説明

ヘテロ環式ベンゾジアゼピンCGRP受容体アンタゴニスト

CGRP受容体のアンタゴニストであり、CGRPが関与する疾患(例えば、偏頭痛)の治療または予防において有用である式I(式中、変数R、R、D、W、X、Y及びZは本明細書中に記載されている通りである)を有する化合物。本発明は、前記化合物を含む医薬組成物並びに前記した化合物及び組成物のCGRPが関与する疾患の予防または治療における使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)は、カルシトニンメッセンジャーRNAの組織特異的選択的プロセシングにより生じる天然に存在する37アミノ酸ペプチドであり、中枢及び末梢神経系中に広く分布している。CGRPは主に感覚求心性の中枢ニューロンに局在しており、血管拡張を含めた複数の生物学的作用を媒介する。CGRPは、ラット及びヒトにおいてそれぞれ1個及び3個のアミノ酸だけ異なるα−及びβ−形態で発現する。CGRP−α及びCGRP−βは同様の生物学的特性を示す。細胞から遊離すると、CGRPは主にアデニリルシクラーゼの活性化にカップリングする特定の細胞表面受容体に結合することによりその生物学的応答を開始する。CGRP受容体は同定されており、脳、心血管、内皮及び平滑筋起源のものを含めた幾つかの組織及び細胞において薬理学的に評価されている。
【0002】
薬理学的特性に基づいて、上記受容体はCGRP及びCGRPと称される少なくとも2つのサブタイプに分けられている。7つのN末端アミノ酸残基を欠くCGRPの断片であるヒトα−CGRP−(8−37)はCGRPの選択的アンタゴニストであり、ジアセトアミドメチルシステインCGRP([Cys(ACM)2,7]CGRP)であるCGRPの線状アナログはCGRPの選択的アゴニストである。CGRPは、偏頭痛や群発頭痛のような脳血管障害の病理に関与する強力な血管拡張剤である。臨床研究で、偏頭痛の発作中は頸静脈中のCGRPレベルが高くなることが判明した(Goadsbyら,Ann.Neurol.,1990,28,183−187)。CGRPは脳内血管の平滑筋上の受容体を活性化させて、血管拡張が強まる。これが偏頭痛発作中の頭痛疼痛の主要ソースであると考えられている(Lance,Headache Pathogenesis:Monoamines,Neuropeptides,Purines and Nitric Oxide,Lippincott−Raven Publishers,1997,3−9)。脳硬膜中の主要動脈である中硬膜動脈は、CGRPを含めた幾つかのニューロペプチドを含む三叉神経節から感覚線維により神経支配されている。ネコにおいて三叉神経節を刺激するとCGRPレベルが上昇し、ヒトにおいて三叉神経系を活性化すると顔面が紅潮し、外部頸静脈中のCGRPレベルが上昇した(Goadsbyら,Ann.Neurol.,1988,23,193−196)。ラットにおいて脳硬膜を電気刺激すると中硬膜動脈の直径が大きくなる。この作用はペプチドCGRPアンタゴニストであるCGRP(8−37)を前投与するとブロックされ得た(Williamsonら,Cephalalgia,1997,17,525−531)。ラットにおいて三叉神経節を刺激すると顔面血流が増加し、これはCGRP(8−−37)によりブロックされた(Escottら,Brain Res.,1995,669,93−99)。マーモセットにおいて三叉神経節を電気刺激すると顔面血流が増加するが、これは非ペプチドCGRPアンタゴニストBIBN4096BSによりブロックされ得た(Doodsら,Br.J.Pharmacol.,2000,129,420−423)。よって、CGRPの血管作用はCGRPアンタゴニストにより減衰、防止または後退され得る。
【0003】
ラット中硬膜動脈のCGRP媒介血管拡張が尾部の三叉神経核のニューロンを感作することが判明した(Williaansonら,The CGRP Family:Calcitonin Gene−Related Peptide(CGRP),Amylin,and Adrenomedullin、Landes Bioscience,2000,245−247)。また、偏頭痛中の硬膜血管の膨張は三叉神経ニューロンを感作し得る。頭蓋外疼痛及び顔面異痛を含めた偏頭痛の関連症状の幾つかは感作された三叉神経ニューロンの結果であり得る(Bursteinら,Ann. Neurol.,2000,47,614−624)。CGRPアンタゴニストはニューロン感作の作用を減衰、防止または後退させるのに有効であり得る。
【0004】
本発明の化合物がCGRPアンタゴニストとして作用する能力により、該化合物はヒト及び動物、特にヒトにおけるCGRPが関与する障害に対する有用な薬物となる。前記障害には偏頭痛及び群発頭痛(Doods,Curr.Opin.Inves.Drugs,2001,2(9),1261−1268;Edvinssonら,Cephalalgia,1994,14,320−327);慢性緊張型頭痛(Ashinaら,Neurology,2000,14,1335−1340);疼痛(Yuら,Eur.J.Pharm.,1998,347,275−282);慢性疼痛(Hulseboschら,Pain,2000,86,163−175);神経性炎症及び炎症性疼痛(Holzer,Neurosci.,1988,24,739−768;Delay−Goyetら,Acta Physiol.Scanda.,1992,146,537−538;Salmonら,Nature Neurosci.,2001,4(4),357−358);眼痛(Mayら,Cephalalgia,2002,22,195−196)、歯痛(Awawdehら,Int.Endocrin.J.,2002,35,30−36)、インスリン非依存性糖尿病(Molinaら,Diabetes,1990,39,260−265);血管障害;炎症(Zhangら,Pain,2001,89,265)、関節炎、喘息(Fosterら,Ann.NY Acad.Sci.,1992,657,397−404;Schiniら,Am.J.Physiol.,1994,267,H2483−H2490;Zhengら,J.Virol.,1993,67,5786−5791);ショック、敗血性(Beerら,Crit.Care Med.,2002,30(8),1794−1799);アヘン剤禁断症候群(Salmonら,Nature Neurosci.,2001,4(4),357−358)、モルヒネ耐性(Menardら,J.Neurosci.,1996,16(7),2342−2351);男性及び女性ののぼせ(Chenら,Lancet,1993,342,49;Spetzら,J.Urology,2001,166,1720−1723);アレルギー性皮膚炎(Wallengren,Contact Dermatitis,2000,43(3),137−143);脳炎、脳外傷、虚血、卒中、てんかん及び神経変性疾患(Rohrenbeckら,Neurobiol.of Disease,1999,6,15−34);皮膚疾患(Geppetti and Holzer編.,Neurogenic Inflammation,1996,CRC Press,Boca Raton,FL)、神経性皮膚発赤、皮膚バラ疹及び紅斑が含まれる。偏頭痛及び群発頭痛を含めた頭痛の急性的または予防的治療が特に重要である。
【0005】
本発明は、CGRP受容体に対するリガンド、特にCGRP受容体に対するアンタゴニストとして有用である化合物、前記化合物の製造方法、前記化合物の治療における使用、前記化合物を含む医薬組成物及びこれらを用いる治療方法に関する。
【発明の開示】
【0006】
本発明は、CGRP受容体のアンタゴニストとして有用であり、CGRPが関与する疾患(例えば、頭痛、偏頭痛及び群発頭痛)の治療または予防において有用である式I:
【0007】
【化7】

(式中、変数R、R、D、W、X、Y及びZは本明細書中に定義されている通りである)を有する化合物に関する。本発明はまた、前記化合物を含む医薬組成物並びに前記した化合物及び組成物のCGRPが関与する疾患の予防または治療における使用に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、式I:
【0009】
【化8】

[式中、
Zは
【0010】
【化9】

から選択され;
Dは独立してN及びC(R)から選択され;
は独立して
1)非置換であるかまたは各々
a)C1−6アルキル、
b)C3−6シクロアルキル、
c)非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているアリール、
d)非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロアリール、
e)非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロ環、
f)(F)1−3アルキル、
g)ハロゲン、
h)OR
i)O(CHOR
j)CO
k)(CO)NR1011
l)O(CO)NR1011
m)N(R)(CO)NR1011
n)N(R10)(CO)R11
o)N(R10)(CO)OR11
p)SONR1011
q)N(R10)SO11
r)S(O)10
s)CN、
t)NR1011
u)N(R10)(CO)NR11、及び
v)O(CO)R
から独立して選択される1個以上の置換基で置換されているH、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−6シクロアルキル及びヘテロ環、並びに
2)非置換であるかまたは各々
a)C1−6アルキル、
b)C3−6シクロアルキル、
c)非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているアリール、
d)非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロアリール、
e)非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロ環、
f)(F)1−3アルキル、
g)ハロゲン、
h)OR
i)O(CHOR
j)CO
k)(CO)NR1011
l)O(CO)NR1011
m)N(R)(CO)NR1011
n)N(R10)(CO)R11
o)N(R10)(CO)OR11
p)SONR1011
q)N(R10)SO11
r)S(O)10
s)CN、
t)NR1011
u)N(R10)(CO)NR11、及び
v)O(CO)R
から独立して選択される1個以上の置換基で置換されているアリールまたはヘテロアリール
から選択され、場合により2つの独立したR及びこれらが結合している1個以上の原子は連結してC3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロ環及びヘテロアリールから選択される環を形成し;
は独立してH及び
1)C1−6アルキル、
2)C3−6シクロアルキル、
3)非置換であるかまたはRから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているアリール、
4)非置換であるかまたはRから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロアリール、
5)非置換であるかまたはRから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロ環、
6)(F)1−3アルキル、
7)ハロゲン、
8)OR
9)O(CHOR
10)CO
11)(CO)NR1011
12)O(CO)NR1011
13)N(R)(CO)NR1011
14)N(R10)(CO)R11
15)N(R10)(CO)OR11
16)SONR1011
17)N(R10)SO11
18)S(O)10
19)CN、
20)NR1011
21)N(R10)(CO)NR11、及び
22)O(CO)R
から選択され、場合により同一または隣接原子上の2個の独立したRは連結してシクロブチル、シクロペンテニル、シクロペンチル、シクロヘキセニル、シクロヘキシル、フェニル、ナフチル、チエニル、チアゾリル、チアゾリニル、オキサゾリル、オキサゾリニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピロリル、ピロリニル、モルホリニル、チオモルホリン、チオモルホリンS−オキシド、チオモルホリンS−ジオキシド、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジル、フラニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロピラニル及びピペラジニルから選択される環を形成し;

1)非置換であるかまたは
a)C1−6アルキル、
b)C3−6シクロアルキル、
c)非置換であるかまたはRから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているアリール、
d)非置換であるかまたはRから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロアリール、
e)非置換であるかまたはRから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロ環、
f)(F)1−3アルキル、
g)ハロゲン、
h)OR
i)O(CHOR
j)CO
k)(CO)NR1011
l)O(CO)NR1011
m)N(R)(CO)NR1011
n)N(R10)(CO)R11
o)N(R10)(CO)OR11
p)SONR1011
q)N(R10)SO11
r)S(O)10
s)CN、
t)NR1011
u)N(R10)(CO)NR11、及び
v)O(CO)R
から独立して選択される1個以上の置換基で置換されているH、C0−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−6シクロアルキル及びヘテロ環、並びに
2)非置換であるかまたは
a)C1−6アルキル、
b)C3−6シクロアルキル、
c)非置換であるかまたはRから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているアリール、
d)非置換であるかまたはRから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロアリール、
e)非置換であるかまたはRから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロ環、
f)(F)1−3アルキル、
g)ハロゲン、
h)OR
i)O(CHOR
j)CO
k)(CO)NR1011
l)O(CO)NR1011
m)N(R)(CO)NR1011
n)N(R10)(CO)R11
o)N(R10)(CO)OR11
p)SONR1011
q)N(R10)SO11
r)S(O)10
s)CN、
t)NR1011
u)N(R10)(CO)NR11、及び
v)O(CO)R
から独立して選択される1個以上の置換基で置換されているアリールまたはヘテロアリール
から選択され;
は独立して非置換であるかまたはハロゲン、ヒドロキシまたはC1−6アルコキシで置換されているH、C1−6アルキル、(F)1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びベンジルから選択され;
Mは−NH−または結合であり;
Kは−CH−または結合であり;
WはO、NRまたはC(Rであり;
XはCまたはSであり;
YはO、(R、NCN、NSOCHまたはNCONHであり、或いはXがSのときにはYはOであり;
は独立してH及び
a)C1−6アルキル、
b)C3−6シクロアルキル、
c)非置換であるかまたはRから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているアリール、
d)非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロアリール、
e)非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロ環、
f)(F)1−3アルキル、
g)ハロゲン、
h)OR
i)O(CHOR
j)CO
k)(CO)NR1011
l)O(CO)NR1011
m)N(R)(CO)NR1011
n)N(R10)(CO)R11
o)N(R10)(CO)OR11
p)SONR1011
q)N(R10)SO11
r)S(O)10
s)CN、
t)NR1011
u)N(R10)(CO)NR11、及び
v)O(CO)R
から選択され;
Jは結合、C(R、OまたはNRであり;
Vは結合、C(R、O、S(O)、NR、C(R−C(R、C(R)=C(R)、C(R−N(R)、C(R)=N、N(R)−C(R、N=C(R)及びN(R)−N(R)から選択され;
G−LはN、N−C(R、C=C(R)、C=N、C(R)、C(R)−C(R、C(R)−C(R−C(R、C=C(R)−C(R、C(R)−C(R)=C(R)、C(R)−C(R−N(R)、C=C(R)−N(R)、C(R)−C(R)=N、C(R)−N(R)−C(R、C=N−C(R、C(R)−N=C(R)、C(R)−N(R)−N(R)、C=N−N(R)、N−C(R−C(R、N−C(R)=C(R)、N−C(R−N(R)、N−C(R)=N、N−N(R)−C(R及びN−N=C(R)から選択され;
Qは独立して
(1)=C(R7a)−、
(2)−C(R7a−、
(3)−C(=O)−、
(4)−S(O)−、
(5)=N−、
(6)−N(R7a)−、及び
(7)結合
から選択され;
Tは独立して
(1)=C(R7b)−、
(2)−C(R7b−、
(3)−C(=O)−、
(4)−S(O)−、
(5)=N−、
(6)−N(R7b)−、及び
(7)結合
から選択され;
は独立してH、非置換または置換C1−3アルキル、F、CN及びCOから選択され;
7a及びR7bは各々独立してRから選択され、場合によりR7a、R7b及びこれらが結合している1個以上の原子は連結してC3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロ環及びヘテロアリールから選択される環を形成し、前記環は非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から10個の置換基で置換されており;
10及びR11は独立して非置換であるかまたはハロゲン、ヒドロキシまたはC1−6アルコキシで置換されているH、C1−6アルキル、(F)1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びベンジルから選択され、場合によりR10及びR11は連結してアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニルまたはモルホリニルから選択される環を形成し,前記環は非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されており;
pはq個の炭素原子を有する置換基について0から2q+1であり;
mは0、1または2であり;
sは1、2または3であり;
破線は二重結合の任意の存在を示す]
を有する化合物、並びにその医薬的に許容され得る塩及び個々のジアステレオマーを含むCGRPアンタゴニストに関する。
【0011】
本発明の別の実施態様は、式Ia:
【0012】
【化10】

(式中、R、R、W、X、Y及びZは式Iに記載されている通りであり、Dは独立してC(Rから選択される)
を有するCGRPアンタゴニストを含む。
【0013】
本発明の更なる実施態様は、式Ib:
【0014】
【化11】

[式中、
Dは独立してN及びC(R)から選択され;
は独立して
1)非置換であるかまたは各々
a)C1−6アルキル、
b)C3−6シクロアルキル、
c)非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているアリール、
d)非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロアリール、
e)非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロ環、
f)(F)1−3アルキル、
g)ハロゲン、
h)OR
i)O(CHOR
j)CO
k)(CO)NR1011
l)O(CO)NR1011
m)N(R)(CO)NR1011
n)N(R10)(CO)R11
o)N(R10)(CO)OR11
p)SONR1011
q)N(R10)SO11
r)S(O)10
s)CN、
t)NR1011
u)N(R10)(CO)NR11、及び
v)O(CO)R
から独立して選択される1個以上の置換基で置換されているH、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−6シクロアルキル及びヘテロ環、並びに
2)非置換であるかまたは各々
a)C1−6アルキル、
b)C3−6シクロアルキル、
c)非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているアリール、
d)非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロアリール、
e)非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロ環、
f)(F)1−3アルキル、
g)ハロゲン、
h)OR
i)O(CHOR
j)CO
k)(CO)NR1011
l)O(CO)NR1011
m)N(R)(CO)NR1011
n)N(R10)(CO)R11
o)N(R10)(CO)OR11
p)SONR1011
q)N(R10)SO11
r)S(O)10
s)CN、
t)NR1011
u)N(R10)(CO)NR11、及び
v)O(CO)R
から独立して選択される1個以上の置換基で置換されているアリールまたはヘテロアリール
から選択され、場合により2つの独立したR及びこれらが結合している原子は連結してC3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロ環及びヘテロアリールから選択される環を形成し;
は独立してH及び
1)C1−6アルキル、
2)C3−6シクロアルキル、
3)非置換であるかまたはRから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているアリール、
4)非置換であるかまたはRから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロアリール、
5)非置換であるかまたはRから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロ環、
6)(F)1−3アルキル、
7)ハロゲン、
8)OR
9)O(CHOR
10)CO
11)(CO)NR1011
12)O(CO)NR1011
13)N(R)(CO)NR1011
14)N(R10)(CO)R11
15)N(R10)(CO)OR11
16)SONR1011
17)N(R10)SO11
18)S(O)10
19)CN、
20)NR1011
21)N(R10)(CO)NR11、及び
22)O(CO)R
から選択され、場合により同一または隣接原子上の2個の独立したRは連結してシクロブチル、シクロペンテニル、シクロペンチル、シクロヘキセニル、シクロヘキシル、フェニル、ナフチル、チエニル、チアゾリル、チアゾリニル、オキサゾリル、オキサゾリニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピロリル、ピロリニル、モルホリニル、チオモルホリン、チオモルホリンS−オキシド、チオモルホリンS−ジオキシド、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジル、フラニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロピラニル及びピペラジニルから選択される環を形成し;

1)非置換であるかまたは
a)C1−6アルキル、
b)C3−6シクロアルキル、
c)非置換であるかまたはRから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているアリール、
d)非置換であるかまたはRから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロアリール、
e)非置換であるかまたはRから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロ環、
f)(F)1−3アルキル、
g)ハロゲン、
h)OR
i)O(CHOR
j)CO
k)(CO)NR1011
l)O(CO)NR1011
m)N(R)(CO)NR1011
n)N(R10)(CO)R11
o)N(R10)(CO)OR11
p)SONR1011
q)N(R10)SO11
r)S(O)10
s)CN、
t)NR1011
u)N(R10)(CO)NR11、及び
v)O(CO)R
から独立して選択される1個以上の置換基で置換されているアリールから選択され;
は独立して非置換であるかまたはハロゲン、ヒドロキシまたはC1−6アルコキシで置換されているH、C1−6アルキル、(F)1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びベンジルから選択され;
Qは独立して
(1)=C(R7a)−、
(2)−C(R7a−、
(3)−C(=O)−、
(4)−S(O)−、
(5)=N−、及び
(6)−N(R7a)−
から選択され;
Tは独立して
(1)=C(R7b)−、
(2)−C(R7b−、
(3)−C(=O)−、
(4)−S(O)−、
(5)=N−、及び
(6)−N(R7b)−
から選択され;
は独立してH、非置換または置換C1−3アルキル、F、CN及びCOから選択され;
7a及びR7bは各々独立してRから選択され、場合によりR7a、R7b及びこれらが結合している1個以上の原子は連結してC3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロ環及びヘテロアリールから選択される環を形成し、前記環は非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から10個の置換基で置換されており;
10及びR11は独立して非置換であるかまたはハロゲン、ヒドロキシまたはC1−6アルコキシで置換されているH、C1−6アルキル、(F)1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びベンジルから選択され、場合によりR10及びR11は連結してアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニルまたはモルホリニルから選択される環を形成し,前記環は非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されており;
pはq個の炭素原子を有する置換基について0から2q+1であり;
mは0、1または2であり;
sは1、2または3である]
を有する化合物、並びにその医薬的に許容され得る塩及び個々のジアステレオマーのCGRPアンタゴニストを含む。
【0015】
本発明の更なる実施態様は、式Ic:
【0016】
【化12】

[式中、
Dは独立してN及びC(R)から選択され;
は独立して
1)非置換であるかまたは各々
a)C1−6アルキル、
b)C3−6シクロアルキル、
c)非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているアリール、
d)非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロアリール、
e)非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロ環、
f)(F)1−3アルキル、
g)ハロゲン、
h)OR
i)O(CHOR
j)CO
k)(CO)NR1011
l)O(CO)NR1011
m)N(R)(CO)NR1011
n)N(R10)(CO)R11
o)N(R10)(CO)OR11
p)SONR1011
q)N(R10)SO11
r)S(O)10
s)CN、
t)NR1011
u)N(R10)(CO)NR11、及び
v)O(CO)R
から独立して選択される1個以上の置換基で置換されているH、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−6シクロアルキル及びヘテロ環、並びに
2)非置換であるかまたは各々
a)C1−6アルキル、
b)C3−6シクロアルキル、
c)非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているアリール、
d)非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロアリール、
e)非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロ環、
f)(F)1−3アルキル、
g)ハロゲン、
h)OR
i)O(CHOR
j)CO
k)(CO)NR1011
l)O(CO)NR1011
m)N(R)(CO)NR1011
n)N(R10)(CO)R11
o)N(R10)(CO)OR11
p)SONR1011
q)N(R10)SO11
r)S(O)10
s)CN、
t)NR1011
u)N(R10)(CO)NR11、及び
v)O(CO)R
から独立して選択される1個以上の置換基で置換されているアリールまたはヘテロアリール
から選択され、場合により2個の独立したR及びこれらが結合している1個以上の原子は連結してC3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロ環式及びヘテロアリールから選択される環を形成し;
は独立して非置換であるかまたはハロゲン、ヒドロキシまたはC1−6アルコキシで置換されているH、C1−6アルキル、(F)1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びベンジルから選択され;
Qは独立して
(1)=C(R7a)−、
(2)−C(R7a−、
(3)−C(=O)−、
(4)−S(O)−、
(5)=N−、及び
(6)−N(R7a)−、
から選択され;
Tは独立して
(1)=C(R7b)−、
(2)−C(R7b−、
(3)−C(=O)−、
(4)−S(O)−、
(5)=N−、及び
(6)−N(R7b)−、
から選択され;
7a及びR7bは各々独立してRから選択され、場合によりR7a、R7b及びこれらが結合している1個以上の原子は連結してC3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロ環及びヘテロアリールから選択される環を形成し、前記環は非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から10個の置換基で置換されており;
10及びR11は独立して非置換であるかまたはハロゲン、ヒドロキシまたはC1−6アルコキシで置換されているH、C1−6アルキル、(F)1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びベンジルから選択され、場合によりR10及びR11は連結してアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニルまたはモルホリニルから選択される環を形成し,前記環は非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されており;
pはq個の炭素原子を有する置換基について0から2q+1であり;
mは0、1または2であり;
sは1、2または3である]
を有する化合物、並びにその医薬的に許容され得る塩及び個々のジアステレオマーのCGRPアンタゴニストを含む。
【0017】
本発明の実施態様は、Jが結合、C(R、OまたはNRであり、Vが結合、C(R、O、S(O)、NR、C(R−C(R、C(R)=C(R)、C(R−N(R)、C(R)=N、N(R)−C(R、N=C(R)またはN(R)−N(R)であるものも含む。
【0018】
本発明の実施態様は、以下の構造:
【0019】
【化13】

が形成するようにJが結合であり、Vが結合であり、ZがZ1であるものも含む。
【0020】
本発明の実施態様は、以下の構造:
【0021】
【化14】

が形成するようにJが結合であり、Vが結合であり、ZがZ1であり、Tが−C(=O)−であるものも含む。
【0022】
本発明の実施態様は、以下の構造:
【0023】
【化15】

が形成するようにJが結合であり、ZがZ1であるものも含む。
【0024】
本発明の実施態様は、以下の構造:
【0025】
【化16】

が形成するようにVが結合であり、ZがZ1であるものも含む。
【0026】
本発明の実施態様は、以下の構造:
【0027】
【化17】

が形成するようにG−LがNであり、ZがZ2であるものも含む。
【0028】
本発明の実施態様は、以下の構造:
【0029】
【化18】

が形成するようにG−LがN−C(Rであり、ZがZ2であるものも含む。
【0030】
本発明の実施態様は、以下の構造:
【0031】
【化19】

が形成するようにG−LがC=C(R)であり、ZがZ2であるものも含む。
【0032】
本発明の実施態様は、以下の構造:
【0033】
【化20】

が形成するようにG−LがC=Nであり、ZがZ2であるものも含む。
【0034】
本発明の実施態様は、以下の構造:
【0035】
【化21】

が形成するようにG−LがN−C(R−C(Rであり、ZがZ2であるものも含む。
【0036】
本発明の実施態様は、以下の構造:
【0037】
【化22】

が形成するようにJが結合であり、Vが結合であり、ZがZ1であり、Qが−N(R7a)−であり、Tが−C(=O)−であるものも含む。
【0038】
本発明の実施態様は、以下の構造:
【0039】
【化23】

が形成するようにJが結合であり、Vが結合であり、ZがZ1であり、Qが−C(R7a−であり、Tが−C(=O)−であるものも含む。
【0040】
本発明の実施態様は、以下の構造:
【0041】
【化24】

が形成するようにJが結合であり、Vが結合であり、ZがZ1であり、Qが−N=であり、Tが=C(R7b)−であるものも含む。
【0042】
本発明の実施態様は、以下の構造:
【0043】
【化25】

が形成するようにJが結合であり、Vが結合であり、ZがZ1であり、Qが−C(R7a−であり、Tが−C(R7b−であるものも含む。
【0044】
本発明の実施態様は、以下の構造:
【0045】
【化26】

の1つが形成するようにJが結合であり、Vが結合であり、ZがZ1であり、Qが−C(R7a)=であり、Tが=C(R7b)−であり、R及びR7bが結合している原子が一緒に連結してベンゼン、ピリジンまたはジアジン環を形成しているものも含む。
【0046】
本発明の実施態様は、以下の構造:
【0047】
【化27】

の1つが形成するようにJが結合であり、VがC(Rであり、ZがZ1であり、Qが−C(R7a)=であり、Tが=C(R7b)−であり、R7a及びR7bが結合している原子が一緒に連結してベンゼンまたはピリジン環を形成しているものも含む。
【0048】
本発明の実施態様は、以下の構造:
【0049】
【化28】

の1つが形成するようにJがOであり、Vが結合であり、ZがZ1であり、Qが−C(R7a)=であり、Tが=C(R7b)−であり、R7a及びR7bが結合している原子が一緒に連結してベンゼンまたはピリジン環を形成しているものも含む。
【0050】
本発明の実施態様は、以下の構造:
【0051】
【化29】

が形成するようにG−LがNであり、ZがZ2であり、Qが−C(R7a−であり、Tが−C(R7b−であるものも含む。
【0052】
本発明の実施態様は、以下の構造:
【0053】
【化30】

が形成するようにG−LがNであり、ZがZ2であり、Qが−C(R7a)=であり、Tが=C(R7b)−であるものも含む。
【0054】
本発明の実施態様は、以下の構造:
【0055】
【化31】

が形成するようにG−LがNであり、ZがZ2であり、Qが−N=であり、Tが=C(R7b)−であるものも含む。
【0056】
本発明の実施態様は、以下の構造:
【0057】
【化32】

が形成するようにG−LがNであり、ZがZ2であり、Qが−C(R7a−であり、Tが−C(O)−であるものも含む。
【0058】
本発明の実施態様は、以下の構造:
【0059】
【化33】

が形成するようにG−LがC=C(R)であり、ZがZ2であり、Qが−C(R7a)=であり、Tが=C(R7b)−であるものも含む。
【0060】
本発明の実施態様は、以下の構造:
【0061】
【化34】

が形成するようにG−LがC=C(R)であり、ZがZ2であり、Qが−C(R7a)=であり、Tが=N−であるものも含む。
【0062】
本発明の実施態様は、以下の構造:
【0063】
【化35】

が形成するようにG−LがC=C(R)であり、ZがZ2であり、Qが−N=であり、Tが=C(R7b)−であるものも含む。
【0064】
本発明の実施態様は、以下の構造:
【0065】
【化36】

が形成するようにG−LがC=Nであり、ZがZ2であり、Qが−C(R7a)=であり、Tが=C(R7b)−であるものも含む。
【0066】
本発明の実施態様は、以下の構造:
【0067】
【化37】

の1つが形成するようにG−LがNであり、ZがZ2であり、Qが−C(R7a)=であり、Tが=C(R7b)−であり、R7a及びR7bが結合している原子が一緒に連結してベンゼン、ピリジンまたはジアジン環を形成しているものも含む。
【0068】
本発明の実施態様は、以下の構造:
【0069】
【化38】

の1つが形成するようにG−LがN−C(Rであり、ZがZ2であり、Qが−C(R7a)=であり、Tが=C(R7b)−であり、R7a及びR7bが結合している原子が一緒に連結してベンゼンまたはピリジン環を形成しているものも含む。
【0070】
本発明の実施態様は、以下の構造:
【0071】
【化39】

が形成するようにG−LがC=Nであり、ZがZ2であり、Qが−C(R7a)=であり、Tが=C(R7b)−であり、R7a及びR7bが結合している原子が一緒に連結してベンゼン環を形成しているものも含む。
【0072】
本発明の実施態様は、以下の構造:
【0073】
【化40】

が形成するようにG−LがC=C(R)であり、ZがZ2であり、Qが−C(R7a)=であり、Tが=C(R7b)−であり、R7a及びR7bが結合している原子が一緒に連結してベンゼン環を形成しているものも含む。
【0074】
本発明の実施態様は、以下の構造:
【0075】
【化41】

が形成するようにG−LがN−C(R−C(Rであり、ZがZ2であり、Qが−C(R7a)=であり、Tが=C(R7b)−であり、R7a及びR7bが結合している原子が一緒に連結してベンゼン環を形成しているものも含む。
【0076】
Mが結合であり、Kが結合であり、Jが結合であり、Vが結合であり、Qが−C(R7a)=であり、Tが=C(R7b)−であり、R7a及びR7bが結合している原子が一緒に連結してフェニルまたはピリジニル環を形成している実施態様では、以下の構造:
【0077】
【化42】

が形成する。
【0078】
Mが結合であり、KがCHであり、JがNR(ここで、Rは−CH及びHから選択される)であり、V及びQは各々結合であり、Tが=C(O)−である実施態様では、以下の構造:
【0079】
【化43】

が形成する。
【0080】
Mが結合であり、Kが結合であり、Jが結合であり、VがNR(ここで、RはHである)であり、Q及びTは各々結合である実施態様では、以下の構造:
【0081】
【化44】

が形成する。
【0082】
Mが−NH−であり、KがCHであり、JがNR(ここで、RはHである)であり、V及びQは各々結合であり、Tは=C(O)−である実施態様では、以下の構造:
【0083】
【化45】

が形成する。
【0084】
Mが−NH−であり、Kが結合であり、Jが結合であり、Vが結合であり、Tが−C(O)−であり、QがNR7a(ここで、R7aはHである)である実施態様では、以下の構造:
【0085】
【化46】

が形成する。
【0086】
1つ以上の上記構造またはサブ構造に同一の名称の置換基が複数示されている場合、前記変数のそれぞれは各々同様に呼称されている変数と同じでも異なっていてもよいと理解されたい。例えば、Rが式I中に4回示されており、式I中の各Rは独立してRで定義されているサブ構造のいずれかであり得る。本発明は、所与の構造に関して各Rが同一でなければならない構造及びサブ構造に限定されない。構造またはサブ構造中に変数が複数回現れている場合にも当てはまる。
【0087】
本発明化合物は1個以上の不斉中心を含み得、よってラセミ化合物及びラセミ混合物、単一エナンチオマー、ジアステレオマー混合物及び個々のジアステレオマーとして存在し得る。分子上の各種置換基の種類に応じて追加の不斉中心が存在することがある。各不斉中心により独立して2つの光学異性体が生じ、混合物の形態及び純粋もしくは部分的に精製された化合物としての考えられる光学異性体及びジアステレオマーのすべてが本発明の範囲に含まれると意図される。本発明はこれらの化合物の異性体すべてを包含すると考えられる。
【0088】
本明細書中に記載されている化合物の幾つかはオレフィン性二重結合を含み、別段の記載がない限りE及びZ幾何異性体の両方を含むことを意味する。
【0089】
ジアステレオマーの独立合成またはそのクロマトグラフ分離は当業界で公知のように本明細書中に開示されている方法を適当に修飾することにより達成され得る。絶対立体化学は結晶性生成物または所要により公知の絶対配置を有する不斉中心を含む試薬を用いて誘導体化される結晶性中間体のX線結晶学により調べられ得る。
【0090】
所望により、化合物のラセミ混合物は、個々のエナンチオマーが単離されるように分離され得る。この分離は当業界で公知の方法により実施され得、例えば化合物のラセミ混合物をエナンチオマー的に純粋な化合物にカップリングさせてジアステレオマー混合物を形成した後標準的方法(例えば、分別結晶化またはクロマトグラフィー)により個々のジアステレオマーに分離し得る。カップリング反応は多くの場合エナンチオマー的に純粋な酸または塩基を用いる塩の形成である。その後、ジアステレオマー誘導体は付加されたキラル残基を切断することにより純粋なエナンチオマーに変換され得る。また、化合物のラセミ混合物はキラル固定相を用いるクロマトグラフィー方法によっても直接分離され得、この方法は当業界で公知の方法である。
【0091】
或いは、化合物のエナンチオマーは、当業界で公知の方法により公知の立体配置を有する光学的に純粋な出発物質または試薬を用いる立体選択的合成により得られ得る。
【0092】
当業者には自明のように、R10及びR11置換基のいずれもが環構造を形成できるのではない。更に、環を形成し得るこれらの置換基は環構造を形成することもしないこともある。
【0093】
当業者には自明のように、本明細書中で使用されているハロまたはハロゲンはクロロ、フルオロ、ブロモ及びヨードを含むと意図される。
【0094】
本明細書中で使用されている「アルキル」は、二重結合も三重結合も持たない線状、分岐状及び環状構造を意味すると意図される。よって、C1−6アルキルは、該基が線状または分岐状配置で1から6個の炭素を有するものと同定するように定義されており、C1−6アルキルの具体例にはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル及びヘキシルが含まれる。「シクロアルキル」は、その一部及び全部が3個以上の原子を有する環を形成しているアルキルである。CまたはCアルキルは直接共有結合の存在を同定するように定義されている。
【0095】
用語「アルケニル」は、指定数の炭素原子を有し、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有しており、水素が追加の炭素−炭素二重結合により置換されていてもよい線状または分岐状構造及びその組合せを意味する。例えば、C2−6アルケニルにはエテニル、プロペニル、1−メチルエテニル、ブテニル等が含まれる。
【0096】
用語「アルキニル」は、指定数の炭素原子を有し、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する線状または分岐状構造及びその組合せを意味する。よって、C2−6アルキルニルは、該基が線状または分岐状配置で2から6個の炭素原子を有するものと同定するように定義されており、C2−6アルキルニルの具体例には2−ヘキシニル及び2−ペンチニルが含まれる。
【0097】
本明細書中で使用されている「アリール」は、各環中に最高7個の員を有し、少なくとも1つの環が芳香族である安定な単環式または二環式炭素環を意味すると意図される。前記アリールの例にはフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニルまたはビフェニルが含まれる。
【0098】
記載されている場合を除いて、本明細書中で使用されている用語「ヘテロ環」または「ヘテロ環式」は、飽和または不飽和であり、炭素原子及び1から4個のN、O及びSからなる群から選択されるヘテロ原子から構成される安定な5から7員単環式または安定な8から11員二環式ヘテロ環式環系を表し、前記した窒素及び硫黄ヘテロ原子は場合により酸化されていてもよく、前記した窒素ヘテロ原子は場合により4級化されていてもよい。この用語には上記したヘテロ環式環がベンゼン環に縮合している二環式基も含まれる。ヘテロ環式環が任意のヘテロ原子または炭素原子で結合して安定な構造を生じさせてもよい。ヘテロ環式基の例にはアゼチジン、クロマン、ジヒドロフラン、ジヒドロピラン、ジオキサン、ジオキソラン、ヘキサヒドロアゼピン、イミダゾリジン、イミダゾリジノン、イミダゾリン、イミダゾリノン、インドリン、イソクロマン、イソインドリン、イソチアゾリン、イソチアゾリジン、イソオキサゾリン、イソオキサゾリジン、モルホリン、モルホリノン、オキサゾリン、オキサゾリジン、オキサゾリジノン、オキセタン、2−オキソヘキサヒドロアゼピン、2−オキソピペラジン、2−オキソピペリジン、2−オキソピロリジン、ピペラジン、ピペリジン、ピラン、ピラゾリジン、ピラゾリン、ピロリジン、ピロリン、キヌクリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、チアモルホリン、チアゾリン、チアゾリジン、チオモルホリン及びそのN−オキシドが含まれるが、これらに限定されない。
【0099】
記載されている場合を除いて、本明細書中で使用されている用語「ヘテロアリール」は、ピペリジニルのように飽和、部分飽和、またはピリジニルのように不飽和であり得る芳香族環を含み、炭素原子及び1から4個のN、O及びSからなる群から選択されるヘテロ原子から構成される安定な5から7員単環式または安定な9から10員縮合二環式ヘテロ環式環系を表し、前記した窒素及び硫黄ヘテロ原子は場合により酸化されていてもよく、前記した窒素ヘテロ原子は場合により4級化されていてもよい。この用語には上記したヘテロ環式環がベンゼン環に縮合している二環式基も含まれる。ヘテロ環式環が任意のヘテロ原子または炭素原子で結合して安定な構造を生じさせてもよい。ヘテロアリール基の例にはベンゾイミダゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾフラン、ベンゾチアゾール、ベンゾチオフェン、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、カルボリン、シンノリン、フラン、フラザン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリジン、イソキノリン、イソチアゾール、イソオキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、キナゾリン、キノリン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアジン、トリアゾール及びそのN−オキシドが含まれるが、これらに限定されない。
【0100】
1−6アルコキシの場合のような用語「アルコキシ」は、直鎖状、分岐状及び環状構成で1から6個の炭素原子を有するアルコキシ基を含むと意図される。この例にはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、シクロプロピルオキシ、シクロヘキシルオキシ等が含まれる。
【0101】
フレーズ「医薬的に許容され得る」は、しっかりした医学的判断の範囲内で過度の毒性、刺激、アレルギー応答、または他の問題または合併症を呈することなくヒト及び動物の組織と接触させて使用するのに適しており、妥当な損益比で釣り合う化合物、物質、組成物及び/または剤形を指すために本明細書中で使用されている。
【0102】
本明細書中で使用されている「医薬的に許容され得る塩」は、親化合物がその酸または塩基塩を作成することにより修飾されている誘導体を指す。医薬的に許容され得る塩の例には塩基性残基(例えば、アミン)の無機または有機酸塩;酸性残基(例えば、カルボン酸)のアルカリまたは有機塩;等が含まれるが、これらに限定されない。医薬的に許容され得る塩には、例えば非毒性の無機または有機酸から形成される親化合物の慣用の非毒性の塩または第4級アンモニウム塩が含まれる。例えば、前記した慣用の非毒性塩には無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸等)から誘導される塩;及び有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸等)から誘導される塩が含まれる。
【0103】
ある場合に存在する特定の変数の数は、存在する炭素の数に関して定義されている。例えば、変数“p”は場合により「q個の炭素を有する置換基についてpは0から2q+1である」のように定義されている。置換基が“(F)l−3アルキル”の場合、これは1個の炭素があるときには2(1)+1=3のフッ素があることを意味する。2個の炭素があるときには2(2)+1=5のフッ素があり、3個の炭素があるときには2(3)+1=7のフッ素がある。
【0104】
用語「結合」及び「不在」は、特定の場合において本発明の特定実施態様において存在しない原子(または、化学部分)を指すべく本明細書中で互換可能に使用されている。前記実施態様において、“結合”または“不在”原子に隣接している原子は単に相互に結合している。例えば、変数“J”が結合として定義されている本明細書中に記載、特許請求されているある実施態様では、隣接−C(O)部分は直接ピペリジンの4位の炭素に直接結合している。特定の原子または部分、特に他の原子または部分に連結または結合するように働く原子または部分が存在しないことは、前記した他の原子または部分が連結していないことを暗示しない。
【0105】
本発明化合物が塩基性の場合、塩は無機及び有機酸を含めた医薬的に許容され得る非毒性酸から製造され得る。前記酸には酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸等が含まれる。本発明の1つの態様では、塩はクエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸、フマル酸及び酒石酸の塩である。本明細書中で使用する場合、式Iを有する化合物の言及は医薬的に許容され得る塩をも含むことを意味すると理解される。
【0106】
本発明の具体化は実施例及び本明細書中に開示されている化合物の使用である。本発明内の具体的化合物には下記実施例に開示されている化合物からなる群から選択される化合物、並びにその医薬的に許容され得る塩及びその個々のジアステレオマーが含まれる。
【0107】
本発明化合物は、有効量の当該化合物を投与することを含むCGRP受容体の拮抗を要する患者(例えば、哺乳動物)におけるCGRP受容体の拮抗方法において有用である。本発明は、本明細書中に開示されている化合物のCGRP受容体のアンタゴニストとしての使用に関する。霊長類、特にヒトに加えて、各種の他の哺乳動物が本発明の方法に従って治療され得る。
【0108】
本発明の別の実施態様は、患者に対して治療有効量のCGRP受容体のアンタゴニストである化合物を投与することを含む前記患者におけるCGRP受容体が関与する疾患または障害の治療、コントロール、回復またはそのリスクの軽減方法に関する。
【0109】
本発明は更に、本発明化合物を医薬用担体または希釈剤と組み合わせることを含むヒト及び動物におけるCGRP受容体活性の拮抗用薬剤の製造方法に関する。
【0110】
本発明の方法で治療される被験者は通常、CGRP受容体活性を拮抗したい哺乳動物、例えば男性または女性のヒトである。用語「治療有効量」は、研究者、獣医師、医師または他の臨床家が求めている組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を引き出す本発明化合物の量を意味する。本明細書中で使用されている用語「治療」は、挙げられている状態の特に前記疾患または障害の素因を有する患者における治療及び予防及び予防的治療の両方を指す。
【0111】
本明細書中で使用される用語「組成物」は、特定量の特定成分を含む製品及び特定量の特定成分の組合せから直接または間接的に生ずる製品を包含すると意図される。医薬組成物に関連してこの用語は、活性成分及び担体を構成する不活性成分を含む製品;及び2つ以上の成分の組合せ、複合体化または集合から、1つ以上の成分の解離から、または1つ以上の成分の他のタイプの反応または相互作用から直接または間接的に生ずる製品を包含すると意図される。従って、本発明の医薬組成物は本発明化合物を医薬的に許容され得る担体と混合することにより作成される組成物を包含する。「医薬的に許容され得る」とは、担体、希釈剤または賦形剤が製剤の他の成分と相容性でなければならず、そのレシピエントにとって有害であってはならないことを意味する。
【0112】
用語「化合物の投与」または「化合物を投与する」は、本発明化合物または本発明化合物のプロドラッグを治療を要する個人に対して与えることを意味すると理解されるべきである。
【0113】
本発明化合物のCGRP受容体活性のアンタゴニストとしての有用性は当業界で公知の方法により立証され得る。1251−CGRPの受容体への結合の抑制及びCGRP受容体の機能性拮抗を以下のように調べた。
【0114】
未変性受容体結合アッセイ
125I−CGRPのSK−N−MC細胞膜中の受容体に対する結合は本質的にEdvinsson et al.(2001),Eur,J.Pharmacol.,415,39−44に記載されているように実施した。簡単に説明すると、膜(25μg)を、10pM 125I−CGRP及びアンタゴニストを含有する結合緩衝液[10mM HEPES,pH7.4、5mM MgCl及び0.2% ウシ血清アルブミン(BSA)](1ml)中でインキュベートした。室温で3時間インキュベートした後、予め0.5% ポリエチレンイミンで3時間ブロックしたGFBガラス繊維フィルタープレート(Millipore)を介して濾過することによりアッセイを停止した。フィルターを氷冷アッセイ緩衝液で3回洗浄した後、プレートを風乾した。シンチレーション流体(50μl)を添加し、放射能をTopcount(Packard Instrument)を用いてカウントした。データ分析はPrismを用いて実施し、Kはチェン−プルソフ式(Cheng & Prusoff(1973),Biochem.Pharmacol.,22,3099−3108)を用いて測定した。
【0115】
未変性受容体機能アッセイ
SK−N−MC細胞を、10% ウシ胎児血清、2mM L−グルタミン、0.1mM 非必須アミノ酸、1mM ピルビン酸ナトリウム、100単位/ml ペニシリン及び100μg/m1 ストレプトマイシンを補充した最小必須培地(MEM)において37℃、湿度95%及び5% COで増殖させた。cAMPアッセイのために、細胞を96ウェルのポリ−Dリシン被覆したプレート(Becton−Dickinson)において5×10細胞/ウェルで平板培養し、アッセイ前から18時間培養した。細胞をリン酸緩衝食塩液(PBS,Sigma)で洗浄した後、無血清MEM中で300μM イソブチルメチルキサンチンと37℃で30分間プレインキュベートした。アンダニストを添加し、細胞を10分間インキュベートした後、CGRPを添加した。インキュベーションを更に15分間継続した後、細胞をPBSで洗浄し、製造業者の推奨プロトコルに従ってcAMPを測定するためにプロセシングした。基準に対する最大刺激は、100nM CGRPを用いて規定した。Prismを用いて用量応答曲線を作成した。用量比(DR)を計算し、使用して、フル・シルド・プロットを構築した(Arunlakshana & Schild(1959),Br.J.Pharmacol.,14,48−58)。
【0116】
組換え受容体
ヒトCRLR(Genbank受託番号L76380)を5’NheI及び3’PmeI断片として発現ベクターpIREShyg2(BD Biosciences Clontech)にサブクローン化した。ヒトRAMP1(Genbank受託番号AJ001014)を5’NheI及び3’NotI断片として発現ベクターpIRESpuro2(BD Biosciences Clontech)にサブクローン化した。293細胞(ヒト胚腎臓細胞;ATCC #CRL−1573)を、10% ウシ胎児血清(FBS)、100単位/mL ペニシリン及び100ug/ml ストレプマイシンを補充し4.5g/L グルコース、1mM ピルビン酸ナトリウム及び2mM グルタミンを含むDMEMにおいて培養し、37℃及び湿度95%に維持した。HBSS中で0.25% トリプシン及び0.1% EDTAで処理することにより細胞を継代培養した。75cm フラスコにおいて10ugのDNAに30ug リポフェクタミン2000(Invitrogen)をコトランスフェクトすることにより安定な細胞株を作成した。CRLR及びRAMP1発現構築物を等量ずつコトランスフェクトした。トランスフェクションから24時間後、細胞を希釈し、翌日選択培地(増殖培地+300ug/ml ハイグロマイシン及び1ug/ml プロマイシン)を添加した。FACS Vantage SE(Becton Dickinson)を用いる1回細胞沈着によりクローン細胞株を作成した。細胞増殖のために増殖培地を150ug/ml ハイグロマイシン及び0.5ug/ml プロマイシンに調節した。
【0117】
組換え受容体結合アッセイ
組換えヒトCRLR/RAMP1を発現する細胞をPBSで洗浄し、50mM HEPES、1mM EDTA及び完全プロテアーゼ阻害剤(Roche)を含有する収集緩衝液中で収集した。細胞懸濁液を実験室ホモジナイザーを用いて破壊し、48,000×gで遠心して、膜を単離した。ペレットを収集緩衝液+250mM スクロース中に再懸濁させ、−70℃で保存した。結合アッセイのために、10ugの膜を10pM 125I−hCGRO(Amersham Biosciences)及びアンタゴニストを含有する結合緩衝液(10mM HEPES,pH7.4、5mM MgCl及び0.2% BSA)(1ml)中、室温で3時間インキュベートした。予め0.05% ポリエチレンイミンでブロックした96ウェルのGFBガラス繊維フィルタープレート(Millipore)を介して濾過することによりアッセイを停止した。フィルターを氷冷アッセイ緩衝液(10mM HEPES,pH7.4)で3回洗浄した。シンチレーション流体を添加し、プレートをTopcount(Packard)を用いてカウントした。非特異的結合を測定し、データ分析は以下の式に対して結合CPMデータをフィッティングさせる非線形最小二乗法を用いることにより求めた見かけ解離定数(K)を用いて実施した。
【0118】
【数1】

上記式中、Yは観察された結合CPMであり、Ymaxは総結合カウントであり、Yminは非特異的結合カウントであり、(Ymax−Ymin)は特異的結合カウントであり、%Imaxは最大抑制%であり、%Iminは最小抑制%であり、放射標識はプローブであり、KはHot飽和実験により求めた受容体に対する放射リガンドについての見かけ解離定数である。
【0119】
組換え受容体機能アッセイ
細胞を96ウェルのポリ−D−リシン被覆したプレート(Corning)を用いて完全増殖培地において85,000細胞/ウェルで平板培養し、アッセイ前から19時間培養した。細胞をPBSで洗浄した後、L−グルタミン及び1g/L BSAを含むCellgro完全無血清/低タンパク質培地(Mediatech,Inc.)において37℃及び湿度95%で阻害剤と一緒にインキュベートした。細胞にイソブチル−メチルキサンチンを300μMの濃度で添加し、37℃で30分間インキュベートした。細胞にヒトα−CGRPを0.3nMの濃度で添加し、37℃で5分間インキュベートした。α−CGRP刺激後、細胞をPBSで洗浄し、製造業者の推奨プロトコル(cAMP SPA直接スクリーニングアッセイシステム;RPA 559;Amersham Biosciences)に従って2段階アッセイ手順を用いるcAMP測定のためにプロセシングした。用量応答曲線をプロットし、IC50値を式
y=((a−d)/(1+(x/c))+d
(ここで、y=応答、x=用量、a=最大応答、d=最小応答、c=変曲点、b=勾配)
により規定される4パラメーターロジスティックフィットから求めた。
【0120】
特に、下記実施例の化合物は上記アッセイにおいてCGRP受容体のアンタゴニストとしての活性を有しており、通常KまたはIC50値は約50μM未満であった。この結果は、CGRP受容体のアンタゴニストとしての使用における化合物の固有活性を示している。
【0121】
本発明化合物のCGRPアンタゴニストとして作用する能力により、本発明化合物はヒト及び動物、特にヒトにおいてCGRPが関与する障害に対する有用薬物となる。
【0122】
本発明化合物は、1つ以上の以下の状態または疾患、すなわち頭痛;偏頭痛;群発頭痛;慢性緊張型頭痛;疼痛;慢性疼痛;神経性炎症及び炎症性疼痛;神経障害性疼痛;眼痛;歯痛;糖尿病;インスリン非依存性糖尿病;血管疾患;炎症;関節炎;炎症;気道過敏症、喘息;ショック;敗血症;アヘン剤禁断症候群;モルヒネ耐性;男性及び女性ののぼせ;アレルギー性皮膚炎;乾せん;脳炎;脳外傷;てんかん;神経変性疾患;皮膚疾患;神経性皮膚発赤、皮膚バラ疹及び紅斑;炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、膀胱炎;及びCGRP受容体の拮抗により治療または予防され得る他の状態の治療、予防、回復、コントロールまたはそのリスクの軽減において使用される。偏頭痛及び群発頭痛を含めた頭痛の急性的または予防的治療が特に重要である。
【0123】
更に、本発明化合物は本明細書中に挙げられている疾患、障害及び状態の予防、治療、コントロール、回復またはそのリスクの軽減方法において有用である。
【0124】
更に、本発明化合物は他の薬物との併用で上記した疾患、障害及び状態の予防、治療、コントロール、回復またはそのリスクの軽減方法において有用である。
【0125】
本発明化合物は、式Iを有する化合物または他の薬物が使用され得る疾患または状態の治療、予防、コントロール、回復またはそのリスクの軽減において1つ以上の他の薬物と組み合わせて使用され得、薬物の組合せはいずれかの薬物単独の場合に比してより安全であるかまたはより有効である。前記した他の薬物は通常使用されているルート及び量で式Iを有する化合物と同時または順次投与され得る。式Iを有する化合物を1つ以上の他の薬物と同時に使用する場合、他の薬物及び式Iを有する化合物を含有する単位剤形の医薬組成物が好ましい。しかしながら、併用治療には式Iを有する化合物及び1つ以上の他の薬物を異なる重複スケジーュールで投与する治療も含まれ得る。また、1つ以上の他の活性成分と組み合わせて使用するときには本発明化合物及び他の活性成分は各成分を単独で使用する場合よりも低い用量で使用され得ると考えられる。従って、本発明の医薬組成物には式Iを有する化合物に加えて1つ以上の他の活性成分を含むものが含まれる。
【0126】
例えば、本発明化合物は抗偏頭痛剤、例えばエルゴタミン及びジヒドロエルゴタミン、または他のセロトニンアゴニスト、特に5−HT1B/1Dアゴニスト(例:スマトリプタン、ナラトリプタン、ゾルミトリプタン、エレトリプタン、アルモトリプタン、フロバトリプタン、ドニトリプタン及びリザトリプタン)、5−HT1Dアゴニスト(例:PNU−142633)及び5−HT1Fアゴニスト(例:LY334370);シクロオキシゲナーゼ阻害剤、例えば選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤(例:ロフェコキシブ、エトリコキシブ、セレコキシブ、バルデコキシブまたはパラコキシブ);非ステロイド系抗炎症剤またはサイトカイン抑制性抗炎症剤(例:イブプロフェン、ケトプロフェン、フェノプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン、スリンダク、メロキシカム、ピロキシカム、テノキシカム、ロルノキシカム、ケトロラック、エトドラック、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、トルフェナミン酸、ジクロフェナック、オキサプロジン、アパゾン、ニメスリド、ナブメトン、テニダプ、エタネルセプト、トルメチン、フェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、ジフルニサル、サルサレート、オルサラジンまたはスルファサラジン等);またはグルココルチコイドと一緒に使用され得る。また、本発明化合物は鎮痛剤、例えばアスピリン、アセトアミノフェン、フェナセチン、フェンタニル、スルフェンタニル、メタドン、アセチルメタドール、ブプレノルフィンまたはモルヒネと一緒に投与され得る。
【0127】
更に、本発明化合物はインターロイキン阻害剤、例えばインターロイキン−1阻害剤;NK−1受容体アンタゴニスト、例えばアプレピタント;NMDAアンタゴニスト;NR2Bアンタゴニスト;ブラジキニン−1受容体アンタゴニスト;アデノシンA1受容体アゴニスト;ナトリウムチャネルブロッカー、例えばラモトリジン;アヘン剤アゴニスト、例えば酢酸レボメタジルまたは酢酸メタジル;リポキシゲナーゼ阻害剤、例えば5−リポキシゲナーゼの阻害剤;アルファ受容体アンタゴニスト、例えばインドラミン;アルファ受容体アゴニスト;バニロイド受容体アンタゴニスト;レニン阻害剤;グランザイムB阻害剤;サブスタンスPアンタゴニスト;エンドセリンアンタゴニスト;ノルエピネフリン前駆体;抗不安剤、例えばジアゼパム、アルプラゾラム、クロロジアゼポキシド及びクロロアゼペート;セロトニン5HT受容体アンタゴニスト;オピオイドアゴニスト、例えばコデイン、ヒドロコドン、トラマドール、デキストロプロポキシフェン及びフェブタニル;mGluR5アゴニスト、アンタゴニストまたは増強剤;GABA A受容体モジュレーター、例えばアカムプロセートカルシウム;ニコチンを含めたニコチンアンタゴニストまたはアゴニスト;ムスカリン様アゴニストまたはアンタゴニスト;選択的セロトニン再取り込み阻害剤、例えばフルオキセチン、パロキセチン、セルトラリン、デュロキセチン、エスシタロプラムまたはシタロプラム;抗うつ剤、例えばアミトリプチリン、ノルトリプチリン、クロミプラミン、イミプラミン、ベンラファキシン、ドキセピン、プロトリプチリン、デシプラミン、トリミプラミンまたはイミプラミン;ロイコトリエンアンタゴニスト、例えばモンテルカストまたはザフィルルカスト;一酸化窒素抑制剤または一酸化窒素合成抑制剤と一緒に使用され得る。
【0128】
また、本発明化合物はギャップ結合阻害剤;ニューロンカルシウムチャネルブロッカー、例えばシバミド;AMPA/KAアンタゴニスト、例えばLY29355;シグマ受容体アゴニスト;及びビタミンB2と一緒に使用され得る。
【0129】
また、本発明化合物はエルゴタミン及びジヒドロエルゴタミン以外のエルゴットアルカロイド、例えばエルゴノビン、エルゴノビン、メチルエルゴノビン、メテルゴリン、メシル酸エルゴロイド、ジヒドロエルゴコルニン、ジヒドロエルゴクリスチン、ジヒドロエルゴクリプチン、ジヒドロ−α−エルゴクリプチン、ジヒドロ−β−エルゴクリプチン、エルゴトキシン、エルゴコルニン、エルゴクリスチン、エルゴクリプチン、α−エルゴクリプチン、β−エルゴクリプチン、エルゴシン、エルゴスタン、ブロモクリプチンまたはメチルセルギドと一緒に使用され得る。
【0130】
更に、本発明化合物はβ−アドレナリン作動性アンタゴニスト、例えばチモロール、プロパノロール、アテノロール、メトプロロールまたはナドロール等;MAC阻害剤、例えばフェネルジン;カルシウムチャネルブロッカー、例えばフルナリジン、ジルチアゼム、アムロジピン、フェロジピン、ニソリピン、イスラジピン、ニモジピン、ロメリジン、ベラパミル、ニフェジピンまたはプロクロロペラジン;神経遮断剤、例えばオランザピン、ドロペリドール、プロクロロペラジン、クロロプロマジン及びクエチアピン;抗けいれん剤、例えばトピラメート、ゾニサミド、トナベルサト、カラベルサト、レベチラセタム、ラモトリジン、チアガビン、ガバペンチン、プレガバリンまたはジバルプロエクスナトリウム;降圧剤、例えばアンギオテンシンIIアンタゴニスト(例:ロサルタン、イルベサルチン、バルサルタン、エプロサルタン、テルミサルタン、オルメサルタン、メドキソミル、カンデサルタン及びカンデサルタン・シレキチル)、アンギオテンシンIアンタゴニスト、アンギオテンシン変換酵素阻害剤(例:リシノプリル、エナラプリル、カプトプリル、ベナゼプリル、キナプリル、ペリンドプリル、ラミプリル及びトランドラプリル);或いはA型またはB型ボツリヌス毒素と一緒に使用され得る。
【0131】
本発明化合物は増強剤、例えばカフェイン、H2−アンタゴニスト、シメチコン、水酸化アルミニウムまたはマグネシウム;うっ血除去剤、例えばオキシメタゾリン、エピネフリン、ナファゾリン、キシロメタゾリン、プロフィルヘキセドリンまたはレボデスオキシエフェドリン;抗組織剤、例えばカラミフェン、カルベタペンタンまたはデキストロメトルファン;利尿剤;プロカイネティック剤、例えばメトクロプラミドまたはドムペリドン;鎮静性または非鎮静性抗ヒスタミン剤、例えばアクリバスチン、アザタジン、ブロモジフェニルヒドラミン、ブロモフェニラミン、カルビノキサミン、クロロフェニラミン、クレマスチン、デキスブロモフェニラミン、デキスクロロフェニラミン、ジフェニルヒドラミン、ドキシラミン、ロラタジン、フェニンダミン、フェニラミン、フェニルトロキサミン、プロメサジン、ピリラミン、テルフェナジン、トリプロリジン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミンまたはシュウドエフェドリンと一緒に使用され得る。本発明化合物を制吐剤と一緒に使用してもよい。
【0132】
特に好ましい実施態様では、本発明化合物は抗偏頭痛剤、例えばエルゴタミンまたはジヒドロエルゴタミン;5−HTアゴニスト、特に5−HT1B/1Dアゴニスト(具体的には、スマトリプタン、ナラトリプタン、ゾルミトリプタン、エレトリプタン、アルモトリプタン、フロバトリプタン、ドニトリプタン、アビトリプタン及びリザトリプタン)及び他のセロトニンアゴニスト;及びシクロオキシゲナーゼ阻害剤、例えば選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤(具体的には、ロフェコキシブ、エトリコキシブ、セレコキシブ、バルデコキシブまたはパラコキシブ)と一緒に使用される。
【0133】
上記した組合せは、本発明化合物と1つの他の活性化合物との組合せ及び本発明化合物と2つ以上の活性化合物との組合せが含まれる。同様に、本発明化合物は、本発明化合物が有用である疾患または状態の予防、治療、コントロール、回復またはそのリスクの軽減に使用される他の薬物と一緒に使用され得る。この他の薬物は通常使用されているルート及び量で、本発明化合物と同時または順次投与され得る。本発明化合物を1つ以上の他の薬物と同時に使用する場合、本発明化合物に加えて前記した他の薬物を含有する医薬組成物が好ましい。従って、本発明の医薬組成物には本発明化合物に加えて1つ以上の他の活性成分をも含有するものが含まれる。
【0134】
本発明化合物:他の活性成分の重量比は変更可能であり、各成分の有効量に依存する。通常、各成分の有効量が使用される。よって、例えば本発明化合物を他の物質と組み合わせるとき、本発明化合物:他の物質の重量比は通常約1000:1から約1:1000または約200:1から約1:200の範囲である。本発明化合物と他の活性成分の組合せも通常上記範囲内であるが、いずれの場合も各活性成分の有効量を使用すべきである。
【0135】
上記組合せにおいて、本発明化合物と他の活性物質を別々に投与しても、一緒に投与してもよい。また、1つの成分を他の物質の投与前、投与と同時または投与後に同一または異なる投与ルートを介して投与してもよい。
【0136】
本発明化合物は経口により、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、槽内注射または注入、皮下注射またはインプラント)により、吸入スプレー、経鼻、経膣、直腸内、舌下または局所投与ルートにより投与され得、単独でまたは組み合わせて各投与ルートに適した慣用の非毒性で医薬的に許容され得る担体、佐剤及びビヒクルを含む適当な投与単位製剤に製剤化され得る。温血動物の治療に加えて、本発明化合物はヒトに使用するのに効果的である。
【0137】
本発明化合物を投与するための医薬組成物は有利には投与単位形態で提供され得、製薬業界で公知の方法により製造され得る。いずれの方法も活性成分を1つ以上の補助成分からなる担体と混合するステップを含む。通常、医薬組成物は活性成分を液体担体及び/または微細な固体担体と均一及び均密に混合した後、所要により生成物を所望の製剤に成形することにより製造される。医薬組成物には病気の経過または状態に対して所望の効果を与えるのに十分な量の活性化合物が含まれている。本明細書中で使用されている用語「組成物」は特定量の特定成分を含む製品及び特定量の特定成分の組合せから直接または間接的に生ずる製品が含まれると意図される。
【0138】
活性成分を含有する医薬組成物は錠剤、トローチ剤、口内錠、水性または油性懸濁液剤、分散性散剤または顆粒剤、エマルション剤、溶液剤、硬または軟カプセル剤、シロップ剤またはエリキシル剤のような経口用に適した形態をとり得る。経口用に意図されている組成物は医薬組成物を製造するために当業界で公知の方法に従って製造され得、医薬的に上品で口に合う製剤を提供するために前記組成物に甘味剤、着香剤、着色剤及び保存剤からなる群から選択される1つ以上の物質を配合してもよい。錠剤は活性成分を錠剤の製造に適している非毒性の医薬的に許容され得る賦形剤と混合して含有している。前記賦形剤の例は、不活性希釈剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム;顆粒化/崩壊剤、例えばトウモロコシデンプンまたはアルギン酸;結合剤、例えばデンプン、ゼラチンまたはアカシア;及び滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクであり得る。錠剤にコーティングが被せられていなくても、胃腸管での崩壊及び吸収を遅らせて長時間にわたり作用を持続させるために公知の技術を用いてコーティングを被せてもよい。例えば、徐放性材料(例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリル)が使用され得る。米国特許4,256,108、4,166,452及び4,265,874に記載されている技術によりコーティングして、制御放出用浸透圧性治療錠剤を形成してもよい。即時放出用に経口錠剤、例えばファーストメルトタブレットまたはウェファー、即効性タブレットまたはファーストディゾルブフィルムも製剤化され得る。
【0139】
経口用製剤は、活性成分が不活性固体希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリン)と混合されている硬ゼラチンカプセル剤;または活性成分が水または油性媒体(例えば、落花生油、流動パラフィンまたはオリーブ油)と混合されている軟ゼラチンカプセル剤としても提供され得る。
【0140】
水性懸濁液剤は、活性物質を水性懸濁液を製造するのに適した賦形剤と混合して含有している。前記賦形剤は、懸濁剤(例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム及びアカシアガム)である。分散または湿潤剤は天然に存在するリン脂質(例えば、レシチン)、またはアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンステアレート)、エチレンオキシドと長鎖脂肪アルコールとの縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)、エチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート)、またはエチレンオキシドと脂肪酸及び無水ヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合生成物(例えば、ポリエチレンソルビタンモノオレエート)であり得る。水性懸濁液剤は1つ以上の保存剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸エチルまたはn−プロピル)、1つ以上の着色剤、1つ以上の着香剤及び1つ以上の甘味剤(例えば、スクロースまたはサッカリン)をも含有し得る。
【0141】
油性懸濁液剤は、活性成分を植物油(例えば、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油またはヤシ油)または鉱油(例えば、流動パラフィン)中に懸濁させることにより製剤化され得る。この油性懸濁液剤は増粘剤(例えば、蜜ろう、固形パラフィンまたはセチルアルコール)も含有し得る。上品な経口製剤を提供するために上記したような甘味剤及び着香剤を配合してもよい。抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸)を添加することにより上記組成物を保存することができる。
【0142】
水を添加することにより水性懸濁液を調製するのに適した分散性散剤及び顆粒剤は、分散/湿潤剤、懸濁剤及び1つ以上の保存剤と混合して活性成分を含む。適当な分散/湿潤剤及び懸濁剤の例は既に上記されている。追加の賦形剤、例えば甘味剤、着香剤及び着色剤を存在させてもよい。
【0143】
本発明の医薬組成物は水中油型エマルション剤の形態もとり得る。油相は植物油(例えば、オリーブ油またはラッカセイ油)及び/または鉱油(例えば、流動パラフィン)であり得る。適当な乳化剤は天然に存在するガム(例えば、アカシアガムまたはトラガカントガム)、天然に存在するリン脂質(例えば、大豆レシチン)、脂肪酸及び無水ヘキシトールから誘導されるエステルまたは部分エステル(例えば、ソルビタンモノオレエート)、及び前記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)であり得る。エマルション剤は甘味剤及び着香剤をも含み得る。
【0144】
シロップ剤及びエリキシル剤は甘味剤(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールまたはスクロース)を用いて製剤化され得る。前記製剤は粘滑剤、保存剤、着香剤及び着色剤をも含み得る。
【0145】
医薬組成物は滅菌注射用水性または油性懸濁液の形態をとり得る。この懸濁液は、上に挙げた適当な分散/湿潤剤及び懸濁剤を用いて公知の方法に従って製剤化され得る。滅菌注射剤は滅菌注射用の非毒性の非経口的に許容され得る希釈剤または溶媒中の溶液または懸濁液(例えば、1,3−ブタンジオール溶液)でもあり得る。許容され得るビヒクル及び溶媒として水、リンガー液及び等張性塩化ナトリウム溶液が使用され得る。加えて、滅菌の固定油が通常溶媒または懸濁媒体として使用されている。この目的で、合成モノ−またはジグリセリドを含めた無刺激性固定油が使用され得る。加えて、注射剤の製造に脂肪酸(例えば、オレイン酸)が使用される。
【0146】
本発明化合物は薬物を直腸内投与するための座剤の形態でも投与され得る。前記組成物は、常温では固体であるが直腸温で液体であり、よって直腸で溶融して薬物を放出する適当な非刺激性賦形剤と薬物を混合することにより製造され得る。前記物質はカカオ脂及びポリエチレングリコールである。
【0147】
局所用に、本発明化合物を含有するクリーム剤、軟膏剤、ゼリー剤、溶液剤または懸濁液剤等が使用される。局所適用のために、経皮パッチも使用され得る。
【0148】
本発明の医薬組成物及び方法は更に、上記した病的状態の治療に通常使用されている本明細書中に記載されている他の治療上活性化合物を含み得る。
【0149】
CGRP受容体活性の拮抗を要する状態の治療、予防、コントロール、回復またはそのリスクの軽減において、適切な用量レベルは通常約0.01から500mg/患者の体重kg/日であり、これを1回でまたは複数回で投与し得る。適当な用量レベルは約0.01から250mg/kg/日、約0.05から100mg/kg/日または約0.1から50mg/kg/日であり得る。この範囲内での用量は0.05から0.5、0.5から5または5から50mg/kg/日であり得る。経口投与のためには、治療しようとする患者に対する用量を症状に合わせて調節するために組成物を1.0から1000mgの活性成分、特に1.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、75.0、100.0、150.0、200.0、250.0、300.0、400.0、500.0、600.0、750.0、800.0、900.0及び1000.0mgの活性成分を含有する錠剤の形態で提供され得る。化合物は1日1から4回、好ましくは1日1から2回のレジメンで投与され得る。
【0150】
頭痛、偏頭痛、群発頭痛、或いは本発明化合物が適応される他の疾患を治療、予防、コントロール、回復またはそのリスクの軽減させる際、本発明化合物を約0.1mgから約100mg/動物の体重kgの1日用量で投与したときに通常満足な結果が得られ、この用量を1日1回用量として、1日2から6回の分割用量で、または持続放出形態で投与する。大型の哺乳動物に対する1日総用量は約1.0mgから約1000mgまたは約1mgから約50mgである。70kgの成人の場合の1日総用量は通常約7から約350mgである。この投与レジメンは最適の治療効果が得られるように調節され得る。
【0151】
しかしながら、特定患者に対する具体的用量レベル及び投与頻度は変更可能であり、使用する具体的化合物の活性、該化合物の代謝安定性及び作用時間、年齢、体重、全身健康状態、性別、食事、投与モード、投与時間、排泄率、薬物の組合せ、具体的状態の重症度及び治療を受ける宿主を含めた各種要因に依存する。
【0152】
本発明化合物を製造するための幾つかの方法を以下のスキーム及び実施例において説明する。出発物質は当業界で公知であるかまたは本明細書中に説明する手順に従って製造される。
【0153】
本発明化合物は、容易に入手し得る出発物質、試薬及び一般的な手順を用いて以下のスキーム及び具体的実施例またはその改変に従って容易に製造され得る。これらの反応において、当業者に公知であるが詳細に記載されていない別のものを用いることもできる。本発明において請求されている化合物の一般的製造方法は以下のスキームから当業者には容易に理解され、認識され得る。中間体及び最終化合物の合成はスキーム1から10に記載されているように実施され得る。
【0154】
反応スキーム
最終化合物の製造は式I及び式Vを有する中間体のような中間体を介して進行し、各中間体の合成は本明細書中に記載されている。
【0155】
【化47】

【0156】
通常、式I及びVを有する中間体はスキーム1に示すように尿素連結によりカップリングされ得る。生じたアミンは、の脱保護後反応性カルバメート(例えば、p−ニトロフェニルカルバメート)に変換され得、その後中間体のアミンのようなアミンと反応させると尿素が生じる。のような化合物を製造するために当業者に公知の他の活性化中間体を使用することができる。例えば、生じた第1級アミンは、の脱保護後適当なカルバモイルクロリドを用いて直接アシル化され得る。
式Iを有する中間体は、R.Freidingerら,EP 0523846A2(1993);M.G.Bockら,J.Med.Chem.,1988,31(1),176−181;M.G.Bockら,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1994,2(9),987−998;A.Showellら,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1995,5(24),3023−3026;J.B.Hester Jr.ら,J.Med.Chem.,1980,23,643−647;M.Gereckeら,US 4,346,031(1982);A.Waslerら,US 4,280,957(1981);及びここに引用されている文献に記載されている方法に従って製造され得る。
【0157】
【化48】

【0158】
中間体式Vで表される化合物の合成は、Henningら,J.Med.Chem.,1987,30,814−819;Carpinoら,WO 96/35713;Brownら,J.Chem.Soc.,1957,682−686;Barlinら,Aust.J.Chem.,1982,35(11),2299−2306;及びここに引用されている文献に記載されている手順と同様の手順により実施され得る。
【0159】
更に、中間体式Vで表される化合物の合成はスキーム2から10に従って実施され得る。例えば、ジアミノヘテロ環(例えば、2,3−ジアミノピリジン)をのようなケトンを用いて還元アルキル化すると、モノアルキル化生成物が生じ得る(スキーム2)。カルボニルジイミダゾールを用いて閉環すると、イミダゾロンが生ずる。標準条件下で最終脱保護すると、中間体が得られる。
【0160】
【化49】

【0161】
トリアゾリノンはスキーム3に従って製造され得る。例えば、4−ピペリジノンをカルバゼートを用いて還元アミノ化し、ヒドラゾン10を還元した後モノアルキル化生成物11が生じ得る。脱保護するとヒドラジン12が生じ、13のようなベンゾチオイルカルバメートを用いて縮合/閉環すると、トリアゾリノン14が生ずる。標準条件下で最終脱保護すると、生成物15が得られる。
【0162】
【化50】

【0163】
中間体21は、スキーム4に示し、Takaiら,Chem.Pharm.Bull.,1985,33,1116−1128に記載されている一般的方法に従って製造され得る。
【0164】
【化51】

【0165】
類似の合成方法がスキーム5に示す式29を有する関連ベンゾジアゼピノンを構築するために使用され得る。出発アルコール22は市販されているか、または当業者に公知の手順に従って製造される。アルコール22は標準条件を用いてハライドに変換され得、例えばトリフェニルホスフィン及び臭素を用いると臭化物23が製造され得る。ハライドをアジド求核試薬を用いて置換し、アジド24を標準条件下で還元すると第1級アミン25が生ずる。このアミンを適当に保護した4−ピペリジノンを用いて還元アルキル化すると、化合物26が得られ得る。ニトロ基の還元は各種条件を用いて容易に実施され、その後カルボニルジイミダゾールを用いて環化すると環状尿素28が生ずる。その後脱保護すると、アミン29が遊離する。
【0166】
【化52】

【0167】
キノロン34は、2−クロロキノリン及びリチウムジイソプロピルアミドから誘導したアニオンをピペリドン31と反応させることにより製造され得る(スキーム6)。水性塩酸を用いて第3級アルコールの脱離及びクロロキノリンの加水分解を同時に生じさせる。ピペリジンN−ベンジル保護基を接触水素化により除去すると、前のステップで形成されたオレフィンが還元され、アミン34が生ずる。
【0168】
【化53】

【0169】
7−アザインドール(35)は、スキーム7に示す(トリメチルシリル)エトキシメチル基のような各種保護基で保護され得る。36をMarfat and Carter(Tetrahedron Lett.,1987,28,4027−4030)の方法に従ってピリジン臭化水素酸塩ペルブロミドで処理すると、ジブロモアザオキシインドール37が生ずる。これを亜鉛との反応により還元すると、対応のアザオキシインドール38が生ずる。38の1,2−ビス(ブロモメチル)−4−安息香酸メチル(39)を用いる主要アルキ化はDMF中で炭酸セシウムを用いて実施され、スピロアザオキシインドール40が生ずる。このアルキル化反応には各種の他の塩基及び溶媒が使用され得、ここに示すジブロミドに代えて別のアルキル化剤を用いると別の生成物が生ずる。標準条件下でSEM保護基を除去した後、ケン化すると、酸中間体42が生ずる。スキーム7に示す手法は38のようなアザオキシインドールに限定されず、対応のスピロ化合物を得るために各種の適当に保護したヘテロ環系にも適用され得る。
【0170】
【化54】

【0171】
アザオキシインドール38のシス−1,4−ジクロロ−2−ブテンを用いるアルキル化はDMF中で炭酸セシウムを用いて実施され、スピロアザオキシインドール43が生ずる(スキーム8)。SEM保護基を標準条件下で除去した後、四酸化オスミウム触媒とするジヒドロキシル化にかけると、ジオール中間体45が生ずる。ジオールを過ヨウ化物酸化開裂した後、二重還元アミノ化(Org.Lett.,2000,26,4205−4208)にかけると、スピロピペリジン46が生ずる。スキーム8に示す手法は38のようなアザオキシインドールに限定されず、対応のスピロ化合物を得るために各種の適当に保護したヘテロ環系にも適用され得る。
【0172】
【化55】

【0173】
関連スピロピリドベンゾオキサジノンの合成はスキーム9に従って実施され得る。2−アミノ−6−クロロピリジン7はナトリウムヘキサメチルジシラジド及びジ炭酸ジ−tert−ブチルの作用でそのBoc誘導体として保護され得る。Davies(Tetrahedron Lett.,2004,45,1721−1724)の条件下でオルトメタル化し、生じたアニオンをN−ベンジルオキシカルボニル−4−ピペリジノンに付加し、その場で環化した後、生成物50が得られる。最終脱保護し、標準水素化分解条件下で脱塩素化すると、中間体51が生ずる。
【0174】
【化56】

【0175】
スキーム10において、4−ケトピペリジン49とのウィッティヒ反応によりα,β−不飽和エステル52が生ずる。生じた生成物は塩基性条件下でβ,γ−不飽和エステル53に異性体化され得る(Tetrahedron Lett.,2004,4401−4404)。2−アミノ−3−ブロモピリジンを用いてトリメチルアルミニウム媒介アミド化し、次いで2−(トリメチルシリル)エトキシメチルクロリドを用いてアミドアルキル化すると、生成物55が生ずる。主要パラジウム媒介スピロ環化はHeck反応のFu修飾(J.Amer.Chem.Soc.,2001,6989−7000)により影響され得る。2段階脱保護と標準条件下での二重結合還元を同時にすると、所望のスピロナフチリジノン57が得られる。
【0176】
【化57】

【0177】
興味ある他の中間体を得るために、これらのルートに異なる保護基の使用、十分に確立されている手法の適用、並びに上記スキームに記載されているものとは異なる出発物質及び試薬の使用を含めた単純な改変を加えてもよい。
【0178】
場合により、最終生成物は、例えば置換基を操作することにより更に修飾され得る。これらの操作には、いずれにも当業者に公知の還元、酸化、アルキル化、アシル化及び加水分解反応が含まれるが、これらに限定されない。
【0179】
場合により、上記反応スキームを実施する順序は反応を促進するため、または望ましくない反応生成物を避けるために変更してもよい。以下の実施例は本発明がより十分に理解されるように提示されている。これらの実施例は例示にすぎず、本発明を限定するものと決して解釈してはならない。
【実施例】
【0180】
中間体及び実施例
本発明がより十分に理解されるように下記実施例を提供する。これらの実施例は例示にすぎず、本発明を限定するものと決して解釈されるべきでない。
【0181】
中間体1
【0182】
【化58】

【0183】
2−オキソ−1−(4−ピペリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン二塩酸塩
ステップA2−アミノ−3−[(1−tert−ブトキシカルボニルピペリジン−4−イル)アミノ]ピリジン
2,3−ジアミノピリジン(5.00g,45.8ミリモル)及びN−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ピペリドン(9.58g,48.1ミリモル)をジクロロエタン(75mL)中に含む溶液に室温でトリアセトキシホウ水素化ナトリウム(14.5g,68.7ミリモル)を添加した。5時間後、追加のトリアセトキシホウ水素化ナトリウム(1.8g)を添加し、更に2.5時間後に再び添加した。反応物を一晩撹拌し、5% 水性水酸化ナトリウムでクエンチした。これをジクロロメタンで抽出し、5% 水性水酸化ナトリウム、水及び飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶液を濾過し、蒸発させると、粗な生成物が生じた。これをクロマトグラフィー(シリカゲル,3→5% メタノール/ジクロロメタンの勾配溶離)により精製して、標記化合物(4.44g)を得た。MS:m/z=293(M+1)。H NMR(500MHz、CDOD)δ 7.32(dd,J=5,1Hz,1H),6.85(dd,J=8,1Hz,1H),6.59(dd,J=8,5Hz,1H),4.04(d,J=13Hz,2H),3.46(m,1H),2.98(br s,2H),2.01(dd,J=12,2Hz,2H),1.46(s,9H),1.37(qd,J=12,4Hz,2H)。
【0184】
ステップB2−オキソ−1−(1−tert−ブトキシカルボニルピペリジン−4−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
2−アミノ−3−[(1−tert−ブトキシカルボニルピペリジン−4−イル)アミノ]ピリジン(1.15g,3.93ミリモル)をアセトニトリル(150mL)中に含む溶液に室温でカルボニルジイミダゾール(0.70g,4.33ミリモル)を添加した。数時間後、追加量(0.81g)のカルボニルジイミダゾールを添加し、反応物を一晩撹拌した。アセトニトリルを真空下で蒸発させ、残渣を水とクロロホルムに分配し、有機相を飽和ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。粗な生成物をクロマトグラフィー(シリカゲル,1.2→2.5% メタノール/ジクロロメタンの勾配溶離)により精製して、標記化合物(1.09g)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)δ 9.39(br s,1H),8.04(dd,J=5,1Hz,1H),7.33(dd,J=8,1Hz,1H),6.99(dd,J=8,5Hz,1H),4.50(m,1H),4.32(br s,2H),2.86(br s,2H),2.20(m,2H),1.86(d,J=12Hz,2H),1.50(s,9H)。
【0185】
ステップC2−オキソ−1−(4−ピペリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン二塩酸塩
2−オキソ−1−(1−tert−ブトキシカルボニルピペリジン−4−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン(1.03g,3.23ミリモル)をメタノール(25mL)中に溶解し、2N 塩酸をエーテル(8mL)中に含む溶液を室温で添加した。2時間後、揮発物を真空下で除去して、標記化合物(0.92g)を得た。MS:m/z=219(M+1)。H NMR(500MHz,CDOD)δ 8.01(dd,J=6,1Hz,1H),7.83(d,J=8Hz,1H),7.28(dd,J=8,6Hz,1H),4.60(m,1H),3.59(d,J=12Hz,2H),3.21(t,J=12Hz,2H),2.70(dq,J=13,4Hz,2H),2.12(d,J=13Hz,2H)。
【0186】
中間体2
【0187】
【化59】

【0188】
4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニルクロリド
2−オキソ−1−ピペリジニウム−4−イル−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−4−イウムジクロリド(100mg,0.343ミリモル)及び2,6−ルチジン(0.50mL,4.293ミリモル)をジクロロメタン(5mL)中に含む懸濁液に0℃でホスゲン(トルエン中20重量%,1.8mL,3.43ミリモル)を添加した。2時間後、溶液を飽和水性炭酸水素ナトリウムに添加し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水(2×)、飽和ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。ジクロロメタン(10mL)を添加し、混合物を濾過して、標記化合物を固体(48mg)として得た。MS:m/z=281(M+1)。H NMR(500MHz,(CDSO)δ 11.58(s,1H),7.90(d,J=5.1Hz,1H),7.67(d,J=7.6Hz,1H),7.01−6.99(m,1H),4.52−4.46(m,1H),4.31−4.23(m,2H),3.38−3.33(m,1H),3.19−3.14(m,1H),2.32−2.24(m,2H),1.84−1.81(m,2H)。
【0189】
中間体3
【0190】
【化60】

【0191】
7−ピペリジン−4−イル−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン塩酸塩
ステップA4−アミノ−5−[(1−tert−ブトキシカルボニルピペリジン−4−イル)アミノ]ピリミジン
4,5−ジアミノピリミジン(1.0g,9.1ミリモル)、N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ピペリドン(3.0g,15ミリモル)及びトリアセトキシホウ水素化ナトリウム(1.2g,5.6ミリモル)をジクロロエタン(60mL)中に含む混合物を室温で3日間撹拌した。反応物をクロロホルム(200mL)と3N 水酸化ナトリウム(30mL)に分配した。硫酸マグネシウムで乾燥した後、有機相を濃縮して、標記化合物を黄褐色ガムとして得た。MS:m/z=294(M+1)。
【0192】
ステップB7−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン
ステップAからの粗な生成物の4−アミノ−5−[(1−tert−ブトキシカルボニルピペリジン−4−イル)アミノ)ピリミジンをテトラヒドロフラン(250mL)中でカルボニルジイミダゾール(3.0g,18ミリモル)と2日間還流し、冷却し、濃縮した。粗な生成物を酢酸エチル(25から50mL)中に溶解し、4つの生成物で標記化合物を白色結晶性固体(1.3g)として得た。MS:m/z=320(M+1)。
【0193】
ステップC7−ピペリジン−4−イル−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン塩酸塩
7−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン(1.2g,3.7ミリモル)をジオキサン中4N 塩酸(50mL)中に含む混合物を室温で激しく3時間撹拌した。反応物を真空下で濃縮して、標記化合物を白色固体として得た。MS:m/z=220(M+1)。
【0194】
中間体4
【0195】
【化61】

【0196】
4−フルオロ−2−オキソ−1−(4−ピペリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
ステップAN−(5−フルオロピリジン−2−イル)−2,2−ジメチルプロパンアミド
2−アミノ−5−フルオロピリジン(1.00g,8.92ミリモル)及びトリエチルアミン(1.35g,13.4ミリモル)をジクロロメタン(30mL)中に含む0℃溶液にトリメチルアセチルクロリド(1.29g,10.7ミリモル)及びDMAP(0.11g,0.89ミリモル)を添加した。溶液を室温まで加温した。4時間後、飽和水性NaHCOを添加し、層を分離し、水性相をDCMで逆洗浄した。合わせた有機物を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(5%→40% EtOAc/ヘキサン)により精製して、標記化合物(1.34g)を得た。MS:m/z=197.3(M+1)。
【0197】
ステップBN−(3−アジド−5−フルオロピリジン−2−イル)−2,2−ジメチルプロパンアミド
N−(5−フルオロピリジン−2−イル)−2,2−ジメチルプロパンアミド(1.34g,6.83ミリモル)をテトラヒドロフラン(25mL)中に含む−78℃溶液にtert−ブチルリチウム(1.31mLの1.7M 溶液,20.5ミリモル)を1滴ずつ添加した。−78℃で3時間後、4−ドデシルベンゼンスルホニルアジド(3.60g,10.2ミリモル)を添加した。この時点で反応物は室温まで加温した。1時間後、飽和水性NHClを添加し、テトラヒドロフランを回転蒸発器により除去した。ジクロロメタンを添加し、層を分離し、水性相をDCMで逆洗浄した。合わせた有機物を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、残渣を2回の連続シリカゲルクロマトグラフィー(10%→80% EtOAc/ヘキサン、次いで5%→42% EtOAc/ヘキサン)により精製して、標記化合物(0.275g)を得た。MS:m/z=234.0(M+1)。
【0198】
ステップC3−アジド−5−フルオロピリジン−2−アミン
3N HCl(5mL)中N−(3−アジド−5−フルオロピリジン−2−イル)−2,2−ジメチルプロパンアミド(275mg,1.16ミリモル)を100℃に加熱した。2時間後、揮発物を真空下で除去して、標記化合物をそのHCl塩(180mg)として得た。MS:m/z=154.2(M+1)。
【0199】
ステップD5−フルオロピリジン−2,3−ジアミン
3−アジド−5−フルオロピリジン−2−アミンのHCl塩(1.90g,10.0ミリモル)をテトラヒドロフラン(100mL)中に溶解し、MP−Carbonate(Argonaut,11.5g)で処理した。1時間後、混合物を濾過し、更にテトラヒドロフランで濯ぎ、濃縮した。この残渣をエタノール(50mL)中に溶解し、アルゴンをパージし、10% パラジウム/炭素(0.15g)を添加した。水素(1気圧)を導入し、反応物を完了まで撹拌した。触媒を濾別し、溶媒を濾液から蒸発させて、標記化合物(1.18g)を得た。MS:m/z=128.0(M+1)。
【0200】
ステップE4−[(2−アミノ−5−フルオロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
5−フルオロピリジン−2,3−ジアミン(1.18g,9.28ミリモル)、酢酸(0.56g,9.28ミリモル)及び1−(t−ブトキシカルボニル)−4−ピペリドン(1.85g,9.28ミリモル)を1,2−ジクロロエタン(20mL)中に含む溶液に室温でトリアセトキシホウ水素化ナトリウム(2.95g,13.9ミリモル)を添加した。1時間後、反応物を水(20mL)でクエンチし、ジクロロメタンで抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶液を濾過し、蒸発すると、粗な生成物が生じた。これをクロマトグラフィー(シリカゲル,5%→15% MeOH/DCM、次いでC−18,95% 水/アセトニトリル→5% 水/アセトニトリル+0.1% トリフルオロ酢酸)により精製して、標記化合物(0.73g)を得た。MS:m/z=311.2(M+1)。
【0201】
ステップF4−(6−フルオロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
4−[(2−アミノ−5−フルオロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(0.73g,2.35ミリモル)をアセトニトリル(10mL)中に含む溶液に室温でカルボニルジイミダゾール(1.53g,9.41ミリモル)を添加した。すべての出発物質が消費されるまで(約2時間)反応物を撹拌した後、溶媒を真空下で蒸発させた。残渣を水で希釈し、ジクロロメタン(3×)で抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮した。粗な生成物をクロマトグラフィー(シリカゲル,1%→10% メタノール/ジクロロメタンの勾配溶離)により精製して、標記化合物(0.309g)を得た。MS:m/z=337.2(M+1)。
【0202】
ステップG4−フルオロ−2−オキソ−1−(4−ピペリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
4−(6−フルオロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(340mg,1.01ミリモル)をジクロロメタン(5mL)中に溶解し、トリフルオロ酢酸(5mL)を添加した。2時間後、反応物を濃縮し、ジクロロメタン(5mL)で希釈し、1N 塩酸を1,4−ジオキサン(2mL)中に含む溶液を室温で添加した。濃縮して、標記化合物(302mg)を得た。MS:m/z=237.2(M+1)。H NMR(500MHz,CDOD)δ 7.92(br s,1H),7.70(dd,1H),4.60(m,1H),3.60(s,2H),3.25(dd,2H),2.70(m,2H),2.10(d,2H)。
【0203】
中間体5
【0204】
【化62】

【0205】
3−(4−ピペリジニル)−3,4−ジヒドロキナゾリン−2(1H)−オン塩酸塩
標記化合物はH.Takaiら,Chem.Pharm.Bulletin,1985,33(3)1116−1128に記載されている手順に従って製造した。H NMR(500MHz,DMSO−d)δ 9.31(s,1H),8.79(br s,1H),8.58(br s,1H),7.13(t,J=8Hz,2H),6.88(t,J=8Hz,1H),6.77(d,J=8Hz,1H),4.37(tt,J=12,4Hz,1H),4.29(s,2H),3.00(q,J=11Hz,2H),2.06(dq,J=4,12Hz,2H),1.73(d,J=12Hz,2H)。
【0206】
中間体6
【0207】
【化63】

【0208】
5−フェニル−1−ピペリジン−4−イル−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾル−3−オン塩酸塩
ステップA4−[(t−ブトキシカルボニル)ヒドラゾノ]ピペリジン−1−カルボン酸9H−フルオレン−9−イルメチル
1−[(9H−フルオレン−9−イル)メチルオキシカルボニル]−4−ピペリドン(16.0g,50.0ミリモル)及びtert−ブチルカルバゼート(7.25g,55.5ミリモル)をエタノール(250mL)中に含む溶液を1時間還流した。溶液を冷却し、濃縮した。エーテル(100mL)を添加して、標記化合物を白色沈澱(21.0g)として得た。H NMR(500MHz,CDCl)δ 7.77(d,J=7Hz,2H),7.57(d,J=7Hz,2H),7.40(t,J=7Hz,2H),7.32(t,J=7Hz,2H),4.50(br s,2H),4.24(t,J=6Hz,1H),3.4−3.7(br m,4H),2.47(br s,2H),2.2−2.1(br m,2H),1.56(s,9H)。
【0209】
ステップB4−[(t−ブトキシカルボニル)ヒドラジノ]ピペリジン−1−カルボン酸9H−フルオレン−9−イルメチル
4−[(t−ブトキシカルボニル)ヒドラゾノ]ピペリジン−1−カルボン酸9H−フルオレン−9−イルメチル(10.0g,22.9ミリモル)を酢酸(150mL)中に含む溶液をパール装置において45psiの水素下酸化白金(1.0g)と2時間振とうした。溶液を濾過し、濃縮して、標記化合物を得た。
【0210】
ステップC4−ヒドラジノピペリジン−1−カルボン酸9H−フルオレン−9−イルメチル
4−[(tert−ブトキシカルボニル)ヒドラジノ]ピペリジン−1−カルボン酸9H−フルオレン−9−イルメチル(20g,45.7ミリモル)の溶液をトリフルオロ酢酸(100mL)中に溶解し、室温で1.5時間撹拌した。反応物を濃縮し、残渣をメタノール中に溶解し、逆相HPLCにより精製した。純粋なフラクションを単離し、合わせて、標記化合物のトリフルオロ酢酸塩(3.01g)を得た。H NMR(500MHz,DMSO−d)δ 7.89(d,J=8Hz,2H),7.61(d,J=8Hz,2H),7.40(t,J=8Hz,2H),7.32(t,J=8Hz,2H),4.33(d,J=6Hz,2H),4.25(t,J=6Hz,1H),4.0−3.5(br s,6H),3.05(br s,1H),2.80(br s,2H),1.89(br s,2H),1.2(br s,2H)。
【0211】
ステップD4−(5−オキソ−3−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾロ−1−イル)ピペリジン−1−カルボン酸9H−フルオレン−9−イルメチル
4−ヒドラジノピペリジン−1−カルボン酸9H−フルオレン−9−イルメチルトリフルオロ酢酸塩(2.95g,6.54ミリモル)の溶液をジイソプロピルエチルアミン(1.25mL,7.1ミリモル)を含むテトラヒドロフラン(30mL)中で(E.P.Papadopoulus,J.Org.Chem.,1976,41(6)962−965の手順により製造した)N−ベンゾチオイルカルバミン酸エチル(1.50g,7.1ミリモル)と2時間還流した。反応物を冷却し、濃縮した後、アセトニトリル中に加熱しながら溶解した。冷却すると白色固体が結晶化して、標記化合物(2.06g)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)δ 7.80(d,J=7Hz,2H),7.77(d,J=7Hz,2H),7.61(d,J=7Hz,2H),7.48(m,3H),7.40(t,J=7Hz,2H),7.33(t,J=7Hz,2H),4.46(d,J=6Hz,2H),4.36(m,2H),4.27(t,J=6Hz,1.H),4.26(br s,1H),3.02(br s,2H),2.04(br s,2H),1.94(br m,2H)。
【0212】
ステップE5−フェニル−1−ピペリジン−4−イル−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾル−3−オン塩酸塩
4−(5−オキソ−3−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾロ−1−イル)ピペリジン−1−カルボン酸9H−フルオレン−9−イルメチル(2.06g,4.41ミリモル)及びジエチルアミン(15mL)をテトラヒドロフラン(15mL)中に含む溶液を室温で2時間撹拌した。反応物を濃縮し、粗な生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル,0→10%{5% 水酸化アンモニウム/メタノール}/ジクロロメタンの勾配溶離)により精製して、標記化合物を白色固体(0.95g)として得た。H NMR(500MHz,CDCl)δ 7.84(d,J=7Hz,2H),7.47(m,3H),4.30(m,1H),3.25(d,J=13Hz,2H),2.79(t,J=13Hz,2H),2.04(d,J=4,12Hz,2H),1.93(br d,J=10Hz,2H)。
【0213】
中間体7
【0214】
【化64】

【0215】
3−(4−ピペリジニル)−1,3,4,5−テトラヒドロ−2H−1,3−ベンゾジアザピン−2−オン塩酸塩
ステップA2−(2−ブロモエチル)ニトロベンゼン
2−(2−ヒドロキシエチル)−ニトロベンゼン(25.0g,0.150モル)をジクロロメタン(400mL)中に含む溶液に0℃でトリフェニルホスフイン(39.2g,0.150モル)及び四臭化炭素(49.5g,0.150モル)を順次添加した。反応物を一晩撹拌し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液でクエンチした。ジクロロメタン相を飽和ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。粗な生成物を酢酸エチルで処理し、沈澱したトリフェニルホスフィンオキシドを濾過により除去した。更に、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル,0→10% 酢酸エチル/ヘキサンの勾配溶離)により精製して、標記化合物(27.9g)を得た。
【0216】
ステップB2−(2−アジドエチル)ニトロベンゼン
2−(2−ブロモエチル)ニトロベンゼン(27.9g,0.121ミリモル)をアセトニトリル(120mL)中に含む溶液に水(60mL)中アジ化ナトリウム(22.8,0.351モル)を添加した。反応物を4時間還流し、冷却し、ジクロロメタンと水に分配した。有機相を飽和ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。標記化合物を油状物(22.8g)として得た。
【0217】
ステップC2−(2−アミノエチル)ニトロベンゼン
2−(2−アジドエチル)ニトロベンゼン(22.8g,0.118モル)をベンゼン(500mL)中に含む溶液にトリフェニルホスフィン(31.1g,0.118モル)及び炭酸カルシウム(50mg,0.5ミリモル)を添加した。反応物を完了まで室温で撹拌した。溶媒を真空下で除去し、残渣を酢酸(100mL)及び48% 臭化水素(100mL)を用いて100℃で1時間処理した。反応物を冷却し、濃縮した。水を添加し、溶液をジクロロメタンで抽出した。5% 水性水酸化ナトリウム溶液を添加することにより水性層を塩基性とした後、酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。標記化合物を油状物(8.0g)として得た。MS:m/z=167(M+1)。
【0218】
ステップD4−{[2−(2−ニトロフェニル)エチル]アミノ}ピペリジン−1−カルボン酸t−ブチル
2−(2−アミノエチル)ニトロベンゼン(8.00g,48.1ミリモル)及び1−t−ブトキシカルボニル−4−ピペリジノン(9.59g,48.1ミリモル)をメタノール(100mL)中に含む溶液に酢酸を添加することによりpH5とした。シアノホウ水素化ナトリウム(4.53g,72.2ミリモル)を添加し、反応物を3時間撹拌した。メタノールを真空下で除去し、残渣を酢酸エチルと飽和炭酸水素ナトリウム溶液に分配した。有機相を飽和ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。標記化合物を油状物(19.27g)として得た。MS:m/z=350(M+1)。
【0219】
ステップE4−{[2−(2−アミノフェニル)エチル]アミノ}ピペリジン−1−カルボン酸t−ブチル
4−{[2−(2−ニトロフェニル)エチル]アミノ}ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル及び10% パラジウム/炭素(1.9g)を1気圧の水素下エタノール(250mL)中で一晩撹拌した。触媒を溶液から濾別し、溶媒を真空下で除去して、標記化合物(17.2g)を得た。MS:m/z=320(M+1)。
【0220】
ステップF3−(1−t−ブトキシカルボニル−4−ピペリジニル)−1,3,4,5−テトラヒドロ−2H−1,3−ベンゾジアザピン−2−オン
4−{[2−(2−アミノフェニル)エチル]アミノ}ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(17.2g,53.8ミリモル)をジメチルホルムアミド(200mL)中に含む溶液にカルボニルジイミダゾール(8.73g,53.8ミリモル)を添加し、室温で2時間撹拌した。反応物を酢酸エチルで希釈し、水及び飽和ブラインで順次抽出した。粗な生成物をクロマトグラフィー(シリカゲル,0→30% 酢酸エチル/ジクロロメタンの勾配溶離)により精製した。標記化合物を暗色固体(4.8g)として得た。
【0221】
ステップG3−(4−ピペリジニル)−1,3,4,5−テトラヒドロ−2H−1,3−ベンゾジアザピン−2−オン塩酸塩
3−(1−t−ブトキシカルボニル−4−ピペリジニル)−1,3,4,5−テトラヒドロ−2H−1,3−ベンゾジアザピン−2−オン(4.80g,13.9ミリモル)を酢酸エチル(300mL)中に含む溶液に0℃で塩化水素ガスを飽和した。反応物を室温まで加温し、一晩撹拌した。固体を濾過し、酢酸エチルで洗浄した。酢酸エチル濾液を濃縮して、第2生成物を得た。標記化合物を固体(2.94g)として得た。MS:m/z=246(M+1)。H NMR(500MHz,CDOD)δ 7.10(m,2H),6.94(d,J=8Hz,1H),6.91(t,J=8Hz,1H),4.35(tt,J=10,1Hz,1H),3.52(m,4H),3.12(t,J=12Hz,2H),3.05(m,2H),2.07(qd,J=12,4Hz,2H),1.99(m,2H)。
【0222】
中間体8
【0223】
【化65】

【0224】
3−(4−ピペリジニル)キノリン−2(1H)−オン
ステップA3−(1−ベンジル−4−ヒドロキシピペリジン−4−イル)−2−クロロキノリン
ジイソプロピルアミン(8.6mL,61.1ミリモル)をテトラヒドロフラン(140mL)中に含む溶液にアルゴン下−78℃でn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.6M,38.2mL,61.1ミリモル)を添加した。1時間後、2−クロロキノリン(10.00g,61.1モル)をテトラヒドロフラン(30mL)中に含む溶液にシリンジを介して添加した。1時間後に、1−ベンジル−4−ピペリジノン(11.3mL,61.1ミリモル)の溶液を添加し、反応物を−78℃で更に40分間撹拌した後、室温まで加温した。反応物を−20℃に冷却し、水でクエンチした。反応溶液を酢酸エチルで抽出し、有機相を飽和ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。クロマトグラフィー(シリカゲル,0→10%{5% 水酸化アンモニウム/メタノール}/ジクロロメタンの勾配溶離)により精製して、標記化合物(11.3g)を得た。MS:m/z=353(M+1)。H NMR(500MHz,CDCl)δ 8.33(s,1H),8.00(d,J=8Hz,1H),7.82(d,J=8Hz,1H),7.72(dt,J=1,10Hz,1H),7.57(dt,J=1,8Hz,1H),7.39−7.26(m,5H),3.61(s,2H),2.85(d,J=11Hz,2H),2.59(t,J=12Hz,2H),2.48(dt,J=4,13Hz,2H),2.13(d,J=12Hz,2H)。
【0225】
ステップB3−(1−ベンジル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル)キノリン−2(1H)−オン
3−(1−ベンジル−4−ヒドロキシピペリジン−4−イル)−2−クロロキノリン(11.0g,31.1ミリモル)を6N 塩酸中で8時間還流した。溶液を冷却し、水(100mL)を添加した。沈澱した固体を集め、乾燥して、標記化合物(7.9g)を得た。MS:m/z=317(M+1)。H NMR(500MHz,CDOD)δ 7.97(s,1H),7.70(d,J=7Hz,1H),7.60(m,2H),7.55(m,4H),7.35(d,J=9Hz,1H),7.27(t,J=8Hz,1H),6.50(m,1H),4,49(ABq,J=13Hz,Δυ=16Hz,2H),3.92(m,2H),3.76(dt,J=12,4Hz,1H),3.40(m,1H),2.96(m,2H)。
【0226】
ステップC3−(4−ピペリジニル)キノリン−2(1H)−オン
3−(1−ベンジル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル)キノリン−2(1H)−オン(4.00g,12.6ミリモル)をメタノール(500mL)中に含む溶液をアルゴンを用いて脱ガスし、10% パラジウム/炭素(1.2g)を添加した。反応物を1気圧水素下に置き、50℃に5.5時間加熱した。反応物を冷却し、セライトを介して濾過した。濃縮して、標記化合物(2.7g)を得た。MS:m/z=229(M+1)。H NMR(500MHz,CDOD)δ 7.80(s,1H),7.67(d,J=8Hz,1H),7.51(t,J=8Hz,1H),7.33(d,J=8Hz,1H),7.25(t,J=8Hz,1H),3.52(t,J=12Hz,2H),3.17(dt,J=3,13Hz,2H),3.15(m,δ3.17ピークと重複,1H),2.18(d,J=14Hz,2H),1.91(dq,J=3,12Hz,2H)。
【0227】
中間体9
【0228】
【化66】

【0229】
1−ピペリジン−4−イルイミダゾリジン−2,4−ジオン
ステップA4−[(2−エトキシ−2−オキソエチル)アミノ]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
1−boc−4−ピペリドン(500mg,2.51ミリモル)及びグリシンエチルエステル塩酸塩(350mg,2.51ミリモル)をメタノール(12.5mL)中に含む溶液にシアノホウ水素化ナトリウム(189mg,3.01ミリモル)を添加した。16時間後、混合物を飽和塩化アンモニウム溶液でクエンチし、濃縮し、ジクロロメタンと飽和炭酸水素ナトリウム溶液に分配した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー[100% ジクロロメタン→95% ジクロロメタン/5%(10% 水酸化アンモニウム/メタノール)]により精製して、標記化合物(600mg)を得た。
【0230】
ステップB4−(2,4−ジオキソイミダゾリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
4−[(2−エトキシ−2−オキソエチル)アミノ]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(100mg,0.384ミリモル)を水(2mL)中に含む溶液にシアン酸カリウム(31mg,0.384ミリモル)を添加した。次いで、反応物のpHを4から5に調節するために酢酸を添加し、混合物を40℃で加熱した。16時間後、反応物を周囲温度まで冷却し、逆相HPLC(C−18,95% 水/アセトニトリル→5% 水/アセトニトリル+0.1% トリフルオロ酢酸)により精製して、標記化合物(33mg)を得た。
【0231】
ステップC1−ピペリジン−4−イルイミダゾリジン−2,4−ジオン
4−(2,4−ジオキソイミダゾリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(32mg,0.113ミリモル)をジクロロメタン(1mL)中に含む溶液にトリフルオロ酢酸(0.300mL)を添加した。4時間後、反応物を濃縮して、標記化合物を得た。MS:m/z=184.04(M+1)。
【0232】
中間体10
【0233】
【化67】

【0234】
(±)−2’−オキソ−1,1’,2’,3−テトラヒドロスピロ[インデン−2,3’−ピロロ[2,3−b]ピリジン]−5−カルボン酸
ステップA1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン
7−アザインドール(39.8g,0.337モル)をDMF(200mL)中に含む溶液に0℃で水素化ナトリウム(鉱油中60%分散物;16.2g,0.404モル)を25分間かけて少しずつ添加し、混合物を1時間撹拌した。次いで、反応混合物の温度を10℃以下に維持しながら、2−(トリメチルシリル)エトキシメチルクロリド(71.8mL,0.404モル)を15分間かけてゆっくり添加した。1時間後、反応物をHO(500mL)でクエンチし、混合物をCHCl(5×300mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮し、高真空下で乾燥して、標記化合物を得た。MS:m/z=249(M+1)。
【0235】
ステップB3,3−ジブロモ−1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−オン
ピリジン臭化水素酸塩ペルブロミド(277g,0.868モル)をジオキサン(300mL)中に含む懸濁液に1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(43.1g,0.174モル)をジオキサン(300mL)中に含む溶液を30分間かけて1滴ずつ添加した。反応物を周囲温度で頭上攪拌機を用いて撹拌した。60分後、二相反応混合物をHO(300mL)でクエンチし、EtOAcで抽出した。水性層EtOAc(2×300mL)で洗浄し、合わせた有機層をHO(4×300mL;最終洗浄液のpHは5から6であった)、ブライン(300mL)で順次洗浄した後、MgSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。粗な生成物を直ちにCHCl中に溶解し、溶液をシリカプラグを介して濾過し、暗色がプラグから完全に溶離するまでCHClで溶離した。濾液を飽和水性NaHCO(400mL)、ブライン(400mL)で順次洗浄し、MgSOで乾燥し、真空下で濃縮して、標記化合物を得た。MS:m/z=423(M+1)。
【0236】
ステップC1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−オン
3,3−ジブロモ−1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−オン(65g,0.154モル)をTHF(880mL)及び飽和水性塩化アンモニウム(220mL)中に含む溶液に亜鉛(100g,1.54モル)を添加した。3時間後、反応物を濾過し、真空下で濃縮した。残渣をEtOAcとHOに分配すると、白色沈澱が形成された。両層をセライトパッドを介して濾過し、層を分離した。水性層をEtOAc(2×)で洗浄し、合わせた有機層をHOで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗な生成物を90:10 CHCl:EtOAcを溶離液としてシリカゲルプラグを介して濾過し、溶離液を減圧下で濃縮して、標記化合物を得た。MS:m/z=265(M+1)。
【0237】
ステップD2’−オキソ−1’−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1,1’,2’,3−テトラヒドロスピロ[インデン−2,3’−ピロロ[2,3−b]ピリジン]−5−カルボン酸(±)−メチル
1,2−ビス(ブロモメチル)−4−安息香酸メチル(9.20g,28.6ミリモル)及び1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−オン(7.55g,28.6ミリモル)をDMF(70mL)中に含む溶液に炭酸セシウム(9.78g,30.0ミリモル)を添加した。4時間後、反応混合物をEtO(100mL)とHO(100mL)に分配した。水性層を更にEtO(2×100mL)で抽出した。合わせた有機層をHO(2×100mL)及びブライン(100mL)で順次洗浄した後、MgSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。粗な生成物を85:15→70:30 ヘキサン:EtOAcを勾配溶離液とするシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物を得た。MS:m/z=425(M+1)。
【0238】
ステップE(±)−2’−オキソ−1,1’,2’,3−テトラヒドロスピロ[インデン−2,3’−ピロロ[2,3−b]ピリジン]−5−カルボン酸
2’−オキソ−1’−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1,1’,2’,3−テトラヒドロスピロ[インデン−2,3’−ピロロ[2,3−b]ピリジン]−5−カルボン酸(±)−メチル(3.65g,8.60ミリモル)をCHCl(80mL)中に含む溶液にCFCOH(40mL,52ミリモル)を添加し、生じた混合物を周囲温度で18時間撹拌した後、真空下で濃縮した。残渣をCHCl(100mL)中に溶解し、エチレンジアミン(2.3mL,34.4ミリモル)で処理した。反応混合物を周囲温度で18時間撹拌した後、飽和水性NaHCO(50mL)で希釈した。有機層を除去し、水性層を更にCHCl(2×100mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(50mL)で洗浄した後、MgSOで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。粗な生成物を97:3 CHCl:MeOHで溶離するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、2’−オキソ−1,1’,2’,3−テトラヒドロスピロ[インデン−2,3’−ピロロ[2,3−b]ピリジン]−5−カルボン酸メチルを黄褐色固体として得た。この固体をMeOH(22mL)中に溶解し、1N 水酸化ナトリウム(25.4mL,25.4ミリモル)を添加した。反応混合物を60℃で18時間加熱した後、冷却した。6N HClを添加することにより混合物を酸性化し、生じた沈澱を濾過により集め、HOで洗浄し、真空下で乾燥して、標記化合物をオフホワイト色固体として得た。MS:m/z=281(M+1)。
【0239】
中間体11
【0240】
【化68】

【0241】
スピロ[ピペリジン−4,3’−ピロロ[2,3−b]ピリジン]−2’(1’H)−オン二塩酸塩
ステップA1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン
7−アザインドール(39.8g,0.337モル)をDMF(200mL)中に含む溶液に0℃で25分間かけて水素化ナトリウム(鉱油中60%分散物;16.2g,0.404モル)を少しずつ添加し、混合物を1時間撹拌した。次いで、反応混合物の温度を10℃以下に維持しながら、2−(トリメチルシリル)エトキシメチルクロリド(71.8mL,0.404モル)を15分間かけてゆっくり添加した。1時間後、反応物をHO(500mL)でクエンチし、混合物をCHCl(5×300mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮し、高真空下で乾燥して、標記化合物を得た。MS:m/z=249(M+1)。
【0242】
ステップB3,3−ジブロモ−1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−オン
ステップAからの1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(43.1g,0.174モル)をジオキサン(300mL)中に含む溶液をピリジン臭化水素酸塩ペルブロミド(277g,0.868モル)をジオキサン(300mL)中に含む懸濁液に30分間かけて1滴ずつ添加した。反応物を頭上攪拌機を用いて周囲温度で撹拌した。60分後、二相反応混合物をHO(300mL)でクエンチし、EtOAcで抽出した。水性層をEtOAc(2×300mL)で洗浄し、合わせた有機層をHO(4×300mL;最終洗浄液はpH5から6であった)、ブライン(300mL)で順次洗浄した後、MgSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。粗な生成物を直ちにCHCl中に溶解し、溶液をシリカプラグを介して濾過し、暗赤色がプラグから完全に溶離するまでCHClで溶離した。濾液を飽和水性NaHCO(400mL)、ブライン(400mL)で順次洗浄し、MgSOで乾燥し、真空下で濃縮して、標記化合物を得た。MS:m/z=423(M+1)。
【0243】
ステップC1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシル]メチル}−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−オン
ステップBからの3,3−ジブロモ−1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−オン(65g,0.154モル)をTHF(880mL)及び飽和水性塩化アンモニウム(220mL)中に含む溶液に亜鉛(100g,1.54モル)を添加した。3時間後、反応物を濾過し、真空下で濃縮した。残渣をEtOAcとHOに分配すると、白色沈澱が形成された。両層をセライトパッドを介して濾過し、層を分離した。水性層をEtOAc(2×)で洗浄し、合わせた有機層をHOで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗な生成物を90:10 CHCl:EtOAcを溶離液としてシリカゲルプラグを介して濾過し、溶離液を減圧下で濃縮して、標記化合物を得た。MS:m/z=265(M+1)。
【0244】
ステップDスピロ[シクロペンタ−3−エン−1,3’−ピロロ[2,3−b]ピリジン]−2’(1’H)−オン
シス−1,4−ジクロロ−2−ブテン(1.98g,15.8ミリモル)及び1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−オン(3.49g,13.2ミリモル)をDMF(175mL)中に含む溶液に炭酸セシウム(10.7g,32.9ミリモル)を添加した。24時間後、反応混合物をEtO(200mL)とHO(200mL)に分配した。水性層を更にEtO(2×200mL)で抽出した。合わせた有機層をHO(2×100mL)、ブライン(100mL)で順次洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。この物質をジクロロメタン(150mL)中に含む溶液にトリフルオロ酢酸(150mL)を添加した。1時間後、反応物を濃縮し、EtOH(150mL)中に溶解し、2N HCl(150mL)を添加した。混合物を45℃で48時間加熱した。混合物を濃縮し、飽和水性NaHCOで希釈し、ジクロロメタン(2×)で抽出した。合わせた有機層を乾燥し、濃縮した。粗な生成物を0→5% メタノール:ジクロロメタンを勾配溶離液とするシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物(0.62g)を得た。MS:m/z=187.1(M+1)。
【0245】
ステップE3,4−ジヒドロキシスピロ[シクロペンタン−1,3’−ピロロ[2,3−b]ピリジン]−2’(1H)−オン
トリメチルアミンN−オキシド二水和物(408mg,3.67ミリモル)及びスピロ[シクロペンタ−3−エン−1,3’−ピロロ[2,3−b]ピリジン]−2’(1’H)−オン(622mg,3.34ミリモル)をジクロロメタン(115mL)中に含む混合物に四酸化オスミウム(25uLの2.5% 2−メチル−2−プロパノール溶液)を添加した。24時間後、反応混合物を濃縮した。粗な生成物を最小量のメタノールでシリカゲルクロマトグラフィーカラムに充填し、5→20% メタノール:ジクロロメタンで勾配溶離して、標記化合物(0.63g)を得た。MS:m/z=221.0(M+1)。
【0246】
ステップF2’−オキソ−1’,2’−ジヒドロ−1H−スピロ[ピペリジン−4,3’−ピロロ[2,3−b]ピリジン]−1−カルボン酸tert−ブチル
3,4−ジヒドロキシスピロ[シクロペンタン−1,3’−ピロロ[2,3−b]ピリジン]−2’(1’H)−オン(640mg,2.91ミリモル)を3:1 エタノール:水(160mL)中に含む混合物に過ヨウ素酸ナトリウム(622mg,2.91ミリモル)を添加した。出発物質が消費されたら、水酸化アンモニウム(50mL)を反応混合物にゆっくり添加した。水酸化パラジウム(200mg,20%)を添加し、反応物を50psiで水素化した。24時間後、水酸化パラジウム(200mg)を添加し、水素化を更に24時間継続した。反応混合物をセライトを介して濾過し、濃縮した。この物質をDMF(10mL)中に溶解し、ジ炭酸ジ−tert−ブチル(635mg,2.91ミリモル)及びトリエチルアミン(0.811mL,5.82ミリモル)を順次添加した。24時間、反応物を飽和水性NaHCOで希釈し、エーテル(3×)で抽出した。合わせた有機層を水(3×)で洗浄し、乾燥し、濃縮した。粗な生成物を0→10% メタノール:ジクロロメタンで勾配溶離させるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物(489mg)を得た。MS:m/z=304.1(M+1)。
【0247】
ステップGスピロ[ピペリジン−4,3’−ピロロ[2,3−b]ピリジン]−2’(1’H)−オン二塩酸塩
2’−オキソ−1’,2’−ジヒドロ−1H−スピロ[ピペリジン−4,3’−ピロロ[2,3−b]ピリジン]−1−カルボン酸tert−ブチル(451mg,1.49ミリモル)を酢酸エチル(3mL)中に溶解し、4N 塩酸をジオキサン(7.5ミリモル)中に含む溶液を室温で添加した。24時間後、揮発物を真空下で除去して、標記化合物(404mg)を得た。MS:m/z=204.1(M+1)。H NMR(500MHz,CDOD)δ 8.31(d,J=7.1Hz,1H),8.20(d,J=6.1Hz,1H),7.45(dd,J=6.8,6.8Hz,1H),3.74(brdd,2H),3.47(brdd,2H),2.35(brddd,2H),2.21(brd,2H)。
【0248】
中間体12
【0249】
【化69】

【0250】
スピロ[ピペリジン−4,4’−ピリド[2,3−d][1,3]オキサジン]−2’(1’H)−オン
ステップA(6−クロロピリジン−2−イル)カルバミン酸tert−ブチル
2−アミノ−6−クロロピリジン(5.24g,40.8ミリモル)及びナトリウムヘキサメチルジシラジド(1.0M,89.8mL,89.8ミリモル)をTHF(35mL)中に含む溶液にジ炭酸ジ−tert−ブチル(9.80g,44.9ミリモル)をTHF(35mL)中に含む溶液を添加した。24時間後、反応物を濃縮し、残渣をEtOAc(30mL)と1N HCl(1.00mL)に分配した。水性層を更にEtOAc(2×)で抽出した。合わせた有機層をNaHCOで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。粗な生成物を20→100% ジクロロメタン:ヘキサンで勾配溶離させるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物(7.73g)を得た。MS:m/z=173.0(M−Bu)。
【0251】
ステップB7’−クロロ−2’−オキソ−1’,2’−ジヒドロ−1H−スピロ[ピペリジン−4,4’−ピリド[2,3−d][1,3]オキサジン]−1−カルボン酸ベンジル
N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(0.335g,2.89ミリモル)をTHF(1mL)中に含む−20℃溶液にn−ブチルリチウム(2.5M,1.15mL,2.89ミリモル)を10分間かけて添加した。30分後、混合物を−78℃に冷却し、THF(0.8mL)中(6−クロロピリジン−2−イル)カルバミン酸tert−ブチル(0.300g,1.31ミリモル)を15分間かけて添加した。1時間後、反応物を−50℃に加温し、2時間撹拌した後、THF(1mL)中N−ベンジルオキシカルボニル−4−ピペリジノン(0.459g,1.97ミリモル)を10分間かけて添加した。反応物を室温まで加温した後、24時間撹拌した。飽和水性NaHCO溶液を添加し、混合物をEtOAc(3×)で抽出した。合わせた有機層をHO、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。粗な生成物を25→50% 酢酸エチル:ヘキサンで勾配溶離させるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物(0.160g)を得た。MS:m/z=338.0(M+1)。
【0252】
ステップCスピロ[ピペリジン−4,4’−ピリド[2,3−d][1,3]オキサジン]−2’(1’H)−オン
7’−クロロ−2’−オキソ−1’,2’−ジヒドロ−1H−スピロ[ピペリジン−4,4’−ピリド[2,3−d][1,3]オキサジン]−1−カルボン酸ベンジル(1.85g,1.77ミリモル)をEtOH(250mL)中に含む溶液に10% パラジウム/炭素(300mg)を添加した。反応容器を排気し、窒素(3×)を逆充填した後、水素(1気圧)を逆充填した。24時間後、混合物をセライトを介して濾過し、濃縮して、標記化合物(1.07g)を得た。MS:m/z=220.1(M+1)。H NMR(500MHz、CDOD)δ 8.26(dd,J=1.7,5.0Hz,1H),7.69(dd,J=1.6,7.7Hz,1H),7.16(dd,J=5.0,7.7Hz,1H),3.49−3.42(m,4H),2.38−2.25(m,4H)。
【0253】
中間体13
【0254】
【化70】

【0255】
1H−スピロ[1,8−ナフチリジン−4,4’−ピペリジン]−2(3H)−オン
ステップA4−(2−メトキシ−2−オキソエチリドン)ピペリジン−1−カルボン酸ベンジル
N−ベンジルオキシカルボニル−4−ピペリジノン(5.0g,21.4モル)及び(トリフェニルホスホラニリデン)酢酸メチル(10.0g,30.0ミリモル)をベンゼン(100mL)中に含む溶液を75℃で48時間加熱した。反応物を濃縮し、エーテルで希釈し、沈澱を濾別し、濯ぎ液を濃縮した。粗な生成物を20→60% 酢酸エチル:ヘキサンで勾配溶離させるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物(5.25g)を得た。MS:m/z=290.1(M+1)。
【0256】
ステップB4−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−3,6−ジヒドロピペリジン−1(2H)−カルボン酸ベンジル
4−(2−メトキシ−2−オキソエチリドン)ピペリジン−1−カルボン酸ベンジル(5.25g,18.1モル)及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(2.71mL,18.1モル)をDMF(120mL)中に含む溶液を室温で撹拌した。3日後、反応物を水で希釈し、エーテル(4×)で抽出した。有機洗浄液を合わせ、MgSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。粗な生成物を5→30% 酢酸エチル:ヘキサンで勾配溶離させるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物(2.44g)を得た。MS:m/z=290.1(M+1)。H NMR(500MHz,CDCl)δ 7.30−7.25(m,5H),5.5(brs,1H),5.2(s,2H),4.0(brs,2H),3.7(s,3H),3.6(brs,2H),3.0(s,2H),2.2(brs,2H)。
【0257】
ステップC4−{2−[(3−ブロモピリジン−2−イル)アミノ]−2−オキソエチル}−3,6−ジヒドロピペリジン−1(2H)−カルボン酸ベンジル
4−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−3,6−ジヒドロピペリジン−1(2H)−カルボン酸ベンジル(0.79g,2.73モル)及び2−アミノ−3−ブロモピリジン(0.520g,3.00ミリモル)を1,2−ジクロロエタン(15mL)中に含む0℃溶液にトリメチルアルミニウム(2.0M,2.05mL,4.10モル)をゆっくり添加した。30分後、反応物を55℃に48時間加熱した。飽和水性炭酸水素ナトリウムを注意深く添加することにより反応物をクエンチし、混合物をジクロロメタン(4×)で抽出した。有機層を1N 酒石酸カリウムナトリウム、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗な生成物を50→100% 酢酸エチル:ヘキサンで勾配溶離させるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物(2.44g)を得た。MS:m/z=430.0(M+1)。
【0258】
ステップD4−[2−((3−ブロモピリジン−2−イル){[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}アミノ)−2−オキソエチル]−3,6−ジヒドロピペリジン−1(2H)−カルボン酸ベンジル
4−{2−[(3−ブロモピリジン−2−イル)アミノ]−2−オキソエチル}−3,6−ジヒドロピペリジン−1(2H)−カルボン酸ベンジル(1.91g,4.43モル)をTHF(15mL)中に含む溶液に0℃で水素化ナトリウム(鉱油中60%分散物;117mg,4.88モル)を10分間かけて少しずつ添加した。0.5時間後、反応混合物の温度を10℃以下に維持しながら、2−(トリメチルシリル)エトキシメチルクロリド(0.861mL,4.88モル)をゆっくり添加した。4時間後、水素化ナトリウム(60mg)及び2−(トリメチルシリル)エトキシメチルクロリド(0.45ml)を添加し、反応物を一晩で室温まで加温した。反応物を飽和水性塩化アンモニウムでクエンチし、混合物をCHCl(3×)で抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗な生成物を40→70% 酢酸エチル:ヘキサンで勾配溶離させるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物(1.51g)を得た。MS:m/z=560.2(M+1)。
【0259】
ステップE2−オキソ−1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−2,2’,3,3’−テトラヒドロ−1H,1’H−スピロ[1,8−ナフチリジン−4,4’−ピリジン]−1’−カルボン酸ベンジル
N−メチルジシクロヘキシルアミン(0.042mg,0.20ミリモル)及び4−[2−((3−ブロモピリジン−2−イル){[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}アミノ)−2−オキソエチル]−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−カルボン酸ベンジル(100mg,0.178ミリモル)をジオキサン(2mL)中に含む混合物にビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(0)(9mg,0.018ミリモル)を添加した。5分後、反応物を50℃に加熱した。90分後、ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(0)(9mg)を添加した。50℃で更に30分後、反応混合物を水で希釈し、エーテル(3×)で抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗な生成物を5→60% 酢酸エチル:ヘキサンで勾配溶離させるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物(68mg)を得た。MS:m/z=480.2(M+1)。
【0260】
ステップF1H−スピロ[1,8−ナフチリジン−4,4’−ピペリジン]−2(3H)−オン
2−オキソ−1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−2,2’,3,3’−テトラヒドロ−1H,1’H−スピロ[1,8−ナフチリジン−4,4’−ピリジン]−1’−カルボン酸ベンジル(384mg,0.800ミリモル)をジクロロメタン(10mL)中に含む混合物にトリフルオロ酢酸(10mL)を添加した。3時間後、反応物を濃縮し、ジクロロメタン(10mL)で希釈し、エチレンジアミン(720mg,12.0ミリモル)を添加した。18時間後、反応物を濃縮し、残渣を飽和水性NaHCOとジクロロメタンに分配し、層を分離した。水性相を更にジクロロメタン(2×)で抽出し、有機層を合わせ、乾燥し、濃縮した。この物質をEtOH(10mL)中に含む溶液に10% パラジウム/炭素(300mg)を添加した。反応容器を排気し、窒素(3×)を逆充填した後、水素(1気圧)を逆充填した。24時間後、混合物をセライトを介して濾過し、濃縮して、標記化合物(130mg)を得た。MS:m/z=218.1(M+1)。H NMR(500MHz,CDOD)δ 8.14(dd,J=1.6,5.0Hz,1H),7.80(dd,J=1.6,7.7Hz,1H),7.10(dd,J=5.0,7.7Hz,1H),2.98−2.95(m,4H),2.78(s,2H),1.96−1.90(m,2H),1.69(brd,J=11.5Hz,2H)。
【0261】
中間体14
【0262】
【化71】

【0263】
(±)−6’−カルボキシ−3’,4’−ジヒドロ−1’H−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−ナフタレン]−2,5−ジオン
ステップA(±)−6’−ブロモ−3’,4’−ジヒドロ−1’H−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−ナフタレン]−2,5−ジオン
6−ブロモ−2−テトラロン(17.6g,78.2ミリモル)、シアン化ナトリウム(9.58g,195ミリモル)及び炭酸アンモニウム(97.7g,1.02モル)をHO(100mL)及びEtOH(100mL)中に含む撹拌混合物を70℃に3時間加熱した後、周囲温度まで冷却した。沈澱を濾過により集め、HO(5×200mL)で洗浄した。真空下で乾燥して、標記化合物を淡色固体として得た。MS:m/z=297(M+1)。
【0264】
ステップB(±)−6’−カルボキシ−3’,4’−ジヒドロ−1’H−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−ナフタレン]−2,5−ジオン
(±)−6’−ブロモ−3’,4’−ジヒドロ−1’H−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−ナフタレン]−2,5−ジオン(14.9g,50.5ミリモル)をTHF(1.2L)中に含む撹拌懸濁液に−70℃で臭化エチルマグネシウム(THF中3.0M,51mL,152ミリモル)を一滴ずつ添加した。生じた混合物を10分間撹拌した後、tert−ブチルリチウム(ペンタン中1.7M,180mL,305ミリモル)を30分間かけて1滴ずつ添加した。−70℃で20分間撹拌し続けた後、tert−ブチルリチウム(ペンタン中1.7M,60mL,102ミリモル)を10分間かけて1滴ずつ添加した。更に30分後、LCMS分析が反応の完了を示すまで反応混合物にCO2(g)を通気した。混合物を周囲温度までゆっくり加温し、THFを真空下で除去した。残渣をHO中に懸濁し、濃塩酸を添加することにより溶液のpHを1から2に調節し、約500mLの最終容量とした。混合物を濾過し、単離した固体をHO(4×100mL)で洗浄した後、真空下で乾燥した。この粗な固体をEtOHと摩砕して、標記化合物を淡黄褐色固体として得た。MS:m/z=261(M+1)。
【0265】
中間体15
【0266】
【化72】

【0267】
(±)−6’−カルボキシ−1−メチル−3’,4’−ジヒドロ−1’H−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−ナフタレン]−2,5−ジオン
ステップA(±)−6’−ブロモ−1−メチル−3’,4’−ジヒドロ−1’H−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−ナフタレン]−2,5−ジオン
6−ブロモ−2−テトラロン(1.00g,4.44ミリモル)及びメチルアミン塩酸塩(300mg,4.44モル)をHO(1mL)及びEtOH(1.5mL)中に含む混合物を周囲温度で20分間撹拌した。シアン化カリウム(289mg,4.44ミリモル)を添加し、18時間撹拌し続けた。混合物を1.0N 水性HCl(4.5mL)の撹拌溶液に0℃で1滴ずつ添加した後、シアン酸カリウム(360mg,4.44ミリモル)を少しずつ添加した。撹拌混合物を95℃に加熱し、濃塩酸(0.44mL)を1滴ずつ添加した。反応混合物をこの温度で1時間加熱し、冷却し、CHCl(80mL)で抽出した。有機抽出物をNaSOで乾燥し、濾過し、濃縮乾固した。粗な生成物を100:0→90:10 CHCl:MeOHで勾配溶離させるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物の粗なサンプル(純度約70%)を得た。EtOHと摩砕して、標記化合物を淡色固体として得た。MS:m/z=311(M+1)。
【0268】
ステップB(±)−6’−カルボキシ−1−メチル−3’,4’−ジヒドロ−1’H−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−ナフタレン]−2,5−ジオン
(±)−6’−ブロモ−1−メチル−3’,4’−ジヒドロ−1’H−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−ナフタレン]−2,5−ジオン(211mg,0.682ミリモル)をTHF(30mL)中に含む撹拌懸濁液に−70℃で臭化エチルマグネシウム(THF中1.0M,1.37mL,1.37ミリモル)を1滴ずつ添加した。生じた混合物を15分間撹拌した後、tert−ブチルリチウム(ペンタン中1.7M,1.61mL,2.73ミリモル)を1滴ずつ添加した。更に30分後、LCMS分析が反応の完了を示すまで反応混合物にCO2(g)を通気した。混合物を周囲温度までゆっくり加温し、THFを真空下で除去した。残渣をHO(20mL)中に懸濁し、1.0N 塩酸を添加することにより溶液のpHを1から2に調節した後、NaCl(S)を飽和した。混合物を濾過し、単離した固体をHOで洗浄した後、真空下で乾燥した、この粗な固体をEtOHと摩砕して、標記化合物を淡黄褐色固体として得た。MS:m/z=275(M+1)。
【0269】
中間体16
【0270】
【化73】

【0271】
(±)−5’−カルボキシ−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオン
ステップA(±)−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオン
2−インダノン(3.0g,22.6ミリモル)、シアン化ナトリウム(3.3g,67.3ミリモル)及び炭酸アンモニウム(22g,228モル)をHO(50mL)及びEtOH(50mL)中に含む撹拌混合物を70℃に3時間加熱した後、周囲温度まで冷却した。沈澱を濾過により集め、HO(5×100mL)で洗浄した。真空下で乾燥して、標記化合物を灰褐色固体として得た。MS:m/z=202(M+1)。
【0272】
ステップB(±)−5’−ブロモ−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオン
(±)−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオン(1.0g,4.97ミリモル)を48% HBr(30mL)中に含む撹拌溶液にBr(3.1g,19.9ミリモル)を添加し、反応混合物を周囲温度で4日間撹拌した。反応物を氷(30g)及びHO(10mL)に注ぎ、固体沈澱を濾別し、HO(4×20mL)で洗浄し、真空下で乾燥して、標記化合物を明褐色固体として得た。MS:m/z=282(M+1)。
【0273】
ステップC(±)−5’−カルボキシ−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオン
(±)−5’−ブロモ−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオン(120mg,0.42ミリモル)をTHF(4mL)中に含む撹拌懸濁液に−70℃で臭化エチルマグネシウム(THF中3.0M,0.57mL,1.71ミリモル)を温度が−30℃を超えないように1滴ずつ添加した。生じた混合物を10分間撹拌した後、tert−ブチルリチウム(ペンタン中1.7M,0.67mL,3.42ミリモル)を5分間かけて1滴ずつ添加した。−70℃で20分間撹拌し続けた後、LCMS分析が反応の完了を示すまで反応混合物にCO2(g)を通気した。混合物をゆっくり周囲温度まで加温した後、THFを真空下で除去した。残渣を0.5M HCl(5mL)中に懸濁し、濃塩酸を添加することにより溶液のpHを1から2に調節し、最終容量を約10mLとした。沈澱を濾過し、単離した固体をHO(4×10mL)で洗浄した後、真空下で乾燥して、標記化合物を褐色固体として得た。MS:m/z=247(M+1)。
【0274】
中間体17
【0275】
【化74】

【0276】
(±)−6’アミノ−3’,4’−ジヒドロ−1’H−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−ナフタレン]−2,5−ジオン
(±)−6’−カルボキシ−3’,4’−ジヒドロ−1’H−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−ナフタレン]−2,5−ジオン(1.50g,5.76ミリモル)及びアジ化ナトリウム(749mg,11.53ミリモル)を濃HSO(30mL)中に含む撹拌混合物を50℃に2時間加熱した後、周囲温度まで冷却した。6N 水性NaOHを添加することにより混合物のpHを8に調節し、真空下で濃縮して、固体を沈澱させた。沈澱を濾過により集め、HOで十分洗浄した。真空下で乾燥して、標記化合物を明褐色固体として得た。MS:m/z=232(M+1)。
【0277】
中間体18
【0278】
【化75】

【0279】
(±)−5’−アミノ−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオン
ステップA(±)−5’−ニトロ−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオン
(±)−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオン(3.0g,14.8ミリモル)を濃硝酸(33mL)中に含む溶液を周囲温度で1時間撹拌した。次いで、反応物を砕いた氷に注ぎ、生じた固体を濾過により単離した。粗な生成物をエタノールから再結晶して、標記化合物を黄色固体として得た。MS:m/z=248(M+1)。
【0280】
ステップB(±)−5’−アミノ−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオン
(±)−5’−ニトロ−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオン(1.77g,7.16ミリモル)をEtOAc(100mL)及びMeOH(100mL)中に含む懸濁液に10% Pd/C(400mg)を添加し、反応物を水素(約1気圧)下で激しく撹拌した。1時間後、触媒を濾別し、濾液を濃縮して、1.50g(97%)の標記化合物を淡褐色固体として得た。MS:m/z=218(M+1)。
【0281】
実施例1
【0282】
【化76】

【0283】
N−[(4R)−6−フェニル−4H−イミダゾ[1,2−a][1,4]ベンゾジアゼピン−4−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミド
(4R)−アミノ−6−フェニル−4H−イミダゾ[1,2−a][1,4]ベンゾジアゼピンをR.Freidingerら,EP 0523846A2(1993)に記載されている方法に従って製造する。(4R)−アミノ−6−フェニル−4H−イミダゾ[1,2−a][1,4]ベンゾジアゼピン(1当量)及び4−ニトロフェニルクロロホルメート(1当量)をテトラヒドロフラン中に含む溶液に0℃でトリエチルアミン(2当量)を添加する。30分後、2−オキソ−1−ピペリジニウム−4−イル−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−4−イウムジクロリド(1.5当量)、トリエチルアミン(3当量)及びジクロロメタンを添加し、混合物を周囲温度まで加温する。18時間後、反応物を濃縮する。逆相HPLC(C−18,90% 水/アセトニトリル→100% アセトニトリル+0.1% トリフルオロ酢酸)により精製する。
【0284】
実施例2
【0285】
【化77】

【0286】
N−[(4R)−1−メチル−6−フェニル−4H−イミダゾ[1,2−a][1,4]ベンゾジアゼピン−4−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミド
標記化合物を(4R)−アミノ−1−メチル−6−フェニル−4H−イミダゾ[1,2−a][1,4]ベンゾジアゼピンから当業界で一般的に公知の方法を用いて文献及び実施例1の手順に従って製造する。
【0287】
実施例3
【0288】
【化78】

【0289】
N−[(4R)−1−メチル−6−フェニル−4H−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピン−4−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミド
標記化合物をN−[(4R)−1−メチル−6−フェニル−4H−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピン(M.G.Bockら,J.Med.Chem.,1988,31(1),176−181)及び2−オキソ−1−ピペリジニウム−4−イル−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−4−イウムジクロリドから実施例1の手順に従って製造する。
【0290】
実施例4
【0291】
【化79】

【0292】
N−[(4R)−2−メチル−6−フェニル−2,4−ジヒドロ−1H−イミダゾ[1,2−a][1,4]ベンゾジアゼピン−4−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミド
標記化合物をN−[(4R)−2−メチル−6−フェニル−2,4−ジヒドロ−1H−イミダゾ[1,2−a][1,4]ベンゾジアゼピン(M.G.Bockら,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1994,2(9),987−998)及び2−オキソ−1−ピペリジニウム−4−イル−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−4−イウムジクロリドから実施例1の手順に従って製造する。
【0293】
実施例5
【0294】
【化80】

【0295】
4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)−N−[(4R)−6−フェニル−4H−テトラゾロ[1,5−a][1,4]ベンゾジアゼピン−4−イル]ピペリジン−1−カルボキサミド
標記化合物をN−[(4R)−6−フェニル−4H−テトロゾロ[1,5−a][1,4]ベンゾジアゼピン(R.Freidingerら,EP 0523846A2(1993))及び2−オキソ−1−ピペリジニウム−4−イル−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−4−イウムジクロリドから実施例1の手順に従って製造する。
【0296】
実施例6
【0297】
【化81】

【0298】
4−(2,4−ジオキソイミダゾリジン−1−イル)−N−[(4R)−1−メチル−6−フェニル−4H−イミダゾ[1,2−a]ベンゾジアゼピン−4−イル]ピペリジン−1−カルボキサミド
標記化合物を(4R)−アミノ−1−メチル−6−フェニル−4H−イミダゾ[1,2−a][1,4]ベンゾジアゼピン及び1−ピペリジン−4−イルイミダゾリジン−2,4−ジオンから実施例1の手順に従って製造する。
【0299】
実施例7から21
上記した手順に従って、当業界で公知の方法を用いて、表1中の実施例は記載されている中間体を用いて製造され得る。
【0300】
【表1】



【0301】
本発明を特定の具体的実施態様を参照して記載し、説明してきたが、当業者は本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく各種改変、変化、修飾、置換、削除または付加を加え得ることを認識している。例えば、本発明化合物を用いる適応症に対する治療対象の哺乳動物の応答性が異なる結果として本明細書中に上記した具体的用量以外の有効量が適用され得る。また、観察された具体的薬理応答は、選択した特定の活性化合物または医薬用担体の存在の有無、使用する製剤のタイプ及び投与モードに従ってまたは応じて異なり得、予想される結果の違い及び差は本発明の目的及び実施に従って考えられる。従って、本発明は請求の範囲により定義され、請求の範囲は合理的に広く解釈されると意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物
【化1】

[式中、
Zは
【化2】

から選択され;
Dは独立してN及びC(R)から選択され;
は独立して
1)非置換であるかまたは各々
a)C1−6アルキル、
b)C3−6シクロアルキル、
c)非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているアリール、
d)非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロアリール、
e)非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロ環、
f)(F)1−3アルキル、
g)ハロゲン、
h)OR
i)O(CHOR
j)CO
k)(CO)NR1011
l)O(CO)NR1011
m)N(R)(CO)NR1011
n)N(R10)(CO)R11
o)N(R10)(CO)OR11
p)SONR1011
q)N(R10)SO11
r)S(O)10
s)CN、
t)NR1011
u)N(R10)(CO)NR11、及び
v)O(CO)R
から独立して選択される1個以上の置換基で置換されているH、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−6シクロアルキル及びヘテロ環、
2)非置換であるかまたは各々
a)C1−6アルキル、
b)C3−6シクロアルキル、
c)非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているアリール、
d)非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロアリール、
e)非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロ環、
f)(F)1−3アルキル、
g)ハロゲン、
h)OR
i)O(CHOR
j)CO
k)(CO)NR1011
l)O(CO)NR1011
m)N(R)(CO)NR1011
n)N(R10)(CO)R11
o)N(R10)(CO)OR11
p)SONR1011
q)N(R10)SO11
r)S(O)10
s)CN、
t)NR1011
u)N(R10)(CO)NR11
v)O(CO)R
から独立して選択される1個以上の置換基で置換されているアリールまたはヘテロアリール
から選択され、場合により2つの独立したR及びこれらが結合している1個以上の原子は連結してC3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロ環及びヘテロアリールから選択される環を形成し;
は独立してH及び
1)C1−6アルキル、
2)C3−6シクロアルキル、
3)非置換であるかまたはRから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているアリール、
4)非置換であるかまたはRから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロアリール、
5)非置換であるかまたはRから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロ環、
6)(F)1−3アルキル、
7)ハロゲン、
8)OR
9)O(CHOR
10)CO
11)(CO)NR1011
12)O(CO)NR1011
13)N(R)(CO)NR1011
14)N(R10)(CO)R11
15)N(R10)(CO)OR11
16)SONR1011
17)N(R10)SO11
18)S(O)10
19)CN、
20)NR1011
21)N(R10)(CO)NR11、及び
22)O(CO)R
から選択され、場合により同一または隣接原子上の2個の独立したRは連結してシクロブチル、シクロペンテニル、シクロペンチル、シクロヘキセニル、シクロヘキシル、フェニル、ナフチル、チエニル、チアゾリル、チアゾリニル、オキサゾリル、オキサゾリニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピロリル、ピロリニル、モルホリニル、チオモルホリン、チオモルホリンS−オキシド、チオモルホリンS−ジオキシド、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジル、フラニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロピラニル及びピペラジニルから選択される環を形成し;

1)非置換であるかまたは
a)C1−6アルキル、
b)C3−6シクロアルキル、
c)非置換であるかまたはRから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているアリール、
d)非置換であるかまたはRから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロアリール、
e)非置換であるかまたはRから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロ環、
f)(F)1−3アルキル、
g)ハロゲン、
h)OR
i)O(CHOR
j)CO
k)(CO)NR1011
l)O(CO)NR1011
m)N(R)(CO)NR1011
n)N(R10)(CO)R11
o)N(R10)(CO)OR11
p)SONR1011
q)N(R10)SO11
r)S(O)10
s)CN、
t)NR1011
u)N(R10)(CO)NR11
v)O(CO)R
から独立して選択される1個以上の置換基で置換されているH、C0−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−6シクロアルキル及びヘテロ環、並びに
2)非置換であるかまたは
a)C1−6アルキル、
b)C3−6シクロアルキル、
c)非置換であるかまたはRから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているアリール、
d)非置換であるかまたはRから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロアリール、
e)非置換であるかまたはRから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロ環、
f)(F)1−3アルキル、
g)ハロゲン、
h)OR
i)O(CHOR
j)CO
k)(CO)NR1011
l)O(CO)NR1011
m)N(R)(CO)NR1011
n)N(R10)(CO)R11
o)N(R10)(CO)OR11
p)SONR1011
q)N(R10)SO11
r)S(O)10
s)CN、
t)NR1011
u)N(R10)(CO)NR11、及び
v)O(CO)R
から独立して選択される1個以上の置換基で置換されているアリールまたはヘテロアリール
から選択され;
は独立して非置換であるかまたはハロゲン、ヒドロキシまたはC1−6アルコキシで置換されているH、C1−6アルキル、(F)1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びベンジルから選択され;
Mは−NH−または結合であり;
Kは−CH−または結合であり;
WはO、NRまたはC(Rであり;
XはCまたはSであり;
YはO、(R、NCN、NSOCHまたはNCONHであり、或いはXがSのときにはYはOであり;
は独立してH及び
a)C1−6アルキル、
b)C3−6シクロアルキル、
c)非置換であるかまたはRから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているアリール、
d)非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロアリール、
e)非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロ環、
f)(F)1−3アルキル、
g)ハロゲン、
h)OR
i)O(CHOR
j)CO
k)(CO)NR1011
l)O(CO)NR1011
m)N(R)(CO)NR1011
n)N(R10)(CO)R11
o)N(R10)(CO)OR11
p)SONR1011
q)N(R10)SO11
r)S(O)10
s)CN、
t)NR1011
u)N(R10)(CO)NR11、及び
v)O(CO)R
から選択され;
Jは結合、C(R、OまたはNRであり;
Vは結合、C(R、O、S(O)、NR、C(R−C(R、C(R)=C(R)、C(R−N(R)、C(R)=N、N(R)−C(R、N=C(R)及びN(R)−N(R)から選択され;
G−LはN、N−C(R、C=C(R)、C=N、C(R)、C(R)−C(R、C(R)−C(R−C(R、C=C(R)−C(R、C(R)−C(R)=C(R)、C(R)−C(R−N(R)、C=C(R)−N(R)、C(R)−C(R)=N、C(R)−N(R)−C(R、C=N−C(R、C(R)−N=C(R)、C(R)−N(R)−N(R)、C=N−N(R)、N−C(R−C(R、N−C(R)=C(R)、N−C(R−N(R)、N−C(R)=N、N−N(R)−C(R及びN−N=C(R)から選択され;
Qは独立して
(1)=C(R7a)−、
(2)−C(R7a−、
(3)−C(=O)−、
(4)−S(O)−、
(5)=N−、
(6)−N(R7a)−、及び
(7)結合
から選択され;
Tは独立して
(1)=C(R7b)−、
(2)−C(R7b−、
(3)−C(=O)−、
(4)−S(O)−、
(5)=N−、
(6)−N(R7b)−、及び
(7)結合
から選択され;
は独立してH、非置換または置換C1−3アルキル、F、CN及びCOから選択され;
7a及びR7bは各々独立してRから選択され、場合によりR7a、R7b及びこれらが結合している1個以上の原子は連結してC3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロ環及びヘテロアリールから選択される環を形成し、前記環は非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から10個の置換基で置換されており;
10及びR11は独立して非置換であるかまたはハロゲン、ヒドロキシまたはC1−6アルコキシで置換されているH、C1−6アルキル、(F)1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びベンジルから選択され、場合によりR10及びR11は連結してアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニルまたはモルホリニルから選択される環を形成し,前記環は非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されており;
pはq個の炭素原子を有する置換基について0から2q+1であり;
mは0、1または2であり;
sは1、2または3であり;
破線は二重結合の任意の存在を示す]、
並びにその医薬的に許容され得る塩及び個々のジアステレオマー。
【請求項2】
式Ia:
【化3】

を有する請求項1の化合物、並びにその医薬的に許容され得る塩及び個々のジアステレオマー。
【請求項3】
式Ibの化合物
【化4】

[式中、
Dは独立してN及びC(R)から選択され;
は独立して
1)非置換であるかまたは各々
a)C1−6アルキル、
b)C3−6シクロアルキル、
c)非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているアリール、
d)非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロアリール、
e)非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロ環、
f)(F)1−3アルキル、
g)ハロゲン、
h)OR
i)O(CHOR
j)CO
k)(CO)NR1011
l)O(CO)NR1011
m)N(R)(CO)NR1011
n)N(R10)(CO)R11
o)N(R10)(CO)OR11
p)SONR1011
q)N(R10)SO11
r)S(O)10
s)CN、
t)NR1011
u)N(R10)(CO)NR11、及び
v)O(CO)R
から独立して選択される1個以上の置換基で置換されているH、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−6シクロアルキル及びヘテロ環、
2)非置換であるかまたは各々
a)C1−6アルキル、
b)C3−6シクロアルキル、
c)非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているアリール、
d)非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロアリール、
e)非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロ環、
f)(F)1−3アルキル、
g)ハロゲン、
h)OR
i)O(CHOR
j)CO
k)(CO)NR1011
l)O(CO)NR1011
m)N(R)(CO)NR1011
n)N(R10)(CO)R11
o)N(R10)(CO)OR11
p)SONR1011
q)N(R10)SO11
r)S(O)10
s)CN、
t)NR1011
u)N(R10)(CO)NR11、及び
v)O(CO)R
から独立して選択される1個以上の置換基で置換されているアリールまたはヘテロアリール
から選択され、場合により2つの独立したR及びこれらが結合している1個以上の原子は連結してC3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロ環及びヘテロアリールから選択される環を形成し;
は独立してH及び
1)C1−6アルキル、
2)C3−6シクロアルキル、
3)非置換であるかまたはRから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているアリール、
4)非置換であるかまたはRから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロアリール、
5)非置換であるかまたはRから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロ環、
6)(F)1−3アルキル、
7)ハロゲン、
8)OR
9)O(CHOR
10)CO
11)(CO)NR1011
12)O(CO)NR1011
13)N(R)(CO)NR1011
14)N(R10)(CO)R11
15)N(R10)(CO)OR11
16)SONR1011
17)N(R10)SO11
18)S(O)10
19)CN、
20)NR1011
21)N(R10)(CO)NR11、及び
22)O(CO)R
から選択され、場合により同一または隣接原子上の2個の独立したRは連結してシクロブチル、シクロペンテニル、シクロペンチル、シクロヘキセニル、シクロヘキシル、フェニル、ナフチル、チエニル、チアゾリル、チアゾリニル、オキサゾリル、オキサゾリニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピロリル、ピロリニル、モルホリニル、チオモルホリン、チオモルホリンS−オキシド、チオモルホリンS−ジオキシド、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジル、フラニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロピラニル及びピペラジニルから選択される環を形成し;

1)非置換であるかまたは
a)C1−6アルキル、
b)C3−6シクロアルキル、
c)非置換であるかまたはRから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているアリール、
d)非置換であるかまたはRから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロアリール、
e)非置換であるかまたはRから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロ環、
f)(F)1−3アルキル、
g)ハロゲン、
h)OR
i)O(CHOR
j)CO
k)(CO)NR1011
l)O(CO)NR1011
m)N(R)(CO)NR1011
n)N(R10)(CO)R11
o)N(R10)(CO)OR11
p)SONR1011
q)N(R10)SO11
r)S(O)10
s)CN、
t)NR1011
u)N(R10)(CO)NR11、及び
v)O(CO)R
から独立して選択される1個以上の置換基で置換されているアリールから選択され;
は独立して非置換であるかまたはハロゲン、ヒドロキシまたはC1−6アルコキシで置換されているH、C1−6アルキル、(F)1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びベンジルから選択され;
Qは独立して
(1)=C(R7a)−、
(2)−C(R7a−、
(3)−C(=O)−、
(4)−S(O)−、
(5)=N−、及び
(6)−N(R7a)−
から選択され;
Tは独立して
(1)=C(R7b)−、
(2)−C(R7b−、
(3)−C(=O)−、
(4)−S(O)−、
(5)=N−、及び
(6)−N(R7b)−
から選択され;
は独立してH、非置換または置換C1−3アルキル、F、CN及びCOから選択され;
7a及びR7bは各々独立してRから選択され、場合によりR7a、R7b及びこれらが結合している1個以上の原子は連結してC3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロ環及びヘテロアリールから選択される環を形成し、前記環は非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から10個の置換基で置換されており;
10及びR11は独立して非置換であるかまたはハロゲン、ヒドロキシまたはC1−6アルコキシで置換されているH、C1−6アルキル、(F)1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びベンジルから選択され、場合によりR10及びR11は連結してアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニルまたはモルホリニルから選択される環を形成し,前記環は非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されており;
pはq個の炭素原子を有する置換基について0から2q+1であり;
mは0、1または2であり;
sは1、2または3である]、
並びにその医薬的に許容され得る塩及び個々のジアステレオマー。
【請求項4】
式Icの化合物
【化5】

[式中、
Dは独立してN及びC(R)から選択され;
は独立して
1)非置換であるかまたは各々
a)C1−6アルキル、
b)C3−6シクロアルキル、
c)非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているアリール、
d)非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロアリール、
e)非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロ環、
f)(F)1−3アルキル、
g)ハロゲン、
h)OR
i)O(CHOR
j)CO
k)(CO)NR1011
l)O(CO)NR1011
m)N(R)(CO)NR1011
n)N(R10)(CO)R11
o)N(R10)(CO)OR11
p)SONR1011
q)N(R10)SO11
r)S(O)10
s)CN、
t)NR1011
u)N(R10)(CO)NR11、及び
v)O(CO)R
から独立して選択される1個以上の置換基で置換されているH、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−6シクロアルキル及びヘテロ環、
2)非置換であるかまたは各々
a)C1−6アルキル、
b)C3−6シクロアルキル、
c)非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているアリール、
d)非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロアリール、
e)非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されているヘテロ環、
f)(F)1−3アルキル、
g)ハロゲン、
h)OR
i)O(CHOR
j)CO
k)(CO)NR1011
l)O(CO)NR1011
m)N(R)(CO)NR1011
n)N(R10)(CO)R11
o)N(R10)(CO)OR11
p)SONR1011
q)N(R10)SO11
r)S(O)10
s)CN、
t)NR1011
u)N(R10)(CO)NR11、及び
v)O(CO)R
から独立して選択される1個以上の置換基で置換されているアリールまたはヘテロアリール
から選択され、場合により2個の独立したR及びこれらが結合している1個以上の原子は連結してC3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロ環式及びヘテロアリールから選択される環を形成し;
は独立して非置換であるかまたはハロゲン、ヒドロキシまたはC1−6アルコキシで置換されているH、C1−6アルキル、(F)1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びベンジルから選択され;
Qは独立して
(1)=C(R7a)−、
(2)−C(R7a−、
(3)−C(=O)−、
(4)−S(O)−、
(5)=N−、及び
(6)−N(R7a)−、
から選択され;
Tは独立して
(1)=C(R7b)−、
(2)−C(R7b−、
(3)−C(=O)−、
(4)−S(O)−、
(5)=N−、及び
(6)−N(R7b)−、
から選択され;
7a及びR7bは各々独立してRから選択され、場合によりR7a、R7b及びこれらが結合している1個以上の原子は連結してC3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロ環及びヘテロアリールから選択される環を形成し、前記環は非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から10個の置換基で置換されており;
10及びR11は独立して非置換であるかまたはハロゲン、ヒドロキシまたはC1−6アルコキシで置換されているH、C1−6アルキル、(F)1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びベンジルから選択され、場合によりR10及びR11は連結してアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニルまたはモルホリニルから選択される環を形成し,前記環は非置換であるかまたは各々Rから独立して選択される1から5個の置換基で置換されており;
pはq個の炭素原子を有する置換基について0から2q+1であり;
mは0、1または2であり;
sは1、2または3である]、
並びにその医薬的に許容され得る塩及び個々のジアステレオマー。
【請求項5】
Jは結合であり、Vは結合であり、及びZはZ1である請求項1の化合物。
【請求項6】
Jは結合であり、Vは結合であり、ZはZ1であり、及びTは−C(=O)−である請求項1の化合物。
【請求項7】
G−LはNであり、及びZはZ2である請求項1の化合物。
【請求項8】
G−LはN−C(Rであり、及びZはZ2である請求項1の化合物。
【請求項9】
G−LはC=C(R)であり、及びZはZ2である請求項1の化合物。
【請求項10】
G−LはC=Nであり、及びZはZ2である請求項1の化合物。
【請求項11】
G−Lは−NC(R−C(Rであり、及びZはZ2である請求項1の化合物。
【請求項12】
Jは結合であり、Vは結合であり、ZはZ1であり、Qは−N(R7a)−であり、及びTは−C(=O)−である請求項1の化合物。
【請求項13】
Jは結合であり、Vは結合であり、ZはZ1であり、Qは−C(R7a−であり、及びTは−C(=O)−である請求項1の化合物。
【請求項14】
Jは結合であり、Vは結合であり、ZはZ1であり、Qは−N=であり、及びTは=C(R7b)−である請求項1の化合物。
【請求項15】
Jは結合であり、Vは結合であり、ZはZ1であり、Qは−C(R7a−であり、及びTは−C(R7b−である請求項1の化合物。
【請求項16】
Jは結合であり、Vは結合であり、ZはZ1であり、Qは−C(R7a)=であり、Tは=C(R7b)−であり、ならびにR7a及びR7bが結合している原子は一緒に連結してベンゼン、ピリジンまたはジアジン環を形成している請求項1の化合物。
【請求項17】
Jは結合であり、VはC(Rであり、ZはZ1であり、Qは−C(R7a)=であり、Tは=C(R7b)−であり、ならびにR7a及びR7bが結合している原子は一緒に連結してベンゼンまたはピリジン環を形成している請求項1の化合物。
【請求項18】
JはOであり、Vは結合であり、ZはZ1であり、Qは−C(R7a)=であり、Tは=C(R7b)−であり、ならびにR7a及びR7bが結合している原子は一緒に連結してベンゼンまたはピリジン環を形成している請求項1の化合物。
【請求項19】
G−LはNであり、ZはZ2であり、Qは−C(R7a−であり、及びTは−C(R7b−である請求項1の化合物。
【請求項20】
G−LはNであり、ZはZ2であり、Qは−C(R7a)=であり、Tは=C(R7b)−である請求項1の化合物。
【請求項21】
G−LはNであり、ZはZ2であり、Qは−N=であり、及びTは=C(R7b)−である請求項1の化合物。
【請求項22】
G−LはNであり、ZはZ2であり、Qは−C(R7a−であり、及びTは−C(O)−である請求項1の化合物。
【請求項23】
G−LはC=C(R)であり、ZはZ2であり、Qは−C(R7a)=であり、及びTは=C(R7b)−である請求項1の化合物。
【請求項24】
G−LはC=C(R)であり、ZはZ2であり、Qは−C(R7a)=であり、及びTは=N−である請求項1の化合物。
【請求項25】
G−LはC=C(R)であり、ZはZ2であり、Qは−N=であり、及びTは=C(R7b)−である請求項1の化合物。
【請求項26】
G−LはC=Nであり、ZはZ2であり、Qは−C(R7a)=であり、及びTは=C(R7b)−である請求項1の化合物。
【請求項27】
G−LはNであり、ZはZ2であり、Qは−C(R7a)=であり、Tは=C(R7b)−であり、R7a及びR7bが結合している原子は一緒に連結してベンゼン、ピリジンまたはジアジン環を形成している請求項1の化合物。
【請求項28】
G−LはN−C(Rであり、ZはZ2、Qは−C(R7a)=であり、及びTは=C(R7b)−であり、ならびにR7a及びR7bが結合している原子は一緒に連結してベンゼンまたはピリジン環を形成している請求項1の化合物。
【請求項29】
G−JはC=Nであり、ZはZ2であり、Qは−C(R7a)=であり、及びTは=C(R7b)−であり、ならびにR7a及びR7bが結合している原子は一緒に連結してベンゼン環を形成している請求項1の化合物。
【請求項30】
G−LはC=C(R)であり、ZはZ2であり、Qは−C(R7a)=であり、及びTは=C(R7b)−であり、ならひにR7a及びR7bが結合している原子は一緒に連結してベンゼン環を形成している請求項1の化合物。
【請求項31】
G−LはN−C(R−C(Rであり、ZはZ2であり、Qは−C(R7a)=であり、Tは=C(R7b)−であり、R7a及びR7bが結合している原子は一緒に連結してベンゼン環を形成している実施形態における請求項1の化合物。
【請求項32】
【化6】



から選択される化合物、並びにその医薬的に許容され得る塩及び個々のジアステレオマー。
【請求項33】
不活性担体及び請求項1の化合物を含む医薬組成物。
【請求項34】
有効量の請求項1の化合物を投与することを含む哺乳動物におけるCGRP受容体活性の拮抗方法。
【請求項35】
頭痛、偏頭痛または群発頭痛の治療、コントロール、回復またはそのリスクの軽減を要する哺乳動物患者に対して治療有効量の請求項1の化合物を投与することを含む前記患者における頭痛、偏頭痛または群発頭痛の治療、コントロール、回復またはそのリスクの軽減方法。
【請求項36】
偏頭痛、群発頭痛及び頭痛の治療または予防を要するヒトに対して治療有効量の請求項1の化合物またはその医薬的に許容され得る塩及び治療有効量のセロトニンアゴニスト、鎮痛剤、抗炎症剤、降圧剤及び抗けいれん剤から選択される第2物質を一緒に投与することを含む偏頭痛、群発頭痛及び頭痛の治療または予防方法。

【公表番号】特表2009−502929(P2009−502929A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−524064(P2008−524064)
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【国際出願番号】PCT/US2006/028835
【国際公開番号】WO2007/016087
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】