説明

プロテアーゼ活性化剤を含有する化粧品組成物

クリ抽出物等のプロテアーゼ活性化剤、少なくとも1種のエクスフォリエーター、および化粧品に許容されるビヒクルを含有するエクスフォリエーション用組成物、およびその使用方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚への適用のための化粧品組成物に関する。特に、本発明は、角質層に存在する酵素の活性化剤を提供することによって、皮膚の明るさ(radiance)、つや(glow)、滑らかさ、および総体的な外観を向上させる化粧品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
角質層(stratum corneum)として知られる皮膚の最上層は、主として脱水されたケラチンタンパク質からなる細胞から主として構成される。分化と呼ばれる正常なプロセスにおいては、上皮細胞は下層の細胞によって次第に表面に押し上げられ、そして剥離する。異常なプロセス、すなわちこれらの細胞が剥離しない場合、それらは表面上に蓄積して不快感を引き起こす過角化組織を形成する。哺乳動物の過角化組織には、たこ(tylomas)(たこ(calluses)およびひび)、鶏眼(helomas)(魚の目(corns))、角化症(丘疹)、および乾燥肌の薄片(scales)およびかさつき(flakes)(ふけを含む)が含まれる。
【0003】
エクスフォリエーション(剥離)は、角質層から分離できる状態にあるかさついた角質細胞の除去であり、従ってより滑らかな、かさつきの少ない皮膚を促進する。エクスフォリエーションにより、皮膚から垢、油および微生物の機械的除去が促され、皮膚の清浄化が改善される。上記で示唆したように、薄片(かさつき)の除去および油の除去を改善することに加え、エクスフォリエーションにおける他の健康上の潜在的利点は、皮膚上の細菌の減少、および機械的刺激のために皮膚への血流がおそらく増加することである。
【0004】
過角化した組織を管理する一般的な方法は、ローションもしくはクリーム担体中のα-ヒドロキシ酸(AHA)またはサリチル酸等の角質溶解剤を適用するか、または機械的にこすることでエクスフォリエーションを誘導するものである。しかしながら、こうした角質溶解剤および機械的なこすり落としは、正常な表皮に刺激を与えがちであるため、不利な場合がある。更に、化粧品への使用が許可されているサリチル酸の量は国によって異なり、従って、例えば敏感肌等の、特定の消費者のための全てのマーケットに対して1つの製品を処方する可能性がいくらか制限される。また、サリチル酸は刺激性を有するが、AHAよりは刺激が少ない。サリチル酸の量を低減するためにグルコサミンまたはその類似体等の成分がサリチル酸に添加されているが、十分なエクスフォリエーションを提供する組成物を作成する必要が残されている。
【0005】
クリの糖質(glucidic)精製画分は、接着もしくは落屑プロセスを正常化することによって皮膚のバリア機能を調節することが知られている。この調節は、表皮の脂質合成メカニズムを再構築し、表皮の分化を促進することで行われる。従って、糖質精製画分は皮膚の恒常性および皮膚の水和状態を維持することが報告されている。しかしながら、クリ抽出物を本発明の他の成分と組み合わせて、角質層の酵素機能をモジュレートすることによって皮膚をエクスフォリエーションすることは、これまで知られていない。
【0006】
このように、刺激、あるいは他の望ましくない二次的効果を回避するエクスフォリエーション用組成物および方法に対する需要がある。
【発明の開示】
【0007】
本発明は、少なくとも1種のクリ抽出物を含むプロテアーゼ活性化剤、少なくとも1種のエクスフォリエーター、および化粧品に許容されるビヒクルを含有するエクスフォリエーション用組成物を包含する。
【0008】
本発明は更に、プロテアーゼ活性化剤とエクスフォリエーターとを組み合わせてクリ抽出物等のプロテアーゼ活性化剤のエクスフォリエーション活性を増大させ、そして該プロテアーゼ活性化剤とエクスフォリエーターとを含有する組成物を皮膚に局所的に適用するステップを含む、ヒトの皮膚のエクスフォリエーション方法を包含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
角質層において、角質細胞はタンパク質間の結合ならびに糖類間の結合によって一緒に保持されている。いかなる理論にも拘束されることを望むわけではないが、酸性のクリームおよびローションの使用によってこれらの結合が切断されるが、上記のような望ましくない副作用を伴うと考えられる。酸を用いずに角質細胞間の結合を切断するためには、双方の型の結合に働きかけなければならないと考えられる。本発明の組成物は、プロテアーゼ活性化剤をエクスフォリエーターと組み合わせて、プロテアーゼ活性化剤のエクスフォリエーション活性を驚くほど増大させる。再度、いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、本発明の組成物におけるこの組み合わせは、トリプシンまたはキモトリプシン等の常在の(resident)プロテアーゼの活性を増大させて、タンパク質間の結合を切断しつつ、糖類間の結合の置き換えを可能にすると考えられる。更に、驚くべきことに、別のメカニズムに基づいて作用する既知のエクスフォリエーターと比較すると見劣りのするプロテアーゼ活性化剤の内在的エクスフォリエーション効果が、別のメカニズムで作用する既知のエクスフォリエーション剤の存在下で増大することが発見された。
【0010】
プロテアーゼ活性化剤は、下記の表2に示すように、皮膚に適用した後、単独では内在的エクスフォリエーション効果をほとんど示さなかった。更に、下記表2に示すように、既知のエクスフォリエーターとプロテアーゼ活性化剤との組み合わせを含有する組成物では、皮膚に適用後の総体的なエクスフォリエーション効果において改善が示された。驚くべきことに、プロテアーゼ活性化剤およびエクスフォリエーターの組み合わせによって、プロテアーゼ活性化剤が、単独で示すよりも高いエクスフォリエーション効果を有するようになる。
【0011】
本発明のエクスフォリエーション用組成物の第一の必須成分は、少なくとも1種のクリ抽出物を含むプロテアーゼ活性化剤である。プロテアーゼ活性化剤は、多糖(例えばオリゴ糖)、セラミド、スフィンゴシン、フィトシンおよびリシン、またはこれらを含有する好適な植物由来画分からなる群から選択される。好ましくは、クリ抽出物はブナ科のクリ(Castanea sativa)である。水およびアルコール由来抽出物、および糖質精製および加水分解ベースの抽出物を含む、クリ抽出物の種々の形態を使用することができる。好ましくは、クリの糖質精製画分(Silab社からRecoverine(登録商標)として市販されている)を本発明の組成物において使用する。クリ抽出物の活性成分としては、限定するものではないが、ラムノガラクツロナンおよびウロン酸が挙げられる。プロテアーゼ活性化剤として作用する市販の他の活性剤としては、限定するものではないが、例えばノパル(ウチワサボテン)のオリゴ糖抽出物である、Silab社のExfolactive(登録商標)が挙げられる。
【0012】
プロテアーゼ活性化剤は、反応平衡定数(Km)によって決定される量で使用する。プロテアーゼ活性化剤は、乾燥活性成分の重量で約0.001〜10%、好ましくは約0.1〜8%、最も好ましくは約0.4〜6%の量で使用する。
【0013】
本発明の第二の必須成分はエクスフォリエーターである。エクスフォリエーターは、皮膚のエクスフォリエーションに携わる分野の当業者に公知の任意の成分である。本発明のエクスフォリエーターとしては、限定するものではないが、β−ヒドロキシ酸、α−ヒドロキシ酸、N−アセチル−D−グルコサミンおよびその類似体、タンパク質分解酵素、ならびにレチノイン酸およびその誘導体が挙げられる。β-ヒドロキシ酸およびα-ヒドロキシ酸は、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、メチル乳酸(methyllactic acid)、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、糖酸、グルコヘプトン酸(glucoheptonic acid)、ガラクツロン酸、グルクロン酸、マンデル酸、粘液酸、ピルビン酸、タルトロン酸、グルコロノラクトンおよびグルコノラクトン等のラクトン、ならびにこれらの化合物のエステルおよびアルキルおよびアルケニル誘導体からなる群から選択される。タンパク質分解酵素は、パパイン、ペプシン、ペプチダーゼ、トリプシンおよびエンテロキナーゼからなる群から選択される。グルコサミンの類似体としては、限定するものではないが、スクロース、フルクトース、グルコース、キシロース、リボース、フコース、キシロース、およびこれらの二量体、三量体、およびオリゴマー、および他のポリオール類、例えばグリセロール、ソルビトールおよびこれらのオリゴマーが挙げられる。本発明において特に好ましいのは、エクスフォリエーターとしてN−アセチル−D−グルコサミン、またはエクスフォリエーターとしてN−アセチル−D−グルコサミンおよびβ-ヒドロキシ酸の組み合わせを、プロテアーゼ阻害剤と組み合わせたものである。特に好ましくは、β-ヒドロキシ酸はサリチル酸である。
【0014】
エクスフォリエーターは、約0.01〜20%、好ましくは約0.1〜5%、最も好ましくは約0.1〜2.0%の量で用いるが、量は組成物について選択されたエクスフォリエーターに応じて変動し得る。例えば、エクスフォリエーターがN−アセチル−D−グルコサミンである場合、本発明において有用な量は約0.01〜2.0%、好ましくは約0.05〜1.0%、最も好ましくは約0.1〜0.5%であり、エクスフォリエーターがサリチル酸である場合、本発明において有用な量は0.01〜5.0%、好ましくは0.05〜2.0%、最も好ましくは0.1〜1.0%である。
【0015】
本発明の組成物は、皮膚への適用後にエクスフォリエーション効果を増大し得る量で、局所的使用に有用な、実質的に任意の型のビヒクル中で使用できる。担体は、化粧品に許容されるもの、すなわち、ビヒクルが活性成分を意図される標的まで送達し、処置を意図される表面に適用したときに平均的なヒトに害を引き起こさない、皮膚への適用のために意図される、化粧品的使用のためのビヒクルである。本明細書において使用する「化粧品」とは、活性成分が混和できるヒト用の化粧品、例えばゲル、クリーム、ローション、軟膏、スプレー、固形スティック、粉末、懸濁液、分散液等を包含するものと理解されるであろう。種々の型のビヒクルの製剤化のための技術は、当業者には周知であり、例えば、Chemistry and Technology of the Cosmetics and Toiletries Industry、WilliamsおよびSchmitt編、Blackie Academic and Professional、第2版、1996、 Harry's Cosmeticology、第8版、M. Reiger編、(2000)、およびRemington: The Science and Practice of Pharmacy、第20版、A. Gennaro編、(2003)(これらの各内容は参照により本明細書に組み入れる)に見出すことができる。
【0016】
成分が本発明の必須成分と混和し得るという条件で、局所送達に有用な典型的な任意の組成物、例えば水性分散液、無水組成物、エマルジョン(水中シリコン型/水中油型、油中水型/シリコン中水型)、多相エマルジョン、マイクロエマルジョン、ナノエマルジョン)を用いることができる。例えば、シリコン系乳化剤のいくつかはある種の成分と混和しない場合があるが、その場合には、非シリコンベースのエマルジョン組成物を使用するべきである。このような必要性は慣用的な実験を通じて決定できる。
【0017】
任意成分
更なる成分としては、限定するものではないが、抗酸化剤(BHT等);キレート剤(EDTA二ナトリウム等);防腐剤(メチルパラベン等);香料(ピネン等);湿潤剤(グリセリン等);保湿剤(コレステロール、ブチレングリコール等);ビタミン(トコフェロール等);日焼け止め剤(オクチルメトキシシンナメート、二酸化チタン、酸化亜鉛、カンファー誘導体、桂皮酸塩、サリチル酸塩、ベンゾフェノン、トリアジン、PABA誘導体、ジフェニルアクリレート誘導体、およびジベンゾイルメタン誘導体)等が挙げられる。
【0018】
組成物はまた、1種以上の更なる活性成分を含有していても良く、従ってエクスフォリエーション用化粧品の他に、例えば抗老化用の化粧品もしくは医薬組成物であって良い。濃度は当業者が決定して本発明において記載したように製品の有効性を決定することができる。このような更なる活性成分は、本発明の組成物のエクスフォリエーション性能を損なわず、刺激等のマイナスの副作用に寄与しないような濃度で添加する。有用な活性成分の例としては、限定するものではないが、加齢によるしみ、角質およびしわを改善もしくはなくすもの、鎮痛剤、麻酔剤、抗座瘡剤、抗菌剤、抗酵母剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗皮膚炎剤、鎮痒剤、制吐剤、過剰角質溶解防止剤(antihyperkeratolytic agent)、抗ドライスキン剤、抗乾癬剤、抗脂漏症剤、老化防止剤、抗しわ剤、抗ヒスタミン剤、創傷治癒剤、ビタミン、コルチコステロイド、タンニング剤またはホルモンが挙げられる。有用な活性剤のより具体的な例としては、トコフェロールならびにそのエステルおよびアミド誘導体;サメ軟骨;乳タンパク質;DHEAおよびその誘導体;局所心血管剤;クロトリマゾール、ケトコナゾール、ミコノゾール、グリセオフルビン、ヒドロキシジン、ジフェンヒドラミン、プラモキシン、リドカイン、プロカイン、メピバカイン、モノベンゾン、エリスロマイシン、テトラサイクリン、クリンダマイシン、メクロサイリン、ヒドロキノン、ミノサイクリン、ナプロキセン、イブプロフェン、テオフィリン、クロモリン、アルブテロール、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン21−アセテート、ヒドロコルチゾン17−バレレート、ヒドロコルチゾン17−ブチレート、ベタメタゾンバレレート、ベタメタゾンジプロプリオネート、トリアミノロンアセトニド、フルオシノニド、クロベタゾール、プロプリオネート、過酸化ベンゾイル、クロタミトン、プロプラノール、プロメタジン、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0019】
本発明の製剤の特に好ましい実施形態は、エクスフォリエーション用組成物として使用するスキンケア処方である。
【0020】
組成物は、共に混合した水溶性成分、共に混合した油溶性成分により、望まれるエマルジョンの型に依存して、水性混合物に油性混合物を添加するか、あるいは油性混合物に水性混合物を添加して製剤化する。
【0021】
使用方法
本発明の組成物は、ヒトの皮膚に対するエクスフォリエーションを増大(特に顔面のエクスフォリエーションの均一性を増大)し、化粧品組成物によって皮膚の外観を改善し、並びに皮膚の線(line)およびしわの外観を目立たなくする(diminishing)方法のための製品として特に有用である。本発明の方法は、プロテアーゼ活性化剤のエクスフォリエーション活性の増大に関連する。好ましくは、そのエクスフォリエーション活性を増大させるプロテアーゼ活性化剤はクリ抽出物である。より好ましくは、クリ抽出物は、クリの糖質精製画分または加水分解されたクリ抽出物である。好ましくは、エクスフォリエーション剤はN−アセチル−D−グルコサミンおよびβ-ヒドロキシ酸である。より好ましくは、β-ヒドロキシ酸はサリチル酸である。
【0022】
このような方法は、安全かつ有効な量の本発明の組成物を投与または皮膚に局所適用することを含む。組成物中の成分の量は、望まれるエクスフォリエーションの程度、および個人の肌のタイプに応じて変動するであろう。
【0023】
一例として、局所適用は、月1回程度〜1日2回程度の範囲、好ましくは毎週1回程度〜1日おきに1回程度、最も好ましくは1日1回程度が示唆される。好ましくは、2mg/cm〜100mg/cmの量で組成物を適用する。皮膚に適用される組成物の量は望まれるカバー範囲に依存して変動するであろう。
【実施例】
【0024】
以下の実施例は本発明を更に説明するものであるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0025】
実施例1
クリ抽出物(Recoverine(登録商標))のみを含有する本発明の組成物を含む組成物を、既知のエクスフォリエーターであるサリチル酸およびN−アセチルグルコサミン(NADG)と、24時間でのエクスフォリエーションについて比較する。
【0026】
20名の女性が製品を2回(朝1回、夜1回)顔に適用する。第一の処方を顔の右半分に適用し、第二の処方を顔の左半分に適用する。
【0027】
翌朝、D−Squames(CuDerm Corporation, Dallas, Texas)を用いて皮膚のエクスフォリエーションを評価する。これらの直径22mmの透明なコーティングされたディスクは、角質層から表面の角質細胞を除去する粘着剤の均質な層を有している。2枚のD−Squamesを各検査時に各部位から取得し、透明な顕微鏡用スライドに載せた。次いでスライドにライトボックス中で照射し、CCDビデオカメラで観察した。サンプルのビデオ画像をパーソナルコンピューターに取り込み、画像解析プログラムOptimas 6.51で処理した。総合的な光学密度(IOD)を皮膚のエクスフォリエーションについて評価する。IODが低下すれば、除去されるほぐれた細胞および薄片がほとんどなく、従って皮膚がより滑らかである。
【0028】
行った試験のための基本処方を下記の表1に示し、結果を下記の表2に示す。水の量は本実験において試験したクリ抽出物とエクスフォリエーターの添加に合わせて調整する。必須成分に加えて、上記の組成物には防腐剤、保湿剤および増粘剤等の更なる成分が含まれる。
【表1】

【表2】

【0029】
上記の表からわかるように、クリ抽出物(Recoverine(登録商標))を単独で5%の量で含有する組成物は、エクスフォリエーターを含まない対照と比較して上記のIOD測定に基づくエクスフォリエーションパラメータ改善率(%)が2%上昇する(G3行参照)のに対し、既知のエクスフォリエーターであるN−アセチル−D−グルコサミン(NADG)を0.2%の量で含有する組成物ではエクスフォリエーションパラメータの改善率が対照よりも10%上昇する(G1行参照)。従って、Recoverine(登録商標)はエクスフォリエーション剤としてNADGよりも相対的に効果が低いと考えられる。
【0030】
しかしながら、驚くべきことに、0.2% NADGと、1%および4%のRecoverine(登録商標)との組み合わせを含有する組成物では、0.2% NADGのみの組成物よりもそれぞれ10%から12%、10%から16%までエクスフォリエーションパラメータ改善率が上昇する(G1行と比較してG2およびO行をそれぞれ参照のこと)。結論として、Recoverine(登録商標)は、NADGと比較して弱いエクスフォリエーターと考えられるが、既知のエクスフォリエーターに添加すると予想外により大きなエクスフォリエーションパラメータ改善率を示す。単独で分析すると、5% Recoverine(登録商標)では対照に比べて2%のエクスフォリエーションパラメータ改善率が得られるが(G3行参照)、0.2% NADGとの組み合わせで分析すると、1% Recoverine(登録商標)で0.2% NADG単独に比べて2%のエクスフォリエーションパラメータ改善率が(12%−10%=2%;G2およびG1行を参照)、4% Recoverine(登録商標)で0.2% NADG単独に比べて6%のエクスフォリエーションパラメータ改善率が得られる(16%−10%=6%;OおよびG1行を参照)。4% Recoverine(登録商標)を0.2% NADGと組み合わせるとRecoverine(登録商標)単独と比較してエクスフォリエーションパラメータ改善率が3倍上昇しており(G3行に示すように単独で2%に対し、OおよびG1行に示すように0.2% NADGとの組み合わせで6%;2%*3=6%)、これは驚異的である。
【0031】
1% Recoverine(登録商標)を0.2% NADGと組み合わせた場合、0.2% NADGと組み合わせた1% Recoverine(登録商標)はエクスフォリエーションに関して5% Recoverine(登録商標)単独に匹敵する活性を示すため、この結果は同様に驚くべきものである(すなわち、G2およびG1行に示すように1% Recoverine(登録商標)でも0.2% NADGと組み合わせて2%のエクスフォリエーションパラメータ改善率をもたらすのに比較して、G3行に示すように5% Recoverine(登録商標)単独で2%のエクスフォリエーションパラメータ改善率をもたらす)。従って、0.2% NADGと組み合わせた1% Recoverine(登録商標)は、5% Recoverine(登録商標)単独よりも5倍効果的である。
【0032】
0.2% NADGと組み合わせてRecoverine(登録商標)で見られる同様の効果が、0.2% NADGおよびサリチル酸(10%サリチル酸を含有する5% Salisomes(登録商標)の量で存在)と組み合わせたRecoverine(登録商標)で見られる。0.2% NADGおよびサリチル酸(10%サリチル酸を含有する5% Salisomes(登録商標))の組み合わせに4%のRecoverine(登録商標)を添加すると、エクスフォリエーションパラメータ改善率はRecoverine(登録商標)なしの15%(Y1行参照)からRecoverine(登録商標)ありの20%(Y2行参照)まで上昇し、5%の上昇である。ここでも、この上昇は、5% Recoverine(登録商標)単独(G3行参照)で示されるエクスフォリエーションパラメータ改善率よりも良好である。事実、0.2% NADG、および10%サリチル酸含有5% Salisomes(登録商標)と組み合わせた4% Recoverine(登録商標)は、エクスフォリエーションパラメータ改善率において、5% Recoverine(登録商標)単独よりも少なくとも3倍効果的である(0.2% NADG、および10%サリチル酸含有5% Salisomes(登録商標)の組み合わせに4% Recoverine(登録商標)を添加してエクスフォリエーションパラメータ改善率が5%上昇する(Y1およびY2行参照)のに対し、5% Recoverine(登録商標)単独ではエクスフォリエーションパラメータ改善率が2%上昇する(G3行参照))。上記のデータに基づき、0.2% NADG、および10%サリチル酸含有5% Salisomes(登録商標)と組み合わせた4% Recoverine(登録商標)と比較してエクスフォリエーションパラメータを5%上昇させるためには、約12.5%のRecoverine(登録商標)が必要であろう(4%で12.5%を割ると3.125%、従って0.2% NADG、および10%サリチル酸含有5% Salisomes(登録商標)と組み合わせた4% Recoverine(登録商標)は、5% Recoverine(登録商標)単独よりも少なくとも3倍効果的である)。従って、Recoverine(登録商標)は、既知のエクスフォリエーション剤と組み合わせたときにエクスフォリエーション剤として増強される。
【0033】
本明細書で説明し、記載した本発明の特定の形態は単に代表的なものであることが意図されていると理解されるべきである。本明細書において示唆されたものを含む(限定するものではない)変更が、開示された明白な教示から逸脱することなしに、記載の実施形態になされ得る。従って、本発明の完全な範囲を決定する上で、添付した特許請求の範囲が参照されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のクリ抽出物を含むプロテアーゼ活性化剤、
少なくとも1種のエクスフォリエーター、および
化粧品に許容されるビヒクル
を含有するエクスフォリエーション用組成物。
【請求項2】
プロテアーゼ活性化剤が、多糖、オリゴ糖、セラミド、スフィンゴシン、フィトシン、およびリシンからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
クリ抽出物がクリの糖質(glucidic)精製画分または加水分解されたクリである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
クリ抽出物がクリの糖質精製画分である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
エクスフォリエーターが、β-ヒドロキシ酸、α-ヒドロキシ酸、N−アセチル−D−グルコサミンおよびその類似体、タンパク質分解酵素、ならびにレチノイン酸およびその誘導体からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
β-ヒドロキシ酸およびα-ヒドロキシ酸が、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、メチル乳酸(methyllactic acid)、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、糖酸、グルコヘプトン酸(glucoheptonic acid)、ガラクツロン酸、グルクロン酸、マンデル酸、粘液酸、ピルビン酸、タルトロン酸、グルコロノラクトンおよびグルコノラクトン等のラクトン、ならびにこれらの化合物のエステルおよびアルキルおよびアルケニル誘導体からなる群から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
タンパク質分解酵素が、パパイン、ペプシン、ペプチダーゼ、トリプシン、およびエンテロキナーゼからなる群から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
エクスフォリエーターがα-ヒドロキシ酸およびN−アセチル−D−グルコサミンの組み合わせである、請求項5に記載の組成物。
【請求項9】
エクスフォリエーターがサリチル酸およびN−アセチル−D−グルコサミンの組み合わせである、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
エクスフォリエーターがN−アセチル−D−グルコサミンである、請求項5に記載の組成物。
【請求項11】
プロテアーゼ活性化剤およびエクスフォリエーターを組み合わせてプロテアーゼ活性化剤のエクスフォリエーション活性を増大させ、そしてプロテアーゼ活性化剤およびエクスフォリエーターの組み合わせを皮膚に局所適用するステップを含む、ヒトの皮膚のエクスフォリエーション方法。
【請求項12】
プロテアーゼ活性化剤が、クリ抽出物、多糖、オリゴ糖、セラミド、スフィンゴシン、フィトシン、およびリシンからなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
プロテアーゼ活性化剤がクリ抽出物である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
クリ抽出物がクリの糖質精製画分または加水分解されたクリ抽出物である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
エクスフォリエーターが、β-ヒドロキシ酸およびα-ヒドロキシ酸、N−アセチル−D−グルコサミンおよびその類似体、ならびにタンパク質分解酵素からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
β-ヒドロキシ酸およびα-ヒドロキシ酸が、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、レチノイン酸、メチル乳酸(methyllactic acid)、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、糖酸、グルコヘプトン酸、ガラクツロン酸、グルクロン酸、マンデル酸、粘液酸、ピルビン酸、タルトロン酸、グルコロノラクトンおよびグルコノラクトン等のラクトン、ならびにこれらの化合物のエステルおよびアルキルおよびアルケニル誘導体からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
タンパク質分解酵素が、パパイン、ペプシン、ペプチダーゼ、トリプシン、およびエンテロキナーゼからなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
クリ抽出物およびエクスフォリエーターを組み合わせてクリ抽出物のエクスフォリエーション活性を増大させ、そしてクリ抽出物およびエクスフォリエーターの組み合わせを含有する組成物を皮膚に適用するステップを含む、ヒトの皮膚のエクスフォリエーション方法。
【請求項19】
クリ抽出物がクリの糖質精製画分である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
エクスフォリエーターが、β-ヒドロキシ酸およびα-ヒドロキシ酸、N−アセチル−D−グルコサミンおよびその類似体、ならびにタンパク質分解酵素からなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
β-ヒドロキシ酸およびα-ヒドロキシ酸が、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、レチノイン酸、メチル乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、糖酸、グルコヘプトン酸、ガラクツロン酸、グルクロン酸、マンデル酸、粘液酸、ピルビン酸、タルトロン酸、グルコロノラクトンおよびグルコノラクトン等のラクトン、およびこれらの化合物のエステルおよびアルキルおよびアルケニル誘導体からなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
タンパク質分解酵素が、パパイン、ペプシン、ペプチダーゼ、トリプシン、およびエンテロキナーゼからなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
エクスフォリエーターがβ-ヒドロキシ酸およびN−アセチル−D−グルコサミンである、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
β-ヒドロキシ酸がサリチル酸である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
エクスフォリエーターがN−アセチル−D−グルコサミンである、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
プロテアーゼ活性化剤の組み合わせを化粧品に許容されるビヒクル中のエクスフォリエーターに添加し、そして該組み合わせを皮膚に局所適用するステップを含む、皮膚への局所適用のためのエクスフォリエーション用組成物の活性増大方法。

【公表番号】特表2009−506045(P2009−506045A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−528094(P2008−528094)
【出願日】平成18年8月23日(2006.8.23)
【国際出願番号】PCT/US2006/032862
【国際公開番号】WO2007/024915
【国際公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(598100128)イーエルシー マネージメント エルエルシー (112)
【Fターム(参考)】