説明

プロスタグランジン/シクロオキシゲナーゼの代謝経路の調節

シクロオキシゲナーゼの複数の活性および複数のプロスタグランジンの合成において関与された複数の代謝(メタボリック)経路と関連された種々の疾病および疾患、例えば、2型糖尿およびこの後遺症、虚血血管疾病、炎症と関連された痛み、炎症皮膚病状、脊髄傷害、末梢ニューロパシー、多発硬化症、炎症腸疾病、およびリューマチ関節炎、並びに、種々のタイプの癌が、15−デオキシプロスタグランジンJ2産生を選択的に高めるある剤の使用により、処置されていたり、予防されたりしていることが、ある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明が、シクロオキシゲナーゼの活性および複数のプロスタグランジン合成酵素(シンターゼ)の活性において関与された複数の代謝経路ならびに複数のプロスタグランジンの合成を調節すると我々が、発見してきており、ある1結果として、それらのうちのある幾つかが、以前の複数の処置体制に対し非常に耐える(難治性である)と証明されてきている種々の疾病および疾患の処置および予防において使用されていることのある一連の化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のプロスタグランジン(PGs)が、プロスタノイドとも言われたが、生理学的なおよび病理学的な文脈両方において複数の細胞機能を調節する、広く分布された群(グループ)の酸素化脂質である。PGsの生合成が、ホスホリパーゼA2(PLA2)により触媒されたある1反応たる、複数の細胞膜からの、主要な脂肪酸たる、アラキドン酸(AA)の放出を通じ、開始されている。放出されたAAが、シクロオキシゲナーゼ(COX)による不安定な酸素化中間体(PGH2)に変換されている。一旦形成されたら、該PGH2中間体が、プロスタグランジン合成酵素(シンターゼ、例えば、PGE合成酵素もしくはPGE−S、PGD合成酵素もしくはPGD−S等)と呼ばれたある1範囲の特異的な複数の酵素により、プロスタグランジンE2(PGE2)、プロスタサイクリン(PGI2)、プロスタサイクリンF2α(PGF2α)、もしくはプロスタグランジンD2(PGD2)のような種々のプロスタグランジンへと変換されていることが、ある。
【0003】
COXが、3種のアイソフォーム:COX−1、COX−2、および、COX−1のスプライシング変異体たる、COX−3において存在している。COX−1が、大抵の組織において構成因子として発現されている一方で、COX−2が、複数の原炎症サイトカインおよびストレスに対する応答において一般的に誘発されている。これらの知見が、COX−2が、複数のプロスタノイドの複数の原炎症逆効果に関し、応答可能であるという真っ直ぐな見方に至った。これゆえ、COX−2の阻害が、複数の炎症疾病の処置用の複数の薬剤を開発していくことにおいて1次的な標的と見なされてきている。しかしながら、研究者らが、COX−2が、臓器および組織のベースの恒常性において重要な役割をも演じることを示してきている。
【0004】
最近の臨床での複数の試行が、複数のCOX−2阻害剤を用いた長期の処置が、COX−2誘発PGI2の複数の血管保護効果の遮断に属された合併症たる、卒中および心筋梗塞の罹患率を増加させることを明かしてきている。しかしながら、複数のCOX酵素の遮断が、PGD2の産生をも抑える。複数の末梢組織において、PGD2が、血管拡張を促進させ、血小板凝集を阻害する。脳において、最も潤沢なプロスタグランジンであり、最近の研究が、PGD2が、複数本の海馬神経における複数の神経保護効果を仲介することを示す。COX−2誘発PGD2の遮断が、これゆえ、複数のCOX−2阻害剤を用いた臨床での複数の試行において観察された卒中および心筋梗塞の罹患における増加に寄与することが、ある。
【0005】
PGD2が、非常に短命であり、プロスタグランジン15−デオキシ−プロスタグランジンJ2(15d−PGJ2)を包含している、J2系列の生物学的に活性なプロスタグランジンを与えるようにin vivoにおいておよびin vitroにおいて脱水する。このプロスタグランジンが、PGD2の、天然の、化学的に安定な抗炎症誘導体である。15d−PGJ2が、複数の抗炎症作用を包含している、広範な細胞機能において暗に示されてきているリガンド依存核転写因子である、ペルオキシソーム増殖因子(proliferator)活性化受容体(レセプター、PPAR)亜型(サブタイプ)PPARγに関する高親和性(アフィニティ)リガンドである。15d−PGJ2が、PPARγ非依存機序(メカニズム)同様、PPARγ依存機序(メカニズム)を通じ、酸化窒素合成酵素(シンターゼ)遺伝子、プロスタグランジンE合成酵素(シンターゼ、PGES)遺伝子、および腫瘍壊死因子−α(TNF−α)遺伝子のような幾つかの炎症遺伝子を抑制する。複数のラットコンドロサイトにおいて、15d−PGJ2が、サイトカインにより刺激されたPGE2合成およびPGES発現を殆ど完全に減少させ、15d−PGJ2が、これらの細胞における原炎症プロスタグランジンたるPGE2の産生のスウィッチを切る抗炎症メッセンジャーであることを指し示している。該機序(メカニズム)に関わらず、15d−PGJ2が、炎症の寛解相(フェーズ)の間中、in vivoにおいて存在しており、再び、炎症応答のフィードバック規制因子(regulator)として機能することのあることを示唆している。15d−PGJ2の投与が、炎症腸疾病のある1モデルたる、ラットにおける実験結腸炎の進展を抑えるようにも示されてきている。PGD2および15d−PGJ2の味方におけるプロスタグランジン産生の平衡(バランス)を傾ける複数の剤および病状が、これゆえ、複数の抗炎症効果を持つように期待されると思われる。
【0006】
中枢神経系において、15d−PGJ2の複数の抗炎症作用が、アルツハイマー氏病、パーキンソン氏病、および多発硬化のような複数の神経変性疾患において有益たり得ると思われるが、炎症が、脳損傷および細胞死に寄与する、卒中、脊髄傷害、および脳外傷(トラウマ)においてもである。これらの病状の全てにおいて、脳損傷が、ミクログリアの過剰な活性化と関連づけられている。中枢神経系において、その生来の常駐の複数の免疫細胞たる、ミクログリアが、炎症過程(プロセス)における主要な役割を演じる。ミクログリアのコントロールされなかった活性化が、複数の炎症サイトカイン(IL−1β、TNF−α、IL−6)、NO、PGE2、および超過酸化物(スーパーオキサイド)のような種々の物質を放出していくことにより、複数の脳細胞に対し直接、毒性であることが、ある。幾つかの研究が、15d−PGJ2が、活性化された複数のミクログリア細胞および複数のアストロサイトによる複数の炎症サイトカインおよびNOの産生を抑制し得ることを示し、これらプロスタグランジンが、グリア細胞の過剰な活性化と関連づけられた脳損傷を防いでいくことにおいて重要な役割を演じ得ると思われることを示唆している。多発硬化に関する動物モデルたる、実験自己免疫脳炎(EAE)前、および、この発病時における15d−PGJ2の投与が、EAEの重篤さを有意に抑えたという知見が、更に、15d−PGJ2が、複数の炎症神経変性疾病における脳損傷を防いでいくことにおいて有効であることのあることを示唆する。
【0007】
最近の複数の実験研究が、15d−PGJ2が、複数匹のラットにおける脳内出血後の脳組織炎症および行動機能不全および神経損失を抑え、卒中の実験モデルにおける虚血再灌流傷害から脳を保護することを示す。15d−PGJ2の(脳)室内点滴が、PPARγ依存的な様式で、脳梗塞の体積を抑え、脳および神経のアポトーシスを阻害し、NF−κBの活性化を抑圧し、強力な内因性抗酸化剤たる、ヘムオキシゲナーゼ−1(HO−1)を上方修正(アップレギュレーション)させた。これらの結果が、虚血性卒中における15d−PGJ2の神経保護効果を示唆するが、急性虚血性卒中を有する複数の患者が、通常の複数の被験者よりも高い血漿でのレベルの15d−PGJ2を持つこと、および、血漿15d−PGJ2の増加が、より良好な早いおよび遅い神経学的な出来と関連づけられていることを示している最近の研究により更に確証されている。血漿15d−PGJ2の増加も梗塞の体積の抑制と関連づけられたが、この効果が、他の重要な可変的な複数の予後の効果から独立していた。15d−PGJ2の贔屓にあるプロスタグランジン産生の平衡(バランス)をずらす(シフトさせる)複数の剤および複数の病状が、これゆえ、アルツハイマー氏病(AD)、パーキンソン氏病(PD)、および多発硬化のような複数の慢性炎症性神経変性疾患における、ならびに、卒中、脊髄傷害、および外傷(トラウマ)脳傷害のような複数の急性病状における、両方における、有益な複数の効果を持つように期待されると思われる。
【0008】
ADが、脳における細胞外での複数のアミロイドβ(Aβ)斑の付着および細胞内での複数の絡まりの形成により特徴化された進行性で致命的な神経変性疾患である。複数のAβ斑が、アミロイドβペプチドおよびAβペプチドから主に構成されている。Aβの蓄積が、ADの病原に寄与すると、および、神経の損傷を増加させると提案されてきている炎症応答を起こさせる。可溶性の複数のAβペプチドの脳でのレベルの増加も、斑の付着するずっと(long)前、神経機能不全および認知障害を起こさせると考えられている。脳における複数のAβペプチドの形成が、これゆえ、ADの病原の1次的な引き金である。
【0009】
Aβの発生が、当該AβペプチドのN末側において、βアミロイド前駆体蛋白(βAPP)たる、より大きい前駆体蛋白を開裂させるある1種のプロテアーゼにより開始されている。このプロテアーゼが、βセクレターゼもしくはβ部位APP開裂酵素(BACE1)とも呼ばれたが、膜横断アスパラギン酸プロテアーゼである。BACE1蛋白の複数のレベルおよびβセクレターゼの産物(βC末断片)が、散発的な複数のAD患者の脳において増加されている。AD脳におけるAβ産生を抑えていくことが、これゆえ、主要な治療課題である。
【0010】
BACE1のmRNAでのおよび蛋白でのレベルが、複数の原炎症メディエーターにより増加されており、ペルオキシソーム増殖因子(proliferator)活性化受容体(レセプター)γ(PPARγ)に関する複数のアゴニストである薬剤により下方修正(ダウンレギュレーション)されていることが、報告されてきている。より最近、PPARγの欠損が、BACE1遺伝子プロモーター活性を増加させていくことにより、βセクレターゼのmRNAの複数のレベルを潜在化させる一方で、PPARγの過剰発現が、複数のPPARγ活性化因子(activators)同様、BACE1遺伝子プロモーター活性を抑制していくことにより、BACE1の転写を特異的に調節することも示されてきており、PPARγが、BACE1のある1種のレプレッサーたり得ると思われることを示唆している。輪をかけて(Furthermore)、複数のPPARγアゴニストを用いた複数匹の遺伝子導入(トランスジェニック)hAPPマウスの処置が、複数の皮質神経におけるBACE1のmRNAのレベルと、細胞内β−アミロイドのレベルとの両方を抑えた。
【0011】
PPARγの過剰発現が、ユビキチン化の活性化および前駆体蛋白たるβAPPのプロテオソームにより仲介された劣化経由で、培養された複数の細胞におけるAβ分泌を抑えるようにも示されてきており、PPARγの活性化が、培養における複数の細胞に外部付加されたAβの安定性に直接影響を及ぼすように報告された。安定性におけるこの減少が、PPARγの活性化が、アミロイドペプチドに関する急速な細胞クリアランスの機序(メカニズム)を誘発させることのあることを示唆する。
【0012】
全く(Altogether)、これらのデーターが、アミロイド−βの発生の調節におけるPPARγに関する主要な役割を裏付け、PPARγの活性化が、脳における複数のアミロイド−βペプチドの産生を減少させる保護機序(メカニズム)を示唆する。
【0013】
ペルオキシソーム増殖因子(proliferator)活性化受容体(レセプター、PPAR)亜型(サブタイプ)PPARγに関する高親和性(アフィニティ)リガンドたる、15d−PGJ2が、PPARγ非依存機序(メカニズム)同様、PPARγ依存機序(メカニズム)を通じ、幾つかの炎症遺伝子を抑制する。15d−PGJ2の内因性の産生を増加させる複数の病状が、これゆえ、複数の脳炎症過程(プロセス)を抑圧するようにと、AD脳におけるアミロイドペプチド形成を抑えるようにとの両方で、期待されると思われる。結末として、15d−PGJ2の内因性の産生を増加させる複数の剤および複数の病状が、アルツハイマー氏病の処置において有益な複数の効果を持つように期待されると思われる。
【0014】
J2系列のプロスタグランジンが、神経成長因子(NGF)および脳由来神経成長因子(BDNF)の産生の強力な誘発因子(inducers)であり、細胞培養におけるNGFによる神経突起の外殖を促進させる。15d−PGJ2の神経突起促進能力が、PPARγを通じて起きないのが、合成PPARγアゴニストおよびアンタゴニストが、15−デオキシ−PGJ2の神経突起促進効果を変えなかったからである。動物での複数の研究において、NGFの脳室内投与が、複数本のコリン作動神経を救い、軸索の成長を刺激し、コリン作動機能を向上させるように示されてきている。同様に、NGFの脳室内注入が、脳虚血に付された複数匹のジャービル(荒れ地ネズミ)の海馬における神経の死を弱めた。BDNFが、in vitroにおいて発達している複数本の神経の生存および成長を促進させ、複数の動物モデルにおける運動神経の複数の機能を向上させるように示されてきている。一過性前脳虚血に付された複数の動物において、BDNFが、虚血神経傷害を弱めた。不運にも、血液脳関門(BBB)を横切るこれらの神経栄養の乏しい浸透により、臨床での複数の試行が、有意な複数の効果を示すのに失敗してきている。しかしながら、15d−PGJ2の内因性のレベルを増加させる複数種の病状もしくは複数回の処置が、これらの成長因子をの局所での(local)産生を容易化させるようにと、神経の成長を促進させ、このため脊髄におけるおよび脳における神経の修復を容易化させるようにとの両方で、期待されると思われる。
【0015】
複数の炎症マーカーのレベルの増加が、虚血血管疾病と関連づけられており、炎症が、複数の急性冠症候群(シンドローム)の病原において関与されるように益々見なされている。炎症が、粥状(アテローム)硬化の開始および進行における関連する役割を持つが、凝固過程(プロセス)を活性化させていくことによる血栓化の進展における1次的な役割をも演じ得る。血管炎症を抑える複数の病状および複数の剤が、これゆえ、冠心臓疾病のような、細胞死もしくは細胞損傷に炎症が寄与する複数の心臓血管疾患において有益たり得ると思われる。
【0016】
プロスタグランジンD合成酵素(シンターゼ、PGDS)mRNAが、心臓において発現されている。これゆえ、局所的に(locally)産生されたPGD2が、複数の筋細胞もしくは複数の囲んでいる細胞における15d−PGJ2を結果与えることが、ある。PPARγも、複数の心筋細胞において存在しており、機能している。最近の研究が、PGD2の天然の代謝産物たる、15d−PGJ2が、PPARに依存する様式で、IL−1β刺激COX−2、PGE−S、およびiNOSを調節していくことにより、複数の心筋細胞において、複数の抗炎症効果を発揮することを示した。15d−PGJ2が、PGE2産生のIL−1β刺激をブロックしたが、PGI2のIL−1β刺激もPGFのIL−1β刺激も修飾しなかった。複数のPPARγリガンド効果が、PGE−S特異的であることを指し示している。15d−PGJ2によるIL−1β誘発PGE−Sのブロックが、心臓組織における原炎症プロスタグランジンPGE2の産生を減少させるように期待されると思われる。15d−PGJ2が、複数の心筋細胞におけるヘメオキシゲナーゼ−1(HO−1)の発現を上方修正(アップレギュレーション)し、局所虚血再灌流誘発心筋梗塞のラットモデルにおける心筋梗塞のサイズを抑えるようにも示されてきている。研究された異なる複数のPPARγリガンドの間で、15d−PGJ2が、梗塞のサイズにおいて遙か遠く最も知らしめられた抑制を起こした。この効果が、PPARγを通じ、仲介されている一方で、抗酸化剤かつ細胞保護蛋白たるHO−1の発現の増加が、PPARγ非依存的であった。全く(Altogether)、これらの結果が、15d−PGJ2の内因性の複数のレベルを増加させる複数の病状および複数の剤が、血管炎症を抑え、これゆえ、複数の心臓血管疾患において有益たり得ると思われることを示唆する。
【0017】
益々の証拠が、特に肥満存在下、複数の循環炎症因子の主要な源として脂肪組織を同定する。脂肪が、複数の原炎症アジポサイトカインを産生し、これらが、TNF−α、レプチン、PAI−1、IL−6、およびアンジオテンシノーゲンを包含する。TNF−αが、NFκBの主要な活性化因子(activator)である。TNF−αが、インシュリンシグナルをも阻害し、これにより、インシュリン抵抗性を起こしている。PAI−1の複数のレベルが、CADおよび糖尿を予言し、これらが、肥満における原血栓状態に対する主要な寄与因子(contributor)である。IL−6が、C反応性蛋白(CRP)の肝での産生を刺激し、複数の肥満患者の血清中の高感受性(hs)CRPの複数のレベルの上昇に寄与する。HsCRPが、心筋梗塞、卒中、末梢動脈疾病、および突然死を予言する。アンジオテンシノーゲンが、AngII前駆体であり、血管傷害の多重の機序(メカニズム)を活発化させるとよく知られている。一般的に、これらのアジポカインの全てが、原炎症環境を創出していく内臓脂肪度の増加を有する複数のインシュリン抵抗性被験者において上昇されている。2型糖尿(T2D)および肥満が、これゆえ、炎症病状である。
【0018】
脂肪組織が、他の複数の組織と比べられたら、最高の複数のレベルのPPARγを発現する。複数のPPARγリガンドが、脂肪細胞分化、および、脂肪組織への無保護の複数の脂肪酸の取り込みを促進させる。これらが、TNF−α、PAI−1、およびIL−6の発現を減少させていき、脂肪におけるアジポネクチン発現を増加させていくことによる原炎症環境を弱めるように重要な効果をも持つ。これゆえ、PPARγの活性化が、複数の血管細胞において直接、脂肪組織における遺伝子発現規制を通じて間接的に炎症を抑圧する。
【0019】
T2Dおよび代謝症候群(メタボリックシンドローム)が、骨格筋、肝、および脂肪組織を包含している、複数の末梢組織におけるインシュリンの作用に対する抵抗性により特徴化されている。複数のチアゾリジンジオンのような、ある特定のこれら合成リガンドによるPPARγの活性化が、T2Dの複数の齧歯類モデルにおけるインシュリン分泌を刺激してしまうことなく、インシュリン感受性を向上させ、葡萄糖(グルコース)、複数のトリグリセリド、および複数の無保護の脂肪酸の循環レベルを低める。複数のPPARγアゴニストが、複数のヒトにおける末梢でのインシュリン抵抗性をも軽くさせ、複数のT2D患者の処置において有効に使用されてきている。
【0020】
15−デオキシ−プロスタグランジンJ2(15d−PGJ2)が、ペルオキシソーム増殖者活性化受容体(レセプター)亜型(サブタイプ)たるPPARγに関する推定内因性の、高親和性(アフィニティ)リガンドであるように見える天然の、化学的に安定な抗炎症プロスタグランジンである。15d−PGJ2の内因性の産生を増加させる複数の剤および病状が、これゆえ、血管炎症を抑圧し、2型糖尿におけるインシュリン感受性を向上させるように両方とも期待されると思われる。
【0021】
腫瘍壊死因子(TNF)−アルファのような、複数の原炎症サイトカインが、乾癬およびアトピー皮膚炎において過剰発現されている。TNF−αが、炎症の開始と持続との両方における重要な役割を演じ、最近の実験データーが、乾癬の実験モデルにおける複数の病巣の発展が、TNF−αにより仲介されていることを示す。これらの知見が、乾癬の病原におけるTNF−αに関するある1種の役割を示唆するが、最近の臨床での複数回の試行からの複数の結果により裏付けられており、TNF−α(infliximab)もしくは可溶性TNF受容体(レセプター)融合蛋白(etanercept)に対するモノクローナル抗体(mAb)の投与が、複数の乾癬患者における疾病の改善を結果与えたことを示している。
【0022】
プロスタグランジンPGD2の化学的に安定な代謝産物たる、15d−PGJ2が、ペルオキシソーム増殖者活性化受容体(レセプター)γ(PPARγ)に関する高親和性(アフィニティ)リガンドである。
【0023】
15d−PGJ2が、誘発可能なNO合成酵素(シンターゼ、iNOS)の遺伝子および腫瘍壊死因子α(TNF−α)の遺伝子を包含している、複数のミクログリア細胞におけるおよび複数のヒトアストロサイトにおける、複数の活性化マクロファージにおける幾つかの原炎症遺伝子を抑制し、この抑制が、PPARγ発現に少なくとも一部依存している。輪をかけて(Moreover)、複数のインシュリン感受性化チアゾリジンジオンのような、複数の合成PPARγリガンドが、複数のヒト被験者における乾癬を改善させると示されてきている。全く(Altogether)、これらの知見が、15d−PGJ2の内因性の産生を増加させる複数の剤および病状が、乾癬の処置において有効たり得ると思われることを示唆する。
【0024】
最近の証拠が、ある特定の複数の合成PPARγアゴニストが、多くの上皮由来ヒト癌細胞株に対し、中くらいの複数の抗増殖活性を呈することを指し示す。輪をかけて(Moreover)、最近のデーターが、通常の複数の前立腺上皮細胞および複数のTリンパ球が、これらのPPARγリガンドによるアポトーシスの誘発に対し、より抵抗性であることを指し示す。この癌特異的な効果に光を当てると、複数の化学防疫剤としての複数のPPARγアゴニストの潜在的な使用が、沢山の注目を受けてきている。
【0025】
PPARγに関する天然リガンドたる、15d−PGJ2が、抗腫瘍活性を保有するとも示されてきている。例えば、15d−PGJ2が、有意に、細胞成長を阻害し、結腸直腸癌細胞、胃癌細胞、乳癌細胞、および肝癌細胞を包含している、幾つかの型の癌細胞におけるアポトーシスを誘発させる。機序(メカニズム)の複数の研究が、これらの成長阻害効果が、複数のPPARγ非依存機序(メカニズム)を通じ、仲介されていることを示唆する。しかしながら、関与された機序(メカニズム)に関わらず、15d−PGJ2の複数の内因性レベルを増加させる複数の剤もしくは条件が、腫瘍成長および進行を阻害するように期待されると思われる。
【0026】
プロスタグランジンE2(PGE2)のレベルの増加が、種々の悪性のものにおいて検出されてきている。幾つかの線の証拠が、複数の腫瘍におけるPGE2のレベルの上昇との知見を越え、PGE2が、癌の進展および進行におけるある1種の役割を演ずることを示唆する。例えば、PGE2が、細胞増殖および転移を刺激し得る一方、アポトーシスおよび免疫サーベイランスを阻害している。重要なことに、PGE2が、血管内皮成長因子を包含している複数の原血管新生因子の産生を高めていくことにより、少なくとも一部、血管新生をも誘発させ得る。これらの知見と一貫し、複数の癌組織見本におけるより高いレベルのPGE2が、転移疾病の発病および腫瘍血管化の増加と有意に相関すると示されてきている。
【0027】
複数の実験動物における最近の作業が、PGE2が、発癌を促進させ得ることも示唆する。PGE2受容体(レセプター)たるEP2の遺伝子の分断が、実験の複数の腫瘍の数およびサイズを減少させるように見いだされたが、他の複数の研究が、抗PGE2モノクローナル抗体を用いた処理が、移植可能な複数の腫瘍の成長を阻害したことを示した。この背景(バックグラウンド)を与えられたら、癌におけるPGE2の増加していった量に至るこれら酵素の経路を阻害する複数の剤および複数の病状が、腫瘍成長の進行をも阻害することを期待するかもしれない。
【0028】
アラキドン酸からのPGE2の合成が、続けて作用する2酵素、シクロオキシゲナーゼ(COX)およびプロスタグランジンE合成酵素(シンターゼ、PGES)を必要とする。PGES発現の増加が、幾つかのヒト悪性のものにおいて検出されてきており、異常な(aberrant)PGES発現が、細胞増殖および腫瘍成長に寄与するPGE2の産生の増加を駆り立てるという可能性を惹起させている。15d−PGJ2が、サイトカイン誘発PGE2合成および膜PGE合成酵素(シンターゼ)発現を殆ど完全に阻害すると報告されてきている。続いて、15d−PGJ2のこれら内因性レベルを増加させる複数の剤および複数の病状が、PGE2合成ならびにこのため細胞増殖および腫瘍成長を抑えるように期待されると思われ、これゆえ、癌の処置において有益な複数の効果を持つ。
【0029】
我々が、以前、内因性7−ヒドロキシステロイドたる、7β−ヒドロキシ−EPIアンドロステロン(7β−OH−EPIA)が、神経保護効果と心臓保護効果との両方を持つことを示してきている(国際公開(WO)02/00 224、国際公開(WO)02/00 225、および国際公開(WO)03/015 791)。該ステロイドが、in vitroにおいて(臓器に典型的な複数の海馬スライス培養(OTHSC)および複数のPC12細胞)神経細胞死に対し、および、in vivoにおける数多くの実験モデルにおける脳損傷に対し、保護し、複数の灌流ラット心臓における虚血誘発局所心筋梗塞に対し、保護していくことにおいて有効である。全く、これらの知見が、7β−OH−EPIAが、卒中、脊髄傷害、外傷(トラウマ)脳傷害、およびADのような複数の神経変性病状の防止および処置において、ならびに、心筋梗塞(MI)のような複数の心臓血管病状において、有益な複数の効果を持ち得ると思われることを示唆する。
【0030】
より最近、我々が、シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤たる、インドメタシンを用いる複数のPC12細胞のインキュベートが、虚血に対する7β−OH−EPIA誘発保護を完全に平坦化させたことを示してきている。これらの結果が、COX活性が、7β−OH−EPIAのこれら神経保護効果に必要とされていることを示唆する。
【0031】
我々が、今、ナノモル濃度の7β−OH−EPIAを用いた複数のヒト単球血液細胞(hMBC)のインキュベートが、プロスタグランジン15−デオキシ−Δ12,14−J2(15d−PGJ2)産生における殆ど10倍の増加を起こさせることを示す。この7−ヒドロキシステロイドのこの効果が、15d−PGJ2特異的であるように見えるのが、該ステロイドが、これらの細胞におけるプロスタグランジンE2(PGE2)産生を有意に代えなかった以来である。対照的に、原炎症サイトカインたる腫瘍壊死因子−α(TNFα)を用いたhMBCのインキュベートが、およそ3倍、両プロスタグランジンの産生を増加させた。輪をかけて(Moreover)、TNF−αと7β−OH−EPIAとを用いた同時インキュベートが、7β−OH−EPIA単独を用いて観察された増加に似た、15d−PGJ2におけるある1種の増加を起こさせた一方で、ナノモル濃度の7β−OH−EPIAの添加が、TNFαによるPGE2におけるこれら増加を完全に廃した。
【0032】
15d−PGJ2が、複数のラットコンドロサイトにおけるサイトカイン誘発PGE2合成および膜PGE合成酵素(シンターゼ、mPGES)発現を殆ど完全に阻害すると報告されてきており、15d−PGJ2が、これらの細胞における原炎症プロスタグランジンPGE2の産生のスウィッチを切る抗炎症メッセンジャーであることを指し示している。我々の複数の知見が、これゆえ、7β−OH−EPIAによる原炎症プロスタグランジンPGE2のTNF−α誘発産生の阻害が、15d−PGJ2の放出の増加を通じ、仲介されていることを指し示すことが、ある。
【0033】
15d−PGJ2が、抗炎症作用、神経保護作用、心臓保護作用、代謝作用、および抗腫瘍作用を包含している、広範な細胞機能において暗示されてきているリガンド依存核転写因子たる、ペルオキソーム増殖者活性化受容体(レセプター、PPAR)亜型(サブタイプ)PPARγに関する、高親和性(アフィニティ)リガンドである。我々が、今、7β−OH−EPIAのような複数の剤が、15d−PGJ2産生を選択的に容易化させ得、こうして、炎症腸疾病および乾癬のような炎症および複数の皮膚疾患において、ならびに、炎症が、機能不全および細胞死に寄与する、卒中、脊髄傷害、外傷(トラウマ)脳傷害、AD、PD、冠心臓疾病、および2型糖尿のような、神経学的疾患、心臓血管疾患、および代謝疾患において、ならびに、PGE2産生の増加が、細胞増殖および腫瘍成長に寄与する、種々の型の癌において、有益たり得ると思われることを発見してきている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0034】
これゆえ、1態様において、本発明が、プロスタグランジンE2、もしくは、シクロオキシゲナーゼの他の複数の代謝産物のレベルの高まり、および、プロスタグランジン合成酵素(シンターゼ)活性により仲介された複数の病状の処置もしくは予防のための、または、15−デオキシ−プロスタグランジンJ2のレベルの抑制もしくはアベイラビリティの抑制によりより悪くされた複数の病状の処置もしくは予防のための、ある1医薬品の製造のための、15−デオキシ−プロスタグランジンJ2産生を高める、ある1剤の使用にある。
【0035】
更なる態様において、本発明が、プロスタグランジンE2、もしくは、シクロオキシゲナーゼ−2の他の複数の代謝産物のレベルの高まりにより仲介された複数の病状の処置もしくは予防のための、または、15−デオキシ−プロスタグランジンJ2のレベルの抑制もしくはアベイラビリティの抑制によりより悪くされた複数の病状の処置もしくは予防のための、ある1医薬品の製造のための、炎症を起こしてしまう剤の存在下での、15−デオキシ−プロスタグランジンJ2産生を容易化させ、プロスタグランジンE2産生を選択的に阻害する、ある1剤の使用にある。
【0036】
別のある1態様において、本発明が、神経突起の外殖を促進させるような、もしくは、末梢ニューロパシーを処置するような、ある1医薬品の製造のための15−デオキシ−プロスタグランジンJ2産生を高めるある1剤の使用にある。
【0037】
末梢ニューロパシーが、シスプラチンのような、複数の化学療法剤を用いる処置によることが、あり、または、糖尿ニューロパシーのような、他の複数の原因からであることが、ある。
【0038】
尚更なる態様において、本発明が、PPARγの活性化を必要としているある1病状を処置するようなある1医薬品の製造のための15−デオキシ−プロスタグランジンJ2産生を高め、順にPPARγを活性化させるある1剤の使用にある。
【0039】
まだ別のある1態様において、本発明が、癌の処置もしくは予防のためのある1医薬品の製造のための15−デオキシ−プロスタグランジンJ2産生を高めるある1化合物の使用を与える。
【0040】
尚更に、本発明が、複数の癌細胞におけるアポトーシスを包含し、癌細胞増殖を阻害していくか、もしくは、腫瘍の成長および進行を阻害していくためのある1医薬品の製造のための15−デオキシ−プロスタグランジンJ2産生を高めるある1化合物の使用を与える。
【0041】
本発明のこの態様が、特に有用である複数の癌細胞が、結腸直腸癌細胞、胃癌細胞、乳癌細胞、肝癌細胞、前立腺癌細胞、膀胱癌細胞、甲状腺乳頭癌細胞、および食道癌細胞を包含する。
【0042】
加え、本発明のこれら化合物が:
炎症と関連づけられた痛み;
重症四肢虚血のような、複数の末梢動脈疾病(四肢に至る血流を妥協させ、末梢粥状(アテローム)硬化により起こされている複数の疾患を含んでいる)およびこれらの後遺症;
虚血心疾病(例えば、安定および不安定狭心症)および心筋梗塞(MI)のような、冠動脈疾病およびこの複数の後遺症;
卒中および複数の一過性虚血発作(TIA)のような複数の脳血管疾病およびこの複数の後遺症;
肝および腎の虚血、例えば、粥状(アテローム)硬化腎動脈狭窄;
2型糖尿、および、複数の末梢動脈疾病、冠動脈疾病、腎の複数の脈管疾病、および糖尿ニューロパシーのような、その複数の後遺症のような複数の代謝疾病;
肥満、および、2型糖尿、複数の末梢動脈疾病、および冠動脈疾病のようなその後遺症;
喘息および慢性閉塞肺疾病(COPD)、例えば、慢性気管支炎のような複数の炎症気道疾病;
アルツハイマー氏病、パーキンソン氏病、多発硬化、および複数の末梢ニューロパシーのような複数の慢性神経変性疾病;
外傷(トラウマ)脳傷害および脊髄傷害のような複数の急性神経学的変性病状;
炎症腸疾病;
リューマチ関節炎、および、1次および2次の骨関節炎、ならびにこれらの後遺症のような関節軟骨の変性により特徴化された複数の炎症疾病;
創傷治癒;ならびに
複数の化学療法剤により起こされた毒性もしくは複数の末梢ニューロパシー
の処置および予防において使用されていてよい。
【0043】
好ましくはこれらの剤が、糖尿およびこの複数の後遺症;複数の虚血血管疾病;炎症と関連づけられた痛み;複数の炎症皮膚病状;脊髄損傷;末梢ニューロパシー;多発硬化;炎症腸疾病;リューマチ関節炎、代謝症候群(メタボリックシンドローム)X、肥満、肢端巨大症、および創傷治癒を処置するのに使用され得る。
【0044】
これらのような剤が、例えば、肝および腎の虚血により起こされたとおりの、複数の末梢臓器、例えば、肝および腎の複数の炎症疾病のような複数の病状の処置もしくは予防においても有用であることが、ある。
【0045】
これらの剤により処置され得る他の複数の炎症病状が、喘息、鼻炎、気管支炎、および慢性閉塞肺疾病(COPD)のような、複数の炎症気道疾病を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
本発明が、添付されている図面により例証されており、ここで、そして今後、7β−ヒドロキシ−EPIアンドロステロンが、本明細書において後、7β−OH EPIAとして言及されている。これら図面において:
【図1】実施例1における別々の4実験からの平均百分率(%)細胞死の組み合わされたデーターを示す。
【図2】実施例1において報告された別々の複数の実験における平均百分率(%)細胞死を示す。
【図3】実施例1において報告された別々の複数の実験における平均百分率(%)細胞死を示す。
【図4】実施例1において報告された別々の複数の実験における平均百分率(%)細胞死を示す。
【図5】図5(a)および図5(b)が、実施例2において報告されたとおり、TNF−α存在下および非存在下、7β−OH−EPIAと共にインキュベートされた末梢血単核(球)の複数の細胞上清中、検出された複数のPGD2レベルへの7β−OH−EPIAの濃度を増加させていくことの効果を示す。
【図6】図6(a)および図6(b)が、実施例2において報告されたとおり、TNF−α存在下および非存在下、7β−OH−EPIAと共にインキュベートされた末梢血単核(球)の複数の細胞上清中、検出された複数のPGE2レベルへの7β−OH−EPIAの濃度を増加させていくことの効果を示す。
【図7】図7(a)および図7(b)が、実施例2において報告されたとおり、TNF−α存在下および非存在下、7β−OH−EPIAと共にインキュベートされた末梢血単核(球)の複数の細胞上清中、検出された複数の15d−PGJ2レベルへの7β−OH−EPIAの濃度を増加させていくことの効果を示す。
【図8】図8が、実施例4においてより詳しく記載されたとおり、結腸組織における、(A)ミエロペルオキシダーゼ(MPO)、ならびに、複数の酸化ストレスマーカー、すなわち、(B)Prot CO、(C)Tbars、および(D)抗酸化剤マーカーたるGSHへの7β−ヒドロキシ−EPIA処理の複数の効果を示す。
【図9】図9が、実施例4における7β−ヒドロキシ−EPIA処理の間中の、種々の時刻における、結腸での15d−PGJ2レベル(A)、ならびに、COX−2、mPGES−1、およびH−PGDSの相対的なmRNA発現の定量化(B)を示す。
【図10】図10が、実施例4におけるDSS投与の間中の、プロスタグランジンE2、D2、および15d−PGJ2の結腸での合成への7β−ヒドロキシ−EPIAの効果を示す。
【図11】図11が、実施例4における結腸炎誘発の間中の、COX−2、mPGES−1、およびH−PGDSのmRNAの結腸での発現を示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明において使用されていてよい複数の化合物が、式(I):
【0048】
【化1】

のこんな複数の化合物ならびにこれらの医薬として許容可能な塩およびエステルを包含し、式中:
この破線の円が、これを含有している環が、全部飽和されていてよく、または、1本、2本、もしくは3本の炭素炭素2重結合を持ってよいことを指し示し;
この破線が、この結合が、炭素炭素単結合もしくは炭素炭素2重結合であってよいことを指し示し;
1が、水素原子もしくはメチル基を表し;
2、R3、およびR4が、互いと同一もしくは異なっており、各々が、オキソ基、水酸(ヒドロキシ)基、メルカプト(基)、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、もしくはアシル基を表す。
【0049】
上の式中の数字(3)および数字(7)が、用いられた付番システムを指し示すように、ガイダンスのみのためである。勿論、R2が、オキソ基を表す場合、この破線の円が、全部飽和された環(該環において2重結合が、全くないという感覚において)または1本もしくは2本の2重結合しか表さなくてよい。
【0050】
これらの化合物の間で、好まれた複数の化合物が、式(II):
【0051】
【化2】

のこんな複数の化合物(式中、R1、R2、R3、およびR4が、上で定義されたとおりである)およびこれらのエステルを包含する。
【0052】
これらの化合物の好まれた別のある1分類(クラス)が、式(III):
【0053】
【化3】

のこんな複数の化合物(式中、R2aが、オキソ基、水酸(ヒドロキシ)基、メルカプト基、もしくはハロゲン原子を表し;R1、R3、およびR4が、上で定義されたとおりである)およびこれらのエステルである。
【0054】
これらの化合物の尚更に好まれた分類(クラス)が、式(IV):
【0055】
【化4】

のこんな複数の化合物(式中、R1、R2、R3、およびR4が、上で定義されたとおりである)およびこれらのエステルである。
【0056】
これらの化合物の更に好まれた分類(クラス)が、式(V):
【0057】
【化5】

のこんな複数の化合物であり、式中、R2、R3、およびR4が、上で定義されたとおりである。
【0058】
式(II)の複数の化合物の例が、式(IIa):
【0059】
【化6】

を持つ、7−ヒドロキシテストステロン、および、この複数のエステルを包含する。この化合物における7−水酸(ヒドロキシ)基が、このαもしくはβの配置にあってよく、または、これら2種の異性体(アイソマー)のある1混合物が、使用されていてよい。
【0060】
式(III)の複数の化合物の例が、式(IIIa):
【0061】
【化7】

を持つ、7α−ヒドロキシデヒドロEPIアンドロステロン(7α−ヒドロキシ−DHEA)およびこの複数のエステル、ならびに、式(IIIb):
【0062】
【化8】

を持つ、7β−類似体およびこの複数のエステル、ならびに、式(IIIc):
【0063】
【化9】

を持つ、7β−ヒドロキシ−プレグネノロンおよびこの複数のエステル、ならびに、7α−ヒドロキシ類似体およびこの複数のエステルを包含する。
【0064】
式(IV)の複数の化合物の例が、7−ヒドロキシEPIアンドロステロンを包含し、この7α異性体(アイソマー)もしくはこの7β異性体(アイソマー)およびこれらの複数のエステルの形態にあってよい。7β−ヒドロキシEPIアンドロステロンが、本明細書において後、7β−OH EPIAとして言及されたが、式(IVa):
【0065】
【化10】

を持つ一方、7α−ヒドロキシEPIアンドロステロンが、本明細書において後、7α−OH EPIAとして言及されたが、式(IVb):
【0066】
【化11】

【0067】
を持つ。
【0068】
式(V)の複数の化合物の例が、式(Va):
【0069】
【化12】

を持つ、7β−ヒドロキシ−17β−エストラジオールおよびこの複数のエステル、およびその複数の7α−類似体およびこの複数のエステル、ならびに、式(Vb):
【0070】
【化13】

を持つ、7β−ヒドロキシ−エストロンおよびこの複数のエステル、およびその複数の7α−類似体およびこの複数のエステルである。
【0071】
本発明のこれら化合物において、R2、R2a、R3、もしくはR4が、ハロゲン原子を表す場合、これが、弗素原子、塩素原子、臭素原子、もしくは沃素原子であってよく、好ましくは塩素原子である。
【0072】
2、R2a、R3、もしくはR4が、アルコキシ基を表す場合、これが、好ましくは1〜6炭素原子を持っている、直鎖基もしくは分岐鎖基であってよい。これらのような基の例が、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、2級ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、およびヘキシルオキシ基を包含する。
【0073】
2、R2a、R3、もしくはR4が、アシルオキシ基を表す場合、これが、好ましくはフェノキシ基もしくはナフチルオキシ基である。
【0074】
2、R2a、R3、もしくはR4が、アシル基を表す場合、これが、例えば、脂肪族アシル基もしくは芳香族アシル基であってよい。複数の脂肪族アシル基の例が、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、およびヘキサノイル基のような、1〜6炭素原子を持っている複数の基を包含する。複数の芳香族アシル基の例が、ベンゾイル基、ナフトイル基、およびトルオイル基を包含する。
【0075】
該化合物が、式−ORのある1基を含有し、式中、Rが、R2などに対する関係において上で定義された複数の基および複数の原子のいずれかである場合、該活性種が、無保護の該水酸(ヒドロキシ)基を含有している化合物であることの多いことが、認められる。従って、水酸(ヒドロキシ)基にin vivoにおいて変換され得る如何なる基も該水酸(ヒドロキシ)基の代わりに使用されていてよい。
【0076】
これらの化合物が、複数の親ステロイドから出発して、これら自体においてよく知られた、種々の過程(プロセス)により調製されていてよい。例えば、これらが、欧州特許(EP)1 294 382において記述された複数の方法により調製されていてよい。
【0077】
式(I)のこれら化合物が、慢性神経変性疾病もしくは病状および急性神経変性疾病もしくは病状の処置もしくは予防における使用に関して、欧州特許(EP)1 294 382、国際公開(WO)2002/000 224、および国際公開(WO)2002/000 225において、および、慢性心臓変性疾病もしくは病状および急性心臓変性疾病もしくは病状の処置もしくは予防における使用に関して、国際公開(WO)2002/015 791において、開示されており、勿論、このような処置もしくは予防が、式(I)の複数の化合物に対する関係においてしか、これら本請求項から排他されていない。
【0078】
本発明において使用されていてよい複数の化合物の別のある1分類(クラス)が、式(VI):
【0079】
【化14】

式中:
Xが、式>CR56のある1基を表し、または、R10が、水素原子を表さない場合、式>SO2のある1基を表し;
Yが、式>NHもしくは式>CR56のある1基を表し;
Zが、式>C=Oの1基、式>CH2の1基、もしくは直接の結合を表し;
5が、水素原子を表し、R6が、水素原子、カルボキシ基、もしくはヒドロキシ基を表し;または
5およびR6が、オキソ基、メチレンジオキシ基、もしくはヒドロキシイミノ基を一緒に表し;
7が、水素原子もしくは低級アルキル基を表し;
8が、2水素原子またはオキソ基もしくはヒドロキシイミノ基を表し;
9が、水素原子、低級アルキル基、もしくはハロゲン原子を表し;
10が、水素原子、低級アルコキシ基、もしくはカルボキシ基を表し;
11およびR12が、互いと同一もしくは異なっており、各々、水素原子、低級アルキル基、もしくはハロゲン原子を表す
こんな複数の化合物ならびに複数の塩および複数のエステルを含む。
【0080】
式(VI)のこれら化合物において、Zが、直接の結合であってよく、このケースにおいて窒素含有複素環状5員環に融合された5員環の一部を形成し、または、式>CH2もしくは式>C=Oのある1基であってよく、このケースにおいて6員環の一部を形成する。
【0081】
7、R9、R11、もしくはR12が、低級アルキル基を表す場合、これが、1〜10、好ましくは1〜6炭素原子を持っている直鎖もしくは分岐鎖アルキル基であってよい。これらのような基の例が、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、2級ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、2−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、およびデシル基を包含し、これらのうち、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、およびヘキシル基が、好まれており、メチル基およびエチル基が、より好まれており、メチル基が、最も好まれている。
【0082】
9、R11、もしくはR12が、ハロゲン原子を表す場合、これが、弗素、塩素、臭素、もしくは沃素原子であってよく、これらのうち、弗素原子および塩素原子が、好まれている。
【0083】
10が、低級アルコキシ基を表す場合、これが、1〜10、好ましくは1〜6炭素原子を持っている直鎖もしくは分岐鎖アルコキシ基であってよい。これらのような基の例が、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、2級ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、2−メチルブトキシ基、1−エチルプロポキシ基、4−メチルペンチルオキシ基、3−メチルペンチルオキシ基、2−メチルペンチルオキシ基、1−メチルペンチルオキシ基、3,3−ジメチルブトキシ基、2,2−ジメチルブトキシ基、1,1−ジメチルブトキシ基、1,2−ジメチルブトキシ基、1,3−ジメチルブトキシ基、2,3−ジメチルブトキシ基、2−エチルブトキシ基、ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、およびデシルオキシ基を包含し、これらのうち、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、およびヘキシルオキシ基が、好まれており、メトキシ基およびエトキシ基が、より好まれており、メトキシ基が、最も好まれている。
【0084】
本発明のこれら化合物のうち、我々が:
Xが、式>CR56のある1基を表し、式中、R5が、ハロゲン原子を表し、R6が、水素原子、ヒドロキシ基、もしくはカルボキシ基を表し、またはR5およびR6が、オキソ基もしくはメチレンジオキシ基を一緒に表し;
Yが、式>CR56のある1基を表し、式中、R5が、水素原子を表し、R6が、水素原子もしくはカルボキシ基を表し;
7が、水素原子を表し;
8が、2水素原子もしくはオキソ基を表し;
9が、水素原子を表し;
10が、水素原子、C1〜C4アルコキシ基、もしくはカルボキシ基を表し;
11およびR12が、互いと同一もしくは異なっており、各々、水素原子もしくはC1〜C4アルキル基を表す
こんな複数のものならびにこれらの塩およびこれらのエステルを特に好む。
【0085】
本発明の複数の化合物の特定の例が、以降の表1において与えられている:
【0086】
【表1−1】

【0087】
【表1−2】

【0088】
【表1−3】

【0089】
【表1−4】

【0090】
式(VI)の最も好まれた複数の化合物が、上の表において、4、6、7、8、10、14、15、16、17、20、21、22、および23と付番されたこんな化合物である。
【0091】
本発明のこれら化合物が、カルボキシ基を含有する場合、例えば、R5もしくはR10が、カルボキシ基を表す場合、本発明のこれら化合物が、複数のエステルを形成し得、従来の複数のエステル化手法により調製されていてよい。該エステルの性質への特定の拘束が、全くないが、但し、この結果得られてくる化合物が、医療に使用される場合、該化合物が、医薬として許容可能であり、すなわち、親化合物よりも、より活性でないのでも許容不可能により活性でないのでもなく、より毒性であったり許容不可能により毒性であったりしない。しかしながら、該化合物が、例えば、他の複数の化合物の調製におけるある1中間体として、複数の非医療使用用に使用される場合、この拘束さえ、当てはまらず、この時、形成されていてよいこれらエステルの性質への拘束が、全くない。
【0092】
複数のエステル基の例が:R7、R9、R11、もしくはR12、および、ドデシル基、トリデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、およびイコシル基のような、当業界においてよく知られているような複数の高級アルキル基に対する関係において例示されたもののような、1〜20炭素原子、より好ましくは1〜10炭素原子を持っている複数のアルキル基;
【0093】
3〜7炭素原子を持っている複数のシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、およびシクロヘプチル基;
【0094】
複数のアリールアルキル(アラルキル)基、ここで、このアルキル部が、1〜3炭素原子を持ち、このアリール部が、6〜14炭素原子を持っているカルボ環状芳香族基であり、置換されていても置換されていなくてもよく;これらのようなアラルキル基の例が、ベンジル基、フェネチル基、1−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、2−フェニルプロピル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、2−(1−ナフチル)エチル基、2−(2−ナフチル)エチル基、ベンズヒドリル(つまり、ジフェニルメチル)基、トリフェニルメチル基、ビス(o−ニトロフェニル)メチル基、9−アントリルメチル基、2,4,6−トリメチルベンジル基、4−ブロモベンジル基、2−ニトロベンジル基、4−ニトロベンジル基、3−ニトロベンジル基、4−メトキシベンジル基、およびピペロニル基を包含し;
【0095】
ビニル基、アリル基、2−メチルアリル基、1−プロペニル基、およびイソプロペニル基のような、2〜6炭素原子を持っている複数のアルケニル基;
【0096】
2,2,2−トリクロロエチル基、2−ハロエチル基(例えば、2−クロロエチル、2−フルオロエチル、2−ブロモエチル、もしくは2−ヨードエチル)、2,2−ジブロモエチル基、および2,2,2−トリブロモエチル基のような、1〜6、好ましくは1〜4炭素原子を持っている複数のハロゲン化アルキル基;
【0097】
複数の置換シリルアルキル基、例えば、2−トリ(C1〜C4)アルキルシリルエチル基、特に、2−トリメチルシリルエチル基;
【0098】
置換フェニル基および置換されなかったフェニル基、例えば、フェニル基、トリル基、およびベンズアミドフェニル基;
【0099】
置換フェナシル基および置換されなかったフェナシル基、例えば、フェナシル基自体もしくはp−ブロモフェナシル基;
【0100】
環状テルペニル基および非環状テルペニル基、例えば、ゲラニル基、ネリル基、リナリル基、フィチル基、メンチル基(特に、m−およびp−メンチル)、ツジル基、カリル基、ピナニル基、ボルニル基、ノルカリル基、ノルピナニル基、ノルボルニル基、メンテニル基、カンフェニル基、およびノルボルネニル基;
【0101】
メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、イソプロポキシメチル基、ブトキシメチル基、およびメトキシエトキシメチル基のような、複数のアルコキシメチル基、ここで、このアルコキシ部が、1〜6、好ましくは1〜4炭素原子を持ち、これ自体が、置換されなかった単一アルコキシ基により置換されていてよく;
【0102】
アセトキシメチル基、プロピオニルオキシメチル基、ブチリルオキシメチル基、イソブチリルオキシメチル基、ピバロイルオキシメチル基、1−ピバロイルオキシエチル基、1−アセトキシエチル基、1−イソブチリルオキシエチル基、1−ピバロイルオキシプロピル基、2−メチル−1−ピバロイルオキシプロピル基、2−ピバロイルオキシプロピル基、1−イソブチリルオキシエチル基、1−イソブチリルオキシプロピル基、1−アセトキシプロピル基、1−アセトキシ−2−メチルプロピル基、1−プロピオニルオキシエチル基、1−プロピオニルオキシプロピル基、2−アセトキシプロピル基、および1−ブチリルオキシエチル基のような、複数の脂肪族アシルオキシアルキル基、ここで、このアシル基が、好ましくはアルカノイル基であり、より好ましくは2〜6炭素原子を持っているアルカノイル基であり、このアルキル部が、1〜6、好ましくは1〜4炭素原子を持ち;
【0103】
シクロヘキシルアセトキシメチル基、1−(シクロヘキシルアセトキシ)エチル基、1−(シクロヘキシルアセトキシ)プロピル基、2−メチル−1−(シクロヘキシルアセトキシ)プロピル基、シクロペンチルアセトキシメチル基、1−(シクロペンチルアセトキシ)エチル基、1−(シクロペンチルアセトキシ)プロピル基、および2−メチル−1−(シクロペンチルアセトキシ)プロピル基のような、複数のシクロアルキル置換脂肪族アシルオキシアルキル基、ここで、このアシル基が、好ましくはアルカノイル基であり、より好ましくは2〜6炭素原子を持っているアルカノイル基であり、このシクロアルキル置換基が、3〜7炭素原子を持ち、このアルキル部が、1〜6、好ましくは1〜4炭素原子を持ち;
【0104】
複数のアルコキシカルボニルオキシアルキル基、特に、1−メトキシカルボニルオキシエチル基、1−エトキシカルボニルオキシエチル基、1−プロポキシカルボニルオキシエチル基、1−イソプロポキシカルボニルオキシエチル基、1−ブトキシカルボニルオキシエチル基、1−イソブトキシカルボニルオキシエチル基、1−2級(s−)ブトキシカルボニルオキシエチル基、1−t−ブトキシカルボニルオキシエチル基、1−(1−エチルプロポキシカルボニルオキシ)エチル基、および1−(1,1−ジプロピルブトキシカルボニルオキシ)エチル基のような、複数の1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル基、および、他の複数のアルコキシカルボニルアルキル基、2−メチル−1−(イソプロポキシカルボニルオキシ)プロピル基、2−(イソプロポキシカルボニルオキシ)プロピル基、イソプロポキシカルボニルオキシメチル基、t−ブトキシカルボニルオキシメチル基、メトキシカルボニルオキシメチル基、およびエトキシカルボニルオキシメチル基のような、ここで、該アルコキシ基および該アルキル基の両方が、1〜6、好ましくは1〜4炭素原子を持ち;
【0105】
シクロアルキルカルボニルオキシアルキル基およびシクロアルキルオキシカルボニルオキシアルキル基、例えば、1−メチルシクロヘキシルカルボニルオキシメチル基、1−メチルシクロヘキシルオキシカルボニルオキシメチル基、シクロペンチルオキシカルボニルオキシメチル基、シクロペンチルカルボニルオキシメチル基、1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル基、1−(シクロヘキシルカルボニルオキシ)エチル基、1−(シクロペンチルオキシカルボニルオキシ)エチル基、1−(シクロペンチルカルボニルオキシ)エチル基、1−(シクロヘプチルオキシカルボニルオキシ)エチル基、1−(シクロヘプチルカルボニルオキシ)エチル基、1−メチルシクロペンチルカルボニルオキシメチル基、1−メチルシクロペンチルオキシカルボニルオキシメチル基、2−メチル−1−(1−メチルシクロヘキシルカルボニルオキシ)プロピル基、1−(1−メチルシクロヘキシルカルボニルオキシ)プロピル基、2−(1−メチルシクロヘキシルカルボニルオキシ)プロピル基、1−(シクロヘキシルカルボニルオキシ)プロピル基、2−(シクロヘキシルカルボニルオキシ)プロピル基、2−メチル−1−(1−メチルシクロペンチルカルボニルオキシ)プロピル基、1−(1−メチルシクロペンチルカルボニルオキシ)プロピル基、2−(シクロペンチルカルボニルオキシ)プロピル基、1−(1−メチルシクロペンチルカルボニルオキシ)エチル基、1−(1−メチルシクロペンチルカルボニルオキシ)プロピル基、アダマンチルオキシカルボニルオキシメチル基、アダマンチルカルボニルオキシメチル基、1−アダマンチルオキシカルボニルオキシエチル基、および1−アダマンチルカルボニルオキシエチル基;
【0106】
複数のシクロアルキルアルコキシカルボニルオキシアルキル基、例えば、シクロプロピルメトキシカルボニルオキシメチル基、シクロブチルメトキシカルボニルオキシメチル基、シクロペンチルメトキシカルボニルオキシメチル基、シクロヘキシルメトキシカルボニルオキシメチル基、1−(シクロプロピルメトキシカルボニルオキシ)エチル基、1−(シクロブチルメトキシカルボニルオキシ)エチル基、1−(シクロペンチルメトキシカルボニルオキシ)エチル基、および1−(シクロヘキシルメトキシカルボニルオキシ)エチル基;
【0107】
テルペニルカルボニルオキシアルキル基およびテルペニルオキシカルボニルオキシアルキル基、例えば、1−(メンチルオキシカルボニルオキシ)エチル基、1−(メンチルカルボニルオキシ)エチル基、メンチルオキシカルボニルオキシメチル基、メンチルカルボニルオキシメチル基、1−(3−ピナニルオキシカルボニルオキシ)エチル基、1−(3−ピナニルカルボニルオキシ)エチル基、3−ピナニルオキシカルボニルオキシメチル基、および3−ピナニルカルボニルオキシメチル基;
【0108】
複数の5−アルキル−もしくは5−フェニル−(2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)アルキル基、例えば、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル基、(5−フェニル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル基、(5−イソプロピル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル基、(5−t−ブチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル基、および1−(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)エチル基;ならびに、他の複数の基、特に、フタリジル基、インダニル基、および2−オキソ−4,5,6,7−テトラヒドロ−1,3−ベンゾジオキソレン−4−イル基のようなin vivoにおいて容易に除かれている複数の基を包含する。
【0109】
また、もし、本発明のこれら化合物が、カルボキシ基を含有すれば、これらが、従来の複数の方法により、ある1塩基との複数の塩へと変換され得る。これらのような塩の性質への特定の拘束が、全くなく、但し、これら化合物が、医療的に使用される場合、これら化合物が、医薬として許容可能である。しかしながら、本化合物が、例えば、他の複数の化合物の調製におけるある1中間体として、複数の非医療使用に使用される場合、この拘束さえ、当てはまらず、この時、形成されていてよいこれら塩の性質への拘束が、全くない。これらのような塩の例が:ナトリウム、カリウム、もしくはリチウムのような、アルカリ金属との複数の塩;バリウムもしくはカルシウムのような、アルカリ土類金属との複数の塩;マグネシウムもしくはアルミニウムのような、別のある1金属との複数の塩;複数のアンモニウム塩;メチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、シクロヘキシルアミン、もしくはジシクロヘキシルアミンとのある1種の塩のような、複数の有機塩基塩;ならびに、リジンもしくはアルギニンのような、ある1種の塩基性アミノ酸との複数の塩を包含する。我々が、これら医薬として許容可能な塩を好む。
【0110】
本発明のこれら化合物が、従来の複数の方法により、複数の酸との複数の塩にも変換され得る。これらのような塩の性質への特定の拘束が、全くなく、但し、これら化合物が、医療的に使用される場合、これら化合物が、医薬として許容可能である。しかしながら、本化合物が、例えば、他の複数の化合物の調製におけるある1中間体として、複数の非医療使用に使用される場合、この拘束さえ、当てはまらず、この時、形成されていてよいこれら塩の性質への拘束が、全くない。これらのような塩の例が:複数の鉱酸、特に複数のハロゲン化水素酸(弗化水素酸、臭化水素酸、沃化水素酸、もしくは塩化水素酸のような)、硝酸、過塩素酸、炭酸、硫酸、もしくは燐酸との塩;メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、もしくはエタンスルホン酸のような、複数の低級アルキルスルホン酸との塩;ベンゼンスルホン酸もしくはパラ(p−)トルエンスルホン酸のような、複数のアリールスルホン酸との塩;酢酸、フマル酸、酒石酸、蓚酸、マレイン酸、林檎酸、琥珀酸、安息香酸、マンデル酸、アスコルビン酸、乳酸、グルコン酸、もしくは枸櫞酸のような、複数の有機カルボン酸との塩;ならびに、グルタミン酸もしくはアスパラギン酸のような、複数のアミノ酸との塩を包含する。我々が、これら医薬として許容可能な塩を好む。
【0111】
式(VI)のこれら化合物が、慢性および急性の神経変性疾病もしくは病状の処置もしくは予防における使用のための国際公開(WO)2006/082 409において開示されており、勿論、このような処置もしくは予防が、式(VI)の複数の化合物に対する関連においてしか、複数の本願請求項から排他されていない。
【0112】
本発明のこれら化合物が、これゆえ、種々の慢性および急性の疾病もしくは病状の処置もしくは予防において使用されていてよく、これらの目的に向け、当業界においてよく知られているとおり、従来の複数の医薬調製品として製剤されていてよい。これゆえ、これら化合物が、例えば、複数の錠剤(タブレット)、複数のカプセル、複数の顆粒、複数の粉末、複数のシロップ、複数のスプレーの形態において、もしくは他にこれらのようなよく知られた形態において、経口投与されていてよく、または、例えば、複数の注射、複数のスプレー、複数の点眼、複数の接着軟膏、もしくは複数の坐薬等により、非経口投与されていてよい。
【0113】
これらの医薬調製品が、従来手段により調製され得、この分野においてよく使用されたある1種の型の既知の複数のアジュヴァントを含有してよく、例えば、複数のビヒクル、複数のバインダー、複数の崩壊剤、複数の潤滑剤、複数の安定剤、複数の矯正薬等であり、該調製品の意図された使用および形態に依っている。その用量が、その患者の病状、年齢、および体重に並びに処置されるべき疾患の性質および重篤さに依ることとなるが、ヒト成人患者に対する経口投与のケースにおいて、我々が、通常、0.01〜50mg/kg体重の1日の全用量を示唆すると思うが(より好ましくは0.05〜20mg/kg体重)、例えば、1日当たり1〜3回、単回用量においてもしくは分けられた用量において投与されていてよい。
【0114】
一般的に、本発明のこれら化合物が、炎症に至る代謝経路(単数もしくは複数)から生じている種々の炎症病状もしくは種々の病状の処置用にもしくは予防用に使用されていてよい。これらの化合物の置かれていてよい複数の使用の例が:神経突起成長の促進;糖尿(特に2型糖尿)およびこの複数の後遺症の処置もしくは予防;複数の虚血血管疾病の処置および予防;炎症と関連づけられた痛みの処置;乾癬および創傷治癒を包含している、複数の炎症皮膚病状の処置および予防を包含する。処置されていたり予防されていたりしてよい、または、その複数の効果が、本発明のこれら化合物の使用により、和らげられていてよい他の複数の炎症病状が、脊髄損傷、末梢ニューロパシー、多発硬化、炎症腸疾病、リューマチ炎;および、シスプラチンのような複数種の化学療法剤により、もしくは、糖尿ニューロパシーのような他の複数種の原因により、起こされた末梢ニューロパシーもしくは毒性を包含する。仕上げに、処置されていたり予防されていたりしてよい、または、その複数の効果が、本発明のこれら化合物の使用により、和らげられていてよい複数の病状が、種々の型の癌をも包含する。
【0115】
本発明が、以降の複数の非限定実施例により更に例証されている。
【実施例】
【0116】
実施例1
複数のPC−12細胞における虚血に対する7β−ヒドロキシ−EPIアンドロステロンの複数の保護効果:シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤たるインドメタシンによる阻害
この実施例の目的が、プロスタグランジン合成のインドメタシンにより弱められている場合の低酸素のある1モデルにおけるその神経保護効率を7β−OH−EPIAが、保持するかどうか調べることにあった。使用された主な実験系が、複数のPC12細胞における虚血誘発細胞毒性であった。実験の測定された終点が、細胞死であった。
【0117】
虚血誘発PC−12細胞死が、7β−OH−EPIAにより一貫して抑えられていた。インドメタシン(10μM)が、プロスタグランジン合成をブロックするが、虚血により誘発された細胞死への直接の効果を全く持たなかったが、1μMおよび10μMの7β−OH−EPIAの神経保護効果に全部拮抗した。プロスタグランジン合成が、7β−ヒドロキシ−EPIAの神経保護効果に必要とされているという仮説を裏付けている。
【0118】
方法論
PC−12細胞培養
複数のPC−12細胞が、以降の組成:2mM L−グルタミン、10mM HEPES、1mM 焦性葡萄酸(ピルビン酸)ナトリウム、最終濃度4.5g/Lを与えるように追加の葡萄糖(グルコース、RPMIは通常2g/Lを持つ)、10%熱不活化馬血清、5%牛胎児血清、および50単位のペニシリン/ストレプトマイシンを有する、L−グルタミン無しのRPMI 1640を有する複数のPC−12培地において1型コラーゲンを用いてコーティングされた複数のフラスコ上、維持されていた。複数の培地が、2日毎、変えられていた。
【0119】
複数のPC−12細胞アッセイ
複数のPC−12細胞の合流培養が、無血清だが50ng/ml NGFを有するPC−12培地(複数の PC−12 NGF 培地)において7日間、培養していくことにより分化された。これら細胞が、収穫され、洗浄され、計数されたが、1×105PC−12細胞/穴(ウェル)が、葡萄糖(グルコース)のないPC−12 NGF 培地においてミクロタイタープレートに終夜播かれた。該培地が、次いで、テストされるべき複数の化合物を含有している、葡萄糖(グルコース)のないPC−12 NGF 培地に変更され、これら皿(プレート)が、30分間、通常酸素条件下、放置された。
【0120】
この段階(ステージ)の間中、この無酸素被曝用のこれら培地およびこれらテスト物質が、ある1チャンバーに入れられ、95%N2/5%CO2を用いて脱酸素化された。シールされて終夜(18時間)37℃においてインキュベートされていく前、これら皿(プレート)における培地が、これら脱酸素化培地を用いて変えられ、これら皿(プレート)が、次いで、10分間、95%N2 5%CO2を用いて気体(ガス)を入れられた嫌気チャンバーに入れられた。通常酸素の複数のコントロールに関し、全てのインキュベートが、5%CO2/95%空気(エア)中であったことを除き、これら細胞が、複数の虚血処理に同じく処理された。
【0121】
生存度が、トリパンブルー(Trypan Blue)排他を使用しながら、求められた。
【0122】
複数の結果
複数のPC−12細胞が、低酸素に対し、相対的に抵抗性であった。このせいで、我々が、毒性を開始させるのにより重篤な酸素葡萄糖(グルコース)組み合わせ剥奪(虚血)プロトコールを使用した(図1)。7β−OH−EPIAが、1μM(細胞死における26%の減少)および10μM(細胞死における53%の減少)において観察されている有意な神経保護と共にこのアッセイにおいて用量依存的に細胞保護的であった。図1が、この効果を示している4実験からのデーターの組み合わせを提示する。図1が、別々の4実験からのデーターの組み合わせからの平均百分率(%)細胞死を示す。このデーターが、平均±semとして表現されている。76%±2.2%の細胞死が、虚血単独と共に観察された。細胞死における統計的に有意な減少が、1μM 7β−OH−EPIA(細胞死における26%の減少、p<0.001)、10μM 7β−OH−EPIA(細胞死における53%の減少、p<0.001)と共に観察された。***=p<0.001対(vs)虚血単独。
【0123】
NMDA受容体(レセプター)拮抗薬(アンタゴニスト)たるMK−801が、複数のPC−12細胞の虚血により誘発された毒性をも抑えた(図2)。シクロオキシゲナーゼ阻害剤たるインドメタシンが、100μMにおいて中くらいの保護効果(細胞死における29%の抑制)を持ったが、より低い複数の濃度において持たなかった(図2)。図2が、平均百分率(%)細胞死を示す。このデーターが、平均±semとして表現されている。79%±5.3%の細胞死が、虚血単独と共に観察された。細胞死における統計的に有意な減少が、100μM インドメタシン(IM、細胞死における29%の減少、p<0.05)、10μM MK801(細胞死における62%の減少、p<0.001)と共に観察された。**=p<0.01、***=p<0.001対(vs)虚血単独。
【0124】
7β−OH−EPIAの神経保護効果が、虚血単独に曝された複数の培養から区別不可能であるこれらの培養における毒性と共に10〜100μMのインドメタシン(IM、図3)により全部拮抗された。図3が、平均百分率(%)細胞死を示す。このデーターが、平均±semとして表現されている。76%±4.2%の細胞死が、虚血単独と共に観察された。細胞死における統計的に有意な減少が、10μM 7β−OH−EPIA(細胞死における50%の減少、p<0.001)、10μM MK801(細胞死における42%の減少、p<0.001)と共に観察された。***=p<0.001対(vs)虚血単独。
【0125】
図4において見られたとおり、10μM インドメタシンが、1μMおよび10μM両方の7β−OH−EPIAの神経保護効果に全部拮抗した。図4が、平均百分率(%)細胞死を示す。このデーターが、平均±semとして表現されている。76%±4.8%の細胞死が、虚血単独と共に観察された。細胞死における統計的に有意な減少が、1μM 7β−OH−EPIA(細胞死における25%の減少、p<0.05)、10μM 7β−OH−EPIA(細胞死における50%の減少、p<0.001)と共に観察された。*=p<0.05、***=p<0.001対(vs)虚血単独。
【0126】
複数の結論
虚血により誘発されたPC−12細胞死が、7β−OH−EPIAにより一貫して抑えられた。インドメタシンが、プロスタグランジン合成をブロックするが、10μMに至るまでの複数の濃度においてPC−12細胞死に直接影響しなかった。しかしながら、該濃度が、更に100μMに増加された場合、中くらいの神経保護効果が、観察された。
【0127】
インドメタシン(10μM)が、虚血により誘発された細胞死への直接の効果を全く持たなかったが、7β−OH−EPIAの神経保護効果を有意に弱めた。プロスタグランジン合成が、7β−OH−EPIAの神経保護効果に必要とされているという仮説を裏付けている。
【0128】
実施例2
複数のヒト単核細胞による、プロスタグランジンD2、プロスタグランジンE2、およびプロスタグランジン15−デオキシ−Δ12,14−J2の産生への7β−ヒドロキシ−EPIアンドロステロンの効果
この実施例の目的が、7β−OH−EPIAが、複数のヒト単球細胞におけるアラキドン酸特異的代謝産物、すなわち、プロスタグランジンD2(PGD2)、プロスタグランジンE2(PGE2)、および15−デオキシ−Δ12,14−プロスタグランジンJ2(15d−PGJ2)の生合成を誘発し得たかどうか確かめることにあった。
【0129】
複数の単球血液細胞が、原炎症刺激たる、腫瘍壊死因子(TNF)−α非存在下もしくは存在下どちらかの下、ある1範囲の複数の濃度の7β−OH−EPIAに曝され、産生されたPGD2、PGE2、および15d−PGJ2の量が、酵素免疫アッセイ(EIA)により測定された。
【0130】
7β−OH−EPIA(0.1nM〜1000nM)が、通常の複数のヒト末梢血単核細胞からのPGD2産生における濃度依存増加を誘発させた。TNF−αが、コントロールに比べられたら、PGD2産生を増加させたが、これが、7β−OH−EPIAの最高濃度において高められた。7β−OH−EPIA(1nM〜1000nM)が、通常の複数のヒト末梢血単核細胞におけるPGE2生合成への有意な効果を全く持たないように見えたが、PGE2産生におけるTNF−αにより誘発された複数の増加を完全に抑圧した。7β−OH−EPIA(0.1nM〜1000nM)が、それらのそれぞれのコントロールに比べられたら、TNF−α非存在下、およそ9〜12倍、および、TNF−α存在下、2〜2.5倍、通常の複数のヒト末梢血単核細胞における15d−PGJ2産生を増加させると見いだされた。
【0131】
方法論
複数の末梢血単核細胞
複数の単核細胞(複数の単球および複数のリンパ球)が、フィコール/ハイパーク密度遠心にヒト全血48mlを付してみることにより調製された。血液が、該フィコール(密度=1.077g/ml)の頂(トップ)上、層状とされ、1時間、400gにおいて遠心され(22℃)、この後、相間における複数の細胞が、ピペットにより除かれ、真新しい複数の管(チューブ)に移された。複数の管(チューブ)が、徹底的に混合されたRPMI 1640培養培地(2体積)を用いて満たされ、次いで、5分間、400gにおいて遠心された(22℃)。上清が、漉かれ、細胞ペレットが、RPMI 1640培養培地に再懸濁され、体積が、下の結果の部(セクション)において指し示されたとおりのインキュベート1回当たりの適切な数の細胞を与えるように調整された。複数の細胞が、37℃、空気中5%CO2、および100%湿度において18時間、最終体積1mlのRPMI 1640培地において1.5mlの複数の無菌プラスチック管(チューブ)中、インキュベートされた。組み換えヒト腫瘍壊死因子−α(TNF−α)を加えていく前、7β−OH−EPIAが、次いで、加えられ、複数の細胞が、37℃において更なる1時間、インキュベートされ、複数回のインキュベートが、更なる3時間、継続された。7β−OH−EPIAが、ジメチルスルホキシド(DMSO)中、調製され、全ての残っている剤が、RPMI 1640培地中、調製された。要件に関する複数のコントロールが、培地か、いつも<0.1%(体積/体積、v/v)であった同一濃度のDMSOか、どちらかを含有した。複数回のインキュベートが、22℃において30秒間、11,000gにおいて複数の管(チューブ)を遠心いていき、1.5mlの真新しい複数の管(チューブ)に複数の上清を移していくことにより終結された。複数のサンプルが、次いで、下記されたとおりPGD2の推定用に直ちに加工されたか、または、PGE2もしくは15d−PGJ2の測定の前に−20℃において保管されたか、どちらかであった。
【0132】
複数のプロスタグランジン酵素免疫アッセイ(EIAs)
TNF−αを用いた刺激非存在下もしくは存在下どちらかの下、7β−OH−EPIAに対する応答における複数のヒト単球細胞によるプロスタグランジン産生が、商品として入手可能な複数のEIAキットを使用しながら、エイコサノイド細胞外レベルを測定していくことにより求められた。
【0133】
PGD2EIA
PGD2が、複数の細胞上清から直接アッセイされ得ないのが、これが、化学的に不安定であり、PGJ2、Δ12−PGJ2、および15−デオキシ−Δ12,14−PGJ2を包含している数多くのJ系列のプロスタグランジンに急速に分解するからである。この問題を迂回するに当たり、不安定なPGD2が、安定な誘導体を与えるように化学的に処理されたが、このケースにおいてプロスタグランジンD2−メトキサミン(PGD2−MOX)であり、引き続いての分析用に保管されていた。複数のインキュベートの終結化の後直ちに、サンプル上清100μlが、10:90(体積/体積、v/v)エタノール/水溶液に溶解されたメチルオキシム化試薬(Methyl Oximating Reagent、塩酸メトキシルアミン(MOX−HCl))および酢酸ナトリウム100μlを含有している1.5mlの複数の管(チューブ)に加えられた。複数の管(チューブ)が、次いで、水浴に入れられ、反応が、60℃において30分間、進むようにされた。この期間の終わりに複数のサンプルが、−80℃において保管された。PGD2の複数のレベルが、引き続き、Cayman ChemicalのプロスタグランジンD2−MOX EIAキット(カタログ番号512011)を使用しながら、推定された。
【0134】
PGE2EIA
PGE2の複数の細胞外レベルが、その高感受性プロトコール用の製造元の説明書に従いながら、R&D SystemsのParameter PGE2EIA Kitを使用しながら、推定された。
【0135】
15d−PG2EIA
15d−PGJ2の複数の細胞外レベルが、その製造元の説明書に従いながら、Assay DesignsのCorrelate−EIA プロスタグランジン15−デオキシ−Δ12,14−プロスタグランジンJ2EIAキット(カタログ番号900−023)を使用しながら、推定された。
【0136】
統計解析
複数の結果が、n=3のインキュベートに関し、その平均±s.d.として表現されている。対とされなかったStudents t−検定(t−Test)が、2組(セット)のデーターが、互いに異なっていたという確率(P)を求めるのに使用された。この違いが、P<0.05の場合、有意であると見なされた。複数の統計計算が、Abacus Concepts Inc.からの、ソフトウェアパッケージたるStatviewを使用しながら、アップル マッキントッシュ(Apple Macintosh)のコンピューター上、完遂された。
【0137】
複数の結果
複数のヒト単核細胞によるPGD2産生への7β−OH−EPIAの効果
図5(a)が、7β−OH−EPIAを用いて4時間、インキュベートされた1×107末梢血単核細胞/mlの細胞上清中、検出されたPGD2の複数のレベルへの7β−OH−EPIAの濃度を増加させていく(0.1nM〜1000nM)ことの効果を示す。7β−OH−EPIAが、コントロールよりも有意に大きかった(40±13pg/ml PGD2; P=0.01)100nM 7β−OH−EPIAにおけるある1極大(102±24pg/ml PGD2)に届いているPGD2産生における濃度から独立している増加を誘発させるように見えた。
【0138】
図5(b)が、TNF−α(0.5μg/ml)存在下、インキュベートされた複数の単核細胞の細胞上清中、検出されたPGD2の複数のレベルへの7β−OH−EPIAの濃度を増加させていく(0.1nM〜1000nM)ことの効果を示す。TNF−αが、DMSOビヒクルコントロールに比べられたら、PGD2における2.3倍の増加を刺激した(P<0.05)。0.1nM〜100nMの濃度において7β−OH−EPIAが、TNF−α誘発PGD2生合成への効果を全く持たないように見えた。この実験において使用された7β−OH−EPIAの最高濃度(1000nM)においてPGD2の複数のレベルが、164±31pg/mlにまで増加した(TNF−α単独に比べられたら、P=0.03)。
【0139】
複数のヒト単核細胞によるPGE2産生への7β−OH−EPIAの効果
図6(a)が、7β−OH−EPIAを用いて4時間、インキュベートされた6×105末梢血単核細胞/mlの細胞上清中、検出されたPGE2の複数のレベルへの7β−OH−EPIAの濃度を増加させていく(1nM〜1000nM)ことの効果を示す。7β−OH−EPIAが、複数のDMSOコントロールに比べられたら、PGE2の複数のレベルを増加させるように見えたが、しかしながら、これらの増加が、統計的に有意に異なっていなかった。
【0140】
図6(b)が、TNF−α(10ng/ml)存在下、インキュベートされた単核細胞の複数の細胞上清中、検出されたPGE2の複数のレベルへの7β−OH−EPIAの濃度を増加させていく(1nM〜1000nM)ことの効果を示す。TNF−αが、DMSOコントロールに比べられたら、PGE2における有意な1.97倍の増加を刺激した(P=0.001)。1nM〜100nMの濃度において、7β−OH−EPIAが、TNF−α単独に対する応答における167±6pg/mlから、ぞれぞれ、1nM、10nM、および100nM 7β−OH−EPIAに関しての75±25pg/ml、82±23pg/ml、および74±12pg/mlにまでTNF−α誘発PGE2生合成を有意に抑圧した(TNF−αのみと比べられたら、全てのP<0.02)。この実験において使用された7β−OH−EPIAの最高濃度(1000nM)においてTNF−α誘発PGE2産生への効果が、全く観察されなかった。
【0141】
複数のヒト単核細胞による15d−PGJ2産生への7β−OH−EPIAの効果
図7(a)が、7β−OH−EPIAを用いて4時間、インキュベートされた複数の単核細胞の細胞上清中、検出された15d−PGJ2の複数のレベルへの7β−OH−EPIAの濃度を増加させていく(0.1nM〜1000nM)ことの効果を示す。7β−OH−EPIAが、使用された全ての濃度においておよそ9〜12倍、15d−PGJ2の複数のレベルを有意に増加させた。複数のレベルが、複数のDMSOコントロールに関しての51±6pg/mlから、ぞれぞれ、0.1nM、1nM、10nM、100nM、および1000nM 7β−OH−EPIAに関しての506±101pg/ml、539±51pg/ml、520±45pg/ml、450±133pg/ml、および590±84pg/mlにまで増加された(複数のDMSOコントロールと比べられたら、全てのP<0.05)。
【0142】
図7(b)が、TNF−α(10ng/ml)を用いてインキュベートされた複数の単核細胞の細胞上清中、検出された15d−PGJ2の複数のレベルへの7β−OH−EPIAの濃度を増加させていく(0.1nM〜1000nM)ことの効果を示す。この実験において使用されたサイトカインの濃度において、TNF−αが、15d−PGJ2における小さな増加を刺激するように見えたが、しかしながら、これが、複数のDMSOコントロールから、有意に異なっていなかった。使用された全ての濃度において7β−OH−EPIAが、TNF−α存在下、15d−PGJ2の複数のレベルを増加させた。15d−PGJ2の複数のレベルが、TNF−α単独存在下での157±39pg/mlから、ぞれぞれ、TNF−α+0.1nM、1nM、10nM、100nM、および1000nM 7β−OH−EPIA存在下での348±48pg/ml、334±24pg/ml、356±85pg/ml、406±30pg/ml、および318±100pg/mlにまで増加された(TNF−αのみと比べられたら、全てのP<0.05)。
【0143】
実施例3
7α−ヒドロキシ−DHEA、7β−ヒドロキシ−DHEA、および7β−ヒドロキシ−EPIAが、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)およびエピアンドロステロン(EPIA)の複数の自然代謝産物である。数多くのステロイドが、炎症過程(プロセス)および免疫過程(プロセス)と干渉すると報告されているので、我々の課題が、PG産生および関連酵素遺伝子発現へのこれらのヒドロキシステロイドの効果をテストすることであった。複数のヒト末梢血単球(PBMC)が、原炎症サイトカインたるTNF−α(10ng/mL)の添加有りもしくは無しで、これらステロイドの各々(1〜100nM)の存在下、4時間および24時間、培養された。PGE2のレベル、PGD2のレベル、および15−デオキシ−Δ12,14−PGJ2(15d−PGJ2)のレベルが、そのインキュベート培地において測定されたが、シクロオキシゲナーゼ(COX−2)およびPGE合成酵素(シンターゼ、m−PGES1)のmRNAの細胞含量が、定量的RT−PCRにより査定された。TNF−αの添加が、結果的に、PG産生の上昇ならびにCOX−2mRNAレベルおよびm−PGES1mRNAレベルの増加を与えた。テストされた3種のステロイドの間で、7β−ヒドロキシ−EPIAしか、COX−2およびm−PGES1の発現を減少させなかった一方、顕著に、PGE2の産生を減少させており、15d−PGJ2の産生を増加させている。これらの結果が、7β−ヒドロキシ−EPIAが、複数の抗炎症効果を持つことを指し示す。
【0144】
1.1.ヒトPBMC調製および培養
全血が、Etablissement Francaise du Sang(ブレスト、フランス)における複数のEDTA補完パウチ中の複数のドナーから、収集された。該PBMCが、収集後、36時間以内で、無菌条件下、全血から、次いで、単離された。密度勾配遠心が、Ficoll(Eurobio)上、完遂された。RPMI 1640培地(Eurobio)中での洗浄後、複数の細胞が、10%熱不活化牛胎児血清(Eurobio)、2mM グルタミン(D.Dutscher)、100Uのペニシリン/ml(D.Dutscher)、および100μgのストレプトマイシン/ml(D.Dutscher)を用いて補完されたRPMI 1640培地において懸濁された。複数の単球が、1時間、プラスチックに対する接着により選ばれ、およそ107の細胞が、。複数枚の6穴(ウェル)組織培養プレート(1ウェル当たり、3mLの培地)においてプレートに播かれた。全てのインキュベートが、37℃および5%CO2における湿らされたインキュベータ中、実施された。複数の細胞が、回収され、0.01μg/mL TNF−α(シグマ−アルドリッチ)存在下もしくは非存在下、7β−ヒドロキシ−EPIA、7β−ヒドロキシ−DHEA、もしくは7α−ヒドロキシ−DHEA(エタノール20μL中)のどれかを用いて補完された作りたてのインキュベート培地2ml中、分散された。コントロールの複数のインキュベートが、エタノール20μlを含有したが、全くステロイドを含有しなかった。複数の上清が、4時間後、収集されたが、これらのPG含量および細胞の測定用の24時間インキュベートが、引き続いてのRNAの単離用に使用された。Trizol試薬(Invitrogen、セルジ−ポントワーズ(Cergy−Pontoise)、フランス(France))を使用しながらの単一工程(ステップ)抽出法が、全RNAを与えた。
【0145】
1.2.リアルタイム逆転写酵素PCR
複数のcDNAが、Superscript 第1ストランド合成システムキット(Invitrogen)を使用しながら、TURBO DNase I処理RNA(Ambion、Huntingdon、UK)から、合成された。複数のRT−PCR増幅混合物(50μL)が、2,5xRealMaster Mix/20x SYBR溶液(11,25μL、エッペンドルフ、ル ペック、フランス)ならびに200nMの順プライマーおよび逆プライマーを含有した。複数の反応が、RealPlex ep 勾配 S マスターサイクル機(エッペンドルフ)上、行われた。これらサイクルを回していく条件が、95℃において10分であったが、45サイクルをそれぞれ、15秒間、30秒間、および30秒間、95℃、55℃、および68℃においてであった。各アッセイが、コントロールのcDNAの4点の連続の稀釈点(ポイント)の標準曲線を包含した。HPRT1ハウスキーピング遺伝子が、定量化用に使用された。全てのオリゴヌクレオチドプライマー(表2)が、Genecust/Distribio(エヴリ、フランス)により合成された。増幅された生成物の特異性が、その生成物融解曲線の審査によりモニターされたが、アガロースゲル電気泳動上での分析により確かめられた。
【0146】
1.3.複数のPG測定
商品として入手可能な複数のEIAキットが、複数の培養培地における複数のPGE2レベル(Oxford Biomedical Research、UK)および複数の15d−PGJ2レベル(Assay desingns、Euromedex、France)の決定用に使用された。複数のPGD2レベルの測定が、プロスタグランジンD2−MOX EIA キット(Cayman Chemical、Euromedex)を使用しながら、得られた。このケースにおいて、および、アッセイの前に、これら採れたてのサンプルが、PGD2−MOXへとPGD2を変換した、MOX−HCl試薬と直ちに処理されたが、こうして如何なる更なる化学的劣化をも防いでいる。
【0147】
1.4.データーの統計解析
全てのアッセイが、3回ずつ完遂されたが、複数の結果が、平均±S.E.M.としてプロットされた。分散の片道での解析が、複数の群の間での違いを比べるためにDuncanの多数回ずつのレンジテストにより伴われて実施された。複数の違いが、p<0.05の場合、統計的に有意と見なされた。
【0148】
2.1.7α−ヒドロキシ−DHEAの複数の効果
ヒトPBMCが、4時間かもしくは24時間かどちらか、TNF−αの添加有りもしくは無しで、培養された。PGE2レベル、PGD2レベル、および15d−PGJ2レベルが、その培養培地において測定され、関連された複数の遺伝子(COX−2、m−PGES1)のmRNA産生が、その細胞において測定された。得られたデーターが、表2において示されている。TNF−αの非存在および3種の異なる濃度の7α−ヒドロキシ−DHEAを用いた補完が、4時間、複数の培養における、PGE2レベル、PGD2レベル、および15d−PGJ2レベルにおける有意な変化を全く起こさなかった。15d−PGJ2しか、24時間の培養後、中くらいの増加を示さなかった。7α−ヒドロキシ−DHEAを用いたインキュベートが、24時間後、複数の培養において複数のm−PGES1mRNAレベルを有意に増加させた。
【0149】
TNF−αの存在が、24時間後、全てのPGのレベルにおいて期待された増加を起こさせた。4時間の7α−ヒドロキシ−DHEAを用いたインキュベートが、テストされた複数の濃度のいずれにおいてもPGの複数のレベルを変化させなかった。対照的に、TNF−α単独と比べられた場合、24時間の7α−ヒドロキシ−DHEAおよびTNF−αを用いた同時インキュベート後、PGE2のレベルおよびPGD2−15d−PGJ2のカップリングのレベルが、それぞれ、有意に増加され、および、減少された。輪をかけて、TNF−αとのインキュベート(つまり、炎症活性化)が、COX−2およびm−PGES1mRNA産生における顕著な増加に至った。7α−ヒドロキシ−DHEAとの同時インキュベートが、TNF−α単独と比べられた場合、複数のmRNAレベルにおける一貫している変化を全く起こさなかった。
【0150】
2.2.7β−ヒドロキシ−DHEAの複数の効果
ヒトPBMCが、4時間かもしくは24時間かどちらか、TNF−αの添加有りもしくは無しで、培養された。PGE2レベル、PGD2レベル、および15d−PGJ2レベルが、その培養培地において測定され、関連された複数の遺伝子(COX−2、m−PGES1)のmRNA産生が、その細胞において測定された。得られたデーターが、表3において示されている。TNF−α非存在下での4時間の3種の濃度の7β−ヒドロキシ−DHEAを用いたインキュベートが、その培養培地における、PGE2レベル、PGD2レベル、および15d−PGJ2レベルにおける有意な変化を全く起こさなかった。しかしながら、PGD2レベルおよび15d−PGJ2レベル、並びにm−PGES1mRNAレベルが、培養における7β−ヒドロキシ−DHEAとのインキュベート24時間後、増加された。
【0151】
TNF−αの存在が、24時間に全てのPGにおいて期待された増加を起こさせた。4時間の7β−ヒドロキシ−DHEAとの同時インキュベートが、テストされた複数の濃度のいずれにおいてもPGの複数のレベルを更に変化させなかった。対照的に、TNF−α単独と比べられた場合、24時間の7β−ヒドロキシ−DHEAおよびTNF−αを用いた同時インキュベート後、PGD2レベルおよび15d−PGJ2レベル両方が、有意に減少された。輪をかけて、TNF−αとのインキュベート(つまり、炎症活性化)が、COX−2およびm−PGES1mRNA産生における顕著な増加に至った。7β−ヒドロキシ−DHEAとの同時インキュベートが、TNF−α単独と比べられた場合、複数のmRNAレベルにおける一貫している変化を全く起こさなかった。
【0152】
2.3.7β−ヒドロキシ−EPIAの複数の効果
ヒトPBMCが、4時間かもしくは24時間かどちらか、TNF−αの添加有りもしくは無しで、培養された。PGE2レベル、PGD2レベル、および15d−PGJ2レベルが、その培養培地において測定され、関連された複数の遺伝子(COX−2、m−PGES1)のmRNA産生が、その細胞において測定された。得られたデーターが、表4において示されている。TNF−α非存在下での4時間の3種の濃度の7β−ヒドロキシ−EPIAを用いたインキュベートが、その培養培地における、PGE2レベル、PGD2レベル、および15d−PGJ2レベルにおける有意な変化を全く起こさなかった。しかしながら、複数の細胞培養が、24時間、7β−ヒドロキシ−EPIAと共にインキュベートされた場合、PGD2および15d−PGJ2両方が、顕著に増加された。COX−2発現が、4時間かもしくは24時間かどちらかに前記ステロイドにより知らされ得るほど(noticeably)変化されていなかったが、複数のm−PGES1mRNAレベルが、それぞれ、4時間および24時間に有意な減少および増加を示した。
【0153】
TNF−αの存在が、24時間に全てのPGにおいて期待された増加を起こさせた。4時間の7β−ヒドロキシ−EPIAとの同時インキュベートが、テストされた複数の濃度のいずれにおいてもPGの複数のレベルを更に変化させなかった。対照的に、24時間に、TNF−α単独と比べられた場合、これら2種のより低い方の用量の7β−ヒドロキシ−EPIAが、PGD2レベルを減少させ、15d−PGJ2レベルを増加させた。TNF−αとのインキュベート(つまり、炎症活性化)が、COX−2およびm−PGES1mRNAにおける顕著な増加にも至った。複数の細胞培養が、24時間、10および100nM 7β−ヒドロキシ−EPIAと共にインキュベートされた場合、TNF−αによるCOX−2における増加およびm−PGES1mRNA産生における増加が、平滑化された。
【0154】
全く(Altogether)、これらの結果が、明らかに、7β−ヒドロキシ−EPIAが、驚くべきことに、有意な複数の抗炎症効果を持つことを指し示す。
【0155】
【表2】

【0156】
【表3】

【0157】
【表4】

【0158】
実施例4
結腸炎の実験モデルへの7β−OH−EPIAの効果
連続6日間の飲料水中のデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)の複数のラットに対する投与が、結腸の長さの抑制、MPO活性の増加、複数の杯細胞における粘液の枯渇、ならびに、COX−2およびmPGES−1合成酵素(シンターゼ)の発現の増加、および、プロスタグランジンE2(PGE2)の産生の増加により特徴化された結腸の炎症(結腸炎)を起こさせる。DSSの投与が、腸における蛋白のカルボニル(Prot CO)および複数のTバーのような複数の酸化ストレスマーカーをも増加させる。我々が、今、DSS投与前、7日間、1日1回、7β−ヒドロキシ−EPIAを用いた処置が、DSS誘発結腸炎の発展を防ぎ得るとの証拠を与える。0.01mg/kg 7β−ヒドロキシ−EPIAの投与が、結腸炎による損傷および組織の炎症を完全に防いだが、この7β−ヒドロキシ−EPIAの効果が、複数の酸化ストレスマーカーおよびPGE2産生における顕著な抑制と関連づけられ、COX−2発現における早いが一過性の増加および抗炎症プロスタグランジン15d−PGJ2産生における持続された増加と関連づけられた。これらの結果が、7β−ヒドロキシ−EPIAが、炎症腸疾病(IBD)のこの許容された実験モデルにおける非常に低い複数の用量レベルにおいて顕著な複数の抗炎症効果を持つことを示す。
【0159】
複数の実験手順
複数の動物
全ての実験プロトコールおよび手順が、複数の実験動物の使用に関する、ヨーロッパ共同体(EC)の方針86/609/CEEとの合意にあった。複数の雄ウィスター(Wistar)ラット(180〜200g)が、チャールズリヴァー(Charles River)、ラルブレスル(L’Arbresle)、フランス(France)から購入されたが、齧歯類の実験室での食事を用いて給餌され、自由に水を与えられた。
【0160】
薬剤処理および結腸炎誘発
7日の適応期間後、複数の動物が、コントロールの2群(擬似(sham)コントロールおよび7β−ヒドロキシ−EPIA処置コントロール群)ならびに結腸炎の2群(結腸炎および7β−ヒドロキシ−EPIA処置結腸炎)へと分けられた。7β−ヒドロキシ−EPIA(DMSOに溶解された、0.01、0.1、および1mg/kg体重)あるいはDMSO単独(ビヒクル)が、0日目〜7日目、7日間、1日1回、腹腔内(i.p.)投与された。結腸炎が、飲料水に対するDSS(分子量36〜50kDa; MP Biomedicals、フランス)の添加により、7〜14日目、誘発された。これらコントロールの2群が、水道水しか受けなかった。
【0161】
結腸の損傷の巨視的査定
9、11、13、14日目に、体重、結腸長さ、軟便度が、記録され、採れたての直腸での出液が、肉眼での検査により評価された。結腸の損傷の重篤さが、Mableyら、2001、Inflamm.Res.; 50: 561−569 により記述されたとおり盲検的にスコア化された(0: よく形成された複数のペレットおよび全く結腸の損傷なし; 1: 複数の糞便と混合されて存在する少量の血液を有する結腸; 2: 複数の糞便と共に存在する大量の血液を有する結腸; 3: 血液で満たされた結腸および全く糞便なし)。
【0162】
組織学的審査
近位結腸のある1部分(1cm)が、4%ホルムアルデヒド(Labonord、Templemars、France)中、固定され、パラフィン中、埋められた。複数の組織切片(5μm)が、調製され、この後、きれいにされ、水和され、それぞれ、結腸の損傷および粘液杯細胞含量の組織学的評価用の複数の標準プロトコールに従いながら、ヘマトキシリン/エオシンを用いるかアルシアンブルーを用いるかどちらかで染色された。
【0163】
複数の組織ホモジェネートの調製
結腸が、腸間膜縁に沿って開けられ、その複数の上皮細胞が、ガラススライドの平滑な端を用いてスクラップされて離され、次いで、重量を量られ、洗浄され、そして遠心された。そのペレットが、9体積のTKE緩衝液(バッファー、10mM Tris−HCl;150mM KCl;1mM EDTA;0.25mM PMSF、pH7.4)中、均一化され、次いで、更なる使用までずっと、−80℃において凍結された。複数のホモジェネートの蛋白含量が、Lowryら(J Biol Chem 1951; 193: 265−74)に従いながら、測定された。
【0164】
MPO活性
MPO活性が、Pelissierらの複数の変法(Steroids 2006;71(3):240−8)と共にKrawiszらのオルト(o−)ジアニシジン法(Gastroenterology 1984;87(6):1344−50)を使用しながら、複数のホモジェネート中、査定された。MPO活性が、酸化されたオルト(o−)ジアニシジンに関する消光係数(1.13×104モル-1cm-1)を使用しながら、460nmでの吸光度における1分当たりの変化を生成させるのに必要な酵素の量として表現された。
【0165】
酸化ストレスの生化学的決定
脂質過酸化(Tbars)が、Ohkawaらにより記述された方法(Anal Biochem 1979; 95: 315−58)の、Albrechtらによるある1種の変法(1992、Toxicol.Lett; 63: 91−96)により測定された。赤い1:2付加物たるマロンジアルデヒド−チオバルビツール酸(シグマ−アルドリッチ(Sigma−Aldrich)、サンカンタン−ファラヴィエ(St Quentin−Fallavier)、フランス(France))の吸光度が、532nmにおいて測定された(使用された消光係数:0.156μモル-1cm-1)。酸化された複数の蛋白におけるカルボニル含量(Prot CO)が、Levineらの方法(Methods Enzymol 1990;186:464−78)により査定された。その非蛋白スルフヒドリル基含量(大抵、GSH)が、複数のホモジェネート中の抗酸化剤防禦マーカーとして採られ、SedlakおよびLindsayの方法(Anal Biochem 1968;25(1):192−205)により求められた。
【0166】
複数のプロスタグランジン免疫アッセイ
商品として入手可能な複数のEIAキットが、採れたての複数のホモジェネートから得られた結腸の複数の上清中、PGE2の複数のレベル(オックスフォード バイオメディカル リサーチ(Oxford Biomedical Research)、英国(UK))および15d−PGJ2の複数のレベル(Assay Designs、Euromedex、France)の決定用に使用された。PGD2の複数のレベルの測定が、プロスタグランジンD2−MOX EIA キット(Cayman Chemical、Euromedex)を使用しながら、得られた。このケースにおいて、および、あっせいの前に、これら採れたてのサンプルが、PGD2−MOXへとPGD2を変換したMOX−HCl試薬を用いて直ちに処理されたが、こうして如何なる更なる化学的劣化をも防いでいる。
【0167】
リアルタイム逆転写酵素PCR
採れたての複数の結腸サンプル(300mg)からの全RNAが、Trizol試薬(Invitrogen、セルジ−ポントワーズ(Cergy−Pontoise)、フランス(France))を使用しながら、抽出された。ポリ(A)RNAが、MicroPoly(A)Purist キット(Ambion、Huntingdon、英国(UK))を用い、全RNAから精製された。cDNAが、Superscript 第1ストランド合成システムキット(Invitrogen)を使用しながら、合成された。リアルタイムPCRが、2.5xRealMaster Mix/20x SYBR溶液(11.25μL、エッペンドルフ、ル ペック、フランス)および300nMの順プライマーおよび逆プライマーを含有している複数の混合物(25μL)を使用しながら、実施された。複数の反応が、RealPlex ep 勾配 S マスターサイクル機(エッペンドルフ)上、行われた。これらサイクル化条件が、10分間、95℃においてであったが、40サイクルをそれぞれ、15秒間、30秒間、および30秒間、95℃、55℃、および68℃においてであった。各アッセイが、コントロールのcDNAの4点の連続の稀釈点(ポイント)の標準曲線を包含した。複数のオリゴヌクレオチドプライマーが、Genecust/Distribio(エヴリ、フランス)により合成された。増幅された生成物の特異性が、その生成物融解曲線の審査によりモニターされたが、アガロースゲル電気泳動上での分析により確かめられた。mRNAのこれらレベルが、HPRT1に対する規格化後、DMSOコントロールのものに相対し、表現された。
【0168】
統計解析
全てのアッセイが、各動物に関し、3回ずつ完遂されたが、複数の結果が、平均±S.E.M.としてプロットされている。分散の片道での解析が、複数の群の間での違いを比べるためにDuncanの多数回ずつのレンジテストにより伴われて実施された。複数の違いが、p<0.05の場合、統計的に有意と見なされた。
【0169】
複数の結果
結腸炎誘発の時間経過(タイムコース)研究
7日間(7日目〜14日目、D7〜D14)、飲料水中、5%のDSSを用いた複数のラットの処置が、死亡率を伴わず、結腸炎の臨床兆候および組織学的兆候を結果的に与えた。典型的に、全てのこれらラットが、結腸炎誘発(12日目)後の5日、重篤な下痢を呈し、次の日、直腸での出液が、起きた。体重、副睾丸の脂肪組織の質量、および肝重量におけるある1種の減少が、複数の擬似コントロールと比べられた場合、全てのDSS処置ラットにおいて11日目に記録された(それぞれ、−5%、−17%、−8%;p<0.05)。これらの減少が、14日目にも観察された(表5)。脾重量における変化が、全く観察されなかった。該擬似コントロール群と比べた場合、複数のDSS処置ラットが、結腸の厚くなった組織および大便の損失(ロス)と関連づけられて、11日目(−14%、p<0.05)〜14日目(−26%;p<0.05)、結腸の有意な短縮も実証した。表5を見よ。結腸粘膜におけるMPO活性が、好中球浸潤のある1指標(インデックス)として測定された。13および14日目に、粘膜のMPO活性の9倍および7倍の増加が、複数の擬似コントロールと比べられた場合、該結腸炎群において観察された(p<0.05、図8A)。MPO活性の修飾が、13日目の前に全く観察されなかった。これらの結果が、組織学的分析と一致している。本当に、結腸の炎症の主要な複数の刻印(ホールマーク)、すなわち、隠蔽された歪み、粘膜組織中への好中球の浸潤、および、より少なきムチンを含有した複数の杯細胞の損失(ロス)が、13日目に該結腸炎群において明らかとなり、擬似コントロール群と比べられた場合、14日目により多く知れ渡った(データーは示されなかった)。
【0170】
図8において示されたとおり、酸化ストレスに関するこれら2種のマーカー、すなわち、Prot CO、複数のTバー、および、抗酸化剤防禦パラメーターGSHの複数のレベルが、結腸炎を有する複数の動物の結腸の粘膜において13および14日目にコントロールの複数のレベルを上回って有意に増加された。
【0171】
結腸炎への7β−ヒドロキシ−EPIAの保護効果
7β−ヒドロキシ−EPIAのこれら2種の低い用量(0.01、0.1mg/kg)が、14日目に下痢の抑圧および直腸での出液により指し示されたとおりのこれらDSS誘発結腸損傷を防いだ。DSS投与前、7日間、日に1回、0.01mg/kg 7β−ヒドロキシ−EPIAの腹腔内注射が、副睾丸の重量を代えてしまうことなく、コントロールの複数のレベルに体重を復元させた(表5)。9日目〜14日目、結腸の長さの抑制が、結腸炎群におけるよりも、ステロイドのこれら2種の低い方の用量(0.01、0.1mg/kg)により処置されたこれら群においてより少なく見受けられた(pronounced)(9日目に関してはデータは示されなかった、表5)。7β−ヒドロキシ−EPIAが、14日目に複数の杯細胞における粘液の枯渇、および、クリプト(crypts)および好中球の浸潤の異常のような複数の組織学的変化を防ぎ(データーは示されなかった)、全ての用量のレベル、0.01、0.1、および1mg/kgにおいてMPO活性を有意に減少させた(図8A)。これら酸化ストレスパラメーター(Prot CO、複数のTバー)および複数のGSHのレベルが、全ての群、すなわち、擬似コントロール、結腸炎、および7β−ヒドロキシ−EPIA処置(0.01、0.1、および1mg/kg)結腸炎群において9日目(示されなかった)および11日目に似ていた(図8B、C、およびD)。酸化ストレスの全てのマーカーおよび抗酸化剤防禦マーカーが、7β−ヒドロキシ−EPIAを用いて処置されてきていた複数の動物において変化されていなかったままであった一方(D0〜7日目)、これらのパラメーターが、該結腸炎群において有意に増加された(p<0.05)。これらの結果が、7β−ヒドロキシ−EPIAが、炎症腸疾病(IBD)のこの実験モデルにおいて非常に低い複数の用量レベルにおいて顕著な複数の抗炎症効果を持つことを示す。
【0172】
【表5】

【0173】
結腸組織におけるプロスタグランジン(PG)産生:β−ヒドロキシ−EPIAの複数の効果
複数の7β−ヒドロキシ−EPIA処置が、結腸炎のないコントロールの複数のラットにおけるPGE2結腸組織レベルおよびPGD2結腸組織レベルを代えさせなかった(データは示されなかった)。対照的に、0日目〜7日目、7β−ヒドロキシ−EPIAの投与が、2日目〜14日目、複数の15d−PGJ2レベルのベースのレベルを上回る有意な増加に至った。0.1mg/kg 7β−ヒドロキシ−EPIAの投与が、2日目に51倍の増加を結果的に与えたが、4日目〜14日目、漸進的に減少した(44倍〜5倍の範囲である増加分。図9A、図10C)。
【0174】
7日目〜14日目、炎症剤DSSの投与が、14日目に原炎症プロスタグランジンPGE2産生における顕著な複数の増加を結果的に与えた一方で、抗炎症プロスタグランジン15d−PGJ2の複数のレベルが、鋭く抑えられた(図10)。
【0175】
0日目(D0)〜7日目(D7)、0.01mg/kg 7β−ヒドロキシ−EPIAを用いた処置が、〜日目に結腸PGE2のDSS誘発産生を完全に防いだ一方、15d−PGJ2のレベルを劇的に増加させている(図10)。
【0176】
擬似群および結腸炎群におけるCOX−2およびPG合成酵素(シンターゼ)発現:7β−ヒドロキシ−EPIA前処理効果
複数のプロスタグランジンレベルにおける有意な複数の修飾が、DSS投与および7複数のβ−ヒドロキシ−EPIA処置と共に観察されたので、我々が、COX−2、mPGES−1、およびH−PGDSの発現が、リアルタイムRT−PCRによる特異的mRNAの定量によるステロイド前処理により代えられた(変化した)かどうかテストした。これらの遺伝子の転写が、審査され、ハウスキーピング遺伝子HPRT1のものに関連づけられた。結腸炎のないコントロールの複数のラットにおいて、0.1mg/kg 7β−ヒドロキシ−EPIAの投与が、15時間に複数のCOX−2mRNAレベルにおける有意な1.5倍の増加を誘発させたが、次いで、2日目および4日目に有意な減少、この後、ベースの複数の値に戻っていった(図9B)。mPGES−1mRNA発現が、6時間〜15時間の間、一過性に増加したが、2日目にベースの複数のレベルに向かって戻っていった。H−PGDSのmRNAの合成が、本実験のコースの間中、変えられなかったままであった。
【0177】
DSSによる結腸炎誘発後、COX−2mRNA発現における2.5倍の増加が、13および14日目に観察された一方(図11A)、mPGES−1mRNAが、13日目にしか有意に増強されなかった(図11B)。H−PGDSが、DSS投与により代えられなかった(変化しなかった)。
【0178】
7β−ヒドロキシ−EPIAを用いた前処理(0日目〜7日目)が、DSSによるCOX−2およびmPGES−1mRNA合成両方におけるこれらの増加を抑圧した(図11)。
【0179】
全く(Altogether)、これらの知見が、7β−ヒドロキシ−EPIAのこれら抗炎症効果が、PGE2における並行減少および15d−PGJ2産生におけるある1種の増加を通じ、仲介されていることを指し示す。この研究において見られた15d−PGJ2産生への7β−ヒドロキシ−EPIAの長く続いている効果が、7β−ヒドロキシ−EPIAが、炎症およびこの寛解において関与された複数の遺伝子の発現における複数の変化の持続を起こすことを示唆する。
【0180】
これら図面において、図8が、(A)ミエロペルオキシダーゼ(MPO)、および、複数の酸化ストレスマーカー、すなわち、(B)Prot CO、(C)複数のTバー、および(D)結腸組織における抗酸化剤マーカーたるGSHへの7β−ヒドロキシ−EPIA処置の複数の効果を示す。複数の生体マーカーレベルが、複数のDSS処置ラットが、13および14日目に複数のコントロールから有意に(p<0.05)異なったことを示す。7β−ヒドロキシ−EPIAが、有意に(p<0.05)、結腸炎群に比べたら、13および14日目にMPO活性を抑え、全ての用量レベルにおいて13および14日目に複数のコントロールレベルに複数の酸化ストレスパラメーター(B、C、およびD)を復元させた。複数の値が、1群当たり、3〜23匹のラットを用い、平均±SEMであり(A)、擬似群に対する百分率(%)である(B、C、およびD)。図8A〜図8Dにおいて、これら黒いバー=擬似コントロール;これら白いバー=DSS結腸炎群;これら暗い灰色のバー=DSS+0.01mg/kg 7β−ヒドロキシ−EPIA;これら中くらいの灰色のバー=DSS+0.1mg/kg 7β−ヒドロキシ−EPIA;そして、これら明るい灰色のバー=DSS+1.0mg/kg 7β−ヒドロキシ−EPIA。
【0181】
DSS結腸炎対(v)擬似コントロール群(p<0.05);§ 複数の7β−ヒドロキシ−EPIA処置群対(v)DSS結腸炎群(p<0.05)。
【0182】
図9が、結腸での15d−PGJ2のレベル(A)、および、7β−ヒドロキシ−EPIA処置の間中の、種々の時刻での、COX−2、mPGES−1、およびH−PGDSの相対的なmRNA発現の定量化(B)を示す。複数の値が、平均±SEM(n=3〜15)であり(A)、複数のmRNAが、HPRT1に対する規格化後、擬似コントロールのものに相対し、表現されている。図9Aにおいて、黒いバー=擬似コントロール群;暗い灰色のバー=0.01mg/kg 7β−ヒドロキシ−EPIA;中くらいの灰色のバー=0.1mg/kg 7β−ヒドロキシ−EPIA;そして、明るい灰色のバー=1.0mg/kg 7β−ヒドロキシ−EPIA。図9Bにおいて、白い複数のドットを有する暗い灰色のバー=COX−2;黒い複数のドットを有する明るい灰色のバー=mPGES−1;そして、黒い複数のドットを有する白いバー=H−PGDS。
【0183】
図10が、DSS投与の間中の、プロスタグランジンE2、D2、および15d−PGJ2の結腸での合成への7β−ヒドロキシ−EPIAの効果を示す。DSS投与が、13(p<0.05)および14(p<0.05)日目に有意に、PGE2(A)、D2(B)、および15d−PGJ2の合成を増加させた。DSS投与前、7日間、7β−ヒドロキシ−EPIAを用いた処置が、13および14日目にPGE2の合成を抑えた一方(A)、全ての用量のレベルにおいて有意に、15d−PGJ2の産生を増加させている(C)。データが、n=3〜23を用いた平均±SEMとして表現されている。図10A〜図10Cにおいて、黒いバー=擬似コントロール;白いバー=DSS結腸炎群;白い複数のドットを有する暗い灰色のバー=DSS+0.01mg/kg 7β−ヒドロキシ−EPIA;黒い複数のドットを有する明るい灰色のバー=DSS+0.1mg/kg 7β−ヒドロキシ−EPIA;そして、黒い複数のドットを有する白いバー=DSS+1.0mg/kg 7β−ヒドロキシ−EPIA。
【0184】
図5が、結腸炎誘発の間中の、COX−2、mPGES−1、およびH−PGDSのmRNAの結腸での発現を示す。結腸炎が、13および14日目にCOX−2のmRNAの合成の有意な増加に至った一方(A)、mPGES−1が、13日目にしか増強されなかった(B)。遺伝子発現の複数のベースのレベルに向かってのある1種の戻りが、7β−ヒドロキシ−EPIAの全ての用量を用いて観察された。図10A〜図10Cにおいて、白いバー=DSS結腸炎群;暗い灰色のバー=DSS+0.01mg/kg 7β−ヒドロキシ−EPIA;中くらいの灰色のバー=DSS+0.1mg/kg 7β−ヒドロキシ−EPIA;そして、明るい灰色のバー=DSS+1.0mg/kg 7β−ヒドロキシ−EPIA。
【0185】
実施例5
1.コラーゲン誘発関節炎における7β−OH−EPIAの効果
この研究が、コラーゲン誘発関節炎のある1モデルと関連された炎症変化および病理変化をコントロールしていくことに狙いを定めた7β−OH−EPIAの有効さをテストした。そのネズミモデルが、ヒト関節炎の臨床での疾病のレミニッセントを実証する。
【0186】
複数の雄のDBA/1鼠(10〜12週齢)が、尾の付け根での注射により0日目、Freundの完全アジュバント(CII/CFA)中に乳化された100μgの鶏II型コラーゲンを与えられた。複数回の処置が、皮下注射により20日目〜50日目(群2、3、および4)、皮下注射により0日目〜30日目(群5)、毎日与えられたが、下記のとおり:
複数の実験群(n=10/群)
群1: 0日目、CII/CFA、処置されなかった〜見かけ処置された、20日目〜50日目
群2: 0日目、CII/CFA、処置7β−ヒドロキシ−EPIA 1μg/kg、20日目〜50日目
群3: 0日目、CII/CFA、処置7β−ヒドロキシ−EPIA 10μg/kg、20日目〜50日目
群4: 0日目、CII/CFA、処置7β−ヒドロキシ−EPIA 100μg/kg、20日目〜50日目
群5: 0日目、CII/CFA、処置7β−ヒドロキシ−EPIA 10μg/kg、 0日目〜30日目
群6: 0日目、CII/CFA、処置されなかった〜見かけ処置された、 0日目〜30日目。
【0187】
終末化において、(2本の)後ろ脚が、除かれ、複数の膝ホモジェネートが、プロスタグランジン測定用に集められ(群1および群4だけ)、(2本の)足が、複数の標準方法による病理審査用に固定された。各足が、縦に半側切断され、切開され、切断していくのを可能とさせるように脱灰された。これら脱灰されたサンプルが、ルーティーンで加工され、切断され、染色された1区画が、審査用に調製された。これが、各見本の両半分を包含した。各足が、標準スコア化システムに従いながら、スコア化された。複数のサンプルが、実験プロトコールの知識も複数の群の同定もなく、盲検的にスコア化された。
【0188】
臨床での関節膨潤が、21日目〜50日目、週に2回、スコア化された。各機会に、四肢の各々が、以降のスコア化システム(臨床での疾病スコアの組み合わせ)に従いながら、ある1スコアを与えられた:
0 通常
1 関節全部の僅かな膨潤または個々の桁での炎症
2 赤味を帯びた関節全部の中間的な膨潤および/または1桁よりも多い桁における炎症
3 重篤な関節炎症および多数の桁にまで広がっている赤味
4 重篤な関節炎症および多数の桁にまで広がっている赤味、骨の再モデル化の顕わな複数の兆候(サイン)。
【0189】
これら結果が、表6中、示されている。7β−OH−EPIAを用いて処置しいていくと、複数のコントロール群(これら見かけのコントロール群1および6が、組み合わされてきている)に比べられた場合、上の臨床疾病スコア化方法により測定されたとおり、関節の膨潤の顕著な抑制に至ったことが、判る。この知見が、両足における膨潤の抑制の病理学的証拠により確かめられた(表7)。表7から、10匹の動物のうちの9匹が、両足関節における組織病理学的変化の完全に明らかであった場合の最低病理学的スコアが、判り、そこで、そのコラーゲンが、その関節炎を誘発させるように与えられ、処置が、30日目までずっと継続された場合と同一時刻において(0日目)7β−ヒドロキシEPIA処置が、始まった。これゆえ、リューマチ関節炎のような複数の疾病の7β−ヒドロキシ−EPIAを用いた早い処置が、有益な複数の効果を持ち得る。
【0190】
2.これら膝ホモジェネート中の複数のプロスタグランジンの測定
上で調製されたとおりの複数の膝ホモジェネート中の15d−PGJ2レベルおよびPGE2レベルが、複数の標準アッセイ手法を使用しながら、測定された。表8から判るのが、PGE2のこれらレベルが、処置されなかったコントロール群に比べられた場合、0.1mg/kgの7β−OH−EPIAを用いて処置された群においてより低かったことである。0.1mg/kgの7β−OH−EPIAを用いて処置された群が、処置されなかったコントロールに比べられた場合、より高い複数のレベルの15d−PGJ2を持った。
【0191】
結論:
7β−ヒドロキシ−EPIAの明らかな抗炎症効果が、あった。誘発時での処置が、最大効果を持つように見えた。これが、このモデルにおいて複数のステロイドを包含している他の複数のテスト化合物と共に保っていくことにあり、既存の複数の変更を逆転させていくのに反対されたとおり、関節の損傷を防いでいくことの相対的な容易さを反映する。こう言ってきているが、より高い方の複数の用量の7β−ヒドロキシ−EPIAを用いて処置されたそんな複数の動物における疾病のこれらレベルが、処置が、20日目までずっと遅らされた場合、似ていた。疾病からの保護のこのレベルが、治療体制用に良好である。最低用量の7β−ヒドロキシ−EPIAが、疾病の複数のレベルへより少ない効果を持つように見えたが、統計解析が、これが、明らかな用量効果であったかどうか調べるのに必要とされると思われる。
【0192】
プロスタグランジンE2レベルおよび15d−J2レベルの解析が、処置の明らかな効果を示した。PGE2の複数のレベルが、処置されなかった複数のコントロールに比べられたよりも処置された複数の鼠において低かった。対照的に、15d−PGJ2の複数のレベルが、処置に追随しながら、増加された。
【0193】
臨床での疾病のこれら観察およびその組織病理を一緒に採ったら、関節炎のこのモデルにおける7β−ヒドロキシ−EPIAの抗炎症効果に関する強力な証拠が、与えられる。疾病発症前の処置が、最も有効であったのが、殆ど変動せずにこのモデルにおけるケースであるからである。しかしながら、7β−ヒドロキシ−EPIAが、発症時前後、与えられた場合、疾病の進行を抑圧し得るという知見が、多くの競合者からこの化合物をマークして取り出し、とても勇気づけている。
【0194】
【表6】

【0195】
これらの結果から、1.0μg/kgぐらい低い複数の用量での7β−ヒドロキシ−EPIAが、関節の損傷を抑えるに可能であると、結論されていてよい。
【0196】
【表7】

【0197】
これらの結果から、10.0μg/kgでの7β−ヒドロキシ−EPIAが、殆ど完全に(almost completely)疾病、つまり、関節の損傷の展開を防ぐことが、結論されていてよい。
【0198】
【表8】

【0199】
これらの結果から、7β−ヒドロキシ−EPIAが、コラーゲン誘発関節炎のこれら臨床症状の重篤さを抑え、炎症の解消、細胞の保護、および組織の修復に味方して組織プラスタグランジン産生を代えることが、結論されていてよい。
【0200】
実施例6
シスプラチン誘発末梢ニューロパシーモデルについての7β−OH EPIAの効果
シスプラチンが、複数の癌の処置に使用された抗有糸分裂化合物である。しかしながら、この使用が、幾つかの逆効果により、限られており、これらの間でもこれら末梢ニューロパシーが、特に窮迫している。複数のシスプラチン誘発ニューロパシーが、優先して敏感な複数のニューロパシーである。複数の患者が、感覚失調により伴われた遠位の四肢における感覚の複数の損失を患う。複数の組織学研究が、軸索の変性を示した。複数の細胞培養中、シスプラチンによる複数の感覚神経の処理が、細胞体の変性により伴われた神経突起ネットワーク密度のある1減少を誘発させた。複数の感覚神経に特異的な成長因子たる、神経成長因子(NGF)が、この中毒に対する複数の神経への複数の保護効果を持つ。培養におけるシスプラチンによる複数の感覚神経の中毒が、これゆえ、複数の末梢ニューロパシーにける複数の化合物の複数の神経保護効果の研究用のふさわしいモデルである。
【0201】
7β−OH EPIAの複数の神経保護効果が、末梢ニューロパシーのある1モデルにおける複数のラット感覚神経について評価された。
【0202】
解離された複数の背根神経節感覚神経の複数の1次培養が、48時間および72時間、7β−OH EPIAありおよびなしで、3μg/mlのシスプラチンを用いてインキュベートされ、以降の複数のパラメーターが、評価された:
−抗MAP 2(微小管関連蛋白2)抗体を用いて染色された複数の神経細胞体
−抗β−チューブリン抗体を用いて染色された神経突起ネットワークの密度
【0203】
複数の神経の培養
複数のラット感覚神経が、Hallら、1997年[Hallら、J.Neurosci.1997年4月15日;17(8);2775〜84]により記述された方法に従いながら、調製された。端的に、雌ラット(妊娠15日)が、頸脱臼により屠殺され(Rats Wistar;Janvier、Le Genest−St−Isle、フランス)、その複数の胎児が、その子宮から除かれた。複数の背根神経節(DRG)を有するそれらの脊髄が、除かれ、ペニシリン50UI/ml−ストレプトマイシン50μg/ml(PS、1%)および牛血清アルブミン(BSA1%、Sigma A6003)を含有しているLeibovitz(L15、Fisher 11415−049)の氷冷培地に入れられた。これらDRGが、回収され、カルシウムおよびマグネシウムなく、PBS中、稀釈された(Fisher 2007−03)トリプシンEDTA10X、10%、Fisher 15400054、37℃において20分間、トリプシン処理により、解離された。この反応が、DNase I グレード II(II等級、0.1mg/ml、Roche診断薬104159)および牛胎児血清(FBS10%、Fisher10270−098)を含有しているDulbecco修飾Eagle培地(DMEM、Fisher21969−035)の添加により、止められた。この細胞懸濁が、10mlのピペットを用いて擦られ、室温において10分間、350×gにおいて遠心された。解離された複数の細胞のペレットが、次いで、決められた培養培地において再懸濁された。
【0204】
複数の生存可能な細胞が、前記トリパンブルー排除テスト(Sigma)を使用しながら、Neubauer細胞計数機において計数され、複数枚の96穴(ウェル)プレート(Nunc)において密度30,000細胞/ウェルにおいて播かれた。複数のウェルが、超純粋無菌水(Merck Eurolab 60759.01)中、ポリ−L−リジン(10μg/ml、Sigma P2636)を用いて予めコーティングされた。
【0205】
複数の細胞が、2時間、接着するようにされ、5%CO2/95%空気の雰囲気中、37℃において湿らされたインキュベーター中、維持された。
【0206】
7β−OH EPIAを用いた複数の神経培養のインキュベート
培養5日後、その培養培地が、下記:
・ビヒクル(DMSO 0.1%)
・ビヒクル(DMSO 0.1%)+シスプラチン(3μg/ml、Sigma参照番号:p4394)
・テスト化合物7β−OH EPIA(1nM、10nM、および100nM)+シスプラチン(3μg/ml)
・対照化合物NGF(10ng/ml)+シスプラチン(3μg/ml)
の異なる条件に従いながら、決められた培養培地へと変更された。
【0207】
1条件当たり6ウェルが、神経の生存率を査定するように完遂された。インキュベート48時間および72時間後、これら神経細胞が、−20℃でのエタノール/酢酸溶液(95%/5%)中、5分間、固定され、PBS中、3回、濯がれた。
【0208】
複数の化合物の神経栄養効果のコントロールに関し、NGF(10ng/ml)および7β−OH EPIA(1nM、10nM、および100nM)が、48時間および72時間の間中、インキュベートされた。このインキュベートの終わりにおいて、これら細胞が、−20℃でのエタノール/酢酸溶液(95%/5%)中、5分間、固定され、PBS中、3回、濯がれた。
【0209】
1フィールド当たりの細胞体数および神経突起ネットワークの解析
複数の感覚神経の細胞体が、モノクローナル抗MAP−2抗体(Sigma M4403)により標識され(ラベルされ)、複数の感覚神経の神経突起が、モノクローナルβ−チューブリン抗体(Sigma T8660)により標識された(ラベルされた)。これらの抗体が、インキュベート溶液(FCS5%およびサポニン0.1%を有するPBS、Sigma S−7900)中、1:400において稀釈された。これらの抗体が、それぞれ、複数の神経細胞体および複数の神経突起を特異的に標識する(ラベルする)。
【0210】
インキュベート2時間後、これら細胞が、PBS中、洗浄され、そのMAP−2抗体およびそのβ−チューブリン抗体を明かすようにインキュベート溶液中、1:300において稀釈された Alexa Fluor 488 ヤギ抗マウスIgG(Molecular Probes A11001)を用いてインキュベートされた。複数の細胞核が、蛍光マーカーを用いて染色された(Hoechst 染色溶液、SIGMA H6024、1時間の間中、インキュベート溶液中1μg/ml)。
【0211】
各条件に関し、1ウェル当たり2枚の写真(1条件当たり12枚の写真)が、コンピューターソフトウェア In Cell Analyzer 1000 3.2.によりコントロールされた In Cell Analyzer 1000(Amersham Biosciences)を使用しながら、撮られた。そのMAP−2標識化に関し、その拡大率が、×10であり、そのβ−チューブリン標識化に関し、その拡大率が、×20であった。各標識化に関し、全ての画像(イメージ)が、同一条件において撮られた。
【0212】
複数の抗MAP−2抗体を用いて標識された(ラベルされた)複数の細胞体の数、および、複数の抗β−チューブリン抗体を用いて標識された(ラベルされた)複数の神経突起の全長の解析が、In Cell Analyzer 1000 3.2.Workstation ソフトウェアを使用しながら、完遂された。これら結果が、前記ビヒクルに比べられた百分率(%)において表現された。各群(各グループ)の比較が、対とされなかったT検定を使用しながら、完遂された。
【0213】
結果
神経突起密度のシスプラチン誘発損失に対しての7β−OH EPIAによる保護
3μg/mlのシスプラチンを用いた48時間のインキュベート
神経突起密度が、培地(<<ビヒクル>>)を用いた複数の感覚神経のインキュベート後、つまり、48時間、シスプラチンなしで、1フィールド当たり平均5459μmの全神経突起長を表現した。シスプラチンを用いた48時間のインキュベートが、およそ4585μmにまで、1フィールド当たりの該全神経突起長を抑えた。シスプラチンによる神経突起ネットワーク密度におけるこの抑制が、ビヒクルに比べられた場合、統計的に有意であった(−16%、p<0.001)。
【0214】
10ng/mlのNGFを用いた48時間のインキュベートが、培地だけを用いてインキュベートされた複数の培養と比べられた場合、複数の神経突起のシスプラチン誘発損失を防ぎ、神経突起長における有意な増加を起こさせた。
【0215】
1nMおよび10nMの7β−OH EPIAを用いたインキュベートが、48時間でのシスプラチン誘発神経突起損失に対して複数の感覚神経を保護した。この効果が、統計的に有意であった。全神経突起長が、それぞれ、1nMおよび10nMの7β−OH EPIAを用いたインキュベート48時間後、5378μmおよび5549μmであったが、それぞれ、90.7%および101%のシスプラチン誘発毒性の抑制を表す。
【0216】
3μg/mlのシスプラチンを用いた72時間のインキュベート
シスプラチンなしの<<ビヒクル>>培地における複数の感覚神経が、1フィールド当たり平均5320μmの全神経突起長を発現させた。シスプラチンを用いた72時間のインキュベートが、およそ4046μmにまで、1フィールド当たりの該全神経突起長を抑えた。シスプラチンによる神経突起ネットワーク密度におけるこの抑制が、ビヒクルに比べられた場合、統計的に有意であった(−24%、p<0.001)。
【0217】
10ng/mlのNGFを用いた72時間のインキュベートが、培地だけを用いてインキュベートされた複数の培養と比べられた場合、複数の神経突起のシスプラチン誘発損失を防ぎ、神経突起長における有意な増加を起こさせた。
【0218】
1nMの7β−OH EPIAを用いたインキュベートが、72時間でのシスプラチン誘発神経突起損失に対して複数の感覚神経を保護した。その効果が、統計的に有意であった。全神経突起長が、1nMの7β−OH EPIAを用いたインキュベート72時間後、4948μmであったが、70.8%のシスプラチン誘発毒性の抑制を表す。
【0219】
【表9】

【0220】
【表10】

【0221】
シスプラチン誘発神経細胞死(複数の神経細胞体の損失)に対する7β−OH EPIAによる保護
48時間、3μg/mlのシスプラチンを用いたインキュベート
フィールド当たり平均61本の感覚神経が、48時間においてシスプラチンなく、<<ビヒクル>>と一緒の培地中でのインキュベート後、観察された。3μg/mlのシスプラチンを用いたインキュベートが、フィールド当たりある1平均41本の感覚神経にまで、神経数を抑えた。シスプラチンによる複数の神経細胞体のこの損失(ロス)が、シスプラチンなく、つまり、ビヒクルだけを含有している培地が、48時間後、査定された細胞体の数に比べられた場合、統計的に有意であった(−33%、p<0.001)。
【0222】
48時間、10ng/mlのNGFを用いたインキュベートが、複数の細胞体のシスプラチン誘発損失(ロス)を殆ど完全に防いだ。
【0223】
1nM、10nM、および100nMの7β−OH EPIAを用いたインキュベートが、48時間でのシスプラチン誘発細胞死に対し、複数の感覚神経を保護した。この効果が、統計的に有意であった。フィールド当たりの感覚神経全数が、それぞれ、1nM、10nM、および100nMの7β−OH EPIAを用いたインキュベート48時間後、51、45、および50であったが、それぞれ、53,1%、18,7%、および43,8%のシスプラチン誘発細胞死の抑制を表す。
【0224】
72時間、3μg/mlのシスプラチンを用いたインキュベート
フィールド当たり平均54本の感覚神経が、72時間においてシスプラチンなく、<<ビヒクル>>と一緒の培地中でのインキュベート後、観察された。3μg/mlのシスプラチンを用いたインキュベートが、フィールド当たりある1平均33本の感覚神経にまで、神経数を抑えた。シスプラチンによる複数の神経細胞体の損失(ロス)が、シスプラチンなく、つまり、ビヒクルだけを含有している培地が、72時間後、査定された細胞体の数に比べられた場合、統計的に有意であった(−39%、p<0.001)。
【0225】
48時間、10ng/mlのNGFを用いたインキュベートが、複数の細胞体のシスプラチン誘発損失(ロス)を完全に防いだ。
【0226】
1nM、10nM、および100nMの7β−OH EPIAを用いたインキュベートが、72時間でのシスプラチン誘発細胞死に対し、複数の感覚神経を殆ど完全に保護した。この効果が、統計的に有意であった。フィールド当たりの感覚神経全数が、それぞれ、1nM、10nM、および100nMの7β−OH EPIAを用いたインキュベート72時間後、52、55、および52であったが、それぞれ、93%、104%、および93%のシスプラチン誘発細胞死の抑制を表す。
【0227】
【表11】

【0228】
【表12】

【0229】
実施例7
本研究が、複数の1次培養における解離脊髄の複数の運動神経および複数の感覚神経への7β−OH EPIAの神経突起成長促進効果を評価する。複数の神経が、抗β−チューブリン抗体を用いて染色され、全神経長の解析が、<<In Cell Analyzer>>を使用しながら、完遂された。複数の神経細胞培養が、10-9M〜10-4Mの7β−OH EPIAを用いてインキュベートされ、その神経ネットワークの密度が、インキュベート6時間後、12時間後、および24時間後、査定された。複数の運動神経に特異的な成長因子たる、脳由来神経成長因子(BDNF)、および、複数の感覚神経に特異的な成長因子たる、神経成長因子(NGF)が、複数の対照化合物として使用された。我々のデーターが、7β−OH EPIAが、複数の運動神経および複数の感覚神経両方への、顕著な複数の神経栄養効果を持つことを示す。これらの効果が、BDNFの効果およびNGFの効果に比肩可能であったが、このヒドロキシステロイドのナノモル濃度において特に見受けられた。全く持って、我々の知見が、神経突起の外殖を促進させていくためのおよび末梢ニューロパシーを処置するに至る複数の7−ヒドロキシステロイドの使用を裏付ける。
【0230】
1.材料および方法
1.1.複数のラット脊髄運動神経細胞培養の調製
複数のラット脊椎運動神経が、Martinouら、1992年(Martinou JC、Martinou I、Kato AC、コリン作動分化因子(CDF/LIF)が、in vitroにおける複数の単離ラット胚運動神経の延命を促進させる。Neuron.1992年4月;8(4):737〜44)により記述された方法に従いながら、調製された。端的に、妊娠15日の複数の妊娠雌Wistarラットが、頸脱臼により屠殺され、その複数の胎児が、子宮から除かれた。それらの脊髄が、除かれ、牛血清アルブミン(脂肪酸なしBSA、Eurobio、Les Ulis、フランス、GXXBSA01−65)1%を含有しているLeibovitz(L15、Invitrogen、11415−049)氷冷培地に入れられた。複数の髄膜が、注意して除かれた。
【0231】
これら脊椎運動神経が、37℃での20分間のトリプシン処理により解離され(トリプシンEDTA 10X Invitrogen 15400054)、カルシウムおよびマグネシウムなく、PBS中、稀釈された(Invitrogen 2007−03)。この反応が、DNase I グレード II(II等級、0.1mg/ml Roche 診断薬 104159)および10%子牛胎児血清(FCS、Invitrogen 10270098)を含有しているDulbecco修飾Eagle培地(DMEM、Invitrogen 21969−035)の添加により止められた。この懸濁が、次いで、10mlのピペットを3回通して機械的に解離された。複数の細胞が、次いで、室温において10分間、580gにおいて遠心された。解離された複数の細胞のペレットが、L15培地中、再懸濁され、この結果得られてきた懸濁が、L15培地中、ある1層のBSA溶液(3.5%)上、室温において10分間、180×gでの遠心により、運動神経に富まされた。その上清が、漉され、該ペレットが、DNase I(1%)を用いて補われたL15培地中、再懸濁された。次いで、該懸濁が、Optiprep(d:1.06g/ml;Abcys、パリ、フランス;1030061)クッションを覆って層とされ、室温において15分間、335×gにおいて遠心された。上の方の相が、これら精製された運動神経を含有しており、回収され、L15培地を用いて再懸濁され、室温において10分間、800×gにおいて遠心された。該細胞ペレットが、2%のB27、2mMのL−グルタミン、およびペニシリン50UI/ml−ストレプトマイシン50μg/mlを用いて補われた神経基礎培地からなっている定められた培養培地中、仕上げに再懸濁された。生存可能な複数の細胞が、トリパンブルー除外テスト(Sigma T8154)を使用しながら、Neubauer細胞計数機において計数(カウント)され、次いで、複数枚の96穴プレート(ポリ−l−リジンを用いて予めコーティングされた;Nunclon、Invitrogen P5899)において30,000細胞/穴において入れられ、湿らされた空気(95%)CO2(5%)雰囲気中、37℃において培養された。
【0232】
1.2.複数のラット感覚神経細胞培養の調製
複数のラット感覚神経が、Hallら、1997年(Hall AK、Ai X、Hickman GE、MacPhedran SE、Nduaguba CO、Robertson CP。ラット感覚神経節(ガングリオン)における神経の不均一さの発生。J Neurosci.1997年4月15日;17(8):2775〜84)により記述された方法に従いながら、調製された。端的に、複数の雌ラット(妊娠15日)が、頸脱臼により屠殺され(Rats Wistar;Janvier、Le Genest−St−Isle、フランス)、それらの胎児が、子宮から除かれた。その複数の背根神経節(DRG)と共にそれらの脊髄が、除かれ、ペニシリン50UI/ml−ストレプトマイシン50μg/ml(PS、1%)および牛血清アルブミン(BSA1%、Sigma A6003)を含有しているLeibovitz氷冷培地(L15、Fisher 11415−049)に入れられた。これらDRGが、回収され、37℃での20分間のトリプシン処理により解離され(トリプシンEDTA 10X、10%、Fisher 15400054)、カルシウムおよびマグネシウムなく、PBS中、稀釈された(Fisher 2007−03)。この反応が、DNase I グレード II(II等級、0.1mg/ml Roche 診断薬 104159)および牛胎児血清(FBS10%、Fisher 10270−098)を含有しているDulbecco修飾Eagle培地(DMEM、Fisher 21969−035)の添加により止められた。この細胞懸濁が、10mlのピペットを用いてすりつぶされ、室温において10分間、350×gにおいて遠心された。解離された複数の細胞のペレットが、次いで、定められた培養培地中、再懸濁された。
【0233】
生存可能な複数の細胞が、トリパンブルー除外テスト(Sigma)を使用しながら、Neubauer細胞計数機において計数(カウント)され、複数枚の96穴プレート(Nunc)において密度25,000細胞/穴において播かれた。複数の穴が、超純粋無菌水(Merck Eurolab 60759.01)中、ポリ−L−リジン(10μg/ml、Sigma P2636)を用いて予めコーティングされた。
【0234】
複数の細胞が、2時間、接着するようにされ、5%CO2/95%空気の雰囲気中、37℃での湿らされたインキュベーター中、維持された。
【0235】
1.3.複数の活性化合物を用いた複数の脊髄運動神経細胞培養のインキュベート
本培養培地が、下記:
コントロール(ビヒクル、0.1%DMSO)
7β−OH EPIA−10-4M、10-5M、10-6M、10-7M、10-8M、および10-9M(0.1%DMSO中)
BDNF 50ng/mlおよび10ng/ml(0.1%DMSO中)
の条件を伴いながら、12時間のインキュベート期間後、定められた培養培地へと変更された。
【0236】
インキュベート6時間後、12時間後、および24時間後、複数の細胞が、−20℃においてエタノール/酢酸の溶液(95%/5%)中、5分間、固定され、PBS中、3回、濯がれた。
【0237】
1.4.複数の活性化合物を用いた複数の感覚神経細胞培養のインキュベート
本培養培地が、下記:
コントロール(ビヒクル、0.1%DMSO)
7β−OH EPIA−10-4M、10-5M、10-6M、10-7M、10-8M、および10-9M(0.1%DMSO中)
NGF 50ng/mlおよび10ng/ml(0.1%DMSO中)
の条件を伴いながら、12時間のインキュベート期間後、定められた培養培地へと変更された。
【0238】
7β−OH EPIAを用いたインキュベート6時間後、12時間後、および24時間後、複数の細胞が、−20℃においてエタノール/酢酸の溶液(95%/5%)中、5分間、固定され、PBS中、3回、濯がれた。
【0239】
1.5.神経突起成長解析
複数の運動神経および複数の感覚神経が、インキュベート溶液(FCS5%およびサポニン0.1%を有するPBS、Sigma S−7900)中、1:400において稀釈されたモノクローナル抗β−チューブリン抗体(Sigma T8660)により標識された(ラベルされた)。この抗体が、複数の神経細胞体および複数の神経突起を特異的に標識する(ラベルする)。
【0240】
インキュベート2時間後、これら細胞が、PBS中、洗浄され、これらβ−チューブリンIII抗体を解き明かすようにインキュベート溶液中、1:300において稀釈されたAlexa Fluor 488ヤギ抗マウスIgG(Molecular Probes A11001)を用いてインキュベートされた。
【0241】
複数の抗β−チューブリン抗体を用いて標識された(ラベルされた)複数の神経の全長の解析が、In Cell Analyzer 1000 3.2.Workstation ソフトウェアを使用しながら、完遂された。
【0242】
これら結果が、前記ビヒクルに比べられた、百分率(パーセンテージ、%)で表現された。複数の群の比較が、対とされなかったT検定を使用しながら、完遂された。
【0243】
2−結果
2.1.複数の運動神経の神経突起長への薬剤処理の効果
複数の細胞伸長の全長の解析が、これらテスト化合物の神経栄養特性のある1指示を与える。
【0244】
a)インキュベート6時間後
これら結果が、表13中、示されている。50ng/mlおよび10ng/mlでのBDNFを用いた処理が、それぞれ、180%および193%、前記ビヒクルに比べられたら、複数の運動神経により形成された神経突起ネットワークの密度を、有意に増加させた(p<0.001)。
【0245】
6時間、10-8Mおよび10-9Mの7β−OH EPIAを用いたインキュベートが、それぞれ、前記ビヒクルに比べられた場合、150%および188%、複数の運動神経の神経突起ネットワーク密度を有意に増加させた(p<0.001)。
【0246】
b)インキュベート12時間後
これら結果が、表14中、示されている。50ng/mlおよび10ng/mlのBDNFを用いた処理が、それぞれ、152%および173%、前記ビヒクルに比べられた場合、複数の運動神経により形成された神経突起ネットワークの密度を、有意に増加させた(p<0.001)。
【0247】
12時間、10-4M〜10-9Mの7β−OH EPIAを用いたインキュベートが、前記ビヒクルに比べられた場合、226%〜137%、本神経突起ネットワーク密度を有意に増加させた。
【0248】
c)インキュベート24時間後
これら結果が、表15中、示されている。10ng/mlのBDNFを用いたインキュベート24時間が、ビヒクルに比べられた場合、本神経突起ネットワーク密度を有意に増加させた(170%、p<0.01)。しかしながら、50ng/mlのBDNFを用いたインキュベートが、本神経突起ネットワーク密度を有意に修飾しなかった。
【0249】
24時間、10-8Mの7β−OH EPIAを用いたインキュベートが、ビヒクルに比べられた場合、174%、神経突起ネットワーク密度を増加させた(p<0.005)。
【0250】
2.2.複数の感覚神経の神経突起長への薬剤処理の効果
a)インキュベート6時間後
これら結果が、表16中、示されている。6時間、50ng/mlおよび10ng/mlのNGFを用いた処理が、それぞれ、273%(p<0.001)および191%(p<0.01)、前記ビヒクルに比べられたら、複数の感覚神経により形成された神経突起ネットワークの密度を、有意に増加させた。
【0251】
6時間、10-7M、10-8M、および10-9Mの7β−OH EPIAを用いたインキュベートが、それぞれ、171%(p<0.001)、176%(p<0.005)、および149%(p<0.05)、コントロールに比べられた場合、複数の感覚神経の神経突起ネットワーク密度が、増加した。
【0252】
b)インキュベート12時間後
これら結果が、表17中、示されている。50ng/mlおよび10ng/mlのNGFを用いたインキュベートが、それぞれ、216%(p<0.001)および128%(p<0.05)、前記ビヒクルに比べられたら、複数の感覚神経により形成された神経突起ネットワークの密度を、有意に増加させた。
【0253】
10-9Mおよび10-7Mの7β−OH EPIAを用いたインキュベートが、それぞれ、145%(p<0.001)および134%(p<0.05)、前記ビヒクルに比べられた場合、本神経突起ネットワーク密度が、有意に増加した。
【0254】
c)インキュベート24時間後
これら結果が、表18中、示されている。インキュベート24時間後、50ng/mlおよび10ng/mlのNGFを用いたら、前記ビヒクルに比べられた場合、それぞれ、309%および371%、複数の感覚神経により形成された神経突起ネットワークの密度が、有意に増加した(p<0.001)。
【0255】
24時間、10-7M、10-8M、および10-9Mの7β−OH EPIAを用いたインキュベート24時間後、それぞれ、173%(p<0.005)、174%(p<0.01)、および147%(p<0.05)、前記ビヒクルに比べられた場合、本神経突起ネットワーク密度が、増加した。
【0256】
【表13】

【0257】
【表14】

【0258】
【表15】

【0259】
【表16】

【0260】
【表17】

【0261】
【表18】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
高められたレベルのプロスタグランジンE2もしくはシクロオキシゲナーゼおよびプロスタグランジン合成酵素(シンターゼ)の作用の他の代謝物により、仲介された病状の処置もしくは予防用の、または、抑えられたレベルもしくは抑えられたアベイラビリティの15−デオキシプロスタグランジンJ2により、より悪くされた病状の処置もしくは予防用の、医薬品の製造のための、15−デオキシプロスタグランジンJ2産生を高める剤の、使用。
【請求項2】
高められたレベルのプロスタグランジンE2もしくはシクロオキシゲナーゼの作用の他の代謝物により、仲介された病状の処置もしくは予防用の、または、抑えられたレベルもしくは抑えられたアベイラビリティの15−デオキシプロスタグランジンJ2により、より悪くされた病状の処置もしくは予防用の、医薬品の製造のための、炎症発症剤存在下、15−デオキシプロスタグランジンJ2産生を容易化させ、プロスタグランジンE2産生を選択的に阻害する剤の、使用。
【請求項3】
神経突起の外殖を促進させるか、または、末梢ニューロパシーを処置するための医薬品の製造のための、15−デオキシプロスタグランジンJ2産生を高める剤の、使用。
【請求項4】
PPARγ活性化を必要としている病状を処置するための医薬品の製造のための、15−デオキシプロスタグランジンJ2産生を高め、順に、PPARγを活性化させる剤の、使用。
【請求項5】
前記剤が、式(I):
【化1】

の化合物であり、式中:
この破線の円が、これを含有しているこの環が、全部飽和されていてもよく、または、1、2、もしくは3の炭素炭素2重結合を持ってよいことを指し示し;
この破線の線が、この結合が、炭素炭素単もしくは2重結合であってよいことを指し示し;
1が、水素原子もしくはメチル基を表し;
2、R3、およびR4が、互いと同一であるか、もしくは、互いと異なっており、各々が、オキソ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、水素原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、もしくはアシル基を表し;
あるいは、医薬として許容可能なその塩もしくはそのエステルである、請求項1〜4のいずれか1項に従っている使用。
【請求項6】
前記化合物が、式(II):
【化2】

を持つか(式中、R1、R2、R3、およびR4が、請求項5において定義されたとおりである)、あるいは、そのエステルである、請求項5に従っている使用。
【請求項7】
前記化合物が、式(III):
【化3】

を持つか(式中、R2aが、オキソ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、もしくはハロゲン原子を表し;R1、R3、およびR4が、請求項5において定義されたとおりである)、あるいは、そのエステルである、請求項5に従っている使用。
【請求項8】
前記化合物が、式(IV):
【化4】

を持つか(式中、R1、R2、R3、およびR4が、請求項5において定義されたとおりである)、あるいは、そのエステルである、請求項5に従っている使用。
【請求項9】
前記化合物が、式(V):
【化5】

を持ち、式中、R2、R3、およびR4が、請求項5において定義されたとおりである、請求項5に従っている使用。
【請求項10】
前記化合物が、7−ヒドロキシテストステロンである、請求項5に従っている使用。
【請求項11】
前記化合物が、7α−ヒドロキシデヒドロEPIアンドロステロンもしくは7β−ヒドロキシデヒドロEPIアンドロステロンである、請求項5に従っている使用。
【請求項12】
前記化合物が、7β−ヒドロキシプレニェノロンもしくは7α−ヒドロキシプレニェノロンまたはこのエステルである、請求項5に従っている使用。
【請求項13】
前記化合物が、7α−もしくは7β−ヒドロキシEPIアンドロステロンもしくはこのエステルである、請求項5に従っている使用。
【請求項14】
前記化合物が、7α−もしくは7β−ヒドロキシ−17β−エストラジオールもしくはこのエステルである、請求項5に従っている使用。
【請求項15】
前記化合物が、7α−もしくは7β−ヒドロキシエストロンもしくはこのエステルである、請求項5に従っている使用。
【請求項16】
前記剤が、式(VI):
【化6】

の化合物であり、式中:
Xが、式>CR56の基を表し、もしくは、R10が、水素原子を表さない場合、式>SO2の基を表し;
Yが、式>NHもしくは式>CR56の基を表し;
Zが、式>C=Oの基、式CH2の基、もしくは直接の結合を表し;
5が、水素原子を表し、R6が、水素原子、カルボキシ基、もしくはヒドロキシ基を表し;
または
5およびR6が、一緒に、オキソ基、メチレンジオキシ基、もしくはヒドロキシイミノ基を表し;
7が、水素原子もしくは低級アルキル基を表し;
8が、2水素原子またはオキソ基もしくはヒドロキシイミノ基を表し;
9が、水素原子、低級アルキル基、もしくはハロゲン原子を表し;
10が、水素原子、低級アルコキシ基、もしくはカルボキシ基を表し;
11およびR12が、互いと同一であるか、もしくは、互いと異なっており、各々が、水素原子、低級アルキル基、もしくはハロゲン原子を表し;
あるいは、該化合物が、カルボキシ基を含有する場合、その塩もしくはそのエステルである、請求項1〜4のいずれか1項に従っている使用。
【請求項17】
前記化合物が、以降の化合物1〜23:
【化7−1】

【化7−2】

【化7−3】

【化7−4】

の1種である、請求項16に従っている使用。
【請求項18】
糖尿およびこの後遺症;複数の虚血血管疾病;炎症と関連された痛み;複数の炎症皮膚病状;脊髄傷害;末梢ニューロパシー;多発硬化症;炎症腸疾病;リューマチ関節炎;代謝症候群(メタボリックシンドローム)X;肥満;肢端巨大症;ならびに創傷治癒
の処置もしくは予防のための医薬品の製造のための請求項5〜17のいずれか1項において定義されたとおりの化合物の使用。
【請求項19】
癌の処置もしくは予防のための医薬品の製造のための15−デオキシプロスタグランジンJ2産生を高める剤の使用。
【請求項20】
複数の癌細胞におけるアポトーシスを包含し、癌細胞増殖を阻害していくか、または、腫瘍の成長および進展を阻害していくための医薬品の製造のための15−デオキシプロスタグランジンJ2産生を高める剤の使用。
【請求項21】
前記癌が、直腸結腸、消化管、胸、肝臓、前立腺、膀胱、甲状腺、乳頭、もしくは食道癌である、請求項19および請求項20のいずれか1項に従っている使用。
【請求項22】
前記化合物が、請求項5〜17のいずれか1項において定義されたとおりである、請求項19、20、および21のいずれか1項に従っている使用。
【請求項23】
前記病状が、複数の末梢臓器の炎症もしくは炎症疾病を包含する、請求項1もしくは請求項2に従っている使用。
【請求項24】
前記末梢臓器が、肝臓もしくは腎臓を包含する、請求項23に従っている使用。
【請求項25】
前記病状が、複数の炎症気道疾病を包含する、請求項1もしくは請求項2に従っている使用。
【請求項26】
前記炎症気道疾病が、喘息、鼻炎、気管支炎、もしくは慢性閉塞肺疾病を包含する、請求項25に従っている使用。
【請求項27】
炎症と関連された痛み;
重大な肢の虚血のような末梢動脈疾病およびこれらの後遺症;
冠状動脈疾病およびこの後遺症;
脳血管疾病およびこの後遺症;
肝臓および腎臓の虚血;
複数の代謝疾病;
肥満およびこの後遺症;
複数の炎症気道疾病;
複数の慢性神経変性疾病;
複数の急性神経学的変性病状;
関節軟骨変性により特徴とされた複数の炎症疾病;ならびに
創傷治癒
の処置および予防のための、請求項1〜4のいずれか1項に従っている使用。
【請求項28】
炎症と関連された痛み;
重大な肢の虚血;
虚血心臓疾病および心筋梗塞のような;
卒中発作および一過性虚血発作;
粥状(アテローム)硬化腎臓動脈狭窄;
2型糖尿およびこの後遺症、複数の末梢動脈疾病、冠状動脈疾病、複数の腎臓血管疾病、および糖尿ニューロパシー;
喘息および慢性閉塞肺疾病;
アルツハイマー病、パーキンソン病、多発硬化、および複数の末梢ニューロパシー;外傷脳傷害および脊髄傷害;
炎症腸疾病;ならびに
リューマチ関節炎および1次骨関節炎および2次骨関節炎およびこれらの後遺症
の処置および予防のための、請求項1〜4のいずれか1項に従っている使用。
【請求項29】
前記末梢ニューロパシーが、化学療法剤により起こされている、請求項3もしくは請求項18に従っている使用。
【請求項30】
前記化学療法剤が、シスプラチンである、請求項29に従っている使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2010−511028(P2010−511028A)
【公表日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−538785(P2009−538785)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際出願番号】PCT/GB2007/004584
【国際公開番号】WO2008/065408
【国際公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(502295238)ハンター−フレミング・リミテッド (4)
【住所又は居所原語表記】Regus House, 1 Friary, Temple Quay, Bristol BS1 6EA, United Kingdom
【Fターム(参考)】