説明

プロセスカートリッジと電子写真画像形成装置

【課題】画像形成装置本体にプロセスカートリッジを装着して同梱運搬などする場合でも、帯電メモリの発生を有効に抑制できるプロセスカートリッジおよび電極部材、それらを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】プロセスカートリッジ1の帯電電極板121と現像電極板131を、感光体ドラムと導電性部材を短絡させる位置である第1位置から、短絡を開放して使用可能な位置である第2位置に移動させる。プロセスカートリッジ1を個別梱包し、あるいはプロセスカートリッジ1を画像形成装置本体を同梱して運搬するとき、帯電電極板121と現像電極板131を第1位置に保持することで、運搬時の衝撃や振動等により周囲の部材が摩擦帯電し、感光体ドラム11に近接する導電性部材に放電しても、短絡しているため帯電メモリは発生しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真複写機、ファクシミリ装置および電子写真プリンタおよび複合機など電子写真画像形成装置(以下、「画像形成装置」という)に関し、この画像形成装置に着脱される交換可能なプロセスカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真技術を用いた画像形成装置では、電子写真感光体ドラム(以下、単に「感光体ドラム」という)などの静電潜像担持体を帯電器で均一に帯電し、レーザースキャナなどの露光手段で静電潜像を形成する。その静電潜像を現像器でもって感光体ドラム上に現像剤(トナー)でトナー像を現像した後、転写装置で記録媒体であるシートなどの転写材に写し取られたトナー像を加熱および加圧して定着させる。
【0003】
画像形成によって生じる感光体ドラムやトナーなどの消耗品の保守交換作業を簡便にするため、画像形成要素である感光体ドラムと、この感光体ドラムに作用する帯電や現像などのプロセス手段をドラム周囲に一体的にまとめてカートリッジ化している。そしてそのカートリッジを画像形成装置に簡易に着脱できるようにしたプロセスカートリッジが実用化されている。このプロセスカートリッジには、帯電や現像のプロセス手段に加えて、転写装置やクリーニング装置のうちの少なくとも1つと感光体ドラムとを組み合わせて、画像形成装置に着脱させる構成の場合も含まれる。このようなプロセスカートリッジでは、メンテナンス員の到着まで作業を中断するといったそれまでのような時間的ロスもなく、ユーザ自ら保守交換作業を簡便に行えるので今日広く普及している。
【0004】
近年、物流コストの引き下げのためにそうしたカートリッジを画像形成装置本体に装着した状態で運搬する傾向にある(以降、同梱運搬という)。ところが、そのように同梱運搬すると、運搬中の振動などのために梱包材料との摩擦で感光体ドラムが帯電する帯電メモリが発生し、形成された画像の画質を低下させるなど影響を及ぼす。そうした振動摩擦による影響ばかりでなく、ユーザがプロセスカートリッジを画像形成装置本体に着脱作業するとき、ユーザに帯びた静電気によっても帯電メモリが発生することが知られている。
【0005】
帯電メモリとはつぎの現象をいっている。感光体ドラムの表面にプラス電荷が帯電して止まってしまうと、導電性支持体から誘起されたマイナス電荷が深いトラップに捕捉されて界面から移動できなくなる。そのため、帯電や露光を繰り返しても、マイナス電荷がしばらく電荷発生層と電荷輸送層との間の界面に止まってしまう状態になる。
【0006】
帯電メモリ防止を目標に、先に本出願人は帯電メモリ防止機能を備えたプロセスカートリッジおよび画像形成装置を提案している(たとえば、特許文献1参照)。この場合、感光体ドラムに対して導電性部材を接触または非接触で近接させ、それら感光体ドラムと導電性部材とを電気的に短絡させるとともに、その電気的に短絡させた状態を短絡手段で電気的に開放するようにしている。
【0007】
【特許文献1】特開平9−6211号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に開示されたプロセスカートリッジでは、つぎの点に改良の余地を残している。
【0009】
帯電メモリの発生を防止するには、プロセスカートリッジを画像形成装置本体に装着した状態での同梱運搬を避け、別々に梱包して運搬されることが望ましい。しかし、近年、環境負荷低減や運搬コスト削減への要求が強まるなか、画像形成装置本体とプロセスカートリッジを同梱運搬せざるを得ない事情がある。帯電メモリ問題を克服できれば、同梱運搬によって運搬中に占める荷スペースも削減できるなど多くの利点がある。したがって、帯電メモリ発生防止と同梱運搬という2つの問題の両立が強く望まれる。
【0010】
以上から、本発明の目的は、画像形成装置本体にプロセスカートリッジを装着して同梱運搬などする場合でも、帯電メモリの発生を有効に抑制できるプロセスカートリッジ、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明のプロセスカートリッジは、静電潜像を担持する電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の近傍に配置された導電性部材と、
前記電子写真感光体および前記導電性部材を電気的に短絡させた状態の第1位置と、前記電子写真感光体および前記導電性部材を電気的に開放した状態の第2位置との間を移動可能な電極部材と、を有すること特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の画像形成装置は、静電潜像を担持する電子写真感光体と、前記電子写真感光体の近傍に配置された導電性部材と、前記電子写真感光体および前記導電性部材を電気的に短絡させた状態の第1位置と、前記電子写真感光体および前記導電性部材を電気的に開放した状態の第2位置との間を移動可能な電極部材と、を有するプロセスカートリッジと、前記プロセスカートリッジを取り外し可能に装着する装着手段と、を有し、前記プロセスカートリッジは、前記電極部材が前記第1位置に位置した状態で運搬されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のプロセスカートリッジによれば、電子写真感光体とその近傍に配置される導電性部材を短絡することで、電子写真感光体に帯電メモリを発生させない。
【0014】
また、本発明の画像形成装置によれば、帯電メモリの発生を抑止するプロセスカートリッジを装備することで、帯電メモリによる画像への影響を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明のプロセスカートリッジおよび電極部材、それらを備えた画像形成装置のそれぞれ好適な実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
(画像形成装置)
図1は、画像形成装置の具体的な実施形態としてレーザービームプリンタの装置本体Aを示す。画像形成部においては像担持体である感光体ドラム(電子写真感光体)1を内蔵したプロセスカートリッジ1が着脱可能となっている。プロセスカートリッジ上方には露光手段(レーザビーム光学走査系)2が配置されている。また、プロセスカートリッジ下方には記録媒体であるシート状の転写材(以下、単に「シート」という)31を送り出す給送部が配置され、感光体ドラム11上に形成されたトナー像をシート31に転写する転写ローラ33が配置されている。さらに、シート31に転写されたトナー画像を定着させるための定着手段34、シート31を装置外へ排出して積載する排出手段35が配置されている。シート31として用いられるものに普通紙やOHPシート、そして布などがある。
【0017】
(給送部)
給送部は、画像形成部にシート31を給送する装置であり、複数枚のシート31を積載して収納する給送カセット32aを備え、繰り出し用の給送ローラ32b、重送防止用リタードローラ32c、給送ガイド32d、レジストローラ32fなどで構成されている。給送ローラ32bは画像形成動作に応じて駆動回転し、給送カセット32a内のシート31を1枚ずつ分離して給送する。リタードローラ32cはシート31が数枚同時に繰り出されてしまういわゆる重送を防止する。シート31は給送ガイド32dで案内されて搬送ローラ32eを経由し、レジストローラ32fに搬送される。レジストローラ32fは、画像形成の動作中、シート31を静止待機させる非回転動作と、シート31を感光体ドラム11に向けて搬送する回転動作を所定の動作順で行い、次工程の転写工程に備えてトナー像とシート31との位置合わせを行う。シート31が搬送された直後は、レジストローラ32fは回転を停止した状態にあり、そのレジストローラ32fのニップ部に突入することで搬送されてきたシート31の斜行が矯正される。
【0018】
(プロセスカートリッジ)
つぎに、プロセスカートリッジ1の構成について説明する。
【0019】
静電潜像担持体である感光体ドラム11と、感光体ドラム11に作用するプロセス手段としての帯電装置や現像装置、またはクリーニング手段のいずれかとを一体的にまとめてカートリッジ化したものであり、画像形成装置本体に着脱可能とするものが含まれる。また、帯電装置、現像装置、転写装置、そしてクリーニング装置の少なくとも1つと感光体ドラム11とを一体的にカートリッジ化し、画像形成装置本体に着脱可能とするものが含まれる。その場合、図1に示すように、感光体ドラム11の周囲にそれら帯電装置や現像装置、そしてクリーニング装置を配置して一体化することができる。そのようにしたプロセスカートリッジ1を装置本体Aに対し着脱自在としている。ユーザは図1中のカートリッジカバー400を開けることにより、プロセスカートリッジ1を簡便に取り付けまたは取り外しすることで、トナー補給などメンテナンス作業を簡便に行うことができる。また、カートリッジ寿命に至ったことを認識手段が判断した場合、その報知に基づいて容易に寿命到達カートリッジを新旧交換することができる。
【0020】
本実施形態のプロセスカートリッジ1では、感光体ドラム11が装置本体Aの回転駆動源からの回転動力を受けて図1中矢印rで示す時計廻り方向に回転する。その感光体ドラム11にプロセス手段として作用する帯電装置の帯電ローラ12には所定の帯電バイアス電圧が印加され、その帯電ローラ12によって感光体ドラム11のドラム表面を一様に帯電する。帯電された感光体ドラム11に対して露光装置2からの画像情報に基づいた光像を露光して静電潜像を形成し、この静電潜像を現像装置13によって現像する。
【0021】
現像装置13では、現像剤収容室130に収容された現像剤(トナー)を担持する現像ローラ131を有している。この現像ローラ131を回転させることによって、摩擦帯電電荷を付与したトナー層を現像ローラ131の表面に形成する現像ブレード132を有する。それにより、装置本体Aに備わるバイアス電圧印加手段によって現像ローラ131に所定の現像バイアス電圧を印加し、トナーを静電潜像に応じて感光体ドラム11に転移させ、トナー像を形成して可視像化する。
【0022】
また、クリーニング装置14はクリーニングブレード141を有し、転写ローラ33にトナー像を逆極性の電圧を印加し、トナーをシート31に転写した後に感光体ドラム11に残留した残トナーを掻き落す。また、そのクリーニングブレード141は、シート部材142で掬い取って廃トナー収容室143に収容する。このようにクリーニング装置14を作動させることで感光体ドラム11に残留した残トナーを除去する。
【0023】
即ち、本実施形態のプロセスカートリッジ1は、感光体ドラム11に作用するプロセス手段として帯電ローラ12と現像ローラ131と、そしてクリーニングブレード141などで構成されている。そのうち、バイアス印加型のプロセス手段として機能する部材は帯電ローラ12と現像ローラ131である。
【0024】
つぎに、定着装置34は、感光体ドラム11上のトナー像が転写ローラ33によってシート31上に転写され、転写されたトナー像を加熱し加圧してシート31に定着させる。そのため、シート31に熱を加えるための定着ローラ34aを有し、シート31を定着ローラに圧接させるための加圧ローラ34bを備えている。それら定着ローラ34aや加圧ローラ34bは中空成形されたものであり、その中空内部にヒータ(不図示)が装着されている。各ローラが回転駆動されることでシート31を搬送する。トナー像を保持したシート31は、定着ローラ34aと加圧ローラ34bによって搬送されるとともに、加熱や加圧してトナー像がシート31に定着される。定着後のシート31は、排出ローラ35によって排出される。
【0025】
(同梱運搬による態様)
つぎに、プロセスカートリッジ1を装置本体Aに装着した状態で一緒に運搬する場合の「同梱運搬」について説明する。
【0026】
画像形成装置本体Aにプロセスカートリッジを装着して1セットにした販売形態は、ユーザを個別購入の場合の煩雑さから開放する利点がある。また、同梱運搬が可能になれば、個別に梱包する場合と比較して各段に荷姿を小型化でき運搬スペースを大幅に省スペースできるので、梱包資材の節減や運搬コストの削減に非常に有効である。また、ユーザにとっても、購入後の開梱時に画像形成装置本体内に既にプロセスカートリッジがセットされているから、取扱説明書などを読んで装着するといった手間が省ける。そのまま電源コンセントや通信ケーブルなどを接続して画像形成装置本体を起動オンすれば、使用が可能になるいわゆるプラグアンドプレイとなる。
【0027】
(帯電メモリの発生抑止)
同梱運搬によって発生の可能性がある帯電メモリは以下のように抑制される。
【0028】
図2〜図4は、本実施形態の感光体ドラム11が有機感光体ドラムで積層型のドラム構造となっている場合、それに帯電メモリが発生したと仮定した状態の一側断面を示す。すなわち、この場合の積層型の感光体ドラム11はアルミニウムなどの導電性母体11aの上に電荷発生層11b、電荷搬送層11cを積層したものである。
【0029】
図3に示すように、感光体ドラム11の所定部位に意図的に帯電メモリを発生させてその発生メカニズムの解析を試みる。帯電ローラ12による一次帯電後、図4(a)に示すように、ドラム所定部位を露光すると通常よりも電荷発生層11bから電荷搬送層11cへのプラス電荷の注入が起こり易くなる。それによって見かけ上の感度が上昇し、その所定部位では他のドラム部位よりも感光体表面の電荷を失う。図4(b)は、そのような状態下での感光体ドラム11の表面電位を示すグラフである。このグラフから明らかなように、帯電メモリを発生している部位では露光された際にプラス電荷が注入され易いため、他の部位よりも感光体表面の電荷を失い、露光されたときの電位である明部電位が他の部位よりも低下している。反転現像では電位が下がっている部分に通常よりも多量のトナーが付着するため、周囲よりも黒く目立ち、正規現像では電位が下がっている部分には現像剤が付着しにくいため、特にハーフトーン画像において白っぽく目立つ異常画像となる。
【0030】
帯電メモリの発生原因となる電荷はつぎの現象が考えられている。1つは、梱包袋とプロセスカートリッジ枠体が帯電することによるものである。絶縁性の梱包袋やカートリッジ枠体が運搬中などに摩擦などして帯電し、その電荷がドラム周辺の導電性部材から感光体ドラム11に放電される。また1つは、ユーザの人体に帯びた静電気によるものである。静電気を帯びて帯電しているユーザの指などが導電性部材の電極に触れるなどすると、その導電性部材から電荷が感光体ドラム11に放電される。また1つは、外部電界が影響することによるものである。すなわち、帯電している絶縁性樹脂の上にプロセスカートリッジ枠体を載置などした場合、その電荷が導電性部材から感光体ドラム11に放電される。このように、感光体ドラム11に近接した導電性部材に電荷が移ることにより、感光体ドラム1と導電性部材との間で電位差が生じ、導電性部材から感光体ドラム11にプラス電荷が放電されることが原因になって帯電メモリを発生する。
【0031】
つまり、プロセスカートリッジ1の周辺に摩擦などで帯電した物体や物質が存在すると、感光体ドラム11に近接する導電性部材に放電し、帯電メモリが発生し易くなることが分かる。画像形成装置本体やプロセスカートリッジ1は多数の機器や部材で構成されている。したがって、運搬中の振動や衝撃による摩擦で帯電し易くなる。特に、同梱による運搬時はプロセスカートリッジ1の周囲に配設される装置本体A側の各機器や部材の影響がより一層顕著となる。
【0032】
以上から、帯電メモリの発生を防ぐには、感光体ドラム11に近接する導電性部材との間に電位差を生じないようにすることである。放電が起きないよう電位差をなくすこと、つまり感光体ドラム11と導電性部材が同電位になるようにするには、電気的に短絡させることが考えられる。以下、その短絡構造について順を追って示す。
【0033】
はじめに、プロセスカートリッジ1については、装置本体Aの所定位置にて高精度に機械的に位置決めされかつ電気的に接続されることによって、高品位の画像形成が可能になる。そのために、プロセスカートリッジ1には機械的・電気的インターフェースとして、「カートリッジ位置決め機構」と、「感光体ドラム駆動機構」と、「帯電バイアス印加機構」と、そして「現像バイアス印加機構」が設けられている。
【0034】
(プロセスカートリッジ側インターフェース)
カートリッジ側面を示す図5のように、外装カバー101によってカートリッジ枠体が形成され、このカートリッジ枠体の側面部には装置本体Aへの装着時に挿入動作を案内するためのガイド部材1011が設けられている。ガイド部材1011は開口部1011aを有し、この開口部1011aから受動カップリング111aが外部に覗いている。受動カップリング111aはカートリッジ位置決め機構との間の接続部として機能し、また感光体ドラム駆動機構、帯電バイアス印加機構および現像バイアス印加機構のそれぞれ接続部としても機能し、それら4つの機構のインターフェースを兼ねている。
【0035】
感光体ドラム駆動機構は、装置本体Aに装備されている回転駆動源のモータからの回転動力をドラムシャフト111を介して受け、感光体ドラム11が回転駆動する。この感光体ドラム11は受動カップリング111aを介してアース(接地)接続される。また、帯電バイアス印加機構は帯電電極板121を有し、カートリッジ装着状態で装置本体Aに装備されている電源電圧からの帯電バイアス電圧がその帯電電極板121を介して帯電ローラ12に印加される。また、現像バイアス印加機構は現像電極板133を有し、電源電圧からの現像バイアス電圧がその現像電極板133を介して現像ローラ131に印加される。帯電電極板121は開口部1012からカートリッジ枠体外に覗き、現像電極板133は開口部1013からカートリッジ枠体外に覗いている。
【0036】
なお、帯電バイアス印加機構および現像バイアス印加機構をまとめてバイアス印加型のプロセス手段ということができ、それら両機構における代表的機器が帯電ローラ12と現像ローラ131である。
【0037】
(装置本体側インターフェース)
図6は、プロセスカートリッジ1を取り出した状態を装置本体Aを側面から見た場合に、装置本体A側に設けられたカートリッジ位置決め機構を示す。プロセスカートリッジ1を装置本体Aに着脱する際、ユーザはカートリッジカバー400を開閉する。また、装置本体Aの外装枠体を形成する側板40にはカートリッジ着脱時に案内するガイドレール401が設けられている。このガイドレール401にプロセスカートリッジ1側に設けたガイド部材1011(図5)を案内させて挿入し、プロセスカートリッジ1を装置本体Aの所定位置に容易かつ正確に装着できるようになっている。
【0038】
また、カートリッジ挿入時、プロセスカートリッジ1側の受動カップリング111aが係合する駆動カップリング41を有している。受動カップリング111aがその駆動カップリング41に係合して接続されると、回転駆動源モータの回転動力が駆動カップリング41から受動カップリング111aに伝達され、感光体ドラム11を回転駆動させる状態になる。駆動・受動カップリング41,111aの接続によって、感光体ドラム11にドラムシャフト111を通して通電され、グランドにアース接地されるようになっている。
【0039】
また、枠体側板40に設けた開口部402,403からは帯電接点42と現像接点43が覗いて設けられている。カートリッジ挿入によって、帯電ローラ12と現像ローラ131にそれぞれ帯電接点42、現像接点43が電気的に接続可能な状態になる。すなわち、カートリッジ挿入でバイアス電圧を印加する帯電バイアス印加機構および現像バイアス印加機構が帯電電極板121、現像電極板133を介して帯電接点42、現像接点43に電気的に接続される。
【0040】
(帯電電極板,現像電極板)
図7は、プロセスカートリッジ1を構成する感光体ドラム11、帯電ローラ12と現像ローラ131(導電性部材)、現像ブレード132およびクリーニング部材141などを示す。現像ブレード132およびクリーニング部材141を支持するクリーニング支持板金141aは金属などによる導電性部材である。
【0041】
そこで、帯電電極板121は、ばね部材のような弾力性を有する金属材料であり、揺動中心121aを基準に支持手段(不図示)で揺動可能に支持されている。この帯電電極板121は第1〜第4の接続部を有し、各接続部によって電気的な接続状態となる。第1接続部121b1は帯電ローラ軸12aに電気的に接触し、第2接続部121b2は導通板112に接触し、第3接続部121b3は帯電接点42に接触し、そして第4接続部121b4はクリーニング支持板金141aに接触する。
【0042】
現像電極板133は、帯電電極板121と同様にばね状金属材料であり、揺動中心133aを基準に支持手段(不図示)で揺動可能に支持されている。この現像電極板133は第1〜第4の接続部を有し、各接続部によって電気的な接続状態となる。第1接続部133b1は現像ローラ軸131aと電気的に接触し、第2接続部133b2は導通板112に接触し、第3接続部133b3は現像接点43に接触し、そして第4接続部133b4は現像ブレード132に接触する。
【0043】
図7に示す状態は、帯電電極板121によって帯電ローラ12、クリーニング支持板金141aおよび導通板112を電気的に接続させ、現像電極板133によって現像ローラ131、現像ブレード132、導通板112を電気的に接続させたときである。
【0044】
図8は、上記導通板112に対して、ドラムシャフト111と外装カバー101との取り合いを示す。金属材料である導通板112はドラムシャフト111と電気的に接続する接続部112aを有している。図7の状態では感光体ドラム11、帯電ローラ12、現像ローラ131、現像ブレード132、クリーニング部材支持板金141aが互いに電気的に短絡状態で同電位となっている。このように、感光体ドラム11に近接する導電性部材を電気的に短絡させ、図7のように帯電電極板121および現像電極板133が短絡状態となっている位置状態を以下「第1位置」と呼ぶ。一方、その第1位置に対して、図9に示すように、感光体ドラム11に近接する導電性部材を電気的に開放し、帯電バイアス印加機構と現像バイアス印加機構に対して所定のバイアス電圧を印加できる位置状態を以下「第2位置」と呼ぶ。
【0045】
すなわち、図9のように、帯電電極板121と現像電極板133はそれぞれの第1位置から第2位置に移動する。すなわち、図7において、帯電電極板121と現像電極板133が第1位置から揺動中心121a、133aを基準にして揺動した状態である。図9から明らかなように、帯電電極板121の第1接続部121b1は第1位置の状態と同様に帯電ローラ軸12aに接触しており、第2接続部121b2は導通板112から離間し、第4接続部121b4もクリーニング支持板金14aから離間している。第3接続部121b3は装置本体Aの帯電接点42に接触している。同じく、現像電極板133においても第1接続部133b1は現像ローラ軸131aに接触し、第2接続部133b2は導通板112から離間している。第4接続部133b4は現像ブレード132から離間した距離に有って、第3接続部133b3は装置本体Aの現像接点43に接触している。
【0046】
したがって、感光体ドラム11、帯電ローラ12、現像ローラ131、現像ブレード132、クリーニング支持板金14aが短絡状態から電気的に開放された図9の第2位置になる。同時に、装置本体Aの帯電接点42、現像接点43と帯電電極板121、現像電極板133がそれぞれ電気的に接続した状態となる。
【0047】
以上から明らかなように、第2位置は、感光体ドラム11に近接する導電性部材を電気的に開放し、帯電バイアス印加機構と現像バイアス印加機構に対して所定のバイアス電圧を印加可能となる状態である。
【0048】
なお、帯電電極板121および現像電極板133はいずれもばね部材などの付勢手段(不図示)によって第1位置に位置する状態で保持される方向へ弾性付勢されている。
【0049】
(駆動・受動カップリングの接続構造)
つぎに、装置本体A側の駆動カップリング41と、プロセスカートリッジ側ドラムシャフト111の先端部に設けた受動カップリング部111aとの接続構造について説明する。
【0050】
接続前の駆動・受動カップリング41,111aを示す図10において、ドラムシャフト111の先端部の受動カップリング111aは、駆動伝達および調芯機能のための断面三角形状の接続凸部111a1を有している。この接続凸部111a1の先端からさらに前方に突出してカートリッジ長手方向への位置決めを行うための断面円形の接続凸部111a2を有する。この接続凸部111a2は感光体ドラム11をアースに接続する部分ともなる。
【0051】
一方、駆動カップリング41においては、回転シャフト41bの先端に受動カップリング111aと連結する部分の伝達部41aを設けて構成されている。伝達部41aの前端面から断面三角形状の接続凹部41a1が設けられて受動カップリング111a側の上記接続凸部111a1に係合することで、感光体ドラム11を回転駆動させる。同時に、そうした双方の接続凹凸部41a1,111a1同士の接続によって、駆動・受動カップリング双方の回転軸線を一致させて自動調芯を行う。同時に、接続凸部111a2と接続凹部41a2とを係合させることで、感光体ドラム11をグランドに接地させてアース接続が行われるようになっている。
【0052】
なお、図示省略されているが、伝達部41aを先端部に備える回転シャフト41bとしては、回転軸線方向に移動可能に支持されており、また圧縮ばねなどによってドラムシャフト111に向かって付勢されている。また、駆動カップリング41はリンク部材でカートリッジカバー400の開閉動作に連動し、長手方向に移動可能となっている。
【0053】
つぎに、図11(a)〜(c)は、駆動カップリング41と受動カップリング111aとの連結動作および切り離し動作を示す。
【0054】
感光体ドラム11は、円筒形状のドラムシリンダ110の内部中心軸上をドラムシャフト111が挿通する形となっている。図2などに示されたように、ドラムシリンダ110はアルミニウムなどの導電性支持体11aの上に電荷発生層11b、電荷輸送層11cが順に積層され積層構造となっており、ドラムシャフト111でアース接続される。ドラムシリンダ110はドラムシャフト111と同軸上にドラムフランジ113で結合され、ドラムシリンダ110とドラムシャフト111を電気的に接続するためのアース板114で構成されている。
【0055】
図11(a)は、駆動カップリング41と受動カップリング111aが接続される前の離間状態を示す。この状態から、駆動カップリング41がカートリッジカバー400の開閉動作に連動して長手方向にスライド移動する。カートリッジカバー400を開けたときは駆動カップリング41が待機位置にあって受動カップリング111aから分離している。このことは、プロセスカートリッジ1を装置本体Aに着脱する際、装着方向がドラムシャフト111に対して直角方向に装着されるためである(図6参照)。つまり、駆動カップリング41がプロセスカートリッジ1から分離した位置に待機していなければ、装着に支障をきたすからである。
【0056】
つぎに、図11(b)に示すように、ユーザによってカートリッジカバー400が閉じられると、駆動カップリング41がリンク部材(不図示)の動作によってドラムシャフト111に向かって移動する。この際、断面三角形状の接続凹部41a1と接続凸部111a1の双方の三角形位相が異なっていた場合、接続凸部111a1の端面と接続凹部41a1の入口端面が当接し、伝達部41aはここで停止した状態となる。駆動カップリング41の移動量におけるオーバーストローク分は、スライド手段や圧縮ばねなどによって吸収する。このままの状態では感光体ドラム11が回転駆動やアース接続できない状態となる。
【0057】
また、接続凹部41a1と接続凸部111a1の双方の三角位相がほぼ一致していた場合、図11(c)に示すように、接続凹部41a,41a2に接続凸部111a1,111a1が係合して、感光体ドラム11の回転駆動、アースへの接続も可能な状態となる。この状態のことを以下の説明においては使用可能状態と称する。
【0058】
なお、待機状態にあるとき、回転シャフト41bを回転駆動させることにより、接続凹部41a1と接続凸部111a1の双方の三角形の位相が合致する。そして、このときは圧縮ばねなどによって伝達部41aがドラム回転軸線の方向に押し出され、接続凹部41a1と接続凸部111a1が係合して使用可能状態となる。
【0059】
一方、図12(a),(b)は、カップリング接続時の軸心を一致させる調芯動作において、接続凸部111a1と接続凹部41a1を示す。接続凸部111a1はドラムシャフト111中心の回転軸線C2を図心とする正三角形形状であり、接続凹部41a1は回転シャフト41b中心の回転軸線C1を図心とする正三角形形状である。接続凸部111a1の外接円R2は接続凹部41a1の外接円R3より小さく、内接円R1より大きくなるように設定してある。
【0060】
図12(a)に示すように、回転シャフト41bを回転駆動させることで、接続凹部41a1の各辺が接続凸部111a1の各頂点と係合することで駆動伝達が可能になる。その際、接続凹部41a1の各辺が接続凸部111a1の各頂点が当接するのは一個所に限定されるため、感光体ドラム11の回転軸線C2と回転シャフト41bの回転軸線C1は一致して調芯される。
【0061】
使用可能状態のとき、図12(b)に示すようにドラムシャフト111の回転軸線C2から回転シャフト41bの回転軸線C1がずれていたとしても、この調芯作用によって図12(a)に示すように調芯される。したがって、プロセスカートリッジ1を装置本体Aに装着する際、プロセスカートリッジ1の装着位置が若干ラフであったとしても、高精度な画像を得ることが可能となる。
【0062】
(電極板の動作)
つぎに、図13(a)〜(c)は、帯電電極板121と現像電極板133のうち、代表的に帯電電極板121の動作を示し、同図(a)は駆動カップリング41の退避状態を、同図(b)は待機状態を、同図(c)は使用可能状態をそれぞれ示す。
【0063】
本実施形態においては、帯電電極板121(および現像電極板133)の第1位置と印加状態な第2位置との間の移動には駆動カップリング41の移動と連動する。具体的に、駆動カップリング41が退避状態から使用可能状態に移動するに伴い、帯電電極板121は第2接続部121b2と駆動カップリング41のドラム軸111側の端面と当接することによって、第1位置から第2位置へと移動する。
【0064】
すなわち、駆動カップリング41が退避状態にあるとき、図13(a)に示すように帯電電極板121は付勢手段によって第1位置に保持されている。したがって、帯電ローラ12、(導通板112を介して)感光体ドラム11、クリーニング支持板金141aは帯電電極板121の第1接続部121b1、第2接続部121b2、第4接続部によって電気的に短絡した状態になっている。
【0065】
また、待機状態にあるとき、図13(b)に示すように駆動カップリング41はドラム開口部1011aに侵入してくるが、この状態では駆動カップリング41と第2接続部121b2は離間している。すなわち、帯電電極板121は第1位置に保持されたままである。
【0066】
つぎに、使用可能状態にあるときは、図13(c)に示すようにカップリング41と第2接続部121b2は当接し、(同図面上方向に)押し込まれる。ここで、帯電電極部材121は揺動中心121aを基準に揺動可能に支持されているため、揺動中心121aを基準として同図に示すように揺動する。このとき、第2接続部は導通板112、第4接続部121b4はクリーニング支持板金141aとそれぞれ離間し、一方第3接続部121b3は装置本体の帯電接点42と接触する。すなわち、帯電電極板121は待機状態から使用可能状態に至る間に第1位置から第2位置へと移動する。
【0067】
また、プロセスカートリッジ1を着脱するときは、カートリッジカバー400を開放することにより、駆動カップリング41は再び退避状態になり、この動作に伴って帯電電極板121は第2位置から第1位置へと付勢手段の付勢力によって移動する。つまり、帯電電極板121は駆動カップリング41によって第1位置から第2位置へと移動する。よって、プロセスカートリッジ1が装置本体Aの外部にあるとき、装置本体Aに装着されていても駆動カップリング41が退避状態や待機状態にあるときは第1位置の状態で保持される。そして、プロセスカートリッジ1が装置本体Aに装着され、駆動カップリング41が使用可能状態であるときには、駆動カップリング41によって第2位置の状態で保持されるのである。
【0068】
このようにプロセスカートリッジ1が装置本体外にあるとき、帯電電極板121、現像電極板133はそれぞれ第1位置の状態で保持されている。
【0069】
したがって、前述したように、感光体ドラム11と感光体ドラム11に近接した導電性部材は電気的に短絡した状態となる。したがって、プロセスカートリッジ1はその単体状態において、(a)梱包袋及びプロセスカートリッジ枠体の帯電、(b)ユーザの持つ静電気、(c)外部の電界の影響などによる帯電メモリを防止することが可能となる。
【0070】
また、退避状態にあるとき、図13(a)に示すように、駆動カップリング41、帯電電極板121、同様に現像電極板133はプロセスカートリッジの装着方向に対して無負荷の状態である。したがって、装置本体Aにプロセスカートリッジ1を着脱する際、スムーズにおこなうことができる。
【0071】
(装着同梱時のプロセスカートリッジ装着)
駆動カップリング41の状態は、退避状態〔図11(a)〕、待機状態〔図11(b)〕、使用可能状態〔図11(c)〕の3通りであったが、それぞれの状態で装着同梱を行い、装置本体Aを運搬する場合は以下のとおりである。
【0072】
まず、駆動カップリング41を退避状態とするには、カートリッジカバー400を開放しなければならない。当然のことながら、この状態のまま運搬したのでは運搬コストの削減にはならないので、装着同梱を実現するためにはカートリッジカバー400を閉じても駆動カップリング41を退避状態に保持する必要がある。このため、カートリッジカバー400の開閉動作に駆動カップリング41を移動するためのリンク手段は、通常の着脱操作時の動作と、装着同梱に対応した動作をさせる必要が生じるため、リンク部材は複雑なものになってしまう。
【0073】
このような退避状態では、図13(a)に示すように、プロセスカートリッジ1の着脱はスムーズに行える構成にしている。即ち、この状態はすなわち、装着同梱時の運搬による振動や衝撃が加わると装置本体内でプロセスカートリッジが暴れるような状態となり、破損してしまう可能性がある。
【0074】
つぎに、使用可能状態においては、図9および図11(c)に示すように、電気インターフェースである帯電電極板121と帯電接点42、現像電極板133と現像接点43、およびアースへの接続を行う受動カップリング111aの接続凸部111a2と駆動カップリング41の接続凹部41a2は当接している。
【0075】
即ち、帯電電極板121、現像電極板133、接続凸部111a2はプロセスカートリッジ1側に配設され、帯電接点42、現像接点43、接続凹部41a2は装置本体A側に配置される。したがって、運搬時の振動や衝撃が加われば、それぞれの振動や衝撃の影響による損傷や変形、摺擦による削れ粉が発生する可能性がある。
【0076】
また、駆動、位置決めインターフェースであるカップリング部111、駆動カップリング41に関しても図11(c)に示すように、断面三角形状の接続凸部111a1と接続、凹部41a1が係合している。そして、接続凸部111a2の先端面と、接続凹部41a2の底面は接触した状態になる。したがって、前記電気インターフェースと同様に運搬時の振動や衝撃の影響を受ける可能性がある。
【0077】
接続凸部111a1の正三角形の各頂点と接続凹部41a1の正三角形の各辺は、感光体ドラム11と駆動カップリング41の調芯を行う際に極めて重要な部分であり、この部分が損傷した場合にはそれぞれの中心がずれてしまう可能性がある。すると、感光体ドラム11は回転ムラを起こす可能性がある。また、使用可能状態については、帯電電極板121、現像電極板133は第2位置になるので、帯電メモリが発生する可能性もある。
【0078】
つぎに、待機状態においては、図11(b)に示すように、待機状態においては、断面三角形状の接続凸部111a1の正三角形の位相と接続凹部41a1の正三角形の位相が異なっている。そのため、接続凸部111a1の先端面と接続部41aにおける接続凹部の入口端面が当接している。その際、接続凸部111a1の正三角形におけるそれぞれの頂点はいずれの個所とも接触していない。また、接続凸部111a2は接続凹部41a1の内部に収容され、長手の位置決め及びアース接続部である接続凸部111a1の先端端面においてもいずれの箇所とも接触していない。そのため、運搬時の振動や衝撃があっても接続凸部111a1の正三角形における各頂点が損傷することはない。さらに、伝達部41aはドラム開口部1011aにその先端部分が収容され、同図に示すように伝達部41aの外形とドラム開口部1011aには隙間が形成される。この隙間は接続凸部111a2の外径と接続凹部41a2との間に生じる隙間よりも十分に小さくなるように設定される。したがって、この状態で運搬を行って、その際の振動や衝撃があったとしても接続凸部111a2と接続凹部41a2が接触することはない。
【0079】
すなわち、待機状態においてプロセスカートリッジ1と装置本体Aの間で、接触するのは連結部41aの外形部とドラム開口1011aの内面、及び凸三角部111a1の先端面と凹三角部の入口端面のみである。これらはともにプロセスカートリッジ1と装置本体Aのインターフェースとしての機能を有する部分ではないため、運搬時の振動や衝撃によって多少損傷したとしても、品質上はほとんど問題とならない。
【0080】
さらに、待機状態においては帯電電極板121、現像電極板133は前記第1位置なので、帯電メモリを発生することも無く、同時に装置本体Aの帯電接点42、現像接点43に対して離間した状態である。したがって、これらの部品の損傷や変形、摺擦による削れ粉といった問題を起こすこともない。つまり、同梱運搬する場合は待機状態となるように、プロセスカートリッジ1を装置本体に装着すれば、これまで上げてきた問題を起こすことなく、運搬することが可能となる。
【0081】
続いて、どのようにして待機状態になるようにプロセスカートリッジ1を装置本体Aに装着するのかを説明する。
【0082】
工場等の生産部門が行う装着同梱に関しては、装置本体Aやプロセスカートリッジ1を生産するとき、完成時に接続凹部41a、接続凸部111a1の位相をどのようにするか、取り決めを行うことで、必ず待機状態で装着することが可能となる。それに対して、ユーザが装着同梱を行う場合、生産部門のようにプロセスカートリッジ1のドラムシャフト11や駆動カップリング41を単体で回転することは困難である。そこで装置本体Aを使用して、待機状態での装着を実現させる。まず、装置本体Aには装着同梱を行うための駆動シーケンス(以下装着同梱シーケンスと称す)を準備しておく。装着同梱シーケンスとは、図14に示す動作フローチャート(ステップS1〜ステップS8)に基づいて実行するシーケンスである。
【0083】
装着同梱シーケンスの各ステップの動作と、実際の接続凸部111a1および接続凹部41a1の位相の動きについて、図11(a)〜(c)を併用して参照して説明する。
【0084】
まず、ステップS1において、ユーザは装着同梱シーケンスを実行する。なお、装着同梱シーケンスはプロセスカートリッジ1が装置本体に装着された状態で実行する。実行方法としては、装置本体Aの(不図示の)オペレーションパネルや装置本体に接続されるデバイスなどに特定のコマンドを設けるなどの方法がある。
【0085】
装着同梱シーケンスが実行されたことを認識した装置本体Aは駆動カップリングを回転駆動し(ステップ:S2)、図11(c)に示すような位相となったときの状態で停止させる(ステップ:S3)。この状態でユーザはプロセスカートリッジ1を装置本体から取り出す(ステップ:S4)。このとき接続凸部111a1は正三角形の頂点が上を向いた状態となっている。プロセスカートリッジを取り出した後、駆動カップリングは再び回転し(ステップ:S5)、今度は図11(b)に示すような位相となったときの状態で停止させる(ステップ:S6)。このとき接続凹部41a1は正三角形の頂点が下を向いた状態となっている。続いて、ユーザはプロセスカートリッジを装置本体に装着し(ステップ:S7)、装着同梱シーケンスは終了となる(ステップ:S8)。
【0086】
以上の装着同梱シーケンスを実行することで、接続凸部111a1の位相と接続凹部41a1の位相は必ず異なるので、接続凸部111a1と接続凹部41a1は係合しないので、前述した退避状態による装着同梱が可能となる。
【0087】
(画像形成プロセス)
装着同梱にて運搬を行った場合、駆動カップリング41は待機状態となっている。したがって、駆動カップリング41を駆動回転させ、待機状態から使用可能状態になってから、帯電バイアス電圧や現像バイアス電圧を印加させる。本実施形態においては、駆動伝達のインターフェースに用いるカップリングは正三角形であるため、120度以上回転させれば、接続凸部111a1と接続凹部41a1の位相は必ず一致し、これらが係合することで使用可能状態となる。つまり、待機状態であっても、駆動カップリング41が120度以上回転した後であれば、使用可能状態となり、帯電バイアス電圧や現像バイアス電圧の印加はその後に実行すればよい。
【0088】
以上説明したように、感光体ドラム11に近接する導電性部材を電極部材が第1位置のとき、感光体ドラム11と電気的に短絡させた状態にする。それによって(1)包袋およびプロセスカートリッジ枠体の帯電、(2)ユーザの持つ静電気、(3)外部の電界の影響などによる帯電メモリの発生を防止できる。また、電極部材は、プロセスカートリッジ1を装置本体Aに装着し、駆動カップリング41を係合させる動作で、前記電極部材を第1位置から第2位置へ移動させる。それによって、電気的な短絡状態が開放状態となり、使用可能となる。
【0089】
また、導電性部材が帯電バイアス印加機構や現像バイアス印加機構である場合には、電極部材の接続部によって電極部材が第2位置のときに、装置本体Aのそれらバイアス印加機構に接続させることでバイアス電圧の印加が可能となる。ここで、電極部材が第1位置のとき、電極部材と装置本体の接点は離間しているため、装着同梱時の移動させても、電極板や装置本体の接点を損傷することはない。また、装着同梱時の運搬において、駆動カップリング41は待機位置で保持されるので、調芯や位置決めを行う部分が損傷することもない。
【0090】
なお、本発明について上記実施形態が説明されたがその実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内であれば他の実施形態、応用例、変形例およびそれらの組み合わせも可能である。
【0091】
たとえば、上記実施形態においては、電極部材が駆動カップリングとの係合によって第1位置から第2位置へ移動する構造について説明されたが、電極部材を移動させるための専用の移動手段を設けても良い。
【0092】
また、上記実施形態において、電子写真感光体としては感光体ドラム、帯電手段としては帯電ローラ、現像手段としては現像ローラ及び現像ローラ上の現像剤を規制する規制部材としては現像ブレード、クリーニング手段としてはクリーニングブレードを使用している。しかし、同様の機能を有する構成であれば、電子写真感光体としては感光体ベルト、帯電手段としてはコロナ帯電器、クリーニング手段としてはローラクリーナ等としても差し支えない。また現像手段に関しては磁性現像剤を使用する磁性現像方式、非磁性現像剤を使用する非磁性現像方式、現像ローラと感光体ドラムを接触させる接触現像方式、現像ローラと感光体ドラムの間に所定の間隙を有する非接触現像方式などを適宜組み合わせて使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】電子写真画像形成装置の一形態であるレーザービームプリンタの全体構成図。
【図2】積層型の有機感光体ドラムを説明する一端面側を示す図。
【図3】同じく積層型の有機感光体ドラムを説明する一端面側を示す図。
【図4】同じく積層型の有機感光体ドラムを説明する一端面側を示す図。
【図5】本実施形態におけるプロセスカートリッジを示す側面図。
【図6】画像形成装置本体におけるプロセスカートリッジ装着部を示す図。
【図7】プロセスカートリッジを構成する各部、各機器を示す斜視図の部分拡大図。
【図8】プロセスカートリッジを上方向からみた平面方向の部分断面図。
【図9】プロセスカートリッジを構成する各部、各機器を示す斜視図の部分拡大図。
【図10】受動カップリングと駆動カップリングの斜視図の部分拡大図。
【図11】駆動カップリングと感光体ドラムの縦断面図の部分拡大図。
【図12】接続凸部と接続凹部を示す模式図。
【図13】駆動カップリングの動作とそれに伴って移動する帯電電極板の動作を模式的に示す平面方向の部分断面図。
【図14】装着同梱シーケンスの各ステップの動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0094】
1 プロセスカートリッジ
101 カートリッジカバー
11 感光体ドラム(電子写真感光体)
110 ドラムシリンダ
11a 導電性支持体
11b 電荷発生層
11c 電荷輸送層
111 ドラムシャフト
111a カップリング部
112 導通板
12 帯電ローラ(導電性部材)
121 帯電電極板(電極部材)
13 現像手段
131 現像ローラ(導電性部材)
132 現像ブレード
133 現像電極板(電極部材)
14 クリーニング手段
141 クリーニング部材
141a クリーニング支持板金
A 装置本体(画像形成装置本体)
400 カートリッジカバー
41 駆動カップリング
41a 連結部
41b 回転シャフト
42 帯電接点
43 現像接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を形成する電子写真方式の画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、
静電潜像を担持する電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の近傍に配置された導電性部材と、
前記電子写真感光体および前記導電性部材を電気的に短絡させた状態の第1位置と、前記電子写真感光体および前記導電性部材を電気的に開放した状態の第2位置との間を移動可能な電極部材と、
を有すること特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項2】
前記導電性部材が、前記電子写真感光体に作用するプロセス手段であることを特徴とする請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項3】
前記プロセス手段の少なくとも1つが、前記画像形成装置本体に備わるバイアス印加手段によって帯電バイアス電圧を印加されて前記電子写真感光体を帯電する帯電ローラであることを特徴とする請求項2に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項4】
前記プロセス手段の少なくとも1つが、前記画像形成装置本体に備わるバイアス印加手段によって現像バイアス電圧を印加されて前記電子写真感光体に作用する現像ローラであることを特徴とする請求項2に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項5】
前記電極部材が前記第2位置に位置するとき、前記電極部材を介して前記プロセス手段が前記バイアス印加手段に直接または間接的に電気的に接続されることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項6】
記録媒体に画像を形成する電子写真方式の画像形成装置本体にプロセスカートリッジを装着した状態で運搬可能な画像形成装置において、
静電潜像を担持する電子写真感光体と、前記電子写真感光体の近傍に配置された導電性部材と、前記電子写真感光体および前記導電性部材を電気的に短絡させた状態の第1位置と、前記電子写真感光体および前記導電性部材を電気的に開放した状態の第2位置との間を移動可能な電極部材と、を有するプロセスカートリッジと、
前記プロセスカートリッジを取り外し可能に装着する装着手段と、
を有し、
前記プロセスカートリッジは、前記電極部材が前記第1位置に位置した状態で運搬されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記電極部材は、前記画像形成部にて画像形成プロセスを行うときは、前記第2位置に位置することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−304173(P2007−304173A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−130170(P2006−130170)
【出願日】平成18年5月9日(2006.5.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】