説明

ヘルスケアシステムおよび同システムにおける情報収集方法

【課題】 導入のために利用者の負担を軽減し、かつ、セキュリティ対策を施した、ヘルスケアシステムを提供する。
【解決手段】 ICタグ(歩数計付きICタグ2)が個人の健康管理にかかわる測定情報を取り込んで、人の集まる場所に設置された管理装置(ICタグリーダ3を含むネットワーク接続PC4から構成される)がその測定情報を受信して記憶し、個人の健康管理のための情報を生成出力する。なお、ICタグが管理装置に無線送信するとき、ICタグに付与されているIDを変更しながら電波を発信することでセキュリティを確保する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康管理に係わる様々な個人情報を収集する際に用いて好適な、ヘルスケアシステムおよび同システムにおける情報収集方法に関する。
【背景技術】
【0002】
健康管理のために個人のデータを収集するヘルスケアシステムが各社から提供されている(例えば、非特許文献1参照)。上記したヘルスケアシステムによれば、利用者は、歩数計、血圧計、体脂肪計と併せて、レシーバー、ヘルスプラネット用CD-ROMの一式を購入する必要がある。またヘルスプラネット用CD-ROMには専用ソフトウェアが入っており、利用者が別に所有するパソコンにインストールする。またこのパソコンはインターネットに接続され、ヘルスプラネットのホームページに接続されるようになっている。また、歩数計のデータは赤外線通信で、血圧計と体脂肪計の測定デ−タは電波通信によりレシーバーヘ送られる。そして、レシーバーからパソコンまでUSB(Universal Serial Bus)接続により各測定データが送られ、さらにインターネットを介してヘルスプラネットのホームページヘ送られる(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
一方、他のヘルスケアシステムとして非特許文献2、非特許文献3が公開されている。
このヘルスケアシステムによれば、歩数計と体組成計(体重や脂肪などを測定する)の測定データをパソコンで管理できる。体組成計の決められた位置に歩数計をセットして、体組成計の測定データは、一旦歩数計に渡される。この歩数計は体組成計の測定データと歩数データを合わせ、そのインタフェースであるUSB接続を介してパソコンヘ送られる。そして、パソコンでは専用のソフトウェアで個人の測定データを蓄積して表示できる。さらにインターネットに接続して、専用のホームページヘ情報を送って分析やアドバイスを受けることができる。
【非特許文献1】“新しい健康習慣 ヘルスプラネット(Health Planet)”、株式会社タニタ、「online」、「平成16年10月20日検索」、インターネット<URL:http://www.tanita.co.jp/products/planet/index2-l.html>
【非特許文献2】“オムロン 体重体組成計「カラダスキャンPCコントロール」・HBF-354IT”、オムロンヘルスケア株式会社、「online」、「平成16年10月20日検索」、インターネット<URL:http://www.healthcare.omron.co.jp/corp/news2004/0421.html>
【非特許文献3】“オムロン 体重体組成計「カラダスキャンPCコントロール」・HBF-354IT”、オムロンヘルスケア株式会社、「online」、「平成16年10月20日検索」、インターネット<URL:http://www.healthcare.omron.co.jp/product/hbf354it_2.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したヘルスケアシステムによれば、個々の利用者が管理用のパソコンを所有し、指定されたホームページヘアクセスするためインターネット接続などの準備が必要である。このため、利用者にとってはパソコンの購入やそのインターネットの接続などを合わせた負担を考えなければならず、このシステム(体重計や歩数計を含むサービス)の購入以上に大きな負担を強いられる。
また、上述の非特許文献1のヘルスケアシステムは、家庭内など限られた利用者を仮定している。このことにより、体重や毎日の行動(歩数)などの個人に関する情報を自己管理するように求めている。仮にこのヘルスケアシステムを複数の利用者が共有して利用する場合を想定すれば無線で送られる個人情報についてセキュリティ対策が配慮されているとは言えない。
さらに、上述の技術ではともにパソコンをインターネットヘ接続して個人データを送信することについては、特段のセキュリティ対策を提示していない。
【0005】
本発明は上記諸々の事情に鑑みてなされたものであり、導入のために利用者の負担を軽減し、かつ、セキュリティ対策を施した、ヘルスケアシステムおよび同システムにおける情報収集方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するために本発明のヘルスケアシステムは、個人の健康管理にかかわる測定情報を取り込み無線送信するICタグと、人の集まる場所に設置され、前記測定情報を受信して記憶し、前記個人の健康管理のための情報を生成出力する管理装置と、を具備することを特徴とする。
【0007】
また、本発明において、前記ICタグは、前記測定情報に加え、自身に付与された識別情報を変更しながら無線送信することを特徴とする。
【0008】
また、本発明において、前記ICタグは、当該ICタグとともに携帯可能な測定機器から測定情報を有線で取り込み、かつ、携帯できない測定機器から送信される測定情報を無線により受信することを特徴とする。
【0009】
また、本発明において、前記ICタグは、前記携帯できない測定機器から送信される測定情報を無線によって受信する際に前記無線の到達距離を限定して個人を特定することを特徴とする。
【0010】
また、本発明において、前記管理装置の近傍に利用者が居ることを検知した場合にのみ前記測定情報を送信することを特徴とする。
【0011】
また、本発明において、前記携帯できない測定機器から無線で送信される測定情報に送信先となるICタグの識別情報を付加して送信し、受信するICタグを特定することを特徴とする。
【0012】
また、本発明において、ICタグは、前記測定情報を暗号化することを特徴とする。
【0013】
また、本発明において、ICタグは、内部時計を保持し、前記測定情報を当該測定情報を受信または取り込んだ時刻に対応づけて記憶することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、個人が管理するICタグと、人の集まる場所に設置され、前記ICタグに記憶された情報を読み取るICタグリーダを含む管理装置とから成るヘルスケアシステムにおける情報収集方法であって、前記ICタグが個人の健康管理にかかわる測定情報を取り込み無線送信する第1のステップと、前記管理装置が前記測定情報を受信して記憶し、前記個人の健康管理のための情報を生成出力する第2のステップと、を有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明において、前記第1のステップは、前記ICタグが、当該ICタグとともに携帯可能な測定機器から測定情報を有線で取り込むサブステップと、携帯できない測定機器から送信される測定情報を無線により受信するサブステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ICタグが個人の健康管理にかかわる測定情報を取り込み無線送信し、人の集まる場所に設置された管理装置がその測定情報を受信して記憶し、個人の健康管理のための情報を生成出力することで、各家庭には電波の受信機やパソコンか不要となり、従って導入や維持に関するコストを抑えることができ、簡便に測定情報を日々記録し、例えばその推移や傾向を見ることができる。
また、本発明によれば、ICタグに付与されている識別情報を変更しながら無線送信することや、ICタグが取り込んだ測定情報を暗号化することで、第三者に対して個人情報をトラッキングされないように防止でき、セキュリティを高めることができる。
【0017】
更に、本発明によれば、ICタグが、例えば、歩数計等自身とともに携帯可能な測定機器から測定情報を取り込み、かつ、例えば、体重計等携帯できない測定機器から送信される測定情報を無線により受信することで、また、その際に無線の到達距離を限定し、個人の測定情報が特定のICタグヘ送信され記憶されるように配慮することで、ICタグは個人に係わる複数種類の測定情報を記憶でき、かつ、その際に無線の到達距離に応じて特定のICタグに送信されることで、他との隔離をはかることができる。
更に、管理装置の近傍に利用者が居ることを検知した場合にのみ測定情報を送信することで、ICタグの消費電力を大幅に低減させ、電池寿命を延命化がはかれる。また、携帯できない測定機器から無線で送信される測定情報に送信先となるICタグの識別情報を付加して送信することで、受信するICタグを特定することができ、このことにより、複数の測定者で、体重計等携帯できない測定機器を共有することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、本発明実施形態に係わるヘルスケアシステムのシステム構成の一例を示す図である。
ここでは、一般の利用者が、体重計1と歩数計付きICタグ2を利用して自身の健康管理を行うこととする。また、歩数計付きICタグ2は利用者によって携帯され、利用者が勤務するオフィスや、普段よく利用するコンビニ店などの場所に設置されたICタグリーダ3と無線により接続され、また、ICタグリーダ3は、ネットワーク接続用のPC4に有線で接続されている。なお、体重計1には測定したデータを送信する送信機能が備わっている。ここでは、LF(低周波)信号を送信する磁気コイル(LF信号送信部11)が内蔵されている。そしてこの体重計の測定データは、一旦、利用者が携帯する歩数計付きICタグ2ヘ送られ記憶される。このために、ICタグ2は、無線送信用のRF信号送信部22の他に、LF信号受信用の磁気コイル(LF信号受信部21)を内蔵している。
【0019】
なお、上記した磁気コイルの相互結合によりデータを送受信する本発明実施形態では、特定の歩数計付きICタグ2ヘデータが記憶されるように、体重計1と歩数計付きICタグ2の距離に制限を設ける。例えば、所定の受信強度の電波を歩数計付きICタグ2が受信した場合にのみ、その電波に保持される情報を読みとる。これにより他人に個人(の体重)情報を読み取られることを防ぐことができる。
さらに、歩数計付きICタグ2は、記憶した体重データと、内蔵する歩数計23がカウントした歩数の測定データとを併せた個々人の健康管理のデータを、RF信号送信部22を介して電波により送信する。
また、歩数計付きICタグ2は、内部時計25と暗号化処理部26を保持している。この内部時計25は体重計1などから電波により情報を受信した際の時間を検出するために備えられたものである。また暗号化処理部26は、LF信号受信部21で情報を受信した際に当該受信した情報を暗号化するために備えられたものである。
【0020】
一方、たくさんの人が出入りする公共の施設や場所には、電波を受信するICタグリーダ3と、受信したデータを扱いネットワーク5ヘ接続するPC4が設置されている。公共の施設や場所とは、サラリーマンやOLであれば、勤務先のオフィス、生徒や学生であれば学校や大学、主婦や高齢者など一般の方にはコンビニ店など、普段利用する場所や施設をいう。それぞれ個人の健康管理のための測定データはこれら設置された機器を介して収集される。
上記したように、本発明実施形態によれば、多数の人が同じICタグリーダ3とPC4を共有することになるため、個人が負担する導入コストは少なく済む。すなわち、個人が主に費用負担して購入しなければならない機器は、歩数計付きICタグ2と、家族で共用する1台の体重計1でよい。
【0021】
また、少ない費用負担で済むことは、多数の人がICタグリーダ3やPC4そして、ネットワーク接続を共用しているためであるが、個々の利用者の体重や歩数といった個人情報を扱うためセキュリティ対策も考慮しなければならない。
ここでは、そのために暗号化処理部26が体重計1のLF信号送信部11が発信された信号に含まれる情報を暗号化し、また歩数計付きICタグ2から電波で送信するIDを変更することとした。即ち、利用者の情報が電波により送信される時に、IDが逐次変更されるため、個々の利用者毎の情報を特定されることを困難とし、また体重計1から受信した情報を暗号化するため、有効なトラッキング防止のための手段としている。
【0022】
送信されるIDを変更するためには、次のように幾つかの方法が考えられる。まず、1個の歩数計付きICタグ2に対して複数のIDを持たせる方法がある。これは歩数計付きICタグ2内蔵のメモリに複数のIDを持たせる。この複数のIDを送信の時に順に変えて使ってもよいし、ランダムに選択して使用してもよい。いずれにしても、送信されるIDが変更されるこの方法では、ICタグ側が内蔵のメモリから順番に、あるいはランダムに1個のIDを選択して使用するという簡単な機能のみで済む。そしてリーダー側で使用されたIDのリストからタグを特定することになる。
また、歩数計付きICタグ2があるキーとなる数値から計算でIDを作り使用する方法も考えられる。例えば簡単な計算としては、日付時刻でキーの値を除算してその余りの値をIDとする。歩数計付きICタグ2はキーのみ保持しているだけで、送信する度にIDが異なることになる。このときICタグリーダ3は、同じ計算を実行してIDの一致を確認することによりタグの特定が可能になる。
【0023】
図2は本発明の他の実施形態に係わるヘルスケアシステムの一例を示す図である。ここでは、体重を計測するヘルスケアメータ10、歩数をカウントするヘルスケアサポータ20、測定データを受信するヘルスケアリーダ30、測定データの送信を促すヘルスケアゲート40から構成される。
上記したLF送信機能付き体重計であるヘルスケアメータ10は、体重計に加え、体重の測定データをLF信号で送信する機能がある。このLF信号は、送信側(ヘルスケアメータ10)と受信側(ヘルスケアサポータ20)それぞれのコイルによる磁束相互結合を用いることにより生成される。そしてこのヘルスケアメータ10は、個人の自宅に1台、或いは各家庭で家族と共有して用いることができる。
【0024】
歩数計付きICタグであるヘルスケアサポータ20には、歩数計としての機能のほかに、測定データをRF信号により送るICタグ本体としての機能と、体重のデータやRF送信の起動制御のLF信号を受信するコイルと、内部時計と、データを暗号化して記憶するための暗号化処理部とが備わっている。また、受信した体重データとヘルスケアサポータ10内蔵の歩数計がカウントした歩数データを記憶する機能も持っている。このヘルスケアサポータ10は各個人が携帯して用いることとする。
ヘルスケアゲート40は、書店やビデオ・CD・DVDなどの販売店の出入り口に設置されている防犯センサのような形状をしている。このヘルスケアケゲート40は、ヘルスケアサポータ20に記憶された測定データをRF信号により送信するように起動命令を発する機能を持つ。
【0025】
さらに、親機になるヘルスケアリーダ30は、ヘルスケアサポータ20から送信された測定データを受信する。受信したデータはPC4ヘ送られ、インターネット接続等により図示せぬサーバ等により収集される。
ここでは上記したヘルスケアゲート40と合わせ、ヘルスケアリーダ30およびPC4は、人が集まるオフィスやコンビニ店に設置される。
【0026】
図2に示す実施形態の動作は図3に動作シーケンス図として示されている。以下、図3を参照しながら図2に示す本発明実施形態の動作について説明する。
まず、ヘルスケアメータ10で測定した体重データは、LF信号を用いてヘルスケアサポータ20ヘ送られる(S31)。また、利用者はヘルスケアサポータ20を携帯しており、この利用者が歩いた歩数はヘルスケアサポータ20内蔵の歩数計によりカウントされており、上記した体重データと併せて記憶されている。このとき体重データと当該体重データを保持する信号の受信時刻とが対応づけられて、また内蔵する歩数計がカウントした歩数と当該カウントした時刻とが対応づけられてメモリなどに記憶される。このように、ヘルスケアサポータ20は、体重計等携帯できない測定機器から送信される測定情報を無線により受信することで、また、その際に無線の到達距離を限定し、個人の測定情報が特定のヘルスケアサポータ20ヘ送信され記憶されるように配慮することで、個人に係わる複数種類の測定情報を記憶でき、かつ、その際に無線の到達距離に応じて送信されることで、他との隔離をはかることができる。なおヘルスケアサポータ20の暗号化処理部は、体重データと歩数の情報とそれらに対応する時刻の情報からなる測定情報を暗号化して内蔵メモリへ記憶する。この時暗号化処理部は、ヘルスケアサポータ20に固有の暗号化キーで暗号化処理を行う。なお、複数のヘルスケアサポータ20のそれぞれにおける暗号化処理のルーチンは共通である。
【0027】
一方、利用者がオフィスや店舗に入る時、ヘルスケアサポータ20を携帯しながらヘルスケアゲート40を通過する。この時、ヘルスケアゲート40からLF信号により、記憶されたデータを送信するように起動制御命令(起動信号)が発せられている(S32)ヘルスケアサポータ20では、この制御命令を受信すると内蔵メモリに記憶されている暗号化された測定情報をRF信号により送信する(S33)。送信された測定情報(暗号化されている)はヘルスケアリーダ30によって受信され、接続されているPC4に収集される。また、PC4からネットワークヘ送られる。PC4においては、ヘルスケアサポータ20に固有の復号化キーにより暗号化された測定情報を復号し、体重データ+体重計測時刻+歩数データを読みとり記憶する。
【0028】
なお、上記した本発明実施形態によれば、ヘルスケアサポータ20に記憶された測定データをRF信号により送信するように、ヘルスケアゲート40から起動信号が発せられるものとして説明した。そしてこの起動信号にはLF信号が用いられていると説明した。このように、ヘルスケアサポータ20は、起動信号を受信したときにのみ測定データを送信する(その時以外は送信を停止した状態でいる)ことにより、ヘルスケサポータ20の消費電力を大幅に低減させることができ、また、電池寿命の延命化がはかれる。
また、LF信号を発するヘルスケアゲート40からヘルスケアサポータ20ヘの起動信号を近傍に利用者が居ることを検知した場合にのみ発するように人感(焦電)センサ400を設けることにより、ヘルスケアケゲート40の消費電力の低減をもはかることができる。すなわち、人感センサ400がOFFの場合、ヘルスケアゲート40はLF信号の発信を停止し、人感センサ400がONの時のみLF信号を発するようにする。これで常にLF信号を発したままの状態を抑制して効果的な利用を図ることができる。
また、ヘルスケアゲート40とヘルスケアリーダ30とが近傍に設置されるので、ヘルスケアゲート40からのリクエスト信号を受信することがすなわちヘルスケアリーダ30の近傍にヘルスケアサポータ20が存在することとなる。
また、ヘルスケアゲート40と人感センサ400を組み合わせることでリクエスト信号を継続して送信することを抑制することができる。
【0029】
なお、ヘルスケアサポータ20に設定される無線送信に関するパラメータ、例えば送信間隔、送信回数、ID変更の有無などの設定や変更は、ヘルスケアゲート40もしくは外部接続される制御装置によりLF信号を用いて実行される。
【0030】
図4は、本発明の更に他の実施形態に係わるヘルスケアシステムの構成例を示す図である。
ここでも図1に示す実施形態同様、一般の利用者が体重計1と歩数計付ICダグ2を利用する。また、利用者が勤務するオフィスや普段よく利用するコンビニ等の場所にはICタグリーダ3と、ネットワーク接続されるPC4が設置されている。但し、体重計1には、測定者番号を指定するためのボタン14が備わっている。ボタン14は、区別したい利用者の数だけ備えておき、どのボタン14を押したかにより測定者番号を指定する場合と、ボタン14を一つだけ備えておき、ボタン14を押した回数により測定者番号を指定する場合の二つが考えられる。
【0031】
体重計1には、測定者番号と、送信先ICタグ指定IDとを関連付ける表を備えている表は、図5にテーブルメモリ12として示すように、区別したい測定者の数だけのエントリを持つ。各エントリは、測定者番号と送信先ICタグ指定IDとの対で構成される。
体重計1には、上記した各実施形態同様測定したデータを送信する送信機能が備わっている。ここでは、RF信号を用い送信するためRF送信部13が備わっている。体重計1によって測定された体重データは、一旦利用者が携帯する歩数計付ICタグ2ヘ送られ記憶される。このために、歩数計付きICタグ2はRF信号受信部23を備えている。
【0032】
歩数計付きICタグ2には、体重計1から送信されるRF信号を選択的に受信するために、送信先ICタグ指定IDが内蔵のメモリ24に書き込まれている。一つの体重計と組み合わせて使用される歩数計付きICタグ2には、それぞれ異なる送信先ICタグ指定IDが書き込まれている。その場合、体重計1のテーブルメモリ12には、組み合わせて使用される歩数計付きICタグ2に書き込まれている送信先ICタグ指定IDが設定されている。
【0033】
図6に、歩数計付きICタグ2の動作がフローチャートで示されている。まず、体重計1は、歩数計付きICタグ2に体重データを送信する際に、RF信号に、測定した体重データに加えて送信先ICタグ指定IDを含めて送信する。送信先ICタグ指定IDは、体重測定時に指定されている測定者番号をもとに、体重計に備わっている表(テーブルメモリ12)を検索することで得られる。
図6において、歩数計付きICタグ2は、RF信号受信部23を介して送信される上記RF信号を受信するが(S61)、ここで、RF信号に含まれる送信先ICタグ指定Dと自メモリに書き込まれている送信先ICタグ指定IDを比較し(S62)、異なっている場合は(S62“NO”)、受信したRF信号を破棄し(S64)、等しい場合は(S62“Yes”)、自ICタグに向けた信号であるとしてそのRF信号を受け入れる。受け入れたRF信号から体重データを取り出し、内部時計25で刻まれる時刻に対応づけて内蔵のメモリ24に蓄積する(S63)。この蓄積の際に、暗号化処理部26は、体重データと当該体重データを蓄積した時刻と、内蔵する歩数計がカウントした歩数と当該カウントした時刻の情報を暗号化する。
【0034】
そして、RF信号送信部22が個々人のヘルスケアデータをICタグリーダ3へRF信号を用いて送信する(S65)。このために、歩数計付きICタグ2は、RF信号送信部22を備えている。
なお、ICタグリーダ3は、オフィスやコンビニ店に設置されており、歩数計付きICタグ2から送信されるRF信号を受信し、PC4、ネットワーク5経由で図示せぬサーバへ送信し、当該サーバにて暗号化された測定情報を復号化して、個々人の測定データが収集管理され、必要に応じてPC4経由で検索することにより、個々人のデータを入手でき、更に、体重推移や傾向、運動量等の加工したデータを入手することも可能である。
【0035】
以上説明のように本発明は、ICタグ(ここでは歩数計付きICタグ2)が個人の健康管理にかかわる測定情報を取り込んでICタグリーダ3に無線送信し、人の集まる場所に設置された管理装置(ここでは、上記ICタグリーダ3を含むネットワーク接続PC4から構成される)がその測定情報を受信して記憶し、個人の健康管理のための情報を生成出力するものであり、このことにより、各家庭では、電波の受信機やパソコンか不要となり、従って導入や維持に関するコストを抑えることができ、簡便に測定情報を日々記録し、あるいはその推移や傾向を見ることができる。
但し、上記したようにICタグリーダ3とPCを共用し、電波により個人に関するデ−タを送信しているために、トラッキングされる危険が考えられるが、ICタグ2に付与されているIDを変更しながらICタグから電波を発信することでセキュリティを確保している。
【0036】
また、本発明によれば、体重計1など普通に携帯できない健康管理用の機器での測定データを、一旦、ICタグ(ここでは歩数計など携帯できる健康管理のための機器を内蔵)へ送信するが、その体重計を家族などでは共有している。
加えて、携帯する歩数計から測定データをICタグの電波で送信するための起動信号にLF信号を用いている。このことによりICタグの消費電力を大幅に低減させ、電池寿命を延ばすことを可能にしている。さらに、ヘルスケアゲート40近傍に設置される人感センサ400が“OFF”の場合はLF信号の発信を停止し、このセンサ400が“ON”の時のみLF信号を発するようにしている。このことにより、常にLF信号を発することで生じる電磁波等の弊害を防止している。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明実施形態に係わるヘルスケアシステムのシステム構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の他の実施形態に係わるヘルスケアシステムの一例を示す図である。
【図3】図2に示す実施形態の動作シーケンスを示す図である。
【図4】本発明の更に他の実施形態に係わるヘルスケアシステムの一例を示す図である。
【図5】図4に示す実施形態において使用されるテーブルメモリのデータ構造の一例を示す図である。
【図6】図4に示す実施形態において使用される歩数計付きICタグの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0038】
1…体重計、2…歩数計付きICタグ、3…ICタグリーダ、4…PC、5…ネットワーク、10…ヘルスケアメータ、20…ヘルスケアサポータ、30…ヘルスケアリーダ、40…ヘルスケアゲート、400…人感センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人の健康管理にかかわる測定情報を取り込み無線送信するICタグと、
人の集まる場所に設置され、前記測定情報を受信して記憶し、前記個人の健康管理のための情報を生成出力する管理装置と、
を具備することを特徴とするヘルスケアシステム。
【請求項2】
前記ICタグは、
前記測定情報に加え、自身に付与された識別情報を変更しながら無線送信することを特徴とする請求項1に記載のヘルスケアシステム。
【請求項3】
前記ICタグは、
当該ICタグとともに携帯可能な測定機器から有線で測定情報を取り込み、かつ、携帯できない測定機器から送信される測定情報を無線により受信することを特徴とする請求項1に記載のヘルスケアシステム。
【請求項4】
前記ICタグは、
前記携帯できない測定機器から送信される測定情報を無線によって受信する際に前記無線の到達距離を限定して個人を特定することを特徴とする請求項3に記載のヘルスケアシステム。
【請求項5】
前記管理装置の近傍に利用者が居ることを検知した場合にのみ前記測定情報を送信することを特徴とする請求項3または4に記載のヘルスケアシステム。
【請求項6】
前記携帯できない測定機器から無線で送信される測定情報に送信先となるICタグの識別情報を付加して送信し、受信するICタグを特定することを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のヘルスケアシステム。
【請求項7】
前記ICタグは、前記測定情報を暗号化することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のヘルスケアシステム。
【請求項8】
前記ICタグは、内部時計を保持し、前記測定情報を当該測定情報を受信または取り込んだ時刻に対応づけて記憶することを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項に記載のヘルスケアシステム。
【請求項9】
個人が管理するICタグと、人の集まる場所に設置され、前記ICタグに記憶された情報を読み取るICタグリーダを含む管理装置とから成るヘルスケアシステムにおける情報収集方法であって、
前記ICタグが個人の健康管理にかかわる測定情報を取り込み無線送信する第1のステップと、
前記管理装置が前記測定情報を受信して記憶し、前記個人の健康管理のための情報を生成出力する第2のステップと、
を有することを特徴とするヘルスケアシステムにおける情報収集方法。
【請求項10】
前記第1のステップは、
前記ICタグが、当該ICタグとともに携帯可能な測定機器から有線で測定情報を取り込むサブステップと、
携帯できない測定機器から送信される測定情報を無線により受信するサブステップとを含むことを特徴とする請求項9に記載のヘルスケアシステムにおける情報収集方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−127161(P2006−127161A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−314739(P2004−314739)
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】