説明

プロリニルアリールアセトアミド

式(I)


式中、R、R、R、R、X、X’およびYは、請求項1に示された意味を有する、
で表される新規化合物は、凝固因子Xaの阻害剤であり、血栓塞栓症の予防および/または治療に対し、ならびに腫瘍の処置に対し、用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式I
【化1】

式中、
【0002】
Rは、Hal、−C≡C−H、−C≡C−AまたはOAを示し、
は、H、=O、Hal、A、OH、OA、A−COO−、Ph−(CH−COO−、シクロアルキル−(CH−COO−、A−CONH−、A−CONA−、Ph−CONA−、N、NH、NO、CN、COOH、COOA、CONH、CONHA、CON(A)、O−アリル、O−プロパルギル、O−ベンジル、=N−OH、=N−OAまたは=CFを示し、
X、X’は、互いに独立して、CH、CHalまたはNを示し、
Yは、RまたはHalを示し、
Phは、置換されていないか、あるいはA、OA、OHまたはHalにより単置換、二置換または三置換されているフェニルを示し、
【0003】
は、H、HalまたはAを示し、
は、HまたはAを示し、
は、OH、OA、A−COO−、NHA、NHAr、NAA’、Hetまたは−NH−CHR−COORを示し、
は、H、A、−CHR−OH、(CH−Ph、(CH−COOH、(CH−CONH、(CH−NH、(CH−NH(=NH)NH、(CH−Hetまたは(CH−SRを示し、
【0004】
Hetは、単環式または二環式で、飽和、不飽和または芳香族性の1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有する複素環を示し、それは置換されていないか、あるいはA、OH、OA、CN、COOH、COOAおよび/またはカルボニル酸素(=O)により単置換、二置換または三置換されていてもよく、
Hetは、単環式または二環式で、芳香族性の1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有する複素環を示し、それは置換されていないか、あるいはA、OH、OAおよび/またはCNにより単置換、二置換または三置換されていてもよく、
【0005】
A、A’は、互いに独立して、1〜12個のC原子を有する非分枝状、分枝状または環状アルキルを示し、加えて、1〜7個のH原子がFおよび/または塩素により置き換えられてもよく、
Arは、ナフチル、ビフェニル、またはフェニルを示し、それは置換されていないか、あるいはHal、A、OR、N(R、NO、CN、COOR、CON(R、NRCOA、NRCON(R、NRSOA、COR、SON(R、S(O)A、−[C(R−COORまたは−O−[C(R−COORにより単置換、二置換または三置換されており、
【0006】
Halは、F、Cl、BrまたはIを示し、
nは、0、1、2または3を示し、
pは、1、2、3、4または5を示す、
で表される化合物、ならびにそれらの薬学的に使用できる誘導体、溶媒和物、塩および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物に関する。
【0007】
本発明は、価値ある特性を有する新規化合物、特に医薬の製造に用いることができる化合物を見出す目的を有していた。
【0008】
式Iの化合物およびこれらの塩は、極めて価値ある薬理学的特性を有し、良好に耐容性を示すことが見出された。特にこれらは、因子Xa阻害特性を示し、したがって、血栓症、心筋梗塞、動脈硬化症、炎症、卒中、狭心症、血管形成術後の再狭窄および間歇性跛行などの血栓塞栓症の治療および予防のために用いることができる。
【0009】
本発明の式Iの化合物は、さらに、血液凝固カスケード中の凝固因子である因子VIIa、因子IXaおよびトロンビンの阻害剤であることができる。
【0010】
抗血栓作用を有する芳香族アミジン誘導体は、例えば、EP 0 540 051 B1、WO 98/28269、WO 00/71508、WO 00/71511、WO 00/71493、WO 00/71507、WO 00/71509、WO 00/71512、WO 00/71515またはWO 00/71516に開示されている。血栓塞栓症の処置のための環状グアニジンは、例えば、WO 97/08165に記載されている。
因子Xa阻害活性を有する芳香族複素環化合物は、例えば、WO 96/10022に開示されている。因子Xa阻害剤としての置換N−[(アミノイミノメチル)フェニルアルキル]アザヘテロシクリルアミドは、WO 96/40679に記載されている。
【0011】
他のカルボキサミド誘導体は、WO 02/48099およびWO 02/57236に開示されていて、他のピロリジン誘導体は、WO 02/100830に記載されている。
更なる複素環誘導体は、WO 03/045912に開示されている。
エンドセリン変換酵素の阻害剤としてのピロリジン誘導体は、WO 02/06222に開示されている。
コレシストキニンおよびガストリン阻害剤としてのピロリジン誘導体は、US 5,340,801に記載されている。他のピロリジン誘導体は、WO 01/044192に開示されている。
【0012】
本発明の化合物の抗血栓および抗凝固効果は、因子Xaの名により知られている、活性化された凝固プロテアーゼに対する阻害作用、または他の活性化されたセリンプロテアーゼ、例えば因子VIIa、因子IXaまたはトロンビンの阻害に帰する。
【0013】
因子Xaは、血液凝固の複合プロセスに含まれるプロテアーゼの1種である。因子Xaは、プロトロンビンのトロンビンへの変換を触媒する。トロンビンは、フィブリノゲンをフィブリンモノマーに開裂し、これは、架橋後に、血栓形成への基本的な寄与をなす。トロンビンの活性化は、血栓塞栓症の発生をもたらし得る。しかしながら、トロンビンの阻害は、血栓形成に含まれるフィブリン形成を阻害し得る。
トロンビンの阻害は、例えば、G. F. CousinsらのCirculation 1996, 94, 1705-1712中の方法により測定することができる。
【0014】
因子Xaの阻害は、したがって、トロンビンの形成を防止することができる。
本発明の式Iの化合物およびこれらの塩は、因子Xaの阻害により血液凝固プロセスに関与し、したがって、血栓の形成を阻害する。
【0015】
本発明の化合物による因子Xaの阻害ならびに抗凝血および抗血栓活性の測定は、従来のin-vitroまたはin-vivo方法により決定することができる。好適な方法は、例えば、J. HauptmannらによりThrombosis and Haemostasis 1990, 63, 220-223中に記載されている。
因子Xaの阻害は、例えば、T. HaraらのThromb. Haemostas. 1994, 71, 314-319中の方法により測定することができる。
【0016】
凝固因子VIIaは、組織因子に結合した後に凝固カスケードの外因性部分を開始し、因子Xの活性化に寄与して、因子Xaを生じる。因子VIIaの阻害は、因子Xaの形成およびしたがってその後のトロンビン形成を防止する。
本発明の化合物による因子VIIaの阻害ならびに抗凝血および抗血栓活性の測定は、従来のin-vitroまたはin-vivo方法により決定することができる。因子VIIaの阻害の測定のための従来の方法は、例えば、H. F. Ronningらにより、Thrombosis Research 1996, 84, 73-81中に記載されている。
【0017】
凝固因子IXaは、内因性凝固カスケードにおいて発生し、同様に、因子Xの活性化に含まれて、因子Xaを生じる。因子IXaの阻害はしたがって、異なる方法で、因子Xaの形成を防止することができる。
本発明の化合物による因子IXaの阻害ならびに抗凝血および抗血栓活性の測定は、従来のin-vitroまたはin-vivo方法により決定することができる。好適な方法は、例えば、J. Changらにより、Journal of Biological Chemistry 1998, 273, 12089-12094に記載されている。
【0018】
本発明の化合物は、さらに、腫瘍、腫瘍疾患および/または腫瘍転移の処置のために用いてもよい。
組織因子TF/因子VIIaと、さまざまなガンの進行との相互関係は、T. TaniguchiおよびN.R. Lemoineにより、Biomed. Health Res. (2000), 41 (Molecular Pathogenesis of Pancreatic Cancer), 57-59中に示されている。
【0019】
以下に記載の出版物は、種々のタイプの腫瘍に対するTF−VIIおよび因子Xa阻害剤の抗腫瘍作用を記載する:
K.M. Donnelly et al. in Thromb. Haemost. 1998; 79: 1041-1047;
E.G. Fischer et al. in J. Clin. Invest. 104: 1213-1221 (1999);
B.M. Mueller et al. in J. Clin. Invest. 101: 1372-1378 (1998);
M.E. Bromberg et al. in Thromb. Haemost. 1999; 82: 88-92
【0020】
式Iの化合物は、ヒト医学および獣医学において、特に、血栓症、心筋梗塞、動脈硬化症、炎症、卒中、狭心症、血管形成術後の再狭窄、間歇性跛行、静脈血栓症、肺塞栓症、動脈血栓症、心筋虚血、不安定な狭心症および血栓症に基づく発作などの血栓塞栓症の処置および予防において、医薬活性成分として用いることができる。
【0021】
本発明の化合物はまた、冠状動脈疾患、大脳動脈疾患または末梢動脈疾患などのアテローム硬化症の処置または予防のために用いられる。
該化合物はまた、心筋梗塞の場合、さらに血栓溶解、経皮経管的血管形成術(PTCA)および冠状バイパス手術後の再閉塞の予防のために、他の血栓溶解剤と組み合わせて用いられる。
【0022】
本発明の化合物は、さらに、マイクロサージェリにおいて再血栓症の予防のために、さらに人工臓器との接続または血液透析における抗凝血として使用される。
本化合物は、さらに、患者内にてin vivoのカテーテルの清浄および医療扶助に、またはin vitroの血液、血漿および他の血液製品の保存のための抗凝血として使用される。本発明の化合物は、さらに、血液凝固が疾患の経過に重大な寄与をするまたは二次病理学(secondary pathology)の原因を示す疾患、例えば、転移を含むガン、関節炎を含む炎症疾患、そして糖尿病などに使用される。
【0023】
本発明の化合物は、さらに、偏頭痛の処置に使用される(F.Morales-Asin et al., Headache, 40, 2000, 45-47)。加えて、それらを耳鳴の処置に使用することができる。耳鳴治療における抗凝血剤の使用は、R. Moraらにより、International Tinnitus Journal (2003), 9(2), 109-111に記載されている。
【0024】
前記疾患の処置において、本発明の化合物はまた、他の血栓溶解的に活性な化合物、例えば、「組織プラスミノゲン活性化因子」t−PA、変性t−PA、ストレプトキナーゼまたはウロキナーゼなどと組み合わせて用いられる。本発明の化合物は、前記の他の物質と同時にまたは以前にまたは以後に投与される。
特に好ましいのは、血栓形成の再発を防止するために、アスピリンと同時投与することである。
【0025】
本発明の化合物はまた、血液の血小板凝集を阻害する血液の血小板糖タンパク質受容体(IIb/IIIa)拮抗剤と組み合わせて使用される。
【0026】
本発明は、式Iの化合物およびそれらの塩に関し、ならびに請求項1〜16に記載の式Iの化合物ならびにそれらの薬学的に使用できる誘導体、溶媒和物、塩および立体異性体の製造方法であって、
【0027】
a)式II
【化2】

式中、R、R、R、XおよびX’は、請求項1に示した意味を有する、
で表される化合物を、
式III
【化3】

式中、YおよびRは、請求項1に示した意味を有する、
で表される化合物と反応させること、
または
【0028】
b)式IV
【化4】

式中、R、R、R、R、XおよびX’は、請求項1に示した意味を有する、
で表される化合物を、式V
【化5】

式中、Yは、請求項1に示した意味を有し、
Lは、Cl、Br、Iもしくは遊離のまたは活性に官能基修飾されたOH基を示す、
で表される化合物と反応させること、
または
【0029】
c)式VI
【化6】

式中、RおよびRは、請求項1に示した意味を有し、
Lは、Cl、Br、Iもしくは遊離のまたは活性に官能基修飾されたOH基を示す、
で表される化合物を、
式VII
【化7】

式中、R、R、X、X’およびYは、請求項1に示した意味を有する、
で表される化合物と反応させること、
および/または
式Iの塩基または酸を、その塩の1種に変換すること、
を特徴とする、前記製造方法に関する。
【0030】
本発明はまた、光学的活性型(立体異性体)、鏡像異性体、ラセミ化合物、ジアステレオマーおよび水和物およびこれらの化合物の溶媒和物に関する。用語「化合物の溶媒和物」は、相互の引力により形成する化合物への不活性溶媒分子の付加という意味に解釈される。溶媒和物は、例えば、一水和物または二水和物またはアルコラートである。
【0031】
用語「薬学的に使用できる誘導体」とは、例えば、本発明の化合物の塩であり、そしていわゆるプロドラッグ化合物の意味にも解釈される。
用語「プロドラッグ誘導体」とは、例えば、アルキルまたはアシル基、糖またはオリゴペプチドにより修飾され、本発明の活性な化合物を生じさせるために、生物内で急速に開裂する、式Iの化合物の意味に解釈される。
これらはまた、例えば、Int. J. Pharm. 115, 61-67 (1995)中に記載されているように、本発明の化合物の生物分解可能なポリマー誘導体も含む。
【0032】
本発明はまた、本発明の式Iの化合物の混合物、例えば1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:10、1:100または1:1000の比率の2種のジアステレオマーの混合物に関する。
これらは、特に好ましくは立体異性化合物の混合物である。
【0033】
例えばAなどの、2回以上生じる全ての基については、それらの意味は、互いに独立している。
本明細書中、特に明示していない限り、基およびパラメータR、R、R、R、X、X’およびYは、式Iの場合に示された意味を有する。
【0034】
Aは、アルキルを示し、非分枝状(直線状)または分枝状であり、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12個のC原子を有する。Aは、好ましくはメチルを示し、さらにエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチルを示し、さらにまたペンチル、1−、2−または3−メチルブチル、1,1−、1,2−または2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、1−、2−、3−または4−メチルペンチル、1,1−、1,2−、1,3−、2,2−、2,3−または3,3−ジメチルブチル、1−または2−エチルブチル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、1,1,2−または1,2,2−トリメチルプロピルを示し、さらに好ましくは、例えば、トリフルオロメチルである。Aはまた、シクロアルキルを示す。
【0035】
シクロアルキルは、好ましくはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルを示す。
Aはしたがって、好ましくはまたシクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチルを示す。
Aは非常に特に好ましくは、1、2、3、4、5または6個のC原子を有するアルキルを示し、好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルまたは1,1,1−トリフルオロエチルを示す。
アルキレンは、好ましくはメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレンまたはヘキシレンを示し、さらに分枝状アルキレンを示す。
【0036】
Rは、好ましくはHalまたは−C≡C−Hを示す。
は、好ましくはH、=O(カルボニル酸素)、Hal、A、OHまたはOAを示し、特に好ましくはOHを示す。
は、好ましくはHまたはHalを示す。
【0037】
Xは、好ましくはCHまたはNを示し;
X’は、好ましくはCHを示す。
は、好ましくはHまたは1、2、3、4、5または6個のC原子を有するアルキルを示す。
は、好ましくはHまたはAを示す。
【0038】
無置換のHetは、例えば、2−または3−フリル、2−または3−チエニル、1−、2−または3−ピロリル、1−、2−、4−または5−イミダゾリル、1−、3−、4−または5−ピラゾリル、2−、4−または5−オキサゾリル、3−、4−または5−イソオキサゾリル、2−、4−または5−チアゾリル、3−、4−または5−イソチアゾリル、2−、3−または4−ピリジル、2−、4−、5−または6−ピリミジニルを示し、さらに好ましくは1,2,3−トリアゾール−1−、−4−または−5−イル、1,2,4−トリアゾール−1−、−3−または5−イル、1−または5−テトラゾリル、1,2,3−オキサジアゾール−4−または−5−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3−または−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−または−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−または−5−イル、1,2,3−チアジアゾール−4−または−5−イル、3−または4−ピリダジニル、ピラジニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−または7−インドリル、4−または5−イソインドリル、1−、2−、4−または5−ベンズイミダゾリル、1−、3−、4−、5−、6−または7−ベンゾピラゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンズオキサゾリル、3−、4−、5−、6−または7−ベンズイソオキサゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾチアゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンズイソチアゾリル、4−、5−、6−または7−ベンズ−2,1,3−オキサジアゾリル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−キノリル、1−、3−、4−、5−、6−、7−または8−イソキノリル、3−、4−、5−、6−、7−または8−シンノリニル(cinnolinyl)、2−、4−、5−、6−、7−または8−キナゾリニル、5−または6−キノキサリニル、2−、3−、5−、6−、7−または8−2H−ベンゾ−1,4−オキサジニルを示し、さらに好ましくは1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、1,4−ベンゾジオキサン−6−イル、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4−または−5−イルまたは2,1,3−ベンズオキサジアゾール−5−イルを示す。
複素環基はまた、部分的にまたはすべて水素化されてもよい。
【0039】
したがって、無置換のHetはまた、例えば、2,3−ジヒドロ−2−、−3−、−4−または−5−フリル、2,5−ジヒドロ−2−、−3−、−4−または5−フリル、テトラヒドロ−2−または−3−フリル、1,3−ジオキソラン−4−イル、テトラヒドロ−2−または−3−チエニル、2,3−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−または−5−ピロリル、2,5−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−または−5−ピロリル、1−、2−または3−ピロリジニル、テトラヒドロ−1−、−2−または−4−イミダゾリル、2,3−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−または−5−ピラゾリル、テトラヒドロ−1−、−3−または−4−ピラゾリル、1,4−ジヒドロ−1−、−2−、−3−または−4−ピリジル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−または−6−ピリジル、1−、2−、3−または4−ピペリジニル、2−、3−または4−モルホリニル、テトラヒドロ−2−、−3−または−4−ピラニル、1,4−ジオキサニル、1,3−ジオキサン−2−、−4−または−5−イル、ヘキサヒドロ−1−、−3−または−4−ピリダジニル、ヘキサヒドロ−1−、−2−、−4−または−5−ピリミジニル、1−、2−または3−ピペラジニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−または−8−キノリル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−,−2−,−3−、−4−、−5−、−6−、−7−または−8−イソキノリル、2−、3−、5−、6−、7−または8−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ−1,4−オキサジニルを示し、さらに好ましくは2,3−メチレンジオキシフェニル、3,4−メチレンジオキシフェニル、2,3−エチレンジオキシフェニル、3,4−エチレンジオキシフェニル、3,4−(ジフルオロメチレンジオキシ)フェニル、2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−または6−イル、2,3−(2−オキソメチレンジオキシ)フェニルを示し、または代替的に3,4−ジヒドロ−2H−1,5−ベンゾジオキセピン−6−または−7−イルを示し、さらに好ましくは2,3−ジヒドロベンゾフラニルまたは2,3−ジヒドロ−2−オキソフラニルを示し得る。
【0040】
Hetは、好ましくは単環式で、飽和、不飽和または芳香族性の1〜2個のNおよび/またはO原子を有する複素環を示し、それは置換されていないか、あるいはA、OHおよび/またはOAにより単置換、二置換または三置換されてもよい。
【0041】
Hetは、特に好ましくはフリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラゾリル、チアゾリル、インドリル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニルまたはピペラジニルを示し、それぞれは、置換されていないか、あるいはA、OHおよび/またはOAにより単置換、二置換または三置換されている。
【0042】
Hetは、非常に特に好ましくはイミダゾリル、ピリジル、ピペリジニル、モルホリニルまたはピペラジニルを示し、それぞれは、置換されていないか、あるいはA、OHおよび/またはOAにより単置換、二置換または三置換されている。
【0043】
無置換のHetは、好ましくは2−または3−フリル、2−または3−チエニル、1−、2−または3−ピロリル、1−、2−、4−または5−イミダゾリル、1−、3−、4−または5−ピラゾリル、2−、4−または5−オキサゾリル、3−、4−または5−イソオキサゾリル、2−、4−または5−チアゾリル、3−、4−または5−イソチアゾリル、2−、3−または4−ピリジル、2−、4−、5−または6−ピリミジニルを示し、さらに好ましくは1,2,3−トリアゾール−1−、−4−または−5−イル、1,2,4−トリアゾール−1−、−3−または5−イル、1−または5−テトラゾリル、1,2,3−オキサジアゾール−4−または−5−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3−または−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−または−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−または−5−イル、1,2,3−チアジアゾール−4−または−5−イル、3−または4−ピリダジニル、ピラジニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−または7−インドリル、4−または5−イソインドリル、1−、2−、4−または5−ベンズイミダゾリル、1−、3−、4−、5−、6−または7−ベンゾピラゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンズオキサゾリル、3−、4−、5−、6−または7−ベンズイソオキサゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾチアゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンズイソチアゾリル、4−、5−、6−または7−ベンズ−2,1,3−オキサジアゾリル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−キノリル、1−、3−、4−、5−、6−、7−または8−イソキノリル、3−、4−、5−、6−、7−または8−シンノリニル、2−、4−、5−、6−、7−または8−キナゾリニル、5−または6−キノキサリニル、2−、3−、5−、6−、7−または8−2H−ベンゾ−1,4−オキサジニルを示し、さらに好ましくは1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、1,4−ベンゾジオキサン−6−イル、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4−または−5−イルまたは2,1,3−ベンズオキサジアゾール−5−イルを示す。
【0044】
Hetは、特に好ましくは無置換で、単環式または二環式の、芳香族性の1〜2個のN、Oおよび/またはS原子を有する複素環を示し;非常に特に好ましくはチエニル、フリル、イミダゾリルまたはインドリルを示す。
【0045】
Arは、例えば、フェニル、o−、m−またはp−トリル、o−、m−またはp−エチルフェニル、o−、m−またはp−プロピルフェニル、o−、m−またはp−イソプロピルフェニル、o−、m−またはp−tert−ブチルフェニル、o−、m−またはp−ヒドロキシフェニル、o−、m−またはp−ニトロフェニル、o−、m−またはp−アミノフェニル、o−、m−またはp−(N−メチルアミノ)フェニル、o−、m−またはp−(N−メチルアミノカルボニル)−フェニル、o−、m−またはp−アセトアミドフェニル、o−、m−またはp−メトキシフェニル、o−、m−またはp−エトキシフェニル、o−、m−またはp−エトキシカルボニルフェニル、o−、m−またはp−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル、o−、m−またはp−(N,N−ジメチルアミノカルボニル)フェニル、o−、m−またはp−(N−エチルアミノ)フェニル、o−、m−またはp−(N,N−ジエチルアミノ)フェニル、o−、m−またはp−フルオロフェニル、o−、m−またはp−ブロモフェニル、o−、m−またはp−クロロフェニル、o−、m−またはp−(メチルスルホンアミド)フェニル、o−、m−またはp−(メチルスルホニル)フェニルを示し、さらに好ましくは2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジフルオロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジクロロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジブロモフェニル、2,4−または2,5−ジニトロフェニル、2,5−または3,4−ジメトキシフェニル、3−ニトロ−4−クロロフェニル、3−アミノ−4−クロロ−、2−アミノ−3−クロロ−、2−アミノ−4−クロロ−、2−アミノ−5−クロロ−または2−アミノ−6−クロロフェニル、2−ニトロ−4−N,N−ジメチルアミノ−または3−ニトロ−4−N,N−ジメチルアミノフェニル、2,3−ジアミノフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,6−または3,4,5−トリクロロフェニル、2,4,6−トリメトキシフェニル、2−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル、p−ヨードフェニル、3,6−ジクロロ−4−アミノフェニル、4−フルオロ−3−クロロフェニル、2−フルオロ−4−ブロモフェニル、2,5−ジフルオロ−4−ブロモフェニル、3−ブロモ−6−メトキシフェニル、3−クロロ−6−メトキシフェニル、3−クロロ−4−アセトアミドフェニル、3−フルオロ−4−メトキシフェニル、3−アミノ−6−メチルフェニル、3−クロロ−4−アセトアミドフェニルまたは2,5−ジメチル−4−クロロフェニルを示し;さらに無置換のナフチルまたはビフェニルを示す。
【0046】
Arは、特に好ましくはナフチル、またはフェニルを示し、それは置換されていないか、あるいはHal、A、OR、N(R、NO、CN、COORまたはCON(Rにより単置換、二置換または三置換されている。Arは、非常に特に好ましくはフェニルを示す。
【0047】
式Iの化合物は、1種または2種以上のキラル中心を有することができ、したがって、様々な立体異性の形態で生じる。式Iは、これらの形態全てを包含する。
【0048】
したがって、本発明は、特に式Iの化合物に関しており、前記基のうち少なくとも1種が、上に示した好ましい意味の一つを有している。化合物のいくつかの好ましいグループは、式Iに従い、詳細に指定されていない基は式Iの場合に示された意味を有し、以下の部分式Ia〜Ioで表現してもよいが、しかしここで、
【0049】
Iaにおいて、
Rは、Halまたは−C≡C−Hを示す;
Ibにおいて、
は、H、=O、Hal、A、OHまたはOAを示す;
Icにおいて、
は、OHを示す;
【0050】
Idにおいて、
Xは、CHまたはNを示し、
X’は、CHを示す;
Ieにおいて、
は、HまたはHalを示す;
Ifにおいて、
は、Hまたは1、2、3、4、5または6個のC原子を有するアルキルを示す;
【0051】
Igにおいて、
Hetは、単環式で、飽和、不飽和または芳香族性の1〜2個のNおよび/またはO原子を有する複素環を示し、それは置換されていないか、あるいはA、OHおよび/またはOAにより単置換、二置換または三置換されてもよい;
Ihにおいて、
Hetは、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラゾリル、チアゾリル、インドリル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニルまたはピペラジニルを示し、それぞれは、置換されていないか、あるいはA、OHおよび/またはOAにより単置換、二置換または三置換されている;
Iiにおいて、
Hetは、無置換で、単環式または二環式の、芳香族性の1〜2個のN、Oおよび/またはS原子を有する複素環を示す;
【0052】
Ijにおいて、
は、HまたはAを示す;
Ikにおいて、
Arは、ナフチル、またはフェニルを示し、それは置換されていないか、あるいはHal、A、OR、N(R、NO、CN、COORまたはCON(Rにより単置換、二置換または三置換されている;
Ilにおいて、
Arは、フェニルを示す;
【0053】
Imにおいて、
Rは、Halまたは−C≡C−Hを示し、
は、OHを示し、
Xは、CHまたはNを示し、
X’は、CHを示し、
Yは、RまたはHalを示し、
は、HまたはHalを示し、
は、1、2、3、4、5または6個のC原子を有するアルキルを示し、
は、OH、OA、A−COO−、NHA、NHAr、NAA’、Het、−NH−CHR−COORまたは−NH−CHR−COOHを示し、
は、HまたはAを示し、
【0054】
Hetは、単環式で、飽和、不飽和または芳香族性の1〜2個のNおよび/またはO原子を有する複素環を示し、それは置換されていないか、あるいはA、OHおよび/またはOAにより単置換、二置換または三置換されてもよく、
A、A’は、互いに独立して、1〜12個のC原子を有する非分枝状、分枝状または環状アルキルを示し、加えて、1〜7個のH原子がFおよび/または塩素により置き換えられてもよく、
Halは、F、Cl、BrまたはIを示し、
nは、0、1、2または3を示し、
pは、1、2、3、4または5を示す;
【0055】
Inにおいて、
式Ia
【化8】

式中、
【0056】
Rは、Halまたは−C≡C−Hを示し、
は、OHを示し、
Xは、CHまたはNを示し、
X’は、CHを示し、
Yは、RまたはHalを示し、
は、HまたはHalを示し、
は、1、2、3、4、5または6個のC原子を有するアルキルを示し、
は、OH、OA、A−COO−、NHA、NAA’、Het、−NH−CHR−COORまたは−NH−CHR−COOHを示し、
は、HまたはAを示し、
【0057】
Hetは、単環式で、飽和、不飽和または芳香族性の1〜2個のNおよび/またはO原子を有する複素環を示し、それは置換されていないか、あるいはA、OHおよび/またはOAにより単置換、二置換または三置換されていてもよく、
A、A’は、互いに独立して、1〜12個のC原子を有する非分枝状、分枝状または環状アルキルを示し、加えて、1〜7個のH原子がFおよび/または塩素、あるいはF、Cl、BrまたはIにより置き換えられてもよく、
Halは、F、Cl、BrまたはIを示し、
nは、0、1、2または3を示し、
pは、1、2、3、4または5を示す、
で表される請求項1〜14のいずれかに記載の化合物;
【0058】
Ioにおいて、
式Ia
【化9】

式中、
【0059】
Rは、Halまたは−C≡C−Hを示し、
は、OHを示し、
Xは、CHまたはNを示し、
X’は、CHを示し、
Yは、RまたはHalを示し、
は、HまたはHalを示し、
は、1、2、3、4、5または6個のC原子を有するアルキルを示し、
3’は、メチルを示し、
は、OH、OA、A−COO−、NHA、NAA’、Het、−NH−CHR−COORまたは−NH−CHR−COOHを示し、
は、HまたはAを示し、
【0060】
Hetは、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラゾリル、チアゾリル、インドリル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニルまたはピペラジニルを示し、それぞれは、置換されていないか、あるいはA、OHおよび/またはOAにより単置換、二置換または三置換されていて、
A、A’は、互いに独立して、1〜12個のC原子を有する非分枝状、分枝状または環状アルキルを示し、加えて、1〜7個のH原子がFおよび/または塩素、あるいはF、Cl、BrまたはIにより置き換えられてもよく、
Halは、F、Cl、BrまたはIを示し、
nは、0、1、2または3を示し、
pは、1、2、3、4または5を示す、
で表される請求項1〜14のいずれかに記載の化合物、ならびにそれらの薬学的に使用できる誘導体、溶媒和物および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物である。
【0061】
式Iで表される化合物およびこれらの製造のための出発材料は、加えて、文献(例えば、Houben-Weyl, Methoden der organischen Chemie [有機化学の方法], Georg-Thieme-Verlag, Stuttgartなどの標準的文献)に記載されている、本来知られている方法で、正確に述べると、既知であり好適な反応条件のもとで、製造される。本明細書ではより詳細に触れてはいないが、本来知られている変形を用いることができる。
【0062】
所望であれば、出発材料もまた、反応混合物から単離されないよう、そのまま形成されるが、代わりに、式Iで表される化合物にその上即ちに変換される。
式II、III、IV、V、VIおよびVIIの出発材料は、一般的に知られている。
【0063】
好ましくは、式Iで表される化合物は、式IIの化合物を式IIIの化合物と反応させることにより、得ることができる。本反応は、好ましくはUllmann反応条件下(CuI、KCO、DMSO、130°)で、あるいは、特に好ましくはBuchwaldアミド化の条件下で行われる(J. Am. Chem. Soc. 2002, 121, 7421)。
【0064】
本反応は、一般的に不活性溶媒中で、酸結合試薬の存在下、好ましくは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩または重炭酸塩、あるいはアルカリ金属またはアルカリ土類金属の弱酸の他の塩、好ましくはカリウム、ナトリウム、カルシウムまたはセシウムを添加することも好ましい。トリエチルアミン、ジメチルアニリン、N,N’−ジメチレンジアミン、ピリジンまたはキノリンなどの有機塩基を添加することもまた、好適である。用いられる条件に依存して、反応時間は数分間〜14日間であり、および反応温度は約0°〜150°、通常20°〜130°、特に約60°〜約90°である。
【0065】
好適な不活性溶媒の例は、ヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエンまたはキシレンなどの炭化水素;トリクロロエレチレン、1,2−ジクロロエタン、テトラクロロメタン、クロロホルムまたはジクロロメタンなどの塩素化炭化水素;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノールまたはtert−ブタノールなどのアルコール;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)またはジオキサンなどのエーテル;エチレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテルあるいはエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)などのグリコールエーテル;アセトンまたはブタノンなどのケトン;アセトアミド、ジメチルアセトアミドまたはジメチルホルムアミド(DMF)などのアミド;アセトニトリルなどのニトリル;ジメチルスルホキシド(DMSO)などのスルホキシド;二硫化炭素;蟻酸または酢酸などのカルボン酸;ニトロメタンまたはニトロベンゼンなどのニトロ化合物;酢酸エチルなどのエステル、または前記溶媒の混合物である。
【0066】
式Iで表される化合物は、さらに好ましくは式IVで表される化合物を式Vで表される化合物と反応させることにより、得ることができる。
式Vで表される化合物において、Lは好ましくは、Cl、Br、I、あるいは例えば、活性化エステル、イミダゾリド、または1〜6個のC原子を有するアルキルスルホニルオキシ(好ましくは、メチルスルホニルオキシ、またはトリフルオロメチルスルホニルオキシ)、もしくは6〜10個のC原子を有するアリールスルホニルオキシ(好ましくは、フェニル−またはp−トリルスルホニルオキシ)などの活性に修飾されたOH基である。
典型的なアシル化反応におけるカルボキシル基の活性化のためのこのタイプの基は、文献(例えば、Houben-Weyl, Methoden der organischen Chemie [有機化学の方法], Georg-Thieme-Verlag, Stuttgartなどの標準的文献)に記載されている。
活性化エステルは、有利には、例えば、HOBtまたはN−ヒドロキシスクシンイミドの付加を通じて、そのまま形成される。
【0067】
本反応は、一般的に不活性溶媒中で、酸結合試薬の存在下、好ましくは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩または重炭酸塩、あるいはアルカリ金属またはアルカリ土類金属の弱酸の他の塩、好ましくはカリウム、ナトリウム、カルシウムまたはセシウムの存在下で行われる。トリエチルアミン、ジメチルアニリン、ピリジンまたはキノリンなどの有機塩基、あるいは過剰の式IVで表されるアミン成分を添加することもまた、好ましい。
用いられる条件に依存して、反応時間は数分間〜14日間であり、および反応温度は約0°〜150°、通常20°〜130°である。
好適な不活性溶媒は、上記のものである。
【0068】
式Iで表される化合物は、さらに好ましくは式VIで表される化合物を式VIIで表される化合物と反応させることにより、得ることができる。
式VIの化合物において、Lは好ましくは、Cl、Br、I、あるいは例えば、活性化エステル、イミダゾリド、または1〜6個のC原子を有するアルキルスルホニルオキシ(好ましくは、メチルスルホニルオキシ、またはトリフルオロメチルスルホニルオキシ)、もしくは6〜10個のC原子を有するアリールスルホニルオキシ(好ましくは、フェニル−またはp−トリルスルホニルオキシ)などの活性に修飾されたOH基である。
典型的なアシル化反応におけるカルボキシル基の活性化のためのこのタイプの基は、文献(例えば、Houben-Weyl, Methoden der organischen Chemie [有機化学の方法], Georg-Thieme-Verlag, Stuttgartなどの標準的文献)に記載されている。
活性化エステルは、有利には、例えば、HOBtまたはN−ヒドロキシスクシンイミドの付加を通じて、そのまま形成される。
【0069】
本反応は、一般的に不活性溶媒中で、酸結合試薬の存在下、好ましくは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩または重炭酸塩、あるいはアルカリ金属またはアルカリ土類金属の弱酸の他の塩、好ましくはカリウム、ナトリウム、カルシウムまたはセシウムの存在下で行われる。トリエチルアミン、ジメチルアニリン、ピリジンまたはキノリンなどの有機塩基、あるいは過剰の式VIIで表されるアミン成分を添加することもまた、好ましい。
用いられる条件に依存して、反応時間は数分間〜14日間であり、および反応温度は約0°〜150°、通常20°〜130°である。
好適な不活性溶媒は、上記のものである。
【0070】
医薬用の塩および他の形態
本発明の前記化合物は、それらの最終的な、塩ではない形態で使用することができる。他方では、本発明はまた、それらの化合物の、当業者に既知の手順により様々な有機および無機の酸および塩基から生成され得るそれらの薬学的に許容しうる塩の形態での使用を包含する。式Iの化合物の薬学的に許容しうる塩の形態は、大部分が、従来の方法により製造される。
【0071】
式Iで表される化合物が、カルボキシル基を含有する場合、その好適な塩の1つを化合物を好適な塩基と反応させることによって形成することができ、対応する塩基付加塩が得られる。かかる塩基は、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化リチウムを含むアルカリ金属水酸化物;水酸化バリウムおよび水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物;アルカリ金属アルコキシド、例えばカリウムエトキシドおよびナトリウムプロポキシド;ならびに、ピペリジン、ジエタノールアミンおよびN−メチルグルタミンなどの様々な有機塩基である。
【0072】
式Iで表される化合物のアルミニウム塩が同様に含まれる。ある式Iの化合物の場合、酸付加塩は、これらの化合物を薬学的に許容しうる有機および無機酸、例えば、塩化水素、臭化水素またはヨウ化水素などのハロゲン化水素、硫酸塩、硝酸塩またはリン酸塩などの他の鉱酸およびそれらの対応する塩、ならびにエタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩およびベンゼンスルホン酸塩などのアルキルスルホン酸塩およびモノアリールスルホン酸塩、ならびに酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、アスコルビン酸塩などの他の有機酸およびそれらの対応する塩で処理することにより、形成することができる。
【0073】
したがって、式Iで表される化合物の薬学的に許容しうる酸付加塩は、以下のものを含む:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アルギナート(arginate)、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシラート(besylate))、重硫酸塩、重亜硫酸塩、臭化物、酪酸塩、樟脳酸塩(camphorate)、カンファースルホン酸塩、カプロン酸塩、塩化物、クロロ安息香酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオナート、二グルコン酸塩、リン酸二水素塩、ジニトロ安息香酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、ガラクテラート(galacterate)(粘液酸から)、ガラクツロン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミコハク酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、イソ酪酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタリン酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル安息香酸塩、リン酸一水素塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、オレイン酸塩、パルモアート(palmoate)、ペクチナート(pectinate)、過硫酸塩、フェニル酢酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、フタル酸塩。しかし、これは、限定を示すものではない。
【0074】
さらに、本発明の化合物の塩基性塩は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、鉄(III)、鉄(II)、リチウム、マグネシウム、マンガン(III)、マンガン(II)、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛塩を含むが、これは、限定を示すことを意図するものではない。上記の塩のうち、好ましいのは、アンモニウム;アルカリ金属塩であるナトリウムおよびカリウム、ならびにアルカリ土類金属塩であるカルシウムおよびマグネシウムである。
【0075】
薬学的に許容しうる有機で無毒性の塩基由来の式Iの化合物の塩は、第一級、第二級および第三級アミンの塩、置換アミンを含み、また天然の置換アミン、環状アミン、ならびに塩基性イオン交換樹脂、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、クロロプロカイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン(ベンザチン)、ジシクロヘキシルアミン、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン(hydrabamine)、イソプロピルアミン、リドカイン、リジン、メグルミン、N−メチル−D−グルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミンおよびトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン(トロメタミン)を含むが、これは、限定を示すことを意図するものではない。
【0076】
塩基性窒素含有基を含有する本発明の化合物を、ハロゲン化(C〜C)アルキル、例えば塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチル、イソプロピルおよびtert−ブチル;ジ(C〜C)アルキル硫酸塩、例えばジメチル、ジエチルおよびジアミル硫酸塩;ハロゲン化(C10〜C18)アルキル、例えば塩化、臭化およびヨウ化デシル、ドデシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリル;およびハロゲン化アリール(C〜C)アルキル、例えば塩化ベンジルおよび臭化フェネチルなどの剤を使って四級化することができる。水溶性および油溶性の本発明の化合物は両方、かかる塩を使って製造することができる。
【0077】
好ましい上記の医薬用の塩は、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ベシラート、クエン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、ヘミコハク酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、イセチオン酸塩、マンデル酸塩、メグルミン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、ホスホン酸塩、ピバル酸塩、リン酸ナトリウム、ステアリン酸塩、硫酸塩、スルホサリチル酸塩、酒石酸塩、チオリンゴ酸塩、トシル酸塩およびトロメタミンを含むが、これは、限定を示すことを意図するものではない。
【0078】
式Iで表される塩基性化合物の酸付加塩を、従来の方法で塩の形成をもたらす、遊離塩基の形態を十分な量の所望の酸に接触させることによって製造する。遊離塩基を、塩の形態を塩基に接触させ、従来の方法で遊離塩基を単離することによって、再生することができる。遊離塩基の形態は、極性溶媒への溶解性などのある物理的特性に関して、それらの対応する塩の形態とはある点において異なる。しかしながら、本発明の目的のために、塩は、その他の点では、それぞれのそれらの遊離塩基の形態に対応する。
【0079】
既述のように、式Iで表される化合物の薬学的に許容しうる塩基付加塩を、アルカリ金属およびアルカリ土類金属または有機アミンなどの金属またはアミンにより形成する。好ましい金属は、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウムである。好ましい有機アミンは、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N−メチル−D−グルカミンおよびプロカインである。
【0080】
本発明の酸性化合物の塩基付加塩もまた、従来の方法で塩の形成をもたらす、遊離酸の形態を十分な量の所望の塩基に接触させることによって製造する。遊離酸を、塩の形態を酸に接触させ、従来の方法で遊離酸を単離することによって、再生することができる。遊離酸の形態は、極性溶媒への溶解性などのある物理的特性に関して、それらの対応する塩の形態とはある点において異なる。しかしながら、本発明の目的のために、塩は、その他の点では、それぞれのそれらの遊離酸の形態に対応する。
【0081】
本発明の化合物が、このタイプの薬学的に許容しうる塩の形成能がある2以上の基を含有する場合、本発明はまた、複数の塩を包含する。典型的な複数の塩の形態は、例えば、重酒石酸塩、二酢酸塩、二フマル酸塩、二メグルミン酸塩、二リン酸塩、二ナトリウムおよび三塩酸塩を含むが、これは、限定を示すことを意図するものではない。
【0082】
上に示したものに関して、本明細書の文脈における表現「薬学的に許容しうる塩」は、特にこの塩の形態が、活性成分の遊離の形態または以前使われた活性成分のあらゆる他の塩の形態と比較して薬物動態特性が改善された活性成分を提供する場合、式Iの化合物をその塩の1種の形で含む活性成分、という意味に解釈されることがわかる。活性成分の薬学的に許容しうる塩の形態はまた、以前は有していなかった所望の薬物動態特性を有するこの活性成分を初めて提供することができ、体内でのその治療効力に関してこの活性成分の薬力学へ正の影響を与えることもできる。
【0083】
本発明の式Iの化合物は、これらの分子構造により、キラルでもよく、したがって、様々な鏡像異性の形態で生じてもよい。これらは、したがってラセミ体でまたは光学活性形態にて存在し得る。
【0084】
本発明の化合物のラセミ化合物または立体異性体の薬学的活性が異なるかもしれないため、鏡像異性体を使用することが望ましいだろう。これらの場合、最終生成物または中間物でさえも、当業者に知られたまたは合成でこのように使われていた化学的または物理的方法により、鏡像異性化合物へと分離することができる。
【0085】
ラセミアミンの場合、ジアステレオマーは、光学活性分割剤との反応により、混合物から形成される。好適な分割剤の例は、酒石酸のRおよびS体、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸、乳酸、適切なN−保護アミノ酸(例えばN−ベンゾイルプロリンまたはN−ベンゼンスルホニルプロリン)、あるいは様々な光学活性カンファースルホン酸などの光学活性酸である。また、有利なのは、光学活性分割剤(例えばジニトロベンゾイルフェニルグリシン、三酢酸セルロースあるいは炭水化物またはシリカゲルに固定したキラル誘導体化(chirally derivatised)メタクリル酸ポリマーの他の誘導体)の助けを借りたクロマトグラフ鏡像異性体分離である。この目的の好適な溶離剤は、例えば82:15:3の比率での、ヘキサン/イソプロパノール/アセトニトリルなどの、水性またはアルコール性溶媒混合物である。
【0086】
本発明はさらに、特に非化学的方法による医薬(医薬組成物)の製造のための式Iの化合物および/または生理学的に許容しうるこれらの塩の使用に関する。これらを、少なくとも1種の固体、液体および/または半液体の賦形剤または補助剤と共に、そして所望であれば、1種または2種以上の他の活性成分と組み合わせて、好適な投与形態に変換することができる。
【0087】
本発明はさらに、式Iの化合物および/またはそれらの薬学的に使用できる誘導体、溶媒和物および立体異性体またはそれらの全ての比率での混合物の少なくとも1種、ならびに任意の賦形剤および/または補助剤を含む医薬品に関する。
【0088】
医薬製剤を、投与量単位あたり予め決められた量の活性成分を含む投与量単位の形態で投与することができる。かかる単位は、例えば、0.5mg〜1g、好ましくは1mg〜700mg、特に好ましくは5mg〜100mgの本発明の化合物を含むことができ、処置する疾患の状態、投与方法および患者の年齢、体重および状態に依存するか、あるいは医薬製剤を、投与量単位あたり予め決められた量の活性成分を含む投与量単位の形態で投与してもよい。好ましい投与量単位製剤は、活性成分の、上記のように1日量または部分用量(part-dose)、あるいはその対応する画分を含むものである。さらに、このタイプの医薬製剤は、医薬分野で一般的に知られている方法を使用して調製することができる。
【0089】
医薬製剤投与は、あらゆる所望の好適な方法を介して、例えば、経口(口腔または舌下を含む)、直腸、経鼻、局所(口腔、舌下または経皮を含む)、膣内または非経口(皮下、筋肉内、静脈内または皮内を含む)方法により、投与に適し得る。かかる製剤は、医薬分野で既知のすべての方法を使用して、例えば、活性成分を賦形剤または補助剤と組み合わせることにより、調製することができる。
【0090】
経口投与に適した医薬製剤を、独立単位、例えば、カプセルまたは錠剤;粉剤または顆粒;水溶性または非水溶性の液体中の溶液または懸濁液;食用の泡または泡状の食物;または水中油滴の乳濁液または油中水滴の乳濁液などとして、投与することができる。
【0091】
したがって、例えば、錠剤またはカプセルの形態での経口投与の場合、活性成分を、経口の、無毒性のおよび薬学的に許容しうる不活性な賦形剤、例えば、エタノール、グリセロール、水などと組み合わせることができる。粉剤を、化合物を好適な微細なサイズに粉砕し、それを同じように粉砕した、例えば、デンプンまたはマンニトールなどの食用の炭水化物などの医薬賦形剤と混合することにより、調製する。フレーバー剤、保存剤、分散剤および染料が同様にあってもよい。
【0092】
カプセルを、上記の粉末混合物を調製し、成形したゼラチン殻をそれで充填することにより、製造する。流動促進剤および潤滑剤、例えば、高分散性ケイ酸、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムまたは固形のポリエチレングリコールなどを、充填作業前に粉末混合物に添加することができる。錠剤分解物質または可溶化剤、例えば、寒天、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウムなどを、カプセルを摂取した後の医薬の有用性を改善するために、同様に添加してもよい。
【0093】
加えて、所望の場合または必要な場合、好適な結合剤、潤滑剤および錠剤分解物質、ならびに染料を、同様に混合物に組み込むことができる。好適な結合剤は、デンプン、ゼラチン、天然糖類、例えば、グルコースまたはβラクトース、トウモロコシ由来の甘味料など、天然および合成ゴム、例えば、アカシア、トラガカントなど、またはアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなどを含む。これらの剤形において使用される潤滑剤は、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどを含む。錠剤分解物質は、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどを含むが、これらに制限されない。
【0094】
錠剤を、例えば、粉末混合物を調製し、混合物を造粒または乾燥圧縮し、潤滑剤および錠剤分解物質を添加し、および混合物全体を圧縮し、錠剤を得ることにより、製剤する。粉末混合物を、好適な方法で粉砕した化合物を、上記のように、希釈剤または基剤と、および任意に、結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチンまたはポリビニルピロリドンなど、溶解遅延剤、例えば、パラフィン、吸収促進剤、例えば、4級塩など、および/または吸収剤、例えば、ベントナイト、カオリンまたは第二リン酸カルシウムなどと混合することにより調製する。粉末混合物を、結合剤、例えば、シロップ、デンプンペースト、アカディア(acadia)の粘液またはセルロースまたはポリマー材料の溶液などにより湿潤させ、ふるいを通して圧縮することにより造粒することができる。
【0095】
造粒の代替方法として、粉末混合物を、錠剤製造機に通し、壊れた不均一な形の塊を得て、顆粒を形成することができる。顆粒を、錠剤の鋳型に貼り付くのを防止するために、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルクまたは鉱物油の添加により潤滑化することができる。そして、潤滑化した混合物を圧縮し、錠剤を得る。また、本発明の化合物を、自由流動性の不活性賦形剤と組み合わせ、そして造粒または乾燥圧縮段階を行わずに直接圧縮し、錠剤を得ることができる。セラック密封層、糖またはポリマー材料の層およびワックスの光沢層からなる透明または不透明の保護層があってもよい。染料を、異なる投与量単位を識別できるようにするために、これらのコーティング剤に添加することができる。
【0096】
経口液体、例えば、溶液、シロップおよびエリキシル剤などを、ある量が予め特定した量の化合物を含むよう、投与量単位の形態で調製することができる。シロップは、好適なフレーバーを有する水溶液に化合物を溶解することにより、調製することができる一方、エリキシル剤は、無毒性のアルコール性ビヒクルを使用して調製する。懸濁液を、無毒性のビヒクルに化合物を分散させることにより製剤することができる。可溶化剤および乳化剤、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール類およびポリオキシエチレンソルビトールエーテル類など、保存剤、フレーバー添加剤、例えば、ペパーミントオイルなど、あるいは天然甘味料またはサッカリン、または他の人工甘味料などを同様に、添加することができる。
【0097】
経口投与用の投与量単位製剤は、所望の場合、マイクロカプセル内に封入することができる。製剤を、放出を延長するまたは遅延させるように、例えば、ポリマー、ワックスなどにおける粒子材料のコーティングまたは埋め込みなどにより、調製することができる。
【0098】
式Iで表される化合物、ならびにそれらの塩、溶媒和物および生理学的に機能的な誘導体をまた、リポソーム送達系、例えば、小単ラメラ小胞、大単ラメラ小胞および多重ラメラ小胞などの形態で投与することができる。リポソーム類を、様々なリン脂質類、例えば、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンなどから形成することができる。
【0099】
式Iで表される化合物、ならびにそれらの塩、溶媒和物および生理学的に機能的な誘導体をまた、モノクローナル抗体を化合物分子が結合する個々の担体として使用し、送達することができる。化合物はまた、可溶性ポリマーに標的医薬担体として結合することができる。かかるポリマーは、パルミトイル基により置換される、ポリビニルピロリドン、ピラン共重合体、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルタミドフェノールまたはポリエチレンオキシドポリリシンを包含してもよい。化合物はさらに、医薬の放出の制御を成し遂げるのに好適な生分解性ポリマーの種類、例えば、ポリ乳酸、ポリ−イプシロン−カプロラクトン、ポリヒドロキシブチル酸、ポリオルトエステル類、ポリアセタール類、ポリジヒドロキシピラン類、ポリシアノアクリラート類およびヒドロゲルの架橋または両親媒性ブロックコポリマーに結合してもよい。
【0100】
経皮投与に適した医薬製剤を、受容体の表皮と広範で密接に接触するように独立した絆創膏として投与することができる。したがって、例えば、活性成分を、Pharmaceutical Research, 3(6), 318 (1986)の一般用語中に記載されたように、イオントフォレシス(iontophoresis)により絆創膏から送達することができる。
【0101】
局所投与に適した医薬化合物を、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、粉剤、溶液、ペースト、ゲル、スプレー、エアロゾルまたはオイルとして製造することができる。
【0102】
目または他の外部組織、例えば、口および皮膚の処置に対して、製剤を、好ましくは局所軟膏またはクリームとして適用する。軟膏を得るために製剤する場合、活性成分を、パラフィン系または水混和性いずれかのクリーム基剤を用いることができる。代わりに、活性成分を、水中油滴クリーム基剤または油中水滴基剤を用いて製剤し、クリームを得ることができる
【0103】
目への局所適用に適した医薬製剤は、活性成分を、好適な担体、特に水性溶媒に溶解したまたは懸濁した点眼液である。
口内で局所適用に適した医薬製剤は、ローゼンジ、トローチおよびマウスウォッシュを包含する。
直腸投与に適した医薬製剤を、坐薬またはかん腸剤の形態で投与することができる。
【0104】
担体物質が、粒子サイズを、例えば、20〜500ミクロンの範囲で有する粗い粉末を含む固体である、経鼻投与に適した医薬製剤を、吸う方法で、すなわち、鼻に近く持った粉末を含有する容器から迅速な鼻道経由の吸入により投与する。担体物質として液体を含む、経鼻スプレーまたは点鼻薬として投与に好適な製剤は、水中または油中に活性成分溶液を包含する。
【0105】
吸入による投与に適した医薬製剤は、エアロゾル、噴霧器または吸入器を有する様々なタイプの加圧型のディスペンサにより生じさせることができる微細な粒子状の粉末またはミストを包含する。
膣内投与に適した医薬製剤を、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡またはスプレー製剤として投与することができる。
【0106】
非経口投与に適した医薬製剤は、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤および製剤を処置する受容体の血液と等張にするために用いられる溶質を含む水溶性および非水溶性の無菌注射溶液;ならびに懸濁媒体および増粘剤を含んでもよい水溶性および非水溶性の無菌懸濁液を含む。該製剤を、単回用量または複数用量の容器、例えば、密封アンプルおよびバイアルで投与することができ、使用直前の無菌の液体担体、例えば、注射目的の水の添加のみが必要であるように、フリーズドライ(凍結乾燥)状態で保管する。
処方に従って調製する注射溶液および懸濁液は、無菌粉剤、顆粒および錠剤から調製することができる。
【0107】
上記の特に言及された構成に加えて、製剤は、特定のタイプの製剤に関して当該技術分野では通例である他の剤をまた含んでもよいことは言うまでもなく、したがって、例えば、経口投与に好適な製剤は、フレーバー剤を含んでもよい。
【0108】
本発明の化合物の治療有効量は、例えば、動物の年齢および体重、治療を必要とする正確な疾患状態およびその重症度、製剤の性質および投与の方法を含む多数の要因に依存し、最終的には、処置をする医者および獣医が決定する。しかしながら、本発明の化合物の有効量は一般的に、1日あたり受容体(哺乳動物)あたり0.1〜100mg/kg(体重)の範囲、特に典型的に1日あたり1〜10mg/kg(体重)の範囲である。したがって、体重70kgの成熟した哺乳動物に対する実際の1日あたりの量は通常、70〜700mgであり、この量を、1日あたりの単回用量として、あるいは通常、1日量の合計が同じであるように、1日あたり一連の部分用量(例えば、2、3、4、5または6など)で投与することができる。塩または溶媒和物またはそれらの生理学的機能性誘導体の有効量を、それ自体、本発明の化合物の有効量の画分として、決定することができる。
【0109】
式Iで表される化合物およびこれらの生理学的に許容しうる塩は、血栓症、心筋梗塞、動脈硬化症、炎症、卒中、狭心症、血管形成術後の再狭窄、間歇性跛行、偏頭痛、腫瘍、腫瘍疾患および/または腫瘍転移などの血栓塞栓症の治療および予防のために使用することができる。
【0110】
本発明はさらに、式Iで表される化合物の少なくとも1種および/またはそれらの薬学的に使用できる誘導体、溶媒和物および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物、ならびに少なくとも1種の更なる医薬活性成分を含む医薬に関する。
【0111】
本発明はまた、
(a)有効量の式Iの化合物および/またはそれらの薬学的に使用できる誘導体、溶媒和物および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物
および
(b)有効量の更なる医薬活性成分
の分離パックからなるセット(キット)
に関する。
【0112】
セットは、箱、個別の瓶、バッグまたはアンプルなどの好適な容器を含む。セットは、例えば、それぞれ有効量の式Iの化合物および/または薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物、そして有効量の他の医薬活性成分を溶解または凍結乾燥形態にて含む独立したアンプルを含んでもよい。
【0113】
本発明はさらに、式Iの化合物および/またはそれらの薬学的に使用できる誘導体、溶媒和物および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物の使用であって、血栓症、心筋梗塞、動脈硬化症、炎症、卒中、狭心症、血管形成術後の再狭窄、間歇性跛行、偏頭痛、腫瘍、腫瘍疾患および/または腫瘍転移の処置に対し、少なくとも1種の更なる医薬活性成分と組み合わせた医薬の製造のための使用に関する。
【0114】
本明細書中、すべての温度は、℃で表す。以下の例において、「従来の作業」とは、必要に応じて水を加え、必要に応じて、最終生成物の構成に依存して、pHを2〜10に調整し、混合物を、酢酸エチルまたはジクロロメタンで抽出し、相を分離し、有機相を、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、生成物をシリカゲル上のクロマトグラフィーまたは結晶化により精製することを意味する。シリカゲル上のRf値;溶離剤:酢酸エチル/メタノール=9:1。
定量分析(MS):EI(電子衝撃イオン化)M
ESI(エレクトロスプレーイオン化)(M+H)(特に明記しない限り)
【0115】
例1
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−ジメチルアミノエタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド(「A1」)
【化10】

【0116】
100mg(0.351mmol)の(2R,4R)−1−(4−クロロフェニルカルバモイル)−4−ヒドロキシプロリン()および72.75mg(0.351mmol)のN−(4−アミノフェニル)−2−ジメチルアミノ−N−メチルアセトアミド(米国特許第2436115号(1945年)に記載)を1mlのDMFに溶解し、62.29mg(0.351mmol)のN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩を添加し、混合物を室温で24時間攪拌する。従来の作業により、35mg(21%)の「A1」;(M+H)475;m.p.95°を得る。
【0117】
以下の化合物が、同様に得られる。
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−(N−メチル,N−ブチルアミノ)エタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、m.p.98°;
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−(モルホリン−4−イル)エタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド(「A1−1」)、m.p.86°;
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)エタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド(「A1−2」)、m.p.78°;
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−(2,6−ジメチルモルホリン−4−イル)エタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、m.p.137°;
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−(3−シクロヘキシルメチルピペリジン−1−イル)エタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、m.p.104°;
【0118】
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−ジエチルアミノエタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、m.p.86°;
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−(N−メチル,N−エチルアミノ)エタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、m.p.113°;
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−(2−メチルイミダゾール−1−イル)エタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、m.p.171°;
1−N−(4−エチニルフェニル)−2−N−{4−[(2−ジメチルアミノエタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{2−フルオロ−4−[(2−ジメチルアミノエタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{5−[(2−ジメチルアミノエタノイル)メチルアミノ]ピリジン−2−イル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド。
【0119】
例2
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−アセトキシエタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド(「A2」)
【化11】

【0120】
2.1 1.146g(4.025mmol)のを10mlのTHFに懸濁し、0.995g(4.025mmol)のEEDQ(=2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン−1−カルボン酸エチル)を添加し、混合物を室温で30分間攪拌する。0.8g(4.027mmol)の4−メチルアミノアニリン(J. Org. Chem. 26, 1961, 1394に記載)を加えた後、反応混合物を室温でさらに18時間攪拌する。従来の作業により、300mgの1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−(N−メチルアミノ)フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド()、(M+H)390を得る。
【0121】
2.2 240mg(0.617mmol)の()を2mlのDCMに溶解し、82.92μl(0.771mmol)のアセトキシアセチルクロリド、62.23μl(0.771mmol)のピリジンおよび0.977mg(0.008mmol)のDMAP(=4−(ジメチルアミノ)−ピリジン)を連続的に添加する。混合物をその後室温で18時間攪拌し、従来の作業を行い、125mg(41%)の「A2」、MS=490(M+H)を得る。
【0122】
以下の化合物が、同様に得られる。
メチル(2R,4R)−2−[({[4−({1−[1−(4−クロロフェニルカルバモイル)−4−ヒドロキシピロリジン−2−イル]メタノイル}アミノ)フェニル]メチルカルバモイル}メチル)アミノ]−4−メチルペンタノアート、m.p.86°
【化12】

【0123】
例3
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−エチルアミノエタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド(「A3」)
【化13】

【0124】
3.1 N−(4−アミノフェニル)−2−クロロ−N−メチルアセトアミド()の製造
【化14】

【0125】
1.0g(4.374mmol)の2−クロロ−N−メチル−N−(4−ニトロフェニル)アセトアミド(Biochem. J. 55, 1953, 839に記載)を25mlのTHFに溶解し、0.5gのPt/C(5%)−55.9%湿潤を使って室温で水素化する。従来の作業により、を得る。
【0126】
3.2 1.146g(4.025mmol)のを10mlのTHFで懸濁し、0.995g(4.025mmol)のEEDQ(=2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン−1−カルボン酸エチル)を添加し、混合物を室温で30分間攪拌する。0.8g(4.027mmol)のを加えた後、反応混合物を室温でさらに18時間攪拌する。したがって、従来の作業により、750mg(40%)の1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−クロロエタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド(「A3a」);(M+H)466を得る。
【0127】
3.3 250mg(0.537mmol)の「A3a」および406μl(0.806mmol)のエチルアミン(THF中2M)を2mlのアセトニトリルに溶解し、85.4mg(0.806mmol)の無水炭酸ナトリウムを添加し、混合物を60℃で5時間攪拌する。したがって、従来の作業により、81mg(32%)の「A3」;(M+H)475;m.p.121°を得る。
【0128】
以下の化合物が、同様に得られる。
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−シクロヘキシルアミノエタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、m.p.141°;
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−メチルアミノエタノイル)メチルアミノ]−フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、m.p.145°;
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−イソプロピルアミノエタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、m.p.123.5°;
【0129】
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−tert−ブチルアミノエタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、m.p.137°;
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−シクロペンチルアミノエタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、m.p.130°;
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−シクロプロピルメチルアミノエタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、m.p.126°;
【0130】
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−クロロエタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド(「A3a」)の塩素置換により、化合物
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−ヒドロキシエタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド
を得る。
【0131】
例4
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−メトキシエタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド(「A4」)
【化15】

【0132】
アルゴン下で、0.05mmolのCuI(5mol%)、1.5mmolの2−メトキシアセトアミドおよび2.03mmolのKPOをフラスコ内に入れる。1.0mlのトルエン、0.1mmol(10mol%)のN,N’−ジメチレンジアミンおよび1.0mmolの1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−ヨードフェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド()を加えた後、(M+H)487[例3.2と同様の製造]を添加し、混合物を80℃で12時間攪拌する。冷却および従来の作業により、「A4」;(M+H)462;m.p.84°を得る。
【0133】
以下の化合物が、同様に得られる。
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−エトキシエタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、m.p.89°;
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−プロポキシエタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−ブトキシエタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、
1−N−(4−エチニルフェニル)−2−N−{4−[(2−メトキシエタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{2−フルオロ−4−[(2−メトキシエタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{5−[(2−メトキシエタノイル)メチルアミノ]−ピリジン−2−イル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド。
【0134】
薬理学的データ
受容体への親和性
【表1】

【0135】
以下の例は、医薬製剤に関する:
例A:注射バイアル
3リットルの二回蒸留水中に100gの式Iの活性成分および5gのリン酸水素二ナトリウムを含有する溶液を、2N塩酸を使ってpH6.5に調整し、滅菌濾過し、注射バイアルに移し、無菌条件下で凍結乾燥し、無菌条件下で封をする。各注射バイアルは、5mgの活性成分を含む。
例B:坐薬
20gの式Iの活性成分の混合物を、100gの大豆レシチンおよび1400gのココアバターと共に溶かし、鋳型に注ぎ、冷ます。各坐薬は、20mgの活性成分を含む。
【0136】
例C:溶液
溶液を、二回蒸留水940ml中1gの式Iの活性成分、9.38gのNaHPO・2HO、28.48gのNaHPO・12HOおよび0.1gの塩化ベンザルコニウムから調製する。pHを、6.8に調整し、溶液を、1リットルにそろえ、照射により殺菌する。本溶液は、目薬の形で使用することができる。
例D:軟膏
500mgの式Iの活性成分を、無菌条件下で99.5gのワセリンと混合する。
【0137】
例E:錠剤
1kgの式Iの活性成分、4kgの乳糖、1.2kgのじゃがいもデンプン、0.2kgのタルクおよび0.1kgのステアリン酸マグネシウムの混合物を、各錠剤が10mgの活性成分を含むように、従来の方法で、圧縮して錠剤とする。
例F:被覆錠
錠剤を、例Eと同様に圧縮し、その後にショ糖、じゃがいもデンプン、タルク、トラガカントおよび染料のコーティング剤で、従来の方法でコーティングする。
【0138】
例G:カプセル
2kgの式Iの活性成分を、硬質ゼラチンカプセルに、各カプセルが20mgの活性成分を含むように、従来の方法で導入する。
例H:アンプル
二回蒸留水60リットル中に1kgの式Iの活性成分を含有する溶液を滅菌濾過し、アンプルに移し、無菌条件下で凍結乾燥し、無菌条件下で封をする。各アンプルは、10mgの活性成分を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

式中、
Rは、Hal、−C≡C−H、−C≡C−AまたはOAを示し、
は、H、=O、Hal、A、OH、OA、A−COO−、Ph−(CH−COO−、シクロアルキル−(CH−COO−、A−CONH−、A−CONA−、Ph−CONA−、N、NH、NO、CN、COOH、COOA、CONH、CONHA、CON(A)、O−アリル、O−プロパルギル、O−ベンジル、=N−OH、=N−OAまたは=CFを示し、
X、X’は、互いに独立して、CH、CHalまたはNを示し、
Yは、RまたはHalを示し、
Phは、置換されていないか、あるいはA、OA、OHまたはHalにより単置換、二置換または三置換されているフェニルを示し、
は、H、HalまたはAを示し、
は、HまたはAを示し、
は、OH、OA、A−COO−、NHA、NHAr、NAA’、Hetまたは−NH−CHR−COORを示し、
は、H、A、−CHR−OH、(CH−Ph、(CH−COOH、(CH−CONH、(CH−NH、(CH−NH(=NH)NH、(CH−Hetまたは(CH−SRを示し、
Hetは、単環式または二環式で、飽和、不飽和または芳香族性の1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有する複素環を示し、それは置換されていないか、あるいはA、OH、OA、CN、COOH、COOAおよび/またはカルボニル酸素(=O)により単置換、二置換または三置換されていてもよく、
Hetは、単環式または二環式で、芳香族性の1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有する複素環を示し、それは置換されていないか、あるいはA、OH、OAおよび/またはCNにより単置換、二置換または三置換されていてもよく、
A、A’は、互いに独立して、1〜12個のC原子を有する非分枝状、分枝状または環状アルキルを示し、加えて、1〜7個のH原子がFおよび/または塩素により置き換えられてもよく、
Arは、ナフチル、ビフェニル、またはフェニルを示し、それは置換されていないか、あるいはHal、A、OR、N(R、NO、CN、COOR、CON(R、NRCOA、NRCON(R、NRSOA、COR、SON(R、S(O)A、−[C(R−COORまたは−O−[C(R−COORにより単置換、二置換または三置換されており、
Halは、F、Cl、BrまたはIを示し、
nは、0、1、2または3を示し、
pは、1、2、3、4または5を示す、
で表される化合物、ならびにそれらの薬学的に使用できる誘導体、溶媒和物、塩および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物。
【請求項2】
Rが、Halまたは−C≡C−Hを示す、
請求項1に記載の化合物、ならびにそれらの薬学的に使用できる誘導体、溶媒和物、塩および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物。
【請求項3】
が、H、=O、Hal、A、OHまたはOAを示す、
請求項1または2に記載の化合物、ならびにそれらの薬学的に使用できる誘導体、溶媒和物、塩および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物。
【請求項4】
が、OHを示す、
請求項1〜3のいずれかに記載の化合物、ならびにそれらの薬学的に使用できる誘導体、溶媒和物、塩および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物。
【請求項5】
Xが、CHまたはNを示し、
X’が、CHを示す、
請求項1〜4のいずれかに記載の化合物、ならびにそれらの薬学的に使用できる誘導体、溶媒和物、塩および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物。
【請求項6】
が、HまたはHalを示し、
請求項1〜5のいずれかに記載の化合物、ならびにそれらの薬学的に使用できる誘導体、溶媒和物、塩および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物。
【請求項7】
が、Hあるいは1、2、3、4、5または6個のC原子を有するアルキルを示す、
請求項1〜6のいずれかに記載の化合物、ならびにそれらの薬学的に使用できる誘導体、溶媒和物、塩および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物。
【請求項8】
Hetが、単環式で、飽和、不飽和または芳香族性の1〜2個のNおよび/またはO原子を有する複素環を示し、それは置換されていないか、あるいはA、OHおよび/またはOAにより単置換、二置換または三置換されてもよい、
請求項1〜7のいずれかに記載の化合物、ならびにそれらの薬学的に使用できる誘導体、溶媒和物、塩および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物。
【請求項9】
Hetが、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラゾリル、チアゾリル、インドリル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニルまたはピペラジニルを示し、それぞれは、置換されていないか、あるいはA、OHおよび/またはOAにより単置換、二置換または三置換されている、
請求項1〜8のいずれかに記載の化合物、ならびにそれらの薬学的に使用できる誘導体、溶媒和物、塩および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物。
【請求項10】
Hetが、無置換で、単環式または二環式の、芳香族性の1〜2個のN、Oおよび/またはS原子を有する複素環を示す、
請求項1〜9のいずれかに記載の化合物、ならびにそれらの薬学的に使用できる誘導体、溶媒和物、塩および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物。
【請求項11】
が、HまたはAを示す、
請求項1〜10のいずれかに記載の化合物、ならびにそれらの薬学的に使用できる誘導体、溶媒和物、塩および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物。
【請求項12】
Arが、ナフチル、またはフェニルを示し、それは置換されていないか、あるいはHal、A、OR、N(R、NO、CN、COORまたはCON(Rにより単置換、二置換または三置換されている、
請求項1〜11のいずれかに記載の化合物、ならびにそれらの薬学的に使用できる誘導体、溶媒和物、塩および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物。
【請求項13】
Arが、フェニルを示す、
請求項1〜12のいずれかに記載の化合物、ならびにそれらの薬学的に使用できる誘導体、溶媒和物、塩および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物。
【請求項14】
Rが、Halまたは−C≡C−Hを示し、
が、OHを示し、
Xが、CHまたはNを示し、
X’が、CHを示し、
Yが、RまたはHalを示し、
が、HまたはHalを示し、
が、1、2、3、4、5または6個のC原子を有するアルキルを示し、
が、OH、OA、A−COO−、NHA、NHAr、NAA’、Het、−NH−CHR−COORまたは−NH−CHR−COOHを示し、
が、HまたはAを示し、
Hetが、単環式で、飽和、不飽和または芳香族性の1〜2個のNおよび/またはO原子を有する複素環を示し、それは置換されていないか、あるいはA、OHおよび/またはOAにより単置換、二置換または三置換されてもよく、
A、A’が、互いに独立して、1〜12個のC原子を有する非分枝状、分枝状または環状アルキルを示し、加えて、1〜7個のH原子がFおよび/または塩素により置き換えられてもよく、
Halが、F、Cl、BrまたはIを示し、
nが、0、1、2または3を示し、
pが、1、2、3、4または5を示す、
請求項1〜13のいずれかに記載の化合物、ならびにそれらの薬学的に使用できる誘導体、溶媒和物、塩および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物。
【請求項15】
式Ia
【化2】

式中、
Rは、Halまたは−C≡C−Hを示し、
は、OHを示し、
Xは、CHまたはNを示し、
X’は、CHを示し、
Yは、RまたはHalを示し、
は、HまたはHalを示し、
は、1、2、3、4、5または6個のC原子を有するアルキルを示し、
は、OH、OA、A−COO−、NHA、NAA’、Het、−NH−CHR−COORまたは−NH−CHR−COOHを示し、
は、HまたはAを示し、
Hetは、単環式で、飽和、不飽和または芳香族性の1〜2個のNおよび/またはO原子を有する複素環を示し、それは置換されていないか、あるいはA、OHおよび/またはOAにより単置換、二置換または三置換されていてもよく、
A、A’は、互いに独立して、1〜12個のC原子を有する非分枝状、分枝状または環状アルキルを示し、加えて、1〜7個のH原子がFおよび/または塩素により置き換えられてもよく、
Halは、F、Cl、BrまたはIを示し、
nは、0、1、2または3を示し、
pは、1、2、3、4または5を示す、
で表される請求項1〜14のいずれかに記載の化合物、ならびにそれらの薬学的に使用できる誘導体、溶媒和物、塩および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物。
【請求項16】

1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−ジメチルアミノエタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−(N−メチル,N−ブチルアミノ)−エタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−(モルホリン−4−イル)エタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)−エタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−(2,6−ジメチルモルホリン−4−イル)−エタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−(3−シクロヘキシルメチルピペリジン−1−イル)エタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−ジエチルアミノエタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−(N−メチル,N−エチルアミノ)エタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−(2−メチルイミダゾール−1−イル)エタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、
1−N−(4−エチニルフェニル)−2−N−{4−[(2−ジメチルアミノエタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{2−フルオロ−4−[(2−ジメチルアミノエタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{5−[(2−ジメチルアミノエタノイル)メチルアミノ]ピリジン−2−イル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−アセトキシエタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、
メチル(2R,4R)−2−[({[4−({1−[1−(4−クロロフェニルカルバモイル)−4−ヒドロキシピロリジン−2−イル]メタノイル}アミノ)フェニル]メチルカルバモイル}メチル)アミノ]−4−メチルペンタノアート、
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−エチルアミノエタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−クロロエタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−シクロヘキシルアミノエタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−メチルアミノエタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−イソプロピルアミノエタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−tert−ブチルアミノエタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−シクロペンチルアミノエタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−シクロプロピルメチルアミノエタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−ヒドロキシエタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−メトキシエタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−エトキシエタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−プロポキシエタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{4−[(2−ブトキシエタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、
1−N−(4−エチニルフェニル)−2−N−{4−[(2−メトキシエタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{2−フルオロ−4−[(2−メトキシエタノイル)メチルアミノ]フェニル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、
1−N−(4−クロロフェニル)−2−N−{5−[(2−メトキシエタノイル)メチルアミノ]ピリジン−2−イル}−(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、
から選択される請求項1に記載の化合物、ならびにそれらの薬学的に使用できる誘導体、溶媒和物、塩および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれかに記載の式Iで表される化合物ならびにそれらの薬学的に使用できる誘導体、溶媒和物、塩および立体異性体の製造方法であって、
a)式II
【化3】

式中、R、R、R、XおよびX’は、請求項1に示した意味を有する、
で表される化合物を、
式III
【化4】

式中、YおよびRは、請求項1に示した意味を有する、
で表される化合物と反応させること、
または
b)式IV
【化5】

式中、R、R、R、R、XおよびX’は、請求項1に示した意味を有する、
で表される化合物を、式V
【化6】

式中、Yは、請求項1に示した意味を有し、
Lは、Cl、Br、Iもしくは遊離のまたは活性に官能基修飾されたOH基を示す、
で表される化合物と反応させること、
または
c)式VI
【化7】

式中、RおよびRは、請求項1に示した意味を有し、
Lは、Cl、Br、Iもしくは遊離のまたは活性に官能基修飾されたOH基を示す、
で表される化合物を、
式VII
【化8】

式中、R、R、X、X’およびYは、請求項1に示した意味を有する、
で表される化合物と反応させること、
および/または
式Iの塩基または酸を、その塩の1種に変換すること、
を特徴とする、前記製造方法。
【請求項18】
凝固因子Xaの阻害剤としての、請求項1〜16のいずれかに記載の式Iで表される化合物。
【請求項19】
凝固因子VIIaの阻害剤としての、請求項1〜16のいずれかに記載の式Iで表される化合物。
【請求項20】
請求項1〜16のいずれかに記載の式Iで表される化合物の少なくとも1種および/またはそれらの薬学的に使用できる誘導体、溶媒和物および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物、ならびに任意に賦形剤および/または補助剤を含む医薬。
【請求項21】
請求項1〜16のいずれかに記載の式Iで表される化合物の少なくとも1種および/またはそれらの薬学的に使用できる誘導体、溶媒和物および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物、ならびに少なくとも1種の更なる医薬活性成分を含む医薬。
【請求項22】
請求項1〜16のいずれかに記載の化合物および/またはそれらの生理学的に許容しうる塩および溶媒和物の使用であって、血栓症、心筋梗塞、動脈硬化症、炎症、卒中、狭心症、血管形成術後の再狭窄、間歇性跛行、偏頭痛、腫瘍、腫瘍疾患および/または腫瘍転移の処置に対する医薬の製造のための使用。
【請求項23】
(a)有効量の請求項1〜16のいずれかに記載の化合物および/またはそれらの薬学的に使用できる誘導体、溶媒和物および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物
および
(b)有効量の更なる医薬活性成分
の分離パックからなるセット(キット)。
【請求項24】
請求項1〜16のいずれかに記載の式Iで表される化合物および/またはそれらの薬学的に使用できる誘導体、溶媒和物および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物の使用であって、血栓症、心筋梗塞、動脈硬化症、炎症、卒中、狭心症、血管形成術後の再狭窄、間歇性跛行、偏頭痛、腫瘍、腫瘍疾患および/または腫瘍転移の処置に対し、少なくとも1種の更なる医薬活性成分と組み合わせた医薬の製造のための使用。

【公表番号】特表2007−513988(P2007−513988A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544256(P2006−544256)
【出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【国際出願番号】PCT/EP2004/013509
【国際公開番号】WO2005/058817
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】