説明

プロービング装置

【課題】多点波形測定を必要とする電子部品の電気特性試験において、安価な構成で、かつ簡易な制御によって、被測定物測定点間が狭ピッチであっても、問題なく自動的にプロービングが可能なプロービング装置を得ること。
【解決手段】支持構造体5に垂直固定支持させた多数の両端コンタクトプローブ3の下方端を被測定物1が有する多数の被測定物測定点2に接触設定し、上方端を測定用回路基板8のS面パッド9に接触設定しておく。測定用回路基板8のY軸方向両端におけるC面信号パッド10a、10b及びC面GNDパッド11a,11bはX軸方向に所定数設けてありそれらをプロービングするプローブ12a,12b及びコンタクトプローブ13a,13bをX軸とZ軸の2軸のうちの少なくともZ軸方向に移動制御する。測定用回路基板8は、任意のS面パッド9に伝達された測定点の電気信号を表面信号パッドに伝達できる回路構成になっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子部品が実装されたプリント配線基板(いわゆる回路基板)の多点波形測定を必要とする電気特性試験で用いるプロービング装置に関し、特に、隣接する狭ピッチ測定点の自動的なプロービングに好適なプロービング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1では、多点波形測定を必要とする回路基板の電気特性試験において人為的なミスを無くし、波形測定作業の効率化、波形測定精度の向上を企図して、プローブを測定点に接触設定するプロービングの自動化を図ったプロービング装置が提案されている。
【0003】
すなわち、特許文献1に開示されたプロービング装置は、(1)被測定物である回路基板における電子部品と回路基板との接触部であるパッドに接触可能なプローブと、(2)プローブを垂直に把持して三次元動作可能なプローブ位置あわせ装置と、(3)プローブ位置合わせ装置を制御するプローブ位置合わせ制御装置と、(4)プローブ位置合わせ制御装置とデータインターフェースを有し、回路基板の配置配線設計データを有するCADと、(5)プローブに接続され、波形測定と表示を行う波形測定装置と、(6)波形測定装置に接続され、波形測定データを処理する波形データ収集装置と、(7)プローブ位置あわせ装置による波形測定対象のパッドへのプロービングを視覚情報である画像データとして検出する視覚センサーと、(8)視覚センサーから入力される前記画像データに基づきプローブ位置合わせ制御用データを出力する画像データ処理装置と、(9)波形測定対象のパッドへのプロービングを圧力データとして検出する圧力センサーと、(10)圧力センサーから入力される前記圧力データに基づきプローブ位置合わせ制御用データを出力する圧力データ処理装置と、を備えている。
【0004】
この特許文献1に開示されるプロービング装置では、プローブ位置合わせ制御装置が、まず、CADにて設計された回路基板の配置配線データに基づきプローブ位置合わせ制御用データを生成し、それに基づきプローブ位置合わせ装置を制御して目的場所へのプロービングを行う。
【0005】
すると、視覚センサーにて画像が取得されるので、プローブ位置合わせ制御装置は、画像データ処理装置が生成するプローブ位置合わせ制御用データに基づき、プローブ位置の基板平行面の補正データを生成する。また、圧力センサーにてプローブ加圧量が取得されるので、プローブ位置合わせ制御装置は、圧力データ処理装置が生成するプローブ位置合わせ制御用データに基づき、プローブ位置の高さ方向の補正データを生成する。
【0006】
プローブ位置合わせ制御装置は、以上のように生成したプローブ位置の基板平行面の補正データ、高さ方向の補正データを基にプローブ位置合わせ装置を再度制御する。この動作が、プロービング状態が最適な状態になるまで繰り返される。
【0007】
プロービング状態が最適になった状態で、波形測定装置がプローブから取得した電気信号波形を測定し、その波形測定データを波形データ収集装置が保存する、という動作が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−50163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記した従来のプロービング装置では、X・Y・Zの3軸方向動作が可能なプローブ位置合わせ装置を2台以上用いてプロービングするため、隣接する狭ピッチの測定点を計測する際に、プローブ位置合わせ装置同士が接触しプロービングできないことが起こるという問題がある。
【0010】
また、上記した従来のプロービング装置では、視覚センサーと画像データ処理装置、圧力センサーと圧力データ処理装置を必要とするので、高価なものになる。加えて、最適なプロービング状態を取得するために、何回も補正処理が必要になるので、制御が複雑化するという問題もある。
【0011】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであり、多点波形測定を必要とする電子部品の電気特性試験において、安価な構成で、かつ簡易な制御によって、被測定物測定点間が狭ピッチであっても、接触の問題なく自動的にプロービングが可能なプロービング装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した目的を達成するために、この発明にかかるプロービング装置は、測定基台のXY面である配置面に位置決め載置される被測定物用回路基板が有する多数の被測定物測定点のそれぞれに、下方端が接触した状態でZ軸方向に垂直に固定支持される多数の両端コンタクトプローブと、裏面に裏面パッドが前記多数の被測定物測定点と1対1の関係で配置され、表面のY軸方向一方端側に第1の表面信号パッド及び第1の表面GNDパッドがX軸方向に沿って所定個数配置され、表面のY軸方向他方端側に第2の表面信号パッド及び第2の表面GNDパッドがX軸方向に沿って所定個数配置される測定用回路基板であって、前記多数の裏面パッドが前記多数の両端コンタクトプローブの上方端に接触するように配置される測定用回路基板と、前記測定基台の配置面におけるY軸方向の一方端側において、前記第1の表面信号パッド及び第1の表面GNDパッドをプロービングする第1のプローブ及び第1のコンタクトプローブをX軸とZ軸の2軸方向に移動可能にする構成を備える第1の移動機構と、前記測定基台の配置面におけるY軸方向の他方端側において、前記第2の表面信号パッド及び第2の表面GNDパッドをプロービングする第2のプローブ及び第2のコンタクトプローブをX軸とZ軸の2軸方向に移動可能にする構成を備える第2の移動機構と、前記第1のプローブと前記第2のプローブとがそれぞれ取得した電気信号の少なくとも波形測定を行う波形測定装置と、記憶装置から取得した前記測定用回路基板の表面におけるパッド位置座標に基づき前記第1及び第2の移動機構を制御し、第1のプローブ及び第1のコンタクトプローブをX軸とZ軸のうちの少なくともZ軸方向に移動させるとともに第2のプローブ及び第2のコンタクトプローブをX軸とZ軸のうちの少なくともZ軸方向に移動させ、併せて前記波形測定装置に対する波形測定指示を出力する制御部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、多点波形測定を必要とする電子部品の電気特性試験において、安価な構成で、かつ簡易な制御によって、被測定物測定点間が狭ピッチであっても、接触の問題なく自動的にプロービングが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、この発明の一実施の形態によるプロービング装置の機械的及び電気的な全体構成を示す図である。
【図2】図2は、図1に示すZ軸エアーシリンダのこの実施の形態に関わる部分の構成例を示した図である。
【図3】図3は、図1に示す測定用回路基板のS面(裏面)におけるパッド等の配置内容を説明する平面図である。
【図4】図4は、図1に示す測定用回路基板のC面(表面)におけるパッド等の配置内容を説明する平面図である。
【図5】図5は、図1に示す測定用回路基板のC面(表面)にパッドのX軸方向への位置ズレを説明する平面図である。
【図6】図6は、図1に示す測定用回路基板CAD図面の生成手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に図面を参照して、この発明にかかるプロービング装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0016】
図1は、この発明の一実施の形態によるプロービング装置の機械的及び電気的な全体構成を示す図である。なお、図1では、紙面左右方向がY軸方向であり、紙面上下方向がZ軸方向であり、紙面垂直方向がX軸方向である。
【0017】
(プロービング装置100の特徴)
図1に示すプロービング装置100は、多点波形測定を必要とする被測定物1の電気特性試験を行う場合に、被測定物1が有する多数(数個〜数百個程度)の被測定物測定点2に、従来例のようにプローブ位置合わせ装置を用いてプローブを個別に直接接触設定するのではなく、予め両端コンタクトプローブ3を接触設定しておく方式によって、多数の被測定物測定点2の測定を、被測定物測定点間が狭ピッチであっても、接触の問題なく自動的にプロービングして対象測定点の全ての連続測定が可能な構成になっている。
【0018】
(プロービング装置100の構成)
図1において、被測定物1は、電子部品が実装されている回路基板(被測定物用回路基板)である。被測定物1は、測定基台4の配置面(XY面)に位置決めして載置されている。測定基台4の配置面上において、被測定物1の位置決め載置領域を囲む外周囲に、所定高さの支持構造体5が配置されている。
【0019】
支持構造体5の内部では、支持構造体5の側壁を高さ方向に2つに分けた位置に、上記の両端コンタクトプローブ3を垂直に固定支持する矩形板状の両端コンタクトプローブホルダ7が固定されている。そして、支持構造体5の上端開口部には、測定用回路基板8が載置固定される構成である。
【0020】
支持構造体5は、操作レバー6によって、上方に持ち上げて下方端に被測定物1を挿入できる隙間を作り、下方に押し下げて被測定物1の位置決め載置領域を囲む外周囲に固定配置できる構成である。作業者が操作レバー6で解除操作する等の外的要因が加わらない限り、この固定配置状態は維持される構成である。
【0021】
測定用回路基板8の裏面(以降、「S面」と記す)には、多数のS面パッド9が配置されている。S面パッド9の配置態様および個数は、被測定物1に必要とされる被測定物測定点2の配置態様および個数に応じて、基本的には1対1の関係で設けられている。
【0022】
支持構造体5の上端開口部にこの測定用回路基板8を載置固定すると、両端コンタクトプローブ3の上方端がS面パッド9に接触設定される構成になっている。この状態で支持構造体5を被測定物1の位置決め載置領域を囲む外周囲に固定配置すると、両端コンタクトプローブ3の下方端が被測定物測定点2に接触設定される構成になっている。
【0023】
測定用回路基板8の表面(以降、「C面」と記す)には、Y軸方向の一方端側にC面信号パッド10aとC面GNDパッド11aとが、近接してX軸方向に沿って所定数、1対1の関係で並置され、Y軸方向の他方端側にC面信号パッド10bとC面GNDパッド11bとが、近接してX軸方向に沿って所定数、1対1の対応関係で並置されている。
【0024】
そして、支持構造体5のY軸方向両側に、測定用回路基板8のC面に設けた「信号パッド10a、GNDパッド11a」の組と「信号パッド10b、GNDパッド11b」の組とをプロービングする「プローブ12a、コンタクトプローブ13a」の組と「プローブ12b、コンタクトプローブ13b」の組とを、それぞれ別個独立に、X軸とZ軸の2軸方向に移動操作する移動機構(第1及び第2の移動機構)が設けられている。
【0025】
(支持構造体5のY軸方向の一方端側での移動機構(第1の移動機構)の構成)
第1の移動機構は、プローブホルダ14a、Z軸エアーシリンダ19a、Z軸ホルダ20a及びX軸スライダ25aの全体で構成されている。以下、それらの関連構成を説明する。
【0026】
すなわち、支持構造体5のY軸方向の一方端側では、C面信号パッド10aをプロービングするプローブ12aと、C面GNDパッド11aをプロービングするコンタクトプローブ13aとが、それぞれL字状のプローブホルダ14aの水平部を上下方向に貫通して垂直に固定保持されている。プローブ12aの上端部は、信号ケーブル17aを介して波形測定装置18の一方の信号入力端に接続されている。
【0027】
プローブ12aは、そのプローブGND15aがL字状のプローブホルダ14aの水平部に位置するように固定保持されている。この実施の形態では、L字状のプローブホルダ14aを非導電性の部材で形成しているため、プローブGND15aは、プローブGND線16aによってコンタクトプローブ13aと接続されて電気的導通を確保している。なお、L字状のプローブホルダ14aを導電性の部材で形成する場合は、L字状のプローブホルダ14aがプローブGND線16aと同等の電気的導通を確保できる場合に限り、プローブGND線16aの接続を省略することができる。
【0028】
L字状のプローブホルダ14aの垂直部は、Z軸エアーシリンダ19aの上下可動部19a2に固定支持され、Z軸エアーシリンダ19aのボディ部19a1は、柱状のZ軸ホルダ20aに固定支持されている。そして、Z軸ホルダ20aは、X軸スライダ25aのX軸スライダ可動部25a2上面に直立した状態で固定支持されている。このX軸スライダ25aのX軸スライダ可動部25a2は、X軸スライダボディ部25a1に配置面上をX軸方向に移動可能に支持されている。X軸スライダボディ部25a1は、測定基台4に位置決め固定されている。
【0029】
ここで、図2を参照してZ軸エアーシリンダ19aの具体的な構成について説明する。図2は、Z軸エアーシリンダ19aのこの実施の形態に関わる部分の構成例を示した図である。なお、Z軸エアーシリンダ19bも同じ構成になっている。
【0030】
図2に示すように、上下可動部19a2は、左右反転L字形状をしており、ボディ部19a1とはロッド40で固定支持されている。上下可動部19a2の外装でX軸方向片面に、ストッパー39が固定支持されると伴に、Y軸方向背面にL字状のプローブホルダ14aの垂直部が固定支持されている。また、上下可動部19a2の内装には位置検知用小型磁石32aが所定場所に備えつけられ、左右反転L字下端部とロッド40の間には衝撃吸収用のバネが備えつけられている。また、上下可動部19a2は、ボディ部19a1に内蔵されるピストン機構の上下動と連動してボディ部19a1に案内される形で上下動する構成である。
【0031】
ボディ部19a1は、上端側に図1に示した位置検知用電子機器33aが配置され、更にその上側にアジャスター付きの上端ストッパー36aが配置されている。また、ボディ部19a1は、下端側に図1に示した位置検知用電子機器33cが配置され、更にその下側にアジャスター付きの下端ストッパー36bが配置されている。更に、ボディ部19a1には、圧縮空気入出力口35a,35bが設けられている。更にピストン機構の上下動を行うロッド40が配置されている。
【0032】
上端ストッパー36aと下端ストッパー36bは、それぞれ同様の構成である。上下可動部19a2が降下し停止する際は、ストッパー39の下端に下端ストッパー36bが当接して停止する。また、上下可動部19a2が上昇し停止する際は、上下可動部19a2の上端が上端ストッパー36aに当接して停止する。上端ストッパー36aと下端ストッパー36bは、上下可動部19a2が、最上端側に移動したときの停止位置と最下端側に移動したときの停止位置とを規定するとともに、その停止位置を微調整できるようになっている。最上端側と最下端側の停止位置は、それぞれ測定を始める前のセットアップ時に予め設定される。
【0033】
位置検知用電子機器33a,33cは、それぞれ、近接位置に在る位置検知用小型磁石32aの存在を検知するセンサーやスイッチなどであって、取付位置を任意に調整できるようになっている。測定を始める前のセットアップ時に、位置検知用電子機器33aは、上下可動部19a2が上昇し、上端ストッパー36aに当接して停止した際に位置検知用小型磁石32aと対面する位置に調節設定される。また、位置検知用電子機器33cは、上下可動部19a2が降下し、ストッパー39の下端に下端ストッパー36bが当接して停止した際に位置検知用小型磁石32aと対面する位置に調節設定される。
【0034】
図2に示す位置検知用電子機器33a,33cは、図1に示す位置検知用リード線34a,34cを介してエアー制御装置22の一方端側の位置検知モニタ端にそれぞれ接続されている。また、図2に示す圧縮空気入出力口35a,35bは、図1に示すエアーチューブ21a,21cを介してエアー制御装置22の一方端側の制御用圧縮空気入出力端にそれぞれ接続されている。
【0035】
(支持構造体5のY軸方向の他方端側での移動機構(第2の移動機構)の構成)
第2の移動機構は、プローブホルダ14b、Z軸エアーシリンダ19b、Z軸ホルダ20b及びX軸スライダ25bの全体で構成されている。以下、それらの関連構成を説明する。
【0036】
すなわち、支持構造体5のY軸方向の他方端側では、C面信号パッド10bをプロービングするプローブ12bと、C面GNDパッド11bをプロービングするコンタクトプローブ13bとが、それぞれL字状のプローブホルダ14bの水平部を上下方向に貫通して垂直に固定保持されている。プローブ12bの上端部は、信号ケーブル17bを介して波形測定装置18の他方の信号入力端に接続されている。
【0037】
プローブ12bは、そのプローブGND15bがL字状のプローブホルダ14bの水平部に位置するように固定保持されている。この実施の形態では、L字状のプローブホルダ14bを非導電性の部材で形成しているため、プローブGND15bは、プローブGND線16bによってコンタクトプローブ13bと接続されて電気的導通を確保している。なお、L字状のプローブホルダ14bを導電性の部材で形成する場合は、L字状のプローブホルダ14bがプローブGND線16bと同等の電気的導通を確保できる場合に限り、プローブGND線16bの接続を省略することができる。
【0038】
Z軸エアーシリンダ19bは、Z軸エアーシリンダ19aと同様に図2の構成を有している。L字状のプローブホルダ14bの垂直部は、Z軸エアーシリンダ19bの上下可動部19b2に固定支持され、Z軸エアーシリンダ19bのボディ部19b1は、柱状のZ軸ホルダ20bに固定支持されている。そして、Z軸ホルダ20bは、X軸スライダ25bのX軸スライダ可動部25b2上面に直立した状態で固定支持されている。このX軸スライダ25bのX軸スライダ可動部25b2は、X軸スライダボディ部25b1に配置面上をX軸方向に移動可能に支持されている。X軸スライダボディ部25b1は、測定基台4に位置決め固定されている。
【0039】
Z軸エアーシリンダ19bの上下可動部19b2は、衝撃吸収機能と位置検知用小型磁石32bとを有している。Z軸エアーシリンダ19bのボディ部19b1は、上端側に、上下可動部19b2の最上端停止位置を微調整できるアジャスター付きの上端ストッパーと位置検知用電子機器33bとが配置され、下端側に位置検知用電子機器33dと上下可動部19b2の最下端停止位置を微調整できるアジャスター付きの下端ストッパーとが配置されている。上下可動部19b2の最上端停止位置及びの最下端停止位置は、それぞれ測定前のセットアップ時に設定される。また、位置検知用電子機器33b,33dは、取付位置を任意に調整できるようになっている。測定前のセットアップ時に、位置検知用電子機器33bは、上下可動部19b2が上端ストッパーに当接した状態で位置検知用小型磁石32bと対面する位置に設定され、また位置検知用電子機器33dは、上下可動部19b2がストッパーの下端に下端ストッパーが当接した状態で位置検知用小型磁石32bと対面する位置に設定される。
【0040】
位置検知用電子機器33b,33dは、位置検知用リード線34b,34dを介してエアー制御装置22の他方端側の位置検知モニタ端にそれぞれ接続されている。また、ボディ部19b1に設けた圧縮空気入出力口は、エアーチューブ21b,21dを介してエアー制御装置22の他方端側の制御用圧縮空気入出力端にそれぞれ接続されている。そしてZ軸ホルダ20bは、X軸スライダ25bのX軸スライダ可動部25b2上面に直立した状態で固定支持されている。X軸スライダ25bのX軸スライダ可動部25b2は、X軸スライダボディ部25b1に配置面上をX軸方向に移動可能に支持されている。X軸スライダボディ部25b1は、測定基台4に位置決め固定されている。
【0041】
(移動機構制御装置の構成)
移動機構制御装置は、エアー制御装置22、エアー圧調整装置23、エアー圧縮装置24及び駆動軸制御装置27の全体で構成されている。エアー制御装置22の圧縮空気入力端は、エアーチューブ21eを介してエアー圧調整装置23の圧縮空気噴き出し端に接続されている。エアー圧調整装置23の圧縮空気入力端は、エアーチューブ21fを介してエアー圧縮装置24の圧縮空気噴き出し端に接続されている。そして、駆動軸制御装置27の一方の制御出力端が制御ケーブル26aを介してX軸スライダボディ部25a1に接続され、他方の制御出力端が制御ケーブル26bを介してX軸スライダボディ部25b1に接続されている。
【0042】
波形測定装置18とエアー制御装置22と駆動軸制御装置27とは、それぞれ計算機28からの制御指示に従って動作する。また、エアー圧調整装置23は、エアーチューブ21fを介してエアー圧縮装置24から供給される圧縮空気の圧力を調整する機能を有し、その圧縮空気圧調整後の均一な圧力の圧縮空気をエアーチューブ21eを介してエアー制御装置22に供給する。
【0043】
計算機28が有する記憶装置29には、測定用回路基板CAD図面30と試験対象測定パッド情報31とが格納されている。測定用回路基板CAD図面30は、測定用回路基板8のC面におけるパッド位置座標を取り出すためのものである。試験対象測定パッド情報31は、測定用回路基板8の試験項目別に対応したC面における試験対象パッド情報を取り出すためのものである。
【0044】
(プロービング装置100の動作)
Z軸エアーシリンダ19a,19bの上下可動部19a2,19b2は、初期状態や測定終了時では、ボディ部19a1,19b1の上端側に設けてある上端ストッパーによる停止位置に退避するようになっている。
【0045】
まず、測定用回路基板8を載置固定した支持構造体5では、内部に垂直保持する両端コンタクトプローブ3の上方端が測定用回路基板8のS面パッド9に接触設定されている。操作レバー6を操作して支持構造体5を持ち上げて、下端下方にできた隙間から被測定物1を挿入して測定基台4の位置決め載置領域にセットし、操作レバー6を操作して支持構造体5を押し下げて測定基台4の配置面に固定配置する。すると、両端コンタクトプローブ3の下方端は、被測定物1の被測定物測定点2に接触設定した状態になる。この状態において、計算機28に被測定物1の電気特性試験を開始させる。なお、ここでは、理解を容易にするため、Y軸方向の両側に設けてある移動機構は、同一に同時に駆動されるとして説明する。
【0046】
計算機28は、記憶装置29に格納される測定用回路基板CAD図面30と試験対象測定パッド情報31とを読み込み、試験対象測定パッド情報31から取り出した測定用回路基板8の試験項目別に対応したC面における試験対象パッド情報に従って、測定用回路基板CAD図面30から測定用回路基板8のC面におけるパッド位置座標を取り出し、それに基づき、まず、駆動軸制御装置27に移動機構の制御を指示する。
【0047】
すなわち、計算機28は、試験対象測定パッド上にプローブ12a,12bが移動できるように、駆動軸制御装置27に制御指示を出力する。駆動軸制御装置27は、計算機28の指示に従ってX軸スライダ25a,25bを駆動し、Z軸ホルダ20a,20bがX軸方向に移動して試験対象測定パッド上にプローブ12a,12bが到着すると、X軸スライダ25a,25bの駆動を停止し、計算機28に完了を通知する。
【0048】
次に、計算機28は、エアー制御装置22に移動機構の制御を指示する。エアー制御装置22は、計算機28の指示に従って、エアー圧調整装置23から取り入れた圧縮空気をエアーチューブ21a,21bを介してZ軸エアーシリンダ19a,19bのボディ部19a1,19b1に圧送し、エアーチューブ21c,21dを介してZ軸エアーシリンダ19a,19bのボディ部19a1,19b1から送られてくる圧縮空気を開放する。これによって、Z軸エアーシリンダ19a,19bの上下可動部19a2,19b2は、垂直に降下する。つまり、プローブ12a,12b及びコンタクトプローブ13a,13bが、測定用回路基板8のC面信号パッド10a,10b及びC面GNDパッド11a,11bに向かって降下する。
【0049】
そして、第1にコンタクトプローブ13a,13bが測定用回路基板8のC面GNDパッド11a,11bに接触し、次に、プローブ12a,12bが測定用回路基板8のC面信号パッド10a,10bに接触するとZ軸エアーシリンダ19a,19bの上下可動部19a2,19b2は、衝撃を吸収しながら下降を続け、ボディ部19a1,19b1の下端ストッパーにストッパーの下端が当接して停止する。これによって、位置検知用小型磁石32a,32bは、位置検知用電子機器33c,33dが捕捉可能な位置に位置するので、位置検知用電子機器33c,33dは、Z軸エアーシリンダ19a,19bの下降完了を検知し、位置検知用リード線34c、34dを介してエアー制御装置22に下降完了を検知する。
【0050】
エアー制御装置22は、下降完了の通知を受け取ると、計算機28に通知する。すると計算機28は、エアー制御装置22に対して圧縮空気の圧送と開放を止める制御指示を出す。エアー制御装置22は、指示に従って、圧縮空気の流動を止め、Z軸エアーシリンダ19a,19bにその降下停止位置を保持させる。
【0051】
計算機28は、エアー制御装置22から完了通知を受け取ると、波形測定装置18に波形測定指示を出力する。この状態で、外部から被測定物1に電源印加と電気信号を供給する。試験対象測定パッドである被測定物測定点2に現れる電気信号は、両端コンタクトプローブ3を介して測定用回路基板8のS面パッド9に伝達される。測定用回路基板8では、図3と図4とに示す構成によって、S面パッド9に伝達された電気信号は、図1に示すC面信号パッド10a,10bに伝達されるので、C面信号パッド10a,10bに接触しているプローブ12a,12bが電気信号を捕捉し、信号ケーブル17a,17bを介して波形測定装置18に送られる。これによって、波形測定装置18は、プローブ12a,12bから入力する被測定物1の被測定物測定点2での信号による波形測定と表示とを行い、測定データを計算機28に与える。以上の動作を繰り返すことで、対象測定点の全てを連続して測定することができる。
【0052】
一方、波形測定後のZ軸エアーシリンダ19a,19bの復帰は、計算機28がエアー制御装置22に移動機構の制御を指示することで開始される。すなわち、エアー制御装置22は、計算機28の指示に従って、エアー圧縮調整装置23から圧縮空気を取り込み、それをエアーチューブ21c、21dを介してZ軸エアーシリンダ19a,19bに圧送し、Z軸エアーシリンダ19a,19bからエアーチューブ21a,21bを介して送られてくる圧縮空気を開放する。これによって、Z軸エアーシリンダ19a,19bの上下可動部19a2,19b2は、垂直に上昇し、第1にプローブ12a,12bが測定用回路基板8のC面信号パッド10a,10bから離脱する。第2にコンタクトプローブ13a,13bが測定用回路基板8のC面GNDパッド11a,11bから離脱する。
【0053】
そして、Z軸エアーシリンダ19a,19bの上下可動部19a2,19b2が上端ストッパーに到達すると、位置検知用小型磁石32a,32bは、位置検知用電子機器33a,33bが捕捉可能な位置に位置するので、位置検知用電子機器33a,33bは、Z軸エアーシリンダ19a,19bの上下可動部19a2,19b2の上昇完了を検知し、位置検知用リード線34a、34bを介してエアー制御装置22に上昇完了を通知する。エアー制御装置22は、上昇完了の通知を受け取ると、計算機28に通知する。すると、計算機28は、エアー制御装置22に対して圧縮空気の圧送と開放を止める制御指示を出す。エアー制御装置22は、指示に従って、圧縮空気の流動を止め、Z軸エアーシリンダ19a,19bにその上昇を停止した所定の高さ位置を保持させる。
【0054】
(測定用回路基板8の構成)
図3は、図1に示す測定用回路基板のS面(裏面)におけるパッド等の配置内容を説明する平面図である。図4は、図1に示す測定用回路基板のC面(表面)におけるパッド等の配置内容を説明する平面図である。図5は、図1に示す測定用回路基板のC面(表面)に配置するパッドのX軸方向への位置ズレを説明する平面図である。
【0055】
図3、図4に示すように、S面とC面との間の信号経路として、Y軸方向幅を2等分割する基板中心線41に沿ってX軸方向にビアまたはスルーホール42a,42b,42cが所定の間隔を置いて設けられる。ビアまたはスルーホール42a,42b,42cは、C面において信号配線46に繋がっている。
【0056】
図3に示す測定用回路基板8のS面では、9a〜9eの5個のS面パッドが示されている。そのうち、S面パッド9a,9b,9cは、信号用のパッドであり、S面パッド9d,9eは、GND用のパッドである。これらは、共に両端プローブコンタクト3の上方端と接触可能な面積を有している。
【0057】
3つの信号用パッドのうち、S面パッド9b,9cは、ビアまたスルーホール42b,42cから離れた位置に設けられているので、信号配線46で接続される。S面パッド9aは、ビアまたスルーホール42a上に配置されるので、信号配線は不要となる。このように、S面に設ける信号用パッドは、信号配線により対応するビアまたはスルーホールに接続することを原則とする。
【0058】
また、測定用回路基板8のC面は、基板中心線41を中心に、ビアまたはスルーホール42a,42b,42cを除き、左右対称に構成されている。基板中心線41から左方では、左端側(Y軸方向の一方端側)において、内側に信号パッド中心線44aが、外側にGNDパッド中心線45aがそれぞれ定められている。同様に基板中心線41から右方では、右端側(Y軸方向の他方端側)において、内側に信号パッド中心線44bが、外側にGNDパッド中心線45bがそれぞれ定められている。
【0059】
基板中心線41から左方では、信号パッド中心線44aに沿ってX軸方向にC面信号パッド10a,10c,10eが所定の間隔を置いて設けられる。また、GNDパッド中心線45aに沿ってX軸方向にC面GNDパッド11a,11c,11eが所定の間隔を置いて設けられる。そして、C面信号パッド10a,10c,10eとビアまたはスルーホール42a,42b,42cとの間に、開放または短絡の処理を可能にする開放点43aが設けられる。また、必要に応じて擬似負荷48aが、例えばC面信号パッド10aと開放点43aとの間に設けられる。
【0060】
C面信号パッド10aと擬似負荷48aとの接続、擬似負荷48aと開放点43aとの接続、C面信号パッド10c,10eと開放点43aとの接続、及び開放点43aとビアまたはスルーホール42a,42b,42cとの接続は、それぞれ、信号配線46を用いて行う。
【0061】
また、基板中心線41から右方では、信号パッド中心線44bに沿ってX軸方向にC面信号パッド10b,10d,10fが所定の間隔を置いて設けられる。また、GNDパッド中心線45bに沿ってX軸方向にC面GNDパッド11b,11d,11fが所定の間隔を置いて設けられる。そして、C面信号パッド10b,10d,10fとビアまたはスルーホール42a,42b,42cとの間に、開放または短絡の処理を可能にする開放点43bが設けられる。また、必要に応じて擬似負荷48bが、例えばC面信号パッド10bと開放点43bとの間に設けられる。
【0062】
C面信号パッド10bと擬似負荷48bとの接続、擬似負荷48bと開放点43bとの接続、C面信号パッド10d,10fと開放点43bとの接続、及び開放点43bとビアまたはスルーホール42a,42b,42cとの接続は、それぞれ、信号配線46を用いて行う。
【0063】
次に、S面に設けるGND用のパッドについては、例えば、S面パッド9dは、S面パッド9d内にビアまたはスルーホール42dを設け、測定用回路基板8の内層を通してC面GNDパッド11a〜11fの所定箇所に接続する。また、S面パッド9eは、GND配線47でビアまたはスルーホール42eに接続する。また、ビアまたはスルーホール42eは、測定用回路基板8の内層を通してC面GNDパッド11a〜11fに接続されている。
【0064】
ところで、C面信号パッド10(a〜f)とC面GNDパッド11(a〜f)とのX軸方向での配置関係では、同一ライン上にならず、ズレが生ずる場合がある。そこで、図5に示すように、信号パッド中心線44上に配置されるC面信号パッド10の中心基点49のX1座標と、GND中心線45上に配置されるC面GNDパッド11の中心基点50のX2座標との間のX座標変化量を、C面信号パッド10とC面GNDパッド11とのパッド間に関連付けして、C面信号パッド10とC面GNDパッド11とを配置するようにしてある。
【0065】
(測定用回路基板8を以上のように構成したことによる作用・効果)
(1)両面コンタクトプローブ3との接触は、プロービング可能な面積を有するS面パッド9a〜9eとし、測定用回路基板8を両面コンタクトプローブ3が貫通しないので、測定用回路基板8のC面では、パッド領域、信号配線領域などを十分に確保することができる。
【0066】
(2)両面コンタクトプローブ3を用いるので、片側コンタクトプローブを用いるときに必要なケーブル配線が不要になり、かつ電気信号を伝送する線路長が短くなる。また、測定用回路基板8のC面では、インピーダンス設計された信号配線が可能になるので、波形劣化を防止することができる。
【0067】
(3)測定用回路基板8のC面は、基板中心線41を中心に、ビアまたはスルーホール42(a〜c)を除き、左右対称に構成し、基板中心線41上のビアまたはスルーホール42(a〜c)から信号配線46を通して開放点43a,43bを設けるので、C面信号パッド10(a〜f)の開放が得られ、また、必要に応じて設けられる擬似負荷48a,48bの開放が得られる。
【0068】
具体的に、開放点43a,43bの用い方を説明する。例えば、試験項目における波形測定において、要求される全ての試験項目で測定点を洗い出し、測定個所を検討する。その結果、波形測定としてC面信号パッド10cはプロービングに使用するが、C面信号パッド10dはプロービングに使用しないという場合、C面信号パッド10cと信号配線46で接続される開放点43aを予め短絡しておいてC面信号パッド10cを直接ビアまたはスルーホール42bに接続しておく。一方、C面信号パッド10dと信号配線46で接続される開放点43bは、そのまま開放としておく。そうすると、C面信号パッド10cにて測定される波形は、C面信号パッド10dと信号配線46で接続される開放点43bを短絡させる場合と比べて、波形劣化を抑制することができる。
【0069】
(4)信号パッド中心線44a,44b上に、プロービング可能な面積を有するC面信号パッド10(a〜f)をパッド中心で配置させ、かつ、GND中心線45a,45b上に、プロービング可能な面積を有するC面GNDパッド11(a〜f)をパッド中心で配置させるので、同一軸上での測定が可能になる。
【0070】
(5)C面信号パッドとC面GNDパッドのX軸方向でのズレであるX座標変化量を、C面信号パッド10とC面GNDパッド11とのパッド間に関連付けして、C面信号パッド10とC面GNDパッド11とを配置するので、プローブホルダ14a,14bにて、プローブ12a,12b及びコンタクトプローブ13a,13bを垂直に保持したままでのプロービング動作をZ軸のみで容易に行うことができる。
【0071】
(6)S面パッド9a,9bのように、隣接する測定点がある場合でも、基板中心線41に沿ったビアまたはスルーホール42(a〜c)を通して最終的に、信号パッド中心線44(a,b)に沿う形態で、S面パッド9aは、C面信号パッド10(a,b)へと接続され、S面パッド9bは、C面信号パッド10(c,d)へと接続されるので、隣接しない測定点が得られる。つまり、狭ピッチの測定点においても接触させずにプロービングを行うことが可能になる。
【0072】
(記憶装置29に格納する測定用回路基板CAD図面30の生成)
図6は、図1に示す測定用回路基板CAD図面30の生成手順を説明するフローチャートである。図6において、測定用回路基板8の測定用回路基板設計67は、被測定物1の被測定物用回路基板設計61後の被測定物回路基板図面62と、両端コンタクトプローブ3の両端コンタクトプローブ長データ63と、両端コンタクトプローブ3の両端コンタクトプローブストローク長データ64と、被測定物1の電気特性試験における制約条件として、測定点毎の線路長条件データ65と、測定点毎の配線間隔条件データ66とを、入力して設計する。
【0073】
測定用回路基板設計67は、被測定物回路基板図面62をCADに入力することで、被測定物1の被測定物測定点2の位置情報を、測定用回路基板8のS面パッド9の位置情報として複写し設計することができる。
【0074】
測定用回路基板設計67は、両端コンタクトプローブ長データ63と、両端コンタクトプローブストローク長データ64と、測定点毎の線路長条件データ65と、測定点毎の配線間隔条件データ66とをCADに設計情報として入力することで、プロービング装置100での波形測定における波形品質劣化を抑制した測定用回路基板8を設計できる。このとき、シミュレーションや伝送線路解析とリンクさせることで確認や微調整もできる。
【0075】
測定用回路基板設計67の後は、測定用回路基板CAD図面30を出力し、計算機28が有する記憶装置29に入力する。これによって、測定用回路基板CAD図面30を、プロービング装置100に設置された測定用回路基板8のC面パッド10の位置情報としてプロービング制御に使用できる。
【0076】
以上説明したように、この実施の形態によれば、複数の被測定物測定点を有する被測定物の電気特性試験において、隣接する狭ピッチの測定点においても、X軸とZ軸の2軸動作で自動プロービングが可能となる。また、両端コンタクトプローブを用い、測定用回路基板は、波形測定における波形品質劣化を抑制するように設計できるので、高精度な波形測定が可能になる。
【0077】
そして、従来技術のような視覚センサーと画像データ処理装置、圧力センサーと圧力データ処理装置を必要としないので、安価な装置が実現でき、また、最適なプロービングを取得するための補正処理を必要としないので、簡易な制御でプロービングを行うことができる。
【0078】
このプロービング装置は、測定基台のXY面である配置面に位置決め載置される被測定物用回路基板が有する多数の被測定物測定点のそれぞれに、下方端が接触した状態でZ軸方向に垂直に固定支持される多数の両端コンタクトプローブと、裏面に裏面パッドが前記多数の被測定物測定点と1対1の関係で配置され、表面のY軸方向一方端側に第1の表面信号パッド及び第1の表面GNDパッドがX軸方向に沿って所定個数配置され、表面のY軸方向他方端側に第2の表面信号パッド及び第2の表面GNDパッドがX軸方向に沿って所定個数配置される測定用回路基板であって、前記多数の裏面パッドが前記多数の両端コンタクトプローブの上方端に接触するように配置される測定用回路基板と、前記測定基台の配置面におけるY軸方向の一方端側において、前記第1の表面信号パッド及び第1の表面GNDパッドをプロービングする第1のプローブ及び第1のコンタクトプローブをX軸とZ軸の2軸方向に移動可能にする構成を備える第1の移動機構と、前記測定基台の配置面におけるY軸方向の他方端側において、前記第2の表面信号パッド及び第2の表面GNDパッドをプロービングする第2のプローブ及び第2のコンタクトプローブをX軸とZ軸の2軸方向に移動可能にする構成を備える第2の移動機構と、前記第1の移動機構と前記第2の移動機構とを別個独立に制御して、それぞれにX軸とZ軸の2軸方向への移動動作を行わせる移動機構制御装置と、前記第1のプローブと前記第2のプローブとがそれぞれ取得した電気信号の少なくとも波形測定を行う波形測定装置と、記憶装置に格納される測定用回路基板CAD図面から取得した前記測定用回路基板の表面におけるパッド位置座標に基づき前記移動機構制御装置に対する制御指示を出力し、併せて前記波形測定装置に対する波形測定指示を出力する計算機とを備えていることを特徴とする。
【産業上の利用可能性】
【0079】
以上のように、この発明にかかるプロービング装置は、多点波形測定を必要とする電子部品の電気特性試験において、安価な構成で、かつ簡易な制御によって、測定点間が狭ピッチであっても、問題なくプロービングの自動化を図るのに有用である。
【符号の説明】
【0080】
100 プロービング装置
1 被測定物(被測定物用回路基板)
2 被測定物測定点
3 両端コンタクトプローブ
4 測定基台
5 支持構造体
6 操作レバー
7 両端コンタクトプローブホルダ
8 測定用回路基板
9,9a〜9d S面パッド
10,10a〜10f C面信号パッド
11,11a〜11f C面GNDパッド
12a,12b プローブ
13a,13b コンタクトプローブ
14a,14b プローブホルダ
15a,15b プローブGND
16a,16b プローブGND線
17a,17b 信号ケーブル
18 波形測定装置
19a,19b Z軸エアーシリンダ
19a1,19b1 ボディ部
19a2,19b2 上下可動部
20a,20b Z軸ホルダ
21a〜21f エアーチューブ
22 エアー制御装置
23 エアー圧調整装置
24 エアー圧縮装置
25a,25b X軸スライダ
25a1,25b1 X軸スライダボディ部
25a2,25b2 X軸スライダ可動部
26a,26b 制御ケーブル
27 駆動軸制御装置
28 計算機
29 記憶装置
30 測定用回路基板CAD図面
31 試験対象測定パッド情報
32a,32b 位置検知用小型磁石
33a〜33d 位置検知用電子機器
34a〜34d 位置検知用リード線
35a,35b 圧縮空気入出力口
36a アジャスター付きの上端ストッパー
36b アジャスター付きの下端ストッパー
39 ストッパー
40 ロッド
41 基板中心線
42a〜42e ビアまたはスルーホール
43a,43b 開放点
44,44a,44b 信号パッド中心線
45,45a,45b GNDパッド中心線
46 信号配線
47 GND配線
48a,48b 擬似負荷
49 C面信号パッド中心基点
50 C面GNDパッド中心基点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定基台のXY面である配置面に位置決め載置される被測定物用回路基板が有する多数の被測定物測定点のそれぞれに、下方端が接触した状態でZ軸方向に垂直に固定支持される多数の両端コンタクトプローブと、
裏面に裏面パッドが前記多数の被測定物測定点と1対1の関係で配置され、表面のY軸方向一方端側に第1の表面信号パッド及び第1の表面GNDパッドがX軸方向に沿って所定個数配置され、表面のY軸方向他方端側に第2の表面信号パッド及び第2の表面GNDパッドがX軸方向に沿って所定個数配置される測定用回路基板であって、前記多数の裏面パッドが前記多数の両端コンタクトプローブの上方端に接触するように配置される測定用回路基板と、
前記測定基台の配置面におけるY軸方向の一方端側において、前記第1の表面信号パッド及び第1の表面GNDパッドをプロービングする第1のプローブ及び第1のコンタクトプローブをX軸とZ軸の2軸方向に移動可能にする構成を備える第1の移動機構と、
前記測定基台の配置面におけるY軸方向の他方端側において、前記第2の表面信号パッド及び第2の表面GNDパッドをプロービングする第2のプローブ及び第2のコンタクトプローブをX軸とZ軸の2軸方向に移動可能にする構成を備える第2の移動機構と、
前記第1のプローブと前記第2のプローブとがそれぞれ取得した電気信号の少なくとも波形測定を行う波形測定装置と、
記憶装置から取得した前記測定用回路基板の表面におけるパッド位置座標に基づき前記第1及び第2の移動機構を制御し、第1のプローブ及び第1のコンタクトプローブをX軸とZ軸のうちの少なくともZ軸方向に移動させるとともに第2のプローブ及び第2のコンタクトプローブをX軸とZ軸のうちの少なくともZ軸方向に移動させ、併せて前記波形測定装置に対する波形測定指示を出力する制御部と、
を備えることを特徴とするプロービング装置。
【請求項2】
前記制御部は、エアー圧調整装置及びエアー圧縮装置を備えたことを特徴とする請求項1記載のプロービング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−194191(P2012−194191A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−150812(P2012−150812)
【出願日】平成24年7月4日(2012.7.4)
【分割の表示】特願2008−93764(P2008−93764)の分割
【原出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】