説明

プロテクタモールの圧着管理装置

【課題】
プロテクタモールを所定の圧着力で全て均等に圧着取り付けを可能としたプロテクタモールの圧着管理装置を提供する。
【解決手段】
プロテクタモールを車体等に押し付けて移動するロータリエンコーダ11を備えたローラ10と、このローラ10によるプロテクタモールの押圧力を感知する圧力センサ5とからなるプロテクタモールの圧着工具1と、前記ロータリエンコーダ11と圧力センサ5とから出力する信号によりプロテクタモールの圧着状況をモニタにて確認するためのコンピュータとから構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体や車体に取り付けられている部品等に取り付けられたプロテクタモールの圧着管理装置
圧着管理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のフェンダ、ドア、クォータ、バンパ等には車両の損傷防止や装飾を目的とした塩化ビニル樹脂・ゴム等のプロテクタモールが両面接着テープあるいはクリップ、ビスで取り付けられている。
【0003】
このプロテクタモールの取り付けは、従来では作業者が車種によって工具を使い分けて圧着取り付けており、車種の変更の都度車種に対応した工具交換を行っているため作業者の組み付け性向上に難点があった。このプロテクタモールは車体等への圧着不足が存在するとプロテクタモールが剥離する不具合があり、また、作業者によっては圧着力負荷が過剰の場合があって必要最低限の圧着力で全て均等に圧着取り付けする作業者の組み付け性にも問題があった。
【特許文献1】特開平7−205731公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、プロテクタモールを所定の圧着力で全て均等に圧着取り付けを可能としたプロテクタモールの圧着管理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための本発明は、請求項1に記載の通り、プロテクタモールを車体等に押し付けて移動するロータリエンコーダを備えたローラと、このローラによるプロテクタモールの押圧力を感知する圧力センサとからなるプロテクタモールの圧着工具と、前記ロータリエンコーダと圧力センサとから出力する信号によりプロテクタモールの圧着状況をモニタにて確認するためのコンピュータとからなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によると、コンピュータのモニタでローラに備えたロータリエンコーダと圧力センサによりプロテクタモールの圧着状況を確認することができ、定量的管理によりプロテクタモールの圧着力が保証されると共に、一つの圧着工具により各車種のプロテクタモールの圧着作業に対応することができるため作業者の組み付け性を向上することができる効果を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下本発明を実施するための最良の形態について図面に基づいて説明する。図1において、1はプロテクタモールの圧着工具である。このプロテクタモールの圧着工具1は、ハンドル2の先端に基板3が固定されており、この基板3の面に圧力センサ5が受圧プレート4を介して挟み込まれている。
【0008】
さらに、前記基板3にはハンドル2を中央にして左右端部にブラケット6が固設され、このブラケット6にハンドル2の軸線に対し直交する左右方向の軸線で軸7が突設されており、この軸7にアーム8が長穴9によりハンドル2の軸線方向に進退移動可能に案内されている。
【0009】
前記アーム8には前記受圧プレート4の面と平行な軸線で前記受圧プレート4の面と対面したローラ10が回転可能に取り付けられており、このローラ10の端部にはロータリエンコーダ11が取り付けられている。
【0010】
前記圧力センサ5とロータリエンコーダ11は配線12により図3で示すように、アンプ13を介してコンピュータ14に接続されている。
【0011】
本発明は上記の通りの構造であるから、作業者はプロテクタモールの圧着工具1のハンドルを握ってローラ10を車体あるいはバンパに取り付けたプロテクタモールの一端に当接し所定押圧力(例えば5Kgf以上)で押し付けて他端に向かって移動してプロテクタモールを車体あるいはバンパに圧着する。この時ローラ10は回転し、ロータリエンコーダ11により回転数信号を出力する。
【0012】
一方、前記ローラ10をプロテクタモールに押し付けると、その押し付け力によりアーム8が後退移動してローラ10が受圧プレート4に当接し圧力センサ5を押圧し、圧力信号を出力する。
【0013】
前記ローラ10の回転数信号と圧力センサ5の圧力信号は配線12を介してアンプ13で変換してコンピュータ14に入力し工程画面表示15する。この工程画面表示15ではプロテクタモールをワークWに所定の圧着力で圧着された部分はOK表示され、圧着不良部位16が存在すると、その部分のNG表示する。
【0014】
この圧着不良部位16は、圧力センサ5による5Kgf以下の押圧力部位と、プロテクタモールの圧着開始点から5Kgf以下の圧着不良部位16までのロータリエンコーダ11による回転数信号から換算した距離測定により検出する。
【0015】
前記圧着不良部位16があった場合は再度圧着作業を行ってプロテクタモールの全長に渡って所定の圧着力で全て均等に圧着する。
【0016】
このように本発明では、定量的管理によりプロテクタモールの全長に渡って所定の圧着力を保証され、圧着力負荷による過剰品質を低減できると共に、車種が変更しても同一の圧着工具1でプロテクタモールの圧着作業ができるため、従来のように車種に対応した圧着工具に交換する必要がなく作業者の組み付け性を向上する利点を有している。
【0017】
上記はプロテクタモールの圧着工具1について図1で示す構造の実施例で説明したが、図2で示すように、基板3と受圧プレート4との間に圧力センサ5を挟み、受圧プレート4にロータリエンコーダ11を備えたローラ10を取り付けた小型のプロテクタモールの圧着工具1でも本発明の目的を達成することができる。この場合は圧着工具1を指に装着してプロテクタモールに押し付けて圧着作業する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明によるプロテクタモールの圧着工具の斜視図
【図2】本発明によるプロテクタモールの圧着工具の変形例を示す図
【図3】圧着工具からの信号により工程画像表示する電子情報処理機器を示す図
【符号の説明】
【0019】
1 プロテクタモールの圧着工具
2 ハンドル
3 基板
4 受圧プレート
5 圧力センサ
7 ブラケット
8 軸
9 長穴
10 ローラ
11 ロータリエンコーダ
12 配線
13 アンプ
14 コンピュータ
15 工程画面表示
16 圧着不良部位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロテクタモールを車体等に押し付けて移動するロータリエンコーダを備えたローラと、このローラによるプロテクタモールの押圧力を感知する圧力センサとからなるプロテクタモールの圧着工具と、前記ロータリエンコーダと圧力センサとから出力する信号によりプロテクタモールの圧着状況をモニタにて確認するためのコンピュータとからなることを特徴とするプロテクタモールの圧着管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−117039(P2006−117039A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−305303(P2004−305303)
【出願日】平成16年10月20日(2004.10.20)
【出願人】(000157083)関東自動車工業株式会社 (1,164)
【Fターム(参考)】