説明

ヘテロ相コポリマ−及びメタロセン触媒系並びにこのメタロセン触媒系を用いる該ヘテロ相コポリマ−の製造法

本発明は、ヘテロ相ポリマ−の広範なキシレン可溶物含量にわたって流動性を有するヘテロ相ポリマ−、そのようなヘテロ相ポリマ−を製造するためのメタロセン触媒系(MCS)、及びそのようなヘテロ相ポリマ−の、メタロセン触媒系を用いる製造法を開示する。このMCSは担体及び実質的に担体全体に結合するメタロセンを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘテロ相(heterophase)ポリマ−及びその製造法に関する。更に特に本発明は、実質的に改良された流動性(flowability)特性を有するヘテロ相ポリマ−の製造並びにそのようなポリマ−を製造するための方法及び触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
機械的混合または共重合のいずれかによるゴム画分のポリマ−マトリックスへの導入は得られるポリマ−の衝撃性を改善することが知られている。改良された衝撃特性を有するそのようなポリマ−は、衝撃性コポリマ−として、即ち本明細書で使用されるように、「ICP」として公知である。このようなポリマ−は、2つまたはそれ以上のポリマ−相が含まれるヘテロ相ポリマ−でもある。この第1の相は一般にホモポリマ−、例えばポリプロピレンホモポリマ−である。第2の相は一般にゴム相、または本発明の背景技術並びに本発明に関して使用されるように、単に「ゴム」である。そのようなゴムは最も普通にはエチレン/プロピレンコポリマ−である。ICPの製造において、ゴム相は一般にホモポリマ−粒子の外表面に沿ってホモポリマ−のマトリックスに結合している。結果として且つゴムの性質のために、得られるヘテロ相ポリマ−粒子は粘着性があり、従ってヘテロ相粒子は流動しにくく、その代わりに「塊になる」または言い換えれば一緒にくっついてより大きいヘテロ相ポリマ−粒子の塊を形成する。そのような塊状化の結果として、ヘテロ相ポリマ−の流動性及び加工性は損なわれる。
【0003】
ICPを製造する場合、通常のチ−グラ−−ナッタ及びメタロセン触媒の両方が使用されてきた。メタロセン触媒に関しては、一般に本明細書では「MCS」として言及される坦持シングルサイト(single site)またはメタロセン触媒系が使用される。しかしながらMCSの使用は、時折貧弱な流動性特性のICPの生成に帰結してしまう。
【0004】
ICPの流動性に関する上述した問題を見るにつけ、特に改良された流動性に関して改良された取扱性を有するヘテロ相コポリマ−を製造するためのMCS及びそのようなMCSの使用法が実質的に必要である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した問題に取り組むために、本発明はその具体例の1つにおいて改良された流動性を有するヘテロ相ポリマ−を提供する。そのようなヘテロ相ポリマ−は、低キシレン可溶物含量を有し、一方でヘテロ相ポリマ−の取扱い及び加工特性を改善するように調和のとれた流動性を有するものである。このヘテロ相ポリマ−の具体例は、約20−約80グラム/秒の範囲の流動性を有する物質である。このような流動性は15.0重量%を越えないキシレン可溶物濃度を有して達成される。
【0006】
他の具体例において、本発明は、担体上に分散された坦持メタロセン触媒成分を含んでなり、得られるMCSが約20−約80グラム/秒の範囲の流動性値を有するヘテロ相ポリマ−を製造しうる、MCSを提供する。一般にヘテロ相ポリマ−のキシレン可溶物含量は15.0重量%以下である。
【0007】
他の具体例において、シリカは1つまたはそれ以上のメタロセン触媒成分を坦持させるために使用しうる。そのようなシリカ坦持メタロセン触媒成分は、重合条件下に、低キシレン可溶物濃度を有し、一方で約20−約80グラム/秒の範囲の流動性値を有するヘテロ相ポリマ−生成する。
【0008】
本発明の他の具体例は、MCSの製造法を含む。そのような方法は、メタロセン触媒成分の、シリカ担体への坦持を含む。この担体は、ヘテロ相ポリマ−の製造に対するMCSの使用時に、得られるヘテロ相ポリマ−が15.0重量%以下のキシレン可溶物濃度を有し、且つ約20−約80グラム/秒の範囲の流動性値を有するものであるように、MCSを製造するための細孔容積及び表面積分布を規定する表面を有する。
【0009】
他の具体例において、本発明は2つの工程または2つの重合域工程でMCSを使用することを含んでなるヘテロ相ポリマ−の製造法を提供する。そのような方法は、バルクまたは気相であってよいオレフィンモノマ−のホモポリマ−マトリックスを製造するための第1域においてオレフィンモノマ−を重合させることを含んでなり、そのようなホモポリマ−マトリックスは第1の域と同一のまたは同様のMCSの存在する第2の重合域においてゴム前駆体成分の存在下に更に重合せしめられて、公知の方法で製造されるそのようなポリマ−よりも大きい流動性と低キシレン可溶物含量を有するヘテロ相ポリマ−を生成する。第1及び第2の域は同一でも異なってもよい。本方法は1つより多い第1及び/または第2重合域を有することができる。
本発明をより完全に理解するために、添付する図面と関連した記述を参照することができる。
【0010】
本発明は、上述したように、その具体例の1つにおいて、約20−約80グラム/秒の流動性値を有するヘテロ相ポリマ−組成物を与える。一般にそのようなヘテロ相ポリマ−は15.0重量%以下のキシレン可溶物を有するであろう。そのようなヘテロ相ポリマ−は、粒状シリカを用いてメタロセン触媒成分を坦持させたMCSを用いて製造しうるものである。そのようなMCSは、更に多工程、例えば2つの工程または重合工程域、例えば第1及び第2域の触媒として使用される。但しこの第1及び第2域は同一でも異なってもよく、第1域ではオレフィンモノマ−を重合させてそのようなオレフィンモノマ−のホモポリマ−マトリックスを生成させる、次いでそのようなホモポリマ−をゴム前駆体の存在下第2工程で更に重合させて少なくとも上に定義した性質を有するヘテロ相ポリマ−を生成させる。この場合、1つよりも多い第1及び/または第2重合域が存在してもよい。
【0011】
上述したヘテロ相ポリマ−組成物の製造に使用されるMCSはシングルサイト触媒、例えば一般に式
[L]Me[A] (1)
[式中、Lは暈高な配位子であり、Aは脱離基であり、Meは遷移金属であり、そしてm及びnは全配位子の価数が遷移金属の価数に相当するようなものである]
で表せる暈高な配位子の遷移金属化合物のメタロセン触媒であってよい。
【0012】
配位子L及びAは、互いに架橋されていてよく、2つの配位子LまたはAが存在する場合にはそれらが架橋されていてもよい。メタロセン化合物は、例えばシクロペンタジエニル配位子(Cp)またはシクロペンタジエン誘導体配位子であってよい2つまたはそれ以上の配位子Lを有する完全なサンドイッチ化合物或いはシクロペンタジエニル配位子(Cp)またはシクロペンタジエン誘導体配位子である1つの配位子Lを有する半サンドイッチ化合物であってよい。配位子の他の例は、フルオレニル(Flu)、またはインデニル(Ind)、アズレニルまたはベンゾインデニル基及びこれらの置換誘導体を含む。
【0013】
遷移金属原子は、周期律表第4、5、または6族遷移金属及び/又はランタニド及びアクチニド系からの金属であってよい。ジルコニウム、チタン、及びハフニウムは望ましい。この遷移金属には他の配位子、例えばこれに限定されはしないがハロゲン、ヒドロカルビル、水素、またはいずれか他の1価のアニオン性配位子のような脱離基が結合していてもよい。架橋されたメタロセンは、例えば一般式
RCp(R´)Cp´(R)MeQn (2)
[式中、Meは遷移金属元素を示し、Cp及びCp´はそれぞれ同一でも異なってもよく且つそれぞれ炭素数1−20のR´及びR基で置換されていても置換されていなくてもよいシクロペンタジエニル基を示し、Qはアルキルまたは他のヒドロカルビルまたはハロゲン基から独立に選択でき、nは1−3の範囲の数であり、そしてRはシクロペンタジエニル環の間に延びる構造的架橋である]
によって表すことができる。他の具体例においては、1つよりも多いR´及び/又はR基が存在していてもよい。
【0014】
アイソタクチックポリオレフィンを製造するためのメタロセン触媒の例は、本明細書に引用により包含される米国特許第4,794,096号及び第4,975,403号に開示されている。これらの特許は、オレフィンを重合してアイソタクチックポリマ−を生成し且つ高アイソタクチックポリプロピレンの重合に特に有用であるキラルで、立体剛直なメタロセンを記述している。そのようなアイソタクチックポリプロピレンは、それを第2の気体反応相へ導入した時に本明細書に記述するヘテロ相ポリマ−を製造する点で重要である。他のメタロセン触媒の例は、全体が本明細書に引用により包含される例えば米国特許第4,530,914号、第4,542,199号、第4,769,910号、第4,808,561号、第4,871,705号、第4,933,403号、第4,937,299号、第5,017,714号、第5,026,798号、第5,057,475号、第5,120,867号、第5,132,381号、第5,155,180号、第5,198,401号、第5,278,119号、第5,304,614号、第5,324,800号、第5,350,723号、第5,391,790号、第5,436,305号、第5,510,502号、第5,145,819号、第5,243,001号、第5,239,022号、第5,329,033号、第5,296,434号、第5,276,208号、第5,672,668号、第5,304,614号、第5,374,752号、第5,510,502号、第4,931,417号、第5,532,396号、第5,543,373号、第6,100,214号、第6,228,795号、第6,124,230号、第6,114,479号、第6,117,955号、第6,087,291号、第6,140,432号、第6,245,706号、第6,194,341号、及びヨ−ロッパ特許第549900号、第576970号、第611773号、及びWO第97/32906号、第98/014585号、第98/22486号、第00/12565号に開示されている。
【0015】
ある具体例において、メタロセン触媒は、式
ビス(C5−n(R)MeQp (3)
[式中、各(C5−n(R)はシクロペンタジエニル環のような置換された5員環であり、nは置換可能な位置数を越えないかぎり1−4の範囲であってよい]
で特徴付けられるアイソ特異性の立体剛性(rigid)なメタロセンである。各Rは同一または異なり、且つ水素または炭素数1−20のヒドロカルビル基である。Rは2つの(C5−n(R)環がMeに対してラセミまたはメソ配置で存在するメタロセンに立体剛性を付与する2つの(C5−n(R)環間の構造的架橋である。Rは炭素数1−20のアルキレン基、シリコンヒドロカルビル基、ゲルマニウムヒドロカルビル基、燐ヒドロカルビル基、窒素ヒドロカルビル基、ホウ素ヒドロカルビル基、及びアルミニウムヒドロカルビル基からなる群から選択される。Meは周期律表第4、5、または6族の金属であり、各Qは独立に炭素数1−20のヒドロカルビル基から選択され、またはハロゲンであり、そして0≦p≦3である。本発明の1つの具体例において、普通の架橋基はRに対してPhCまたはPhSi−であり、但しR基は炭素数10または11である。
【0016】
有利には、(C(R)基は置換されたまたは置換されてないインデニル基である。他の具体例において、メタロセンはラセミ体ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリドであってよい。更に他の有利な具体例において、メタロセンはラセミ体ジメチルシランジイルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ラセミ体ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4、5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド及びラセミ体ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−(1−ナフチル)インデニル)ジルコニウムジクロリドからなる群から選択しうる。
【0017】
ある他の具体例において、上のRビス(C5−n(R)MeQp式は次のように書き換えることができる:
ビス(C5−m(R)MeQp (4)
[式中、Xはホウ素(B)、アルミニウム(Al)、窒素(N)、燐(P)、酸素(O)、または硫黄(S)を含む群から選択されるヘテロ原子であってよく、mは0、1または2であってよい]。
更にR基は1つよりも多い場合同一であってもよく、またB、Al、N、P、O、またはSを含んでなる群の1つまたはそれ以上のヘテロ原子を含んでもよく、そしてヘテロ原子を含む非環式、またはヘテロ原子が融合環系の一部として導入されていてもよい融合環のような環構造であってよい。そのような融合環系の例は、硫黄ではチオフェン及びチエニル基、酸素ではフラン、窒素ではピロ−ル、及びホウ素ではボラトベンゼンを含む。ヘテロ原子はCpインデニル及びフルオレニル型の触媒における側鎖基または架橋基としても使用しうる。
【0018】
他の具体例において、メタロセン触媒は置換されたシクロペンタジエニルフルオレニル配位子構造を含み、式
X(CpRR´)(FlRn´
[式中、Cpはシクロペンタジエニル基であり、Flはフルオレニル基であり、Xは立体剛性をメタロセンに付与するCp及びFl間の構造的架橋であり、Rはシクロペンタジエニル基上の置換基であり、nは1または2であり、R´は架橋のプロキシマル位におけるシクロペンタジエニル基上の置換基であり、mは1または2であり、各Rは同一でも異なってもよく且つ炭素数1−20のヒドロカルビル基であり、但しRはフルオレニル基上の非プロキシマル位で置換され且つ少なくとも1つの他のRはフルオレニル基上の反対の非プロキシマル位で置換され、そしてn´は2または4である]
で特徴付けられる。触媒がヘテロ原子を含む場合、それは好ましくは一般式
X(CpRR´)(FlRn´)(MQ
[式中、Mは第IV族遷移金属及びバナジウムから選択されるヘテロ原子であり、そしてQはハロゲンまたはC−Cアルキル基である]
を有する。そのような触媒の例は、本明細書に引用により包含される米国特許第6,559,089号及び第5,416,228号に見出すことができる。ここに「担体」とは、しばしば多孔性担体材料、例えばタルク、無機酸化物、または無機ハライドであるいずれかの多孔性または非多孔性担体材料に関する。無機酸化物及び無機ハライドは、第2、3、4、5、13及び14族からのものを含む。無機酸化物の典型的な例は、SiO、Al、MgO、ZrO、TiO、FeO、B、CaO、ZnO、BaO、ThO、または混合無機酸化物、例えばSiO−MgO、SiO−Al、SiO−TiO、SiO−V、SiO−Cr、SiO−TiO−MgO、ゼオライト、粘土、などを含む。無機ハライドは、MgClで例示できる。望ましくは本発明のMCSの担体は、重合工程で使用されるMCSに包含せしめる場合、上に定義したヘテロ相ポリマ−の生成を起こすような細孔容積及び表面積分布を有するものである。担体の例は、これに限定されはしないが、シリカ、粘土、アルミナ、MgCl、ジルコニア、タルク、及びけいそう土である。シリカ担体は通常粒状である。シリカ担体は、実質的に球形で、約1−約100ミクロンまたは約20−約80ミクロンの範囲の平均粒径を有することができる。しかしながら本発明の1つの具体例は、約10−約33ミクロンまたは約10−約20ミクロンの範囲の平均粒径を有するシリカ担体を含む。この具体例は、約600ミクロン未満の平均直径を有するが、例えばある具体例では少なくとも約0.40g/cc及び他の具体例では少なくとも0.44g/ccの望ましく高い暈密度を有する、より小さい寸法のポリマ−フラフ(fluff)の製造に寄与しうる。本発明の他の具体例において、ポリマ−フラフは、約0.30−約0.55g/ccの暈密度を有する。
【0019】
更に本発明の担体は約1−約3.5cc/gの平均全細孔容積を有することができる。本発明の1つの具体例において、それは約1.4−約1.8cc/gである。他の具体例において、細孔容積は少なくとも約1.51cc/gであり、他の具体例においては少なくとも約1.79cc/gである。しかしながら、最高の細孔容積は500ml/gを越えるべきでない。本発明の多くの具体例において、担体は少なくとも約273m/gまたは他の具体例においては少なくとも約311m/gの平均全表面積を有する。
【0020】
他の具体例において、MCSは約240オングストロ−ムより大きいが320オングストロ−ムより大きくない細孔直径において、約0.12mL/gより大きいまたは約0.137mL/gより大きいピ−ク細孔容積(図2を参照)を有するシリカ担体を含む。ピーク細孔容積において、細孔直径は本発明の多くの具体例において約240−約440オングストロ−ムの範囲である。他の有利な具体例において、担体は約270−約330オングストロ−ムの細孔直径において少なくとも約0.12mL/gのピ−ク細孔容積を有する。
【0021】
他の具体例において、MCSのシリカ担体は、約16m/gより大きいが32m/gより大きくないピーク表面積を有するものである(参照図3)。本発明の殆どの具体例において、ピーク表面積は約240オングストローム以上の細孔直径において18m/gより大きいが24m/gより大きくない。しかしながら、いくつかの具体例では、約8−約24m/gのピーク表面積において、細孔直径は約240−約400オングストロームの範囲である。
【0022】
本明細書で使用するとき「細孔容積」及び「表面積」とは、それぞれ担体の細孔容積及び表面積パラメーターに関し、特別な担体中に存在する細孔直径の全範囲に対して測定されたパラメーターである。これらのパラメーターは例えば通常の気体の吸着/脱着技術により、またブルナウア(Brunauer)、エメット(Emmett)及びテラ−(Teller)(BET)法を用いて測定されるような、それぞれ全平均細孔容積または全平均表面積として表すことができる。
【0023】
担体物質中に存在する細孔直径の範囲にわたる細孔容積及び表面積の分布は、通常の方法、例えばバレット(Barrett)−ジョイナ−(Joyner)−ハレンダ(Halenda)(BJH)法及びオリバ−(Oliver)−コンクリン(Cobklin)密度ファンクション理論(density function theory)(DFT)を用いて測定することもできる。そのようなデータは特別な細孔直径の範囲における最大またはピーク細孔容積或いは最大またはピーク表面積として表現できる。本明細書で更に説明されるように、異なる細孔容積及び表面積分布を有する担体は、異なるメタロセン触媒及び活性剤坦持機構、及び重合挙動も示しうる。
【0024】
一般に本発明のMCSの製造において、活性剤はメタロセン触媒及び担体と連携して使用される。ここに使用するごとき活性剤とは、1つまたはそれ以上のメタロセン触媒がオレフィンをホモポリマ−、コポリマ−または他のヘテロ相ポリマ−としてポリオレフィンに重合する能力を高揚させることのできる化合物または成分、或いは化合物または成分の組合わせ物に関するものである。特に有用な種類の活性剤はアルモキサンの形を取っていてもよい有機アルミニウム化合物、例えばMAOまたは変性アルキル−アルミノキサン化合物に基づく。アルモキサン(アルミノキサンとも言及される)はアルミニウムと酸素原子が交互に存在する鎖を含む、但しアルミニウムが例えばアルキル基のような置換基を有するオリゴマ−状またはポリマ−状アルミニウムオキシ化合物である。
【0025】
アルモキサンは典型的には、水と、アルキル基の他にハライドまたはアルコキシド基を含んでいてもよいアルミニウムアルキルとの反応生成物である。いくつかの異なるアルミニウムアルキル化合物、例えばトリメチルアルミニウム(TMA)及びトリイソブチルアルミニウムを正確に化学量論量の水と反応させると、いわゆる変性されたまたは混合されたアルモキサン活性剤が得られる。他の活性剤を製造するための非加水分解法は、同業者のよく知るところである。本発明で有用なアルモキサンは、MAO及び少量の他の高級アルキル基、例えばイソブチルで変性されたMAOである。アルモキサンは一般に少量ないし実質的な量の出発アルミニウムアルキル化合物を含む。
【0026】
アルモキサンには種々の製造法がある。これは、本明細書に引用により全体が包含される米国特許第4,665,208号、第4,952,540号、第5,091,352号、第5,206,199号、第5,204,419号、第4,874,734号、第4,924,018号、第4,908,463号、第4,968,827号、第5,308,815号、第5,329,032号、第5,248,801号、第5,235,081号、第5,103,031号、及びヨ−ロッパ特許願第0561476号、ヨ−ロッパ特許第0279586号、ヨ−ロッパ特許願第0594218号、及びWO第94/10180号に記述されているが、これは例にすぎない。本明細書で使用するとき、特に断らない限り、「溶液」とは懸濁液を含む如何なる混合物をも指す。
【0027】
イオン化活性剤もメタロセンを活性化させるために使用できる。これらの活性剤は中性またはイオン性の、或いは中性メタロセン化合物をイオン化させる有機ホウ素化合物、例えばトリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルロフェニル)ボレ−トである。そのようなイオン化化合物は、活性なプロトン、或いは配位しないまたは緩く配位するにすぎないイオン化する化合物の残りのイオンと結合するいくつかの他のカチオンを含んでいてよい。活性剤の組合わせ物、例えばアルモキサン及びイオン化活性剤を組合わせても使用できる。参照、例えば本明細書に引用により包含されるWO第94/07928号。
【0028】
非配位アニオンで活性化されたメタロセンカチオンを含んでなる配位重合のためのイオン性触媒は、(本明細書に引用により包含される)ヨ−ロッパ特許願第0277003号、ヨ−ロッパ特許願第0277004号、及び米国特許第5,198,401号及びWO第92/00333号に記述されている。これらはメタロセン、例えばビスCp及びモノCpが、アルキル/ヒドリド基が遷移金属から引き抜かれてそれを非配位アニオンによりカチオン及び荷電を均衡できるように、アニオン前駆体によってプロトン化されている、製造法を教示している。適当なイオン性の塩は、テトラキス置換ボレ−ト、またはフッ素化されたアリ−ル構成分、例えばフェニル、ビフェニル及びナフチルを有するアルミニウム塩を含む。
【0029】
本明細書に使用するごとき非配位アニオン(NCA)は、カチオンに配位しないまたはカチオンに弱くしか配位しないで、中性のルイス塩基で置換できる十分不安定なままでいるアニオンに関するものである。「適合性」非配位アニオンは、最初に形成された錯体が分解する時に中性へ分解しないものである。更にそのアニオンは、アニオン性置換基またはフラグメントをカチオンヘ移動させないで、中性の4配位メタロセン化合物及びアニオンからの中性の副生物を生成する。
【0030】
活性プロトンを含まないが、活性なメタロセンカチオン及び非配位アニオンの両方を生成しうるイオン化するイオン性化合物を使用することも公知である。参照、例えば(本明細書に引用により包含される)ヨ−ロッパ特許願第0426637号及びヨ−ロッパ特許願第0573403号。イオン性触媒の更なる製造法は、最初中性のルイス酸であるが、メタロセン化合物とのイオン化反応時にカチオン及びアニオンを生成するイオン化アニオン前駆体、例えばトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを使用する。参照、例えば(本明細書に引用により包含される)ヨ−ロッパ特許願第0520732号。付加重合のためのイオン性触媒は、遷移金属化合物の金属中心を、金属酸化基をアニオン基と共に含むアニオン前駆体によって酸化することでも製造できる。参照、(本明細書に引用により包含される)ヨ−ロッパ特許願第0495375号。
【0031】
金属配位子がハロゲン残基を含む場合、例えば標準的な条件下にイオン化引き抜きをしえないビスシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリドの場合、それは公知の有機金属化合物、例えばリチウムまたはアルミニウムハイドライド或いはアルキルまたはアルキルアルモキサンとのアルキル化反応により転化できる。グリニア試薬及び他の反応は同業者のよく知るところである。活性化するアニオン性化合物の添加に先立つまたはそれと同時の、アルキルアルミニウム化合物のジハロ置換メタロセン化合物との反応を記述する現場法に関しては、(本明細書に引用により包含される)ヨ−ロッパ特許願第0500944号及びヨ−ロッパ特許願第0570982号を参照のこと。
【0032】
メタロセンカチオン及びNCAを含んでなるイオン性触媒の坦持法は、(本明細書に引用により全体が包含される)米国特許第5,643,847号、第6,143,686号、及び第6,228,795号に記述されている。担体組成物を使用する場合、これらのNCA担持法は、一般にルイス酸が共有結合するように、シリカ表面上に存在するヒドロキシル反応性感応基と反応するのに十分強力なルイス酸である中性アニオン前駆体を使用することを含む。
【0033】
更にメタロセンの坦持された触媒組成物に対する活性剤がNCAである場合、普通NCAを先ず担体組成物に付加し、次いでメタロセンを添加する。活性剤がMAOの場合には、MAO及びメタロセンを一緒に溶液に溶解してもよい。次いで担体をMAO/メタロセン溶液と接触させる。他の方法及び添加順序は同業者には明らかであろう。
【0034】
本発明の他の観点は、MCSの製造法である。この方法は、実質的に担体全体に分散されたメタロセン触媒を有する活性剤変性担体を与えて、MCSを調製することを含む。担体は、MCAに使用する時、一般的に流動性値を有するが、一方で先に議論したようなキシレン可溶物含量を有するヘテロ相ポリマ−を製造しうるMCSをもたらすであろう。
【0035】
MCSの製造法は、本発明の高多孔性担体、例えばシリカの損傷をさけるように設計された特別な取扱条件を含む。例えばある具体例において、活性剤を担体と一緒にする工程は、担体の損傷を回避するような撹拌条件下に、活性剤が担体の細孔容積まで実質的に担体の細孔内まで分散されるように、活性剤を担体と混合することを含む。例えばMAOは、シリカ担体の構造を損傷しないように、MAOをシリカ全体と接触させ且つ付着させる期間中、穏やかに撹拌し、混ぜ合わせ、揺り動かしつつ、トルエン/シリカスラリ−に添加する。次いでメタロセン触媒を活性剤の含浸されたシリカ担体に付着させてMCSを製造することができる。
【0036】
本発明の方法において、オレフィンモノマ−は第1工程において重合条件下にMCSと接触せしめられて、そのようなオレフィンモノマ−のホモポリマ−を生成する。本発明のホモポリマ−は、しばしば少なくとも98%のメソダイアッド含量の実質的にアイソタクチックである。ここで本発明の目的に対して、メソダイアッド含量は同一の相対的立体配置を有するポリマ−鎖に沿う2つの導入されたモノマ−に関するものである。そのようなホモポリマ−は、一般に10のメルトフロ−(MF)と0.35g/ccの暈密度を有するものであろう。次いでこのホモポリマ−を、本発明にしたがって、第2の反応工程において、MCSの存在下にゴム前駆体と接触せしめる。この結果ゴム前駆体はホモポリマ−マトリックスの存在下に重合して、ゴムを含有するヘテロ相ポリマ−を形成する。このMCSは両重合工程において同一でも異なってもよい。
【0037】
ホモポリマ−マトリックスを製造するための第1の反応工程で重合しうるオレフィンモノマ−は一般に炭素数3−20のα−オレフィンを含む。プロピレンは本発明のヘテロ相ポリマ−を製造する第1の反応工程に有用なオレフィンモノマ−の例である。本発明の典型的な具体例においては、プロピレン及び水素を第1の反応器で反応させ、次いでエチレン、プロピレン及び水素を含む第2の反応器へ送る。時に少量のエチレンを第1の反応器へ添加して、曲げモジュラスを減じ且つ衝撃性能を改善する目的のためにミニランダムなコポリマ−を生成させてもよい。
【0038】
一般に本発明の方法において、モノマ−は約50−約75℃の反応温度を含む第1の反応域においてMCSと接触させることができる。反応時間は約15分ないし約4時間であり、また反応域はH及びトリエチルアルミニウム(TEA)を更に含む。本発明の1つの具体例において、Hは約0−約500ppm mMまたは約0−約300ppmの範囲である。TEAは約10−300ppmの範囲、例えば約100ppmである。炭化水素希釈剤も反応媒体中で使用できる。例えばヘキサン、イソブタンなどのような希釈剤は本発明の方法で使用しうる。
【0039】
ゴム画分を製造するためのオレフィンモノマ−の重合法は、1つまたはそれ以上のオレフィンコモノマ−、例えばエチレン及びプロピレンを含む。他のコモノマ−の例は、限定するものではないが1−ブテン、4−メチルペンテン、イソブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、及びこれらの混合物を含む。このコモノマ−を約60−75℃の反応温度で、約15分ないし約4時間MCSと接触せしめる。コモノマ−は約30:70−約70:30の範囲、通常は約50:50のコモノマ−:Pの比で、流体として供給しうる。2Lの反応器において使用される全コモノマ−気体流の範囲は、約2−約15L/分または約6−約10L/分の範囲である。Hは約0−約100cc/分の範囲または約80cc/分の速度で供給しうる。この反応工程の圧力は約50psi(約345kPa)−約100psi(約690kPa)の範囲であり、例えば約80psi(約550kPa)である。
【0040】
すぐ上に記述したような流速などは実験室規模での重合である。商業的なポリオレフィンの製造ラインでは、流速はかなり高く、生産量も非常に高くなろう。本発明の方法は実験室またはパイロットプラント規模で使用できるが、それはポンドよりもトン量のポリマ−を製造する商業的製造装置のためにデザインされ、それに使用することができる。
【0041】
本発明のヘテロ相ポリマ−は、多段反応器、例えば2つまたは3つの直列で運転される多段反応器で製造することができる。ある具体例においては、ホモポリマ−を第1の重合反応域で製造する。次いでゴム画分を、第2の反応器において且つ第1の反応域のホモポリマ−の存在下に、第2の反応域または工程で重合せしめる。
【0042】
本明細書に使用するごとき反応工程または域とは、ヘテロ相ポリマ−の1つの成分、例えばホモポリマ−マトリックスが製造される重合工程の一部として定義される。1段または多段反応器、例えばル−プ、気相(垂直または水平)反応器、またはこれらの組合わせが各反応工程に使用できる。水素ガス(H)は分子量(MW)、分子量分布(MWD)、固有粘度(IV)、およびMFを制御するために1つまたは両方の反応工程に添加できる。そのような目的のためにHを使用することは同業者の知るところである。
【0043】
上述した反応域は、すでに記述したように、同一のまたは異なる重合法及び重合様式を用いて運転できる。例えば各域は液体、スラリ−、溶液、懸濁、バルクまたは気相で、或いは塊状重合で操作することができ、回分式または連続式で運転することができる。本発明の多くの具体例において、第1反応域の操作は液体またはバルク相を用いて行われ、第2反応域の操作は気相で行われる。本明細書で使用するごとき液相重合は断らない限り液体スラリ−相を含むものである。
【0044】
本発明のシリカ担体を含むMCSを用いて製造されるヘテロ相ポリマ−は約500−約4,000ミクロンの中央粒径を有することができる。他の具体例においては、中央粒径が約1,000−約3,000ミクロンであってよい。ゴム画分の中央粒径は0.01−100ミクロンの範囲内であってよい。
【0045】
これらのヘテロ相ポリマ−は普通所望の最終用途に依存して調節できるメルトフロ−を有するが、典型的には約0.1−100g/分または約1−約100g/10分の範囲内にあろう。他の具体例において、ヘテロ相ポリマ−は約130−約165℃、または約145−155℃、または更に約149−約151℃の溶融温度(Tm)を有する。
【0046】
第1反応工程で製造されるホモポリマ−マトリックスは例えばプロピレンのホモポリマ−であってよいけれど、ある具体例では少量のコモノマ−を第1反応域へ包含させて、得られる第1の反応域のポリマ−マトリックスに特別な性質を持たせてもよい。コモノマ−を添加する場合、その量は一般に主モノマ−の10重量%未満である。しかしながらそのようなコモノマ−は、存在する場合、約1重量%未満の量で存在するであろう。そのようなコモノマ−はエチレン及び炭素数2−20を有するいずれかのエチレン系不飽和炭化水素、例えば1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセンまたは1−オクテンを含む。そのようなコモノマ−を使用する最終結果は、低剛直性であるが、ホモポリマ−に比べていくらかの衝撃強度を有するコポリマ−マトリックス製品を生成する。
【0047】
本発明のシリカ担体を含むMCSを用いて第1の反応工程で製造されるホモポリマ−は、多くの具体例において、狭い分子量分布MWDcry、即ち4.0以下、または3.0以下の分布を有する。このMWDcryはポリマ−の非晶質「ゴム相」の分子量分布Mw/Mnとして定義される。これらの分子量分布は、ビスブレ−キング(visbreaking)の不存在下に、例えばペルオキシドの添加により、或いは分子量を減じるために設計された他の後反応器処理により得られる。第1反応工程のホモポリマ−は、少なくとも100,000または少なくとも200,000の重量平均分子量及び少なくとも約145℃または少なくとも約150℃の融点(MP)を有していてよい。本発明の或る具体例において、第1反応工程のホモポリマ−は約152℃−約155℃の融点を有する。
【0048】
第2反応工程で用いるゴムは、低分子量オレフィン成分、例えばエチレン及び高分子量成分、例えばプロピレンを含んでなるコポリマ−であってよい。低または高分子量オレフィンのいずれかは、炭素数2−20のエチレン系不飽和炭化水素を含むことができる。しかしながらコポリマ−をなす低または高分子量成分の他の組合わせ物も、所望の特別な生成物の性質に依存して使用できる。例えばプロピレン/1−ブテン、プロピレン/1−ヘキセン、1−ヘキセン/1−オクテン、またはエチレン/1−ブテンが使用できる。更に第2反応工程のコポリマ−は、タ−ポリマ−、例えばプロピレン/エチレン/ヘキセン−1のタ−ポリマ−であってもよい。
【0049】
本発明の実施において、コポリマ−のゴム成分は、ヘテロ相ポリマ−の約8−約15.0重量%であり、またしばしば約10−約12重量%である。コポリマ−のコモノマ−比(低MW成分:高MW成分)は一般に約20:80−約80:20または約40:60−約60:40または約50:50の範囲にある。例として、低分子量オレフィンコモノマ−は、少なくとも約20モル%のエチレンまたは約40−約80モル%のコモノマ−混合物を含んでいてよい。ゴム画分におけるコモノマ−の比は、特に予期される用途に依存して期待される特別な性質をICPに与えるように調節できる。
【0050】
ゴム画分は、約5.0、以下、約4.0、以下、更に約3.5、以下の狭い分子量分布(MWDrub−Mw/Mn)を有することができる。本発明のいくつかの具体例において、コポリマ−のゴム画分は3.0、2.5またはそれより低いMWDrubを有することができる。これらの分子量分布はビスブレ−キングの不在下に、ペルオキシド処理、または分子量を減じるために設計された他の後反応器処理により得られる。ゴム画分は少なくとも100,000、少なくとも150,000、または少なくとも200,000の重量平均分子量を有していてよい。
【0051】
ゴム画分は約1dL/g以上または約2.00dL/g以上の固有粘度(IV)を有することができる。ここで使用するごとき「IV」とは、ポリマ−組成物が無限の希釈である時、ポリマ−例えばゴム画分の与えられた溶媒中溶液の、与えられた温度における粘度に関するものである。通常の方法、例えばASTM D1601−78の方法は、適当な溶媒、例えばデカリン中ポリマ−の一連の濃度及び温度、例えば135℃においてIVを測定するために使用できる。
【0052】
本発明のヘテロ相ポリマ−のゴム画分は、約5:1未満のまたは例えば1:1の低及び高分子量成分に対するMCSのコモノマーに対する反応比を有するMCSにより付与される低結晶性を有することができる。ある具体例において、ヘテロ相ポリマ−は約10未満、約7未満、または約4未満の、低分子量コモノマ−、例えばエチレンの一連の連続性を有することができる。同様にヘテロ相ポリマ−は約15未満、約12未満、または約5未満の、高分子量コモノマ−、例えばプロピレンの一連の連続性を有することができる。
【0053】
本発明を記述して、同一のことが以下の実験を参照するとより明らかになるであろう。但し実験は例示の目的だけで呈示され、また本発明を限定するものと見なすべきでないことを理解されたい。例えば以下に記述される実験は実験室またはパイロットプラント装置で行いうるけれど、同業者は特定の数、寸法、及び量を大規模な製造プラントに対する適当な値に調節することができるであろう。
【実施例】
【0054】
次の実施例は本発明を例示するために記述される。しかしながら、これらは、本発明の範囲をいかなる具合にも限定するものとして解釈すべきではない。
【0055】
本発明を例示するために、3つの商業的に入手できるシリカ担体を、坦持メタロセン触媒へ使用することに関して試験且つ比較する目的で選択した。これらは、(1)バレ−・フォ−ジ(Valley Forge、PA)のPQ社から得られる製品番号MS−1733のシリカ、(2)日本のフジ・シリシア・ケミカル(Fuji Silysia Chemical)社から得られる製品番号P−10のシリカ、及び(3)コロンビア(columbia,MD)のグレ−ス・ダビソン・ケミカルズ(Grace Davison Chemicals)の、シロポル(Sylopol)948または単にG−948として同定されるシリカ、である。
【0056】
3つのシリカ担体の平均粒子寸法は、ヘキサンまたはアセトンをキャリアとして使用する通常のマルバ−ン・サイザ−(Malvern sizer)及び通常の技法を用いて決定した。細孔特性(即ち細孔容積、表面積、細孔直径及び分布)の分析は、吸着及び脱着等温線の通常の測定に対して、吸着質として窒素を用いることにより、ASAP2400[ミクロメリチックス・インスツルメント社(Micromeritics Instrument Corp.,Norcross,GA)]を用いて行った。データはBETモデルを用い、全表面積、全細孔容積、及び平均細孔直径の計算に使用した。更に、データを解析して、BJH法及びDFTを用いて細孔容積及び表面積分布を決定した。
【0057】
表1は、溶媒としてヘキサンを用いるマルバ−ンサイザーからのデータを用いて得た3つの担体に対する全表面積、全細孔容積及び平均細孔直径及び平均粒子寸法を要約する。平均細孔直径は、断面が円形の円柱状細孔構造を仮定して計算した。平均粒子寸法(D50)は細孔容積のデータに基づく。MS−1733の全表面積、全細孔容積、及び平均粒子寸法は、G−948及びP−10担体の対応する値より実質的に高かった。
【0058】
3つのシリカ担体に対する細孔容積及び表面積分布を測定した。円柱状細孔の集積とする吸着剤(シリカ担体)のモデルに基づいて、BJH法をそれらの分布の計算に使用した。この計算値は、順次半球形の液体−蒸気メニスカス及びよく定義される表面張力を仮定する古典的ケルヴィン方程式(表面張力の自由エネルギー)を用いる細孔におけるキャピラリ−凝縮を説明する。計算は参照等温線を用いることにより、ケルヴィン方程式が「コア」液体に適用されるだけであるように吸着された層を薄くすることも含んでいる。
【0059】
更にDFTを、ASAP2400装置からのデータを解釈するために通常の数学的、統計的、及び数的技法を用いて分布の計算をするために使用した。DFTは直径4−1000オングストロームの全吸着等温線を解析するための統一された手法を提供する。最小から最大に至るすべての細孔を、BJH−DFT換算(reduction)といわれる単一データ整理技術を用いて報告する。これは吸着活性の概念的イメージを提供する。
【0060】
上述したように、表1は3つのシリカ担体に対する表面積、細孔容積、平均細孔直径及び平均粒子寸法を要約する。図1はMS−1733シリカ、P−10及びG−948シリカに対する細孔直径に関する細孔容積分布の比較BJH−DFT分析結果を例示し、また3つの担体にする細孔直径に関する表面積分布のBJH−DFT分析結果も例示する。ピ−ク細孔容積及び表面積の両方は約300オングストロ−ムに現れる。
【0061】
【表1】

【0062】
本発明を例示する次の段階として、3つのシリカ担体に活性剤を負荷した。用いた活性剤はアルベマ−ル社(Albemarle Corp.,Baton Rouge,LA)からのMAOであった。MS−1733担体及び比較の目的のP−10及びG−948担体への活性剤の負荷を測定した。2つの別の実験(1)及び(2)をMS−1733及びG−948担体に対して行った。一方P−10は1つの実験だけを行った。シリカ担体とMAO間の反応は、本明細書に引用により包含されるゴ−チア(Gauthier)らの米国特許願第09/782,752号及び第09/782,753号に記述されるように行なった。すべてのシリカ担体を6mL/分の窒素流下に12時間150℃で乾燥した。MAOのトルエン中シリカへのグラフト化は115℃で4時間行い、次いでろ過して可溶性Alを除去した。MAO:シリカの出発濃度比は、下の表2(「出発」)に示される。予備実験から、P−10及びG−948担体に対してMAO:シリカの出発濃度比を0.65以上に増加させても担体上の最終MAO負荷量を増加させないことは公知である。グラフト化後の処理は、MAO変性シリカ担体のろ過及び何回かのトルエン洗浄を含み、過剰のAl種を除去した。次いでMAO変性シリカ担体を、通常の手段により、アルミニウム分析でMAOの負荷量を測定した。表2(「最終」)に示されるような3つのMAO変性シリカに対して達成される最終MAOグラフト化の量は、MS−1733に対しては、P−10及びG−948対してよりも少なくとも約22.6%高かった。
【0063】
MAO変性シリカ担体の粒子寸法分布分析は、上述したマルバ−ン・サイザ−をアセトン中で用いて行った。分析結果を図3に例示する。MAO変性MS−1733は約35ミクロンに中心のある最大のピーク粒子寸法を有し、一方MAO変性G−948及びP−10はそれぞれ約30及び約27ミクロンに中心のある最大のピーク粒子寸法を有した。
【0064】
更に表2は、本発明に従い、上述したシリカ担体を用いて製造したMCSの、ホモポリマ−相の製造に対する触媒活性(CA)を示す。MCSの製造において、メタロセン触媒、ラセミ体ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリドを、上述したように製造したMAO変性シリカに負荷した。このMCSを製造するために、MAO変性シリカ約2.5gを窒素下に室温でトルエン25mlと混合した。トルエン約10ml中メタロセン(約25mg;2重量%メタロセン負荷として示す)を、穏やかに撹拌しながらMAO変性シリカに添加した。混合物を室温(22℃)で約2時間反応させた。次いでMCSをろ過し、トルエン(3x10mL)で3回及びヘキサン(3x10mL)で3回室温で窒素下に洗浄した。室温で真空下に一定重量になるまで乾燥した後、MCSを鉱油約25gに希釈し、スラリ−として分離した。
【0065】
ホモポリマ−の製造に対するMCSの触媒活性(CA)を、ゴ−チア(Gauthier)らの米国特許願第09/782,752号及び第09/782,753号に記述された方法に従って測定した。概述すると、他に述べない限り、重合は通常の4Lオートクレーブのジッパ−クレ−ブ(Zipperclave)反応器室中において約24ミリモルのH、約1300gのプロピレン、及び約90mgのTEAの存在下に約67℃で1時間バルク相で行った。MS−1733を用いる実験(1)及び(2)に対しては、約15mg及び約20mgのMCSを使用した。G−948及びP−10を用いて行ったすべての測定は、同一の条件下に行ったが、MCSを約25mg使用した。触媒活性は、毎時MCSg当りに生成するプロピレンのg(g/g/時)として表した。表2に例示するように、MS−1733から作られたMCSはホモポリマ−相の製造に対してG−948から作ったメタロセン触媒系の触媒活性よりも少なくとも約22%且つP−10シリカから作ったメタロセン触媒系の触媒活性よりも少なくとも約96%高い触媒活性を示した。
【0066】
3つのシリカ担体物質に対するMAO負荷及び触媒活性の結果を次の表2に要約する。
【0067】
【表2】

【0068】
3つの異なるシリカ担体材料を用いる以外実質的に上述したように製造したホモポリマ−試料を、下記にような特性について試験した。再び2つの別々のホモポリマ−試料を製造し、MS−1733及びG−948担体MCSのそれぞれに対して特性化した。但しP−10担体MCSを用いて製造したホモポリマ−は1つの試料だけを特性化した。ポリマ−のメルトフロ−(MF)は、チニウス(Tinius)−オルセン(Olsen)押出しプラストメ−タ−を用い、230℃、2.16kg量で測定した。ポリマ−粉末を2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノ−ル(BHT)約1mgで安定化した。バルク密度(BD)の測定は、ポリマ−粉末を含む100mLのメスシリンダ−の未充填含量を秤量することにより行った。ポリマ−フラフ(fliff)の粒子寸法分布は、通常の篩振とう機を用いて行った。
【0069】
表3は上述したMCSを製造するために使用した条件下に、シリカ担体それぞれを用いて製造したホモポリマ−のMF及び嵩密度BDを示す。すべてのMCSに対して、製造されたホモポリマ−は実質的にアイソタクチックのポリプロピレン(iPP)であった。MS−1733担体MCSを用いて製造したホモポリマ−のメルトフロ−は、約13−約22g/10分の範囲であった。対比して、G−948及びP−10担体メタロセン触媒系を用いて製造したポリマ−のメルトフロ−は、約10g/10分未満であった。MS−1733担体MCSを用いて製造したポリマ−のBDはG−948及びP−10担体メタロセン触媒系から製造されたポリマ−の暈密度に匹敵した。
【0070】
【表3】

【0071】
本発明のホモポリマ−の製造を、次の例外以外は実質的に上述したようにして繰り返した。MS−1733またはP−10担体MCSのいずれか約20または約30mgを鉱油中〜7.3%のスラリ−にして約0.5ミリモルのTEAと一緒にし、TEA:MCS比約2:1−約3:1とした。第1の反応工程を、約0.07モル%のHの存在下に約70℃で約20−45分間バルク相で行った。
【0072】
上述のように行ったバルク相重合後、得られたホモポリマ−マトリックスを更にエチレンと重合させて、ヘテロ相コポリマ−を製造した。このような更なる重合は気相工程または域で行った。この気相工程はバルク相反応と同一の反応器中、約75℃で約35−45分間行った。エチレン及びプロピレンガスを含んでなるモノマ−を、E:P比約50:50にして、約6−約10L/分の流速で導入した。13Xモレキュラ−シ−ブを含む2Lのステンレス鋼試料シリンダ−を、ライン中の反応器の前に配置して、モノマ−を精製した。反応器の圧力を背圧制御器で約80psi(約550kPa)に維持した。Hガスは約0−約80cc/分の速度で供給した。
【0073】
ICP(E重量%)の全エチレン含量は、通常のIR測定(または括弧内に示すNMR測定)で決定した。キシレン可溶物%(XS%)として表現されるキシレンに可溶なヘテロ相ポリマ−の全重量画分は、通常の技法で決定した。メルトフロ−及びバルク密度は上述したように測定した。ヘテロ相ポリマ−の流動性は,見掛けの密度、バルクファクタ−、及びプラスチック材料の注入性(pourability)に対するASTM D1895−96標準試験法に従って時間当たりに漏斗を通過するヘテロ相ポリマ−の重量を測定して評価し、g/秒で表記した。この流動性を決定する方法は大気湿度下に室温で行った。用いた装置は、上部開口127mm及び底部開口25.4mmを有する高さ230mmの円錐形の漏斗であった。漏斗の底部をアングラブド(ungloved)バンドで封じ、ポリマ−フラフ試料を上の開口を通して漏斗にゆるやかに添加した。試験のために使用したポリマ−量は36−160グラムであった。可能な場合には、160グラムを使用した。漏斗の底を開き、同時にタイマ−を始動させた。ポリマ−を重力によって漏斗から自由に(フラフまたは漏斗に対して撹拌せずに)流下させた。最後のフラフが漏斗を出た瞬間にタイマ−を停止した。結果を単位流動時間当たりのポリマ−の全グラム数として報告する。少なくとも5回測定を繰り返し、この5回の平均値を結果として報告する。MS−1733またはP−10担体MCSを用いて製造したICPの選択した試料に対しては、通常の示差走査型熱量計(DSC)法を用いてICP溶融温度及び溶融熱(それぞれTm及びHm)、及び再結晶温度及び再結晶熱(それぞれTr及びHr)を測定した。
【0074】
表4はMS−1733またはP−10担体MCSを触媒とする2相重合反応で製造した代表的なICPのエチレン含量を特性化する結果の一部を示す。キシレン可溶物%は、PPのメタロセン触媒による製造が実質的にアタクチックPPをもたさず、またiPPはキシレンに可溶でないから、ICPのゴム含量の測定を与えると思われる。それゆえにXS%はゴムの実質的な部分がICPに導入されたことを意味する。キシレン可溶物%はプロピレンプラスチックのキシレン可溶物を決定するためのASTM D5492−98標準試験法に従って決定した。同様にエチレン重量%は、ホモポリマ−中には実質的にエチレンが存在しない、即ち約0.1%未満であるから、ゴム画分のエチレン含量を表すものと考えられる。例えば表4の例の1つにおいて、MS−1733で坦持されたのMCSを用いて製造したICP100gはゴム約12.8gを含み、その約4gがエチレンに相当するであろう。即ちゴム画分のエチレン含量は約33%に等しい。
【0075】
【表4】

【0076】
表5は、バルク相重合、それに続くMS−1733又はP−10担体MCS触媒及び上述した方法による気相接触重合から製造した代表的なヘテロ相ポリマ−の代表する性質を特性化する結果を示す。特記することは、P−10担体に対するMS−1733担持MCSを用いて製造した、ある範囲のキシレン可溶物を有するヘテロ相ポリマ−の流動性である。ヘテロ相コポリマ−をもたらすMS−1733担体の使用はキシレン可溶物含量約0.5−約10%にわたって(上述したように決定して)60.6±1.9g/秒の平均流動性を有する。これに対し、P−10担体は、匹敵する範囲のキシレン可溶物の範囲にわたって75.0±11.3の平均流動性示した。即ち、同様のキシレン可溶物量に対して、MS−1733担体触媒は、P−10担体触媒を用いて製造したヘテロ相コポリマ−よりも大きい流動性のICPを生成する。
【0077】
流動性試験は、ゴムがP−10に基づくmICP中に導入され、流動性が急激に低下して、ゴムが表面へのブルーミングとフラフの移動性を妨害することを示唆する。顕著に反対に、MS−1733からの「mICP」の流動性はゴムの添加により余り影響されず、適度な量のゴムの混入に対して大きくは変化しないことである。
【0078】
【表5】

【0079】
MS−1733担体MCSから製造したヘテロ相コポリマ−試料のDSC分析は、約149−約152℃のTm、約74−約89J/gのΔHm、約98−約102℃のTr、約76−約93J/gのΔHrを明らかにした。P−10担体MCSから製造したヘテロ相コポリマ−は、約149−約150℃のTm、約79−約90J/gのΔHm、約103−約106℃のTr、約80−約89J/gのΔHrを有した。
【0080】
以上本発明を詳細に記述してきたけれど、同業者は本発明の範囲から逸脱せずにその種々の変化、代替、及び変更が行いうることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】異なるシリカ担体物質に対して、細孔直径に対する細孔容積分布のBJH−DFT分析結果を例示する。
【図2】異なるシリカ担体物質に対して、細孔直径に対する表面積分布のBJH−DFT分析結果を例示する。
【図3】ヘキサン中におけるシリカ担体の粒径分布の分析を例示する。
【図4】アセトン中におけるシリカ担体の粒径分布の分析を例示する。
【図5】キシレン可溶物量の関数としての注入性を例示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約20−約80グラム/秒の範囲内の流動性値を有するヘテロ相ポリマ−。
【請求項2】
ヘテロ相ポリマーが坦持メタロセン触媒系を用いて製造される、請求項1のヘテロ相ポリマ−。
【請求項3】
ヘテロ相ポリマ−が15重量%より多くないキシレン可溶物含量を有する、請求項1のヘテロ相ポリマ−。
【請求項4】
ヘテロ相ポリマ−がホモポリマ−マトリックス及びエチレン/プロピレンコポリマ−を含んでなるコポリマ−である、請求項1のヘテロ相ポリマ−。
【請求項5】
坦持メタロセン触媒がシリカ担体に坦持されている、請求項2のヘテロ相ポリマ−。
【請求項6】
シリカ担体が約1−約3.5ml/gの平均細孔容積及び少なくとも273m/gの平均表面積を有することで更に定義される、請求項5のヘテロ相ポリマ−。
【請求項7】
ヘテロ相ポリマ−が2つの反応域で製造され、第1の反応域がバルク相重合を含んでなり、それに続く第2の反応域が気相重合域を含んでなる、請求項1のヘテロ相ポリマ−。
【請求項8】
エチレン及び炭素数3−12のα−オレフィンモノマ−からなる群から選択されるオレフィンをそのような第1反応域で重合させてモノマ−のホモポリマ−を製造し、更にそのようなホモポリマ−を第2の反応域でエチレン/プロピレンの存在下に重合させる、請求項7のヘテロ相ポリマ−。
【請求項9】
坦持メタロセン触媒系が活性剤を含んでいる、請求項2のヘテロ相ポリマ−。
【請求項10】
約20−約80g/秒の範囲内の流動性値を有するヘテロ相ポリマ−を製造しうる坦持メタロセン触媒を含んでなる、ヘテロ相ポリマ−を製造するための触媒系。
【請求項11】
メタロセン触媒がシリカ担体に坦持されている、請求項10の触媒系。
【請求項12】
ヘテロ相ポリマ−が15.0重量%より多くないキシレン可溶物を有する、請求項10の触媒系。
【請求項13】
シリカ担体が約1−約3.5ml/gの平均細孔容積及び少なくとも273m/gの平均表面積を有するとして更に定義される、請求項11の触媒系。
【請求項14】
シリカ担体が細孔を有することで更に定義され、またそのような細孔が240−360オングストロ−ムの範囲内の細孔直径を有する、請求項11の触媒系。
【請求項15】
坦持メタロセン触媒が活性剤を含む、請求項10の触媒系。
【請求項16】
坦持メタロセン触媒がMAOを活性剤として含む、請求項15の触媒系。
【請求項17】
ヘテロ相ポリマ−が第1の反応域で製造されるホモポリマ−マトリックス及び第2反応域で製造されるエチレン及びプロピレンを含んでなるゴムを含んでなる、請求項10の触媒系。
【請求項18】
坦持メタロセン触媒系におけるシリカ担体量が坦持メタロセン触媒系の52−68重量%の範囲内である、請求項11の触媒系。
【請求項19】
(a)ある量の第1のオレフィンモノマ−を坦持メタロセン触媒系の存在下に第1の重合反応域へ導入し、そして(b)工程(a)の生成物を坦持メタロセン触媒系の存在下に且つある量の第1のオレフィンモノマ−とある量の第2のオレフィンモノマ−の存在下、第2の重合反応域へ導入することを含んでなる、約20−約80g/秒の範囲内の流動性値を有するヘテロ相ポリマ−の製造法。
【請求項20】
ヘテロ相ポリマ−が15重量%より多くないキシレン可溶物含量を有する、請求項19の方法。
【請求項21】
第1の反応域がバルク相反応域を含んでなり、そして第2の反応域が気相反応域を含んでなる、請求項19の方法。
【請求項22】
坦持メタロセン触媒系がシリカを担体として含む、請求項19の方法。
【請求項23】
シリカ担体が少なくとも1.51ml/gの平均細孔容積、および少なくとも273m/gの平均表面積及び240−440オングストロ−ムの範囲内の細孔直径を有するとして更に定義される、請求項22の方法。
【請求項24】
第1及び第2の反応域のそれぞれの坦持メタロセン触媒系が同一である、請求項19の方法。
【請求項25】
ヘテロ相ポリマ−が第1の反応域で製造されるホモポリマ−相及び第2の反応域で該ホモポリマ−相上に製造され且つ分布するゴム相を含んでなる、請求項19の方法。
【請求項26】
シリカ坦持メタロセン触媒系が活性剤を含む、請求項21の方法。
【請求項27】
活性剤がMAOである、請求項26の方法。
【請求項28】
(a)、シリカ担体に活性剤を含浸させ、そして(b)、この活性剤を含浸させた担体を用いてメタロセン触媒を坦持させる、ことを含んでなる、約20−80g/秒の範囲内の流動性値を有するヘテロ相ポリマ−を製造しうる坦持メタロセン触媒系の製造法。
【請求項29】
坦持メタロセン触媒系がシリカを担体として含む、請求項28の方法。
【請求項30】
シリカ担体が少なくとも1.51ml/gの平均細孔容積、並びに少なくとも273m/gの平均表面積及び240−440オングストロ−ムの範囲内の細孔直径を有するとして更に定義される、請求項29の方法。
【請求項31】
活性剤がMAOである、請求項28の方法。
【請求項32】
メタロセンが置換C対称性のラセミ体シランジイル架橋ビスインデニルジルコニウムジクロリド及び置換C対称性のメチレン架橋シクロペンタジエニルフルオレニルジルコニウムジクロリドからなる群から選択されるものである、請求項28の方法。
【請求項33】
メタロセン触媒が置換ラセミ体シランジイル架橋ビスインデニルジルコニウムジクロリドからなる群から選択されるものである、請求項32の方法。
【請求項34】
メタロセン触媒が置換メチレン架橋シクロペンタジエニルフルオレニルジルコニウムジクロリドである、請求項33の方法。
【請求項35】
シリカ担体が直径240−440オングストロ−ムの細孔を有する、請求項28の方法。
【請求項36】
製造規模の重合ラインに適用される、請求項19の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−533824(P2007−533824A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−509494(P2007−509494)
【出願日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【国際出願番号】PCT/US2005/011605
【国際公開番号】WO2005/104940
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(391024559)フイナ・テクノロジー・インコーポレーテツド (98)
【氏名又は名称原語表記】FINA TECHNOLOGY, INCORPORATED
【Fターム(参考)】