説明

ヘッドライト

ヘッドライト(1)、特に車両ヘッドライトであって、リフレクタ(2)の前方に備えられた光源(3、3’)と、光ガイド(4)とを備え、この光ガイド(4)が、リフレクタとは反対側の光出射面(12)を有していてリフレクタの縁に少なくとも領域として隣接している長く延びた光分離要素(10)として形成されている、前記ヘッドライトにおいて、リフレクタ(2)の光源(3、3’)側の内面(5)が、少なくとも領域として、この内面(5)が光源(3、3’)の箇所で第1焦点(F1)を形成し且つ光源(3、3’)から放射された光を光分離要素の光出射面(12)とは反対側の光入射面(9)へと反射させるように形成されていること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投光装置であるヘッドライト、特に車両ヘッドライトに関し、このヘッドライトは、リフレクタの前方に備えられた光源と、光ガイドとを備え、この光ガイドは、リフレクタとは反対側の光出射面を有していてリフレクタの縁に少なくとも領域として隣接している長く延びた光分離要素として形成されている。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び特許文献2から、ヘッドライト光を生成するためにリフレクタの前方に備えられた光源を有する車両ヘッドライトが知られている。これらの周知のヘッドライトは光ガイドを有し、この光ガイドは長く延びた光分離要素としてリフレクタの縁に少なくとも領域として隣接している。
【0003】
それらの周知の車両ヘッドライトでは、リフレクタの前方に備えられた光源を用い、例えばデイドライビング光或いはロービーム光又はハイビーム光のようなヘッドライト光が生成される。この際、光ガイド内には第2光源を介して光が結合(カップルイン)され、この光はシグナル光として放射或いは分離(カップルアウト)される。
【0004】
光ガイドの端面を介した光の結合或いは特別な結合要素を介した光の結合により比較的高い光損失が発生し、その結果、光ガイドは確かにシグナル光を生成するために適しているが、放射された光は、デイドライビング光又はロービーム光として使用するには十分な光度をもたず、また比較的不均質で且つ望まれない光度分布を有する。比較的無指向性の光分布がシグナル光にとっては必ずしも不利であるわけではなく、それに対し、ヘッドライト光、例えばロービーム光又はデイドライビング光においては、均質な輝度に関する比較的高い要求及び指向性の光分布が求められる。
【0005】
【特許文献1】EP0900694A2
【特許文献2】DE10040302A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って本発明の課題は、例えばデイドライビング光の生成のために必要とされる形成可能な或いは指向性の光分布を伴う高い光度の均質な輝度が可能とされるように、長く延びた光ガイドを介した光分離を伴う周知のヘッドライトを改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題は、本発明に従い、請求項1の前提部と関連し、リフレクタの光源側の内面が、少なくとも領域として、この内面が光源の箇所で第1焦点を形成し且つ光源から放射された光を光分離要素の光出射面とは反対側の光入射面へと反射させるように形成されていることにより解決される。
【0008】
光源の光は、リフレクタから光ガイド即ち光分離要素の光入射面へと導かれ、その結果、この光ガイドは実際にその全長に渡って光が通される。それにより、光ガイド内の、結合、拡散、偏向による比較的高い光学的な損失が実際に排除される或いは多大に減少される。更に光ガイドの背面即ち光入射面上の均質な光分布により、温度制限された結合に基づく光度の減少が回避される。つまり、形成可能な且つ均質な光分布を伴う高い光度が達成される。それによりデイドライビング光或いはロービーム光或いはハイビーム光のために重要な高い効率が達成される。
【0009】
本発明の有利な実施形態に従い、リフレクタの内面は、回転体であってその輪郭線が放射方向でヘッドライト軸線に対して90°よりも小さい角度で傾けられた楕円のヘッドライト軸線回りの回転から得られる回転体の部分として形成されていて、その楕円の第1焦点F1は光源の箇所に配設されていて、その楕円の第2焦点F2は光分離要素の光入射面に隣接して配設されていて、回転の結果、環形状の焦線を形成している。この際、光ガイドは合目的には環形状で形成されている。
【0010】
光源或いはリフレクタの全ての光はそのように目標を定めて光ガイドの光入射面へと導かれ、この光入射面を介して光ガイド内に結合し、適切に指向性をもって光出射面から再び出てゆく。このことは車両ヘッドライトの効率の更なる増加に寄与する。光ガイドはその表面の適切な選択により、光学面として、光分布の更なる修正のために利用され得る。
【0011】
本発明の他の有利な実施形態では光ガイドが、光を反射投入するための前方に備えられた第2光源をもった光結合箇所を有している。
【0012】
それにより、デイドライビング光がスイッチオフされている場合、光ガイドは補助的に周知のごとくシグナル光として使用され得る。従って簡単な方式でヘッドライトの2重機能が達成される。
【0013】
本発明の他の有利な実施形態に従い、光ガイドは第1光分離要素として形成されていて、この第1光分離要素は、隣接するヘッドライトの第2光分離要素内に移行する。この際、この光分離要素は、第1光分離要素内に結合された光の一部分が第2光分離要素を介して分離可能であるように形成されている。従って、隣接するヘッドライトの第2光分離要素には第1光分離要素を介して光の流れが提供され得る。
【0014】
本発明の他の実施形態に従い、光ガイドから放射された光は光源の減光によりパーキング光又はポジション光として利用可能である。
【0015】
従って減光により同様に簡単な方式でヘッドライトの2重機能が達成され得る。本発明の他の有利な実施形態では光ガイドにより包囲されている領域が他の光機能のために利用可能である。中央領域の利用によりスペースを節約して他の光機能が達成され得る。
【0016】
本発明の他の有利な実施形態に従い、光源は、第1焦点において、光ガイド内に結合すべき光を生成するための第1コイルフィラメントを有し、また、放射方向で第1コイルフィラメントの前方に備えられた、他の光機能用の光を生成するための第2コイルフィラメントを有する。この際、光ガイドにより包囲されている領域には他の光機能のためのレンズが配設され得る。この際、第2コイルフィラメントの光は直接的にレンズ内に入射され得る。この際、第2コイルフィラメントを有する光源の使用は追加的なコスト削減をもたらし、ランプ交換を簡素化する。それによりリフレクタ構造も同様に簡素化され得る。場合により、第2コイルフィラメントをリフレクタ或いは第1コイルフィラメントに向かって遮蔽すること、又は場合により共通のランプ支持体に固定される2つの別個の光源或いはランプを相前後して配設することも可能である。それにより特殊ランプが回避されるであろう。
【0017】
本発明の他の有利な実施形態では、レンズが、側方に偏向されるカーブ光を生成するように形成されている及び/又は第2コイルフィラメントに対して配設されている。特にレンズ軸線がヘッドライト軸線に対してずらされている及び/又はレンズ表面上にプリズムを含んでいる場合、連続追跡可能なカーブ光/曲がり光が簡単に且つ低コストで生成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の他の詳細は、以下の詳しい説明、及び本発明の有利な実施形態が例として具現化されている添付の図面から得られる。
【実施例1】
【0019】
投光装置であるヘッドライト1は、実質的に、リフレクタ2と、光源3と、光ガイド4とから構成されている。
【0020】
リフレクタ2は内面5を有し、内面5は、回転体であってその輪郭線が楕円7のヘッドライト軸線6回りの回転から得られる回転体の部分として形成されている。この際、楕円7は90°よりも小さい角度aで傾けられている。この際、第1焦点F1は光源3の箇所或いはそのコイルフィラメント8の箇所に配設されている。楕円7の第2焦点F2は光ガイド4の光入射面9に隣接して配設されていて、楕円7の回転の結果、環形状の焦線を形成する。
【0021】
光ガイド4は長く延びた環形状の光分離要素10として形成されていて、光分離要素10は光放射方向11でリフレクタ2の前方に備えられている。光分離要素10はリフレクタ2に向かって光入射面9を有し、光入射面9の反対側で光出射面12を有している。光分離要素10はその横断面において、その表面上で光学的に有効な微細構造を有するレンズ形状の輪郭線を有し得る。
【0022】
リフレクタ2の焦点F1にある光源3から出た光はリフレクタ2により焦点F2或いは焦線において集められ、光入射面9を介して光分離要素10内に結合(カップルイン)され、その光出射面12を介して指向性をもって分離(カップルアウト)される。従って光ガイド4即ち光分離要素10から放射された光はデイドライビング光として利用可能である。光源3の減光により、光ガイド4から放射された光はパーキング光又はポジション光としても利用される。
【0023】
光ガイド4は側方の光結合要素13も有し得て、光結合要素13を介し、光結合要素13の前方に備えられている第2光源であって光源3がスイッチオフされている場合にパーキング光又はポジション光を生成するための第2光源の光が反射投入される。
【0024】
隣接する第2ヘッドライトの光ガイド4’内にパーキング光又はポジション光を反射投入するために、光ガイド4は、光ガイド4’の第2光分離要素16内に移行する第1光分離要素15として形成されている。それにより第1光分離要素15内に結合された光の一部分が光ガイド4’の第2光分離要素16を介して分離される。
【実施例2】
【0025】
他の実施形態では光ガイド4により包囲されている領域が他の光機能のために利用される。図2に対応し、光源3’が第1コイルフィラメント8’を有し、その光はリフレクタ2を介して光ガイド4に供給される。更に光源3’は、光放射方向11で第1コイルフィラメント8’の前方に備えられている第2コイルフィラメント17を有し、その光は直接的にレンズ18に供給され、レンズ18を介して放射される。レンズ18は、その光学軸線19を用い、ヘッドライト軸線6に対し、レンズ18が入射された光を側方の光放射方向20へカーブ光として放射するようにずらされている。
【0026】
第2コイルフィラメント17はレンズの対応的な構成と配置により別の光機能のためにも利用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】リフレクタの前方に備えられた光ガイド要素を介した放射を伴うヘッドライトの側面を示す断面図である。
【図2】光ガイド要素を介した光放射と、カーブ光を生成するためのレンズを介した第2コイルフィラメントの光放射とを伴うヘッドライトの側面を示す断面図である。
【図3】楕円形状の回転体としてリフレクタを構成するための側面を示す断面図である。
【図4】図1の光ガイドの正面図である。
【図5】隣接するヘッドライトペアの2つの接続された光ガイドの正面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 ヘッドライト
2 リフレクタ
3、3’ 光源
4、4’ 光ガイド
5 リフレクタの内面
6 ヘッドライト軸線
7 楕円
8、8’ コイルフィラメント
9 光入射面
10 光分離要素
11 光放射方向
12 光出射面
13 光結合要素
15 第1光分離要素
16 第2光分離要素
17 コイルフィラメント
18 レンズ
19 光学軸線
20 光放射方向
F1 第1焦点
F2 第2焦点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドライト、特に車両ヘッドライトであって、リフレクタの前方に備えられた光源と、光ガイドとを備え、この光ガイドが、リフレクタとは反対側の光出射面を有していてリフレクタの縁に少なくとも領域として隣接している長く延びた光分離要素として形成されている、前記ヘッドライトにおいて、
リフレクタ(2)の光源(3、3’)側の内面(5)が、少なくとも領域として、この内面(5)が光源(3、3’)の箇所で第1焦点F1を形成し且つ光源(3、3’)から放射された光を光分離要素(10)の光出射面(12)とは反対側の光入射面(9)へと反射させるように形成されていることを特徴とするヘッドライト。
【請求項2】
リフレクタ(2)の内面(5)が、回転体であってその輪郭線が放射方向(11)でヘッドライト軸線(6)に対して90°よりも小さい角度で傾けられた楕円(7)のヘッドライト軸線(6)回りの回転から得られる回転体の部分として形成されていて、その楕円(7)の第1焦点F1が光源の箇所に配設されていて、その楕円(7)の第2焦点F2が光分離要素(10)の光入射面(9)に隣接して配設されていて、回転の結果、環形状の焦線を形成していることを特徴とする、請求項1に記載のヘッドライト。
【請求項3】
光ガイド(4)が環形状で形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のヘッドライト。
【請求項4】
光ガイド(4)が、光を反射投入するための前方に備えられた第2光源(14)をもった光結合要素(13)を有していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のヘッドライト。
【請求項5】
光ガイド(4’)が第1光分離要素(15)として形成されていて、この第1光分離要素(15)が、隣接するヘッドライトの第2光分離要素(16)内に移行することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のヘッドライト。
【請求項6】
第1光分離要素(15)内に結合された光の一部分が第2光分離要素(16)を介して分離可能であることを特徴とする、請求項5に記載のヘッドライト。
【請求項7】
光ガイド(4、4’)から放射された光がデイドライビング光として利用可能であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のヘッドライト。
【請求項8】
光ガイド(4、4’)から放射された光が光源の減光によりパーキング光又はポジション光として利用可能であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のヘッドライト。
【請求項9】
光ガイド(4、4’)により包囲されている領域が他の光機能のために利用可能であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のヘッドライト。
【請求項10】
光源(3’)が、第1焦点F1において、光ガイド(4)内に結合すべき光を生成するための第1コイルフィラメント(8’)を有し、また、放射方向(11)で第1コイルフィラメント(8’)の前方に備えられた、他の光機能用の光を生成するための第2コイルフィラメント(17)を有することを特徴とする、請求項9に記載のヘッドライト。
【請求項11】
光ガイド(4)により包囲されている領域には他の光機能のためのレンズ(18)が配設されていることを特徴とする、請求項9又は10に記載のヘッドライト。
【請求項12】
第2コイルフィラメント(17)の光が直接的にレンズ(18)内に入射されることを特徴とする、請求項11に記載のヘッドライト。
【請求項13】
レンズ(18)が、側方に偏向されるカーブ光を生成するように形成されている及び/又は第2コイルフィラメント(17)に対して配設されていることを特徴とする、請求項11又は12に記載のヘッドライト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−507066(P2007−507066A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527284(P2006−527284)
【出願日】平成16年7月3日(2004.7.3)
【国際出願番号】PCT/EP2004/007299
【国際公開番号】WO2005/039924
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(391009671)バイエリッシェ モートーレン ウエルケ アクチエンゲゼルシャフト (194)
【氏名又は名称原語表記】BAYERISCHE MOTOREN WERKE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】