説明

プロセスカートリッジ

【課題】感光ドラムに対する現像ローラの安定した接触状態を確保することができ、かつ、感光ドラムに対する現像ローラの良好な接離を達成することが出来るプロセスカートリッジを提供する。
【解決手段】プロセスカートリッジ3は、静電潜像が形成される感光ドラム5と、感光ドラム5の軸方向の端部を回転可能に支持するドラム軸受31、32と、を有するドラムカートリッジ7と、現像ローラ8を有し、ドラムカートリッジ7に着脱可能に装着される現像カートリッジ9と、を備え、現像ローラ8は、現像カートリッジ9がドラムカートリッジ7に装着された状態で、感光ドラム5に接触する接触位置と、感光ドラム5から離間される離間位置とで移動可能であり、ドラム軸受31、32は、接触位置と離間位置との間を移動する現像ローラ8の軸方向の端部を支持する支持部61、68を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式のプリンタなどの画像形成装置に着脱可能なプロセスカートリ
ッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プロセスカートリッジが着脱自在に装着される、電子写真方式のプリンタが
知られている。プロセスカートリッジは、現像ローラを有する現像カートリッジと、その
現像カートリッジが着脱自在に装着され、感光ドラムを有するドラムカートリッジとを備えている。
【0003】
この種のプロセスカートリッジにおいては、現像カートリッジがドラムカートリッジのドラムフレームに装着されると、現像カートリッジに設けられた現像ローラが、ドラムカートリッジに設けられた感光ドラムに対向するように構成されている。このような構成のプロセスカートリッジにおいて、トナーの劣化を抑制するために、現像カートリッジがドラムカートリッジに装着された状態で、画像形成時にのみ、現像ローラを感光ドラムに接触させ、非画像形成時には、感光ドラムから現像ローラを離間させている。この接離に伴い、現像ローラの端部はドラムフレームをスライド移動する(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−162912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1にみられるような従来のプロセスカートリッジにおいては、
現像ローラの感光ドラムへの接離の際に、現像ローラの端部がドラムフレームをスライド移動することで、現像ローラの端部とドラムフレームが摺擦するため、摩擦が増大し、現像ローラの端部がずれてしまい、感光ドラムと現像ローラの接触状態が不安定であった。感光ドラムと現像ローラの接触状態が不安定であると、良好に画像が形成できない恐れがある。
【0006】
本発明の目的は、感光ドラムに対する現像ローラの安定した接触状態を確保することができ、かつ、感光ドラムに対する現像ローラの良好な接離を達成することが出来るプロセスカートリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、請求項1記載のプロセスカートリッジは、静電潜像が形成される感光ドラムと、前記感光ドラムが収容されるとともに現像カートリッジ収容部を有するフレームと、前記フレームに対して前記感光ドラムの軸方向の端部を回転可能に支持するドラム軸受と、を有するドラムカートリッジと、現像ローラを有し、前記現像カートリッジ収容部に着脱可能に装着される現像カートリッジと、を備え、前記現像ローラは、前記現像カートリッジが前記ドラムカートリッジに装着された状態で、前記感光ドラムに接触する接触位置と、前記感光ドラムから離間される離間位置とで移動可能であり、前記ドラム軸受は、前記接触位置と前記離間位置との間を移動する前記現像ローラの前記軸方向の端部を支持する支持部を有することを特徴とする。
【0008】
また、請求項2記載のプロセスカートリッジの前記フレームは、前記現像カートリッジが前記ドラムカートリッジに装着されるときに、前記現像ローラを案内する第1案内部を有し、前記支持部は前記第1案内部よりも前記現像カートリッジの装着方向の下流側に配置され、前記第1案内部と連続して前記現像ローラを案内する第2案内部を有することを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に記載のプロセスカートリッジの前記現像ローラの前記端部は、前記離間位置において前記第2案内部と接触していることを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に記載のプロセスカートリッジの前記現像ローラは、回転軸を有し、前記支持部は、前記回転軸の前記軸方向の端部を覆うカラー部材を支持することを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に記載のプロセスカートリッジの前記ドラム軸受は、前記フレームの材料よりも摺動性の高い材料で構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明では、ドラム軸受が、接触位置と離間位置との間を移動する現像ローラの端部を支持することで、現像ローラの端部がドラムフレームを移動するときと比べて、現像ローラの端部の摩擦が減少するため、感光ドラムと現像ローラの接触状態が安定し、良好な画像形成が可能である。
【0013】
請求項2に記載の発明では、第1案内部と第2案内部が連続することで、ドラムカートリッジに現像カートリッジを装着する際、現像カートリッジの端部がガイドされるため、容易に現像カートリッジをドラムカートリッジに装着できる。
【0014】
請求項3に記載の発明では、現像ローラの端部が離間位置において、第2案内部と接触していることで、現像ローラが離間位置から接触位置へスムーズに移動出来る。
【0015】
請求項4に記載の発明では、回転軸の端部をカラー部材が覆うことで、カラー部材の中で回転軸が回転するために、カラー部材で覆わないときよりも現像ローラの端部とドラム軸受との摩擦抵抗を小さく出来る。
【0016】
請求項5に記載の発明では、ドラム軸受はドラムフレームの材料よりも摺動性の高い材料で構成されることで、現像ローラの端部とドラム軸受の摩擦をより小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の画像形成装置の一例としてのプリンタの一実施形態を示す側断面図である。
【図2】プロセスカートリッジの右前方向からの斜視図である。
【図3】プロセスカートリッジの左側面図である。
【図4】プロセスカートリッジの平面図である。
【図5】ドラムカートリッジの右前方向からの斜視図である。
【図6(a)】ドラム左軸受の斜視図である。
【図6(b)】ドラム左軸受の側面図である。
【図7(a)】ドラム左軸受の装着を表す図である。
【図7(b)】ドラム左軸受の装着を表す図である。
【図8(a)】ドラム右軸受の斜視図である。
【図8(b)】ドラム右軸受の斜視図である。
【図9(a)】ドラム右軸受の装着を表す図である
【図9(b)】ドラム右軸受の装着を表す図である
【図10(a)】現像ローラが感光ドラムへ押圧している状態を説明する図である。
【図10(b)】現像ローラが感光ドラムから離間している状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
1.プリンタの全体構成
プリンタ1は、タンデム型のカラープリンタである。装置本体の本体ケーシング2内には、ブラック、イエロー、マゼンタおよびシアンの各色に対応して、4つのプロセスカートリッジ3が並列に配置されている。各プロセスカートリッジ3は、本体ケーシング2の上面のトップカバー4が開放された状態で、本体ケーシング2内に対して装着および離脱可能である。
【0019】
各プロセスカートリッジ3は、感光ドラム5およびスコロトロン型帯電器6を保持する
ドラムカートリッジ7と、現像ローラ8を保持し、ドラムカートリッジ7に着脱可能に装
着される現像カートリッジ9とを備えている。感光ドラム5の表面は、スコロトロン型帯
電器6によって一様に帯電された後、LEDユニット10に設けられたLEDによって選
択的に露光される。これにより、各感光ドラム5の表面に、画像データに基づく静電潜像
が形成される。各静電潜像は、現像ローラ8に担持されるトナーによって可視像化され、
感光ドラム5の表面上に、トナー像が形成される。
【0020】
用紙Pは、本体ケーシング2の底部に配置された給紙カセット11に収容されている。
給紙カセット11に収容されている用紙Pは、各種ローラにより、搬送ベルト12上に搬
送される。搬送ベルト12は、4つの感光ドラム5に下方から対向して配置されている。
搬送ベルト12上に搬送された用紙Pは、搬送ベルト12の走行により、搬送ベルト12
と各感光ドラム5との間を順次に通過する。そして、感光ドラム5の表面上のトナー像は
、用紙Pと対向したときに、転写ローラ13に印加された転写バイアスによって、用紙P
上に転写される。転写ローラ13は、各感光ドラム5に対して搬送ベルト12を挟んで対
向配置されている。
【0021】
トナー像が転写された用紙Pは、定着部14に搬送される。用紙P上に転写されたトナ
ー像は、定着部14で熱定着される。その後、用紙Pは、各種ローラにより、排紙トレイ
15に排出される。
【0022】
なお、プロセスカートリッジ3について、特定色のものをそれ以外の他色のものと区別
する場合、それらの参照符号の末尾に各色を表すK(ブラック)、Y(イエロー)、M(
マゼンタ)、C(シアン)を付す。
【0023】
また、搬送ベルト12による用紙Pの搬送方向における上流側をプリンタ1における前
側として、プリンタ1を前側から見たときをプリンタ1における左右の基準とする。プロ
セスカートリッジ3に関しては、水平方向に載置された状態で、感光ドラム5に対して現
像カートリッジ9が配置される側を前側として、プロセスカートリッジ3を前側から見た
ときを上下左右の基準とする。各図には、前後上下左右の各方向を示す矢印が
記載されている。
【0024】
2.プロセスカートリッジ
プロセスカートリッジ3は、現像カートリッジ9と、ドラムカートリッジ7とを備えている。
【0025】
(1) 現像カートリッジ
現像カートリッジ9は、図2〜5に示すように、後述する現像カートリッジ収容部16に対して着脱可能に配置される。現像カートリッジ9は、筐体17と、現像ローラ8と、供給ローラ18と、層厚規制ブレード19と、アジテータ20と、離間部21とを備えている。
【0026】
筐体17は、後側が開放されるボックス形状に形成され、トナーを収容している。
【0027】
現像ローラ8、供給ローラ18、層厚規制ブレード19およびアジテータ20は、筐体17内に保持されている。(図1参照)
離間部21は、筐体17から左右方向外方に突出し、略円筒状である。
【0028】
現像ローラ8は、図4に示すように、筐体17から後方へ露出するように配置され、筐体17の両側壁22,23に回転自在に支持されている。現像ローラ8は、回転軸の一例としての金属製の現像ローラ軸24と、現像ローラ軸24を被覆した導電性ゴムからなるゴムローラ25と、現像ローラ軸24の両端部が回転可能に挿入されたカラー部材26,27とを備える。カラー部材26,27は、それぞれ両側壁22,23の後端部から外側に突出するように、左右方向に互いに対向する位置に配置されている。カラー部材26,27は、両側壁22,23に回転自在に支持されている。
【0029】
また、現像カートリッジ9は、現像ローラ8などの駆動力が入力される現像受動ギア28を備える。現像受動ギア28は、図3に示すように、筐体17の左側の側壁22において、カラー部材26の前方に配置される。この現像受動ギア28は、現像カートリッジ9がドラムカートリッジ7に装着された状態で、後述するドラムカートリッジ7のドラム側壁35に形成された長孔49に対向する。現像受動ギア28には、図3における時計回りの方向の回転力が入力される。
【0030】
(2)ドラムカートリッジ
ドラムカートリッジ7は、ドラムフレーム29と、感光ドラム5と、フランジ部材30と、ドラム左軸受31と、ドラム右軸受32と、連結部材33と、押圧部材34とを備えている。
【0031】
ドラムフレーム29は、図5に示すように、PS(ポリスチレン)から形成され、1対のドラム側壁35,36、ドラム後壁37、ドラム上壁38およびドラム前壁39を一体的に有している。
【0032】
1対のドラム側壁35,36は、左右方向に間隔を空けて対向配置されている。
【0033】
左側のドラム側壁35は、左側壁後部40、左側壁中部41および左側壁前部42を備えている。
【0034】
左側壁後部40は、側面視略三角形状に形成されている(図3参照)。左側壁後部40は、外側方(左方)に突出して形成されている略円筒形状の保護部43と、この保護部43に囲まれた貫通孔44と、この貫通孔44の下側に形成されている左リブ45を有している(図7(a)参照)。左リブ45は、左側壁後部40の右側面から右側へ延びる第1部45Aと、第1部45Aの右端部から前側へ折れ曲がる第2部45Bとを一体的に備えている。
【0035】
左側壁中部41は、左側壁後部40よりも高さが小さい側面視略矩形状に形成され、左側壁後部40の前端下部から前方に延び、前後方向の途中で外側に屈曲し、さらに前方に屈曲して延びている。左側壁中部41は、その途中の外側に屈曲した屈曲部分46に形成された開口47と、この開口47から屈曲部分46よりも後側の部分を側面視外形略U字状に切り欠くフレームU字状切欠部48と、開口47の前方に形成された長孔49を有する。
【0036】
フレームU字状切欠部48の内面は、上面部48Aと、下面部48Bと、湾曲部48Cと、段差部48Dと、第1案内部としての傾斜部48Eとを有する。上面部48Aは、フレームU字状切欠部48の内面の上部に位置する。下面部48Bは、フレームU字状切欠部48の内面の下部に位置する。湾曲部48Cは、上面部48Aと下面部48Bをつなぐ湾曲面である。段差部48Dは、下面部48Bの前端から上方へ延びている。傾斜部48Eは、段差部48Dの上端から前上方向へ延び、長孔49につながる。
【0037】
長孔49は、屈曲部分46よりも前側の部分に、前後方向の径が上下方向の径よりも少し長く貫通して形成されている。
【0038】
左側壁前部42は、左側壁中部41の前端縁から前方へ向かうに従って斜め上方に延び
るように形成されている。
【0039】
右側のドラム側壁36は、右側壁後部50、右側壁中部51および右側壁前部52を備えている。
【0040】
右側壁後部50は、側面視略三角形状に形成されている。右側壁後部50は、ドラム右軸受32が嵌められる貫通孔53を有している。右側壁後部50は、左側壁後部40と左右方向に対向している。
【0041】
右側壁中部51は、右側壁後部50よりも高さが小さい側面視略矩形状に形成され、右側壁後部50の前端下部から前方に延び、前後方向の途中で外側に屈曲し、さらに前方に屈曲して延びている。右側壁中部51は、その途中の外側に屈曲した屈曲部分54に形成された開口55と、この開口55から屈曲部分54よりも後側の部分を側面視外形略U字状に切り欠くフレームU字状切欠部56とを有する。
【0042】
フレームU字状切欠部56の内面は、上面部56Aと、下面部56Bと、湾曲部56Cと、段差部56Dと、第1案内部としての傾斜部56Eとを有する。上面部56Aは、フレームU字状切欠部56の内面の上部に位置する。下面部56Bは、フレームU字状切欠部56の内面の下部に位置する。湾曲部56Cは、上面部56Aと下面部56Bをつなぐ湾曲面である。段差部56Dは、下面部56Bの前端から上方へ延びている。傾斜部56Eは、段差部56Dの上端から前上方向へ延びている(図9(a)参照)。
【0043】
右側壁前部52は、右側壁中部51の前端縁から前方へ向かうに従って斜め上方に延び
るように形成されている。
【0044】
ドラム後壁37は、ドラム側壁35の後端部とドラム側壁36の後端部との間に架設さ
れている。
【0045】
ドラム上壁38は、ドラム側壁35の左側壁後部40の上端部とドラム側壁36の右側
壁後部50の上端部との間に架設されている。
【0046】
ドラム前壁39は、ドラム側壁35の左側壁前部42の下端部とドラム側壁36の右側
壁前部52の下端部との間に架設され、前方へ向かうに従って斜め上方へ傾斜するように
形成されている。ドラム前壁39には、現像カートリッジ9を感光ドラム5に向けて押圧
するための押圧部材34が、左右方向の中心部を挟んで2箇所に設けられている。
【0047】
ドラム側壁35の左側壁中部41および左側壁前部42と、ドラム側壁36の右側壁中部51および右側壁前部52が、現像カートリッジ収容部16を形成している。
【0048】
感光ドラム5は、ドラム側壁35の左側壁後部40とドラム側壁36の右側壁後部50とにより保持されている。感光ドラム5は、円筒状のドラム本体57と、ドラム本体57の中心軸線に沿って延びるドラム軸58とを備えている。
【0049】
フランジ部材30は、図5及び図9(a)に示すように、ドラム本体57の両端部に固定されている。各フランジ部材30は、ドラム軸58に対して相対回転可能である。
【0050】
ドラム左軸受31は、図7(a)に示すように、ドラム本体57の左端部に固定されたフランジ部材30を相対回転可能に保持し、ドラムフレーム29の貫通孔44に嵌められている。
【0051】
ドラム右軸受32は、図2に示すように、ドラム本体57の右端部に固定されたフランジ部材30を相対回転可能に保持し、ドラムフレーム29の貫通孔53から右側に突出している。ドラム軸58の右端部は、ドラム右軸受32に相対回転不能に挿通され、ドラム右軸受32から右側に突出している。これにより、感光ドラム5のドラム本体57は、左側壁後部40と右側壁後部50との間に、ドラム軸58を中心に回転可能に設けられている。
【0052】
連結部材33は、図3に示すように、保護部43に囲まれている部分において露出している左側のフランジ部材30の端面に取り付けられている。
3.ドラム軸受
ドラム軸受の詳細な構成について説明する。図6は、ドラム左軸受31の斜視図(a)と側面図(b)である。図7(a)(b)は、ドラムフレーム29へのドラム左軸受31の装着を説明する図である。尚、図7(a)では、ドラムカートリッジにおいて、ドラム左軸受31以外は省略している。図8は、ドラム右軸受32の斜視図(a)と側面図(b)である。図9(a)と(b)は、ドラムフレーム29へのドラム右軸受32の装着を説明する図である。
【0053】
(1)ドラム左軸受
ドラム左軸受31は、ドラムフレーム29よりも摺動性の高い材料であるPOM(ポリアセタール)から形成されている。ドラム左軸受31は、図6(a)に示すように、円筒状に形成された円筒部59と、円筒部59の右側の周縁端から外側へ広がる円環板状の円環部60と、円環部60の外周縁から前方向へ突出する支持部61とを備えている。
【0054】
円筒部59は、左側壁後部40に形成された保護部43に囲まれる部分の貫通孔44の内周面よりもわずかに小さな外径を有し、貫通孔44に嵌められる。
【0055】
円環部60は、円環板状のベース部60Aと、第1凸部60Bと、第2凸部60Cと、第3凸部60Dとを備える。第1凸部60Bは、左右方向にやや厚い板状であり、ベース部60Aの外周縁から径方向外側へ突出している。第2凸部60Cは、ベース部60Aの外周縁から左方向へ突出し、途中で径方向外側へ折れ曲がっている。第3凸部60Dは、幅方向に薄い板状であり、ベース部60Aの外周縁から径方向外側へ突出している。
【0056】
支持部61は、円環部60のベース部60Aの外周縁から突出している。支持部61は、上端縁61Aと、下端縁61Bと、上側前端縁61Cと、下側前端縁61Dと、第2案内部61Eとを備える。上端縁61Aと下端縁61Bは、円環部60のベース部60Aの外周縁から前方に、互いに略平行になるように直線状に延びている。上側前端縁61Cは、上端縁61Aの前端から斜め前下方向に直線状に伸び、途中で下方へ直線状に延び、そして後下方向に直線状に延びている。下側前端縁61Dは、下端縁61Bの前端から上方向に直線状に伸びている。
【0057】
第2案内部61Eは、上側前端縁61Cの後下端から後方に延びる上側案内面62と、下側前端縁61Dの上端から後方に延びる下側案内面63と、上側案内面62と下側案内面63とをつなぐ湾曲した湾曲面64とを備える。上側案内面62と下側案内面63は、現像カートリッジ9がドラムカートリッジ7に装着されているときに、現像ローラ8のカラー部材26の外周面と接触する。
【0058】
次に、ドラム左軸受31のドラムフレーム29への取り付け方法について説明する。まず、貫通孔44に、ドラム左軸受31の円筒部59が嵌め込まれる。このとき、ドラム左軸受31における円筒部59より右側の部分が左リブ45には接触せず、第3凸部60Dが左リブ45に対して斜め前側上方に、第1凸部60Bが上側に向くように位置するようにする。そして、第1凸部60Bを押して、第3凸部60Dが左リブ45に近づく方向(図示太線矢印参照。)へドラム左軸受31を反時計回りに回動させる。その後、第3凸部60Dが左リブ45の第1部45Aに当接すると、第3凸部60Dが左リブ45においてドラムフレーム29の左側のドラム側壁35に係合し、ドラム左軸受31の回動が停止する。これにより、ドラム左軸受31の取付けが完了する。
【0059】
ドラム左軸受31の下側案内面63と左側壁中部41の傾斜部48Eは、図7(a)に示すように、左側壁中部41の段差部48Dと支持部61の下側前端縁61Dとの上下方向の長さが等しいため、同一平面上にある。ドラム左軸受31における上側案内面62と下側案内面63との直線距離Aは、左側のドラム側壁35におけるフレームU字状切欠部48の上面部48Aと下面部48Bとの直線距離Bより短い。具体的には、ドラム左軸受31の上側案内面62と下側案内面63との直線距離Aは、カラー部材26の円筒状の部分の直径とほぼ等しい。従って、カラー部材26は、上側案内面62と下側案内面63に接触するが、左側のドラム側壁35のフレームU字状切欠部48の上面部48Aと下面部48Bには、接触しない。
【0060】
(2)ドラム右軸受
ドラム右軸受32は、ドラムフレーム29よりも摺動性の高い材料であるPOM(ポリアセタール)から形成されている。ドラム右軸受32は、図8(a)に示すように、円筒状に形成された左円筒部65と、円筒状に形成された右円筒部66と、左円筒部65の右側の周縁端から外側へ広がる円環板状の円環部67と、円環部67の外周縁から前方向へ突出する支持部68とを備えている。
【0061】
左円筒部65は、円環部67の左端から左側へ円筒状に突出する第1円筒部65Aと、第1円筒部65Aから突出し第1円筒部65Aよりも外径が小さい第2円筒部65Bと、第2円筒部65Bから突出し第2円筒部65Bよりも外径が小さく、感光ドラム5に嵌められる第3円筒部65Cとを備える。
【0062】
右円筒部66は、貫通孔53の内周面よりもわずかに小さな外径を有し、貫通孔53に嵌められる。
【0063】
支持部68は、円環部67の外周縁から突出している。支持部68は、上端縁68Aと、下端縁68Bと、上側前端縁68Cと、下側前端縁68Dと、第2案内部68Eとを備える。上端縁68Aと下端縁68Bは、円環部67の外周縁から前方に、互いに略平行になるように直線状に延びている。上側前端縁68Cは、上端縁68Aの前端から後下方向に曲線状に延びている。
【0064】
第2案内部68Eは、上側前端縁68Cの後下端から後方に延びる上側案内面69と、下側前端縁68Dの上端から後方に延びる下側案内面70と、上側案内面69と下側案内面70とをつなぐ湾曲した湾曲面71とを備える。上側案内面69と下側案内面70は、現像カートリッジ9がドラムカートリッジ7に装着されているときに、現像ローラ8のカラー部材27の外周面と接触する。
【0065】
ドラム右軸受32の下側案内面70と右側壁中部51の傾斜部56Eは、図9(b)に示すように、右側壁中部51の段差部56Dと支持部68の下側前端縁68Dとの上下方向の長さが等しいため、同一平面上にある。ドラム右軸受32における上側案内面69と下側案内面70との直線距離Cは、右側のドラム側壁36におけるフレームU字状切欠部56の上面部56Aと下面部56Bとの直線距離Dより短い。具体的には、ドラム右軸受32の上側案内面69と下側案内面70との直線距離Cは、カラー部材27の円筒状の部分の直径とほぼ等しい。従って、カラー部材27は、上側案内面69と下側案内面70に接触するが、右側のドラム側壁36のフレームU字状切欠部56の上面部56Aと下面部56Bには、接触しない。
4.現像ローラの押圧離間動作
図10を用いて、現像ローラ8の押圧離間動作について説明する。図10(a)は、現像ローラ8が感光ドラム5に押圧している状態を説明する図である。図10(b)は、現像ローラ8が感光ドラム5から離間している状態を説明する図である。図10(a)及び(b)は、プロセスカートリッジ3の右側面を表している。
【0066】
プリンタ1は、本体ケーシング2の側壁に設けられた1対の直動カム部材72を備える。直動カム部材72は、本体ケーシング2の内側面に沿って前後方向に延びる薄板状である。直動カム部材72は、前後方向に等間隔を隔てて、前後方向に長い略矩形状に形成された4つの切欠部73と、切欠部73間を直線状につなぐ連結部74とを備える。
【0067】
切欠部73は、連結部74の後端から下方に直線状に延びる前面部73Aと、前面部73Aの下端から後方に直線状に延びる底面部73Bと、底面部73Bの後端から斜上方向へ直線状に延びる傾斜部73Cとを備える。
【0068】
現像カートリッジ9の筐体17は、現像カートリッジ9をドラムカートリッジ7に装着したときに、押圧部材34に当接する(図2参照)。現像ローラ8は、この押圧部材34の押圧力(付勢力)により、感光ドラム5に圧接される。すなわち、現像ローラ8は、感光ドラム5と接触する接触位置に位置する。現像カートリッジ9の離間部21は、図10(a)に示すように、現像ローラ8が接触位置に位置するとき、直動カム部材72の底面部73Bと間隔を隔てて位置している。現像ローラ軸24のカラー部材27は、第2案内部68Eに位置し、カラー部材27の外周面が第2案内部68Eの上側案内面69と下側案内面70に接触している。この状態から、図示しないモータの駆動力が直動カム部材72に入力されて、直動カム部材72が前方に移動されると、図10(b)に示すように、離間部21は傾斜部73Cを経て、直動カム部材72の連結部74の位置へと移動する。これにより、現像ローラ8と感光ドラム5が離間される。すなわち、現像ローラ8は、感光ドラム5から離間している離間位置に位置する。カラー部材27の外周面は、現像ローラ8が離間位置に位置するとき、現像ローラ軸24のカラー部材27の外周の右端が第2案内部68Eから右側へはみ出しているが、ドラムカートリッジ7の右側壁中部51には接触せず、第2案内部68Eの上側案内面69と下側案内面70に接触している。
【0069】
以上のように、ドラム軸受31、32が、接触位置と離間位置との間を移動する現像ローラ軸24の端部を覆うカラー部材26,27を支持することで、カラー部材26,27がドラムフレーム29を支持するときと比べて、カラー部材26,27の摩擦抵抗が減少する。そのため、感光ドラム5と現像ローラ8の接触状態が安定し、良好な画像形成が可能である。
【0070】
また、現像ローラ8が離間位置に位置するときにおいても、カラー部材26,27が上側案内面62、69と下側案内面63、70に接触していることで、離間から接触への移動がスムーズである。
5.ドラムカートリッジに対する現像カートリッジの装着
図10(a)を使ってドラムカートリッジ7に対する現像カートリッジ9の装着を説明する。
図10(a)中の点線は、カラー部材27のドラムカートリッジ7への装着途中を表している。
【0071】
現像カートリッジ9は、ドラムカートリッジ7に対して、感光ドラム5の前方から装着
する。この装着に際しては、まず、現像カートリッジ9の筐体17から左右両側に突出す
るカラー部材27が傾斜部56E(図9(a)参照)に嵌められ、カラー部材27の外周面が、傾斜部56Eに接触する。そして、現像カートリッジ9が後方へ押されることにより、現像カートリッジ9は、カラー部材27がドラム軸受の上側案内面69とドラム軸受の下側案内面70に接触して案内されつつ後方へ移動する。
【0072】
以上のように、傾斜部56Eと下側案内面70が同一平面状にあることで、ドラムカートリッジ7に現像カートリッジ9を装着する際、カラー部材27がガイドされるため、容易に現像カートリッジ9をドラムカートリッジ7に装着できる。
【0073】
この移動中に、現像カートリッジ9の筐体17が押圧部材34に当接し、押圧部材34の押圧力に抗して、筐体17が下方へ押し下げられることにより、ドラムカートリッジ7に対する現像カートリッジ9の装着が完了する。この状態では、現像カートリッジ9は、押圧部材34の押圧力(付勢力)により、現像ローラ8が感光ドラム5に圧接されている。尚、右側壁35について説明したが、左側壁36も同様である。
【0074】
本実施形態では、現像ローラ軸24の端部をカラー部材26,27で覆ったが覆わなくてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 プリンタ
3 プロセスカートリッジ
5 感光ドラム
7 ドラムカートリッジ
8 現像ローラ
9 現像カートリッジ
16 現像カートリッジ収容部
24 現像ローラ軸
26 カラー部材
27 カラー部材
29 ドラムフレーム
31 ドラム左軸受
32 ドラム右軸受
48E 傾斜部
56E 傾斜部
61 支持部
61E 第2案内部
68 支持部
68E 第2案内部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像が形成される感光ドラムと、前記感光ドラムが収容されるとともに現像カートリッジ収容部を有するフレームと、前記フレームに対して前記感光ドラムの軸方向の端部を回転可能に支持するドラム軸受と、を有するドラムカートリッジと、
現像ローラを有し、前記現像カートリッジ収容部に着脱可能に装着される現像カートリッジと、を備え、
前記現像ローラは、前記現像カートリッジが前記ドラムカートリッジに装着された状態で、前記感光ドラムに接触する接触位置と、前記感光ドラムから離間される離間位置とで移動可能であり、
前記ドラム軸受は、前記接触位置と前記離間位置との間を移動する前記現像ローラの前記軸方向の端部を支持する支持部を有することを特徴とする、プロセスカートリッジ。
【請求項2】
前記フレームは、前記現像カートリッジが前記ドラムカートリッジに装着されるときに、前記現像ローラを案内する第1案内部を有し、
前記支持部は前記第1案内部よりも前記現像カートリッジの装着方向の下流側に配置され、前記第1案内部と連続して前記現像ローラを案内する第2案内部を有することを特徴とする、請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項3】
前記現像ローラの前記端部は、前記離間位置において前記第2案内部と接触していることを特徴とする、請求項2に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項4】
前記現像ローラは、回転軸を有し、
前記支持部は、前記回転軸の前記軸方向の端部を覆うカラー部材を支持することを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項5】
前記ドラム軸受は、前記フレームの材料よりも摺動性の高い材料で構成されることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6(a)】
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【図6(b)】
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【図7(a)】
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【図7(b)】
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【図8(a)】
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【図8(b)】
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【図9(a)】
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【図9(b)】
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【図10(a)】
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【図10(b)】
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【公開番号】特開2012−118176(P2012−118176A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266162(P2010−266162)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】