説明

プロセスカートリッジ及び電子写真画像形成装置

【課題】 プロセスカートリッジが画像形成装置本体に装着されていない状態、及び、前記プロセスカートリッジが前記画像形成装置本体に装着した状態で運搬される際に、前記プロセスカートリッジの記憶素子を保護するプロセスカートリッジ及びこれを用いる画像形成装置を提供するものである。
【解決手段】 本体電気接点を有する装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、情報を記憶し、本体電気接点114aと電気的に接続する接点部を有する記憶手段115と、記憶手段115を保持する記憶手段保持部材116とを有し、記憶手段保持部材116は、プロセスカートリッジが装置本体に装着されていないときに記憶手段115を覆う第1の保持位置と、プロセスカートリッジが装置本体に装着されて画像形成をするときに接点部を本体電気接点114aと電気的に接続する第2の保持位置と、プロセスカートリッジが装置本体に装着されて運搬されるときに接点部を本体電気接点114aと電気的に接続しない第3の保持位置とに移動可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真画像形成に使用されるプロセスカートリッジ及び電子写真画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真画像形成プロセスを用いた電子写真画像形成装置においては、電子写真感光体ドラム及び前記電子写真感光体ドラムに作用するプロセス手段を一体的にカートリッジ化して、このカートリッジを画像形成装置本体に着脱可能とするプロセスカートリッジ方式が採用されている。このプロセスカートリッジ方式によれば、装置のメンテナンスをサービスマンによらずユーザ自身で行うことができるので、格段に操作性を向上させることができた。そのため、このプロセスカートリッジ方式は画像形成装置において広く用いられている。
【0003】
このようなプロセスカートリッジにおいて、記憶素子(記憶手段)を内蔵し、この記憶素子にサービス情報を登録することで、画像形成装置本体あるいはプロセスカートリッジのメンテナンスを容易にする方法が採られている(特許文献1)。
【0004】
また、これらの記憶素子において、画像形成装置本体側に設けられた、電気接点部を有する接続手段と電気的に接触して導通をとる接触型の場合、記憶素子の電気的、物理的な破損、導通不良を防止するために、プロセスカートリッジ単体の状態では記憶素子がプロセスカートリッジの筐体内部に退避している。そして、画像形成装置本体への装着時ないし画像形成装置本体の開閉カバーを閉じる動作、あるいは画像形成装置の駆動源が作動することに連動して記憶素子が筐体表面に移動し、画像形成装置本体の接点部と電気的接触が可能となる構成が提案されている(特許文献2)。
【0005】
一方、画像形成装置とプロセスカートリッジの輸送における梱包形態としては、画像形成装置本体とプロセスカートリッジを各々別の箱に梱包する形態、あるいはプロセスカートリッジを画像形成装置本体に未装着の状態で同一の箱に梱包するか、もしくはプロセスカートリッジを画像形成装置本体内に装着状態で梱包する形態がとられている。
【0006】
【特許文献1】特開2002−072782(第25頁、図37)
【特許文献2】特開2004−61596(第13頁〜第16頁、図2〜図14)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の接触型の記憶素子を用いた画像形成装置においては、装置本体内へのプロセスカートリッジ装着状態における記憶素子の位置は、画像形成装置本体の電気接点部と接触した状態にあるか、もしくはその近傍にある。このためプロセスカートリッジを画像形成装置本体内に装着同梱して輸送する場合には、記憶素子と本体電気接続手段とを確実に離間するための部材を設ける必要がある。従って、使用時にはユーザがこの離間部材を取り去った後で使用する必要が生じる。
【0008】
本発明は上記従来の技術をさらに発展させたものであり、その目的は、プロセスカートリッジが画像形成装置本体に装着されていない状態、及び、前記プロセスカートリッジが前記画像形成装置本体に装着した状態で運搬される際に、前記プロセスカートリッジの記憶手段を保護することができるプロセスカートリッジ及び電子写真画像形成装置を提供するものである。
【0009】
また本発明の他の目的は、前記プロセスカートリッジが前記画像形成装置本体に装着した状態で運搬される際に、記憶素子を保護するための保護部材をユーザが取り去ることなく前記プロセスカートリッジを使用可能とするプロセスカートリッジ及びこれを用いる電子写真画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明における代表的な手段は、本体電気接点を有する電子写真画像形成装置本体に着脱可能であり、前記画像形成装置本体に装着した状態で運搬可能なプロセスカートリッジにおいて、電子写真感光体ドラムと、前記電子写真感光体ドラムに作用するプロセス手段と、情報を記憶し、前記本体電気接点と電気的に接続する接点部を有する記憶手段と、前記記憶手段を保持する記憶手段保持部材と、を有し、前記記憶手段保持部材は、前記プロセスカートリッジが前記装置本体に装着されていないときに前記接点部を覆う第1の保持位置と、前記プロセスカートリッジが前記装置本体に装着されて画像形成をするときに前記接点部を前記本体電気接点と電気的に接続する第2の保持位置と、プロセスカートリッジが前記装置本体に装着されて運搬されるときに前記接点部を前記本体電気接点と電気的に接続しない第3の保持位置とに移動可能に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、プロセスカートリッジが画像形成装置本体に装着されていない状態においては記憶手段は記憶手段保持部材によて覆われているため、記憶手段は触れられることがなく保護される。
【0012】
また、前記プロセスカートリッジが前記画像形成装置本体に装着した状態で運搬される際においても、記憶手段が画像形成装置本体の電気接点部と電気的に接続しない位置となるように移動させることが可能であるため、プロセスカートリッジの画像形成装置本体内への装着同梱における輸送時にも記憶手段の保護が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
〔第1実施形態〕
次に本発明の一実施形態に係るプロセスカートリッジ及び該プロセスカートリッジを着脱可能な電子写真画像形成装置について図面を参照して説明する。
【0014】
なお、本実施形態において、電子写真方式の画像形成プロセスを用いて電子写真感光体に画像を形成する電子写真画像形成装置及びこれに取り外し可能に装着されるプロセスカートリッジを例示している。
【0015】
また、以下の説明において、プロセスカートリッジの長手方向とはプロセスカートリッジを電子写真画像形成装置本体(以下、単に「装置本体」という)に着脱する方向と交差する方向(略直交する方向)であり、記録媒体の搬送方向とは交差(略直交)している。また、プロセスカートリッジの上面とはプロセスカートリッジを装置本体へ装着した状態で上方に位置する面であり、下面とは下方に位置している面である。
【0016】
(電子写真画像形成装置の全体説明)
まず、電子写真画像形成装置の全体構成について説明する。
【0017】
尚、図1は本実施形態を適用可能なプロセスカートリッジを画像形成装置に装着した状態を示す概略図、図2は本実施形態を適用可能な電子写真画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
【0018】
本実施形態における電子写真画像形成装置は、図2に示すように、光学系1から画像情報に基づいたレーザー光像を照射してドラム形状の電子写真感光体である電子写真感光体ドラム7に現像剤tによる像を形成する。そして前記現像剤像の形成と同期して記録シート、OHPシート等の記録媒体2をカセット3aからピックアップローラ3b、搬送ローラ3c、及び、レジストローラ3d等からなる搬送手段3で搬送する。そして、プロセスカートリッジ(以下、単に「カートリッジ」という)Bにおいて前記感光体ドラム7に形成した現像剤像を転写手段としての転写ローラ4に電圧印加することによって記録媒体2に転写し、その記録媒体2をガイド板3eでガイドして定着手段5へと搬送する。この定着手段5は駆動ローラ5a及びヒータ5bを内蔵する定着ローラ5cからなり、通過する記録媒体2を排出する排出ローラ対3f,3gで搬送し、反転搬送路を通して排出部6へと排出するように構成している。尚、この画像形成装置は図示しない手差しトレイ及びローラによって手差し給送も可能である。
【0019】
(カートリッジの構成)
一方、カートリッジBは、電子写真感光体と、少なくとも1つのプロセス手段を備えたものである。ここで、プロセス手段としては、例えば電子写真感光体に帯電を行うための帯電手段、電子写真感光体に形成された静電潜像を現像する現像手段、電子写真感光体表面に残留する現像剤を除去してクリーニングするためのクリーニング手段等がある。
【0020】
本実施形態のカートリッジBは、図3に示すように、感光層を有する感光体ドラム7を回転してその表面を帯電手段としての帯電ローラ8によって一様に帯電する。そして、画像形成装置の光学系1からの光像をクリーニング枠体13の有する露光開口部9を介して感光体ドラム7に露光して静電潜像を形成する。そして次に、現像枠体15の有する現像手段10の現像剤規制部材(現像ブレード)18により現像ローラ10c上に均一な現像剤層を形成する。その後、その現像剤を前記潜像に応じて感光体ドラム7に転移させることによって前記潜像に応じた現像剤像を形成して可視像化する。そして転写ローラ4でその現像剤像を記録媒体2に転写した後は、クリーニング手段11のクリーニングブレード11aによって感光体ドラム7に残留した現像剤を除去して除去現像剤収納部11bへ集めるように構成している。
【0021】
またクリーニング枠体13には、図4に示すように、感光体ドラム7を保護する目的で保護シャッタ41が取り付けられている。この保護シャッタ41は、図4に示すように、カートリッジの非使用時には感光体ドラム7を覆い隠す保護位置と、図5で示すように、カートリッジの使用時には感光体ドラム7をカートリッジ表面に露出させる露出位置との間を回動可能に設けられている。
【0022】
そして、前記保護シャッタ41には後述する記憶手段115を有する記憶手段保持部材116がシャッタ軸41eに回動可能に取り付けられている。
【0023】
尚、前記カートリッジBは、現像剤収納部12a等を有する第1枠体である現像剤枠体(現像剤容器)12と、第2枠体である現像枠体(現像容器)15と、現像剤枠体12と現像枠体15の長手両端部に固定されている。そして、現像ローラ10c等の現像手段10を支持する端部部材81とで構成される現像ユニットuと、感光体ドラム7やクリーニング手段11等を有する第3枠体であるクリーニング枠体13とを一体に構成している。
【0024】
図6に示すように、端部部材81にはクリーニング枠体13に向かってアーム部21eが突出している。そして、アーム部21eの先端に設けた長手方向の結合穴21fとクリーニング枠体13に設けた不図示のピンによりクリーニング枠体13と端部部材21は回動可能に支持される。そして、アーム部21eの上のバネ止め21gに内径が嵌入する圧縮コイルバネ(不図示)がクリーニング枠体13との間に縮設され現像ローラ10c両側の隙間保持部材(不図示)と感光体ドラム7が圧接する。
【0025】
さらに、端部部材81の一方は、感光体ドラム7の端部に固定したドラムギア(不図示)に噛み合っている現像ローラ10cの端部に固定した現像ローラギアと、前記現像ローラ10cから現像剤搬送部材90(図3参照)の搬送ギア(不図示)に駆動を伝達するためのアイドラギア(不図示)と、を有するギアトレイン(不図示)を覆う。
【0026】
(保護シャッタと記憶手段保持部材の関係)
ここで、前述した保護シャッタ41と記憶手段保持部材116について、図7〜図9を用いて説明する。図7はカートリッジBが装置本体Aに装着されて画像形成をする際の状態を示す斜視図である。また、図8はカートリッジBが装置本体Aに装着されていない状態、図9はカートリッジBが装置本体Aに装着した状態で運搬される状態における保護シャッタ41と記憶手段保持部材116の位置関係を示す図である。
【0027】
本実施形態のカートリッジBにおいては、クリーニング枠体13に設けられた保護シャッタ41の回動中心となるシャッタ軸41eには記憶手段保持部材116が設けられている。保護シャッタ41はコイルバネ(第1付勢手段)41cにより前記露出位置から前記保護位置へと向かう方向へ付勢されている(図9の矢印a方向)。
【0028】
同様に記憶手段保持部材116はコイルバネ(第2付勢部材)41dにより保護シャッタ41と同方向に付勢されている(図9の矢印b方向)。そして、記憶手段保持部材116は突き当て部116bが保護シャッタ41に突き当たり、その回動が規制され保護シャッタ41に対する相対的な位置が決まる。しかし、付勢方向とは逆方向に外力を加えることにより、図9に示す位置へと回動可能になっている。
【0029】
また、この記憶手段保持部材116には記憶手段115が取り付けられており、カートリッジBが装置本体Aに装着されていない状態(カートリッジ単体の状態)においては、図3に示すように、記憶手段115は記憶手段保持部材116と保護シャッタ41の間にあって、記憶手段保持部材116により常に保護されている。なお、記憶手段保持部材116が保護シャッタ41側に倒れたとき、突き当て部116aがクリーニング枠体13に当接し、記憶手段115はクリーニング枠体13に当接しない。
【0030】
(記憶手段)
ここで記憶手段115の構成について説明を加える。図7に示すように、記憶手段115はプリント基板上に、具体的にはRAMやROM等のメモリチップ115aと複数の接点部115bが設られている。そして、このメモリチップ115aには、必要な情報を予め入力しておく。例えば、ロット番号、新品情報、現像剤の容量、画像形成のために必要な条件等である。そして、カートリッジBを装置本体Aに装着した際に、接続手段114と接続し(図1参照)、装置本体と前記情報をやりとりする。
【0031】
例えば、カートリッジの各プロセス設定条件等の初期値や使用状況等の状態を装置本体の制御基板に報知して画像形成動作に活用したり、装置本体にカートリッジの状態を表示しユーザに知らせるために使用される。
【0032】
接点部115bはメモリチップ115aと電気的に接続されているが、表面に金メッキ処理が施されている。よって、カートリッジBの外表面において外気にさらされていても電気的接触抵抗が上がってしまうことは無い。また、この記憶手段115の記憶手段保持部材116に対する取り付け方法としては、両面テープ、接着剤、熱かしめ等が適用可能である。
【0033】
(カートリッジのガイド手段の構成)
次に、カートリッジBを装置本体Aに着脱する際のガイド手段についての構成を、図4及び図5を用いて説明する。なお、図4はカートリッジBを装置本体Aに装着する方向(矢印P方向)に見た場合の左側の斜視図、図5はカートリッジBの装置本体Aへの挿入ガイドを示す。
【0034】
本実施形態のカートリッジBは、その長手方向の両外側面に、カートリッジBを装置本体Aのカートリッジ装着ガイドG1及びG2に着脱するときの被ガイド部が設けられている。この被ガイド部は、図5に示すように、円筒形状部を有する第1被ガイド部13aと、第2被ガイド部13bとにより構成されている。
【0035】
前記第1被ガイド部13aは、円筒形状部を有し、クリーニング枠体13の側面に、感光体ドラム7の軸線7a(図3参照)と同軸に外方へ突出している。そして、この円筒状部材は、感光体ドラム7を支持しているドラム軸7bを回転しないように支持している。
【0036】
第2被ガイド部13bは、現像枠体15とクリーニング枠体13の連続する側面に跨がるように配設されている。ここで、前記第1被ガイド部13a及び第2被ガイド部13bはともにクリーニング枠体13に一体に形成されている。
【0037】
前記第2被ガイド部13bは、カートリッジBの挿入方向(矢印P方向)に延設されている。そして、その傾きはカートリッジBの挿入角度とおおよそ同一角度となるように設定されている。従って、第1被ガイド部13aを有するクリーニング枠体13は、カートリッジBを装置本体Aに装着した際に、カートリッジ装着ガイドG1に入り込んだ第1被ガイド部13aがクリーニング枠体13を、詳しくはクリーニング枠体13に保持された感光体ドラム7を装置本体Aに位置決めする。そして、第2被ガイド部13bが装着ガイドG2により規制されカートリッジBの姿勢が決まる。
【0038】
また、第2被ガイド部13bはカートリッジ挿入方向に延設され、第1被ガイド部材13aの上方に配設されている。なお、上記第1被ガイド部13a、第2被ガイド部13bは図4に示すカートリッジBの側面とは反対側の側面にも略同一形状、略同一位置で配設されている(各々13c,13d、図7参照)。そして、これらの2つのガイド部はクリーニング枠体13の外側平面から略同じ高さで突出している。
【0039】
また、図5に示すように、装着ガイドG1の挿入軌跡終点部にはボス31とバネ押さえ部32a及び32bに係合されたコイルバネ33が設けられている。装着完了直前で第1被ガイド部13aがコイルバネ33を押し上げ、そのバネ力で第1被ガイド部13aが付勢される。ことによりカートリッジ装着軌跡の終点においてカートリッジBを固定し、抜け止めとして機能し、かつコイルバネ33を押し上げる動作でユーザに装着クリック感を与えこの位置で装着完了であることを容易に知らせる機能も兼ねている。
【0040】
(保護シャッタ及び記憶手段保持部材の開閉動作)
次に図1、図2及び図10〜図14を用いて保護シャッタ41及び記憶手段保持部材116の開閉動作について説明する。
【0041】
カートリッジBの挿入状態としては図10が挿入初期状態であり、その後、図11、図12、図13の順で挿入動作が続く状態が示してある。そして、最終的に図2がカートリッジBの装着動作が完了した状態、つまり装着状態である。また、図1はカートリッジ装着状態における装置本体の接続手段114と、カートリッジBの記憶手段115との接続状態を示す。
【0042】
まず、カートリッジBが装置本体Aに装着されていないときは、記憶手段保持部材116は第2付勢部材41dの付勢により、図3に示すように、突き当て部116aがクリーニング枠体13に当接するまで倒れ、記憶手段115を覆う位置(第1の保持位置)にある。また、保護シャッタ41は感光体ドラム7を保護する保護位置にある。このカートリッジBを画像形成のために装置本体Aに装着すると、図10に始まるカートリッジBの装着動作に伴って保護シャッタ41と記憶手段保持部材116とが回動移動する。
【0043】
すなわち、図10に示すように、カートリッジBを装置本体Aに挿入していくと、保護シャッタ41の係合部である突起部41aが装置本体Aの光学台1aに突き当たり(以下、図11〜図13、図2においては光学台1aの、突起部41aの突き当て部は不図示)、図11に示すように、保護シャッタ41がカートリッジBの上方に回動する。それに伴って、保護シャッタ41と一体的に回動可能に構成されている記憶手段保持部材116もシャッタ軸41eを中心にカートリッジB上方に回動することとなる。
【0044】
そして、光学台1aによって開いた状態の保護シャッタ41は、図7に示した保護シャッタ41のシャッタ軸41e近傍に設けられた係合部41bが、図5に示した装着ガイドG3に受け渡されることで装着状態までガイドされる。
【0045】
記憶手段保持部材116は、図11〜図13に示すように、装着動作が進むにつれて突き当て部116aが、装置本体Aに設けられた接続手段114のガイド部114bに突き当たる。そして、記憶手段115がカートリッジ外面へ露出させる方向へさらに回動する。ここで、保護シャッタ41を付勢する第1付勢部材41cと、記憶手段保持部材116を付勢する第2付勢部材41d(図8参照)の付勢力の関係は、第2付勢部材41dの方が弱く設定されている。このため、記憶手段保持部材116が接続手段114に突き当たった後は、記憶手段保持部材116は保護シャッタ41と相対的に回動する。
【0046】
つまり、保護シャッタ41は前述のように係合部41bが装着ガイドG3によりガイドされることで装着姿勢が規制される。一方、記憶手段保持部材116は接続手段114に突き当り規制される。そして、最終的に、図2に示すように、記憶手段115と接続手段114の電気接点部114a(本体電気接点)が接続された状態の位置(第2の保持位置)となる。このとき、図1に示すように記憶手段保持部材116の突き当て部116aは接続手段114のガイド部114bから完全に離れている。そして、接続状態としては接続手段114の電気接点部114aと記憶手段115の接点部115bでのみ接触した状態となっている。
【0047】
つまり、装置本体Aに固定された接続手段114の電気接点部114aに対して、カートリッジBに回動可能に構成されている記憶手段保持部材116に保持された記憶手段115が、記憶手段保持部材116を付勢している第2付勢部材41dにより付勢され、弾性的に追随して接触し、接続された状態となっている。
【0048】
従って、カートリッジBに記憶手段115が固定されている場合と比較し、装置本体側に弾性的に記憶手段115の接点部115aに接触するための構成、あるいは駆動手段等を設けなくてもよい。このため、装置本体の構成をシンプルにすることができる。
【0049】
また、初期状態において記憶手段保持部材116はカートリッジBの外表面に沿う形で位置している。よって、装着状態において、記憶手段115が接続手段114の電気接点部114aに接触するためには、広角度に回動して記憶手段115を露出させる必要がある。このため記憶手段保持部材116の装着動作としては、保護シャッタ41と一体的に回動した後、接続手段114のガイド部114bに突き当たり、さらに回動するように、2段階の回動動作で装着位置まで開くように構成している。
【0050】
なお、本実施形態においては、記憶手段保持部材116は、保護シャッタ41と同じ回転軸を中心に回動するように構成した。これにより、保護シャッタ41の回動と一体的に記憶手段保持部材116を回動させることが可能となる。もっとも、記憶手段保持部材116が保護シャッタ41に回動軌跡の途中まで移動されるように構成してあれば、保護シャッタ41と同軸でなくてもよい。
【0051】
(装着同梱)
本実施形態のカートリッジBは出荷に際して装置本体内に装着した状態で運搬することができる。ここで、本実施形態のカートリッジBにおける装置本体Aとともに運搬可能な形態(装着同梱形態)を説明する。
【0052】
図14に示した状態は、カートリッジBが装置本体Aに装着されていない状態である。保護シャッタ41は、回動中心であるシャッタ軸41eを軸として、カートリッジBの長手方向に移動可能に構成されている。この図14に示す保護シャッタ41が第1の支持位置にある状態である。
【0053】
図15に移動後のカートリッジBの状態を示す。移動量としては突起部41a一個分程度であり、その移動は保護シャッタ41の突き当て部41fがクリーニング枠体13に突き当たることで規制される。この位置が運搬可能位置(装着同梱位置)となる。このときの保護シャッタ41が第2の支持位置にある状態である。
【0054】
一方、保護シャッタ41を感光体ドラム7の露出位置から保護位置へと向かう方向へ付勢している第1付勢部材41cは、上述した同梱位置から図14に示す位置(第1の支持位置)へと長手方向(矢印c方向)にも付勢する役割も兼ねている。
【0055】
このように構成されたカートリッジBを装着同梱時に装置本体に装着する際には、図15に示すように、突き当て部41fがクリーニング枠体13に突き当たるまで突起部41aを矢印d方向へ移動させる(第2の支持位置)。そして、図16に示すように、移動した突起部41aの位置に合致するように画像形成装置の光学台1aに形成された溝部1bに、保護シャッタ41の突起部41aを合わせて挿入する。溝部1bはカートリッジの挿入方向に略平行に設けられている。このため、保護シャッタ41はカートリッジBが装着状態になっても図15に示した同梱位置に保持される。
【0056】
つまり、保護シャッタ41が閉じたまま装置本体へと挿入可能な構成となっている。従って、保護シャッタ41に一体的に設けられている記憶手段保持部材116も記憶手段115を閉じた状態で装着可能となる。すなわち、図17で示すように、カートリッジBの装着状態においても記憶手段保持部材116が記憶手段115を覆う位置(第3の保持位置)にあるため、記憶手段115が接続手段114に接触しない状態となる。これが本実施形態におけるカートリッジBの装置本体への装着同梱状態である。この状態では記憶手段保持部材116に覆われて記憶手段115は露出しない。このため、記憶手段115のメモリチップ115aや接点部115bが保護される。
【0057】
また、ユーザが前記同梱状態から装置本体Aを使用する際には、カートリッジBを使用可能な状態にするために、装置本体の開閉カバーCを開けて一旦カートリッジBを装置本体から取り出す。そして、図4に示す把手部251を引いて現像剤収納部12a内のトナーを密封している現像剤シール部材23を引はがす。
【0058】
ここで、カートリッジBを装置本体から引き抜くと、光学台1aの溝部1bから保護シャッタ41の突起部41aが外れる。このため、保護シャッタ41が第1付勢部材41cの付勢によって同梱状態から通常の保護位置へと移動する(図14の矢印c方向)。
【0059】
従って、ユーザが現像剤シール部材23を引抜くためにカートリッジBを装置本体Aから一度取り出す動作に同期して保護シャッタ41が通常の保護位置へと戻る。よって、再度装置本体AにカートリッジBを装着するときは突起部41aが光学台1aに突き当たり、カートリッジBが装着位置まで挿入されたときには記憶手段が接続手段114と接触可能となる。つまりユーザが記憶手段115を保護するための部材を取り去る等の必要がない。
【0060】
〔他の実施形態〕
上述した実施形態で示したカートリッジBにおいては、電子写真感光体としては、前記感光体ドラム7に限定されることなく、例えば次のものも含まれる。先ず、感光体としては光導電体が用いられ、光導電体としては例えばアモルファスシリコン、アモルファスセレン、酸化亜鉛、酸化チタン及び有機光導電体(OPC)等が含まれる。また感光体を搭載する形状としては、例えばドラム形状のものが用いられており、アルミ合金等のシリンダ上に光導電体を蒸着或いは塗工等を行ったものが用いられる。
【0061】
また現像方法としても、公知の2成分磁気ブラシ現像法、カスケード現像法、タッチダウン現像法、クラウド現像法等の種々の現像法を用いることが可能である。
【0062】
また、帯電手段の構成も、前述した実施形態ではいわゆる接触帯電方法を用いたが、他の構成として従来から用いられているタングステンワイヤーの三方周囲にアルミ等の金属シールドを施し、前記タングステンワイヤーに高電圧を印加することによって生じた正または負のイオンを感光体ドラムの表面に移動させ、該ドラム表面を一様に帯電する構成を用いても良いことは当然である。
【0063】
また、感光体ドラムに残存する現像剤のクリーニング方法としても、ブレード、ファーブラシ、磁気ブラシ等を用いてクリーニング手段を構成しても良い。
【0064】
また、前述したカートリッジとは、例えば電子写真感光体と、少なくともプロセス手段の1つを備えたものである。従って、そのカートリッジの態様としては、前述した実施形態のもの以外にも、例えば電子写真感光体と、帯電手段とを一体的にカートリッジ化し、装置本体に着脱可能とするもの。電子写真感光体と現像手段とを一体的にカートリッジ化し、装置本体に着脱可能にするもの。電子写真感光体とクリーニング手段とを一体的にカートリッジ化し、装置本体に着脱可能にするもの。更には電子写真感光体と、前記プロセス手段の2つ以上のものを組み合わせて一体的にカートリッジ化し、装置本体に着脱可能にするもの等がある。
【0065】
即ち、前述したカートリッジとは、帯電手段、現像手段又はクリーニング手段と電子写真感光体とを一体的にカートリッジ化し、このカートリッジを装置本体に対して着脱可能とするものである。及び帯電手段、現像手段、クリーニング手段の少なくとも一つと電子写真感光体とを一体的にカートリッジ化して装置本体に着脱可能とするものである。更に少なくとも現像手段と電子写真感光体とを一体的にカートリッジ化して装置本体に着脱可能とするものをいう。そして、このカートリッジは、ユーザ自身が装置本体に着脱することができるため装置本体のメンテナンスを使用者自身で行うことができる。
【0066】
更に、前述した実施形態では、電子写真画像形成装置としてレーザープリンタを例示したが、本発明はこれに限定する必要はなく、例えば電子写真複写機、ファクシミリ装置、或いはワードプロセッサー等の他の電子写真画像形成装置に使用することも当然可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本実施形態を適用可能なカートリッジの記憶手段と装置本体の接続手段との接続状態を示す概略図である。
【図2】本実施形態を適用可能な電子写真画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
【図3】本実施形態を適用可能なカートリッジの全体構成を示す概略図である。
【図4】本実施形態を適用可能なカートリッジの外観を示す概略斜視図である。
【図5】本実施形態に適用可能な装置本体のカートリッジ装着ガイドを示す概略図である。
【図6】本実施形態を適用可能なカートリッジの端部部材を示す概略斜視図である。
【図7】本実施形態を適用可能なカートリッジの概略斜視図である。
【図8】本実施形態を適用可能な保護シャッタと記憶手段保持部材を示す概略図である。
【図9】本実施形態を適用可能な保護シャッタと記憶手段保持部材を示す概略図である。
【図10】本実施形態を適用可能なカートリッジを装置本体へ装着する挿入軌跡を示す概略図である。
【図11】本実施形態を適用可能なカートリッジを装置本体へ装着する挿入軌跡を示す概略図である。
【図12】本実施形態を適用可能なカートリッジを装置本体へ装着する挿入軌跡を示す概略図である。
【図13】本実施形態を適用可能なカートリッジを装置本体へ装着する挿入軌跡を示す概略図である。
【図14】本実施形態を適用可能なカートリッジを示す概略図である。
【図15】本実施形態を適用可能なカートリッジを示す概略図である。
【図16】本実施形態を適用可能なカートリッジを示す概略図である。
【図17】本実施形態を適用可能なカートリッジを画像形成装置に装着同梱した状態を示す概略図である。
【符号の説明】
【0068】
A …装置本体
B …カートリッジ
G1,G2,G3 …装着ガイド
1a …光学台
1b …溝部
7 …感光体ドラム
7a …軸線
7b …ドラム軸
10 …現像手段
10c …現像ローラ
12 …現像剤枠体
13 …クリーニング枠体
13a …第1被ガイド部
13b …第2被ガイド部
15 …現像枠体
21 …端部部材
41 …保護シャッタ
41a …突起部
41b …係合部
41c …第1付勢部材
41d …第2付勢部材
41e …シャッタ軸
41f …突き当て部
81 …端部部材
114 …接続手段
114a …電気接点部
114b …ガイド部
115 …記憶手段
115a …メモリチップ
115b …接点部
116 …記憶手段保持部材
116a …突き当て部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体電気接点を有する電子写真画像形成装置本体に着脱可能であり、前記画像形成装置本体に装着した状態で運搬可能なプロセスカートリッジにおいて、
電子写真感光体ドラムと、
前記電子写真感光体ドラムに作用するプロセス手段と、
情報を記憶し、前記本体電気接点と電気的に接続する接点部を有する記憶手段と、
前記記憶手段を保持する記憶手段保持部材と、
を有し、
前記記憶手段保持部材は、前記プロセスカートリッジが前記装置本体に装着されていないときに前記接点部を覆う第1の保持位置と、前記プロセスカートリッジが前記装置本体に装着されて画像形成をするときに前記接点部を前記本体電気接点と電気的に接続する第2の保持位置と、プロセスカートリッジが前記装置本体に装着されて運搬されるときに前記接点部を前記本体電気接点と電気的に接続しない第3の保持位置とに移動可能に構成されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項2】
前記プロセスカートリッジは、前記感光体ドラムを保護する保護位置と、前記感光体ドラムを露出する露出位置とに移動可能な保護シャッタを有し、
前記プロセスカートリッジが前記装置本体に装着されて画像形成をするときに、前記保護シャッタが前記保護位置から前記露出位置へ移動するのに連動して、前記記憶手段保持部材は、前記第1の保持位置から前記第2の保持位置へ移動することを特徴とする請求項1記載のプロセスカートリッジ。
【請求項3】
前記保護シャッタは回転軸を中心に回動可能であり、前記記憶手段保持部材は前記回転軸と同軸で回動可能であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項4】
更に前記プロセスカートリッジは、
前記記憶手段保持部材を前記第1の保持位置へ移動する方向に付勢する付勢手段であって、前記第2の保持位置において、前記接点部と前記本体電気接点とが接触する方向へ前記記憶手段保持部材を付勢する付勢手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
【請求項5】
前記保護シャッタは、前記電子写真感光体ドラムの長手方向において第1の支持位置と第2の支持位置とに移動可能であり、
前記保護シャッタが前記第1の支持位置にあるときに前記プロセスカートリッジを前記装置本体に装着したときは前記保護シャッタの係合部が前記装置本体と係合して前記保護シャッタが前記露出位置へと移動するとともに、前記記憶手段保持部材が前記第2の保持位置に移動し、
前記保護シャッタが前記第2の支持位置にあるときに前記プロセスカートリッジを前記装置本体に装着したときは前記保護シャッタの係合部が前記装置本体と係合せず前記保護シャッタが前記保護位置にあるとともに、前記記憶手段保持部材が前記第3の保持位置をとる ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
【請求項6】
前記第3の保持位置では、前記記憶手段保持部材が前記接点部を覆う位置であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
【請求項7】
電子写真画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジを着脱した状態で運搬可能であって、記録媒体に記録する電子写真画像形成装置において、
(1)本体電気接点と、
(2)電子写真感光体ドラムと、前記電子写真感光体ドラムに作用するプロセス手段と、情報を記憶し、前記本体電気接点と電気的に接続する接点部を有する記憶手段と、前記記憶手段を保持する記憶手段保持部材と、を有し、前記記憶手段保持部材は、前記プロセスカートリッジが前記装置本体に装着されていないときに前記接点部を覆う第1の保持位置と、前記プロセスカートリッジが前記装置本体に装着されて画像形成をするときに前記接点部を前記本体電気接点と電気的に接続する第2の保持位置と、プロセスカートリッジが前記装置本体に装着されて運搬されるときに前記接点部を前記本体電気接点と電気的に接続しない第3の保持位置とに移動可能に構成されているプロセスカートリッジを、取り外し可能に装着する装着手段と、
(3)前記記録媒体を搬送する搬送手段と、
を有することを特徴とする電子写真画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−119467(P2006−119467A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−308639(P2004−308639)
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】