説明

ヘリコプター玩具

【課題】 上方の障害物に接近した際に自動で降下して衝突を回避するヘリコプター玩具を提供する。
【解決手段】 ヘリコプター玩具1は、送信機からの信号によって遠隔操縦されるヘリコプター玩具1であって、機体10と、機体10の上方へ突出するように取付けられ機体10に搭載されたメインロータ用駆動モータにより回転駆動されるロータシャフト30,40と、ロータシャフト30,40の回転中心軸と直交するようにロータシャフト30,40に取付けられたロータブレード34,44と、機体10に搭載された検出手段2と、制御部と、を備え、検出手段2は、機体10の上方向に向けて配置され機体10の上方に存在する障害物との距離に応じた信号を生成するように構成されており、制御部は、検出手段2からの信号に基づいてメインロータ用駆動モータ80の回転速度を決定して所定の制御信号を生成し当該制御信号をメインロータ用駆動モータ80に送出するように構成されてなることとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信機からの操作信号によって遠隔操縦されるヘリコプター玩具であって、特に、上方の障害物に接近した際にロータの回転速度を制御することのできるヘリコプター玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、屋内或いは屋外で操縦を楽しむ遠隔操縦式のヘリコプター玩具として、シングルロータ式或いはツインロータ式などの様々な型式のヘリコプター玩具が提案されている(例えば特許文献1)。
【0003】
特許文献1の発明に係るヘリコプター玩具は、一端部側が回動可能に取付けられ他端部側が機体に搭載されたアクチュエータの駆動によりロータヘッド側へ近接するようにアームが設けられ、アームの端部及びロータヘッドに取付けられた磁石と磁性体との間に生じる磁気力によりロータブレードを傾斜させる傾動機構を備え、遊戯者の遠隔操作指示に応じて、アクチュエータを駆動することによりアームを回動してアーム先端をロータヘッド下端に近接させることで、ロータブレードのピッチ角を変化させるようにロータヘッドに傾動運動をさせることにより、機体を前進させることができるものである。
【特許文献1】特開2007−130200号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の発明は、上昇、下降、ホバリング飛行に限らずに前進、後進飛行をさせることができ、屋内でも自由に飛行を制御するように操縦を楽しむのに十分な運動性及び操作性を備えるものである。しかしながら、ヘリコプター玩具を上昇させる際、ロータの回転数が低すぎると、上昇に必要な揚力を確保することができずに落下してしまい、又、ロータの回転数が高すぎると、玩具が急上昇して天井に衝突してしまうため、初心者には当該ヘリコプター玩具を思い通りに動作させる操作が困難であるといった問題点があった。更に、障害物との接触は、ロータの損傷及び落下による機体の損傷の原因とも成り得るといった問題点もある。
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、初心者でも容易に取り扱うことのできるヘリコプター玩具として、当該ヘリコプター玩具が上昇して上方の障害物に接近した際に、自動でロータの回転速度を減速させて当該障害物との衝突を回避することのできるヘリコプター玩具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のヘリコプター玩具は、送信機からの操作信号によって遠隔操縦されるヘリコプター玩具であって、機体と、該機体の上方へ突出するように取付けられ該機体に搭載されたメインロータ用駆動モータにより回転駆動されるロータシャフトと、該ロータシャフトの回転中心軸と直交するように該ロータシャフトに取付けられたロータブレードと、前記機体に搭載された検出手段と、制御部と、を備え、前記検出手段は、前記機体の上方向に向けて配置され前記機体の上方に存在する障害物との距離に応じた信号を生成するように構成されており、前記制御部は、前記検出手段からの信号に基づいて前記メインロータ用駆動モータの回転速度を決定して所定の制御信号を生成し、当該制御信号を前記メインロータ用駆動モータに送出するように構成されてなるものである。
【0007】
そして、前記機体は、前記ロータブレードよりも外方に突出するように後方に延在するテール部を有し、前記検出手段は、該テール部に配置された発光部と該発光部から放射される光に反応する受光部とを具備し、機体の直上に障害物があるとき、前記発光部から放射されて直上の障害物により反射して来た光を前記受光部で受光し、前記受光部で受光した光に基づき障害物との距離に応じた信号を生成するように構成されていることもある。
【0008】
又、前記発光部は、前記障害物によって反射される可視光又は不可視光を放射するものとすることができる。
【0009】
そして、このヘリコプター玩具は、前記発光部が前記ロータブレードの外縁よりも外方に配設され、前記受光部が前記ロータブレードの外縁よりも外方であるが前記発光部よりも内方に配設される場合もある。
【0010】
又、前記制御部は、前記検出手段からの信号に対応した回転速度を線形的に算出して所定の制御信号を生成することとして、ロータの回転速度を線形的に減速させてもよい。
【0011】
そして、前記制御部は、前記検出手段からの信号に対応した回転速度を段階的に算出して所定の制御信号を生成することとして、ロータの回転速度を段階的に減速させてもよい。
【0012】
更に、前記制御部は、前記障害物との距離が所定値に達したときに、所定の回転速度を算出して所定の制御信号を生成することとして、ロータの回転速度を所定の回転速度に減速されるように形成してもよい。
【0013】
そして、本発明のヘリコプター玩具は、前記ロータブレードをロータヘッドを介して前記ロータシャフトに傾斜可能に取付け、前記ロータブレードを前記機体に搭載されたブレード傾動モータにより駆動するブレード傾動機構を更に備え、該ブレード傾動機構を、上下方向に移動可能なスライド部材と、該スライド部材の上端部において一端が遊装され前記スライド部材の上下動に連動して両端部が上下方向に移動するように回動する回動部材と、前記ロータシャフトの回転中心軸と直交するように前記ロータシャフトに設けられる軸によって軸支される前記ロータヘッドと、から構成することで、前記回動部材の両端部のうちの何れか一方と前記ロータヘッドに取付けられた磁石同士又は磁石と磁性体との間に生じる磁気力によって、前記ロータブレードを傾動させることにより当該ヘリコプター玩具を前方又は後方へ飛行させることもできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ヘリコプター玩具が天井等の上方に存在する障害物に所定の距離だけ接近した際に、所定の信号を生成する検出手段を設けているため、遊戯者が上昇操作を行うことで上昇飛行を行うヘリコプター玩具が、天井等の上方に存在する障害物に接近した際に自動でロータの回転速度を減速させることができるため、天井等の障害物との衝突に起因するロータの破損や、落下を防止することができると共に遊戯者が容易に取扱うことのできるヘリコプター玩具を提供することができる。
【0015】
そして、機体の後方においてロータブレードよりも外方に突出するようにテール部を形成し、該テール部に発光部と該発光部から放射される光に反応する受光部とを具備する検出手段をロータの回転中心から離して配置することとすれば、直上の障害物との距離をより正確に測定することのできる小型で室内での飛行に適したヘリコプター玩具を提供することができる。
又、発光部をロータブレードの外縁よりも外方に配設し、受光部をロータブレードの外縁よりも内方に配設するように発光部と受光部との設置間隔を大きくすることで、発光部から放射された光の発光部直後の空気中で生じる乱反射光などによって受光部が影響を受けることを防止し、障害物からの反射光を確実に検出することができる。
【0016】
更に、発光部に、障害物によって反射される可視光又は不可視光を放射する可視光発光素子や赤外線発光素子を用いてシンプルな検出手段を構成することで小型且つ軽量のヘリコプター玩具を提供することができる。
【0017】
そして、発光部をロータブレードの外縁よりも外方に配設し、受光部をロータブレードの外縁よりも外方であるが発光部よりも内方に配設することにより、発光部から放射される光が回転するロータブレードにより乱反射して受光部に入射することを確実に防止することができる。
【0018】
そして、制御部によって検出手段からの信号に対応した回転速度を線形的に算出することにより、上昇速度を緩やかに変化させて、障害物との衝突を回避することができる。又、制御部において、検出手段からの信号に対応した回転速度を段階的に算出したり、障害物との距離が所定値に達したときに所定の回転速度を算出することとすれば、制御部をシンプルな構成とすることができるため、より安価なヘリコプター玩具を提供することができる。
【0019】
更に、この発明のヘリコプター玩具は、スライド部材を上下させることにより、回転するロータブレードのピッチ角を周期的に変化させることのできるブレード傾動機構及びブレード駆動モータを備えることにより、ロータヘッドを傾動運動させて、機体の前後に揚力差の効果を作用させることで、単純な構造により小型の機体として室内で楽しく前方又は後方などに自由に飛行させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明を実施するための最良の形態のヘリコプター玩具1は、図1及び図2に示すように、送信機からの操作信号によって遠隔操縦されるヘリコプター玩具1であって、機体10と、該機体10の上方へ突出するように取付けられ該機体10に搭載されたメインロータ用駆動モータ80により回転駆動される円筒状の下部ロータシャフト40及び上部が大径、下部が小径に形成され下部の小径軸部が下部ロータシャフト40に貫装される上部ロータシャフト30と、該ロータシャフト30,40の回転中心軸と直交するようにロータヘッド32,42を介して上部及び下部ロータシャフト30,40に傾斜可能に各々取付けられた上部及び下部ロータブレード34,44と、下部ロータブレード44を機体10に搭載されたブレード傾動モータ50により駆動するブレード傾動機構5と、機体10の上方向に向けて配置され機体10の上方に存在する障害物との距離に応じた信号を生成するように構成された検出手段2と、機体10に搭載され前記送信機からの操作信号及び検出手段2からの信号に基づいてメインロータ用駆動モータ80及びブレード傾動モータ50を動作制御する制御部を有する受信機と、を備えるものである。
【0021】
そして、このブレード傾動機構5は、図2乃至図4に示すように、上下方向に移動可能なスライド部材56と、該スライド部材56の上端部において一端が遊装されスライド部材56の上下動に連動して両端部が上下方向に移動するように回動する回動部材54と、ロータシャフト30,40の回転中心軸と直交するように下部ロータシャフト40に設けられる軸41によって軸支されるロータヘッド42と、から構成されて成るものである。これにより、当該ヘリコプター玩具1は、回動部材54の両端部のうちの何れか一方に取付けられた磁石53と、下部ロータヘッド42に取付けられたリング状の磁性体52との間に生じる磁気力(吸引力)により、下部ロータブレード44を下部ロータヘッド42を介して傾動させることによって前方又は後方への飛行を可能とするものである。
【0022】
又、機体10は、図1に示されるように、ロータブレード34,44よりも外方に突出するように後方に延在するテール部15を有し、このテール部15の後端上面近傍に、赤外光を発光する赤外線発光素子を備えた発光部20と該発光部20から放射される光に反応する受光部21とを具備する検出手段2が配置されている。更に、この検出手段2は、発光部20を上部及び下部ロータブレード34,44の外縁よりも外方にして受光部21よりも更に外方に配置することにより、ロータブレード34,44による乱反射光が受光部21に入射することを確実に防止することができ、受光部21は、ロータブレード34,44により反射光の減衰などが生じないように、ロータブレード34,44よりも外方であるが発光部20よりも内方に配置されている。
【0023】
又、この検出手段2は、機体10の直上に障害物があるとき、発光部20から放射されて直上の障害物により反射して来た光を受光部21で受光し、受光部21で受光した光に基づき障害物との距離に応じた信号を生成するように構成されているものである。
【0024】
そして、受信機100と一体的に形成される制御部102は、図5に示すように、受光部21が障害物で反射した反射光(発光部20から放射した光の反射光)を受光し変換した電気信号から障害物との距離を測定し、当該距離が所定値に達したときにメインロータ用駆動モータ80を所定の回転速度で駆動させる制御信号を生成し、当該制御信号をメインロータ用駆動モータ80に送出可能に形成されるものである。
【0025】
これにより、本発明に係るヘリコプター玩具1は、上昇、下降、旋回、前進、後進飛行のみならず、当該ヘリコプター玩具1が上昇し、障害物に接近すると、制御部102より回転速度を減速させる制御信号が生成され、メインロータ用駆動モータ80が減速されて駆動するため、当該ヘリコプター玩具1が自動で上昇から下降飛行へ移行されるものである。
【実施例】
【0026】
以下、本発明の実施例を図に基づいて詳説する。尚、本発明において、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は、ヘリコプター玩具の進行方向を前方として見た方向に従うこととする。
【0027】
本発明に係るヘリコプター玩具1は、例えば、成型加工された発泡スチロールやプラスチック等の軽量材料からなり、図1に示すように、ヘリコプターの形状を模した機体10と、この機体10の上方へ突出するように取付けられ該機体10に搭載された後述の駆動部により同軸上で互いに逆方向に回転駆動される円筒状の下部ロータシャフト40及び上部が大径、下部が小径に形成され下部の小径軸部が下部ロータシャフト40に貫装される上部ロータシャフト30と、下部ロータシャフト40の上端と上部ロータシャフト30の上部の大径軸部の下端との間において上部ロータシャフト30の下部の小径軸部上端近傍に遊着される円形リング状のガードリング6と、上部ロータシャフト30を回転軸として回転する上部ロータ3と、下部ロータシャフト40を回転軸として上部ロータシャフト30と逆方向に回転する下部ロータ4と、上部ロータ3と連動して回転し機体10の姿勢を安定に保つスタビライザー7と、機体10の上方向に向けて配置され機体10の上方に存在する障害物との距離に応じた信号を生成するように構成された検出手段2と、を備えるものである。
【0028】
又、このヘリコプター玩具1は、図2に示すように、機体10内に上部ロータシャフト30及び下部ロータシャフト40を回転駆動する駆動部8と、後述の下部ロータ4のロータブレードのピッチ角を変化させるようにロータブレードを保持するロータヘッドを傾動させるブレード傾動機構5と、機体10に搭載され送信機からの操作信号及び検出手段2からの信号に基づいて後述のメインロータ用駆動モータ80及びブレード傾動モータ50を動作制御する制御部を有する受信機と、各部へ電力を供給する電池90等を備えており、無線送信機からの遠隔操作信号に応答した受信機の制御部が、所定の制御信号を生成して駆動部8の駆動源であるメインロータ用駆動モータ80、ブレード傾動機構5の駆動源であるブレード傾動モータ50を駆動させることにより、上昇、下降、旋回、前進、後進を行うものである。
【0029】
尚、この制御部は、受信機の一部として形成する場合に限定することなく、受信機とは別に設けることも可能であるが、受信機と一体として形成することで、小型でシンプルなヘリコプター玩具1の構成とすることができる。
【0030】
更に、このヘリコプター玩具1は、図1に示すように、機体10の後方において、ロータブレード34,44よりも外方に突出するように延在するテール部15が形成され、該テール部15の後端上面に、発光部20と受光部21とから成る検出手段2が配設されているものである。そして、この発光部20は、直上の障害物に対して赤外光を放射可能なように、発光素子周縁が円筒部材によって覆われているものである。又、受光部21は、障害物からの反射光を受光する受光素子が基板に固定され、半球形状の透明カバーによって覆設されているものである。
【0031】
そして、このヘリコプター玩具1のメインロータである上部及び下部ロータ3,4は、図1に示すように、駆動部8により回転駆動される上部及び下部ロータシャフト30,40に傾動可能に各々取付けられた上部及び下部ロータヘッド32,42と、このロータヘッド32,42の両端部側に各々取付けられた一対の上部及び下部ロータブレード34,44とを有するものである。このロータヘッド32,42は、中心部が当該ロータヘッド32,42の取付けられるロータシャフト30,40の外径よりも大きい矩形開口を有する略矩形リング状に形成され、当該ロータシャフト30,40の回転中心軸と直交する方向に設けられた軸31,41の両端部に軸支されているものである。
【0032】
又、上部及び下部ロータブレード34,44は、断面が緩やかな湾曲状に形成されており、ブレードの前縁LEがブレード回転方向に対して前上がりに傾斜するように、軸31,41の軸心方向に沿ってロータヘッド32,42の両端部側において螺着され、ロータシャフト30,40により回転駆動されたとき揚力を発生するようになっている。
【0033】
スタビライザー7は、上部ロータ3の下方において上部ロータシャフト30に取付けられたスタビライザーヘッド72と、このスタビライザーヘッド72の両端部側に取付けられた一対のスタビライザーシャフト74及び当該スタビライザーシャフト74の端部に各々取付けられたウェイト76と、スタビライザーヘッド72と上部ロータヘッド32とが連動するように取付けられたスタビライザーリンク78とを有するものである。
【0034】
そして、このスタビライザーヘッド72は、上部ロータヘッド32の下方において上部ロータシャフト30の回転中心と直交する方向に設けられた軸71の両端部に軸着されている。又、このスタビライザー7は、スタビライザーシャフト74の取付け方向と、上部ロータブレード34の取付け方向との交差角度が、例えば30〜90度程度となるように取付けられている。
【0035】
即ち、スタビライザー7は、ウェイト76とスタビライザーシャフト74がスタビライザーヘッド72と共に軸71を中心に一定方向に傾動したとき、この傾斜に伴いスタビライザーリンク78を介して上部ロータヘッド32が軸31を中心にして連動して傾動し、上部ロータブレード34の面が同じ方向に傾斜するようになっている。このため、機体10やロータシャフト30,40等が風等の外乱により揺動しても、このスタビライザー7が水平面の回転を維持し、上部ロータブレード34を水平に対して一定のピッチ角を保つようにするため、機体10を安定させて飛行させることができる。
【0036】
上部ロータシャフト30は、上部ロータ3及びスタビライザー7が取付けられる上部側が大径の軸部として形成され、下部側が小径の軸部として形成されているものである。そして、下部ロータシャフト40は円筒状に形成されており、この下部ロータシャフト40内に上部ロータシャフト30の下部側の小径軸部が回転可能に挿着されている。そして、上部及び下部ロータシャフト30,40は、機体10の中央上部から内部に貫通するように取付けられ、駆動部8により互いに逆方向に回転駆動されるようになっている。
【0037】
又、ガードリング6は、下部ロータシャフト40の上端と、上部ロータシャフト30の上部である大径軸部の下端との間において、上部ロータシャフト30の下部である小径軸部の上端近傍に遊着される略矩形状のガードリングヘッドと、このガードリングヘッドの角部よりロータシャフト30,40の回転中心軸に対して直交する方向に延設されるガードリング保持シャフトと、該ガードリング保持シャフトによって保持される円形リング状に形成されたリング部とを有するものである。そして、ガードリング6のリング部は、機体10の後方に延在するテール部15の後端近傍上面に配設されるガードリング用フック60の上端部に設けられるフックによって掛止されているため、ロータシャフト30,40が回転駆動したときでも、ガードリング6が回転することはない。
【0038】
又、このガードリング6は、リング部の直径がロータブレード34,44の外縁よりも大きい径となるように形成されているため、飛行中にヘリコプター玩具1が壁等の側方の障害物に接触したときでも、ガードリング6が接触することによりロータブレード34,44を保護することができる。又、飛行中のヘリコプター玩具1に遊戯者が触れた場合においても、ロータブレード34,44が人に触れることなくガードリング6が触れるため、ロータブレード34,44の回転によりケガをする可能性を回避することができる。
【0039】
又、機体10に搭載される一対の駆動部8は、図2に示すように、下部ロータブレード44の下方において機体10及び内部部品を支持する支枠11に配設されるものであって、メインロータ用の駆動モータ80である上部ロータ用駆動モータ80U及び下部ロータ用駆動モータ80Lと、該メインロータ用駆動モータ80の駆動軸に固着されるピニオンギア81と、該ピニオンギア81と噛合う減速ギア82と、該減速ギア82と噛合うメインギア84とを有するものである。そして、上部ロータシャフト30を駆動する駆動部8は、ロータシャフト30,40の前方に配置され、下部ロータシャフト40を駆動する駆動部8は、ロータシャフト30,40の後方に配置されるものである。
【0040】
そして、上部ロータシャフト30を駆動する駆動部8は、上部ロータ用駆動モータ80Uが駆動軸を下方に向けた状態で支枠11に取付けられ、この駆動軸にピニオンギア81が取付けられ、又、メインギア84が支枠11の下端部において上部ロータシャフト30の下部側の小径軸部の下端に固着され、更に、当該メインギア84とピニオンギア81との間に減速ギア82が配されるものである。これにより、この駆動部8は、上部ロータ用駆動モータ80Uの駆動力をピニオンギア81、減速ギア82、メインギア84を介して上部ロータシャフト30に伝達させて当該上部ロータシャフト30を回転駆動させることができる。
【0041】
又、下部ロータシャフト40を駆動する駆動部8は、上部ロータシャフト30を駆動する駆動部8と同様の構成とされるものであり、駆動軸を上方に向けた状態で支枠11に取付けられる下部ロータ用駆動モータ80Lと、ピニオンギア81と、減速ギア82と、下部ロータシャフト40に固着されるメインギア84とが、上記上部ロータシャフト30を駆動する駆動部8に対してロータシャフト30,40を中心として上下前後が対称に配置されて成るものであり、下部ロータ用駆動モータ80Lの駆動力が、ピニオンギア81、減速ギア82、メインギア84を介して伝達され、下部ロータシャフト40を回転駆動可能に構成されているものである。
【0042】
そして、ブレード傾動機構5は、ブレード傾動モータ50によって駆動され、磁石同士或いは磁石と磁性体とを近接させることにより生じる磁気力により下部ロータブレード44のピッチ角を変化させる機構であって、上下方向に移動可能なスライド部材56と、該スライド部材56の上端部において一端が遊着されスライド部材56の上下動に連動して両端部が上下方向に移動するように回動する回動部材54と、下部ロータシャフト40の回転中心軸と直交するように取付けられる軸41を回転中心として回動可能な前述の下部ロータヘッド42と、から構成されて成るものである。
【0043】
そして、この下部ロータヘッド42は、当該下部ロータヘッド42の矩形リング状部材より下方に垂設される板により保持される円形リング部を有しており、当該円形リング部の下面にはリング状の磁性体52が固着されている。又、スライド部材56はラックギアであって、右側面に後述のブレード傾動モータ50のピニオンギアに噛合うラックギア部が形成され、上端部に略矩形状の開口が形成されているものである。
【0044】
そして、ブレード傾動モータ50は、支枠11の左端部中央において、駆動軸を前後方向に向けて配設されているものであり、駆動軸にはピニオンギアが固着されている。そして、このピニオンギアにスライド部材56のラックギア部が噛合っているため、ブレード傾動モータ50を駆動させれば、当該ブレード傾動モータ50の駆動力を、ピニオンギアを介してスライド部材56に伝達させて当該スライド部材56を上下方向に移動させることができる。
【0045】
又、回動部材54は、図3(a)及び図4に示すように、両端に円形状の凹部を有し、当該凹部に磁石53が嵌着されることで、当該磁石53を回動部材54の両端部において保持しているものである。又、この回動部材54は、中心部が下部ロータシャフト40の外径よりも十分に大きい内径のリング状部材を有しており当該リング状部材が支枠11によって枢支されているものである。
【0046】
そして、回動部材54の一端には外方に突出する軸55が形成されており、この軸55がスライド部材56の上端部に形成される矩形状開口に遊嵌されている。したがって、図3(b)、(c)に示すように、ブレード傾動モータ50の駆動により、上下動するスライド部材56を介して、回動部材54を回動させることができる。これにより、当該回動部材54の両端部に保持される磁石53とリング状の磁性体52との距離を変化させることができる。尚、下部ロータヘッド42並びにスライド部材56は、下部ロータヘッド42の傾斜角並びにスライド部材56の上下方向への移動距離が制限されており、磁石53とリング状の磁性体52とが当接されないようになっている。
【0047】
これにより、ブレード傾動モータ50が駆動されると、回動部材54の両端部に保持される何れか一方の磁石53が下部ロータヘッド42に固着されるリング状の磁性体52に近接して、磁石53とリング状の磁性体52との間に発生する吸引力により、リング状の磁性体52の固着される下部ロータヘッド42を軸41を回転中心として回動させて、下部ロータブレード44のピッチ角を変化させることができる。
【0048】
尚、回動部材54には磁石53を保持させ、下部ロータヘッド42にはリング状の磁性体52を固着させたが、互いに磁気力を発生させることにより、下部ロータヘッド42を傾動させることが可能な構成とされればよいため、回動部材54に磁性体を備え、下部ロータヘッド42にリング状の磁石を固着させてもよいし、互いに磁石を備えることとしてもよい。
【0049】
そして、この回動部材54は、図4に示すように、機体10の前後方向より回転方向に約45度ずれた位置に磁石53が配置されるように、支枠11によって軸支されているものである。これは、後述するブレード傾動機構5の動作により、下部ロータブレード44を傾動運動させてブレードのピッチ角を周期的に変化させて揚力差を発生させたとき、下部ロータ4のリング状の磁性体52に加わる磁気力、及び、下部ロータブレード44に加わる揚力が、機体10の質量バランスや、形状、下部ロータ4の回転速度等を起因として、磁気力及び揚力の効果が回転進行方向にずれて生じるためである。
【0050】
そして、下部ロータ4の回転中に、スライド部材56が上方に移動すれば、ロータシャフト30,40の左前方に配される磁石53が上方に移動して(このとき右後方に配される磁石53は下方に移動する)、リング状の磁性体52が固着されている下部ロータヘッド42が磁気力(吸引力)の作用により軸41を中心として傾動運動することとなる。逆に、スライド部材56が下方に移動すれば、ロータシャフト30,40の後方に配される磁石53が上方に移動し(このとき前方に配される磁石53は下方に移動する)、同様に下部ロータヘッド42が磁気力(吸引力)の作用により傾動運動することとなる。
【0051】
即ち、下部ロータヘッド42の回転中に回動部材54を動作させると、この下部ロータヘッド42は、該下部ロータシャフト40が180度回転する毎に、下部ロータヘッド42の傾斜角度(即ち、下部ロータブレード44のピッチ角)が逆転するように周期的に変更される傾動運動が行われることとなる。
【0052】
尚、このブレード傾動機構5には、図2に示したように、弾性体である一対の引張コイルばね58がスライド部材56の前方上部及び下部に配設されている。スライド部材56の前面には、スライド部材56の中央部近傍において前方に突出するように弾性体掛止突起が設けられており、同様に、スライド部材56を保持する略矩形筒状カバーの前面の上端部近傍及び下端部近傍において前方に突出するように弾性体掛止突起が設けられている。そして、一方の引張コイルばね58がスライド部材56のカバー前面上端部近傍とスライド部材56の前面中央部近傍の掛止突起に掛止され、他方の引張コイルばね58がスライド部材56のカバー前面下端部近傍とスライド部材56の前面中央部近傍の掛止突起に掛止されている。
【0053】
これにより、ブレード傾動モータ50の駆動が行われていないときには、回動部材54が水平姿勢となるように弾性的に維持することができる。又、この弾性体を設けずに、送信機からの前進或いは後進の操作指令が停止されたとき、自動でブレード傾動モータ50を反転駆動させて、回動部材54が水平姿勢となるように制御部を形成してもよい。
【0054】
そして、下部ロータ4が回転中にあるときに、左前方の磁石53を上方に移動させることで、磁気力により下部ロータヘッド42を傾動運動させ、この傾動運動により下部ロータブレード44のピッチ角を周期的に変化させることで、機体10の後方に揚力の効果を大きく作用させると共に機体10の前方に揚力の効果を小さく作用させることができる。これにより、機体10の後部が持ち上げられて、該機体10が前傾姿勢となると共に上部及び下部ロータブレード34,44の回転面も前下がりに傾斜するため、当該ヘリコプター玩具1が前進飛行することとなる。同様に、後方の磁石53が上方に移動すれば、当該ヘリコプター玩具1が後進飛行を行うこととなる。
【0055】
又、この機体10は、図1に示されるように、上部及び下部ロータブレード34,44よりも外方に突出するように延在するテール部15を有し、このテール部15の後端上面近傍に、赤外線を発光する赤外線発光素子を備えた発光部20と該発光部20から放射される光に反応する受光部21とを具備する検出手段2が配置されている。そして、この検出手段2は、機体10の直上に障害物があるとき、発光部20から放射されて直上の障害物により反射して来た光を受光部21で受光し、受光部21で受光した光に基づき障害物との距離に応じた信号を生成する光センサを用いた距離測定手段により構成されているものである。
【0056】
このように、ロータブレード34,44の外縁より外方に発光部20及び受光部21を配置することで、発光部20から放射された光が回転するロータブレード34,44により乱反射して受光部21に入射することを防止することができる。又、発光部20をロータブレード34,44の外縁よりも外方に配置し、受光部21を、ロータブレード34,44よりも外方であるが発光部20よりも内方に配置すれば、発光部20をロータブレード34,44から大きく離隔させることで、発光部20から拡散するように光が放射されても確実にロータブレード34,44により乱反射した光が受光部21に入射することを防止することができ、受光部21もロータブレード34,44の外縁よりも外方とし、天井などの障害物からの反射光をロータブレード34,44で遮ることなく確実に受光できる。
【0057】
更に、発光部20と受光部21との設置間隔を大きくすれば、発光部20から放射された光の発光部20直後で生じる乱反射光の受光部21への入射をも防止することができる。
【0058】
そして、送信機110は、ヘリコプター玩具1を遠隔操作する遊戯者が把持して操作信号を送信するものであり、図5に示すように、上昇、下降、旋回をヘリコプター玩具1に指示するためのロータ回転操作部120と、上部ロータ3と下部ロータ4の回転速度差を調整するトリム操作部122と、前進、後進を指示するための前進・後進操作部124と、遊戯者の操作に応じて所定の信号を生成する制御部112と、この制御部112から送出される符号化された信号を変調する送信回路111と、増幅器118と、この信号を発信するアンテナ116と、図示しない電源等から構成されているものである。
【0059】
そして、受信機100は、送信機110から発信される無線信号を、アンテナ106を介して受信し復調する受信回路101と、復調された信号を復号してメインロータ用駆動モータ80及びブレード傾動モータ50を駆動するための制御信号を生成する制御部102と、図示しない電源等を備えるものである。尚、送信機110及び受信機100の送信回路111及び受信回路101の受動素子を着脱自在の水晶振動子とすることにより、周波数を遊戯者によって変更することができるため好適である。
【0060】
これにより、ロータ回転操作部120を操作して上昇操作指令を送信することでメインロータ用駆動モータ80を駆動し、上部及び下部ロータ3,4を回転させることにより、平面台等に載置されたヘリコプター玩具1を離陸させて上昇させることができる。又、ヘリコプター玩具1が飛行状態にあるときに、ロータ回転操作部120を操作して旋回操作指令を送信することで上部及び下部ロータ3,4の回転速度が僅かに異なるようにメインロータ用駆動モータ80を駆動制御して上部及び下部ロータ3,4の回転速度差に起因するトルクを機体10に加えることで、左或いは右方向に機首の向きを変えるように旋回を行わせることができる。
【0061】
更に、ヘリコプター玩具1が飛行状態にあるときに、前進・後進操作部124を操作して前進又は後進操作指令を送信することでブレード傾動モータ50を駆動し、ブレード傾動機構5を動作させることで、リング状の磁性体52に磁石53を近接させることにより、リング状の磁性体52の固着される下部ロータヘッド42を傾動運動させて機体10の前後に揚力差の効果を作用させることで、単純な構造且つ小型の機体10として形成された当該ヘリコプター玩具1を自由に前進又は後進飛行などを行わせて室内で楽しく遊ぶことができる。
【0062】
そして、この受信機100の制御部102は、受光部21が障害物で反射した反射光を受光し変換した電気信号から障害物との距離を測定し、測定された距離データに基づいてメインロータ用駆動モータ80の回転速度を決定して所定の制御信号を生成し、当該制御信号をメインロータ用駆動モータ80に送出可能に形成されるものである。又、この制御部102は、障害物との距離が例えば50cmとなったときに、ロータ3,4の回転数を送信機110によって指令される回転数に対して20%程度減衰させて、メインロータ用駆動モータ80に当該制御信号を送出するものである。
【0063】
これにより、当該ヘリコプター玩具1が上昇し、障害物に接近すると、制御部102より回転速度を減速させる制御信号が生成され、メインロータ用駆動モータ80が減速されて駆動するため、当該ヘリコプター玩具1が自動で上昇から下降飛行へ移行されることとなる。したがって、天井などの上部障害物との衝突を避け、小型のヘリコプター玩具1を室内で自由に飛行させて楽しく遊ぶことができる。
【0064】
尚、制御部102は、上記のように距離測定手段である検出手段2からの信号に対応して制御部102で距離データを生成するように構成する場合に限定することなく、検出手段2において距離データを生成し、当該距離データの入力された制御部102において回転速度を減速させるための制御信号を生成するように構成して、障害物に接近するヘリコプター玩具1のメインロータ用駆動モータ80を動作制御してもよい。
【0065】
以下、このヘリコプター玩具1の飛行手順と動作について説明する。
先ず、機体10の側面に設けられた電源スイッチをオンすると共に、当該ヘリコプター玩具1を平面台等に載置して離陸できる状態にする。次に、送信機110の電源スイッチをオンし、ロータ回転操作部120を操作して所定の回転数でロータ3,4を回転させる操作指令を受信機100に送信すると、メインロータ用駆動モータ80が駆動し、ロータ3,4が回転してヘリコプター玩具1が離陸して上昇飛行を行う。尚、このロータ3,4の回転数は、送信機110のロータ回転操作部120における可変抵抗によって線形的に制御されるものである。
【0066】
又、このとき、上部ロータ3と下部ロータ4の回転速度が同じであれば、上部ロータ3と下部ロータ4が互いに逆方向に回転しているため、機体10に加わる反動トルクが相殺され、機体10が回転することなく上昇することとなる。そして、この上部ロータ3と下部ロータ4の回転速度の差は、トリム操作部122を操作することにより、調整することができる。尚、トリム調整についても、前述と同様に可変抵抗によって線形制御されるものである。
【0067】
そして、スタビライザー7は、図1に示したように、上部ロータ3とスタビライザーリンク78を介して連結されているため、外乱により機体10が揺動しても、スタビライザーシャフト74がウェイト76の遠心力でその水平姿勢を維持するよう安定した動作を継続することで、上部ロータブレード34が水平に対して一定のピッチ角に保たれて、機体10は安定された飛行を行う。
【0068】
次に、ヘリコプター玩具1が、所定の高さの空中に上昇した後の安定した飛行状態にあるときに、遊戯者が送信機110のロータ回転操作部120を操作して、ロータ3,4を所定の回転数にすることで、ロータ3,4によって得られる揚力と、機体10に加わる重力とを釣り合わせて当該ヘリコプター玩具1にホバリング飛行を行わせることができ、更に回転数を低下させることで、機体10を降下させ、着地させることもできる。
【0069】
又、ロータ回転操作部120は上部ロータ3と下部ロータ4との回転数を僅かに異なるようにする旋回操作を行うことも可能とされているため、ヘリコプター玩具1が、所定の高さの空中に上昇した後の安定した飛行状態にあるときに、遊戯者が送信機110のロータ回転操作部120による旋回操作をして、上部ロータ3と下部ロータ4との回転速度を僅かに異なる速度に変化させることで、当該ヘリコプター玩具1に機首の向きを変更させることができる。したがって、ヘリコプター玩具1が、後述の前進操作指令を受けて前進飛行状態にあるときに当該旋回操作指令を受ければ、このヘリコプター玩具1は前進飛行中に機首の向きが変更されて旋回飛行が行われることとなる。尚、この旋回飛行操作についても、前述と同様に可変抵抗によって線形制御されるものである。
【0070】
更に、ヘリコプター玩具1が、所定の高さの空中に上昇した後の安定した飛行状態にあるとき、遊戯者が送信機110の前進・後進操作部124を操作して前進操作指令を送信すると、ブレード傾動モータ50が駆動してスライド部材56が上方に移動し、回動部材54が回動することでロータシャフト30,40の左前方に配置される磁石53が上方に移動して、当該磁石53がリング状の磁性体52に近接し、当該磁石53とリング状の磁性体52との間に発生する磁気力によって、リング状の磁性体52の固着される下部ロータヘッド42が傾動運動をして、下部ロータブレード44のピッチ角が周期的に変化する。
【0071】
これにより、機体10の後方が持ち上げられて機体10が前傾姿勢となって上部及び下部ロータブレード34,44の回転面が前下がりに傾斜するため、機体10が前進することとなる。
【0072】
同様に、機体10の受信機100が、送信機110からの後進の操作指令を受信すると、ロータシャフト30,40の右後方に配置される磁石53が上方に移動し、前述と同様に、下部ロータヘッド42が傾動運動をしてピッチ角が周期的に変化することにより、機体10が後下がりに傾斜して後進することとなる。
【0073】
次に、ヘリコプター玩具1が上昇する際に、天井等の上方の障害物に当該ヘリコプター玩具1が接近したときの、動作について説明する。
当該ヘリコプター玩具1の機体10の側面に設けられる電源スイッチをオンすると、発光部20の赤外線発光素子が発光し、直上方向に光を放射する。障害物と十分に距離が離れている場合には、受光素子に所定量の反射光が入射されないため、受光部21の受光素子は電気信号を生成することは無いが、機体10が天井等の障害物に接近して所定距離に達すると、受光素子における反射光の受光量が所定値に達して、受光素子が所定の電気信号を生成し、当該電気信号が制御部102に送出される。
【0074】
そして、制御部102に当該電気信号が入力されると、当該制御部102が制御部102内に形成される減衰回路によって、送信機110からのロータ回転操作信号を減衰させて、当該操作信号をメインロータ用駆動モータ80(上部及び下部ロータ用駆動モータ80U,80L)に送出する。したがって、遊戯者が操作したロータ回転数の数値よりも実際に駆動されるメインロータ用駆動モータ80の回転数が減速されることとなる。
【0075】
これにより、上昇飛行するヘリコプター玩具1は、天井等の上方の障害物に機体10が接近すると、上昇を止めて降下することとなり、障害物との衝突を避けることができる。そして、メインロータ用駆動モータ80の回転数が減速されて当該ヘリコプター玩具1が降下して障害物との距離が所定値以上に再び離隔すると、受光部21に所定量の光が入射されずに制御部102への電気信号の送出が停止される。そして、制御部102は、受光部21からの電気信号の入力が停止されると、当該制御部102内に形成される減衰回路をバイパスして送信機110からの操作信号をそのままメインロータ用駆動モータ80に送出する。これにより、メインロータ用駆動モータ80が再び加速され、ヘリコプター玩具1が上昇を再開する。
【0076】
このように、距離測定手段である検出手段2を機体10に設置し、当該検出手段2からの信号に基づいてメインロータ用駆動モータ80の回転速度を減速させる制御信号を生成可能な制御部102を備えれば、遊戯者が上昇操作を行うことで上昇飛行を行うヘリコプター玩具1が、天井等の上方に存在する障害物に接近した際に自動でロータ3,4の回転速度を減速させることができるため、天井等の上方に存在する障害物との衝突に起因するロータ3,4の破損や、落下を防止することができると共に遊戯者が容易に取扱うことのできるヘリコプター玩具1を提供することができる。又、制御部102を、障害物との距離が所定値に達したときに所定の回転速度を算出して所定の制御信号を生成可能なシンプルな構成としたことにより、安価なヘリコプター玩具1を提供することができる。
【0077】
そして、機体10の後方においてロータブレード34,44よりも外方に突出するようにテール部15を形成し、該テール部15に発光部20と該発光部20から放射される光に反応する受光部21とを具備する検出手段2をロータ3,4の回転中心から離して配置することとすれば、発光部20から放射された光や受光部21への反射光がロータブレード34,44によって遮蔽される時間を短くすることができる。これにより、発光部20からの光の利用効率を向上させることができるため、直上の障害物との距離をより正確に測定することのできる小型で室内での飛行に適したヘリコプター玩具1を提供することができる。
【0078】
又、発光部20をロータブレード34,44の外縁よりも外方に配設し、受光部21をロータブレード34,44の外縁よりも内方に配設するように発光部20と受光部21との設置間隔を大きくすることで、発光部20から放射された光の発光部20直後の空気中で生じる乱反射光などによって受光部21が影響を受けることを防止し、障害物からの反射光を確実に検出することができる。尚、ロータブレード34,44の外縁よりも内方に受光部21を配設した場合、ロータブレード34,44が障害物からの反射光と受光部21との光路を瞬間的に遮断することとなるが、受光部21における受光率の低下は僅かであり、所定量の受光量を確保することは可能である。
【0079】
更に、発光部20に、上方に存在する障害物によって反射される可視光又は不可視光を放射する可視光発光素子や赤外線発光素子を用いてシンプルな検出手段2を構成することができるため、小型且つ軽量のヘリコプター玩具1を提供することができる。
【0080】
そして、発光部20をロータブレード34,44の外縁よりも外方に配設し、受光部21をロータブレード34,44の外縁よりも外方であるが発光部20よりも内方に配設することにより、発光部20から放射される光が回転するロータブレード34,44により乱反射して受光部21に入射することを確実に防止することができると共に、受光部21もロータブレード34,44の外縁よりも外方に配置されているため、天井などの障害物からの反射光をロータブレード34,44で遮ることなく確実に受光できる。
【0081】
又、受光部21と発光部20との距離を適宜に離し、保護筒などの内部に受光素子や発光素子を取付けて所定の方向にのみ発光及び受光可能とすることなどにより、受光部21と共に発光部20もロータブレード34,44の旋回範囲内に設けることも可能である。
【0082】
更に、検出手段2を直上の障害物に対して超音波を発振する発振部と、障害物からの反射波を受波する受波部とで構成される超音波センサとして構成し、当該超音波センサからの信号に基づいてロータ3,4の回転速度を減速させる制御信号を制御部102で生成することで、障害物と衝突を回避することもできる。
【0083】
そして、制御部102において、検出手段2からの信号に対応した回転速度を段階的に算出することとすれば、ヘリコプター玩具1の上昇飛行をスムーズに下降飛行に移行させることができる。又、制御部102によって検出手段2からの信号に対応した回転速度を線形的に算出することとすれば、上昇速度を緩やかに変化させて下降飛行に移行させ、降下したヘリコプター玩具1を直ちに上昇飛行へ移行させることもできる。
【0084】
そして、本発明は、以上の実施例に限定されるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更、改良が可能である。例えば、送信機110と受信機100を有線により繋ぐことにより操縦可能としてもよい。又、ヘリコプター玩具1は、同軸反転式のツインロータタイプに限らず、機体10の前後に各々メインロータを備えるタンデムロータタイプや、単一のメインロータとメインロータの反力を打ち消すテールロータを備えたシングルロータ式のヘリコプターを模したものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の実施例に係るヘリコプター玩具の斜視図。
【図2】本発明の実施例に係るヘリコプター玩具の要部の側面図。
【図3】本発明の実施例に係るヘリコプターのブレード傾動機構の動作を示す図。
【図4】本発明の実施例に係るヘリコプター玩具の平面図。
【図5】本発明の実施例に係るヘリコプター玩具の送信機及び受信機の構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0086】
1 ヘリコプター玩具 2 検出手段
3 上部ロータ 4 下部ロータ
5 ブレード傾動機構 6 ガードリング
7 スタビライザー 8 駆動部
10 機体 11 支枠
15 テール部
20 発光部 21 受光部
30 上部ロータシャフト 31 軸
32 上部ロータヘッド 34 上部ロータブレード
40 下部ロータシャフト 41 軸
42 下部ロータヘッド 44 下部ロータブレード
50 ブレード傾動モータ 52 リング状の磁性体
53 磁石 54 回動部材
55 軸 56 スライド部材
58 引張コイルばね
60 ガードリング用フック
71 軸 72 スタビライザーヘッド
74 スタビライザーシャフト 76 ウェイト
78 スタビライザーリンク
80 メインロータ用駆動モータ 80U 上部ロータ用駆動モータ
80L 下部ロータ用駆動モータ 81 ピニオンギア
82 減速ギア 84 メインギア
90 電池
100 受信機
101 受信回路 102 制御部
106 アンテナ
110 送信機 111 送信回路
112 制御部 116 アンテナ
118 増幅器
120 ロータ回転操作部 122 トリム操作部
124 前進・後進操作部
LE ブレードの前縁 TE ブレードの後縁


【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信機からの操作信号によって遠隔操縦されるヘリコプター玩具であって、
機体と、該機体の上方へ突出するように取付けられ該機体に搭載されたメインロータ用駆動モータにより回転駆動されるロータシャフトと、該ロータシャフトの回転中心軸と直交するように該ロータシャフトに取付けられたロータブレードと、前記機体に搭載された検出手段と、制御部と、を備え、
前記検出手段は、前記機体の上方向に向けて配置され前記機体の上方に存在する障害物との距離に応じた信号を生成するように構成されており、
前記制御部は、前記検出手段からの信号に基づいて前記メインロータ用駆動モータの回転速度を決定して所定の制御信号を生成し、当該制御信号を前記メインロータ用駆動モータに送出するように構成されてなることを特徴とするヘリコプター玩具。
【請求項2】
前記機体は、前記ロータブレードよりも外方に突出するように後方に延在するテール部を有し、前記検出手段は、該テール部に配置された発光部と該発光部から放射される光に反応する受光部とを具備し、機体の直上に障害物があるとき、前記発光部から放射されて直上の障害物により反射して来た光を前記受光部で受光し、前記受光部で受光した光に基づき障害物との距離に応じた信号を生成するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のヘリコプター玩具。
【請求項3】
前記発光部は、前記障害物によって反射される可視光又は不可視光を放射するものであることを特徴とする請求項2に記載のヘリコプター玩具。
【請求項4】
前記発光部は、前記ロータブレードの外縁よりも外方に配設され、前記受光部は、前記ロータブレードの外縁よりも外方であるが前記発光部よりも内方に配設されていることを特徴とする請求項3に記載のヘリコプター玩具。
【請求項5】
前記制御部は、前記検出手段からの信号に対応した回転速度を線形的に算出して所定の制御信号を生成することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載のヘリコプター玩具。
【請求項6】
前記制御部は、前記検出手段からの信号に対応した回転速度を段階的に算出して所定の制御信号を生成することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載のヘリコプター玩具。
【請求項7】
前記制御部は、前記障害物との距離が所定値に達したときに、所定の回転速度を算出して所定の制御信号を生成することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載のヘリコプター玩具。
【請求項8】
前記ロータブレードがロータヘッドを介して前記ロータシャフトに傾斜可能に取付けられ、前記ロータブレードを前記機体に搭載されたブレード傾動モータにより駆動するブレード傾動機構を備え、
該ブレード傾動機構は、上下方向に移動可能なスライド部材と、該スライド部材の上端部において一端が遊装され前記スライド部材の上下動に連動して両端部が上下方向に移動するように回動する回動部材と、前記ロータシャフトの回転中心軸と直交するように前記ロータシャフトに設けられる軸によって軸支される前記ロータヘッドと、から構成されて成り、
前記回動部材の両端部のうちの何れか一方と前記ロータヘッドに取付けられた磁石同士又は磁石と磁性体との間に生じる磁気力により、前記ロータブレードを傾動させることにより前方又は後方への飛行を可能としたことを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載のヘリコプター玩具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−297449(P2009−297449A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−158386(P2008−158386)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【出願人】(307024004)株式会社タイヨー (6)
【Fターム(参考)】