説明

プロトパナキサジオール系ジンセノサイド組成物及びその使用

本明細書中に、対象に投与するのに適した、少なくとも10%(w/w)のプロトパナキサジオール系ジンセノサイドを含むジンセノサイド組成物を提供する。また、アセトアルデヒド濃度を減少させる、高アセトアルデヒド濃度の症状を予防する若しくは寛解させる、又はエチルアルコールの摂取に起因する疾患若しくは障害の危険を低減させるためのジンセノサイド組成物を使用する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(1. 関連出願)
本願は、2008年1月24日付申請の米国仮出願特許第61/023,310の利益を主張し、その内容を、参照により本明細書中に組み込んでいる。
【0002】
(2. 技術分野)
本明細書では、アセトアルデヒド濃度を減少させる、高アセトアルデヒド濃度の症状を予防する又は寛解させる、及び例えば、環境供給源由来の、又はアルコールの摂取によるインビボでのアルデヒド生成由来のアルデヒドへの曝露による、アルデヒドとの接触に起因する疾患又は障害の危険を低減させるのに有用な、ジンセノサイド組成物及び方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
(3. 発明の背景)
アルデヒドは、人及び動物において毒性作用を有する化学反応物質である。アルデヒドは、アルデヒド脱水素酵素(ALDH)によって、低反応性のカルボン酸に触媒され、そのようなものとして又は複合体として、身体から排出される(Lindahlの文献、Crit. Rev. Biochem. Mol. Biol. 1992, 27, 283-335)。例えば、サイトゾルのALDH1A1並びにミトコンドリアのALDH1B1及びALDH2を含むALDHの多形が存在し、広範囲のアルデヒドを触媒する(Yoshidaらの文献、Eur. J. Biochem. 1998, 251, 549-557;Vasiliouらの文献、Pharmacogenetics 1998, 9, 421-434)。
【0004】
アセトアルデヒドに対するその高い親和性(Km<5μM)のため、ALDH2は、該脱水素酵素の中で傑出してアセトアルデヒドを除去する。該アセトアルデヒドは、例えば、人におけるエチルアルコールの異化反応の主要なアルデヒド生成物である(Klyosovの文献、Biochemistry 1996, 35, 4457-4467;Kurysらの文献、J. Biol. Chem. 1989, 264, 4715-4721)。アセトアルデヒドは、紅潮、頻拍、息切れ、眩暈、悪心、嘔吐、及び頭痛などの急性症状、並びに上部消化管の癌、乳癌、肝疾患、アルツハイマー病、高血圧、及び心筋梗塞の危険を増大させるような長期的作用に関連している(Visapaaらの文献、Gut 2004, 53, 871-876;Yokoyamaらの文献、Jpn. J. Clin. Oncol. 2003, 33(3), 111-121;Ohsawaらの文献、J. Hum. Genet. 2003, 48, 404-409;及び本明細書中に記載された参考文献を参照されたい。)。アセトアルデヒド触媒の活性が低下している、異型のALDH2(本明細書中ではALDH2*2と呼ばれる。)を有する人々は、少量のエチルアルコールを飲んだ場合に、アルコールに関する感受性、例えば、顔面潮紅、頻拍などを示す。通常、より一般的なALDH2アイソフォームの保因者においては、少量のエチルアルコールを飲むことで、そのような反応を引き起こすことはないだろう(Goeddeらの文献、Hum. Genet. 1992, 88, 344-346;Xiaoらの文献、J. Clin. Invest. 1995, 96, 2180-2186)。
【0005】
ヒト個体群、特に特定の職業の人々のアセトアルデヒドへの曝露は深刻な場合がある。例えば、アセトアルデヒドは、たばこの煙、並びに自動車及びディーゼル排気に見出される。また、アセトアルデヒドは、例えば、加工食品用の合成香料、燻蒸剤、及び部屋用防臭剤の製造に使用される、又はその製造で発生する。木材、いくつかのプラスチック、並びにいくつかの硬質及び軟質ポリウレタンフォームの燃焼は、アセトアルデヒドを発生する(アリル化合物、アルデヒド、エポキシド、及び過酸化物、ヒトへの化学物質の発癌リスク評価のIARCモノグラフ(IARC Monographs on the Evaluation of Carcinogenic Risk of Chemicals to Humans)、第36巻、リヨン、フランス:国際癌研究機関、369頁)。
【0006】
インビボでアルデヒドレベルを低く維持するのを助けるのに有用な組成物及び方法は、アセトアルデヒドなどのアルデヒドの望ましくない、かつ有害な作用を回避するのに有利であろう。
【0007】
ニンジンの抽出物は、癌を治療する、血液からのアルコールの除去を促進する、とりわけ、アルコール脱水素酵素及びALDH活性を調節するのに有用な性質を有することが報告されている(例えば、Helmsの文献、Alternative Medicine Review 2004, 9(3), 259-274;Leeらの文献、Clinical and Experimental Pharmacology & Physiology 1987 14, 543-546;Jooらの文献、Korean Biochem. J. 1977, 10(2), 109-120を参照されたい。)。しかし、異なるニンジン植物種の活性体(active principal)は、多くの異なるサポニン、多糖、フラボノイド、及び揮発油を含み得る。例えば、ジンセノサイドと呼ばれる、40を超える種々のニンジンサポニンが同定されており、それらは、プロトパナキサジオール(PPD)、プロトパナキサトリオール(PPT)、及びオレアノン酸系を含む様々な種類に分類される(例えば、Zhuらの文献、Chem. Pham. Bull. 2004, 52, 995-998及びYuらの文献、Chem. Pharm. Bull. 2007, 55(2), 231-235を参照されたい。これらのそれぞれは、参照によりその全体を本明細書中に組み込まれる。)。更に、ニンジンの抽出物は、使用する根の種類又は年齢、及び適用する抽出方法などの様々な要因に応じて、活性体の組成物が大きく変化する(例えば、米国特許第4,157,894号を参照されたい。)。
【発明の概要】
【0008】
(4. 発明の概要)
一態様において、例えば、ヒトなどの対象への投与に適したジンセノサイド組成物を提供する。例えば、該ジンセノサイド組成物は、1つ以上のプロトパナキサジオール系ジンセノサイド、例えば、ジンセノサイドRb1、Rb2、Rb3、Rc、Rd、Rg3、Rh2、Rs1、Rs2、R1、R4、F2などを含むことができる。
【0009】
特定の実施態様において、ヒトへの投与に適したジンセノサイド組成物は、少なくとも10%(w/w)、少なくとも15%(w/w) 、少なくとも20%(w/w) 、少なくとも25%(w/w) 、少なくとも30%(w/w) 、少なくとも50%(w/w) 、少なくとも75%(w/w) 、少なくとも85%(w/w) 、少なくとも90%(w/w)、又は少なくとも95%(w/w)の1つ以上のプロトパナキサジオール系ジンセノサイドを含む。特定の実施態様において、プロトパナキサジオール系ジンセノサイドは、ジンセノサイドRb1、Rb2、Rb3、Rc、Rd、Rg3、Rh2、Rs1又はRs2である。いくつかの実施態様において、該プロトパナキサジオール系ジンセノサイドは、Rb1、Rb2、Rc及びRdから選択される。
【0010】
特定の実施態様において、該ジンセノサイド組成物は、基本的に1つ以上のプロトパナキサジオール系ジンセノサイドからなる。いくつかの実施態様において、該ジンセノサイド組成物は、基本的にRb1、Rb2、Rc及び/又はRdからなる。
【0011】
いくつかの実施態様において、該ジンセノサイド組成物は、栄養補助食品組成物(nutraceutical composition)である。
【0012】
他の実施態様において、該ジンセノサイド組成物は、医薬組成物である。
【0013】
更に他の実施態様において、本明細書中に提供されるジンセノサイド組成物は、グルタミン又はシリマリンを更に含む。
【0014】
別の態様において、本明細書中に、包装材料、及び本明細書中に記載のジンセノサイド組成物を含む製造品を提供する。
【0015】
一態様において、例えば、インビボでのアルデヒド濃度を低下させるためにALDHの触媒反応速度を増加させる方法、又は別の例として、インビボでアルデヒド濃度が上昇する症状を予防する、軽減する、又は寛解させる方法を本明細書中に提供する。例えば、該アルデヒドは、アセトアルデヒドとし得る。
【0016】
特定の実施態様において、対象におけるアセトアルデヒド濃度の減少速度を増加させる方法を提供する。該方法は、それを必要とする対象に、ジンセノサイド組成物の非存在下での対象におけるアセトアルデヒド濃度の減少速度に対して、該対象におけるアセトアルデヒド濃度の減少速度を増加させるのに有効な量のジンセノサイド組成物を投与すること含む。
【0017】
特定の実施態様において、対象における高アセトアルデヒド濃度の症状を予防する、又は寛解させる方法を提供する。該方法は、それを必要とする対象に、該対象における高アセトアルデヒド濃度の症状を予防する、又は寛解させるのに有効な量のジンセノサイド組成物を投与することを含む。例えば、アセトアルデヒドが上昇する症状は、アルコール消費と関連した、又は関連し得る、例えば、紅潮、高心拍数、動悸、低血圧、悪心、眩暈、頭痛、嘔吐、下痢、胃の不調、運動失調、又は意識の混乱などの急性症状を含む生理的症状とし得る。
【0018】
いくつかの実施態様において、アセトアルデヒドへの曝露に起因する疾患又は障害に対する、対象の可能性又は危険を低減させる方法を提供する。該方法は、これを必要とする対象に、該対象において、アセトアルデヒドの異化反応を増加させるのに効果的な量のジンセノサイド組成物を投与することを含み、それによって、該対象におけるアセトアルデヒドへの曝露に起因する疾患又は障害の可能性又は危険を低減させる。例えば、アセトアルデヒドへの曝露は、エチルアルコールを消費した結果起こり得る。別の例として、アセトアルデヒドへの曝露は、該対象の外部環境中のアセトアルデヒドへの曝露の結果起こり得る。
【0019】
一態様において、本明細書中に、インビボでのアルデヒド濃度を低下させるのに、ALDHの触媒反応速度を増加させるための、又は別の例として、インビボでの高アルデヒド濃度の症状を予防する、軽減する、又は寛解させるための、本明細書中に提供されるジンセノサイド組成物の使用を提供する。
【0020】
特定の実施態様において、本明細書中に、例えば、少なくとも10%(w/w)の、1つ以上のプロトパナキサジオール系ジンセノサイドを含む、本明細書中に提供されるジンセノサイド組成物のa) 対象におけるアセトアルデヒド濃度の減少速度を増加させる;b) 対象における高アセトアルデヒド濃度の症状を予防する、若しくは寛解させる;又はc) 対象におけるエチルアルコールの摂取に起因する疾患又は障害に対する危険を低減させるための薬剤の製造への使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
(5. 図の説明)
【図1】ジンセノサイドの非存在下(「0μg/mL」)でのアルコール脱水素酵素(「ADH」)活性に対する、5、50又は500μg/mLの、ジンセノサイドRb2、Re、Rb1、Rd、Rg1及びRcのADH活性における効果の比較を示す。
【0022】
【図2】ジンセノサイドの非存在下(「0μg/mL」)でのADH活性に対する、5、50又は500μg/mLの、プロトパナキサジオール系ジンセノサイドRb2、Rb1、Rd及びRc(「ジオール」)対プロトパナキサトリオール系ジンセノサイドRe及びRg1(「トリオール」)のADH活性における平均効果の比較を示す。
【0023】
【図3】ジンセノサイドの非存在下(「0μg/mL」)でのアルデヒド脱水素酵素(「ALDH」)活性に対する、5、50又は500μg/mLの、ジンセノサイドRb2、Re、Rb1、Rd、Rg1及びRcのALDH活性における効果の比較を示す。
【0024】
【図4】ジンセノサイドの非存在下(「0μg/mL」)でのALDH活性に対する、5、50又は500μg/mLの、プロトパナキサジオール系ジンセノサイドRb2、Rb1、Rd及びRc(「ジオール」)対プロトパナキサトリオール系ジンセノサイドRe及びRg1(「トリオール」)のALDH活性における平均効果の比較を示す。
【0025】
【図5A−B】ジンセノサイド組成物を摂取していない(黒四角)、又はジンセノサイド組成物を摂取後(丸)の条件下で、エチルアルコールを飲んだ後の対象1(図5A)及び対象2(図5B)の心拍数の経時変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(6. 用語法)
一般に、本明細書中で使用される命名法、及び本明細書中に記載される医薬品化学、生化学、及び薬理学における検査法は、当該分野で周知であり、かつ通常使用されるものである。別途定義しない限り、一般に、本明細書中で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本開示が属する分野の当業者に通常理解されるものと同じ意味を有する。本明細書中で使用される用語について複数の定義が存在する場合、特に指定しない限り、本節のものが優先する。
【0027】
本明細書中で使用される用語「約」は、該用語によって修飾されている値の上下10%以下の値を意味する。例えば、用語「約5%」とは、4.5%〜5.5%の範囲を意味する。
【0028】
用語「対象」とは、哺乳類などの動物を意味し、それを挙げると、限定はされないが、霊長類(例えば、ヒト)、サル、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ブタ、シカ、クマ、ラット、マウスなどがある。好ましい実施態様において、該対象はヒトである。
【0029】
本明細書中で使用される用語「治療する」「治療すること」又は「治療」とは、障害及び/又はその付随する症状を軽減する、又は抑止する方法を意味する。
【0030】
特定の実施態様において、用語「予防する」「予防すること」又は「予防」とは、対象が、障害及び/又はその付随する症状に罹患するのを阻止する方法を意味する。特定の実施態様において、用語「予防する」「予防すること」又は「予防」とは、対象が、障害及び/又はその付随する症状に罹患する可能性又は危険を低減させる方法を意味する。
【0031】
本明細書中で使用される用語「医薬として許容し得る」とは、動物、より具体的にはヒトへの使用が、連邦又は州政府の監督官庁によって認可されたもの、又は米国薬局方若しくは他の一般に認められている薬局方に記載されたものを意味する。「医薬として許容し得る担体」及び「医薬として許容し得る賦形剤」とは、医薬として許容し得る材料、組成物、又は媒体、例えば、液体若しくは固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒、又は封入材料を意味する。一実施態様において、各成分は、医薬製剤の他の構成成分と適合し、かつ過度の毒性、刺激、アレルギー応答、免疫原性、又は他の問題若しくは合併症もなく、十分な利益/危険率で、ヒト及び動物の組織又は器官と接触して使用するのに適しているという意味で、「医薬として許容し得る」ものである。Remingtonの文献:薬学の科学と実践(The Science and Practice of Pharmacy)、第21版;Lippincott Williams & Wilkins出版:フィラデルフィア、PA、2005;薬品賦形剤ハンドブック(Handbook of Pharmaceutical Excipients)、第5版;Roweら編集、The Pharmaceutical Press and the American Pharmaceutical Association出版:2005;及び医薬添加物ハンドブック(Handbook of Pharmaceutical Additives)、第3版;Ash及びAsh編集、Gower Publishing Company出版:2007;医薬品の予備製剤及び製剤(Pharmaceutical Preformulation and Formulation)、Gibson編集、CRC Press LLC出版: ボーカラトーン、FL、2004を参照されたい。
【0032】
本明細書中で使用される用語「組成物」は、例えば、健康補助食品、食品添加物、栄養補助食品、医薬組成物、及び生理学的に許容し得る組成物などを含むことを意図している。「組成物」中のジンセノサイド(例えば、ジンセノサイドRb1、Rb2、Rc及び/又はRd)が、天然物としても存在する場合、該用語「組成物」は、該成分の天然物を含まないが、特定の実施態様において、例えば、該天然物の抽出物など、物理的に又は化学的に、修飾又は処理された形態の天然物を包含できることが理解されるであろう。
【0033】
本明細書中で使用される用語「有効な量」とは、例えば、アルデヒド脱水素酵素に接触した場合、又は別の例として、対象に投与した場合に、望ましい又は有益な効果を生み出すのに十分なジンセノサイド組成物の量を意味する。特定の実施態様において、該「有効な量」のジンセノサイド組成物とは、例えば、該ジンセノサイド組成物の非存在下で、アセトアルデヒド濃度が減少する速度と比べて、対象におけるアセトアルデヒド濃度が減少する速度を増加させる量である。いくつかの実施態様において、該「有効な量」とは、例えば、対象における高アセトアルデヒド濃度の症状を予防する、若しくは寛解させる量、又は対象における、アセトアルデヒド曝露に起因する疾患若しくは障害の可能性若しくは危険を低減させる量である。
【0034】
本明細書中で使用される用語「症状」は、「徴候(sign)」と交換可能である。したがって、本明細書中で使用される「症状」は、特定の疾患又は障害に罹患している対象によって検出可能な、又は前記対象からの口頭での情報なしに、対象以外の人によって検出可能な、特定の病気又は障害を示す健康状態を意味する(例えば、ロングマン現代英語辞典(1995)第3版を参照されたい。)。
【0035】
用語「アルデヒド脱水素酵素不全(compromised aldehyde dehydrogenase)」又は「ALDH2不全」とは、対象が、ヒト個体群に最も一般的に見出されるALDH2酵素よりも、低い活性を示すALDH2酵素を有することを意味する。ALDH2の酵素活性は、例えば、Xiaoらの文献(J. Clin. Invest. 1995, 96, 2180-2186)に記載される、アルデヒド脱水素酵素活性アッセイによって測定できる。例えば、本明細書中で使用される「アルデヒド脱水素酵素不全」又は「ALDH2不全」の患者は、Goeddeらの文献(Hum. Genet. 1992, 88, 344-346)及びXiaoらの文献(J. Clin. Invest. 1995, 96, 2180-2186)(これらは、参照によりその全体を本明細書中に組み込まれている。)に記載される、ALDH2遺伝子の変異ALDH2対立遺伝子のホモ接合型又はヘテロ接合型の保因者を含む。
【0036】
(7. 発明の詳細な説明)
一態様において、本明細書中に、1つ以上のプロトパナキサジオール系ジンセノサイド、例えば、ジンセノサイドRb1、Rb2、Rb3、Rc、Rd、Rg3、Rh2、Rs1、Rs2、R1、R4、F2などを含む、対象への投与に適した組成物を提供する。いくつかの実施態様において、提供される組成物は、基本的にプロトパナキサジオール系ジンセノサイドからなる。特定の実施態様において、提供される組成物は、基本的にジンセノサイドRb1、Rb2、Rc及び/又はRdからなる。
【0037】
いかなる特定の理論又は制約にも拘束されることを意図するものではないが、プロトパナキサジオール系ジンセノサイドは(一般的には例えば、プロトパナキサトリオールジンセノサイドではないが)、アルデヒド脱水素酵素(ALDH)の活性を増大させると考えられる。したがって、いかなる特定の理論又は制約にも拘束されることを意図するものではないが、本明細書中で提供されるジンセノサイド組成物は、通常ならインビボでアルデヒドレベルが減少する速度を増加させると考えられる。
【0038】
特定の実施態様において、本明細書中に、ヒトへの投与に適したジンセノサイド組成物を提供する。該組成物は、少なくとも10%(w/w) 、少なくとも15%(w/w) 、少なくとも20%(w/w) 、少なくとも25%(w/w) 、少なくとも30%(w/w) 、少なくとも50%(w/w) 、少なくとも75%(w/w) 、少なくとも85%(w/w) 、少なくとも90%(w/w)、又は少なくとも95%(w/w)の1つ以上のプロトパナキサジオール系ジンセノサイドを含む。特定の実施態様において、該1つ以上のプロトパナキサジオール系ジンセノサイドは、ジンセノサイドRb1、Rb2、Rb3、Rc、Rd、Rg3、Rh2、Rs1及びRs2からなる群から選択される。いくつかの実施態様において、該1つ以上のプロトパナキサジオール系ジンセノサイドは、Rb1、Rb2、Rc及びRdから選択される。
【0039】
いくつかの実施態様において、プロトパナキサジオール系ジンセノサイドとプロトパナキサジオール系ジンセノサイド類との比は、約100:0〜25:27、又は約75:25〜約50:60である。提供されるジンセノサイド組成物の特定の実施態様において、プロトパナキサジオール系ジンセノサイドとプロトパナキサジオール系との比は、約90:10、約80:20、又は約60:40である。
【0040】
特定の実施態様において、該ジンセノサイド組成物は、非ジンセノサイド画分及びジンセノサイド画分からなり、ここで該ジンセノサイド画分は、少なくとも10、15、20、25、30、50、75又は95%(w/w)のプロトパナキサジオール系ジンセノサイド、例えば、1つ以上のRb1、Rb2、Rc及びRdを含む。特定の実施態様において、ジンセノサイド画分は、プロトパナキサジオール系ジンセノサイド、例えば、1つ以上のRb1、Rb2、Rc及びRdからなる。例えば、該非ジンセノサイド画分は、そのような組成物がジンセノサイドを含まない限り、1つ以上の賦形剤、媒体、栄養補助食品、食材、ビタミン、ミネラル、健康補助食品などを含むことができる。
【0041】
プロトパナキサジオール系ジンセノサイド、例えば、ジンセノサイドRb1、Rb2、Rc及びRdを含む、ジンセノサイドの化学構造は、当業者には公知である(Yuらの文献、Chem. Pharm. Bull. 2007, 55(2), 231-235;Courtの文献、「パナクス種の主な活性化学種(The Principal Active Chemicals in Panax species)」ニンジン:パナクス属(Court編集、Harwood Academic Publishers出版、アムステルダム、オランダ、2000)を参照されたい。これら文献のどちらも、参照によりその全体を本明細書中に組み込まれる。)。プロトパナキサジオール系ジンセノサイドは、例えば、チョウセンニンジン(Panax ginseng)(オタネニンジン又はチョウセンニンジン)及びアメリカニンジン(Panax quinquefolius)(アメリカニンジン)などの天然の植物源、及びニンジン栽培を含む栽培した植物源から精製することを含む、当該分野で公知の任意の方法によって得ることができる(例えば、ニンジン:パナクス属(Court編集、Harwood Academic Publishers出版、アムステルダム、オランダ、2000)及び本明細書に記載の参考文献;Yuaらの文献、Biochemical Engineering Journal 2002, 11, 211-215を参照されたい。これらのそれぞれは、参照により本明細書中に組み込まれる。)。また、ジンセノサイドRb1、Rb2、Rc及びRdを含むジンセノサイドは、ChromaDex Inc.社、アーバイン、カリフォルニア、USA、Wako Pure Chemical Industries, Ltd.社、大阪、日本、及びSigma-Aldrich社、セントルイス、ミズーリ、USAなどの供給メーカーから市販されている。
【0042】
例えば、ジンセノサイドRb1、Rb2、Rc及び/又はRdを得るための方法は、典型的に、1つ以上の適当なパナクス種を水性又は有機性抽出すること、抽出した溶液を蒸留して乾燥させること、続いてカラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、及び/又は高性能クロマトグラフィーによって純粋なジンセノサイド画分を得ることを含む。植物抽出物の抽出及び精製方法は、当業者には公知であり、下記の文献に開示されるものなどの技術による、1つ以上のRb1、Rb2、Rc又はRdのそれぞれ、又はその混合物の製造に適応させることができる。該文献は、米国特許第6,156,291号;米国特許第6,083,932;米国特許第4,157,894号;米国特許第5,137,878号;及び米国特許第5,230,889号であり、これらのそれぞれは、参照により本明細書中に組み込まれる。また、Rb1、Rb2、Rc及びRdの単離及び精製方法は、例えば、下記の文献に記載されている。該文献は、Shibataらの文献、「経済的及び医薬品の植物研究(Economic and Medicinal Plant Research)」、World Scientific出版、フィラデルフィア、pp.217-284、1985;米国特許第7,235,267号;Kawashimaらの文献、J. Med. Pharmacol. Soc. Wakan-Yaku 1986, 3, 235-236;及びOuraらの文献、 Journal of Biochemistry (Tokyo) 1975, 77(5), 1057-65である。これらのそれぞれは、参照により本明細書中に組み込まれる。
【0043】
様々な実施態様において、目的の使用に応じて、かつ限定されずに、本明細書中に提供される組成物は、健康補助食品又は栄養補助食品の形態とすることができる。例えば、特定の実施態様において、プロトパナキサジオール系ジンセノサイドを含む、又は基本的にそれらからなる、健康補助食品又は栄養補助食品を提供する。特定の実施態様において、該健康補助食品又は栄養補助食品は、1つ以上のジンセノサイドRb1、Rb2、Rb3、Rc、Rd、Rg3、Rh2、Rs1及び/又はRs2を含む、又は基本的にそれらからなる。いくつかの実施態様において、該健康補助食品又は栄養補助食品は、1つ以上のジンセノサイドRb1、Rb2、Rc及び/又はRdを含む、又は基本的にそれらからなる。
【0044】
一般に、健康補助食品は、食品組成物の加工、製造、調製、又は送達の間に、又はその摂取の直前に、食品組成物中に組み込まれる食品添加物とは異なり、どんな食品組成物からも独立して対象によって摂取される。健康補助食品は、栄養に加え、消費者に対して、治療的な又は予防的な効果を提供する。本明細書中で使用される「栄養補助食品」は、植物又は植物生成物などの天然物から調製、単離、又は精製された生成物を意味し、通常、例えば、オタネニンジン種の根などの食品とは関連せず、対象に投与して、生理学的な利益を有すること、又は対象の状態又は障害を予防する、又は寛解させることを意図する。すなわち、該栄養補助食品は、それがある場合は、栄養面での利益以外の利益を提供する。
【0045】
様々な実施態様において、典型的に、本発明の組成物は、1つ以上の摂取可能な充填剤又は担体を含む。用語「摂取可能な」とは、動物、より具体的には、ヒトによる消費のために、一般的に、該充填剤又は担体が、適当であること、又は連邦又は州政府の監督官庁によって承認されていることを意味する。特定の実施態様において、用語「健康補助食品」又は「栄養補助食品」の意味は、米国食品医薬品局を含む連邦又は州政府の監督官庁によって規定される、これらの用語の意味である。
【0046】
本明細書中に提供されるように、該健康補助食品又は栄養補助食品を使用して、対象におけるアルデヒド、例えば、アセトアルデヒド濃度を減少させることができる。これは、それを必要とする対象に、該対象におけるアルデヒド濃度を減少させるのに有効な量の、該健康補助食品又は栄養補助食品中のジンセノサイドを投与することを含む。
【0047】
また、本明細書中に提供されるように、該健康補助食品又は栄養補助食品を使用して、対象における高アルデヒド、例えば、高アセトアルデヒド濃度の症状を予防する、又は寛解させることができる。これは、それを必要とする対象に、該対象におけるアルデヒド濃度が上昇する症状を予防する、又は寛解させるのに有効な量の、該健康補助食品又は栄養補助食品中のジンセノサイドを投与することを含む。
【0048】
特定の実施態様において、該健康補助食品又は栄養補助食品を使用して、対象における、エチルアルコールの摂取に起因する疾患又は障害の危険を低減させることができる。これは、それを必要とする対象に、該対象におけるアセトアルデヒドの異化反応を増大させるのに有効な量の、該健康補助食品又は栄養補助食品中のジンセノサイドを投与することを含み、ここでアセトアルデヒドは、該対象によるエチルアルコール消費の生成物であり、アセトアルデヒドの異化反応を増大させることで、対象における、エチルアルコールの摂取に起因する疾患又は障害の危険を低減させる。
【0049】
典型的に、本明細書中に提供される健康補助食品又は栄養補助食品は、経口により服用又は摂取することを意図している。該健康補助食品又は栄養補助食品は、固体形態又は液体形態とし得る。
【0050】
例えば、健康補助食品又は栄養補助食品などの、本明細書中に提供される組成物は、飲用水などの液体で再構成した場合に飲料を提供できる、再構成可能な(reconstitutable)散剤とし得る。別の実施態様において、本明細書中に提供される組成物は、限定はされないが、料理用油、フライ油、サラダ油、マーガリン、マヨネーズ、又はピーナッツバターなどの他の食材に組み込むことができる。本発明の組成物を含有する油は、乳化させることができ、かつ飲料などの様々な水性の食料品に使用することができる。したがって、一実施態様において、本発明の組成物は、限定はされないが、栄養強化ミネラルウォーター、栄養強化蒸留水、果汁ベースの飲料、セーキ、ミルクベースの飲料、乳製品ベースの飲料、ヨーグルトベースの飲料、炭酸水ベースの飲料、アルコール飲料、コーヒーベースの飲料、緑茶ベースの飲料、 紅茶ベースの飲料、穀類ベースの飲料、大豆ベースの飲料、又は植物抽出物をベースとした飲料とすることができる。
【0051】
飲料に加えて、本発明の組成物は、他の食料品、例えば、シロップ、デンプン、穀類、又は穀類の粉末と組み合せることができる。
【0052】
一実施態様において、本明細書中に提供されるジンセノサイド組成物は、対象への経口投与に適したものである。
【0053】
実施態様に加えて、本明細書中に提供されるジンセノサイド組成物は、栄養補助食品組成物であり、かつ生理学的に許容し得る担体、賦形剤、希釈剤、又は溶媒を更に含む。
【0054】
特定の実施態様において、本明細書中に、上記のジンセノサイド組成物が、医薬組成物であり、かつ医薬として許容し得る担体、賦形剤、希釈剤、又は溶媒を更に含む組成物を提供する。
【0055】
医薬用の担体、賦形剤、希釈剤、又は溶媒は、無菌の、水及び油などの液体とすることができる。これを挙げると、石油、動物、植物、又は合成品由来のもの、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱物油、ゴマ油などがある。また、生理食塩水及び水性デキストロース及びグリセロール溶液を、特に注射用溶液のための液体担体として使用できる。適当な医薬用の担体の例は、下記の文献に記載されている。Remingtonの文献:薬学の科学と実践(The Science and Practice of Pharmacy)、第21版;Lippincott Williams & Wilkins出版:フィラデルフィア、PA、(2005)、及びAnselの文献、薬品の剤形とドラッグデリバリーシステム(Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems)、第8版、Lippincott Williams & Wilkins出版、フィラデルフィア、PA、(2004)である。
【0056】
適当な賦形剤は、薬学の分野の当業者には周知であり、適当な賦形剤の非限定的な例を挙げると、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、白亜(chalk)、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセリン、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク(dried skim milk)、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどがある。特定の賦形剤が、医薬組成物に組み込むのに適しているかどうかは、限定はされないが、製剤が患者に投与される方法、及び該製剤中の特定の有効成分などの、当該分野で周知の様々な要因によって決まる。必要であれば、該医薬組成物は、少量の、湿潤剤若しくは乳化剤、又はpH緩衝剤を含むこともできる。
【0057】
水はいくつかの化合物の分解を促進できるので、本明細書中に提供される組成物は、例えば、有効成分を含む、無水の医薬組成物及び製剤を包含できる。
【0058】
本明細書中に提供される医薬組成物は、その目的の投与経路に適合するように製剤される。投与経路の例を挙げると、限定はされないが、非経口投与(例えば、静脈内、皮内、皮下)、経口投与(例えば、吸入)、鼻腔内投与、及び経皮(局所)投与がある。具体的な実施態様において、該組成物は、所定の方法に従い、対象への静脈内、皮下、筋肉内、経口、鼻腔内、又は局所投与に適した医薬組成物として製剤される。好ましい実施態様において、医薬組成物は、所定の方法に従い、ヒトへの経口投与用に製剤される。典型的に、静脈内投与の組成物は、無菌、等張性の水性緩衝液である。必要に応じて、該組成物は、注射する部位の痛みを和らげるために、可溶化剤、及びリドカインなどの局所麻酔薬を含有することもできる。剤形の例を挙げると、限定はされないが:錠剤;カプレット剤;軟弾性ゼラチンカプセルなどのカプセル剤;カチェット剤;トローチ剤;ロゼンジ剤;分散剤(dispersions);坐剤;軟膏剤;パップ剤(湿布);ペースト剤;散剤;包帯材;クリーム剤;硬膏剤;液剤;パッチ剤;エアゾル剤(例えば、点鼻薬又は吸入器);ゲル剤;懸濁剤(例えば、水性又は非水性液体の懸濁剤、水中油の乳剤、又は油中水液体乳剤)、液剤、及びエリキシル剤を含む、患者への経口又は粘膜投与に適した液体剤形;患者への非経口投与に適した液体剤形;及び再構成して、患者への非経口投与に適した剤形を提供できる、無菌の固形物(例えば、結晶性又は非晶質固体)がある。
【0059】
一般に、本明細書中に提供される医薬組成物の成分は、例えば、活性剤の量を表示しているアンプル又はサシェなどの密封された容器中に凍結乾燥した粉末又は水を含まない濃縮物として、独立して、又は単位剤形で混合してのどちらかで供給される。該組成物が、注入によって投与される場合、滅菌した医薬品グレードの水又は生理食塩水を含有する注入瓶によって調剤することができる。該組成物が、注射によって投与される場合、投与前に該成分を混合できるように、注射用の生理食塩水のアンプル又は生理食塩水を提供することができる。
【0060】
特定の実施態様において、ジンセノサイド組成物を含む医薬組成物又は栄養補助食品組成物を含む、ジンセノサイド組成物は、徐放性製剤とし得る。徐放性製剤の適当な例を挙げると、例えば、本明細書中に提供されるジンセノサイド組成物を含有する、固形の疎水性ポリマーの半透性材料であり、マトリックスは、例えば、フィルム又はマイクロカプセルの造形品の形態である。徐放性マトリックスの例を挙げると、ポリマー、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリラート)又はポリ(ビニルアルコール))、ポリ乳酸、L-グルタミン酸及びエチル-L-グルタマートのコポリマー、非分解性のエチレン-酢酸ビニル、LUPRON DEPOT(商標)などの分解性の乳酸-グリコール酸コポリマー(乳酸-グリコール酸コポリマー及び酢酸ロイプロリドの注射可能な微粒子化合物)、及びポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸がある。
【0061】
いくつかの実施態様において、本明細書中に提供される組成物は、単位剤形とすることができる。例えば、単位剤形は、栄養補助食品組成物又は医薬組成物とすることができる。本発明の単位剤形は、予防上又は治療上有効な量の、本明細書中に記載のジンセノサイド組成物、及び典型的に、摂取可能な及び/又は生理学的に若しくは医薬として許容し得る、上記の1つ以上の担体又は賦形剤を含む。
【0062】
特定の他の実施態様において、単位剤形は、対象におけるアセトアルデヒド濃度を減少させるのに有効な、対象における高アセトアルデヒド濃度の症状を予防する、若しくは寛解させるのに有効な、又は対象における、エチルアルコールに起因する疾患又は障害の危険を低減させるのに有効な量のジンセノサイド組成物を含む。
【0063】
更に、本明細書中に、有効成分が分解する速度を低下させる1つ以上の化合物を含む単位形態を提供する。本明細書中で「安定化剤」と呼ばれるそのような化合物を挙げると、限定はされないが、アスコルビン酸などの抗酸化剤、pH緩衝剤、又は塩緩衝剤がある。
【0064】
別の有効量を別の条件に対して適用することができる。例えば、単位剤形は、液剤、懸濁剤、乳剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、徐放性製剤などの形態をとることができる。経口製剤は、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの標準的な担体を含むことができる。そのような組成物及び剤形は、患者への適切な投与のための形態を提供するために、予防上又は治療上有効な量の予防薬又は治療薬を、好ましくは、精製された形態で、適当な量の担体とともに含有するであろう。該製剤は、投与方法に適合すべきである。好ましい実施態様において、単位剤形は、無菌であり、かつ対象、好ましくは、ヒトへの投与に適した形態である。
【0065】
典型的に、本発明の剤形の組成物、形状、及び種類は、それらの使用に応じて変化するであろう。例えば、予防上及び治療上効果的な剤形は、疾患の種類により異なる。同様に、非口径剤形は、同じ疾患又は障害を治療するのに用いられる口径剤形より、少量のジンセノサイド組成物を含有し得る。本発明に包含される具体的な剤形が互いに異なる、これら及び他の方法は、当業者には容易に明らかとなるであろう。Remingtonの文献:薬学の科学と実践(The Science and Practice of Pharmacy)、第21版;Lippincott Williams & Wilkins出版:フィラデルフィア、PA、(2005);Anselの文献、薬品の剤形とドラッグデリバリーシステム(Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems)、第8版、Lippincott Williams & Wilkins出版、フィラデルフィア、PA、(2004)を参照されたい。
【0066】
一実施態様において、該単位剤形は、有効な量のジンセノサイド組成物、及び医薬として許容し得る担体又は賦形剤を含む容器、好ましくは、無菌の容器である。
【0067】
いくつかの実施態様において、対象へのジンセノサイド組成物の投与を単純化できる製造品を提供する。本発明の典型的な製造品は、単位剤形のジンセノサイド組成物を含む。
【0068】
一実施態様において、該製造品は、包装材料及びジンセノサイド組成物を含み、ここで前記組成物は、本明細書中に記載の医薬組成物又は栄養補助食品組成物である。
【0069】
更に、該製品は、該組成物の使用又は他の情報資料に関して、ラベル又は説明の印刷を含むことができる。該情報資料は、例えば、環境中のアルデヒドへの曝露、又はアルコールの摂取によるインビボでのアルデヒドの生成の要因に対して、どのようにして、適切に、対象におけるアルデヒド濃度の低下を増進させるか、対象におけるアルデヒド濃度が上昇する症状を予防する若しくは寛解させるか、又は対象におけるアルデヒドとの接触に起因する疾患又は障害の危険を低減させるかを、栄養士、医師、技師、消費者、対象、又は患者に助言する。言い換えると、該製造品は、限定はされないが、実際の投与量、監視方法、及び他の監視情報を含む投与計画を指示又は提案する指示方法を含む。
【0070】
全ての医薬品、健康補助食品又は栄養補助食品と同様に、該製造品に含まれる、包装材料及び容器は、保管及び輸送の間に、該医薬品の安定性を保護することを目的とする。
【0071】
本発明の製品は、該単位剤形を投与するのに有用な装置を更に含むことができる。そのような装置の例を挙げると、限定はされないが、シリンジ、点滴用バッグ、パッチ、及び吸入器がある。
【0072】
例えば、本明細書中に提供される組成物は、経口投与に適したものとすることができ、かつ経口摂取可能な組成物を挙げると、限定はされないが、本発明の健康補助食品又は栄養補助食品組成物があり、それらは、限定はされないが、錠剤(例えば、咀嚼錠)、カプレット剤、カプセル剤、及び液剤(例えば、フレーバーシロップ)などの分離した剤形として提供できる。そのような剤形は所定量の有効成分を含有しており、かつ当業者に周知の薬学的方法によって製造することができる。一般に、Remingtonの文献:薬学の科学と実践(The Science and Practice of Pharmacy)、第21版;Lippincott Williams & Wilkins出版:フィラデルフィア、PA、(2005);Anselの文献、薬品の剤形とドラッグデリバリーシステム(Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems)、第8版、Lippincott Williams & Wilkins出版、フィラデルフィア、PA、(2004)を参照されたい。
【0073】
更に別の実施態様において、本明細書中に提供される組成物は、1つ以上のプロトパナキサジオール系ジンセノサイドを、1つ以上の活性剤と組み合せて含むことができる。活性剤の例として挙げることができるのは、例えば、ビタミン、抗酸化剤、抗炎症剤、非ステロイド性抗炎症剤、抗ヒスタミン剤などである。特定の実施態様において、組み合せ組成物(combination composition)は、1つ以上のプロトパナキサジオール系ジンセノサイドを、グルタミン又はシリマリン(シリバム・マリアナム(Slybum marianum)又はミルクシスルのフラボノイド複合体)と組み合せて含む。特定の実施態様において、組み合せ組成物は、1つ以上のプロトパナキサジオール系ジンセノサイドを、アスピリン又はイブプロフェンと組み合せて含む。
【0074】
特定の実施態様において、プロトパナキサジオール系ジンセノサイドと、グルタミン若しくはシリマリンとを、又はグルタミン及びシリマリンの両方とを含む、組み合せ組成物は、単位剤形とし得る。例えば、単位剤形の組み合せ組成物は、約5mg〜約500mgのプロトパナキサジオール系ジンセノサイド、約50mg〜約3gのグルタミン及び/又は約20mg〜約800mgのシリマリンを含むことができる。そのような単位剤形は、例えば、栄養補助食品又は医薬組成物の製造時に、任意に、単位剤形の内容物として、1つ以上の希釈剤、担体、媒体、安定化剤、香料、又は当業者に公知の他の組成物を更に含むことができる。
【0075】
一態様において、本明細書中に、上記のジンセノサイド組成物を含むジンセノサイドの使用方法を提供する。
【0076】
特定の実施態様において、提供される方法は、ジンセノサイドを対象に投与することを含む。該ジンセノサイドは、当該分野で公知の、任意のジンセノサイド、又はジンセノサイドの組み合せとし得る。例えば、該提供される方法において、該ジンセノサイドは、例えば、Courtの文献に記載されているように、1つ以上のプロトパナキサジオール系、プロトパナキサトリオール系、オレアノール系、及び/又は他の種類とし得る。該文献は、「パナクス種の主な活性化学種(The Principal Active Chemicals in Panax species)」ニンジン:パナクス属(Court編集、Harwood Academic Publishers出版、アムステルダム、オランダ、2000)(該文献は参照によりその全体を本明細書中に組み込まれる。)である。
【0077】
いくつかの実施態様において、該ジンセノサイドは、プロトパナキサジオール系ジンセノサイド、例えば、Rb1、Rb2、Rb3、Rc、Rd、Rg3、Rh2、Rs1及び/又はRs2である。特定の実施態様において、該ジンセノサイドは、1つ以上のジンセノサイドRb1、Rb2、Rc及びRdである。
【0078】
例えば、該ジンセノサイドは、純粋な、若しくは高純度のジンセノサイド、又はジンセノサイド類の混合物として、あるいは例えば、担体、希釈剤、媒体、及び/又は賦形剤などを含むその組成物、又は栄養補助食品、上記の医薬組成物若しくは他の組成物として投与できる。
【0079】
特定の実施態様において、対象におけるアルデヒド濃度の減少を増進させる方法を提供する。該方法は、それを必要とする対象に、該対象がジンセノサイドを投与されない場合の状態と比較して、対象におけるアルデヒド濃度の減少を増進させるのに有効な量のジンセノサイドを投与することを含む。いくつかの実施態様において、該アルデヒドは、アセトアルデヒドである。
【0080】
対象におけるアルデヒド源は、任意の発生源又は要因、例えば、該対象の外部環境に存在するアルデヒドへの曝露若しくは接触、又は例えば、アルコールの摂取(例えば、経口摂取、経皮的な通過、吸入などによる)によって、対象において代謝的に生成されたアルデヒドに起因し得ることが理解されるであろう。
【0081】
例えば、特定の実施態様において、該アルデヒドは、エチルアルコールの消費によってインビボで生成されるアセトアルデヒドである。いくつかの実施態様において、該アルデヒドは、メタノール、不凍剤(anti-freeze)、エチレングリコール、又は他のアルコールの摂取によってインビボで生成される。
【0082】
いくつかの実施態様において、対象におけるアルデヒド濃度を減少させる方法を提供する。該方法は、それを必要とする対象に、該対象におけるアルデヒド濃度を減少させるのに有効な量のジンセノサイドを投与することを含む。
【0083】
下記の実施例に示されるように、いかなる理論又は機構にも限定されることを意図しないが、プロトパナキサジオール系ジンセノサイドは、アルデヒド脱水素酵素(ALDH)の活性を増大させる。典型的に、アルデヒド脱水素酵素は、対象中に存在するので、提供されるジンセノサイドの使用方法と関連して本明細書中に使用される語句、例えば、「対象におけるアルデヒド濃度を減少させる」などは、例えば、対象においてアルデヒドが減少する速度を増大させることを意味することができる。更に、本明細書中に提供される実施例に示されるように、いかなる理論又は機構にも限定されることを意図しないが、プロトパナキサジオール系ジンセノサイドは、アルコール脱水素酵素の活性を低下させる。典型的に、アルデヒド脱水素酵素は、対象中に存在して、アルコールをアルデヒドに触媒するので、提供されるジンセノサイドの使用方法と関連して本明細書中に使用される語句、例えば、「対象におけるアルデヒド濃度を減少させる」及び同様の語句は、例えば、該対象に投与されるジンセノサイドの非存在下において、通常生じたであろう対象におけるアルデヒド濃度を抑える、又は減少させることを意味することができる。また、いかなる特定の理論又は制約にも限定されることを意図しないが、対象に投与されるプロトパナキサジオール系ジンセノサイドは、対象において、アルコール脱水素酵素活性を低下させることができ、かつアルデヒド脱水素酵素活性を増大させることができる。
【0084】
いくつかの実施態様において、対象における高アセトアルデヒド濃度の症状を予防する、又は寛解させる方法を提供する。該方法は、それを必要とする対象に、該対象における高アセトアルデヒド濃度の症状を予防する、又は寛解させるのに有効な量のジンセノサイドを投与することを含む。
【0085】
更に他の実施態様において、本明細書中に、対象における、エチルアルコールの摂取に起因する疾患又は障害の可能性又は危険を低減させる方法を提供する。該方法は、それを必要とする対象に、該対象におけるアセトアルデヒドの異化反応を増大させるのに有効な量のジンセノサイドを投与することを含む。例えば、該アセトアルデヒドは、該対象によるエチルアルコール消費の生成物とすることができ、アセトアルデヒドの異化反応を増大させることで、対象における、エチルアルコールの摂取に起因する疾患又は障害の可能性又は危険を低減させる。
【0086】
本明細書中に提供される方法の特定の実施態様において、該対象はヒトである。特定の実施態様において、該対象は、エチルアルコールの代謝が変化している。例えば、いくつかの実施態様において、該対象は、アルデヒド脱水素酵素のサブタイプ2(ALDH2)活性が低下している。他の実施態様において、該対象は、上記のように、ALDH2*2対立遺伝子のホモ接合型又はヘテロ接合型の保因者である。
【0087】
特定の実施態様において、対象におけるアセトアルデヒドの異化反応を増大させる方法を提供し、それによって、該対象におけるアセトアルデヒド濃度を減少させる。
【0088】
したがって、そのような方法が、アセトアルデヒドの急性症状(例えば、眩暈、頻拍、紅潮、頭痛など)の不快感を軽減するのに利用できることが理解されるであろう。
【0089】
例えば、本明細書中に提供される方法は、有利にアセトアルデヒド濃度への曝露を最小化することができ、かつそれによって、アセトアルデヒドへの長期の曝露に関連した疾患又は障害の発症の可能性又は危険を低減させる。
【0090】
例えば、アセトアルデヒドの曝露は、エチルアルコール消費の結果として上昇し得る。いくつかの実施態様において、アセトアルデヒドは、限定はされないが、たばこの煙、又は該対象の外部環境中のアセトアルデヒドへの曝露などの産物である。
【0091】
特定の実施態様において、高アセトアルデヒド濃度の症状は、紅潮、高心拍数、動悸、低血圧、悪心、眩暈、頭痛、嘔吐、下痢、胃の不調、運動失調、又は意識の混乱を含む。
【0092】
特定の実施態様において、該疾患又は障害は、宿酔、アルコール性胃炎又はアルコール性肝臓障害を含む。
【0093】
特定の実施態様において、該疾患又は障害は、上気道消化管癌、消化管癌又は乳癌を含む。更なる実施態様において、該上気道消化管癌は、食道癌、中咽頭癌、下咽頭癌、喉頭癌、頭部癌、又は頸部癌を含む。更なる実施態様において、該消化系癌は、胃癌又は結腸癌を含む。
【0094】
特定の実施態様において、該疾患又は障害は、遅発型アルツハイマー病、高血圧、心筋梗塞、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、及び脳虚血を含む。
【0095】
特定の実施態様において、該アセトアルデヒド濃度は、対象の血中、唾液中及び/又は組織中のものである。
【0096】
特定の実施態様において、本明細書中に提供される方法は、対象におけるALDH2の基質となり得る、任意のアルデヒドの濃度を減少させる。該方法は、それを必要とする対象に、該対象における前記アルデヒドの濃度を減少させるのに有効な量のジンセノサイドを投与することを含む。
【0097】
特定の実施態様において、本明細書中に提供される方法は、対象におけるアルデヒド濃度が上昇する症状を予防する、又は寛解させる。ここで前記アルデヒドは、ALDH2の基質であり、該方法は、それを必要とする対象に、該対象におけるアルデヒド濃度が上昇する症状を予防する、又は寛解させるのに有効な量のジンセノサイドを投与することを含む。
【0098】
特定の実施態様において、対象におけるALDH2の活性を増大させる方法を提供し、該方法は、該対象におけるALDH2の活性を増大させるのに有効な量のジンセノサイドを投与することを含む。
【0099】
特定の実施態様において、アルコール脱水素酵素の活性を低下させる方法を提供する。例えば、いくつかの実施態様において、方法は、対象に、該対象におけるアルコール脱水素酵素の活性を低下させるのに有効な量のジンセノサイドを投与することを含むことができる。
【0100】
いくつかの実施態様において、対象に、ALDH活性を増大させ、かつアルコール脱水素酵素活性を低下させるのに有効な量のジンセノサイドを投与することを含む方法を提供する。
【0101】
更に他の実施態様において、動物の健康に関する方法を提供する。不凍剤のものを含むアルコールを飲むことに関連する毒性は、動物の命を奪うほど致死的なものとなり得る。例えば、いくつかの実施態様において、動物におけるALDH活性を増大させる、動物におけるアルコール脱水素酵素活性を低下させる、又は動物におけるALDH活性を増大させ、かつアルコール脱水素酵素活性を低下させるのに有効な量で、ジンセノサイドを動物に投与することを含む方法を提供する。例えば、そのような方法は、動物において、アルコールの症状を軽減できる。アルコールに挙げることができるのは、メタノール、エチルアルコール、エチレングリコール、ブタノール、イソプロピルアルコールなどである。いくつかの実施態様において、動物におけるアルデヒドの減少速度を増加させる方法を提供する。いくつかの実施態様において、該方法は、動物において、アルコールからアルデヒドへの触媒作用を防ぐ、又は低下させる。
【0102】
特定の実施態様において、該動物はヒトである。いくつかの実施態様において、該動物は、愛玩動物(companion)、家畜化動物(domesticated)、研究動物、又は家畜(例えば、イヌ、ウサギ、ラット、マウス、モルモット、ネコ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ウシなど)、又は野生動物(例えば、サル、クマ、シカ、アザラシ、カワウソなど)である。
【0103】
例えば、対象において、アルデヒド濃度の減少を増進させること、アルデヒド濃度が上昇する症状を予防する若しくは寛解させること、又はアルコール摂取に起因する疾患又は障害に対する可能性若しくは危険を低減させることに有効であろう、上記に提供される方法で投与されるジンセノサイドの量は、アルデヒドへの曝露の性質及び重症度、並びにジンセノサイドが投与される経路によって変化するであろう。また、頻度及び投与量も、各対象又は患者に特異的な因子、例えば、該患者の年齢、体重、応答、及び過去の病歴などによって変化するであろう。有効な投与量は、インビトロ又は動物モデル試験系から導き出される用量反応曲線から外挿することができる。適当な計画は、そのような因子を考慮して、並びに例えば、文献で報告される、及び米医薬品便覧(Physician's Desk Reference)(第57版、2003)で推奨される投与量に従って、当業者によって選択され得る。
【0104】
本明細書中に提供される方法におけるジンセノサイドの投与量の例は、対象の重量1キログラムあたり、ミリグラム又はマイクログラム量の総ジンセノサイドを含む(例えば、約1マイクログラム/キログラム〜約100ミリグラム/キログラム、約100マイクログラム/キログラム〜約5ミリグラム/キログラム、又は約1マイクログラム/キログラム〜約50マイクログラム/キログラム)。一般に、本明細書中に記載のジンセノサイドの1日量の範囲は、1日あたり、約0.01mg〜約1000mgの総ジンセノサイドの範囲にある。これらの量は、例えば、1日1回の単回投与で、又は1日を通して分割投与で与えられる。一実施態様において、1日量は、1日に2回、等しい分割用量で投与される。より典型的に、該ジンセノサイドの用量は、アルデヒドへの予想される曝露の前、又は例えば、対象におけるアルデヒド曝露の急性症状の出現によって、アルデヒドへの曝露が明らかになった後に、投与されるであろう。
【0105】
具体的には、1日量の範囲は、1日あたり約5mg〜約500mg、より具体的には、1日あたり約10mg〜約200mgとすべきである。該対象の管理において、該治療は、おそらく約1mg〜約25mgの低用量で開始し、必要であれば、対象の全体的な応答に応じて、単回投与又は分割投与のいずれかで、1日あたり約200mg〜約1000mgまで増加すべきである。当業者には明らかであるように、場合によって、本明細書中に開示した範囲外の有効成分の投与を用いることが必要となり得る。更に、並びに当業者によって容易に理解されるように栄養士、臨床医又は治療医師は、個々の患者の応答、及び状態と関連して、治療をどのように及びいつ中断する、調整する、又は終了するのかを熟知していることにも注意が必要である。
【0106】
いくつかの実施態様において、本明細書中に提供される方法で対象に投与される総ジンセノサイドの量は、約5μg/kg、約50μg/kg、約100μg/kg、約150μg/kg、約250μg/kg、約500μg/kg、約1mg/kg、約5mg/kg、約10mg/kg、約25mg/kg、約50mg/kg、約75mg/kg、約100mg/kg以上である。いくつかの実施態様において、投与される総ジンセノサイドの用量は、該対象の体重kgあたり、1日あたり、約0.01mg〜約10mg、約0.1 mg〜約30mg、約0.5mg〜約50 mg、約1.0mg〜約60mg、約5.0mg〜約80mg、又は約10mg〜約100mgである。
【0107】
特定の実施態様において、該ジンセノサイドは、限定はされないが、エチルアルコール摂取に起因する、高レベルのアルデヒドに曝露される約10分、約20分、約40分、約1時間、約2時間、約3時間、約1O時間、約12時間、又は約24時間前に、該対象に投与されるであろう。
【0108】
特定の実施態様において、該ジンセノサイドは、例えば、エチルアルコールの消費などの、アルデヒド濃度の上昇を引き起こす物事が生じた場合に、それと同時に該対象に投与されるであろう。
【0109】
特定の実施態様において、該ジンセノサイドは、限定はされないが、エチルアルコール摂取に起因する、高レベルのアルデヒドに曝露された約10分、約20分、約40分、約1時間、約2時間、約3時間、約6時間、又は約12時間後に、該対象に投与されるであろう。
【0110】
一実施態様において、ジンセノサイドの投与計画は、当業者によって決定される、該対象に必要なものに従って、単回又は反復投与を含む。
【0111】
特定の実施態様において、ジンセノサイドとグルタミンとの組み合せを、対象に投与する。該対象に投与されるグルタミンの量は、典型的に、例えば、1日あたり、約50ミリグラム〜約3グラム、約150ミリグラム〜約1.5グラム、約400ミリグラム〜約2グラム、より典型的には、約900ミリグラム〜約1.2グラム、又は約1グラムのグルタミンである。
【0112】
ジンセノサイドとシリマリンとの組み合せが、患者に投与される実施態様において、典型的に、1日あたり、約20ミリグラム〜約800ミリグラム、より典型的には、約100ミリグラム〜約600ミリグラム、又は約400グラムのシリマリンが、該対象に投与される。
【0113】
一実施態様において、高レベルのアセトアルデヒドを受けている対象は、例えば、燃焼している木、たばこの煙、自動車又はディーゼル排気などの環境源からのアセトアルデヒドに曝露されている。
【0114】
一実施態様において、高レベルのアセトアルデヒドを受けている対象は、アルデヒド脱水素酵素不全の保因者である。
【0115】
一実施態様において、高レベルのアセトアルデヒドを受けている対象は、エチルアルコールを消費している。
【実施例】
【0116】
(8. 実施例)
(8.1. アルコール脱水素酵素(ADH)活性)
この実施例は、全てではないがいくつかのジンセノサイドが、アルコール脱水素酵素(ADH)の触媒活性を低下させることを示している。特に、プロトパナキサジオール系ジンセノサイドは、ADH活性を低下させることが見出されたのに対して、プロトパナキサトリオール系のジンセノサイドは、ADH活性に対して有意な効果を有さなかった。
【0117】
ジンセノサイドRb1、Rb2、Rc、Rd、Re及びRg1は、ChromaDex Inc.、アーバイン、カリフォルニア、USAから得た。該ジンセノサイドをDMSOに溶解して原液を調製した。活性アッセイを行う前に、ジンセノサイド原液の一部を水性反応緩衝液で希釈し、これから試料を採取し、活性をアッセイした。
【0118】
ADH活性は、Gibla及びGonzalex-Duranteの文献、J Biochem. Biophys. Methods 1993, 26, 87-93(その内容は、参照によりその全体を本明細書中に組み込まれる。)に記載の比色アッセイで測定した。
【0119】
図1に示した結果は、各々のジンセノサイドRb1、Rb2、Rc、Rd、Re及びRg1のADH活性に対する効果を表す。図2は、プロトパナキサジオールRb1、Rb2、Rc及びRdの平均効果対プロトパナキサトリオールRe及びRg1の平均効果の比較を示す。これらの結果は、約50μg/mLを超える濃度のプロトパナキサジオール系ジンセノサイドが、ADH活性を低下させることを示している。特に、ジンセノサイドRb1、Rb2、Rc及びRdは、ADH活性を低下させ、かつ該プロトパナキサトリオール系のジンセノサイドRe及びRg1は、ADH活性に有意な効果を有さなかった(図1)。プロトパナキサトリオールと比較して、プロトパナキサジオールによるADH活性の減少の平均は、>20%であった(図2)。
【0120】
(8.2. アルデヒド脱水素酵素(ALDH)活性アッセイ)
この実施例は、全てではないがいくつかのジンセノサイドが、ALDHの触媒活性を増大させることを示している。特に、プロトパナキサジオール系ジンセノサイドは、ALDH活性を増大させることが見出されたのに対して、プロトパナキサトリオール系のジンセノサイドは、ALDH活性に対して有意な効果を有さなかった。
【0121】
上記のように、DMSO中のジンセノサイドRb1、Rb2、Rc、Rd、Re及びRg1の原液を調製した。ALDHは、Sigma-Aldrich社(製品番号A6338)から得た。Bostianらの文献、Biochemical Journal 1978, 173, 773-786(その内容は、参照によりその全体を本明細書中に組み込まれる。)に記載のアッセイに基づいて、試験基質の添加によって改良された供給メーカーからの指示に従い、インビトロで酵素活性アッセイを行った。このアッセイは、ALDH触媒作用による還元を介して、アセトアルデヒドから酢酸への変換を測定する。
【0122】
図3に示した結果は、各々のジンセノサイドRb1、Rb2、Rc、Rd、Re及びRg1のALDH活性に対する効果を表している。図4は、プロトパナキサジオールRb1、Rb2、Rc及びRdの平均効果対プロトパナキサトリオールRe及びRg1の平均効果の比較を示す。これらの結果は、約5μg/mLを超える濃度のプロトパナキサジオール系ジンセノサイドが、ALDHの活性を増大させることを示している。特に、ジンセノサイドRb1、Rb2、Rc及びRdは、ALDH活性を増大させ、かつ該プロトパナキサトリオール系のジンセノサイドRe及びRg1は、ALDH活性に有意な効果を有さなかった(図3)。プロトパナキサトリオールと比較して、プロトパナキサジオールによるADH活性の減少の平均は、>50%であった(図4)。
【0123】
(8.3. 例示的ジンセノサイド組成物)
この実施例では、種々のジンセノサイド栄養補助食品組成物の製造を説明する。
【0124】
(カプセル組成物の製造)
【0125】
実施例A:ジンセノサイド組成物500mg(Rb1 165mg、Rb2 40mg、Rc 250mg、Rd 45mg)、ラクトース50mg、デンプン50mg、タルク2mg、及びステアリン酸マグネシウム適量。上記の成分を混合し、当業者に公知の、従来のカプセル剤の製造によって、ゼラチンカプセルに充填してカプセル剤を得る。
【0126】
実施例B:ジンセノサイド(Rb1 35mgなど)、ラクトース50mg、デンプン50mg、タルク2mg、及びステアリン酸マグネシウム適量。上記の成分を混合し、当業者に公知の、従来のカプセル剤の製造によって、ゼラチンカプセルに充填してカプセル剤を得る。
【0127】
実施例C:ジンセノサイド(Rb2 10mgなど)、ラクトース50mg、デンプン50mg、タルク2mg、及びステアリン酸マグネシウム適量。上記の成分を混合し、当業者に公知の、従来のカプセル剤の製造によって、ゼラチンカプセルに充填してカプセル剤を得る。
【0128】
実施例D:ジンセノサイド組成物lOOmg(Rb1 25mg、Rb2 25mg、Rc 25mg、Rd 25mg)、グルタミン400mg、ラクトース50mg、デンプン50mg、タルク2mg、及びステアリン酸マグネシウム適量。上記の成分を混合し、当業者に公知の、従来のカプセル剤の製造によって、ゼラチンカプセルに充填してカプセル剤を得る。
【0129】
実施例E:ジンセノサイド(Rb1 35mgなど)、グルタミン400mg、ラクトース50mg、デンプン50mg、タルク2mg、及びステアリン酸マグネシウム適量。上記の成分を混合し、当業者に公知の、従来のカプセル剤の製造によって、ゼラチンカプセルに充填してカプセル剤を得る。
【0130】
実施例F:ジンセノサイド(Rb2 10mgなど)、シリマリン200mg、ラクトース50mg、デンプン50mg、タルク2mg、及びステアリン酸マグネシウム適量。上記の成分を混合し、当業者に公知の、従来のカプセル剤の製造によって、ゼラチンカプセルに充填してカプセル剤を得る。
【0131】
実施例G:ジンセノサイド組成物300mg(Rb1 75mg、Rb2 75mg、Rc 75mg、Rd 75mg)、シリマリン200mg、ラクトース50mg、デンプン50mg、タルク2mg、及びステアリン酸マグネシウム適量。上記の成分を混合し、当業者に公知の、従来のカプセル剤の製造によって、ゼラチンカプセルに充填してカプセル剤を得る。
【0132】
(8.4. 対象におけるアセトアルデヒド濃度の低下)
下記の実施例は、ヒト対象において、ジンセノサイドが、エチルアルコール不耐性に関連する症状を予防、又は軽減できることを示す。
【0133】
(8.4.1. 研究番号1)
この実施例では、エチルアルコールを飲むことによる、血液中アセトアルデヒド濃度の最大値が、ジンセノサイドの非存在下でエチルアルコールを飲んだ後の対象における最大濃度に対して、ジンセノサイドを投与後の対象においては、減少できることを示す。
【0134】
血液採取方法及び血液中のアセトアルデヒドレベルの分析法は、当業者に周知である。Inoueらの文献、アルコール依存症(Alcoholism):Clincical and Experimental Research 1984, 8, 319-322;Stowellの文献、Clin. Chim. Acta. 1979, 98, 201-5;及びChenらの文献、アルコール依存症(Alcoholism):Clinical and Experimental Research 1995, 19, 939-944(それぞれは、参照によりその全体を本明細書中に組み込まれる。)を参照されたい。また、当業者は、対象におけるアセトアルデヒドレベルの増加は、該対象の心拍数を増大させ、かつ該心拍数は、アセトアルデヒドレベルの指標として使用できることを理解している。典型的に、アセトアルデヒド蓄積の最大濃度は、例えば、ALDH2活性の低下又は不在に起因するエチルアルコール不耐性の対象において、エタノール消費に続いて15分〜1時間の後に起こる。
【0135】
エチルアルコールに不耐性であることが分かっているヒト対象を特定し、無作為に
処理群(ジンセノサイド及びエチルアルコール)及び対照群(偽薬及びエチルアルコール)に分類する。ジンセノサイド又は偽薬、及びエチルアルコールの投与の前後で、心拍数及び血液試料を各対象から取得する。液体組成物の形態のプロトパナキサジオールジンセノサイドを、0.8mgのジンセノサイド/体重kgの用量で、処理群に経口投与し、かつ偽薬を対照群に投与する。ジンセノサイド又は偽薬の投与の30分後に、エチルアルコール(0.5g/kg)を各対象に投与する。定期的に心拍数を監視し、血液試料を最大6時間の経時変化で取得する。また、対象は、頭痛、眩暈などの自己報告を求められる場合があり、紅潮及び/又は他の症状について評価され得る。およそ一週間後に、同じ対象について該実験を繰り返すが、処置を取り替える。つまり、前回に対照群だった対象は、処理群になり、前回に処理群だった対照も同様である。
【0136】
各群の対象の心拍数、アセトアルデヒド濃度などに関するデータを比較する。
【0137】
(8.4.2. 研究番号2)
上記に説明したように、特定の個人はエチルアルコールの影響に敏感であり、そのような個体においては、他のより大きな一般集団の人々では、通常はそのような症状を引き起こすことがない少量での摂取時に、顔面潮紅及び心拍数の上昇などの症状が引き起こされるであろう。この研究では、少量のアルコールに対してそのような症状を示す病歴を有する個体において、本明細書中に提供されるジンセノサイド組成物を投与することによって、顔面潮紅の重症度及び心拍数の上昇が、軽減され得ることを示す。紅潮の病歴を有する個体を、下記の研究の参加のための対象として選択する。
【0138】
ジンセノサイド組成物:総ジンセノサイド画分の30%を有するニンジン抽出物を、粉末形態で製造し、カプセル化した(カプセルあたり25mgの抽出物)。ジンセノサイド分画における、プロトパナキサジオールとプロトパナキサトリオール系のジンセノサイドとの比率は、約60:40である。本研究で使用されるジンセノサイド組成物製造は、一般に安全と認められるもの(GRAS)が検討される。
【0139】
該研究は、下記の手順に従い、各対象が自己で実施する。
【0140】
工程A1:アルコール耐性のベースラインの設定
【0141】
a) 該対象は、任意のアルコールを飲む前に、座りながら彼又は彼女の安静時の脈拍を記録する。該対象は、このベースライン測定前の少なくとも24時間の間、どんなカフェイン、プソイドエフェドリン、血圧用薬剤も、又は心拍数を変化させることが公知のいかなる他の薬剤も摂取してはならない。かつこのベースライン測定前の少なくとも4時間の間、固形食を摂取してはならない。該対象は、家族又は友人に「赤み」を判断してもらい、かつ飲酒前のベースライン用に該対象の顔写真を撮らなければならない。また、該対象は、彼又は彼女の顔面紅潮を評価しなければならない。
【0142】
b) 該対象は、許容される場合は≦30分以内に、又は少なくとも2つの下記の事象が生じるまで、及び/又は該対象がこれ以上アルコールに許容できなくなるまで、6オンスの白ワイン(11〜12.5%のアルコール含有量、デザートワインは含まない。)を飲む。
i. 座っている間の安静時のHR(心拍数)が、少なくとも30拍/分に上昇(30分間の飲酒中、15分ごとの自身の心拍数を監視する。)。;
ii. 顔面潮紅スコアが≧3+。;
iii. アセトアルデヒド曝露と関連した実験1以上の症状、例えば、頭痛、軽い眩暈、悪心、嘔吐など。
【0143】
c) 上記事象が起こらない場合に、該対象は、総量12オンス(最初の6オンスを含む。)を超えずに、別に3オンスの白ワインを20分ごとに飲むことを繰り返すことができる。アルコール摂取により、少なくとも1つの上記症状が起こった場合にのみ、工程G2及びG4に継続して研究に参加する。
【0144】
d) 上記の工程A1、a部と同一の照明条件下、及び同じ背景で写真を撮る。
【0145】
e) アルコール消費量及び消費した時間を記録する。
【0146】
f) アルコール摂取の終了後4時間の間、又は心拍数と紅潮のどちらも通常状態(飲酒前のベースライン)に戻るまで、15分ごとに心拍数を測定し、かつ紅潮を監視する。心拍数及び紅潮が飲酒前のベースライン値に戻った時間を記録する。
【0147】
工程G2:50ミリグラムのジンセノサイド組成物の試験。
【0148】
工程Aが終了した後、少なくとも3日目に工程G2が行われる。
【0149】
a) 該対象は、任意のアルコールを飲む前に、座りながら彼又は彼女の安静時の脈拍を記録する。該対象は、アルコール摂取の予定時間の前の少なくとも24時間の間、いかなるカフェイン、プソイドエフェドリン、血圧用薬剤も、又は心拍数を変化させることが公知のいかなる他の薬剤も摂取してはならず、該アルコール摂取の予定時間の前の少なくとも4時間の間、固形食を摂取してはならない。該対象は、家族又は友人に「赤み」を判断してもらい、かつ飲酒前のベースライン用に該対象の顔写真を撮らなければならない。また、該対象は、彼又は彼女自身の顔面紅潮を評価しなければならない。
【0150】
b) 2個のジンセノサイド組成物のカプセルを摂取する。
【0151】
c) 該ジンセノサイド組成物の摂取から1.5時間後に、該対象は、下記のことを行わなければならない:
i. 任意のアルコールを飲む直前に、座りながら彼又は彼女の安静時の脈拍を測る;
ii. 家族又は友人に「赤み」の判断を依頼し、かつ顔面潮紅を自己評価する。飲酒前ベースラインの顔写真を撮る(本研究を通して全ての写真の照明条件は同じでなければならない。)。
iii. 上記の工程A1、b部と同一の白ワインを同量飲み、アルコール摂取の時間を記録する。
【0152】
アルコール摂取後4時間の間、又は心拍数と紅潮のどちらも通常状態(飲酒前のベースライン)に戻るまで、15分ごとに心拍数を測定し、かつ紅潮を監視する。心拍数及び紅潮が飲酒前のベースライン値に戻った時間を記録する。
【0153】
工程G4:100ミリグラムのジンセノサイド組成物の試験。
【0154】
工程G2が終了した後、少なくとも3日目に工程G4が行われる。
【0155】
a) 該対象は、任意のアルコールを飲む前に、座りながら彼又は彼女の安静時の脈拍を記録する。該対象は、アルコール摂取の予定時間の前の少なくとも24時間の間、いかなるカフェイン、プソイドエフェドリン、血圧用薬剤も、又は心拍数を変化させることが公知のいかなる他の薬剤も摂取してはならず、該アルコール摂取の予定時間の前の少なくとも4時間の間、固形食を摂取してはならない。該対象は、家族又は友人に「赤み」を判断してもらい、かつ飲酒前のベースライン用に該対象の顔写真を撮らなければならない。また、該対象は、彼又は彼女自身の顔面紅潮を評価しなければならない。
【0156】
b) 4個のセノサイド組成物のカプセルを摂取する。
【0157】
c) 該ジンセノサイド組成物の摂取から1.5時間後に、該対象は、下記のことを行わなければならない:
i. 任意のアルコールを飲む直前に、座りながら彼又は彼女の安静時の脈拍を測る;
ii. 家族又は友人に「赤み」の判断を依頼し、かつ顔面潮紅を自己評価する。飲酒前ベースラインの顔写真を撮る(本研究を通して全ての写真の照明条件は同じでなければならない。)。
iii. 上記の工程A1、b部と同一の白ワインを同量飲み、アルコール摂取の時間を記録する。
【0158】
アルコール摂取後4時間の間、又は心拍数と紅潮のどちらも通常状態(飲酒前のベースライン)に戻るまで、15分ごとに心拍数を測定し、かつ紅潮を監視する。心拍数及び紅潮が飲酒前のベースライン値に戻った時間を記録する。
【0159】
結果:2人の対象が、上記の本研究番号2の手順の工程A1、並びに工程G2及びG4の少なくとも1つを終了した。対象1は、飲酒時の重度の紅潮反応という病歴を自己申告した46歳の女性である。対象1は、典型的にアルコールを控えていると、自身を述べている。対象1は、上記の工程A1及びG4を行った。飲酒に対する心拍数及び紅潮の評価の応答を表1に報告する。
【表1】

【0160】
飲酒前に、ジンセノサイド組成物を摂取した後、対象1は、エチルアルコールを飲んだ後に、彼女はジンセノサイド組成物がないよりもジンセノサイド組成物を摂取する場合に、気分が良くなったと報告した。彼女は、飲酒時に彼女が経験する紅潮が、彼女が、ジンセノサイド組成物を摂取した場合には、顕在化するのに長い時間がかかったことを報告した(表1)。図5Aに示すように、対象1のアルコールに対して応答した最大心拍数は、ジンセノサイド組成物の非存在下で当量のアルコールを飲んだ場合(黒四角)より、ジンセノサイド組成を摂取後に大きく低下した(丸)。
【0161】
対象2は、飲酒時の紅潮応答の病歴を自己申告した23歳の男性である。対象2は、時折少量のアルコールを飲むこともあると自身を述べている。対象2は、上記の工程A1及びG2を行った。飲酒に対する心拍数及び紅潮の評価の応答を表2に報告する。
【表2】

【0162】
飲酒前に、ジンセノサイド組成物を摂取した後、対象2は、ジンセノサイド組成物を摂取せずに飲酒した場合に、通常起こる紅潮において、顕著な減少を経験したと報告した(表1)。図5Bに示すように、対象1のアルコールに対して応答した最大心拍数は、ジンセノサイド組成物の非存在下で当量のアルコールを飲んだ場合(黒四角)より、ジンセノサイド組成を摂取後に大きく低下した(丸)。
【0163】
これらの結果は、本明細書中に提供されるジンセノサイド組成物が、アルコール感受性に関連した、例えば、不快感、紅潮、及び心拍数の上昇などの症状を低減できることを示している。
【0164】
前述の発明は、理解を明確にする目的のために、図及び実施例によって幾分詳細に説明してきたが、特定の変更及び改良が実行されることは、当業者には理解されるであろう。したがって、説明及び実施例が、添付の特許請求の範囲によって詳述される本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0165】
本明細書中に記載される全ての刊行物及び特許出願は、参照により組み込まれるものとして各個々の刊行物及び特許出願が、具体的にかつ個別に示されているように、参照により本明細書中に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも10%(w/w)の1つ以上のプロトパナキサジオール系ジンセノサイドを含む、対象への投与に適した、ジンセノサイド組成物。
【請求項2】
非ジンセノサイド画分及びジンセノサイド画分からなり、該ジンセノサイド画分が、少なくとも10、15、20、25、30、50、75又は95%(w/w)の、Rb1、Rb2、Rc及びRdから選択される1つ以上のジンセノサイドを含む、請求項1記載のジンセノサイド組成物。
【請求項3】
基本的にRb1、Rb2、Rc及びRdからなる、請求項1記載のジンセノサイド組成物。
【請求項4】
基本的にRb1、Rb2、Rc又はRdからなる、請求項1記載のジンセノサイド組成物。
【請求項5】
前記ジンセノサイド組成物が、医薬組成物であり、かつ医薬として許容し得る担体、賦形剤、希釈剤、又は溶媒を更に含む、請求項1記載のジンセノサイド組成物。
【請求項6】
前記ジンセノサイド組成物が、対象への経口投与に適している、請求項1記載のジンセノサイド組成物。
【請求項7】
前記ジンセノサイド組成物が、栄養補助食品組成物であり、かつ生理学的に許容し得る担体、賦形剤、希釈剤、又は溶媒を更に含む、請求項1記載のジンセノサイド組成物。
【請求項8】
グルタミン又はシリマリンを更に含む、請求項1記載のジンセノサイド組成物。
【請求項9】
包装材料及び請求項5又は7記載のジンセノサイド組成物を含む、製造品。
【請求項10】
対象におけるアセトアルデヒド濃度の減少速度を増加させる方法であって、
それを必要とする対象に、ジンセノサイドの非存在下での対象におけるアセトアルデヒド濃度の減少速度と比べて、該対象におけるアセトアルデヒド濃度の減少速度を増加させるのに有効な量のジンセノサイドを投与することを含む、前記方法。
【請求項11】
対象における高アセトアルデヒド濃度の症状を予防する、又は寛解させる方法であって、
それを必要とする対象に、該対象おける高アセトアルデヒド濃度の症状を予防する、又は寛解させるのに有効な量のジンセノサイドを投与することを含む、前記方法。
【請求項12】
エチルアルコールの摂取に起因する疾患又は障害に対する患者の危険を低減させる方法であって、
それを必要とする対象に、該対象におけるアセトアルデヒドの異化反応を増加させるのに有効な量のジンセノサイドを投与することを含み、ここで該アセトアルデヒドが、該対象によるエチルアルコール消費の生成物であり、かつアセトアルデヒドの異化反応を増加させることで、該対象における、エチルアルコールの摂取に起因する疾患又は障害の危険を低減させる、前記方法。
【請求項13】
前記対象がヒトである、請求項10〜12のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
前記対象が、変化したエチルアルコール代謝を有する、請求項10〜12のいずれか一項記載の方法。
【請求項15】
前記対象が、アルデヒド脱水素酵素サブタイプ2(ALDH2)活性が低下している、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記アセトアルデヒドが、前記対象におけるエチルアルコール異化反応の生成物である、請求項10又は11記載の方法。
【請求項17】
前記対象が、たばこの煙中又は該対象の外部環境中のアセトアルデヒドに曝露される、請求項10又は11記載の方法。
【請求項18】
高アセトアルデヒド濃度の症状が、紅潮、高心拍数、動悸、低血圧、悪心、眩暈、頭痛、嘔吐、下痢、胃の不調、運動失調、又は意識の混乱を含む、請求項11記載の方法。
【請求項19】
前記疾患又は障害が、宿酔、アルコール性胃炎又はアルコール性肝臓障害を含む、請求項12記載の方法。
【請求項20】
前記疾患又は障害が、上気道消化管癌、消化管癌又は乳癌を含む、請求項12記載の方法。
【請求項21】
前記上気道消化管癌が、食道癌、中咽頭癌、下咽頭癌、喉頭癌、頭部癌、又は頸部癌を含む、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記消化管癌が、胃癌又は結腸癌を含む、請求項20記載の方法。
【請求項23】
前記疾患又は障害が、遅発型アルツハイマー病、高血圧、心筋梗塞、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、及び脳虚血を含む、請求項12記載の方法。
【請求項24】
前記アセトアルデヒド濃度が、前記対象の血中、唾液中及び/又は組織中におけるものである、請求項10又は11記載の方法。
【請求項25】
1日あたり、前記対象の体重の1キログラムあたり、約0.1μg〜約100mgのジンセノサイドが投与される、請求項10〜12のいずれか一項記載の方法。
【請求項26】
1日あたり、約400ミリグラム〜約2グラムのグルタミンを、前記対象に投与することを更に含む、請求項25記載の方法。
【請求項27】
1日あたり、約20ミリグラム〜約800ミリグラムのシリマリンを、前記対象に投与することを更に含む、請求項25記載の方法。
【請求項28】
前記ジンセノサイドが、プロトパナキサジオール系ジンセノサイドである、請求項10〜12のいずれか一項記載の方法。
【請求項29】
前記ジンセノサイドが、請求項1記載のジンセノサイド組成物である、請求項26記載の方法。
【請求項30】
薬剤の製造のための、少なくとも10%(w/w)の、1つ以上のプロトパナキサジオール系ジンセノサイドを含む、ジンセノサイド組成物の使用であって、
該薬剤が、対象におけるアセトアルデヒド濃度の減少速度を増加させる;
対象における高アセトアルデヒド濃度の症状を予防する、若しくは寛解させる;又は
エチルアルコールの摂取に起因する疾患又は障害に対する、対象の危険を減少させるためのものである、前記ジンセノサイド組成物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A−B】
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【公表番号】特表2011−510075(P2011−510075A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−544334(P2010−544334)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/000431
【国際公開番号】WO2009/094177
【国際公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(510201849)ラプトル トヘラペウトイクス インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】