説明

ヘッドマウントディスプレイ

【課題】外部の画像との切り替え、あるいは外部の画像と表示装置の画像とを重ねて表示するような使用が可能なヘッドマウントディスプレイ。
【解決手段】人の両目を結ぶ線に対して略垂直に配置された両面に画像を表示可能な平板型両面表示装置90と、両面表示装置90の一方の面に表示された画像を右眼81に結像させる第1の光学系63と、両面表示装置90の他方の面に表示された画像を左眼82に結像させる第2の光学系64と、を有し、第1の光学系63および第2の光学系64は、前方の視界の少なくとも一部が視認できるようにする切り替え機構を有していることを特徴とするヘッドマウントディスプレイ61。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドマウントディスプレイに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ヘッドマウントディスプレイは頭部に装着するディスプレイであり、バーチャルリアリティ(仮想現実)等の実現に用いられている。かかる、ヘッドマウントディスプレイの構成として、特許文献1に示すような、使用者の双方の目に対応する2つの表示装置を用いる態様が一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−333211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、かかる構成のヘッドマウントディスプレイは、表示装置を2つ必要とするため、製造コストを増加させ得る。また、表示装置が使用者の目に対向するように配置されているため、外部の画像(景色)との切り替え、あるいは外部の画像と表示装置の画像とを重ねて表示するような使用が困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例にかかるヘッドマウントディスプレイは、人の両目を結ぶ線に対して略垂直に配置された両面に画像を表示可能な平板型両面表示装置と、上記両面表示装置の一方の面に表示された画像を右眼に結像させる第1の光学系と、上記両面表示装置の他方の面に表示された画像を左眼に結像させる第2の光学系と、を有し、上記第1の光学系および上記第2の光学系は、前方の視界の少なくとも一部が視認できるようにする切り替え機構を有していることを特徴とする。
【0007】
このような構成であれば、眼と対向するように表示装置を配置せず、該表示装置の画像を(使用者の双方の眼に)結像させることができる。したがって、表示装置は移動させずに光学系の切り替えのみで外部の景色(映像)も視認可能なヘッドマウントディスプレイを実現できる。
【0008】
[適用例2]上述のヘッドマウントディスプレイであって、上記第1の光学系および上記第2の光学系は、上記両面表示装置に表示された画像を上記眼に向けて反射可能な位置と、前方の視界の少なくとも一部が視認可能となる位置と、に切り替え可能なミラーと、該ミラーと上記両面表示装置との間に配置された凸レンズとを備えていることを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【0009】
このような構成であれば、上記ミラーを移動させることで上述の一対の光学系の切り替えを実現できる。したがって、構成を簡略化でき、軽量かつ低コストのヘッドマウントディスプレイを実現できる。
【0010】
[適用例3]上述のヘッドマウントディスプレイであって、上記ミラーは、上記両面表示装置の一方の面に表示された画像を右眼に結像させ他方の面に表示された画像を左眼に結像させることが可能な位置に配置された半透過反射性を有するハーフミラーと、上記ハーフミラーの裏側に該ハーフミラーとは独立して移動させることが可能なように配置されており、該ハーフミラーと平行な位置と前方の視界の少なくとも一部が該ハーフミラーを介して視認可能となる位置との双方の位置に移動させることが可能な全反射ミラーと、を組み合わせたものであることを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【0011】
このような構成であれば、全反射ミラーを移動させることで、ハーフミラーのみを用いて両面表示装置の画像の一部を結像させつつ、外光も結像させることができる。したがって、外部の景色(映像)と表示装置の画像の双方を同時に重ねて示す(結像させる)ことが可能なヘッドマウントディスプレイを実現できる。
【0012】
[適用例4]上述のヘッドマウントディスプレイであって、上記両面表示装置は、2枚の表示装置を、双方の画像を表示しない側の面同士が向かい合うように組み合わせて形成された両面表示装置であることを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【0013】
このような構成であれば、従来の表示装置を用いて、上述した外部の景色と表示装置の画像の双方を同時に重ねて示すことが可能なヘッドマウントディスプレイを実現できる。
【0014】
[適用例5]上述のヘッドマウントディスプレイであって、上記両面表示装置は、上記他方の面を構成する第1の基板と上記一方の面を構成する第2の基板との一対の基板と該一対の基板間に狭持された少なくとも有機EL層を含む発光機能層とを備え、上記第1の基板側に光を射出する第2の画素と上記第2の基板側に光を射出する第1の画素とが規則的に配置されており、上記第1の画素は上記発光機能層の第1の基板側に形成された画素電極と上記発光機能層の第2の基板側に形成された共通電極と上記発光機能層の第1の基板側に形成された反射層とを備え、上記第2の画素は上記発光機能層の第1の基板側に形成された画素電極と上記発光機能層の第2の基板側に形成された共通電極と上記発光機能層の第2の基板側に形成された反射層とを備え、上記第1の基板の上記発光機能層側には、上記画素電極を駆動する駆動素子が形成されている両面表示装置であることを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【0015】
このような構成であれば、単一の発光機能層を用いて両面表示装置を実現でき、上述した外部の景色と上記両面表示装置の画像の双方を同時に重ねて示すことが可能なヘッドマウントディスプレイを低コストで実現できる。
【0016】
[適用例6]上述のヘッドマウントディスプレイであって、上記両面表示装置は、上記第1の画素が赤色光を射出する第1赤色サブ画素と緑色光を射出する第1緑色サブ画素と青色光を射出する第1青色サブ画素との3種類のサブ画素を備えており、上記第2の画素が赤色光を射出する第2赤色サブ画素と緑色光を射出する第2緑色サブ画素と青色光を射出する第2青色サブ画素との3種類のサブ画素を備えている両面表示装置であることを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【0017】
このような構成であれば、上述した外部の景色に合せて、上記両面表示装置の画像もカラー化されているヘッドマウントディスプレイを実現できる。
【0018】
[適用例7]上述のヘッドマウントディスプレイであって、上記各々のサブ画素は上記発光機能層の上記反射層側の反対の側には、該サブ画素発光色に対応するカラーフィルターを備えていることを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【0019】
このような構成であれば、上述の各サブ画素間で共通の白色光を発光する発光機能層を用いつつ、各サブ画素毎に異なる色の光を射出させることができる。したがって、上記両面表示装置の画像がカラー化されたヘッドマウントディスプレイを低コストで実現できる。
【0020】
[適用例8]上述のヘッドマウントディスプレイであって、上記各々のサブ画素は、上記発光機能層の上記反射層側の反対の側に半透過反射層を有しており、上記半透過反射層と上記反射層との間に特定の波長範囲の光を共振させる光共振器構造が形成されていることを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【0021】
このような構成であれば、上述の各サブ画素間で共通の白色光を発光する発光機能層を用いつつ、各々のサブ画素毎に異なる色の光を射出させることができる。したがって、上記両面表示装置の画像がカラー化されたヘッドマウントディスプレイを低コストで実現できる。
【0022】
[適用例9]上述のヘッドマウントディスプレイであって、上記発光機能層に含まれる有機EL層は、上記各々のサブ画素毎に該サブ画素の発光色に合せて個別に形成されていることを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【0023】
このような構成であれば、共振器構造及びカラーフィルターを用いずに各々のサブ画素毎に異なる色の光を射出させることができる。したがって、上記両面表示装置の画像がカラー化されたヘッドマウントディスプレイを低コストで実現できる。なお、「発光色に合せて個別に形成されている」とは、赤色サブ画素には赤色光に相当する波長範囲の光を多く含む光を発光する有機EL層が形成されており、緑色サブ画素には緑色光に相当する波長範囲の光を多く含む光を発光する有機EL層が形成されており、青色サブ画素には青色光に相当する波長範囲の光を多く含む光を発光する有機EL層が形成されている、という意味である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1の実施形態にかかるヘッドマウントディスプレイを模式的に示す図。
【図2】第2の実施形態にかかるヘッドマウントディスプレイを模式的に示す図。
【図3】有機EL装置の表示領域内における2種類の画素領域の配置を示す図。
【図4】両面表示装置の概要を示す図。
【図5】第3の実施形態にかかる有機EL装置の回路構成図。
【図6】第3の実施形態にかかる有機EL装置の表示領域における模式断面図。
【図7】第4の実施形態にかかる有機EL装置の表示領域における模式断面図。
【図8】第5の実施形態にかかる有機EL装置の表示領域における模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明にかかる表示装置としての有機EL装置について、図面を参照しつつ述べる。なお、本発明はEL装置であれば無機EL材料を用いたEL装置を用いても実現可能であるが、本実施形態においては、EL材料に有機系のEL材料を用いた有機EL装置を例にして説明する。また、以下の各図においては、各層や各部位を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部位の縮尺を実際とは異ならしめてある。
【0026】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態にかかるヘッドマウントディスプレイ61を模式的に示す図であり、人の頭部99に装着された該ヘッドマウントディスプレイを、上方(頭上)から見下ろすように見た状態を模式的に示している。
【0027】
ヘッドマウントディスプレイ61は、少なくとも、人の頭部99に装着可能な筐体89と、該筐体内に配置された両面表示装置90及び第1の光学系63と第2の光学系64との一対の光学系を備えている。第1の光学系63は両面表示装置90の一方の面に表示された画像を右眼81に結像させる光学系であり、第2の光学系64は両面表示装置90の他方の面に表示された画像を左眼82に結像させる光学系である。なお、以下の記載において、「眼(81,82)」と表記した場合には「右眼81と左眼82」を示すものとする。そして、「一対の光学系(63,64)」若しくは「夫々の光学系(63,64)」と表記した場合には、「第1の光学系63と第2の光学系64」を示すものとする。後述する他の構成要素(画素領域等)についても同様である。
【0028】
夫々の光学系(63,64)は、少なくとも凸レンズ88と全反射ミラー86とを備えている。なお、全反射ミラーとは、光透過性を殆んど有さず、かつ照射された光を殆んど反射するミラーである。そして、本実施形態にかかるヘッドマウントディスプレイ61は全反射ミラー86が可動であることに特徴がある。
【0029】
筐体89は、前方が開放状態であるか、若しくはガラス等の透明な部材が配置された状態であり、上記一対の光学系(63,64)が存在しないと仮定すると前方を視認可能な構成である。両面表示装置とは、表裏双方に表示面を有する平板型(薄型)の表示装置であって、該双方の表示面に同時に画像を形成できる装置である。両面表示装置90は、頭部99の正面方向に対して平行、すなわち右眼81と左眼82を結ぶ線に対して上記表示面が垂直となるように配置されている。ここでいう垂直とは、装着者の眼からの視界を遮ることがない程度まで許容する。したがって、該両面表示装置自体は、人の視線すなわち視界を殆んど妨げる事はない。
【0030】
全反射ミラー86は、一方の端に軸87を有し、該軸を中心に所定の範囲内で回転可能である。本実施形態の軸87は装着者から見て垂直方向(すなわち上下方向)に延在しているが、延在方向に特に限定は無く、前方の視界が確保可能となるように全反射ミラー86を所定の角度範囲で回転させることができれば、どの方向に延在していてもよい。
【0031】
図1(a)は、全反射ミラー86を通常の位置、すなわち該ヘッドマウントディスプレイを装着した人が両面表示装置90に表示される画像を視認できる位置にあるときの態様を示している。凸レンズ88は、両面表示装置90(の表示面)に対して略平行に配置されている。そして全反射ミラー86は、装着者から見て水平面に投影させた場合において両面表示装置90に対して略45度の角度を有し、かつ、反射面が頭部99側になるように配置されている。
【0032】
なお、全反射ミラー86の位置は、図1(a)に示す位置と後述する図1(b)に示す位置とではどちらを通常すなわち基本の位置と考えても問題はない。本発明はヘッドマウントディスプレイの発明であるため、本実施形態の説明では両面表示装置90に表示される画像を視認するときの位置を、便宜的に「通常の位置」としている。
【0033】
両面表示装置90の一方の面に表示(形成)された画像は、第1の光学系63が備える凸レンズ88で若干絞られた後に全反射ミラー86で90度屈曲されて、右眼81に結像する。他方の面、すなわちもう一方の面に表示(形成)された画像も、第2の光学系64が備える凸レンズ88で若干絞られた後に全反射ミラー86で90度屈曲されて、左眼82に結像する。したがって、両面表示装置90が視線に平行に配置されているにもかかわらず、該ヘッドマウントディスプレイを装着した人(以下、「装着者」と称する。)は該両面表示装置が表示する画像を正面方向に視認できる。
【0034】
図1(b)は、夫々の光学系(63,64)が備える全反射ミラー86を移動させて、両面表示装置90に表示される画像ではなく、外部の景色(映像)を視認可能とした態様を示す図である。上述したように全反射ミラー86は、一方の端に重力方向に延在する軸87を有し、該軸を中心に所定の範囲内で回転可能である。したがって、図示するように軸87を中心にして全反射ミラー86を凸レンズ88と略平行となるように移動させることができる。このように移動させることにより、全反射ミラー86は、両面表示装置90及び凸レンズ88の配置の態様と同様に、人の視線すなわち視界に殆んど影響を与えないように配置される。その結果、装着者は、該ヘッドマウントディスプレイを装着したままで前方の景色(映像)を視認可能となる。
【0035】
(本実施形態の効果)
上述したように、本実施形態にかかるヘッドマウントディスプレイ61は、内蔵する表示装置(両面表示装置90)に表示される画像と外部の景色(映像)とを切り替えて、装着者の眼(81,82)に結像させられる点に特徴がある。かかる効果は、一般的なヘッドマウントディスプレイ、すなわち視線に垂直な面上に表示装置を配置したヘッドマウントディスプレイでも、装着者が該ヘッドマウントディスプレイ自体を着脱することで達成できる。しかし、ヘッドマウントディスプレイの着脱はかなり時間を要することであり、簡単に画像を切り替えることは不可能である。一方、本実施形態のヘッドマウントディスプレイ61は表示装置の画像を全反射ミラー86で反射させて眼(81,82)に結像させているため、装着者は該全反射ミラーを移動させることのみで上述の切り替えを行うことができる。したがって、上述の双方の画像(及び景色)を頻繁に切り替えて視認する必要がある用途に好適である。
【0036】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について述べる。第2の実施形態にかかるヘッドマウントディスプレイ62は、上述の第1の実施形態にかかるヘッドマウントディスプレイ61と使用の目的及び態様が共通しており、構成も類似している。そこで、以下の記載においては、上述のヘッドマウントディスプレイ61の構成要素共通する構成要素には同一の符号を付与して、説明の記載は一部省略する。
【0037】
図2は、第2の実施形態にかかるヘッドマウントディスプレイ62を模式的に示す図である。図1と同様に、装着者の頭部99に装着された該ヘッドマウントディスプレイを、上方から見下ろすように見た状態を示している。
【0038】
本実施形態のヘッドマウントディスプレイ62は、一対の光学系(63,64)に用いられるミラーが、ハーフミラー85を全反射ミラー86の反射面側に積層した積層ミラー84である点に特徴がある。したがって、ヘッドマウントディスプレイ62が備える一対の光学系(63,64)の各々は、少なくとも凸レンズ88と全反射ミラー86とハーフミラー85とを備えている。凸レンズ88は、上述の第1の実施形態におけるものと同様のものであり、両面表示装置90に対して略平行に配置されている。
【0039】
積層ミラー84は、ハーフミラー85と全反射ミラー86とをそれぞれ独立に移動させられる。すなわち、積層ミラー84は軸87を有しており、該軸を中心にしてハーフミラー85と全反射ミラー86との双方を夫々独立に所定の角度範囲で回転移動させることができる。
【0040】
図2(a)は積層ミラー84が上述の「通常の位置」にある状態を示している。すなわち、一対の光学系(63,64)が備える積層ミラー84を構成するハーフミラー85と全反射ミラー86との双方が、水平面に投影させた場合において両面表示装置90に対して略45度の角度を有し、かつ、ハーフミラー85の反射面が「眼(81,82)」を向くように配置されている。
【0041】
両面表示装置90の表示面に形成される画像、すなわち該表示面から積層ミラー84に向けて射出された光のうちの略50%は(凸レンズ88で若干絞られた後)ハーフミラー85で反射されて装着者のどちらかの眼(81,82)で結像する。そして、上述の光のうちの残りの略50%も同様に、全反射ミラー86で反射されてどちらかの眼(81,82)で結像する。したがって積層ミラー84を構成する双方のミラー(ハーフミラー85と全反射ミラー86)が上述の略45度の角度を有する位置にある場合は、装着者の眼(81,82)には両面表示装置90の表示面に形成される画像のみが結像する。すなわち装着者は、両面表示装置90で形成される画像のみを視認する。
【0042】
図2(b)は、図2(a)に示す状態から、ハーフミラー85は固定したままで、全反射ミラー86のみを両面表示装置90と略平行な位置まで回転移動させた状態を示す図である。この場合、全反射ミラー86の位置は、上述の第1の実施形態の図1(b)における位置と同様である。したがって、全反射ミラー86は両面表示装置90の表示面に形成される画像を装着者の眼(81,82)に結像させるようには機能しない。そして、装着者の視線(前方の視界)を妨げることは殆んどない。したがって、ハーフミラー85のみが、両面表示装置90の表示面に形成される画像を装着者の眼(81,82)に結像させるように機能することとなる。
【0043】
ここで、ハーフミラー85は、照射される光の略50%反射して残りの略50%を透過させる機能を有している。したがって、両面表示装置90から射出される光のうちの略50%を眼(81,82)に結像させる。そして外光7、すなわち一対の光学系(63,64)が存在しなかった場合に装着者が自然に視認する光の略50%はハーフミラー85を透過して装着者の眼(81,82)に結像する。したがって、装着者は、両面表示装置90が表示(形成)する画像と、前方の景色(映像)の双方を略50%ずつ視認できる。すなわち、上述の双方の画像(景色)を重ねて視認できる。
【0044】
なお、図2(a)に示す態様、及び図2(b)に示す態様の双方とも、ハーフミラー85の位置は上述の45度の角度を維持している。しかし、ハーフミラー85を図2(b)に示す全反射ミラー86の位置に移動させることも可能である。ハーフミラー85を全反射ミラー86と共に両面表示装置90と略平行な位置まで回転移動させた場合、両面表示装置90の画像は一切装着者の眼(81,82)に結像しなくなる。その結果、装着者は、ヘッドマウントディスプレイ62を装着したままで前方の景色のみを視認することとなる。
【0045】
(本実施形態の効果)
上述したように、本実施形態にかかるヘッドマウントディスプレイ62は、内蔵する表示装置(両面表示装置90)に表示される画像と外部の景色(映像)との双方を同時に装着者の眼(81,82)に結像させられる点に特徴がある。すなわち、上述の第1の実施形態にかかるヘッドマウントディスプレイ61は、両面表示装置90の画像と外部の景色とを切り替えて視認させるのみであったが、ヘッドマウントディスプレイ62は、装着者に、上記双方の画像(景色)を重ねて視認させることができる。
【0046】
かかる機能は、両面表示装置90の画像が文字情報である場合に効果的であり利用価値が大きい。例えば、装着者が医師である場合に、対象(患者)と両面表示装置90に表示される情報とを同時に視認できる。手術においては、血圧等の文字で表示できる情報を確認しつつ行う必要がある場合があり、かかる場合において本実施形態のヘッドマウントディスプレイ62を用いることで効率性や安全性を向上できる。
【0047】
次に、上述のヘッドマウントディスプレイ61及びヘッドマウントディスプレイ62で用いられている両面表示装置90について述べる。図4は、上述の両面表示装置90の概要を示す図である。上述の双方のヘッドマウントディスプレイ(61,62)は、両面表示装置90としてEL表示装置を用いている。
EL表示装置は通電により発光するEL(エレクトロルミネッセンス)現象を利用した表示装置であり、一対の電極間にEL材料層を含む発光機能層を狭持した構成を有している。上述の電極間に電流を流すことでEL材料層を発光させ該発光を表示面から射出することで画像を形成できる。そして、上述のヘッドマウントディスプレイ(61,62)に用いられるEL表示装置はEL材料に有機系のEL材料(有機EL材料)を用いた有機EL表示装置(以下、「有機EL装置」と称する。)である。
【0048】
ここで、有機EL装置が備える有機EL材料層(以下、「有機EL層」と称する。)は、通電により全方向に光を射出するため、上述の一対の電極を透明導電材料で形成すれば、両面表示装置とすることができる。しかし、かかる態様の両面表示装置を上述のヘッドマウントディスプレイ(61,62)が備える光学系、すなわち図1及び図2に示す光学系と組み合せた場合、画像が左右方向で反転してしまうため正常な画像は表示できない。したがって、上述のヘッドマウントディスプレイ(61,62)で用いる両面表示装置90は、該両面表示装置が有する表裏双方の面に夫々異なる画像を表示できる必要がある。
【0049】
かかる両面表示装置90は、2つの有機EL装置を貼り合せることでも実現できる。図4(a)は2つの有機EL装置を貼り合せて得られた両面表示装置90を示す図である。本図に示す両面表示装置90は、各々が発光機能層15を備える2つの有機EL装置を、接着層9を介して貼り合せて構成されている。上述の2つの有機EL装置は、双方とも発光機能層15と接着層9との間に反射層8を備えている。上述したように有機EL層の発光は全方向に射出されるため、該反射層で射出方向を限定している。そのため、一方の面としての上面3から第1の画像を形成する第1の表示光5を射出し、かつ、他方の面としての下面4から第2の画像を形成する第2の表示光6を射出できる。
【0050】
しかし、上述の貼り合せ型の両面表示装置90は、発光機能層を2層形成する必要があるため、製造コストが上昇する。また、接着層9及び後述するガラス基板等の厚さによりコンパクト性が損なわれる傾向にある。そこで、上述のヘッドマウントディスプレイ(61,62)では、両面表示装置として、単一の発光機能層を用いて上面3と下面4との双方の面に画像を表示(形成)可能な両面表示装置としての有機EL装置を用いている。
【0051】
図4(b)は、かかる構成の両面表示装置(有機EL装置)90の概要を示す図である。図示するように、該両面表示装置90は、単一の発光機能層15を狭持するように、かつ平面視で互いに重ならない領域を有するように配置された第1の反射層13と第2の反射層14との2層の反射層を備えている。
【0052】
本図に示す両面表示装置90において、平面視で第1の反射層13が形成され、かつ第2の反射層14は形成されていない領域では、発光機能層15内で生じる発光は直接あるいは第1の反射層13で反射されて上面3から第1の表示光5として射出される。そして、平面視で第2の反射層14が形成され、かつ第1の反射層13は形成されていない領域では、発光機能層内で生じる発光は直接あるいは第2の反射層14で反射されて下面4から第2の表示光6として射出される。上面3と下面4の双方から夫々別々の光(表示光)が射出されるため、該双方の面に独立した画像が形成される。そのため、同一(単一)の発光機能層を用いているにもかかわらず、上述の双方の面に左右方向で互い反転していない画像を表示(形成)できる。そして、上述のヘッドマウントディスプレイ(61,62)は、このような構成の両面表示装置90を備えることで、全体を軽量かつコンパクトにしている。
【0053】
(第3の実施形態)

以下、第3以降の実施形態として、かかる構成の有機EL装置、すなわち単一の発光機能層を用いて両面表示を可能にした有機EL装置について説明する。なお、以降の記載において単に「有機EL装置」と記載した場合、第3以降の実施形態にかかる両面表示装置90としての各有機EL装置、すなわち第3の実施形態の有機EL装置93と第4の実施形態の有機EL装置94と第5の実施形態の有機EL装置95の総称とする。
【0054】
図3は、有機EL装置の表示領域100内における、上述の光(発光)が射出される方向によって区別される2種類の画素領域の配置を示す図である。図示するように、表示領域100内には、上面3に光を射出する領域である第1の画素領域41と下面4に光を射出する領域である第2の画素領域42と2つの画素領域が規則的に配置されている。該双方の領域の大きさは略同一である。
【0055】
ここで、「表示領域」とは、画像が表示(形成)される領域である。有機EL装置は、平面視において表示領域100と該表示領域を囲む周辺領域とを有している。そして、「画素領域」とは任意の光を射出できる最小の領域である。また、「画素領域」は、後述する画素及びサブ画素と異なり平面的な概念である。
【0056】
各々の画素領域(41,42)は、該画素領域内に、赤色光を射出する赤色サブ画素領域(符号なし)と緑色光を射出する緑色サブ画素領域(符号なし)と青色光を射出する青色サブ画素領域(符号なし)の3種類のサブ画素領域を有している。かかる3原色光を任意の強度で射出することで、任意の光、すなわち明度、彩度、及び色度が任意に設定された光を射出できる。有機EL装置は、画素領域(41,42)毎に該任意の光を射出することで、上面3及び下面4の夫々の表示領域100にカラー画像を形成できる。
【0057】
図3(a)は上述の2種類の画素領域(41,42)が列状に配置された構成を示している。かかる態様の画素領域(41,42)の配置は、後述する第2の反射層14(図5参照)の形成が容易になるという利点を有している。本図は縦方向の列状に各領域が配置されているが、横方向の行状に配置する態様も可能である。図3(b)は、画素領域(41,42)が千鳥状に配置された態様を示している。かかる配置によれば、比較的滑らかな画像の表示が可能となる。有機EL装置は、上述する列状及び千鳥状のどちらの配置も採用可能である。
【0058】
図5は、有機EL装置の回路構成を示す図である。有機EL装置は、表示領域100と該表示領域の周辺部に形成された周辺領域(符号無し)とを備えている。周辺領域には、走査線駆動回路120、及び信号線駆動回路130が形成されている。走査線駆動回路120は、図示しない外部回路より供給される各種信号に応じて、走査線103に走査信号を順次供給する。信号線駆動回路130は、信号線104に画像信号を供給する。電源線106には、図示しない外部回路から画素駆動電流が供給される。走査線駆動回路120の動作と信号線駆動回路130の動作とは、同期信号線140を介して外部回路から供給される同期信号により相互に同期が図られている。
【0059】
表示領域100には、X方向に延在する複数の走査線103と、Y方向に延在する複数の信号線104と、同じくY方向に延在する複数の電源線106と、が形成されている。X方向が信号線104と電源線106とで規定され、Y方向が走査線103で規定される方形の区画毎に、サブ画素(33,34)が形成されている。
【0060】
サブ画素(33,34)は上述したようにサブ画素領域に対応する要素であり、各符号に付けられた小文字のアルファベットは、射出する光の色を示している。図示するように、第1の画素31は、第1赤色サブ画素33rと第1緑色サブ画素33gと第1青色サブ画素33bとの3種類のサブ画素で形成され、第2の画素32は第2赤色サブ画素34rと第2緑色サブ画素34gと第2青色サブ画素34bとの3種類のサブ画素で形成されている。上述の第1の画素領域41は第1の画素31で形成される光が射出される領域であり、第2の画素領域42は第2の画素32で形成される光が射出される領域である。
【0061】
各々のサブ画素(33,34)は、走査線103を介して走査信号がゲート電極23(図6参照)に供給されるスイッチング用TFT(薄膜トランジスタ)108と、スイッチング用TFT108を介して信号線104から供給される画像信号を保持する保持容量110と、保持容量110によって保持された画素信号がゲート電極23に供給される駆動用TFT112と、駆動用TFT112を介して電源線106から駆動電流が流れ込む有機EL素子29等からなる。なお、上述の駆動用TFT112等の総称が駆動素子である。
【0062】
有機EL装置はアクティブマトリクス型の表示装置であり、各々のサブ画素は個別に制御されている。すなわち、走査線103が駆動されスイッチング用TFT108がオン状態になると、その時点の信号線104の電位が保持容量110に保持され、保持容量110の状態に応じて駆動用TFT(以下、単に「TFT」と称する。)112のレベルが決まる。そして、TFT112を介して電源線106から有機EL素子29に駆動電流が流れる。有機EL素子29、すなわち該有機EL素子を備えるサブ画素は、かかる駆動電流の大きさに応じて発光して、各々のサブ画素(33,34)に対応するサブ画素領域から射出される。
【0063】
図6は、第3の実施形態にかかる有機EL装置93の、表示領域100(図3参照)における模式断面図である。図示するように、有機EL装置93は、第1の基板としての素子基板10と第2の基板としての対向基板11、及びかかる一対の基板間に形成された各要素で構成されている。対向基板11側、すなわち対向基板11の後述する各要素が形成されている側の反対側の面が上面3である。素子基板10側、すなわち素子基板10の各要素が形成されている側の反対側の面が下面4である。
【0064】
表示領域100は、上述したように平面視で上面3から第1の表示光5を射出する第1の画素領域41と下面4から第2の表示光6を射出する第2の画素領域42とを備えている。そして、第1の画素領域41には、第1赤色サブ画素33rと第1緑色サブ画素33gと第1青色サブ画素33bとの3種類のサブ画素を備える第1の画素31が形成されている。同様に、第2の画素領域42には、第2赤色サブ画素34rと第2緑色サブ画素34gと第2青色サブ画素34bとの3種類のサブ画素を備える第2の画素32が形成されている。図示するように、第1サブ画素(33r,33g,33b)と第2サブ画素(34r,34g,34b)との違いは反射層(13,14)の、基板面の垂直方向における形成位置である。かかる形成位置の違いにより、表示光(5,6)が射出される方向を変えることができる。
【0065】
以下、各サブ画素(33,34)を構成する各要素について、素子基板10側から順に述べる。なお、本実施形態の有機EL装置93、及び後述する各実施形態の有機EL装置は、第1サブ画素(33r,33g,33b)と第2サブ画素(34r,34g,34b)とでは、表示光が射出される方向が異なることに特徴がある。そこで、本図では、サブ画素(33,34)を構成する要素のうち、有機EL素子29と該有機EL素子を駆動するTFT112を示し、スイッチング用TFT108と保持容量110は図示を省略している。なお、「サブ画素(33,34)]と表記した場合、上述の6種類のサブ画素の総称を意味している。
【0066】
TFT112は、素子基板10の上層に形成されている。素子基板10とTFT112との界面に、保護層を別途形成してもよい。なお、「上方」及び「上層」とは、対向基板11側を意味している。TFT112は、半導体層21、走査線103と同一の層をパターニングして形成されたゲート電極23、及び、半導体層21とゲート電極23との間に形成されたゲート絶縁層70等からなる。半導体層21のうちゲート電極23と平面視で略重なる領域がチャネル領域22であり、該チャネル領域の両側にソース領域25とドレイン領域26とが形成されている。なお、ゲート電極23は、素子基板10側から順にTi(チタン)とAlCu(アルミニウム・銅合金)とTiN(窒化チタン)とが積層された構造を有している。
【0067】
TFT112の上層には、窒化シリコン、又は酸化シリコン等の無機絶縁材料とアクリル樹脂等の有機系材料とを積層した層間絶縁層71が形成されている。ドレイン領域26には、層間絶縁層71を局所的にエッチングして形成されたコンタクトホール27を介して、画素電極35が電気的に接続されている。図示するように画素電極35の層厚は、サブ画素(33,34)が射出する光の色によって異なっている。これは、後述するように共振長28を変化させるためである。
【0068】
画素電極35の形成材料は透明性と導電性とが必要であり、かつ、後述する共通電極としての陰極19よりも仕事関数が高いことが必要である。そのため、有機EL装置93では、画素電極35を透明導電材料であるITO(酸化インジウム・錫合金)で形成している。ITOに代えてIZO(酸化インジウム・亜鉛合金)を用いてもよい。さらには、金属を含まない透明導電材料であるPEDOTを用いてもよい。
【0069】
画素電極35が形成された素子基板10の上層には、発光機能層15が全面的に形成されている。発光機能層15は総称であり、具体的には素子基板10側から順に正孔注入層と正孔輸送層と有機EL層と電子輸送層との計4層が積層されて形成されている。電子輸送層の上層に形成される電子注入層を含めての計5層と考えてもよい。本実施形態の有機EL装置93の発光機能層15は、白色光を発光する白色発光機能層である。したがって、上述の有機EL層も白色光を発光する層であり、全てのサブ画素(33,34)間で共通である。なお、上述の有機EL層は、単一の材料からなる層に限定されない。夫々異なる色に発光する層を積層して、全体として白色光を射出できればよい。
【0070】
発光機能層15の上層には、陰極19が全面的に形成されている。陰極19と発光機能層15と画素電極35との積層体が有機EL素子29である。TFT112を介して画素電極35に電圧が印加されると、該画素電極と陰極19との間に発光機能層15を介して電流が流れる。そして、発光機能層15に含まれる有機EL層は、かかる電流量に応じて発光する。
【0071】
陰極19の上層、すなわち陰極19と対向基板11との間には、第2の画素領域42においては後述する第2の反射層14を介して、封止層79が形成されている。封止層79は、単層であるように図示されているが、実際には陰極19の上層から順に形成された陰極保護層と有機緩衝層ガスバリア層の計3層からなる積層体と、該積層体と対向基板11との間に充填された透明性を有する接着材層と、を少なくとも備えている。上述の封止層79を構成する各層は全て透明材料からなるため、上面3側から射出される光の透過を妨げることはない。
【0072】
有機EL装置93の陰極19は、電極として機能すると共に、半透過反射層としても機能している。したがって、導電性と照射された光の内の略50%を透過させ残りの略50%を反射する半透過反射性とを有することが必要である。したがって、層厚略10nmのAlあるいはMg・Ag合金で形成されている。
【0073】
また、第2サブ画素(34r,34g,34b)における画素電極35の下層には、半透過反射層12が図示しない保護層を介して形成されている。半透過反射層12は陰極19と同じく半透過反射性を有する膜層であり、陰極19と同様に層厚略10nmのAlあるいはMg・Ag合金で形成されている。陰極19と異なり、半透過反射層12は隣り合う第2サブ画素(34r,34g,34b)で互いに電気的に独立している必要がある。したがって、該半透過反射層は、島状にパターニングされている。
【0074】
第1サブ画素(33r,33g,33b)における画素電極35の下層には、第1の反射層13が図示しない保護層を介して形成されている。第1の反射層13(及び後述する第2の反射層14)の形成材料は、反射率が高く加工性(パターニング性)に優れた材料が好ましい。したがって、反射層(13,14)は、Al(アルミニウム)等で形成されている。第1の反射層13は厚さが略80nmであり、全面的に形成したAl層をパターニングして形成されている。第1の反射層13は、後述する第2の反射層14とは異なり、隣り合う該第1の反射層間で互いに電気的に独立している必要がある。したがって、第1の反射層13は矩形等の島状にパターニングされている。なお、パターニングではなくマスク蒸着等のマスク成膜法で形成してもよい。
【0075】
第2サブ画素(34r,34g,34b)における陰極19の上層には、第2の反射層14が形成されている。上述したように、該第2の反射層は第1の反射層13と同じくAlからなり、層厚も同様に80nmである。そして、該第2の反射層は陰極19と電気的に接続されていることが好ましい。そのため、該第2の反射層は陰極19の上層に保護層等を介さずに直接積層されている。したがって、下地となる陰極19にダメージが及ぶことを抑制するためにも、フォトリソグラフィー法によるパターニングは好ましくなく、マスク蒸着等のマスク成膜法によることが好ましい。
【0076】
また、第2の反射層14は第1の反射層13とは異なり、隣り合う第2サブ画素(34r,34g,34b)間では電気的に互いに独立している必要が無い。したがって、第2の画素領域42の全域に形成されていてもよい。図3(a)に示すように第2の画素領域42が列状に配置されている場合、第2の反射層14も列状(帯状)に形成できる。
【0077】
有機EL装置93は、かかる第1の反射層13と第2の反射層14とにより、第1の画素領域41においては上面3から第1の表示光5を射出し、第2の画素領域42においては下面4から第2の表示光6を射出できる。
【0078】
まず、第1の画素領域41においては、発光機能層15と素子基板10との間に第1の反射層13が位置することとなり、素子基板10側へ向かう発光は対向基板11側へと反射され、上面3側から第1の表示光5として射出される。また、対向基板11側へ向かった発光は、そのまま、第1の表示光5として対向基板11側から射出される。したがって、第1の画素31で生じた発光は、最終的には略全てが第1の表示光5として対向基板11側すなわち上面3側から第1の表示光5として射出される。
なお、陰極19は上述したように半透過反射性を有するため、一部の光は陰極19と第1の反射層13との間で反射を繰り返した後に上面3側から射出されるが、かかる現象については、第2の画素領域42における該現象も含めて後述する。
【0079】
次に、第2の画素領域42においては、発光機能層15内で生じた発光のうち、素子基板10側へ向かう発光は半透過反射層12を透過して、下面4側から第2の表示光6として射出される。また、発光機能層15の上層には第2の反射層14が位置しているため、対向基板11側へ向かう発光は該第2の反射層で反射されて、素子基板10側へ向かい下面4側から第2の表示光6として射出される。したがって、第2の画素領域42で生じる発光は、最終的には略全てが下面4側から第2の表示光6として射出される。
【0080】
したがって、以上述べたように、有機EL装置93は単一の発光機能層内で生じた光を用いて、第1の画素領域41においては上面3側に第1の表示光5による画像を形成し、第2の画素領域42においては下面4側に第2の表示光6による画像を形成できる。なお表示光(5,6)に付記されている小文字のアルファベットは、該表示光の色を示している。
【0081】
上述したように有機EL装置93はカラー型の表示装置である。有機EL装置93は、発光機能層15内で生じる白色光を、共振の利用により特定の波長範囲の光を強調して有色光とした上で射出することで、カラー表示を可能にしている。以下、かかる共振の利用について述べる。
【0082】
まず、第1の画素領域41では、発光機能層15の発光のうちの略半分は素子基板10側へと向かい、第1の反射層13において反射されて対向基板11側へ向かう。また、残りの略半分の光は直接対向基板11側へと向かう。そして、かかる対向基板11側へと向かった光の略50%は半透過反射性を有する陰極19で反射されて再び素子基板10側へ向かい、残りの略50%の光は陰極19を透過してさらに封止層79と対向基板11を透過して上面3から射出される。
【0083】
陰極19で反射されて素子基板10側へ向かった光は、第1の反射層13で反射されて再び対向基板11側へ向かう。残りの略50%の光は半透過反射層12で反射されて対向基板11側へ向かう。このように、発光機能層15で発光した光が半透過反射層(第1の画素領域41では陰極19が該当する)と反射層(すなわち第1の反射層13)との間で反射を繰り返す現象が共振である。かかる共振により、半透過反射層と反射層との間の距離によって定まる特定の波長範囲の光が強調される。上述の距離が共振長28である。そして、発光機能層15を反射層(13,14)と半透過反射層12(又は半透過反射性を有する陰極19)とで狭持する構造が共振器構造である。有機EL装置93は、かかる共振を用いることで、白色光を上述の共振長によって定まる特定の波長範囲の光を強調して有色光とした上で射出している。
【0084】
各サブ画素(33,34)においては、画素電極35の層厚を変化させることで、共振長28が射出する光に合わせて設定されている。すなわち、赤色光を射出するサブ画素(33r,34r)では共振長28が赤色光に相当する波長範囲の光を強調する距離に設定され、緑色光を射出するサブ画素(33g,34g)では共振長28が緑色光に相当する波長範囲の光を強調する距離に設定され、青色光を射出するサブ画素(33b,34b)では共振長28が青色光に相当する波長範囲の光を強調する距離に設定されている。有機EL装置93は、かかる構成により、単一(すなわち1層のみ)かつ表示領域100の全域にわたって共通の材料からなる発光機能層15を用いて、上面3と下面の双方にカラー画像の形成を可能としている。
【0085】
(本実施形態の効果)
上述したように、本実施形態の有機EL装置93は、反射層(13,14)が2層形成されている点に特徴がある。上面3側に光を射出する領域では発光機能層15の下面4側に第1の反射層13が形成され、下面4側に光を射出する領域では発光機能層15の上面3側に第2の反射層14が形成されている。そのため、発光機能層15が一層のみ形成されているにもかかわらず、上述の双方の面に画像を表示できる。どちらか一方の面のみに画像を表示する有機EL装置においても、発光機能層15内で生じる光を効率的に利用するために反射層が形成される場合が多い。したがって、本実施形態の有機EL装置93は、一般的な有機EL装置に対して反射層の形成工程を一層分追加するのみで両面に画像を表示する事を可能にしている。
【0086】
また、有機EL装置の形状も反射層の一層分の厚さが増加するのみなので、軽量かつコンパクトな両面表示装置が可能となっている。したがって、上述のヘッドマウントディスプレイ(61,62)の構成要素である両面表示装置に本実施形態にかかる有機EL装置93を用いることで、軽量かつコンパクトであり、外部の景色を視認する際の視界が充分に確保可能なヘッドマウントディスプレイ(61,62)を低コストで実現できる。
【0087】
また、本実施形態の有機EL装置93は、共振を利用することで表示領域100の全域に共通の発光機能層15を形成しているのもかかわらず、双方の面(3,4)にカラー画像の表示を可能にしている。どちらか一方の面のみに画像を表示する有機EL装置においても、表示領域100の全域に共通の発光機能層15を用いて、色純度を向上するために共振を利用する場合が多い。その場合、陰極19は半透過反射層を用いることとなる。したがって、本実施形態の有機EL装置93は、下面4側に光を射出する領域に半透過反射層12を形成する工程を追加するのみで、共通の発光機能層15を用いつつ両面にカラー画像を表示する事を可能にしている。
【0088】
したがって、上述のヘッドマウントディスプレイ(61,62)の構成要素である両面表示装置に本実施形態にかかる有機EL装置93を用いることで、軽量かつコンパクトであり、かつ、カラー画像に対応したヘッドマウントディスプレイ(61,62)を低コストで実現できる。
【0089】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について述べる。第4の実施形態にかかる有機EL装置94は、上述の有機EL装置93と類似した構成を有するカラー表示可能な両面表示型の有機EL装置であり、カラーフィルターを備えている点が有機EL装置93と異なっている。そこで、以下の記載において、有機EL装置93の構成要素と共通する構成要素には同一の符号を付与して、説明の記載は一部省略する。
【0090】
図7は、第4の実施形態にかかる有機EL装置94の、表示領域100(図3参照)における模式断面図である。図示するように、有機EL装置94は第1の画素31及び第2の画素32の双方が、光を射出する側に各サブ画素(33,34)が射出する光の色に対応するカラーフィルター75(r,g,b)を備えている。
【0091】
具体的には、第1の画素領域41には、対向基板11の素子基板10側にカラーフィルター75(r,g,b)とブラックマトリクス75kとオーバーコート層77とを含むカラーフィルター層76が形成されている。そして、第2の画素領域42には、層間絶縁層71内すなわち画素電極35と素子基板10との間にカラーフィルター75(r,g,b)が形成されている。
【0092】
カラーフィルター75(r,g,b)は有色透明の樹脂層であり、特定の波長範囲の光を他の波長範囲の光に比べて高い比率で透過させることで、該特定の波長範囲の光を強調して色純度を向上させる機能を有している。具体的には、赤色カラーフィルター75rは赤色光に相当する波長範囲の光を高い比率で透過させ、緑色カラーフィルター75gは緑色光に相当する波長範囲の光を高い比率で透過させ、青色カラーフィルター75bは青色光に相当する波長範囲の光を高い比率で透過させる機能を有している。
【0093】
上述したように、有機EL装置94は、有機EL装置93にカラーフィルター75(r,g,b)が追加された構成であり、半透過反射層12又は陰極19を透過して射出されてくる光は共振器構造で特定の波長範囲の光が強調されて、3原色の何れかの色を有する有色光となっている。そして有機EL装置94は、かかる有色光の色純度を該カラーフィルターによりさらに向上して、表示品質を向上している。
【0094】
(本実施形態の効果)
上述したように、本実施形態の有機EL装置94は、双方の画素領域(41,42)において光が射出される側に、カラーフィルター75(r,g,b)を備えている点に特徴がある。そのため、表示領域100の全域に共通する白色光を発光する発光機能層15を用いているにもかかわらず、各サブ画素(33,34)毎に色純度が非常に向上された光を射出できる。したがって、カラーフィルター75(r,g,b)の追加に伴う若干の製造コストの追加で、より一層表示品質を向上した両面表示可能な有機EL装置を実現できる。また、本実施形態の有機EL装置94をヘッドマウントディスプレイ(61,62)が備える両面表示装置90として用いた場合、外部の景色の表示品質と両面表示装置90の画像の表示品質の差を縮小でき、光学系の切り替えたときの違和感等を低減できる。
【0095】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について述べる。第5の実施形態にかかる有機EL装置95は、発光機能層15に含まれる有機EL層17が、サブ画素(33,34)が射出する光の色に合せて該サブ画素毎に個別に形成されている点に特徴がある。そして、それ以外の構成については、第3の実施形態にかかる有機EL装置93と類似している。そこで、以下の記載において、有機EL装置93の構成要素と共通する構成要素には同一の符号を付与して、説明の記載は一部省略する。
【0096】
図8は、第5の実施形態にかかる有機EL装置95の、表示領域100(図3参照)における模式断面図である。上述したように、発光機能層15は、正孔注入層、正孔輸送層、有機EL層、電子輸送層等の積層体である。有機EL装置95は、かかる発光機能層15の構成要素のうち、有機EL層がサブ画素(33,34)毎に個別に形成されている。有機EL層以外の層は共通であり、かつ表示領域100の全域に形成されている。
【0097】
図示するように、発光機能層15は、画素電極35の上層に順に形成された正孔注入層と正孔輸送層の積層体である正孔注入輸送層16と、有機EL層17と、電子輸送層18とで構成されている。かかる計3層の要素のうち、正孔注入輸送層16と電子輸送層18とはサブ画素(33,34)間で共通であり、かつ表示領域100の全域に形成されている。
【0098】
そして、有機EL層17は、各サブ画素(33,34)が射出する色に合せて、赤色光を射出するサブ画素(33r,34r)には赤色光を発光する赤色有機EL層17rが、緑色光を射出するサブ画素(33g,34g)には緑色光を発光する緑色有機EL層17gが、青色光を射出するサブ画素(33b,34b)には青色光を発光する青色有機EL層17bが、それぞれ島状に形成されている。かかる個別に形成された有機EL層17(r,g,b)により、有機EL装置95の各サブ画素(33,34)は共振器構造を用いることなく、該各サブ画素毎に色純度の高い光を射出できる。
【0099】
発光機能層15の上層には、陰極19が形成されている。陰極19は、電子注入層としての層厚2nmのAlと層厚1nmのLiF(フッ化リチウム)の積層体の上層にITOを積層して形成されている。上述したように有機EL装置95は共振器構造を利用する必要がないため、陰極19は半透過反射性を必須要件としていない。すなわち、50%より多くの光を透過させても構わない。そのため、透明導電性と電子注入性と満たすことに重点をおいて、上述のITO層を主体とする構成が採用されている。
【0100】
また、有機EL装置95は共振器構造を要しないため、上述の有機EL装置93および94とは異なり、第2の画素領域42に半透過反射層12(図6参照)は形成されていない。そして画素電極35の層厚も、全てのサブ画素(33,34)間で同一である。したがって、双方の画素(31,32)の相違点は反射層(13,14)の形成位置のみである。
【0101】
(本実施形態の効果)
上述したように、本実施形態の有機EL装置95は、有機EL層17が各サブ画素(33,34)の発光色に合せて個別に形成されている点に特徴がある。有機EL層17が白色光ではなく有色光を発光するため、共振器構造を必要としていない。そのため、第2の画素領域42に第2の反射層14を形成する工程を付加するのみで、上面3及び下面4の双方にカラー画像を表示可能な両面表示装置が実現されている。
【0102】
また、本実施形態の有機EL装置95をヘッドマウントディスプレイ(61,62)が備える両面表示装置として用いた場合、外部の景色に合せて両面表示装置の画像もカラー化できるため、光学系の切り替え時の違和感が低減されたヘッドマウントディスプレイを低コストで実現できる。
【0103】
本発明の実施の形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更や改良を加えることも可能である。変形例を以下に述べる。
【0104】
(変形例1)
上述の第3〜第5の実施形態の有機EL装置は、全てカラー画像を表示する両面表示装置である。しかし、ヘッドマウントディスプレイ(61,62)が備える両面表示装置90としては、モノクロの表示装置も適用可能である。該表示装置に表示させる内容が文字情報のみである場合にはモノクロの表示装置でも充分であり、低コストで表示の切り替えが可能なヘッドマウントディスプレイを実現できる。
【0105】
(変形例2)
上述の第3〜第5の実施形態の有機EL装置は、白色光を共振器構造及び/又はカラーフィルターで有色光とする構成か、有色光を発光する有機EL層を用いる構成の何れかの構成を有している。しかし、本発明の実施の形態は上述の構成に限定されるものではなく、有色光を発光する有機EL層に共振器構造及び/又はカラーフィルターを組み合せる構成も可能である。かかる構成であれば、両面表示装置(有機EL装置)90の表示品質をより一層向上でき、光学系の切り替え時の違和感をより一層低減できる。
【0106】
(変形例3)
上述の第2の実施形態において、ヘッドマウントディスプレイ62が備えるハーフミラー85は、透過率が略50%すなわち略50%の光を透過させる機能を有している。しかし、本発明のヘッドマウントディスプレイが備えるハーフミラーの透過率はかかる値に限定されるものではない。外部の景色に重点を置く場合には、透過率がより高く反射率がより低いハーフミラー85を用いることもできる。
【0107】
(変形例4)
上述の各実施形態では、有機EL装置91〜95はアクティブマトリクス型であるものとして説明してきたが、発光機能層を走査電極とデータ電極とで挟持するパッシブ(単純)マトリクス型であっても良い。かかる構成でも、反射層(13,14)を発光機能層15の両側に形成することで、単一の発光機能層を用いての両面表示が可能となる。
【0108】
(変形例5)
上述の各実施形態のヘッドマウントディスプレイ(61,62)では、ミラー(ハーフミラー85及び全反射ミラー86)の移動は、軸87を中心に回転させるものであったが、平行にスライドさせる構成でも良い。
【0109】
(変形例6)
上述の各実施形態において、一対の光学系(63,64)が備える全反射ミラー86及びハーフミラー85は、第1の光学系63と第2の光学系64とで同一の角度を保つように移動している。例えば第1の実施形態において、一対の光学系(63,64)が備える双方の全反射ミラー86は、図1(a)に示す態様では両面表示装置90に対して略45度の角度を有しており、図1(b)に示す態様では両面表示装置90に対して略平行に配置されている。
【0110】
しかし、全反射ミラー86及び/又はハーフミラー85と両面表示装置90とがなす角度が、第1の光学系63と第2の光学系64とで異なる態様も可能である。例えば、図1に示す場合において、第1の光学系63が備える全反射ミラー86は両面表示装置90に対して略平行であり、第2の光学系64が備える全反射ミラー86は両面表示装置90に対して略45度の角度を有していても良い。かかる態様であれば、右眼81は外光7を視認して、左眼82は両面表示装置90に表示される画像を視認することとなる。すなわち、ハーフミラー85を用いずに、上述の画像と外部の景色の双方を同時に視認することが可能となる。
【符号の説明】
【0111】
3…一方の面としての上面、4…他方の面としての下面、5…第1の表示光、6…第2の表示光、7…外光、10…第1の基板としての素子基板、11…第2の基板としての対向基板、12…半透過反射層、13…第1の反射層、14…第2の反射層、15…発光機能層、16…正孔注入輸送層、17…有機EL層、18…電子輸送層、19…共通電極としての陰極、21…半導体層、22…チャネル領域、23…ゲート電極、25…ソース領域、26…ドレイン領域、27…コンタクトホール、28…共振長、29…有機EL素子、31…第1の画素、32…第2の画素、33…第1サブ画素、33b…第1青色サブ画素、33g…第1緑色サブ画素、33r…第1赤色サブ画素、34…第2サブ画素、34b…第2青色サブ画素、34g…第2緑色サブ画素、34r…第2赤色サブ画素、35…画素電極、41…第1の画素領域、42…第2の画素領域、61…第1の実施形態にかかるヘッドマウントディスプレイ、62…第2の実施形態にかかるヘッドマウントディスプレイ、63…第1の光学系、64…第2の光学系、70…ゲート絶縁層、71…層間絶縁層、75…カラーフィルター、75k…ブラックマトリクス、76…カラーフィルター層、77…オーバーコート層、79…封止層、81…右眼、82…左眼、84…積層ミラー、85…ハーフミラー、86…全反射ミラー、87…軸、88…凸レンズ、89…筐体、90…両面表示装置、93…第3の実施形態の両面表示装置としての有機EL装置、94…第4の実施形態の両面表示装置としての有機EL装置、95…第5の実施形態の両面表示装置としての有機EL装置、99…頭部、100…表示領域、103…走査線、104…信号線、106…電源線、108…スイッチング用TFT、110…保持容量、112…駆動用TFT、120…走査線駆動回路、130…信号線駆動回路、140…同期信号線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の両目を結ぶ線に対して略垂直に配置された両面に画像を表示可能な平板型両面表示装置と、
前記両面表示装置の一方の面に表示された画像を右眼に結像させる第1の光学系と、
前記両面表示装置の他方の面に表示された画像を左眼に結像させる第2の光学系と、を有し、
前記第1の光学系および前記第2の光学系は、前方の視界の少なくとも一部が視認できるようにする切り替え機構を有していることを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【請求項2】
請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイであって、
前記第1の光学系および前記第2の光学系は、前記両面表示装置に表示された画像を前記眼に向けて反射可能な位置と、前方の視界の少なくとも一部が視認可能となる位置と、に切り替え可能なミラーと、該ミラーと前記両面表示装置との間に配置された凸レンズとを備えていることを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【請求項3】
請求項2に記載のヘッドマウントディスプレイであって、
前記ミラーは、前記両面表示装置の一方の面に表示された画像を右眼に結像させ他方の面に表示された画像を左眼に結像させることが可能な位置に配置された半透過反射性を有するハーフミラーと、前記ハーフミラーの裏側に該ハーフミラーとは独立して移動させることが可能なように配置されており、該ハーフミラーと平行な位置と前方の視界の少なくとも一部が該ハーフミラーを介して視認可能となる位置との双方の位置に移動させることが可能な全反射ミラーと、を組み合わせたものであることを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【請求項4】
請求項3に記載のヘッドマウントディスプレイであって、
前記両面表示装置は、2枚の表示装置を、双方の画像を表示しない側の面同士が向かい合うように組み合わせて形成された両面表示装置であることを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【請求項5】
請求項3に記載のヘッドマウントディスプレイであって、
前記両面表示装置は、前記他方の面を構成する第1の基板と前記一方の面を構成する第2の基板との一対の基板と該一対の基板間に狭持された少なくとも有機EL層を含む発光機能層とを備え、前記第1の基板側に光を射出する第2の画素と前記第2の基板側に光を射出する第1の画素とが規則的に配置されており、
前記第1の画素は、前記発光機能層の第1の基板側に形成された画素電極と、前記発光機能層の第2の基板側に形成された共通電極と、前記発光機能層の第1の基板側に形成された反射層と、を備え、
前記第2の画素は、前記発光機能層の第1の基板側に形成された画素電極と、前記発光機能層の第2の基板側に形成された共通電極と、前記発光機能層の第2の基板側に形成された反射層と、を備え、
前記第1の基板の前記発光機能層側には、前記画素電極を駆動する駆動素子が形成されている両面表示装置であることを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【請求項6】
請求項5に記載のヘッドマウントディスプレイであって、
前記両面表示装置は、前記第1の画素が赤色光を射出する第1赤色サブ画素と緑色光を射出する第1緑色サブ画素と青色光を射出する第1青色サブ画素との3種類のサブ画素を備えており、前記第2の画素が赤色光を射出する第2赤色サブ画素と緑色光を射出する第2緑色サブ画素と青色光を射出する第2青色サブ画素との3種類のサブ画素を備えている両面表示装置であることを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【請求項7】
請求項6に記載のヘッドマウントディスプレイであって、
前記各々のサブ画素は前記発光機能層の前記反射層側の反対の側には、該サブ画素発光色に対応するカラーフィルターを備えていることを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【請求項8】
請求項6に記載のヘッドマウントディスプレイであって、
前記各々のサブ画素は、前記発光機能層の前記反射層側の反対の側に半透過反射層を有しており、
前記半透過反射層と前記反射層との間に特定の波長範囲の光を共振させる光共振器構造が形成されていることを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【請求項9】
請求項6に記載のヘッドマウントディスプレイであって、
前記発光機能層に含まれる有機EL層は、前記各々のサブ画素毎に該サブ画素の発光色に合せて個別に形成されていることを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−112828(P2011−112828A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268445(P2009−268445)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】