説明

プログラム作成用プログラム及びプログラム作成方法

【課題】複数の制御対象のそれぞれの動作を複数の制御部によって制御するための制御プログラムを簡便に作成することができるプログラム作成方法を提供する。
【解決手段】音楽データ作成ツールを使用して、演奏される音を示す音情報TN、NTに制御対象を設定し、演奏方法を示す演奏情報VVに制御対象の動作を示す動作情報を設定し、演奏タイミング情報DIに動作タミングを設定することにより、動作単位毎の音楽データを作成し、作成された音楽データを、複数の制御対象を制御する複数の制御部STS、SAS、CNS、HSSが認識可能なデータ形式に変換し、複数の制御部STS、SAS、CNS、HSSに共通の時間軸に従って制御部毎に記述する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の制御対象を複数の制御部によって制御する制御システムのための制御プログラムを作成するプログラム作成用プログラム及びプログラム作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特定の制御対象の動作を制御するために制御内容が制御手順に従って羅列された制御プログラムとして、例えば、工作機械システム分野におけるNCプログラムが知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、複数の制御部のそれぞれが複数の制御対象の動作を制御する制御システムにおいて、各制御対象に制御システム全体として調和性や同期性のある動作を行わせたい場合、制御対象毎に動作内容及び動作タイミングを制御プログラムに記述しなければならない。このような記述作業は煩雑であり、特に制御対象の数が多い場合や、各制御対象の動作の切り替えが複雑な場合に多大な労力が要求される。また、例えば、少なくとも1つの演出要素を制御する制御部が複数備えられたショー制御システムにおいて、所定のショーを演出するために複数の演出要素を制御する制御プログラムにおいては、各演出要素の動作の調和性や同期性が重要となる。
【0004】
そこで、本発明は、複数の制御部のそれぞれが複数の制御対象を制御する制御システムにおいて、各制御対象の動作が制御されるための制御プログラムを簡便に作成することができるプログラム作成用プログラム及びプログラム作成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の手段により上述した課題を解決する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0006】
本発明のプログラム作成用プログラムは、少なくとも1つの制御対象の動作を制御する制御部(STS、SAS、CNS、HSS)が複数備えられた制御システム(G)における複数の制御対象のそれぞれを制御するための制御プログラム(400)を、前記制御対象を識別するための対象識別情報は音を特定する音情報(TN、NT)として設定され、前記各制御対象の動作を指示する動作情報は音の演奏方法を示す演奏情報(SB、VV)として設定され、前記制御対象が動作するタイミングを示す動作タイミング情報は音を演奏するタイミングを示す演奏タイミング情報(DI)として設定されることにより、前記各制御対象の動作単位に、前記対象識別情報と前記動作情報と前記動作タイミング情報とが対応付けられている音楽データに基づいて作成するプログラム作成用プログラムであって、前記動作タイミング情報を参照して、その動作タイミング情報に対応する動作が行われるタイミングを、前記複数の制御部に共通の時間軸におけるタイミングである共通タイミングに換算し、前記対象識別情報及び前記動作情報から、前記複数の制御部が前記制御対象及び制御すべき動作を認識可能なシステム用データ形式のシステム用制御情報(420)を作成し、前記共通の時間軸に従って、前記各制御対象のシステム用制御情報を記述することにより、上記の課題を解決する。
【0007】
本発明のプログラム作成用プログラムによれば、音情報として設定された対象識別情報と演奏情報として設定された動作情報と演奏タイミング情報として設定された動作タイミング情報とが対応付けられた音楽データから、制御部が制御対象及び動作内容を認識可能なデータ形式のシステム用制御情報を作成し、制御システム内で共通の時間軸に従ってシステム用制御情報を配列する。これにより、制御プログラムには共通の時間軸に従って制御システム内の全ての制御対象の動作を制御するための記述がされている。従って、作成される制御プログラムは、制御システム内で統一のプログラムである。各制御部では作成された制御プログラムを読んで、自己が制御する制御対象についてのシステム用制御情報にのみ従って処理すればよい。
【0008】
本発明における音楽データは市販のMIDIシーケンサーやその他音楽用シーケンサープログラムによって作成すればよい。音楽データは、MIDI規格に基づいたMIDIデータ等、音情報と演奏情報と演奏タイミングとが対応付けられたデータ形式であれば種類を問わない。市販の音楽用シーケンサープログラムを利用すれば、音楽データのデータ構造を知らない者であっても容易に音楽データを作成することができる。従って、制御対象の動作及び動作タイミングの対応付けは音楽用シーケンサープログラムによって容易に設定することができる。しかも、各制御対象の動作関係も音楽用シーケンサープログラムが提供するグラフィカルな設定入力画面を使用すれば容易に判断可能である。従って、本発明のプログラム作成用プログラムによって、複数の制御部のそれぞれが複数の制御対象を制御する制御システムにおいて、複数の制御対象のそれぞれの動作が制御されるための制御プログラムを簡便に作成することができる。
【0009】
複数の制御部に共通の時間軸とは、複数の制御部に共通する時間の流れの概念であればよく、例えば、日常生活における時間軸でもよいし、複数の制御部に共通する所定のタイミングを始点とする時間軸でもよい。「共通する所定のタイミング」には、例えば、制御システムが所定の状態になったタイミングがある。例えば本発明における音楽データがMIDIデータの場合、その動作タイミング情報は直前のイベントを基準とする相対的な時間を示すデルタタイム形式で設定されるが、本発明のプログラム作成用プログラムはこれを共通の時間軸に基づいた共通タイミングに換算する。また、例えば本発明における音楽データが例えばMIDIデータの場合、演奏情報はイベント及びベロシティ値を含む概念である。
【0010】
前記音情報は音色情報と音高情報とで構成され、前記制御対象を制御する制御部を識別するための装置識別情報が前記対象識別情報の一部として前記音色情報に含まれ、前記音楽データの前記音色情報に含まれる装置識別情報を参照することにより、前記システム用制御情報を前記制御部毎にまとめて記述してもよい。これにより、制御部の数や制御対象の数が多い場合であっても、制御プログラムには各制御対象に関するシステム用制御情報が制御部毎にまとめて記述されているので、各制御部における処理が容易になる。例えば本発明における音楽データがMIDIデータの場合、音色情報に対応するデータはチャンネルであってもよいしトラック名であってもよい。
【0011】
前記音楽データはMIDIデータであり、前記動作情報は、イベントがノートオンのベロシティ値として設定されてもよい。これにより、音楽データとしてのMIDIデータ作成時にはノートオンのみを指定すればよく、動作情報の内容とベロシティ値とを対応付ければよい。従って、動作情報と演奏情報との対応付けが容易である。また、音楽データ作成用ツールとしてのMIDIシーケンサーは多くの種類が一般的に市販されており、入手が非常に容易である。なお、MIDIデータの規格は問わない。
【0012】
前記制御システムは複数のゲーム機(ST、SA、CN)を備えたゲームシステムであり、前記複数の制御部のそれぞれは前記複数のゲーム機のそれぞれのゲーム用制御部であってもよい。これにより、本発明をゲームシステムに適用することができる。
【0013】
前記ゲームシステムは、前記複数のゲーム機のいずれかにおいて所定の条件が満たされると、所定時間のショータイムが設けられ、前記動作情報は前記制御対象が前記ショータイムを演出するための動作に関する情報であり、前記共通の時間軸は前記ショータイムの開始を始点とする時間軸であってもよい。これにより、各制御対象をゲームシステム内で実施されるショータイムにおける演出要素として制御することができる。演出要素としての制御対象には、例えば、ゲーム機に備えられた電飾ランプ、可動部を駆動するモータ系、ゲーム機のモニタに表示される画像データ等がある。動作情報には、複数色を表現可能な制御対象に対しては色情報を含み、可動する制御対象に対しては動作の速度情報を含む。
【0014】
本発明のプログラム作成方法は、演奏される音を示す音情報(TN、NT)と、音の演奏方法を示す演奏情報(SB、VV)と、音を演奏するタイミングを示す演奏タイミング情報(DI)とが対応付けられて構成される音楽データを作成する音楽データ作成ツールを使用して、少なくとも1つの制御対象の動作を制御する制御部(STS、SAS、CNS、HSS)が複数備えられた制御システム(G)における複数の制御対象を制御するための制御プログラム(400)を作成するためのプログラム作成方法であって、前記制御対象を識別するための対象識別情報を前記音情報として設定し、前記各制御対象の動作を指示する動作情報を前記演奏情報として設定し、前記制御対象が動作するタイミングを示す動作タイミング情報を前記演奏タイミング情報として設定することにより、前記各制御対象の動作単位に、前記対象識別情報と前記動作情報と前記動作タイミング情報とが対応付けられた音楽データを音楽データ作成ツールによって作成する作成手順と、前記作成手順によって作成された音楽データを前記複数の制御部が認識可能なデータ形式に変換する変換手順とを有し、前記変換手順では、前記動作タイミング情報を参照して、その動作タイミング情報に対応する動作が行われるタイミングを、前記複数の制御部に共通の時間軸におけるタイミングである共通タイミングに換算し、前記対象識別情報及び前記動作情報から、前記複数の制御部が前記制御対象及び制御すべき動作を認識可能なシステム用データ形式のシステム用制御情報を作成し、前記共通の時間軸に従って、前記各制御対象のシステム用制御情報を記述することにより、上記の課題を解決する。
【0015】
本発明のプログラム作成方法によれば、音楽データ作成ツールを使用して、制御対象の対象識別情報を音情報として設定し、動作情報を演奏情報として設定し、動作タイミング情報を演奏タミング情報として設定することにより、対象識別情報と演奏情報と演奏タイミング情報とが対応付けられた音楽データを作成し、この音楽データのデータから、制御部が制御対象及び動作内容を認識可能なデータ形式のシステム用制御情報を作成し、制御システム内で共通の時間軸に従ってシステム用制御情報を配列することにより、制御プログラムを作成する。これにより、制御プログラムには、制御システム内の全ての制御対象の動作を制御するためのシステム用制御情報が、共通の時間軸に従って記述されている。従って、作成される制御プログラムは、制御システム内で統一のプログラムである。各制御部では作成された制御プログラムを読んで、自己が制御する制御対象についてのシステム用制御情報にのみ従って処理すればよい。
【0016】
音楽データ作成ツールは、例えば市販のMIDIシーケンサーやその他の音楽用シーケンサープログラムによって作成すればよい。市販の音楽用シーケンサープログラムを使用すれば、音楽データのデータ構造を知らない者であっても容易に本発明の音楽データを作成することができる。従って、制御対象の動作及び動作タイミングの対応付けは音楽用シーケンサープログラムによって容易に設定することができる。しかも、各制御対象の動作関係も音楽用シーケンサープログラムが提供するグラフィカルな設定入力画面を使用すれば容易に判断可能である。従って、本発明のプログラム作成方法によって、複数の制御対象のそれぞれの動作が制御されるための制御プログラムを簡便に作成することができる。なお、共通の時間軸及び演奏情報が示す概念、並びに音楽データの概念については本発明のプログラム作成用プログラムと同様である。
【発明の効果】
【0017】
上述したように、本発明によれば、制御対象を示す対象識別情報と動作を示す動作情報と動作タイミング情報とを対応付けた音楽データを、動作タイミング情報を複数の制御部に共通の時間軸に基づいた共通タイミングに換算し、対象識別情報及び動作情報を制御対象及びその動作を制御部が認識可能なデータ形式に変換してシステム用制御情報とし、共通タイミングの流れに従って各制御対象のシステム用制御情報を記述することにより、複数の制御部のそれぞれが複数の制御対象を制御する制御システムにおいて、制御プログラムを簡便に作成することができるプログラム作成用プログラム等を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は本発明の制御システムとしてのゲームシステムGの外観を示す俯瞰図である。ゲームシステムGの中心にはセンターユニットCNが設けられ、センターユニットCNの周囲には4台のサテライトSAが配置され、各サテライトSAの周囲にはステーションSTが4台ずつ配置されている。
【0019】
センターユニットCNには回転可能なグランドルーレットGR及び各種画像が表示されるセンターモニタCMが備えられている。サテライトSAには後述のボールによる抽選が行われるビンゴステージBSが備えられている。ビンゴステージBSには15個の入賞スポットWPが設けられている。ステーションSTには、複数のメダルMが載置されるテーブル部TB、後述するボールを運搬するためのスロープSL1、SL2、及び各種画像が表示されるステーションモニタSMが備えられている。
【0020】
更に、ゲームシステムGの各部ST、SA、CNには、ゲーム中の雰囲気を演出するための複数の電飾ランプが設けられている。例えば、ステーションSTの各スロープSL1、SL2のそれぞれに沿って複数のLEDランプが設けられている。サテライトSTには、例えば、ビンゴステージBSに設けられた複数の入賞ポケットWPのそれぞれに青、赤、緑に対応するLEDランプのセット(以下、「三原色ランプ」という。)が設けられている。三原色ランプは各色の光量を調整することによって様々な色を表現することができる。センターユニットCNには、例えば、天井部RFに複数のLEDランプが設けられている。各部ST、SA、CNには、上述した以外の箇所にも複数の電飾ランプが設けられていてもよい。
【0021】
4台のサテライトSAの構成は同じであるが、識別のために各サテライトSAのそれぞれには1〜4の番号が予め割り振られている。以下、4台のサテライトSAを識別する必要がある場合はサテライト1、サテライト2、サテライト3及びサテライト4という。また、各ビンゴステージBSの各入賞スポットWPのそれぞれにも識別のために1〜15の番号が予め割り振られている。以下、15個の入賞スポットWPを識別する必要がある時は、入賞スポット1、入賞スポット2…入賞スポット15という。また、16台のステーションSTの構成は同じであるが、識別のために各ステーションSTのそれぞれには1〜16の番号が予め割り振られている。以下、16台のステーションSTを識別する必要がある場合は、ステーション1、ステーション2…ステーション16という。
【0022】
ステーションSTでは、テーブルTB上に敷き詰められた複数のメダルMを押し出すいわゆるプッシャーゲームと、ステーションモニタSM上に表示される仮想スロットによるスロットゲームとがステーションゲームとして行われる。スロットゲームにおいて所定の状態になるとボールが投入スロープSL1を通ってテーブルTB上に投入される。そして、ボールがプッシャーゲームにおいてテーブルTBから押し出されると押し出されたボールは抽選スロープSL2を通ってサテライトSAへ送られる。サテライトSAでは、送られたボールを使用してビンゴステージBSにて抽選ゲームが行われる。このビンゴステージBSの抽選ゲームにてボールが特定の入賞スポットWPに入賞すると、センターユニットCNのグランドルーレットGRやセンターモニタCMを使用したセンターゲームが行われる。なお、ゲームシステムGでは、ステーションSTからメダルMを投入し、ゲーム結果に応じてメダルMがプレイヤーに払い出される。
【0023】
ステーションSAにおける抽選ゲームにおいてボールが特定の入賞スポットWPに入賞すると、センターゲームが開始される前に、ゲームシステムGでは所定時間のショータイムが催される。ショータイムでは各部ST、SA、CNにおけるゲームは中断され、ショー用の音楽(以下「ショー用音楽」という。)が再生されると共に、センタースクリーンCMでは所定のキャラクタがダンスする画像が表示され、更に各部ST、SA、CNに設けられた電飾や可動部等がショーを盛り上げるように動作して音楽ショーが行われる。以下、ゲームシステムGにおいて、ショータイム以外の状態、即ち各部でST、SA、CNでゲームが実行可能な状態を通常モードという。
【0024】
ゲームシステムGには、更に、サテライトSAとサテライトSAとの間に存在する4つのスペース部SPのそれぞれに、ムービングライトLが設けられている。ムービングライトLはpan、tilt、ゴボ、ゴボ回転、色、ストロボ、プリズムといった6種類の照明機能を有し、各機能を適宜作動させることにより、ゲームシステムG全体の雰囲気を盛り上げる。識別のため、各ムービングライトLには1〜4の番号が予め割り振られている。以下、4台のムービングライトLを識別する必要があるときは、ムービングライト1、ムービングライト2、ムービングライト3、及びムービングライト4という。
【0025】
ゲームシステムGに備えられた複数の制御部についてブロック図2を用いて説明する。ゲームシステムGには、複数の制御部としてステーションSTに備えられた各部を制御するステーション制御部STSと、サテライトSAに備えられた各部を制御するサテライト制御部SASと、センターユニットCNに備えられた各部を制御するセンター制御部CNSと、ゲームシステムG全体の制御を行うホスト制御部HSSとが備えられている。ステーション制御部STSは16台のステーション1…16のそれぞれに対して存在するので16組存在し、サテライト制御部SASは4台のサテライト1…4のそれぞれに対して存在するので4組存在する。
【0026】
16組のステーション制御部STS、4組のサテライト制御部SAS、センター制御部CNS及びホスト制御部HSSは相互にデータの送受信が可能に接続され、ゲームシステムG内のLANを構成する。LANの接続方法はいずれの規格であってもよく、また有線無線も問わない。
【0027】
ステーション制御部STSは、ステーション制御ユニット10で構成される。ステーション制御ユニット10は、ステーションSTに設けられたゲーム実行部11とステーションモニタSMとステーション演出部12とを制御する。ゲーム実行部11には、ステーションゲームを実行するために設けられたスイッチ系、センサ系、モータ系等が含まれる。ステーション演出部12には、雰囲気を盛り上げるための電飾機構や音響機構のスイッチ系、センサ系等が含まれる。例えば、電飾機構にはステーションSTに設けられた複数のLEDランプの点灯及び消灯(以下「オンオフ」という。)の切り替えを行うスイッチ系、及び各LEDランプのオンオフを切り替えるべき状態を検知するセンサ系が含まれる。
【0028】
ステーション制御ユニット10は、CPUとその動作に必要なRAM、ROM等の記憶領域とを組み合わせたコンピュータユニットとして構成されている。ROMには、各部11、12、SMに対してショータイム用の動作制御を行うためのコンピュータプログラム(以下単に「プログラム」という。)であるショー用プログラム及び各部11、12、SMに対してステーションゲーム用の動作制御を行うためのプログラムであるゲーム用プログラム、更に、ゲーム中にステーションモニタSMに表示されるゲーム用画像データ及びショー中にステーションモニタSMに表示されるショー用画像データ等が記憶されている。本形態ではショー用画像データとして、花火や船等の6パターンの画像データが用意されている。
【0029】
ステーション制御ユニット10は、通常モードではゲーム用プログラムを実行することによって各部11、12、SMに対してゲームに関する制御を行い、ショータイムではショー用プログラムを実行することによって各部11、12、SMに対してショータイム用の制御を行う。なお、本形態ではショー用画像データとして、花火や船等の6パターンの画像データが用意されている。
【0030】
サテライト制御部SASはサテライト制御ユニット20で構成される。サテライト制御ユニット20はサテライトSAに設けられたサテライト抽選部21とサテライト演出部22とを制御する。サテライト抽選部21には、ビンゴステージBSにてボールを使用した抽選ゲームを実行するために設けられたスイッチ系、センサ系、モータ系等が含まれる。サテライト演出部22には、雰囲気を盛り上げるための電飾機構や音響機構のスイッチ系、センサ系等が含まれる。例えば、電飾機構にはサテライトSAに設けられた複数のLEDランプのオンオフの切り替えを行うスイッチ系、及び各LEDランプのオンオフを切り替えるべき状態を検知するセンサ系が含まれる。
【0031】
サテライト制御ユニット20は、CPUとその動作に必要なRAM、ROM等の記憶領域とを組み合わせたコンピュータユニットとして構成されている。ROMには、各部21、22に対してショータイム用の動作制御を行うためのプログラムであるショー用プログラム、各部21、22に対してゲーム用の動作制御を行うためのプログラムであるゲーム用プログラム、及び各種データが記憶されている。サテライト制御ユニット20は、通常モードではゲーム用プログラムを実行することによって各部21、22に対してゲームに関する制御を行い、ショータイムではショー用プログラムを実行することによって各部21、22に対してショータイム用の制御を行う。
【0032】
センター制御部CNSは、センター制御ユニット30とセンターPC40とで構成される。センター制御ユニット30はセンターユニットCNに設けられたセンター抽選部31及びセンター演出部32を制御し、センターPC40はセンターモニタCMを制御する。
【0033】
センター抽選部31には、グランドルーレットGRを使用した抽選ゲームを実行するために設けられたスイッチ系、センサ系、モータ系等が含まれる。センター演出部32には、雰囲気を盛り上げるための電飾機構や音響機構のスイッチ系、センサ系等が含まれる。例えば、電飾機構にはセンターユニットCNに設けられた複数のLEDランプのオンオフの切り替えを行うスイッチ系、及び各LEDランプのオンオフを切り替えるべき状態を検知するセンサ系が含まれる。
【0034】
センター制御ユニット30は、CPUとその動作に必要なRAM、ROM等の記憶領域とを組み合わせたコンピュータユニットとして構成されている。ROMには、各部31、32に対してショータイム用の動作制御を行うためのプログラムであるショー用プログラム、各部31、32に対してゲーム用の動作制御を行うためのプログラムであるゲーム用プログラム、及び各種データが記憶されている。センター制御ユニット30は、通常モードではゲーム用プログラムを実行することによって各部31、32に対してゲームに関する制御を行い、ショータイムではショー用プログラムを実行することによって各部31、32に対してショータイム用の制御を行う。
【0035】
センターPC40は、CPUとその動作に必要なRAM、ROM等の記憶領域とを組み合わせたコンピュータユニットとして構成され、センターモニタCMに表示される画像データを制御する。ROMには、センターモニタCMにショー用の画像を表示するためのショー用プログラム及びショー用画像データ及びセンターモニタCMにセンターゲーム用の画像を表示するためのゲーム用プログラムが記憶され、更に、ショー中に表示されるショー用画像データ及びゲーム中に表示されるゲーム用画像データ等が記憶されている。
【0036】
ゲーム用画像データには、センターゲーム用の画像データと通常モードにおいてセンターゲームが行われていない間に表示される通常モード用の画像データとが含まれる。また、本形態のショー用画像データは、キャラクタに関するキャラクタ画像データと背景に関する背景画像データとが用意されている。センターPC40は、通常モードではゲーム用プログラムを実行し、ゲーム用画像データを読み込むことによって、通常モード用の画像又はセンターゲーム用の画像をセンターモニタCMに表示する。また、ショータイムではショー用プログラムを実行し、ショー用画像データを読み込むことによって、ショー用画像データに基づいたショー用画像をセンターモニタCMに表示する。
【0037】
ホスト制御部HSSは、ホストPC50とホスト制御ユニット60とで構成される。ホストPC50は総合演出部51を制御する。総合演出部51には、ゲームシステムG全体の雰囲気を盛り上げるための音響機構及びムービングライト1…4が含まれる。ホストPC50は、CPUとその動作に必要なRAM、ROM等の記憶領域とを組み合わせたコンピュータユニットとして構成されている。ROMには、総合演出部51に対してショータイム用の動作制御を行うためのプログラムであるショー用プログラム及びショータイムに使用されるショー用音楽データ、並びに、総合演出部51に対して通常モード時の動作制御を行うためのプログラムであるゲーム用プログラム及び通常モード時に使用されるゲーム用音楽データが記憶されている。ホストPC50は、通常モードにおいてはゲーム用プログラムを実行することによって総合演出部51に対してゲームに関する制御を行い、ショータイムにおいてはショー用プログラムを実行することによって総合演出部51に対してショータイム用の制御を行う。
【0038】
ホスト制御ユニット60は、CPUとその動作に必要なRAM、ROM等の記憶領域とを組み合わせたコンピュータユニットとして構成され、各部ST、SA、CNとデータの送受信を行うことにより、ゲームシステムGS全体のメダルMのペイアウト率を制御する。ペイアウト率の制御は通常モードの時のみ行われ、ショータイム中は休止状態となる。
【0039】
上述した各ショー用プログラムは、本発明の制御プログラムとして機能し、全ての制御部STS、SAS、CNS、HSSに共通の内容が記述されている。各制御ユニット10、20、30やPC40、50は自己が行う制御に関係する箇所のみをショー用プログラムから識別して実行する。以下、ショー用プログラムの作成方法について説明する。
【0040】
図3はショー用プログラムを作成するためのショー用プログラム作成システム100の構成を示す図である。ショー用プログラム作成システム100は、制御ユニット110と、ユーザの各種データの入力を受け付ける入力部120と、各種画像を表示するモニタ130と音声を出力するスピーカ140とで構成される。制御ユニット110は、CPUとその動作に必要なRAM、ROM等の記憶領域111とを組み合わせたコンピュータユニットとして構成され、例えば各部120、130、140の動作制御を行う。
【0041】
記憶領域111には、MIDIデータ作成ツールとして市販のMIDIシーケンサー、本発明のプログラム作成用プログラムとしてのデータ変換プログラム、後述するテストに関する処理が記述されたシミュレーションプログラム、及び各種データが記憶されている。本形態のMIDIシーケンサーは、SMF(Standard MIDI Files)規格に準拠するMIDIデータを作成する。MIDIシーケンサー、データ変換プログラム、及びシミュレーションプログラムのそれぞれが実行されることによって、制御ユニット110内に論理装置としてMIDIデータ作成部112、変換部113、及びテスト部114がそれぞれ生成される。
【0042】
本形態においてMIDIシーケンサーによって作成されるMIDIデータのデータ構造について図4を用いて説明する。本形態のMIDIデータは上述したようにSMF規格に準拠するので、複数のトラックデータTDで構成され、各トラックデータTDは直前のイベントを基準とした相対的な時間を示す情報であるデルタタイム情報DIとMIDIイベントMIとの組合せが連続して構成される。MIDIイベントMIは、イベント及びチャンネルを示すステータスバイトSB、音高を示す音高情報としてのノート番号NT及び音の強を示すベロシティ値VVで構成される。トラックデータTDは音色情報としてのトラック名TN毎に区分されたデータである。図4には、トラック名TN1、トラック名TN2、及びトラック名TN3のそれぞれ対応するトラックデータTDが示されている。トラック名TNは一般的には楽器名や音色の種類が設定される。本形態では、演奏される音を示す音情報はトラック名TNとノート番号NTとを合わせた情報であり、演奏方法を示す演奏情報はイベント及びベロシティ値VVを合わせた情報である。
【0043】
ショー用プログラムを作成するための手順について図5のフローチャートに従って説明する。まず、最初にステップS200にて、まず、対象識別情報としての音情報と制御対象としての演出要素とを対応付ける。これにより、各演出要素は音情報によって特定される。演出要素とは、ステーションST、サテライトSA、センターユニットCN等に設けられた構成であって、ショータイムにおける演出のために各制御部STS、SAS,CNS、HSSが制御可能な最小単位であり、電飾のためのLEDランプ、画像表示のための画像データ等がある。
【0044】
トラック名TN及びノート番号NTを演出要素に対応付ける一例を図6及び図7に示す。ムービングライトLに関する演出要素について説明する。ムービングライトLに備えられた演出要素は、pan、tilt、ゴボ等のムービングライトLに備えられた6種の照明機能である。ムービングライト1…4のいずれに関しても同様の対応付けが行われるのでムービングライト1について説明する。演出要素である”pan”から”プリズム”までの各照明機能は、トラック名TN”MovingLihgt”及びノート番号NT”001”〜”007”にそれぞれ対応付けられる。これにより、例えば、ムービングライト1の「ゴボ」は、トラック名TN”MovingLight”、ノ−ト番号NT”003”で特定される。
【0045】
その他のムービングライト2、3、4の各演出要素についても、ムービングライト1と同様に、トラック名TN及びノート番号NTを対応付ける。なお、ムービングライト1〜4の演出要素は全て同じトラック名TNに設定されるので、ノート番号NTは通し番号である。
【0046】
センターユニットCNに備えられた演出要素は、天井部RFに設けられたLEDランプ及びセンターモニタCMに表示されるショー用画像データである。天井部RFの11個のLEDランプのそれぞれは、トラック名TN”Center−ShanpooHat”、ノート番号NT”001”〜”011”にそれぞれ対応付ける。このようにLEDランプを1つ1つ演出要素として設定すると各LEDランプに対してオンオフを制御することができる。
【0047】
ショー用画像データには、キャラクタ画像データ及び背景画像データが含まれるので、各画像データに対してトラック名及びノート番号を対応付ける。例えばセンターモニタCMにおけるキャラクタ画像データは、トラック名TN”Center−PDP”、ノート番号NT”001”で特定される。これにより、センターモニタCMに表示されるキャラクタと背景とを独立した制御対象として制御することができる。トラック名TNに含まれる”Center”は制御部を識別する装置識別情報として機能する。
【0048】
サテライトSAに備えられた演出要素は、各入賞ポケットWPに設けられた三原色ランプである。各サテライト1…4の各演出要素の対応付けは同様であるので、サテライト1について説明する。サテライト1の入賞ポケット1〜15のそれぞれは、トラック名TN”Sattellite01−Pockets”、ノート番号”001”〜”015”にそれぞれ対応付ける。これにより、例えば、トラック名TN”Sattellite01−Pockets”、ノート番号NT”012”は、サテライト1の入賞ポケット12に設けられた三原色ランプを示す。
【0049】
その他サテライト2…4のそれぞれに対しても、サテライト1と同様に各演出要素にトラック名TN及びノート番号NTを対応付ける。但し、サテライト2…4のトラック名TNのそれぞれは”Sattellite02−Pockets”…”Sattellite04−Pockets”として識別可能なように設定される。トラック名TNに含まれる”Sattellite01”…”Sattellite04”は制御部を識別する装置識別情報として機能する。
【0050】
ステーションSTにおける演出要素は、投入スロープSL1に沿って設けられた16個のLEDランプ及びステーションモニタSMに表示されるショー用画像データである。各ステーション1…16の各演出要素の対応付けは同様なので、ステーション1について説明する。投入スロープSL1に設けられた16個のLEDランプは4個ずつまとめられて投入スロープ1…4に区分され、各区分はトラック名TN”Station01−SlopeL”、ノート番号NT”001”〜”004”にそれぞれ対応付けられている。
【0051】
これにより、例えば、トラック名TN”Station01−SolopeL”、ノート番号NT”001”は、ステーション1の投入スロープSL1のノート番号NT”001”に対応付けられた4個のLEDランプを示す。従って、同じノート番号NTに対応付けられた複数のLEDランプを一度に制御対象として制御することができる。
【0052】
ステーションモニタSMのショー用画像データには6つのパターンが用意されているので、各パターンに”001”…”006”のノート番号NTを対応付ける。従って、トラック名TN”Station01−Display”、ノート番号NT”003”は、ステーション1においてノート番号NT”003”に対応付けられたパターンのショー用画像データを示す。なお、各ステーション1…16について、ノート番号NTが同じ場合は同じパターンのショー用画像データを示す。これにより、各パターンのショー用画像データを独立した制御対象として制御することができる。
【0053】
その他のステーション2…16のそれぞれに対しても、ステーション1と同様に各演出要素にタイトル名TN及びノート番号NTを対応付ける。但し、ステーション2…ステーション16のそれぞれのトラック名TNは”Station02−”…”Station16−”として識別可能なように設定される。トラック名TNに含まれる”Station01”…”Station16”は制御部を識別する装置識別情報として機能する。
【0054】
図6及び図7において、センターユニットCN、サテライトSA、ステーションSTにおける演出要素として、各構成CN、SA、STにおける可動部を駆動させるためのモータ系を演出要素としてノート番号NTを対応付けてもよい。この場合、ショータイム中に可動部のモータ系の制御が可能になり、ショーの演出として可動部の動きを加えることができる。トラック名TN及びノート番号NTと演出要素との対応関係は、例えば、MIDIシーケンサーによって提供されるトラック名TN及びノート番号NTを定義付ける機能を使用して対応付けを設定すればよい。
【0055】
次に、ステップS210へ進み、MIDIデータの演奏情報に演出要素の動作内容を示す動作情報を対応付ける。本形態では、ステータス情報SBのイベントに「ノートオン」を固定的に設定し、ノートオンに対応するベロシティ値VVに対して動作情報を対応付ける。本形態では、「動作開始」は、MIDIシーケンサーが提供するベロシティ値VVのデフォルト値dvに対応付け、また、「動作停止」はベロシティ値VV”0”に対応付ける。
【0056】
また、動作情報には、例えば、演出要素がサテライトSAの三原色ランプの場合、色情報も含まれる。この場合、15=紫、31=青、63=白・・・のように”0”及びデフォルト値dvを除くベロシティ値VVと表現する色情報とを対応付ければよい。また、演出要素が所定の動作を行う可動部の場合、動作情報には速度情報も含まれる。例えば、60=低速、80=中速、100=高速、のようにベロシティ値VVと動作情報とを対応付ければよい。
【0057】
ベロシティ値VVと動作情報との対応関係は、演出要素によって異なるように設定することも可能だが、メンテナンス性や汎用性を考慮するとゲームシステムG内で共通していることが望ましい。従って、本形態では、例えば、ベロシティ値VVが”15”の場合は、演出要素にかかわらず動作情報として「紫」を意味し、ベロシティ値VVが”60”の場合は、演出要素にかかわらず動作情報として「低速」を意味する。すなわち、演出要素が可動部の場合はベロシティ値VVに”15”は設定されず、演出要素が三原色ランプの場合はベロシティ値VVに”60”は設定されないことになる。
【0058】
次に、ステップS220へ進み、各演出要素を音情報とし、動作情報を演奏情報とし、動作を行うタイミングである動作タイミングを演奏タイミングとするMIDIデータを作成する。MIDIシーケンサーの提供するMIDIデータ作成用の入力画面を使用して、各演出要素に対応する音情報及びMIDIデータのイベントとして「ノートオン」を指定し、動作情報に対応するベロシティ値VVを指定すればよい。
【0059】
入力画面の一例を図8に示す。本形態の入力画面300は表形式であり、列はショー用音楽の1小節に該当し、行はトラック名TNに該当する。図8では、トラック名”MovingLight1”、”MovingLight2”、”Center−ShanpooHat”、及び”Sattellite−Pockets”のそれぞれに対して0小節目から10小節目までのデータが設定された状態を示す。なお、ムービングライト1〜4のトラック名TNはMIDIデータ上は”MovingLight”であるが、本形態の入力画面では各ムービングライト1〜4について動作情報を設定可能なように各ムービングライト1〜4について表示される。
【0060】
たとえば、演出要素が「MovingLight1のpan」の場合、1小節頭301に動作を開始し、2小節半302に動作を停止することを意味し、その間に表示されているゲージ303は動作中であることを意味する。このように設定するための入力画面における具体的手順は、トラック名TN”MovingLight1”、ノート番号NT”001”の音情報に対して、動作タイミングとして1小節頭に動作情報として動作開始を指定し、動作タイミングとして2小節半に動作情報として動作停止を指定すればよい。動作開始を指定するには、イベントを「ノートオン」に指定するだけで、ベロシティ値VVはノートオンのデフォルト値dvであるから指定する必要はない。動作停止を指定する際には、イベントを「ノートオン」に指定してベロシティ値VVに”0”を指定する。これにより、ショータイムにおいて再生されるショー用音楽の1小節目の最初から2小節目の半分までムービングライト1にpan動作を行わせるための設定がされたことになる。
【0061】
なお、例えば、動作情報として色や速度を指定するときは、動作開始時にイベントに「ノートオン」を指定し、ベロシティ値VVにその色又は速度に対応する値を指定すればよい。
【0062】
図8のように設定されたムービングライト1について作成されるMIDIデータを図9に示す。ムービングライト1に関するMIDIデータはトラック名TN”MovingLight”のトラックデータTDに含まれる。ムービングライト1の動作開始に対応するデータは、デルタタイム情報DIaとMIDIイベントMIaとの組合せデータである。デルタタイム情報DIaには、「1小節頭」に対応するタイミングがデルタタイム形式で設定される。MIDIイベントMIaのイベントには「ノートオン」が設定され、ノート番号NTにはpan動作を示す”001”が設定され、ベロシティ値VVaにはデフォルト値dvが設定される。
【0063】
ムービングライト1の動作停止に対応するデータは、デルタタイム情報DIbとMIDIイベントMIbとの組合せデータである。デルタタイム情報DIbには、「2小節半」に対応するタイミングが直前のMIDIイベントMIを基準としたデルタタイム形式で設定される。MIDIイベントMIbのイベントには「ノートオン」が設定され、ノート番号NTには”001”が設定され、ベロシティ値VVbには”0”が設定される。なお、ランニングステータスが適用されている場合は、同じイベントが続く場合は2度目以降のイベントが省略される。
【0064】
なお、SMF規格ではステータスバイトSBにチャンネル情報も設定されるが、本形態ではチャンネル情報は使用しないので、MIDIシーケンサーによって各トラック名TNに自動的に割り振られたチャンネル情報が適宜設定されればよい。
【0065】
以下同様に、他の演出要素についても、トラック名TN、ノート番号NT、ベロシティ値VV、及び制御タイミングを指定することにより、全ての演出要素に対して動作情報及び動作タイミングが対応付けられたMIDIデータを作成することができる。作成されたMIDIデータにおいては、各演出要素の動作単位に動作タイミング情報と演出要素を識別する対象識別情報と動作情報とが対応付けられた組合せデータ(以下、「動作単位データ」というときがある。)が複数連続して構成されている。このように、MIDIシーケンサーの入力画面300を使用することによって、各演出要素の動作タイミングや動作情報の設定が容易であり、しかも演出要素が多数存在する場合であっても各演出要素間の動作の関係も一目瞭然にわかり、各演出要素の同期性や調和性を容易に判断することができる。
【0066】
なお、ショータイムで使用するショー用音楽のテンポ及び拍子についても、MIDIデータのテンポ情報及び拍子情報として、MIDIシーケンサーが提供する設定方法によって設定する。これにより、ショー用音楽のテンポや拍子に合わせた刻みで複雑な動作タイミングを設定することができる。
【0067】
MIDIデータ作成後ステップS230へ進み、MIDIデータのデータ形式をゲームシステムGの各制御部STS、SAS、CNS、HSSが認識可能なシステム用データ形式としてのゲーム用データ形式400に変換する。本形態のゲーム用データ形式400は図10に示すように、時間情報410とシステム用制御情報としての制御情報420とで構成される可変長データである。時間情報410は、時間コマンド411と経過時間情報412とで構成される。時間コマンド411は時間情報410の開始であることを制御部に認識させるための情報である。経過時間情報412は各MIDIイベントMIに対応付けられたデルタタイム情報DIを、ショータイムの開始時からの経過時間に換算することによって得られる。即ち、本形態では、共通の時間軸としてショータイムの開始を始点とする時間軸を採用し、共通タイミングとしてショータイムの開始からの経過時間を採用する。
【0068】
時間情報410の後に続く制御情報420は時間データ410が示す経過時間を動作タイミングとする制御に関するデータであり、制御部情報421と制御内容情報422とで構成される。制御部情報421は、制御部STS、SAS、CNS、HSSを特定するための情報である。例えば、複数のステーション1…16のうちどのステーションSTの制御部STSかを示す。制御内容情報422は制御されるべき演出要素を特定する情報、及びその演出要素の動作情報を示す。制御部情報421及び制御内容情報422は各MIDIイベントMIを参照することにより設定される。ゲーム用データ形式400は、経過時間情報412が示す経過時間に従って制御部STS、SAS、CNS、HSSの種類毎にまとめて記述される。従って、1つの時間情報410の後にはその時間情報410が示す経過時間を動作タイミングとする複数の制御情報420が制御部単位で配列される。
【0069】
ステップS230におけるデータ形式の変換に関する処理は、データ変換プログラムに基づいて変換部113によって制御される。変換部113がMIDIデータに含まれる動作単位データをゲーム用データ形式400に変換する変換処理について図11のフローチャートに従って説明する。まず、ステップS500にて、動作単位データのデルタタイム情報DIをショータイムの開始時からの経過時間に換算して経過時間情報412を取得する。次に、ステップS510にて動作単位データが対応するトラック名TNから制御部を特定して、制御部情報421を作成する。
【0070】
次に、ステップS520に進み、動作単位データのMIDIイベントMI及びトラック名TNから演出要素及び動作情報を特定して、制御内容情報422を作成する。次に、ステップS530に進み、制御部情報421と制御内容情報422とから制御情報420を作成する。次に、ステップS540に進み、経過時間情報412が示す経過時間に従って制御部毎に制御情報420を配列する。上述した変換処理をMIDIデータに含まれるすべての動作単位データに対して行う。これにより、MIDIデータがゲーム用データ形式400に変換される。なお、本形態では制御部情報421は同じ制御部を示す制御部情報421が続く場合は、2回目以降の制御部情報421は略される。
【0071】
作成されたMIDIデータがゲーム用データ形式に変換されることによって、暫定的なショー用プログラム(以下「仮ショー用プログラム」という。)が作成される。仮ショー用プログラム作成後、図5に示すプログラム作成手順のステップS240に進み、仮ショー用プログラムに基づいてテストを行う。テストに関する処理はテスト部114が制御を行う。本形態では、シミュレーションプログラムに主要な演出要素に対応する画像やセンターモニタCMに表示されるショー用画像を簡略した画像をテスト用画像として設定しておき、シミュレーションプログラムによって、音楽をスピーカ140から出力すると共に、仮ショー用プログラムに従って音楽をスピーカ140から出力すると共に簡易なシミュレーションをモニタ130上で行う。テスト部114としての制御ユニット110が仮ショー用プログラムに基づいたシミュレーションを制御する。
【0072】
ステップS250及びステップS260が示すように、テストの結果、修正が必要であると判断した場合はMIDIデータを修正し、再度テストを行う。MIDIデータの修正は、修正内容に応じて、演出要素や動作情報に関する対応付けの設定や動作タイミングの設定を修正すればよい。当該修正は、MIDIシーケンサーの提供するMIDIデータの編集機能を利用すればよい。テストの結果、修正なしと判断された場合は、ショー用プログラムが完成したことになりプログラム作成手順を終了する。
【0073】
以上のように、作成されたショー用プログラムは、全ての演出要素について制御部毎に記述され、ゲームシステムG内で共通のショー用プログラムである。ショー用プログラム完成後、そのショー用プログラムを、各制御部の記憶領域に記憶する。
【0074】
いずれかのサテライトSAにて特定の入賞スポットWPにボールが入賞すると、その入賞情報が各制御部STS、SAS、CNS、HSSに送信され、ゲームシステムGはショータイムモードになる。ショータイムモードでは、ホストPC50によってショー音楽が再生されると共に、各制御部STS、SAS、CNS、HSSでは記憶領域に記憶されたショー用プログラムの読み込みを同時に開始し、当該プログラムの記述に従ってショー用の制御が行われる。各制御部STS、SAS、CNS、HSSは、時間情報410を参照して自己のタイマーに従ってショー用プログラムを読み進み、制御部情報421にて自己が制御部として指定されていない制御情報420は読み飛ばし、自己が制御部として指定されている制御内容情報422に従って演出要素を制御する。
【0075】
本形態は上述した形態に限らず様々な形態にて実施されてよい。例えば、トラック名TNはトラックが互いに識別できればよく、単なるトラック番号であってもよい。ゲーム用データ形式にはループの回数を示すループデータが更に含まれてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明のゲームシステムの一形態の俯瞰図。
【図2】図1に示すゲームシステムの制御部に関する構成図。
【図3】ショー用プログラム作成システムの構成の一例を示すブロック図。
【図4】MIDIデータの一例を示す図。
【図5】ショー用プログラムの作成手順を示すフローチャート。
【図6】ムービングライト及びセンターユニットについて、演出要素と音情報とが対応付けられたようすを示す対応付表。
【図7】サテライト及びステーションについて、演出要素と音情報とが対応付けられたようすを示す対応表。
【図8】MIDIシーケンスが提供する入力画面の一例を示す図。
【図9】図8のムービングライト1について作成されたMIDIデータを示す図。
【図10】図1のゲームシステムにおけるゲーム用データ形式を示す図。
【図11】変換処理における処理の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
【0077】
G ゲームシステム
ST ステーション(ゲーム機)
SA サテライト
CN センターユニット
L ムービングライト
STS ステーション制御部
SAS サテライト制御部
CNC センター制御部
HSS ホスト制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの制御対象を制御する制御部が複数備えられた制御システムにおける複数の制御対象のそれぞれを制御するための制御プログラムを、前記制御対象を識別するための対象識別情報は音を特定する音情報として設定され、前記各制御対象の動作を指示する動作情報は音の演奏方法を示す演奏情報として設定され、前記制御対象が動作するタイミングを示す動作タイミング情報は音を演奏するタイミングを示す演奏タイミング情報として設定されることにより、前記各制御対象の動作単位に、前記対象識別情報と前記動作情報と前記動作タイミング情報とが対応付けられている音楽データに基づいて作成するプログラム作成用プログラムであって、
前記動作タイミング情報を参照して、その動作タイミング情報に対応する動作が行われるタイミングを、前記複数の制御部に共通の時間軸におけるタイミングである共通タイミングに換算し、
前記対象識別情報及び前記動作情報から、前記複数の制御部が前記制御対象及び制御すべき動作を認識可能なシステム用データ形式のシステム用制御情報を作成し、
前記共通の時間軸に従って、前記各制御対象のシステム用制御情報を記述する、ことを特徴とするプログラム作成用プログラム。
【請求項2】
前記音情報は音色情報と音高情報とで構成され、前記制御対象を制御する制御部を識別するための装置識別情報が前記対象識別情報の一部として前記音色情報に含まれ、
前記音楽データの前記音色情報に含まれる装置識別情報を参照することにより、前記システム用制御情報を前記制御部毎にまとめて記述することを特徴とする請求項1に記載のプログラム作成用プログラム。
【請求項3】
前記音楽データはMIDIデータであり、
前記動作情報は、イベントがノートオンのベロシティ値として設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載のプログラム作成用プログラム。
【請求項4】
前記制御システムは複数のゲーム機を備えたゲームシステムであり、前記複数の制御部のそれぞれは前記複数のゲーム機のそれぞれのゲーム用制御部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のプログラム作成用プログラム。
【請求項5】
前記ゲームシステムは、前記複数のゲーム機のいずれかにおいて所定の条件が満たされると、所定時間のショータイムが設けられ、前記動作情報は前記各制御対象が前記ショータイムを演出するための動作を指示する情報であり、前記共通の時間軸は前記ショータイムの開始を始点とする時間軸であることを特徴とする請求項4に記載のプログラム作成用プログラム。
【請求項6】
演奏される音を示す音情報と、音の演奏方法を示す演奏情報と、音を演奏するタイミングを示す演奏タイミング情報とが対応付けられて構成される音楽データを作成する音楽データ作成ツールを使用して、少なくとも1つの制御対象の動作を制御する制御部が複数備えられた制御システムにおける複数の制御対象を制御するための制御プログラムを作成するためのプログラム作成方法であって、
前記制御対象を識別するための対象識別情報を前記音情報として設定し、前記各制御対象の動作を指示する動作情報を前記演奏情報として設定し、前記制御対象が動作するタイミングを示す動作タイミング情報を前記演奏タイミング情報として設定することにより、前記各制御対象の動作単位に、前記対象識別情報と前記動作情報と前記動作タイミング情報とが対応付けられた音楽データを音楽データ作成ツールによって作成する作成手順と、
前記作成手順によって作成された音楽データを前記複数の制御部が認識可能なデータ形式に変換する変換手順とを有し、
前記変換手順では、
前記動作タイミング情報を参照して、その動作タイミング情報に対応する動作が行われるタイミングを、前記複数の制御部に共通の時間軸におけるタイミングである共通タイミングに換算し、
前記対象識別情報及び前記動作情報から、前記複数の制御部が前記制御対象及び制御すべき動作を認識可能なシステム用データ形式のシステム用制御情報を作成し、
前記共通の時間軸に従って、前記各制御対象のシステム用制御情報を記述する、
ことを特徴とするプログラム作成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−334187(P2007−334187A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−168435(P2006−168435)
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.MIDI
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】