷ジョブのRIP処理が開始される前に後処理設定情報が送信される(ステップS14)ので、PDL変換する時間中のみではなく、RIP処理中も、後処理準備を実行させることができる。
【0104】
(後処理準備の処理の手順)
次に、図14を参照して、抽出された後処理設定情報に基づいて後処理準備を開始する処理の手順について、詳細に説明する。
【0105】
図14は、第1の実施形態に係る、印刷ジョブに基づいてMFPにより実行される処理の手順を示すフローチャート、図15は本実施形態に係る後処理準備の説明に供する図である。なお、図14のフローチャートに示されるアルゴリズムは、MFP20のプリンターコントローラー部22のメモリー222等に格納されており、CPU221によって実行される。
【0106】
図14に示されるように、まず、後処理設定についての情報が受信される(ステップS201)。このステップでは、上述の図13のステップS14で送信された後処理設定情報が、MFP20によって受信される。
【0107】
続いて、先行する印刷ジョブの処理時間が算出される(ステップS202)。このステップでは、ステップS201で受信された印刷ジョブ500’に先行する、事前に受信されて処理中の印刷ジョブがある場合、その先行する印刷ジョブの印刷処理時間が算出される。処理時間の算出には、たとえば、当該先行印刷ジョブが開始された時点から、処理時間の算出が開始された時点までの処理時間と、この処理時間内に先行ジョブが処理されたページ数とをまず検出する。それから、検出された処理時間および処理済みページ数、ならびに先行ジョブに含まれる全ページ数に基づいて、印刷処理の進捗度を算出することによって、先行ジョブの処理が完了する時間を予測することができる。なお、先行する印刷ジョブが無い場合には、先行ジョブの印刷処理完了時間が“0”(ゼロ)として処理されうる。
【0108】
続いて、先行ジョブの印刷処理完了時間と、接着剤の加熱完了時間とが比較される(ステップS203)。このステップでは、ステップS202で算出された先行する印刷ジョブの処理完了までの時間と、後処理準備としての接着剤の加熱が完了されるまでの時間とが比較される。なお、加熱処理に要する時間は、予め計測されてメモリー22等に記憶された既知の値でもよいし、またはその都度適宜算出されてもよい。
【0109】
加熱処理時間よりも、先行ジョブの処理完了までの時間の方が短いと判断される場合(ステップS203:NO)、予備加熱が開始される(ステップS204)。このステップでは、ステップS201で受信された後処理設定情報に基づいて、後処理装置に予備加熱の開始が指示される。具体的には、ステップS202で、加熱が完了する前に先行ジョブが完了されると予測されたので、後処理準備についての情報に基づいて、後処理準備、すなわち予備加熱(ウォームアップ)が開始される。たとえば、くるみ製本という設定情報が、プリンターコントローラー22から第2後処理設定情報25に転送されることにより、後処理準備が開始される。具体的には、上述の図12を参照して、まず、後処理設定情報(印刷ジョブ500’)が第2後処理装置25によって受信される。図12では、当該印刷ジョブ500’が受信された時点T1を基点として、加熱(ウォームアップおよび最終加熱)が完了する時点T5は、ジョブBに先行するジョブAが完了する時点T3より後である。したがって、ステップS203では、先行するジョブAの印刷処理完了までの時間は、加熱時間よりも前であると算出される(ステップS203:NOに相当)。その結果、このステップS204において、加熱が延期されることなく開始される。すなわち、ジョブBの印刷ジョブ500’が受信された時点T1直後に、加熱が開始されうる。
【0110】
一方、加熱処理時間よりも、先行ジョブの処理時間の方が長いと判断される場合(ステップS203:YES)、先行ジョブの印刷処理完了時間に合わせて、加熱が開始される(ステップS205)。このステップでは、ステップS203で、加熱が完了するより後に先行ジョブが完了すると予測されたので、加熱の開始は、当該先行ジョブの完了時間に合わせて延期される。具体的には、図15を参照して、先行するジョブA’の印刷処理が完了する時点T3’は、抽出された後処理設定情報を含む印刷ジョブ500’が受信された時点T1から加熱を開始するとした場合の加熱完了時点T5よりも後である。したがって、前ステップS203では、先行するジョブA’の印刷処理完了までの時間は、加熱処理時間よりも長いと算出される(ステップS203:YESに相当)。その結果、このステップS205において、加熱が延期されて開始される。延期される期間は、たとえば、ステップS202において算出された先行ジョブA’の完了時間(T1〜T3’)から、加熱に必要な時間(T1〜T5)を減算して得られる時間だけ延期される。
【0111】
なお、図15に示されるように、印刷ジョブ500’の他方の印刷ジョブ500’’は、ステップS204で予備加熱が開始された後、またはステップS205で予備加熱が開始される前後、もしくはステップS206で予備加熱の完了が検出される前等に、MFP20により受信され、適宜印刷処理が開始される。
【0112】
続いて、予備加熱の完了が検出される(ステップS206)。このステップでは、ステップS204またはS205において開始された予備加熱(ウォームアップ)の完了が検出される。具体的には、図15(b)に示されるように、製本温度より低い、予備加熱目標温度まで加熱されたか否かが検出される。
【0113】
続いて、最終加熱が開始される(ステップS207)。このステップでは、ステップS206までの予備加熱に引き続き、最終加熱が実行される。具体的には、図15(b)に示されるように、予備加熱目標温度から製本温度まで温度が上昇される(T2’〜T3’)。
【0114】
続いて、最終加熱が完了したか否かが判断される(ステップS208)。このステップでは、ステップS207において開始された最終加熱により、図15(b)に示される製本温度まで、加熱が実行されたか否かが判断される。最終加熱が完了していない、すなわち最終加熱で製本温度まで温度が上昇されていないと判断される場合(ステップS208:NO)、引き続き最終加熱が続行される(ステップS207)。
【0115】
一方、最終加熱が完了されたと判断される場合(ステップS208:YES)、くるみ製本が開始される(ステップS209)。
【0116】
その後、後処理準備を実行するための処理は、終了される。
【0117】
以上のように、本実施形態では、印刷ジョブ500に含まれる後処理設定情報が抽出され、抽出された情報は即座に第2後処理装置25に送信される。第2後処理装置25は受信された後処理設定情報に基づいて、後処理準備を開始できる。すなわち、印刷ジョブ500が印刷処理できる時点T4(図12)まで第2後処理装置25は加熱開始を待たずに加熱を開始できる。したがって、先行するジョブAが無い場合や、ジョブAが直ぐに終わってしまう場合でも、ジョブBがPDL変換・転送・RIP処理される時間を含む、T1〜T4までの時間を常に準備時間として有効活用することができ、確実にPODの印刷処理の時間を短縮できる。さらに、本実施形態によれば、先行する印刷ジョブの完了時間が算出され、当該算出された時間と後処理準備に要する時間とが比較されるので、比較結果に基づいて後処理準備を開始する時間が算出できる。算出された時間に基づいて後処理準備(加熱)が開始されるので、第2後処理装置25が余分な時間稼動していることがなく、確実に消費電力を節減できる。
【0118】
[第2の実施形態]
次に、図16〜図18を参照して、本発明の第2の実施形態について、詳細に説明する。
【0119】
図16は第2の実施形態に係る、印刷ジョブに基づいてMFPにより実行される処理の手順を示すフローチャート、図17は本実施形態に係る後処理準備の説明に供する図、図18はRIP処理完了時間の予測に基づく処理の手順を示すフローチャートである。なお、図16〜図18において、第1の実施の形態と同様の構成および処理については同一の符号を付し、説明の重複を避けるため、その説明を省略する。
【0120】
図16は、第2の実施形態に係る、印刷ジョブに基づいてMFPにより実行される処理の手順を示すフローチャートである。なお、ステップS301〜S306までの処理は、上述の図12のステップS201〜206と同様であるので、その説明を省略する。
【0121】
図16に示されるように、予備加熱の完了が検出された後(ステップS306)、RIP処理が完了したか否かが判断される(ステップS307)。このステップでは、予備加熱が完了した時点より前に受信されたジョブB(印刷ジョブ500’’)に含まれる文書データについてRIP処理が完了されたか否かが判断される。たとえば、図17を参照すると、予備加熱が完了した時点T2’’においては、ジョブBがRIP処理されている最中であることがわかる。この場合、このステップで、RIP処理中であると判断される。RIP処理が完了されたと判断される場合(ステップS307:YES)、ステップS308に処理が進む。
【0122】
一方、RIP処理が完了されていないと判断される場合(ステップS307:NO)、RIP処理中であるか否かが判断される(ステップS309)。このステップでは、印刷ジョブ500’’についてのRIP処理が実行されている最中か否かが判断される。RIP処理中であると判断される場合(ステップS309:YES)、後述のステップS312に処理が進む。
【0123】
一方、RIP処理中ではないと判断される場合(ステップS309:NO)、最終加熱が延期される(ステップS310)。このステップでは、ステップS309において、印刷処理の進捗に関して、印刷ジョブ500’’のRIP処理がまだ開始されていないと判断され、最終加熱を実行する必要がないと判断される。したがって、最終加熱が延期される。
【0124】
続いて、タイムアウトとなったか否かが判断される(ステップS311)。このステップでは、ステップS310で延期された処理が、タイムアウトとなったか否かが判断される。タイムアウトを設定することにより、たとえばRIP処理が完了するまでの間に通信エラー等が発生した場合に、RIP処理すべき印刷ジョブが受信されなかったものと判断して、処理を中断させることができる。処理が中断されることにより、余計な電力が消費されることを防止できる。タイムアウトではないと判断される場合(ステップS311:NO)、ステップS309の処理に戻る。一方、タイムアウトであると判断される場合(ステップS311:YES)、RIP処理時間を勘案して後処理準備の継続を延期させる処理は、終了される。
【0125】
ステップS309においてRIP処理中であると判断された場合(ステップS309:YES)、RIP処理完了時間の予測に基づいて後処理準備の継続が延期がされる(ステップS312)。このステップでは、ステップS309で、印刷データ500’’の文書データについてRIP処理が進行中であると判断されたので、当該RIP処理が完了するまでの時間が予測され、予測されたRIP処理完了時間に基づいて、後処理準備の継続が延期される。
【0126】
RIP処理が完了するまでの時間の予測に基づいて、後処理準備の継続を延期する処理の手順は、図18に示される通りである。まず、RIP処理の完了時間が予測される(ステップS31)。このステップでは、ステップS309で処理中であると判断されたRIP処理の完了時間が予測される。具体的には、RIP処理が完了する時間を予測する方法は、上述したステップS202で先行ジョブの処理完了時間を予測する方法と同様である。すなわち、ジョブBのRIP処理が開始された時点から、このステップの処理が開始される時点(以下、現時点)までの期間(以下、処理経過時間)に完了された処理量の、RIP処理が必要とされる文書データ量全体に対する割合を算出する。処理経過時間が、算出された割合により除算されることにより、全体の処理時間が算出される。全体の処理時間から、処理経過時間を減算して、現時点からRIP処理が完了するまでの時間が算出されうる。
【0127】
続いて、RIP処理が完了される時間が、加熱完了までの時間より遅いか否かが判断される(ステップS32)。このステップでは、ステップS31で判断されたRIP処理完了時間T5’’と、最終加熱完了時間T5とが比較される(図17(b))。RIP処理が完了する時間が、最終加熱完了までの時間よりも早い場合(ステップS32:NO)、図16のステップS308に処理が進み、最終加熱が開始される。
【0128】
一方、RIP処理が完了する時間が、加熱完了までの時間よりも遅い場合(ステップS32:YES)、最終加熱が延期される(ステップS33)。このステップでは、ステップS32で、加熱完了までの時間はRIP処理が完了する時間よりも早いので、製本温度で温度維持することにより余分に電力が消費されることを避けるために、RIP処理が完了される時間に合わせて、最終加熱が実行される。図17(b)を参照すると、T2’’において加熱が継続されずに、最終加熱を開始する時点がT2’’からT5’’に延期されることが示されている。これにより、延期がない場合にT2’’から最終加熱を実行したとした場合の最終加熱完了時間T5が、T5’’まで延期される。T2’’からT7’’までの時間は、製本温度よりも低い、予備加熱目標温度に維持される。したがって、高温を維持する時間がより少なくなり、電力消費量を節減できる。
【0129】
続いて、RIP処理が完了する時間が、加熱完了までの時間よりも早いと判断されるまで、ステップS32およびS33が実行される。
【0130】
図16のこれ以降の手順ステップS308、ステップS313およびS314は、図14のステップS207〜S209と同様であるので、その説明を省略する。
【0131】
以上のように、第1の実施形態による効果に加えて、本実施形態では、RIP処理完了時間に合わせて加熱が開始されるので、高温を維持する時間がより少なくなり、電力消費量が節減できる。
【0132】
本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。
【0133】
なお、上記実施形態では、後処理設定情報が、PC10に格納されるプリンタードライバーによって抽出される形態について述べたが、これに限定されない。プリンタードライバーとは異なる専用のプログラム、または印刷ジョブとしてのPDLデータを受信したプリンターコントローラー部22を制御するプログラムの一部として、後処理設定情報を抽出する処理が実行されてもよい。印刷ジョブの設定についても、プリンタードライバーではなくアプリケーションによって行われるようにしてもよい。
【0134】
上記実施形態では、抽出された設定情報が、印刷ジョブとして生成されると述べた。しかし、これに限定されない。抽出された情報は、いかなるデータフォーマットの情報として生成されて、後処理準備されてもよい。
【0135】
また、上記実施形態では、抽出された後処理設定情報の抽出元となった印刷ジョブが、印刷ジョブ500とは異なる印刷ジョブ500’’として利用される形態について述べた。しかし、これに限定されない。後処理設定情報が抽出された後の印刷ジョブ500は、抽出された後処理設定情報を含む、元の形態のまま利用されてもよい。
【0136】
また、上記実施形態では、先行ジョブの完了時間やRIP処理の完了時間が、計測時点までの処理量と、その処理量にかかった時間と、全体の処理量とに基づいて算出された。しかし、これに限定されない。いかなる算出方法が使用されてもよい。
【0137】
また、上記実施形態では、後処理準備として、くるみ製本の接着剤を事前に加熱する処理を例として説明したが、これに限定されない。いかなる後処理の準備にも適用できる。
【0138】
本実施形態に係る画像形成における各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウエア回路、またはプログラムされたコンピューターのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、たとえば、フラッシュメモリーおよびCD−ROM等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、画像形成の一機能としてその装置のソフトウエアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0139】
10,10’ PC、
11,221 CPU、
12,222 メモリー、
13,223 HDD、
14 ディスプレイ、
15 入力装置、
16 グラフィックI/F部、
17,224,235,244,264 通信I/F部、
18,27,226,236,245,265 内部バス、
20 MFP、
21 画像形成装置、
22 プリンターコントローラー部、
23 プリンター出力部、
231 画像形成部、
232 操作部、
233 給紙部、
234 排紙部、
24 第1後処理装置、
25 第2後処理装置、
26 排紙装置、
30 ネットワーク、
40,42 プリンタードライバー画面、
500,500’,500’’ 印刷ジョブ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ジョブに基づいて画像を形成する画像形成装置に接続され、前記画像が形成された印刷媒体に対して後処理を実行する後処理装置を制御するための処理をコンピューターに実行させるためのプログラムであって、
前記画像を形成する条件である印刷設定から、前記後処理についての後処理設定情報を抽出する手順(a)と、
前記抽出された後処理設定情報を、前記後処理装置に送信する手順(b)と、
前記抽出された後処理設定情報の送信後に、前記印刷設定および前記画像から前記印刷ジョブを生成する手順(c)と、
を含むプログラム。
【請求項2】
前記手順(b)で送信された前記後処理設定情報に基づいて、前記後処理装置が前記後処理の準備を開始した後に、前記手順(c)で生成された前記印刷ジョブを前記画像形成装置に送信する手順(d)をさらに含む、請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記(d)で送信された印刷ジョブに基づいて、前記画像形成装置により前記画像のデータについてラスタライズ処理が実行される、請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
画像が形成された印刷媒体に対して後処理を実行する後処理装置を制御するための処理をコンピューターに実行させるためのプログラムであって、
前記画像を形成するための条件である印刷設定から抽出された、前記後処理についての設定情報を含む後処理設定情報を受信する手順(e)と、
前記手順(e)で受信された前記後処理設定情報に関連する前記後処理の準備を、前記後処理装置に指示する手順(f)と、
前記後処理設定情報を受信した後に、前記印刷設定および前記画像から生成された印刷ジョブを受信する手順(g)と、
を含むプログラム。
【請求項5】
前記印刷ジョブに含まれる前記画像のデータをラスタライズするために要する時間を予測する手順(h)と、
前記手順(h)で予測された時間に基づいて、前記後処理の準備を継続するか否かを判断する手順(i)と、
をさらに含む、請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記手順(h)で予測されたラスタライズ処理時間と、前記後処理の準備が完了するまでの時間とを比較する手順(j)をさらに含み、
前記後処理の準備を継続するか否かを判断する手順(i)は、前記手順(j)における比較の結果に基づいて実行される、請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
異なる複数の前記印刷ジョブのうち、前記後処理を含まない、先行する当該印刷ジョブを処理するために要する時間を予測する手順(k)をさらに含み、
前記手順(k)において予測された時間に基づいて、前記後処理の準備の開始を延期するか否かを判断する手順(l)を含む、請求項4〜6のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項8】
前記手順(k)において予測された前記先行印刷ジョブの処理時間と、前記後処理の準備が完了するまでの時間とを比較する手順(m)をさらに含み、
前記後処理準備の開始の延期をするか否かを判断する手順(l)は、前記手順(m)における比較の結果に基づいて実行される、請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
前記後処理の準備が開始された後、前記印刷ジョブが所定時間内に受信されない場合、前記後処理の準備を中止させる手順(n)をさらに含む、請求項4〜8のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項10】
前記後処理の準備は、前記後処理に使用される接着剤を熱溶融する処理を含む請求項2〜9のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項11】
前記後処理は、前記印刷ジョブに基づいて印刷された印刷物の束の側面に、熱溶融される接着剤を塗布して表紙用の用紙でくるむ、くるみ製本処理である請求項1〜10のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項12】
請求項1〜11いずれか一項に記載のプログラムを記録したコンピューター読取り可能な記録媒体。
【請求項13】
印刷ジョブに基づいて画像を形成する画像形成手段と、前記画像が形成された印刷媒体に対して後処理を実行する後処理手段とを有する画像形成システムであって、
前記画像を形成する条件として設定された印刷設定から、前記後処理についての後処理設定情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出された後処理設定情報を送信する送信手段と、
前記後処理設定情報を受信して、当該後処理設定情報に基づいて、前記後処理装置に後処理の準備を指示する指示手段と、
前記後処理設定情報の送信後に、前記印刷設定および前記画像から前記印刷ジョブを生成する生成手段と、
を含む画像形成システム。
【請求項14】
前記画像形成手段は、前記印刷ジョブに含まれる画像のデータをラスタライズするために要する時間を予測し、当該予測された時間に基づいて、前記後処理の準備を継続するか否かを判断する制御手段をさらに有する、請求項13に記載の画像形成システム。
【請求項15】
前記制御手段は、前記予測されたラスタライズ処理時間と、前記後処理の準備が完了するまでの時間とを比較し、当該比較の結果に基づいて、前記後処理の準備を継続するか否かを判断する、請求項14に記載の画像形成システム。
【請求項16】
前記制御手段は、受信された異なる複数の前記印刷ジョブのうち、前記後処理を含まない、先行する当該印刷ジョブを処理するために要する時間を予測し、当該予測された時間に基づいて、前記後処理準備の開始を指示する、請求項13〜15のいずれか一項に記載の画像形成システム。
【請求項17】
前記制御手段は、前記先行印刷ジョブの処理時間と、前記後処理の準備が完了するまでの時間とを比較し、当該比較の結果に基づいて、前記後処理準備の開始を指示する、請求項16に記載の画像形成システム。
【請求項18】
前記制御手段は、前記後処理準備の開始が指示された後、前記印刷ジョブが所定時間内に受信されない場合、前記後処理の準備を中止させる、請求項13〜17のいずれか一項に記載の画像形成システム。
【請求項19】
前記後処理準備は、前記後処理に使用される接着剤を熱溶融する処理を含む請求項13〜18のいずれか一項に記載の画像形成システム。
【請求項20】
前記後処理装置は、前記印刷ジョブに基づいて印刷された印刷物の束の側面に、熱溶融される接着剤を塗布して表紙用の用紙でくるむ、くるみ製本処理を実行する請求項13〜19のいずれか一項に記載の画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−3734(P2013−3734A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132539(P2011−132539)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】