説明

プロペンを不均一系触媒反応により部分気相酸化することによってアクロレインを製造する方法

120Nl/l・h以上の触媒固定床のプロペン負荷量およびCO2と飽和炭化水素との反応ガス出発混合物の15モル%未満である全含量の際に、プロペンをアクロレインへ不均一系触媒反応により部分気相酸化する方法であって、その際この触媒固定床の触媒がリング状の非担持触媒であり、この非担持触媒の活性材料がモル比:Co/Fe=2〜4およびCo/Mo=0.3〜0.7であるような多重金属酸化物である、不均一系触媒反応による部分気相酸化によるアクロレインの製造法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロペン、分子酸素、および少なくとも1つの不活性ガスを含有し、O2:C36のモル比1以上の分子酸素およびプロペンならびに二酸化炭素および飽和炭化水素を一緒に最大15モル%の全体量で含有する反応性ガス出発混合物を、該反応性ガス出発混合物中に含有された、>120Nl/l・hのプロペンと一緒に、プロペンの変換率が1回の通過で90モル%以上であり、それに伴なうアクロレイン形成の選択度が80モル%以上であるように触媒固定床に導通させ、この場合この触媒固定床の触媒は、リング状の非担持触媒であり、この非担持触媒の活性材料は、一般式I、
Mo12aCobFecBidSiefn (I)
〔式中、
aは、1以上〜3以下であり、bは、3以上〜8以下であり、cは、1以上〜4以下であり、dは、0.5以下〜1.5以上であり、eは、0以上〜10以下であり、fは、0以上〜0.2以下であり、
nは、式I中の酸素とは異なる元素の原子価及び頻度により決定される数である〕の少なくとも1つの多重金属酸化物化合物であることにより、不均一系触媒反応による部分気相酸化によってアクロレインを製造する方法に関する。
【0002】
アクロレインは、殊に中間生成物として、例えばプロペンの2工程での不均一系触媒反応による部分気相酸化することによってアクリル酸を製造する際に重要である反応性モノマーを形成する。アクリル酸は、それ自体またはアルキルエステルとして、例えばなかんずく接着剤または水を吸収する材料として使用することができるポリマーを製造するのに適している。
【0003】
本明細書の冒頭に記載された、不均一系触媒反応による部分気相酸化の方法によってアクロレインを製造することは、公知である(例えば、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10351269号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10350812号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10344149号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19948523号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10313209号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19948248号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19855913号明細書およびWO 02/24620参照)。通常、プロペンからアクリル酸への2工程での不均一系触媒反応による部分気相酸化の第1工程が形成される。プロペンは、第1の反応工程で本質的に部分的にアクロレインに酸化され、第1の反応工程で形成されたアクロレインは、第2の反応工程で本質的に部分的にアクリル酸に酸化される。この場合、重要なことは、工業的な実施態様が通常通り、第1の反応工程で形成されたアクロレインが分離されずに第1の反応工程を去る生成物ガス混合物の成分として場合によっては分子酸素および不活性ガスによって補充され、場合によっては直接的な冷却および/または間接的な冷却によって冷却され、第2の反応工程に導かれるように形成されていることである。
【0004】
プロペンからアクロレインへの不均一系触媒反応による部分気相酸化の目的生成物は、アクロレインである。
【0005】
触媒固定床中での全ての不均一系触媒反応による部分気相酸化の問題点は、反応性ガス混合物が触媒床を貫流する際に最も高い値(所謂ホットスポット値(Heisspunktwert))を通り抜けることである。
【0006】
この最も高い値は、触媒固定床の外側の熱処理と反応熱とから構成されている。従って、目的適合性の理由から、触媒固定床の温度と触媒固定床の効果的な温度とは、互いに区別される。しかし、この場合、触媒固定床の温度は、化学的反応が存在しないものと仮定して(即ち、反応熱の影響なしで)部分酸化法を実施した際の触媒床の温度である。これとは異なり、触媒固定床の有効温度は、部分酸化の反応熱を含めて触媒固定床の実際の温度である。触媒固定床の温度が触媒固定床に沿って一定でない場合(例えば、多数の温度帯域の場合)には、触媒固定床の温度の概念は、触媒固定床に沿った温度の(数)平均値であると考えられる。前記の関連して重要なことは、触媒固定床の有効温度が反応混合物の温度と一緒に反応混合物の流動方向に同様にホットスポット値を通過することである。
【0007】
本明細書の冒頭部分に記載の公知方法の欠点は、公知技術水準では触媒は、一般に特殊な希釈プロフィールにより必要に応じて不活性材料で希釈されて触媒床中に存在するので、プロペンの所定の変換率の場合(反応混合物の1回の通過に対して)には、公知技術水準で推奨される触媒に付随して現れる、触媒固定床のホットスポット温度が触媒固定床の必要とされるプロペン負荷の際に高すぎることである(高いホットスポット温度は、通常、高い温度が一面で触媒床の老化過程を促進させ(老化に貢献する触媒の活性材料内の一定の移動過程は、例えばよりいっそう急速に進行する)、他面、目的生成物形成の選択性は、減少する)。しかし、後者の選択性は、プロペンの所定の変換率の際に、反応出発混合物中に含有されているプロペンでの触媒固定床の可能な負荷を制限する。
【0008】
従って、本発明の課題は、本明細書の冒頭に記載された方法を提供することであるが、しかし、この場合には、触媒は、殊に触媒固定床の高いプロペン負荷の際に触媒固定床の減少されたホットスポット温度および高められた目的生成物の選択度で所定のプロペン変換率が達成されるように選択される。
【0009】
それに応じて、プロペン、分子酸素および少なくとも1つの不活性ガスを含有する、モル比O2:C36≧1の分子酸素およびプロペンならびに二酸化炭素および飽和炭化水素を最大で15モル%の全体量で含有する反応ガス出発混合物を、高められた温度で反応ガス出発混合物中に含有される、120Nl/l・h以上のプロペンで触媒固定床を負荷した際に、プロペンの変換率が1回の通過で90モル%以上であり、それに付随する、アクロレイン形成の選択度が80モル%以上であるように、その触媒がリング状の非担持触媒であり、その活性材料が一般式I:
Mo12aCObFecBidfn (I)
〔式中、aは、1以上〜3以下であり、
bは、3以上〜8以下であり、
cは、1以上〜4以下であり、
dは、0.5以上〜1.5以下であり、
eは、0以上〜10以下であり、
fは、0以上〜0.2以下であり、
nは、式I中の酸素とは異なる元素の原子価および頻度によって定められる数である〕の少なくとも1つの多重金属酸化物である触媒固定床に導通させることにより、不均一系触媒反応による部分気相酸化によってアクロレインを製造する方法であって、多重金属酸化物材料Iにおいて付加的に次のモル比: Co/Fe=2〜4およびCo/Mo=0.3〜0.7または0.3〜0.6まで、が満たされていることを特徴とする、不均一系触媒反応による部分気相酸化によるアクロレインの製造法が見出された。
前記の割合を満たしている金属酸化物I−触媒は、既に欧州特許出願公開第293224号明細書中でプロペンからアクロレインへの不均一系触媒反応による部分酸化のために触媒固定床の高いプロペン負荷の下で使用された。しかし、これは、二酸化炭素と飽和炭化水素の反応出発混合物の含量が一緒になって20体積%以上であるという前提条件下にある(この条件下で、本発明による方法は、本発明による方法では自明ではなく実施することもできる)。
【0010】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第19948523号明細書の記載によれば、リング状の触媒の形状寸法は、触媒固定床の高い反応体負荷を有する不均一系触媒反応による部分酸化に特に有利である。
【0011】
本発明によれば、化学量論的係数aは、1.5〜2.5であり、特に好ましくは、2〜2.5である。
【0012】
化学量論的係数bは、本発明によれば、4以上および8以下、特に有利に5以上および8以下、殊に有利に6以上および8以下または6.5以上および7.5以下である。
【0013】
化学量論的係数cは、本発明によれば、好ましくは2以上および4以下、特に有利には、2.5以上および3.5以下である。
【0014】
更に、化学量論的係数dが1〜1.5であることは、本発明による方法にとって好ましい。
【0015】
また、本発明による方法にとって、化学量論的係数が0.5以上〜3以下、特に有利にcが1以上または1.5以上および2.5以下または2以下であることは、好ましい。
【0016】
化学量論的係数fは、特に0.01以上〜0.15以下の範囲内、特に有利に0.05以上〜0.1以下の範囲内にある。
【0017】
前記の有利な範囲は、とにかく1回は互いに無関係が妥当である。しかし、特に好ましくは、多数の前記範囲(および殊に好ましくは全ての前記範囲)が同時に記載される。
【0018】
前記の有利な範囲とは無関係に、本発明による方法にとって、Co/Feのモル比が2〜3.5であるか、よりいっそう好ましくは2〜3であるか、またはさらによりいっそう好ましくは2〜2.5であることは、好ましい。
【0019】
更に、本発明による方法にとって、既に記載された有利な範囲とは無関係に、Co/Moのモル比が0.4〜0.7または0.4〜0.6であるか、よりいっそう好ましくは0.45〜0.7または0.45〜0.6であるか、またはさらによりいっそう好ましくは0.5〜0.7または0.5〜0.6であり、最高で0.55〜0.7または0.55〜0.6であることは、好ましい。
【0020】
特に有利には、化学量論的係数a〜fの他の有利な範囲とは無関係に、2つの前記のモル比Co/FeおよびCo/Moは、同時に前記の有利な範囲内にある。最高で、化学量論的係数a〜fならびにモル比Co/FeおよびCo/Moは、有利な範囲内にある。
【0021】
本発明によれば、触媒固定床の触媒がリング状の非担持触媒であることは、本質的なことである。即ち、活性材料は、不活性の担体上に塗布されず、全部のリング状の触媒成形体は、触媒反応により活性の多重金属酸化物からなる。
【0022】
本発明によれば、好ましくは、リング状の形状寸法は、(常に本明細書中の場合と同様に、端面の場合によっては存在する湾曲を考慮することなく)長さL2〜11mm、外径A2〜11mm、壁厚W0.5m〜5mmを有する。
【0023】
更に、本発明による適当なリング状の非担持触媒の場合には、殊に内径Iが外径の0.1〜0.7倍であり、長さが外径の0.5〜2倍であることが当てはまる全ての場合がこれに該当する。
【0024】
また、適当な本発明により使用可能なリング状の非担持触媒は、2〜10mm(または3〜7mm)の外径、少なくとも1mmのリング状の内径、0.5〜2mm(または0.75mm〜1.75mm)の壁厚および2〜10mm(または2〜5mm)の長さ(高さ)を有するかかるリング状の非担持触媒である。
【0025】
しばしば、外径5.5〜7mmの本発明による特に好適な非担持触媒の場合、高さ(長さ)は、2.8〜3.2mmであり、内径は、3.5〜5mmである。この場合、典型的な壁厚は、1.0〜1.7mm、特に1.3〜1.7mm、殊に有利に1.5mmである。
【0026】
即ち、本発明による適当な中空円筒体状の非担持触媒の形状寸法は、例えば(それぞれ外径×高さ×内径、相変わらず本明細書中で端面の場合によっては存在する湾曲を考慮することなく)形状寸法6mm×3mm×4mm、5mm×3mm×2mm、6.5mm×3mm×4.5mm、5mm×2mm×2mm、5mm×3mm×3mm、6mm×3mm×3mm、7mm×3mm×4mm、7mm×3mm×5mmならびに5.5mm×3mm×3.5mmである。
【0027】
本発明による適当なリング状触媒の形状寸法の端面は、両面とも又は片面が、欧州特許出願公開第184790号明細書の記載と同様に湾曲にされていてもよく、例えば実際に曲率半径は有利に外径の0.4〜5倍であるように湾曲にされていてもよい。本発明の場合に、両側の端面は湾曲されていないのが有利である。
【0028】
本発明により使用することができるリング状の非担持触媒の製造は、簡単な方法で前記活性材料の元素状構成成分の供給源から、微粒状の成形可能な混合物を製造し、前記混合物から、場合により付形助剤および/または補強助剤の添加後に、リング状の非担持触媒前駆成形体を成形し、前記端面を湾曲させおよび/または湾曲させず、かつ前記成形体を高めた温度で熱処理してリング状の非担持触媒に変換させることによって行なうことができる。
【0029】
この場合、本発明によれば、有利にリング状の非担持触媒前駆成形体の側面圧縮強度は、10N以上および25N以下、特に有利に12N以上および23N以下または13N以上および22N以下ならびに殊に有利に14N以上および21N以下または15N以上および20N以下である。
【0030】
更に、リング状の非担持触媒前駆成形体に成形すべき微粒状の成形可能な混合物の粒度は、本発明によれば、有利に200μm〜1.5mm、特に有利に400μm〜1mmである。有利には、全材料の少なくとも95質量%または98質量%またはそれ以上の質量%は、前記の粒度範囲内にある。
【0031】
この場合、側面圧縮強度とは、本明細書において、リング状の非担持触媒前駆成形体を圧縮する際の円筒状の円周部に対して垂直方向の(つまりリング開口部の面に対して平行方向の)圧縮強度であると解釈される。
【0032】
この場合、本明細書の全ての側面圧縮強度は、Zwick GmbH & Co. (D-89079 Ulm)社のタイプZ2.5/TS1Sの材料試験機を用いた測定に関連する。この材料試験機は、急速、静止、膨張または交換の経過を伴なう交替する変化による、準静的応力のために設計されている。この材料試験機は、引張試験、圧縮試験及び曲げ試験のために適している。A.S.T. (D-01307 Dresden)社のタイプKAF−TCの、製造番号03−2038の取り付けられたロードセルは、この場合、DIN EN ISO 7500-1に応じて校正され、測定範囲1〜500Nについて使用可能であった(測定信頼性:±0.2%)。
【0033】
前記測定は次のパラメータで実施した:
初期力:0.5N、
初期力−速度:10mm/分、
試験速度:1.6mm/分。
【0034】
この場合、上側のプランジャをまずゆっくりとリング状の非担持触媒前駆成形体の円筒状の円周部の面の直前まで降下させた。次いで、前記の上側のプランジャを停止させ、引き続き前記プランジャを明らかにゆっくりとした試験速度で、更なる降下のために必要な最小の初期力で降下させた。
【0035】
リング状の非担持触媒前駆成形体に亀裂を形成させる初期力が、側面圧縮強度(SDF)である。
【0036】
成形助剤(離型剤)として、リング状の非担持触媒前駆成形体の製造のために、例えばカーボンブラック、ステアリン酸、澱粉、ポリアクリル酸、鉱油または植物油、水、三フッ化ホウ素または黒鉛がこれに該当する。グリセリン及びセルロースエーテルも離型剤として使用することができる。非担持触媒前駆成形体を成形すべき材料に対して、一般に成形助剤5質量%以下、多くの場合に3質量%以下、しばしば2質量%以下が添加される。通常では、前記の添加量は0.5質量%以上である。本発明による有利な離型助剤は黒鉛である。
【0037】
リング状の非担持触媒前駆成形体の熱処理の範囲内で、前記の成形助剤は、多くの場合に十分にガス状の成分に分解されおよび/または燃焼され、したがって得られたリング状の非担持触媒は、通常では一緒に使用された成形助剤は部分的に存在するかまたは完全に存在しない。本発明により得られたリング状の非担持触媒中になお成形助剤が含まれている限り、この成形助剤は、前記非担持触媒による接触部分酸化に関してほぼ不活性である。
【0038】
後者の成形助剤は、場合により成形の前に添加された微粒状の補強剤、例えばガラス、アスベスト、炭化ケイ素又はチタン酸カリウムからなるマイクロファイバにも該当する。リング状の非担持触媒前駆成形体への成形は、例えばタブレット成形機、押出成形機、ストランド成形機等を用いて実施されてよい。
【0039】
リング状の非担持触媒前駆成形体の熱処理は、一般に350℃を上廻る温度で行なわれる。しかし、通常では、前記熱処理の範囲内でこの温度は650℃を上廻らない。本発明によれば、前記熱処理の範囲内で、600℃の温度、有利に550℃の温度、特に有利に500℃の温度を上廻らないのが有利である。更に、本発明による方法の場合に、リング状の非担持触媒前駆成形体の熱処理の範囲内で、有利に380℃の温度、有利に400℃の温度、特に有利に420℃の温度、さらに殊に有利に440℃の温度を上廻らない。この場合、前記熱処理は時間的な経過において複数の区間に区分されていてもよい。例えば、最初に150〜350℃、有利に220〜280℃の温度での熱処理を実施することができ、引続き400〜600℃、有利に430〜550℃の温度での熱処理を実施することができる。
【0040】
通常では、リング状の非担持触媒前駆成形体の前記熱処理は数時間(多くの場合には5時間よりも長く)行なう必要がある。しばしば、前記熱処理の全体の時間は10時間よりも長い。多くの場合には、リング状の非担持触媒前駆成形体の熱処理の範囲内で、処理時間は45時間または25時間を上廻らない。しばしば、全部の処理時間は、20時間を下廻る。本発明によれば、リング状の非担持触媒前駆成形体の熱処理の範囲内で、500℃(460℃)を上廻らず、前記処理時間は、400℃以上(440℃以上)の温度範囲内で5〜20時間に及ぶのが有利である。
【0041】
リング状の非担持触媒前駆成形体の熱処理(これは以下分解段階とも言われる)は、不活性ガス中でも、酸化雰囲気、例えば空気(不活性ガスと酸素とからなる混合物)中でも、還元雰囲気(例えば不活性ガスとNH3とCOおよび/またはH2またはメタン、アクロレイン、メタクロレインとからなる混合物)中でも行なうことができる。もちろん、前記熱処理は真空中で実施することもできる。
【0042】
原理的に、リング状の非担持触媒前駆成形体の熱処理は、多種多様なタイプの炉中、例えば加熱可能な循環空気炉、トレー式炉、ロータリーキルン、ベルト式焼成装置または縦型炉中で実施することができる。本発明によれば、リング状の非担持触媒前駆成形体の熱処理は、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10046957号明細書およびWO 02/24620に推奨されているようにベルト式焼成装置中で行なうのが有利である。
【0043】
350℃を下回るリング状の非担持触媒前駆成形体の熱処理は、一般に前記非担持触媒前駆成形体中に含まれる、努力して得ようするリング状の非担持触媒の元素状の構成成分の供給源の熱分解で実施される。しばしば、本発明による方法の場合に、前記の分解段階は、350℃以上の温度への加熱範囲内で行なわれる。
【0044】
リング状の非担持触媒前駆成形体は、既述したように、望ましいリング状の非担持触媒の活性材料の元素状の構成成分の供給源から(できるだけ緊密で)微粒状の化学量論的に望ましい活性材料を相応して構成させ、成形可能な混合物を製造させ、この混合物から場合によっては成形助剤および/または補強助剤の添加後にリング状の非担持触媒前駆成形体(湾曲された端面および/または湾曲されてない端面を有する)を成形させることによって製造されうる(この非担持触媒前駆成形体の側面圧縮強度は、有利に10N以上および25N以上であるが;しかし、この側面圧縮強度は、1N〜10N未満、即ち例えば、4N〜8Nであってよい)。この場合、リング状の非担持触媒前駆成形体の形状寸法は、所望のリング状の非担持触媒の形状寸法とほぼ一致する。
【0045】
望ましい活性材料の元素状の構成成分の供給源として、既に酸化物である化合物および/または加熱により少なくとも酸素の不在で酸化物に変換可能な化合物がこれに該当する。
【0046】
酸化物と共に、このような出発化合物として、特にハロゲン化物、硝酸塩、ギ酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、アミン錯体、アンモニウム塩および/または水酸化物がこれに該当する(例えばNH4OH、(NH42CO3、NH4NO3、NH4CHO2、CH3COOH、NH4CH3CO2および/またはシュウ酸アンモニウムのような、後の焼成の際に最後に完全にガス状で逃出する化合物に崩壊および/または分解できる化合物は、微粒状の成形可能な混合物(有利に乾燥混合物)中に付加的に混入されてよい。)。
【0047】
微粒状の成形可能な混合物を製造するための出発化合物(供給源)の好ましく緊密な混合は、本発明による方法の場合に乾燥した形又は湿った形で行なうことができる。乾燥した形で行なう場合には、前記出発化合物は有利に微粒状の粉末(この粒度は有利に100μm以下、特に50μm以下であり;一般に数平均粒子直径は10μm以上である)として使用される。成形助剤及び/又は補強助剤の場合による添加の後に、引続きリング状の非担持触媒前駆成形体への成形が行なわれる。
【0048】
本発明によれば、湿った形でも緊密な混合が行なわれるのが有利である。通常では、この場合に前記出発化合物を水溶液及び/又は水性懸濁液の形で互いに混合する。この場合、特に緊密な成形可能な混合物は、もっぱら溶解した形で存在する、元素状の構成成分の供給源から出発する場合に得ることができる。溶剤として特に水が使用される。引続き、得られた溶液又は懸濁液は乾燥され、その際、乾燥過程は有利に100〜150℃の出口温度での噴霧乾燥により行なわれる。生じる噴霧粒子の粒度は、典型的には20〜50μmである。
【0049】
前記噴霧粒子は、それ自体又は成形助剤および/または補強助剤の添加後に、リング状の非担持触媒前駆成形体に緻密化(成形)することができる。前記の微粒状の補強助剤は、既に噴霧乾燥の前に(一部又は全部)添加されていてもよい。乾燥の際に、溶剤もしくは沈殿防止剤は、その併用が成形助剤として意図されている場合には、部分的にだけ除去されてもよい。
噴霧粒子を、場合により成形助剤および/または補強助剤の添加後にリング状の非担持触媒前駆成形体(前記リングの端面は湾曲されているおよび/または湾曲されていない)に直接成形する代わりに、まず中間緻密化を実施して、前記粉末を(一般に400μm〜1mmの粒度に)粗粒化することもしばしば有利である。引続き、この粗粒化された粉末を用いて本来のリング状に成形し、その際、必要な場合には微粒状の離型剤をもう1回添加することもできる。
【0050】
このような中間緻密化(同様に最終成形)のための有利な離型剤として、Timcal AG (San Antonio, US)社のタイプTIMREX P44の微粒状の黒鉛もしくはLonza (CH-5643 Sins)社の黒鉛粉末Graphitpulver T44(篩分け分析又はレーザー回折:少なくとも50質量%が24μm未満、最大で10質量%が24μm超及び48μm以上、最大5質量%が48μm超、BET表面積:6〜13m2/g)が有利である。前記離型剤は、実施された中間緻密化の後に同時に本来のリングを成形する際に離型剤として作用し(かつ必要な場合に前記のように予め付加的に補充することもできる)。使用された黒鉛の灰分残留物(空気中で815℃で灼熱)が0.1質量%以下である場合は、有利であることが証明される。
【0051】
粗粒化を目的とするためのかかる中間緻密化は、例えばHosokawa Bepex GmbH (D-74211 Leingarten)社のタイプのKompaktor K 200/100の緻密化装置を用いて行なうことができる。中間緻密化の硬度は、しばしば既に10Nの範囲内にある。非担持触媒前駆成形体にリング状の成形するためには、例えばタイプRX 73またはS 100のキリアン(Kilian)回転装置(Rundlaeufer)(Kilian社, D-50735 Koeln)がこれに該当する。他には、Korsch (D-13509 Berlin)社のタイプPH 800-65のタブレット成形機が使用されてよい。
【0052】
リング状の非担持触媒を製造する場合には、リング状の非担持触媒前駆成形体を製造するために元素WおよびBiの供給源として活性材料Iの残りの成分の不在下に混合酸化物II、
Bia'b'x' (II)、
〔但し、a’は、0.01〜8であり、
b’は、0.1〜30であり、
x’は、II中の酸素とは異なる元素の原子価および頻度によって定められる数であるものとする〕を予め形成させ、それによって前記の混合酸化物の前形成後に、既に記載したように、望ましい活性材料の残りの成分の供給源として微粒状の成形可能な混合物を製造し、この混合物から、場合によってはなお成形助剤および/または補強助剤を添加してリング状の非担持触媒前駆成形体を成形することは、好ましい(ドイツ連邦共和国特許出願公開第4407020号明細書、欧州特許出願公開第835号明細書、欧州特許出願公開第575897号明細書、ドイツ連邦共和国特許第3338380号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10344149号明細書)。このような方法の場合には、微粒状の成形可能な混合物が湿式で製造される場合(懸濁液中で)に予め形成された混合酸化物Bia'b'x'が言うに値しない範囲内で溶解することは、有利であることが判明した。
【0053】
好ましい混合酸化物IIは、化学量論的割合のBiWO6、Bi229およびBi2312の混合酸化物である。
【0054】
勿論、多重金属酸化物I中に含有されているWおよびBiの部分量(例えば、それぞれ全体量の25モル%または50モル%または75モル%)だけには、混合酸化物IIが供給源として使用されてよい。しかし、特に多重金属酸化物中に含有されているWおよびBiの全体量には、供給源として混合酸化物IIが使用される。
【0055】
この場合、混合酸化物IIの製造は、次のように行なうことができる。例えば、Biの水溶性の塩、例えば硝酸塩、炭酸塩、水酸化物又は酢酸塩は、W酸又はそのアンモニウム塩と水中で混合され、前記混合物は乾燥され(有利に噴霧乾燥され)、引続き乾燥された材料は、熱処理される。
【0056】
次に、熱処理された材料は、有利に微粉砕され(例えば、ボールミル中でまたはビーム粉砕によって)、この場合に得られた、一般に本質的に球状の粒子からなる粉末から、活性材料Iにとって望ましい最大直径範囲内にある粒子最大直径(例えば、1nm〜100μm、しばしば10nm〜500nmまたは1μm〜50μmまたは25μm)を有する粒子種は、自体公知の方法で実施すべき分級(例えば、湿式篩分けまたは乾式篩分け)によって分離される。混合酸化物IIの製造の範囲内での熱処理は、有利に400〜900℃の温度、有利に600〜900℃で行なわれる。通常、熱処理は、空気流中で行なわれる(例えば、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10325487号明細書中の記載と同様の回転管炉中で)。前記熱処理の時間は一般に数時間に及ぶ。
【0057】
本発明によれば、好ましくは、微粒状の混合酸化物IIそれ自体は、多重金属酸化物Iを製造するための供給源として使用されない。本発明によれば、好ましくは、微粒状の混合酸化物IIには、有利に(微粒状の混合酸化物の質量に対して)微粒状のSiO20.1〜3質量%(通常、本質的に球状のSiO2粒子の数平均最大直径は、有利に10〜50nmである)が添加され、こうして出発材料1が製造され、この出発材料は、固有の供給源として使用される。
【0058】
更に、所望の活性の多重金属酸化物材料の残りの成分から、通常では、自体公知の適した供給源(欧州特許出願公開第835号明細書およびドイツ連邦共和国特許第3338380号明細書ならびにドイツ連邦共和国特許出願公開第4407020号明細書参照)から出発して、本発明により有利な方法で、例えばできる限り緊密な、有利に微粒状の乾燥混合物が製造され(例えば水溶性の塩、例えばハロゲン化物、硝酸塩、酢酸塩、炭酸塩または水酸化物を水溶液の形で合わせ、引続き前記水溶液を、例えば噴霧乾燥するか、又は非水溶性の塩、例えば酸化物を水性媒体中に懸濁させ、引続き前記懸濁液を、例えば噴霧乾燥し)、この混合物は、本明細書中で出発材料2と呼称される。重要であるのは、出発材料2の成分が既に酸化物であるか、又は加熱により、場合により酸素の存在で酸化物に変換可能な化合物であることだけである。引続き、出発材料1と出発材料2とは、所望の量比で、場合により成形助剤および/または補強助剤の添加後に混合して、リング状の非担持触媒前駆成形体に成形可能な混合物に変わる。この成形は、既に記載したように、応用技術的に有利に、中間緻密化の段階を経て行うことができる。
【0059】
あまり有利でない実施態様の場合には、予め形成された混合酸化物IIは、所望の活性材料の残りの成分の供給源と、液状媒体、有利に水性媒体中で緊密に混合されてよい。引続き、この混合物は、例えば緊密な乾燥混合物に乾燥され、次いで既に記載されたように、成形され、かつ熱処理される。この場合、残りの構成成分の供給源は、前記の液状媒体中に溶解及び/又は懸濁させて存在させることができ、それに対して、予め形成された混合酸化物IIは、液状媒体中にほとんど不溶性であり、即ち懸濁させて存在しなければならない。
【0060】
予め形成された混合酸化物II粒子は、完成されたリング状の非担持触媒中に、通常、前記分級によって調節された長手方向の伸びの点であまり変化しないで含有されている。
【0061】
即ち、例えば多重金属酸化物中に全体的に含有されているW少なくとも25モル%(有利に少なくとも50モル%および特に有利に100モル%)を、局所的な環境とは異なる化学組成のために局所的な環境によって制限された、化学組成Bia'b'X'の立体的に拡大された範囲の形で含有するような多重金属酸化物Iを得ることができ、この場合この多重金属酸化物の最大直径は、有利に1nm〜100μmの範囲内にある。
【0062】
本発明によれば、有利にこのように予め形成された混合酸化物IIの比表面積は、0.2〜2m2/g、特に0.5〜1.2m2/gである。更に、このように予め形成された混合酸化物IIの全細孔体積が生じ、好ましくは、主にミクロ孔を有する。
【0063】
本願明細書中で比表面積もしくはミクロ孔体積の測定についての全ての記載は、DIN 66131による測定に関する(Brunauer-Emmet-Teller (BET)によるガス吸収(N2)による固体の比表面積の測定)。
【0064】
本願明細書中で全細孔体積ならびに前記全細孔体積に対する直径分布の測定についての全ての記載は、別記しない限り、Micromeritics GmbH(4040 Neuss, DE)社の装置Auto Pore 9220(帯域幅30Å〜0.3mm)の適用での水銀細孔分析法を用いた測定に関する。
【0065】
原理的に本発明により使用することができる、リング状の非担持触媒は、刊行物WO 03/039744、欧州特許出願公開第279374号明細書および欧州特許出願公開第1340538号明細書中に記載された製造方法により得ることができる。
【0066】
相応して、前記のリング状の非担持触媒は、前記特許明細書中で推奨された物理的性質(比表面積、全細孔体積、全細孔体積に対する個々の細孔直径の貢献度、見掛け質量密度と実際の質量密度ρとの比R(R=1/(1+V・p)、但し、V=全細孔体積)を有していてもよい。
【0067】
即ち、Rは、本発明により使用することができるリング状の非担持触媒に対して0.25〜0.55ならびに0.55超であることができる。好ましくは、Rは、0.9以下または0.8以下および0.6以上または0.65以上である。
【0068】
更に、本発明による有利に使用することができるリング状の非担持触媒は、比表面積Oが5〜20m2/gまたは15m2/g、しばしば5〜10m2/gである。本発明による特に好適なリング状の非担持触媒の全細孔体積は、有利に0.1〜1cm3/gまたは0.8cm3/gの範囲内にあり、しばしば0.2〜0.4cm3/gの範囲内にある。
【0069】
好ましくは、種々の細孔直径は、本発明により使用することができるリング状の非担持触媒の場合には有利に次のように全細孔体積(細孔分布A)に貢献する:
0.03μm未満の範囲内の直径を有する細孔:5体積%以下;
0.03μm以上〜0.1μm以下の範囲内の直径を有する細孔:25体積%以下;
0.1μm以上〜1μm以下の範囲内の直径を有する細孔:70体積%以上;および
1μm以上〜10μm以下の範囲内の直径を有する細孔:10積%以下。
【0070】
特に好ましくは、本発明による使用することができるリング状の非担持触媒の場合には、全細孔体積に対する種々の細孔直径の割合は、次の通りである(細孔分布B):
0.03μm未満の範囲内の直径を有する細孔:0体積%以上および5体積%以下、有利に3体積%以下;
0.03μm以上〜0.1μm以下の範囲内の直径を有する細孔:3体積%以上または5体積%以上および20体積%以下または15体積%以下;
0.1μm以上〜1μm以下の範囲内の直径を有する細孔:75体積%以上または80体積%以上および95体積%以下または90体積%以下;
1μm以上〜10μm以下の範囲内の直径を有する細孔:0体積%以上および5体積%以下、有利に3体積%以下。
【0071】
更に、百分率で全細孔体積Vに対する最大の貢献を保証するような細孔直径dmaxが0.3〜0.8μm、特に有利に0.4〜0.7μm、殊に有利に0.5〜0.6μmであることは、本発明により使用することができるリング状の非担持触媒のために有利である。
【0072】
特に好ましくは、本発明による方法には、同時に当てはまるようなリング状の非担持触媒が使用される:
O=5〜10m2/g、特に5〜15m2/g、特に有利に5〜10m2/g;
V=0.1〜1cm3/g、特に0.1〜0.8cm3/g、特に有利に0.2〜0.4cm3/g;および
細孔分布=細孔分布Aまたは細孔分布B。
【0073】
更に、本発明によれば、同時に次のことが満たされていることは、好ましい:
max=0.3〜0.8μm、特に0.4〜0.7μm、特に有利に0.5〜0.6μm。
【0074】
本発明により注目すべき方法で、0.1μm超〜1μm未満の細孔直径範囲の細孔は、アクロレイン形成の選択性を明らかにする。
【0075】
これとは異なり、0.01〜0.1μmの細孔直径範囲の細孔は、むしろアクリル酸と同等の生成物形成の選択性を明らかにする。
【0076】
リング状の非担持触媒前駆成形体の側面圧縮強度が増大すると共に、生じる非担持触媒リング中の細孔直径は、一般により大きな値にシフトされる。この場合、同時に生じるリング状の非担持触媒の側面圧縮強度は、通常、よりいっそう高い値にシフトする。生じる非担持触媒の側面圧縮強度は、一般的な場合には、属するリング状の非担持触媒前駆成形体の側面圧縮強度よりも小さい。
【0077】
典型的には、本発明より適したリング状の非担持触媒の側面圧縮強度は、5〜15N、しばしば8〜11Nである。なかんずく、前記の側面圧縮強度および同時にO、Vの前記の組合せ、細孔分布Aまたは細孔分布Bならびに場合によってはdmaxが存在する場合には、本発明により使用することができるリング状の非担持触媒は、有利である。
【0078】
アクロレインへのプロペンの不均一系触媒反応による部分気相酸化の本発明による方法は、その他の点でWO 00/53557、WO 00/53558、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19910506号明細書、欧州特許出願公開第1106598号明細書、WO 01/36364、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19927624号明細書、WO 00/53557、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19948248号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19948523号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19948241号明細書、欧州特許出願公開第700714号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10313213号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10313209号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10232748号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10313208号明細書、WO 03/038744、欧州特許出願公開第279374号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第3338380号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第3300044号明細書、欧州特許出願公開第575897号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第4407020号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10344149号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10351269号明細書およびドイツ連邦共和国特許出願公開第10350812号明細書の記載と同様に実施されてよく、この場合触媒固定床は、例えば本発明により使用することができるリング状の非担持触媒だけを含むことができるかまたは不活性の成形体で希釈されたリング状の非担持触媒を含むことができる。後者の希釈されたリング状の非担持触媒の場合には、前記触媒充填物は、本発明によれば一般に、その体積比活性が反応ガス混合物の流動方向に向かって連続的に、急激におよび/または段階的に増加するように構成するのが有利である。
【0079】
本発明による方法の場合に使用することができるリング状の非担持触媒の利点は、なかんずく、プロペンでの触媒固定床の負荷量が130Nl/l・h以上、または140Nl/l・h以上、または150Nl/l・h以上、または160Nl/l・h以上である場合に明らかになる。通常の場合には、触媒固定床の前記負荷量は600Nl/l・h以下、しばしば500Nl/l・h以下、しばしば400Nl/l・h以下または350Nl/l・h以下である。160Nl/l・h〜300または250、または200Nl/l・hの範囲内の触媒固定床のプロペン負荷量は、特に典型的である。
【0080】
勿論、本発明による方法は、使用することができる触媒固定床の本発明によらないプロペン負荷量の場合にも120Nl/l・h未満、または110Nl/l・h以下、または100Nl/l・h以下で運転されてよい。しかし、一般に、このような本発明によらないプロペン負荷量は、60Nl/l・h以上または80Nl/l・h以上である。
【0081】
触媒固定床の"プロペン負荷量"は、本明細書中において(一般的なように)、1時間当たりの反応ガス出発混合物の成分として1リットルの触媒固定床に導通される、標準リットル(=Nl;標準条件下、即ち25℃および1バールで相応するプロペン量が占めるであろう、1リットル当たりの体積)でのプロペンの量である。この場合、純粋な不活性材料からの流出前および/または流出後は、触媒固定床に属するとはみなされない。反応ガス出発混合物での触媒固定床の負荷は、相応して理解され、この場合、"プロペン"は、単に"反応ガス出発混合物"によって代替することができる。
【0082】
原理的に、プロペンでの触媒固定床の負荷は、本発明による方法の場合には、2個の調節ねじにより調節されてよい:
a) 反応ガス出発混合物での触媒固定床の負荷;および/または
b)プロペンを有する反応ガス出発混合物の含量。
【0083】
本発明による方法は、触媒固定床のプロペン負荷量が120Nl/l・h以上である場合、負荷量の調節が前記調節ねじa)により行なわれ、ならびに負荷量の調節が前記調節ねじb)により行なわれる場合に適している。一般に、調節ねじa)による高い負荷量の調節は、有利であることが判明し、それというのも、それと結合された比較的に僅かなプロペン部分圧力は、触媒組織中での僅かな滞留時間に付随して現れ、同時に触媒表面上での活性中心のブロック化は、困難になる。更に、このような方法に付随して、好ましい半径方向および軸方向の熱搬出が現れる。
【0084】
反応ガス出発混合物中のプロペン含量は、本発明による方法の場合に一般に(即ち、負荷量にほとんど依存せずに)、4〜20体積%、しばしば5〜15体積%、または5〜12体積%、または5〜8体積%である(それぞれ全体積に対して)。また、本発明による好ましいプロペン含量は、相応する関連範囲7〜15体積%または8〜12体積%、または9〜11体積%、ならびに5〜8体積%である。
【0085】
しばしば、本発明により得られたリング状の非担持触媒を用いる接触部分酸化(負荷にほとんど依存しない)方法は、反応ガス出発混合物中でのプロペン:酸素:無関係なガス(水蒸気を含む)の体積比1:(1.0〜3.0):(3〜30)、有利に1:(1.5〜2.3):(10〜15)で実施される。
【0086】
即ち、一般に反応ガス出発混合物中でモル比O2:C36は、3以下になる。
【0087】
無関係なガス(又は不活性ガス)とは、部分酸化の進行において少なくとも95モル%、有利に少なくとも98モル%までが化学的に変化しないで維持されるガスであると解釈される。
【0088】
前記の反応ガス出発混合物において、無関係なガスは20体積%以上、または30体積%以上、または40体積%以上、または50体積%以上、または60体積%以上、または70体積%以上、または80体積%以上、または90体積%以上、または95体積%以上まで分子窒素からなることができる。
【0089】
しかし、無関係は、希釈ガスは、例えば2〜35体積%または20体積%までがH2Oからなることができ、65〜98体積%までがN2からなることができる。
【0090】
しかし、250Nl/l・h以上のプロペンでの触媒固定床の負荷の際に、反応ガス出発混合物に対して不活性の希釈ガス、例えばプロパン、エタン、メタン、ペンタン、ブタン、CO2、CO、水蒸気および/または希ガスを併用することも推奨される。一般に、この不活性ガス及びこれらの混合物は、既に、部分酸化されるべき有機化合物での触媒充填物のよりわずかな本発明による負荷の際でも既に使用することができる。循環ガスを希釈ガスとして併用することもできる。循環ガスとは、部分酸化の生成物ガス混合物から目的化合物をほとんど選択的に分離した際に残留する残留ガスであると解釈される。この場合には、本発明により使用することができるリング状の非担持触媒を用いたアクロレインへの本発明による部分酸化は、本来の目的化合物としてのアクリル酸へのプロペンの二段階の部分酸化の第1段階だけであることができ、前記の循環ガス形成は、多くの場合に第2段階の後で初めて行われることを考慮しなければならない。このような二段階の部分酸化の範囲内で、一般に、第1段階の生成物ガス混合物は、それ自体で、場合により冷却および/または二次酸素添加の後に第2の部分酸化段階に供給される。
【0091】
この場合、本発明によれば、単に反応ガス出発混合物が二酸化炭素および飽和炭化水素を共に15モル%(または15体積%)以下、特に10モル%以下、特に有利に5モル%以下または3モル%以下の全体量で含有することは、本質的なことである。
【0092】
本発明により使用することができるリング状の非担持触媒を使用しながらアクロレインへのプロペンの本発明による部分酸化の際に、反応ガス出発混合物(選択された負荷に依存しない)の典型的組成は、例えば次の成分を含有することができる:
プロペン6〜6.5体積%、
2O3〜3.5体積%、
CO0.3〜0.5体積%、
CO20.8〜1.2体積%、
アクロレイン0.025〜0.04体積%、
210.4〜10.7体積%および
分子窒素残量として100%になるまで、または
プロペン5.4体積%、
酸素10.5体積%、
COx1.2体積%、
281.3体積%および
2O1.6体積%。
【0093】
しかし、この反応ガス出発混合物は次のような組成を有することもできる:
プロペン7〜15体積%、
水4〜30体積%(しばしば6〜15体積%)、
プロペン、水、酸素及び窒素とは異なる成分0以上〜10体積%、
含まれる分子酸素対含まれる分子プロペンのモル比が1.5〜2.5となるような量の分子酸素、および
残量として全体量100体積%になるまで分子窒素。
【0094】
他の可能な反応ガス出発混合物の組成は次のものを有する:
プロペン6.0体積%、
空気60体積%および
2O34体積%。
【0095】
他には、欧州特許出願公開第990636号明細書の実施例1によるか又は欧州特許出願公開第990636号明細書の実施例2によるか又は欧州特許出願公開第1106598号明細書の実施例3によるか又は欧州特許出願公開第1106598号明細書の実施例26によるか又は欧州特許出願公開第1106598号明細書の実施例53による組成の反応ガス出発混合物を使用してもよい。
【0096】
更に、本発明による適した反応ガス出発混合物は、次の組成パターンであることができる:
プロペン7〜11体積%、
水6〜12体積%、
プロペン、水、酸素及び窒素とは異なる成分0以上〜5体積%、
含まれる分子酸素対含まれる分子プロペンのモル比が1.6〜2.2となるような量の分子酸素、および
残量として全体量100体積%までの(本質的に)分子窒素。
【0097】
プロペン部分酸化のための反応温度(即ち、触媒固定床の温度)は、本発明により使用することができるリング状の非担持触媒を使用した際にしばしば150〜450℃、特に300〜400℃の範囲内、特に有利に300〜380℃である。
【0098】
反応圧力は、前記の部分酸化のために、一般に0.5または1.5〜3または4バールである。
【0099】
反応ガス出発混合物での触媒固定床の全負荷量は、本発明による際に典型的には1000〜10000Nl/l・h、多くの場合に1500〜5000Nl/l・h、しばしば2000〜4000Nl/l・hである。
【0100】
反応ガス出発混合物中で使用されるべきプロペンとして、例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第10232748号明細書に記載されたように、特にポリマーグレードのプロペン及び化学グレードのプロペンがこれに該当する。
酸素源として、通常では空気が使用される。
【0101】
本発明により使用すべきリング状の非担持触媒を使用する際の本発明による部分酸化の実施は、最も簡単な方法で、例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第4431957号明細書、欧州特許出願公開第700714号明細書、WO 03/057653、WO 03/055835、WO 03/059857、WO 03/076373および欧州特許出願公開第700893号明細書の記載と同様に、単独帯域多接触管(Einzonen-Vielkontaktrohr)型−固定床反応器中で行なうことができる。
【0102】
通常は前記管束型反応器中で、前記接触管はフェライト系の鋼から完成されており、かつ典型的には1〜3mmの肉厚を有する。この接触管の内径は、一般的に20〜30mm、しばしば22〜26mmである。典型的な接触管の長さは、例えば3.20mである。使用技術的に有利には、管束型容器中に収容された、接触管の数は、少なくとも5000、特に少なくとも1000である。しばしば、反応容器中に収容された接触管の数は、15000〜30000である。40000を上廻る数の接触管を有する管束型反応器は、むしろ例外である。前記容器内に、前記接触管は通常では均一に分布して配置されていて、その際、前記の分布は有利に、互いに隣り合う接触管の中心の内軸の間隔(いわゆる接触管分布)が35〜45mmである(欧州特許第468290号明細書参照)ように選択される。
【0103】
しかしながら、本発明による部分酸化は、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19948523号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19910506号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10313213号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10313208号明細書および欧州特許出願公開第1106598号明細書の記載と同様に、殊にプロペンでの触媒固定床の特に高い負荷の際に推奨される多帯域(例えば二帯域)−多接触管型−固定床反応器中で実施されてもよい。二帯域−多接触管−固定床反応器の場合の典型的な接触管の長さは、3.50mである。他の全ての点は、本質的に単独帯域多接触管型−固定床反応器の記載と同様である。触媒充填物が内部に存在する接触管の周囲には、全ての熱処理帯域において熱交換媒体が案内される。それ自体、例えば塩、例えば硝酸カリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸ナトリウムおよび/または硝酸ナトリウム、または低融点の金属、例えばナトリウム、水銀ならびに種々の金属の合金の融液が適している。それぞれの熱処理帯域内での熱交換媒体の流速は、一般に、前記熱処理帯域中への入口個所の熱交換媒体の温度が、前記熱処理帯域から出口個所までに0〜15℃、しばしば1〜10℃、または2〜8℃、または3〜6℃上昇するように選択される。
【0104】
それぞれの熱処理帯域(単独帯域−多接触管型−固定床反応器の場合の単独帯域を含めて)を考慮して、反応ガス混合物に対して並流または向流で案内することができる(この場合、並流運転形式は、本発明によれば、特に好ましい)前記熱交換媒体の入口温度は、有利に、刊行物欧州特許出願公開第1106598号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19948523号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19948248号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10313209号明細書、欧州特許出願公開第700714号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10313213号明細書、WO 00/53557、WO 00/53558、WO 01/36364、WO 00/53557ならびに前記刊行物に先行技術として引用された別の刊行物に推奨されているような温度が選択される。前記熱処理区域内で、前記熱交換媒体は有利に蛇行するように案内される。一般に、多接触管−固定床反応器は、付加的に触媒床中のガス温度を測定するための温度管を備えている。有利に、前記温度管の内径及び熱電素子用の内側の収納スリーブの直径は、反応熱を生じる体積と熱を導出する表面との比が温度管と作業管とで等しくなるように選択される(欧州特許出願公開第873783号明細書、WO 03−076373および欧州特許出願公開第1270065号明細書参照)。
【0105】
圧力損失は、作業管と温度管とで同じGHSVに対して等しいのが有利である。温度管の場合の圧力損失の適合は、粉砕したリング状の触媒をリング状の非担持触媒に添加することによって行なうことができる。この調整は有利に全体の温度管の長さにわたって均質に行なわれる。
【0106】
接触管中の触媒固定床の準備のために、本発明による方法の場合には、既に記載されたように、本発明により使用すべきリング状の非担持触媒だけかまたは例えば本発明により使用すべきリング状の非担持触媒と活性材料を有していない不均一系触媒を用いた、アクロレインへのプロペンの部分気相酸化に関連して主に不活性に挙動する成形体との十分に均質な混合物を使用することができる。このような不活性な成形体の材料として、例えば多孔性または無孔性の酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化トリウム、二酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、ケイ酸塩、例えばケイ酸マグネシウムまたはケイ酸アルミニウム、またはステアタイト(例えばCeramTec (DE)社のタイプC220)がこれに該当する。
【0107】
このような不活性な希釈成形体の形状は、原理的に任意であることができる。即ち、この形状は、例えば球、多辺形、円柱またはこの触媒成形体と同様にリングであることができる。しばしば、不活性な希釈成形体として、この希釈成形体で希釈すべきリング状の非担持触媒の形状に相応する形状が選択される。しかし、リングの形状は、触媒固定床に沿って交換されてもよい。あまり好ましくない方法において、リング状の非担持触媒の活性材料は、この活性材料が一般式Iの成分を残留させている限り、触媒固定床に沿って変化されてもよい。一般的には、既述したように、触媒固定床は、有利に体積比(体積の単位に対して規格化された)活性が反応混合物の流動方向に一定のままであるかまたは増加する(連続的にか、突発的にか、または階段状に)ように形成される。
【0108】
体積比活性の低下は、簡単な方法で、例えば、本発明により均一に製造されたリング状の非担持触媒の基本量を不活性の希釈成形体で均一に希釈することによって達成することができる。希釈成形体の含量は高ければ高い程、一定の体積の充填物中に含有されている活性材料または触媒活性は、ますます僅かになる。しかし、1つの減少は、リングの全体積(リングの開口を含めて)の単位中に含有されている活性材料の量が少なくなるように、本発明により使用すべきリング状の非担持触媒の形状が変化することによって達成されてもよい。
【0109】
本発明により使用することができるリング状の非担持触媒を用いた不均一系触媒による本発明による気相部分酸化のために、触媒固定床は、有利に全長で均一に1つだけの非担持触媒リングで構成されているかまたは次のように構成されている。最初に、触媒固定床の全長のそれぞれ10〜60%、有利に10〜50%、特に有利に20〜40%、殊に有利に25〜35%の長さ(即ち、例えば0.70〜1.50m、有利に0.90〜1.20mの長さ)で、希釈成形体と本発明により使用することができるリング状の非担持触媒とからなるほぼ均一な混合物(この場合、これら双方は有利にほぼ同じ形状を有する)であり、その際、希釈成形体の質量割合(触媒成形体と希釈成形体との質量密度は一般にわずかに異なるだけである)は、通常では5〜40質量%、または10〜40質量%、または20〜40質量%、または25〜35質量%である。更に、この第1の充填物区間に引き続き、有利に触媒固定床の長さの終わりまで(即ち、例えば2.00〜3.00m、有利に2.50〜3.00mの長さまで)、(第1の区間よりも)わずかな程度でだけ希釈された本発明により使用することができるリング状の非担持触媒の充填物または特に有利に第1の区間において使用されたものと同じリング状の非担持触媒だけの(希釈されていない)充填物を存在させる。もちろん、全体の充填物にわたり一定の希釈を選択することもできる。第1の区間において、その所要空間に対してわずかな活性材料密度の本発明により使用することができるリング状の非担持触媒だけを装入し、かつ第2の区分において、その所要空間に対してより高い活性材料密度を有する本発明により使用することができるリング状の非担持触媒を装入することもできる(例えば、第1の区間中では6.5mm×3mm×4.5mm[A×L×I]、及び第2の区間中では5×2×2mm)。
【0110】
総じて、アクロレインへのプロペンの本発明による部分酸化の場合には、触媒固定床、反応ガス出発混合物、負荷量および反応温度(触媒固定床の温度)は、一般に、反応ガス混合物が触媒固定床を1回通過する際に部分的に酸化することができるプロペンの変換率が少なくとも90モル%、または少なくとも92モル%、特に少なくとも95モル%または少なくとも97モル%になるように選択される。この場合、アクロレイン形成の選択度は、規則的に80モル%以上、または82モル%以上、または84モル%以上、または85モル%以上、または86モル%以上、または87モル%以上になる。勿論、この場合には、特に僅かなホットスポット温度が生じる。この場合には、同時に、目的生成物形成の高められた選択度が生じる。
【0111】
最終的に、本発明により使用することができるリング状の非担持触媒は、反応器を充填した際に有利な破壊挙動を有していることも確認される。その圧力損失挙動も有利である。その他の点では、本発明により使用することができるリング状の非担持触媒は、全く一般的に、有機化合物、例えば低級(例えば3〜6(即ち、3、4、5又は6)個のC原子を有する)アルカン、アルカノール、アルカナール、アルケンおよびアルケナールを、オレフィン系不飽和アルデヒドおよび/またはカルボン酸、ならびに相応する亜硝酸塩へ気相接触部分酸化(なかんずくアクリルニトリルへのプロペンのアンモ酸化およびメタクリルニトリルへの2−メチルプロパンまたは第三ブタノール(またはそのメチルエーテル)のアンモ酸化)のため、ならびに有機化合物(例えば3、4、5または6個のC原子を有する)の気相接触酸化脱水素のための高められた活性及び選択性を有する触媒として適している。この場合、目的化合物としてのメタクロレインの場合には、ドイツ連邦共和国特許出願公開第4407020号明細書の記載と同様に実施されてよい。
【0112】
本発明により得ることができる活性材料のビスマス含有量は、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10063162号明細書の記載と同様に調節されてもよい。この場合には、努力して得ようとする活性材料の元素の構成成分の出発化合物から溶液または懸濁液が製造され、前記の溶液又は懸濁液は、活性材料の製造に必要とされる、Biとは異なる元素の構成成分の全体量を含有するが、しかし、活性材料の製造に必要とされるBiの部分量だけを含有し、前記溶液または懸濁液が乾燥されて乾燥材料を取得し、活性材料の製造に付加的に必要とされる残りの量のBiをBiの出発化合物の形で、例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第10063162号明細書の記載と同様に前記乾燥材料に混入(例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第10063162号明細書の実施例と同様に)して成形可能な混合物にし、前記の成形可能な混合物が本発明により(場合により成形助剤および/または補強助剤の添加後に)成形してリング状の非担持触媒前駆成形体に変わり、前記成形体が熱処理によって(例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第10063162号明細書の実施例と同様に)所望のリング状の非担持触媒に変換される。
【0113】
本発明による方法の利点は、変動する市場での需要のために目的生成物により必要とされる、触媒固定床のプロペン負荷量が変化する際に、不変のプロペン変換率に対して反応混合物の1回の通過で触媒固定床の温度の顕著な変化が現れることがないように適合させることが可能であることにある。このことは、装置の設計を著しく簡易化する。
【0114】
本発明により使用することができるリング状の非担持触媒を有する新しい触媒固定床の始動は、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10337788号明細書の記載と同様に行なうことができる。一般に、目的生成物生成の活性及び選択性は、初めは前記触媒充填物の運転時間と共に上昇する。この調整は、ほとんど変化しない変換率で反応ガス出発混合物での触媒充填物の高めた負荷量で実施しかつ十分に完全に調整が行なわれた後に前記負荷量をその目標値に戻すことにより促進させることができる。
【0115】
本発明により運転される触媒固定床の再生は、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10351269号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10350812号明細書、欧州特許出願公開第169449号明細書、欧州特許出願公開第614872号明細書および欧州特許出願公開第339119号明細書の記載と同様に行なうことができる。
【0116】
最後に、本発明による方法は、本発明による方法によらずに、一般式Iの多重金属酸化物からなるが、しかしリングの形状とは異なる、ドイツ連邦共和国特許出願公開第101011695号明細書に記載の形状を有する非担持触媒を用いても実施されうることが確認されるであろう。この場合、プロペン負荷量は、120Nl/l・h以上または120Nl/l・h未満であることができる。
【0117】
この場合、特に好ましい非担持触媒の形状は、なかんずくドイツ連邦共和国特許出願公開第10101695号明細書の図1Aおよび図2Aに記載されている。
【0118】
実施例
実施例および比較例
A)次の活性材料の化学量論的量VS:Mo122Co5.5Fe3Bi1Si1.60.06Xを有するリング状の比較非担持触媒の製造
1.出発材料1の製造
硝酸ビスマス水溶液775kg(Bi 11.2質量%;遊離硝酸3〜5質量%;材料密度1.22〜127g/ml)中に25℃で少量ずつタングステン酸209.3kg(W 72.94質量%)を撹拌混入した。引続き、生じた水性混合物をさらに25℃で2時間撹拌し、引続き噴霧乾燥させた。
【0119】
噴霧乾燥を、回転ディスク型噴霧塔中で向流で300±10℃のガス入口温度および100±10℃のガス出口温度で行なった。引続き、12質量%の灼熱減量を有する(空気中で600℃で3時間灼熱する)、得られた噴霧粉末(ほぼ均一で30μmの粒度)を、水16.8質量%(前記粉末に対して)と混練機中で混練し、押出機(トルク:50Nm以下)を用いて直径6mmのストランドに押出成形した。
このストランドを6cmの断片に切断し、3帯域ベルト式乾燥機で120分間の滞留時間で90〜95℃(帯域1)、115℃(帯域2)および125℃(帯域3)の温度で空気乾燥させ、次いで780〜810℃の範囲内の温度で熱処理した(焼成;通気した回転管炉(低圧0.3ミリバール、内部容積1.54m3、200Nm3空気/h))。
【0120】
か焼温度の正確な調節の際に、前記調節をか焼生成物の努力して得ようする相の組成に基づいて方向付けして行なうことは重要である。相WO3(単斜晶)およびBi229は望ましく、γ−Bi2WO6(ルッセライト)の存在は望ましくない。従って、か焼の後に化合物γ−Bi2WO6が、反射角2θ=28.4°(CuKα−放射線)で粉末X線回折における反射を用いてなお検出可能である場合には、この調整を、繰り返すことができ、前記反射の消失が達成されるまで、記載された温度範囲内で前記か焼温度を高めるかまたは同じか焼温度で滞留時間を延長することができる。こうして得られた予め形成されか焼された混合酸化物を粉砕し、生じる粒子のX50値(Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry,第6版 (1998) Electronic Release, 3.1.4章またはDIN 66141参照)は5mmであった。次に、前記粉砕物を、Degussa社のタイプSipernat(登録商標)の微粒状の微細粒SiO2(嵩密度150g/l;SiO2粒子のX50値は10μmであり、BET表面積は100m2/gであった)1質量%(前記粉砕物に対して)と混合した。
【0121】
2.出発材料2の製造
水600l中に60℃で撹拌しながら七モリブデン酸アンモニウム四水和物213kg(MoO3 81.5質量%)を溶解し、生じた溶液を60℃に維持しかつ撹拌しながら20℃の水酸化カリウム水溶液0.97kg(KOH 46.8質量%)を添加することにより、溶液Aを製造した。
【0122】
硝酸Co(II)水溶液262.8kg(Co 12.4質量%)中に60℃で硝酸鉄(III)水溶液116.25kg(Fe 14.2質量%)を搬入することにより、溶液Bを製造した。引続き、60℃に維持しながら、溶液Bを30分間にわたり連続的に装入された溶液A中にポンプ輸送した。引続き、60℃で15分間撹拌した。次いで、生じた水性混合物に、Dupont社のタイプLudoxのシリカゲル19.16kg(SiO2 46.80質量%、密度:1.36〜1.42g/ml、pH 8.5〜9.5、アルカリ金属含有量 最大で0.5質量%)を添加し、その後にさらになお15分間60℃で撹拌した。
【0123】
引続き、回転ディスク型噴霧塔中で向流で噴霧乾燥した(ガス入口温度:400±10℃、ガス出口温度:140±5℃)。生じる噴霧粉末は、約30質量%の灼熱減量(空気中で600℃で3時間灼熱する)を有し、かつ30μmのほぼ均一な粒子を有していた。
【0124】
3.多重金属酸化物活性材料の製造
出発材料1を出発材料2と、比較化学量論的割合
Mo122Co5.5Fe3Bi1Si1.60.08x
の多重金属酸化物活性材料に必要とされる量でナイフヘッドを備えた混合機中で均一に混合した。前記の全材料に対して、付加的にTimcal AG (San Antonio, US)社のタイプTIMREX P44の微粒状の黒鉛1質量%(篩分け分析:少なくとも50質量%が24μm未満、最大で10質量%が24μm以上および48μm以上、最大で5質量%が48μm超であり、BET表面積:6〜13m3/g)1質量%を均質に混入した。次に、生じた混合物を、凹状の溝付き仕上ロールを備えたのタイプKompaktor K200/100の圧縮機(Hosokawa Bepex GmbH社、D-74211 Leingarten)中に通した(間隙幅:2.8mm、目開き:1.0mm、目開きアンダーサイズ:400μm、設定圧縮力:60kN、スクリュー回転数:65〜70rpm)。生じた圧縮物は、10Nの硬度を有し、400μm〜1mmのほぼ均一な粒子を有する。
【0125】
引続き、前記圧縮物を、その質量に関して、さらに2質量%の同じ黒鉛と混合し、引続きKilian Rundlaeufer(タブレット成形機)Kilian (D-50735 Koeln)社のタイプRx73中で、窒素雰囲気下で圧縮して、16.3Nの側面圧縮強度を有する、形状寸法(A×L×I)のリング状の非担持触媒前駆成形体に変えた。
【0126】
最終的な熱処理のために、非担持触媒前駆成形体1000gを、空気を貫流させたマッフル炉(内容量60l、非担持触媒前駆成形体1g当たり空気1l/h)中でまず180℃/hの加熱速度で室温(25℃)から190℃に加熱した。この温度を1時間維持し、次いで加熱速度60℃/時間で210℃に加熱した。この210℃を再び1時間維持し、その後に前記温度を加熱速度60℃/時間で230℃に加熱した。この温度を同様に1時間保持し、その後に前記温度を再び加熱速度60℃/時間で265℃に高めた。引続き、この265℃を同様に1時間維持した。その後にまず室温に冷却し、それにより分解段階はほぼ終結した。次に、加熱速度180℃/時間で465℃に加熱し、このか焼温度を4時間維持した。
【0127】
この場合、リング状の非担持触媒前駆成形体から次のリング状の比較非担持触媒を得た:
比表面積O:9.61cm2/g。
細孔全容積V:0.22cm3/g。
max[μm]:0.30。
R:0.68。
【0128】
直径が0.1μm超および1μm未満である、細孔全体積に対する細孔直径の百分率での割合は、次の通りである:V10.1%=70。
【0129】
更に、図1は、リング状の比較非担持触媒VSの細孔分布を示す。横座標上に細孔直径をμmでプロットした(対数目盛)。左側の縦座標には、全細孔体積に対するそれぞれの細孔直径のml/gで示す微分された貢献度がプロットされている(曲線+)。この最大値は、全細孔体積に対する最大の貢献度を有する細孔直径を表す。右側の縦座標には、ml/gで示す、全細孔体積に対する個々の細孔直径の個々の貢献度に関する積分がプロットされている(曲線○)。この終点は全細孔体積である。
【0130】
B)次の活性材料:Mo122Co7Fe3Bi1Si1.50.05yの本発明による化学量論的割合BSを有する本発明によるリング状の非担持触媒BVKの製造
製造は、比較非担持触媒VVKの場合と同様に行なわれたが、しかし、溶液Bを製造する場合には、硝酸コバルト(II)水溶液の量を262.9kgから334.6kgに上昇させた。更に、出発材料1を出発材料2と、本発明による化学量論的割合Mo122Co7Fe3Bi1Si1.60.08yの多重金属酸化物材料に必要される量で混合した。
【0131】
生じた本発明によるリング状(6mm×3mm×4mm)の非担持触媒BVK(O、V、dmax、R、V10.1%)の物理的性質は、再生可能性内でリング状の比較非担持触媒の物理的性質とは区別不可能である。
【0132】
比較非担持触媒VVKの製造の場合と同様に熱処理を実施する代わりに、熱処理は、WKの製造ならびにBVKの製造の際にドイツ連邦共和国特許出願公開第10046957号明細書の実施例1の記載と同様にベルト型か焼装置を用いて実施され(しかし、この場合、分解(室1〜4)における堆積高さは、有利に1室当たりの滞留時間1.46時間で44mmに達し、かつか焼(室5〜8)において有利に滞留時間4.67時間で130mmに達する);前記室は(均一な室の長さ1.40mで)底面積1.29m2(分解)及び1.40m2(か焼)を有し、かつ粗い目のベルトを通して下方から供給空気75Nm3/hが貫流され、前記空気は回転するベンチレータを用いて吸引される。前記室内で、温度の時間的および局所的なずれは、目標値から絶えず2℃以下である。その他の点では、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10046957号明細書の実施例1の記載と同様に実施される。生じるリング状の非担持触媒は、リング状の非担持触媒VVKおよびBVKと同様に次にC)に記載される、プロペンからアクロレインへの気相接触部分酸化のために使用されてよい。
【0133】
他の方法として、前記熱処理を空気循環炉(例えばElino社のタイプLaborkammerofen KA-040/006-08 EW.OHのような炉もしくはHeraeus社のタイプK 750のような炉)中で実施することができ、6時間に270℃に加熱され、引続き270℃で循環空気が硝酸ガスを有しなくなるまで維持する。引続き、1.5時間430℃〜460℃(有利に438℃)の温度に加熱し、この温度を10時間維持する。空気洗浄量は、800Nl/hである。リング状の非担持触媒前駆成形体1000gを立方体のワイヤかご(高さ10cm、底面積14cm×14cm)中で、約4cmの充填高さで充填した。前記の運搬かごの残りの底面積を、相応する充填高さで同じ形状寸法のステアタイトリング(実施例及び比較例中で常にCeram Tee (DE)社のタイプC220)で覆った。
【0134】
生じるリング状の非担持触媒は、リング状の非担持触媒WKおよびBVKと同様にC)に例示的に記載された気相接触部分酸化に使用されてよい。
【0135】
C) A)およびB)で製造されたリング状の非担持触媒VVKまたはBVKの、プロペンからアクロレインへの不均一系触媒による部分酸化のための試験
1.試験装置
反応管(V2A鋼;外径30mm、肉厚2mm、内径26mm、長さ320cm)、前記反応管の中央に位置する、熱電対を収容するための温度管(外径4mm)は、その全長にわたる反応管中の温度を測定することができる。
【0136】
この場合、流動方向で次のように充填した:
区間1:長さ50cm、
前充填物として形状寸法7mm×7mm×4mm(外径×長さ×内径)のステアタイトリング。
区間2:長さ270cm、
リング状の非担持触媒VVKまたはBVKを有する触媒充填物。
【0137】
前記反応管の熱処理を、向流でポンプ輸送された塩浴を用いて行なった。
【0138】
2.試験実施
記載された、それぞれ新たに準備された試験装置にそれぞれ連続的に
プロペン5.4体積%(ケミカルグレードのプロペン)、
酸素10.5体積%、
COx1.2体積%、
281.3体積%および
2O1.6体積%の組成の供給ガス混合物(反応ガス出発混合物)を供給し、この場合反応管の恒温化は、反応ガス出発混合物での触媒固定床の所定の負荷PL(Nl/l・h)の際に、プロペン変換率U(モル%)が反応管への反応ガス出発混合物の1回の通過の際に連続的に約95モル%であるように行なわれた。
【0139】
次の表は、選択された触媒固定床に依存して150Nl/l・hの選択されたプロペン負荷量の際に生じるホットスポット温度(THS(℃))ならびに1回の通過で変換されるプロペンに対するアクロレイン形成の意図された選択度SAを示す。
【0140】
記載された結果は、常に120時間の運転時間の終結に関連している。
【0141】
更に、下記表は、150Nl/l・hのPLが100Nl/l・hに減少する際(とにかく不変の条件下で)にプロペン変換率を維持するためにどの位の℃で塩浴温度を低下させなければならないか(ΔTS)を示す。
【0142】
【表1】

【0143】
結果は、触媒固定床BVKの複数の側で全ての利点が存在することを証明する。アクリル酸副生成物形成の選択度は、全ての場合に約8.5モル%であった(変換されたプロペンに対して)。
【0144】
前記の試験実施は、相応するように、区間2が(それぞれ流動方向に向かって)次のように構成されている触媒充填物を用いて実施されてもよい:
I.最初に100cmの長さでBVK65質量%とステアタイトリング35質量%(5mm×3mm×2mm)とからなる均質な混合物;引続き170cmの長さでBVK90質量%とステアタイト10質量%(5mm×3mm×2mm)とからなる均質な混合物;
または
II.最初に、長さ100cmでBVK 70質量%とステアタイトリング30質量%(5mm×3mm×2mm)からなる均質な混合物;
引続き、長さ170cmでBVK。
【0145】
塩浴温度は、Uプロペン95モル%が1回で通過するように絶えず選択されている。
【0146】
全ての記載された実施例および比較例は、プロペン5.4体積%の代わりにプロペン6.7体積%を含有し、N281.3体積%の代わりにN280体積%を含有する反応ガス出発混合物を用いて実施されてもよい。
【0147】
また、リング状の触媒BVKは、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10313210号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10313213号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10313212号明細書およびドイツ連邦共和国特許出願公開第10313208号明細書の実施例および比較例において、これらドイツ連邦共和国特許出願公開明細書中で使用されたリング状の非担持触媒の代替となることができる。
【0148】
米国暫定特許出願番号60/520,660、出願日2003年11月8日は、参考文献のために本発明中に組み込まれている。
【0149】
上記の教示に関して、本発明の多様な変更および変化が可能である。従って、本発明は、特許請求の範囲内で、そこでの特別な記載とは異なるように実施し得る構成から出発することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】リング状の比較非担持触媒VSの細孔分布を示す線図。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロペン、分子酸素および少なくとも1つの不活性ガスを含有する、モル比O2:C36≧1の分子酸素およびプロペンならびに二酸化炭素および飽和炭化水素を最大で15モル%の全体量で含有する反応ガス出発混合物を、高められた温度で反応ガス出発混合物中に含有される、120Nl/l・h以上のプロペンで触媒固定床を負荷した際に、プロペンの変換率が1回の通過で90モル%以上であり、それに付随する、アクロレイン形成の選択度が80モル%以上であるように、その触媒がリング状の非担持触媒であり、その活性材料が一般式I、
Mo12aCObFecBidSiefn (I)
〔式中、
aは、1以上〜3以下であり、
bは、3以上〜8以下であり、
cは、1以上〜4以下であり、
dは、0.5以上〜1.5以下であり、
eは、0以上〜10以下であり、
fは、0以上〜0.2以下であり、
nは、式I中の酸素とは異なる元素の原子価および頻度によって定められる数である〕の少なくとも1つの多重金属酸化物である触媒固定床に導通させることにより、不均一系触媒反応による部分気相酸化によってアクロレインを製造する方法において、多重金属酸化物材料Iにおいて付加的に次のモル比:Co/Fe=2〜4およびCo/Mo=0.3〜0.7が満たされていることを特徴とする、不均一系触媒反応による部分気相酸化によるアクロレインの製造法。
【請求項2】
化学量論的係数aが1.5〜2.5である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
化学量論的係数bが5以上および8以下である、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
化学量論的係数cが2以上および4以下である、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
モル比Co/Feが2〜3.5である、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
モル比Co/Moが0.4〜0.7である、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
モル比Co/Moが0.5〜0.7である、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
リング状の非担持触媒が2〜11mmの長さ、2〜11mmの外径および0.5〜5mmの肉厚を有するリングの形状を有する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
リング状の非担持触媒が2.8〜3.2mmの長さ、5.5〜7mmの外径および3.5〜5mmの内径を有するリングの形状を有する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
反応ガス出発混合物がプロペン7〜15体積%を含有する、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
反応ガス出発混合物がプロペン8〜12体積%を含有する、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
反応ガス出発混合物がプロペン5〜8体積%を含有する、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
反応ガス出発混合物中に含有されているプロペンでの触媒固定床の負荷量が130Nl/l・h以上である、請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
反応ガス出発混合物中に含有されているプロペンでの触媒固定床の負荷量が140Nl/l・h以上である、請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
活性材料が一般式Iの多重金属酸化物であり、この多重金属酸化物が化学的組成II、Bia'b'x' (II)、
〔但し、この場合
a'は、0.01〜8であり、
b’は、0.1〜30であり、
x’は、II中で酸素とは異なる元素の原子価および頻度によって定められる数であるものとする〕の限定された範囲を有する、請求項1から14までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
活性材料が一般式I、
Mo12aCobFecBidSiefn (I)、
〔但し、この場合
aは、1以上〜3以下であり、
bは、3以上〜8以下であり、
cは、1以上〜4以下であり、
dは、0.5以上〜1.5以下であり、
eは、0以上〜10以下であり、
fは、0以上〜0.2以下であり、
nは、I中で酸素とは異なる元素の原子価および頻度によって定められる数であるものとする〕で示される金属酸化物であり、この場合多重金属酸化物材料Iにおいて、付加的に次のモル比:
Co/Fe=2〜3.5および
Co/MO=0.4〜0.7が満たされている、リング状の非担持触媒。
【請求項17】
化学量論的係数bが5以上および8以下である、請求項16記載のリング状の非担持触媒。
【請求項18】
化学量論的係数cが2以上および4以下である、請求項16または17記載のリング状の非担持触媒。
【請求項19】
リングの形状が2〜11mmの長さ、2〜11mmの外径および0.5〜5mmの肉厚を有する、請求項16から18までのいずれか1項に記載のリング状の非担持触媒。
【請求項20】
リングの形状が2.8〜3.2mmの長さ、5.5〜7mmの外径および3.5〜5mmの内径を有する、請求項16から18までのいずれか1項に記載のリング状の非担持触媒。

【公表番号】特表2007−511565(P2007−511565A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540288(P2006−540288)
【出願日】平成16年11月16日(2004.11.16)
【国際出願番号】PCT/EP2004/012966
【国際公開番号】WO2005/049200
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】