説明

プロセッサシステム、障害処理方法及び障害処理プログラム

【課題】 固定障害が発生した場合でも、その障害を回避できる電気的条件を自動的に見つけ出して、処理の継続を可能とする。
【解決手段】 一又は二以上のプロセッサ11,12と、障害の発生箇所を解析する診断プロセッサ(DGP30)と、この解析の結果にもとづいて、その障害が間欠障害又は固定障害のいずれであるかを判断するサービスプロセッサ(SVP40)とを備え、このサービスプロセッサ40が、固定障害と判断したときに、所定の電気量を変化させながらテストプログラムを実行し、障害が発生しない電気量があると、この電気量により、固定障害が発生したプロセッサ11,12に障害発生前の処理を続行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一又は二以上のプロセッサを備えたプロセッサシステム、このシステムにおける障害に関する処理の手順を示す障害処理方法、及び、この障害処理方法を実行するための障害処理プログラムに関し、特に、プロセッサからの障害データにもとづいて間欠障害又は固定障害のいずれであるかを判断するプロセッサシステム、障害処理方法及び障害処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プロセッサを一又は二以上備えたプロセッサシステムにおいては、このシステム内で障害が発生することがある。
この障害には、固定的なもの(固定障害、固定故障)と間欠的なもの(間欠障害、間欠故障)がある。
これらのうち、固定障害は、後述する各状態を原因として常に障害が発生するものであり、その部品を交換するなど特定の処理を必要とする。
一方、間欠障害は、一時的に障害が発生するものであり、再度同じ動作を行えば正常に遂行される可能性を有している。
【0003】
固定障害の原因としては、例えば、半導体素子などのショートやオープン、許容動作範囲を超えた素子の特性劣化、プリントパターンのショートやオープン、各種接続線やケーブルなどの断線、電源装置の故障などがある。
一方、間欠障害の原因としては、例えば、コネクタやハンダ付けなどの接触不良、テープケーブル内の線間絶縁不良、許容動作範囲を超えない素子の特性劣化、各種接続線間の誘導雑音や外来雑音、温度や湿度など環境条件の不備などがある。
【0004】
ところで、発生した障害が固定障害又は間欠障害のいずれであるかを判断し、それぞれの場合で適切な処理を実行する方法が提案されている。
例えば、CPUが自己診断を実行した結果、固定障害と判断したときは、当該CPUを停止させて、他のCPUに当該CPUの停止を通知し、一方、間欠障害と判断したときは、当該CPUに所定の処理を継続させるものがある(例えば、特許文献1参照。)。
このような構成によれば、間欠障害の場合には、そのCPUを停止することなく処理を継続させることができる。
【0005】
また、障害が発生するか否かを予め診断する技術が提案されている。
例えば、システム起動時に初期診断プログラムの制御によって初期診断を行うものであって、データ処理装置の動作条件を順次変更して初期診断を行うものがある(例えば、特許文献2参照。)。
このように、動作条件を変更し厳しい動作環境下でデータ処理装置を動作させることで、部品の劣化故障などをいち早く検出することができ、稼動時における障害の発生を未然に防ぐことができる。
【特許文献1】特開昭61−101844号公報
【特許文献2】特開平01−230138号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献1に記載の技術において、固定障害と判断された場合には、当該CPUを停止させて、他のCPUに処理を継続させていた。ところが、固定障害と判断した場合でも、例えば、電圧等の動作条件を変えることで障害を回避し、当該CPUにより処理を継続させることができる場合もある。
【0007】
また、障害が発生したときに実行されていたプログラムが性能測定を目的とする場合には、CPUや記憶装置をデグレードして測定しても意味がない場合もあった。
【0008】
さらに、マルチプロセッサ構成でないシステムのCPUで障害が発生し、保守部品の入手に時間がかかる場合等では、システムを停止しておくわけにもいかない。この場合、条件が多少悪くなっても、運用を継続することが望ましかった。
しかも、障害は、いつ発生するかわからない。仮にそれがオペレータのいない夜間等に発生した場合でも、当該CPUが継続して処理する条件を自動的に見つけ出して運用を続けられる技術の提供が望まれていた。
【0009】
本発明は、上記の事情にかんがみなされたものであり、固定障害が発生した場合でも、その障害を回避できる電気的条件を自動的に見つけ出して、処理の継続を可能とするプロセッサシステム、障害処理方法及び障害処理プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するため、本発明のプロセッサシステムは、一又は二以上のプロセッサと、障害の発生箇所を解析する診断プロセッサと、解析の結果にもとづいて障害が間欠障害又は固定障害のいずれであるかを判断するサービスプロセッサとを備えたプロセッサシステムであって、サービスプロセッサが、固定障害と判断したときに、所定の電気量を変化させながらテストプログラムを実行し、障害が発生しない電気量があると、この電気量により、固定障害が発生したプロセッサに障害発生前の処理を続行させる構成としてある。
【0011】
また、本発明の障害処理方法は、障害の発生箇所を解析し、この解析の結果にもとづいて障害が間欠障害又は固定障害のいずれであるかを判断する障害処理方法であって、固定障害と判断したときに、所定の電気量を変化させながらテストプログラムを実行し、障害が発生しない電気量があると、この電気量により、固定障害が発生したプロセッサに障害発生前の処理を続行させる方法としてある。
【0012】
また、本発明の障害処理プログラムは、障害の発生箇所を解析する処理と、この解析の結果にもとづいて障害が間欠障害又は固定障害のいずれであるかを判断する処理とをプロセッサシステムに実行させるための障害処理プログラムであって、固定障害と判断したときに、所定の電気量を変化させながらテストプログラムを実行する処理と、このテストプログラムの実行中に障害が発生しない電気量があると、この電気量により、固定障害が発生したプロセッサに障害発生前の処理を続行させる処理とをプロセッサシステムに実行させる構成としてある。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、発生した障害が固定障害であると判断された場合に、所定の電気量を変化させながらテストプログラムを実行し、障害が発生しない電気量を見つけ出し、この電気量によりプロセッサを動作させることとしたため、固定障害が発生した場合でも、この固定障害が発生したプロセッサにより、障害発生前の処理を継続できる。
また、障害の発生しない電気量を自動的に見つけることができ、さらに、システムの停止を回避できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係るプロセッサシステム、障害処理方法及び障害処理プログラムの好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
[プロセッサシステム]
まず、本発明のプロセッサシステムの実施形態について、図1を参照して説明する。
同図は、本実施形態のプロセッサシステムの構成を示すブロック図である。なお、同図中の点線は、診断パスを表す。
【0016】
同図に示すように、プロセッサシステム1は、CPU11と、CPU12と、MMU21と、MMU22と、DGP30と、SVP40と、DISK41とを備えている。
CPU11,CPU12は、それぞれプロセッサである。
MMU21,MMU22は、それぞれ記憶装置である。
これらMMU21,MMU22には、テストプログラムを実行するための領域が予め用意されている。
DGP30は、診断プロセッサであって、CPU11,12から障害データを採取すると、この採取した障害データにもとづき、装置のどの部分で障害が発生したかを解析するプログラムを有している。
【0017】
SVP40は、サービスプロセッサであって、DGP30から解析結果を受信すると、動作可能条件検出プログラムの起動,演算器回路検証用テストプログラムのMMUへのライト,CPUの初期化,テストプログラムの実行指示,OSへのCPUの組込指示などを行う。
また、SVP40は、オペレータがCPU11,CPU12あるいはMMU21,MMU22に対して、DGP30を介して診断を行うことや、CPU11,CPU12,MMU21,MMU22に対して個別に電圧の上昇や下降、あるいは冷却用のファンの回転数等を制御する機能を有している。
さらに、SVP40は、DGP30を介してMMU21やMMU22に対して、データのリードやライトを行うことや、この機能を用いることによりDISK41内のテストプログラムをMMU21,MMU22にライトすることも可能である。
【0018】
DISK(記憶手段)41は、SVP40に接続されており、テストプログラムや、動作可能条件を探し出すための動作可能条件検出プログラムなどが格納されている。
テストプログラムは、障害に適したテストプログラムである。障害に適したテストプログラムとは、例えば、障害箇所が演算器であれば、演算器に負荷のかかるテストプログラム,障害箇所がLSI間のインタフェース部だった場合には、LSIのインタフェースに負荷がかかるプログラムのことである。
このテストプログラムや、DGP30が障害内容を解析するプログラム、動作可能条件を自動で探るプログラムは、予め開発しておく必要がある。本発明の障害処理は、これらのプログラムを用いて、以下の障害処理方法を自動的に行うものである。
【0019】
なお、本実施形態のテストプログラムは、特許文献2に記載の初期診断プログラムとは目的や機能が異なる。
後者の初期診断プログラムは、システム起動時に、障害の発生の有無を診断するものである。
一方、前者のテストプログラムは、システムの動作中に、障害が発生した場合に、その障害に応じたテストプログラムを実行して、所定の電気量を変化させながら、再度障害が発生するか否か判断するものである。
【0020】
[障害処理方法]
次に、本実施形態のプロセッサシステムの動作、特に、運用中にCPU12に障害が発生した場合の障害処理方法について、図2〜図6を参照して説明する。
図2は、本実施形態の障害処理方法の動作を示すフローチャート、図3〜図6は、同方法の動作手順を示す動作手順図である。
なお、図2に示すフローチャートの中で、二重枠で示した処理は、特に、本実施形態において、発明の特徴となり得る処理である。
【0021】
CPU12で1回目の障害が発生すると(ステップ10)、DGP30にて、CPU12がシステムから切り離され(ステップ11)、CPU12の障害発生時のデータ(障害データ。以降「ログ」と呼ぶ。)が採取される(ステップ12)。
この採取したログにもとづき、障害が発生した箇所が解析される(ステップ13)。ここで、障害が発生する箇所としては、例えば、CPU12の内部回路,MMU21又はMMU22とのインタフェース部などが挙げられる。
障害の発生箇所が例えばCPU12の演算器回路の故障であった場合、この情報(解析結果)が、診断パスを経由して、SVP40に通知される(ステップ14)。
【0022】
SVP40にて、解析結果が受信されると(ステップ15)、予めDISK41にインストールされていた動作可能条件検出プログラムが起動する(ステップ16)。そして、DISK41に記憶されているテストプログラムのうち、演算器回路を検証するためのテストプログラムが選択され(障害の発生箇所に適応したテストプログラムの選択)、MMU21及びMMU22内に前もって確保されているテストプログラム専用領域へライトされる(ステップ17)。
【0023】
さらに、DGP30を介してCPU12が初期化され(ステップ18)、CPU12にテストプログラムを実行させるための指示が出される(ステップ19)。
SVP40からの指示にもとづき、CPU12にて、テストプログラムが実行される(ステップ20)。このテストプログラムが正常に終了した場合は(ステップ21)、この正常に終了した旨が、CPU12からDGP30を経由してSVP40に通知される(正常終了通知、ステップ22)。
SVP40にて正常終了通知が受信されると(ステップ23)、この正常終了通知にもとづき、CPU12の1回目の障害は、間欠障害であると判断される(ステップ24)。そして、CPU12が再度初期化され(ステップ25)、CPU11で動作しているOSに対して、CPU12の組み込む指示が出される(ステップ26)。これにより、OSは、CPU12をシステムに再組み込みする(ステップ27)。
【0024】
テストプログラムの実行中に(ステップ20)、CPU12にて2回目の障害が発生した場合(図4のステップ30)、CPU12からDGP30へログが採取され(ステップ31)、このログにもとづき障害内容が解析され(ステップ32)、この解析結果が、DGP30からSVP40へ通知される(ステップ33)。
解析結果を受信したSVP40にて(ステップ34)、この解析結果の示す2回目の障害内容と1回目の障害内容が照合される(ステップ35)。照合の結果、1回目の障害内容と2回目の障害内容が一致した場合には、1回目の障害が再現したと判断し、CPU12の演算器回路故障は固定障害であるとみなされる(ステップ36)。
【0025】
固定障害であると判断した場合、動作可能条件検出プログラムは、運用条件を変えることでCPU12が動作可能かどうか確認するため、DGP30を介してCPU12の電圧を1%上昇させる(ステップ37)。そして、CPU12が初期化され(ステップ38)、CPU12に対してテストプログラム実行の指示が出される(ステップ39)。この指示にもとづき、CPU12にて、テストプログラムが実行され(ステップ40)、障害が発生するかどうかが試験される。
【0026】
テストプログラムの実行中に障害が再現された場合は(ステップ41(a))、その旨がCPU12からSVP40に通知される(障害再現通知、ステップ42)。
障害再現通知を受けたSVP40にて(ステップ43)、CPU12の電圧が2%上げられ(ステップ37)、CPU12が初期化され(ステップ38)、再度テストプログラムの実行が指示されて(ステップ39)、障害が発生するかどうかが試験される。
【0027】
このように、電圧を変えながら、これらステップ37〜ステップ43の作業を繰り返す。
この間に、障害が再現しない条件、つまり、CPU12の動作可能な条件が見つかった場合は(ステップ41(b)(図5のステップ50))、SVP40は、このときの条件で、そのままCPU12をシステムに組み込むようにOSに通知する(ステップ51)。OSは、その電圧の条件で、CPU12をシステムに再度組み込む(ステップ52)。
【0028】
一方、再現しない条件が所定範囲内で見つからないときは、今度は、電圧を下げていき、動作可能な条件が見つからないかを試験する作業を繰り返す。
例えば、この装置の電圧を変化させる幅が±10%で限界とすると、この範囲で動作可能条件が見つからなければ(所定範囲内で障害再現あり。図4のステップ41(c)、図6のステップ60)、障害再現通知を受信したSVP40にて、電圧の変化による救済は不可能と判断される(ステップ61〜ステップ63)。
【0029】
電圧による救済が不可能と判断された場合、次は、CPU12を冷却するファンの回転数を変化させていき、電圧のときと同様に、動作可能な条件が見つからないかを試験する(ステップ64)。
このように、冷却ファンの回転数を上げることでCPU12のLSI内部温度を下げ、回路特性を変化させることで故障が再現しなくなる可能性がある。
【0030】
そして、冷却ファンの回転数による試験において、所定の範囲内ですべての電気量について障害が発生したときは、電圧の変化だけでなく冷却ファンの回転数を変化させた場合でも救済できないものとして、固定障害が発生したCPU12を切り離す。これにより、その後の障害の発生を回避できる。
【0031】
[障害処理プログラム]
次に、障害処理プログラムについて説明する。
上記の実施形態におけるコンピュータ(CPU、MMU、DGP、SVP、DISK、プロセッサシステム)の障害処理機能(障害処理方法を実行するための機能)は、記憶手段(MMU、DGP、DISK、ROM、ハードディスクなど)に記憶された障害処理プログラム(テストプログラム,DGP30が障害内容を解析するプログラム,動作可能条件検出プログラムを含む)により実現される。
【0032】
障害処理プログラムは、コンピュータの制御手段(CPUなど)に読み込まれることにより、コンピュータの構成各部に指令を送り、所定の処理、たとえば、DGPのログ採取処理、障害発生箇所解析処理、解析結果通知処理、SVPのCPU初期化、間欠障害・固定障害判断処理、解析結果照合処理、電気量変化処理、CPUのテストプログラム実行、終了通知送信処理、障害再現通知送信処理などを行わせる。
これによって、障害処理機能は、ソフトウエアである障害処理プログラムとハードウエア資源であるコンピュータ(CPU、MMU、DGP、SVP、DISK、プロセッサシステム)の各構成手段とが協働することにより実現される。
【0033】
なお、障害処理機能を実現するための障害処理プログラムは、コンピュータのROMやハードディスクなどに記憶される他、コンピュータ読み取り可能な記録媒体、たとえば、外部記憶装置及び可搬記録媒体等に格納することができる。
外部記憶装置とは、CD−ROM等の記憶媒体を内蔵し、障害処理装置に外部接続されるメモリ増設装置をいう。一方、可搬記録媒体とは、記録媒体駆動装置(ドライブ装置)に装着でき、かつ、持ち運び可能な記録媒体であって、たとえば、フレキシブルディスク,メモリカード,光磁気ディスク等をいう。
【0034】
そして、記録媒体に記録されたプログラムは、コンピュータのRAM等にロードされて、CPU(制御手段)により実行される。この実行により、上述した実施形態の障害処理装置の機能が実現される。
さらに、コンピュータで障害処理プログラムをロードする場合、他のコンピュータで保有された障害処理プログラムを、通信回線を利用して自己の有するRAMや外部記憶装置にダウンロードすることもできる。このダウンロードされた障害処理プログラムも、CPUにより実行され、上記実施形態の障害処理装置の障害処理機能を実現する。
【0035】
以上説明したように、本実施形態のプロセッサシステム、障害処理方法及び障害処理プログラムによれば、故障箇所に適したテストプログラムを用いて再現試験を行ない、再現時(固定障害)には、障害装置を直ぐに切り離すのではなく、障害装置の電圧や冷却条件等の環境を変化させることにより、動作可能条件を探り、動作可能な条件が見つかれば、その動作条件にて障害装置の再組み込みを行うことができる。
つまり、発生した障害が固定障害であると判断された場合でも、電圧や冷却ファンの回転数などの所定の電気量を変化させながら、テストプログラムを実行して、障害が再現しない電気量を見つけ出すことで、そのCPUを救済できる。
【0036】
これにより、例えば、マルチプロセッサ構成でないシステムのCPUで障害が発生し、保守部品の入手に時間がかかる場合であっても、システムを停止することなく、運用を継続することができる。
また、オペレータのいない夜間等に障害が発生した場合でも、当該CPUが継続して処理する条件を自動的に見つけ出して運用を続けることができる。
【0037】
さらに、テストプログラムは、障害の発生箇所に適応したものが用意されていることから、障害の発生箇所に適応したテストプログラムを用いて試験を行なうことで、所定の電気量の変化による救済が可能か否かを確実に判断できる。
【0038】
以上、本発明のプロセッサシステム、障害処理方法及び障害処理プログラムの好ましい実施形態について説明したが、本発明に係るプロセッサシステム、障害処理方法及び障害処理プログラムは上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態では、CPUとMMUをそれぞれ二つずつ備えた構成としたが、二つずつに限るものではなく、三つ以上備えることもできる。
【0039】
また、上述した実施形態では、所定の電気量の種類として、電圧と、冷却ファンの回転数とを挙げたが、これらに限るものではなく、例えば、クロックの周波数などを所定の電気量として変化させることもできる。
さらに、所定の電気量として、電圧,冷却ファンの回転数,クロックの周波数が挙げられる場合、これらすべてについて試験を行なう必要はなく、例えば、電圧の変化による試験のみであってもよい。
【0040】
また、試験の順番は、特に限定されるものではなく、例えば、電圧→冷却ファンの回転数→クロックの周波数の順番とすることもでき、冷却ファンの回転数→クロックの周波数→電圧の順番とすることもできる。
このように、所定の電気量の種類を複数にすることで、救済の可能性を高めることができ、しかも、プロセッサシステムの回路構成に最も適した電気量を選んで効率的に試験を行なうことができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、CPU等で発生した障害の内容を解析して、処理の続行・非続行を判断する発明であるため、CPUが搭載されたシステムに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施形態におけるプロセッサシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態における障害処理方法の手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態における障害処理方法の手順を示す動作手順図であって、テストプログラムの実行により間欠障害であると判断された場合の動作手順を示す。
【図4】本発明の実施形態における障害処理方法の手順を示す動作手順図であって、テストプログラムの実行により固定障害であると判断された場合の動作手順を示す。
【図5】固定障害と判断された場合であって、ある電圧条件で障害再現がなかったときの動作手順を示す動作手順図である。
【図6】固定障害と判断された場合であって、所定の範囲内でどの電圧条件でも障害再現があったときの動作手順を示す動作手順図である。
【符号の説明】
【0043】
1 プロセッサシステム
11,12 CPU
21,22 MMU
30 DGP
40 SVP
41 DISK

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一又は二以上のプロセッサと、障害の発生箇所を解析する診断プロセッサと、前記解析の結果にもとづいて前記障害が間欠障害又は固定障害のいずれであるかを判断するサービスプロセッサとを備えたプロセッサシステムであって、
前記サービスプロセッサが、
前記固定障害と判断したときに、所定の電気量を変化させながらテストプログラムを実行し、前記障害が発生しない電気量があると、この電気量により、前記固定障害が発生したプロセッサに障害発生前の処理を続行させる
ことを特徴とするプロセッサシステム。
【請求項2】
障害の発生箇所に応じて作成されたテストプログラムを複数記憶した記憶手段を備え、
前記診断プロセッサが、前記プロセッサからの障害データにもとづいて前記障害の発生箇所を解析し、
前記サービスプロセッサが、前記解析により得られた障害の発生箇所に適応したテストプログラムを前記記憶手段から取り出して実行する
ことを特徴とする請求項1記載のプロセッサシステム。
【請求項3】
前記テストプログラムを実行した結果、その実行中に障害が発生し、この障害が、前回発生した障害と発生箇所が同一であるときは、前記固定障害であると判断する
ことを特徴とする請求項1又は2記載のプロセッサシステム。
【請求項4】
所定の電気量を変化させながら前記テストプログラムを実行させた場合において、所定の範囲内ですべての電気量について前記障害が発生したときは、前記電気量とは異なる他の種類の電気量を変化させながら前記テストプログラムを実行して障害が発生しない電気量を得る
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプロセッサシステム。
【請求項5】
所定の電気量を変化させながら前記テストプログラムを実行させた場合において、所定の範囲内ですべての電気量について前記障害が発生したときは、救済できないものとして、前記固定障害が発生したプロセッサを切り離す
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプロセッサシステム。
【請求項6】
前記電気量の種類が、電圧,冷却ファンの回転数,クロックの周波数のうちの一又は二以上を含む
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のプロセッサシステム。
【請求項7】
障害の発生箇所を解析し、この解析の結果にもとづいて前記障害が間欠障害又は固定障害のいずれであるかを判断する障害処理方法であって、
前記固定障害と判断したときに、所定の電気量を変化させながらテストプログラムを実行し、前記障害が発生しない電気量があると、この電気量により、前記固定障害が発生したプロセッサに障害発生前の処理を続行させる
ことを特徴とする障害処理方法。
【請求項8】
障害の発生箇所に応じて作成されたテストプログラムを複数記憶しておき、
前記プロセッサからの障害データにもとづいて前記障害の発生箇所を解析し、
この解析により得られた障害の発生箇所に適応したテストプログラムを取り出して実行する
ことを特徴とする請求項7記載の障害処理方法。
【請求項9】
障害の発生箇所を解析する処理と、この解析の結果にもとづいて前記障害が間欠障害又は固定障害のいずれであるかを判断する処理とをプロセッサシステムに実行させるための障害処理プログラムであって、
前記固定障害と判断したときに、所定の電気量を変化させながらテストプログラムを実行する処理と、
このテストプログラムの実行中に前記障害が発生しない電気量があると、この電気量により、前記固定障害が発生したプロセッサに障害発生前の処理を続行させる処理とを前記プロセッサシステムに実行させる
ことを特徴とする障害処理プログラム。
【請求項10】
障害の発生箇所に応じて作成されたテストプログラムを複数記憶する処理と、
前記プロセッサからの障害データにもとづいて前記障害の発生箇所を解析する処理と、
前記解析により得られた障害の発生箇所に適応したテストプログラムを取り出して実行する処理とを前記プロセッサシステムに実行させる
ことを特徴とする請求項9記載の障害処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−48586(P2009−48586A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−216644(P2007−216644)
【出願日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(000168285)エヌイーシーコンピュータテクノ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】