説明

プロセスカートリッジ

【課題】帯電部に異物が付着するのを抑制することで、帯電性能を維持することを目的とする。
【解決手段】プロセスカートリッジ50Aは、帯電部(帯電ワイヤ54)を挟んで感光体(感光ドラム53)とは反対側に第1開口(帯電開口部52C)が形成されたフレーム(ドラムフレーム52)を有する。前記フレームには、前記第1開口よりも前記感光体の回転方向の上流側で、かつ、前記感光体における転写位置Cよりも回転方向の下流側の位置に、当該フレーム内外の通気のための第1通気孔52Eが形成され、前記フレームと壁(プロセスカートリッジ50B)との間には、気流を規制するための規制部材(フィルムF)が、前記第1開口と第1通気孔52Eとの間に位置するように設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電部を有したプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、画像形成装置として、帯電された感光ドラム(感光体)にレーザ光を照射して感光ドラム上に静電潜像を形成し、その静電潜像に現像剤を供給することで形成した現像剤像を用紙に転写して、用紙に画像を形成するものが知られている。
【0003】
このような画像形成装置としては、従来、感光ドラムと、感光ドラムを帯電させるコロナ放電方式の帯電ワイヤ(帯電部)と、帯電ワイヤを挟んで感光ドラムとは反対側に開口が形成されるフレームとを有するプロセスカートリッジを備える装置が知られている(特許文献1参照)。この技術によれば、帯電ワイヤに電圧をかけると帯電ワイヤでイオンが発生し、このイオンがイオン風となって感光ドラムに向かって移動して、感光ドラムに当たることで、感光ドラムが帯電される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−72421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、帯電ワイヤで感光ドラムを帯電する場合には、帯電ワイヤから発生させるイオン風を制御する必要がある。特に、帯電ワイヤで発生したイオン風が感光ドラムに当たるときに、感光ドラムに付着した異物でイオン風が汚れた場合には、このイオン風が再度帯電ワイヤ周りに戻ってくると、帯電ワイヤに異物が付着して帯電性能が落ちてしまうという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、帯電ワイヤ(帯電部)に異物が付着するのを抑制して、帯電性能を維持することできるプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係るプロセスカートリッジは、回転しながら静電潜像が形成される感光体と、前記感光体に対して非接触となるように配置され、前記感光体を帯電させる帯電部と、前記帯電部を挟んで前記感光体とは反対側に第1開口が形成されたフレームとを有し、画像形成装置の装置本体に取り付けられた状態において、隣接する他のプロセスカートリッジに前記第1開口が対向するプロセスカートリッジであって、前記フレームには、前記第1開口よりも前記感光体の回転方向の上流側で、かつ、前記感光体における転写位置よりも前記回転方向の下流側の位置に、当該フレーム内外の通気のための第1通気孔が形成されるとともに、前記他のプロセスカートリッジと前記フレームとの間の気流を規制するための規制部材が、前記第1開口と前記第1通気孔との間に位置するように設けられ、前記規制部材は、前記プロセスカートリッジの着脱方向に直交した面を有するフィルムであり、前記着脱方向に撓んだ状態で前記他方のプロセスカートリッジに当接するように構成されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るプロセスカートリッジは、回転しながら静電潜像が形成される感光体と、前記感光体に対して非接触となるように配置され、前記感光体を帯電させる帯電部と、前記帯電部を挟んで前記感光体とは反対側に第1開口が形成されたフレームとを有し、画像形成装置の装置本体に取り付けられた状態において、隣接する他のプロセスカートリッジの第1開口に前記フレームが対向するプロセスカートリッジであって、前記フレームには、前記第1開口よりも前記感光体の回転方向の上流側で、かつ、前記感光体における転写位置よりも前記回転方向の下流側の位置に、当該フレーム内外の通気のための第1通気孔が形成されるとともに、当該フレームと前記他のプロセスカートリッジの間の気流を規制するための規制部材が、前記他のプロセスカートリッジの第1開口と第1通気孔との間に位置するように、当該フレームの前記他のプロセスカートリッジと対向する面に設けられ、前記規制部材は、前記プロセスカートリッジの着脱方向に直交した面を有するフィルムであり、前記着脱方向に撓んだ状態で前記他方のプロセスカートリッジに当接するように構成されていることを特徴とするものであってもよい。
【0009】
本発明によれば、感光体に当たったイオン風が感光体に付着した異物で汚れた場合であっても、第1通気孔から排出されるイオン風が規制部材によって第1開口に戻ることが抑制されるので、帯電部に異物が付着するのを抑制して、帯電性能を維持することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、帯電部に異物が付着するのを抑制して、帯電性能を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】画像形成装置の一例としてのカラープリンタの全体構成を示す断面図である。
【図2】最上流側のプロセスカートリッジを示す拡大断面図である。
【図3】最上流側のプロセスカートリッジを示す斜視図である。
【図4】最上流以外のプロセスカートリッジを示す拡大断面図である。
【図5】イオン風の流れを示す拡大断面図である。
【図6】最上流以外のプロセスカートリッジに形成される第1通気孔の位置を変えた形態を示す拡大断面図である。
【図7】図6のプロセスカートリッジを示す斜視図である。
【図8】プロセスカートリッジの下面にスポンジを設けた形態を示す拡大断面図である。
【図9】モノクロ用のプリンタの装置本体のフレームにスポンジを設けた形態を示す拡大断面図である。
【図10】隣接する一対のプロセスカートリッジの両方に設けたスポンジ同士を接触させる形態を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<カラープリンタの全体構成>
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。参照する図面において、図1は画像形成装置の一例としてのカラープリンタの全体構成を示す断面図であり、図2は最上流側のプロセスカートリッジを示す拡大断面図である。
【0013】
以下の説明において、方向は、カラープリンタ使用時のユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1において、紙面に向かって左側を「前側(手前側)」、紙面に向かって右側を「後側(奥側)」とし、紙面に向かって奥側を「左側」、紙面に向かって手前側を「右側」とする。また、紙面に向かって上下方向を「上下方向」とする。
【0014】
図1に示すように、カラープリンタ1は、装置本体10内に、用紙Pを供給する給紙部20と、給紙された用紙Pに画像を形成する画像形成部30と、画像が形成された用紙Pを排出する排紙部90とを備えている。
【0015】
装置本体10の上部には開閉自在なアッパーカバー12が、後側に設けられたヒンジ(図示せず)を支点として上下に回動自在に設けられている。アッパーカバー12の上面は、装置本体10から排出された用紙Pを蓄積する排紙トレイ13となっており、下面には露光部材の一例としてのLEDヘッド40の上部(感光ドラム53とは反対側の部分)を支持する複数の支持フレーム14が設けられている。
【0016】
給紙部20は、装置本体10内の下部に設けられ、装置本体10に着脱自在に装着される給紙トレイ21と、この給紙トレイ21から用紙Pを画像形成部30へ搬送する用紙供給機構22を主に備えている。この給紙部20では、給紙トレイ21内の用紙Pが、用紙供給機構22によって一枚ずつ分離されて画像形成部30に供給される。
【0017】
画像形成部30は、4つのLEDヘッド40と、4つのプロセスカートリッジ50と、転写ユニット70と、定着ユニット80とから主に構成されている。
【0018】
LEDヘッド40は、左右方向に一列に配列された複数のLEDを備えて構成されている。そして、LEDヘッド40は、複数のLEDがそれぞれデータに応じて明滅することで、感光ドラム53を露光して所定パターンの静電潜像を形成する。
【0019】
プロセスカートリッジ50は、アッパーカバー12と給紙部20との間で前後方向に並んで配置されている。そして、各プロセスカートリッジ50内には、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色のトナーがそれぞれ収容されている。また、プロセスカートリッジ50は、アッパーカバー12が開かれた状態において、装置本体10(本体フレーム)に対して上方から着脱可能に構成されている。
【0020】
複数のプロセスカートリッジ50のうち、最上流側に位置するプロセスカートリッジ50Aは、残り3つのプロセスカートリッジ50Bとは構造が異なっている。なお、以下の説明では、プロセスカートリッジ50の一般的構成について最上流側のプロセスカートリッジ50Aを参照して簡単に説明し、詳細な構造は後で説明することとする。
【0021】
図2に示すように、プロセスカートリッジ50は、ドラムユニット51と、ドラムユニット51に対して着脱自在に装着される現像カートリッジ61とを備えている。
【0022】
ドラムユニット51は、フレームの一例としてのドラムフレーム52と、図示反時計回りに回転する感光体の一例としての感光ドラム53と、感光ドラム53に対して非接触となるように配置される帯電ワイヤ54およびグリッド58とを備える。ドラムフレーム52には、現像カートリッジ61が装着されることで、外部へ感光ドラム53を臨ませる露光のための露光開口部55(第2開口)が形成されるようになっている。ここで、本実施形態においては、帯電ワイヤ54およびグリッド58が帯電部の一例を構成している。
【0023】
具体的に、この露光開口部55は、帯電ワイヤ54(または後述する帯電開口部52C)よりも感光ドラム53の回転方向の下流側で、かつ、感光ドラム53における転写位置C(感光ドラム53上のトナー像を用紙Pに転写する位置)よりも回転方向の上流側に形成されている。そして、この露光開口部55には、LEDヘッド40が遊嵌(挿通)される。
【0024】
現像カートリッジ61は、フレームの一例としての現像フレーム62と、現像フレーム62に回転可能に支持される現像ローラ63および供給ローラ64と、現像ローラ63に摺接する層厚規制ブレード65と、現像剤の一例としてのトナーTを収容するトナー収容室66とを備えている。
【0025】
図1に示すように、転写ユニット70は、駆動ローラ71、従動ローラ72、搬送ベルト73および転写ローラ74を主に備えている。
【0026】
駆動ローラ71および従動ローラ72は、前後方向に離間して平行に配置され、その間にエンドレスベルトからなる搬送ベルト73が張設されている。搬送ベルト73は、その外側の面が各感光ドラム53に接している。また、搬送ベルト73の内側には、各感光ドラム53との間で搬送ベルト73を挟持する転写ローラ74が、各感光ドラム53に対向して4つ配置されている。この転写ローラ74には、転写時に定電流制御によって転写バイアスが印加される。
【0027】
定着ユニット80は、加熱ローラ81と、加熱ローラ81と対向配置され加熱ローラ81を押圧する加圧ローラ82とを備えている。
【0028】
このように構成される画像形成部30では、まず、各感光ドラム53の表面が、帯電ワイヤ54により一様にプラスに帯電された後、各LEDヘッド40から照射される光により露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、各感光ドラム53上に画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0029】
なお、帯電時においては、帯電ワイヤ54に電圧が印加されることにより、帯電ワイヤ54と感光ドラム53の表面との間で(コロナ)放電が発生する。この放電にともない帯電ワイヤ54からイオンが発生し、そのイオンは帯電ワイヤ54と感光ドラム53の表面との電位差により、感光ドラム53の表面へ向けて移動する。このように帯電ワイヤ54から感光ドラム53の表面へ向けてイオンが移動することにともない、感光ドラム53へ向けてイオン風が発生する。
【0030】
また、トナー収容室66内のトナーTが、供給ローラ64の回転により現像ローラ63に供給され、現像ローラ63の回転により現像ローラ63と層厚規制ブレード65との間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ63上に担持される。ここで、現像ローラ63上に担持されるトナーTは、供給ローラ64と現像ローラ63との間や、現像ローラ63と層厚規制ブレード65との間で、プラスに摩擦帯電される。
【0031】
現像ローラ63上に担持されたトナーTは、感光ドラム53上に形成された静電潜像に供給される。これにより、感光ドラム53上でトナーTが選択的に担持されて静電潜像が可視像化され、反転現像によりトナー像が形成される。
【0032】
そして、搬送ベルト73上に供給された用紙Pが各感光ドラム53と各転写ローラ74との間を通過することで、各感光ドラム53上に形成されたトナー像が用紙P上に転写される。用紙Pが加熱ローラ81と加圧ローラ82との間を通過すると、用紙P上に転写されたトナー像が熱定着される。
【0033】
排紙部90は、用紙Pを搬送する複数の搬送ローラ92を主に備えている。トナー像が転写され、熱定着された用紙Pは、搬送ローラ92によって装置本体10の外部に排出されて排紙トレイ13に蓄積される。
【0034】
<プロセスカートリッジの詳細構造>
次に、プロセスカートリッジ50A,50Bの詳細構造について説明する。参照する図面において、図3は最上流側のプロセスカートリッジを示す斜視図であり、図4は最上流以外のプロセスカートリッジを示す拡大断面図である。
【0035】
図2に示すように、最上流側のプロセスカートリッジ50Aは、前述した感光ドラム53等を備える他、クリーニング部材の一例としてのクリーニングローラ56と、回収部材の一例としての回収ローラ57と、グリッド58を備えている。
【0036】
クリーニングローラ56は、感光ドラム53上のトナーTおよび異物を吸着するものであり、感光ドラム53に当接して配置されている。ここで、異物とは、紙粉や塵埃等を意味する。
【0037】
詳しくは、このクリーニングローラ56は、帯電ワイヤ54(または後述する帯電開口部52C)よりも感光ドラム53の回転方向上流側で、かつ、前述した転写位置Cよりも回転方向下流側に配置されている。
【0038】
回収ローラ57は、クリーニングローラ56上の異物を吸着するものであり、クリーニングローラ56に当接して配置されている。そして、この回収ローラ57で吸着された異物は、スポンジ等で形成される異物除去部材57Bで除去される。
【0039】
グリッド58は、帯電ワイヤ54から感光ドラム53の表面へ向うイオンの電位を整えるためのもので、断面視コ字状に形成され、その底壁部に複数のグリッド孔(符号略)が形成されている。
【0040】
また、ドラムフレーム52には、クリーニングローラ56および回収ローラ57周りの空間と、帯電ワイヤ54周りの空間とを仕切る仕切壁52Aが形成されている。さらに、ドラムフレーム52には、グリッド58の両側壁部を支持する一対のグリッド支持壁52Bが形成されている。
【0041】
また、ドラムフレーム52には、帯電ワイヤ54を挟んで感光ドラム53とは反対側に、第1開口の一例としての帯電開口部52Cが形成されている。詳しくは、帯電開口部52Cは、一対のグリッド支持壁52Bの間に形成されている。そして、最上流側のプロセスカートリッジ50Aに隣接するプロセスカートリッジ50Bのドラムフレーム52’は、最上流側のプロセスカートリッジ50Aの帯電開口部52Cに対向する壁となっている。
【0042】
なお、帯電開口部52Cは、図3に示すように、左右方向に延びるスリット状に形成されている。そして、このスリット状の帯電開口部52Cには、帯電ワイヤ54と摺接して移動するクリーナCLが移動可能に取り付けられている。
【0043】
また、帯電開口部52Cの周り(前後方向両側)には、ドラムフレーム52外から帯電ワイヤ54周りに空気を取り込むための第2通気孔52Dが形成されている(図2参照)。具体的に、第2通気孔52Dは、左右方向において複数並んで配置されるように形成されている。これにより、第2通気孔を帯電開口部52Cのように左右方向に連続した長孔状に形成する構造に比べ、各第2通気孔52Dの間にリブができるので、クリーナCLを支持する部位の強度が高くなっている。
【0044】
また、図2に示すように、最上流側のプロセスカートリッジ50Aのドラムフレーム52には、帯電開口部52Cよりも感光ドラム53の回転方向上流側で、かつ、前述した転写位置Cよりも回転方向下流側の位置に、当該ドラムフレーム52の内外の通気のための第1通気孔52Eが形成されている。詳しくは、この第1通気孔52Eは、帯電開口部52Cと仕切壁52Aとの間(より詳しくはグリッド支持壁52Bと仕切壁52A)との間に形成されている。
【0045】
そして、最上流側のプロセスカートリッジ50Aのドラムフレーム52と、これに隣接するプロセスカートリッジ50Bのドラムフレーム52’との間には、気流を規制するための規制部材の一例としてのフィルムFが設けられている。具体的に、このフィルムFは、弾性を有し、最上流側のプロセスカートリッジ50Aのドラムフレーム52における帯電開口部52Cと第1通気孔52Eとの間に位置するように設けられている。
【0046】
さらに詳しくは、フィルムFは、第1通気孔52Eから上方に突出するように、第1通気孔52Eの内面のうち帯電開口部52C側の面に貼り付けられている。そして、フィルムFの先端(上端)は、隣接するプロセスカートリッジ50Bのドラムフレーム52’に当接している。
【0047】
図4に示すように、最上流以外に配置されるプロセスカートリッジ50Bは、最上流側のプロセスカートリッジ50Aとは異なり、回収ローラ57を設けない構造となっている。なお、このように回収ローラ57を設けなくても、用紙Pが最上流側のプロセスカートリッジ50Aを通過する際に、用紙Pに付着した異物が最上流側のプロセスカートリッジ50Aの回収ローラ57で十分回収されるので、最上流以外のプロセスカートリッジ50B内には異物はほとんど入り込まないようになっている。
【0048】
具体的に、最上流以外のプロセスカートリッジ50Bは、最上流側のプロセスカートリッジ50Aと略同様に構成されるクリーニングローラ56’(クリーニング部材)を有している。また、最上流以外のプロセスカートリッジ50Bのドラムフレーム52’には、最上流側のプロセスカートリッジ50Aと同様(同じ位置・同じ形状)のグリッド支持壁52B、帯電開口部52Cおよび第2通気孔52Dが形成されている。
【0049】
そして、最上流以外のプロセスカートリッジ50Bのドラムフレーム52’には、ドラムフレーム52’内外の通気のための第1通気孔52E’が、最上流側のプロセスカートリッジ50Aの第1通気孔52Eとは異なる位置に形成されている。具体的に、この第1通気孔52E’は、クリーニングローラ56’(詳しくは回転中心)を挟んで感光ドラム53とは反対側の位置に形成されている。
【0050】
言い換えると、第1通気孔52E’は、ドラムフレーム52’の先端壁部521に形成されている。ここで、先端壁部521とは、後方に隣接するプロセスカートリッジ50B(壁)に対向する上壁部522に対して略直交方向(交差する方向)に延びる壁であって、クリーニングローラ56’に対向する壁をいう。なお、この第1通気孔52E’は、ドラムフレーム52’の剛性の観点から、左右方向に連続して形成されるのではなく、左右方向に複数並んで形成するのがよい。
【0051】
そして、このように第1通気孔52E’が形成されることで、ドラムフレーム52’の帯電開口部52Cと第1通気孔52E’との間の部位(上壁部522および先端壁部521の一部)と、クリーニングローラ56’とによって、帯電開口部52Cからの空気を第1通気孔52E’へ流す流路が形成される。
【0052】
そして、プロセスカートリッジ50Bのドラムフレーム52’(上壁部522)と、この後方に隣接するプロセスカートリッジ50Bのドラムフレーム52’(下壁部533)との間には、気流を規制する規制部材の一例としてのフィルムFが設けられている。具体的に、このフィルムFは、弾性を有し、上壁部522における帯電開口部52Cと第1通気孔52E’との間に固定されるとともに、隣のプロセスカートリッジ50Bに当接している。
【0053】
次に、帯電ワイヤ54による感光ドラム53の帯電時におけるイオン風の流れについて説明する。参照する図面において、図5はイオン風の流れを示す拡大断面図である。なお、本実施形態では、上述のイオン風および図示せぬ換気ファン等によって、各プロセスカートリッジ50間の空気が、露光開口部55側(前方上側)から帯電ワイヤ54側(後方下側)に向かうように流れているものとする。
【0054】
図5に示すように、帯電ワイヤ54に電圧を印加する際、露光開口部55側から帯電ワイヤ54側に向けて流れてくる空気は、フィルムFで塞き止められて、帯電開口部52Cおよび第2通気孔52Dから帯電ワイヤ54周りに積極的に取り込まれる。これにより、帯電ワイヤ54から発生するイオン風が、確実に感光ドラム53に当たるようになっている。
【0055】
また、感光ドラム53に当たったイオン風は、第1通気孔52E,52E’から排出される。そして、排出されたイオン風は、フィルムFによって遮られることで帯電開口部52Cに戻ることが防止されている。
【0056】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
帯電開口部52Cと第1通気孔52E,52E’との間に配置したフィルムFによってドラムフレーム52,52’外の空気が帯電ワイヤ54周りに積極的に取り込まれるので、帯電ワイヤ54から感光ドラム53に向けてイオン風を良好に流すことができ、感光ドラム53を良好に帯電させることができる。
【0057】
感光ドラム53に当たったイオン風が感光ドラム53に付着したトナーTや異物で汚れた場合であっても、第1通気孔52E,52E’から排出されるイオン風がフィルムFによって帯電開口部52Cに戻ることが防止されるので、帯電ワイヤ54にトナーTや異物が付着するのを抑制して、帯電性能を維持することができる。
【0058】
弾性を有するフィルムFを採用したので、フィルムFが当接する隣のプロセスカートリッジ50BにフィルムFが設けられたプロセスカートリッジ50Aからの振動などが伝わって、画像品質が低下することを防止できる。
【0059】
帯電開口部52Cの周りに第2通気孔52Dを形成することで、帯電ワイヤ54周りに取り込む空気の量を多くできるので、イオン風の発生が助長され、より良好に帯電させることができる。
【0060】
フィルムFを隣のプロセスカートリッジ50Bと当接させることで、各プロセスカートリッジ50間で形成される通路がフィルムFで塞がれるので、帯電ワイヤ54周りに取り込む空気の量を多くできるとともに、第1通気孔52E,52E’から帯電開口部52Cにイオン風が戻るのを確実に防止することができる。
【0061】
最上流側のプロセスカートリッジ50Aにおいて第1通気孔52Eが帯電開口部52Cと仕切壁52Aとの間に形成されることで、回収ローラ57で回収した紙粉や塵埃等がイオン風で吹き飛ばされることがないので、画像形成に紙粉等の影響が出るのを防止することができる。
【0062】
最上流以外のプロセスカートリッジ50Bにおいて第1通気孔52E’がクリーニングローラ56’を挟んで感光ドラム53とは反対側に形成されているので、イオン風の流れを略Uターンさせる最上流側のプロセスカートリッジ50Aの構造に比べ、イオン風をスムーズに流すことができる。なお、最上流側のプロセスカートリッジ50Aの回収ローラ57で紙粉等の異物が回収されており、最上流以外のプロセスカートリッジ50Bのクリーニングローラ56’には異物は付かずにトナーTのみが電気的な力又は分子間力(ファンデルワールス力)で強固に保持されている。そのため、イオン風によってクリーニングローラ56’からトナーTが飛ばされることはない。
【0063】
帯電開口部52Cよりも感光ドラム53の回転方向の下流側、すなわち、帯電ワイヤ54から発生したイオン風の流れの上流側にLEDヘッド40を配置したので、イオン風によって運ばれるトナーTや異物でLEDヘッド40の先端面が汚れることが抑制される。
【0064】
後方に隣接するプロセスカートリッジ50Bに対向する上壁部522ではない先端壁部521に第1通気孔52E’を形成したので、第1通気孔52E’から排出されたイオン風が一対のプロセスカートリッジ50B間の通路に戻されないので、イオン風が帯電開口部52Cに戻るのをより抑えることができる。
【0065】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
前記実施形態では、上壁部522から少し離した位置に第1通気孔52E’を形成したが、本発明はこれに限定されず、図6および図7に示すように、上壁部522に隣接するように第1通気孔52E”を形成してもよい。言い換えると、感光ドラム53と帯電ワイヤ54が対向する方向において、クリーニングローラ56’よりも帯電ワイヤ54側に、第1通気孔52E”を配置してもよい。これによれば、帯電ワイヤ54で発生したイオン風を、クリーニングローラ56’の周囲を迂回させることなく、略直線状にスムーズに流すことができる。
【0066】
前記実施形態では、プロセスカートリッジ50の上面(ドラムフレーム52’の上壁部522)に規制部材としてのフィルムFを設けたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図8に示すように、プロセスカートリッジ50の下面(図では現像フレーム62)に、規制部材としての弾性変形可能なスポンジSを設けてもよい。
【0067】
具体的に、スポンジSは、各プロセスカートリッジ50が装置本体10に取り付けられた状態において、前方に隣接する他のプロセスカートリッジ50(例えば50A)の帯電開口部52Cと第1通気孔52Eとの間の上面F1に対向するプロセスカートリッジ50Bの下面F2に設けられている。これによれば、最上流側のプロセスカートリッジ50Aには規制部材を設ける必要がないので、最上流以外のプロセスカートリッジ50Bとは構造が異なる最上流側のプロセスカートリッジ50Aの製造工程を少なくすることができ、製造コストを抑えることができる。
【0068】
また、このようにプロセスカートリッジ50の下面F2にスポンジS(弾性変形可能な規制部材)を設ける形態では、スポンジSが取り付けられる面よりも外側に突出する変形規制部524を設けるのが望ましい。これによれば、プロセスカートリッジ50を、装置本体10から外し、下面F2を下にして図示せぬ台に載置した場合には、プロセスカートリッジ50の先端側の部位525と、変形規制部524とが台に当接することで、スポンジSがプロセスカートリッジ50の重みで潰れる(変形する)ことを抑制することができる。
【0069】
前記実施形態では、複数のプロセスカートリッジ50を有するカラープリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えば1つのプロセスカートリッジのみを有するモノクロ用のプリンタなどに本発明を採用してもよい。この場合、例えば、図9に示すように、装置本体のフレーム100に規制部材(スポンジS等)を設けてもよい。これによれば、プロセスカートリッジ50に規制部材を設ける必要がないので、ユーザが規制部材を誤って取り外すことを抑制することができる。
【0070】
前記実施形態では、壁とプロセスカートリッジとの間の気流を規制する規制部材を、壁およびプロセスカートリッジのいずれか一方に設けたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図10に示すように、プロセスカートリッジ(例えばプロセスカートリッジ50A)と壁(プロセスカートリッジ50B)の両方に規制部材(スポンジS)を設け、各規制部材同士が接触するように構成してもよい。これによれば、変形しやすい規制部材同士を接触させることで、各規制部材が密着するので、空気をより確実に塞き止めることができる。
【0071】
なお、規制部材としては、弾性変形可能なスポンジSやフィルムFに限らず、弾性変形しないもの(例えばドラムフレームや現像フレームに一体に形成されるリブ)などを採用してもよい。また、規制部材の先端と壁(プロセスカートリッジ等)との間には、僅かな隙間が形成されていてもよい。
【0072】
前記実施形態では、弾性変形可能な規制部材は、隣り合う現像フレームに当接させる構成としたが、隣り合うドラムフレーム52に当接させる構成としてもよい。
【0073】
前記実施形態では、感光体として感光ドラム53を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えばベルト状の感光体を採用してもよい。
前記実施形態では、帯電部としては線状の帯電ワイヤ54およびグリッド58を採用したが、本発明はこれに限定されず、帯電ワイヤ54の代わりに鋸形状のものを採用してもよい。
【0074】
前記実施形態では、帯電ワイヤ54およびグリッド58からなる、スコロトロン方式の帯電部を採用したが、グリッド58を省いたコロトロン方式の帯電部を採用してもよい。
【0075】
前記実施形態では、クリーニング部材や回収部材としてローラ状のものを採用したが、本発明はこれに限定されず、例えばブラシ状のものなどを採用してもよい。
前記実施形態では、先端壁部521が後斜め下方に向き、上壁部522が後斜め上方に向くように、プロセスカートリッジ50を配置したが、本発明はこれに限定されず、プロセスカートリッジ50はどのような姿勢で配置してもよい。
【0076】
前記実施形態では、露光部材として、左右方向に一列に配列された複数のLEDを備えるLEDヘッド40を採用したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、左右方向に並ぶ複数のLED等を前後に複数列有するLEDヘッドを露光部材として採用してもよい。また、LEDや蛍光灯などの1つの発光素子と、発光素子の外側に、左右方向に並んだ複数の液晶またはPLZT素子の光学シャッタとで、複数の明滅部を構成し、このような明滅部を有するものを露光部材としてもよい。また、露光部材の光源としては、LEDに限らず、EL(エレクトロ・ルミネッセンス)素子や蛍光体などであってもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 カラープリンタ
40 LEDヘッド
50,50A,50B プロセスカートリッジ
52,52’ ドラムフレーム
52A 仕切壁
52C 帯電開口部
52D 第2通気孔
52E,52E’ 第1通気孔
53 感光ドラム
54 帯電ワイヤ
55 露光開口部
56,56’ クリーニングローラ
57 回収ローラ
62 現像フレーム
C 転写位置
F フィルム


【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転しながら静電潜像が形成される感光体と、前記感光体に対して非接触となるように配置され、前記感光体を帯電させる帯電部と、前記帯電部を挟んで前記感光体とは反対側に第1開口が形成されたフレームとを有し、
画像形成装置の装置本体に取り付けられた状態において、隣接する他のプロセスカートリッジに前記第1開口が対向するプロセスカートリッジであって、
前記フレームには、
前記第1開口よりも前記感光体の回転方向の上流側で、かつ、前記感光体における転写位置よりも前記回転方向の下流側の位置に、当該フレーム内外の通気のための第1通気孔が形成されるとともに、前記他のプロセスカートリッジと前記フレームとの間の気流を規制するための規制部材が、前記第1開口と前記第1通気孔との間に位置するように設けられ、
前記規制部材は、前記プロセスカートリッジの着脱方向に直交した面を有するフィルムであり、前記着脱方向に撓んだ状態で前記他方のプロセスカートリッジに当接するように構成されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項2】
前記フレームには、
当該フレーム外から前記帯電部周りに空気を取り込むための第2通気孔が、前記第1開口の周りに形成されていることを特徴とする請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項3】
前記第1開口よりも前記感光体の回転方向の上流側で、かつ、前記転写位置よりも前記回転方向の下流側に配置され、前記感光体に当接して感光体上の現像剤および異物を吸着するクリーニング部材と、
前記クリーニング部材に当接してクリーニング部材上の異物を吸着する回収部材と、
前記クリーニング部材および前記回収部材周りの空間と、前記帯電部周りの空間とを仕切る仕切壁と、をさらに備え、
前記第1通気孔は、
前記第1開口と前記仕切壁との間に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項4】
前記フレーム内には、
前記第1開口よりも前記感光体の回転方向の上流側で、かつ、前記転写位置よりも前記回転方向の下流側に配置され、前記感光体に当接して感光体上の現像剤を吸着するクリーニング部材が設けられ、
前記第1通気孔は、前記クリーニング部材を挟んで前記感光体とは反対側に形成され、
前記フレームの前記第1開口と前記第1通気孔との間の部位と、前記クリーニング部材とによって、前記第1開口からの空気を前記第1通気孔へ流す流路が形成されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項5】
前記帯電部は、帯電ワイヤを備え、
前記第1通気孔は、
前記感光体の回転軸と前記帯電ワイヤを結ぶ方向において、前記クリーニング部材よりも前記帯電ワイヤ側に配置されていることを特徴とする請求項4に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項6】
回転しながら静電潜像が形成される感光体と、前記感光体に対して非接触となるように配置され、前記感光体を帯電させる帯電部と、前記帯電部を挟んで前記感光体とは反対側に第1開口が形成されたフレームとを有し、
画像形成装置の装置本体に取り付けられた状態において、隣接する他のプロセスカートリッジの第1開口に前記フレームが対向するプロセスカートリッジであって、
前記フレームには、
前記第1開口よりも前記感光体の回転方向の上流側で、かつ、前記感光体における転写位置よりも前記回転方向の下流側の位置に、当該フレーム内外の通気のための第1通気孔が形成されるとともに、当該フレームと前記他のプロセスカートリッジの間の気流を規制するための規制部材が、前記他のプロセスカートリッジの第1開口と第1通気孔との間に位置するように、当該フレームの前記他のプロセスカートリッジと対向する面に設けられ、
前記規制部材は、前記プロセスカートリッジの着脱方向に直交した面を有するフィルムであり、前記着脱方向に撓んだ状態で前記他方のプロセスカートリッジに当接するように構成されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項7】
前記フレームには、
当該フレーム外から前記帯電部周りに空気を取り込むための第2通気孔が、前記第1開口の周りに形成されていることを特徴とする請求項6に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項8】
前記第1開口よりも前記感光体の回転方向の上流側で、かつ、前記転写位置よりも前記回転方向の下流側に配置され、前記感光体に当接して感光体上の現像剤および異物を吸着するクリーニング部材と、
前記クリーニング部材に当接してクリーニング部材上の異物を吸着する回収部材と、
前記クリーニング部材および前記回収部材周りの空間と、前記帯電部周りの空間とを仕切る仕切壁と、をさらに備え、
前記第1通気孔は、
前記第1開口と前記仕切壁との間に形成されていることを特徴とする請求項6または請求項7に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項9】
前記フレーム内には、
前記第1開口よりも前記感光体の回転方向の上流側で、かつ、前記転写位置よりも前記回転方向の下流側に配置され、前記感光体に当接して感光体上の現像剤を吸着するクリーニング部材が設けられ、
前記第1通気孔は、前記クリーニング部材を挟んで前記感光体とは反対側に形成され、
前記フレームの前記第1開口と前記第1通気孔との間の部位と、前記クリーニング部材とによって、前記第1開口からの空気を前記第1通気孔へ流す流路が形成されたことを特徴とする請求項6または請求項7に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項10】
前記帯電部は、帯電ワイヤを備え、
前記第1通気孔は、
前記感光体の回転軸と前記帯電ワイヤを結ぶ方向において、前記クリーニング部材よりも前記帯電ワイヤ側に配置されていることを特徴とする請求項9に記載のプロセスカートリッジ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−141577(P2011−141577A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94471(P2011−94471)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【分割の表示】特願2008−300610(P2008−300610)の分割
【原出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】