説明

プロセスカートリッジ

【課題】現像液により画像形成を行う画像形成装置において、感光体や現像ローラ、クリーニング部材を容易かつまとめて交換可能な構成を実現する。
【解決手段】プロセスカートリッジ50は、静電潜像が形成される感光体ドラム101と、キャリア液に現像剤粒子を混合させてなる現像液を表面に担持して感光体ドラム101に供給する現像ローラ205と、感光体ドラム101に摺接して感光体ドラム101上の現像液を回収する第1クリーニングブレード103と、現像ローラ205に摺接して現像ローラ205上の現像液を回収する第2クリーニングブレード207と、現像ローラ205の表面に担持される現像液を外部から供給するための供給口215と、現像液を外部に排出するための廃棄口116および回収口216とを備えている。プロセスカートリッジ50は、現像液により画像形成を行う画像形成装置の装置本体に対して着脱可能に装着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、トナー粒子とキャリア液からなる現像液(液体現像剤)により画像形成を行う画像形成装置が知られている。例えば、特許文献1に開示された画像形成装置では、現像液は、供給ローラから現像ローラに供給され、さらに静電潜像が形成された感光体ドラムに供給されてトナー像を形成する。その後、トナー像が感光体ドラムから中間転写ベルトを介して用紙に転写されることで用紙に画像が形成される。
【0003】
また、特許文献1には、感光体ドラムや現像ローラ、供給ローラなどを有する画像形成ユニットに対して濃度調整機構から所定の濃度に調整された現像液が供給されるとともに、画像形成ユニットで回収した現像液を濃度調整機構に戻して再利用する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−268917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような画像形成装置では、感光体ドラムや現像ローラの表面に残留した現像液をクリーニング部材(クリーニングブレード)によって回収しているので、印字枚数が増えるにしたがってこれらの部材が摩耗・劣化するため、交換する必要があった。しかしながら、従来のこの種の画像形成装置では、一般に、専門の技術者に依頼した上で、装置を分解して部品を1つずつ交換する必要があったので、容易に交換することができないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、現像液により画像形成を行う画像形成装置において、感光体や現像ローラ、クリーニング部材を容易かつまとめて交換可能な構成を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した目的を達成するための本発明は、プロセスカートリッジであって、静電潜像が形成される感光体と、キャリア液に現像剤粒子を混合させてなる現像液を表面に担持して前記感光体に供給する現像ローラと、前記感光体に摺接して前記感光体上の現像液を回収する第1クリーニング部材と、前記現像ローラに摺接して前記現像ローラ上の現像液を回収する第2クリーニング部材と、前記現像ローラの表面に担持される現像液を外部から供給するための供給口と、現像液を外部に排出するための少なくとも1つの排出口とを備え、現像液により画像形成を行う画像形成装置の装置本体に対して着脱可能に装着されることを特徴とする。
【0008】
このように構成されたプロセスカートリッジによれば、感光体、現像ローラおよびクリーニング部材を備え、画像形成装置の装置本体に対して着脱可能に装着されるので、感光体や現像ローラ、クリーニング部材を容易かつまとめて交換可能な構成を実現することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、プロセスカートリッジが、感光体、現像ローラおよびクリーニング部材を備え、画像形成装置の装置本体に対して着脱可能に装着されるので、感光体や現像ローラ、クリーニング部材を容易かつまとめて交換可能な構成を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係るプロセスカートリッジが装着されたカラープリンタの断面図である。
【図2】プロセスカートリッジ、濃度調整ユニットおよび各タンクを示す概略図である。
【図3】本体筐体に装着した状態のプロセスカートリッジの断面図である。
【図4】感光体ドラムとカラーが取り付けられた現像ローラの斜視図である。
【図5】プロセスカートリッジを本体筐体に装着する途中の断面図である。
【図6】プロセスカートリッジを本体筐体に装着する動作の説明図(a),(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<カラープリンタの全体構成>
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明において、方向は、カラープリンタを使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1における右側を「前」、左側を「後」とし、手前側を「左」、奥側を「右」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
【0012】
図1および図2に示すように、画像形成装置の一例としてのカラープリンタ1は、装置本体の一例としての本体筐体10内に、給紙ユニット30と、露光部材の一例としての4つのLEDユニット40と、4つのプロセスカートリッジ50と、転写ユニット60と、定着ユニット70と、4つの濃度調整ユニット80と、4つの現像液タンクT1と、キャリア液タンクT2と、廃現像液タンクT3とを主に備えている。
【0013】
図1に示すように、本体筐体10の上部には、本体筐体10から排出された用紙Sが載置・積層される排紙トレイ12が設けられている。また、本体筐体10の上部は、後側を中心として上下に回動(開閉)可能なアッパーカバー11となっており、転写ユニット60および定着ユニット70を支持している。このアッパーカバー11の前側を持ち上げて開くことで、プロセスカートリッジ50を外部に露出させることができる。
【0014】
給紙ユニット30は、本体筐体10内の下部に設けられ、用紙Sを収容する給紙トレイ31と、給紙トレイ31から用紙Sを転写位置(中間転写ベルト63と2次転写ローラ65との間)に搬送する給紙機構32とを主に備えている。給紙トレイ31内の用紙Sは、給紙機構32によって1枚ずつ分離されて転写位置に搬送される。
【0015】
LEDユニット40は、感光体ドラム101(感光体)の下方に対向して配置され、先端に図示しない複数の発光部(LED)が感光体ドラム101の軸方向(左右方向)に配列されている。このLEDユニット40は、画像データに基づいて発光部を明滅させることで、感光体ドラム101の表面を露光する。
【0016】
プロセスカートリッジ50は、給紙ユニット30の上方で前後に並んで配置され、感光体の一例としての感光体ドラム101と、第1帯電器102と、現像液を貯溜する現像液貯溜部201と、供給ローラ202と、中間ローラ203と、現像ローラ205とを主に備えている。本実施形態の現像液は、トナー粒子(現像剤粒子)を不揮発性のキャリア液に混合したものである。また、各プロセスカートリッジ50は、現像液貯溜部201に貯溜される現像液中のトナー粒子の色が相違するのみであり、構成は略同一である。プロセスカートリッジ50の詳細な構成については後述する。
【0017】
転写ユニット60は、プロセスカートリッジ50の上方に設けられ、駆動ローラ61と、従動ローラ62と、駆動ローラ61および従動ローラ62の間に張設された無端状の中間転写ベルト63と、中間転写ベルト63を介して感光体ドラム101と対向配置された4つの1次転写ローラ64と、中間転写ベルト63を介して駆動ローラ61と対向配置された2次転写ローラ65とを主に備えている。
【0018】
このようなプロセスカートリッジ50および転写ユニット60では、感光体ドラム101の表面が、第1帯電器102により一様に帯電された後、LEDユニット40によって露光されることで、感光体ドラム101上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、現像液貯溜部201内の現像液は、供給ローラ202および中間ローラ203を介して現像ローラ205に供給され、現像ローラ205の表面に担持される。
【0019】
現像ローラ205の表面に担持された現像液(トナー粒子)は、現像ローラ205から感光体ドラム101上の静電潜像に供給される。これにより、静電潜像が可視像化されて感光体ドラム101上にトナー像が形成される。各感光体ドラム101上に形成された各色のトナー像は、中間転写ベルト63上に順次重ね合わせて転写される。そして、給紙ユニット30から搬送された用紙Sが、中間転写ベルト63と2次転写ローラ65の間の転写位置を通過することで、中間転写ベルト63上のトナー像が用紙Sに転写される。
【0020】
定着ユニット70は、転写ユニット60の後側上方に設けられ、加熱ローラ71と、加熱ローラ71と対向配置されて加熱ローラ71を押圧する加圧ローラ72と、定着後の用紙Sを本体筐体10の外部に排出する排出ローラ73とを備えている。定着ユニット70では、トナー像が転写された用紙Sが、加熱ローラ71と加圧ローラ72との間を通過することでトナー像が熱定着され、排出ローラ73によって本体筐体10の外部に排出されて排紙トレイ12上に載置・積層される。
【0021】
図2に示すように、濃度調整ユニット80は、各プロセスカートリッジ50の左方にそれぞれ設けられ、公知の方法によってプロセスカートリッジ50(現像液貯溜部201)に供給される現像液の濃度を所定の濃度に調整する。ここで、現像液の濃度とは、キャリア液に対するトナー粒子の重量比率を指し、現像液の濃度が高いほどキャリア液に対するトナー粒子の重量比率が大きいことを意味する。
【0022】
ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色に対応した4つの現像液タンクT1、1つのキャリア液タンクT2および1つの廃現像液タンクT3は、本体筐体10内の前部で左右に並んで配置されている。現像液タンクT1には現像液貯溜部201に貯留される現像液より高濃度の現像液が収容されており、キャリア液タンクT2にはキャリア液が収容されている。また、廃現像液タンクT3にはプロセスカートリッジ50(感光体ドラム101)から回収された現像液が貯溜される。
【0023】
各濃度調整ユニット80では、濃度調整槽81内において、現像液タンクT1から供給される現像液と、キャリア液タンクT2から供給されるキャリア液とを混合させて所定の濃度の現像液を調整する。そして、濃度調整後の現像液は、供給経路83を介して現像液貯溜部201内に供給されて画像形成に使用される。ここで、図2に符号「89」で示すのは、液体(現像液またはキャリア液)を搬送するための公知のポンプである。
【0024】
なお、図2では、1つのプロセスカートリッジ50と、それに対応した濃度調整ユニット80および現像液タンクT1を図示しているが、他の3つのプロセスカートリッジ50についても同様に濃度調整ユニット80と現像液タンクT1が対応して設けられている。また、キャリア液タンクT2は、各濃度調整ユニット80に対して共通である。
【0025】
本実施形態において、感光体ドラム101に供給されなかった現像ローラ205上の現像液(現像ローラ205上に残留した現像液)は、回収されて回収経路84を介して濃度調整槽81に戻され、再利用される。したがって、濃度調整ユニット80では、詳細には、現像ローラ205上から回収された現像液と、現像液タンクT1からの現像液と、キャリア液とから所定の濃度の現像液を調整している。
【0026】
また、本実施形態において、中間転写ベルト63に移動しなかった感光体ドラム101上の現像液(感光体ドラム101上に残留した現像液)は、回収されて廃棄経路85を介して廃現像液タンクT3に貯溜される。感光体ドラム101上から回収された現像液には、中間転写ベルト63に付着していた異なる色のトナー粒子や用紙Sの紙粉などが含まれることがあるので、再利用が容易でないからである。感光体ドラム101および現像ローラ205から現像液を回収するための構成については後述する。
【0027】
なお、現像液タンクT1、キャリア液タンクT2および廃現像液タンクT3は、本体筐体10に固定されていてもよいし、本体筐体10に対して着脱可能に構成されていてもよい。ちなみに、廃現像液タンクT3に貯溜された現像液は最終的に廃棄するので、廃棄を容易に行うという観点から、少なくとも廃現像液タンクT3は本体筐体10に対して着脱可能に構成されていることが望ましい。
【0028】
現像液タンクT1への現像液の供給およびキャリア液タンクT2へのキャリア液の供給は、現像液またはキャリア液を各タンクに直接供給する方式を採用してもよいし、着脱可能な各タンクを新しいタンクに交換する方式を採用してもよい。また、感光体ドラム101上から回収された現像液を廃現像液タンクT3に効率的に搬送するため、廃棄経路85にポンプを設けてもよい。
【0029】
<プロセスカートリッジの詳細構成>
次に、プロセスカートリッジ50の詳細な構成ついて説明する。
プロセスカートリッジ50は、アッパーカバー11を開いた状態の本体筐体10に対して上下に着脱可能に装着される構成となっている。より詳細には、プロセスカートリッジ50は、本体筐体10に下方(本体筐体10に装着された位置)から上方に向けて取り外され、本体筐体10に上方から下方に向けて装着されるように構成されている(図5参照)。
【0030】
ここで、以下の説明において、プロセスカートリッジ50についての上下は、プロセスカートリッジ50を本体筐体10に装着するときの姿勢を基準とする。
図3に示すように、プロセスカートリッジ50は、感光体ユニット100と、現像ユニット200とから構成されている。
【0031】
[感光体ユニットの構成]
感光体ユニット100は、感光体フレーム110内に、感光体ドラム101と、第1帯電器102と、第1クリーニング部材の一例としての第1クリーニングブレード103とを主に備えている。
【0032】
感光体ドラム101は、導電性を有する円筒状のドラム本体の表面(外周面)に感光層が形成されて構成され、LEDユニット40によって露光されることで表面に静電潜像が形成される。そして、この静電潜像に現像ローラ205から現像液(トナー粒子)が供給されることで可視像化されて、トナー像が形成される。
【0033】
第1帯電器102は、感光体ドラム101と接触しないように所定間隔を隔てて対向して配置され、感光体ドラム101に電界を印加することによって感光体ドラム101の表面を一様に帯電させるように構成されている。
【0034】
第1クリーニングブレード103は、感光体ドラム101と中間転写ベルト63とが接触する位置より、感光体ドラム101の回転方向下流側で摺接するように配置されている。この第1クリーニングブレード103は、回転する感光体ドラム101に摺接して感光体ドラム101上の現像液を掻き取って回収する。回収された現像液は、後述する廃棄口116と廃棄経路85を通って廃現像液タンクT3に貯溜される。
【0035】
感光体フレーム110は、感光体ドラム101や第1クリーニングブレード103などを支持するフレームである。なお、感光体ドラム101は、回転軸104の両端が感光体フレーム110の側面から外部に突出するように支持されている。この感光体フレーム110の下面(本体筐体10に装着するときに下方を向く面)には、廃棄部111と固定突部112とが設けられている。
【0036】
廃棄部111は、本体筐体10に設けられた廃棄経路85の連結部85Aに対して上下に着脱可能に装着される部分であり、その内部が、下方に向けて開口し、第1クリーニングブレード103で回収した現像液を外部に排出する第1排出口(排出口)の一例としての廃棄口116となっている。この廃棄部111には、現像液漏れを防ぐため、連結部85Aと連結したときに廃棄口116を連通状態とし、連結部85Aから外れたときに廃棄口116を遮断状態とする公知の弁が設けられている(図示省略)。
【0037】
固定突部112は、感光体フレーム110の下面から下方に向けて突出するように設けられており、プロセスカートリッジ50が本体筐体10に装着されたときに、本体筐体10内に設けられた固定凹部15に嵌合する部分である。この固定突部112が固定凹部15に嵌合することで、感光体フレーム110(感光体ユニット100)が本体筐体10に固定される。
【0038】
[現像ユニットの構成]
現像ユニット200は、現像フレーム210内に、現像液貯溜部201と、供給ローラ202と、中間ローラ203と、液量規制ブレード204と、現像ローラ205と、第2帯電器206と、第2クリーニング部材の一例としての第2クリーニングブレード207とを主に備えている。
【0039】
現像液貯溜部201は、現像フレーム210の一部を構成する容器であり、内部に濃度調整ユニット80から供給された現像液が貯溜される。
供給ローラ202は、回転することで、現像液貯溜部201に貯留された現像液を表面に担持して中間ローラ203に供給する金属製のローラである。
【0040】
中間ローラ203(アニロックスローラとも呼ばれる。)は、表面に形成された溝に所定量の現像液を担持可能に構成された金属製のローラである。この中間ローラ203を介して現像ローラ205に現像液を供給することで、現像ローラ205への現像液の供給量を均一に保つことができる。
【0041】
液量規制ブレード204は、供給ローラ202と中間ローラ203とが接触する位置より中間ローラ203の回転方向下流側で摺接するように配置されている。この液量規制ブレード204は、回転する中間ローラ203に摺接することで、中間ローラ203の表面に付着した現像液を擦り切る。
【0042】
現像ローラ205は、中間ローラ203から供給された現像液を表面に担持して、現像液(トナー粒子)を感光体ドラム101上に形成された静電潜像に供給することで、感光体ドラム101上にトナー像を形成する。
【0043】
第2帯電器206は、現像ローラ205と接触しないように所定間隔を隔てて対向して配置され、現像ローラ205に電界を印加することによって、現像液中のトナー粒子を現像ローラ205の表面に押し付けるように構成されている。
【0044】
第2クリーニングブレード207は、感光体ドラム101と現像ローラ205とが接触する位置より現像ローラ205の回転方向下流側で摺接するように配置されている。この第2クリーニングブレード207は、回転する現像ローラ205に摺接して現像ローラ205上の現像液を掻き取って回収する。回収された現像液は、後述する回収口216と回収経路84を通って濃度調整槽81に戻されて再利用される。
【0045】
現像フレーム210は、現像液貯溜部201を形成し、現像ローラ205などを支持するフレームである。この現像フレーム210には、供給部211と、回収部212と、被押圧部213とが設けられている。
【0046】
供給部211は、現像フレーム210(現像液貯溜部201)の下面に設けられており、本体筐体10に設けられた供給経路83の連結部83Aに対して上下に着脱可能に装着される部分である。この供給部211の内部は、下方に向けて開口し、現像ローラ205の表面に担持される現像液を外部から供給するための供給口215となっている。
【0047】
回収部212は、現像フレーム210の前部に設けられており、本体筐体10に設けられた回収経路84の連結部84Aに対して上下に着脱可能に装着される部分である。この回収部212の内部は、下方に向けて開口し、第2クリーニングブレード207で回収した現像液を外部に排出する第2排出口(排出口)の一例としての回収口216となっている。
【0048】
なお、供給部211および回収部212にも、前記した廃棄部111と同様に、現像液漏れを防ぐため、連結部83A,84Aと連結したときに供給口215、回収口216を連通状態とし、連結部83A,84Aから外れたときに供給口215、回収口216を遮断状態とする公知の弁が設けられている(いずれも図示省略)。
【0049】
被押圧部213は、現像液貯溜部201の前壁の外面から前方に向けて突出するように設けられており、本体筐体10内に設けられた押圧部16(押圧部材16A)によって押圧される部位である。
【0050】
ここで、押圧部16は、本体筐体10に装着されたプロセスカートリッジ50(現像ユニット200)の被押圧部213の下方に配置され、被押圧部213を下方から押圧する棒状の押圧部材16Aと、押圧部材16Aを上下にスライド移動可能に支持する支持筒部16Bとを主に備えている。押圧部材16Aは、図示しない制御装置からの指示により、被押圧部213を下方から押圧する押圧位置(図3参照)と、被押圧部213の押圧を解除する解除位置(図6(b)参照)との間で上下にスライド移動可能に構成されている。
【0051】
[感光体フレームと現像フレームの詳細構成]
図3に示すように、感光体フレーム110と現像フレーム210とは、感光体フレーム110および現像フレーム210のいずれかに設けられた、現像ローラ205の軸と平行な回動軸300回りに互いに揺動可能に連結されている。これにより、感光体ドラム101と現像ローラ205とは、感光体フレーム110と現像フレーム210との揺動により近接または離間するようになっている。
【0052】
また、プロセスカートリッジ50が本体筐体10に装着されると、固定突部112が本体筐体10の固定凹部15に嵌合することで感光体ユニット100が本体筐体10に固定されるので、このときには、現像フレーム210(現像ユニット200)が固定された感光体フレーム110(感光体ユニット100)に対して揺動する。
【0053】
そして、その状態(プロセスカートリッジ50が本体筐体10に装着された状態)において、押圧部材16Aが押圧位置に移動して被押圧部213を下方から押圧すると、現像ユニット200が回動軸300を中心に反時計回りに揺動して現像ローラ205が感光体ドラム101に近接する。また、押圧部材16Aが解除位置に移動して押圧が解除されると、現像ユニット200が図示しないバネの付勢力によって回動軸300を中心に時計回りに揺動して現像ローラ205が感光体ドラム101から離間する(図6(b)参照)。
【0054】
このような構成により、例えば、画像形成を行わない場合、具体的には中間転写ベルト63をクリーニングする場合やプロセスカートリッジ50を取り外す場合などにおいて、各現像ローラ205を各感光体ドラム101から離間させることができる。また、モノクロ印字を行う場合において、画像形成に使用されない、イエロー、マゼンタ、シアンの各色に対応した3つのプロセスカートリッジ50の現像ローラ205を感光体ドラム101から離間させることができる。
【0055】
なお、供給経路83(連結部83A)および回収経路84(連結部84A)は、現像ユニット200(供給部211および回収部212)の揺動にならって揺動可能となるように構成されている。
【0056】
押圧部材16Aによる押圧力は、固定された感光体ユニット100に揺動可能な現像ユニット200を安定して支持するのに十分な力であれば足りる。しかし、押圧部材16Aによる押圧力は、そのまま、現像ローラ205が感光体ドラム101を押圧する押圧力となるので、現像ユニット200を安定して支持するだけの力で現像ローラ205が感光体ドラム101を押圧した場合、現像ローラ205と感光体ドラム101とが摺接する位置の現像ローラ205の回転方向上流側に現像液が溜まってしまい、現像液(トナー粒子)を感光体ドラム101に良好に供給できなくなるおそれがある。
【0057】
そこで、本実施形態では、図4に示すように、現像ローラ205の両端部に円筒状のカラー208を取り付けて、カラー208の外周面と現像ローラ205の表面との間に段差を設けることで、現像ローラ205が感光体ドラム101を押圧する押圧力を調整している。ここで、現像ローラ205の両端部は、必ずしも最両端部である必要はなく、画像形成幅(現像ローラ205の軸方向の全幅のうち、カラープリンタ1で印字可能な最大幅の用紙Sの画像形成領域の幅方向に対応する部分)の外側であればよい。
【0058】
[ガイド部の構成]
図5に示すように、感光体フレーム110と現像フレーム210との間の感光体ドラム101の下方には、LEDユニット40が挿入される露光孔40Aが形成されている。この露光孔40Aは、感光体フレーム110および現像フレーム210に設けられたガイド部400によって主に形成されている。
【0059】
ガイド部400は、感光体フレーム110に設けられるガイドリブ410および位置決め凹部430と、ガイドリブ410と対向して現像フレーム210に設けられるガイドリブ420とを主に備えている。
【0060】
ガイドリブ410,420は、左右に並んで複数設けられ、プロセスカートリッジ50が本体筐体10に装着されるときにLEDユニット40を感光体ドラム101に向けて案内する部位である。このガイドリブ410,420は、挿入されたLEDユニット40を挟むように略上下に延びる挿入部411,421と、挿入部411,421の下端から前後に広がるように斜めに延びる案内部412,422とから構成されている。
【0061】
位置決め凹部430は、プロセスカートリッジ50が本体筐体10に装着されたときに、LEDユニット40に設けられた位置決め突部42Aと係合することで、LEDユニット40の感光体ドラム101に対する位置(主に前後方向の位置)を決める部位である(図3参照)。この位置決め凹部430は、感光体フレーム110の左右両側に設けられている。
【0062】
ここで、LEDユニット40の構成について簡単に説明する。
LEDユニット40は、図示しない複数の発光部(LED)と、発光部を支持する支持フレーム42と、2つのガイドローラ43と、押圧バネ44とを主に備えている。
【0063】
支持フレーム42の左右両側面には、左右方向外側に向けて突出する3つの突部が設けられている。具体的には、上部に設けられた位置決め突部42Aと、下部に設けられた第1突部42Bおよび第2突部42Cである。
【0064】
この支持フレーム42は、本体筐体10内に設けられたLED支持部17に支持されている。具体的には、円柱状の第1突部42BがLED支持部17に設けられた上下に長い長円状の支持開口17Bに挿入されるとともに、第2突部42CがLED支持部17に設けられ、第2突部42Cより前後・上下に大きい略扇状の揺動開口17Cに挿入されて支持されている。これにより、支持フレーム42(LEDユニット40)は、上下にスライド移動可能かつ前後に揺動可能となっている。
【0065】
ガイドローラ43は、支持フレーム42の上面において配列された発光部の左右両側に配置され、プロセスカートリッジ50が本体筐体10に装着されたときに、感光体ドラム101の表面に接することで、LEDユニット40(発光部)と感光体ドラム101との間隔を一定に保持する部材である。このガイドローラ43が感光体ドラム101の表面に接することで、LEDユニット40の感光体ドラム101に対する上下方向の位置が決められる。
【0066】
押圧バネ44は、支持フレーム42の下面を略上方に向けて押圧することで、支持フレーム42(LEDユニット40)を感光体ドラム101に向けて付勢する部材である。
【0067】
<プロセスカートリッジの装着動作と作用効果>
次に、以上のように構成されたプロセスカートリッジ50を本体筐体10に装着するときの動作について説明する。
図5に示すように、プロセスカートリッジ50を本体筐体10に装着するときには、アッパーカバー11を開き(図示省略)、LEDユニット40に対して露光孔40Aの位置を大まかに合わせながら、プロセスカートリッジ50を本体筐体10に上方から下方に向けて装着していく。
【0068】
図6(a)に示すように、プロセスカートリッジ50を本体筐体10に装着していくと、LEDユニット40がガイドリブ420の案内部422に当接し、案内部422の傾斜に沿って後方に揺動しながら挿入部411,421の間へ案内されていく。このとき、供給部211、回収部212、廃棄部111および固定突部112が、装着方向(上下方向)に沿って連結部83A,84A,85Aおよび固定凹部15に近づいていく。
【0069】
図6(b)に示すように、プロセスカートリッジ50(感光体ユニット100)の固定突部112が本体筐体10の固定凹部15に嵌合し、感光体ドラム101の回転軸104が本体筐体10内に設けられた軸受部18に係合することで、感光体ユニット100が本体筐体10に固定され、プロセスカートリッジ50が本体筐体10に装着される。
【0070】
これと同時に、供給部211、回収部212および廃棄部111と各連結部83A,84A,85Aとが連結されるとともに、LEDユニット40の位置決め突部42Aとプロセスカートリッジ50(感光体ユニット100)の位置決め凹部430とが係合する。これにより、供給口215と供給経路83、回収口216と回収経路84、および、廃棄口116と廃棄経路85が連通し、LEDユニット40の感光体ドラム101に対する位置が決まる。
【0071】
そして、図3に示すように、押圧部材16Aが押圧位置に移動して被押圧部213を下方から押圧することで、現像ユニット200が回動軸300を中心に反時計回りに揺動して現像ローラ205が感光体ドラム101に近接して画像形成が可能となる。
【0072】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
プロセスカートリッジ50は、感光体ドラム101、現像ローラ205、各クリーニングブレード103,207などを備え、カラープリンタ1(本体筐体10)に対して着脱可能に装着されるので、感光体ドラム101や現像ローラ205などを容易かつまとめて交換することができる。
【0073】
プロセスカートリッジ50は、本体筐体10に上方から下方に向けて装着され、廃棄口116が本体筐体10に装着するときに下方を向くので、プロセスカートリッジ50の装着動作と、廃棄口116(廃棄部111)と連結部85Aの連結動作とを同時に行うことができる。
【0074】
同様に、供給口215および回収口216も本体筐体10に装着するときに下方を向くので、装着動作と、供給口215(供給部211)と連結部83Aの連結動作および回収口216(回収部212)と連結部84Aの連結動作とを同時に行うことができる。
【0075】
感光体フレーム110と現像フレーム210とが回動軸300回りに互いに揺動可能に連結され、感光体ドラム101と現像ローラ205とが感光体フレーム110と現像フレーム210との揺動により近接または離間するので、例えば、中間転写ベルト63のクリーニング時やモノクロ印字時などにおいて、感光体ドラム101と現像ローラ205とを離間させることができる。
【0076】
これにより、常に感光体ドラム101と現像ローラ205とが近接している構成と比較して、感光体ドラム101や現像ローラ205の摩耗や劣化の程度を軽減することができるので、プロセスカートリッジ50をより長期間使用することが可能となる。
また、押圧部材16Aの押圧力を調整可能な構成することで、感光体ドラム101と現像ローラ205との押圧力も調整することが可能となる。
【0077】
さらに、揺動可能な構成において、プロセスカートリッジ50が上方から下方に向けて装着され、感光体フレーム110が装着するときに下方を向く廃棄口116を有するとともに、装着されたときに本体筐体10に固定されるので、廃棄口116(廃棄部111)と連結部85Aとの連結をより強固なものとすることができる。
【0078】
プロセスカートリッジ50は、感光体ドラム101の下方に設けられ、装着されるときにLEDユニット40を感光体ドラム101に向けて案内するとともに、装着されたときにLEDユニット40の感光体ドラム101に対する位置を決めるガイド部400を備えるので、プロセスカートリッジ50の装着動作と同時にLEDユニット40の案内および位置決めを行うことができる。
【0079】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0080】
前記実施形態では、現像液を外部に排出するための排出口として、廃棄口116と回収口216とを有するプロセスカートリッジ50を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、現像ローラから回収した現像液を再利用しない場合や、感光体から回収した現像液を再利用する場合には、感光体および現像ローラから回収した現像液をプロセスカートリッジ50内で合流させ、1つの排出口から外部に排出する構成としてもよい。
【0081】
前記実施形態では、廃棄口116、供給口215および回収口216が、プロセスカートリッジ50を本体筐体10に装着するときに下方を向くように開口している構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、重力を利用して現像液を供給できるように、供給口を現像液貯溜部の上部に設けてもよい。また、例えば、プロセスカートリッジが左右方向に着脱される構成の場合には、排出口や供給口が左方または右方を向くように開口していてもよい。
【0082】
前記実施形態では、感光体フレーム110と現像フレーム210とが互いに揺動可能に連結されることで、感光体ドラム101と現像ローラ205とが近接または離間可能となる構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、現像ローラが感光体に対して近接または離間するように、現像フレーム(フレーム)に対して移動可能に支持される構成としてもよい。
【0083】
なお、前記実施形態のように、現像フレーム210(現像ユニット200全体)の揺動により感光体ドラム101と現像ローラ205とを近接または離間させる構成とすることで、現像ローラ205と中間ローラ203や第2クリーニングブレード207との位置関係を維持することができる。これにより、中間ローラ203から現像ローラ205への現像液の供給や第2クリーニングブレード207による現像液の回収を良好に行うことができる。
【0084】
前記実施形態では、プロセスカートリッジ50が感光体ユニット100と現像ユニット200とから構成され、感光体フレーム110と現像フレーム210とが互いに揺動可能に連結されている例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、感光体フレームと現像フレームとが互いに固定されていてもよいし、感光体や現像ローラを1つのフレームで支持する構成としてもよい。
【0085】
前記実施形態では、クリーニング部材としてクリーニングブレード103,207を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、クリーニングローラなどであってもよい。
【0086】
前記実施形態では、本発明のプロセスカートリッジが着脱可能に装着される画像形成装置としてカラープリンタ1を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、モノクロプリンタであってもよいし、プリンタ以外の複写機や複合機などであってもよい。また、画像形成装置が有する感光体を露光する構成は、複数の発光部が配列された露光部材(LEDユニット40)に限定されず、例えば、レーザ光を出射して感光体を露光する露光装置などであってもよい。
【符号の説明】
【0087】
1 カラープリンタ
10 本体筐体
15 固定凹部
40 LEDユニット
50 プロセスカートリッジ
100 感光体ユニット
101 感光体ドラム
103 第1クリーニングブレード
110 感光体フレーム
112 固定突部
116 廃棄口
200 現像ユニット
205 現像ローラ
207 第2クリーニングブレード
210 現像フレーム
215 供給口
216 回収口
300 回動軸
400 ガイド部
410 ガイドリブ
420 ガイドリブ
430 位置決め凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像が形成される感光体と、
キャリア液に現像剤粒子を混合させてなる現像液を表面に担持して前記感光体に供給する現像ローラと、
前記感光体に摺接して前記感光体上の現像液を回収する第1クリーニング部材と、
前記現像ローラに摺接して前記現像ローラ上の現像液を回収する第2クリーニング部材と、
前記現像ローラの表面に担持される現像液を外部から供給するための供給口と、
現像液を外部に排出するための少なくとも1つの排出口とを備え、
現像液により画像形成を行う画像形成装置の装置本体に対して着脱可能に装着されることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項2】
前記装置本体に上方から下方に向けて装着され、
前記排出口は、前記第1クリーニング部材で回収した現像液を外部に排出するための第1排出口を含み、
前記第1排出口は、前記装置本体に装着するときに下方を向くことを特徴とする請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項3】
前記排出口は、前記第2クリーニング部材で回収した現像液を外部に排出するための第2排出口をさらに含み、
前記供給口および前記第2排出口は、前記装置本体に装着するときに下方を向くことを特徴とする請求項2に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項4】
前記感光体を支持する感光体フレームと、
前記現像ローラを支持する現像フレームとを備え、
前記感光体フレームと前記現像フレームとは、前記現像ローラの軸と平行な回動軸回りに互いに揺動可能に連結され、
前記感光体と前記現像ローラとは、前記感光体フレームと前記現像フレームとの揺動により近接または離間することを特徴とする請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項5】
前記装置本体に上方から下方に向けて装着され、
前記排出口は、前記第1クリーニング部材で回収した現像液を外部に排出するための第1排出口を含み、
前記感光体フレームは、前記第1クリーニング部材と、前記装置本体に装着するときに下方を向く前記第1排出口とを有するとともに、前記装置本体に装着されたときに前記装置本体に固定されることを特徴とする請求項4に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項6】
前記画像形成装置は、複数の発光部が配列され、前記感光体の下方に対向して前記感光体を露光する露光部材を有し、
さらに、前記感光体の下方に設けられ、前記装置本体に装着されるときに前記露光部材を前記感光体に向けて案内するとともに、前記装置本体に装着されたときに前記露光部材の前記感光体に対する位置を決めるガイド部を備えたことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−217688(P2010−217688A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−66172(P2009−66172)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】