説明

プロセスユニット交換システムおよびそのシステムで使用される画像形成装置

【課題】安価で手軽に、非純正品プロセスユニットの交換を禁止できるプロセスユニット交換システムの提供。
【解決手段】発注サイン記号に対し所定ルールに基づく一意の相互対応関係を有したパスワードを使用し、装着されたプロセスユニット50の状態を監視し、プロセスユニットを使用不可した時には、任意の発注サイン記号41を生成し、発注サイン記号を含むプロセスユニット発注書40を印刷し、発注サイン記号とパスワード51とを対応付けた発注済情報を記憶保存する画像形成装置20と発注書の発注サイン記号に基づき、配送すべきプロセスユニットとパスワードを発行するカスタマーズセンター30とにより構成され、画像形成装置は、プロセスユニットが交換装着された時、プロセスユニットに伴っているパスワードを入力させ、パスワードと発注済情報との対応関係を所定ルールにより判別し、対応している時には、プロセスユニット50を有効とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置のトナーカートリッジやドラムユニットなどのプロセスユニットの交換に関するプロセスユニット交換システムおよびそのシステムで使用される画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、複写装置やファクシミリ装置などの電子写真方式の画像形成装置では、トナーカートリッジやドラムユニットなどのプロセスユニットが着脱自在とされ、消耗品として取り扱われ、寿命がくると新品に自由に交換できるようになっている。例えば、トナーカートリッジの場合、トナーが欠乏(消耗)すると、ユーザは古いトナーカートリッジを取り外し、新しいトナーカートリッジを装着する。
【0003】
これらの消耗品としては、画像形成装置の供給者側が生産する純正品が使用されることが一般的であるが、近年、第三者が供給する使用済み純正品を改造して生産した品質の不確かな非純正品(いわゆる海賊版)が安価に出回っているため、それを利用するケースも増加している。
【0004】
ところが、非純正品を使用すると、その品質が粗悪であれば、交換、装着した際に作動する、トナー濃度の検出や攪拌などの初期動作の結果に狂いが生じ、そのため画質が低下し、さらに長期間使用した場合には装置内の部品の劣化を引き起こすことさえあり、予期せぬトラブルが引き起こされることもある。
【0005】
そこで、非純正品の利用を禁止するために、純正品プロセスユニットの梱包ケースにICタグを取り付けて、装置に装着するときに、装置に備える読取装置(RF−IDリーダ)でICタグの情報を読み取らせて、ICタグの情報を判別して純正品と判断したときのみ正規な交換装着であることを許諾するようにした消耗品交換方法が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−215441号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、ICタグによる消耗品交換方法を採用するためには、画像形成装置にRF−IDリーダを備えなければならず、そのため画像形成装置を交換するかRF−IDリーダを後付けし、かつそのリーダ装置に関するソフト処理を付加するために装置を改造しなければならず、利用者に多大な負担がかかってしまう。また、生産者もICタグの製造、貼着などのコスト増が強いられる。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮して提案されたもので、より安価で手軽に、非純正品プロセスユニットの交換を禁止できるプロセスユニット交換システム、およびそのシステムで使用される画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載のプロセスユニット交換システムは、発注サイン記号と、発注サイン記号に対し所定ルールにもとづく一意の相互対応関係を有したパスワードとを使用したプロセスユニット交換システムであって、装着された交換可能なプロセスユニットの状態を監視しながら、プロセスユニットを使用不可と判断したときには、任意の発注サイン記号を生成可能とした所定の生成処理で発注サイン記号を生成し、生成した発注サイン記号を含むプロセスユニット発注書を印刷し、該発注サイン記号が発行済であることを示した発注済情報を記憶保存するようにした画像形成装置と、受け取ったプロセスユニット発注書に印字された発注サイン記号にもとづいて、配送すべきプロセスユニットにともなわせるパスワードを発行するカスタマーズセンターとより構成され、画像形成装置は、カスタマーズセンターより配送されてきたプロセスユニットが交換装着されたときには、該プロセスユニットにともなっているパスワードをガイド入力させ、入力されたパスワードと記憶保存された発注済情報との対応関係を所定ルールにより判別し、対応していると判断したときには、装着されたプロセスユニットを有効と判断することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の画像形成装置は、請求項1に記載のプロセスユニット交換システムを構成する画像形成装置であって、装置に装着された交換可能なプロセスユニットの状態を監視しながら、プロセスユニットを使用不可と判断したときには、任意の発注サイン記号を生成可能とした所定の生成処理で発注サイン記号を生成し、生成した発注サイン記号を含むプロセスユニット発注書を印字部より印刷させ、該発注サイン記号が発行済であることを示した発注済情報を記憶部に保存するようにしたユニット監視・制御手段を備え、ユニット監視・制御手段は、プロセスユニット発注書を印刷させた後、カスタマーズセンターより配送されてきたプロセスユニットが交換装着されたときには、プロセスユニットにともなっているパスワードをガイド入力させ、入力されたパスワードと記憶部に保存されている発注済情報との対応関係を所定ルールにより判別し、対応していると判断したときには、装着されたプロセスユニットを有効と判断することを特徴とする。
【0010】
請求項3では、請求項2においてプロセスユニットがトナーカートリッジである。
【0011】
請求項4では、請求項2または3において、発注サイン記号がQRコードである。
【0012】
請求項5では、請求項2〜4のいずれか1項において、ユニット監視・制御手段は、プロセスユニットが使用不可となった時から、交換装着されたプロセスユニットを有効と判断するまでの間はユニット交換禁止状態とし、ユニット交換禁止状態を報知する報知手段をさらに備えている。
【0013】
請求項6では、請求項2〜5のいずれか1項において、ユニット監視・制御手段は、交換装着されたプロセスユニットを有効と判断したときに、所定の初期処理を実行する。
【0014】
請求項7では、請求項2〜6のいずれか1項において、プロセスユニット発注書を再発行する再発行指示手段をさらに備えている。
【0015】
請求項8に記載のカスタマーズセンターは、請求項1に記載のプロセスユニット交換システムを構成するカスタマーズセンターであって、画像形成装置が発行したプロセスユニット発注書に印字された発注サイン記号の入力を受け付けて、発注サイン記号を所定ルールにもとづいてパスワードに変換するパスワード発行装置を備えている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1〜8に記載の本発明によれば、画像形成装置が印刷したプロセスユニット発注書に含まれる任意に生成した発注サイン記号にもとづいて、カスタマーズセンターがその発注サイン記号に一意に対応したパスワードを発行して、プロセスユニットとともに配送し、画像形成装置では、ユニット交換するときにそのパスワードを入力させることによって、その交換を有効としているため、中古品を改造した海賊版が交換装着されるおそれはほとんどない。
【0017】
本発明では、画像形成装置のプロセスユニットを交換するにあたり、発注サイン記号とパスワードという2つのキーに、所定ルールにもとづく一意の相互対応関係を持たせ、それらの対応関係を、画像形成装置とプロセスユニットを供給するカスタマーズセンターの2者にのみ秘匿させているため、第三者が入り込む余地はなく、正規なプロセスユニットのみが使用されうることとなる。
【0018】
しかも、画像形成装置とカスタマーズセンターの2者間では、発注サイン記号とパスワードの両者が同時にやりとりされることはなく、一意の相互対応関係が第三者にもれるおそれもない。
【0019】
また、発注サイン記号やパスワードを印字した紙のやりとりと、種々の変換用のソフト処理を行うことでシステムを実施できるため、ICタグを使用するものにくらべて、コストがかからず、ユーザ、生産者の双方にとって効果的であり、多くのユーザは画像形成装置を新製品に買い換えることなく、また費用をかけて大きく改造することなく簡易にシステムを利用することができる。
【0020】
請求項3に記載の本発明は、交換可能なプロセスユニットの対象としてトナーカートリッジを規定いる。そのため、消耗し処分されたトナーカートリッジが海賊版として使用されても、ユーザの画像形成装置で、そのような海賊版が使用されることはない。
【0021】
請求項4に記載の本発明では、発注サイン記号としてQRコードを使用しているため、システムの形成を簡易に実現できる。もちろん、パスワードとの一意な対応関係が秘匿されているため、QRコードが第三者に読み取られたとしても、純正品以外のプロセスユニットが有効なものとして装着されるおそれはない。また、OCRにくらべて誤読取の問題も少ない。
【0022】
請求項5に記載の本発明によれば、プロセスユニットが使用不可となった時から、交換装着されたプロセスユニットを有効と判断するまでの間はユニット交換禁止状態として報知するようにしているため、ユーザは海賊版などを装着できない状態であることを知ることができる。
【0023】
請求項6に記載の本発明によれば、交換装着されたプロセスユニットを有効と判断したときに所定の初期処理を実行するので、誤った条件下で初期処理が実行されることがなく、画質の低下や装置内の部品の劣化を引き起こすことがない。
【0024】
請求項7に記載の本発明によれば、画像形成装置がプロセスユニット発注書を再発行する再発行指示手段をさらに備えているため、発注書を紛失したり、発注書の発注サイン記号が汚れて読み取れなくなったりしても、発注書の再発行が容易にでき、プロセスユニットの交換が不可となったり遅延したりするおそれがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【0026】
図1は、本発明のプロセスユニット交換システムの一例を示したシステム系統図である。
【0027】
同システムは、ユーザ側のオフィス等に設置されたファクシミリ装置や複写機、複合機などの画像形成装置20と、その画像形成装置20に交換装着される新規なプロセスユニット50を供給するカスタマーズセンター30とを含んで構成されている。
【0028】
ここで、プロセスユニット50とは消耗品であり、消耗したときに装置に対して交換可能なユニットを意味している。具体的には、トナーカートリッジや現像器ユニット、ドラムユニットが含まれる。
【0029】
同システムでは、画像形成装置20が稼動中のプロセスユニット50の状態を常時監視して、消耗して使用不可となったときに、任意に抽出した発注サイン記号41を含むプロセスユニット発注書40を印刷出力し、その発注書40を受け取ったカスタマーズセンター30は、発注サイン記号41に一意に対応したパスワード51を取り出して発行し、それを発送するべきプロセスユニット50に同梱または貼着し、発注してきたユーザに発送し、発注側では配送されてきたプロセスユニット50を装着するとともに、それにともなっているパスワード51を装置20に入力することによって、有効な装着を行わせるようにしたものである。
【0030】
ここで、発注サイン記号41とパスワード51は、所定ルールにもとづく一意の相互対応関係を有しており、画像形成装置20およびカスタマーズセンター30ではいずれも、そのような所定ルールによる変換/逆変換を可能としている。なお本例では、カスタマーズセンター30は、発注サイン記号41からパスワード51に変換するためのパスワード発行装置31を備えている。
【0031】
なお本図は、同システムの構成、動作を簡易に示したものであり、詳細な説明については図2〜7に委ねる。また、図1の(1)発注サイン記号印字、(2)パスワード発行、(3)パスワード入力はそれぞれ、画像形成装置20、カスタマーズセンター30、画像形成装置20で順次実行されるもので、対応したフローチャートを、後述する図5〜7に示している。
【0032】
また、図1中の2重線矢印は、プロセスユニット発注書40およびプロセスユニット50の流れを示している。なおプロセスユニット発注書40については、ファクシミリ送信することが望ましい。
【0033】
図2は、本発明の一例であるファクシミリ装置20の外観を示した斜視図である。図3は、同ファクシミリ装置20におけるトナーカートリッジ50の交換を説明するための斜視図である。
【0034】
同ファクシミリ装置20の本体には、図2に示すように、原稿読取機構4A、操作部6、表示部7、複数の記録紙カセット部11、11などとともに、トナーカートリッジ装着部10aを備えている。図3は、このトナーカートリッジ装着部10aの扉を開けてトナーカートリッジ50を装着している状態を示した図である。
【0035】
本発明は、トナーの交換が必要となったときに新規なトナーカートリッジを交換装着するだけで、その交換カートリッジを有効なトナーカートリッジとして即、利用可能とするものではなく、ファクシミリ装置20で使用不可と判断してから所定の動作、手続を経て、その後、カスタマーズセンター30から発送されてきた新規なトナーカートリッジ50を装着し、さらに所定の手続、動作を実行することによって有効とするものである。
【0036】
図4は、同ファクシミリ装置20の基本内部構成を示すブロック図である。
【0037】
このファクシミリ装置20は、CPU1、NCU2、モデム3、原稿読取走査を行う読取部4、読み取った画像データを保存する画像メモリ5、操作部6、表示部7、ROM8、RAM9、印字部10を備えている。
【0038】
CPU1は、ROM8等に格納された各プログラムにしたがって、上記各部を制御するとともに、後述するように、使用中のトナーカートリッジ50の状態および装着を監視するとともにトナー交換に関する種々の制御を行うユニット監視・制御手段を、種々のプログラムとともに構成している。
【0039】
NCU2は、公衆回線Nに対する発信、着信の網制御を行い、モデム3は、送受信データの変調および復調を行う。これらにより、ファクシミリ送受信基本動作を実行する。
【0040】
操作部6は、各種スイッチ(図2参照)を備えるほか、表示部7と兼用された操作表示パネル(LCD、図2参照)による操作手段や、トナーカートリッジ発注書40を再発行するための再発行指示手段を構成する再発行ボタン6aを備えている。また表示部7はLEDなどのランプも含んでいる。
【0041】
ROM8は各種プログラムや定数データが保存され、RAM9は、任意の発注サイン記号41を抽出するための発注サイン記号抽出テーブル9aと、トナーカートリッジ発注書40を発行した場合にその発注済情報を記憶保存する発注済情報9bとを備えている。
【0042】
ここで、発注済情報9bは、発行した発注サイン記号を示すもので、発行した発注サイン記号41または対応するパスワードなど、発行した発注サイン記号41を認識することのできる情報が含まれる。
【0043】
印字部10は、図示しない種々の印字機構を有するとともに、上述したトナーカートリッジ装着部10a、トナーカートリッジ50のトナーカートリッジ装着部10aへの装着を検知するための装着検知センサ10bを備えている。
【0044】
このファクシミリ装置20は、モデム3、NCU2を介して、読取部4より読み取った画像データを相手先のファクシミリ装置(不図示)に対して送信するファクシミリ送信機能、画像データを受信し、受信した画像データを画像メモリ5に保存し、順次読み出して復号して、印字部10によって印字出力するファクシミリ受信機能、読取部4より読み取った画像を画像メモリ5に保存し、印字部10で印字出力する複写基本機能を備えている。
【0045】
図5は、ファクシミリ装置20のトナー状態監視の基本動作を示した図で、図1の(1)発注サイン記号印字の詳細動作を示したフローチャートである。
【0046】
ユニット監視・制御手段1は、トナー濃度、トナー残量などを常時監視しており、所定の判断基準によりトナー欠乏を検出してトナーカートリッジ50の使用不可を判断すれば、その旨を表示部7(操作表示パネル)に表示し、トナー交換禁止状態へ移行する(101〜103)。このトナー欠表示は発生したときのみ表示するようにしてもよいが、トナー交換禁止状態を表わす表示として、有効にトナーカートリッジ50が装着されてトナー交換禁止状態が解除されるまで表示するようにすればよい。
【0047】
ついでユニット監視・制御手段1は、発注サイン記号の発行処理を行う(104)。この処理では、発注サイン記号とパスワードとを1対1に対応させた発注サイン記号抽出テーブル9aより任意の発注サイン記号41を抽出する。
【0048】
さらにユニット監視・制御手段1は、抽出した発注サイン記号41を含んだトナーカートリッジ発注書40を印字部10より印刷させ、印字した発注サイン記号41またはその記号に対応するパスワードを発注済情報9bとして記憶保存する(105、106)。
【0049】
発注サイン記号抽出テーブル9aは、複数の発注サイン記号と、それと同数のパスワードとが一意に対応付けられており、任意にポインタを指定することで任意の発注サイン記号41を抽出することができ、抽出し発行した発注サイン記号41そのものまたは対応するパスワードを発注済情報9bとして記憶保存する。なお、発注済情報9bとして上記ポインタを保存するようにしてもよい。
【0050】
発注サイン記号41の発行処理(104)としては、発注サイン記号抽出テーブル9aによるものに限定されず、複数の発注サイン記号を羅列させたテーブルより任意に抽出して、その発注サイン記号から対応するパスワードを所定の逆変換処理(復号処理)で生成するようにしてもよい。また、複数のパスワードを羅列させたテーブルより任意に抽出して、そのパスワードから対応する発注サイン記号を所定の変換処理(暗号化処理)で生成するようにしてもよい。
【0051】
また、発注サイン記号41は、カスタマーズセンター30に設置したパスワード発行装置31で機械的に読取できるように、QRコード読取装置で読取可能なQRコードや、OCRで読取可能な英数字等とすることが望ましいが、少なくともトナーカートリッジ発注書40に印字部10で印字可能なものであればよいため、その他の文字、記号、絵、シンボル、バーコードなどでもよい。
【0052】
なお本発明システムでは、発注サイン記号とパスワードの双方を表示した記録紙等がやりとりされることはないため、パスワードを容易に想起できるような発注サイン記号を使用しても問題はないが、望ましくは、視認によって関連付けられないもののほうがよい。
【0053】
また、印刷したトナーカートリッジ発注書40を紛失した場合や、発注サイン記号41を印字した箇所が汚れた場合には、操作部6の再発行ボタン6aを操作すれば、記憶保存した発注済情報9bより同一の発注サイン記号を取り出して、再度、同一の発注書40を発行することができる。
【0054】
以上のようにして発行されたプロセスユニット発注書40は、カスタマーズセンター30にファクシミリ送信される。
【0055】
図6は、カスタマーズセンター30におけるパスワード発行装置31の基本動作を示した図で、図1の(2)パスワード発行の詳細動作を示したフローチャートである。
【0056】
パスワード発行装置31は、トナーカートリッジ発注書40に印字されている発注サイン記号41を読取装置(不図示)で読み取り、読み取った発注サイン記号41を所定ルールにもとづいてパスワード51に変換し、そのパスワード51を発送するトナーカートリッジ50に同梱または貼着する用紙に印字する(201〜203)。なお、カスタマーズセンター30の担当者がプロセスユニット発注書40を見ながら、発注サイン記号41をパスワード発行装置31に入力してもよい。
【0057】
発注サイン記号とパスワードとの対応は画像形成装置20におけるものと同様であり、画像形成装置20において使用する発注サイン記号抽出テーブル9aと同等のテーブルを使用すればよい。また、復号処理によってパスワードを求めてもよい。
【0058】
また、発注サイン記号を読取装置で読み取らせることとすれば、読取、変換、印刷の一連の処理をパスワード発行装置31において自動で行うことができるが、その一部のみ(例えば、変換のみ)を装置にさせてもよいし、上記一連の処理の全てを機械(装置)を使用せずにしてもよい。例えば、OCR、読取装置などを使用することなく人が発注書の発注サイン記号を確認し、紙などに印刷して準備しておいた発注サイン記号/パスワード変換表を用いてパスワードを抽出、決定し、そのパスワードを用紙に手書きして、その用紙をトナーカートリッジにともなわせてもよい。
【0059】
図7は、ファクシミリ装置20におけるトナーカートリッジ50の装着時の動作を示した図で、図1の(3)パスワード入力の詳細動作を示したフローチャートである。
【0060】
ユニット監視・制御手段1は、トナー装着検知センサ10bの検知信号を受けると、トナーカートリッジ50がトナーカートリッジ装着部10aに装着されたものと判断して、表示部7にパスワードの入力をガイドする指示表示をさせる(301、302)。
【0061】
そのガイド表示に対してパスワード51の入力があったときには、入力されたパスワード51が記憶保存していた発注済情報9bと一致しているかを判別し、一致していればトナー交換禁止状態を解除して、表示部7に表示させていたトナー欠表示を非表示とし、トナーカートリッジ50の交換装着を有効と判断して、トナー交換初期設定処理を実行する(303〜307)。
【0062】
トナー交換初期設定処理には、攪拌やトナー濃度の検知と、検知濃度にもとづく種々の設定処理が含まれる。
【0063】
パスワードの入力が一定時間なかった場合はエラーとして処理を終了する(310、311)。また、複数回の誤入力があった場合も、エラーとして処理を終了する(308、309)。
【0064】
以上のように、ファクシミリ装置20とカスタマーズセンター30との間で、発注サイン記号41とパスワード51という2つのキーに対し、所定ルールにもとづく一意の相互対応関係を持たせて、それらを個別にやりとりしているため、ファクシミリ装置のトナーカートリッジを交換するにあたり、第三者が上記2つのキーを知りうる余地はなく、そのため正規なトナーカートリッジのみが使用される。また、この構成によれば純正品のみが有効と判断されるため、中古品を改造した海賊版が交換装着されるおそれはない。
【0065】
また、発注サイン記号41やパスワード51を印字した紙のやりとりと、種々の変換用のソフト処理を行うことでシステムが実施できるため、ICタグなどを付加するものにくらべて、コストがかからず、ユーザにも生産者にも効果的であり、多くのユーザは画像形成装置を新製品に買い換えることなく、また費用をかけて大きく改造することなく簡易にシステムを利用することができる。
【0066】
しかも、画像形成装置20とカスタマーズセンター30の2者間では、発注サイン記号41とパスワード51の両者が同時にやりとりされることはなく、一意の相互対応関係が第三者にもれるおそれもきわめて少ない。
【0067】
また、本システムによれば、トナーを使用不可と判断してから新たなトナーカートリッジを発注する構成であるため、カートリッジの在庫を持つ必要がない。トナーの使用不可の判断基準を使用余地を有したものとすれば、たとえ在庫がなくても、使用不可と判断されてから、新たなトナーカートリッジが送られてくるまでファクシミリ装置が使用できなくなるという事態を回避することができる。
【0068】
さらに、画像形成装置20が、発注に対応したパスワード以外のパスワードの入力を受け付けて禁止状態を解除できるようにしてもよい。このような構成とすれば、ユーザ側ではパスワードを対応付けたトナーカートリッジの在庫を持つことができ、使用中のトナーが使用不可となりトナー交換禁止状態となっても、在庫のトナーカートリッジを装着して、そのパスワードを入力することで、発注に対して送られてくるパスワードを待つことなく、交換禁止状態を解除することができ、禁止状態の期間が長くなることを防止できる。
【0069】
このように在庫持つためには、例えば、システム導入時に初期在庫のトナーカートリッジに対応するパスワード(または発注サイン記号)を発注済情報9bに初期登録しておけばよい。上述するように、発注済情報9bは発行した発注サイン記号41または対応するパスワードを保存管理するものであるが、在庫のトナーカートリッジに対応するものを仮想の発注情報として登録しておけばよい。このようにすれば、その後は、発注済情報9bには常にパスワードが存在するため、トナー交換禁止状態となったときでも迅速に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明のプロセスユニット交換システムの一例を示したシステム系統図である。
【図2】本発明の一例であるファクシミリ装置の外観を示した斜視図である。
【図3】同ファクシミリ装置におけるトナーカートリッジの交換を説明するための斜視図である。
【図4】同ファクシミリ装置の基本構成を示すブロック図である。
【図5】本発明システムの発注サイン記号印字の詳細動作を示したフローチャートである。
【図6】本発明システムのパスワード発行の詳細動作を示したフローチャートである。
【図7】本発明システムのパスワード入力の詳細動作を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0071】
20 ファクシミリ装置(画像形成装置)
1 CPU(ユニット監視・制御手段)
6 操作部
6a 再発行ボタン(再発行指示手段)
7 表示部
9 RAM(記憶部)
9a 発注サイン抽出テーブル
9b 発注済情報
10 印字部
10a トナーカートリッジ装着部
10b 装着検知センサ
30 カスタマーズセンター
31 パスワード発行装置
40 トナーカートリッジ(プロセスユニット)発注書
41 発注サイン記号
50 トナーカートリッジ(プロセスユニット)
51 パスワード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発注サイン記号と、該発注サイン記号に対し所定ルールにもとづく一意の相互対応関係を有したパスワードとを使用したプロセスユニット交換システムであって、
装着された交換可能なプロセスユニットの状態を監視しながら、該プロセスユニットを使用不可と判断したときには、任意の発注サイン記号を生成可能とした所定の生成処理で発注サイン記号を生成し、生成した発注サイン記号を含むプロセスユニット発注書を印刷し、該発注サイン記号が発行済であることを示した発注済情報を記憶保存するようにした画像形成装置と、受け取った該プロセスユニット発注書に印字された発注サイン記号にもとづいて、配送すべきプロセスユニットにともなわせるカスタマーズセンターにより発行されたパスワードとより構成され、
上記画像形成装置は、カスタマーズセンターより配送されてきたプロセスユニットが交換装着されたときには、該プロセスユニットにともなっているパスワードをガイド入力させ、入力されたパスワードと上記記憶保存された発注済情報との対応関係を上記所定ルールにより判別し、対応していると判断したときには、上記装着されたプロセスユニットを有効と判断することを特徴とするプロセスユニット交換システム。
【請求項2】
請求項1に記載のプロセスユニット交換システムを構成する画像形成装置であって、
装置に装着された交換可能なプロセスユニットの状態を監視しながら、該プロセスユニットを使用不可と判断したときには、任意の発注サイン記号を生成可能とした所定の生成処理で発注サイン記号を生成し、生成した発注サイン記号を含むプロセスユニット発注書を印字部より印刷させ、該発注サイン記号が発行済であることを示した発注済情報を記憶部に保存するようにしたユニット監視・制御手段を備え、
上記ユニット監視・制御手段は、上記プロセスユニット発注書を印刷させた後、カスタマーズセンターより配送されてきたプロセスユニットが交換装着されたときには、該プロセスユニットにともなっているパスワードをガイド入力させ、入力されたパスワードと上記記憶部に保存されている発注済情報との対応関係を上記所定ルールにより判別し、対応していると判断したときには、上記装着されたプロセスユニットを有効と判断することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2において、
上記プロセスユニットは、トナーカートリッジである画像形成装置。
【請求項4】
請求項2または3において、
上記発注サイン記号はQRコードである画像形成装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項において、
上記ユニット監視・制御手段は、プロセスユニットが使用不可となった時から、交換装着されたプロセスユニットを有効と判断するまでの間はユニット交換禁止状態とし、
上記ユニット交換禁止状態を報知する報知手段をさらに備えている画像形成装置。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか1項において、
上記ユニット監視・制御手段は、交換装着されたプロセスユニットを有効と判断したときに、所定の初期処理を実行する画像形成装置。
【請求項7】
請求項2〜6のいずれか1項において、
上記プロセスユニット発注書を再発行する再発行指示手段をさらに備えている画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−268781(P2008−268781A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−115022(P2007−115022)
【出願日】平成19年4月25日(2007.4.25)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】