説明

プロポリス成分の新規エステル化合物及びその医薬組成物

【課題】強力な脱顆粒抑制作用を有し、I型アレルギー治療薬として有用な新規化合物、この新規化合物の製造方法および新規化合物の脱顆粒抑制作用を利用した医薬組成物を提供する。
【解決手段】式[I]又は[II]で示されるプロポリス成分の新規エステル化合物およびこの化合物を含有する医薬組成物。


[I]


[II](R1はアルキル基又はフェニル低級アルキル基、R2及びR3は同一または異なって、プレニル基、ヒドロキシ基、ジヒドロシンナモイル基または水素を表す)で示されるエステル化合物

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い抗アレルギー活性を有するプロポリス成分の新規エステル化合物及びその製造方法、並びに、該エステル化合物を含有するアレルギーの予防または治療剤に関する。
【背景技術】
【0002】
プロポリスはミツバチにより集められた樹木の樹液、植物の新芽や浸出物などがミツロウ等と混ざり合ってできた膠状の物質であり、抗菌作用、抗酸化作用、抗炎症作用、抗腫瘍作用などの多くの生理作用が知られている(特許文献1〜4)。このような生理作用を引き起こす物質としては、桂皮酸のような有機酸類が挙げられ、これらの成分がアレルギーの原因となるロイコトリエンの遊離を阻害することも知られている(特許文献5)。また近年、プロポリスのエステル化物が消化吸収を高めるとともに高い生理活性を有することが報告され、その製法と有用性が注目されている(特許文献6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−308830
【特許文献2】特開平9−143179
【特許文献3】特開2004−159563
【特許文献4】特開平8−228701
【特許文献5】特開2008−214235
【特許文献6】特開2007−53947
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在抗アレルギー剤として最もよく使用される抗ヒスタミン剤は、くしゃみと鼻水に有効な薬剤だが、即効性がある代わりに副作用として眠気や口・眼の乾燥感などをもたらすことが知られる。また、ステロイドは、注射や経口投与を長期間続けると重篤な副作用を生じる危険性が知られている。このように現在用いられている抗アレルギーの治療薬は、即効性がある反面、副作用の問題が隣り合わせとなっている。
本発明は既に抗アレルギー活性が報告されているプロポリス成分をエステル化することで、安全且つ高活性な抗アレルギー剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、プロポリスのロイコトリエンの産生抑制に対する有効成分をエステル化し、有効性を評価したところ、アルテピリンC及びドルパニンの活性を50倍以上向上させることができることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
本発明の目的とするところは、プロポリス由来成分と比較して、顕著に優れた生理活性を有するそのエステル化物を提供することにある。本発明の別の目的とするところは、消化吸収性に優れるとともに高い抗アレルギー作用を有する抗アレルギー剤を提供することにある。
具体的には、本発明の第1の目的は、一般式
[化1]

[I]


又は
[化2]

[II]



(但し、R1はアルキル基又はフェニル低級アルキル基、R2及びR3は同一または異なって、プレニル基、ヒドロキシ基、ジヒドロシンナモイル基または水素を表す)で示されるプロポリス成分の新規エステル化合物を提供することであり、
第2の目的は、上記本発明の目的物[I]又は [II]において、R1がフェネチル基、R2が水素原子またはイソプレニル基であり、R3がヒドロキシ基であるエステル化合物を提供することであり、
第3の目的は、上記第1又は第2の目的記載の化合物を有効成分として含有する医薬組成物を提供することであり、
第4の目的は、強力なロイコトリエン産生抑制または遊離抑制作用を有する、上記第1又は第2の目的記載の化合物を有効成分として含有する医薬組成物を提供することであり、
第5の目的は、気管支喘息・花粉症・アレルギー性鼻炎の予防剤もしくは治療剤である第4の目的記載の医薬組成物を提供することである。
上記本発明の目的物[I]及び [II]において、アルキル基とは、炭素数1〜10のアルキル基、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基を意味する。当該アルキル基の具体例としてはメチル基、プロピル基、オクチル基を挙げることができる。また低級アルキル基とは、炭素数1−4、好ましくは炭素数1〜2のアルキル基を意味し、フェニル低級アルキル基の具体例としてはベンジル基、フェネチル基を挙げることができる。
本発明の目的物[I]又は [II]は、一般式
[化3]


[III]


又は [化4]


[IV]


(但し、記号は前記と同一意味を有する)
で示されるプロポリス成分と一般式 R1−X [V] (但し、R1は前記と同一意味を有し、Xは反応性残基を表す)で示される化合物とを、適当な溶媒中、触媒の存在下又は非存在下に反応させて製造することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、プロポリスの好ましい生理作用を高めた新規エステル及びその医薬組成物を提供することができる。 即ち、本発明に係るプロポリス成分の新規エステルは、エステル化工程前のプロポリスと比べ、50倍以上高い高アレルギー活性を有し、抗アレルギー剤として利用可能であるとともに、アレルギーの発生を予防する予防剤として利用することも可能である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について説明する。
上記本発明において、プロポリス成分である原料化合物[III]又は [IV] と原料化合物[V]との反応は、エステル化の常法により、適宜実施することができる。
【0009】
まず、本発明の製造方法で用いられるプロポリス成分、即ち、原料化合物[III]又は[IV]としては、プロポリス原塊の抽出物から精製・単離されたプロポリス成分もしくは化学合成されたプロポリス成分のいずれも用いることができる。
【0010】
プロポリス抽出物を得るために用いられるプロポリス原塊としては、ブラジルを含む南アメリカ諸国、中国や日本などのアジア諸国、ヨーロッパ諸国、北アメリカ諸国、オセアニア諸国などのあらゆる産地のものが使用可能である。また、プロポリス成分を抽出する際の抽出溶媒としてはアルコール抽出物及び含水アルコール抽出物を用い、抽出溶媒中のアルコールとしては、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノールなどの低級アルコールが好適に用いられる。また精製には順相カラムや逆相カラムを用い、これらを繰り返し、最終的に結晶化することにより容易に得ることができる。
【0011】
一方、エステル化工程で用いられる原料化合物[V]としては、Xが塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子などのハロゲン原子、ジアゾ基などをもつ化合物が好ましく、特に好ましいのは塩素原子を用いる場合である。
【0012】
エステル化工程の反応溶媒は特に限定されないが、ジメチルホルムアミド(以下、DMF)、アセトン、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI)、ヘキサメチルホスホリックトリアミド(HMPA)、ジメチルスルホキシド(以下、DMSO)、スルホランなどの非プロトン性極性溶媒が好ましく、特に好ましくはジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド基を含有する極性溶媒が挙げられる。
【0013】
触媒しては、例えば、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸セシウムを適宜用いることができる。
当該エステル化反応の反応温度に制限はないが、通常、室温付近で実施するのが好ましい。
【0014】
かくして得られた本発明の目的化合物[I] 又は[II]は、ヒトに投与することが望ましいが、イヌ、ネコなどの動物/ペットおよび馬、牛、豚、家禽などの家畜に投与しても同様に、気管支喘息、花粉症、アレルギー性鼻炎などを予防ないし治療することができる。本発明の有効成分は、単独または混合物で使用でき、通常、液体製剤または固体製剤の形態で用いられる。
本発明の目的物を含有する医薬組成物は、通常、有効量の目的化合物[I] 又は[II]に加えて、薬学的に許容される賦形剤を配合して調製される。製剤中の目的化合物[I] 又は[II]の配合量は、対象とする疾患の種類やその重篤度、また投与形態に応じて適宜選択されるが、通常、製剤の全体重量(100重量%)の1〜99重量%、特に1〜50重量%とすることができる。
本発明の目的物及びその医薬組成物の投与方法として、経口投与、ならびに静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、経粘膜投与、経皮投与、および直腸内投与等の非経口投与を挙げることができる。好ましくは、経口投与である。
本発明の目的物[I] 又は[II]の投与量に特に制限はないが、通常、一日当たり0.01〜10mg/kgを投与することができ、特に経口投与する場合は0.1〜10mg/kg、非経口投与する場合は0.01〜1.0mg/kgの投与量とするのが好ましい。
【0015】
液体製剤としては液剤、ドリンク剤、シロップ剤など、固体製剤としては散剤、顆粒剤、カプセル剤、錠剤、チュアブル剤、トローチ剤などの経口投与用形態が挙げられる。
液体製剤を製造する際には、賦形剤として、水、グリセリン、プロピレングリコール、単シロップ、エタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトールなどを用いることができる。
【0016】
固体製剤を製造する際には、賦形剤として、例えば、乳糖、ショ糖、ブドウ糖、コーンスターチ、ゼラチン、澱粉、デキストリン、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、合成又は天然のケイ酸アルミニウム、酸化マグネシウム、乾燥水酸化アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、重炭酸ナトリウム、乾 燥酵母などを用いることができる。
【0017】
本発明の目的物[I]又は[II]には、所望によりクエン酸、リン酸、リンゴ酸またはそれらの塩類などの安定化剤;スクラロース、アセスルファムカリウムなどの高甘味度甘味料や、ショ糖、果糖、はちみつなどの甘味剤;アルコール類、グリセリンなどの防腐剤;希釈剤、緩衝剤、着香剤及び着色剤のような通常の添加剤が加えられてもよい。
さらに、本発明の目的物[I]又は[II]は保健、健康維持、増進等を目的とする食品、例えば健康食品、機能性食品、栄養補助食品、サプリメント、あるいは厚生労働省の定める特別用途食品(例えば、特定保健用食品、栄養機能食品、病者用食品、病者用組合せ食品、高齢者用食品など)として提供することも可能である。
【実施例】
【0018】
以下、本発明をより詳細に説明するために調製例、試験例及び実施例を挙げるが、本発明はこれらの記載に限定されるものではない。

実施例1:クリフォリンフェネチルエステルの製造

クリフォリン(22mg)を0.5mlのDMF (和光純薬製)に溶解し、20mlの(2-ブロモエチルl)ベンゼン(関東化学製)と29mgの炭酸セシウム(和光純薬製)を加えて撹拌した。18時間撹拌後、反応液に水を加えて、ジエチルエーテルで3回抽出後、水、飽和食塩水で順次洗浄した。抽出液を無水硫酸マグネシウムで乾燥して溶媒を留去した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=20/1)で精製し、目的物(27mg)を得た。

得られた化合物を、高分解能質量(日本分子製: JMS-T100LC)及び1H-NMR(バリアン製:バリアン
NMR システム)測定に供した結果を、下記に示す。
HR MS (ESI) calcd for C27H30O3Na (M+Na+)
425.2093, found 425.2084
1H NMR (500 MHz, CDCl3): d 7.57 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 7.33-7.22 (m, 5H),
7.15 (d, J = 2.3Hz, 1H), 7.01 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 6.31 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 6.25 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 5.64 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 5.26 (m, 1H), 4.41
(t, J = 7.3 Hz, 2H), 3.26 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 3.01 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 1.74 (s, 3H), 1.73
(s, 3H), 1.43 (s, 6H).

実施例2:アルテピリンCフェネチルエステルの製造





アルテピリンC(40mg)を0.9mlのDMF (和光純薬製)に溶解し、30mlの(2-ブロモエチル)ベンゼン (関東化学製)と46mgの炭酸セシウム(和光純薬製)を加えて撹拌した。19時間撹拌後、反応液に水を加えて、ジエチルエーテルで3回抽出後、水、飽和食塩水で順次洗浄した。抽出液を無水硫酸マグネシウムで乾燥して溶媒を留去した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=30/1)で精製し、目的物(38mg)を得た。

得られた化合物を、高分解能質量(日本分子製: JMS-T100LC)及び1H-NMR(バリアン製:バリアン
NMR システム)測定に供した結果を、下記に示す。
HR MS (ESI) calcd for C27H32O3Na (M+Na+)
427.2249, found 427.2250
1H NMR (500 MHz, CDCl3): d 7.58 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 7.33-7.23 (m, 5H),
7.16 (s, 2H), 6.26 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 5.66 (s, 1H), 5.31
(m, 2H), 4.41 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 3.34 (d, J = 7.0 Hz, 4H), 3.01 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 1.79 (s, 6H), 1.77
(s, 6H).

実施例3:バッカリンフェネチルエステルの製造






バッカリン(128mg)を2.9mlのDMF (和光純薬製)に溶解し、90mlの(2-ブロモエチル)ベンゼン (関東化学製)と155mgの炭酸セシウム(和光純薬製)を加えて撹拌した。6時間撹拌後、反応液に水を加えて、ジエチルエーテルで3回抽出後、水、飽和食塩水で順次洗浄した。抽出液を無水硫酸マグネシウムで乾燥して溶媒を留去した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=10/1)で精製し、精製物(135mg)を得た。NMRで測定し、得られた精製物がバッカリンフェネチルエステル(3)であることを確認した。

得られた化合物を、高分解能質量(日本分子製: JMS-T100LC)及び1H-NMR(バリアン製:バリアン
NMR システム)測定に供した結果を、下記に示す。
HR MS (ESI) calcd for C31H32O4Na (M+Na+)
491.2198, found 491.2186
1H NMR (500 MHz, CDCl3): d 7.62 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 7.36-7.24 (m,
12H), 6.82 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 6.35 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 5.17 (m, 1H), 4.42
(t, J = 7.0 Hz, 2H), 3.14 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 3.08 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 3.02 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 2.91 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 1.75 (s, 3H), 1.67
(s, 3H).

実施例4:ドルパニンフェネチルエステルの製造

ドルパニン(30mg)を0.9mlのDMF (和光純薬製)に溶解し、30mlの(2-ブロモエチル)ベンゼン (関東化学製)と46mgの炭酸セシウム(和光純薬製)を加えて撹拌した。5時間半撹拌後、反応液に水を加えて、ジエチルエーテルで3回抽出後、水、飽和食塩水で順次洗浄した。抽出液を無水硫酸マグネシウムで乾燥して溶媒を留去した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=7/1)で精製し、目的物(34mg)を得た。

得られた化合物を、高分解能質量(日本分子製: JMS-T100LC)及び1H-NMR(バリアン製:バリアン
NMR システム)測定に供した結果を、下記に示す。
HR MS (ESI) calcd for C22H24O3Na (M+Na+)
359.1623, found 359.1622
1H NMR (500 MHz, CDCl3): d 7.60 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 7.33-7.22 (m, 7H),
6.80 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.27 (d, J = 16.0Hz, 1H), 5.44 (s, 1H), 5.31 (m,
1H), 4.41 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 3.36
(d, J= 7.0 Hz, 2H), 3.01 (t, J= 7.0Hz, 2H), 1.79 (s, 6H).

δ7.60 (d, J = 16.0Hz, 1H), 7.33-7.22 (m, 5H), 7.16
(s, 2H), 6.26 (d, J = 16.0Hz, 1H),
5.66 (s, 1H), 5.31 (m, 2H), 4.41 (t, J =
7.0Hz, 2H), 3.34 (d, J = 7.0Hz, 4H),
3.01 (t, J = 7.0Hz, 2H), 1.79 (s,
6H), 1.77 (s, 6H).

実施例5:ロイコトリエン遊離抑制
以下の手順に従い、ロイコトリエン遊離抑制作用を調べた。

サンプル調製:各サンプルをDMSOで1 mg/mlに調製後、リン酸緩衝液(以下、PBS(+))で目的の試験濃度に希釈した。
HL-60の分化:HL-60細胞をロズウェル・パーク・メモリアル・インスティチュート(RPMI)1640培地で培養し試験に用いた(37℃、5%CO2)。細胞を5×105
cells/mlに調製後、DMSO 1.25%を添加し、37℃、5% CO2で6日間インキュベートして分化を誘導した。顆粒球細胞への分化の判定はニトロブルーテトラゾリウム(以下、NBT)還元法により行った。すなわち、細胞懸濁液に1mg/ml
NBTおよび4 mM ホルボール-12-ミリステート-13-アセテート(PMA)をそれぞれ等量ずつ加え、37℃、30分インキュベートした後、顕微鏡下で約200個数え、陽性細胞の割合を算出した。
ロイコトリエン産生誘導:DMSOで分化させたHL-60細胞(PBS(+)-1%牛血清アルブミンに懸濁、細胞濃度1×106 cells/ml)に各化合物(アルテピリンC、ドルパニン、アルテピリンCフェネチルエステル、ドルパニンフェネチルエステル)またはコントロールとして溶媒(DMSO)を添加し、37℃、15分プレインキュベートした。その後、ロイコトリエンの遊離促進剤として1
mM A23187を添加して37℃、15分インキュベートした。このときA23187を添加しない場合をバックグラウンドとした。ロイコトリエンの産生を誘導後、回収した上清を測定試料とし-80℃で保存した。
ELISAによる測定:回収した上清中のロイコトリエン濃度(以下、LT濃度)をELISAキット(Buhlmann
CAST-2000)により定量した。

ロイコトリエン遊離阻害率(%)
(数1)
{1 −(各添加溶液でのLT濃度−バックグラウンドのLT濃度)
/(コントロールのLT濃度−バックグラウンドのLT濃度)}× 100

結果を以下に示す。
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式
[化1]

[I]



又は [化2]

[II]




(但し、R1はアルキル基又はフェニル低級アルキル基、R2及びR3は同一または異なって、プレニル基、ヒドロキシ基、ジヒドロシンナモイル基または水素を表す)で示されるエステル化合物
【請求項2】
1がフェネチル基、R2が水素原子またはイソプレニル基であり、R3がヒドロキシ基である請求項1に記載のエステル化合物
【請求項3】
請求項1又は2に記載化合物を有効成分として含有する組成物。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の化合物を有効成分として含有するロイコトリエン産生抑制もしくは遊離抑制作用を有する医薬組成物。
【請求項5】
気管支喘息・花粉症・アレルギー性鼻炎の予防剤もしくは治療剤である請求項4に記載の医薬組成物。


【公開番号】特開2011−51928(P2011−51928A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−201903(P2009−201903)
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【出願人】(598162665)株式会社山田養蜂場本社 (32)
【Fターム(参考)】