説明

プロテインキナーゼC阻害剤とその使用

本開示は、プロテインキナーゼC(PKC)の阻害剤として有用であり、従って種々のPKCの活性により媒介または持続される種々の疾患と障害の治療に有用な化合物に関する。また、本開示は、当該化合物を含む医薬組成物、種々の疾患と障害の治療に当該化合物を使用する方法、これらの方法に有用な当該化合物と中間体を調製する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年1月15日に出願された米国仮特許出願第61/145,021号および2009年1月26日に出願された米国仮特許出願第61/147,353号に対して、特許法§119(e)に基づいて優先権の利益を主張するものであり、前記米国仮特許出願はその内容を参照により本明細書に完全に組み込んだものとする。
【背景技術】
【0002】
プロテインキナーゼC(「PKC」)は、細胞成長、遺伝子発現の調節およびイオンチャンネル活性を含む様々な細胞機能に関与するシグナル伝達において重要な酵素である。アイソザイムのPKCファミリーは、活性化剤に対するそれらの相同性および感受性に基づいて少なくとも3つのサブファミリーに分けることができる少なくとも11種の異なるプロテインキナーゼを含む。各アイソザイムは、アイソザイム固有の(「可変」または「V」)領域が点在している多くの相同性(「保存」、または、「C」)領域を含む。「古典的」または「cPKC」サブファミリーのメンバー、すなわちPKCα、β、βiiおよびγは、4つの相同性領域(C1、C2、C3およびC4)を含み、そして、活性化のために、カルシウム、ホスファチジルセリンおよびジアシルグリセロールまたはホルボールエステルが必要である。「新規な」または「nPKC」サブファミリーのメンバー、すなわちPKCδ、ε、ηおよびθは、C2相同性領域を欠いており、かつ、活性化のためにカルシウムを必要としない。最後に、「非定型」または「αPKC」サブファミリーのメンバー、すなわちPKCζおよびλ/iは、C2相同性領域と、C1相同性領域の1/2とを欠いていて、ジアシルグリセロール、ホルボールエステルおよびカルシウムに非感受性である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は、プロテインキナーゼC(PKC)の阻害剤として有用であり、したがって、PKCの作用によって媒介または持続される様々な疾患および障害を治療するのに有用である化合物に関する。また、本開示は、これらの化合物を含む医薬品組成物、様々な疾患および障害を治療する場合にこれらの化合物を使用する方法、これらの方法で有用なこれらの化合物および中間体を調製する方法にも関する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
代表的な化学構造は、本開示によって提供される。例えば、前記化合物は、下式(I):
【化1】

(式中、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、−C(O)OR1a、−S(O)R1bおよび−S(O)1cから選択され;その場合、R1a、R1bおよびR1cのそれぞれは、独立に、水素、アルキルまたはフェニルアルキルであり;
、R、RおよびRは、独立に、水素およびアルキルから選択され;
mは、1〜5の整数であり;
pは、0〜6の整数であり;
は、アシルオキシ、ヒドロキシ、チオール、アシル、アルキル、アルコキシ、置換アルキル、置換アルコキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アシルアミノ、アジド、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロゲン、ニトロ、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリールおよびトリハロメチルから選択され;
、XおよびXはCRであるか、または、X、XおよびXのうちの1つはNであり、そして残りはCRであり;
は、水素、ハロゲン、アルキルおよび置換アルキルから選択され;
およびRは、各生成に関して、独立に、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリールおよび−SO−ヘテロアリールから選択されるか;またはRおよびRは、それらが結合されている炭素原子と一緒になって、炭素環式もしくは複素環式の4〜8員環を形成し;
nは、1〜3の整数であり;
、ZおよびZは、CR6a、N、OおよびSから選択され;
およびZは、N、CおよびCRから選択され;
は、水素、ハロゲン、アルキルおよび置換アルキルから選択され;
6aは、水素、ハロゲン、アルキルおよび置換アルキルから選択されるか、または、原子価要件を満たすために不存在であり;かつ
点線は、単結合もしくは二重結合を表わす)によって表わされる化合物であるか;または、それらの塩もしくは溶媒和物または立体異性体である。
【0005】
定義
以下の用語は、特に明記しない限り、下記の意味を有する。未定義の用語は、それらの業界で認識されている意味を有する。
【0006】
用語「アルキル」とは、例えば、1〜40個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、または、1〜6個の炭素原子を有するモノラジカルの分岐または非分岐の飽和炭化水素鎖を意味している。この用語は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、n−ヘキシル、n−デシル、テトラデシルなどのような基によって例示される。
【0007】
用語「置換アルキル」とは、本明細書で定義するところのアルキル基を指しており、その場合、アルキル鎖の1個もしくは複数個の炭素原子は、−O−、−N−、−S−、−S(O)−(式中、nは0〜2である)、−NR−(式中、Rは水素またはアルキルである)のようなヘテロ原子で任意に置換されていて、且つ、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、および−NR(式中、R′およびR″は、同じかまたは異なっていてもよく、水素、任意に置換されたアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環から選択される)から成る群より選択される1〜5個の置換基を有する。
【0008】
用語「アルキレン」とは、通常は1〜40個、より通常は1〜10個、そしてより更に通常は1〜6個の炭素原子を有する分岐または非分岐の飽和炭化水素鎖のジラジカルを指している。この用語は、メチレン(−CH−)、エチレン(−CHCH−)、プロピレン異性体(例えば、−CHCHCH−および−CH(CH)CH−)などのような基によって例示される。
【0009】
用語「置換アルキレン」とは、本明細書で定義するところのアルキレン基を指しており、その場合、アルキレン鎖の1個もしくは複数個の炭素原子は、−O−、−N−、−S−、−S(O)−(式中、nは0〜2である)、−NR−(式中、Rは水素またはアルキルである)のようなヘテロ原子で任意に置換されていて、且つ、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、および−NR′R″(式中、R′およびR″は同じかまたは異なっていてもよく、水素、任意に置換されたアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環から選択される)から成る群より選択される1〜5個の置換基を有する。
【0010】
用語「アルカン」とは、本明細書で定義するところのアルキル基およびアルキレン基である。
【0011】
用語「アルキルアミノアルキル」、「アルキルアミノアルケニル」および「アルキルアミノアルキニル」とは、R′NHR″−基を指しており、式中、R′は、本明細書で定義するところのアルキル基であり、R″は、本明細書で定義するところのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレン基である。
【0012】
用語「アルカリル」または「アラルキル」は、−アルキレン−アリール基および−置換アルキレン−アリール基を指しており、その場合、アルキレン、置換アルキレンおよびアリールは本明細書で定義されるものである。
【0013】
用語「アルコキシ」は、アルキル−O−、アルケニル−O−、シクロアルキル−O−、シクロアルケニル−O−およびアルキニル−O−基を指しており、その場合、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニルおよびアルキニルは本明細書で定義されるものである。
【0014】
用語「置換アルコキシ」は、置換アルキル−O−、置換アルケニル−O−、置換シクロアルキル−O−、置換シクロアルケニル−O−、および置換アルキニル−O−基を指しており、その場合、置換アルキル、置換アルケニル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニルおよび置換アルキニルは、本明細書で定義されるものである。
【0015】
用語「アルコキシアミノ」は、−NH−アルコキシ基を指しており、その場合、アルコキシは本明細書で定義されるものである。
【0016】
用語「ハロアルコキシ」は、アルキル−O−基を指しており、その場合、アルキル基上の1個もしくは複数個の水素原子は、ハロ基で置換されていて、例としてはトリフルオロメトキシなどのような基が挙げられる。
【0017】
用語「ハロアルキル」は、上記した置換アルキル基を指しており、アルキル基上の1個もしくは複数個の水素原子は、ハロ基で置換されている。そのような基の例としては、フルオロアルキル基、例えばトリフロロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロエチルなどが挙げられるが、これに限定されない。
【0018】
用語「アルキルアルコキシ」は、−アルキレン−O−アルキル、アルキレン−O−置換アルキル、置換アルキレン−O−アルキルおよび置換アルキレン−O−置換アルキル基を指しており、その場合、アルキル、置換アルキル、アルキレンおよび置換アルキレンは、本明細書で定義されるものである。
【0019】
用語「アルキルチオアルコキシ」は、−アルキレン−S−アルキル、アルキレン−S置換アルキル、置換アルキレン−S−アルキルおよび置換アルキレン−S−置換アルキル基を指しており、その場合、アルキル、置換アルキル、アルキレンおよび置換アルキレンは、本明細書で定義されるものである。
【0020】
用語「アルケニル」は、2〜40個の炭素原子、2〜10個の炭素原子、または2〜6個の炭素原子を有し、そして、ビニル不飽和の少なくとも1つの部位(例えば、1〜6つの部位)を有する分岐または非分岐の不飽和炭化水素基のモノラジカルを指している。
【0021】
用語「置換アルケニル」は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリールおよび−SO−ヘテロアリールから選択される、1〜5個の置換基、または1〜3個の置換基を有する、本明細書で定義するところのアルケニル基を指す。
【0022】
用語「アルキニル」は、2〜40個の炭素原子、2〜20個の炭素原子、または2〜6個の炭素原子を有し、そしてアセチレン(三重結合)不飽和の少なくとも1つの部位(例えば、1〜6つの部位)を有する不飽和炭化水素のモノラジカルを指している。
【0023】
用語「置換アルキニル」は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、および−SO−ヘテロアリールから選択される、1〜5個の置換基、または1〜3個の置換基を有する、本明細書で定義するところのアルキニル基を指す。
【0024】
用語「アシル」は、HC(O)−、アルキル−C(O)−、置換アルキル−C(O)−、シクロアルキル−C(O)−、置換シクロアルキル−C(O)−、シクロアルケニル−C(O)−、置換シクロアルケニル−C(O)−、アリール−C(O)−、ヘテロアリール−C(O)−および複素環−C(O)−基を指しており、その場合、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、および複素環は、本明細書で定義されるものである。
【0025】
用語「アシルアミノ」または「アミノカルボニル」は、−C(O)NRR基を指しており、式中、各Rは、独立に、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環であるか、または、両方のR基が結合して、複素環基(例えば、モルホリノ)を形成し、そしてその場合、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、および複素環は本明細書で定義されるものである。
【0026】
用語「アミノアシル」は、−NRC(O)R基を指しており、式中、各Rは、独立に、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、または複素環であり、その場合、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、および複素環は、本明細書で定義されるものである。
【0027】
用語「アミノアシルオキシ」または「アルコキシカルボニルアミノ」は、−NRC(O)OR基を指しており、式中、各Rは、独立に、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリールまたは複素環であり、その場合、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、および複素環は、本明細書で定義されるものである。
【0028】
用語「アシルオキシ」は、アルキル−C(O)O−、置換アルキル−C(O)O−、シクロアルキル−C(O)O−、置換シクロアルキル−C(O)O−、アリール−C(O)O−、ヘテロアリール−C(O)O−、および複素環−C(O)O−を指しており、そしてその場合、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、および複素環は、本明細書で定義されるものである。
【0029】
用語「アリール」は、単環(例えばフェニル)または複数の縮合(融合)環(例えばナフチルまたはアントリル)を有する6〜20個の炭素原子から成る不飽和芳香族炭素環基を指している。アリールとしては、例えばフェニル、ナフチルなどが挙げられる。アリール置換基に関する定義によって限定されない限りにおいて、上記アリール基は、アシルオキシ、ヒドロキシ、チオール、アシル、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、置換アルキル、置換アルコキシ、置換アルケニル、置換アルキニル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アシルアミノ、アルカリル、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロゲン、ニトロ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環、ヘテロシクロオキシ、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリールおよびトリハロメチルから選択される、1〜5個の置換基または1〜3個の置換基で任意に置換できる。
【0030】
用語「アリールオキシ」は、アリール−O−基を指しており、上記アリール基は、さらに本明細書で定義される任意に置換されたアリール基を含む本明細書で定義されるものである。
【0031】
「アミノ」という用語は、−NH基を指す。
【0032】
用語「置換アミノ」は、−NRR基を指しており、式中、各Rは、独立に、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、ヘテロアリール、および少なくとも1個のRが水素でないという条件で複素環、から成る群より選択される。
【0033】
用語「アジド」は、−N基を指している。
【0034】
用語「カルボキシル」は、−COOHまたはその塩を指している。
【0035】
用語「カルボキシアルキル」または「カルボキシルアルキル」または「アルコキシカルボニル」は、「−C(O)O−アルキル」、「−C(O)O−置換アルキル」、「−C(O)O−シクロアルキル」、「−C(O)O−置換シクロアルキル」、「−C(O)O−アルケニル」、「−C(O)O−置換アルケニル」、「−C(O)O−アルキニル」および「−C(O)O−置換アルキニル」を指しており、式中、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニルおよび置換アルキニルアルキニルは本明細書で定義されるものである。
【0036】
「シアノ」という用語は、−CN基を指している。
【0037】
用語「シクロアルキル」は、単環または複数の縮合環を有する3〜20個の炭素原子から成る環状アルキル基を指している。上記シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロオクチルなどのような単環構造、または、アダマンタニルなどのような多環構造が挙げられる。
【0038】
用語「置換シクロアルキル」は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリールおよび−SO−ヘテロアリールから選択される、1〜5個の置換基または1〜3個の置換基を有するシクロアルキル基を指す。
【0039】
用語「シクロアルケニル」は、単環と、少なくとも1つの内部不飽和点とを有する4〜20個の炭素原子から成る環状アルケニル基を指している。適当なシクロアルケニル基としては、例えば、シクロブト−2−エニル、シクロペント−3−エニル、シクロオクト−3−エニルなどが挙げられる。
【0040】
用語「置換シクロアルケニル」は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリールおよび−SO−ヘテロアリールから選択される、1〜5個の置換基、または1〜3個の置換基を有するシクロアルケニル基を指し。
【0041】
用語「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨ−ドを意味している。
【0042】
用語「ヘテロアリール」は、少なくとも1つの環の中に(2つ以上の環が存在する場合)、1〜15個の炭素原子と、酸素、窒素および硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子とから成る芳香族基を指している。ヘテロアリール置換基に関する定義によって限定されない限りにおいて、上記ヘテロアリール基は、アシルオキシ、ヒドロキシ、チオール、アシル、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、置換アルキル、置換アルコキシ、置換アルケニル、置換アルキニル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アシルアミノ、アルカリル、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロゲン、ニトロ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環、ヘテロシクロオキシ、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリールおよびトリハロメチルから選択される1〜5個の置換基または1〜3個の置換基で任意に置換できる。
【0043】
「ヘテロアラルキル」という用語は、−アルキレン−ヘテロアリール基を意味しており、その場合、アルキレンおよびヘテロアリールは本明細書で定義されるものである。上記ヘテロアラルキル基としては、例えばピリジルメチル、ピリジルエチル、インドリルメチルなどが挙げられる。
【0044】
用語「ヘテロアリールオキシ」は、ヘテロアリール−O−基を指している。
【0045】
用語「複素環式」または「複素環」は、環の中に、1〜40個の炭素原子と、窒素、硫黄、リンおよび/または酸素から選択される1〜10個のヘテロ原子、例えば1〜4個のヘテロ原子とから成る単環または複数の縮合環を有するモノラジカルの飽和または不飽和の基を指している。複素環置換基に関する定義によって限定されない限りにおいて、上記複素環基は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、および縮合複素環から選択される1〜5個、または1〜3個の置換基で任意に置換することができる。
【0046】
窒素含有ヘテロアリールおよび窒素含有複素環の例としては、ピロール、チオフェン、フラン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチルピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、イソチアゾール、フェナジン、イソオキサゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、モルホリン、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェンなど、ならびにN−アルコキシ−窒素含有複素環が挙げられるが、それらに限定されない。
【0047】
用語「ヘテロシクロオキシ」は、複素環−O−基を指している。
【0048】
用語「ヘテロシクロチオ」は、複素環−S−基を指している。
【0049】
用語「ヘテロサイクレン」は、本明細書で定義されている複素環から形成されるジラジカル基を指しており、例えば2,6−モルホリノ基および2,5−モルホリノ基などが挙げられる。
【0050】
用語「ヒドロキシアミノ」は、−NHOH基を指している。
【0051】
用語「オキソ」は、=O基を指している。
【0052】
用語「オキシアシルアミノ」または「アミノカルボニルオキシ」は、−OC(O)NRR基を指しており、式中、各Rは独立に水素、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、または、複素環であり、その場合、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環は本明細書で定義されるものである。
【0053】
用語「チオール」は、−SH基を指している。
【0054】
用語「チオアルコキシ」または「アルキルチオ」は、−S−アルキル基を指している。
【0055】
用語「置換チオアルコキシ」は、−S−置換アルキル基を指している。
【0056】
用語「チオアリールオキシ」は、アリール−S−基を指しており、上記アリール基は、さらに本明細書で定義されている任意に置換されたアリール基を含む、本明細書で定義されるものである。
【0057】
用語「チオヘテロアリールオキシ」は、ヘテロアリール−S−基を指しており、上記ヘテロアリール基は、さらに本明細書で定義される任意に置換されたアリール基を含む、本明細書で定義されるものである。
【0058】
用語「チオヘテロシクロオキシ」は、ヘテロシクリル−S−基を指しており、上記ヘテロシクリル基は、さらに本明細書で定義される任意に置換されたヘテロシクリル基を含む、本明細書で定義されるものである。
【0059】
用語「チオケト」は、=S基を指している。
【0060】
1個もしくは複数個の置換基を含む本明細書で開示される基のいずれかに関して、上記の基は、立体配置的に非実用的および/または化学合成的に実行不可能である置換または置換パタ−ンをまったく含んでいないことが当然了解される。更に、被験化合物は、これらの化合物の置換から生じるすべての立体化学的異性体を含む。
【0061】
用語「薬学的に許容可能な塩」とは、哺乳類のような患者への投与に関して許容可能である塩(例えば、所定の投与レジメンに関する許容可能な哺乳類への安全性を有する塩)を意味している。上記の塩は、薬学的に許容可能な無機または有機の塩基から、および、薬学的に許容可能な無機または有機の酸から誘導できる。
【0062】
用語「その塩」とは、酸の水素を、金属カチオンまたは有機カチオンなどのようなカチオンで置換されるときに形成される化合物を意味している。該当する場合、塩は、薬学的に許容可能な塩であるが、患者への投与が意図されない中間化合物の塩に関してはそのことは要求されない。
【0063】
本明細書で使用される用語「溶媒和物」とは、溶質、すなわち本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の化合物の1個もしくは複数個の分子と、溶媒の1個もしくは複数個の分子とによって形成される錯体または凝集体を指している。上記溶媒和物は、典型的には、実質的に固定されたモル比で溶質と溶媒とを有する結晶性固体である。代表的な溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸などが挙げられる。溶媒が水であるとき、形成される溶媒和物は水和物である。
【0064】
用語「またはその塩またはその溶媒和物またはその立体異性体」が、塩、溶媒和物および立体異性体のすべての順列、例えば式(I)で表される化合物の立体異性体の薬学的に許容可能な塩の溶媒和物を含むことを意図していることは言うまでもない。
【0065】
用語「治療上有効量」とは、治療が必要な患者に投与するとき、治療効果をもたらすのに十分な量を意味している。
【0066】
本明細書で使用される用語「処置」または「治療」は:(a)疾患または医学的状態が生じるのを防止すること、すなわち、患者を予防的に処置すること;(b)疾患または医学的状態を改善すること、すなわち、患者の疾患または医学的状態を排除するかまたは退行させること;(c)疾患または医学的状態を抑制すること、すなわち、患者の疾患または医学的状態の発症を遅らせるかまたは阻止すること;(d)患者の疾患または医学的状態の症状をを軽減すること、を含む、哺乳類(特にヒト)のような患者の疾患または医学的状態を処置または治療することを意味している。
【0067】
この開示は、プロテインキナーゼC(PKC)の阻害剤として有用であり、したがって、PKCの活性によって媒介または持続される様々な疾患および障害を治療するのに有用な化合物に関する。また、本開示は、これらの化合物を含む医薬組成物、様々な疾患および障害を治療する場合にこれらの化合物を使用する方法、これらの方法で役立つこれらの化合物および中間体を調製する方法にも関する。
【0068】
本発明を更に説明する前に、本発明は、説明される特定の実施形態に限定されず、したがって、当然改変できることを理解すべきである。本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、また、添付の特許請求の範囲によってのみ本発明の範囲は限定されるので、上記用語によって限定する意図が無いことも理解すべきである。
【0069】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用している単数形“a,”“an,”および“the”は、明確に断りがなければ、複数も含むことに留意しなければならない。また、特許請求の範囲は、任意の選択的要素を排除するように記載できることにも留意されたい。従って、本明細書は、特許請求の範囲の要素の詳説と関連させて「唯一」、「のみ」などのような排他的用語を使用するための、または、「消極的な」限定を使用するための先例となる根拠として役立つように意図されている。
【0070】
数値の範囲が提示されている場合、その範囲の上限と下限の間の各介在値、特に明確に指摘しない限りは下限の1/10の単位までの各介在値、および言及された範囲内における任意の他の言及された値または介在している値が、本発明内に含まれることが理解される。これらのより狭い範囲の上限と下限は、言及された範囲における任意の特定の除外限界に従属して、より狭い範囲に独立に含まれていてもよく、そしてまた本発明内にも含まれる。規定範囲が限度の一方または両方を含む場合、それらの含まれる限度の一方または両方を除く範囲も本発明に含まれる。
【0071】
本明細書で検討される刊行物は、本出願の出願日前のそれらの開示についてのみ提供される。本発明が、先行発明によって、そのような刊行物に先行する権利がないことを認めるものと決して解釈すべきではない。更に、示されている刊行物の日付は、実際の発行日と異なる場合もあり、その日付を個別に確認することが必要な場合もある。
【0072】
特に定義しない限りは、本明細書において使用されるすべての技術科学用語は、本発明が属する当業者に一般に理解されているのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様なまたは等価な任意の方法および材料も、本発明の実施または試験に使用できるが、好ましい方法および材料を以下に記載する。本明細書において言及されるすべての刊行物は、引用される上記刊行物と関連させて方法および/または材料を開示し説明するために参照により本明細書に組み込まれる。
【0073】
言及される場合を除いて、本実施形態の方法および技術は、当業において公知の従来の方法に従って、また、本明細書を通じて引用および検討されている様々な一般的且つより具体的な参考文献に記載されているような従来の方法に従って、一般的に実行される。例えば、Loudon,Organic Chemistry,Fourth Edition,New York:Oxford University Press,2002,pp. 360−361,1084−1085;Smith and March,March's Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure,Fifth Edition, Wiley−Interscience, 2001;または Vogel,A Textbook of Practical Organic Chemistry,Including Qualitative Organic Analysis,Fourth Edition,New York:Longman,1978を参照されたい。
【0074】
被験化合物を命名するために本明細書で用いられる命名法は、本明細書の実施例で例示する。この命名法は、一般的に、市販されているAutoNom社製ソフトウェア(カリフォルニア州サンリアンドロにあるMDL)を使用して得た。
【0075】
代表的な実施形態
以下の置換基および数値は、様々な態様および実施形態の代表的な実施例を提供することを意図している。これらの代表値は、そのような態様および実施形態を更に定義し、そして例示することを意図しており、他の実施形態を除外することまたは本発明の範囲を限定することを意図していない。この点に関しては、特定の値または置換基が好ましいという表現は、特に断りがなければ、本発明から他の数値または置換基を除外することを決して意図していない。
【0076】
これらの化合物は、1つもしくは複数のキラル中心を含むことができるので、実施形態は、特記しない限り、ラセミ混合物;純粋な立体異性体(すなわち、エナンチオマーまたはジアステレオマー);立体異性体富化混合物などに関するものである。特定の立体異性体が、本明細書で示されるかまたは命名されるとき、全体としての組成物の望ましい有用性が、そのような他の異性体の存在によって排除されないという前提で、少量の他の立体異性体が、特記しない限り、組成物中に存在してもよいことが、当業者には理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0077】
その組成物態様のうちの1つでは、本実施形態は、下式(I):
【化2】

(式中、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、−C(O)OR1a、−S(O)R1bおよび−S(O)1cから選択され;その場合、R1a、R1bおよびR1cのそれぞれは、独立に、水素、アルキルまたはフェニルアルキルであり;
、R、RおよびRは、独立に、水素およびアルキルから選択され;
mは、1〜5の整数であり;
pは、0〜6の整数であり;
は、アシルオキシ、ヒドロキシ、チオール、アシル、アルキル、アルコキシ、置換アルキル、置換アルコキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アシルアミノ、アジド、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロゲン、ニトロ、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル−、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、およびトリハロメチルから選択され;
、XおよびXはCRであるか、または、X、XおよびXのうちの1つはNであり、そして残りはCRであり;
は、各生成に関して、水素、ハロゲン、アルキルおよび置換アルキルから選択され;
およびRは、各生成に関して、独立に、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル−、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO置換アルキル、−SO−アリールおよびSO−ヘテロアリールから選択されるか;またはRおよびRは、それらが結合されている炭素原子と一緒になって、炭素環式もしくは複素環式の4〜8員環を形成し;
nは、0〜3の整数であり;
、ZおよびZは、CR6a、N、O、およびSから選択され;
およびZは、N、CおよびCRから選択され;
は、水素、ハロゲン、アルキルおよび置換アルキルから選択され;
6aは、水素、ハロゲン、アルキルおよび置換アルキルから選択されるか、または、原子価要件を満たすために不存在であり;かつ
点線は、単結合もしくは二重結合を表わす)の化合物;または
それらの塩もしくは溶媒和物もしくは立体異性体を提供する。
【0078】
基Z、Z、Z、ZおよびZと、式の点線によって示される任意の二重結合の部位とは、これらの基を含む環が原子価要件を満たすように選択される。例えば、上記の環は、この環中に点線によって示される1つまたは2つの二重結合を含むことができるか、または、まったく二重結合を含むことができない。環が芳香族である場合、二重結合は適切に配置され、かつZ、Z、Z、ZおよびZ上の置換基の数は、芳香族性が生じるような数である。
【0079】
は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、−C(O)OR1a、−S(O)R1bおよび−S(O)1cから選択することができ;その場合、R1a、R1bおよびR1cのそれぞれは、独立に、水素、アルキルまたはフェニル−アルキルである。特定の場合において、Rは、水素、アルキルまたはシクロアルキルである。特定の場合、Rは、アルケニルまたはアルキニルである。特定の場合において、Rは、−C(O)OR1a、−S(O)R1bまたは−S(O)1cであり;その場合、R1a、R1bおよびR1cのそれぞれは、独立に、水素、アルキルまたはフェニル−アルキルである。特定の場合において、Rは、水素およびアルキルから選択される。1つの場合において、Rは水素である。1つの場合において、Rはアルキルである。1つの場合において、Rはメチルである。
【0080】
、R、RおよびRは、独立に、水素およびアルキルから選択される。特定の場合において、R、R、RおよびRのうちの少なくとも1つまたは2つは、低級アルキルである。特定の場合において、R、R、RおよびRは、低級アルキル基を表す。特定の場合において、R、R、RおよびRは、メチルを表す。特定の場合において、R、R、RおよびRは、水素を表す。
【0081】
mの値は、1〜5であることができる。特定の場合において、mは、1〜3の整数である。1つの場合において、mは、1または2である。1つの場合において、mは1である。1つの場合において、mは2である。
【0082】
pの値は、0〜6の整数であることができる。特定の場合において、pは、0〜4の整数であるか、または0〜3の整数である。1つの場合において、pは、0または1である。1つの場合において、pは0である。1つの場合において、pは1である。
【0083】
は、アシルオキシ、ヒドロキシ、チオール、アシル、アルキル、アルコキシ、置換アルキル、置換アルコキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アシルアミノ、アジド、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロゲン、ニトロ、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル−、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリールおよびトリハロメチルから選択できる。特定の場合において、Rは、ヒドロキシ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、シアノ、ハロゲン、ニトロ、トリハロメチル、アシルオキシ、アシル、またはアシルアミノである。特定の場合において、Rは、チオール、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、またはチオアルコキシ、置換チオアルコキシである。特定の場合において、Rは、アジド、カルボキシル、カルボキシルアルキル、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、または−SO−ヘテロアリールである。1つの場合において、Rは、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、シアノ、ハロゲン、ニトロ、またはトリハロメチルである。1つの場合において、Rは、ハロゲンである。1つの場合において、Rは、フルオロである。1つの場合において、Rは、ヒドロキシルである。Rは、アルキルである。
【0084】
引き続いて式(I)に関して、X、X、およびXはCRであることができるか、または、X、X、およびXのうちの1つはNであることができ、そして残りはCRであり;その場合、Rは、各生成に関して、独立に、水素、ハロゲン、アルキルおよび置換アルキルから選択される。特定の場合において、X、X、およびXはCRであり、その場合、Rは、各生成に関して、水素、ハロゲン、アルキルおよび置換アルキルから選択される。いくつかの場合では、X、X、およびXはCRであり、その場合、Rは、各生成に関して、水素、アルキル、または置換アルキルである。いくつかの場合では、X、X、およびXはCRであり、その場合、Rは、各生成に関して、水素、フルオロ、アルキル、またはハロアルキルである。特定の場合において、X、X、およびXは、CHである。特定の場合において、X、X、およびXのうちの1つはNであり、そして残りはCRである。1つの場合において、Xは、Nである。1つの場合において、Xは、Nである。1つの場合において、Xは、Nである。
【0085】
nの値は、1〜3であることができる。1つの場合において、nは、1または2である。1つの場合において、nは1である。1つの場合において、nは2である。
【0086】
およびRは、各生成に関して、独立に、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリールおよび−SO−ヘテロアリールから選択できるか;またはRおよびRは、それらが結合されている炭素原子と一緒になって、炭素環式もしくは複素環式の4〜8員環を形成する。
【0087】
特定の場合において、RおよびRは、各生成に関して、独立に、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボキシルアルキル、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリールおよび−SO−ヘテロアリールから選択できる。特定の場合において、RおよびRは、各生成に関して、独立に、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、およびニトロから選択される。特定の場合において、RおよびRは、各生成に関して、独立に、水素、アルキル、およびハロゲンから選択される。
【0088】
特定の場合において、RおよびRは、それらが結合されている炭素原子と一緒になって、炭素環式もしくは複素環式の4〜8員環を形成する。特定の場合において、RおよびRは、それらが結合されている炭素原子と一緒になって、炭素環式もしくは複素環式の4員環または5員環を形成する。特定の場合において、RおよびRは、それらが結合されている炭素原子と一緒になって、炭素環式もしくは複素環式の6員環を形成する。特定の場合において、RおよびRは、それらが結合されている炭素原子と一緒になって、炭素環式もしくは複素環式の7員環または8員環を形成する。特定の場合において、環は、炭素環である。特定の場合において、環は、複素環、例えばO、SまたはNを含む複素環である。
【0089】
、Z、およびZは、CR、N、O、およびSから選択でき;その場合、Rは、水素、ハロゲン、アルキル及び置換アルキルから選択され;かつ、点線は、単結合または二重結合を表わしている。特定の場合において、Z、Z、およびZは、CRおよびNから選択できる。特定の場合において、Z、Z、およびZは、CHおよびNから選択できる。特定の場合において、Z、Z、およびZは、CRおよびOから選択できる。特定の場合において、Z、Z、およびZは、CRおよびSから選択できる。特定の場合において、Z、Z、およびZは、それぞれNである。特定の場合において、Z、Z、およびZは、それぞれCHである。Z、Z、またはZがSまたはNであるとき、これらの原子は、1個もしくは複数個の酸素原子で任意に置換できる。例えば、Z、Z、またはZは、独立に、スルホキシド[S(O)またはスルホニルS(O)]基であることができる。同様に、Z、Z、およびZは、N−オキシド基(N→O)も表わすことができる。
【0090】
及びZは、N、C、およびCRから選択される。特定の場合において、ZはNである。特定の場合において、ZはCである。特定の場合において、ZはCRである。特定の場合において、ZはNである。特定の場合において、ZはCである。特定の場合において、ZはCRである。
【0091】
目的の化合物の群は、式(I)の化合物であり、式中、X、X、およびXはCHであり;かつ、Rはフルオロである。特定の場合、式(I)において、X、X、およびXはCHであり;Rはフルオロであり;かつ、RおよびRは水素、メチル、またはフルオロである。特定の場合、式(I)において、X、X、およびXはCHであり;Rはフルオロであり;かつ、Z、Z、およびZは、それぞれNである。特定の場合、式(I)において、X、X、およびXはCHであり;Rはフルオロであり;かつ、Z、Z、およびZは、それぞれCHである。
【0092】
目的の化合物の別の群は、式(I)の化合物であり、式中、mは2であり;かつ、pは0である。特定の場合、式(I)において、mは2であり;pは0であり;かつ、Rはフルオロである。
【0093】
目的の化合物の別の群は、式(I)の化合物であり、式中、mは1であり;かつ、pは1である。特定の場合、式(I)において、mは1であり;pは1であり;かつ、Rはフルオロである。
【0094】
目的の化合物の別の群は、式(I)の化合物であり、式中、XはNであり;XおよびXはCHであり;かつ、Rはフルオロである。特定の場合、式(I)において、XはNであり;XおよびXはCHであり;Rはフルオロであり;かつ、RおよびRは水素、メチル、またはフルオロである。特定の場合、式(I)において、XはNであり;XおよびXはCHであり;Rはフルオロであり;かつ、Z、Z、およびZは、それぞれNである。特定の場合、式(I)において、XはNであり;XおよびXはCHであり;Rはフルオロであり;かつ、Z、Z、およびZは、それぞれCHである。
【0095】
目的の化合物の別の群は、式(I)の化合物であり、式中、XはNであり;XおよびXはCHであり;かつ、Rはフルオロである。特定の場合、式(I)において、XはNであり;XおよびXはCHであり;Rはフルオロであり;かつ、RおよびRは水素、メチル、またはフルオロである。特定の場合、式(I)において、XはNであり;XおよびXはCHであり;Rはフルオロであり;かつ、Z、Z、およびZは、それぞれNである。特定の場合、式(I)において、XはNであり;XおよびXはCHであり;Rはフルオロであり;かつ、Z、Z、およびZは、それぞれCHである。
【0096】
目的の化合物の別の群は、式(I)の化合物であり、式中、nは1であり;かつ、RおよびRは、各生成に関して、独立に、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、およびニトロから選択される。
【0097】
目的の化合物の別の群は、式(I)の化合物であり、上記式中、nは1であり;かつ、RおよびRは、各生成に関して、独立に、水素、アルキル、およびハロゲンから選択される。
【0098】
目的の化合物の別の群は、式(I)の化合物であり、式中、nは1であり;かつ、RおよびRは同じであり、水素、アルキル、およびハロゲンから選択される。
【0099】
目的の化合物の別の群は、式(I)の化合物であり、式中、nは1であり;かつ、RおよびRのうちの1つは水素であり、もう一方は、アルキルおよびハロゲンから選択される。特定の場合において、化合物は、RおよびRを含む炭素において、エナンチオマーに富む(R)−配置または(S)−配置である。特定の場合において、化合物は、ラセミ体である。
【0100】
目的の化合物の別の群は、式(I)の化合物であり、式中、nは2であり;かつRおよびRは、各生成に関して、独立に、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、およびニトロから選択される。
【0101】
目的の化合物の別の群は、式(I)の化合物であり、式中、nは2であり;かつ、RおよびRは、各生成に関して、独立に、水素、アルキル、およびハロゲンから選択される。
【0102】
目的の化合物の別の群は、式(I)の化合物であり、式中、nは2であり;かつ、同じ炭素上にあるRおよびRは同じであり、水素、アルキル、およびハロゲンから選択される。
【0103】
目的の化合物の別の群は、式(I)の化合物であり、式中、nは2であり;かつ、RおよびRを含む所定の炭素上において、RおよびRのうちの1つは水素であり、そしてもう一方は、アルキルおよびハロゲンから選択される。特定の場合において、化合物は、エナンチオマーに富む。特定の場合において、化合物はラセミ体である。
【0104】
目的の特定の化合物は、式(I)を有し、式中、R、R、RおよびRは、低級アルキル基を表わしている。上記化合物の特定の例としては、R、R、RおよびRがメチル基であり、且つ下式(II):
【化3】

を有する化合物が挙げられる。
【0105】
目的の化合物の特定の群は、式(I)の化合物であり、式中、X、X、およびXは、それぞれCHである。これらの化合物は、下式(III)を有する:
【化4】

【0106】
目的の化合物の特定の群は、式(I)の化合物であり、式中、X、X、およびXは、それぞれCHであり;かつ、mは2である。これらの化合物は、下式(IV)を有する:
【化5】

【0107】
目的の化合物の特定の群は、式(I)の化合物であり、式中、X、X、およびXは、それぞれCHであり;かつ、mは1である。これらの化合物は、下式(V)を有する:
【化6】

【0108】
目的の化合物の特定の群は、式(I)の化合物であり、式中、X、X、およびXは、それぞれCHであり;nは2であり;かつ、RおよびRのうちの1つは水素である。これらの化合物は、以下の式(VI)を有する:
【化7】

【0109】
目的の化合物の特定の群は、式(I)の化合物であり、式中、XはNであり、XおよびXは、それぞれCHである。これらの化合物は、下式(VII)を有する:
【化8】

【0110】
目的の化合物の特定の群は、式(I)の化合物であり、式中、XはNであり、XおよびXは、それぞれCHである。これらの化合物は、下式(VIII)を有する:
【化9】

【0111】
目的の化合物の追加の群は、式(I)を有し、式中、ZはCであり、かつ、ZはNである。上記化合物は、下式(IX)を有する:
【化10】

【0112】
目的の特定の化合物を、以下の表に示す。
【表1】



【表2】




【表3】

【0113】
目的の特定の化合物およびそれらの塩または溶媒和物または立体異性体としては:
N2−(4H−ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン−8−イル)−5−フルオロ−N4−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ピリミジン−2,4−ジアミン;
N2−(4H−ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン−8−イル)−5−フルオロ−N4−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)ピリミジン−2,4−ジアミン;
N2−(4H−ベンゾ[b]ピロロ[1,2−d][1,4]オキサジン−8−イル)−5−フルオロ−N4−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ピリミジン−2,4−ジアミン;
N2−(4H−ベンゾ[b]ピロロ[1,2−d][1,4]オキサジン−8−イル)−5−フルオロ−N4−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)ピリミジン−2,4−ジアミン;
N2−(4,4−ジフルオロ−4H−ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン−8−イル)−5−フルオロ−N4−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ピリミジン−2,4−ジアミン;
N2−(4,4−ジフルオロ−4H−ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン−8−イル)−5−フルオロ−N4−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)ピリミジン−2,4−ジアミン;
N2−(4,4−ジメチル−4H−ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン−8−イル)−5−フルオロ−N4−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)ピリミジン−2,4−ジアミン;
N2−(4,4−ジメチル−4H−ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン−8−イル)−5−フルオロ−N4−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ピリミジン−2,4−ジアミン;
N2−(5,5−ジメチル−5H−ベンゾ[e]テトラゾロ[1,5−c][1,3]オキサジン−9−イル)−5−フルオロ−N4−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ピリミジン−2,4−ジアミン;
N2−(5,5−ジメチル−5H−ベンゾ[e]テトラゾロ[1,5−c][1,3]オキサジン−9−イル)−5−フルオロ−N4−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)ピリミジン−2,4−ジアミン;
N2−(8,9−ジヒドロスピロ[ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン−4,1´−シクロブタン]−8−イル)−5−フルオロ−N4−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ピリミジン−2,4−ジアミン;
N2−(8,9−ジヒドロスピロ[ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン−4,1´−シクロブタン]−8−イル)−5−フルオロ−N4−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)ピリミジン−2,4−ジアミン;
5−フルオロ−N2−(4−メチル−8,9−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン−8−イル)−N4−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ピリミジン−2,4−ジアミン;
5−フルオロ−N2−(4−メチル−8,9−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン−8−イル)−N4−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)ピリミジン−2,4−ジアミン;
N2−(4H−ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン−8−イル)−5−フルオロ−N4−((1,2,2,5,5−ペンタメチルピロリジン−3−イル)メチル)ピリミジン−2,4−ジアミン;
N2−(4H−ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン−8−イル)−5−フルオロ−N4−((2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−3−イル)メチル)ピリミジン−2,4−ジアミン;
N2−(4,4−ジメチル−4H−ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン−8−イル)−5−フルオロ−N4−((1,2,2,5,5−ペンタメチルピロリジン−3−イル)メチル)ピリミジン−2,4−ジアミン;
N2−(4,4−ジメチル−4H−ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン−8−イル)−5−フルオロ−N4−((2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−3−イル)メチル)ピリミジン−2,4−ジアミン;
N2−(4,4−ジメチル−4H−ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン−8−イル)−5−フルオロ−N4−(((3S)−2,2,5−トリメチルピロリジン−3−イル)メチル)ピリミジン−2,4−ジアミン;および
N2−(4,4−ジメチル−4H−ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン−8−イル)−5−フルオロ−N4−(((3R)−2,2,5−トリメチルピロリジン−3−イル)メチル)ピリミジン−2,4−ジアミンが挙げられる。
【0114】
本開示は、薬学的に許容可能な担体と、治療上有効量の式(I)の化合物またはそれらの薬学的に許容可能な塩または溶媒和物または立体異性体とを含む医薬品組成物も提供する。
【0115】
開示される化合物は、単独の活性医薬品として単独で、または、1種もしくは複数種の式(I)で表される追加の化合物と組み合わせて、または、他の薬剤と一緒に投与できる。組み合わせて投与するとき、治療剤は、同時にもしくは異なる時間に投与される別々の組成物として処方することができるか、または、治療剤は、2種もしくはそれ以上の治療剤を組み合わせている単一組成物として一緒に投与できる。よって、式(I)の化合物を含む本明細書で開示される医薬組成物は、任意に他の治療剤を含む。したがって、特定の実施形態は、そのような医薬組成物に関するものであり、その場合、上記組成物は、当業者に公知の選択された薬剤の治療上有効量を更に含む。
【0116】
被験化合物は、プロテインキナーゼC活性を阻害できる。したがって、上記化合物は、被験者においてPKC活性の作用によって媒介される疾患または障害を治療するのに役立つ。また、上記化合物は、被験者においてT細胞の活性と関連のある疾患または障害を治療するのに役立つ。
【0117】
本開示は、式(I)の化合物またはその塩または溶媒和物または立体異性体を被験者に投与することを含む、被験者における炎症性疾患を治療する方法を提供する。
【0118】
本開示は、式(I)の化合物またはその塩または溶媒和物または立体異性体を被験者に投与することを含む、被験者における自己免疫性疾患を治療する方法も提供する。
【0119】
本開示は、炎症性および/または新生血管事象を含む、眼性疾患または眼性障害を治療する方法も提供する。
【0120】
本開示は、アテローム性動脈硬化、脈管損傷による血管閉塞、血管形成術、再狭窄、肥満、エックス症候群、耐糖能異常、多嚢胞性卵巣症候群、高血圧、心不全、慢性閉塞性肺疾患、中枢神経疾患、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、癌、感染症、AIDS、敗血症性ショック、成人呼吸窮迫症候群、虚血/再灌流損傷、心筋梗塞、脳卒中、腸乏血、腎不全、出血性ショック、および外傷性ショック、および外傷性脳損傷を含むがこれらに限定されない目的の疾患または状態を治療する方法も提供する。
【0121】
本開示は、T細胞によって媒介される、急性もしくは慢性の、炎症性疾患もしくは障害または自己免疫疾患、関節リウマチ、骨関節炎、全身性エリテマトーデス、橋本甲状腺炎、多発性硬化症、重症筋無力症、糖尿病I型またはII型、およびそれと関連のある障害移植、拒絶反応、移植片対宿主疾患、呼吸器疾患、喘息、炎症性肺損傷、炎症性肝臓損傷、炎症性糸球体障害、免疫学的に媒介された障害または疾病の皮膚症状、炎症性および高増殖性皮膚病、乾癬、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触性皮膚炎、刺激物接触皮膚炎および更なる湿疹性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、炎症性眼病、シェーグレン症候群、角結膜炎、ブドウ膜炎、炎症性大腸疾患、クローン病または潰瘍性大腸炎、ギラン・バレー症候群およびアレルギーを含むがそれらに限定されない目的の疾患または状態を治療する方法も提供する。
【0122】
被験化合物は、細胞増殖障害を治療するために使用できる。本開示は、造血腫瘍、リンパ系腫瘍、T細胞腫瘍、Tリンパ芽球性白血病、B細胞腫瘍、B−リンパ芽球性白血病、バーキットリンパ腫、骨髄性腫瘍、骨髄増殖性疾患、慢性骨髄性白血病(CML)、骨髄形成異常疾患、慢性骨髄単球性白血病、骨髄異形成症候群、および急性骨髄性白血病を含むがそれらに限定されない目的の疾患または状態を治療する方法も提供する。
【0123】
被験化合物は、Sykキナーゼ阻害化合物のプロドラッグまたはその塩と組み合わせて使用できる。Sykキナーゼ阻害化合物は、下式:
【化11】

(式中、R30、R31およびR32それぞれは、独立に、水素、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、(C6〜C14)アリール、フェニル、5〜14員ヘテロアリール、(C7〜C20)アリールアルキル、ベンジル、7〜20員ヘテロアリールアルキル、−OR、クロロ、フルオロ、ブロモ、シアノ、ニトロ、−C(O)R、−C(O)OR、−NRR、−S(O)NRR、−C(O)NRR、−N(R)S(O)Rおよび−NC(O)OR(式中、Rそれぞれは、独立に、水素および低級アルキルから選択される)から選択され;かつ、
は、−CH−O−P(O)(OH)、−CHCH−O−P(O)(OH)、−CHOHから選択される)を有することができる。
【0124】
Sykキナーゼ阻害化合物のプロドラッグまたはその塩とを組み合わせると、上記組成物は、細胞増殖障害を治療するために使用できる。本開示は、造血腫瘍、リンパ系腫瘍、T細胞腫瘍、Tリンパ芽球性白血病、B細胞腫瘍、B−リンパ芽球性白血病、バーキットリンパ腫、骨髄性腫瘍、骨髄増殖性疾患、慢性骨髄性白血病(CML)、骨髄形成異常疾患、慢性骨髄単球性白血病、骨髄異形成症候群、および急性骨髄性白血病を含むがそれらに限定されない目的の疾患または状態を治療する方法も提供する。
【0125】
被験化合物はPKC阻害特性を有するので、上記化合物は研究手段としても有用である。したがって、本開示は、生物系またはサンプルを研究するための、または、PKC阻害特性を有する新しい化学化合物を発見するための研究手段として、式(I)の化合物またはその塩またはその溶媒和物またはその立体異性体を使用する方法も提供する。
【0126】
実施形態は、式(I)の化合物またはそれらの塩または溶媒和物または立体異性体を調製するのに有用な方法および新規な中間体にも関する。したがって、本開示は、式(I)の化合物を調製する方法を提供する。上記方法は:
式:
【化12】

(式中、LGは脱離基である)の化合物を、式
【化13】

の化合物と接触させる工程を含む。
【0127】
1つの実施形態では、上記の方法は、式(I)の化合物の塩を生成させるステップを更に含む。実施形態は、本明細書に記載している他の方法;および本明細書に記載している方法のいずれかによって調製される生成物に関する。
【0128】
実施形態は、治療法で、または、薬剤として使用するための、式(I)の化合物またはその塩または溶媒和物または立体異性体にも関する。
【0129】
更に、実施形態は、薬剤の製造のために、特に、プロテインキナーゼC(PKC)活性を阻害する薬剤の製造のために、式(I)の化合物、またはその塩または溶媒和物または立体異性体を使用することに関する。実施形態は、PKC活性の作用によって媒介されるかまたは持続される疾患または障害を治療する薬剤を製造するために、式(I)の化合物またはその塩または溶媒和物または立体異性体を使用することにも関する。実施形態は、T細胞の活性化と関連のある疾患または障害を治療する薬剤を製造するために、式(I)の化合物またはその塩または溶媒和物または立体異性体を使用することにも関する。目的の疾患または状態としては、炎症性疾患、免疫障害、自己免疫疾患、炎症性および/または新生血管事象を含む眼性疾患または眼性障害、器官および骨髄の移植拒絶反応、急性または慢性の炎症、アレルギー、接触性皮膚炎、乾癬、関節リウマチ、多発性硬化症、I型糖尿病、II型糖尿病、炎症性大腸疾患、ギラン・バレー症候群、クローン病、潰瘍性大腸炎、移植片対宿主疾患および紅班性狼瘡が挙げられるが、それらに限定されない。
【0130】
実施形態は、細胞増殖性障害を治療する薬剤を製造するために、式(I)の化合物またはその塩または溶媒和物または立体異性体を使用することにも関する。目的の疾患または状態としては、造血腫瘍、リンパ系腫瘍、T細胞腫瘍、Tリンパ芽球性白血病、B細胞腫瘍、B−リンパ芽球性白血病、バーキットリンパ腫、骨髄性腫瘍、骨髄増殖性疾患、慢性骨髄性白血病(CML)、骨髄形成異常疾患、慢性骨髄単球性白血病、骨髄異形成症候群、および急性骨髄性白血病を含むが、それらに限定されない。
【0131】
一般的な合成手順
開示される化合物を合成するのに有用な公知の化学合成スキームと条件を提供する多数の一般的な参考文献が利用できる(例えば、Smith and March, March’s Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms,and Structure, Fifth Edition, Wiley−Interscience,2001;またはVogel, A Textbook of Practical Organic Chemistry, Including Qualitative Organic Analysis, Fourth Edition, New York: Longman, 1978を参照されたい)
【0132】
本明細書に記載される化合物は、クロマトグラフィ手段、例えばHPLC、予備薄層クロマトグラフィ、フラッシュカラムクロマトグラフィおよびイオン交換クロマトグラフィを含む当業において公知の手段のいずれかによって精製できる。順相および逆相ならびにイオン樹脂を含む任意の適当な固定相を使用できる。最も典型的には、開示される化合物は、シリカゲルおよび/またはアルミナクロマトグラフィによって精製される。例えば、Introduction to Modern Liquid Chromatography,2nd Edition,ed.L.R.Snyder and J.J.Kirkland,John Wiley and Sons,1979;およびThin Layer Chromatography,ed E.Stahl,Springer−Verlag,New York,1969を参照されたい。
【0133】
被験化合物を調製する方法のうちのいずれかの方法の実施中に、関係する分子のいずれかの分子上に存在する感受性または反応性の基を保護することは、必要且つ/または望ましいかもしれない。これは、例えばJ.F.W.McOmie,"Protective Groups in Organic Chemistry",Plenum Press,London and New York 1973,in T.W.Greene and P.G.M.Wuts,"Protective Groups in Organic Synthesis",Third edition,Wiley,New York 1999,in "The Peptides";Volume 3 (編者:E.Gross and J.Meienhofer),Academic Press,London and New York 1981,in "Methoden der organischen Chemie",Houben−Weyl,4.sup.th edition,Vol. 15/l,Georg Thieme Verlag,Stuttgart 1974,in H.−D.Jakubke and H.Jescheit,"Aminosauren,Peptide,Proteine",Verlag Chemie,Weinheim,Deerfield Beach,and Basel 1982,および/または in Jochen Lehmann,"Chemie der Kohlenhydrate:Monosaccharide and Derivate",Georg Thieme Verlag,Stuttgart 1974のような標準的な論文に記載されている従来の保護基によって達成できる。保護基は、当業において公知の方法を使用して簡便な後続段階で取り除くことができる。
【0134】
式(I)の化合物の代表的な合成を、スキーム1に示す。
スキーム1
【化14】

【0135】
スキーム1では、化合物1−Aと化合物1−Bとが反応して化合物Iを形成する。上記化合物は、化合物1−Bのアミノ基と化合物1−Aの脱離基(LG)とが求核芳香族置換反応によって反応する。適当な脱離基としては、例えば、ハロゲン、メシラート、トシラート、およびトリフラートが挙げられるが、それらに限定されない。求核反応は、何も加えずに、または、適当な溶媒を用いて、実行できる。求核反応は、冷却、室温、または加熱を含む様々な温度で実行できる。当業者は、特定の反応物に従って適当な反応条件を決めることができるであろう。
【0136】
式1−Aの代表的な化合物を、スキーム2に示す。スキーム2では、化合物2−Aは、式中、mが2であり、pが0であり、そしてR、R、RおよびRそれぞれがメチルである実施形態である。化合物2−Bは、式中、mが1であり、pが1であり、そしてR、R、RおよびRそれぞれがメチルである実施形態である。化合物2−Cは、式中、mが2であり、pは0であり、RおよびRがメチルであり、かつRおよびRが水素である実施形態である。
スキーム2
【化15】

【0137】
化合物2−A、2−Bおよび2−Cは、市販の出発原料および/または従来の合成方法によって調製された出発原料を使用して、様々な異なる合成経路によって合成できる。上記化合物を合成するのに通常適合することができる適当な例示的方法は、米国特許公開第20080306099号のF章で見出される。上記特許公開の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0138】
米国特許公開第20080306099号のスキーム1を当て嵌めると、化合物2−A、2−Bおよび2−Cは、スキーム3に例示されているように置換または未置換のウラシルから合成できる。
スキーム3
【化16】

【0139】
スキーム3では、R、R、LG、m、およびpは、本明細書で定義されるものである。スキーム3に従って、標準状態下で、POClのような標準的なハロゲン化剤(または他の標準的なハロゲン化剤)を使用して、ウラシルA−1を、2−位および4−位でジハロゲン化して、2,4−ジクロロピリミジンA−2を得る。ピリミジンジアミンA−2のR置換基によって、C4位の脱離基は、C2位の脱離基に比べて、求核試薬に対してより反応性である。この異なる反応性を活用して、最初に2,4−ジクロロピリミジンA−2を1当量のアミンA−3と反応させて4N−置換−2−クロロ−4−ピリミジンアミンA−4を得ることによって、これらの位置において異なる置換基で2,4−ピリミジンジアミンを合成できる。ピリミジンアミンA−4を第二のアミン求核試薬と更に反応させると、C2およびC4位で、異なる置換基を有する2,4−ピリミジンジアミン誘導体を生成させることができる。引き続きスキーム3に言及すると、当業者に公知のようにして、また、Langlois et al.Eur.J.Med.Chem.1993,28,869−880によって提供される手順に従って、mが2であり、pが0であり、RおよびRがメチルであり、そしてRおよびRが水素であるA−3化合物が調製される。
【0140】
ウラシルA−1出発原料は、商業的供給源から購入してもよいし、または、有機化学の標準的技術を使用して調製してもよい。スキーム3の出発原料として使用できる市販のウラシルとしては、例えば、ウラシル(Aldrich #13、078−8;CAS登録番号66−22−8);5−ブロモウラシル(Aldrich #85、247−3;CAS登録番号51−20−7);5−フルオロウラシル(Aldrich #85、847−1;CAS登録番号51−21−8);5−ヨ−ドウラシル(Aldrich #85、785−8;CAS登録番号696−07−1);5−ニトロウラシル(Aldrich #85、276−7;CAS登録番号611−08−5);5−(トリフルオロメチル)−ウラシル(Aldrich #22、327−1;CAS登録番号54−20−6)が挙げられるが、それらに限定されない。更なる5−置換ウラシルは、General Intermediates of Canada,Inc.,Edmonton,Calif.および/またはInterchim,Cedex,Franceから購入可能であるか、または、標準的な技術を使用して調製できる。
【0141】
化合物2−Bの代表的な合成を、スキーム4に示す。
スキーム4
【化17】

【0142】
スキーム4において、R、R、およびLGは、本明細書で定義されるものである。スキーム4に従って、化合物B−1のアミドは、還元される。上記還元反応は、エーテル性溶媒中で、例えばエーテルまたはテトラヒドロフラン中で、還元剤として水素化アルミニウムリチウムまたはジボランを使用して、実行できる。次いで、化合物B−2およびB−3は、求核反応で反応し、アミノ基は、脱離基のうちの1つを置換する。脱離基の選択性は、本明細書で説明される。求核反応は、何も加えずに、または、適当な溶媒を用いて、実行できる。求核反応は、冷却、室温、または加熱を含む様々な温度で実行できる。当業者は、特定の反応物に従って適当な反応条件を決めることができる。
【0143】
引き続きスキーム4に言及すると、アミンB−2は、キラル中心を有する。したがって、本化合物におけるB−2は、ラセミおよびエナンチオマーに富む形態の両方で使用された。光学活性アミンB−2は、スキーム5に例示したようにして調製し、スキーム4に記載した例示化合物の中に組み入れた。
スキーム5
【化18】

【0144】
式1−Bの代表的な化合物を、スキーム6に示す。スキーム6において、化合物3−Aは、X、X、およびXがCHであり;nが1であり;RおよびRが水素であり;かつ、Z、Z、およびZがCHである実施形態である。化合物3−Bは、X、X、およびXがCHであり;nが1であり;RおよびRが水素であり;かつ、Z、Z、およびZがNである実施形態である。
スキーム6
【化19】

【0145】
化合物3−Aに関する代表的な合成を、スキーム7に示す。
スキーム7
【化20】

【0146】
スキーム7において、LGは脱離基である。適当な脱離基としては、例えば、塩化物および臭化物などのハロゲン、、そして、メシラート、トシラートおよびトリフラートなどのスルホン酸エステル、が挙げられるが、それらに限定されない。スキーム7に従って、化合物C−1を、2,5−ジメトキシテトラヒドロフランと酢酸で処理して、化合物C−2を生成させる。次いで、芳香族ホルミル化を、化合物C−2について実行して、化合物C−3を生成させる。芳香族ホルミル化を実行するための代表的な反応では、DMFおよびPOClを使用する。他の芳香族ホルミル化反応としては、クロロホルムと強塩基を使用するライマー・チーマン反応、およびヘキサアミンと酸を使用するダフ反応が挙げられる。次いで、化合物C−3は、環化反応し、アルデヒドが脱離基LGを置換する。化合物C−3のアルデヒドは還元され、そして、酸素は、脱離基を求核置換する。アルデヒドの還元は、様々な還元剤、例えば水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムおよび水素化ホウ素亜鉛によって実行できる。次いで、化合物C−4のニトロ基を還元して、化合物C−5を生成させる。ニトロ基をアミノ基へと変換する適当な還元法としては、接触水素化または還元剤が挙げられる。代表的な方法としては、酸化白金、ラネーニッケルまたは水酸化パラジウム、酸性媒体中鉄金属、例えば還流酢酸、または二ヨウ化サマリウムを使用する接触水素化が挙げられる。
【0147】
化合物3−Bの代表的な合成を、スキーム8に示す。
スキーム8
【化21】

【0148】
スキーム8に従って、化合物D−1のカルボニルを、チオカルボニルへと変換して、化合物D−2を生成させる。可変基RおよびRは、式(I)に関して明細書で定義したものである。原則として、任意の一般的な加硫試薬を使用して、D−2のチオカルボニルを誘導できる。適当な加硫試薬としては、ローソン試薬、デービー試薬、およびベリュー試薬、そして五硫化リンが挙げられる。加硫反応を実行する方法は、次の参考文献で見出すことができる:1)Shridhar,D.R.;Jogibhukta,M.;Krishnan,V.S.H.IDPL Res.Cent.,Indian Drugs and Pharm.Ltd.,Hyderabad,India.Organic Preparations and Procedures International (1984),16(2),91−6;2)Shridhar,D.R.;Jogibhukta,M.;Krishnan,V.S.H.Chem.Div.,IDPL Res.Cent.,Hyderabad,India.Indian Journal of Chemistry,Section B:Organic Chemistry Including Medicinal Chemistry (1982),21B(2),130−3;および3) Sastry,C.V.Reddy;Rao,K.Srinivasa;Krishnan,V.S.H.;Rastogi,K.;Jain,M.L.;Narayan,G.K.A.S.S.;Reddi,G.S.;Singh,P.P.;Rao,C.Seshagiri;Junnarkar,A.Y.Chem.Div.,Indian Drugs and Pharm.Ltd.,Hyderabad,India.Indian Journal of Chemistry,Section B:Organic Chemistry Including Medicinal Chemistry (1990),29B(4),396−8.
【0149】
テトラゾール合成方法によって、化合物D−2を、化合物D−3へと変換する。適当な触媒を用いて、化合物D−2をアジドと反応させると、テトラゾールを生成させることができる。D−2と反応させるための適当なアジド化合物としては、アジ化ナトリウムおよびトリメチルシリルアジドが挙げられる。様々な触媒が使用でき、適当な触媒としては、酢酸水銀、臭化亜鉛および亜鉛トリフラートが挙げられる。D−3のようなテトラゾールを生成させる1つの方法は、次の参照文献で見出すことができる:Nelson,Derek W.;Gregg,Robert J.;Kort,Michael E.;Perez−Medrano,Arturo;Voight,Eric A.;Wang,Ying;Grayson,George;Namovic,Marian T.;Donnelly−Roberts,Diana L.;Niforatos,Wende;Honore,Prisca;Jarvis,Michael F.;Faltynek,Connie R.;Carroll,William A. Neuroscience Research, Global Pharmaceutical Research and Development,Abbott Laboratories,Abbott Park,IL,USA.Journal of Medicinal Chemistry (2006),49(12),3659−3666.
【0150】
化合物D−3のニトロ基を還元して、化合物D−4を生成させる。ニトロ基をアミノ基へと変換する適当な還元法としては、接触水素化または還元剤が挙げられる。代表的な方法としては、酸化白金、ラネーニッケルまたは水酸化パラジウム、還流酢酸中鉄金属、または二ヨウ化サマリウムを使用する接触水素化が挙げられる。
【0151】
医薬組成物
開示化合物は、少なくとも、PKC活性の阻害に有用であり、また、PKC活性の作用によって媒介される疾患または障害の治療に有用である。したがって、少なくとも一種の開示化合物を含む医薬組成物も、本明細書に記載する。
【0152】
被験化合物を含む医薬組成物は、単独で患者に、または、他の補助活性薬剤と組み合わせて投与することができる。医薬組成物は、従来の混合、溶解、顆粒化、糖衣錠化、水簸(levigating)、乳化、封入、混入、および凍結乾燥が挙げられるが、それらに限定されない様々な方法のいずれかを使用して製造できる。上記医薬組成物は、滅菌溶液、懸濁液、エマルジョン、凍結乾燥物、錠剤、ピル、ペレット、カプセル、散剤、シロップ、エリキシル、または投与に適する任意の他の剤形が挙げられるが、それらに限定されない様々な形態のいずれかをとることができる。
【0153】
被験化合物は、結果として疾患状態または疾患症状を望ましく緩和させることができる任意の便利な手段を使用して、宿主に投与できる。よって、被験化合物は、治療的投与のための様々な製剤の中に組み込むことができる。より詳しくは、被験化合物は、適当な薬学的に許容可能な担体または希釈剤と組合せることによって医薬組成物中に配合でき、また、固体、半固体、液体またはガス状の形態、例えば錠剤、カプセル、散剤、顆粒、軟膏、溶液、坐薬、注射剤、吸入剤および噴霧剤の製剤中に配合できる。
【0154】
医薬組成物の製剤は、公知の技術である。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, by E.W.Martin,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,19th Edition,1995には、開示化合物の薬剤送達に適する例示的製剤(および、それらの成分)が記載されている。被験化合物のうちの少なくとも1種を含む医薬組成物を、ヒト用または獣医学用の医薬品で使用するために配合できる。開示される医薬組成物の特定の処方は、例えば、投与方法および/または治療しようとする感染部位によって左右され得る。いくつかの実施形態では、製剤は、被験化合物のような少なくとも1種の活性成分に加えて、薬学的に許容可能な担体を含む。他の実施形態において、例えば、治療される苦痛に関して同様な、関連のある、または、補完的な効果を有する他の薬剤または医薬品も、医薬組成物における活性成分として含まれ得る。
【0155】
開示される方法および組成物にとって有用な薬学的に許容可能な担体は、当業において公知である。薬剤担体の性質は、使用される特定の投与方法によって決まる。例えば、非経口製剤は、通常、ビヒクルとして、水、生理食塩液、平衡塩類溶液、水性デキストロース、またはグリセロールなどのような薬学的に且つ生理学的に許容可能な流体を含む注射可能な流体を含む。固体組成物(例えば、散剤、ピル、錠剤またはカプセルの形態)のために、従来の無毒性固体担体は、例えば、医薬品等級のマンニトール、ラクトース、澱粉またはステアリン酸マグネシウムを含むことができる。生物学的に中性の担体に加えて、投与される医薬組成物は、少量の無毒性補助物質(例えば、賦形剤)、例えば湿潤剤または乳化剤、防腐剤、およびpH緩衝剤など;例えば、酢酸ナトリウムまたはソルビタンモノラウレートを任意に含むことができる。他の賦形剤としては、非イオン性可溶化剤、例えばクレモホルまたはタンパク質、例えばヒト血清アルブミン製剤またはヒト血漿製剤が挙げられるが、それらに限定されない。
【0156】
薬学的に許容可能な担体として役立ち得る材料のいくつかの例としては:(1)糖、例えば乳糖、ブドウ糖およびショ糖;(2)澱粉、例えばトウモロコシ澱粉および馬鈴薯澱粉;(3)セルロースおよびその誘導体、例えばカルボキシルメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよびセルロースアセテート;(4)トラガント粉末;(5)モルト;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)賦形剤、例えばカカオ脂および座薬ワックス;(9)油、例えば落花生油、綿実油、サフラワー油、ごま油、オリーブ油、トウモロコシ油および大豆油;(10)グリコール、例えばプロピレングリコール;(11)ポリオール、例えばグリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール;(12)エステル、例えばオレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;(13)寒天;(14)緩衝剤、例えば水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム;(15)アルギン酸;(16)ピロゲンが除去された水;(17)等張食塩水;(18)リンゲル液;(19)エチルアルコール;(20)pH緩衝溶液;(21)ポリエステル、ポリカーボネートおよび/またはポリ無水物;かつ、(22)医薬製剤で用いられる他の無毒性互換物質が挙げられる。
【0157】
開示の医薬組成物は、開示化合物の薬学的に許容可能な塩として処方してもよい。薬学的に許容可能な塩は、その遊離塩基が望ましい薬理学的活性を有する化合物の遊離塩基型の無毒性塩である。これらの塩は無機酸または有機酸に由来するものであってもよい。適切な無機酸の非限定的な例には、塩酸、硝酸、臭化水素酸、硫酸、ヨウ化水素酸、およびリン酸が挙げられる。適切な有機酸の非限定的な例には、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メチルスルホン酸、サリチル酸、ギ酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、グルコン酸、アスパラギン酸(aspargic acid)、アスパラギン酸(aspartic acid)、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、等が挙げられる。他の適切な薬学的に許容可能な塩のリストは、Remington's Pharmaceutical Sciences,17th Edition,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1985、に認められる。また、薬学的に許容可能な塩に、組成物の浸透圧を調製する役割を持たせることも出来る。
【0158】
被験化合物は単独で使うことも、適切な添加物と組み合わせて錠剤、散剤、顆粒剤、またはカプセルを作ることも可能である。組み合わせ用の添加物の例としては、ラクトース、マンニトール、コーンスターチ、またはジャガイモデンプン、等の通常の添加物;結晶性セルロース、セルロース誘導体、アカシア、コーンスターチ、またはゼラチン、等の結合剤;コーンスターチ、ジャガイモデンプン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、等の崩壊薬;タルク、またはステアリン酸マグネシウム、等の潤滑剤;および必要に応じ、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、防腐剤、および香味料が挙げられる。このような製剤は経口投与に使用可能である。
【0159】
被験化合物は、水性または非水性の溶媒への溶解、懸濁、または乳化による注入用の製剤を処方可能である。この溶媒の例としては、植物性または他の類似のオイル、合成脂肪酸グリセリド、高級脂肪酸のエステル、またはプロピレングリコール;かつ必要に応じ、可溶化剤、等張剤、懸濁剤、乳化剤、安定剤、および防腐剤、等の通常の添加物を加えたものが挙げられる。また、製剤は乳化しても、リポソームビヒクル中にカプセル化した有効成分であってもよい。注入に適した製剤は、硝子体内、眼内、筋肉内、皮下、舌下、または、例えば、歯肉組織や他の口腔組織への注入、等の他の投与経路により投与可能である。このような製剤は、局所投与に対しても好適である。
【0160】
一部の実施形態では、被験化合物は連続送達システムにより送達可能である。用語「連続送達システム」は、本明細書では「制御送達システム(controlled delivery system)」と同義に用いられ、カテーテル、注入器具、等の当業者には既知の広範な装置と組み合わせた連続的(例えば、制御された)送達装置(例えば、ポンプ)を包含する。
【0161】
被験化合物をエアロゾル製剤の形で使用して吸入により投与することも出来る。被験化合物を、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素、等の許容可能な加圧噴霧剤に入れる形で処方することも可能である。
【0162】
さらに、被験化合物を乳化基材、または水溶性基剤、等の種々の基剤と混ぜて坐剤中に入れることも出来る。被験化合物を坐剤経由で直腸に投与することも出来る。坐剤には、ココアバター、カーボワックス、およびポリエチレングリコール、等のビヒクルを含んでもよい。これらのビヒクルは室温では固化するが、体温で溶ける。
【0163】
本明細書で使われる用語「単位剤形」は、ヒトおよび動物の被験者に対する単位用量として適切な物理的に分離した単位を指す。各単位は、薬学的に許容可能な希釈剤、キャリア、またはビヒクルと共同して所望の効果を得るために十分な所定計算量の被験化合物を含む。被験化合物の仕様は、採用された具体的な化合物と達成すべき効果、および宿主中の各化合物に付随する薬物動力学に依存する。
【0164】
開示医薬組成物の剤形は、選択した投与方法により決まる。例えば、注入可能な液体に加えて、局所または経口の剤形を採用してもよい。局所製剤には、点眼剤、軟膏剤、スプレー、等を含んでもよい。経口製剤は、液剤(例えば、シロップ、溶液、または懸濁液)、または固体(例えば、散剤、丸剤、錠剤、またはカプセル)であってもよい。このような剤形を調製する方法は、当業者には既知であるか、あるいは自明であろう。
【0165】
被験化合物を含む医薬組成物の特定の実施形態では、個々の的確な用量の投与に適合した単位剤形に処方できる。投与有効成分量は、治療される患者、苦痛の深刻さ、および投与方法に依存し、当業者には既知である。この範囲内で、投与される製剤は、治療被験者に所望の効果を達成可能な有効量の、本明細書に開示された多量の抽出物または化合物を含む。
【0166】
各治療化合物は本明細書に記載されているような任意の剤形を独立に取ることも、本明細書に記載の種々の方法で投与することも可能である。例えば、複数の化合物を一緒に単一の投与単位(すなわち、カプセル、錠剤、散剤、または液剤、等の1つの剤形に組み合わせる)の組み合わせ製品として処方してもよい。あるいは、単一の投与単位に一緒に処方することができない場合には、各被験化合物を、別の治療化合物として同時に、または任意の順番で連続的に投与することも出来る。
【0167】
被験化合物を別のプロテインキナーゼ阻害剤と組み合わせて投与することが出来る。例えば、被験化合物をSykキナーゼ阻害剤とともに投与することが出来る。SykキナーゼまたはSyk/Flt−3キナーゼ活性を阻害する様々な化合物を本明細書に記載の種々の方法で使用可能である。特に、これらには有機小分子、ペプチドまたはタンパク質、あるいは核酸が含まれる。本明細書で使われる「Syk阻害剤」または「Sykキナーゼ阻害化合物」は、それ自身で直接にSykキナーゼ活性を阻害する、または本明細書に記載のIC50の範囲内でSykの正常機能に必要な他の細胞内標的とのSykの相互作用を阻害する任意の化合物を指す。本明細書で使われる阻害剤には、競合的、非競合的、不競合的な阻害剤、等の古典的記述の酵素阻害剤を含み、従って、例えば、Sykキナーゼに結合して基質の活性サイトへの接近を阻害すること、Sykキナーゼに結合して活性サイトを歪ませ基質への結合を減らすこと、および/またはSykキナーゼ−基質複合体へ結合することによりSykキナーゼ活性を阻害する化合物を包含する。通常、Syk阻害剤である化合物は、例えば、インビトロまたは細胞内アッセイにおいて、約5μM以下、約1μM以下、約500nm以下、約100nM以下、約50nM以下、約10mM以下、または約1nM以下の範囲の、Sykキナーゼの合成または内在性基質をリン酸化する能力、等のSykキナーゼ活性に関するIC50を示す化合物である。例えば、代表的なSyk阻害化合物は、米国特許出願第10/631,029号および国際公開第WO2004/014382号、に開示されている。米国特許出願第10/631,029号および国際公開第WO2004/014382号の両方が参照により本明細書に組み込まれる。約100nM、10nM、1nM、またはさらに低い範囲、等のより低いIC50を示す化合物が本明細書の方法に有用であることは当業者には理解されるであろう。
【0168】
投与方法
被験化合物はプロテインキナーゼC活性を阻害することが出来る。従って、被験化合物は被験者のPKC活性の作用により媒介される疾患または障害の治療に有効である。従って、被験化合物は被験者のT細胞の活性化に関連した疾患または障害の治療に有効である。
【0169】
投与経路は様々な要因により選択され、この要因には、必ずしもこれに限定されるものではないが、治療条件、使用する製剤、および/または装置、治療される患者、等がある。本開示の方法における有用な投与経路には、これに限定されないが、経口および、静脈内(iv)、腹腔内(ip)、直腸内、局部、点眼、鼻腔内、および経皮等の非経口経路がある。これらの剤形用の製剤については本明細書で記載される。
【0170】
被験化合物の有効量は、少なくとも、具体的な使用方法、治療される被験者、苦痛の深刻さ、治療組成物の投与法に依存する。組成物の「治療に有効な量」は、治療される被験者(宿主)に対し所望の効果を得るために必要な特定の化合物の量である。例えば、これは、被験者のPKC活性の作用により媒介される疾患または障害を予防、抑制、減少、または緩和するために十分な被験化合物の量であってもよい。理想的には、化合物の治療に有効な量は、宿主細胞に対し実質的に細胞毒性作用を生ずることなく被験者のPKC活性の作用により媒介される疾患または障害を予防、抑制、減少、または緩和するために必要な量である。
【0171】
被験化合物または医薬組成物の治療に有効な用量(または成長阻害量)は、局部(例えば、組織)濃度が少なくとも本明細書に開示される適用可能化合物のIC50と同じ濃度になることを目標として当業者により決定され得る。
【0172】
用量範囲の例は、約0.1〜約200mg/kg体重の一回または分割経口投与である。具体的な例としては、用量範囲は、約1.0〜約100mg/kg体重の一回または分割経口投与で、約1.0〜約50mg/kg体重、約1.0〜約25mg/kg体重、約1.0〜約10mg/kg体重を含む(平均体重を約70kgと仮定。従って、平均体重より多いか少ない人は数値調整が必要)。経口投与のためには、例えば組成物は錠剤で提供され、約50〜約1000mgの有効成分、特に、治療される被験者の症状による用量調整用として約75mg、約100mg、約200mg、約400mg、約500mg、約600mg、約750mg、または約1000mgの有効成分を含む。一つの代表的な経口投与計画では、約500mg〜約1000mgの有効成分を含む錠剤を一回(例えば、初回負荷量)投与し、次に1/2用量の錠剤(例えば、約250〜約500mg)を6〜24時間毎に少なくとも3日間投与する。
【0173】
任意の特定の被験者に対する具体的な投与レベルと投与頻度は、変化してもよく、種々の因子に依存する。この因子には、被験化合物の活性、その化合物の代謝的安定性、および作用時間の長さ、被験者の年齢、体重、全体的な健康、性別および食事、投与の方式と時間、排出速度、薬物の組み合わせ、および治療を受けている宿主の疾患の重症度が含まれる。
【0174】
本開示は1つまたは複数の開示化合物と、疾患または障害の治療に有用な1つまたは複数の他の薬剤または治療薬との組み合わせも意図されている。特定の例では、疾患または障害は、被験者のPKC活性の作用を通して媒介される。特定の例では、疾患または障害は、細胞増殖障害である。例えば、1つまたは複数の開示化合物を、有効な用量の他の医薬品、または、ホルモンまたは放射線治療、等の他の非医薬学的治療手段と組み合わせて投与してもよい。用語「組み合わせて投与」は、活性薬剤の同時または順次投与の両方を指す。
【0175】
プロテインキナーゼC
プロテインキナーゼ C
PKCはセリン/スレオニンキナーゼとして機能する酵素ファミリーである。PKCのアイソザイムは、組織分布、酵素選択性、Ca2+の必要性、および調節性の点で異なっている。PKCは細胞−細胞間信号伝達、遺伝子発現、および細胞分化と成長の制御で重要な役割を担っている。
【0176】
被験化合物はPKCの選択的阻害剤、例えば、1つまたは複数の他のプロテインキナーゼに比較して、例えば、1つまたは複数のチロシンキナーゼに比較して(例えば、1つまたは複数の非受容体または受容体チロシンキナーゼに比較して)、例えば、1つまたは複数のPKA、PKB、Abl Met、Src、Ins−R、Flt−3、JAK−2、KDR、および/またはRetタンパク質に比較して、PKCの選択的阻害剤であり得る。選択的PKC阻害剤は、必要に応じ、1つまたは複数のセリン/スレオニンキナーゼ、例えば、CDKファミリーに属していない1つまたは複数のセリン/スレオニンキナーゼ、に比較して選択的であってもよい。1つまたは複数の他のプロテインキナーゼに比較して、例えば、1つまたは複数のチロシンキナーゼに比較して、例えば、Flt−3、JAK−2、KDR、および/またはRetタンパク質に比較して、あるいは、例えば、CDKファミリーに属していない1つまたは複数のセリン/スレオニンキナーゼ、に比較して、被験化合物は少なくとも10倍、または20倍、または100倍のPKC選択性を出すことが出来る。
【0177】
他のプロテインキナーゼに比較したPKC選択的阻害剤の選択性は本明細書に記載のアッセイで測定したPKCのIC50と別のキナーゼに対し測定したIC50との比率として計算可能である。特定の例では、同種異系混合リンパ球反応(MLR)アッセイで測定したIC50値のBMアッセイで測定したIC50値に対する比が5、10、20、または30より大きくなるPKC阻害剤が提示されている。MLRおよびBMアッセイは既知の方法、例えば、本明細書に開示のマウスまたはヒトのMLRおよびBMアッセイにより実施可能である。
【0178】
本開示は、PKC阻害剤を提供し、これはアイソザイム選択的PKC阻害剤となることも可能で、この場合被験化合物は、1つまたは複数の他のPKCイソ型に比較してPKCイソ型θおよびαへの選択性を有する。特定の例では、被験化合物は、1つまたは複数の他のPKCイソ型に比較してPKCイソ型θへの選択性を有する。特定の例では、被験化合物は、1つまたは複数の他のPKCイソ型に比較してPKCイソ型αへの選択性を有する。一実施形態では、開示化合物は、少なくとも1つのPKCイソ型に比較してPKC θおよびPKC αへの選択性を示す。
【0179】
被験化合物は、1つまたは複数の他のPKCイソ型に比較して少なくとも10倍、または20倍、または100倍のPKCイソ型θまたはαへの選択性を示し得る。1つまたは複数の他のPKCイソ型に比較してPKCイソ型θまたはαへの選択性を、被験化合物のPKCイソ型θまたはαに対するIC50と被験化合物の他のPKCイソ型に対するIC50とを比較することで測定可能である。特定の例では、選択性を被験化合物のPKCの他のイソ型に対するIC50と、被験化合物のPKC θまたはαイソ型に対するIC50との比を計算することで測定可能である。特定の実施例では、被験化合物は別のPKCイソ型に比較してPKC θ、αまたは両方への選択性が、少なくとも約2倍、例えば、約3倍〜約300倍、約10倍〜約100倍、または約5倍〜50倍である。IC50値は、例えば、本明細書に記載のPKCアッセイによって得られる。被験化合物は、本明細書に記載のアッセイにおいてPKCイソ型θまたはαに対するIC50値として、1μM以下、例えば約300nM未満、例えば約1nM〜約250nM、100nM未満、または、さらには10nM未満、等の値を示しうる。
【0180】
被験化合物は、他のPKCイソ型に比較して、PKCイソ型θまたはμへの選択性を示し、また、同様に1つまたは複数の他のプロテインキナーゼ、例えば1つまたは複数のチロシンキナーゼに比較して、またはCDKファミリーに属さない1つまたは複数のセリン/スレオニンキナーゼに比較して、例えば1つまたは複数のPKA、PKB、Abl、Met、Src、Ins−it、Flt−3、JAK−2、KDRおよびRetタンパク質に比較して、例えば1つまたは複数のFlt−3、JAK−2、KDRおよびRetタンパク質に比較してPKCイソ型θまたはμへの選択性を示す。
【0181】
特定のPKCアイソザイムが種々の病状の機序に関与しており、必ずしもこれに限定されるものではないが、このような病状には次のようなものがある:癌(PKC α、βI、βII、およびδ);心肥大および心不全(PKC βIおよびPKC βII);侵害受容(PKC γおよびε);心筋梗塞を含む虚血(PKC εおよびδ);免疫反応、特にT細胞媒介(PKC θおよびα);および線維芽細胞増殖および記憶(PKC δおよびζ)。また、PKC εは疼痛知覚に関係した役割があると見なされている。PKC阻害剤は、炎症、および/または新生血管発症を伴う眼疾患または障害の治療にも使われる。
【0182】
被験化合物を、同起源の非疾患組織に比べ組織中のPKCアイソザイムの活性上昇の異常を特徴とする哺乳類(特にヒト)の病状の治療に使用できる。PKCアイソザイムの活性阻害による治療を受け入れるPKCアイソザイムおよび病状および/または生体機能には、次のものがあるがこれに限定されるものではない:PKC α(癌などの過剰増殖性細胞疾患);PKC βIおよびPKC βII(心肥大および心不全);PKCγ(疼痛管理);PKC δ(虚血、低酸素症(例えば、心筋梗塞および脳卒中における);紫外線照射に誘導されたアポトーシス;および異常線維芽細胞増殖(例えば、創傷治癒で発生する);PKC ε(疼痛管理、心筋機能不全);PKC θ(免疫系疾患、特にT細胞媒介反応を伴うもの);およびPKC ζ(記憶および線維芽細胞増殖)。
【0183】
PKCシータ
PKC θは、主にリンパ組織および骨格筋に発現する。PKC θは選択的にT細胞中に発現し、成熟T細胞活性化の役割を担う。PKC θはT細胞受容体(TCR)媒介T細胞活性化に関わるが、TCR依存胸腺細胞発生には必要ではないことが明らかになっている。他のPKCイソ型にはない機能であるが、PKC θは、抗原特異性T細胞と抗原提示細胞(APC)との間の細胞接触部位に移行し、そこでT細胞活性化の中核としてTCRと共に局在化する。α、ε、またはζアイソザイムにはない機能であるが、PKC θは、FasLプロモーター−レポーター遺伝子を選択的に活性化でき、mRNAまたは内在性FasLの細胞表面発現を上方制御することが出来る。他方、PKC θおよびεは、Fas誘導アポトーシスから細胞を防御することによりT細胞生存を促進することができ、この防御効果はBCL−2ファミリーメンバーのBADのp90Rsk依存リン酸化の促進により媒介されたものである。このように、PKC θはT細胞のアポトーシスにおいて二重に調節する役割を果たしているようである。
【0184】
PKC θは、Tリンパ球に媒介される障害または疾患の治療または予防に使用可能である。これらの障害または疾患には、例えば、関節リウマチ、乾癬およびエリテマトーデス等の自己免疫疾患、および喘息や炎症性腸疾患等の炎症性疾患、が挙げられる。
【0185】
PKC θは、移植および自己免疫疾患における免疫抑制のための薬物標的である(Isakov et al.(2002) Annual Review of Immunology,20,761−794)。国際公開第WO2004/043386号で移植片拒絶および多発性硬化症の治療のための標的としてPKC θを特定している。また、PKC θは炎症性腸疾患(The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics (2005),313 (3),962−982)、喘息(WO2005062918)、およびループス(Current Drug Targets:Inflammation & Allergy (2005),4 (3),295−298)においても役割を果たしている。
【0186】
さらに、PKC θは、消化管間質性腫瘍で高発現しており(Blay,P.et al.(2004) Clinical Cancer Research,10,12,Pt.1)、PKC θが胃腸癌の治療の分子標的であることが示唆されてきた(Wiedmann,M.et al.(2005) Current Cancer Drug Targets 5(3),171)。
【0187】
PKC θノックアウトマウスで誘導した実験から、PKC θ不活化がインシュリンの信号伝達および骨格筋中のグルコース輸送の脂肪誘導欠損を防止するという結果が得られた(Kim J.et al,2004,The J.of Clinical Investigation 114 (6),823)。このデータから、PKC θが2型糖尿病治療の治療標的であり、従って、PKC θ阻害剤がこれらの疾患の治療に有益であり得ることを示している。
【0188】
Sykキナーゼ
本明細書に開示されているように、被験化合物は、Sykキナーゼ阻害剤等の他のタンパク質キナーゼ阻害剤と組み合わせて投与可能である
【0189】
「Syk」または「Sykキナーゼ」は、B細胞および他の造血細胞で発現した72kDaの非受容体型(細胞質)脾臓タンパク質チロシンキナーゼを指す。Sykキナーゼは、直列型の2つのコンセンサスSrc相同性2(SH2)領域を特徴とし、この領域はリン酸化した免疫受容体チロシン活性化モチーフ(「ITAM」)、「リンカー」領域および触媒領域に結合する(検討のために、Sada et al.,2001,J.Biochem.(Tokyo) 130:177−186およびさらにTurner et al.,2000,Immunology Today 21:148−154およびWong et al.,2004,Expert Opin Investig Drugs 13(7):743−62を参照)。また、Sykキナーゼは、免疫受容体から導かれる重要な経路を調節する多種タンパク質のチロシンリン酸化のために重要である。この経路には、Ca2+動員、およびマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)カスケードおよび脱顆粒、等がある。また、Sykキナーゼは、好中球中のインテグリン信号伝達においても重要な役割を果たす(例えば、Mocsai et al.2002,Immunity 16:547−558 参照)。Sykキナーゼは任意の種の動物、例えば、これに限定されるものではないが、ヒト、サル、ウシ、ブタ、げっ歯類、等由来のSykファミリーに属すると認められるキナーゼを含む。具体的には、天然および人工両方のイソ型、スプライス変異、対立遺伝子多型、変異体が含まれる。これらのSykキナーゼのアミノ酸配列は、GENBANKから入手可能である。ヒトSykキナーゼの異なるイソ型をコードしたmRNAの具体例は、GENBANK受入番号gi|21361552|ref|NM−−003177.2、gi|496899|emb|Z29630.1|HSSYKPTK[496899]およびgi|15030258|gb|BC011399.1|BC011399[15030258]から入手可能である。これらGENBANKのデータは参照により本明細書に組み入れられる。
【0190】
治療への応用
被験化合物は、治療の必要な被験者のPKCの活性により媒介される、または悪化する疾患または障害の治療に有用である。また、この化合物は、被験者の異常な、もしくは望ましくないT細胞活性化に関連した疾患または障害の治療に有用である。
【0191】
従って、本開示は、有効量の被験化合物を投与して炎症を治療することにより被験者の炎症性疾患を治療する方法を提供する。この被験化合物には、その塩、溶媒和物、または、立体異性体を含む。治療を意図している炎症性疾患には、PKC活性により媒介される、または悪化する急性および慢性炎症を含む。
【0192】
また、本開示は、有効量の被験化合物を被験者に投与して自己免疫疾患を治療することにより患者の自己免疫疾患を治療する方法も提供する。この被験化合物には、その塩、溶媒和物、または、立体異性体を含む。
【0193】
また、本開示は、有効量の被験化合物を投与して炎症および/または新生血管発症を伴う眼疾患または障害を治療する方法をも提供する。この被験化合物には、その塩、溶媒和物、または、立体異性体を含む。
【0194】
本開示による治療の目的の疾患または症状には、次のものが含まれるが、これに限定されるものではない。アテローム性動脈硬化;血管形成等の血管損傷による血管閉塞;再狭窄;肥満;シンドロームX;耐糖能障害;多嚢胞性卵巣症候群;高血圧;心不全;慢性閉塞性肺疾患;アルツハイマー病または筋萎縮性側索硬化症等の中枢神経疾患;癌;AIDS、敗血症性ショックまたは成人呼吸促迫症候群等の感染症;心筋梗塞、脳卒中、腸管虚血、腎不全または出血ショック等の虚血/再灌流傷害;および脳外傷等の外傷性ショック。
【0195】
さらに、本開示による治療の目的の疾患または症状には、次のものも含まれるが、これに限定されるものではない。T細胞媒介急性または慢性炎症性疾患または障害または自己免疫疾患、関節リウマチ、変形性関節症、全身性エリテマトーデス、橋本甲状腺炎、多発性硬化症、重症筋無力症、1型または2型糖尿病およびこれらに関係した障害、移植片拒絶、移植片対宿主病、呼吸器疾患、喘息、炎症性肺損傷、炎症性肝損傷、炎症性糸球体障害、免疫介在性障害または疾患の皮膚症状、炎症性および過剰増殖皮膚疾患(例えば、乾癬、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、刺激性接触皮膚炎およびさらに湿疹性皮膚炎、脂漏性皮膚炎)、炎症性眼疾患(例えば、シェーグレン症候群、角結膜炎、ぶどう膜炎)炎症性腸疾患、クローン病または潰瘍性大腸炎、ギラン・バレー症候群、およびアレルギー。
【0196】
また、被験化合物は、炎症および/または血管新生を伴う眼疾患および障害の予防または治療または進行遅延のために使うことが出来る。炎症および/または新生血管事象を伴う眼疾患または障害には、次のものが含まれるが、これに限定されるものはない。黄斑変性症(AMD);糖尿病性眼疾患または障害;ぶどう膜炎;視神経炎;眼性浮腫;眼内血管新生;虚血性網膜症、前部虚血性視神経症;視神経症および視神経炎;黄斑浮腫;類嚢胞黄斑浮腫(CME);網膜剥離、網膜色素変性症(RP)、シュタルガルト病、ベストの卵黄状網膜変性、レーバー先天性黒内障およびその他の遺伝性網膜変性症等の網膜症または網膜障害;ソースビー眼底変性症;病的近視;未熟児網膜症(ROP);レーバー遺伝性視神経萎縮症;角膜移植または屈折矯正角膜手術;角結膜炎;またはドライアイ。
【0197】
通常、本明細書に開示の被験化合物で治療可能な細胞増殖性障害は異常細胞増殖を特徴とする任意の障害に関係づけられる。これらには、良性や悪性、転移性や非転移性の種々の腫瘍や癌が含まれる。組織侵襲性や転移等の癌に特有の性質は本明細書に記載の方法を使って標的に出来る。細胞増殖性障害には、種々の癌が含まれるが、特に乳癌、卵巣癌、腎臓癌、胃腸癌、腎癌、膀胱癌、膵臓癌、肺扁平上皮癌、および腺癌が含まれる。
【0198】
一部の実施形態では、治療される細胞増殖性障害は造血系細胞の異常増殖である造血器腫瘍である。造血器悪性腫瘍は、その起源が造血発生を伴う多能性幹細胞、多能性前駆細胞、寡能性前駆細胞、前駆細胞、および最終分化細胞にある。一部の血液系悪性腫瘍は自己再生能力のある造血幹細胞から発生すると考えられている。例えば、移植時に急性骨髄性白血病 (AML)の特異的サブタイプを発生させることが出来る細胞は、造血幹細胞の細胞表面マーカーを提示し、造血幹細胞を白血病細胞の発生源として関係づける。造血幹細胞の細胞マーカー特性を持たない芽細胞は、移植時に腫瘍を立証することが不可能に思われる(Blaire et al.,1997,Blood 89:3104−3112)。また、ある種の血液系悪性腫瘍の幹細胞起源は、特定の型の白血病に関連した特異的染色体異常が造血系正常細胞および白血病芽細胞で認められるという観察により裏付けられている。例えば、慢性骨髄性白血病の約95%と関係がある相互転座t(9q34;22q11)が、骨髄性、赤血球、およびリンパ系細胞に存在すると思われ、染色体異常が造血幹細胞に起因することを示唆している。特定のCML型中のサブグループの細胞は造血幹細胞の細胞表現型マーカーを提示する。
【0199】
造血器腫瘍は幹細胞が起源であることが多いが、発生系譜の方向付けされた前駆細胞または多くの最終分化細胞が一部の白血病の原因である可能性もある。例えば、通常骨髄系前駆細胞または顆粒球/マクロファージ前駆体細胞中での融合タンパク質Bcr/Abl(慢性骨髄性白血病に関与)の強制発現により白血病様の疾患が発生する。さらに、白血病のサブタイプに関連する一部の染色体異常が、造血幹細胞の表現型マーカーを伴った細胞集団中に認められておらず、造血経路のより分化した状態のマーカーを提示する細胞集団中に見つかっている(Turhan et al.、1995,Blood 85:2154−2161)。従って、方向付けされた前駆細胞および他の分化細胞は細胞分裂に対し限られた潜在能力しか持たない可能性がある一方で、白血病細胞が、造血幹細胞の自己再生特性を模倣している一部の例のように、無秩序の増殖能力を獲得してしまっている可能性がある(Passegue et al.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、2003,100:11842−9)。
【0200】
一部の実施形態では、治療した造血器腫瘍はリンパ系腫瘍であり、この場合、異常細胞は、リンパ系細胞から派生し、および/または、その細胞の特徴的表現型マーカーを発現している。リンパ系腫瘍は、B細胞腫瘍、TおよびNK細胞腫瘍、およびホジキンリンパ腫に細分化出来る。B細胞腫瘍はさらに、前駆B細胞腫瘍と成熟/末梢B細胞腫瘍に細分化出来る。代表的B細胞腫瘍は、前駆B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫(前駆B細胞性急性リンパ芽球性白血病)であり、一方、代表的成熟/末梢B細胞腫瘍は、B細胞性慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫、B細胞性前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、脾臓周辺帯B細胞リンパ腫、ヘアリーセル白血病、形質細胞性骨髄腫/形質細胞腫、MALT型の節外周辺帯B細胞リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、原発性体液性リンパ腫、およびバーキットリンパ腫/バーキット細胞白血病である。TおよびNK細胞腫瘍は、さらにT細胞腫瘍および成熟(末梢)T細胞腫瘍に細分化出来る。代表的前駆T細胞腫瘍は、前駆Tリンパ芽球性リンパ腫/白血病(前駆T細胞性急性リンパ芽球性白血病)であり、一方、代表的成熟(末梢)T細胞腫瘍には、T細胞性前リンパ球性白血病、T細胞顆粒リンパ球性白血病、侵攻性NK細胞白血病、成人T細胞リンパ腫/白血病(HTLV−1)、結節外NK/T細胞リンパ腫、鼻型、腸症型T細胞リンパ腫、肝脾ガンマ・デルタT細胞リンパ腫、皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫、菌状息肉腫/セザリー症候群、未分化大細胞リンパ腫、T/null細胞型、皮膚原発型、末梢T細胞リンパ腫、他に特徴付け出来ないものでは;血管免疫芽球性T細胞性リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、T/null細胞型、全身原発型;がある。リンパ系腫瘍の3番目のメンバーは、ホジキンリンパ腫で、これはホジキン病とも呼ばれている。本開示の化合物で治療可能なこのクラスの代表的腫瘍には、特に、結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫、および種々の古典的な形態のホジキン病が含まれ、このメンバーの代表的なものとして結節硬化型ホジキンリンパ腫(グレード1と2)、リンパ球豊富型古典的ホジキンリンパ腫、混合細胞型ホジキンリンパ腫、およびリンパ球減少型ホジキンリンパ腫が含まれる。
【0201】
一部の実施形態では、治療される造血器腫瘍は骨髄性腫瘍である。このグループには骨髄細胞系列の特徴的細胞表現型を伴うまたは発現している大分類の細胞増殖性障害が含まれる。骨髄性腫瘍は、骨髄増殖性疾患、骨髄異形成/骨髄増殖性疾患、骨髄異形成症候群、および急性骨髄性白血病に細分化出来る。代表的な骨髄増殖性疾患は、慢性骨髄性白血病(例えば、フィラデルフィア染色体陽性(t(9;22)(qq34;q11))、慢性好中球性白血病、慢性好酸球性白血病、好酸球増加症候群、慢性特発性骨髄線維症、真性多血症、および本態性血小板血症である。代表的な骨髄異形成/骨髄増殖性疾患は、慢性骨髄単球性白血病、非定型慢性骨髄性白血病、および若年性骨髄単球性白血病である。代表的な骨髄異形成症候群は、不応性貧血(環状鉄芽球を伴うもの、伴わないもの)、多系統異形成を伴う難治性血球減少(骨髄異形成症候群)、過剰芽細胞を伴う不応性貧血(骨髄異形成症候群)、5q−症候群、およびt(9;12)(q22;p12)を伴う骨髄異形成症候群(TEL−Syk融合;例えば、Kuno et al.,2001,Blood 97:1050参照)。
【0202】
一部の実施形態では、本組成物は、障害の副分類を有する骨髄性腫瘍大分類を代表する急性骨髄性白血病(AML)の治療に使用できる。これらの副分類には、特に、再現性のある細胞遺伝学的転座を伴うAML、多系統異形成を伴うAML、および他に分類できないAMLが含まれる。代表的な再現性のある細胞遺伝学的転座を伴うAMLには、特に、t(8;21)(q22;q22)を伴うAML、AML1(CBF−アルファ)/ETO、急性前骨髄球性白血病(t(15;17)(q22;q11−12)を伴うAMLおよび変異体、PML/RAR−アルファ)、骨髄中の好酸球増加を伴うAML(inv(16)(p13q22)またはt(16;16)(p13;q11)、CBFb/MYH11X)、および11q23(MLL)異常を伴うAMLが含まれる。代表的な多系統異形成を伴うAMLには、過去の骨髄異形成症候群の既往の有無に関連したAMLがある。他の急性骨髄性白血病でどの定義可能なグループにも分類できないものには、最未分化型AML、未分化型AML、分化型AML、急性骨髄単球性白血病、急性単球性白血病、急性赤白血病、急性巨核芽球性白血病、急性好塩基球性白血病、および骨髄線維症を伴う急性汎骨髄症が含まれる。
【0203】
他の実施形態では、細胞増殖性障害には、ウイルス媒介腫瘍が含まれる。この腫瘍は腫瘍ウイルスの細胞感染が原因である。このウイルスは、正常細胞を腫瘍細胞に形質転換する能力を有する。ウイルス感染の速度は細胞の実際の形質転換発生率より遙かに大きいので、ウイルス媒介形質転換では、通常、他の細胞性因子と一緒に作用して形質転換腫瘍細胞を生成する。従って、ウイルス媒介腫瘍では、ウイルスが単に細胞増殖性障害の原因物質として必要なのではなく、ウイルス感染または存在の持続が腫瘍の生成に関連している。通常、原因物質がウイルスである腫瘍では、限られた数のウイルス遺伝子を連続的に発現し、ウイルス感染の一部として、またはウイルスの存続により発現したこれらのウイルス性腫瘍遺伝子は正常細胞遺伝子発現および信号伝達経路を破壊する。理論にとらわれずにいえば、細胞形質転換を伴うウイルス性腫瘍遺伝子は、次の4つの主要細胞過程を破壊すると思われる:成長因子および細胞外基質と相互作用する細胞表面受容体、経膜信号伝達ネットワーク、溶解性タンパク質およびセカンドメッセンジャー等の細胞基質成分、およびDNA結合タンパク質および遺伝子調節および複製で直接・間接的に機能する要素等の核タンパク質。
【0204】
一部の実施形態では、本明細書に開示の被験化合物で治療可能なウイルス媒介腫瘍は、免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)をコードし、Syk活性を調節可能な任意のウイルスに起因している。上記のように、このモチーフは保存アミノ酸配列モチーフで、非受容体型チロシンキナーゼと相互作用し、これを活性化することにより機能する。ITAMモチーフは、特に、FcεRIのpとy鎖、T細胞受容体εサブユニット、およびB細胞受容体の免疫グロブリンβ(Igβ)およびIgα中で見つかっている。基準配列モチーフは通常Yxx(L/I)x.sub.6−8Yxx(L/I)で、ここでxは任意のアミノ酸を表す。通常、モチーフ中のチロシン残基はITAM信号伝達に関与し、キナーゼのSrcファミリーによるリン酸化の基質となる。リン酸化型ITAMは、Syk/ZAP−70キナーゼ等の信号伝達タンパク質を含む、SH2(src相同領域)のための相互作用サイトとして機能する。多様な細胞表面の細胞性分子としての存在に加えて、ITAM配列はウイルスをコードしたタンパク質中で特定されている。腫瘍遺伝子としてのSykキナーゼの機能を示す本明細書の記載を考慮すれば、ITAM配列を有するタンパク質をコードした遺伝子を持つウイルスに起因する腫瘍はSyk阻害化合物で治療できる。
【0205】
従って、一部の実施形態では、被験化合物で治療可能なウイルス媒介腫瘍は、カポジ肉腫(KS)随伴性ヘルペスウイルス、カポジ肉腫に関わるリンパ指向性ウイルス、HIV感染集団に高頻度で認められる希少悪性腫瘍、に関わりがある。KS随伴性ヘルペスウイルスは、免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)様配列を有する、KIと名付けられた膜貫通タンパク質をコードしている。KI遺伝子産物は、システリンリッチな細胞外ドメインを通って構成的手法で作用し、Sykとその関連キナーゼZap−70を活性化する(Lagunoff、 M. et al.、 1999、 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96(10):5704−5709)。本明細書の方法のさらなる裏付けとなることであるが、KI遺伝子を持った形質転換マウスで、感染動物中に、ある種の肉腫およびリンパ腫発症の増加が認められ、腫瘍形成におけるKI活性の役割を示していると思われる(Prakash et al.,2002,J.Natl.Cancer Inst.94:926−35)。
【0206】
一部の実施形態では、ウイルス媒介腫瘍は、エプスタイン・バーウイルス(EBV)が原因である。エプスタイン・バーウイルスはヘルペスウイルス科ファミリーのメンバーで、一次感染後、中咽頭上皮細胞中で増殖し、再循環Bリンパ球に感染させる。感染により急性伝染性単核球症(腺熱としても知られている)になる可能性がある。伝染性単核球症は、良性リンパ増殖性疾患で、一過性免疫抑制と非定常リンパ球増殖の特徴が有り、その大部分はCD8.sup.+ T細胞である。このT細胞では、EBVは不顕性で持続性の感染を確定し、その間に選定したウイルス遺伝子セットを発現する。全ゲノムは増殖リンパ球中にエピソームDNAとして生き残ることがでる。EBV感染は、バーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫、および成人T細胞白血病の原因である。
【0207】
EBVゲノムによりコードされたLMP2Aタンパク質は膜貫通タンパク質で、感染後のEBVウイルスの潜伏維持の役割を果たすと考えられている。これは延長アミノ末端尾部、12の膜貫通領域、および細胞質領域から構成される。このアミノ末端領域はITAMモチーフを含み、これがLMP2AとSykキナーゼを相互作用させる(Fruehling et al.,1997,Virology,235:241−251)。LMP2Aはリンパ球細胞中でSykキナーゼを調節してB細胞生存を促進し、潜伏感染を維持していると考えられる。Sykは信号伝達経路において、PI−3K、BLNK、およびホスホリパーゼy2、等の他の信号伝達経路を調節しており、かつ、リンパ球細胞の生存促進に関わっているという理由から、LMP2Aタンパク質または他のウイルス媒介エフェクターによる不適切なSyk活性化は、異常リンパ球増殖を誘導する役割を果たす可能性がある(Caldwell et al.,2000,J Virol 74(19):9115;Caldwell et al.,1998,Immunity 9:405))。
【0208】
一部の実施形態では、被験化合物で治療されたウイルス媒介腫瘍は、AIDSウイルス、HIV−1と同じウイルス分類に属するレトロウイルスであるヒトT細胞リンパ向性ウイルス(HTLV−1ウイルス)が関与している。このウイルスはCD4 T細胞指向性であるが、一方、CD8 T細胞はウイルス貯蔵所の役割もしうる。HTLV−1感染は、特に、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)および他の多くのリンパ球障害と関わりがある。HTLV−1感染の間に、Sykは感染細胞中で発現するが、Syk関連キナーゼのZAP−70の発現は存在しない(Weil et al.,1999,J.Virol.73(5):3709−17)。Sykを含む多くのキナーゼの調節不全が、HTLV−1媒介成人T細胞白血病の誘導に関わっている。
【0209】
一部の実施形態では、ウイルス媒介腫瘍に乳癌ウイルス(MTV)が関与している。マウス乳癌の病理因子として特定されたB型レトロウイルスであるマウス乳癌ウイルス(MMTV)のEnv遺伝子内にITAM配列が見つかっている。MMTVのEnv遺伝子で形質移入されたマウスの乳腺上皮細胞は、軟寒天中のコロニー形成、基底膜調製中の侵襲性、等の特徴的な形質転換表現型を示す(Katz et al.,2005,J Exp Med.201(3):431−9)。マウス乳癌ウイルス様配列は、乳癌およびT細胞リンパ腫、等のヒト癌中にも存在する(Wang et al.,2000,Clinical Cancer Res.6:1273−1278)。これらの配列は大抵の正常乳房組織中では観察されていないので、腫瘍形成と関連付けられている。
【0210】
ウイルス媒介腫瘍の治療用被験化合物の使用が、前に特定したウイルスに関わる腫瘍に限定されないことは理解されるべきである。述べてきたように、腫瘍ウイルスと関わりがあり、発癌機序の一部としてSykが活性化されるいかなる腫瘍も、ITAM配列を伴うか否かを問わず、本被験化合物の使用標的となり得る。
【0211】
機能特性評価
以下は、目的化合物の活性評価に有用な代表的アッセイである。
A.インビトロ
【0212】
1.プロテインキナーゼCアッセイ
蛍光偏光法を使って種々の阻害剤濃度でリン酸化ペプチドの産生をモニターしてPKC活性の阻害を測定した。合計容量20μLの96ウェルプレートフォーマットを用い、20mMのHEPES、pH7.4、5mMのMgCl、0.2mMのCaCl、1mMのDTT、0.02%Brij−35、0.1mg/mLのホスファチジルセリン、0.02mg/mLのジオレオイル−sn−グリセロール、ならびに各ATPを5μMおよびペプチド基質を入れて反応を実施した。最初に化合物を連続的にDMSOで希釈し、次いで上記濃度のHEPES、MgCl、CaCl、DTT、およびBrij−35を含む溶液に移し、5xの2%DMSO化合物溶液を得、これを反応溶液に添加した。下記の表に記載の代表的濃度でPKCを添加して反応を開始し、次いで室温で20分間インキュベートした。この時間の最後に、反応停止試薬(EDTA)と検出試薬(ペプチドトレーサーおよび抗体)を組み合わせて添加した。これには、Invitrogen P2748(カールズバッド、CA)、タンパク質キナーゼC蛍光偏光アッセイキットを使用した。30分のインキュベーションの後、生成したリン酸化ペプチドの量を、Tecan Polarian instrument(スイス)を用いて蛍光偏光(Ex=485nm、Em=535nm)で測定した。
【表4】

【0213】
2.IL−2 ELISA、ヒト一次T細胞、抗CD3+CD28+アッセイ
ヒト一次T細胞の単離と培養:
ヒト一次T細胞を次のように調製した。全血を健康なボランティアから得て、PBSと1:1に混合し、2:1の血液/PBS:フィコール比率でフィコールハイパック(Amersham Pharmacia Biotech、Piscataway、NJ、カタログ#17−1440−03)上に層状に入れ、4℃、1750rpmで30分間遠心分離した。血清:フィコール界面で細胞を回収し、5容積のPBSで2回洗浄した。これら新しく単離されたヒト抹消血中単核細胞を、1μg/mLのαCD3と5μg/mLのαCD28(抗ヒトCD3、BD Pharmingen カタログ#555336、抗ヒトCD28、Beckman Coulter カタログ#IM1376)とをプレコートしたフラスコ中で、40U/mLのIL2を含むYssel’s培地で培養した。この細胞を3〜4日刺激し、新しいフラスコに移した後、10%FBSと40U/mLのIL−2とを含むRPMI(L−グルタミン含有RPMI−1640;Mediatech、Inc.、Herndon VA、カタログ#10−040−CM)とで維持した。次に、一次T細胞をPBSで2回洗浄しIL−2を除去した。
【0214】
一次T細胞刺激とIL2 ELISA
試験化合物を添加した場合と添加しない場合について、ヒト一次T細胞(100、000細胞/ウェル)をYssel’s培地中、37℃で1時間プレインキュベートした。次に、1μg/mlのαCD3および5μg/mlのαCD28でプレコートした丸底96ウェルプレートに移すことにより細胞を刺激した。カウンターアッセイのために、細胞をPMAの8X保存液とYssel’s培地に入れたイオノマイシン(最終濃度は、0.5ng/ml:PMAおよび0.1μM:イオノマイシン;両方ともCalbiochemから入手)を添加して刺激した。細胞を37℃で24時間インキュベーション後、100μLの上澄みを回収し、Human IL−2 Duoset ELISAキット(R and D Systems、カタログ#DY202Eから入手)を使ってELISA法でIL−2を定量した。
【0215】
3.プロテインキナーゼCアッセイ
被験化合物の異なるPKCイソ型に対する活性を以下の方法で試験できる。白色透明底の384ウェルを備えたノンバインディング表面のマイクロタイタープレートでアッセイを実施する。反応混合物(25μl)には、20mMTris−HClバッファpH7.4+0.1%BSA中に入れる成分として、Ala→Ser置換のあるPKCα疑似基質配列を模倣した1.5μMのトリデカペプチド受容体基質、10μMの33P−ATP、10mMのMg(NO、0.2mMのCaCl、タンパク質濃度25〜400ng/mlのPKG(使われたアイソタイプに依存)、最終脂質濃度で0.5mMの脂質小胞(30mol%ホスファチジルセリン、5mol%DAGおよび65mol%ホスファチジルコリンを含む)、が含まれる。インキュベーションは室温で60分行う。50μlの停止混合物(100mM EDTA、200μM ATP、0.1%TritonX−100、Ca、Mgを含まないリン酸塩緩衝生理食塩水に入れた0.375mg/ウェルのストレプトアビジン被覆SPAビーズ)を加えて反応を停止させる。室温で10分のインキュベーション後、懸濁液を300gで10分間遠心沈降させる。組み込まれた放射能をTriluxカウンターで1分間計測する。IC50の測定は、1−1000μMの濃度範囲の阻害剤希釈系列をインキュベーションして通例の手法で行う。IC50値は、XLFit(登録商標)ソフトウェアを使ってグラフのカーブフィッティングにより求める。
【0216】
4.プロテインキナーゼCαアッセイ
ヒト組換えPKCαをOxford Biomedical Researchより入手し、上記A.1項で記載したアッセイ条件下で使用する。
【0217】
5.プロテインキナーゼCβ1アッセイ
ヒト組換えPKCβ1をOxford Biomedical Researchより入手し、上記A.1項で記載したアッセイ条件下で使用する。
【0218】
6.プロテインキナーゼCδアッセイ
ヒト組換えPKCδをOxford Biomedical Researchより入手し、上記A.1項で記載したアッセイ条件下で使用する。
【0219】
7.プロテインキナーゼCεアッセイ
ヒト組換えPKCεをOxford Biomedical Researchより入手し、上記A.1項で記載したアッセイ条件下で使用する。
【0220】
8.プロテインキナーゼCηアッセイ
ヒト組換えPKCηをPanVeraより入手し、上記A.1項で記載したアッセイ条件下で使用する。
【0221】
9.プロテインキナーゼCθアッセイ
ヒト組換えPKCθを上述のアッセイ条件下で使用する。
【0222】
10.CD28副刺激アッセイ
このアッセイは、Baumann G et al.、Transplant.Proc.1992;24:43−8に記載の、ヒトインターロイキン−2プロモーター/レポーター遺伝子構築物を形質移入したJurkat細胞を使って実施する。ここでβ−ガラクトシダーゼレポーター遺伝子は、ルシフェラーゼ遺伝子で置き換えられている(de Wet J.,et al.,Mol.Cell.Biol.1987,7(2),725−737)。細胞を固相結合抗体またはホルボールミリスタートアセタート(PMA)およびCa++イオノフォアのイオノマイシンにより以下の通りに刺激する。抗体媒介性刺激のために、Microlite TM1マイクロタイタープレート(Dynatech)を、1ウェルにつきリン酸緩衝食塩水(PBS)55μl中の3μg/mlヤギ抗マウスIgG Fc抗体(Jackson)により、3時間室温で被覆する。抗体を除去した後、PBS中の2%ウシ血清アルブミン(BSA)(1ウェルにつき300μl)と共に2時間室温でインキュベートすることにより、プレートをブロックする。1ウェル当たり300μlのPBSで3回洗浄した後、2%BSA/PBS50μl中に入れた10ng/mlの抗T細胞受容体抗体(WT31、Becton&Dickinson)および300ng/mlの抗CD28抗体(15E8)を刺激抗体として添加し、一晩4℃でインキュベートする。最後にプレートを1ウェルにつき300μlのPBSで3回洗浄する。アッセイ培地(50μM 2−メルカプトエタノール、100ユニット/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシンを含有する、RPMI1640/10%ウシ胎児血清(FCS))中で、試験化合物の3倍連続希釈物7個を二通り別々のプレートに調製し、形質移入したJurkat細胞(クローンK22 290_H23)と混合し、30分間、37℃、5%CO中でインキュベートする。次いで1x10細胞を含有するこの混合物100μlを、抗体被覆アッセイプレートに移す。並行して100μlを40ng/mlPMAおよび2μM イオノマイシンとインキュベートする。5.5時間、37℃、5%CO中でインキュベートした後、ルシフェラーゼレベルをバイオルミネセンス測定により測定する。プレートを10分間500gで遠心分離し、上清を振り落として除去する。25mM Tris−リン酸塩、pH7.8、2mM DTT、2mM 1.2−ジアミノシクロヘキサン−N,N,N',N−四酢酸、10%(v/v)グリセロールおよび1%(v/v)Triton X−100を含有する溶解バッファを添加する(1ウェルにつき20μl)。プレートを室温で10分間、一定の震盪を加えながらインキュベートする。20mMトリシン、1.07mM(MgCOMg(OH)x5HO、2.67mM MgSO、0.1mM EDTA、33.3mM DTT、270μM補酵素A、470μMルシフェリン(Chemie Brunschwig AG)、530μM ATP、pH7.8を含有するルシフェラーゼ反応バッファを1ウェルにつき50μl自動的に添加した後、ルシフェラーゼ活性をバイオルミネセンスリーダー(Labsystem、ヘルシンキ、フィンランド)で評価する。遅延時間は0.5秒であり、総測定時間は1または2秒である。低い対照値は抗T細胞受容体またはPMAにより刺激された細胞からの発光単位であり、高い対照値は、試験サンプル無しで抗T細胞受容体/抗CD28またはPMA/イオノマイシンで刺激された細胞からのものである。低い対照を、全値から差し引く。試験化合物の存在下で得られる阻害を、高い対照に対する阻害パーセントとして算出する。50%阻害(IC50)をもたらす試験化合物の濃度を、用量反応曲線から決定する。
【0223】
11.骨髄増殖(BM)アッセイ
CBAマウスからの骨髄細胞(平底組織培養マイクロタイタープレート中、1ウェル当たり2.5x10細胞)を、10%FCS、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン(GibcoBRL、バーゼル、スイス)、50μM 2−メルカプトエタノール(Fluke、Buchs、スイス)、増殖因子源としてのWEHI−3ならし培地(7.5%v/v)およびL929ならし培地(3%v/v)、および連続希釈化合物、を含んだ100μlのRPMI培地中でインキュベートする。3倍希釈操作を試験化合物当たり2部ずつ7回実施する。4日間のインキュベーション後、1μCi H−チミジンを添加する。さらに5時間インキュベーション後、細胞を回収し、取り込まれたH−チミジンを標準手法で測定する。ならし培地は次のようにして調製する。WEHI−3細胞l(ATCC TIB68)およびL929細胞(ATCC CCL1)を集密になるまで、それぞれ4日および1週間、RPMI培地中で増殖させる。細胞を回収し、同じ培養フラスコ中で、WEHI−3細胞に対しては1%FCS(Schreier and Tees 1981)、L929細胞に対してはRPMI培地、を含む培地C再懸濁後、2日間(WEHI−3)または1週間(L929)インキュベーションする。上澄みを集め、0.2μmで濾過して−80℃で一定分量を保存する。試験化合物を含まず、WEHI−3とL929上澄みを含まない培養物を低い対照値として使用する。低い対照値をすべての値から差し引く。試料を含まない高い対照値を100%増殖として採用する。試料による阻害パーセンを計算し、50%阻害に必要な濃度(IC50値)を決定する。
【0224】
12.同種異系混合リンパ球反応(MLR)
双方向MLRを標準方法に従って実施する(J. Immunol. Methods、 1973、 2、 279 および Meo T. et al.、 Immunological Methods、 New York、 Academic Press、 1979、 227−39)。簡単に説明すると、CBAおよびBALB/cマウス由来の脾臓細胞(平底組織培養マイクロタイタープレート中、1ウェルにつき各系統から1.6x10細胞、全部で3.2x10)を、10%FCS、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン(GibcoBRL、バーゼル、スイス)、50μM 2−メルカプトエタノール(Fluka、Buchs、スイス)および連続希釈した化合物を含有するRPMI培地中でインキュベートする。各試験化合物につき7回の3倍希釈操作を2部実施する。4日間のインキュベーションの後、1μCiのH−チミジンを添加する。さらに5時間インキュベーションした後、細胞を回収し、組み込まれたH−チミジンを標準方法に従って測定する。MLRのバックグラウンド値(低い対照)は、BALB/c細胞単独の増殖である。低い対照は、すべての値から差し引く。どのサンプルも含まない高い対照を、100%増殖とする。各サンプルによるパーセント阻害を算出し、50%阻害に必要とされる濃度(IC50値)を決定する。
【0225】
B.インビボ
心臓移植モデル
使用した系統の組合せ:雄Lewis(RTハプロタイプ)およびBN(RTハプロタイプ)。吸入イソフルランを使用して、動物を麻酔する。腹部の下大静脈を通してドナーラットをヘパリン化し、同時に大動脈から全採血し、続いて、胸部を切開し、心臓を急速に冷却する。大動脈を結紮し、最初の分岐の遠位で切断し、腕頭動脈を最初の分岐で切断する。左肺動脈を結紮し、切離し、右側は切離するが開口のままにする。他の全血管を切り離して遊離させ、結紮し、切断し、ドナーの心臓を氷冷食塩水に移す。
【0226】
レシピエントを開腹し、腎臓下の腹大動脈と大静脈にクロスクランプをかけて準備する。1010モノフィラメント縫合糸を使用して、ドナーの腕頭動脈とレシピエントの動脈との間、およびドナーの右肺動脈からレシピエントの大静脈へ、移植片を端々吻合で移植する。鉗子を取り除き、移植片を腹部後方に繋留し、腹部の内容物を温かい塩水で洗浄し、術創を閉じて加熱灯下で回復させる。鼓動しているドナーの心臓を、腹壁を通して毎日触診することにより、移植片生着をモニターする。心臓の鼓動が停止したとき、拒絶が完了したとみなす。化合物で治療した動物の移植片生着をモニターする。
【0227】
移植片対宿主モデル
Wistar/F ラット由来の脾臓細胞(2x10)を、(Wistar/F x Fischer 344)Fハイブリッドラットの右後肢の足蹠に皮下注射する。左足蹠は処理せずにおく。動物を4日続けて(0〜3日目)試験化合物で治療する。膝窩リンパ節を7日目に取りだし、2つの相応するリンパ節の重量差を測定する。結果は、実験群のリンパ節重量差を、試験化合物で治療しなかった動物群由来の相応するリンパ節間の重量差と比較して、リンパ節拡大の阻害として表す(パーセント表示)。特定の例では、試験化合物は選択的PKC阻害剤である。例えば、移植片対宿主病と関連障害の治療に特に有用な開示化合物は、選択的PKCαとθ阻害剤である。
【0228】
研究用途
被験化合物はPKC活性を阻害することが可能であるから、このような化合物は研究用ツールとしても有用である。また、本開示は、生物学的システムまたは試料の研究、またはPKC活性を阻害することが出来る新化学化合物の開発のための研究ツールとして、式(I)の化合物またはそれの塩または溶媒和物または立体異性体の使用方法を提供する。
【0229】
本開示は、PKCを含むことが既知の生物学的システムまたは試料の研究方法を提供し、この方法は、(a)生物学的試料を式(I)の化合物またはそれの塩または溶媒和物または立体異性体に接触させ、(b)その生物学的試料に対する当該化合物による阻害効果を測定すること、を含む。
【0230】
PKCを含む任意の適切な生物学的試料はインビトロまたはインビボのいずれかで行われる上記研究に採用可能である。この研究に適合する代表的生物学的試料には、これに限定されるものではないが、細胞、細胞抽出物、細胞膜、組織試料、単離器官、哺乳動物(マウス、ラット、モルモット、ウサギ、イヌ、ブタ、ヒト、等)、等が含まれ、哺乳動物が特に興味の対象である。
【0231】
研究ツールとして使用する場合、通常は、PKCを含む生物学的試料を、PKC活性を阻害する量の被験化合物と接触させる。生物学的試料を当該化合物に暴露の後、PKC活性を阻害する効果を本明細書に開示のアッセイ等の通常の手順および装置で測定する。暴露には、生物学的試料の当該化合物との接触または被験者への当該化合物の投与が包含される。上記測定方法には、反応の測定(定量分析)または観察(定性分析)が含まれ得る。反応の測定には、例えば、放射リガンド結合アッセイおよび機能アッセイでのリガンド媒介変化の測定、等の通常の手順と装置を使った当該化合物の生物学的試料に対する効果の測定が含まれる。これらのアッセイ結果は、活性レベル、並びに所望の結果を達成するために必要な量、すなわちPKC活性阻害量、を決定するために使用できる。
【0232】
さらに、被験化合物を他の化学化合物を評価する研究用ツールとしても使うことができ、従って、例えば、PKC阻害活性を有する新規化合物を開発するためのスクリーニングアッセイにも使うことができる。このように、被験化合物をアッセイでの標準として使って試験化合物の結果と当該被験化合物による結果を比較し、もしあれば、ほぼ同等またはより優れた活性を有する試験化合物を特定できる。例えば、1つの試験化合物または1グループの試験化合物のIC50データを被験化合物のIC50データと比較して、所望の特性を有する試験化合物、例えば、被験化合物とほぼ同等またはより優れたIC50を有する試験化合物を、もしあれば、特定する。
【0233】
この態様には、別々の実施形態として、比較データの生成(適切なアッセイを使って)および目的試験化合物の特定のための試験データの解析の両方が含まれる。従って、生物学的アッセイでは、試験化合物は、(a)試験化合物で生物学的アッセイを行い第1のアッセイ値を得るステップ、(b)被験化合物で生物学的アッセイを行い第2のアッセイ値を得るステップ、ここでステップ(a)がステップ(b)の前、後、または同時に実行され、および(c)ステップ(a)による第1のアッセイ値とステップ(b)による第2のアッセイ値を比較するステップ、を含む方法によって評価できる。比較データを生成するために使うことが出来るアッセイは、PKCアッセイ等で、本明細書に開示されている。
【0234】
実施例
以下の実施例は、当業者に実施形態の作成と使用方法の完全な開示と記述を提供するために提示されており、発明者が自らの発明と見なす範囲を制限する意図のものでもなく、また、下記の実験が実施したすべて、あるいは唯一の実験であることを示す意図のものでもない。使われている数値(例えば、量、温度、等)には正確を期しているつもりであるが、いくばくかの実験誤差と偏差は考慮されるべきである。特に他に指示がなければ、部は重量部、分子量は重量平均分子量、温度はセ氏、圧力は大気圧またはその近傍である。標準的な略号を使う場合もある。
実施例1および2
【化22】

【0235】
調製1
1−(2−フルオロ−5−ニトロフェニル)−1H−ピロール(P−1)の合成

250mLの丸底フラスコ中で、5−ニトロ−2−フルオロアニリン(7.0g、44.8mmol)を酢酸(60mL)に溶解させ、2、5−ジメトキシテトラヒドロフラン(6.3mL、49.8mmol)で処理した。得られた混合物を110℃で4時間加熱した。TLC分析により、4時間後には出発物質が完全に生成物に転換していることが示された。次いで、反応混合物を周囲温度まで冷却し、分液漏斗に移して分配した(CHCl//HO)。有機相をHO(3x50mL)、食塩水(3x50mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥後、減圧下蒸発させ薄茶色の残渣を得た。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン→1:9EtOAc/ヘキサン)で精製して淡黄色固体の標記化合物(7.2g、78%)を得た。
H NMR (DMSO−d, 300 MHz) 8.34 (dd, 1H), 8.16−8.20 (m, 1H), 7.69 (t, 1H), 7.27 (d, 2H), 6.32 (d, 2H) ppm; MS (ES) 207 (M+H).
【0236】
調製2
1−(2−フルオロ−5−ニトロフェニル)−1H−ピロール−2−カルボアルデヒド(P−2)の合成
50mL丸底フラスコ中、0℃で無水DMF(0.82mL、10.67mmol)とPOCl(0.96mL、10.67mmol)を混合した。この懸濁液を周囲温度まで暖め、無水DMF(8mL)中の淡黄色溶液として1−(2−フルオロ−5−ニトロフェニル)−1H−ピロール(2.0g、9.7mmol)で処理した。得られた混合物を室温で5時間激しく攪拌した。この混合物のTLC分析により、5時間後には出発物質が完全に生成物に転換していることが示された。この反応混合物を分液漏斗に移し分配した(EtOAc//HO)。有機相をHO(3x50mL)、食塩水(3x50mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥後、減圧下蒸発させ茶色の残渣を得た。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン→1:1EtOAc/ヘキサン)で精製して白色固体の標記化合物(1.2g、54%)を得た。
【0237】
H NMR (DMSO−d, 300 MHz) 9.53 (s, 1H), 8.40 (dd, 1H), 7.70 (t, 1H), 7.51 (s, 1H), 7.32 (d, 1H), 6.54 (t, 1H); MS (ES) 235 (M+H).
【0238】
調製3
8−ニトロ−4H−ベンゾ[b]ピロロ[1,2−d][1,4]オキサジン(P−3)の合成
250mL丸底フラスコ中で、1−(2−フルオロ−5−ニトロフェニル)−1H−ピロール−2−カルボアルデヒド(3.95g、16.9mmol)をエタノール(100mL)に懸濁し、水素化ホウ素ナトリウム(767mg、20.3mmol、1.2当量)で処理した。得られた混合物を60℃で5時間攪拌した。この反応混合物を周囲温度まで冷却した後、分液漏斗に移し分配した(CHCl//HO)。有機相をHO(3x50mL)、食塩水(3x50mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥後、減圧下蒸発させ淡黄色の残渣を得た。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン→1:9EtOAc/ヘキサン)で精製して淡黄色固体の標記化合物(2.5g、68%)を得た。
H NMR (DMSO−d , 300 MHz) 8.53 (d, 1H), 7.96 (dd, 1H), 7.77 (s, 1H), 7.26 (d, 1H), 6.35 (t, 1H), 6.14 (s, 1H), 5.33 (s, 2H); MS (ES) 217 (M+H).
【0239】
調製4
4H−ベンゾ[b]ピロロ[1,2−d][1,4]オキサジン−8−アミン(P−4)の合成
H NMR (DMSO−d , 300 MHz) 7.21 (t, 1H), 6.76 (s, 1H), 6.74 (d, 1H), 6.29 (dd, 1H), 6.23 (t, 1H), 6.01 (s, 1H), 4.97 (s, 2H), 4.88 (s, 2H); MS (ES) 187 (M+H).
【0240】
実施例1
N2−(4H−ベンゾ[b]ピロロ[1,2−d][1,4]オキサジン−8−イル)−5−フルオロ−N4−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)ピリミジン−2,4−ジアミン(化合物1〜4)の合成
H NMR (DMSO−d , 300 MHz) 8.88 (s, 1H), 8.34 (s, 1H), 7.85 (d, 1H), 7.46 (d, 1H), 7.18−7.19 (m, 2H), 6.86 (d, 1H), 6.23−6.28 (m, 2H), 6.05 (s, 1H), 5.05 (s, 2H), 4.35−4.40 (m, 1H), 1.78 (d, 2H), 1.35 (t, 2H), 1.20 (s, 6H), 1.17 (s, 6H); MS (ES) 437 (M+H).
【0241】
実施例2
N2−(4H−ベンゾ[b]ピロロ[1,2−d][1,4]オキサジン−8−イル)−5−フルオロ−N4−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ピリミジン−2,4−ジアミン(化合物1〜3)のスペクトルデータ
H NMR (DMSO−d , 300 MHz) 8.83 (s, 1H), 7.83 (d, 1H), 7.66 (d, 1H), 7.52 (dd, 1H), 7.23 (s, 1H), 7.14 (d, 1H), 6.86 (d, 1H), 6.25 (t, 1H), 6.05 (s, 1H), 5.06 (s, 2H), 4.31−4.33 (m, 1H), 2.15 (s, 3H), 1.67 (dd, 2H), 1.43 (t, 2H), 1.05 (s, 6H), 0.97 (s, 6H); MS (ES) 451 (M+H).
【0242】
実施例3〜6
【化23】

【0243】
実施例3
N2−(4H−ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン−8−イル)−5−フルオロ−N4−((1,2,2,5,5−ペンタメチルピロリジン−3−イル)メチル)ピリミジン−2,4−ジアミンの合成
【0244】
H NMR (DMSO−d, 300 MHz) 9.36 (s, 1H), 8.59 (s, 1H), 7.85 (s, 1H), 7.59 (d, 1H), 7.48 (s, br, 1H), 7.15 (d, 1H), 5.77 (s, 2H), 2.19 (m, 1H), 2.15 (s, 3H), 1.85 (m, 1H), 1.45 (t, 1H), 1.20 (dd, 2H), 1.05 (s, 6H), 0.92 (s, 3H), 0.80 (s, 3H) ppm; MS (ES) 454.52 (M+H).
【0245】
実施例4
N2−(4H−ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン−8−イル)−5−フルオロ−N4−((2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−3−イル)メチル)ピリミジン−2,4−ジアミンの合成
H NMR (DMSO−d, 300 MHz) 9.39 (s, 1H), 8.60 (s, 1H), 7.88 (s, 1H), 7.55 (d, 1H), 7.45 (s, br, 1H), 7.19 (d, 1H), 5.75 (s, 2H), 3.48 (m, br, 1H), 2.10 (m, 1H), 1.90 (m, 1H), 1.65 (m, 1H), 1.30 (dd, 2H), 1.20 (s, 6H), 1.15 (s, 3H), 1.10 (s, 3H) ppm; MS (ES) 440.49 (M+H).
【0246】
実施例5
N2−(4,4−ジメチル−4H−ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン−8−イル)−5−フルオロ−N4−((1,2,2,5,5−ペンタメチルピロリジン−3−イル)メチル)ピリミジン−2,4−ジアミンの合成
H NMR (DMSO−d, 300 MHz) 9.32 (s, 1H), 8.60 (s, 1H), 7.88 (s, 1H), 7.58 (d, 1H), 7.44 (s, br, 1H), 7.10 (d, 1H), 3.50 (m, 1H), 2.10 (m, 1H), 2.05 (s, 3H), 1.80 (m, 1H), 1.72 (s, 6H), 1.42 (t, 1H), 1.04 (m, 1H), 1.00 (s, 6H), 0.92 (s, 3H), 0.80 (s, 3H) ppm; MS (ES) 482.57 (M+H).
【0247】
実施例6
N2−(4,4−ジメチル−4H−ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン−8−イル)−5−フルオロ−N4−((2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−3−イル)メチル)ピリミジン−2,4−ジアミンの合成
H NMR (DMSO−d, 300 MHz) 9.34 (s, 1H), 8.62 (s, 1H), 7.88 (s, 1H), 7.56 (d, 1H), 7.46 (s, br, 1H), 7.12 (d, 1H), 3.45 (m, 1H), 2.24 (m, 1H), 1.80 (m, 1H), 1.70−1.75 (m, 7H), 1.56 (t, 2H), 1.09 (s, 3H), 1.06 (s, 3H), 1.02 (s, 3H), 0.95 (s, 3H) ppm; MS (ES) 468.54 (M+H).
【0248】
実施例7〜8
化合物1−1および1−2を次のスキームに従って合成した。
【化24】

【0249】
実施例7
N2−(4H−ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン−8−イル)−5−フルオロ−N4−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ピリミジン−2,4−ジアミン(化合物1−1)の合成
H NMR (DMSO−d, 300 MHz) 8.65 (d, 1H), 8.26 (d, 1H), 8.01 (d, 1H), 7.81 (bs, 1H), 7.76 (bs, 1H), 7.63 (dd, 1H), 7.19 (d, 1H), 5.72 (s, 2H), 4.47 (m, 1H), 2.05−1.85 (d, 2H), 1.65−1.51 (t, 2H), 1.42 (d, 12H) ppm; MS (ES) 440 (M+H)9
【0250】
実施例8
N2−(4H−ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン−8−イル)−5−フルオロ−N4−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)ピリミジン−2,4−ジアミン(化合物1−2)の合成
H NMR (DMSO−d, 300 MHz) 9.51 (s, 1H), 8.32 (s, 1H), 8.01 (d, 1H), 7.91 (d, 1H), 7.36 (d, 1H), 7.09 (d, 1H), 5.72 (s, 2H), 4.47 (m, 1H), 2.28 (s, 3H), 2.11−2.05 (d, 2H), 1.85−1.71 (t, 2H), 1.35 (d, 12H) ppm; MS (ES) 454 (M+H).
【0251】
化合物1−7および1−8を上記化合物1−1および1−2と同様の方法で調整した。
【0252】
実施例9および10
この実施例は化合物1−11および1−12の合成に関して記載している。この合成は実施例7と8で示されたものと類似である。次のスキームはこの化合物に使用される合成法の概要を示す。
【化25】

【0253】
調製5
2,1−スピロ−ブタン−6−ニトロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−3(4H)−オン(P−5)の合成
H NMR (DMSO, 300 MHz) 11.0 (s, 1H), 8.4−8.1 (d, J=8.7Hz, 1H), 7.7 (s, 1H), 7.21−7.18 (d, J=8.7Hz, 1H), 2.54 (bs (2H), 2.34−2.24 (m, 2H), 1.96−1.89 (m, 1H), 1.84−1.75 (m, 1H)ppm; MS (ES) 235.23 (M+H)
【0254】
調製6
2,1−スピロ−ブタン−6−ニトロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−3(4H)−チオン(P−6)の合成
H NMR (DMSO, 300 MHz) 7.95−7.93 (d, J=8.7Hz, 1H), 7.89 (s, 1H), 7.29−7.26 (d, J=9.0Hz, 1H), 2.78−2.71 (m, 2H), 2.4−2.3 (m, 2H), 1.99−1.85 (m, 2H)ppm; MS (ES) 251.23 (M+H)
【0255】
調製7
2,1−スピロ−ブタン−8−ニトロ−4H−テトラゾロ[5,1−c][1,4]ベンゾオキサジン(P−7)の合成
H NMR (DMSO, 300 MHz) 8.57 (s, 1H), 8.29−8.26 (d, J=9.3Hz, 1H), 7.5−7.47 (d, J=9.0Hz, 1H), 2.78−2.73 (t, J=8.1Hz, 4H), 2.1−2.05 (m, 2H)ppm; MS (ES) 260.27 (M+H)
【0256】
調製8
8−アミノ−2、1−スピロ−ブタン−4H−テトラゾロ[5,1−c][1,4]ベンゾオキサジン(P−8)の合成
H NMR (DMSO, 300 MHz) 7.09 (s, 1H), 7.0−6.97 (d, J=8.7Hz, 1H), 6.59−6.56 (d, J=9.0Hz, 1H), 5.36 (s, 2H), 2.61−2.55 (m, 4H), 2.02−1.96 (m, 2H)ppm; MS (ES) 230.24 (M+H)
【0257】
実施例9
N2−{2,1−スピロ−ブタン−4H−テトラゾロ[5,1−c][1,4]ベンゾオキサジン−8−イル}−5−フルオロ−N4−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)−2,4−ピリミジンジアミン(化合物1−12)の合成
H NMR (DMSO, 300 MHz) 9.25 (s, 1H), 8.24 (s, 1H), 7.88−7.87 (d, J=3.6Hz, 1H), 7.77−7.74 (d, J=9.0Hz, 1H), 7.23−7.2 (d, J=8.4Hz, 1H), 7.13−7.1 (d, J=8.7Hz, 1H), 4.36 (bs, 1H), 2.66−2.61 (t, J=8.1Hz, 4H), 2.13 (s, 3H), 2.05−2.02 (m, 2H), 1.7−1.67 (d, J=10.2Hz, 2H), 1.47−1.39 (t, J=12.3Hz, 2H), 1.04 (s, 6H), 0.97 (s, 6H)ppm; MS (ES) 495.58 (M+H)
【0258】
実施例10
N2−{2,1−スピロ−ブタン−4H−テトラゾロ[5,1−c][1,4]ベンゾオキサジン−8−イル}−5−フルオロ−N4−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−2,4−ピリミジンジアミン(化合物1−13)の合成
H NMR (DMSO, 300 MHz) 9.25 (s, 1H), 8.24 (s, 1H), 7.88−7.86 (d, J=3.9Hz, 1H), 7.76−7.73 (d, J=9.0Hz, 1H), 7.23−7.2 (d, J=8.7Hz, 1H), 7.13−7.1 (d, J=9.0Hz, 1H), 4.38 (bs, 1H), 2.65−2.6 (t, J=7.5, 4H), 2.03−2.01 (m, 2H), 1.71−1.68 (d, J=9.9Hz, 2H), 1.19−1.14 (t, J=7.5Hz, 2H), 1.1 (s, 6H), 1.01 (s, 6H)ppm; MS (ES) 480.50 (M+H)
【0259】
実施例11〜12
【化26】

【0260】
調製9
2,2−ジフルオロ−6−ニトロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−3(4H)−チオン(P−9)の合成
H NMR (DMSO, 300 MHz) 8.1−8.07 (d, J=9.0Hz, 1H), 8.05−8.04 (d, J=2.7Hz, 1H), 7.63−7.6 (d, J=9.0Hz, 1H)ppm; MS (ES) 247.18 (M+H)
【0261】
調製10
4,4−ジフルオロ−8−ニトロ−4H−ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン(P−10)の合成
H NMR (DMSO, 300 MHz) 8.82 (s, 1H), 8.49−8.46 (d, J=9.3Hz, 1H), 7.95−7.92 (d, J=9.0Hz, 1H)ppm; MS (ES) 256.12 (M+H)
【0262】
調製11
4,4−ジフルオロ−4H−ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン−8−アミン(P−11)の合成
H NMR (DMSO, 300 MHz) 7.3−7.27 (d, J=9.0Hz, 1H), 7.26 (s, 1H), 6.75−6.72 (d, J=9.0Hz, 1H), 5.7 (s, 2H)ppm; MS (ES) 226.19 (M+H)
【0263】
実施例11
N2−(4,4−ジフルオロ−4H−ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン−8−イル)−5−フルオロ−N4−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)ピリミジン−2,4−ジアミンの合成
H NMR (DMSO, 300 MHz) 9.45 (s, 1H), 8.5 (s, 1H), 7.98−7.92 (m, 2H), 7.47−7.44 (d, J=9.0Hz, 1H), 7.31−7.29 (d, J=7.5Hz, 1H), 4.36 (bs, 1H), 2.18 (s, 3H), 1.73−1.69 (d, J=11.7Hz, 2H), 1.51−1.43 (t, J=11.7Hz, 2H), 1.07 (s, 6H), 1.03 (s, 6H)ppm; MS (ES) 490.07 (M+H)
【0264】
実施例12
N2−(4,4−ジフルオロ−4H−ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン−8−イル)−5−フルオロ−N4−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ピリミジン−2,4−ジアミンの合成
H NMR (DMSO, 300 MHz) 9.47 (s, 1H), 8.52 (s, 1H), 7.95−7.92 (m, 2H), 7.49−7.46 (d, J=9.0Hz, 1H), 7.42−7.39 (d, J=8.4Hz, 1H), 4.46 (bs, 1H), 1.82−1.76 (d, J=9.9Hz, 2H), 1.38−1.3 (t, J=12.3Hz, 2H), 1.26 (s, 6H), 1.16 (s, 6H)ppm; MS (ES) 476.10 (M+H)
【0265】
実施例13〜14
【化27】

【0266】
調製12
2,2−ジメチル−6−ニトロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−3(4H)−チオン(P−12)の合成
H NMR (DMSO, 300 MHz) 7.95−7.92 (m, 2H), 7.19−7.17 (d, J=8.1Hz, 1H), 1.59 (s, 6H)ppm; MS (ES) 239.20 (M+H)
【0267】
調製13
4,4−ジメチル−8−ニトロ−4H−ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン(P−13)の合成
H NMR (DMSO, 300 MHz) 8.6 (s, 1H), 8.3−8.27 (d, J=9.3Hz, 1H), 7.48−7.45 (d, J=9.0Hz, 1H), 1.83 (s, 6H)ppm; MS (ES) 248.22 (M+H)
【0268】
調製14
4,4−ジメチル−4H−ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン−8−アミン(P−14)の合成
H NMR (DMSO, 300 MHz) 7.1 (s, 1H), 6.94−6.91 (d, J=8.7Hz, 1H), 6.59−6.57 (d, J=8.7Hz, 1H), 5.34 (s, 2H), 1.67 (s, 6H)ppm; MS (ES) 218.28 (M+H)
【0269】
実施例13
N2−(4,4−ジメチル−4H−ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン−8−イル)−5−フルオロ−N4−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)ピリミジン−2,4−ジアミンの合成
H NMR (DMSO, 300 MHz) 9.25 (s, 1H), 8.27 (s, 1H), 7.88−7.86 (d, J=3.9Hz, 1H), 7.74−7.71 (d, J=9.0Hz, 1H), 7.21−7.19 (d, J=7.8Hz, 1H), 7.08−7.05 (d, J=9.0Hz, 1H), 4.35 (bs, 1H), 2.12 (s, 3H), 1.72−1.67 (m, 8H), 1.47−1.39 (t, J=12.3Hz, 2H), 1.04 (s, 6H), 0.95 (s, 6H)ppm; MS (ES) 482.34 (M+H)
【0270】
実施例14
N2−(4,4−ジメチル−4H−ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン−8−イル)−5−フルオロ−N4−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ピリミジン−2,4−ジアミンの合成
H NMR (DMSO, 300 MHz) 9.25 (s, 1H), 8.27 (s, 1H), 7.88−7.87 (d, J=3.6Hz, 1H), 7.74−7.7 (d, J=9.3Hz, 1H), 7.25−7.22 (d, J=8.1Hz, 1H), 7.08−7.05 (d, J=9.0Hz, 1H), 4.39 (bs, 1H), 1.71 (bs, 8H), 1.23−1.14 (t, J=12.6Hz, 2H), 1.11 (s, 6H), 1.04 (s, 6H)ppm; MS (ES) 468.10 (M+H)
【0271】
実施例15
代表的化合物のアッセイ
いくつかの被験化合物で「機能特性評価」節の手順に従って試験を行った。適切なイソ型を伴ったA.1項(プロテインキナーゼCアッセイ)手順を使ってPKCキナーゼ活性を測定した。全細胞アッセイをA.2項(IL−2ELISA、ヒト一次T細胞、抗CD3+CD28+アッセイ)の手順に従って実施した。表1および表2から抜き出した特定の化合物のアッセイデータを表5に示した。この表で「A」は指定されたアッセイ法によるIC50値が0.25μM未満;「B」は0.25〜0.5μM;「C」は0.5〜1μM;および「D」は1μM〜5μMを意味する。ブランクはIC50を測定しなかったことを意味する。
【表5】

【0272】
本発明について具体的実施形態を参照して記載してきたが、当業者であれば本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく他の様々な変更を行うことができることは理解されるべきである。さらに、多くの改変を加えて、特殊な状況、材料、材料組成、プロセス、プロセスの単一または複数のステップを本発明の目的、趣旨および範囲に適合させることが可能である。このようなすべての改変は本明細書添付の請求項の範囲内にあることも意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

を有する化合物であって、
式中、
は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、−C(O)OR1a、−S(O)R1b、および−S(O)1cから選択され;ここで各R1a、R1b、およびR1cは独立に水素、アルキルまたはフェニル−アルキルであり;
、R、RおよびRは水素およびアルキルから独立に選択され;
mは1〜5の整数であり;
pは0〜6の整数であり;
はアシルオキシ、ヒドロキシ、チオール、アシル、アルキル、アルコキシ、置換アルキル、置換アルコキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アシルアミノ、アジド、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロゲン、ニトロ、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、およびトリハロメチルから選択され;
、X、およびXはCRまたは、X、X、およびXの1つがNで残りがCRであり;
は水素、ハロゲン、アルキルおよび置換アルキルから選択され;
およびRは、各生成に関して、独立に、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリールおよび-SO−ヘテロアリールから選択され;または、RおよびRはこれらと結合した炭素原子と共に炭素環式または複素環式4〜8員環を形成しており;
nは1〜3の整数であり;
、Z、およびZはCR6a、N、O、およびSから選択され;
およびZはN、C、およびCRから選択され;
は水素、ハロゲン、アルキルおよび置換アルキルから選択され;
6aは水素、ハロゲン、アルキルおよび置換アルキルから選択されるか、または原子価要件を満たすために欠けており;かつ
点線は単結合または二重結合を示す化合物;
または、その塩または立体異性体。
【請求項2】
が水素およびアルキルから選択された請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
mが1および2から選択された整数である請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
pが0および1から選択された整数である請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
がヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、シアノ、ハロゲン、ニトロ、およびトリハロメチルから選択された請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
がハロゲンである請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
、X、およびXがCHである請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
、X、およびXの内の1つがNで残りがCHである請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
nが1である請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
nが2である請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
およびRが各生成に関して、独立に水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、およびニトロから選択された請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
およびRが各生成に関して、独立に水素、アルキル、ハロゲンから選択された請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
、Z、およびZが独立にCRおよびNから選択され、ここでRが水素、ハロゲン、アルキル、および置換アルキルから選択された請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
、Z、およびZがそれぞれNである請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
、Z、およびZがそれぞれCHである請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
がNである請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
がCである請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
がNである請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
がCである請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
式(II)
【化2】

を有する化合物であって、
式中、
は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、−C(O)OR1a、−S(O)R1b、および−S(O)1cから選択され;ここで各R1a、R1b、およびR1cは独立に水素、アルキルまたはフェニル−アルキルであり;
mは1〜5の整数であり;
pは0〜6の整数であり;
はアシルオキシ、ヒドロキシ、チオール、アシル、アルキル、アルコキシ、置換アルキル、置換アルコキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アシルアミノ、アジド、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロゲン、ニトロ、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、およびトリハロメチルから選択され;
、X、およびXはCRまたは、X、X、およびXの1つがNで残りがCRであり;
は水素、ハロゲン、アルキルおよび置換アルキルから選択され;
およびRは、各生成に関して、独立に、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリールおよび-SO−ヘテロアリールから選択され;または、RおよびRはこれらと結合した炭素原子と共に炭素環式または複素環式4〜8員環を形成しており;
nは1〜3の整数であり;
、Z、およびZはCR6a、N、O、およびSから選択され;
およびZはN、C、およびCRから選択され;
は水素、ハロゲン、アルキルおよび置換アルキルから選択され;かつ
点線は単結合または二重結合を示す化合物;
または、その塩または立体異性体。
【請求項21】
式(III)
【化3】

を有する化合物であって、
式中、
は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、−C(O)OR1a、−S(O)R1b、および−S(O)1cから選択され;ここで各R1a、R1b、およびR1cは独立に水素、アルキルまたはフェニル−アルキルであり;
mは1〜5の整数であり;
pは0〜6の整数であり;
はアシルオキシ、ヒドロキシ、チオール、アシル、アルキル、アルコキシ、置換アルキル、置換アルコキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アシルアミノ、アジド、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロゲン、ニトロ、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、およびトリハロメチルから選択され;
は水素、ハロゲン、アルキルおよび置換アルキルから選択され;
およびRは、各生成に関して、独立に、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリールおよび-SO−ヘテロアリールから選択され;または、RおよびRはこれらと結合した炭素原子と共に炭素環式または複素環式4〜8員環を形成しており;
nは1〜3の整数であり;
、Z、およびZはCR、N、O、およびSから選択され;
は水素、ハロゲン、アルキルおよび置換アルキルから選択され;かつ
点線は単結合または二重結合を示す化合物;
または、その塩または立体異性体。
【請求項22】
式(IV)
【化4】

を有する化合物であって、
式中、
は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、−C(O)OR1a、−S(O)R1b、および−S(O)1cから選択され;ここで各R1a、R1b、およびR1cは独立に水素、アルキルまたはフェニル−アルキルであり;
pは0〜6の整数であり;
はアシルオキシ、ヒドロキシ、チオール、アシル、アルキル、アルコキシ、置換アルキル、置換アルコキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アシルアミノ、アジド、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロゲン、ニトロ、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、およびトリハロメチルから選択され;
は水素、ハロゲン、アルキルおよび置換アルキルから選択され;
およびRは、各生成に関して、独立に、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリールおよび-SO−ヘテロアリールから選択され;または、RおよびRはこれらと結合した炭素原子と共に炭素環式または複素環式4〜8員環を形成しており;
nは1〜3の整数であり;
、Z、およびZはCR、N、O、およびSから選択され;
は水素、ハロゲン、アルキルおよび置換アルキルから選択され;かつ
点線は単結合または二重結合を示す化合物;
または、その塩または立体異性体。
【請求項23】
式(V)
【化5】

を有する化合物であって、
式中、
は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、−C(O)OR1a、−S(O)R1b、および−S(O)1cから選択され;ここで各R1a、R1b、およびR1cは独立に水素、アルキルまたはフェニル−アルキルであり;
pは0〜6の整数であり;
はアシルオキシ、ヒドロキシ、チオール、アシル、アルキル、アルコキシ、置換アルキル、置換アルコキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アシルアミノ、アジド、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロゲン、ニトロ、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、およびトリハロメチルから選択され;
は水素、ハロゲン、アルキルおよび置換アルキルから選択され;
およびRは、各生成に関して、独立に、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリールおよび-SO−ヘテロアリールから選択され;または、RおよびRはこれらと結合した炭素原子と共に炭素環式または複素環式4〜8員環を形成しており;
nは1〜3の整数であり;
、Z、およびZはCR、N、O、およびSから選択され;
は水素、ハロゲン、アルキルおよび置換アルキルから選択され;かつ
点線は単結合または二重結合を示す化合物;
または、その塩または立体異性体。
【請求項24】
式(VI)
【化6】

を有する化合物であって、
式中、
は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、−C(O)OR1a、−S(O)R1b、および−S(O)1cから選択され;ここで各R1a、R1b、およびR1cは独立に水素、アルキルまたはフェニル−アルキルであり;
mは1〜5の整数であり;
pは0〜6の整数であり;
はアシルオキシ、ヒドロキシ、チオール、アシル、アルキル、アルコキシ、置換アルキル、置換アルコキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アシルアミノ、アジド、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロゲン、ニトロ、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、およびトリハロメチルから選択され;
およびRは、各生成に関して、独立に、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリールおよび-SO−ヘテロアリールから選択され;または、RおよびRはこれらと結合した炭素原子と共に炭素環式または複素環式4〜8員環を形成しており;
、Z、およびZはCR、N、O、およびSから選択され;
は水素、ハロゲン、アルキルおよび置換アルキルから選択され;かつ
点線は単結合または二重結合を示す化合物;
または、その塩または立体異性体。
【請求項25】
式(VII)
【化7】

を有する化合物であって、
式中、
は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、−C(O)OR1a、−S(O)R1b、および−S(O)1cから選択され;ここで各R1a、R1b、およびR1cは独立に水素、アルキルまたはフェニル−アルキルであり;
mは1〜5の整数であり;
pは0〜6の整数であり;
はアシルオキシ、ヒドロキシ、チオール、アシル、アルキル、アルコキシ、置換アルキル、置換アルコキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アシルアミノ、アジド、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロゲン、ニトロ、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、およびトリハロメチルから選択され;
およびRは、各生成に関して、独立に、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリールおよび-SO−ヘテロアリールから選択され;または、RおよびRはこれらと結合した炭素原子と共に炭素環式または複素環式4〜8員環を形成しており;
nは1〜3の整数であり;
、Z、およびZはCR、N、O、およびSから選択され;
は水素、ハロゲン、アルキルおよび置換アルキルから選択され;かつ
点線は単結合または二重結合を示す化合物;
または、その塩または立体異性体。
【請求項26】
式(VIII)
【化8】

を有する化合物であって、
式中、
は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、−C(O)OR1a、−S(O)R1b、および−S(O)1cから選択され;ここで各R1a、R1b、およびR1cは独立に水素、アルキルまたはフェニル−アルキルであり;
mは1〜5の整数であり;
pは0〜6の整数であり;
はアシルオキシ、ヒドロキシ、チオール、アシル、アルキル、アルコキシ、置換アルキル、置換アルコキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アシルアミノ、アジド、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロゲン、ニトロ、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、およびトリハロメチルから選択され;
およびRは、各生成に関して、独立に、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリールおよび-SO−ヘテロアリールから選択され;または、RおよびRはこれらと結合した炭素原子と共に炭素環式または複素環式4〜8員環を形成しており;
nは1〜3の整数であり;
、Z、およびZはCR、N、O、およびSから選択され;
は水素、ハロゲン、アルキルおよび置換アルキルから選択され;かつ
点線は単結合または二重結合を示す化合物;
または、その塩または立体異性体。
【請求項27】
が水素およびアルキルから選択された請求項16〜26のいずれかに記載の化合物。
【請求項28】
がヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、シアノ、ハロゲン、ニトロ、およびトリハロメチルから選択された請求項16〜26のいずれかに記載の化合物。
【請求項29】
がハロゲンである請求項16〜26のいずれかに記載の化合物。
【請求項30】
およびRが、各生成に関して、独立に、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、およびニトロから選択された請求項16〜26のいずれかに記載の化合物。
【請求項31】
およびRが、各生成に関して、独立に、水素、アルキル、およびハロゲンから選択された請求項16〜26のいずれかに記載の化合物。
【請求項32】
、Z、およびZが独立にCRおよびNから選択され、ここでRが水素、ハロゲン、アルキルおよび置換アルキルから選択された請求項16〜26のいずれかに記載の化合物。
【請求項33】
、Z、およびZがそれぞれNである請求項16〜26のいずれかに記載の化合物。
【請求項34】
、Z、およびZがそれぞれCHである請求項16〜26のいずれかに記載の化合物。
【請求項35】
、X、およびXがCH;およびRがフルオロである請求項1に記載の化合物。
【請求項36】
、X、およびXがCH;Rがフルオロ;およびRおよびRが水素、メチル、またはフルオロである請求項1に記載の化合物。
【請求項37】
、X、およびXがCH;Rがフルオロ;およびZ、Z、およびZがそれぞれNである請求項1に記載の化合物。
【請求項38】
、X、およびXがCH;Rがフルオロ;およびZ、Z、およびZがそれぞれCHである請求項1に記載の化合物。
【請求項39】
mが2であり、かつ、pが0である請求項1に記載の化合物。
【請求項40】
mが1であり、かつ、pが1である請求項1に記載の化合物。
【請求項41】
がフルオロである請求項39〜40のいずれかに記載の化合物。
【請求項42】
がN;XおよびXがCH;およびRがフルオロである請求項1に記載の化合物。
【請求項43】
がN;XおよびXがCH;Rがフルオロ;およびRおよびRが水素、メチル、またはフルオロである請求項1に記載の化合物。
【請求項44】
がN;XおよびXがCH;Rがフルオロ;およびZ、Z、およびZがそれぞれNである請求項1に記載の化合物。
【請求項45】
がN;XおよびXがCH;Rがフルオロ;およびZ、Z、およびZがそれぞれCHである請求項1に記載の化合物。
【請求項46】
がN;XおよびXがCH;Rがフルオロである請求項1に記載の化合物。
【請求項47】
がN;XおよびXがCH;Rがフルオロ;およびRおよびRが水素、メチル、またはフルオロである請求項1に記載の化合物。
【請求項48】
がN;XおよびXがCH;Rがフルオロ;およびZ、Z、およびZがそれぞれNである請求項1に記載の化合物。
【請求項49】
がN;XおよびXがCH;Rがフルオロ;およびZ、Z、およびZがそれぞれCHである請求項1に記載の化合物。
【請求項50】
nが1;およびRおよびRが、各生成に関して、独立に、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、およびニトロから選択された請求項1に記載の化合物。
【請求項51】
nが1;およびRおよびRが、各生成に関して、独立に、水素、アルキル、およびハロゲンから選択された請求項1に記載の化合物。
【請求項52】
nが1;およびRおよびRが同じで、水素、アルキル、およびハロゲンから選択された請求項1に記載の化合物。
【請求項53】
nが1;およびRおよびRの1つが水素であり、他方がアルキル、およびハロゲンから選択された請求項1に記載の化合物。
【請求項54】
化合物がRおよびRを含む炭素位置で鏡像異性的に濃縮された(R)立体配置または(S)立体配置である請求項53記載の化合物。
【請求項55】
化合物がラセミ体である請求項53記載の化合物。
【請求項56】
nが2;およびRおよびRが、各生成に関して、独立に、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、およびニトロから選択された請求項1に記載の化合物。
【請求項57】
nが2;およびRおよびRが、各生成に関して、独立に、水素、アルキル、およびハロゲンから選択された請求項1に記載の化合物。
【請求項58】
nが2;および同じ炭素上のRおよびRが同じで、水素、アルキル、およびハロゲンから選択された請求項1に記載の化合物。
【請求項59】
nが2;およびRおよびRを含む所与の炭素上で、RおよびRの1つが水素で、他方がアルキルおよびハロゲンから選択された請求項1に記載の化合物。
【請求項60】
化合物が鏡像異性的に濃縮されている請求項59記載の化合物。
【請求項61】
化合物がラセミ体である請求項59記載の化合物。
【請求項62】
N2−(4H−ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン−8−イル)−5−フルオロ−N4−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ピリミジン−2,4−ジアミン;
N2−(4H−ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン−8−イル)−5−フルオロ−N4−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)ピリミジン−2、4−ジアミン;
N2−(4H−ベンゾ[b]ピロロ[1,2−d][1,4]オキサジン−8−イル)−5−フルオロ−N4−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ピリミジン−2,4−ジアミン;
N2−(4H−ベンゾ[b]ピロロ[1,2−d][1,4]オキサジン−8−イル)−5−フルオロ−N4−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)ピリミジン−2,4−ジアミン;
N2−(4,4−ジフルオロ−4H−ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン−8−イル)−5−フルオロ−N4−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ピリミジン−2,4−ジアミン;
N2−(4,4−ジフルオロ−4H−ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン−8−イル)−5−フルオロ−N4−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)ピリミジン−2,4−ジアミン;
N2−(4,4−ジメチル−4H−ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン−8−イル)−5−フルオロ−N4−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)ピリミジン−2,4−ジアミン;
N2−(4,4−ジメチル−4H−ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン−8−イル)−5−フルオロ−N4−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ピリミジン−2,4−ジアミン;
N2−(5,5−ジメチル−5H−ベンゾ[e]テトラゾロ[1,5−c][1,3]オキサジン−9−イル)−5−フルオロ−N4−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ピリミジン−2,4−ジアミン;
N2−(5,5−ジメチル−5H−ベンゾ[e]テトラゾロ[1,5−c][1,3]オキサジン−9−イル)−5−フルオロ−N4−(1、2、2、6、6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)ピリミジン−2,4−ジアミン;
N2−(8,9−ジヒドロスピロ[ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン−4,1'−シクロブタン]−8−イル)−5−フルオロ−N4−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ピリミジン−2,4−ジアミン;
N2−(8,9−ジヒドロスピロ[ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン−4,1'−シクロブタン]−8−イル)−5−フルオロ−N4−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)ピリミジン−2,4−ジアミン;
5−フルオロ−N2−(4−メチル−8,9−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン−8−イル)−N4−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ピリミジン−2,4−ジアミン;
5−フルオロ−N2−(4−メチル−8,9−ジヒドロ−4H−ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン−8−イル)−N4−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)ピリミジン−2、4−ジアミン;
N2−(4H−ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン−8−イル)−5−フルオロ−N4−((1,2,2,5,5−ペンタメチルピロリジン−3−イル)メチル)ピリミジン−2,4−ジアミン;
N2−(4H−ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン−8−イル)−5−フルオロ−N4−((2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−3−イル)メチル)ピリミジン−2,4−ジアミン;
N2−(4,4−ジメチル−4H−ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン−8−イル)−5−フルオロ−N4−((1,2,2,5,5−ペンタメチルピロリジン−3−イル)メチル)ピリミジン−2,4−ジアミン;
N2−(4,4−ジメチル−4H−ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン−8−イル)−5−フルオロ−N4−((2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−3−イル)メチル)ピリミジン−2,4−ジアミン;
N2−(4,4−ジメチル−4H−ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン−8−イル)−5−フルオロ−N4−(((3S)−2,2,5−トリメチルピロリジン−3−イル)メチル)ピリミジン−2,4−ジアミン;および
N2−(4,4−ジメチル−4H−ベンゾ[b]テトラゾロ[1,5−d][1,4]オキサジン−8−イル)−5−フルオロ−N4−(((3R)−2,2,5−トリメチルピロリジン−3−イル)メチル)ピリミジン−2,4−ジアミン;
から選択された化合物、またはその塩または立体異性体。
【請求項63】
請求項1〜62のいずれかの化合物および薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物。
【請求項64】
生物学的試料または患者においてプロテインキナーゼC(PKC)活性を阻害する方法であって、請求項1〜62記載のいずれかの化合物を、生物学的試料と接触させること、または患者に投与することを含む方法。
【請求項65】
前記PKC阻害が前記PKC活性の作用により媒介または持続される疾患または障害の治療をすることになる請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記疾患または障害がT細胞の活性化と関わりがある請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記疾患または障害が炎症性疾患である請求項65に記載の方法。
【請求項68】
前記疾患または障害が自己免疫疾患である請求項65に記載の方法。
【請求項69】
前記疾患または障害が炎症および/または新生血管事象を伴う眼疾患または障害である請求項65に記載の方法。
【請求項70】
前記疾患または障害が、アテローム性動脈硬化、血管損傷による血管閉塞、血管形成、再狭窄、肥満、シンドロームX、耐糖能障害、多嚢胞性卵巣症候群、高血圧、心不全、慢性閉塞性肺疾患、中枢神経疾患、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、癌、感染症、AIDS、敗血症性ショック、成人呼吸促迫症候群、虚血/再灌流傷害、心筋梗塞、脳卒中、腸管虚血、腎不全、出血性ショック、および外傷性ショック、および脳外傷、から選択された請求項65に記載の方法。
【請求項71】
疾患または障害が、T細部媒介急性または慢性炎症性疾患または障害または自己免疫疾患、関節リウマチ、変形性関節症、全身性エリテマトーデス、橋本甲状腺炎、多発性硬化症、重症筋無力症、1型または2型糖尿病および関連障害、移植片拒絶、移植片対宿主病、呼吸器疾患、喘息、炎症性肺損傷、炎症性肝損傷、炎症性糸球体障害、免疫介在性障害または疾患の皮膚症状、炎症性および過剰増殖皮膚疾患、乾癬、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、刺激性接触皮膚炎およびさらに湿疹性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、炎症性眼疾患、シェーグレン症候群、角結膜炎、ぶどう膜炎、炎症性腸疾患、クローン病または潰瘍性大腸炎、ギラン・バレー症候群、およびアレルギー、から選択された請求項65に記載の方法。
【請求項72】
有効量の請求項1に記載の化合物を必要としている被験者に投与するをことを含む細胞増殖性障害の治療法。
【請求項73】
有効量のSykキナーゼ阻害化合物を被験者に投与することをさらに含む請求項72に記載の方法。
【請求項74】
Sykキナーゼ阻害化合物またはそのプロドラッグまたは塩が式:
【化9】

を有し、
式中、
各R30、R31およびR32は独立に、水素、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、(C6〜C14)アリール、フェニル、5〜14員ヘテロアリール、(C7〜C20)アリールアルキル、ベンジル、7〜20員ヘテロアリールアルキル、−OR、クロロ、フルオロ、ブロモ、シアノ、ニトロ、−C(O)R、C(O)OR、−NRR、−S(O)NRR、−C(O)NRR、−N(R)S(O)Rおよび−NC(O)ORから選択され、ここでRは独立に水素および低級アルキルから選択され;かつ
が−CH−O−P(O)(OH)、−CHCH−O−P(O)(OH)、−CHOHから選択される、
請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記細胞増殖性障害が造血器腫瘍である請求項72または請求項73に記載の方法。
【請求項76】
前記造血器腫瘍がリンパ系腫瘍である請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記リンパ系腫瘍がT細胞腫瘍である請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記T細胞腫瘍がT細胞リンパ芽球性白血病である請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記リンパ系腫瘍がB細胞腫瘍である請求項76に記載の方法。
【請求項80】
前記B細胞腫瘍がB細胞リンパ芽球性リンパ腫である請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記B細胞腫瘍がバーキットリンパ腫である請求項79に記載の方法。
【請求項82】
前記細胞増殖性障害が骨髄性腫瘍である請求項72または請求項73に記載の方法。
【請求項83】
前記骨髄性腫瘍が骨髄増殖性疾患である請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記骨髄増殖性疾患が慢性骨髄性白血病(CML)である請求項82に記載の方法。
【請求項85】
前記骨髄性腫瘍が骨髄異形成疾患である請求項82に記載の方法。
【請求項86】
前記骨髄異形成疾患が慢性骨髄単球性白血病である請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記骨髄性腫瘍が骨髄異形成症候群である請求項82に記載の方法。
【請求項88】
前記骨髄性腫瘍が急性骨髄性白血病である請求項82に記載の方法。
【請求項89】
PKCを含むことが既知の生物学的試料の研究方法であって、前記方法が:
(a)前記生物学的試料を請求項1〜62記載のいずれかの化合物と接触させること、
および
(b)前記生物学的試料に対する前記化合物によるPKC活性阻害効果を測定すること、
を含む方法。
【請求項90】
前記測定ステップをPKC活性阻害アッセイを使って行う請求項89に記載の方法。
【請求項91】
式(I)
【化10】

の化合物を調製する方法であって、
式中、
は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、−C(O)OR1a、−S(O)R1b、および−S(O)1cから選択され;ここで各R1a、R1b、およびR1cは独立に水素、アルキルまたはフェニル−アルキルであり;
、R、RおよびRは水素およびアルキルから独立に選択され;
mは1〜5の整数であり;
pは0〜6の整数であり;
はアシルオキシ、ヒドロキシ、チオール、アシル、アルキル、アルコキシ、置換アルキル、置換アルコキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アシルアミノ、アジド、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロゲン、ニトロ、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、およびトリハロメチルから選択され;
、X、およびXはCRであり、または、X、X、およびXの1つがNで残りがCRであり;
は水素、ハロゲン、アルキルおよび置換アルキルから選択され;
およびRは、各生成に関して、独立に、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリールおよび-SO−ヘテロアリールから選択され;または、RおよびRはこれらと結合した炭素原子と共に炭素環式または複素環式4〜8員環を形成しており;
nは1〜3の整数であり;
、Z、およびZはCR6a、N、O、およびSから選択され;
およびZはN、C、およびCRから選択され;
は水素、ハロゲン、アルキルおよび置換アルキルから選択され;
6aは水素、ハロゲン、アルキルおよび置換アルキルから選択されるか、または原子価要件を満たすために欠けており;かつ
点線は単結合または二重結合を示す化合物;
または、その塩または立体異性体であって;
前記調製方法が:
【化11】

の化合物(LGが脱離基である)と、
【化12】

の化合物を接触させることを含む方法。

【公表番号】特表2012−515206(P2012−515206A)
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546310(P2011−546310)
【出願日】平成22年1月13日(2010.1.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/020888
【国際公開番号】WO2010/083207
【国際公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(504294145)ライジェル ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (63)
【Fターム(参考)】