説明

プロジェクター

【課題】発光素子から出射される光を同一の方向に進行させる発光装置を備え、光軸合わせが容易なプロジェクターを提供する。
【解決手段】本発明に係るプロジェクター1000では、発光素子100は、第1端面170と第2端面172の2箇所から光が出射される構成をなし、発光素子100の第1端面170から出射される第1出射光L1の方向と、発光素子100の第2端面172から出射される第2出射光L2の方向とは、互いに逆方向をなし、第1反射面162は、第1出射光L1を反射させ、第2反射面164は、第2出射光L2を反射させ、第1反射面162によって反射される第1反射光L3の方向と、第2反射面164によって反射される第2反射光L4の方向とは、同じ方向である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
スーパールミネッセントダイオード(Super Luminescent Diode、以下「SLD」ともいう)は、通常の発光ダイオード同様にインコヒーレント性を示し、かつ広帯域なスペクトル形状を示しながら、光出力特性では半導体レーザー同様に数十mW程度までの出力を得ることが可能な半導体素子である。SLDは、半導体レーザー同様に、注入キャリアの再結合により生じた自然放出光が、光出射端面方向に進む間に誘導放出による高い利得を受けて増幅され、光出射端面から放出される機構を用いている。ただし、SLDは、半導体レーザーと異なり、端面反射による共振器の形成を抑え、レーザー発振が生じないようにする必要がある。
【0003】
レーザー発振を抑制するための方法として、例えば特許文献1に示すように、利得領域(光導波路)を出射端面から傾ける構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−273690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、出射端面から傾いた直線状の利得領域(光導波路)を備えた発光素子では、利得領域の2つの出射端面のうちの一方の出射端面から出射される光と、他方の出射端面から出射される光とが、互いに異なる方向に進む場合がある。しかしながら、プロジェクターの光源としてSLDを用いた場合、SLDから出射される光は、同一の方向に進行することが望ましい。このようなSLDによれば、プロジェクターにおける光軸合わせを容易化することができる。
【0006】
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、発光素子から出射される光を同一の方向に進行させる発光装置を備え、光軸合わせが容易なプロジェクターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るプロジェクターは、
発光装置と、
前記発光装置から出射された光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置によって形成された画像を投射する投射装置と、
を含み、
前記発光装置は、
スーパールミネッセントダイオードであって、第1クラッド層と第2クラッド層とに挟まれる活性層に電流を通すことで発光する発光素子と、
前記発光素子を支持し、かつ前記発光素子から出射される光を反射させる第1反射面と第2反射面とが形成されたベースと、を有し、
前記発光素子は、第1端面と第2端面の2箇所から光が出射される構成をなし、
前記発光素子の前記第1端面から出射される第1出射光の方向と、前記発光素子の前記第2端面から出射される第2出射光の方向とは、互いに逆方向をなし、
前記第1反射面は、前記第1出射光を反射させ、
前記第2反射面は、前記第2出射光を反射させ、
前記第1反射面によって反射される前記第1反射光の方向と、前記第2反射面によって反射される前記第2反射光の方向とは、同じ方向である。
【0008】
このようなプロジェクターによれば、前記発光素子から出射される光を同一の方向に進行させる前記発光装置を備え、光軸合わせを容易化することができる。
【0009】
本発明に係るプロジェクターにおいて、
前記ベースは、板状の部材に凹部を設けた構造をしており、
前記凹部は、前記板状の部材の水平方向に対して45度傾斜した2つの傾斜面を有し、
前記発光素子は、前記板状の部材の水平方向に対して平行に光が出射されるように配置され、
前記2つの傾斜面のうちの一方の傾斜面には、前記第1反射面が形成され、前記2つの傾斜面のうちの他方の傾斜面には、前記第2反射面が形成されていることができる。
【0010】
このようなプロジェクターによれば、前記発光素子から出射される光を同一の方向に進行させる前記発光装置を備え、光軸合わせを容易化することができる。
【0011】
本発明に係るプロジェクターにおいて、
前記ベースは、板状の部材に凹部を設けた構造をしており、
前記凹部は、凹面形状である第1凹面および第2凹面を有し、
前記第1凹面には、前記第1反射面が形成され、
前記第2凹面には、前記第2反射面が形成されていることができる。
【0012】
このようなプロジェクターによれば、前記発光素子から出射される光を同一の方向に進行させる前記発光装置を備え、光軸合わせを容易化することができる。
【0013】
本発明に係るプロジェクターにおいて、
前記第1凹面および前記第2凹面は、放物面であり、
前記第1端面は、前記第1凹面の焦点に位置し、
前記第2端面は、前記第2凹面の焦点に位置していることができる。
【0014】
このようなプロジェクターによれば、前記発光素子から出射される光を同一の方向に進行させ、かつ平行光に変換することができる前記発光装置を備え、光の利用効率を向上させることができる。
【0015】
本発明に係るプロジェクターにおいて、
さらに、前記第1反射光および前記第2反射光に対して透過性のある材質のリッドを含み、
前記発光素子は、前記リッドによって封止されていることができる。
【0016】
このようなプロジェクターによれば、前記発光装置の信頼性の向上を図ることができ、かつ前記リッドにおける前記第1反射光および前記第2反射光の吸収損失を低減することができる。
【0017】
本発明に係るプロジェクターにおいて、
前記ベースの熱伝導率は、前記発光素子の熱伝導率よりも高いことができる。
【0018】
このようなプロジェクターによれば、前記ベースは、ヒートシンクとして機能することができるため、前記発光装置は、高い放熱性を有することができる。
【0019】
本発明に係るプロジェクターにおいて、
前記活性層は、前記発光素子において前記ベース側に設けられていることができる。
【0020】
このようなプロジェクターによれば、前記発光装置は、より高い放熱性を有することができる。
【0021】
本発明に係るプロジェクターにおいて、
前記活性層は、前記発光素子において前記ベース側とは反対側に設けられ、
前記発光素子は、さらに、前記第1クラッド層と前記第2クラッド層とに挟まれる前記活性層が形成される基板を有し、
前記活性層と前記ベースとの間に、前記基板が設けられていることができる。
【0022】
このようなプロジェクターによれば、前記活性層と前記ベースとの間に前記基板が設けられているため、少なくとも前記基板の厚み分だけ、前記活性層は前記ベースから離れた位置に設けられている。したがって、より良好な形状(断面形状)の出射光を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施形態のプロジェクターを模式的に示す図。
【図2】本実施形態のプロジェクターの発光装置を模式的に示す平面図。
【図3】本実施形態のプロジェクターの発光装置を模式的に示す断面図。
【図4】本実施形態のプロジェクターの発光装置を模式的に示す断面図。
【図5】本実施形態のプロジェクターの発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【図6】本実施形態のプロジェクターの発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【図7】本実施形態のプロジェクターの発光素子の製造工程を模式的に示す断面図。
【図8】本実施形態のプロジェクターの発光素子の製造工程を模式的に示す断面図。
【図9】第1変形例の発光装置を模式的に示す平面図。
【図10】第2変形例の発光装置を模式的に示す平面図。
【図11】第2変形例の発光装置を模式的に示す平面図。
【図12】第2変形例の発光装置を模式的に示す断面図。
【図13】第3変形例の発光装置を模式的に示す断面図。
【図14】第4変形例の発光装置を模式的に示す断面図。
【図15】第4変形例の発光装置を模式的に示す断面図。
【図16】第5変形例の発光装置を模式的に示す断面図。
【図17】第6変形例の発光装置を模式的に示す断面図。
【図18】第7変形例の発光装置を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0025】
1. プロジェクター
まず、本実施形態に係るプロジェクター10000について、図面を参照しながら説明する。図1は、プロジェクター10000を模式的に示す図である。なお、図1では、便宜上、プロジェクター10000を構成する筐体は省略している。プロジェクター10000は、本発明に係る発光装置を含む。以下では、本発明に係る発光装置として、発光装置1000を用いた例について説明する。
【0026】
プロジェクター10000において、赤色光、緑色光、青色光を出射する赤色光源(発光装置)1000R,緑色光源(発光装置)1000G、青色光源(発光装置)1000Bは、上述した発光装置1000である。
【0027】
プロジェクター10000は、光源1000R,1000G,1000Bから出射された光をそれぞれ画像情報に応じて変調する透過型の液晶ライトバルブ(光変調装置)1004R,1004G,1004Bと、液晶ライトバルブ1004R,1004G,1004Bによって形成された像を拡大してスクリーン(表示面)1010に投射する投射レンズ(投射装置)1008と、を備えている。また、プロジェクター10000は、液晶ライトバルブ1004R,1004G,1004Bから出射された光を合成して投写レンズ1008に導くクロスダイクロイックプリズム(色光合成手段)1006を備えていることができる。
【0028】
さらに、プロジェクター10000は、光源1000R,1000G,1000Bから出射された光の照度分布を均一化させるため、各光源1000R,1000G,1000Bよりも光路下流側に、均一化光学系1002R,1002G,1002Bを設けており、これらによって照度分布が均一化された光によって、液晶ライトバルブ1004R,1004G,1004Bを照明している。均一化光学系1002R,1002G、1002Bは、例えば、ホログラム1002aおよびフィールドレンズ1002bによって構成される。
【0029】
各液晶ライトバルブ1004R,1004G,1004Bによって変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム1006に入射する。このプリズムは4つの直角プリズムを貼り合わせて形成され、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に配置されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成され、カラー画像を表す光が形成される。そして、合成された光は投写光学系である投射レンズ1006によりスクリーン1010上に投写され、拡大された画像が表示される。
【0030】
なお、上述の例では、光変調装置として透過型の液晶ライトバルブを用いたが、液晶以外のライトバルブを用いてもよいし、反射型のライトバルブを用いてもよい。このようなライトバルブとしては、例えば、反射型の液晶ライトバルブや、デジタルマイクロミラーデバイス(Digital Micromirror Device)が挙げられる。また、投射光学系の構成は、使用されるライトバルブの種類によって適宜変更される。
【0031】
また、発光装置1000を、発光装置1000からの光をスクリーン上で走査させることにより、表示面に所望の大きさの画像を表示させる画像形成装置である走査手段を有するような走査型の画像表示装置(プロジェクター)の発光装置(光源装置)にも適用することが可能である。
【0032】
プロジェクター10000によれば、光源として、本発明に係る発光装置を用いることができるため、光軸合わせが容易となる。プロジェクター10000に用いる発光装置の構成等については、以下に説明する。
【0033】
2. 発光素子
次に、本実施形態に係るプロジェクター10000に用いる発光装置1000について、図面を参照しながら説明する。図2は、発光装置1000を模式的に示す平面図であり、図3は、図2のIII−III線断面図であり、図4は、図2のIV−IV線断面図である。なお、図2及び図4では、リッド148については、便宜上、その図示を省略している。また、図3では、便宜上、発光素子100を簡略化して示してある。
【0034】
発光装置1000は、図2〜図4に示すように、パッケージ160と、発光素子100と、サブマウント141と、絶縁部材146と、端子144と、第1接続部材142と、第2接続部材143と、を含むことができる。なお、ここでは、発光素子100がInGaAlP系(赤色)のSLDである場合について説明する。SLDは、半導体レーザーと異なり、端面反射による共振器の形成を抑えることにより、レーザー発振を防止することができる。そのため、スペックルノイズを低減することができる。
【0035】
発光素子100は、ベース140上に実装されている。図示の例では、発光素子100は、サブマウント141を介して、ベース140上に実装されている。発光素子100は、パッケージ160に実装されているともいえる。発光素子100は、図2〜図4に示すように、クラッド層(以下「第1クラッド層」という)110と、その上に形成された活性層108と、その上に形成されたクラッド層(以下「第2クラッド層」という)106と、を有する。発光素子100は、さらに、例えば、基板102と、バッファー層104と、コンタクト層112と、電極(以下「第1電極」という)122と、電極(以下「第2電極」という)120と、を有することができる。
【0036】
基板102としては、例えば、第1導電型(例えばn型)のGaAs基板などを用いることができる。
【0037】
バッファー層104は、例えば図4に示すように、基板102下に形成されていることができる。バッファー層104は、例えば、後述するエピタキシャル成長工程において(図5参照)、バッファー層104の上方に形成される層の結晶性を向上させることができる。バッファー層104としては、例えば、基板102よりも結晶性の良好な(例えば欠陥密度の低い)第1導電型(n型)のGaAs層、InGaP層などを用いることができる。
【0038】
第2クラッド層106は、バッファー層104下に形成されている。第2クラッド層106は、例えば、第1導電型の半導体からなる。第2クラッド層106としては、例えばn型AlGaP層などを用いることができる。
【0039】
活性層108は、第2クラッド層106下に形成されている。活性層108は、例えば、発光素子100においてベース140側に設けられている。即ち、活性層108は、例えば、発光素子100のうち、厚さ方向の中間よりも下側(基板102側とは反対側)に設けられている。活性層108は、例えば、InGaPウェル層とInGaAlPバリア層とから構成される量子井戸構造を3つ重ねた多重量子井戸(MQW)構造を有する。
【0040】
活性層108の一部は、活性層108の電流経路となる利得領域180を構成している。利得領域180には、光を生じさせることができ、この光は、利得領域180内で利得を受けることができる。活性層108の形状は、例えば直方体(立方体である場合を含む)などである。活性層108は、図2に示すように、第1側面107及び第2側面109を有する。第1側面107と第2側面109とは、互いに対向しており、例えば平行である。第1クラッド層110と第2クラッド層106とで挟まれた活性層108は、例えば、積層構造体を構成している。第1側面107および第2側面109は、活性層108の面のうち第1クラッド層110または第2クラッド層106に接していない面であり、積層構造体において、露出している面ともいえる。積層構造体は、さらに、基板102と、バッファー層104と、コンタクト層112と、を有していてもよい。
【0041】
利得領域180は、活性層108を平面的に見て(図2参照)、第1側面107から第2側面109まで、第1側面107の垂線Pに対して傾いた方向に向かって設けられている。これにより、利得領域180に生じる光のレーザー発振を抑制または防止することができる。なお、利得領域180が、ある方向に向かって設けられている場合とは、当該方向が、平面的に見て、利得領域180の第1側面107側の第1端面170の中心と、第2側面109側の第2端面172の中心とを結ぶ方向に一致する場合をいう。
【0042】
また、図示の例では、図2に示すように、利得領域180の第1端面170の幅aは、第2端面172の幅bと同じであるが、異なっていても良い。利得領域180の平面形状は、例えば図2に示すような平行四辺形などである。図示しないが、例えば、利得領域180の平面形状は、曲線状や、直線状と曲線状の組み合わせなどであってもよい。
【0043】
第1クラッド層110は、活性層108下に形成されている。第1クラッド層110は、例えば第2導電型(例えばp型)の半導体からなる。第1クラッド層110としては、例えばp型AlGaP層などを用いることができる。
【0044】
例えば、p型の第1クラッド層110、不純物がドーピングされていない活性層108、及びn型の第2クラッド層106により、pinダイオードが構成される。第1クラッド層110及び第2クラッド層106の各々は、活性層108よりも禁制帯幅が大きく、屈折率が小さい層である。活性層108は、光を増幅する機能を有する。第1クラッド層110及び第2クラッド層106は、活性層108を挟んで、注入キャリア(電子および正孔)並びに光を閉じ込める機能を有する。
【0045】
コンタクト層112は、例えば図4に示すように、第1クラッド層110下に形成されていることができる。コンタクト層112としては、第1電極122とオーミックコンタクトする層を用いることができる。コンタクト層112は、例えば第2導電型の半導体からなる。コンタクト層112としては、例えばp型GaAs層などを用いることができる。
【0046】
第1電極122は、コンタクト層112下に形成されている。第1電極122は、コンタクト層112を介して、第1クラッド層110と電気的に接続されている。第1電極122は、発光素子100を駆動するための一方の電極である。第1電極122としては、例えば、コンタクト層112側からCr層、AuZn層、Au層の順序で積層したものなどを用いることができる。第1電極122の上面は、利得領域180と同様の平面形状を有している。図示の例では、第1電極122とコンタクト層112との接触面の平面形状によって、電極122,120間の電流経路が決定され、その結果、利得領域180の平面形状が決定されることができる。なお、図示しないが、例えば、第2電極120と基板102との接触面が、利得領域180と同じ平面形状を有していても良い。
【0047】
第2電極120は、基板102の上の全面に形成されている。第2電極120は、該第2電極120とオーミックコンタクトする層(図示の例では基板102)と接していることができる。第2電極120は、基板102及びバッファー層104を介して、第2クラッド層106と電気的に接続されている。第2電極120は、発光素子100を駆動するための他方の電極である。第2電極120としては、例えば、基板102側からCr層、AuGe層、Ni層、Au層の順序で積層したものなどを用いることができる。なお、第2クラッド層106とバッファー層104との間に、第2コンタクト層(図示せず)を設け、ドライエッチングなどにより該第2コンタクト層の第2クラッド層106側を露出させ、第2電極120を第2コンタクト層下に設けることもできる。これにより、片面電極構造を得ることができる。第2コンタクト層としては、例えばn型GaAs層などを用いることができる。また、図示しないが、例えば、エピタキシャルリフトオフ(ELO)法、レーザリフトオフ法などを用いて、基板102とその下に設けられた部材とを切り離すことができる。即ち、発光素子100は、基板102を有しないこともできる。この場合には、例えばバッファー層104の直接上に第2電極120を形成することができる。
【0048】
発光素子100では、第1電極122と第2電極120との間に、pinダイオードの順バイアス電圧を印加すると、活性層108の利得領域180において電子と正孔との再結合が起こる。この再結合により発光が生じる。この生じた光を起点として、連鎖的に誘導放出が起こり、利得領域180内を光が進行し、その間に光強度が増幅され、第1端面170から第1出射光L1として出射され、第2端面172から第2出射光L2として出射されることができる。第1出射光L1及び第2出射光L2は、例えば、光の屈折により、第1側面107の垂線Pに対する利得領域180の傾きよりも、さらに傾いた方向に出射されることができる。第1出射光L1の進む向きと第2出射光L2の進む向きとは、例えば、互いに逆方向である。
【0049】
パッケージ160は、図2及び図3に示すように、第1反射面162と、第2反射面164と、反射部163と、ベース140と、リッド148と、を有することができる。
【0050】
第1反射面162は、図3に示すように、第1出射光L1を、発光素子100の上側に向けて反射させることができる。同様に、第2反射面164は、第2出射光L2を、発光素子100の上側に向けて反射させることができる。第1出射光L1は、第1反射面162により反射され、第1反射光L3として、例えば、活性層108の上面に対して垂直上向き(図2のZ方向)に進むことができる。第1出射光L1の進む向きと、第1反射光L3の進む向きとは、例えば直角を成している。同様に、第2出射光L2は、第2反射面164により反射され、第2反射光L4として、例えば、活性層108の上面に対して垂直上向きに進むことができる。第2出射光L2の進む向きと、第2反射光L4の進む向きとは、例えば直角を成している。また、例えば図示の例では、第1反射面162による第1反射光L3の進む向きと、第2反射面164による第2反射光L4の進む向きとは、同じである。第1反射面162の第1出射光L1に対する反射率は、50%より高く、100%以下であることが好ましい。同様に、第2反射面164の第2出射光L2に対する反射率は、50%より高く、100%以下であることが好ましい。
【0051】
第1出射光L1の進む向きは、例えば、図2に示すように、活性層108の上面に平行な面(X−Y平面)と第1反射面162との交線Vに対して直角を成している。同様に、第2出射光L2の進む向きは、例えば、活性層108の上面に平行な面と第2反射面164との交線Wに対して直角を成している。
【0052】
ベース140は、例えば、サブマウント141を介して、間接的に発光素子100を支持することができる。ベース140としては、例えば、板状(直方体形状)の部材に凹部145を設けたものを用いることができる。凹部145の側面は、水平方向(図2のX−Y方向)に対して、例えば45度傾いていることができる。言い換えると、凹部145は、例えば、ベース(板状の部材)140の水平方向に対して、45度傾いている傾斜面(側面)を有することができる。凹部145の側面の数は、例えば4つである。例えば凹部145の4つの側面により、発光素子100は囲まれている。発光素子100は、例えば、ベース(板状の部材)140の水平方向に対して平行に光が出射されるように、配置されることができる。
【0053】
サブマウント141は、例えば、直接的に発光素子100を支持することができる。サブマウント141は、図2〜図4に示すように、ベース140の凹部145の底面の上に形成されている。サブマウント141上には、発光素子100が形成されている。サブマウント141としては、例えば、板状の部材を用いることができる。なお、例えば、サブマウント141を設けずに、ベース140が直接的に発光素子100を支持することもできる。
【0054】
ベース140の熱伝導率は、例えば、サブマウント141の熱伝導率よりも高く、サブマウント141の熱伝導率は、例えば、発光素子100の熱伝導率よりも高い。ベース140およびサブマウント141の各々の熱伝導率は、例えば140W/mK以上である。ベース140およびサブマウント141の各々は、例えば、Cu、Al、Mo、W、Si、C、Be、Auや、これらの化合物(例えば、AlN、BeOなど)や合金(例えばCuMoなど)などからなることができる。また、これらの例示を組み合わせたもの、例えば銅(Cu)層とモリブデン(Mo)層の多層構造などから、ベース140およびサブマウント141の各々を構成することもできる。
【0055】
反射部163は、ベース140の凹部145の側面上に形成されることができる。反射部163は、凹部145の傾斜している側面に沿って形成されているため、反射部163も傾斜している。反射部163の表面のうち、第1出射光L1が入射する面が第1反射面162であり、第2出射光L2が入射する面が第2反射面164である。出射光L1,L2が入射する2つの傾斜面のうちの一方の傾斜面には、第1反射面162が形成され、該2つの傾斜面のうちの他方の傾斜面には、第2反射面164が形成されていることができる。反射部163は、例えば、Al、Ag、Auなどからなることができる。反射部163を設けることにより、反射面162,164の反射率を高くすることができる。なお、例えば、反射部163を設けずに、ベース140の凹部145の傾斜している側面を、第1反射面162及び第2反射面164とすることもできる。
【0056】
ベース140には、図2及び図4に示すように、例えば円柱状の貫通孔147が形成されている。この貫通孔147内には、例えば、絶縁部材146に側面を覆われた円柱状の端子144が設けられている。絶縁部材146は、例えば、樹脂、セラミックス(例えばAlN等)などからなる。端子144は、例えば銅(Cu)などからなる。
【0057】
端子144は、例えば、ボンディングワイヤ等の第1接続部材142により、発光素子100の第2電極120と接続されている。第1接続部材142は、出射光L1,L2の光路を遮らないように設けられている。また、発光素子100の第1電極122は、例えば、めっきバンプ等の第2接続部材143により、サブマウント141と接続されている。サブマウント141は、ベース140と接続されている。従って、端子144とベース140とに異なる電位を与えることにより、第1電極122と第2電極120との間に電圧を印加することができる。
【0058】
リッド148は、例えば、図3に示すように、ベース140上に設けられている。リッド148は、例えば、ベース140の凹部145を密閉して、該凹部145内に設けられた発光素子100を封止することができる。リッド148は、反射光L3,L4の波長に対して透過性のある材質である。これにより、第1反射光L3のうちの少なくとも一部は、リッド148を透過することができ、第2反射光L4のうちの少なくとも一部は、リッド148を透過することができる。リッド148は、例えば、石英、ガラス、水晶、プラスチックなどからなることができる。これらは、反射光L3,L4の波長に応じて適宜選択されることができる。これにより、光の吸収損失を低減することができる。
【0059】
発光装置1000の一例として、発光素子100がInGaAlP系の場合について説明したが、発光素子100は、発光利得領域が形成可能なあらゆる材料系を用いることができる。半導体材料であれば、例えば、AlGaN系、InGaN系、GaAs系、InGaAs系、GaInNAs系、ZnCdSe系などの半導体材料を用いることができる。
【0060】
発光装置1000は、例えば、以下の特徴を有する。
【0061】
発光装置1000では、発光素子100から水平方向に出射された2つの出射光L1,L2を共に発光素子100の上側に向けて反射させることができる。これにより、プロジェクター10000の光学系(例えば、均一化光学系1002R,1002G、1002B(図1参照))の構成を簡素化することができ、プロジェクター10000において光軸合わせを容易化することができる。
【0062】
発光装置1000では、2つの出射光L1,L2を共に同じ向きに向けて反射させることができる。即ち、第1反射面162による第1反射光L3の進む向きと、第2反射面164による第2反射光L4の進む向きとを同じにすることができる。これにより、プロジェクター10000の光学系の構成をさらに簡素化することができ、プロジェクター10000において光軸合わせを容易化することができる。
【0063】
発光装置1000では、反射面162,164は、ベース140と一体的に設けられている。これにより、発光装置1000を小型化することができる。
【0064】
発光装置1000では、2つの反射面162,164の反射率を50%より高くすることができる。これにより、発光素子100の両端から出射される出射光L1,L2を効率良く利用することができる。
【0065】
発光装置1000では、ベース140やサブマウント141の熱伝導率を、発光素子100の熱伝導率よりも高くすることができる。これにより、ベース140やサブマウント141は、ヒートシンクとして機能することができる。したがって、放熱性に優れた発光装置1000を提供することができる。さらに、発光装置1000では、活性層108は、発光素子100においてベース140側に設けられている。これにより、より一層放熱性に優れた発光装置1000を提供することができる。
【0066】
発光装置1000では、リッド148を用いて発光素子100を封止することができる。これにより、発光装置1000の信頼性の向上を図ることができる。
【0067】
発光装置1000によれば、上述したように、利得領域180に生じる光のレーザー発振を抑制または防止することができる。したがって、スペックルノイズを低減させることができる。
【0068】
3. 発光装置の製造方法
次に、本実施形態に係るプロジェクター10000に用いる発光装置1000の製造方法の例について、図面を参照しながら説明するが、以下の例に限定されるわけではない。
【0069】
図5〜図8は、発光装置1000の製造工程を模式的に示す断面図であり、図5〜図7は、図4に示す断面図に対応しており、図8は、図3に示す断面図に対応している。
【0070】
まず、図5に示すように、基板102上に、バッファー層104、第2クラッド層106、活性層108、第1クラッド層110、及びコンタクト層112を、この順でエピタキシャル成長させる。エピタキシャル成長させる方法としては、例えば、MOCVD(Metal-Organic Chemical Vapor Deposition)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法などを用いることができる。
【0071】
次に、図6に示すように、コンタクト層112上に第1電極122を形成する。第1電極122は、例えば、真空蒸着法により全面に導電層を形成した後、該導電層をフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いてパターニングすることにより形成される。また、第1電極122は、例えば、真空蒸着法およびリフトオフ法の組み合わせ等により、所望の形状に形成されることもできる。
【0072】
次に、図6に示すように、基板102の下面全面の下に第2電極120を形成する。第2電極120の製法は、例えば、上述した第1電極122の製法の例示と同じである。なお、第1電極122及び第2電極120の形成順序は、特に限定されない。
【0073】
以上の工程により、図6に示すように、発光素子100が得られる。次に、発光素子100の第1電極122の上に、例えばめっき法などにより、第2接続部材143を形成することができる。
【0074】
次に、例えば金型成型などにより、所望の形状のベース140を作製することができる。次に、図7に示すように、公知の方法によりベース140に貫通孔147を設ける。次に、貫通孔147の内側の側面を覆うように絶縁部材146を形成する。絶縁部材146は、貫通孔147を塞がないように形成される。絶縁部材146は、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法などにより成膜される。次に、絶縁部材146の内側に棒状の端子144を挿入する。なお、棒状の端子144の周囲に絶縁部材146を形成したものを、貫通孔147に挿入する方法を用いることもできる。
【0075】
次に、図8に示すように、ベース140の所望の領域に反射部163を形成することができる。反射部163は、例えば、所望の領域以外をフォトレジスト等のマスクで覆い、蒸着法などを用いて形成されることができる。なお、反射部163の形成は、例えば、上記貫通孔147の形成前に行われることもできる。
【0076】
次に、サブマウント141をベース140に実装することができる。次に、図4に示すように、発光素子100を裏返して、即ち、発光素子100のうちの活性層108側をベース140側に向けて(ジャンクションダウン)、サブマウント141に発光素子100をフリップチップ実装することができる。なお、発光素子100をサブマウント141に実装した後に、サブマウント141をベース140に実装しても良い。
【0077】
次に、図4に示すように、端子144と、発光素子100の第2電極120とを、第1接続部材142により接続する。本工程は、例えばワイヤーボンディングなどにより行われる。
【0078】
次に、図3に示すように、リッド148を、例えば窒素雰囲気中でベース140に接着または溶接する。これにより、発光素子100を封止することができる。
【0079】
以上の工程により、発光装置1000が得られる。
【0080】
4. 発光装置の変形例
次に、本実施形態に係るプロジェクターに用いる発光装置の変形例について説明する。以下、変形例に係る発光装置において、発光装置1000の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0081】
(1)第1変形例に係る発光装置
まず、第1変形例に係る発光装置1100について、図面を参照しながら説明する。図9は、発光装置1100を模式的に示す平面図である。
【0082】
発光装置1000の例では、図2に示すように、発光素子100の外縁の4つの側面の各々に対して、ベース140の外縁の4つの側面の各々が平行ではない場合について説明した。これに対し、本変形例では、図9に示すように、発光素子100の外縁の4つの側面の各々に対して、ベース140の外縁の4つの側面の各々を平行にして揃えることができる。図示の例では、ベース140の凹部の傾斜している側面の数は6つであり、そのうちの2つの上に形成された反射部163の表面が第1反射面162及び第2反射面164である。本変形例においても、例えば、第1出射光L1の進む向きは、水平面(X−Y平面)と第1反射面162との交線Vに対して直角を成し、第2出射光L2の進む向きは、水平面と第2反射面164との交線Wに対して直角を成していることができる。
【0083】
(2)第2変形例に係る発光装置
次に、第2変形例に係る発光装置1200,1300について、図面を参照しながら説明する。図10は、発光装置1200を模式的に示す平面図である。図11は、本変形例に係る別の発光装置1300を模式的に示す平面図であり、図12は、図11のXII−XII線断面図である。
【0084】
発光装置1000の例では、図2に示すように、利得領域180が1つ設けられている場合について説明した。これに対し、本変形例では、利得領域180は、複数(例えば図示の例では3つ)設けられていることができる。本変形例では、例えば、図10に示すように、3つの利得領域180の第1端面170に対する第1反射面(第1出射光L1を反射させる面)の各々が、全体として1つの平面166を構成していることができる。同様に、本変形例では、例えば、3つの利得領域180の第2端面172に対する第2反射面(第2出射光L2を反射させる面)の各々が、全体として1つの平面168を構成していることができる。図10に示す例では、3つの第1出射光L1の第1端面170から第1反射面(即ち平面166)までの光路長の各々は、異なる値である。例えば、3つの第1端面170のうち、平面166に近いものほど、そこから出射される第1出射光L1の第1端面170から平面166までの光路長は短くなっている。また、図示の例では、3つの第2出射光L2の第2端面172から第2反射面(即ち平面168)までの光路長の各々についても同様である。
【0085】
また、本変形例では、例えば、図11及び図12に示すように、3つの利得領域180の第1端面170に対する第1反射面162の各々は、第1出射光L1の第1端面170から第1反射面162までの光路長が同じになる位置に設けられていることができる。同様に、本変形例では、例えば、3つの利得領域180の第2端面172に対する第2反射面164の各々は、第2出射光L2の第2端面172から第2反射面164までの光路長が同じになる位置に設けられていることができる。図11及び図12に示す例では、図10に示す例とは異なり、3つの第1反射面162の各々は、1つの平面を構成せずに、別個の平面である。また、図示の例では、3つの第2反射面164の各々についても同様である。
【0086】
(3)第3変形例に係る発光装置
次に、第3変形例に係る発光装置1400について、図面を参照しながら説明する。図13は、本変形例に係る発光装置1400を模式的に示す断面図である。なお、図13に示す断面図は、発光装置1000の例における図3に示す断面図に対応している。
【0087】
発光装置1000の例では、第1電極122の上から下まで、利得領域180と同じ平面形状を有する場合について説明した。これに対し、例えば、図13に示す例では、第1電極122の下部は、利得領域180と異なる平面形状を有することができる。本変形例では、コンタクト層112下に、開口部を有する絶縁層202を形成し、該開口部を埋め込む第1電極122を形成することができる。第1電極122は、開口部内および絶縁層(開口部含む)202下に形成されている。本変形例では、第1電極122の上部は、利得領域180と同じ平面形状を有し、第1電極122の下部は、絶縁層202と同じ平面形状を有している。絶縁層202としては、例えば、SiN層、SiO層、ポリイミド層などを用いることができる。絶縁層202は、例えば、CVD法、塗布法などにより成膜される。第1電極122は、例えば、直接、サブマウント141に接合される。この接合は、例えば、合金接合や、半田ペーストを用いた接合などにより行われる。
【0088】
本変形例によれば、発光装置1000の例に比べ、第1電極122の下部の体積を増やすことができるため、放熱性に優れた発光装置1400を提供することができる。
【0089】
(4)第4変形例に係る発光装置
次に、第4変形例に係る発光装置1500,1600について、図面を参照しながら説明する。図14は、発光装置1500を模式的に示す断面図である。図15は、本変形例に係る別の発光装置1600を模式的に示す断面図である。なお、図14及び図15に示す断面図の各々は、発光装置1000の例における図3に示す断面図に対応している。
【0090】
発光装置1000の例では、図3に示すように、第1反射光L3及び第2反射光L4が、活性層108の上面に対して垂直上向き(図2のZ方向)に進む場合について説明した。これに対し、本変形例では、第1反射光L3及び第2反射光L4のうちの少なくとも一方は、活性層108の上面に対して垂直上向きに進まないことができる。例えば、図14に示すように、第1反射光L3及び第2反射光L4は、鉛直方向(図2のZ方向)から同じ側に傾いた方向に進むことができる。図14に示す例では、第1反射光L3の進む向きと、第2反射光L4の進む向きとは、同じである。また、例えば、図15に示すように、第1反射光L3は、鉛直方向から一方の側に傾いた方向に進むことができ、第2反射光L4は、鉛直方向から他方の側に傾いた方向に進むことができる。図15に示す例では、第1反射光L3の進む向きと、第2反射光L4の進む向きとは、広がる方向であるが、図示しないが、狭まる方向であっても良い。なお、本変形例においても、第1反射光L3及び第2反射光L4は、発光素子100の上側に向けて進むことができる。本変形例では、第1反射面162及び第2反射面164の傾斜する角度は、適宜調整されている。
【0091】
(5)第5変形例に係る発光装置
次に、第5変形例に係る発光装置1700について、図面を参照しながら説明する。図16は、発光装置1700を模式的に示す断面図である。なお、図16は、発光装置1000の例における図3に示す断面図に対応している。
【0092】
発光装置1000の例では、図3に示すように、凹部145の側面が水平方向に対して、45度傾いている場合について説明した。これに対し、発光装置1700では、凹部145の側面が凹面形状であることができる。例えば、反射面162,164が形成される2つの凹部145の側面(第1凹面145a,第2凹面145b)が、凹面形状であることができる。凹部145は、第1凹面145aおよび第2凹面145bを有しているともいえる。第1凹面145aに形成された反射部163の表面が第1反射面162であり、第2凹面145bに形成された反射部163の表面が第2反射面164である。すなわち、第1反射面162および第2反射面164は、凹面ミラーであることができる。発光装置1700においても、発光素子100から水平方向に出射された2つの出射光L1,L2を共に発光素子100の上側に向けて反射させることができる。また、2つの出射光L1,L2を共に同じ向きに向けて反射させることができる。
【0093】
第1凹面145aおよび第2凹面145bは、例えば、放物面であることができる。すなわち、第1反射面162および第2反射面164は、放物面ミラーであることができる。また、発光素子100の第1端面170が、例えば、第1凹面145aの焦点に位置するように配置され、発光素子100の第2端面172が、例えば、第2凹面145bの焦点に位置するように配置されている。これにより、発光素子100から水平方向に出射された2つの出射光L1,L2を共に同じ向きに向けて反射させることができ、かつ平行光に変換することができる。発光装置1700によれば、放射角が大きい出射光L1,L2を、平行光に変換することができるため、光の利用効率を向上させることができる。
(6)第6変形例に係る発光装置
次に、第6変形例に係る発光装置1800について、図面を参照しながら説明する。図17は、発光装置1800を模式的に示す断面図である。なお、図17に示す断面図は、発光装置1000の例における図4に示す断面図に対応している。
【0094】
発光装置1000の例では、図4に示すように、活性層108は、発光素子100においてベース140側に設けられていた。これに対し、発光装置1800では、図17に示すように、活性層108は、発光素子においてベース140とは反対側に設けられている。すなわち、活性層108は、発光素子100のうち、厚さ方向の中間よりも上側に設けられている。発光装置1800では、活性層108とベース140との間に基板102が設けられている。第2電極120は、例えば、第2接続部材143により、サブマウント141と接続されている。また、第1電極122は、例えば、第1接続部材142により、端子144と接続されている。
【0095】
発光装置1800によれば、活性層108とベース140との間に基板102が設けられているため、発光装置1000の例に比べて、少なくとも基板102の厚み分、活性層108はベース140から離れた位置に設けられている。そのため、より良好な形状(断面形状)の出射光を得ることができる。例えば、利得領域180からの出射光の放射角が大きいと、出射光がベース140によって遮られ、出射光の形状が歪んでしまう場合がある。発光装置1800では、このような問題を回避することができる。
【0096】
(7)第7変形例に係る発光装置
次に、第7変形例に係る発光装置1900について、図面を参照しながら説明する。図18は、発光装置1900を模式的に示す断面図である。なお、図18に示す断面図は、発光装置1000の例における図4に示す断面図に対応している。
【0097】
発光装置1000の例では、いわゆる利得導波型について説明した。これに対し、発光装置1900では、いわゆる屈折率導波型であることができる。
【0098】
すなわち、発光装置1900では、図18に示すように、コンタクト層112と、第1クラッド層110の一部とは、柱状部610を構成することができる。柱状部610の平面形状は、利得領域180と同じである。例えば、柱状部610の平面形状によって、電極120,122間の電流経路が決定され、その結果、利得領域180の平面形状が決定される。なお、図示はしないが、柱状部610は、例えば、コンタクト層112、第1クラッド層110、および活性層108から構成されていてもよいし、さらに、第2クラッド層106をも含んで構成されていてもよい。また、柱状部610の側面を傾斜させることもできる。
【0099】
柱状部610の側方には、絶縁部602が設けられている。絶縁部602は、柱状部610の側面に接していることができる。絶縁部602としては、例えば、SiN層、SiO層、ポリイミド層などを用いることができる。絶縁部602は、例えば、CVD法、塗布法などにより形成される。電極120,122間の電流は、絶縁部602を避けて、該絶縁部602に挟まれた柱状部610を流れることができる。絶縁部602は、活性層108の屈折率よりも小さい屈折率を有することができる。これにより、平面方向(活性層108の厚み方向と直交する方向)において、利得領域180内に効率良く光を閉じ込めることができる。
【0100】
なお、上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【0101】
上記のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できよう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0102】
100 発光素子、102 基板、104 バッファー層、106 第2クラッド層、
107 第1側面、108 活性層、109 第2側面、110 第1クラッド層、
112 コンタクト層、120 第2電極、122 第1電極、140 ベース、
141 サブマウント、142 第1接続部材、143 第2接続部材、144 端子、
145 凹部、145a 第1凹面、145b 第2凹面、146 絶縁部材、
147 貫通孔、148 封止部材、160 パッケージ、162 第1反射面、
163 反射部、164 第2反射面、166,168 平面、170 第1端面、
172 第2端面、180 利得領域、202 絶縁層、600 発光素子、
602 絶縁部、610 柱状部、
1000,1100,1200,1300,1400,1500,1600,1700,1800,1900 発光装置、1002 均一化光学系、1002a ホログラム、
1002b フィールドレンズ、1004 液晶ライトバルブ、
1006 クロスダイクロイックプリズム、1008 投写レンズ、
1010 スクリーン、10000 プロジェクター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光装置と、
前記発光装置から出射された光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置によって形成された画像を投射する投射装置と、
を含み、
前記発光装置は、
スーパールミネッセントダイオードであって、第1クラッド層と第2クラッド層とに挟まれる活性層に電流を通すことで発光する発光素子と、
前記発光素子を支持し、かつ前記発光素子から出射される光を反射させる第1反射面と第2反射面とが形成されたベースと、を有し、
前記発光素子は、第1端面と第2端面の2箇所から光が出射される構成をなし、
前記発光素子の前記第1端面から出射される第1出射光の方向と、前記発光素子の前記第2端面から出射される第2出射光の方向とは、互いに逆方向をなし、
前記第1反射面は、前記第1出射光を反射させ、
前記第2反射面は、前記第2出射光を反射させ、
前記第1反射面によって反射される前記第1反射光の方向と、前記第2反射面によって反射される前記第2反射光の方向とは、同じ方向である、プロジェクター。
【請求項2】
請求項1において、
前記ベースは、板状の部材に凹部を設けた構造をしており、
前記凹部は、前記板状の部材の水平方向に対して45度傾斜した2つの傾斜面を有し、
前記発光素子は、前記板状の部材の水平方向に対して平行に光が出射されるように配置され、
前記2つの傾斜面のうちの一方の傾斜面には、前記第1反射面が形成され、前記2つの傾斜面のうちの他方の傾斜面には、前記第2反射面が形成されている、プロジェクター。
【請求項3】
請求項1において、
前記ベースは、板状の部材に凹部を設けた構造をしており、
前記凹部は、凹面形状である第1凹面および第2凹面を有し、
前記第1凹面には、前記第1反射面が形成され、
前記第2凹面には、前記第2反射面が形成されている、プロジェクター。
【請求項4】
請求項3において、
前記第1凹面および前記第2凹面は、放物面であり、
前記第1端面は、前記第1凹面の焦点に位置し、
前記第2端面は、前記第2凹面の焦点に位置している、プロジェクター。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、
さらに、前記第1反射光および前記第2反射光に対して透過性のある材質のリッドを含み、
前記発光素子は、前記リッドによって封止されている、プロジェクター。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項において、
前記ベースの熱伝導率は、前記発光素子の熱伝導率よりも高い、プロジェクター。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項において、
前記活性層は、前記発光素子において前記ベース側に設けられている、プロジェクター。
【請求項8】
請求項1ないし6のいずれか1項において、
前記活性層は、前記発光素子において前記ベース側とは反対側に設けられ、
前記発光素子は、さらに、前記第1クラッド層と前記第2クラッド層とに挟まれる前記活性層が形成される基板を有し、
前記活性層と前記ベースとの間に、前記基板が設けられている、プロジェクター。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2011−61075(P2011−61075A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−210579(P2009−210579)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】