説明

プログラムストリームを増強する方法

本発明は、プログラムストリームを含む連続ブロックと、インターリーブされたプログラムストリームを含むインターリーブド・ブロックとを含むコンテンツであって、それらのプログラムストリームが、プログラム単位に分割されており、かつ互いに独立に読取可能であり、連続したインターリーブド・ブロックの発生が禁止されているコンテンツを、増強する方法を提案する。本発明によれば、増強プログラムストリームの各プログラム単位は、オリジナルのプログラムストリームの1つのプログラム単位と関連付けられ、増強プログラム単位が、その増強プログラム単位が関連付けられたオリジナルのプログラム単位の可能な限り近くに配されるように、増強プログラムストリームは、プログラム単位レベルでコンテンツ内にインターリーブされ、かつ、連続したインターリーブド・ブロックの発生が禁止され、オリジナルのプログラム単位は、そのオリジナルのプログラム単位が関連付けられた増強プログラム単位を指し示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オリジナルのプログラムストリームの少なくとも1つと関連付けられた、少なくとも1つの増強プログラムストリームを追加することにより、それらオリジナルのプログラムストリームを含むコンテンツを増強する方法に関するものである。
【0002】
本発明はまた、そのような方法を実行するための命令を含むコンピュータプログラム、およびそのようなプログラムの実行を意図したオーサリングシステムにも関するものである。
【0003】
本発明はさらに、上記のような方法を適用することにより得られる信号、およびそのような信号を記憶したデータ担体にも関するものである。
【0004】
本発明はまた、上記のような信号を読み取る装置にも関するものである。
【0005】
本発明は、とりわけ、読出専用ディスクに関するDVD仕様、第3部:ビデオ仕様、バージョン1.1(DVD Specifications for Read−Only Disk、part3 Video Specifications、version1.1)、1997年12月(以下の説明では、単にDVD仕様と呼ぶ)に準拠するコンテンツに適用される。
【0006】
たとえば、本発明は、高精細のビデオコンテンツを提供するために、ビデオコンテンツを増強することを可能とする。
【背景技術】
【0007】
DVD仕様では、オーディオ、ビデオ、副映像、およびナビゲーションデータの複数の基本ストリームが、パックレベルで多重化されて、1つのプログラムストリームが形成される(DVD仕様においては、VOB(Video Object;ビデオオブジェクト)と呼ばれている)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
DVD仕様に準拠する増強されたコンテンツを生成するための1つの解決策は、増強基本ストリームを、パックレベルで上記の基本ストリームと多重化することである。
【0009】
基本ストリームはパックレベルで多重化されるので、再生装置が、それら基本ストリームの一部のみを読み取ることは不可能である。
【0010】
したがって、上記のような解決策を用いた場合、基本ストリームの多重分離および回復を達成するためには、再生装置は、増強されたプログラムストリームをなす全データを読み取らなくてはならない。このことは、DVDに準拠した任意の再生装置により読取可能となるためには、増強されたプログラムストリームは、DVD仕様において規定されている転送レートの制約(連続ストリームについては表5−2、インターリーブされたストリームについては付録K)に準拠しなくてはならないことを意味する。
【0011】
結果として、10.8Mbpsの上限(DVD仕様の表5−2で規定されている)を超えることはできない。
【0012】
本発明の1つの目的は、DVDに準拠した任意の再生装置による読取りを許容しながら、この上限を超えることを可能とする解決策を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的は、請求項1から3に記載されたコンテンツを増強する方法、そのような方法を実行するための命令を含む請求項4に記載されたプログラム、請求項5に記載されたオーサリングツール、請求項6ならびに8に記載されたデータ担体、請求項7ならびに9に記載された信号、および請求項10に記載された信号を読み取る装置によって達成される。
【0014】
本発明は、プログラムストリームを含む連続ブロックと、インターリーブされたプログラムストリームを含むインターリーブド・ブロックとを含むコンテンツであって、それらのプログラムストリームが、プログラム単位に分割されており、かつ互いに独立に読取可能であり、連続したインターリーブド・ブロックの発生が禁止されている、任意のコンテンツに適用される。
【0015】
本発明によれば、
− 増強プログラムストリームの各プログラム単位は、オリジナルのプログラムストリームの1つのプログラム単位と関連付けられ、
− 増強プログラム単位が、その増強プログラム単位が関連付けられたオリジナルのプログラム単位の可能な限り近くに配されるように、増強プログラムストリームは、プログラム単位レベルでコンテンツ内にインターリーブされ、かつ、連続したインターリーブド・ブロックの発生が禁止され、
− オリジナルのプログラム単位は、そのオリジナルのプログラム単位が関連付けられた増強プログラム単位を指し示す。
【0016】
本発明は、連続したインターリーブド・ブロックの発生を回避しながら、1つ以上の増強プログラムストリームの形式で、増強データをコンテンツ内に導入することを可能とする。
【0017】
増強プログラムストリームは、プログラム単位のレベルにおいて、オリジナルのプログラムストリームとインターリーブされるので、再生装置が、読取時において、それらの増強プログラムストリームをスキップすることも可能である。
【0018】
したがって、再生装置は、オリジナルのプログラムストリームのみを読み取ることもできるし、オリジナルのプログラムストリームと増強プログラムストリームとの両方を読み取ることもできる。
【0019】
その結果、10.8Mbpsの転送レートの上限に準拠することは、もはや必要でなくなる。10.8Mbpsよりも高い転送レートを達成することのできない再生装置は、依然としてオリジナルのコンテンツを取得することができる。より高い転送レートを達成できるより最近の再生装置は、オリジナルのコンテンツと増強コンテンツとの両方を取得することができるようになる。
【0020】
換言すれば、本発明は、より高い転送レートを達成することのできない既存の再生装置との互換性を維持しながら、10.8Mbpsの上限を超えることを可能とする。
【0021】
請求項2に記載された特徴は、より少量のメモリを必要とし、再生の実行を簡単にするので、有利である。
【0022】
請求項3の特徴は、バッファリングされるべきデータの量を最小とするので有利であり、特に、増強プログラム単位が、関連付けられたオリジナルのプログラム単位よりも先に読み取られる(したがって、関連付けられたオリジナルのプログラム単位が読み取られるまでバッファリングされていなくてはならない)場合に有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、上記およびその他の本発明の特徴を、図面を参照して説明する。
【0024】
以下に説明する実施形態は、DVD仕様に関するものであるが、これは本発明を限定するものではない。本発明は、連続したインターリーブド・ブロックの発生が回避されなくてはならない類似の連続/インターリーブ構造を有する、他のタイプのコンテンツにも適用される。
【0025】
DVD仕様においては、プログラムストリームはビデオオブジェクト(Video Object;VOB)と呼ばれており、プログラム単位はビデオオブジェクト単位(Video Object Unit;VOBU)と呼ばれている。
【0026】
DVD仕様によれば、コンテンツは、連続ブロックとインターリーブド・ブロックとを含む。1つの連続ブロック内には、ビデオオブジェクト単位が連続的に記憶されている。
【0027】
図1は、2つの連続ブロックCBiおよびCBjの例を示している。連続ブロックCBiは、M個のビデオオブジェクト単位(i,1)、・・・、(i,M)を含む、1つのビデオオブジェクトVOBiを含んでいる。連続ブロックCBjは、P個のビデオオブジェクト単位(j,1)、・・・、(j,P)を含む、1つのビデオオブジェクトVOBjを含んでいる。ビデオオブジェクトVOBiおよびVOBjをなすビデオオブジェクト単位は、1つずつ連続して記憶されている。
【0028】
1つのインターリーブド・ブロック内においては、ビデオオブジェクトは、インターリーブ単位(ILVU)と呼ばれる領域に分割されており、それらのビデオオブジェクトは、インターリーブ単位のレベルにおいてインターリーブされている。DVD仕様によれば、1つのインターリーブ単位は、1つ以上のビデオオブジェクト単位(VOBUと呼ばれる)を含むことができる。以下の説明では、簡単のため、1つのみのビデオオブジェクト単位を含むインターリーブ単位を考えることとする。
【0029】
図2は、2つのビデオオブジェクトVOBkおよびVOBlを含む、インターリーブド・ブロックILの一例を示している。ビデオオブジェクトVOBkおよびVOBlは、それぞれM個のビデオオブジェクト単位(k,x)および(l,x)を含んでいる(x=1からM)。ビデオオブジェクト単位(l,x)は、ビデオオブジェクト単位(k,x)の直後に記憶されている。
【0030】
インターリーブド・ブロック内においては、読取装置は、読取りを要さないデータをスキップしながら、データを連続的に読み取る。たとえば、図2において、矢印Jは、読取装置がビデオオブジェクト単位(l,x)をスキップしていることを示している。実際には、インターリーブされたビデオオブジェクトのビデオオブジェクト単位は、読取ポインタと呼ばれるポインタを含んでおり、このポインタが、1つのビデオオブジェクト単位から次のビデオオブジェクト単位へのスキップを可能とするように、同一のビデオオブジェクト中の次のビデオオブジェクト単位を指し示している。その結果、ビデオオブジェクトの互いに独立した読取りが可能となる。
【0031】
DVD仕様のK5節において示されているように、コンテンツの切れ目のない再生を実現するためには、連続したインターリーブド・ブロックの発生が回避されなくてはならない。これは、2つのインターリーブド・ブロックが、少なくとも1つの連続ブロックによって分離されていなくてはならないことを意味する。
【0032】
図3は、1つのビデオオブジェクト単位の構造を示した図である。図3に表されているように、1つのビデオオブジェクト単位VOBUは、ナビゲーションパックNと、オーディオパックAと、ビデオパックVと、副映像パックSPとを含む、多重化された複数のパックを含んでいる。
【0033】
本発明は、1つ以上の増強ビデオオブジェクトをコンテンツに追加することにより、コンテンツの増強に取り組むものである。各増強ビデオオブジェクトは、1つのオリジナルのビデオオブジェクトと関連付けられている。増強されたコンテンツの再生の際には、オリジナルのビデオオブジェクトと、関連付けられた増強ビデオオブジェクトとの両方が、取得されなくてはならない。再生が遅くなることを回避するためには、増強情報は、その情報が関連付けられたオリジナルの情報の十分近くに、記憶されなくてはならない。このことは、増強ビデオオブジェクトを、関連付けられたオリジナルのビデオオブジェクトが属するオリジナルのブロック内に、インターリーブすることによって実現される。
【0034】
そのため、オリジナルの連続ブロックは、インターリーブド・ブロックへと変換される。このことは、図4に示されている。図4には、M個のオリジナルのビデオオブジェクト単位U、・・・、Uに分割された1つのビデオオブジェクトを含む、連続ブロックCBが表されている。増強ビデオオブジェクト単位H_U(i=1、・・・、M)が、オリジナルのビデオオブジェクト単位U、・・・、Uの各々と関連付けられている。増強ビデオオブジェクト単位H_U、・・・、H_Uは、オリジナルのビデオオブジェクト単位U、・・・、Uとインターリーブされる。結果として得られるブロックILは、インターリーブド・ブロックである。
【0035】
オリジナルの連続ブロックが、オリジナルのコンテンツ内においてインターリーブド・ブロックに隣接している場合には、オリジナルの連続ブロックをインターリーブド・ブロックに変換することは、増強されたコンテンツ内における連続したインターリーブド・ブロックの発生をもたらす。図5は、そのような状況の一例を示した図である。図5は、3つのブロックのシーケンスS1を示している。このシーケンスS1は、インターリーブド・ブロックIL1、それに続く連続ブロックCB2、およびそれに続くインターリーブド・ブロックIL3を含んでいる。増強後には、このシーケンスは、3つの連続したインターリーブド・ブロックIL1’、IL2’、およびIL3’を含むシーケンスS1’に変換される。
【0036】
本発明は、連続したインターリーブド・ブロックの発生を回避しながら、上記のようなコンテンツをインターリーブを通じて増強する方法を提案するものである。図6は、本発明に従う1つのコンテンツ増強方法の各工程を表したブロック図である。オリジナルのコンテンツは、ブロックごとに処理される。図6を参照して以下に説明するアルゴリズムは、現在処理されるべきブロック(B)を中心として置かれた、3ブロックのスライド窓[Bi−1;B;Bi+1]を用いている。窓の1番目のブロック(Bi−1)は、アルゴリズムの1つ前の繰返し処理において処理されたブロックである。窓の3番目のブロック(Bi+1)は、アルゴリズムの次の繰返し処理において処理されるブロックである。現在の繰返し処理は、中心ブロックBの増強を取り扱う。図6では、オリジナルのコンテンツは、Q個のブロックを含むものである(すなわちiが1からQまで変化する)と仮定されている。アルゴリズムの各繰返し処理iに対して、以下の各工程が実行される。
【0037】
ステップK0では、オリジナルのブロックBが増強されるべきものであるか否かがチェックされる。オリジナルのブロックBが増強されるべきものである場合には(矢印Y)、ステップK1が実行される。オリジナルのブロックBが増強されるべきものでない場合には(矢印N)、ステップK11が実行される。
【0038】
ステップK1では、処理されるべきオリジナルのブロックBが、連続ブロックであるか否かがチェックされる。Bが連続ブロックである場合(B=CB)には、ステップK2が実行される。Bがインターリーブド・ブロックである場合(B=IL)には、ステップK9が実行される。
【0039】
ステップK2では、オリジナルのブロックB内への増強ビデオオブジェクトのインターリーブが、コンテンツ内における連続したインターリーブド・ブロックの発生をもたらす(Bi−1および/またはBi+1がインターリーブド・ブロックである場合に相当)か否かがチェックされる。もたらす場合には(矢印Y)、ステップK3が実行され、もたらさない場合には(矢印N)、ステップK9が実行される。
【0040】
ステップK3では、オリジナルのブロックBが、メインブロックMBと、1つの前方分離ブロックSB1(Bi−1がインターリーブド・ブロックである場合)および/または1つの後方分離ブロックSB2(Bi+1がインターリーブド・ブロックである場合)とに分割される。ステップK3の後には、ステップK4が実行される。
【0041】
ステップK4では、
− メインブロックMBのオリジナルのビデオオブジェクト単位と関連付けられた増強ビデオオブジェクト単位(H_MB)があれば、その増強ビデオオブジェクト単位(H_MB)を、メインブロック内にインターリーブし、それにより、連続メインブロックMBを、インターリーブド・メインブロックMB’に変換し、
− 連続分離ブロック(SB1/SB2)のオリジナルのビデオオブジェクト単位と関連付けられた増強ビデオオブジェクト単位(H_SB1/H_SB2)があれば、その増強ビデオオブジェクト単位(H_SB1/H_SB2)を、その連続分離ブロックに隣接するインターリーブド・ブロック内にインターリーブし(すなわち、H_SB1の場合はIL1’またはMB’のいずれかの中にインターリーブし、H_SB2の場合はMB’またはIL2’のいずれかの中にインターリーブする)、
− 分離ブロックSB1/SB2を変更せずにそのままとし、それらの分離ブロックSB1/SB2を、インターリーブド・ブロックMB’と、先行する/後続するインターリーブド・ブロックとの間を分離するものとして用いることにより、増強が実現される。
【0042】
ステップK9では、増強ビデオオブジェクトが、オリジナルのブロックB内にインターリーブされ、それによりインターリーブド・ブロックB’が生成される。ステップK4およびステップK9の後には、ステップK10が実行される。
【0043】
ステップK10では、オリジナルのプログラム単位中に、ポインタPT_Hが追加される。このポインタPT_Hは、関連付けられた増強プログラム単位を指し示すものである。
【0044】
ステップK11では、添数iが増分させられ、アルゴリズムの次の繰返し処理が開始される。
【0045】
ここで、この方法は、オリジナルのブロックをなす1つ以上のビデオオブジェクトの増強に、適用可能である点に留意されたい。
【0046】
以下、図6に示された方法を、2つの例を用いてさらに説明する。
【0047】
図7では、スライド窓W1内において、
− 1番目のブロックBi−1は、2つのオリジナルのビデオオブジェクトIL1_1およびIL1_2と、関連付けられた2つの増強ビデオオブジェクトH_IL1_1およびH_IL1_2とを含み、これらのビデオオブジェクトがIL1_1/H_IL1_1/IL1_2/H_IL1_2の順番でインターリーブされている、インターリーブド・ブロック(IL1)であり、
− 2番目のブロックBは連続ブロック(CB2)であり、
− 3番目のブロックBi+1は、2つのオリジナルのビデオオブジェクトIL3_1およびIL3_2を含むインターリーブド・ブロック(IL3)であると仮定されている。
【0048】
本発明に従い、連続ブロックCB2は、3つの連続ブロック、すなわち、前方分離ブロックCB2aと、メインブロックCB2bと、後方分離ブロックCB2cとに分割される。CB2bは、H_CB2bにより増強される。
【0049】
本発明のこの方法の第1の実装形態(P1)では、増強ビデオオブジェクトH_CB2aおよびH_CB2cは、連続分離ブロックに先行するインターリーブド・ブロック内にインターリーブされる。すなわち、
− H_CB2aがIL1内にインターリーブされ、それにより、インターリーブされたビデオオブジェクトIL1_1/H_IL1_1/IL1_2/H_IL1_2/H_CB2aを含む、新たなインターリーブド・ブロックIL1’が生成され、
− H_CB2cがCB2bおよびH_CB2bとインターリーブされ、それにより、インターリーブされたビデオオブジェクトCB2b/H_CB2b/H_CB2cを含む、インターリーブド・ブロックCB2’が生成される。前方分離ブロックCB2aは、インターリーブド・ブロックIL1’とCB2’との間に挿入される。後方分離ブロックCB2cは、CB2’の後に追加される。
【0050】
本発明のこの方法の第2の実装形態(P2)では、増強ビデオオブジェクトH_CB2aおよびH_CB2cは、連続分離ブロックに後続するインターリーブド・ブロック内にインターリーブされる。すなわち、
− インターリーブド・ブロックIL1は、変更されずにそのままとされ、
− H_CB2aがCB2bおよびH_CB2bとインターリーブされ、それにより、インターリーブされたビデオオブジェクトH_CB2a/CB2b/H_CB2bを含む、インターリーブド・ブロックCB2’’が生成され、
− H_CB2cがブロックIL3の開始点にインターリーブされ、それにより、インターリーブされたビデオオブジェクトH_CB2c/IL3_1/IL3_2を含む、新たなインターリーブド・ブロックIL3’が生成される。
【0051】
いずれの場合においても、時間シーケンスは維持される。
【0052】
図8では、スライド窓W2内において、
− 1番目のブロックBi−1は、2つのオリジナルのビデオオブジェクトIL1_1およびIL1_2と、関連付けられた2つの増強ビデオオブジェクトH_IL1_1およびH_IL1_2とを含み、これらのビデオオブジェクトがIL1_1/H_IL1_1/IL1_2/H_IL1_2の順番でインターリーブされている、インターリーブド・ブロック(IL1)であり、
− 2番目のブロックBは連続ブロック(CB2)であり、
− 3番目のブロックBi+1は連続ブロック(CB3)であると仮定されている。
【0053】
本発明に従い、連続ブロックCB2は、2つの連続ブロック、すなわち、前方分離ブロックCB2aと、メインブロックCB2bとに分割される。CB2bは、H_CB2bにより増強される。
【0054】
本発明のこの方法の第1の実装形態(P1’)では、増強ビデオオブジェクトH_CB2aは、連続前方分離ブロックに先行するインターリーブド・ブロック内にインターリーブされる。すなわち、
− H_CB2aがBi−1内にインターリーブされ、それにより、インターリーブされたビデオオブジェクトIL1_1/H_IL1_1/IL1_2/H_IL1_2/H_CB2aを含む、新たなインターリーブド・ブロックIL1’が生成され、
− インターリーブド・ブロックCB2’が、インターリーブされたビデオオブジェクトCB2b/H_CB2bを含む。前方分離ブロックCB2aは、インターリーブド・ブロックIL1’とCB2’との間に挿入される。後方分離ブロックCB2cは、CB2’の後に追加される。
【0055】
本発明のこの方法の第2の実装形態(P2’)では、増強ビデオオブジェクトH_CB2aは、連続前方分離ブロックに後続するインターリーブド・ブロック内にインターリーブされる。すなわち、
− インターリーブド・ブロックIL1は、変更されずにそのままとされ、
− H_CB2aがCB2bおよびH_CB2bとインターリーブされ、それにより、インターリーブされたビデオオブジェクトH_CB2a/CB2b/H_CB2bを含む、インターリーブド・ブロックCB2’’が生成される。
【0056】
連続ブロックは、ビデオオブジェクト単位のレベルにおいて分割される。
【0057】
上記の本発明の第1の実装形態は、より少量のメモリを必要とし、かつ再生の実施を簡単にするので有利である。この第1の実装形態では、増強データは、それら増強データが関連付けられた分離ブロックの前方に記憶される。したがって、最小限のサイズの分離ブロックを用いることが有利である。DVD仕様によれば、分離ブロックは、インターリーブド・ブロックに先行するものなので、プリユニット(Pre−unit;PREU)を含んでいなくてはならない。プリユニットの最小限のサイズは、1.5秒分のビデオに対応する(DVD仕様の第2.4.67節参照)。
【0058】
図9には、ある再生装置10が示されている。図9の再生装置は、データ担体(この例ではビデオディスク13)に記憶されたビデオ信号12を読み出すように設計されている。DVD仕様によれば、ビデオ信号は、ナビゲーションデータと呼ばれる再生制御データ(図9のN_data)と、プレゼンテーションデータと呼ばれる再生されるべきデータ(図9のP_data)とを含んでいる。再生装置10は、ナビゲーションマネージャ30と、プレゼンテーションエンジン35とを含んでいる。プレゼンテーションエンジン35は、ディスク13からのプレゼンテーションデータP_dataを再生するために、ナビゲーションマネージャ30より発せられた命令32に従う。
【0059】
プレゼンテーションエンジンは、プレゼンテーションデータをディスクから読み出すための光学ヘッド40と、ディスプレイ49上に表示されるべき信号を出力するようにプレゼンテーションデータを処理するソフトウェアおよびマイクロプロセッサから構成された、処理ユニット45とを含んでいる。
【0060】
ビデオオブジェクトを取り出す際、従来型の再生装置は、そのビデオオブジェクトに含まれているかもしれない増強ポインタPT_Hを考慮に入れない。
【0061】
本発明に係る再生装置は、オリジナルのビデオオブジェクト単位内に含まれている増強ポインタPH_Tを読み取って、関連付けられた増強ビデオオブジェクト単位を取得するように、特に設計されている。その後、オリジナルのビデオオブジェクト単位および関連付けられた増強ビデオオブジェクト単位は、表示されるべき増強された信号を送出するように、共に処理される。これらの動作は、処理ユニット45により実行される特定のソフトウェアによって実行される。
【0062】
図10は、本発明に従う1つのオーサリングシステムを示している。図10のオーサリングシステムは、本発明に従う増強方法を実行するための命令を含むソフトウェアSFTが記憶されたソフトウェアメモリ手段50と、オリジナルのコンテンツP_Sおよび増強データH_P_Sを記憶するためのコンテンツ記憶手段52と、オリジナルのコンテンツP_Sを増強データH_P_Sで増強し、増強されたコンテンツP_S’を送出するように、ソフトウェアSFTを実行する処理手段54とを含んでいる。
【0063】
上記に説明した増強方法、オーサリングシステム、データ担体、信号、および読取装置については、本発明の範囲から逸脱することなく、多くの変更形態および改善形態が提案可能である。したがって、本発明は、上記の各例に限定されるものではない。
【0064】
「含む」または「備える」との語は、特許請求の範囲に列挙された以外の他の要素または工程の存在を排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】連続ブロックの構造を示す模式図
【図2】インターリーブド・ブロックの構造を示す模式図
【図3】DVD仕様に準拠するプログラム単位の模式図
【図4】本発明に係る増強されたコンテンツの一例の模式図
【図5】連続したインターリーブド・ブロックの発生をもたらす、連続ブロックの増強を示す模式図
【図6】本発明に従う、コンテンツを増強する1つの方法のブロック図
【図7】本発明に係る方法の第1の適用例を示した図
【図8】本発明に係る方法の第2の適用例を示した図
【図9】本発明に従う1つの読取装置のブロック図
【図10】本発明に従う1つのオーサリングシステムのブロック図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プログラムストリームを含む連続ブロックと、インターリーブされたプログラムストリームを含むインターリーブド・ブロックとを含むコンテンツを、増強する方法であって、前記プログラムストリームが互いに独立に読取可能であり、前記コンテンツ内においては連続したインターリーブド・ブロックの発生が一切禁止されており、当該方法が、前記コンテンツのオリジナルのブロックの少なくとも1つのオリジナルのプログラムストリームに関連付けられた、少なくとも1つの増強プログラムストリームをインターリーブするように、該オリジナルのブロックを処理する処理工程を含み、前記オリジナルのプログラムストリームがオリジナルのプログラム単位を含んでおり、前記増強プログラムストリームが増強プログラム単位を含んでおり、1つのオリジナルのプログラム単位が1つの増強プログラム単位と関連付けられており、前記処理工程が、
a)前記オリジナルのブロックが連続ブロックであれば、
− 該オリジナルのブロック内への前記増強プログラムストリームのインターリーブが、前記コンテンツ内における連続したインターリーブド・ブロックの発生をもたらすか否かをチェックする工程を含み、該連続したインターリーブド・ブロックの発生をもたらすのであれば、
− 該オリジナルの連続ブロックを、メインブロックと、少なくとも1つの連続分離ブロックとに分割する工程と、
− 前記連続分離ブロックを用いて、前記連続したインターリーブド・ブロックを分離する工程と、
− 前記メインブロックの前記オリジナルのプログラム単位と関連付けられた増強プログラム単位があれば、該関連付けられた増強プログラム単位を、該メインブロック内にインターリーブする工程と、
− 連続分離ブロックの前記オリジナルのプログラム単位と関連付けられた増強プログラム単位があれば、該関連付けられた増強プログラム単位を、該連続分離ブロックに隣接するインターリーブド・ブロック内にインターリーブする工程とを含み、
b)前記連続したインターリーブド・ブロックの発生をもたらさないのであれば、前記増強プログラムストリームを、前記オリジナルのブロック内にインターリーブする工程を含み、かつ
c)前記オリジナルのプログラム単位と関連付けられた前記増強プログラム単位を指し示すポインタを、該オリジナルのプログラム単位に追加する工程を含むことを特徴とするコンテンツを増強する方法。
【請求項2】
連続分離ブロックの前記オリジナルのプログラム単位と関連付けられた前記増強プログラム単位が、該連続分離ブロックに先行する前記インターリーブド・ブロック内にインターリーブされることを特徴とする請求項1記載のコンテンツを増強する方法。
【請求項3】
前記分離ブロックが、該連続分離ブロックが許容可能な最小限のサイズを有することとなるような個数のオリジナルのプログラム単位を含むことを特徴とする請求項1記載のコンテンツを増強する方法。
【請求項4】
マイクロプロセッサによって実行された際に、請求項1から3いずれか1項記載のコンテンツを増強する方法を実行するための命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項5】
請求項1から3いずれか1項記載の方法であって、少なくとも1つの増強プログラムストリームでオリジナルのコンテンツを増強する方法を実行するための命令を含むプログラムを記憶するための記憶手段と、該プログラムを実行して増強されたコンテンツを提供するための処理手段とを含むことを特徴とするオーサリングシステム。
【請求項6】
請求項1から3いずれか1項記載のコンテンツを増強する方法を適用することにより得られる、増強された信号を記憶したデータ担体。
【請求項7】
請求項1から3いずれか1項記載のコンテンツを増強する方法を適用することにより得られる増強された信号。
【請求項8】
− プログラムストリームを含む連続ブロックと、インターリーブされたプログラムストリームを含むインターリーブド・ブロックと、
− 前記インターリーブド・ブロックに含まれる増強されたインターリーブド・ブロックであって、オリジナルのプログラム単位を含む少なくとも1つのオリジナルのプログラムストリームと、増強プログラム単位を含む関連付けられた増強プログラムストリームとを含み、前記オリジナルのプログラム単位の各々が、該オリジナルのプログラム単位と関連付けられた前記増強プログラム単位を指し示すポインタを含んでいる、増強されたインターリーブド・ブロックと、
− 前記連続ブロックに含まれ、先行するインターリーブド・ブロックと後続するインターリーブド・ブロックとを分離する分離ブロックであって、当該分離ブロックが、オリジナルのプログラムストリームの1つ以上のオリジナルのプログラム単位を含み、前記先行するインターリーブド・ブロックと前記後続するインターリーブド・ブロックとのうちの1つが、前記オリジナルのプログラム単位と関連付けられた1つ以上の増強プログラム単位を含んでおり、前記オリジナルのプログラム単位の各々が、該オリジナルのプログラム単位と関連付けられた前記増強プログラム単位を指し示すポインタを含んでいる、分離ブロックとを含むことを特徴とする信号を記憶したデータ担体。
【請求項9】
− プログラムストリームを含む連続ブロックと、インターリーブされたプログラムストリームを含むインターリーブド・ブロックと、
− 前記インターリーブド・ブロックに含まれる増強されたインターリーブド・ブロックであって、オリジナルのプログラム単位を含む少なくとも1つのオリジナルのプログラムストリームと、増強プログラム単位を含む関連付けられた増強プログラムストリームとを含み、前記オリジナルのプログラム単位の各々が、該オリジナルのプログラム単位と関連付けられた前記増強プログラム単位を指し示すポインタを含んでいる、増強されたインターリーブド・ブロックと、
− 前記連続ブロックに含まれ、先行するインターリーブド・ブロックと後続するインターリーブド・ブロックとを分離する分離ブロックであって、当該分離ブロックが、オリジナルのプログラムストリームの1つ以上のオリジナルのプログラム単位を含み、前記先行するインターリーブド・ブロックと前記後続するインターリーブド・ブロックとのうちの1つが、前記オリジナルのプログラム単位と関連付けられた1つ以上の増強プログラム単位を含んでおり、前記オリジナルのプログラム単位の各々が、該オリジナルのプログラム単位と関連付けられた前記増強プログラム単位を指し示すポインタを含んでいる、分離ブロックとを含むことを特徴とする信号。
【請求項10】
オリジナルのプログラム単位と、該オリジナルのプログラム単位と関連付けられた増強プログラム単位とを含む信号を読み取るための装置であって、前記オリジナルのプログラム単位の各々が、該オリジナルのプログラム単位と関連付けられた前記増強プログラム単位を指し示すポインタを含んでおり、当該装置が、前記ポインタを介してオリジナルのプログラム単位と関連付けられた前記増強プログラム単位を取得し、該オリジナルのプログラム単位を、増強されたコンテンツを与える目的で、関連付けられた前記増強プログラム単位と共に処理するように設計されていることを特徴とする装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公表番号】特表2006−509407(P2006−509407A)
【公表日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−556653(P2004−556653)
【出願日】平成15年11月26日(2003.11.26)
【国際出願番号】PCT/IB2003/005444
【国際公開番号】WO2004/052014
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】