説明

プログラムの設定情報切替システム及び切替方法

【課題】テスト実施時にアプリケーションプログラムに手を加えることなく、その設定情報をテスト環境に適合させる。
【解決手段】コンピュータのメモリ空間65に設けられた上位クラスローダ77とWARクラスローダ80を備え、WARクラスローダ80内にはフレームワーク82と、アプリAの固有機能部83と、本番設定情報84が配置されており、フレームワーク82は上位クラスローダ77内に配置されたスイッチモジュール78の有無を確認する機能と、スイッチモジュール78が存在している場合にディスク領域64に格納された設定上書部用ライブラリ68を自己のWARクラスローダ80内にロードし、設定上書部88を生成する機能を備え、設定上書部88はディスク領域64に格納されたA用テスト設定ファイル69を自己のWARクラスローダ80内にロードし、A用テスト設定情報90によってA用本番用設定情報84を上書きする機能を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はプログラムの設定情報切替システム及び切替方法に係り、特に、テスト対象となるプログラムに手を加えることなく、その設定情報を本番用からテスト用に切り替える技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のクライアントとサーバを通信ネットワークで接続したオンラインシステムを通じて、クライアントに対して様々なサービスを提供する機会が増えてきている。
図21は、このようなオンラインシステムの一例を示すシステム構成図であり、オンラインシステム95は、Webブラウザプログラムを搭載したクライアント12と、PL(Presentation Logic)サーバ14と、複数のBL(Business Logic)サーバ16(第1のBLサーバ16a〜第3のBLサーバ16c)を備えている。クライアント12−PLサーバ14間、及びPLサーバ14−BLサーバ16間は、通信ネットワークを介して接続されている。
【0003】
PLサーバ14は、クライアント12からのリクエストデータ30を受け付けた後、担当のBLサーバ16に入力データを送信して処理を依頼すると共に、BLサーバ16から返された処理結果データ32をクライアントに送信するフロントエンドサーバとして機能する。
このためPLサーバ14は、画面制御部20と、ディスパッチエンジン21と、コネクタ22を備えている。
【0004】
画面制御部20は、画面遷移定義DB23を参照し、クライアント12に対して送信する画面(Htmlファイル)を生成する機能を果たす。
またディスパッチエンジン21は、ディスパッチ定義DB24を参照し、リクエストデータ30に対応したトランザクション及び担当BLサーバを特定する機能を果たす。
またコネクタ22は、各BLサーバ16が要求する固有の形式に入力データを変換すると共に、BLサーバ16から送信された処理結果データをPLサーバ14の標準形式に変換する機能を発揮する。このため、BLサーバ16毎に対応のデータ変換部(第1のBLサーバ用データ変換部22a〜第3のBLサーバ用データ変換部22c)が設けられている。
【0005】
各BLサーバ16は、PLサーバ14から受け取った入力データに基づき、直接または図示しないDBサーバを通じて間接的に管理しているデータベース28に対する検索、更新等の業務処理を実行するバックエンドサーバとして機能する。
【0006】
図21では、クライアント12から送信されたリクエストデータ30に含まれるデータ(1)を第1のBLサーバ16aに送信して所定のトランザクション処理を依頼し、その処理結果データであるデータ(2)を第2のBLサーバ16bに送信して所定のトランザクション処理を依頼し、その処理結果データであるデータ(3)を第3のBLサーバ16cに送信して所定のトランザクション処理を依頼し、その処理結果データであるデータ(4)を最終的な処理結果データ32としてクライアント12に送信するパターンが例示されている。
【0007】
このようなオンラインシステム95を構築するに際しては、各サーバに搭載された個々のアプリケーションプログラムの単体テストや結合テストが必要であることは勿論であるが、サービスのリリース前にはクライアント12と各サーバを通信ネットワークを介して接続した状態で、オンラインシステム全体の動作を検証する必要がある。
また、既存のオンラインシステムに新たな機能を追加したり、バグの修正を行った場合には、他の既存機能に悪影響(デグレード)が生じていないか等を確認する必要性が生じる。
【0008】
この所謂オンラインテストに際しては、予め準備された複数のシナリオに従ってオペレータがクライアント12から実際の入力を行い、システムによって提供される各種機能が正常に動作するか否かが検証される。そして、何らかの不具合が生じた場合には、少し前の地点に戻って入力をやり直し、問題箇所や原因を突き止める作業が繰り返される。
【0009】
大規模なオンラインシステムともなれば、多数のサーバの連携によって処理が実行されるため、必然的にテスト項目が多岐に亘り、また不具合が生じる可能性も増大する。この結果、全項目についての確認を完了するためには、多数のオペレータが何度も同じ入力を繰り返す必要が生じる。
このため、非特許文献1及び2に示すように、オペレータによる入力作業を軽減するためのツールが幾つか提案されている。
【非特許文献1】QuickTest ProfessionalインターネットURL:http://www.ashisuto.co.jp/prod/qtp/sum/index.html検索日:平成20年6月4日
【非特許文献2】SeleniumとはインターネットURL:http://www.thinkit.co.jp/free/article/0705/2/1/検索日:平成20年6月4日
【0010】
この種の入力支援ツールは、オペレータによる入力装置31からの入力操作と、表示装置33における表示画面を入力支援用DB96に逐一記録する機能を備えているため、オペレータが再入力することなく、同じリクエストデータ30をサーバ側に何度でも再投入することができると共に、新たな表示画面と前回の表示画面を比較し、両者が一致するか否かを判定することが可能となる。
また、各BLサーバ16が管理するデータベース28のバックアップを最初に1回だけとっておけば、これをベースにして任意の地点までの入力を再現することにより、当該地点におけるデータベース28の状態を復元することが可能となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、テストの実効性を担保するためには本番と同じ環境において実施することが望ましいが、既存システムに悪影響が生じる危険性があるため、通常は可能な限り本番に近い環境が準備され、その上でシステムの動作が検証される(非特許文献3参照)。
【非特許文献3】[テスト編]本番環境でいきなりテストしてはいけないインターネットURL: http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20070820/279935/検索日:平成20年6月24日
【0012】
このように、本番時とテスト時では環境(マシン構成やネットワーク構成、データベース構成等)に差異が生じるため、テスト時にはアプリケーションプログラムの設定情報をテスト環境に合わせて書き換え、テスト終了後には設定情報を本番用に戻す作業が不可欠であり、極めて煩雑であった。また、この書き換え作業中にバグが混入する危険性もあった。
【0013】
この発明は、従来の上記問題を解決するために案出されたものであり、テスト実施時にアプリケーションプログラム自体に一切の手を加えることなく、その設定情報をテスト環境に適合させることを可能とする技術の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載したプログラムの設定情報切替システムは、コンピュータのメモリ空間に設けられた上位クラスローダと、WARクラスローダとを備え、このWARクラスローダ内には、フレームワークと、アプリケーションプログラムの固有機能部と、このアプリケーションプログラムの本番設定情報が配置されており、上記フレームワークは、上位クラスローダ内に配置されたスイッチモジュールの有無を確認する機能と、上記スイッチモジュールが存在している場合に、コンピュータのディスク領域に格納された設定上書部用ライブラリを、自己のWARクラスローダ内にロードし、設定上書部を生成する機能を備え、この設定上書部は、コンピュータのディスク領域に格納されたテスト用設定ファイルを自己のWARクラスローダ内にロードし、当該ファイルに含まれるテスト設定情報によって上記本番用設定情報を上書きする機能を備えたことを特徴としている。
ここで「WAR」とは、「Web Application Archive」の略称であり、Java(登録商標)の動作環境であるJ2EE(Java 2 Enterprise Edition)仕様の下では、各アプリケーションプログラムはメモリ空間においてWARクラスローダ単位でJVM(Java Virtual Machine)に管理される。
これに対し「上位クラスローダ」とは、階層構造を備えたクラスローダの最上位に位置するクラスローダであり、メモリ空間に展開された全てのアプリケーションプログラムから参照可能となる。
【0015】
請求項2に記載したプログラムの設定情報切替システムは、請求項1のシステムであって、さらに上記設定上書部が、上記のテスト設定情報によって上記本番用設定情報を上書きする機能以外に、他の固有の処理(例えば、アプリケーションプログラム本来の機能を拡張・変更・修正等する処理)を実行する機能を備えていることを特徴としている。
【0016】
また、請求項3に記載したプログラムの設定情報切替方法は、コンピュータのメモリ空間に設けられた上位クラスローダに、スイッチモジュールを配置させるステップと、コンピュータのディスク領域に格納されたWARファイルをデプロイし、フレームワーク、アプリケーションプログラムの固有機能部、このアプリケーションプログラムの本番設定情報を備えたWARクラスローダを、上記メモリ空間内に生成するステップと、上記フレームワークが、上記上位クラスローダを参照し、スイッチモジュールの有無を確認するステップと、スイッチモジュールが存在している場合に、上記フレームワークが、コンピュータのディスク領域に格納された設定上書部用ライブラリを自己のWARクラスローダ内にロードし、設定上書部を生成するステップと、この設定上書部が、コンピュータのディスク領域に格納されたテスト用設定ファイルを自己のWARクラスローダ内にロードし、当該ファイルに含まれるテスト設定情報によって上記本番用設定情報を上書きするステップとからなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
この発明に係るプログラムの設定情報切替システム及び切替方法にあっては、WARクラスローダ内のフレームワークが上位クラスローダ内のスイッチモジュールの有無を確認し、スイッチモジュールが存在している場合には「テストモード」であることを認識し、ディスク上に格納された設定上書部用ライブラリを自己のWARクラスローダ内にロードして設定上書部を生成する。そして、この設定上書部がディスク上に格納されたテスト設定ファイルを自己のWARクラスローダ内にロードし、テスト設定情報によってWARクラスローダ内の本番設定情報を上書きする機能を発揮する。
このため、ディスク領域に格納されたアプリケーションプログラムには一切の手を加えることなく、アプリケーションプログラムをメモリ空間上においてテスト仕様に切り替えることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、この発明に係るプログラムの設定情報切替技術を適用したオンラインシステム10を示しており、Webブラウザプログラムを搭載したクライアント12と、PLサーバ14と、複数のBLサーバ16(第1のBLサーバ16a、第2のBLサーバ16b、第3のBLサーバ16c)と、テスト端末18を備えている。クライアント12−PLサーバ14間、PLサーバ14−BLサーバ16a〜16c間、PLサーバ14−テスト端末18間は、通信ネットワークを介して接続されている。
【0019】
PLサーバ14は、クライアント12からのリクエストデータ30を受け付け、当該リクエストを実現するのに必要なトランザクション及び担当のBLサーバ16を特定した後、担当のBLサーバ16に入力データ(引数)を送信して処理を依頼すると共に、BLサーバ16から返された最終的な処理結果データ32を含む画面をクライアント12に送信する、フロントエンドサーバとして機能する。
このためPLサーバ14は、画面制御部20と、ディスパッチエンジン21と、コネクタ22を備えている。
【0020】
画面制御部20は、画面遷移定義DB23を参照し、クライアント12に対して送信する画面(Htmlファイル)を生成する機能を主として果たす。
【0021】
ディスパッチエンジン21は、ディスパッチ定義DB24を参照し、クライアント12からのリクエストに対応したトランザクション及び担当のBLサーバ16を特定する機能を果たす。
また、ディスパッチエンジン21内には、テスト支援部25が生成されており、PLサーバ14のディスク内に設けられたテスト用DB26を管理している。このテスト支援部25の機能、及びその生成方法については後述する。
【0022】
コネクタ22は、各BLサーバ16が要求する固有のフォーマットに入力データを変換すると共に、BLサーバ16から送信された処理結果データをPLサーバ14の標準形式に変換する機能を発揮する。このため、BLサーバ16a〜16c毎に複数のデータ変換部(第1のBLサーバ用データ変換部22a〜第3のBLサーバ用データ変換部22c)が設けられている。
例えば、第1のBLサーバ16aがC言語に対応したTPモニタを搭載している場合、第1のBLサーバ用データ変換部22aは、TPモニタ向けのデータ変換機能を備える。また、第2のBLサーバがEJB(Enterprise Java Beans)コンテナを搭載している場合、第2のBLサーバ用データ変換部22bは、EJBコンテナ向けのデータ変換機能を備える。また、第3のBLサーバ16cがCOBOL言語に対応したDB/BCシステムを搭載している場合、第3のBLサーバ用データ変換部22cは、ホストOS向けのデータ変換機能を備える。
【0023】
BLサーバ16a〜16cは、PLサーバ14から受け取った入力データに基づき、直接または図示しないDBサーバを通じて間接的に管理しているデータベース28に対する検索、更新等の業務処理を実行するバックエンドサーバとして機能する。
【0024】
つぎに、図2のフローチャートに従い、このオンラインシステム10に対する初回ラン時の処理手順を説明する。
初回ラン時には、まずクライアント12からリクエストデータ30が送信される。例えば、オペレータがテストシナリオに従い、検索画面の入力欄に入力装置31を介して検索文字列を入力すると、クライアント12からPLサーバ14に対して、検索のリクエストID及び検索文字列を含んだリクエストデータ30が送信される。
【0025】
このリクエストデータ30を受信した画面制御部20は(S10)、当該リクエストデータ30に含まれているリクエストIDを取得する(S11)。つぎに画面制御部20は、画面遷移定義DB23を参照し、当該リクエストIDに対応したPLトランザクションIDを特定する(S12)。このPLトランザクションIDは、ディスパッチエンジン21に渡される。
【0026】
画面制御部20からPLトランザクションIDを受け取ったディスパッチエンジン21は、このPLトランザクションIDをキーにディスパッチ定義DB24を検索し、当該PLトランザクションIDに関連付けられたBEトランザクションIDを特定する(S13)。
【0027】
BEトランザクションIDは、特定のBLサーバに対する特定の処理(トランザクション)を規定するものであり、PLトランザクションIDには1または複数のBEトランザクションIDが処理の順番通りに関連付けられている。このため、ディスパッチエンジン21はPLトランザクションIDに基づいて複数のBEトランザクションIDを特定した時点で、今回のリクエストに応えるために必要なトランザクション、それぞれの担当BLサーバ16、トランザクションの順番等を認識することができる。
【0028】
ここでは、クライアント12から送信された検索文字列であるデータ(1)を第1のBLサーバ16aに送信して所定の検索処理を依頼し、その処理結果データであるデータ(2)を第2のBLサーバ16bに送信して所定の検索処理を依頼し、その処理結果データであるデータ(3)を第3のBLサーバ16cに送信して所定の検索処理を依頼し、その処理結果データであるデータ(4)を最終的な処理結果データ32としてクライアント12に送信する処理手順が、ディスパッチ定義DB24に規定されているものと想定する。
【0029】
この場合、まずディスパッチエンジン21は、データ(1)をコネクタ22の第1のBLサーバ用データ変換部22aに出力する。第1のBLサーバ用データ変換部22aは、このデータ(1)を第1のBLサーバ16a向けのデータ形式に変換した後、第1のBLサーバ16aに送信する(S14)。
【0030】
これと並行してテスト支援部25がデータ(1)を捕捉し、検索トランザクション及び第1のBLサーバ16aを特定する情報と関連付けてテスト用DB26に格納する(S15)。具体的には、図3に示すように、BEトランザクションID「111」のINデータ(=入力データ)の項目に、データ(1)が登録される。
この場合、BEトランザクションID「111」が、検索トランザクション及び第1のBLサーバ16aを特定する情報に該当する。
図示の通り、このテスト用DB26には、各トランザクション単位でリクエストID、PLトランザクションID、BEトランザクションIDからなる制御情報が格納されている。
【0031】
つぎに、第1のBLサーバ16aから処理結果データが返されると(S16)、第1のBLサーバ用データ変換部22aにおいてPLサーバ14向けの標準形式に変換された後(S17)、データ(2)としてディスパッチエンジン21に出力される。
【0032】
この際、テスト支援部25がデータ(2)を捕捉し、テスト用DB26に第1のBLサーバ16aからの検索トランザクションの処理結果データとして格納する(S18)。具体的には、BEトランザクションID「111」のOUTデータ(=処理結果データ)の項目に、データ(2)が登録される。
【0033】
つぎにディスパッチエンジン21は、上記のディスパッチ定義に従い、データ(2)をコネクタ22の第2のBLサーバ用データ変換部22bに出力する。第2のBLサーバ用データ変換部22bは、このデータ(2)を第2のBLサーバ16b向けのデータ形式に変換した後、第2のBLサーバ16bに送信する(S19)。
【0034】
同時に、テスト支援部25がデータ(2)を捕捉し、検索トランザクション及び第2のBLサーバ16bを特定する情報と関連付けてテスト用DB26に格納する(S20)。具体的には、BEトランザクションID「222」のINデータの項目に、データ(2)が登録される。
この場合、BEトランザクションID「222」が、検索トランザクション及び第2のBLサーバ16bを特定する情報に該当する。
【0035】
第2のBLサーバ16bから処理結果データが返されると(S21)、第2のBLサーバ用データ変換部22bにおいてPLサーバ14向けの標準形式に変換された後(S22)、データ(3)としてディスパッチエンジン21に出力される。
【0036】
この際、テスト支援部25がデータ(3)を捕捉し、テスト用DB26に第2のBLサーバ16bからの検索トランザクションの処理結果データとして格納する(S23)。具体的には、BEトランザクションID「222」のOUTデータの項目に、データ(3)が登録される。
【0037】
つぎにディスパッチエンジン21は、上記のディスパッチ定義に従い、データ(3)をコネクタ22の第3のBLサーバ用データ変換部22cに出力する。第3のBLサーバ用データ変換部22cは、このデータ(3)を第3のBLサーバ16c向けのデータ形式に変換した後、第3のBLサーバ16cに送信する(S24)。
【0038】
同時に、テスト支援部25がデータ(3)を捕捉し、検索トランザクション及び第3のBLサーバ16cを特定する情報と関連付けてテスト用DB26に格納する(S25)。具体的には、BEトランザクションID「333」のINデータの項目に、データ(3)が登録される。
この場合、BEトランザクションID「333」が、検索トランザクション及び第3のBLサーバ16cを特定する情報に該当する。
【0039】
第3のBLサーバ16cから処理結果データが返されると(S26)、第3のBLサーバ用データ変換部22cにおいてPLサーバ14向けの標準形式に変換された後(S27)、データ(4)としてディスパッチエンジン21に出力される。
【0040】
この際、テスト支援部25がデータ(4)を捕捉し、テスト用DB26に第3のBLサーバ16cからの処理結果データとして格納する(S28)。具体的には、BEトランザクションID「333」のOUTデータの項目に、データ(4)が登録される。
【0041】
このデータ(4)は、画面制御部20によって最終的なリクエストの処理結果データ32として処理結果表示画面中に埋め込まれ、クライアント12に送信される(S29)。
この結果、クライアント12の表示装置33上に処理結果データ32が表示される。
【0042】
以上のように、クライアント12から一つのリクエストデータ30が送信された場合、テスト支援部25の働きにより、テスト用DB26には第1のBLサーバ16a、第2のBLサーバ16b、第3のBLサーバ16cに係る入力データ及び処理結果データが、トランザクション単位で蓄積されることとなる。
【0043】
もちろん、複数のBLサーバ16に対して所定の処理を順番に依頼する場合に限られず、1つのBLサーバ16に対して複数の処理を連続して依頼する場合や、複数のBLサーバ16に対して同時並列的に複数の処理を依頼する場合にも、テスト支援部25によってトランザクション毎に入力データと処理結果データがテスト用DB26に記録されることとなる。
【0044】
つぎに、初回ランによって収集したトランザクション毎の入力データ及び処理結果データに基づいて、同様のテストを再ランする場合について説明する。
図4は、再ラン時におけるオンラインシステム10のシステム構成図であり、クライアント12や画面制御部20の関与なしに再ランが実行されることを表現している。
【0045】
以下、図5のフローチャートに従い、再ラン時の処理手順を説明する。
まず、テスト端末18からPLトランザクションID「1111」を特定した再ランの指示データが送信されると、これを受けたテスト支援部25は(S40)、再ランの実行範囲を特定する(S41)。ここで、PLトランザクションID「1111」はBEトランザクションID「111」〜「333」を包含する上位概念であるため、テスト支援部25は初回ランと同じ範囲で再ランを行うべきものと判断する。
【0046】
そこでテスト支援部25は、テスト用DB26からBEトランザクションID「111」の入力データであるデータ(1)を取り出し(S42)、ディスパッチエンジン21に渡す。
【0047】
ディスパッチエンジン21は、データ(1)をコネクタ22の第1のBLサーバ用データ変換部22aに出力する。第1のBLサーバ用データ変換部22aは、このデータ(1)を第1のBLサーバ16a向けのデータ形式に変換した後、第1のBLサーバに送信する(S43)。
【0048】
そして、第1のBLサーバ16aから処理結果データが返されると(S44)、第1のBLサーバ用データ変換部22aにおいてPLサーバ14向けの標準形式に変換された後(S45)、データ(2)'としてディスパッチエンジン21に出力される。
【0049】
このデータ(2)'は、テスト支援部25によって捕捉され、テスト用DB26に格納される(S46)。具体的には、図6に示すように、BEトランザクションID「111」の再ラン結果データの項目に、データ(2)'が登録される。
【0050】
つぎにテスト支援部25は、テスト用DB26からBEトランザクションID「222」の入力データであるデータ(2)を取り出し(S47)、ディスパッチエンジン21に渡す。
【0051】
ディスパッチエンジン21は、データ(2)をコネクタ22の第2のBLサーバ用データ変換部22bに出力する。第2のBLサーバ用データ変換部22bは、このデータ(2)を第2のBLサーバ16b向けのデータ形式に変換した後、第2のBLサーバ16bに送信する(S48)。
【0052】
そして、第2のBLサーバ16bから処理結果データが返されると(S49)、第2のBLサーバ用データ変換部22bにおいてPLサーバ14向けの標準形式に変換された後(S50)、データ(3)'としてディスパッチエンジン21に出力される。
【0053】
このデータ(3)'は、テスト支援部25によって捕捉され、テスト用DB26に格納される(S51)。具体的には、BEトランザクションID「222」の再ラン結果データの項目に、データ(3)'が登録される。
【0054】
つぎにテスト支援部25は、テスト用DB26からBEトランザクションID「333」のINデータであるデータ(3)を取り出し(S52)、ディスパッチエンジン21に渡す。
【0055】
ディスパッチエンジン21は、データ(3)をコネクタ22の第3のBLサーバ用データ変換部22cに出力する。第2のBLサーバ用データ変換部22cは、このデータ(3)を第3のBLサーバ16c向けのデータ形式に変換した後、第3のBLサーバ16cに送信する(S53)。
【0056】
そして、第3のBLサーバ16cから処理結果データが返されると(S54)、第3のBLサーバ用データ変換部22cにおいてPLサーバ14向けの標準形式に変換された後(S55)、データ(4)'としてディスパッチエンジン21に出力される。
【0057】
このデータ(4)'は、テスト支援部25によって捕捉され、テスト用DB26に格納される(S56)。具体的には、BEトランザクションID「333」の再ラン結果データの項目に、データ(4)'が登録される。
【0058】
つぎに、テスト支援部25はテスト用DB26に格納された初回ラン時の各BEトランザクションIDの処理結果データ(OUTデータ)と再ラン結果データとを比較し(S57)、その比較結果のリストをテスト端末18に送信する(S58)。
【0059】
例えば、バグの修正を行う前に初回ランを実行しておき、バグの修正後に再ランを行えば、バグの修正によって悪影響が生じているか否かを確認することができる。すなわち、比較結果リストが全て「一致」であれば問題ないが、「不一致」の場合にはデグレードが生じている可能性があるため、より細かいレベルでの再ランを行う必要がある。
【0060】
このテスト支援システムにおいては、トランザクション単位で個別に再ランを行うこともできる。
例えば、テスト端末18からBEトランザクションID「222」を指定した再ランの指示データが送信された場合、図7に示すように、テスト支援部25はテスト用DB26から「222」の入力データであるデータ(2)を取り出し、ディスパッチエンジン21に渡す。
【0061】
ディスパッチエンジン21は、データ(2)をコネクタ22の第2のBLサーバ用データ変換部22bに出力する。第2のBLサーバ用データ変換部22bは、データ(2)を第2のBLサーバ16b向けのデータ形式に変換した後、第2のBLサーバ16bに送信する。
【0062】
そして、第2のBLサーバ16bから処理結果データが返されると、第2のBLサーバ用データ変換部22bにおいてPLサーバ14向けの標準形式に変換された後、データ(3)'としてディスパッチエンジン21に出力される。
このデータ(3)'は、テスト支援部25によって捕捉され、テスト用DB26におけるBEトランザクションID「222」の再ラン結果データの項目に登録される。
【0063】
このように、トランザクション単位で再ランを実施し、初回ラン時の処理結果データと再ラン結果データとを比較することにより、リクエスト単位で入力データと処理結果データを比較する従来の入力支援ツールに比べ、よりきめ細かいレベルでBLサーバ16の動作を検証することが可能となる。
【0064】
また、このようにBLサーバ16のトランザクション単位での再ランが可能であることから、このテスト支援システムによれば、データベース28の状態もトランザクション単位で復元することが可能となる。
すなわち、各BLサーバ16が管理するデータベース28については、初回ランの直前にバックアップが取られているため、このバックアップされたデータに基づいて必要なトランザクションを順次実行することにより、各データベース28の更新具合をその都度確認することが可能となる。
【0065】
図8は、ある住所管理データベース28に対する更新状況を例示するものであり、トランザクションαによって「TEL」が更新され、トランザクションβによって「FAX」が、またトランザクションγによって「住所」が更新される仕組みである場合、トランザクションα〜γを順にワンステップずつ再ランさせることにより、データベース28が(イ)→(ロ)→(ハ)→(ニ)と更新されてきた様子を個別に確認することができる。
【0066】
これに対し、従来の入力支援ツールを用いた場合は、リクエスト単位でしか再ランが実施できず、BLサーバ16のトランザクション単位で再ランを実施することができなかったため、データベース28の(イ)と(ハ)の状態のみを比較するしかなく、途中の(ロ)地点、(ハ)地点の状態を確認することはできなかった。
【0067】
ところで、オンラインシステムにおいては、同一のデータベースに対して複数のクライアントが同時にアクセスし、相互に矛盾した更新処理が実行されることを防止する目的で、「楽観的排他ロック」と称する機能が一般に設けられている。
【0068】
図9は、この楽観的排他ロックの仕組みを説明するための図であり、データベース28の各レコードには「最終更新日時」のデータ項目42が設けられている。
ここで、図9(a)に示すように、クライアント12から「社員ID=001」を指定した検索リクエストデータ30が送信されると、PLサーバ14経由でこれを受け取ったBLサーバ16は、データベース28から検索条件にマッチしたレコードを抽出し、PLサーバ14経由でクライアント12に検索処理結果データ32を送信することとなるが、この検索処理結果データ32には「更新日時」のデータ項目43が設けられており、データベース28の「最終更新日時」の値である「05/24/10:00」が充填されている。
【0069】
そして、同クライアント12から「社員ID=001」のレコードについての更新リクエストデータが送信される場合には、このデータにも上記の「更新日時」が引き継がれることとなる。
例えば、図9(b)に示すように、5月24日の14:00にクライアント12から同社員の所属を「営業部」から「総務部」に変更する内容の更新リクエストデータ30が送信される場合、「05/24/10:00」のデータが付加されている。
【0070】
この更新リクエストデータ30を受信したBLサーバ16は、その更新日時とデータベース28に格納された対応レコードの最終更新日時を比較し、両者が一致していることを確認した上で、当該レコードへの更新を実行する。この際、当該レコードの最終更新日時は「05/24/14:00」に更新される。また、クライアント12に対しては更新処理結果データ32が送信されるが、このデータの更新日時には最新の「05/24/14:00」が記録される。
【0071】
これに対し、更新リクエストデータ30の更新日時とデータベース28側の最終更新日時が一致しない場合には、その間に他のクライアントによって当該レコードに更新がなされたことを意味しているため、BLサーバ16からクライアント12に対してエラーメッセージが送信され、データの更新が拒絶されることとなる。
【0072】
以上のように、楽観的排他ロック機構を備えることにより、オンラインシステムに含まれるデータベースに矛盾が生じることを有効に抑えることが可能となる。
しかしながら、この楽観的排他ロック機構を備えたオンラインシステムにこのテスト支援システムをそのまま適用すると再ラン時に問題が生じるため、これを回避するための仕組みを講じておく必要がある。以下において、この問題とその回避方法について説明する。
【0073】
まず、図10は初回ラン時の手順を示すものであり、図10(a)に示すように、05/24/14:00の時点でクライアント12から(A)の更新リクエストデータ(更新日時:05/24/10:00)が送信されると、PLサーバ14経由でこれを受け取ったBLサーバ16は、当該更新リクエストデータ(A)の更新日時とデータベース28側の最終更新日時と比較し、両者が一致していることを確認した後、所属を「営業部」から「総務部」に変更する更新処理を実行する。この際、当該レコードの最終更新日時も「05/24/14:00」に更新される。
【0074】
同時に、BLサーバ16からクライアント12に対しては、PLサーバ14経由で更新処理結果データ(B)が送信される。この更新処理結果データ(B)の更新日時にも、最終更新日時である「05/24/14:00」が記録されている。
この間、テスト用DB26には、テスト支援部25(図示省略)によって更新リクエストデータ(A)及び更新処理結果データ(B)が格納される。
【0075】
つぎに、図10(b)に示すように、05/24/16:00の時点でクライアント12から(C)の更新リクエストデータ(更新日時:05/24/14:00)が送信されると、BLサーバ16は当該更新リクエストデータ(C)の更新日時とデータベース28側の最終更新日時と比較し、両者が一致していることを確認した後、所属を「総務部」から「法務部」に変更する更新処理を実行する。この際、当該レコードの最終更新日時も「05/24/16:00」に更新される。
【0076】
同時に、BLサーバ16からクライアント12に対しては、PLサーバ14経由で更新処理結果データ(D)が送信される。この更新結果データ(D)の更新日時にも、最終更新日時である「05/24/16:00」が記録されている。
この間、テスト用DB26には、テスト支援部25によって更新リクエストデータ(C)及び更新結果データ(D)が格納される。
【0077】
つぎに、図11は再ラン時の手順を示すものであり、図11(a)に示すように、05/24/21:00の時点でPLサーバ14から(A)の更新リクエストデータ(更新日時:05/24/10:00)が送信されると、BLサーバ16は当該更新リクエストデータ(A)の更新日時とデータベース28側の最終更新日時と比較する。再ラン時には、初回ランの直前にバックアップされたデータが用いられるため、両日時は当然に一致することから、BLサーバ16は所属を「営業部」から「総務部」に変更する更新処理を実行する。この際、当該レコードの最終更新日時は現在時刻の「05/24/21:00」に更新される。
【0078】
同時に、BLサーバ16からPLサーバ14に対しては、更新処理結果データ(B)'が送信される。この更新処理結果データ(B)'の更新日時にも、最終更新日時である「05/24/21:00」が記録されている。
この間、テスト用DB26には、テスト支援部25によって更新結果データ(B)'が格納される。
【0079】
つぎに、図11(b)に示すように、05/24/23:00の時点でPLサーバ14から(C)の更新リクエストデータ(更新日時:05/24/14:00)が送信されると、BLサーバ16は当該更新リクエストデータ(C)の更新日時とデータベース28側の最終更新日時と比較する。この場合には更新日時が不一致となるため、BLサーバ16からPLサーバ14に対してエラーメッセージが送信され、データベース28の更新処理は当然ながら拒絶されることとなる。
この間、テスト用DB26には、テスト支援部25によってエラーメッセージ(D)'が再ラン結果データとして記録される。
【0080】
以上を要するに、楽観的排他ロック機構の下においてこのテスト支援システム10をそのまま適用すると、以下の問題が生じる。
(1)初回ラン時にテスト用DB26格納された入力データの更新日時と、再ラン時にBLサーバ16によって更新されたデータベースの最終更新日時とが不一致となるため、楽観的排他ロックが発動され、再ラン結果データがエラーとなる。
(2)再ラン結果データの更新日時には再ラン時の現在日時が付与されるため、各トランザクションの処理結果データと再ラン結果データを比較する際に、更新日時の不一致を理由に「比較結果=不一致」と判定されてしまう。
そこで、このテスト支援システムは、更新日時に関して「引継ぎ」及び「マスキング」という手法を適用することにより、上記の問題を解消している。
【0081】
まず「引継ぎ」とは、図12(a)に示すように、BLサーバ16によって再ラン結果データ(B)'に付与された更新日時「05/24/21:00」を用いて、後続トランザクションの入力データ(C)に対して初回ラン時に付与された「05/24/14:00」の更新日時を上書きした後、BLサーバ16に送信する手法を意味する。この更新日時の引継ぎは、テスト支援部25によって実行される。
【0082】
この結果、更新リクエストデータ(C)の更新日時とデータベース28側の最終更新日時とが一致することとなり、社員ID=001の所属を「総務部」から「法務部」に変更する更新処理が、BLサーバ16において正しく実行されることとなる。
また、BLサーバ16からPLサーバ14に対しては、更新結果データ(D)'が送信される。この更新結果データ(D)'の更新日時には、最終更新日時である「05/24/23:00」が記録されている。この更新結果データ(D)'は、テスト支援部25によってテスト用DB26の再ラン結果データ項目に登録される。
【0083】
つぎに「マスキング」とは、図13(a)に示すように、テスト用DB26に格納された処理結果データ(B)と再ラン結果データ(B)'をそのまま比較すると、更新日時が異なるために全体が不一致と判定されてしまう場合に、図13(b)に示すように、両データの更新日時にマスク処理を施した上で比較する手法を意味する。具体的には、両データの更新日時を共通の文字列「***」等に置き換えることが該当する。
このマスク処理も、テスト支援部25によって実行される。
【0084】
この結果、楽観的排他ロックのために便宜的に付与される更新日時項目の値の不一致によって、残りの実質的なデータ項目の値に変更がない場合であっても全体が不一致と判定されてしまう不都合を回避可能となる。
図示は省略したが、処理結果データ(D)と再ラン結果データ(D)'との比較時にも、それぞれの更新日時にはマスク処理が施される。
【0085】
テスト支援部25は、上記の通り、ディスパッチエンジン21内に組み込まれ、ディスパッチエンジン21を通過するデータを捕捉してテスト用DB26に格納する機能、再ラン時にテスト用DB26から必要なデータを取り出してディスパッチエンジン21に渡し、所定のBLサーバ16への送信を依頼する機能、BLサーバ16から送信されたデータを捕捉してテスト用DB26に格納すると共に、初回ラン時のデータと比較する機能を発揮するが、テスト終了後の本番時においては全く不要となる。
このため、ディスパッチエンジン21用のアプリケーション内にテスト支援部25用のコードを予め組み込んでおくのは好ましくない。
また、本番時とテスト時とではマシン構成や回線容量等の環境が異なる場合が多いため、通常はテスト終了後にアプリケーションの設定を本番用に書き換えることが行われているが、この際にバグが混入する危険性があった。
【0086】
そこでこのシステム10では、テスト対象となるディスパッチエンジン21用のアプリケーションプログラム自体には手を加えることなく、その機能を拡張するテスト支援部25をテスト時にのみ外部からディスパッチエンジン21内に組み込むと共に、外部に配置されたテスト用の設定情報を反映させる仕組みを採用している。
【0087】
図14は、この仕組みを説明するための模式図であり、PLサーバ14のディスク領域50には、ディスパッチエンジン用実行ファイル51と、テスト支援部用ライブラリ52と、テスト設定ファイル53が格納されている。ディスパッチエンジン用実行ファイル51には、本番設定ファイル54が含まれている。
【0088】
また、PLサーバ14のメモリ空間56には、上位クラスローダ57が設けられており、この上位クラスローダ57内に予めスイッチモジュール58が配置されている。
この上位クラスローダ57は、Java(登録商標)の動作環境であるJ2EE(Java 2 Enterprise Edition)の仕様に基づいて実現されるものであり、この上位クラスローダ57内に配置されたモジュールは、メモリ空間56に展開された全てのアプリケーションから参照できるという特徴を備えている。
このスイッチモジュール58は、スイッチ用ライブラリ55を予めPLサーバ14の所定のディレクトリに格納しておくことで、JVM(Java Virtual Machine)の起動時に上位クラスローダ57内に自動的に配置される。
【0089】
つぎに、図15のフローチャートに従い、テスト支援部25の組込及びテスト設定情報の反映手順について説明する。
まず、ディスパッチエンジン用実行ファイル51を起動させ、メモリ空間56のWARクラスローダ59内にフレームワーク60、固有機能部61、本番設定情報62を配置させる(S51)。J2EEの環境下においては、各WebアプリケーションはWARクラスローダ単位で管理される。
【0090】
つぎに、フレームワーク60が上位クラスローダ57内にスイッチモジュール58が存在しているか否かをチェックする(S52)。
ここで、スイッチモジュール58が存在している場合(S53/YES)、フレームワーク60はテストモードであると認識し、テスト支援部用ライブラリ52を自己のWARクラスローダ59内にロードし(S54)、テスト支援部25を生成する。
【0091】
このテスト支援部25は、PLサーバ14のディスク領域50から対応のテスト設定ファイル53を自己のWARクラスローダ59内にロードし(S55)、当該テスト設定ファイル53中のテスト設定情報によって本番設定情報62を上書きする(S56)。
【0092】
以上の結果、図16(b)に示すように、メモリ空間のWARクラスローダ59内には、ディスパッチエンジン固有の機能を担当する固有機能部61とフレームワーク60の他に、テスト支援部25が組み込まれると共に、本番用の設定情報62がテスト設定情報63に切り替えられることとなる。
【0093】
オンラインテストが完了し本番環境に移行する際には、上位クラスローダ57内にスイッチモジュール58を敢えて配置しないようにするだけで、S54〜S56の処理がスキップされる。この結果、図16(a)に示すように、WARクラスローダ59内にはフレームワーク60と固有機能部61及び本番設定情報62が配置され、テスト支援部25及びテスト設定情報63は存在しない。すなわち、ディスパッチエンジン用実行ファイル51(Webアプリケーション)に手を加えることなく、ディスパッチエンジン21を本番仕様に切り替えることが可能となる。
【0094】
上記においては、PLサーバ14のディスパッチエンジン21内にテスト支援部25を組み込んだ際に、このテスト支援部25によって本番設定情報62がテスト設定情報によって上書きされる例を説明したが、EJBコンテナを搭載した第2のBLサーバ16bについても同様に、本番設定情報をテスト設定情報で上書きした上でテストを実施することができる。
【0095】
図17は、第2のBLサーバ16bのディスク領域64及びメモリ空間65を示す模式図であり、第2のBLサーバ16bのディスク領域64には、EAR(Enterprise Archive)ファイル66と、スイッチ用ライブラリ67と、設定上書部用ライブラリ68と、A用テスト設定ファイル69と、B用テスト設定ファイル70が格納されている。
【0096】
EARファイル66は、Webアプリケーションプログラム(以下「Webアプリ」)A71及びWebアプリA用本番設定ファイル72が格納された第1のWARファイル73と、WebアプリB74及びWebアプリB用本番設定ファイル75が格納された第2のWARファイル76とを含み、ZIP形式で圧縮されたJ2EEコンテナである。
そして、この第2のBLサーバ16bは、WebアプリA及びWebアプリBに基づいて固有のサービスを提供するものである。
【0097】
第2のBLサーバ16bのメモリ空間65には、上位クラスローダ77が設けられており、この上位クラスローダ77内に予めスイッチモジュール78が配置されている。
このスイッチモジュール78は、スイッチ用のライブラリ67を予め第2のBLサーバ16bの所定のディレクトリに格納しておくことで、JVM(Java Virtual Machine)の起動時に上位クラスローダ77内に自動的に配置される。
【0098】
つぎに、図18のフローチャートに従い、テスト設定情報の反映手順について説明する。
まず、EARファイル66をデプロイし、メモリ空間65内にEARクラスローダ79、第1のWARクラスローダ80、第2のWARクラスローダ81を生成する(S61)。この段階では、第1のWARクラスローダ80内には、フレームワーク82、アプリAの固有機能部83、A用本番設定情報84が配置されている。また、第2のWARクラスローダ81内には、フレームワーク85、アプリBの固有機能部86、B用本番設定情報87が配置されている。
【0099】
つぎに、フレームワーク82,85がEARクラスローダ79を介して上位クラスローダ77内にスイッチモジュール78が存在しているか否かをチェックする(S62)。
ここで、スイッチモジュール78が存在している場合(S63/YES)、フレームワーク82,85はテストモードであると認識し、設定上書部用ライブラリ68を自己のWARクラスローダ80,81内にロードし(S64)、設定上書部88,89を生成する。
【0100】
各設定上書部88,89は、それぞれディスク領域64から対応のテスト設定ファイル69,70を自己のWARクラスローダ80,81内にロードし(S65)、WARクラスローダ80,81内に配置された本番設定情報84,87をテスト設定情報で上書きする(S66)。
【0101】
以上の結果、図19に示すように、メモリ空間65の第1のWARクラスローダ80内には、WebアプリA固有の機能を担当する固有機能部83とフレームワーク82の他に、設定上書部88が組み込まれると共に、本番設定情報84がテスト設定情報90に切り替えられている。同様に、メモリ空間65の第2のWARクラスローダ81内には、WebアプリB固有の機能を担当する固有機能部86とフレームワーク85の他に、設定上書部89が組み込まれると共に、本番設定情報87がテスト設定情報91に切り替えられている。
【0102】
オンラインテストが完了し本番環境に移行する際には、上位クラスローダ77内にスイッチモジュール78を敢えて配置しないようにするだけで、S64〜S66の処理がスキップされる。この結果、図20に示すように、第1のWARクラスローダ80内にはフレームワーク82と固有機能部83及び本番設定情報84のみが配置される。同様に、第2のWARクラスローダ81内にはフレームワーク85と固有機能部86及び本番設定情報87のみが配置される。
【0103】
もちろん、予めテスト設定ファイルとWebアプリを組み合わせたWARファイルを生成しておけば、Webアプリをテスト環境に適合させること自体は可能であるが、テスト終了後に当該Webアプリと対応の本番設定ファイルを組み合わせて本番用のWARファイルを生成する手間が生じ、その過程で人為的なミスが発生する危険性がある。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】この発明に係るプログラムの設定情報切替方法を適用したオンラインシステムの構成を示すシステム構成図である。
【図2】オンラインテストの初回ラン時における処理手順を示すフローチャートである。
【図3】テスト用DBのデータ項目例を示す説明図である。
【図4】テスト支援システムの再ラン時における構成を示すシステム構成図である。
【図5】オンラインテストの再ラン時における処理手順を示すフローチャートである。
【図6】テスト用DBのデータ項目例を示す説明図である。
【図7】テスト支援システムにおける再ランの要領を示す概念図である。
【図8】テスト支援システムの再ラン時にBLサーバのデータベースがトランザクション単位で更新される様子を示す説明図である。
【図9】楽観的排他ロックの一般的な仕組みを説明する模式図である。
【図10】このテスト支援システムにおいて楽観的排他ロックを動作させた場合の問題点を示す模式図である。
【図11】このテスト支援システムにおいて楽観的排他ロックを動作させた場合の問題点を示す模式図である。
【図12】テスト支援システムにおいて楽観的排他ロックを動作させた場合の問題点を回避する方法を示す模式図である。
【図13】テスト支援システムにおいて楽観的排他ロックを動作させた場合の問題点を回避する方法を示す模式図である。
【図14】ディスパッチエンジンにオンライン支援部を組み込みテスト用の設定を施す際の要領を示す模式図である。
【図15】ディスパッチエンジンにオンライン支援部を組み込みテスト用の設定を施す際の手順を示すフローチャートである。
【図16】ディスパッチエンジンをテストモードと本番モードとの間でスイッチ可能としたことを示す説明図である。
【図17】第2のBLサーバに搭載されたWebアプリの設定情報をテスト用の設定情報で上書きする際の要領を示す模式図である。
【図18】第2のBLサーバに搭載されたWebアプリの設定情報をテスト用の設定情報で上書きする際の手順を示すフローチャートである。
【図19】テスト実施中の第2のBLサーバの構成を示す模式図である。
【図20】本番稼働中の第2のBLサーバの構成を示す模式図である。
【図21】従来のオンラインシステムの一例を示すシステム構成図である。
【符号の説明】
【0105】
10 オンラインシステム
12 クライアント
14 PLサーバ
16 BLサーバ
16a 第1のBLサーバ
16b 第2のBLサーバ
16c 第3のBLサーバ
18 テスト端末
20 画面制御部
21 ディスパッチエンジン
22 コネクタ
22a 第1のBLサーバ用データ変換部
22b 第2のBLサーバ用データ変換部
22c 第3のBLサーバ用データ変換部
25 テスト支援部
26 テスト用データベース
28 データベース
30 リクエストデータ
31 入力装置
32 処理結果データ
33 表示装置
42 「最終更新日時」のデータ項目
43 「更新日時」データ項目
50 PLサーバのディスク領域
51 ディスパッチエンジン用実行ファイル
52 テスト支援部用ライブラリ
53 テスト設定ファイル
54 本番設定ファイル
55 スイッチ用ライブラリ
56 PLサーバのメモリ空間
57 上位クラスローダ
58 スイッチモジュール
59 WARクラスローダ
60 フレームワーク
61 固有機能部
62 本番設定情報
63 テスト設定情報
64 ディスク領域
65 メモリ空間
66 EARファイル
67 スイッチ用ライブラリ
68 設定上書部用ライブラリ
69 A用テスト設定ファイル
70 B用テスト設定ファイル
72 A用本番設定ファイル
73 第1のWARファイル
75 B用本番設定ファイル
76 第2のWARファイル
77 上位クラスローダ
78 スイッチモジュール
79 EARクラスローダ
80 第1のWARクラスローダ
81 第2のWARクラスローダ
82 フレームワーク
83 アプリAの固有機能部
84 A用本番設定情報
85 フレームワーク
86 アプリBの固有機能部
87 B用本番設定情報
88 設定上書部
89 設定上書部
90 A用テスト設定情報
91 B用テスト設定情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータのメモリ空間に設けられた上位クラスローダと、WARクラスローダとを備え、
このWARクラスローダ内には、フレームワークと、アプリケーションプログラムの固有機能部と、このアプリケーションプログラムの本番設定情報が配置されており、
上記フレームワークは、上位クラスローダ内に配置されたスイッチモジュールの有無を確認する機能と、
上記スイッチモジュールが存在している場合に、コンピュータのディスク領域に格納された設定上書部用ライブラリを、自己のWARクラスローダ内にロードし、設定上書部を生成する機能を備え、
この設定上書部は、コンピュータのディスク領域に格納されたテスト用設定ファイルを自己のWARクラスローダ内にロードし、当該ファイルに含まれるテスト設定情報によって上記本番用設定情報を上書きする機能を備えたことを特徴とするプログラムの設定情報切替システム。
【請求項2】
上記設定上書部が、上記のテスト設定情報によって上記本番用設定情報を上書きする機能以外に、他の固有の処理を実行する機能を備えていることを特徴とする請求項1に記載のプログラムの設定情報切替システム。
【請求項3】
コンピュータのメモリ空間に設けられた上位クラスローダに、スイッチモジュールを配置させるステップと、
コンピュータのディスク領域に格納されたWARファイルをデプロイし、フレームワーク、アプリケーションプログラムの固有機能部、このアプリケーションプログラムの本番設定情報を備えたWARクラスローダを、上記メモリ空間内に生成するステップと、
上記フレームワークが、上記上位クラスローダを参照し、スイッチモジュールの有無を確認するステップと、
スイッチモジュールが存在している場合に、上記フレームワークが、コンピュータのディスク領域に格納された設定上書部用ライブラリを自己のWARクラスローダ内にロードし、設定上書部を生成するステップと、
この設定上書部が、コンピュータのディスク領域に格納されたテスト用設定ファイルを自己のWARクラスローダ内にロードし、当該ファイルに含まれるテスト設定情報によって上記本番用設定情報を上書きするステップと、
からなることを特徴とするプログラムの設定情報切替方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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