説明

プロトンポンプ阻害剤用の新規な改変された放出のペレット製剤

単一の活性薬物として酸感受性プロトンポンプ阻害剤(PPI)を含む経口用固形医薬剤形であって、1つは即時そして1つは遅延された2つの分離したパルスでPPIを放出する。PPIはペレットの形態でコア材料中に配合され、これは遅延放出改変層及び遅滞時間制御層の組み合わせでコーティングされる。ペレットはさらに腸溶性コーティングを施される。本出願はまた、剤形を製造するための方法、さらに胃腸疾患の処置におけるそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腸溶性コーティングを施した遅延放出ペレット中の唯一の活性薬物として酸感受性プロトンポンプ阻害剤(プロトンポンプ阻害剤の組み合わせを含む)を含む経口用固形医薬剤形、さらにそれらの製造のための方法、及び胃腸障害の医療処置におけるこのような剤形の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
胃プロトンポンプ阻害剤とも呼ばれる酸感受性H+,K+−ATPaseは、例えば一般名オメプラゾール、ランソプラゾール、パントプラゾール、ラベプラゾール、レミノプラゾール及びエソメプラゾールで知られる化合物である。これらの化合物のうちのいくつかは、EP−A1−0005129、EP−A1−124495、WO 94/27988、EP−A1−174726、EP−A1−166287及びGB 2163747に開示される。
【0003】
これらの医薬品物質は、ヒトを含む哺乳動物において、酸分泌経路の最終段階において胃酸分泌を制御し、それ故刺激にかかわりなく基底の胃酸分泌及び刺激された胃酸分泌を低減することにより、胃酸分泌を抑制するために有用である。より一般的な意味で、これらは、例えば逆流食道炎、胃炎、十二指腸炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍及びゾリンジャー−エリソン症候群を含む、哺乳動物及びヒトにおける胃酸関連疾患の予防及び処置のために使用され得る。さらにこれらは、胃酸抑制効果が望ましい場合にその他の胃腸障害の処置のため、例えば、NSAID治療中の患者において、非潰瘍消化不良を有する患者において、及び症候性胃食道逆流性疾患(GORD)を有する患者において使用され得る。これらはまた、集中治療の状況下にある患者において、急性上部消化管出血のある患者において、胃酸の吸入を防止するために術前及び術後に、術後の悪心及び嘔吐(PONV)を防止するために、並びにストレス性潰瘍形成を処置するために、使用され得る。さらにこれらは、睡眠障害、乾癬の処置において、さらにヘリコバクター属感染及びこれらに関連する疾患の処置において有用であり得る。
【0004】
プロトンポンプ阻害剤(以下ではPPIとも呼ぶ)を含む腸溶性コーティングを施した製剤、及び遅延した期間後にPPIを送達するように意図された製剤は、早くから報告されてきた。しかしながら、PPIの現在利用可能な製剤は、まだいくつかの欠点及び制限を有している。PPI処置の間の酸制御の有効性は、夜間よりも日中及び食後に高く、このことは治療的重大性を有しているかもしれない。最近の米国の研究は、夜間性胸やけが、GERDを有する個体のほぼ80%に影響を及ぼし、結果としてこれらの患者の75%において睡眠障害を生じることを示した。この結果は、多くの患者における日常的な機能不全である(Shaker et al、AM J Gastroentrol 2003;98(7):1487−93)。さらに、従来の一日一回の処置よりも強い胃酸抑制が必要とされるかもしれないいくつかの型の患者が存在する。夜間の胃酸抑制が、40mgのエソメプラゾール用量を、一日二回の20mgに分けることにより有意に改善され得ることが示されている。この処置レジメンは、急速かつ持続した酸抑制をもたらす(Hammer et al、Alimentary Pharmacol Ther 2004;19(19):1105−10)。
【0005】
2つのPPI放出部分を含む経口用剤形を特許請求する本発明は、24時間の全期間にわたって効果的な酸制御を確実にし、従って一日に2回の投薬の必要性を排除することを目的として開発されてきた。これは使用及び患者のコンプライアンスに役立つであろう。このような改善された放出の製剤はまた、従来のPPIの製剤と比較して、特に夜間における酸分泌抑制において高い有効性をもたらすであろう。
【0006】
EP 247983(AB Haessle)は、活性成分がアルカリ性反応化合物と共に、上に配置されたサブコーティング層と外層としての腸溶性コーティングを有するコア材料中に配合されている、オメプラゾール又はオメプラゾールのアルカリ塩の剤形を記載する。この剤形は、胃の酸性環境を通過した後小腸において急速に活性成分を放出するよう意図される。
【0007】
WO 9601623及びWO 9601624(Astra AB)は、オメプラゾール、エソメプラゾール及びその他のプロトンポンプ阻害剤の錠剤化剤形を記載し、ここでは腸溶性コーティング層を形成されたペレットが錠剤賦形剤と共に、複数単位錠剤化剤形へと圧縮される。腸溶性コーティング層が錠剤化の間圧縮力に耐えることができることがこれらの錠剤化製剤において不可欠である。
【0008】
WO 9932093 A1(Astra AB)は、H+,K+−ATPase阻害剤を含む、腸溶性コーティングを施した医薬剤形を開示する。この製剤は、少なくとも2つの連続したパルスで放出される、H+,K+−ATPase阻害剤の少なくとも2つの部分を含む。少なくとも1つの部分は、遅延放出を有する。遅延放出パルスを生じるペレット又は錠剤は、取り囲んでいる遅滞時間制御層を含み、これは、耐水性ポリマーを含む半透膜であり、そして所望の時間の後に崩壊する。遅延放出改変層と遅滞時間制御層との組み合わせであって後者が主に高粘性水溶性ポリマーからなる組み合わせの開示はない。
【0009】
US 5885616(Impax Pharmaceuticals Inc.)は、活性薬剤の2段階放出を提供して即時であるが持続した薬物送達を容易にする単一ビーズ薬物送達システムを開示する。これは、唯一又は必須のポリマーとして高粘性水溶性ポリマーを含む遅滞時間制御層を開示しない。これは、PPIに関するこの型の送達システムを開示も示唆もしない。
【0010】
WO 9819668(Sharmatek)は、オメプラゾールのような酸感受性薬物用の多区画遅延放出薬物送達システムに関する。その遅延放出は、胃腸管の近位部分(pH 5−6)においてオメプラゾールを送達するための胃耐性挙動をもたらす遅延放出腸溶性バリアに関連する。この腸溶性バリアは、この層の材料として腸溶性コーティングポリマーを含む。高粘性水溶性ポリマーの開示はない。
【0011】
EP 1194131 B1(Sanofi−Synthelabo)は、少なくとも時限式の(timed)パルスを生じる制御放出剤形を開示する。遅延放出は、1つ又はそれ以上のアンモニオメタクリレートコポリマー(水不溶性ポリマー)を含むコーティングを用いて達成される。薬物はオメプラゾールでもよい。これは、唯一又は必須のポリマーとして高粘性水溶性ポリマーを含む遅滞時間制御層を開示しない。本出願における本発明による遅延放出改変層も、腸溶性コーティング層も開示されていない。
【0012】
WO 0158433(Eurand)は、ビーズ、ペレット又は顆粒として多数の多重コーティングされた粒子を含む、カプセル剤のような医薬剤形を開示する。ビーズが即時放出ビーズではない場合、それらは少なくとも2つのコーティングされた膜バリアを有する。それらのうちの1つは腸溶性ポリマーから構成されるが、第2の膜バリアは水溶性ポリマーと腸溶性ポリマーとの混合物から構成される。さらに、それらはまた、酸を含有する任意の中間膜を有する。唯一又は必須のポリマーとして高粘性水溶性ポリマーを含む遅滞時間制御層は開示されていない。PPIに関してこの送達システムは開示も示唆もされていない。
【0013】
WO 0124777(American Home Products)は、薬物の段階的放出又は特にペルプラゾール(現在ではエソメプラゾールとして知られる)のようなPPIの多段階送達を提供する、1日1回投与用の医薬製剤を開示する。コアは、浸透性水不溶性ポリマー及び少なくとも50重量%の流動促進剤を含む外部半透膜により囲まれている。この剤形は、腸溶性皮膜を欠く。この特許出願は、唯一又は必須のポリマーとして高粘性水溶性ポリマーを含む遅滞時間制御層を開示しない。
【0014】
US 6749867 B(Robinson、J.R.and McGinity、J.W.)は、酸感受性薬物又はより詳細にはオメプラゾール用の持続放出(time−release)剤形を示し、これは水溶性又は水侵食性である不活性持続放出コーティングにより囲まれた薬物含有コアを含み、放出を一般に投与後0.5−5.0時間まで遅らせる。この製剤は腸溶性皮膜を有さない。
【0015】
WO 2000078293 A1(AstraZeneca AB)は、アルカリ性添加剤及び膨潤剤と共にコア中の活性成分としてのオメプラゾール又はそのアルカリ性塩、S−オメプラゾール又はそのアルカリ性塩用の剤形を示す。コアは、半透膜で覆われており、膜が崩壊するときに始まる遅延放出を達成する。半透膜における使用について開示されるポリマーは、水不溶性ポリマーである。これらの製剤は腸溶性皮膜を有さない。
【0016】
EP 1086 694 A2(Laboratorios Del Dr.Esteve、S.A.)は、ペレットの形態の、酸感受性ベンゾイミダゾール類用の固形経口医薬製剤を示す。このペレットは、水に不溶性の不活性非アルカリ性ポリマー(エチルセルロース)と水溶性の不活性非アルカリ性ポリマー(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)との組み合わせを含む中間層により遅い放出プロファイルを達成する、改変された放出のためのシステムを少なくとも有する。この遅い放出のペレットは、速い放出のペレットと混合され、そしてカプセル剤又は錠剤に製剤化され得る。
【0017】
WO 2002053097 A2(Tap Pharmaceutical Products、Inc. USA)は、IA族金属の炭酸水素塩又は炭酸塩を含む、プロトンポンプ阻害剤用の非腸溶性コーティングを施された担体を示す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
これらの以前に記載された製剤はいずれも、遅延放出改変層と遅滞時間制御層との組み合わせを有し後者が高粘性水溶性ポリマーを含む剤形を開示せず、本特許出願において記載される溶解パターンを有する剤形も開示しない。
【0019】
胃の通過後にそれ以上の遅延時間がなく速やかにそのまま放出されるPPI部分と共に、酸感受性PPIを含む剤形であって、その製剤中でPPIが変化せずに胃を通過し、次いでさらなる所望の遅延時間後にPPIの用量が速やかに放出される、剤形に対する必要性がいまだに存在する。
【0020】
このような製剤を製造するための1つの方法は、それらを層状ペレットとして構築することである。ペレットは、錠剤と比較して、例えば胃腸移動特性に関して、胃におけるより短い滞留時間及びより少ない変化のような、インビボでの有利な特性を有する。
【0021】
層状ペレットのための製造方法は、最も頻繁にいくつかの種類の流動床スプレー工程を含む。特に高粘性親水性ポリマーの溶液をスプレーする場合にこの技術で経験する問題は、処理時間がしばしば長すぎて実用的でないことである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は一局面において、単一の活性薬物として酸感受性プロトンポンプ阻害剤(PPI)を含む経口用固形医薬剤形に関し、この剤形は、2つのPPI放出部分、遅延放出パルスでPPIを放出するペレット、及び即時放出パルスでPPIを放出するペレットを含み、ここでPPIは、ペレットの形態でコア材料中に配合されており、そして遅延放出パルスを生じるペレットが、所定の順序でコア材料上に以下の層;遅延放出改変層、必須成分として高粘性水溶性ポリマーを含む遅滞時間制御層、任意のサブコーティング層、及び外部腸溶性コーティング層を有し、この剤形において上記ペレットは、PPIの即時放出パルスを生じるペレットの部分と共に含まれ、これはコア材料上に任意のサブコーティング層及び外部腸溶性コーティング層を有する。
【0023】
即時放出は、当該分野で以前に記載されるように、即時放出腸溶性コーティングを施されたペレット/錠剤として、又はこの即時部分の溶解が腸溶性皮膜によってのみ制限される、錠剤上の急速溶解層として達成される。
【0024】
本発明の第2の局面において、経口用固形医薬剤形は、単一の活性薬物として酸感受性プロトンポンプ阻害剤(PPI)を含み、この剤形は、2つのPPI放出部分を有するペレットの一集団を含み、各ペレットは、遅延放出パルス及び即時放出パルスを生じ、ここでPPIがペレットの形態でコア材料中に配合されており、そして遅延放出を有するペレットが所定の順序でコア材料上に以下の層;遅延放出改変層、必須成分として高粘性水溶性ポリマーを含む遅滞時間制御層、続いて第2のPPI部分を含む層、任意のサブコーティング層、及び外部腸溶性コーティング層を有する。
【0025】
本発明の完成した剤形は、一要素として即時放出部分(胃の酸性環境の通過直後にPPIを放出する)及び第2要素として遅延放出PPI部分を含み、これは胃の酸性環境をまず通過した後、次いで1〜10時間の範囲であるさらなる遅滞時間(無視できる放出を伴う)の後で放出される。
【0026】
驚くべきことに、本発明の剤形が改善された溶解特性を有することが今や見出された。これらは、さらなる遅延を有することに加えて(腸溶性コーティングの結果として生じることに加えて)、遅延パルスの溶解が、従来技術よりも明確だからである。このことは、組み合わせた遅延放出改変層と遅滞時間制御層との特質であることが見出された。
【0027】
このより明確な溶解効果は、一旦溶解が開始すると遅延パルスについての溶解曲線の増加した勾配として見ることができる。
【0028】
本発明の実施態様は、遅延パルスからのPPIの溶解を有し、ここで勾配は、10%のPPIの溶解と90%のPPI(遅延パルスでのPPI)の溶解までの間の、1分間に放出された薬物当たりの平均%として見積もられる。PPI放出が測定され、そして勾配は、測定後に例えばグラフで評価することができる。期間は通常は約130分未満である。例として、図1を参照のこと。測定は、「発明の詳細な説明」の中の「定義」の見出しで記載されるように行われる。
【0029】
酸感受性プロトンポンプ阻害剤は、従来の方法に従って、薬学的に許容しうる賦形剤とともにペレットコア中に配合される。
【0030】
ペレットコアは、遅滞時間制御層を塗布する前に遅延放出改変層でコーティングされる。
【0031】
これは、遅滞時間制御層を塗布するための本発明の新しい方法である本発明のさらなる局面により達成され、この方法において、単一の活性成分として酸感受性プロトンポンプ阻害剤を含む(そして遅延放出改変層でコーティングされた)コア材料は、分散状態の高粘性水溶性ポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど、以下ではHPMCとも呼ばれる、4000cps)でコーティングされる。高粘性水溶性ポリマーの分散液を使用することにより、連続様式でスプレーする場合により高い濃度、すなわち溶液と比較してより高い濃度を使用する可能性がある局面、及びより高いスプレー速度を使用することにより処理時間の減少が生じる可能性がある局面においてこの方法は有利になる。このことはこの方法を単純化し、これらの型のポリマーについての既存のスプレー技術よりも工業的により魅力的かつより経済的にする。
【0032】
目詰まりのような報告されている問題も避けられ、それ故余分な添加剤、例えば粘着防止剤を添加する必要性も減る。
【0033】
この新しい方法で得られる別の利点は、外部腸溶性コーティングが塗布される前にペレットコア上に塗布された遅延放出改変層と遅滞時間制御皮膜との組み合わせを有する製品からの酸感受性プロトンポンプ阻害剤の改善された放出特性である。
【0034】
本発明の第3の局面は、遅滞時間制御層においてアルカリ性の高粘性水溶性ポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はヒドロキシエチルセルロース(後者は以下においてHECとも呼ばれる)を使用することである。これはすなわち安定性の利点をもたらす。
【0035】
二重パルス溶解は、腸溶性コーティングを施された遅延パルス放出ペレットを、腸溶性コーティングを施された瞬間/即時放出ペレット/錠剤(後者は、例えばEP 247983、WO 9601623及びWO 9601624に記載される技術に従って製造される)と混合し、そしてそれらをカプセル中に充てんするか若しくはその混合物を適切な錠剤化賦形薬とともに圧縮により錠剤中に組み込ませることにより、又は遅滞時間コーティングを施されたコアを、急速放出/溶解層中のPPIのさらなる第2の部分でコーティングし、そして腸溶性皮膜での最終コーティングの前に、場合によりPPI含有層の後にサブコーティングを先に施しておくことのいずれかにより、達成される。
【0036】
本発明の二重パルス実施態様において使用されることが予測される用量は、即時放出部分と遅延放出部分とに分割される2〜500mgの範囲の酸感受性プロトンポンプ阻害剤であり、適切には例えば等用量、例えば60mg+60mgの組み合わせであるが、例えば40mg+120mgのような変化した比率に分割される用量も考慮される。
【0037】
単一の遅延放出パルスの製剤実施態様について、最終製剤に含まれる予測される用量は、1〜400mgの範囲である。
【0038】
剤形は、クローン病、胃出血、潰瘍性大腸炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃食道逆流疾患及び上述のその他の疾患のための処置方法を提供するために有利に使用される。
【0039】
本発明の剤形は、酸感受性プロトンポンプ阻害剤(以下ではPPIとも呼ばれる)を唯一の活性薬物として含む。
【0040】
本発明の1つの特別な実施態様において、即時放出パルス中のPPIは、遅延放出パルス中のPPIとは別のものである。なお、この剤形は活性薬物としてPPIのみを含む。
【0041】
これらの薬物、酸感受性PPIは、一般式I
【化1】

[式中
Het1
【化2】

であり、Het2は、
【化3】

であり、X=
【化4】

であり、ここで
ベンゾイミダゾール部分におけるNは、R6〜R9で置換された環炭素原子のうちの1つが、置換基を有さない窒素原子と場合により交換されてもよいことを意味し;
1、R2及びR3は、同じであるかまたは異なり、そして水素、アルキル、場合によりフッ素で置換されるアルコキシ、アルキルチオ、アルコキシアルコキシ、ジアルキルアミノ、ピペリジノ、モルホリノ、ハロゲン、フェニル及びフェニルアルコキシより選択され;
4及びR5は、同じか又は異なり、そして水素、アルキル及びアリールアルキルより選択され;
6’は、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、アルキル又はアルコキシであり;
6〜R9は、同じか若しくは異なり、そして水素、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロ−アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、オキサゾリニル、及びトリフルオロアルキルより選択されるか、又は隣接する基R6〜R9が、さらに置換され得る環構造を形成し;
10は、水素であるか又はR3と共にアルキレン鎖を形成し、そして
11及びR12は、同じか又は異なり、そして水素、ハロゲン又はアルキルより選択される]
の化合物、そのアルカリ性塩、その単一の鏡像異性体のうちの1つ又は鏡像異性体のうちの1つのアルカリ性塩である。
【0042】
上記定義において、そのアルキル基、アルコキシ基、及びその部分は、分枝又は直鎖のC1−C9−鎖であり得るか、又は環状アルキル基、例えばシクロアルキルアルキルを含む。
【0043】
式Iの特別に興味深い化合物の例は、
【化5】

【0044】
【化6】

【0045】
【化7】

である。
【0046】
本発明による経口医薬製剤に好ましい化合物は、オメプラゾール、オメプラゾールのマグネシウム塩又はオメプラゾールの(−)−鏡像異性体のマグネシウム塩である。後者のオメプラゾールの(−)−鏡像異性体は、エソメプラゾールと呼ばれる。
【0047】
エソメプラゾールのアルカリ性塩が特に好ましく、そしてエソメプラゾールマグネシウム三水和物が最も特に好ましい。
【0048】
本発明の別の実施態様において、テナトプラゾール又はその単一の鏡像異性体のうちの1つ若しくはその塩、又はテナトプラゾールの塩が活性薬物である。
【0049】
本発明のさらなる特別の実施態様において、テナトプラゾール又はその単一の鏡像異性体のうちの1つ若しくはその塩、又はテナトプラゾールの塩が1つのパルスの活性薬物であり、そして別のPPIが他のパルスにおける活性薬物である。
【0050】
用量
本発明の使用される二重パルス実施態様において使用されると予測される用量は、等用量(例えば60mg+60mg)で適切に組み合わされた、酸感受性PPIの1つの即時放出部分と1つの遅延放出部分に分割された2〜500mgの範囲である。
【0051】
本発明はまた、即時部分と遅延放出部分との間の他のあらゆる可能な分割比を排除することなく、1つの考慮される特定の実施態様において総用量の20%+80%である比率で、第2の考慮される特定の実施態様において総用量の30%+70%である比率で、そしてなおさらに第3の考慮される特定の実施態様において40%+60%である比率で用量を分割するような、可変比率に分割される用量を提供する。
【0052】
最終製剤に含まれる単一遅延放出パルス製剤実施態様について、予測される用量は、1〜400mgの範囲である。好ましくはこの用量は、2〜200mgの範囲であり、そして最も好ましくはこの用量は5〜120mgである。
【0053】
コア材料
酸感受性PPI含有コアは、場合により薬学的に許容しうる賦形剤と共に従来の方法によるペレットの形態のコア材料中に活性薬物を入れて配合されている。
【0054】
コア中の賦形剤の中でも、制限することなく;希釈剤/充填剤、pH調整添加剤、崩壊剤、浸透圧調節剤(osmotic agent)、結合剤などが言及され得る。
【0055】
好ましい実施態様において、コア材料は酸性化合物を除外する。
本発明による酸性化合物は、10%w/wの濃度で(室温すなわち約20℃にて)精製水に溶解または懸濁され、そしてガラス電極またはISFET電極を備えたpHメーターで測定した場合に5またはそれ以下のpHを示す化合物である。
【0056】
コア材料が積層技術により製造される場合、シード材料は、限定されないが、糖シード(USP)(ノンパレイユとしても知られる)、塩結晶などのような水溶性粒子、又は二酸化ケイ素、ガラスもしくはプラスチックの粒子、微結晶性セルロース(例えばCelphereTM)などのような水不溶性粒子の中から選択することができる。適切な種類の不溶性プラスチック材料は、ポリプロピレン又はポリエチレンのような薬学的に許容しうるプラスチックである。シード材料に好ましいプラスチック材料はポリプロピレンである。活性薬物自体の小さい粒子もまたシードとして使用され得る。
【0057】
シードは0.01〜2mmの範囲、好ましくは0.2〜0.8mmの範囲の直径寸法を有する。別の好ましい代替は0.8〜1.2mmであり、そして最も好ましい直径寸法は、1.0〜1.2mmの範囲である。シードは、例えば適切なコーティング装置で結合剤とともに活性物質の分散液/溶液/懸濁液を噴霧されて、シードが活性薬物を含む堆積された層を有するコアを得る。
【0058】
本発明のさらなる好ましい実施態様は、ペレットコアの直径が狭い分布内で変化する実施態様である。好ましくはペレット/ビーズの集団における直径の変動は、その集団の90重量%が平均ペレット直径の+/−10%内であるように変動する。これは、出発材料の寸法、プロセスパラメータを制御すること及び/又は篩分けにより達成することができる。ペレットコアが押出し球状化(spheronization)プロセスにより製造される場合、使用される造粒液の量は、ペレットの集団において得られる直径に影響を及ぼす因子の1つであり得る。積層プロセスが使用される場合、出発シード(例えばノンパレイユまたは二酸化ケイ素シード)の寸法及び寸法分布は、その局面において重要である。
【0059】
本発明の一実施態様において、ペレットコアは、(乾燥後に)篩分けされて、95%が3.0mmの篩目を通過し、そして85%が0.2mmの篩目上に留まるペレットの集団を生じる。
【0060】
本発明の好ましい実施態様において、ペレットコアは(乾燥後に)篩分けされて、95%が2.0mmの篩目を通過し、そして85%が0.5mmの篩目上に留まるペレットの集団を生じる。
【0061】
本発明の最も好ましい実施態様において、ペレットコアは(乾燥後に)篩分けされて、95%が1.6mmの篩目を通過し、そして85%が1.2mmの篩目上に留まるペレットの集団を生じる。
【0062】
遅延放出改変層
コア材料上に塗布され、そして遅滞時間制御層をPPI含有コアと分離している遅延放出改変層は、水溶性ポリマーベースの層に疎水性化剤及びタルクを組み込むことにより疎水性にされる。
【0063】
従って、遅延放出改変層は、水溶性ポリマー、タルク並びに例えばMg−ステアレート、ベヘン酸グリセリル及びステアリルフマル酸ナトリウムからなる群より選択することができる疎水性化剤を含む。
【0064】
遅延放出改変層中の水溶性ポリマーは、固体ポリマーでありそして欧州薬局方に従って試験して180mPas(cps)以下の粘度を有するように選択される。このようなポリマーの混合物もまた本発明における使用で企図されている。
【0065】
遅延放出改変層が、その組成物中にカルボン酸基又はスルホン酸基のような遊離酸性基を有する化合物、例えばカルボマー又は腸溶性コーティングポリマーを含まないこともまた重要である。従って、放出改変層は、1つまたはそれ以上の遊離酸性基を有する化合物を含まない。
【0066】
使用される水溶性ポリマーの例としては;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン−ポリプロピレングリコールコポリマーなどが挙げられる。
【0067】
水溶性ポリマーとタルクとの間の比は、1:1〜1:8(w/w)の範囲、好ましくは1:2〜1:6(w/w)の範囲であり、そして最も好ましくは1:3〜1:4(w/w)の範囲である。
【0068】
水溶性ポリマーと疎水性化化合物との間の比は、3:1〜5:1(w/w)の範囲、好ましくは3.5:1〜4.5:1(w/w)の範囲である。
【0069】
遅延放出改変層中の水溶性ポリマーがヒドロキシプロピルセルロース(以下ではHPCとも呼ぶ)であるように選択される場合、それは50〜90%の範囲又はより好ましくは60〜81%の範囲のヒドロキシプロピル含量、及び5%濃度で試験されて180mPas(cps)以下の粘度を有する。このようなポリマーは、例を挙げるとAqualonからのKlucel LFである。
【0070】
本発明のこの局面において遅延放出改変層中の水溶性ポリマーとして考慮されるヒドロキシプロピルセルロースは、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPCとも呼ばれる)を含まない。
【0071】
本発明の好ましい実施態様において、疎水性化剤は、Mg−ステアレート、ベヘン酸グリセリル及びステアリルフマル酸ナトリウム、又はそれらの混合物からなる群より選択される。
【0072】
本発明の1つの特定の実施態様において、水溶性ポリマーはヒドロキシプロピルセルロースであり、そして疎水性化化合物はMg−ステアレートである。
【0073】
本発明のこの実施態様において、遅延放出改変層は、コーティング過程から残存し得る溶媒/水の微量痕跡を無視すれば、3つの賦形剤、ヒドロキシプロピルセルロース、タルクおよびMg−ステアレートのみから構成される。
【0074】
この特定の実施態様において、HPCとタルクとの間の比は、1:1〜1:8(w/w)の範囲、好ましくは1:2〜1:6(w/w)の範囲、そして最も好ましくは1:3〜1:4(w/w)の範囲である。
【0075】
さらに、同じ特定の実施態様において、HPCとMg−ステアレートとの間の比は、3:1〜5:1(w/w)の範囲、好ましくは3.5:1〜4.5:1(w/w)の範囲である。
【0076】
本発明の代替の特定の実施態様において、水溶性ポリマーはヒドロキシプロピルセルロースであり、そして疎水性化化合物はステアリルフマル酸ナトリウムである。
【0077】
遅滞時間制御層
遅滞時間制御層は、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース 4000のような高粘性水溶性ポリマーを必須成分として含む。用語「水溶性ポリマー」は、本明細書で使用される場合、水溶性ポリマー、水溶性コポリマー、又はこのようなポリマーの混合物を意味する。本発明における「高粘性」は、1つ目の選択肢として欧州薬局方及び2つ目の選択肢として米国薬局方に従って試験されて100mPas(cps)から約150000mPas(cps)までのみかけ粘度とみなされる。試験が両方の薬局方に記載される場合、欧州薬局方における方法が普及している。
【0078】
本発明の代替の実施態様において、用語高粘性は、1つ目の選択肢として欧州薬局方及び2つ目の選択肢として米国薬局方に従って試験されて100mPas(cps)から約5000mPas(cps)までのみかけ粘度とみなされる。試験が両方の薬局方に記載される場合、欧州薬局方における方法が普及している。
【0079】
必須成分である高粘性水溶性ポリマーは、遅滞時間制御層を形成する、すなわち噴霧溶液/分散液/懸濁液からあらゆる溶媒又は分散媒体/懸濁媒体が蒸発した後の成分の51〜100%w/wを構成する。好ましくは必須成分は、遅滞時間制御層の70〜100%w/wを構成し、より好ましくは必須成分は遅滞時間制御層の85〜100%w/wを構成する。
【0080】
本発明の1つの代替の実施態様において、遅滞時間制御層は、高粘性水溶性ポリマーの混合物を含む。
【0081】
本発明の別の代替の実施態様において、遅滞時間制御層は、コーティング過程から残存し得る痕跡量の溶媒/水を無視すれば、同じ種類であるが異なる粘度を有する高粘性水溶性ポリマーのみを含む。
【0082】
本発明の好ましい代替の実施態様において、遅滞時間制御層は、中程度にアルカリ性の1つまたはそれ以上の高粘性水溶性ポリマー成分、例えば中程度にアルカリ性のHPMC又はHECを含む。中程度にアルカリ性の高粘性水溶性ポリマーは、欧州薬局方に従って測定された場合のpHが7.0−9.0となる性質を意味する。この特徴が剤形に安定性の利点をもたらす。
【0083】
本発明のさらなる代替の実施態様において、遅滞時間制御層は、コーティング過程から残存し得る痕跡量の溶媒/水を無視すれば、単一の高粘性水溶性ポリマーのみを含み、すなわち必須成分が遅滞時間制御層の100%w/wを構成する。この局面における単一のポリマーとは、平均値付近に分布した限られた範囲のポリマー鎖長を通常含有する単一のポリマー生成物とみなされる。
【0084】
遅延放出改変層を形成されたコア上に塗布される遅滞時間制御層の総量は、インビトロ溶出を試験することにより所望の遅滞時間(遅延放出パルスについて)を達成するように選択される。
【0085】
本発明の剤形は、1〜10時間、好ましくは1〜8時間又は最も好ましくは1〜6時間の範囲の遅滞時間を有するPPIの1つの部分を有する。代替の実施態様において、本発明の剤形は、2〜10時間、好ましくは2〜8時間又は最も好ましくは2〜6時間の範囲の遅滞時間を有するPPIの1つの部分を有する。さらなる代替の実施態様において、本発明の剤形は、4〜10時間、好ましくは4〜8時間又は最も好ましくは4〜6時間の範囲の遅滞時間を有するPPIの1つの部分を有する。
【0086】
当業者は、遅滞時間制御層中の水溶性ポリマーの量及び粘度により、これらの変数の両方の増加が遅滞時間の増加を生じるように、遅滞時間を制御することができることを理解する。当業者はまた、製剤は時間とともに人体から排出される(excreated)ので、長い遅滞時間、すなわち10−12時間より長い遅滞時間を達成することに関心(intresting)はなく、そして1日1回より長い治療レジメンの利点は疑わしいことを理解している。本発明の例証的な例は、遅滞時間制御層適用のためのいくつかの方式を提供し、これは所望される場合、当業者により容易に改変される。
【0087】
好ましい水溶性ポリマーの群は、セルロース誘導体、例えばHPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、HEC(ヒドロキシエチルセルロース)、HPC(ヒドロキシプロピルセルロース)並びにその他の多糖類、例えばペクチン及びペクチネート(例えばペクチン酸カルシウム)、ローカストビーンガム、トラガカントガム、グアールガム、アラビアガム、タマリンドガム、タラガム、カラゲナン、水溶性アルギネート、プルラン及び合成ポリマー、例えばポリエチレンオキシド、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー(Pluronics(登録商標))、又はその混合物である。本発明に含まれるHECポリマーはまた、1%溶液で試験された場合の粘度等級が「高粘性」に関する上記の特定の粘度要件を満たすようなものを含む。このようなHEC等級の非限定的な例は、以下の型指定のAqualonからのNatrosol 250である;HHX、HHR、H4R、HR、MHR、MR、KR、及びGR。
【0088】
特に好ましい高粘性水溶性ポリマーは、HPMC、ポリエチレンオキシド、HEC、キサンタンガム、グアールガムのような種類のポリマー、又はその混合物である。
【0089】
最も好ましい高粘性水溶性ポリマーは、HPMC若しくはHEC又はそれらの混合物である。
【0090】
遅滞時間は、遅延放出制御層において使用されるポリマー又は混合ポリマーの種類、及びポリマー又は混合ポリマーの量により調節され得る。また、この層における混合ポリマー成分間の比を使用して遅滞時間を調節し得る。
【0091】
ペレットコアのための任意の第2薬物含有層
以前に記載した遅滞時間制御層を有するペレットは、本発明の1つの代替の実施態様として、水溶性結合剤及び場合により界面活性剤とともに、PPIの分散液/溶液/懸濁液で、例えばスプレーされて、コーティングされる。このコーティングは、適切なコーティング装置で行われて、遅滞時間制御層の上面上に堆積された第2PPI含有層を有するペレットコアを得、これが最終製剤を投与した場合に即時放出パルスを生じる。
【0092】
腸溶性コーティング層及び分離層
層を形成されたペレット上に腸溶性コーティング層を塗布する前に、それらを、例えばpH−緩衝化化合物のようなアルカリ性化合物を場合により含む薬学的賦形剤を含む1つまたはそれ以上の水溶性かまたは水中で急速に崩壊するサブコーティング層で場合により被覆し得る。このサブコーティング層は、層を形成されたペレットの組成物を外部腸溶性コーティング層と分離する。
【0093】
サブコーティング層、さらに遅滞時間制御層のような他の種類の層を、適切な装置、例えばコーティングパン、コーティング造粒機、遠心造粒機で、又は流動床装置(Wurster型を含む)で、コーティング処理用の水及び/又は有機溶媒を使用して、コーティング又は層形成手順により塗布することができる。代替として、粉体被覆技術を使用して層を塗布することができる。
【0094】
任意の分離層に適切な材料は、単独または混合物で使用される、薬学的に許容しうる化合物、例えば、糖、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びその他である。添加剤、例えば可塑剤、着色料、顔料、充填剤、粘着防止剤及び帯電防止剤、例えばステアリン酸マグネシウム、二酸化チタン、タルク、pH−緩衝化物質及び他の添加剤もまた、サブコーティング層に含まれ得る。
【0095】
任意のサブコーティング層が層を形成されたペレット又は錠剤に塗布される場合、それは変動する厚さを構成し得る。任意のサブコーティング層の最大厚さは、通常は処理条件によってのみ制限される。サブコーティング層は、拡散バリアとして役立ち得、そしてpH−緩衝化区域として作用し得る。任意のサブコーティング層は、活性物質の化学的安定性及び/又は剤形の物理的特性を改善し得る。
【0096】
最後に、遅滞時間制御層及び場合によりサブコーティング層を有するコアは、適切なコーティング技術を使用することにより1つまたはそれ以上の腸溶性コーティング層で被覆され得る。腸溶性コーティング層材料は、水又は適切な有機溶媒のいずれか中に分散または溶解され得る。腸溶性コーティング層ポリマーとして、別々に又は組み合わせて、以下の1つまたはそれ以上を使用することができる;例えば、メタクリル酸コポリマー、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアセテートフタレート、トリメリト酸酢酸セルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、シェラックまたは他の適切な腸溶性コーティング層ポリマーの溶液または分散液。
【0097】
分散剤、着色料、顔料、追加のポリマー、例えばポリ(アクリル酸エチル(ethylacrylat),メタクリル酸メチル(methylmethacrylat))、粘着防止剤及び消泡剤のような添加剤もまた、腸溶性コーティング層中に含まれ得る。他の化合物を、フィルム厚を増すため、及び酸に敏感な材料に酸性の胃液が拡散するのを低減するために加えてもよい。腸溶性コーティング層は、およそ少なくとも10μm、好ましくは20μmより大きい厚さを構成する。塗布された腸溶性コーティング層の最大厚さは、通常は処理条件によってのみ制限される。
【0098】
塗布されたポリマー含有層はいずれも、特に腸溶性コーティング層もまた、所望の機械的特性を得るために薬学的に許容しうる可塑剤を含有し得る。このような可塑剤は、例えば、限定されないが、トリアセチン、クエン酸エステル、フタル酸エステル、セバシン酸ジブチル、セチルアルコール、ポリエチレングリコール、グリセロールモノエステル、ポリソルベート又は他の可塑剤である。可塑剤の量は、選択されたポリマー、選択された他の添加剤及び上記ポリマーの塗布された量に対して、好ましくは各製剤について最適化される。
【0099】
腸溶性コーティング層の下に任意の第2PPI部分を含有する層(投与された場合に即時放出パルスを生じる)を有さない腸溶性コーティングを施されたペレットである本発明の代替の実施態様において、このようなペレットは、(適切な寸法の)即時放出ペレット又は錠剤と混合され、後者は当該分野の技術に従って製造され、そしてカプセル剤、サシェ剤又は複数単位のペレット系錠剤へと製剤化される。このような方法で、PPIの遅延放出パルス及び即時放出パルスの両方を生じる最終製剤を製造することができる。
【0100】
方法
本発明の最終製剤は、第1の代替の実施態様についての以下の原則的な方法に従って製造される;
I) 唯一の活性薬物として酸感受性プロトンポンプ阻害剤(PPI)を含むペレットの形態でコア材料を調製する工程;
II) 工程I)で得られたペレットコアを、遅延放出改変層でコーティングする工程;
III) 工程II)から得られた遅延放出改変層を形成されたペレットコアを、必須成分として高粘性水溶性ポリマーを含む遅滞時間制御層でコーティングする工程;
IV) 工程III)から得られた遅滞時間制御層を形成されたペレットを、外部腸溶性コーティングでコーティングする工程であって、任意のサブコーティング層が、腸溶性コーティング層が塗布される前に塗布される、工程;
V) 工程IV)で得られたペレット生成物を、外部腸溶性コーティング及び任意のサブコーティング層を有しPPIの即時放出を生じる他のペレットと共に、カプセル剤、サシェ剤又は複数単位ペレット系錠剤に組み込む工程。
【0101】
即時放出を生じるペレットは当該分野の技術に従って製造され、すなわちPPIを含むコア材料に腸溶性コーティング層を積層し、そして任意のサブコーティング層をコア材料と腸溶性コーティング層との間に塗布する。即時放出パルスを生じるこれらのペレットは、1つまたはそれ以上の錠剤の形態での本発明の一実施態様である。
【0102】
場合により、工程IV)で得られたペレット生成物と、外部腸溶性コーティング及び任意のサブコーティング層を有しPPIの即時放出を生じるペレットとを、カプセル剤、サシェ剤、又は錠剤への組み込みの前に一緒に混合する。
【0103】
他の代替の実施態様について、最終製剤は以下の方法に従って製造される;
I) 唯一の活性薬物として酸感受性プロトンポンプ阻害剤(PPI)を含むペレットの形態でコア材料を調製する工程;
II) 工程I)から得られたペレットコアを、遅延放出改変層でコーティングする工程;
III) 工程II)から得られた遅延放出改変層を形成されたペレットコアを、必須成分として高粘性水溶性ポリマーを含む遅滞時間制御層でコーティングする工程;
IV) 工程III)から得られた遅滞時間制御層を形成されたペレットを、第2のPPI部分を含む層でコーティングする工程;
V) 工程IV)から得られたペレットを、任意のサブコーティング層で場合によりコーティングする工程;並びに
VI) 工程V)から得られたペレット生成物を、外部腸溶性コーティングでコーティングする工程;
VII) 工程VI)から得られた腸溶性コーティングを施されたペレットを、カプセル剤、サシェ剤、又は複数単位ペレット系錠剤に製剤化する工程。
【0104】
上記の両方の代替の実施態様についての工程IIについて、工程I)で得られたコアをコーティングする場合、コーティング過程からのあらゆる溶媒/分散媒体/懸濁媒体の残留物以外に、ヒドロキシプロピルセルロース、タルクおよびMg−ステアレートの成分のみから構成される遅延放出改変層を与える組成物を使用することが特に有益である。
【0105】
上記の両方の代替の実施態様についての工程IIIについて、工程II)からの遅延放出改変層を形成されたコアをコーティングする場合、
a)高粘性水溶性ポリマーを非溶媒中に分散すること;及び
b)水性液体又は水を加えて分散したポリマー粒子の水和形態を形成すること;
により製造された高粘性水溶性ポリマーの分散液を利用することが特に有益である。
このような分散系が、最初にポリマーを含水液体に溶解し、次いでその系を沈降させることでは得ることができないことは理解されるべきである。
【0106】
遅滞時間
実施態様は、遅延(第2)パルスについての遅滞時間が1〜10時間、好ましくは1〜8時間又は最も好ましくは1〜6時間の範囲であるように設計される。
【0107】
代替として、実施態様は、2〜10時間、好ましくは2〜8時間又は最も好ましくは2〜6時間の範囲の遅滞時間を有するように設計される。
【0108】
さらなる代替として、実施態様は、4〜10時間、好ましくは4〜8時間又は最も好ましくは4〜6時間の範囲の遅滞時間を有するように設計される。
【0109】
本発明の好ましい実施態様において、実施態様は、1〜10時間、好ましくは1〜8時間又は最も好ましくは1〜6時間の範囲の遅滞時間、及び薬物の遅延放出部分の特徴として少なくとも0.6%/分(10-90)の勾配又は好ましくは少なくとも1.0%/分(10-90)の勾配を有するように設計される。
【0110】
代替として、好ましい実施態様は、2〜10時間、好ましくは2〜8時間又は最も好ましくは2〜6時間の範囲の遅滞時間、及び薬物の遅延放出部分の特徴として少なくとも0.6%/分(10-90)又は好ましくは少なくとも1.0%/分(10-90)の勾配を有するように設計される。
【0111】
さらなる代替として、好ましい実施態様は、4〜10時間、好ましくは4〜8時間又は最も好ましくは4〜6時間の範囲の遅滞時間、及び薬物の遅延放出部分の特徴として少なくとも0.6%/分(10-90)又は好ましくは少なくとも1.0%/分(10-90)の勾配を有するように設計される。
【0112】
最終剤形
患者への提示前の本発明の剤形を、カプセル剤、サシェ剤、又は複数単位ペレット系錠剤の形態になるように仕上げることが企図されている。完成した剤形は、それぞれ遅延放出パルス、即時放出パルスを生じる、ペレット、他の種類のペレット及び錠剤の選択的組み合わせを含み得る。遅延放出パルスは、本発明によればペレットを起源とする。以下の組み合わせが企図されている;
【表1】

【0113】
定義
遅滞時間/遅延時間:ペレット/錠剤の形態の腸溶性コーティングを施されたコアが露出された後でさえも、pH1.2を有する第1の溶出媒体については2時間、次いでpH6.8を有する第2の溶出媒体中で、インビトロでのPPIの溶出が遅延されることを本発明については意味する。
遅滞時間は、(第2の)溶出媒体中において、(遅延パルスにおける用量の)薬物の10%が放出されるまでに要する時間として定義される。例証のため、図1を参照のこと。
【0114】
溶出は、USP XXI、1244頁に記載されるように、パドルを備えたUSP溶出装置No.2を使用して、37℃にて100rpmで操作し、そして第1の溶出媒体として300ml 0.1N塩酸、次いで第2の溶出媒体として1000mlリン酸緩衝液(pH6.8)を使用してインビトロで決定する。放出された量は、参照オメプラゾールサンプルの同じ波長(302nm)での吸収の%で得られる吸収として分光光度法で測定する。他のPPIについては、波長はより適切な波長(この波長は当業者により決定され得る)に調整してもよい。
【0115】
勾配:勾配は、(遅延用量の)10%の活性薬物の溶出と90%の活性薬物の溶出までの間の経過時間中の平均溶出速度として見積もられる。薬物放出を測定し、そして勾配は測定後に例えばグラフにより評価することができる。
勾配は、溶出した量(80%)を(遅延用量の)10−90%の間の溶出に必要な時間(分)で割ったものとして定義される。これは、1分あたりの%(10-90)で表わされるので、この期間の平均速度としての勾配を与える。例証のために、図1を参照のこと。
【0116】
本発明の剤形についての勾配は、0.6%/分(10-90)に等しいか又はそれより高い。好ましくは本発明の剤形は、1.0%/分(10-90)に等しいか又はそれより高い勾配を有する。
【0117】
遅滞時間である期間に関して使用される表現「無視できる放出」は、10%未満の薬物放出である。
【0118】
本発明は、以下の非限定的な実施例により例証される。
【0119】
実施例1
遅延パルス放出ペレット
組成物において示される全ての量は、供給した量であり、収率に対して補正していない。
遅延パルス放出ペレットの製造のための概要の方式は、以下の順序でシードに層をコーティングすることによる;
活性薬物(PPI)含有層→遅延放出改変層→遅滞時間制御層→腸溶性コーティング層。
【0120】
活性薬物(PPI)層のための層形成懸濁液
賦形剤 量(g)
エソメプラゾール−Mg三水和物 250
ポリソルベート80 5.0
ヒドロキシプロピルメチルセルロース6cps 37.5
精製水 1170
活性薬物層形成のためのシード
糖シード(ノンパレイユ)1.0−1.18mm 250
【0121】
層形成懸濁液を以下の手順により調製した:
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(以下ではHPMCとも呼ぶ)及びポリソルベート80を水に溶解し、その後エソメプラゾール−Mg三水和物をその中に懸濁させた。この懸濁液をアジテーターミル(Dyno−MillTM)で湿式微粉化工程にかけた。
調製した層形成懸濁液を、直径0.8mmの開口を有する液体ノズルを備えたWurster方式に従う流動床装置で糖シード上にスプレーコートした。
入口空気温度は80℃であり、流動空気流量は40m3/時、噴霧装置空気圧は2.5bar、噴霧装置空気流量は2.5Nm3/時、スプレー速度は12−19g/分であり、結果として約40℃の出口空気温度となった。
【0122】
次いで第1の層形成工程からの500gの生成物を、以下に記載されるように調製された遅延放出改変層溶液/懸濁液でコーティングした:
遅延放出改変層溶液/懸濁液
賦形剤 量(g)
タルク粉末 112.5
ヒドロキシプロピルセルロース(75−150cps) 30
Mg−ステアレート 7.5
精製水 1050
【0123】
ヒドロキシプロピルセルロースを水に溶解した。その後タルクおよびMg−ステアレートをその中に懸濁させた。
前の工程と同じコーティング装置でコーティングを行った。
入口空気温度は75℃であり、流動空気流量は40m3/時、噴霧装置空気圧2.8bar、噴霧装置空気流量2.8Nm3/時、スプレー速度は6−11g/分であり、結果として約45℃の出口空気温度となった。
【0124】
次いで遅延放出改変層形成工程からの180gの生成物を、以下に記載されるように調製された溶液/懸濁液をスプレーすることにより遅滞時間制御層でコーティングした:
遅滞時間制御層のための溶液/懸濁液
賦形剤 量(g)
HPMC 4000cps* 80
HPMC 6cps 11
EtOH 99.5% 1350
精製水 172
* 欧州薬局方に従って試験したpHは7.5であった。
【0125】
高粘性HPMC粉末を撹拌しながらエタノール(非溶媒)に懸濁させた。継続して撹拌しながらHPMC 6cpsおよび水の溶液を徐々に加えると総重量1613gの低粘性流体あたり91gのHPMC(ポリマー)を含む(すなわち5.6%(w/w)の濃度)低粘性流体を生じた。
前の工程と同じコーティング装置でコーティングを行った。
入口空気温度は40℃であり、流動空気流量は40m3/時、噴霧装置空気圧は2.5bar、噴霧装置空気流量は2.5Nm3/時、スプレー速度は14−16g/分であり、結果として約20℃の出口空気温度となった。
【0126】
次いで遅滞時間制御層コーティング工程からの150gの生成物を、以下に記載されるように調製された懸濁液をスプレーすることにより腸溶性コーティングでコーティングした:
腸溶性コーティング懸濁液
賦形剤 量(g)
メタクリル酸コポリマーC型、30%分散液 100
タルク 6
クエン酸トリエチル 3
精製水 126
【0127】
クエン酸トリエチルを、撹拌しながら水に溶解した。継続して撹拌しながら、ポリマー分散液を徐々に加え、そして最後にタルクをこの分散液に懸濁させた。
前の工程と同じコーティング装置でコーティングを行った。
入口空気温度は65℃であり、流動空気流量は40m3/時、噴霧装置空気圧は2.8bar、噴霧装置空気流量は2.8Nm3/時、スプレー速度は6−10g/分であり、結果として約38℃の出口空気温度となった。
【0128】
得られた生成物のサンプルをインビトロ溶出について試験した。得られた溶出プロフィールを図2に示す。
【0129】
溶出試験を、パドルを備えたUSP溶出装置No.2を使用で、100rpmで操作して行った。溶出媒体として300mlの0.1M HCl(37℃)を2時間の予備暴露段階で使用し、次いで媒体を1000mlのリン酸緩衝液pH6.8(37℃)に変えた。予備暴露媒体中の時間はグラフに反映させていない。放出されたエソメプラゾールマグネシウムの量をUV−分光計で302nmにて測定した。放出曲線(吸収値曲線)の下降している最終段階は、溶解媒体中でのエソメプラゾールマグネシウムの一部の分解の結果であると考えられ得る。
【0130】
評価された遅滞時間は2〜2.5時間の間であり、そして勾配は約1.0〜1.1%/分(10-90)であった。
【0131】
実施例2
遅延パルス放出ペレット
組成物において示される全ての量は、供給した量であり、収率に対して補正していない。
遅延パルス放出ペレットの製造のための概要の方式は、以下の順序でシードに層をコーティングすることによる;活性薬物(PPI)含有層→遅延放出改変層→遅滞時間制御層→腸溶性コーティング層。
遅延放出改変層を形成されたコアを実施例1に従って得た。
【0132】
遅延放出改変層を形成する工程からの180gの生成物を、以下に記載されるように調製された溶液/懸濁液をスプレーすることにより遅滞時間制御層でコーティングした:
遅滞時間制御層のための溶液/懸濁液
賦形剤 量(g)
HPMC 4000cps 120
HPMC 6cps 16.5
EtOH 99.5% 2025
精製水 258
【0133】
高粘性HPMC粉末を撹拌しながらエタノール(非溶媒)に懸濁させた。継続して撹拌しながら、HPMC 6cps及び水の溶液を徐々に加えると、総重量2419.5gの低粘性流体中に136.5gのHPMC(ポリマー)を含む(すなわち、5.6%(w/w)の濃度)低粘性流体を生じた。
直径0.8mmの開口を有する液体ノズルを備えたWurster方式に従う流動床装置でコーティングを行った。
【0134】
次いで遅滞時間制御層コーティング工程からの150gの生成物を、以下に記載されるように調製された懸濁液をスプレーすることにより腸溶性コーティングでコーティングした:
腸溶性コーティング懸濁液
賦形剤 量(g)
メタクリル酸コポリマーC型、30%分散液 100
タルク 6
クエン酸トリエチル 3
精製水 126
【0135】
最初にクエン酸トリエチルを撹拌しながら水に溶解した。継続して撹拌しながら、ポリマー分散液を徐々に加え、そして最後にタルクをこの分散液に懸濁させた。
前の工程と同じコーティング装置でコーティングを行った。
得られた生成物のサンプルをインビトロ溶出について試験した。得られた溶出プロフィールを図2に示す。
溶出を実施例1のように試験した。
評価された遅滞時間は約2.5時間であった。勾配は約1.0〜1.1%/分(10-90)であった。
【0136】
実施例3
遅延パルス放出ペレット
組成物において示される全ての量は、供給した量であり、収率に対して補正していない。
遅延パルス放出ペレットの製造のための概要の方式は、以下の順序でシードに層をコーティングすることによる;活性薬物(PPI)含有層→遅延放出改変層→遅滞時間制御層→腸溶性コーティング層。
遅延放出改変層を形成されたコアを実施例1に従って得た。
【0137】
遅延放出改変層を形成する工程からの180gの生成物を、以下に記載されるように調製された溶液/懸濁液をスプレーすることにより遅滞時間制御層でコーティングした:
遅滞時間制御層のための溶液/懸濁液
賦形剤 量(g)
HPMC 4000cps* 240
HPMC 6cps 33
EtOH 99.5% 4050
精製水 516
* 欧州薬局方に従って試験したpHは7.5であった。
【0138】
高粘性HPMC粉末を撹拌しながらエタノール(非溶媒)に懸濁した。継続して撹拌しながら、HPMC 6cps及び水の溶液を徐々に加えて、総重量4839gの低粘性流体中に273gのHPMC(ポリマー)を含む(すなわち、5.6%(w/w)の濃度)低粘性流体を生じた。
直径0.8mmの開口を有する液体ノズルを備えたWurster方式に従う流動床装置でコーティングを行った。
【0139】
次いで遅滞時間制御層コーティング工程からの150gの生成物を、以下に記載されるように調製された懸濁液をスプレーすることにより腸溶性コーティングでコーティングした:
腸溶性コーティング懸濁液
賦形剤 量(g)
メタクリル酸コポリマー C型、30%分散液 100
タルク 6
クエン酸トリエチル 3
精製水 126
【0140】
クエン酸トリエチルを撹拌しながら水に溶解した。継続して撹拌しながら、ポリマー分散液を徐々に加え、そして最後にタルクをこの分散液に懸濁させた。
前の工程と同じコーティング装置でコーティングを行った。
得られた生成物のサンプルをインビトロ溶出について試験した。得られた溶出プロフィールを図4に示す。
溶出試験を実施例1のように行った。
評価された遅滞時間は約4.5時間であった。勾配は約0.6〜0.7%/分(10-90)であった。
【0141】
実施例4
エソメプラゾールマグネシウム(40mg+40mg)の即時放出パルス及び遅延放出パルスを示すカプセル剤
二相性パルス放出カプセル剤の製造のための概略的方式は、即時放出のペレット及び遅延放出ペレットを混合し(すなわち、本発明による遅延放出改変層及び遅滞時間制御層の組み合わせを有するペレット)、そしてそれらをカプセルに充てんする。すなわち以下の順序に従った;
遅延放出ペレット(本発明による遅滞時間ペレット)を調製すること→従来技術に従って調製された即時放出ペレットと混合すること→カプセルに充てんすること。
【表2】

【0142】
175個のカプセルを製造した。
得られた生成物のサンプルをインビトロ溶出について試験した。得られた溶出プロフィールを図5に示す。
溶出を実施例1のように試験した。
遅延放出部分について評価した遅滞時間は約2.5時間であり、そして勾配は約1.3%/分(10-90)であった。
【0143】
安定性特性を研究で調査し、サンプルを密閉したHDPE瓶中に25℃及び60%RHで保存して維持した。以下の結果が得られた;
時間 分解生成物の量*
0 0.2%
1年 0.2%
* オメプラゾールピークの面積に対する分解生成物のピークの面積の合計としてHPLCにより測定した。
【0144】
実施例5
遅延パルス放出ペレット
組成物において示される全ての量は、供給した量であり、収率に対して補正していない。
遅延パルス放出ペレットの製造のための概要の方式は、以下の順序でシードを層でコーティングすることによる;
活性薬物(PPI)含有層→遅延放出改変層→遅滞時間制御層→サブコーティング層→腸溶性コーティング層。
【0145】
活性薬物層のための層形成懸濁液
賦形剤 量(g)
エソメプラゾール−Mg三水和物 300
ポリソルベート80 6.0
ヒドロキシプロピルメチルセルロース6cps 45
精製水 1404
活性薬物層形成のためのシード
糖シード(ノンパレイユ)1.0−1.18mm 300
【0146】
層形成懸濁液を以下の手順により調製した:
ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリソルベート80を水に溶解し、その後エソメプラゾール−Mg三水和物をその中に懸濁させた。この懸濁液をアジテーターミル(Dyno−MillTM)で湿式微粉化工程にかけた。
調製した層形成懸濁液を直径0.8mmの開口を有する液体ノズルを備えたWurster方式に従う流動床装置で糖シード上にスプレーコートした。
【0147】
次いで第1の層形成工程からの200gの生成物を、以下に記載されるように調製された遅延放出改変層溶液/懸濁液でコーティングした:
遅延放出改変層溶液/懸濁液
賦形剤 量(g)
タルク粉末 45
ヒドロキシプロピルセルロース(75−150cps) 12
Mg−ステアレート 3.0
精製水 420
【0148】
ヒドロキシプロピルセルロースを水に溶解した。その後タルクおよびMg−ステアレートをその中に懸濁させた。
前の工程と同じコーティング装置でコーティングを行った。
遅滞時間制御層を2つの操作で上記の前の工程からの出発材料上に塗布し、結果として131gの出発材料が240gのHPMC 4000cps*(この工程において唯一のポリマーとして)でコーティングされ、その他の点では以前の実施例と同様であった(例えば同じ溶媒の組み合わせを使用した)。
(* 欧州薬局方に従って試験されたpHは7.5であった)。
前の工程と同じコーティング装置でコーティングを行った。
【0149】
次いで上からの150gの生成物を、以下に記載されるように調製されたサブコーティング懸濁液でコーティングした:
サブコーティング懸濁液
賦形剤 量(g)
タルク粉末 25
ヒドロキシプロピルセルロース(75−150cps) 6.7
Mg−ステアレート 1.7
精製水 234
【0150】
ヒドロキシプロピルセルロースを水に溶解した。その後タルクおよびMg−ステアレートをその中に懸濁させた。
前の工程と同じコーティング装置でコーティングを行った。
【0151】
次いでサブコーティング工程からの150gの生成物を、以下に記載されるように調製された懸濁液をスプレーすることにより腸溶性コーティングでコーティングした:
腸溶性コーティング懸濁液
賦形剤 量(g)
メタクリル酸コポリマーC型、30%分散液 100
タルク 6
クエン酸トリエチル 3
精製水 126
【0152】
クエン酸トリエチルを撹拌しながら水に溶解した。継続して撹拌しながら、ポリマー分散液を徐々に加え、そして最後にタルクをこの分散液中に懸濁させた。
前の工程と同じコーティング装置でコーティングを行った。
得られた生成物のサンプルをインビトロ溶出について(実施例1のように)試験した。得られた溶出プロフィールを図6に示す。
評価された遅滞時間は約4時間であった。勾配は約0.7%/分(10-90)であった。
【0153】
安定性特性を加速試験で調べ、40℃及び75%RHにてサンプルを屋外貯蔵で維持した。以下の結果が得られた;
時間 分解生成物の量
0 0.2−0.3%
1か月 0.2−0.3%
2か月 0.67%
* オメプラゾールピークの面積に対する分解生成物のピークの面積の合計としてHPLCにより測定した。
【0154】
サンプルを密閉HDPE瓶中で25℃及び60%RHでも維持した。以下の結果が得られた;
時間 分解生成物の量
0 0.2−0.3%
1年 0.2−0.3%
2年 0.2−0.3%
* オメプラゾールピークの面積に対する分解生成物のピークの面積の合計としてHPLCにより測定した。
【0155】
実施例6
遅延パルス放出ペレット
組成物において示される全ての量は、供給した量であり、収率に対して補正していない。
遅延パルス放出ペレットの製造のための概要の方式は、以下の順序でシードに層をコーティングすることによる;
活性薬物(PPI)含有層→遅延放出改変層→遅滞時間制御層→腸溶性コーティング層
【0156】
活性薬物(PPI)層のための層形成懸濁液
賦形剤 量(g)
エソメプラゾール−Mg三水和物 250
ポリソルベート80 5.0
ヒドロキシプロピルメチルセルロース6cps 37.5
精製水 1170
活性薬物層形成のためのシード
糖シード(ノンパレイユ)1.0−1.18mm 250
【0157】
層形成懸濁液を以下の手順により調製した:
ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリソルベート80を水に溶解し、その後エソメプラゾール−Mg三水和物をその中に懸濁させた。懸濁液をアジテーターミル(Dyno−MillTM)で湿式微粉化工程にかけた。
調製した層形成懸濁液を直径0.8mmの開口を有する液体ノズルを備えたWurster方式に従う流動床装置で糖シード上にスプレーコートした。
入口空気温度は80℃であり、流動空気流量は40m3/時、噴霧装置空気圧は2.5bar、噴霧装置空気流量は2.5Nm3/時、スプレー速度は12−19g/分であり、結果として約40℃の出口空気温度となった。
【0158】
次いで第1の層形成工程からの150gの生成物を、以下に記載されるように調製された遅延放出改変層溶液でコーティングした:
遅延放出改変層溶液/懸濁液
賦形剤 量(g)
タルク粉末 20.0
ヒドロキシプロピルセルロース(75−150cps) 9.0
ステアリルフマル酸ナトリウム(Pruv(登録商標)) 2.3
精製水 250
【0159】
ヒドロキシプロピルセルロースを水に溶解した。その後タルクおよびステアリルフマル酸ナトリウムをその中に懸濁させた。前の工程と同じコーティング装置でコーティングを行った。
入口空気温度は75℃であり、流動空気流量は40m3/時、噴霧装置空気圧は2.8bar、噴霧装置空気流量は2.8Nm3/時、スプレー速度は6−11g/分であり、結果として約45℃の出口空気温度となった。
【0160】
次いで遅延放出改変層形成工程からの173gの生成物を、以下に記載されるように調製された溶液/懸濁液をスプレーすることにより遅滞時間制御層でコーティングした:
遅滞時間制御層のための溶液/懸濁液
賦形剤 量(g)
HPMC 4000cps 115.5
HPMC 6cps 15.9
EtOH 99.5% 1950
精製水 248
【0161】
高粘性HPMC粉末を撹拌しながらエタノール(非溶媒)中に懸濁させた。継続して撹拌しながらHPMC 6cps及び水の溶液を徐々に加えた。
前の工程と同じコーティング装置でコーティングを行った。
入口空気温度は40℃であり、流動空気流量は40m3/時、噴霧装置空気圧は2.5bar、噴霧装置空気流量は2.5Nm3/時、スプレー速度は14−16g/分であり、結果として約20℃の出口空気温度となった。
【0162】
次いで遅滞時間制御層コーティング工程からの150gの生成物を、以下に記載されるように調製された懸濁液をスプレーすることにより腸溶性コーティングでコーティングした:
腸溶性コーティング懸濁液
賦形剤 量(g)
メタクリル酸コポリマーC型、30%分散液 100
タルク 6
クエン酸トリエチル 3
精製水 126
【0163】
クエン酸トリエチルを撹拌しながら水に溶解した。継続して撹拌しながらポリマー分散液を徐々に加え、そして最後にタルクを分散液に懸濁させた。
前の工程と同じコーティング装置でコーティングを行った。
入口空気温度は65℃であり、流動空気流量は40m3/時、噴霧装置空気圧は2.8bar、噴霧装置空気流量は2.8Nm3/時、スプレー速度は6−10g/分であり、結果として約38℃の出口空気温度となった。
得られた生成物のサンプルをインビトロ溶出について試験した。得られた溶出プロフィールを図7に示す。
溶出試験を実施例1に記載されるように行った。
評価された遅滞時間は約2.5時間であり、そして勾配は約1.0−1.1%/分(10-90)であった。
【0164】
実施例7
時間が離れている2つのパルスを有する遅延パルス放出ペレット
組成物において示される全ての量は、供給した量であり、収率に対して補正していない。
遅延パルス放出ペレットの製造のための概要の方式は、以下の順序でシードに層をコーティングすることによる;
活性薬物(PPI)含有(第1)層→遅延放出改変層→遅滞時間制御層→活性薬物(PPI)含有(第2)層→サブコーティング層→腸溶性コーティング層。
【0165】
第1の活性薬物(PPI)層のための層形成懸濁液
賦形剤 量(g)
エソメプラゾール−Mg三水和物 250
ポリソルベート80 5.0
ヒドロキシプロピルメチルセルロース6cps 37.5
精製水 1170
活性薬物層形成のためのシード
糖シード(ノンパレイユ)1.0−1.18mm 250
【0166】
層形成懸濁液を以下の手順により調製した:
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(以下ではHPMCとも呼ぶ)及びポリソルベート80を水に溶解し、その後エソメプラゾール−Mg三水和物をその中に懸濁させた。この懸濁液をアジテーターミル(Dyno−MillTM)で湿式微粉化工程にかけた。
調製した層形成懸濁液を直径0.8mmの開口を有する液体ノズルを備えたWurster方式に従う流動床装置で糖シード上にスプレーコートした。
入口空気温度は80℃であり、流動空気流量は40m3/時、噴霧装置空気圧は2.5bar、噴霧装置空気流量は2.5Nm3/時、スプレー速度は12−19g/分であり、結果として約40℃の出口空気温度となった。
【0167】
次いで第1の層形成工程からの500gの生成物を、以下に記載されるように調製された遅延放出改変層溶液/懸濁液でコーティングした:
遅延放出改変層溶液/懸濁液
賦形剤 量(g)
タルク粉末 112.5
ヒドロキシプロピルセルロース(75−150cps) 30
Mg−ステアレート 7.5
精製水 1050
【0168】
ヒドロキシプロピルセルロースを水に溶解した。その後タルクおよびMg−ステアレートをその中に懸濁させた。
前の工程と同じコーティング装置でコーティングを行った。
入口空気温度は75℃であり、流動空気流量は40m3/時、噴霧装置空気圧は2.8bar、噴霧装置空気流量は2.8Nm3/時、スプレー速度は6−11g/分であり、結果として約45℃の出口空気温度となった。
【0169】
次いで遅延放出改変層形成工程からの180gの生成物を、以下に記載されるように調製された溶液/懸濁液をスプレーすることにより遅滞時間制御層でコーティングした:
遅滞時間制御層のための溶液/懸濁液
賦形剤 量(g)
HPMC 4000cps 120
HPMC 6cps 16.5
EtOH 99.5% 2025
精製水 258
【0170】
高粘性HPMC粉末を撹拌しながらエタノール(非溶媒)に懸濁させた。継続して撹拌しながら、HPMC 6cps及び水の溶液を徐々に加えた。直径0.8mmの開口を有する液体ノズルを備えたWurster方式に従う流動床装置でコーティングを行った。
【0171】
上記に従って遅滞時間制御層を塗布する工程から得られた200gの生成物を、以下に記載されるように調製された溶液/懸濁液をスプレーすることにより第2の活性薬物(PPI)層でコーティングした:
第2の活性薬物(PPI)層のための層形成懸濁液
賦形剤 量(g)
微粉化したオメプラゾール粉末 40
ポリソルベート80 0.8
ヒドロキシプロピルメチルセルロース6cps 6
精製水 187
【0172】
層形成懸濁液を以下の手順により調製した:
ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリソルベート80を水に溶解し、その後オメプラゾール粉末をその中に懸濁させた。
調製した層形成懸濁液を、上記に従い先に得られたペレット上に同じ流動床装置でスプレーコートした。
入口空気温度は80℃であり、流動空気流量は40m3/時、噴霧装置空気圧は2.5bar、噴霧装置空気流量は2.5Nm3/時、スプレー速度は10−13g/分であり、結果として約40℃の出口空気温度となった。
【0173】
上記に従って第2の活性薬物層を塗布する工程から得られた200gの生成物を、以下に記載されるように調製された溶液/懸濁液をスプレーすることによりサブコートでコーティングした:
サブコーティング層懸濁液
賦形剤 量(g)
タルク粉末 37.5
ヒドロキシプロピルセルロース(75−150cps) 10
ステアリン酸マグネシウム 2.5
精製水 350
【0174】
ヒドロキシプロピルセルロースを水に溶解した。その後タルクおよびステアリン酸マグネシウムをその中に懸濁させた。
前の工程と同じコーティング装置でコーティングを行った。
入口空気温度は75℃であり、流動空気流量は40m3/時、噴霧装置空気圧は2.8bar、噴霧装置空気流量は2.8Nm3/時、スプレー速度は6−11g/分であり、結果として約45℃の出口空気温度となった。
【0175】
上記の工程から得られた150gの生成物を、以下に記載されるように調製された溶液/懸濁液をスプレーすることにより腸溶性コーティング層でコーティングした:
腸溶性コーティング懸濁液
賦形剤 量(g)
メタクリル酸コポリマーC型、30%分散液 100
タルク 6
クエン酸トリエチル 3
精製水 126
【0176】
最初にクエン酸トリエチルを撹拌しながら水に溶解した。継続して撹拌しながらポリマー分散液を徐々に加え、そして最後にタルクを分散液中に懸濁させた。
前の工程と同じコーティング装置でコーティングを行った。
得られた生成物のサンプルをインビトロ溶出について試験した。得られた溶出プロフィールを図8に示す。
溶出を実施例1のように試験した。
評価された第2パルスについての遅滞時間は約3時間であった。勾配は約1.4%/分(10-90)であった。
【0177】
実施例8
遅延パルス放出ペレット
組成物において示される全ての量は、供給した量であり、収率に対して補正していない。
遅延パルス放出ペレットの製造のための概要の方式は、以下の順序でシードに層をコーティングすることによる;
活性薬物(PPI)含有層→遅延放出改変層→遅滞時間制御層→腸溶性コーティング層。
【0178】
活性薬物(PPI)層のための層形成懸濁液
賦形剤 量(g)
エソメプラゾール−Mg三水和物 250
ポリソルベート80 5.0
ヒドロキシプロピルメチルセルロース6cps 37.5
精製水 1170
活性薬物層形成のためのシード
糖シード(ノンパレイユ)1.0−1.18mm 250
【0179】
層形成懸濁液を以下の手順に従って調製した:
ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリソルベート80を水に溶解し、その後エソメプラゾール−Mg三水和物をその中に懸濁させた。懸濁液をアジテーターミル(Dyno−MillTM)で湿式微粉化工程にかけた。
調製した層形成懸濁液を直径0.8mmの開口を有する液体ノズルを備えたWurster方式に従う流動床装置で糖シード上にスプレーコートした。
入口空気温度は80℃であり、流動空気流量は40m3/時、噴霧装置空気圧は2.5bar、噴霧装置空気流量は2.5Nm3/時、スプレー速度は12−19g/分であり、結果として約40℃の出口空気温度となった。
【0180】
次いで第1の層形成工程からの500gの生成物を、以下に記載されるように調製された遅延放出改変層溶液/懸濁液でコーティングした:
遅延放出改変層溶液/懸濁液
賦形剤 量(g)
タルク粉末 112.5
ヒドロキシプロピルセルロース(75−150cps) 30
Mg−ステアレート 7.5
精製水 1050
【0181】
ヒドロキシプロピルセルロースを水に溶解した。その後タルク及びMg−ステアレートをその中に懸濁させた。
前の工程と同じコーティング装置でコーティングを行った。
入口空気温度は75℃であり、流動空気流量は40m3/時、噴霧装置空気圧は2.8bar、噴霧装置空気流量は2.8Nm3/時、スプレー速度は6−11g/分であり、結果として約45℃の出口空気温度となった。
【0182】
遅延放出改変層形成工程からの200gの生成物を、以下に記載されるように調製された溶液/懸濁液をスプレーすることにより遅滞時間制御層でコーティングした:
遅滞時間制御層のための溶液/懸濁液
賦形剤 量(g)
ヒドロキシエチルセルロース(Natrosol 250 HHX(登録商標))、
篩分け<100μm 90
HPMC 6cps 13.5
EtOH 99.5% 900
精製水 212
【0183】
ヒドロキシエチルセルロース粉末を撹拌しながらエタノール(非溶媒)に懸濁させた。継続して撹拌しながら、HPMC 6cps及び水の溶液を徐々に加えた。
直径0.8mmの開口を有する液体ノズルを備えたWurster方式に従う流動床装置でコーティングを行った。
【0184】
上記工程から得られた150gの生成物を、以下に記載されるように調製された溶液/懸濁液をスプレーすることにより腸溶性コーティング層でコーティングした:
腸溶性コーティング懸濁液
賦形剤 量(g)
メタクリル酸コポリマーC型、30%分散液 100
タルク 6
クエン酸トリエチル 3
精製水 126
【0185】
最初にクエン酸トリエチルを撹拌しながら水に溶解した。継続して攪拌しながら、ポリマー分散液を徐々に加え、そして最後にタルクを分散液に懸濁させた。
前の工程と同じコーティング装置でコーティングを行った。
得られた生成物のサンプルをインビトロ溶出について試験した。溶出プロフィールを図9に示す。
溶出を実施例1のように試験した。
評価された第2パルスについての遅滞時間は約2時間であった。勾配は約1.2%/分(10-90)であった。
【0186】
実施例9
遅延パルス放出ランソプラゾールペレット
組成物において示される全ての量は、供給した量であり、収率に対して補正していない。
遅延パルス放出ペレットの製造のための概要の方式は、以下の順序でシードに層をコーティングすることによる;
活性薬物(PPI)含有層→遅延放出改変層→遅滞時間制御層→腸溶性コーティング層。
【0187】
活性薬物(PPI)層のための層形成懸濁液
賦形剤 量(g)
ランソプラゾール 250
ポリソルベート80 5.0
ヒドロキシプロピルメチルセルロース6cps 37.5
精製水 1170
活性薬物層形成のためのシード
糖シード(ノンパレイユ)1.0−1.18mm 250
【0188】
層形成懸濁液を以下の手順により調製した:
ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリソルベート80を水に溶解し、その後ランソプラゾールをその中に懸濁させた。この懸濁液をアジテーターミル(Dyno−MillTM)で湿式微粉化工程にかけた。
調製した層形成懸濁液を、直径0.8mmの開口を有する液体ノズルを備えたWurster方式に従う流動床装置で糖シード上にスプレーコートした。
入口空気温度を80℃に設定し、流動空気流量を40m3/時、噴霧装置空気圧を2.5bar、噴霧装置空気流量を2.5Nm3/時、スプレー速度を12−19g/分に設定した。
【0189】
次いで第1の層形成工程からの500gの生成物を、以下に記載されるように調製された遅延放出改変層溶液/懸濁液でコーティングした:
遅延放出改変層溶液/懸濁液
賦形剤 量(g)
タルク粉末 112.5
ヒドロキシプロピルセルロース(75−150cps) 30
Mg−ステアレート 7.5
精製水 1050
【0190】
ヒドロキシプロピルセルロースを水に溶解した。その後タルクおよびMg−ステアレートをその中に懸濁させた。
前の工程と同じコーティング装置でコーティングを行った。
入口空気温度を75℃に設定し、流動空気流量を40m3/時、噴霧装置空気圧を2.8bar、噴霧装置空気流量を2.8Nm3/時、スプレー速度を6−11g/分に設定した。
【0191】
ついで遅延放出改変層形成工程からの180gの生成物を、以下に記載されるように調製された溶液/懸濁液をスプレーすることにより遅滞時間制御層でコーティングした:
遅滞時間制御層のための溶液/懸濁液
賦形剤 量(g)
HPMC 4000cps 80
HPMC 6cps 11
EtOH 99.5% 1350
精製水 172
【0192】
高粘性HPMC粉末を撹拌しながらエタノール(非溶媒)中に懸濁させた。継続して撹拌しながら、HPMC 6cps及び水の溶液を徐々に加えた。
前の工程と同じ装置でコーティングを行った。
入口空気温度を40℃に設定し、流動空気流量を40m3/時、噴霧装置空気圧を2.5bar、噴霧装置空気流量を2.5Nm3/時、スプレー速度を14−16g/分に設定した。
【0193】
次いで遅滞時間制御層コーティング工程からの150gの生成物を、以下に記載されるように調製された懸濁液をスプレーすることにより腸溶性コーティングでコーティングした:
腸溶性コーティング懸濁液
賦形剤 量(g)
メタクリル酸コポリマーC型、30%分散液 100
タルク 6
クエン酸トリエチル 3
精製水 126
【0194】
クエン酸トリエチルを撹拌しながら水に溶解した。継続して撹拌しながら、ポリマー分散液を徐々に加え、そして最後にタルクを分散液に懸濁させた。
前の工程と同じコーティング装置でコーティングを行った。
入口空気温度を65℃に設定し、流動空気流量を40m3/時、噴霧装置空気圧を2.8bar、噴霧装置空気流量を2.8Nm3/時、スプレー速度を6−10g/分に設定した。
【図面の簡単な説明】
【0195】
【図1】本出願において使用される定義のうちいくつかを図解する。実施例の前の「定義」の部分における文章も参照のこと。
【図2】実施例1において得られた実施態様から得られた放出プロフィールを図解する。
【図3】実施例2において得られた実施態様から得られた放出プロフィールを図解する。
【図4】実施例3において得られた実施態様から得られた放出プロフィールを図解する。
【図5】実施例4において得られた実施態様から得られた放出プロフィールを図解する。
【図6】実施例5において得られた実施態様から得られた放出プロフィールを図解する。
【図7】実施例6において得られた実施態様から得られた放出プロフィールを図解する。
【図8】実施例7において得られた実施態様から得られた放出プロフィールを図解する。
【図9】実施例8において得られた実施態様から得られた放出プロフィールを図解する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性薬物として酸感受性プロトンポンプ阻害剤(PPI)を含む経口用固形医薬剤形であって、該剤形は、2つのPPI放出部分、遅延放出パルスでPPIを放出するペレット、及び即時放出パルスでPPIを放出するペレットを含み、PPIは、ペレットの形態でコア材料中に配合されており、そして遅延放出パルスを生じるペレットが、所定の順序でコア材料上に以下の層;
−水溶性ポリマー、タルク及び疎水性化剤を含む遅延放出改変層;
−必須成分として高粘性水溶性ポリマーを含む遅滞時間制御層;
−任意のサブコーティング層;及び
−外部腸溶性コーティング層;
を有し、
そして即時放出パルスを生じるペレットが、コア材料上に以下の層;
−任意のサブコーティング層;及び
−外部腸溶性コーティング層
を有することを特徴とする、上記剤形。
【請求項2】
活性薬物として酸感受性プロトンポンプ阻害剤(PPI)を含む経口用固形医薬剤形であって、該剤形は、2つのPPI放出部分と共にペレットの一集団を含み、各ペレットは、遅延放出パルス及び即時放出パルスを生じ、PPIがペレットの形態でコア材料中に配合されており、そしてペレットが所定の順序でコア材料上に以下の層;
−水溶性ポリマー、タルク及び疎水性化剤を含む遅延放出改変層;
−必須成分として高粘性水溶性ポリマーを含む遅滞時間制御層;
−PPIの第2の部分を含む層;
−任意のサブコーティング層;及び
−外部腸溶性コーティング層
を有することを特徴とする、上記剤形。
【請求項3】
最終剤形がカプセル剤である、請求項1又は2に記載の経口用医薬剤形。
【請求項4】
最終剤形がサシェ剤である、請求項1又は2に記載の経口用医薬剤形。
【請求項5】
即時放出パルスを生じるペレットが1つ又はそれ以上の錠剤の形態であり、そして最終剤形が遅延放出パルスのペレット及び即時放出パルスの錠剤を含む、請求項1、3又は4のいずれか1項に記載の経口用医薬剤形。
【請求項6】
酸感受性プロトンポンプ阻害剤が、エソメプラゾールのアルカリ塩である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の経口用医薬剤形。
【請求項7】
酸感受性プロトンポンプ阻害剤が、エソメプラゾールマグネシウムである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の経口用医薬剤形。
【請求項8】
酸感受性プロトンポンプ阻害剤が、オメプラゾールマグネシウムである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の経口用医薬剤形。
【請求項9】
1〜10時間の範囲の、遅延(第2)パルスについての遅滞時間を有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の経口用医薬剤形。
【請求項10】
2〜8時間の範囲の遅滞時間を有する、請求項9に記載の経口用医薬剤形。
【請求項11】
遅滞時間制御層が、コーティング過程からのあらゆる残留物以外の唯一の成分として高粘性水溶性ポリマーを含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の経口用医薬剤形。
【請求項12】
遅滞時間制御層における必須成分が、高粘性ヒドロキシプロピルメチルセルロース又は高粘性ヒドロキシエチルセルロースである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の経口用医薬剤形。
【請求項13】
高粘性ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はヒドロキシエチルセルロースが、欧州薬局方に従って測定した場合に7.0〜9.0の間のpHを示す、請求項12に記載の経口用医薬剤形。
【請求項14】
遅延放出改変層が、水溶性ポリマー、タルク並びにMg−ステアレート、ベヘン酸グリセリル及びステアリルフマル酸ナトリウムからなる群より選択される疎水性化剤を含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の経口用医薬剤形。
【請求項15】
遅延放出改変層が、50〜90%の範囲のヒドロキシプロピル含量及び180cps以下の粘度を有するヒドロキシプロピルセルロース、タルク、並びにMg−ステアレートのみから構成される、請求項1〜14のいずれか1項に記載の経口用医薬剤形。
【請求項16】
請求項1に記載の経口用医薬剤形を製造するための方法であって、以下の工程;
I) 活性薬物として酸感受性プロトンポンプ阻害剤(PPI)を含むペレットの形態でコア材料を調製する工程;
II) 工程I)で得られたペレットコアを、遅延放出改変層でコーティングする工程;
III) 工程II)からの遅延放出改変層を形成されたペレットコアを、必須成分として高粘性水溶性ポリマーを含む遅滞時間制御層でコーティングする工程;
IV) 工程III)からの遅滞時間制御層を形成されたペレットを、外部腸溶性コーティングでコーティングする工程であって、任意のサブコーティング層が、腸溶性コーティング層が塗布される前に塗布される工程;並びに
V) 工程IV)で得られたペレット生成物を、外部腸溶性コーティング及び任意のサブコーティング層を有しPPIの即時放出を生じる他のペレットと共に、カプセル剤、サシェ剤又は複数単位ペレット系錠剤に組み込む工程、
を含む、上記方法。
【請求項17】
請求項2に記載の経口用医薬剤形を製造するための方法であって、以下の工程;
I) 活性薬物として酸感受性プロトンポンプ阻害剤(PPI)を含むペレットの形態でコア材料を調製する工程;
II) 工程I)からのペレットコアを、遅延放出改変層でコーティングする工程;
III) 工程II)からの遅延放出改変層を形成されたペレットコアを、必須成分として高粘性水溶性ポリマーを含む遅滞時間制御層でコーティングする工程;
IV) 工程III)からの遅滞時間制御層を形成されたペレットを、第2のPPI部分を含む層でコーティングする工程;
V) 工程IV)から得られたペレットを、任意のサブコーティング層で場合によりコーティングする工程;並びに
VI) 工程V)から得られたペレット生成物を、外部腸溶性コーティングでコーティングする工程;
VII) 工程VI)から得られた腸溶性コーティングを施されたペレットを、カプセル剤、サシェ剤、又は複数単位ペレット系錠剤に製剤化する工程、
を含む、上記方法。
【請求項18】
工程V)における即時放出パルスを生じるペレットが、1つ又はそれ以上の錠剤の形態であり、そして剤形が遅延放出パルスのペレット及び即時放出パルスの錠剤を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
工程II)からの遅延放出改変層を形成されたペレットコアを遅滞時間制御層でコーティングする工程III)が、
a) 高粘性水溶性ポリマーを非溶媒中に分散させること;及び
b) 水性液体又は水を加えて分散したポリマー粒子の水和形態を形成すること、
により製造される高粘性水溶性ポリマーの分散液を利用することにより行われる、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項20】
工程IIにより得られる遅延放出改変層が、コーティング過程からの溶媒/分散媒体/懸濁媒体のあらゆる残留物以外はヒドロキシプロピルセルロース、タルク及びMg−ステアレートの成分のみから構成される、請求項16〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
得られた生成物が、1〜10時間の範囲の遅滞時間を有する、請求項16〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
胃酸分泌の抑制を改善することを必要とする患者に、請求項1〜15のいずれか1項に規定される経口用医薬剤形を投与することからなる、胃酸分泌の抑制を改善するための方法。
【請求項23】
胃腸疾患の処置における、請求項1〜15のいずれか1項に記載の医薬剤形の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−519069(P2008−519069A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540283(P2007−540283)
【出願日】平成17年11月2日(2005.11.2)
【国際出願番号】PCT/SE2005/001642
【国際公開番号】WO2006/049564
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
【Fターム(参考)】