説明

ヘミフマル酸アリスキレンの多形形態及びその調製プロセス

本発明が提供するのは、ヘミフマル酸アリスキレンの非晶質形態及び多形形態、その医薬組成物及びそれらの調製プロセスである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願のクロスリファレンス
本出願は、本発明に参照により援用されている2007年11月13日付米国仮出願第60/987,679号;2007年11月26日付第61/004,382号;2007年12月26日付第61/016,650号;2008年1月14日付第61/020,845号;2008年2月19日付第61/029,752号;2008年2月25日付第61/031,069号;2008年3月6日付第61/034,229号;2008年6月6日付第61/059,662号及び2008年8月25日付第61/091,635号の恩典を請求する。
【0002】
本発明は、ヘミフマル酸アリスキレンの多形形態及びその調製方法(プロセス)に関する。
【背景技術】
【0003】
(2S,4S,5S,7S)−N−(2−カルバモイル−2−メチルプロピル)−5−アミノ−4−ヒドロキシ−2,7−ジイソプロピル−8−[4−メトキシ−3−(3−メトキシプロポキシ)フェニル]−オクタンアミドヘミフマレート[C30H53N3OO.0.5C4H4O4]という化学名及び、
【化1】

という構造を有するヘミフマル酸アリスキレン[CAS登録番号:173334−58−2]は、高血圧症治療に適応され、レニン阻害物質として作用し、一日一回の処方物としてNovartis社よりTekturna(登録商標)という名称で市販されている。アリスキレン及びその関連化合物は、米国特許第5,559,111号(U.S.Partent 5,559,111)の中で言及されており、一方アリスキレン及びその関連化合物の合成、薬理作用、薬物動態及び臨床研究は、Lindsay, K.B. ら、J. Org. Chem., 第71巻、4766〜4777頁(2006年)及びDrugs of the Future, 第26巻、第12号、1139〜1148頁(2001年)中で言及されている。
【0004】
米国特許第5,559,111号(U.S. Patent No. 5,559,111)は、1対19の体積比でエタノール/アセトニトリル混合物から結晶化させた後に60℃で乾燥させることによる、約95〜104℃の融点を有するヘミフマル酸アリスキレンの結晶質形態の調製に関するものである。
【0005】
米国特許第6,730,798号(U.S. Patent No. 6,730,798)は、エタノール/アセトニトリル中のアリスキレン塩基及びフマル酸からのヘミフマル酸アリスキレンの調製に関するものである。
【0006】
国際公開第2005/089729号(WO 2005/089729)(「WO’729」)は、APIの湿式造粒、得られた造粒物の乾燥、外側相賦形剤(outer phase excipient)との混合及び錠剤を得るためのさらなる圧縮を含む、固体経口剤形に関する。WO’729は、その結晶の針状化習性に起因してアリスキレンの処方が困難であることを論述している。さらに、この特許では、原薬の圧縮挙動が不良であり、したがって恒常的生産にとって直接圧縮は困難な選択であることが主張されている。
【0007】
この特許出願は同様に、アリスキレンの処方の困難性にも言及している。障害としては、アリスキレンの吸湿性が高いこと、比較的安定性が低いこと、原薬の品質が可変的であることが含まれる。この可変性は、錠剤の加工性に影響を及ぼし、製造プロセス特に最終製品を単離する場合のプロセスがより複雑なものとなる。
【0008】
本発明は、ヘミフマル酸アリスキレンの固体状態物理特性に関係する。ヘミフマル酸アリスキレンが固体形態で得られる条件を制御することによりこれらの特性には影響を及ぼすことができる。固体状態物理特性には、例えば、粉砕固体の流動性が含まれる。流動性は、医薬品へと加工する間の材料の取り扱い易さに影響を及ぼす。粉状化された化合物の粒子が相互に通過して容易に流動しない場合、処方専門家はこの事実を錠剤又はカプセル処方を開発する上で考慮に入れなくてはならず、このためコロイド二酸化ケイ素、タルク、でんぷん又は第三リン酸カルシウムなどの流動促進剤の使用が必要となるかもしれない。
【0009】
医薬組成物の別の重要な固体状態特性は、水性液体中のその溶出速度である。経口投与された活性成分が患者の血流に到達することのできる速度の条件が、胃液中の活性成分溶出速度によって決定されるため、この溶出速度は治療上の重要性を持つ可能性がある。溶出速度は同様に、シロップ、エレキシル剤及びその他の液体薬剤を処方する上での考慮事項でもある。化合物の固体状態形態はまた、その圧密時挙動及びその保存性にも影響を及ぼし得る。
【0010】
これらの実用上の物理的特徴は、物質の特定の多形形態を規定する単位格子内の分子の立体構造及び配位によって影響を受ける。多形形態は、非晶質材料又は別の多形形態のものとは異なる熱挙動を発生させるかもしれない。熱挙動は毛管融点、熱重量分析(TGA)及び示差走査熱量測定(DSC)などの技術により実験室内で測定され、一部の多形形態を他と区別するのに用いることができる。特定の多形形態は同様に、粉末X線結晶学、固体状態13CNMR分光分析及び赤外線分光分析によって検出可能であり得る全く異なる分光学特性を発生させるかもしれない。
【0011】
多形体又は溶媒和物を形成できる医薬化合物の最も重要な物理的特性の1つは、水溶液中でのその溶解度、特に患者の胃液中での溶解度である。その他の重要な特性は、粉状化又は造粒された形態の流動傾向及びその形態の結晶が錠剤の形に圧密された場合に互いに付着するか否かを決定する表面特性のように、その形態の医薬剤形への加工しやすさに関するものである。
【0012】
ヘミフマル酸アリスキレンの新しい多形形態の発見は、流動性及び溶解度などの改良された特性を有するヘミフマル酸アリスキレンの多形体を生産することにより、医薬品有効成分(API)であるヘミフマル酸アリスキレンの合成の性能を改善する新たな機会を提供する。かくして当該技術分野においては、ヘミフマル酸アリスキレンの多形形態に対するニーズが存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、ヘミフマル酸アリスキレンの非晶質及び多形形態、ならびにその調製方法を包含している。
【0014】
一実施形態において、本発明は、約3.8、6.6、7.6、8.0、13.8、14.5、15.6及び17.4±0.2度2−シータにピークを有する粉末XRDパターンと、パターン内の約6.6、14.5及び17.4±0.2度2−シータにおいて任意の1又は複数の追加的ピークを伴う約3.8、7.6、8.0、13.8及び15.6±0.2度2−シータのピークを有する粉末XRDパターンと、図1に示される粉末XRDパターンと、それらの組合せからなる群から選択されるデータにより特徴づけられるヘミフマル酸アリスキレン(I形と呼称)の結晶質形態を包含している。
【0015】
一実施形態において、本発明は、約4.9、7.3、10.0及び12.2±0.2度2−シータにピークを有する粉末XRDパターンにより特徴づけられる結晶質ヘミフマル酸アリスキレン(II形と呼称)を包含する。この結晶質ヘミフマル酸アリスキレンII形はさらに、約8.5、9.5、11.8又は21.4±0.2度2−シータにある粉末XRDパターン内の1つ以上の追加的ピーク又は図2に示される粉末XRDパターンを特徴としていてよい。
【0016】
別の実施形態において、本発明は、約6.5、7.4、19.5及び20.6±0.2度2−シータにピークを有する粉末XRDパターンにより特徴づけられる結晶質ヘミフマル酸アリスキレン(III形と呼称)を包含する。この結晶質ヘミフマル酸アリスキレンIII形はさらに、約18.4又は22.7±0.2度2−シータにある粉末XRDパターン内の1つ以上の追加的ピーク又は図3に示される粉末XRDパターンを特徴としていてよい。
【0017】
さらに別の実施形態において、本発明は、約4.5、7.0、13.6及び19.6±0.2度2−シータにピークを有する粉末XRDパターンにより特徴づけられる結晶質ヘミフマル酸アリスキレン(V形と呼称)を包含する。この結晶質ヘミフマル酸アリスキレンV形はさらに、粉末XRDパターンにおける約5.8、18.2又は22.8±0.2度2−シータにある1つ以上の追加的ピーク又は図4に示される粉末XRDパターンを特徴としていてよい。
【0018】
一実施形態において、本発明は、約4.3、6.2、12.4及び18.8±0.2度2−シータにピークを有する粉末XRDパターンにより特徴づけられる結晶質ヘミフマル酸アリスキレン(VII形と呼称)を包含する。この結晶質ヘミフマル酸アリスキレンはさらに、粉末XRDパターンにおける約8.9、10.0、17.9又は19.5±0.2度2−シータにある1つ以上の追加的ピーク又は図5に示される粉末XRDパターンを特徴としていてよい。
【0019】
一実施形態において、本発明は、約6.0、7.4、9.3及び11.1±0.2度2−シータにピークを有する粉末XRDパターンにより特徴づけられる結晶質ヘミフマル酸アリスキレン(VIII形と呼称)を包含する。この結晶質ヘミフマル酸アリスキレンVIII形はさらに、粉末XRDパターンにおける約8.6、10.0、19.2、19.7又は20.1±0.2度2−シータにある1つ以上の追加的ピーク又は図6に示される粉末XRDパターンを特徴としていてよい。
【0020】
別の実施形態において、本発明は、約3.6、6.5、7.2、12.4及び18.0±0.2度2−シータにピークを有する粉末XRDパターンにより特徴づけられる結晶質ヘミフマル酸アリスキレン(IX形と呼称)を包含する。この結晶質ヘミフマル酸アリスキレンIX形はさらに、粉末XRDパターンにおける約6.2、8.5、13.5、18.9又は22.3±0.2度2−シータにある1つ以上の追加的ピーク又は図7に示される粉末XRDパターンを特徴としていてよい。
【0021】
さらに別の実施形態において、本発明は、約4.7、6.3.10.5及び19.2±0.2度2−シータにピークを有する粉末XRDパターンにより特徴づけられる結晶質ヘミフマル酸アリスキレン(X形と呼称)を包含する。この結晶質ヘミフマル酸アリスキレンX形はさらに、粉末XRDパターンにおける約8.4、9.6、16.9、19.5又は24.2±0.2度2−シータにある1つ以上の追加的ピーク又は図8に示される粉末XRDパターンを特徴としていてよい。
【0022】
一実施形態において、本発明は、図9、10及び11に示される非晶質ヘミフマル酸アリスキレンを包含する。
【0023】
一実施形態において、本発明は、結晶質ヘミフマル酸アリスキレンI形、II形、III形、V形、VII形及びVIII形の調製のためのプロセスを包含する。
【0024】
さらに別の実施形態において、本発明は、ヘミフマル酸アリスキレンの非晶質形態の調製のためのプロセスを包含している。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】結晶質ヘミフマル酸アリスキレンI形の粉末XRDパターンを表わす。
【図2】結晶質ヘミフマル酸アリスキレンII形の粉末XRDパターンを表わす。
【図3】結晶質ヘミフマル酸アリスキレンIII形の粉末XRDパターンを表わす。
【図4】結晶質ヘミフマル酸アリスキレンV形の粉末XRDパターンを表わす。
【図5】結晶質ヘミフマル酸アリスキレンVII形の粉末XRDパターンを表わす。
【図6】結晶質ヘミフマル酸アリスキレンVIII形の粉末XRDパターンを表わす。
【図7】結晶質ヘミフマル酸アリスキレンIX形の粉末XRDパターンを表わす。
【図8】結晶質ヘミフマル酸アリスキレンX形の粉末XRDパターンを表わす。
【図9】非晶質ヘミフマル酸アリスキレンの粉末XRDパターンを表わす。
【図10】実施例51にしたがって調製された非晶質ヘミフマル酸アリスキレンの粉末XRDパターンを表わす。
【図11】実施例66にしたがって調製された非晶質ヘミフマル酸アリスキレンの粉末XRDパターンを表わす。
【図12】乾燥済みの実施例17B及び17Gにしたがって調製された結晶質ヘミフマル酸アリスキレンI形の例示的粉末XRDパターンを表わす。
【図13】乾燥済みの実施例17C、17D、17E及び17Hにしたがって調製された結晶質ヘミフマル酸アリスキレンI形の例示的粉末XRDパターンを表わす。
【図14】a)出発非晶質ヘミフマル酸アリスキレン(上)、b)プラシーボ(中)、及びc)非晶質ヘミフマル酸アリスキレンの処方錠剤(下)の粉末XRDパターン比較を表わす。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、ヘミフマル酸アリスキレンの結晶質形態及びその調製方法を提供することにより、当該技術分野のニーズに対処している。
【0027】
本明細書中で使用される通り、所望の多形形態を得るための「充分な」期間は、所望の多形形態が得られるまで粉末XRDにより試料を周期的に測定することによって決定することができる。
【0028】
本明細書中で使用されている「高速蒸発」とは、溶媒中へのヘミフマル酸アリスキレンの溶解と減圧下での溶媒の高速除去を意味する。好ましくは、減圧は、760mmHgの圧力すなわち1気圧未満である。
【0029】
一実施形態において、本発明は、約3.8、6.6、7.6、8.0、13.8、14.5、15.6及び17.4±0.2度2−シータにピークを有する粉末XRDパターンと、パターン内の約6.6、14.5及び17.4±0.2度2−シータにおいて任意の1又は複数の追加的ピークを伴う約3、8、7.6、8.0、13.8及び15.6±0.2度2−シータのピークを有する粉末XRDパターンと、図1に示される粉末XRDパターンと、それらの組合せからなる群から選択されるデータにより特徴づけられるヘミフマル酸アリスキレン(I形と呼称)の結晶質形態を包含している。
【0030】
ヘミフマル酸アリスキレンI形は、数多くの方法によって調製してよい。
【0031】
1つの実施例において、ヘミフマル酸アリスキレンI形は、エタノールとアセトニトリルから結晶化される。好ましくは、上述のプロセスにおいて使用されるヘミフマル酸アリスキレン/エタノール比は、1:1のヘミフマル酸アリスキレンg数対エタノールg数であり、アセトニトリル/エタノール体積比は18:1(v/v)である。好ましくは、結晶化は、エタノール中のヘミフマル酸アリスキレン溶液を提供し、アセトニトリルなどの貧溶媒とこの溶液を混和させてヘミフマル酸アリスキレンI形を結晶化させることによって実施される。ヘミフマル酸アリスキレン溶液は、例えばアリスキレン、フマル酸及びエタノールを混合することなどによって調製されてよい。
【0032】
別の実施例において、ヘミフマル酸アリスキレンは、ジエチルカーボネート、テトロヒドロフラン及び酢酸エチルからなる群から選択される溶媒から結晶化される。酢酸エチルの場合、約1:40のヘミフマル酸アリスキレンg数対酢酸エチルml数(w/v)未満の比率が用いられる。好ましくは、約1:15〜約1:25の比率が用いられる。好ましくは、結晶化は、溶媒中にヘミフマル酸アリスキレンを溶解させかつ溶液を冷却してヘミフマル酸アリスキレンI形を結晶化させることによって実施される。ヘミフマル酸アリスキレンはアリスキレン塩基及びフマル酸を組合せることによってその場形成されてよい。ヘミフマル酸アリスキレンは、約25℃〜約100℃の間の任意の温度で、好ましくは約25℃〜約100℃の間の温度まで漸進的に加熱することにより、溶媒中に溶解されてよい。結果として得られた溶液を、約−10℃〜約20℃の温度で冷却してヘミフマル酸アリスキレンI形を結晶化させてよい。
【0033】
別の実施例において、I形は、エタノールと1−プロパノールからなる群から選択されるアルコールと、酢酸イソプロピル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、メチルtert−ブチルエーテルからなる群から選択される貧溶媒から結晶化される。好ましくは、結晶化は、アルコール中のヘミフマル酸アリスキレン溶液を提供し、酢酸イソプロピル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、メチルtert−ブチルエーテルからなる群から選択した貧溶媒とこの溶液を混和してヘミフマル酸アリスキレンI形を結晶化することによって実施される。好ましくは、貧溶媒は、ヘミフマル酸アリスキレン1グラムあたり約5ml〜25ml、より好ましくはヘミフマル酸アリスキレン1グラムあたり約5〜15mlの量で存在する。酢酸ブチルの場合、好ましくは、約1:15超のヘミフマル酸アリスキレンg数対酢酸ブチルml数(w/v)という比率が用いられる。好ましくは、この比率は約1:20〜約1:30である。酢酸エチルの場合、好ましくは約1:27未満のヘミフマル酸アリスキレンg数対酢酸エチルml数という比率が用いられる。好ましくは、この比率は約1:15〜約1:25である。
【0034】
別の実施形態においては、上述のプロセスにおいてアルコールとしてエタノールが用いられる場合、貧溶媒としてヘプタン又はアセトニトリルを使用してよい。
【0035】
別の実施例において、I形は、以下で記述するヘミフマル酸アリスキレンII、III、IX、又はX形又はこれらの混合物を約25℃〜約70℃で乾燥させてヘミフマル酸アリスキレンI形を得ることによって調製される。好ましくは、乾燥は約40℃〜約60℃の温度で実施される。好ましくは、乾燥は真空下で実施される(100mmHg未満の圧力)。乾燥は、少なくとも約6時間、例えば約12時間実施可能である。
【0036】
一実施形態において、本発明は、上述のプロセスのいずれかにしたがって調製されたヘミフマル酸アリスキレンI形を包含する。
【0037】
一実施形態において、本発明は、約4.9、7.3、10.0及び12.2±0.2度2−シータにピークを有する粉末XRDパターンにより特徴づけられる結晶質ヘミフマル酸アリスキレン(II形と呼称)を包含している。この結晶質ヘミフマル酸アリスキレンII形は、粉末XRDパターンにおける約8.5、9.5、11.8又は21.4±0.2度2−シータにある1又は複数の追加的なピーク、又は図2に示される粉末XRDパターンによりさらに特徴づけられていてよい。結晶質ヘミフマル酸アリスキレンII形は同様に、約4.9、7.3、10.0及び12.2±0.2にピークを有し、約9.2度2−シータにピークが無い粉末XRDパターンをも特徴としていてよい。
【0038】
ヘミフマル酸アリスキレンII形は、数多くの方法で調製されてよい。
【0039】
一つの実施例においては、ヘミフマル酸アリスキレンII形は酢酸イソブチル及び酢酸ブチルからなる群から選択される溶媒から結晶化される。好ましくは、結晶化は、溶媒中にヘミフマル酸アリスキレンを溶解させ次に溶液を冷却してヘミフマル酸アリスキレンII形を結晶化することによって実施される。好ましくは、ヘミフマル酸アリスキレンはヘミフマル酸アリスキレンと溶媒の混合物を加熱すること、好ましくは25℃〜100℃の間の温度まで漸進的に加熱することによって、溶媒中に溶解させられる。好ましくは、溶液を約−10℃〜約20℃の温度で冷却して、ヘミフマル酸アリスキレンII形を結晶化させる。
【0040】
別の実施例においては、ヘミフマル酸アリスキレンII形は、溶媒中に(不均一混合物)ヘミフマル酸アリスキレンI形を懸濁させてヘミフマル酸アリスキレンII形を得るステップと;この懸濁液からヘミフマル酸アリスキレンを回収するステップとを含み、溶媒が2−ペンタノール、メチルtert−ブチルエーテル、ジエチルカーボネート、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、エタノール、トルエン、それらの混合物、及び水とそれらの混合物からなる群から選択されるプロセスによって調製される。好ましくは、懸濁液は、約10〜約40時間の期間およそ室温に維持される。溶媒−水混合物は好ましくは、約0.3%〜約0.9%の水を含む。
【0041】
さらに別の実施形態においては、ヘミフマル酸アリスキレンは貧溶媒を用いてエタノールから結晶化される。好ましくは、結晶化は、エタノール中のヘミフマル酸アリスキレンの溶液を提供し、ジエチルカーボネート、酢酸エチル及び酢酸ブチルからなる群から選択される貧溶媒とこの溶液を混和してヘミフマル酸アリスキレンII形を結晶化することにより実施される。酢酸ブチルの場合、好ましくは約1:15未満のヘミフマル酸アリスキレンg数対酢酸ブチルml数(w/v)という比率が用いられ、溶媒と貧溶媒の体積比は約1:3〜約1:8(v/v)である。酢酸エチルの場合、好ましくは、約1:27超のヘミフマル酸アリスキレンg数対酢酸エチルml数という比率が用いられ、溶媒対貧溶媒の体積比は、約1:12〜約1:18(v/v)である。
【0042】
別の実施例では、非晶質ヘミフマル酸アリスキレンはヘミフマル酸アリスキレンII形への転換を可能にするのに充分な期間、炭酸ジメチル、酢酸イソブチルと組合わされる。好ましくは、懸濁液は、約25〜約45時間の期間維持される。より好ましくは、約30〜約40時間の期間維持される。
【0043】
さらに別の実施例では、アリスキレン塩基、フマル酸及び酢酸イソブチル又はヘプタン−エタノールの混合物が、II形を得るのに充分な期間維持される。好ましくは、懸濁液は約10〜約30時間維持される。より好ましくは、20時間〜約25時間の期間維持される。
【0044】
さらに別の実施例において、ヘミフマル酸アリスキレンI形は、II形を得るのに充分な期間、メチル−tert−ブチルエーテル又は酢酸n―ブチルに曝露される。好ましくは、懸濁液は、約24時間〜約50日の期間維持される。より好ましくは、約30〜40時間の期間、維持される。
【0045】
さらに別の実施例において、酢酸ブチル又はエタノール又は水、イソプロパノール中でI形を湿式造粒した結果としてII形がもたらされる。本明細書で使用されている「湿式造粒」という用語は、最少量の溶媒とアリスキレンを混合し、所望の変換を発生させるのに必要な時間室温で混合物を撹拌するプロセスを意味する。これは、機械的撹拌機又は回転蒸発器を用いて行うことができる。化合物1グラムあたり約0.1ml〜約0.2mlの溶媒が好ましくは使用される。少量の場合、真空無しの蒸発器を使用することができる。
【0046】
一実施形態において、本発明は、上述のプロセスのいずれかにしたがって調製されたヘミフマル酸アリスキレンII形を包含する。
【0047】
別の実施形態において、本発明は、約6.5、7.4、19.5及び20.6±0.2度2−シータにピークを有する粉末XRDパターンにより特徴づけられる結晶質ヘミフマル酸アリスキレン(III形と呼称)を包含している。この結晶質ヘミフマル酸アリスキレンIII形は、粉末XRDパターンにおける約18.4又は22.7±0.2度2−シータにある1又は複数の追加的なピーク、又は図3に示される粉末XRDパターンによりさらに特徴づけられていてよい。結晶質ヘミフマル酸アリスキレンIII形は同様に、約6.5、7.4、19.5及び20.6±0.2にピークを有し、約8.0度2−シータにピークが無い粉末XRDパターンをも特徴としていてよい。
【0048】
ヘミフマル酸アリスキレンIII形は、溶媒中にヘミフマル酸アリスキレンI形を懸濁してヘミフマル酸アリスキレンIII形を得るステップと;この懸濁液からヘミフマル酸アリスキレンIII形を回収するステップとを含み、この溶媒が2−ブタノール、酢酸メチルからなる群から選択されているプロセスにより調製されてよい。回収は濾過を用いて実施可能である。好ましくは、懸濁液を、ヘミフマル酸アリスキレンIII形を得るのに充分な時間およそ室温に維持する。より好ましくは、懸濁液を約30〜約40時間維持する。ヘミフマル酸アリスキレン対溶媒の比率は、好ましくは約1:5〜約1:15というヘミフマル酸アリスキレンg数対溶媒ml数である。より好ましくは、この比率は1:10である。
【0049】
別の実施形態においては、ヘミフマル酸アリスキレンIII形は、溶媒がテトラヒドロフランである記述済みのプロセスにしたがって調製されてよい。
【0050】
一実施形態において、本発明は、上述のプロセスのいずれかにしたがって調製されたヘミフマル酸アリスキレンIII形を包含する。
【0051】
別の実施形態において、本発明は、約4.5、7.0、13.6及び19.6±0.2度2−シータにピークを有する粉末XRDパターンにより特徴づけられる結晶質ヘミフマル酸アリスキレン(V形と呼称)を包含している。この結晶質ヘミフマル酸アリスキレンV形は、粉末XRDパターンにおける約5.8、18.2又は22.8±0.2度2−シータにある1又は複数の追加的なピーク、又は図4に示される粉末XRDパターンによりさらに特徴づけられていてよい。
【0052】
ヘミフマル酸アリスキレンV形は、ヘミフマル酸アリスキレンV形を得るのに充分な期間アセトニトリル中にヘミフマル酸アリスキレン(又はアリスキレン塩基及びフマル酸)を懸濁させるステップと;この懸濁液からヘミフマル酸アリスキレンV形を回収するステップを含むプロセスにより調製されてよい。アセトニトリル中のヘミフマル酸アリスキレンは溶液形態であっても、又はアセトニトリルと懸濁した状態の非晶質ヘミフマル酸アリスキレン又はI形であってもよい。ヘミフマル酸アリスキレンI形が使用される場合、ヘミフマル酸アリスキレン対アセトニトリルの比率は好ましくは約1:15未満のヘミフマル酸アリスキレンg数対アセトニトリルml数(w/v)である。好ましくは、懸濁液は約25〜約45時間の期間維持される。より好ましくは、懸濁液は約30〜約40時間の期間維持される。好ましくは、I形が使用される場合、それはI形とアセトニトリルの混合物を加熱することによって、好ましくは25℃と100℃の間の温度まで漸進的に加熱することによって、アセトニトリル中に溶解させられる。好ましくは、溶液は約−10℃〜約20℃の温度で冷却され、ヘミフマル酸アリスキレンV形を結晶化させる。回収は濾過により実施可能である。ヘミフマル酸アリスキレン対溶媒の比率は好ましくは約1:5〜約1:25のヘミフマル酸アリスキレンg数対溶媒ml数(w/v)である。より好ましくは、この比率は1:10〜約1:20である。
【0053】
ヘミフマル酸アリスキレンV形は、ヘミフマル酸アリスキレンをエタノール中に溶解させるステップと、アセトニトリルを添加するステップと、混合物を還流まで加熱するステップと、さらに冷却するステップとを含むプロセスにより調製されてもよい。好ましくは、冷却は室温で、ヘミフマル酸アリスキレンV形を得るのに充分な時間行われる。好ましくは、溶液は、約24時間〜約5日の期間維持される。より好ましくは、約2日〜約3日の期間維持される。
【0054】
一実施形態において、本発明は、上述のプロセスのいずれかにしたがって調製されたヘミフマル酸アリスキレンV形を包含する。
【0055】
別の実施形態において、本発明は、VII形と呼ばれる、約4.3、6.2、12.4及び18.8±0.2度2−シータにピークを有する粉末XRDパターンにより特徴づけられる結晶質ヘミフマル酸アリスキレン(VII形と呼称)を包含している。この結晶質ヘミフマル酸アリスキレンは、粉末XRDパターンにおける約8.9、10.0、17.9又は19.5±0.2度2−シータにある1又は複数の追加的なピーク、又は図5に示される粉末XRDパターンによりさらに特徴づけられていてよい。結晶質ヘミフマル酸アリスキレンVII形は同様に、約4.3、6.2、12.4及び18.8±0.2にピークを有し、約7.1度2−シータにピークが無い粉末XRDパターンをも特徴としていてよい。
【0056】
ヘミフマル酸アリスキレンVII形は、好ましくは25℃〜100℃の間の温度まで漸進的に加熱することによりtert−ブタノール中にヘミフマル酸アリスキレンを溶解させるステップと;冷却などによる方法によって溶液からヘミフマル酸アリスキレンVII形を結晶化させるステップとを含むプロセスによって調製されてよい。好ましくは、冷却は約−10℃〜約20℃の温度で行われる。
【0057】
一実施形態において、本発明は、上述のプロセスのいずれかにしたがって調製されたヘミフマル酸アリスキレンVII形を包含する。
【0058】
別の実施形態において、本発明は、約6.0、7.4、9.3及び11.1±0.2度2−シータにピークを有する粉末XRDパターンにより特徴づけられる結晶質ヘミフマル酸アリスキレン(VIII形と呼称)を包含している。この結晶質ヘミフマル酸アリスキレンVII形は、粉末XRDパターンにおける約8.6、10.0、19.2、19.7又は20.1±0.2度2−シータにある1又は複数の追加的なピーク、又は図6に示される粉末XRDパターンによりさらに特徴づけられていてよい。
【0059】
ヘミフマル酸アリスキレンVIII形は数多くの方法で調製されてよい。
【0060】
1つの方法においては、VIII形、ヘミフマル酸アリスキレンI形をアセトニトリルに曝露することによって調製される。ヘミフマル酸アリスキレンは、アセトニトリルの入った密閉容器の内部にヘミフマル酸アリスキレンを伴う蓋無し容器を維持することによって大気中アセトニトリルに曝露されてよい。例えばヘミフマル酸アリスキレンがエタノールと溶解した状態、アセトニトリルと懸濁した状態で又は結晶として存在する場合、ヘミフマル酸アリスキレンをアセトニトリルに曝露してもよい。
【0061】
別のプロセスにおいては、VIII形への転換を可能にするのに充分な期間ヘミフマル酸アリスキレンV形を乾燥させることによって、VIII形を調製してよい。好ましくは、乾燥は、約5時間〜約25時間の期間実施される。より好ましくは、約10時間〜約15時間の期間実施される。好ましくは、乾燥は、約25℃〜約70℃、より好ましくは約40℃〜約60℃の温度で行われる。
【0062】
さらに別のプロセスにおいては、ヘミフマル酸アリスキレンVIII形は、ヘミフマル酸アリスキレンI形又は非晶質形態とアセトニトリルとを混和してヘミフマル酸アリスキレンVIII形の懸濁液を得るステップと;懸濁液からヘミフマル酸アリスキレンVIII形を回収するステップを含むプロセスによって調製される。好ましくは、ヘミフマル酸アリスキレンI形又は非晶質形態を、約20℃〜約30℃の温度でアセトニトリル中で混和させる。ヘミフマル酸アリスキレンI形が使用される場合、ヘミフマル酸アリスキレン対アセトニトリルの比率は、好ましくは約1:15超のヘミフマル酸アリスキレンg数対アセトニトリルml数(w/v)である。
【0063】
一実施形態において、本発明は、上述のプロセスのいずれかにしたがって調製されたヘミフマル酸アリスキレンVIII形を包含する。
【0064】
別の実施形態において、本発明は、約3.6、6.5、7.1、12.4及び18.0±0.2度2−シータにピークを有する粉末XRDパターンにより特徴づけられる結晶質ヘミフマル酸アリスキレン(IX形と呼称)を包含している。この結晶質ヘミフマル酸アリスキレンIX形は、粉末XRDパターンにおける約6.2、8.5、13.5、18.9又は22.3±0.2度2−シータにある1又は複数の追加的なピーク、又は図7に示される粉末XRDパターンによりさらに特徴づけられていてよい。結晶質ヘミフマル酸アリスキレンIX形は同様に、約3.6、6.5、7.2、12.4及び18.0±0.2にピークを有し、約8.0度2−シータにピークが無い粉末XRDパターンをも特徴としていてよい。
【0065】
ヘミフマル酸アリスキレンIX形は、アリスキレンIX形を得るのに充分な時間、アリスキレン塩基、フマル酸とジエチルカーボネート又は酢酸エチルを組合せることによって調製されてよい。好ましくは、懸濁液は約25時間〜約45時間の期間維持される。より好ましくは、懸濁液は約30時間〜約40時間の期間維持される。
【0066】
別の実施例では、IX形が1−プロパノール及びメチルtert−ブチルエーテルから結晶化される。好ましくは、結晶化は、1−プロパノール中のヘミフマル酸アリスキレンの溶液を提供し、ヘミフマル酸アリスキレンIX形を結晶化させるのに充分な時間メチルtert−ブチルエーテルとこの溶液を混和することによって実施される。好ましくは、溶液は、約25時間〜約45時間の期間維持される。より好ましくは、約20時間〜約35時間の期間維持される。
【0067】
一実施形態において、本発明は、上述のプロセスのいずれかにしたがって調製されたヘミフマル酸アリスキレンIX形を包含する。
【0068】
別の実施形態において、本発明は、約4.7、6.3、10.5及び19.2±0.2度2−シータにピークを有する粉末XRDパターンにより特徴づけられる結晶質ヘミフマル酸アリスキレン(X形と呼称)を包含している。この結晶質ヘミフマル酸アリスキレンX形は、粉末XRDパターンにおける約8.4、9.6、16.9、19.5又は24.2±0.2度2−シータにある1又は複数の追加的なピーク、又は図8に示される粉末XRDパターンによりさらに特徴づけられていてよい。
【0069】
ヘミフマル酸アリスキレンX形は、イソプロパノールと非晶質ヘミフマル酸アリスキレンを組合せるステップと;ヘミフマル酸アリスキレンX形を得るのに充分な期間組合せを維持するステップを含むプロセスによって調製されてよい。好ましくは、溶液は、約24時間〜約5日の期間維持される。より好ましくは、約2〜約3日間維持される。
【0070】
一実施形態において、本発明は、上述のプロセスのいずれかにしたがって調製されたヘミフマル酸アリスキレンX形を包含する。
【0071】
別の実施形態において、本発明は、図9、10及び11に示される非晶質ヘミフマル酸アリスキレンを包含する。典型的には、非晶質ヘミフマル酸アリスキレンは、約5パーセント未満、好ましくは約3パーセント未満、そしてより好ましくは約1パーセント未満の結晶度を有する。
【0072】
以上で記述されている非晶質ヘミフマル酸アリスキレンは2トンの圧力下で1分間安定している。
【0073】
別の実施形態において、本発明は、非晶質ヘミフマル酸アリスキレンを調製するための数多くの方法を包含している。
【0074】
1つの方法においては、非晶質ヘミフマル酸アリスキレンは、酢酸ブチル、酢酸エチル、炭酸ジメチル、デカン、ジブチルエーテル、イソ−ブタノール、酢酸イソブチルからなる群から選択される溶媒中のヘミフマル酸アリスキレンの溶液を提供するステップと;溶液から非晶質ヘミフマル酸アリスキレンを沈殿させるステップとを含むプロセスによって調製されてよい。溶媒中のヘミフマル酸アリスキレンは、溶液形態であってもよいし、又は溶媒との懸濁状態にあるヘミフマル酸アリスキレンI形であってもよい。酢酸エチルの場合、約1:40超というヘミフマル酸アリスキレンg数対酢酸エチルml数(w/v)の比率が用いられる。好ましくは、約1:45〜約1:65の比率が用いられる。好ましくは、ヘミフマル酸アリスキレンと溶媒の混合物を25℃〜100℃の間の温度まで加熱すること、好ましくは漸進的に加熱することによって溶媒中にヘミフマル酸アリスキレンを溶解させる。好ましくは、非晶質ヘミフマル酸アリスキレンは、溶液を約25℃〜約0℃の間の温度まで冷却することにより溶液から沈殿させられる。
【0075】
別の実施形態においては、溶媒がジオキサンである記述されたプロセスにしたがって、非晶質ヘミフマル酸アリスキレンを調製してよい。
【0076】
別の方法においては、エタノール又はメタノールなどのC1-6アルコール中のヘミフマル酸アリスキレン溶液を提供し、溶液からアルコールを除去して非晶質ヘミフマル酸アリスキレンを得ることにより、非晶質ヘミフマル酸アリスキレンを調製してよい。好ましくはアルコールを真空下(100mmHg未満の圧力)で溶液から蒸発させるか又は、高速蒸発により溶液から除去する。代替的には、溶媒中にヘミフマル酸アリスキレンI形を懸濁させて非晶質ヘミフマル酸アリスキレンを得るステップと、懸濁液から非晶質ヘミフマル酸アリスキレンを回収するステップとを含み、溶媒がイソプロパノール、ヘプタン、イソ−ブタノール、アミルアルコール、n―ブタノール、2−ブタノール及びtert−ブタノールからなる群から選択されているプロセスにより、非晶質ヘミフマル酸アリスキレンを調製してよい。好ましくは非晶質ヘミフマル酸アリスキレンを得るのに充分な時間およそ室温で懸濁液を維持する。好ましくは、約25時間〜約45時間の期間懸濁液を維持する。より好ましくは、約30時間〜約40時間懸濁液を維持する。
【0077】
代替的には、ヘミフマル酸アリスキレンVII形の乾燥ステップを含むプロセスにより非晶質ヘミフマル酸アリスキレンを調製してよい。好ましくは約50℃の温度で、そしてより好ましくは真空下でヘミフマル酸アリスキレンを乾燥させる。
【0078】
さらに別の方法においては、非晶質形態を得るのに充分な期間アリスキレン塩基、フマル酸及びエタノール又はMTBE(メチルtert−ブチルエーテル)を組合せることによりヘミフマル酸アリスキレンを調製する。好ましくは、溶液を約10時間〜約40時間の期間維持する。より好ましくは、約15〜約25時間の期間維持する。
【0079】
一実施形態において、本発明は、上述のプロセスのいずれかにしたがって調製された非晶質ヘミフマル酸アリスキレンを包含する。
【0080】
好ましくは、上述の非晶質形態は、(図14に示される)2トンの圧力下で1分間安定している。
【0081】
本発明はさらに、上述のヘミフマル酸アリスキレンI、II、III、V、VII、VIII、IX、X形、又は非晶質形態のうちの1つ以上を含む医薬処方物を包含している。この医薬組成物は付加的に、少なくとも1つの薬学的に許容できる賦形剤を含んでいてよい。
【0082】
本発明はさらに、本発明のプロセスによって作られた、I、II、III、V、VII、VIII、IX、X形又は非晶質形態のうちの1つ以上、及び1つ以上の薬学的に許容できる賦形剤を含む医薬組成物をも包含している。
【0083】
本発明はさらに、上述のヘミフマル酸アリスキレンI、II、III、V、VII、VIII、IX、X形又は非晶質形態のうちの1つ以上と少なくとも1つ以上の薬学的に許容できる賦形剤とを組合せるステップを含む医薬処方物を調製するためのプロセスを包含する。
【0084】
本発明はさらに、細菌感染、グラム陰性菌感染及び致命的感染を含めた高血圧症の治療向けの医薬組成物の製造を目的とした、上述のヘミフマル酸アリスキレンI、II、III、V、VII、VIII、IX、X形又は非晶質形態のうちの1つ以上の使用を包含する。
【0085】
本発明の医薬処方物は、上述のヘミフマル酸アリスキレンI、II、III、V、VII、VIII、IX、X形又は非晶質形態のうちの少なくとも1つを含有する。ヘミフマル酸アリスキレンに加えて、本発明の医薬処方物は1つ以上の賦形剤を含有し得る。
【0086】
本発明はさらに、上述のヘミフマル酸アリスキレンI、II、III、V、VII、VIII、IX、X形又は非晶質形態のうちの1つ以上を治療上有効な量だけ投与することにより、哺乳動物好ましくはヒトにおける高血圧症を治療する方法をも包含している。
【0087】
このように本発明について特定の好ましい実施形態及び例証用実施例を基準にして記述してきたが、当業者であれば、明細書で開示されている通りの発明の精神及び範囲から逸脱しない、記述され例証された通りの本発明に対する修正を認識することができる。実施例は、本発明を理解する上で一助となるように示されているが、いかなる形であれその範囲を制限するように意図されたものではなく、またそのようにみなされるべきではない。
【実施例】
【0088】
粉末XRD(X線回折)
ARL X線粉末回折計X’TRA−030型、Peltier検出器、丸型ゼロバックグラウンド水晶板(又はXIV形の場合は、シリコン板)を備えた丸型標準アルミニウム試料ホルダーを使用した。陰極はCuKα放射線、λ=1.5418Åである。走査パラメータ:範囲2〜40°2θ、連続走査、速度:3度/分。ピーク位量の精度は、計装及び試料調製物といった実験上の差異に起因して+/−0.2°として定義される。
【0089】
ヘミフマル酸アリスキレンI形の調製
実施例1:
アリスキレン塩基(7.13g、12.93mmol)とフマル酸(0.75g、6.45mmol)をエタノール(21ml)中に室温で溶解させた。真空下で透明な溶液からエタノールを蒸発させて合計重量を16gとし、その後アセトニトリル(180ml)を35℃で少しずつ溶液に添加した。溶液は、一晩室温で撹拌した後にスラリーとなり、その後氷浴上でこれを冷却し、2時間冷却しながら撹拌した。固体を濾過により分離し、アセトニトリル(2×21ml)で洗浄し、一晩真空下35℃で乾燥させて、ヘミフマル酸アリスキレン(6.0g)を得た。
【0090】
実施例2:
撹拌しながら90℃まで漸進的に加熱することにより(毎分0.1〜0.2℃)ジエチルカーボネート(1ml)中にヘミフマル酸アリスキレン(50mg)を溶解させた。溶液をゆっくりと5℃まで冷却し、次に室温まで加熱した。懸濁液からの試料を粉末XRDによって分析し、I形であることが分かった。
【0091】
実施例3:
ヘミフマル酸アリスキレンII形、III形、IX形又はX形(湿潤試料)を一晩真空下50℃で乾燥させることにより、ヘミフマル酸アリスキレンI形を調製した。
【0092】
実施例5:
0.5mlのデトロヒドロフラン中にヘミフマル酸アリスキレン(50mg)を溶解させ、40時間室温で撹拌した。溶液はこの時間中に懸濁液となった。固体を懸濁液から濾過し、粉末XRDにより分析した。
【0093】
実施例6:
ヘミフマル酸アリスキレン(50mg)を撹拌しながら78℃まで漸進的に加熱することにより(毎分0.1〜0.2℃)1.0mlの酢酸エチル中に溶解させた。溶液を5℃まで冷却し、その後室温まで加熱した。懸濁液から固体を粉末XRDにより分析し、I形であることがわかった。
【0094】
実施例7:
ヘミフマル酸アリスキレン(100mg)を0.25mlのアルコールの中に溶解させた。1mlの貧溶媒を添加し、30時間室温で溶液を撹拌した。懸濁液からの固体を粉末XRDにより分析し、I形であることがわかった。使用したアルコール及び貧溶媒を下表に列挙する。
【0095】
【表1】

【0096】
実施例8:
ヘミフマル酸アリスキレン(100mg)を室温で0.25mlのアルコールの中に溶解させた。2.5mlの貧溶媒を添加し、30時間室温で溶液を撹拌した。懸濁液からの固体を粉末XRDにより分析し、I形であることがわかった。使用したアルコール及び貧溶媒を下表に列挙する。
【0097】
【表2】

【0098】
ヘミフマル酸アリスキレンII形の調製
実施例9:
ヘミフマル酸アリスキレン(50mg)を90℃まで漸進的に加熱することにより(毎分0.1〜0.2℃)酢酸イソブチル(1.0ml)中に溶解させた。溶液を5℃までゆっくりと冷却し、その後室温まで加熱した。懸濁液から試料を粉末XRDにより分析し、II形であることがわかった。
【0099】
実施例10:
ヘミフマル酸アリスキレンI形(30mg)の懸濁液を、40時間室温で0.3mgの2−ペンタノール中で撹拌した。試料を濾過し、粉末XRDにより分析した。
【0100】
実施例11:
ヘミフマル酸アリスキレンI形(30mg)の懸濁液を、40時間室温で0.3mgのメチルtert−ブチルエーテル中で撹拌した。試料を濾過し、粉末XRDにより分析した。
【0101】
実施例12:
ヘミフマル酸アリスキレンI形(30mg)の懸濁液を、40時間室温で0.3mgの酢酸ブチル中で撹拌した。試料を濾過し、粉末XRDにより分析した(図2参照)。
【0102】
実施例13:
ヘミフマル酸アリスキレンI形(30mg)を、10時間大気圧下室温で回転蒸発機上にてエタノール(0.006ml)中で撹拌した。試料を粉末XRDにより分析した。
【0103】
実施例14:
ヘミフマル酸アリスキレンI形(30mg)を、10時間大気圧下室温で回転蒸発機上にて水:イソプロパノール、1:1(体積)(0.006ml)エタノール中で撹拌した。試料を粉末XRDにより分析した。
【0104】
実施例15:
ヘミフマル酸アリスキレン(50mg)を125μlのエタノール中に溶解させた。ジエチルカーボネートを2分量(0.5ml、次に1ml)で溶液に添加し、結果として得た懸濁液を40時間室温で撹拌した。その後固体を懸濁液から濾過し、粉末XRDにより分析した。
【0105】
実施例16:
ヘミフマル酸アリスキレン(50mg)を125μlのエタノール中に溶解させた。酢酸エチルを2分量(0.5ml、次に1ml)で溶液に添加し、結果として得た懸濁液を40時間室温で撹拌した。その後固体を懸濁液から濾過し、粉末XRDにより分析した。
【0106】
実施例17:
ヘミフマル酸アリスキレンI型(50mg)の懸濁液を、20分間室温で、下表にある通りの体積百分率の水を含有する有機溶媒0.5ml中で撹拌した。次に固体を懸濁液から濾過し、粉末XRDにより分析し、ヘミフマル酸アリスキレンII形であるものとして同定した。
【0107】
【表3】

【0108】
試料A−Hも同様にさらに乾燥させて、ヘミフマル酸アリスキレンI形を得た(図12及び13参照)
【0109】
実施例18:
0.75mlのトルエン中でヘミフマル酸アリスキレンI形(75mg)を40時間室温で撹拌した。懸濁液からの固体の試料を粉末TRDにより分析した。
【0110】
実施例19:
ヘミフマル酸アリスキレンI形(30mg)を、10時間大気圧下室温にて回転蒸発器上にて水−エタノール:1:1(体積)(0.006ml)中で撹拌して溶液を得た。酢酸ブチル(0.5ml)を溶液に添加してヘミフマル酸アリスキレンを沈殿させた。結果として得られた懸濁液からの固体試料を粉末XRDにより分析した。
【0111】
実施例20:
ヘミフマル酸アリスキレン非晶質形態(50mg)を1時間室温で0.5mlの炭酸ジメチル中で撹拌した。炭酸ジメチル(0.5ml)を添加し、懸濁液を40時間室温で撹拌した。固体を懸濁液から濾過し、粉末XRDにより分析した。
【0112】
実施例21:
酢酸イソ−ブチル0.5ml中でヘミフマル酸アリスキレン非晶質形態(50mg)を40時間室温で撹拌した。固体を懸濁液から濾過し、粉末XRDにより分析した。
【0113】
実施例22:
0.5mlの酢酸イソ−ブチル中にアリスキレン塩基(50mg)を溶解させ、フマル酸(5.3mg)を溶液に添加した。結果として得た懸濁液を室温で一晩撹拌し、これは撹拌不能状態になった。0.5mlの酢酸イソ−ブチルを添加し、懸濁液を室温で20時間撹拌した。その後固体を懸濁液から濾過し、粉末XRDにより分析した。
【0114】
実施例23:
0.5mlのヘプタン−エタノール(10体積−1体積)中にアリスキレン塩基(50mg)を溶解し、その後フマル酸(5.3mg)を添加した。室温で一晩懸濁液を撹拌し、これは撹拌不能となった。10:1の体積比のヘプタン:エタノール0.5mlを添加し、懸濁液を室内で20時間撹拌した。その後、懸濁液からの固体の試料を粉末XRDにより分析した。
【0115】
実施例24:
蓋無しビーカー内にヘミフマル酸アリスキレンI形(30mg)を入れた。20mgのメチルtert−ブチルエーテルの入った密閉125ml入り容器内にビーカーを置き、40時間室温に保った。得られた結晶を粉末XRDにより分析した。
【0116】
実施例25:
蓋無しビーカー内にヘミフマル酸アリスキレンI形(30mg)を入れた、20mgの酢酸n−ブチルの入った密閉125ml入り容器内にビーカーを置き、40時間室温に保った。得られた結晶を粉末XRDにより分析した。
【0117】
実施例26:
撹拌しながら90℃まで漸進的に加熱することにより(毎分0.1〜0.2℃)、1.0mlの酢酸ブチル中にヘミフマル酸アリスキレン(50mg)を溶解させた。溶液を5℃まで冷却し、その後室温まで加熱した。その後固体を懸濁液から濾過し、粉末XRDにより分析した。
【0118】
実施例27:
室温で撹拌することにより0.25mlのエタノール中にヘミフマル酸アリスキレン(100mg)を溶解させた。1mlの酢酸ブチルを添加し、溶液を30時間室温で撹拌し、懸濁液を得た。その後固体を懸濁液から濾過し、粉末XRDにより分析した。
【0119】
ヘミフマル酸アリスキレンIII形の調製
実施例28:
0.3mlのテトラヒドロフラン中でヘミフマル酸アリスキレンI形の懸濁液(30mg)を40時間室温で撹拌した。その後固体を懸濁液から濾過し、粉末XRDにより分析した。(図3を参照のこと)
【0120】
ヘミフマル酸アリスキレンIII形の調製
実施例28:
0.3mlの酢酸メチル中でヘミフマル酸アリスキレンI形の懸濁液(30mg)を40時間室温で撹拌した。その後固体を懸濁液から濾過し、粉末XRDにより分析した。
【0121】
実施例30:
0.75mlの2−ブタノール中でヘミフマル酸アリスキレンI形(75mg)を40時間室温で撹拌した。懸濁液からの固体の試料を粉末XRDにより分析した。
【0122】
ヘミフマル酸アリスキレンV形の調製
実施例31:
0.75mlのアセトニトリル中のヘミフマル酸アリスキレンI形の懸濁液(75mg)を40時間室温で撹拌した。懸濁液からの固体の試料を粉末XRDにより分析し、V形であることがわかった。
【0123】
実施例32:
1mlのアセトニトリル中にアリスキレン塩基(50mg)を溶解させ、その後フマル酸(5.3mg)を加えた。懸濁液を室温で40時間撹拌した。次に固体を懸濁液から濾過し、粉末XRDにより分析した。
【0124】
実施例33:
撹拌しながら78℃まで漸進的に加熱する間に(毎分0.1〜0.2℃)、1mlのアセトニトリル中にヘミフマル酸アリスキレンI形(50mg)を溶解させた。溶液をゆっくりと5℃まで冷却し、次に室温まで加熱した。結果としての透明な溶液を3日間室温に保ち、その間に溶液は懸濁液となった。固体を懸濁液から濾過し、粉末XRDにより分析した。
【0125】
実施例34:
0.5mlのアセトニトリル中でヘミフマル酸アリスキレン非晶質形態(50mg)を40時間室温で撹拌した。アセトニトリル(0.5ml)を2回添加して、撹拌することのできる懸濁液を得た。固体を懸濁液から濾過し、粉末XRDにより分析した。
【0126】
実施例35:
ヘミフマル酸アリスキレン(200mg)を0.5mlのエタノール中に溶解させた。アセトニトリルを添加し、混合物を還流まで加熱し、その後冷却し、一晩撹拌せずに室温に保った。その後3日間、溶液を撹拌することなく室温に保った。固体を濾過し、XRDにより分析した。
【0127】
ヘミフマル酸アリスキレンVII形の調製
実施例36:
撹拌しながら80℃まで漸進的に加熱することにより(毎分0.1〜0.2℃)tert−ブタノール(1ml)中にヘミフマル酸アリスキレン(50mg)を溶解させた。溶液をゆっくりと5℃まで冷却し、その後室温まで加熱した。懸濁液からの固体の試料を粉末XRDにより分析し、VII形であることがわかった。(図7参照)。
【0128】
ヘミフマル酸アリスキレンVIII形の調製
実施例37:
アセトニトリル(0.5ml)中の非晶質ヘミフマル酸アリスキレン(50mg)の懸濁液を40時間室温で撹拌した。固体を懸濁液から濾過し、真空下で50℃で乾燥させ、粉末XRDにより分析し、VIII形であることがわかった。(図8参照)。
【0129】
実施例38:
ヘミフマル酸アリスキレン(30mg)を0.5mlのエタノール中に溶解させた。溶液を伴う蓋無しビーカーを、20mlのアセトニトリルの入った密閉125ml入り容器内に置き、40日間室温に保った。得られた結晶を粉末XRDにより分析した。
【0130】
実施例39:
ヘミフマル酸アリスキレンI形(30mg)を蓋無しビーカー内に入れた。ビーカーを、20mlのアセトニトリルの入った密閉125ml入り容器内に置き、40日間室温に保った。得られた結晶を粉末XRDにより分析した。
【0131】
実施例40:
ヘミフマル酸アリスキレンV形を真空下にて一晩50℃で乾燥することにより、ヘミフマル酸アリスキレンVIII形を調製した。
【0132】
実施例41:
2mlのアセトニトリル2ml中でヘミフマル酸アリスキレンI形(100mg)を30時間室温で撹拌した。得られた固体を粉末XRDにより分析した。
【0133】
ヘミフマル酸アリスキレンIX形の調製
実施例42:
1mlのジエチルカーボネート中にアリスキレン塩基(50mg)を溶解させ、その後フマル酸(5.3mg)を添加した。懸濁液を室温で40時間撹拌した。その後、固体を懸濁液から濾過し、粉末XRDにより分析した。
【0134】
実施例43:
1mlの酢酸エチル中にアリスキレン塩基(50mg)を溶解させ、フマル酸(5.3mg)を添加した。懸濁液を室温で40時間撹拌した。その後、固体を懸濁液から濾過し、粉末XRDにより分析した。(図9参照)。
【0135】
実施例44:
ヘミフマル酸アリスキレン(100mg)を室温で撹拌することにより0.25mlの1−プロパノール中に溶解させた。1mlのメチルtert−ブチルエーテルを添加し、溶液を30時間室温で撹拌して懸濁液を得た。その後固体を懸濁液から濾過し、粉末XRDにより分析した。
【0136】
ヘミフマル酸アリスキレンX形の調製
実施例45:
2.75mlのイソプロパノール中にヘミフマル酸アリスキレン非晶質形態(100mg)を溶解させた。溶液は、4日間室温で撹拌した後スラリーとなった。その後、固体をスラリーから濾過し、粉末XRDにより分析した。(図10参照)。
【0137】
実施例46:
1mlのイソプロパノール中に、ヘミフマル酸アリスキレン非晶質形態(100mg)を溶解させた。30時間室温で撹拌した後、溶液はスラリーになった。固体をスラリーから濾過し、粉末XRDにより分析した。
【0138】
非晶質ヘミフマル酸アリスキレンの調製
実施例47:
ヘミフマル酸アリスキレン(50mg)をエタノール(5ml)又はメタノール(5ml)中に溶解させた。その後エタノール又はメタノールを真空下で乾燥するまで蒸発させた。結果として得た固体を粉末XRDにより分析し、ヘミフマル酸アリスキレンの非晶質形態であることがわかった。
【0139】
実施例48:
0.3mlのイソ−ブタノール中のヘミフマル酸アリスキレンI形(30mg)の懸濁液を40時間室温で撹拌した。懸濁液からの固体の試料を粉末XRDにより分析し、ヘミフマル酸アリスキレンの非晶質形態であることがわかった。
【0140】
実施例49:
0.3mlのアミルアルコール中のヘミフマル酸アリスキレンI形(30mg)の懸濁液を40時間室温で撹拌した。懸濁液からの固体の試料を粉末XRDにより分析し、ヘミフマル酸アリスキレンの非晶質形態であることがわかった。
【0141】
実施例50:
0.3mlのn−ブタノール中のヘミフマル酸アリスキレンI形(30mg)の懸濁液を40時間室温で撹拌した。懸濁液からの固体の試料を粉末XRDにより分析し、ヘミフマル酸アリスキレンの非晶質形態であることがわかった。
【0142】
実施例51:
0.3mlのtert−ブタノール中のヘミフマル酸アリスキレンI形(30mg)の懸濁液を40時間室温で撹拌した。固体を濾過し、一晩真空下で50℃で乾燥させ、次に粉末XRDにより分析した。(図8参照)。
【0143】
実施例52:
0.3mlのヘプタン中のヘミフマル酸アリスキレンI形(30mg)の懸濁液を40時間室温で撹拌した。固体を懸濁液から濾過し、粉末XRDにより分析した。
【0144】
実施例53:
0.75mlのイソ−プロパノール中のヘミフマル酸アリスキレンI形(75mg)の懸濁液を40時間室温で撹拌した。固体を懸濁液から濾過し、粉末XRDにより分析した。
【0145】
実施例54:
0.75mlのtert−ブタノール中のヘミフマル酸アリスキレンI形(75mg)の懸濁液を40時間室温で撹拌した。懸濁液からの固体の試料を粉末XRDにより分析した。
【0146】
実施例55:
撹拌しながら90℃まで漸進的に加熱することにより(毎分0.1〜0.2℃)デカン(1ml)中にヘミフマル酸アリスキレン(50mg)を溶解させた。溶液をゆっくりと5℃まで冷却し、その後室温まで加熱した。懸濁液からの固体の試料を粉末XRDにより分析した。
【0147】
実施例56:
撹拌しながら90℃まで漸進的に加熱することにより(毎分0.1〜0.2℃)酢酸ブチル(1ml)中にヘミフマル酸アリスキレン(50mg)を溶解させた。溶液をゆっくりと5℃まで冷却し、その後室温まで加熱した。懸濁液からの固体の試料を粉末XRDにより分析した。
【0148】
実施例57:
撹拌しながら90℃まで漸進的に加熱することにより(毎分0.1〜0.2℃)ジブチルエーテル(0.75ml)中にヘミフマル酸アリスキレン(50mg)を溶解させた。溶液をゆっくりと5℃まで冷却し、その後室温まで加熱した。懸濁液からの固体の試料を粉末XRDにより分析した。
【0149】
実施例58:
90℃で撹拌しながら漸進的に加熱することにより(毎分0.1〜0.2℃)ジオキサン(0.75ml)中にヘミフマル酸アリスキレン(50mg)を溶解させた。溶液をゆっくりと5℃まで冷却し、その後室温まで加熱した。懸濁液からの固体の試料を粉末XRDにより分析した。
【0150】
実施例59:
90℃で撹拌しながら漸進的に加熱することにより(毎分0.1〜0.2℃)炭酸ジメチル(1ml)中にヘミフマル酸アリスキレン(50mg)を溶解させた。溶液をゆっくりと5℃まで冷却し、その後室温まで加熱した。懸濁液から固体を濾過し、粉末XRDにより分析した。
【0151】
実施例60:
真空下で一晩50℃で乾燥させることによって、VII形(湿潤試料)からヘミフマル酸アリスキレン非晶質形態を得た。
【0152】
実施例61:
ヘミフマル酸アリスキレンI形(50mg)を、0.8体積%の水を含有する0.5mlのヘプタン中にて20時間室温で撹拌した。固体を懸濁液から濾過し、粉末XRDにより分析した。
【0153】
実施例62:
0.5mlのMTBE中にアリスキレン塩基(50mg)を溶解させ、その後フマル酸(5.3mg)を添加した。懸濁液を室温で一晩撹拌し、これは撹拌不能となった。0.5mlのMTBEを添加し、懸濁液を室温で20時間撹拌した。懸濁液からの固体の試料を粉末XRDにより分析した。
【0154】
実施例63:
2時間90℃で撹拌しながら加熱することにより7mlの酢酸ブチル中にヘミフマル酸アリスキレンI形(200mg)を溶解させた。溶液を室温まで冷却し、一晩室温に保ち、その後6時間0〜5℃に保った。結果として得た固体を粉末XRDにより分析し、それはヘミフマル酸アリスキレンの非晶質形態であることがわかった。
【0155】
実施例64:
2時間還流にて撹拌しながら加熱することによって12mlの酢酸エチル中にヘミフマル酸アリスキレンI形(200mg)を溶解させた。溶液を室温まで冷却し、一晩室温に保ち、その後6時間0〜5℃に保った。結果として得た固体を粉末XRDにより分析し、それはヘミフマル酸アリスキレンの非晶質形態であることがわかった。
【0156】
実施例63:
2時間90℃で撹拌しながら加熱することにより2mlの酢酸イソブチル中にヘミフマル酸アリスキレンI形(100mg)を溶解させた。溶液を室温まで冷却し、一晩室温に保ち、その後6時間0〜5℃に保った。結果として得た固体を粉末XRDにより分析し、それはヘミフマル酸アリスキレンの非晶質形態であることがわかった。
【0157】
実施例66:
40時間室温で、0.75mlのイソ−ブタノール中のヘミフマル酸アリスキレンI形(75mg)の懸濁液を撹拌した。固体を懸濁液から濾過し、粉末XRDにより分析し、それはアリスキレンの非晶質形態であることがわかった。(図11参照)。
【0158】
実施例67:
アリスキレン塩基(5.5g)を100mlのエタノール中に溶解させ、その後フマル酸(0.6g)を添加した。懸濁液を室温で撹拌し、それは溶液になった。その後真空下で乾燥するまでエタノールを蒸発させた。結果としての固体を粉末XRDにより分析し、それはヘミフマル酸アリスキレンの非晶質形態であることがわかった。
【0159】
非晶質ヘミフマル酸アリスキレンの処方
実施例67:
非晶質ヘミフマル酸アリスキレンを活性成分として用いて、医薬調製物の以下の処方剤を調製した:
【表4】

【0160】
処方物を混合し、錠剤の形に圧縮成形した。加えた圧力は、1分間2トンであった。
【0161】
処方物をXRPDによって分析し、それは非晶質ヘミフマル酸アリスキレンを含有していることがわかった。非晶質アリスキレンから結晶相への転換は全く観察されなかった。
【0162】
実施例68:
非晶質ヘミフマル酸アリスキレンを活性成分として用いて、医薬調製物の以下の処方剤を調製する:
【表5】

【0163】
処方物を混合し、錠剤の形に圧縮成形した。加えた圧力は、1分間2トンであった。
【0164】
処方物をXRPDによって分析し、それは非晶質ヘミフマル酸アリスキレンを含有していることがわかった。非晶質アリスキレンから結晶相への転換は全く観察されなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約3.8、6.6、7.6、8.0、13.8、14.5、15.6及び17.4±0.2度2−シータにピークを有する粉末XRDパターンと、約6.6、14.5及び17.4±0.2度2−シータにおける粉末XRDパターンにおいて任意の1又は複数の追加的ピークを伴う約3.8、7.6、8.0、13.8及び15.6±0.2度2−シータのピークを有する粉末XRDパターンと、図1に示される粉末XRDパターンからなる群から選択されるデータにより特徴づけられるヘミフマル酸アリスキレン(I形)の調製方法であって、ジエチルカーボネート、テトラヒドロフラン及び酢酸エチルからなる群から選択される溶媒中のヘミフマル酸アリスキレン溶液を調製するステップと;ヘミフマル酸アリスキレンを結晶化するステップとを含む、方法。
【請求項2】
ヘミフマル酸アリスキレンが約25℃〜約100℃の間の温度で溶解させられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
結晶化が約−10℃〜約20℃の温度で溶液を冷却することにより行われる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
溶媒が酢酸エチルであり、約1:40未満のヘミフマル酸アリスキレンg数対酢酸エチルml数の比率(w/v)が用いられている、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
溶媒が酢酸エチルであり、約1:15〜約1:25のヘミフマル酸アリスキレンg数対酢酸エチルml数の比率(w/v)が用いられている、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
ヘミフマル酸アリスキレンII形、III形、IV形、X形又はこれらの混合物を乾燥させてヘミフマル酸アリスキレンI形を得るステップを含む、請求項1に記載のヘミフマル酸アリスキレンI形の調製方法。
【請求項7】
乾燥ステップが約25℃〜約70℃で行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項8】
1−C3アルコール中でヘミフマル酸アリスキレン溶液を調製するステップと;貧溶媒と組合せてヘミフマル酸アリスキレンI形を結晶化させるステップとを含む、請求項1に記載のヘミフマル酸アリスキレンの調製方法。
【請求項9】
エタノール中にアリスキレン塩基とフマル酸を溶解させるステップと;アセトニトリルと組合せるステップとを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項10】
使用されるヘミフマル酸アリスキレン/エタノール比がヘミフマル酸アリスキレンg数対エタノールg数(w/w)で1:1でありアセトニトリル/エタノール比が18:1(v/v)である請求項10に記載の方法。
【請求項11】
結晶化が播種無しで行われる請求項8〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
1−C3アルコールがエタノール又は1−プロパノールである、請求項8〜12のいずれかに記載に方法。
【請求項13】
貧溶媒が、アセトニトリル、酢酸イソプロピル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、メチルtert−ブチルエーテルからなる群から選択される請求項8〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
貧溶媒が酢酸ブチルであり、約1:15超のヘミフマル酸アリスキレンg数対酢酸ブチルml数の比率(w/v)が用いられている、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
貧溶媒が酢酸ブチルであり、約1:20〜約1:30のヘミフマル酸アリスキレンg数対酢酸ブチルml数の比率(w/v)が用いられている、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
貧溶媒が酢酸エチルであり、約1:27未満のヘミフマル酸アリスキレンg数対酢酸エチルml数の比率(w/v)が用いられている、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
貧溶媒が酢酸エチルであり、約1:15〜約1:25のヘミフマル酸アリスキレンg数対酢酸エチルml数の比率(w/v)が用いられている、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
貧溶媒がヘプタンである、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
約4.9、7.3、10.0及び12.2±0.2度2−シータにピークを有する粉末XRDパターンにより特徴づけられる、ヘミフマル酸アリスキレンの結晶質形態(II形と呼称)。
【請求項20】
粉末XRDパターンにおける約8.5、9.5、11.8又は21.4±0.2度2−シータにある1又は複数の追加的なピーク、又は図2に示される粉末XRDパターンによりさらに特徴づけられる、請求項19に記載のヘミフマル酸アリスキレンII形。
【請求項21】
約9.2±0.2度2−シータにピークが無い粉末XRDパターンによりさらに特徴づけられる、請求項19又は20に記載のヘミフマル酸アリスキレンII形。
【請求項22】
酢酸イソブチル又は酢酸ブチル中のヘミフマル酸アリスキレン溶液を調製するステップと;ヘミフマル酸アリスキレンII形を結晶化するステップとを含む、請求項19〜21のいずれかに記載のヘミフマル酸アリスキレンII形の調製方法。
【請求項23】
ヘミフマル酸アリスキレンが約25℃〜約100℃の間の温度で溶解させられる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
結晶化が約−10℃〜約20℃の温度で溶液を冷却することにより行われる、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
2−ペンタノール、メチルtert−ブチルエーテル、ジエチルカーボネート、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、エタノール、トルエン、イソプロパノール及びそれらの混合物からなる群から選択される有機溶媒中でヘミフマル酸アリスキレンI形の不均一混合物を調製するステップと;混合物を維持してヘミフマル酸アリスキレンII形を得るステップとを含む、請求項19〜21のいずれかに記載のヘミフマル酸アリスキレンII形の調製方法。
【請求項26】
溶媒が水との混合物の形で存在する請求項25に記載の方法。
【請求項27】
混合物が約10〜約40時間維持される、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
酢酸イソブチル又はヘプタン−エタノール中にアリスキレン塩基を溶解させるステップと;フマル酸を添加して不均一混合物を形成するステップと;混合物を維持してヘミフマル酸アリスキレンII形を得るステップとを含む、請求項19〜21のいずれかに記載のヘミフマル酸アリスキレンII形の調製方法。
【請求項29】
エタノール(溶媒)中において、任意には水との混合物の形でヘミフマル酸アリスキレン溶液を調製するステップと;貧溶媒と組み合わせてヘミフマル酸アリスキレンII形を得るステップとを含む、請求項19〜21のいずれかに記載のヘミフマル酸アリスキレンII形の調製方法。
【請求項30】
貧溶媒が、ジエチルカーボネート、酢酸エチル及び酢酸ブチルからなる群から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
貧溶媒が、酢酸エチルであり、約1:27超のヘミフマル酸アリスキレンg数対酢酸エチルml数の比率(w/v)が用いられており、溶媒対貧溶媒の比率が約1:12〜約1:18(V:V)である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
貧溶媒が酢酸ブチルであり、約1:15未満のヘミフマル酸アリスキレンg数対酢酸ブチルml数の比率(w/v)が用いられており、溶媒対貧溶媒の比率が約1:3〜約1:8(v/v)である、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
炭酸ジメチル及び酢酸イソブチル中の非晶質ヘミフマル酸アリスキレンの混合物を調製するステップと;混合物を維持してヘミフマル酸アリスキレンII形を得るステップとを含む、請求項19〜21のいずれかに記載のヘミフマル酸アリスキレンII形の調製方法。
【請求項34】
蓋無し容器内にヘミフマル酸アリスキレンIを入れるステップと;C2−C5エーテル又はC2−C6エステルの入った密閉容器内に蓋無し容器を維持してヘミフマル酸アリスキレンII形を得るステップとを含む、請求項19〜21のいずれかに記載のヘミフマル酸アリスキレンII形の調製方法。
【請求項35】
約6.5、7.4、19.5及び20.6±0.2度2−シータにピークを有する粉末XRDパターンにより特徴づけられる、ヘミフマル酸アリスキレンの結晶質形態(III形と呼称)。
【請求項36】
粉末XRDパターンにおける約18.4又は22.7±0.2度2−シータにある1又は複数の追加的なピーク、又は図3に示される粉末XRDパターンによりさらに特徴づけられる、請求項36に記載のヘミフマル酸アリスキレンIII形。
【請求項37】
約8.0±0.2度2−シータにピークが無い粉末XRDパターンによりさらに特徴づけられる、請求項36又は37に記載のヘミフマル酸アリスキレンIII形。
【請求項38】
2−ブタノール又は酢酸メチルからなる群から選択される溶媒中でヘミフマル酸アリスキレンIII形の不均一混合物を調製するステップと;混合物を維持してヘミフマル酸アリスキレンIII形を得るステップとを含む、請求項36〜38のいずれかに記載のヘミフマル酸アリスキレンIII形の調製方法。
【請求項39】
ヘミフマル酸アリスキレン対溶媒の比率が、約1:5〜約1:15のヘミフマル酸アリスキレンg数対溶媒ml数(w/v)である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
テトラヒドロフラン中のヘミフマル酸アリスキレンI形の不均一混合物を調製するステップと;混合物を維持してヘミフマル酸アリスキレンIII形を得るステップとを含む、請求項35〜37のいずれかに記載のヘミフマル酸アリスキレンIII形の調製方法。
【請求項41】
約4.5、7.0、13.6及び19.6±0.2度2−シータにピークを有する粉末XRDパターンにより特徴づけられる、ヘミフマル酸アリスキレンの結晶質形態(V形と呼称)。
【請求項42】
粉末XRDパターンにおける約5.8、18.2又は22.8±0.2度2−シータにある1又は複数の追加的なピーク、又は図4に示される粉末XRDパターンによりさらに特徴づけられる、請求項41に記載のヘミフマル酸アリスキレンV形。
【請求項43】
アセトニトリル中のヘミフマル酸アリスキレン溶液を調製するステップと;溶液を冷却してヘミフマル酸アリスキレンV形を得るステップとを含む、請求項41又は42に記載のヘミフマル酸アリスキレンV形の調製方法。
【請求項44】
ヘミフマル酸アリスキレン対溶媒の比率が、約1:5〜約1:25のヘミフマル酸アリスキレンg数対溶媒ml数(w/v)である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
ヘミフマル酸アリスキレン対溶媒の比率が、約1:10〜約1:20のヘミフマル酸アリスキレンg数対溶媒ml数(w/v)である、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
アセトニトリル中のヘミフマル酸アリスキレンI形の不均一混合物を調製するステップと;混合物を維持してヘミフマル酸アリスキレンV形を得るステップとを含む、請求項41又は42に記載のヘミフマル酸アリスキレンV形の調製方法。
【請求項47】
ヘミフマル酸アリスキレン対アセトニトリルの比率が、約1:15未満のヘミフマル酸アリスキレンg数対アセトニトリルml数(w/v)である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
アセトニトリル中の非晶質ヘミフマル酸アリスキレンの不均一混合物を調製するステップと;混合物を維持してヘミフマル酸アリスキレンV形を得るステップとを含む、請求項41又は42に記載のヘミフマル酸アリスキレンV形の調製方法。
【請求項49】
ヘミフマル酸アリスキレン対アセトニトリルの比率が、約1:15超のヘミフマル酸アリスキレンg数対アセトニトリルml数(w/v)である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
アセトニトリル中にアリスキレン塩基を溶解させるステップと;フマル酸と組み合わせて不均一混合物を得るステップと;混合物を維持してヘミフマル酸アリスキレンV形を得るステップとを含む、請求項41又は42に記載のヘミフマル酸アリスキレンV形の調製方法。
【請求項51】
エタノール中のヘミフマル酸アリスキレン溶液を調製するステップと;アセトニトリルを加えて反応混合物を得るステップと;混合物を還流まで加熱するステップと;次に混合物を冷却してヘミフマル酸アリスキレンV形を結晶化するステップとを含む、請求項41又は42に記載のヘミフマル酸アリスキレンV形の調製方法。
【請求項52】
約4.3、6.2、12.4及び18.8±0.2度2−シータにピークを有する粉末XRDパターンにより特徴づけられる、ヘミフマル酸アリスキレンの結晶質形態(VII形と呼称)。
【請求項53】
粉末XRDパターンにおける約8.9、10.0、17.9又は19.5±0.2度2−シータにある1つ以上の追加的ピーク、又は図5に示される粉末XRDパターンによりさらに特徴づけられる、請求項52に記載のヘミフマル酸アリスキレンVII形。
【請求項54】
約4.3、6.2、12.4及び18.8±0.2にピークを有する粉末XRDパターン、及び約7.1±0.2度2−シータにピークが無いことをさらなる特徴とする、請求項52又は53に記載のヘミフマル酸アリスキレンVII形。
【請求項55】
1−C4アルコール中のヘミフマル酸アリスキレン溶液を調製するステップと;溶液を冷却してヘミフマル酸アリスキレンVII形を結晶化するステップとを含む、請求項51〜53のいずれかに記載のヘミフマル酸アリスキレンVII形の調製方法。
【請求項56】
1−C4アルコールがtert−ブタノールである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
約6.0、7.4、9.3及び11.1±0.2度2−シータにピークを有する粉末XRDパターンにより特徴づけられるヘミフマル酸アリスキレン(VIII形)の調製方法であって、約8.6、10.0、19.2、19.7又は20.1±0.2度2−シータにおける粉末XRDパターンにおける1又は複数の追加的なピーク、又は図6に示される粉末XRDパターンによりさらに特徴づけられ、アセトニトリルとヘミフマル酸アリスキレンI形の不均一混合物を調製するステップと;混合物を維持してヘミフマル酸アリスキレンを得るステップとを含む方法。
【請求項58】
ヘミフマル酸アリスキレン対アセトニトリルの比率が、約1:15超のヘミフマル酸アリスキレンg数対アセトニトリルml数(w/v)である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
ヘミフマル酸アリスキレン対アセトニトリルの比率が、約1:15未満のヘミフマル酸アリスキレンg数対アセトニトリルml数(w/v)である、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
アセトニトリルと非晶質ヘミフマル酸アリスキレンの不均一混合物を調製するステップと;混合物を維持してヘミフマル酸アリスキレンVIII形を得るステップとを含む、請求項57〜58のいずれかに記載のヘミフマル酸アリスキレンの調製方法。
【請求項61】
アセトニトリルの入った密閉容器の内部にヘミフマル酸アリスキレンを伴う蓋無し容器を維持してヘミフマル酸アリスキレンを得るステップを含む、請求項57〜60のいずれかに記載のヘミフマル酸アリスキレンの調製方法。
【請求項62】
蓋無し容器にはエタノール中のヘミフマル酸アリスキレン溶液が入っている、請求項6に記載の方法。
【請求項63】
ヘミフマレートV形を乾燥させてヘミフマル酸アリスキレンを得るステップを含む、請求項57〜62のいずれかに記載のヘミフマル酸アリスキレンの調製方法。
【請求項64】
約3.6、6.5、7.2、12.4及び18.0±0.2±0.2度2−シータにピークを有する粉末XRDパターンにより特徴づけられる、ヘミフマル酸アリスキレンの結晶質形態(IX形と呼称)。
【請求項65】
粉末XRDパターンにおける約6.2、8.5、13.5、18.9又は22.3±0.2度2−シータにある1又は複数の追加的なピーク、又は図7に示される粉末XRDパターンによりさらに特徴づけられる、請求項64に記載のヘミフマル酸アリスキレンIX形。
【請求項66】
約8.0±0.2度2−シータにピークが無い粉末XRDパターンによりさらに特徴づけられる、請求項64又は65に記載のヘミフマル酸アリスキレンIX形。
【請求項67】
ジエチルカーボネート又は酢酸エチル中のアリスキレン塩基溶液を調製するステップと;フマル酸を添加して懸濁液を形成するステップと;懸濁液を維持してヘミフマル酸アリスキレンIX形を得るステップとを含む、請求項64〜66のいずれかに記載のヘミフマル酸アリスキレンIX形の調製方法。
【請求項68】
1−C3アルコール中のヘミフマル酸アリスキレン溶液を調製するステップと;メチルtert−ブチルエーテルと組み合わせて反応混合物を得るステップと;混合物を維持してヘミフマル酸アリスキレンIX形を得るステップとを含む、請求項64〜66のいずれかに記載のヘミフマル酸アリスキレンIX形の調製方法。
【請求項69】
約4.7、6.3、10.5及び19.2±0.2度2−シータにピークを有する粉末XRDパターンにより特徴づけられるヘミフマル酸アリスキレンの結晶質形態(IX形と呼称)
【請求項70】
粉末XRDパターンにおける約8.4、9.6、16.9、19.5又は24.2±0.2度2−シータにある1又は複数の追加的なピーク、又は図8に示される粉末XRDパターンによりさらに特徴づけられる、請求項69に記載のヘミフマル酸アリスキレンX形。
【請求項71】
1−C3アルコール中のヘミフマル酸アリスキレン溶液を調製するステップと;溶液を維持してヘミフマル酸アリスキレンX形を得るステップとを含む、請求項69又は70に記載のヘミフマル酸アリスキレンX形を調製する方法。
【請求項72】
有機溶媒中のヘミフマル酸アリスキレン溶液を調製するステップと;溶液から非晶質ヘミフマル酸アリスキレンを沈殿させるステップとを含む、非晶質ヘミフマル酸アリスキレンの調製方法。
【請求項73】
ヘミフマル酸アリスキレンが25℃〜100℃の間の温度で溶解させられる、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
沈殿が、約25℃と約0℃の間の温度まで溶液を冷却することによって行われる、請求項72又は73に記載の方法。
【請求項75】
酢酸ブチル、酢酸エチル、炭酸ジメチル、デカン、ジブチルエーテル、イソブタノール及び酢酸イソブチル中にヘミフマル酸アリスキレンを溶解させる、請求項72〜74のいずれかに記載の方法。
【請求項76】
ヘミフマル酸アリスキレンがジオキサン中に溶解させられる請求項72〜74のいずれかに記載の方法。
【請求項77】
有機溶媒が酢酸エチルであり、約1:40超のヘミフマル酸アリスキレンg数対酢酸エチルml数の比率(w/v)が用いられている、請求項72〜75のいずれかに記載の方法。
【請求項78】
有機溶媒が酢酸エチルであり、約1:45〜約1:65のヘミフマル酸アリスキレンg数対酢酸エチルml数の比率(w/v)が用いられている、請求項72〜75に記載の方法。
【請求項79】
2−C6エステル中にヘミフマル酸アリスキレンI形を溶解させることによって溶液が調製される、請求項72〜75のいずれかに記載の方法。
【請求項80】
ヘミフマル酸アリスキレンI形と、C1−C5アルコール、C1−C6炭化水素及びその混合物からなる群から選択される溶媒との不均一混合物を調製するステップと;混合物を維持して非晶質ヘミフマル酸アリスキレンを得るステップとを含む、非晶質ヘミフマル酸アリスキレンの調製方法。
【請求項81】
溶媒がイソプロパノール、イソ−ブタノール、アミルアルコール、n−ブタノール、tert−ブタノール、ヘプタン、及びヘプタン−水からなる群から選択されている、請求項81に記載の方法。
【請求項82】
メチルtert−ブチルエーテル又はエタノール中にアリスキレン塩基を溶解するステップと;次にフマル酸と組合せるステップとを含む、非晶質ヘミフマル酸アリスキレンの調製方法。
【請求項83】
1−C6アルコール中のヘミフマル酸アリスキレン溶液を調製するステップと;溶液からアルコールを除去して非晶質ヘミフマル酸アリスキレンを得るステップとを含む、非晶質ヘミフマル酸アリスキレンの調製方法。
【請求項84】
ヘミフマル酸アリスキレンVII形を乾燥させて非晶質ヘミフマル酸アリスキレンを得るステップを含む、非晶質ヘミフマル酸アリスキレンの調製方法。
【請求項85】
非晶質ヘミフマル酸アリスキレンが図9に示される粉末XRDパターンにより特徴づけられる、請求項72〜85のいずれかに記載の方法。
【請求項86】
非晶質ヘミフマル酸アリスキレンが約5パーセント未満の結晶化度を有する、請求項72〜85のいずれかに記載の方法。
【請求項87】
非晶質ヘミフマル酸アリスキレンが、約3パーセント未満の結晶化度を有する、請求項72〜85のいずれかに記載の方法。
【請求項88】
非晶質ヘミフマル酸アリスキレンが、2トンの圧力下で1分間安定している、請求項72〜85のいずれかに記載の方法。
【請求項89】
2トンの圧力下で1分間安定している、非晶質ヘミフマル酸アリスキレン。
【請求項90】
ヘミフマル酸アリスキレンII、III、V、VII、IX、X形、2トンの圧力下で1分間安定している非晶質ヘミフマル酸アリスキレンからなる群から選択されるヘミフマル酸アリスキレン多形体、及び薬学的に許容できる賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項91】
少なくとも1つの薬学的に許容できる賦形剤とヘミフマル酸アリスキレン多形体との混合物を調製するステップと;混合物を処理して医薬組成物を得るステップとを含む、請求項91に記載の医薬組成物の調製方法。
【請求項92】
高血圧症治療のために有効な量で請求項91の医薬組成物を対象に投与するステップを含む、高血圧症治療方法。
【請求項93】
ヘミフマル酸アリスキレンII、III、V、VII、IX、X形及び2トンの圧力下で1分間安定している非晶質ヘミフマル酸アリスキレンからなる群から選択されるヘミフマル酸アリスキレン多形体の、高血圧症治療用医薬組成物の製造における使用。
【請求項94】
上記請求項のいずれかに記載の方法によって製造されたヘミフマル酸アリスキレン多形体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2011−503185(P2011−503185A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534044(P2010−534044)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際出願番号】PCT/US2008/012816
【国際公開番号】WO2009/064479
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】