説明

プロスタグランジン活性を有する置換シクロペンタン類

本明細書において、下記の式を有する化合物を開示する。
【化1】


また、該化合物に関連する治療方法、医薬品および組成物も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願との相互参照)
本出願は、2007年11月29日に出願された米国仮出願第60/991,003号の権利を主張する;該出願は、その全体を参考として本明細書に合体させる。
【背景技術】
【0002】
眼圧降下剤は、術後およびレーザー線維柱帯切除術後の高眼圧症エピソード、緑内障のような多くの各種高眼圧症状の治療において、さらに、術前補助薬として有用である。
緑内障は、眼圧上昇に特徴を有する眼の疾患である。その病因に基づき、緑内障は、原発性または続発性として分類されている。例えば、成人における原発性緑内障(先天性緑内障)は、開放隅角または急性もしくは慢性閉塞隅角のいずれかであり得る。続発性緑内障は、ブドウ膜炎、眼球腫瘍または膨化白内障のような先在眼疾患に由来する。緑内障は、40歳以上の全人口の約2%において発症し、急速な失明に進行する前の数年間は無症状であり得る。
【0003】
原発性緑内障の根底にある原因は、今のところ未知である。眼圧上昇は、房水流出の障害に基づく。慢性開放隅角緑内障においては、前眼房およびその解剖構造は正常のようであるが、房水の排出が阻害されている。急性または慢性閉塞隅角緑内障においては、前眼房が浅く、濾過胞角が狭窄し、虹彩が小柱網をシュレム管の入口で遮断し得る。瞳孔散大は、虹彩の根元を隅角の前方へ押圧し得、また、瞳孔ブロックを発生させ得、従って、急性発作が生ずる。狭前眼房角を有する目は、種々の重症度の急性閉塞隅角緑内障発作にかかりやすい。
【0004】
続発性緑内障は、房水の後眼房から前眼房への、そして、その後のシュレム管への流れによる何らかの干渉に起因する。前眼部の炎症性疾患は、膨隆虹彩内に完全虹彩後癒着を生じることによって房水散逸を妨げ得、排出チャンネルを滲出液で閉塞し得る。他の一般的な病因は、眼球腫瘍、膨化白内障、網膜中心静脈閉塞症、眼の外傷、手術処置および眼内出血である。
【0005】
手術が適応でない場合においては、プロスタグランジンおよびプロスタマイドが、最近、緑内障の一次治療となっている。ある種のエイコサノイド類およびその誘導体は、緑内障の管理に使用するのに現在商業的に入手可能である。エイコサノイド類および誘導体としては、プロスタグランジン類およびその誘導体のような多くの生物学的に重要な化合物がある。プロスタグランジン類は、下記の構造式を有するプロスタン酸の誘導体として説明することができる。
【化1】

【0006】
種々のタイプのプロスタグランジンが、プロスタン酸骨格の構造およびその脂環式環上に担持された置換基に応じて知られている。さらなる分類は、包括的タイプのプロスタグランジンの後の下付き数字[例えば、プロスタグランジンE1(PGE1)、プロスタグランジンE2(PGE2)]によって示される側鎖中の不飽和結合の数、およびαまたはβ[例えば、プロスタグランジンF(PGF)]によって示される脂環式環上の置換基の構造に基づく。
【発明の概要】
【0007】
本明細書においては、下記の式によって示される化合物を開示する:
【化2】


(式中、点線は、結合の存在または不存在を示し;
Yは、0〜14個の炭素原子を有し、そして、有機酸官能基またはそのアミドもしくはエステル、ヒドロキシメチルまたはそのエーテル、或いはテトラゾリル官能基であり;
Aは、6個の原子のインターアリール化した線状のアルキル、エーテルまたはチオエーテル鎖であり;
Xは、ハロ、=O、‐OH、=S、‐SH、‐CF3、‐CN、=CH2、1〜6個の炭素原子を有する=CHアルキルまたは=C(アルキル)2であり;
Zは、ハロ、‐OH、‐OR、‐SH、‐CF3または‐CNであり;そして、
各Rは、個々に、‐H、C1‐6アルキル、C1‐6ヒドロキシアルキルまたはC1‐6アシルである)。
【0008】
これらの化合物は、眼内圧を降下させるのに有用である。眼内圧を降下させて、原発性開放隅角緑内障の発症を遅延または阻止すること、さらに、原発性開放隅角緑内障患者におけるさらなる失明を遅延または阻止することは証明されている。従って、これらの化合物は、緑内障の治療においても有用である。種々のタイプの適切な投与剤形および医薬品は、当該技術において周知であり、本明細書において開示する化合物の伝達に当って容易に適応化し得る。例えば、上記化合物は、適切なpHに緩衝させている水性溶液またはエマルジョン中に溶解または懸濁させ、哺乳類の眼に局所投与し得る(米国第7,091,231号参照)。
【0009】
1つの実施態様は、本明細書において開示する化合物を、必要とする哺乳類に投与することを含む眼内圧の降下方法である。
もう1つの実施態様は、本明細書において開示する化合物の、緑内障の治療用医薬品の製造における使用である。
本明細書において開示する化合物と眼科的に許容し得る賦形剤とを含む眼科的に許容し得る液体。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の目的においては、“治療する(treat)”、“治療(treating)”または“治療(treatment)”とは、疾病または他の望ましくない状態の診断、治療、緩和、処置または予防を称する。
特に断らない限り、化合物に関する言及は、上記構造または化学名を有する化学存在物の製薬上許容し得る塩、プロドラッグ、互変体、代替固体形状物、非共有複合体およびそれらの組合せを包含するものと広く解釈すべきである。
【0011】
製薬上許容し得る塩は、動物またはヒトに投与するのに適する親化合物の任意の塩である。また、製薬上許容し得る塩は、酸、他の塩、または酸もしくは塩に転換するプロドラッグの投与の結果として生体内で生じ得る任意の塩も称する。塩は、1個以上の相応する対イオンと結合した、共役酸または塩基のような1個以上のイオン形の上記化合物を含む。塩は、1個以上の脱プロトン化酸性基(例えば、カルボン酸)、1個以上のプロトン化塩基性基(例えば、アミン)、または双方(例えば、両性イオン)から生じるか或いはこれらを取込み得る。
【0012】
プロドラッグは、投与後に治療活性化合物に転換する化合物である。例えば、転換は、エステル基またはある種の他の生物学的に不安定な基の加水分解によって生じ得る。プロドラッグ製剤は、当該技術において周知である。例えば、Richard B. Silverman, Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action, 2nd Ed., Elsevier Academic Press: Amsterdam, 2004, pp. 496‐557の1つの章である“Prodrugs and Drug Delivery Systems”は、その題材についてのさらなる詳細を提供している。とりわけ、メチル、エチル、イソプロピル等を有するようなアルキルエステルを意図する。また、ヒドロキシルまたはモルフォリンのような極性基を含有するプロドラッグも意図する。そのようなプロドラッグの例としては、‐CO2(CH2)2OH成分または下記の式の成分等を含有する化合物がある:
【化3】

【0013】
従って、下記の式によって示される化合物が、有用なプロドラッグの例である。
【化4】

【0014】
互変体は、互いに急速平衡にある異性体である。例えば、互変体は、プロトン、水素原子または水酸化物イオンの移動に関連する。
立体化学的に明確且つ一義的に断らない限り、構造体は、純粋なまたは任意の可能性ある混合物中双方でのあらゆる可能性ある立体異性体を包含するものとする。
【0015】
代替固体形状物は、本明細書において説明する方法を実施することにより生じ得る形状物とは異なる固体形状物である。例えば、代替固形状物は、多形体物、種々の種類の非晶質固体形状物、ガラス状物等であり得る。
非共有複合体は、上記化合物と、上記化合物とさらなる化学種間の共有結合相互作用に関与しない1種以上のさらなる化学種との間で形成し得る複合体である。これらの非共有複合体は、上記化合物とさらなる化学種間で特定の比率を有していても或いは有していなくてもよい。例としては、溶媒和物、水和物、電荷移動複合体等があり得る。
【0016】
Yは、有機酸官能基またはそのアミドもしくはエステルであるか;或いは、Yは、ヒドロキシメチルまたはそのエーテルであるか、;或いは、Yは、テトラゾリル官能基である。本開示の目的においては、Yは、0〜14個の炭素原子、0〜5個の酸素原子、0〜2個の窒素原子、0〜2個のイオウ原子、0〜1個のリンおよび任意の必要な水素原子に限られる。
【0017】
有機酸官能基は、有機分子上の酸性官能基である。限定するつもりはないが、有機酸官能基は、炭素、イオウまたはリンの酸化物を含み得る。従って、本発明の範囲を如何なる形でも限定するものではないが、ある種の化合物においては、Yは、カルボン酸、スルホン酸またはホスホン酸官能基である。
有機酸官能基のアミドおよびエステルは、窒素または酸素原子に直接結合したカルボニル基である。即ち、カルボン酸、スルホン酸およびホスホン酸官能基のアミドまたはエステルを下記に示す。
【化5】

【0018】
また、アミドは、‐SO2‐成分も有し得る。例えば、アミド‐CONHSO2R3 (式中、R3は、1〜14個の炭素原子を有するヒドロカルビルである)を意図する。R、R1、R2およびR3は、Yが14個よりも多い炭素原子を有し得ないという限定を条件として、ヒドロカルビルである。
【0019】
ヒドロカルビルは、限定するものではないが、下記のような炭素と水素からなる成分である:
a. 下記のような、二重結合または三重結合を含有しないヒドロカルビルであるアルキル:
・線状アルキル、例えば、メチル、エチル、n‐プロピル、n‐ブチル、n‐ペンチル、n‐ヘキシル等;
・枝分れアルキル、例えば、イソ‐プロピル、t‐ブチルおよび他の枝分れブチル異性体、枝分れペンチル異性体等;
・シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等;
・線状、枝分れおよび/またはシクロアルキルの組合せ;
b. 線状、枝分れまたはシクロアルケニルのような、1個以上の二重結合を有するヒドロカルビルであるアルケニル;
c. 線状、枝分れまたはシクロアルキニルのような、1個以上の三重結合を有するヒドロカルビルであるアルキニル;
d. 非置換またはヒドロカルビル置換フェニル;および、
e. アルキル、アルケニルおよび/またはアルキニルの組合せ。
【0020】
C1‐6ヒドロカルビルは、1、2、3、4、5または6個の炭素原子を有するヒドロカルビルである。
C1‐6アルキルは、メチル、エチル、各プロピル異性体、各ブチル異性体、各ペンチル異性体および各ヘキシル異性体等のような1、2、3、4、5または6個の炭素原子を有するアルキルである。
【0021】
非置換テトラゾリル官能基は、2つの互変異性形を有し、水性または生物学的媒質中で急速に相互転換し得、従って、互いに等価である。これらの互変体を下記に示す。
【化6】

【0022】
さらに、R2がC1〜C6アルキル、フェニルまたはビフェニルである場合、下記に示すもののような他の異性体形のテトラゾリル官能基も可能であり、C14までの非置換およびヒドロカルビル置換テトラゾリルは、用語“テトラゾリル”の範囲内であるとみなす。
【化7】

【0023】
1つの実施態様においては、Yは、‐CO2R4、‐CONR5R6、‐CON(CH2CH2OH)2、‐CONH(CH2CH2OH)、‐CH2OH、‐P(O)(OH)2、‐CONHSO2R4、‐SO2NR5R6、下記である;但し、Yは、14個よりも多い炭素原子を有さないことを条件とする:
【化8】


(式中、R4、R5およびR6は、個々に、H、C1〜C6アルキル、C1‐6ヒドロキシアルキル、非置換フェニルまたは非置換ビフェニルである)。
【0024】
Aは、6個の原子のインターアリール化した線状のアルキル、エーテル、チオエーテル鎖である。換言すれば、Aは、1個または2個の線状アルキル、線状エーテルまたは線状チオエーテルフラグメント(L)とインターアリーレン成分(Ar)とからなり、構造‐L‐Ar‐L‐、‐Ar‐L‐または‐L‐Ar−を形成する。L基の1個または2個の原子とArからの2個、3個または4個の原子が、上記構造の置換シクロペンチルをYと連結する6個の原子鎖を形成する。従って、Aは、下記の基本構造の1つを有し得、式中、a) 線状部分(L)は、1個以上の炭素原子の代りに‐S‐または‐O‐を有し得;b) 環は、置換し得;c) 環は、CHの代わりに1個以上の窒素原子を有し得;d) そして、Qは、‐S‐、‐O‐または‐NH‐である。
【0025】
【化9】

【0026】
【化10】

【0027】
【化11】

【0028】
従って、Qが‐S‐、‐O‐または‐NH‐であり、上記の環がCHの代わりに1個以上の窒素原子を有し得るので、上記の環は、例えば、置換および非置換双方のピリジニル、ピラジニル、イミダゾール、チアゾール、オキサゾール等であり得る。
線状エーテルフラグメントは、‐O‐アルキル、‐アルキル‐O‐、‐アルキル‐O‐アルキル‐または‐O‐CH2CH2‐O‐であり、アルキルは線状である。
線状チオエーテルフラグメントは、‐S‐アルキル、‐アルキル‐S‐、‐アルキル‐S‐アルキル‐または‐S‐CH2CH2‐S‐であり、アルキルは線状である。
【0029】
インターアリーレンは、分子の2つの他の部分、即ち、L‐と‐L、L‐と‐Y、または上記シクロペンチルと‐Lを連結するアリールである。このインターアリーレン成分は、このインターアリーレンを連結している上記2つに他の部分以外に、分子の残余に対しての置換基を有し得る。環が担持する限り数の置換基が存在し得、置換基は、存在する場合、1〜4個の炭素原子を有するアルキル、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、‐S‐アルキルまたはアミノ(即ち、‐NH2、‐NHアルキル、‐N(アルキル)2);ハロ(‐F、‐Cl、‐Br、‐I);‐CNまたは‐CO2Hから選ばれる。
【0030】
Xは、ハロ、=O、‐OH、=S、‐SH、‐CF3、‐CN、=CH2、1〜6個の炭素原子を有する=CHアルキルまたは=C(アルキル)2である。=C(alkyl)2のアルキル成分は、独立している、即ち、アルキル成分は、同一または異なるものであり得る。従って、例えば、Xは、下記に示す基の1つであり得る。
【化12】

【0031】
1つの実施態様においては、Xは、ハロである。
もう1つの実施態様においては、Xは、‐Fである。
もう1つの実施態様においては、Xは、‐Clである。
もう1つの実施態様においては、Xは、‐Brである。
もう1つの実施態様においては、Xは、‐Iである。
【0032】
もう1つの実施態様においては、Xは、=Oである。例えば、化合物は、下記に示す構造を有し得る。
【化13】

【0033】
もう1つの実施態様においては、Xは、‐OHである。
もう1つの実施態様においては、Xは、=Sである。
もう1つの実施態様においては、Xは、‐SHアルキルである。
もう1つの実施態様においては、Xは、‐CF3である。
もう1つの実施態様においては、Xは、‐CNである。
もう1つの実施態様においては、Xは、=CH2である。
もう1つの実施態様においては、Xは、=CHアルキルである。
もう1つの実施態様においては、Xは、=C(アルキル)2である。
【0034】
1つの実施態様においては、Zは、ハロである。
もう1つの実施態様においては、Zは、‐Fである。
もう1つの実施態様においては、Zは、‐Clである。
もう1つの実施態様においては、Zは、‐Brである。
もう1つの実施態様においては、Zは、‐Iである。
もう1つの実施態様においては、Zは、‐OHである。
もう1つの実施態様においては、Zは、‐ORである。
もう1つの実施態様においては、Zは、‐SHである。
もう1つの実施態様においては、Zは、‐CF3である。
もう1つの実施態様においては、Zは、‐CNである。
【0035】
各Rは、個々に、‐H、C1‐6アルキル、C1‐6ヒドロキシアルキルまたはC1‐6アシルである。
ヒドロキシアルキルは、‐アルキル‐OHである。C1‐6ヒドロキシアルキルは、1〜6個の炭素原子を有するヒドロキシアルキルである。例としては、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル等がある。
【0036】
アシルは、下記である:
【化14】


C1‐6アシルは、1〜6個の炭素原子を有するアシルである。
【0037】
1つの実施態様は、下記の式によって示される化合物である:
【化15】

【0038】
もう1つの実施態様は、下記の式によって示される化合物である:
【化16】


もう1つの実施態様においては、Rは、上記の構造においてC1‐6アルキルである。
もう1つの実施態様においては、Rは、上記の構造においてC1‐6ヒドロキシアルキルである。
もう1つの実施態様においては、Rは、上記の構造においてC1‐6アシルである。
【0039】
もう1つの実施態様は、下記の式によって示される化合物である:
【化17】


もう1つの実施態様においては、Rは、上記の構造においてC1‐6アルキルである。
もう1つの実施態様においては、Rは、上記の構造においてC1‐6ヒドロキシアルキルである。
もう1つの実施態様においては、Rは、上記の構造においてC1‐6アシルである。
【0040】
もう1つの実施態様は、下記の式によって示される化合物である:
【化18】


もう1つの実施態様においては、Rは、上記の構造においてC1‐6アルキルである。
もう1つの実施態様においては、Rは、上記の構造においてC1‐6ヒドロキシアルキルである。
もう1つの実施態様においては、Rは、上記の構造においてC1‐6アシルである。
【0041】
もう1つの実施態様は、下記の式によって示される化合物である:
【化19】

【0042】
有用な化合物の想定例を下記に示す。
【化20】

【0043】
【化21】

【0044】
もう1つの実施態様は、下記の式によって示される化合物である:
【化22】


(式中、L1は、‐(CH3)3‐、‐O(CH2)2‐、‐CH2OCH2‐、‐(CH2)2O‐であり;
Tは、=CH‐または=N‐である;
但し、L1およびYは、互いに1,3の関係を有することを条件とする)。
【0045】
L1およびY間の1,3の関係は、これら2つの基が、間に1個の環原子を有する3個の環炭素原子に結合していることを意味する。例えば、フェニル上のメタ置換基は、1,3の関係を有する。また、下記の実施態様に示す構造も、L1およびY間に1,3‐関係を有し、Sは、L1およびYと結合する2個の炭素原子間の1つの環原子である。
【0046】
もう1つの実施態様は、下記の式によって示される化合物である:
【化23】

【0047】
もう1つの実施態様は、XがF、Cl、=OまたはOHである上記構造によって示される化合物である。
もう1つの実施態様は、ZがOHである上記構造によって示される化合物である。
もう1つの実施態様は、Yが‐CO2Hまたはそのエステルもしくはアミドである上記構造によって示される化合物である。
【0048】
もう1つの実施態様は、下記の式によって示される化合物である:
【化24】

【0049】
もう1つの実施態様は、下記の式によって示される化合物である:
【化25】

【0050】
合成方法
本明細書において開示する化合物を調製する多くの方法が存在するけれども、有用な化合物は、下記の典型的な手順を使用または適応化することによって得ることができる。
【化26】

【0051】
(S)‐メチル CBS‐ボラン試薬 (2)
250mLの二口シュレンンクフラスコに、磁力撹拌棒、N2注入口を装着し、20℃のトルエン中 (S)‐メチルオキサザボロリジン1(1.0M)の75mLを装入した。トルエン容量のおよそ半分を、真空下で穏やかに温めながら蒸発させ、約40mLの2M オキサザボロリジンを得た。ボラン‐ジメチルスルフィド複合体 (10mL、10M、無希釈)を、急速に撹拌しながら一度で添加し、得られた溶液を20℃で30分間撹拌した。その後、ペンタン(200mL)をカニューレによって添加して生成物を沈降させ(15分間の撹拌後に)、次いで、N2下に濾過を行って、固形物を、2回のさらなる200mL部のペンタンで洗浄した。固形物を窒素流下に一定質量まで乾燥させ、19.4g (88%収率)のボラン複合体2を白色固形物として得た。純度を以下のNMR分析によって>90%であると試算した;1H NMR (CDCl3):0.73 (s、3H)、1.29 (m、2H)、1.57 (m、2H)、1.90 (m、2H)、3.18 (dt、1H)、3.37 (m、1H)、4.61 (t、1H)、7.2〜7.6 (m、10H)。
相応する(R)‐メチル CBS‐ボラン試薬を、(R)‐メチルオキサザボロリジンでもって出発し、開始する同じ方法で調製した。
【0052】
エチル 5(R)‐ヒドロキシヘキサノエート(3)
250mLの丸底フラスコに、磁力撹拌棒、N2注入口、タイプ‐J テフロン(登録商標)被覆熱電対を装着し、40mLのジクロロメタン(DCM)中に溶解した6gの(S)‐メチル‐CBS‐ボラン複合体2(20.6ミリモル)を装入した。溶液を−40℃に冷却し、その後、5mLのDCM中のエチル 4‐アセチルブチレート (3g、18.9ミリモル)を−20℃よりも低い内部温度を保つ速度で滴下により添加した。添加終了時に、ドライアイス/イソプロパノール冷却浴を氷浴に代え、内部反応温度を0℃にさらに1時間維持した。G.C. 分析は、5%未満の出発ケトンを示した。反応物を、0℃で2時間後、飽和塩化アンモニウム水溶液(100mL)を慎重に添加することによって処理した。混合物を分液漏斗に移し、酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。分離し混ぜ合せた有機抽出物を塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮し、7gの粗生成物を得た。20%EtOAc‐ヘキサンで溶出する120gのフラッシュ級シリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィー(FCC)により、1.94g (65%)のアルコール3を油状物として得た。G.C.分析は、97.4A%の純度を示した。
1H NMR (CDCl3):1.20 (d、J=3Hz、3H)、1.26 (t、J=7.2Hz、3H)、1.47 (m、2H)、1.71 (m、3H)、2.34 (t、J=7.5Hz、2H)、3.89 (m、1H)、4.13 (q、J=7.2Hz、2H)。
【0053】
エチル 5(R)‐t‐ブチルジメチルシリルオキシヘキサノエート(4)
30mLのDMF中のエチル 5(R)‐ヒドロキシヘキサノエート3(1.80g、11.24ミリモル)、イミダゾール (2.3g、33.8ミリモル)およびt‐ブチルジメチルシリルクロリド(2.54g、16.85ミリモル)を23℃で1夜(19時間)撹拌した。その後、溶媒 (DMF)を真空中で除去し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(100mL)を、次いで、酢酸エチル(100mL)を添加した。各相を分離し、水性相を100mLのEtOAcで再抽出した。混ぜ合せた有機相を水、塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。30gのシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、2.71g (88%)のTBDMS‐エーテル4を得た(99+A%のG.C.純度);1H NMR (CDCl3):0.04 (s、6H)、0.91 (s、9H)、1.18 (d、J=6Hz、3H)、1.25 (t、J=7.2Hz、3H)、1.42 (m、2H)、1.65 (m、2H)、2.39 (t、J=7.5Hz、2H)、3.79 (m、J=6Hz、1H)、4.12 (q、J=7.2Hz、2H)。
【0054】
ジメチル 6(R)‐6‐{[t‐ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}‐2‐オキソヘプチルホスホネート(5)
25mLの−78℃のTHF中のジメチルメチルホスホネート(2.12mL、19.6ミリモル)の溶液に、ヘキサン中のブチルリチウム(13.5mLのヘキサン中1.6M溶液、21.6ミリモル)を添加した。混合物を、この温度で30分間撹拌し、その後、8mLのTHF中のエチル 5(R)‐t‐ブチルジメチルシリルオキシヘキサノエート4(2.7g、9.8ミリモル)の溶液を滴下して添加した。混合物を1夜撹拌し、その間に、温度を25℃の室温に温めた。反応物を、18時間後、TLCによってサンプリングし(生成物のRfは酢酸エチル中で0.6であった)、飽和塩化アンモニウム水溶液(100mL)を添加することによって処理した。生成物を、酢酸エチルによって水性相から抽出し、塩水で洗浄した。混ぜ合せた酢酸エチル抽出物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮して3.7gの粗生成物を得た。3:1 酢酸エチル:ヘキサンで溶出させる120gのシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィー精製によって、2.65g (76%収率)の精製ホスホネート5を透明油状物として得た;1H NMR (CDCl3):0.04 (s、6H)、0.88 (s、9H)、1.11 (d、J=6Hz、3H)、1.30〜1.75 (m、4H)、2.62 (t、J=7.2Hz、2H)、3.08 (d、J=22.5Hz、2H)、3.77 (s、3H)、3.80 (s、3H)。
【0055】
【化27】

【0056】
メチル 5‐(3‐((1R,2R,3R,5R)‐5‐クロロ‐2‐ホルミル‐3‐(テトラヒドロ‐2H‐ピラニ‐2‐イルオキシ)シクロペンチル)プロピル)チオフェン‐2‐カルボキシレート (7)
2mLのジクロロメタン中の330mgのアルコール6 (0.79ミリモル)の溶液を、ピペットにより、5mLのDCM中のPCC (400mg、1.86ミリモル)、酢酸ナトリウム(150mg、1.83ミリモル)およびセライト(600mg)の混合物に添加した。ピペットをさらなる3mLのDCMですすいで添加を完了した。混合物を30℃の水浴内で密封して1.5時間撹拌した。混合物を、10gのシリカゲルによる濾過によって処理し、100mLの1:1 EA:ヘキサンで洗浄した。濾液を真空中で濃縮して粗アルデヒドを油状物として得た。粗生成物を分取薄層クロマトグラフィー(2×2mm厚プレート、1:1 ヘキサン:EtOAcで溶出した)によって精製して238mg (72%)のアルデヒド7を得た;1H NMR (CDCl3):1.53 (br m、6H)、1.6〜1.85 (m、5H)、2.05〜2.72 (m、4H)、2.87 (t、J=6.3Hz、2H)、3.49 (m、1H)、3.80 (m、1H)、3.86 (s、3H)、4.05 (m、1H)、4.55 (m、1H)、4.63 (m、1H)、6.79 (d、J=3.9Hz、1H)、7.63 (d、J=3.9Hz、1H)、9.78 (dd、J=10.8および1.8Hz、1H)。
【0057】
メチル 5‐(3‐((1R,2R,3R,5R)‐2‐((R,E)‐7‐(tert‐ブチルジメチルシリルオキシ)‐3‐オキソオクテ‐1‐エニル)‐5‐クロロ‐3‐(テトラヒドロ‐2H‐ピラニ‐2‐イルオキシ)シクロペンチル)プロピル)チオフェン‐2‐カルボキシレート(8)
0℃の1mlのTHF中の54mgの水素化ナトリウム(60%油中分散物、1.35ミリモル)の懸濁液に、1mlのTHF中のジメチル (6R)‐6‐{[tert‐ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}‐2‐オキソヘプチルホスホネート5 (552mg、1.57ミリモル)の溶液を添加した。混合物を、0℃で30分間撹拌し、その後、1mlのTHF中のアルデヒド7(460mg、1.1ミリモル)の溶液を滴下して添加した。上記アルデヒドを収容していたシリンジを2mLのTHFですすいで添加を終了させ、混合物を25℃で2.5時間撹拌した。反応を飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)のを添加することによって処理し、水性相を酢酸エチル(2×75mL)で抽出した。酢酸エチル層を混ぜ合せ、塩水で洗浄し、30gの無水硫化ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して920mgの粗生成物を得た。10%EtOAc‐ヘキサンで溶出させた24gのシリカゲルカートリッジを使用してのフラッシュクロマトグラフィー精製により、430mg (60%)の精製エノン8を得た;1H NMR (CDCl3):0.05 (s、6H)、0.88 (s、9H)、1.12 (d、J=6.3Hz、3H)、1.37〜1.80 (m、14H)、2.00 (m、1H)、2.20 (m、1H)、2.34 (m、1H)、2.53 (m、1H)、2.54 (t、J=7.2Hz、2H)、2.83 (m、2H)、3.45 (m、1H)、3.80 (m、2H)、3.86 (s、3H)、4.02 (m、1H)、4.17 (m、1H)、4.57 (m、1H)、6.15 (m、1H)、6.77 (m、1H)、7.62 (d、J=3.9Hz)。
【0058】
メチル 5‐(3‐((1R,2R,3R,5R)‐2‐((3S,7R,E)‐7‐(tert‐ブチルジメチルシリルオキシ)‐3‐ヒドロキシオクテ‐1‐エニル)‐5‐クロロ‐3‐(テトラヒドロ‐2H‐ピラニ‐2‐イルオキシ)シクロペンチル)‐プロピル)チオフェン‐2‐カルボキシレート (9)
7mLのジクロロメタン中のエノン8(400mg、0.62ミリモル )の溶液を、−20℃に冷却して急速に撹拌し、その間に、固形の(R)‐メチルCBS‐ボラン複合体2(290mg、1.0ミリモル)を一度に添加した。得られた溶液を−20℃〜−10℃で1時間撹拌した。TLC分析は、この段階で、出発物質残存していないことを示した;反応混合物を1mLのメタノールで失活させ、冷却浴を取除き、混合物を20℃で30分撹拌した。混合物を真空中で濃縮し、溶媒を除去し、残留生成物をシリカゲル(40gのSilicycleカートリッジ)上でのFCCによって精製し、40mgの(15R+S)異性体と325mgの(15S)‐アルコール9を得た;1H NMR (CDCl3):0.03 (s、6H)、0.87 (s、9H)、1.09 (d、J=6.3Hz、3H)、1.30〜1.90 (m、18H)、2.05〜2.35 (m、3H)、2.82 (m、2H)、3.45 (m、1H)、3.76 (m、2H)、3.84 (s、3H)、3.97 (m、1H)、4.07 (m、2H)、4.60 (dt、J=4.2Hz、11.1Hz、1H)、5.57 (m、2H)、6.77 (d、J=3.9Hz、1H)、7.61 (d、J=3.9Hz、1H)。
【0059】
メチル 5‐(3‐((1R,2R,3R,5R)‐5‐クロロ‐2‐((3S,7R,E)‐3,7‐ジヒドロキシオクテ‐1‐エニル)‐3‐(テトラヒドロ‐2H‐ピラニ‐2‐イルオキシ)シクロペンチル)プロピル)チオフェン‐2‐カルボキシレート (10)
1mLのTHF中のシリルエーテル9(325mg、0.51ミリモル)の溶液を、バイアル内で、2mLの1.0M TBAF/THFと一緒に30℃で7.5時間撹拌した。TLCは、出発物質がほぼ脱シリル化されているのを示しており、反応物を真空中で濃縮した。残留粗生成物を50mLの酢酸エチル中で処理し、飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)、塩水 (50mL)で順次洗浄し、10gの無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。混合物を濾過し、真空中で濃縮した。残留生成物を、EtOAc中に溶出させる2×2mm厚のシリカゲルプレート上での分取層クロマトグラフィーにより精製した(Rf = 0.5)。主要帯域の抽出により、214mg (80%)の純粋ジオール10を油状物として得た;1H NMR (CDCl3):1.18 (d、J=6Hz、3H)、1.38〜1.68 (m、11H)、1.66〜2.37 (m、9H)、2.84 (t、J=7.2Hz、2H)、3.47 (m、1H)、3.79 (m、1H)、3.86 (s、3H)、3.98 (p、J=7.5Hz、1H)、4.09 (m、2H)、4.63 (dt、J=3,27Hz、2H)、5.58 (m、2H)、6.78 (dd、J=0.6,3.6Hz、1H)、7.62 (d、J=3.6Hz、1H)。
【0060】
メチル 5‐(3‐((1R,2R,3R,5R)‐5‐クロロ‐2‐((3S,7R,E)‐3,7‐ジヒドロキシオクテ‐1‐エニル)‐3‐ヒドロキシシクロペンチル)プロピル)チオフェン‐2‐カルボキシレート (11)
磁力撹拌棒を備えた20mLバイアルに、6mLのメタノールに溶解した210mgのTHP‐エーテル10(0.40ミリモル)を装入した。その後、これに、300mgのピリジニウム p‐トルエンスルホネート(1.20ミリモル)を添加し、混合物を17℃で17時間に亘って撹拌した。反応物をTLCによってサンプリングし、真空中で濃縮することによって処理してメタノールを除去した。残留生成物を酢酸エチル中に取込ませ、10gのシリカゲルプラグにより濾過し、極性生成物を塩から酢酸エチル(300mL)によって溶出させた。濾液を濃縮して、170mgの生成物を得た。最後の分取薄層クロマトグラフィー精製により、161mg (91%)のトリオール11を油状物として得た;1H NMR (CDCl3):1.18 (d、J=6.3Hz、3H)、1.36〜1.62 (m、8H)、1.77 (m、3H)、1.94 (m、2H)、2.10〜2.34 (m、5H)、2.43 (Br s、1H)、2.83 (m、2H)、3.50 (br s、1H)、3.71 (br s、1H)、3.79 (m、1H)、3.86 (s、3H)、3.98 (m、1H)、4.09 (m、1H)、5.51 (m、2H)、6.78 (dd、J=3.9Hz、1H)、7.62 (d、J=3.9Hz、1H)。
【0061】
5‐(3‐((1R,2R,3R,5R)‐5‐クロロ‐2‐((3S,7R,E)‐3,7‐ジヒドロキシオクテ‐1‐エニル)‐3‐ヒドロキシシクロペンチル)プロピル)チオフェン‐2‐カルボン酸 (12)
1mLのTHF中の76mgのエステル11(0.17ミリモル)の溶液を、360μLの水酸化リチウム水溶液(0.5M、0.18ミリモル)および0.2mLのメタノールにより、24℃で6時間加水分解した。混合物を、固形の硫酸水素ナトリウム(25mg、0.18ミリモル)を添加することによって酸性化し、残留水を真空中で除去した。残留固形物を酢酸エチルで抽出し、生成物の酸を、10%メタノール:90%酢酸エチル中に溶出させる0.5mm厚分取シリカゲルプレート上でのPLCによって精製した。UV‐活性帯域の抽出により、43mgの遊離酸12を油状物として得た (54%収率);1H NMR (CD3OD):1.13 (d、J=6.3Hz、3H)、1.28〜1.63 (m、8H)、1.75〜2.21 (m、6H)、2.86 (t、J=7Hz、2H)、3.70 (m、1H)、4.04 (m、3H)、5.52 (m、2H)、6.86 (br s、1H)、7.58 (br s、1H)。HPLC純度は、100A%であった。LCMS (ESI:M+‐H20):413.2。
【0062】
【化28】

【0063】
ジメチル (S)‐6‐(tert‐ブチルジメチルシリルオキシ)‐2‐オキソヘプチルホスホネート (13)
ジメチル (S)‐6‐(tert‐ブチルジメチルシリルオキシ)‐2‐オキソヘプチルホスホネート13を、スキーム1における化合物5について説明した手順に従い調製した。
【0064】
メチル 5‐(3‐((1R,2R,3R,5R)‐2‐((S,E)‐7‐(tert‐ブチルジメチルシリルオキシ)‐3‐オキソオクテ‐1‐エニル)‐5‐クロロ‐3‐(テトラヒドロ‐2H‐ピラニ‐2‐イルオキシ)シクロペンチル)プロピル)チオフェン‐2‐カルボキシレート (14)
0℃の8mlのTHF中の160.3mgの水素化ナトリウム(60%油中分散物、4.00ミリモル)の懸濁液に、4mLのTHF中のジメチル (S)‐6‐(tert‐ブチルジメチルシリル‐オキシ)‐2‐オキソヘプチルホスホネート13(1.41g、4.00ミリモル)の溶液を添加した。混合物を0℃で30分間撹拌し、その後、4mlのTHF中のアルデヒド7(1.10g、2.65ミリモル)の溶液を滴下して添加した。アルデヒドを含むシリンジを2mLのTHFですすいで添加を完了させ、混合物を25℃で2.5時間撹拌した。反応物を、飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)を添加することによって処理し、水性相を酢酸エチル(2×75mL)で抽出した。酢酸エチル層を混ぜ合せ、塩水で洗浄し、30gの無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。FCC (フラッシュカラムクロマトグラフィー)精製(シリカゲル、6:1ヘキサン/EtOAc)によって、1.60g (95%)のエノン14を得た。
【0065】
メチル 5‐(3‐((1R,2R,3R,5R)‐2‐((3S,7S,E)‐7‐(tert‐ブチルジメチルシリルオキシ)‐3‐ヒドロキシオクテ‐1‐エニル)‐5‐クロロ‐3‐(テトラヒドロ‐2H‐ピラニ‐2‐イルオキシ)シクロペンチル)‐プロピル)チオフェン‐2‐カルボキシレート (15)
水素化アルミニウムリチウム(7.5mLのTHF中1.0M溶液、7.5ミリモル)を、オーブン乾燥の200mLフラスコに添加した。新たに調製した無水エタノール溶液(11.9mLのTHF中1.0M溶液、7.50ミリモル)を23℃で滴下して添加した。15分後、THF (10mL)中の(S)‐(−)‐1,1'‐ビナフトール (2.18g、7.62ミリモル)の溶液を滴下して添加した。乳白色溶液を−85℃に冷却し、THF (9mL)中のエノン14(1.60g、2.50ミリモル)の溶液を5〜15分間に亘って添加した。反応溶液を1時間撹拌し、その後、−78℃に温め、さらに3時間撹拌した。その後、反応物をMeOH (3.1mL)を注意深く添加することによって失活させた。その後、反応物を室温に温め、EtOAc (2×)で抽出した。混ぜ合せた有機成分を、1N HCl、飽和NaHCO3水溶液および塩水で洗浄した。その後、有機成分を無水MgSO4上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。FCC (シリカゲル、6:1ヘキサン/EtOAc)により、1.20g (75%)の(S)‐アルコール15を得た。
【0066】
メチル 5‐(3‐((1R,2R,3R,5R)‐5‐クロロ‐2‐((3S,7S,E)‐3,7‐ジヒドロキシオクテ‐1‐エニル)‐3‐ヒドロキシシクロペンチル)プロピル)チオフェン‐2‐カルボキシレート (16)
ピリジニウムp‐トルエンスルホネート(20.4mg、0.081ミリモル)を、23℃のMeOH (3mL)中のTHP‐エーテル15(52mg、0.081ミリモル)の溶液に添加した。反応物を24時間撹拌し、その後、真空中で濃縮した。残留物をEtOAcで希釈し、1N HCl、飽和NaHCO3水溶液および塩水で洗浄した。有機成分を無水MgSO4上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。粗生成物をFCC (シリカゲル、19:1EtOAc/MeOH)によって精製して、34.9mg (97%)のトリオール11を得た。
【0067】
5‐(3‐((1R,2R,3R,5R)‐5‐クロロ‐2-((3S,7S,E)‐3,7‐ジヒドロキシオクテ‐1‐エニル)‐3‐ヒドロキシシクロペンチル)プロピル)チオフェン‐2‐カルボン酸 (17)
0.72mLのTHF中の40mgのエステル16(0.09ミリモル)の溶液を、360μLの水性水酸化リチウム (0.5M、0.18ミリモル)により、23℃で16時間加水分解した。混合物を、1N HClを添加することによって酸性化し、その後、EtOAc (2×)で抽出した。混ぜ合せた有機成分を塩水(2×)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して23.3mg (60%)の遊離酸17を得た。
【0068】
A、XおよびZにおける異なる基も、他でどこかで説明されているようにして得ることができる。例えば、2006年11月20日に出願された米国特許出願第11/569,369号、2007年1月22日に出願された米国仮特許出願第60/886,013号および2007年5月14日に出願された米国特許出願第11/748,168号参照。また、他の合成経路を使用しても本明細書において開示する化合物を達し得る。
【0069】
生体外試験
2006年10月26日に出願された米国特許出願第11/553,143号は、下記の表1における生体外データを得るのに使用した方法を記載している;該出願は、参考として本明細書に合体させる。
【0070】
【表1】

【0071】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式によって示される化合物:
【化1】


(式中、点線は、結合の存在または不存在を示し;
Yは、0〜14個の炭素原子を有し、そして、有機酸官能基またはそのアミドもしくはエステル、ヒドロキシメチルまたはそのエーテル、或いはテトラゾリル官能基であり;
Aは、6個の原子のインターアリール化した線状のアルキル、エーテルまたはチオエーテル鎖であり;
Xは、ハロ、=O、‐OH、=S、‐SH、‐CF3、‐CN、=CH2、1〜6個の炭素原子を有する=CHアルキルまたは=C(アルキル)2であり;
Zは、ハロ、‐OH、‐OR、‐SH、‐CF3または‐CNであり;そして、
各Rは、個々に、‐H、C1‐6アルキル、C1‐6ヒドロキシアルキルまたはC1‐6アシルである)。
【請求項2】
Yが、‐CO2R4、‐CONR5R6、‐CON(CH2CH2OH)2、‐CONH(CH2CH2OH)、‐CH2OH、‐P(O)(OH)2、‐CONHSO2R4、‐SO2NR5R6、下記:
【化2】


(式中、R4、R5およびR6は、個々に、H、C1〜C6アルキル、C1‐6 ヒドロキシアルキル、非置換フェニルまたは非置換ビフェニルである)
であり、Yが14個よりも多い炭素原子を有さないことを条件とする、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
下記の式によって示される、請求項2記載の化合物:
【化3】


(式中、L1は、‐(CH3)3‐、‐O(CH2)2‐、‐CH2OCH2‐、‐(CH2)2O‐であり;
Tは、=CH‐または=N‐である;
但し。L1およびYは、互いに1,3の関係を有することを条件とする)。
【請求項4】
下記の式によって示される、請求項3記載の化合物。
【化4】

【請求項5】
Xが、F、Cl、=OまたはOHである、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
Zが、OHである、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
下記の式によって示される、請求項6記載の化合物。
【化5】

【請求項8】
Yが、‐CO2Hまたはそのエステルまたはアミドである、請求項4記載の化合物。
【請求項9】
下記の式によって示される化合物:
【化6】


(式中、点線は、結合の存在または不存在を示し;
Aは、6個の原子のインターアリール化した線状のアルキル、エーテルまたはチオエーテル鎖であり;
Xは、ハロ、=O、‐OH、=S、‐SH、‐CF3、‐CN、=CH2、1〜6個の炭素原子を有する=CHアルキルまたは=C(アルキル)2であり;
Zは、ハロ、‐OH、‐OR、‐SH、‐CF3または‐CNであり;そして、
各Rは、個々に、‐H、C1‐6アルキル、C1‐6ヒドロキシアルキルまたはC1‐6アシルである)。
【請求項10】
下記の式によって示される、請求項9記載の化合物。
【化7】

【請求項11】
下記の式によって示される、請求項9記載の化合物。
【化8】

【請求項12】
請求項1記載の化合物を、必要とする哺乳類に投与することを含む眼内圧の降下方法。
【請求項13】
請求項1記載の化合物の、緑内障の治療用医薬品の製造における使用。
【請求項14】
請求項1記載の化合物および眼科的に許容し得る賦形剤を含む眼科的に許容し得る液体。

【公表番号】特表2011−505361(P2011−505361A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536091(P2010−536091)
【出願日】平成20年11月24日(2008.11.24)
【国際出願番号】PCT/US2008/084495
【国際公開番号】WO2009/073432
【国際公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(390040637)アラーガン インコーポレイテッド (117)
【氏名又は名称原語表記】ALLERGAN,INCORPORATED
【Fターム(参考)】