説明

ベアリング及びこれを含むターボ圧縮機

【課題】 それぞれ異なる剛性または曲率を有する複数個の弾性フォイルを用いることで、負荷収容能力を高めながらも、弾性フォイル表面の損傷及びターボ圧縮機の機械的損失を防止できるベアリング及びターボ圧縮機を提供する。
【解決手段】 それぞれ異なる剛性を有する複数個の弾性フォイル22a,22bを含んでベアリングを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベアリングに関するもので、詳しくは、回転軸の軸方向を支持するためにターボ圧縮機に設置されるとともに、ガスと摩擦するフォイルを含むスラストベアリングに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、圧縮機は、空気や冷媒ガスなどの気体を圧縮する機械であって、ターボ圧縮機は、モータの駆動力によりインペラーを回転し、このインペラーの回転時に発生する遠心力を用いて気体を吸入および圧縮するものである。
【0003】
また、ベアリングは、回転軸を支持するための機械部品であって、軸に加えられる荷重方向によってラジアルベアリングとスラストベアリングとに区分される。特許文献1に開示されたように、ターボ圧縮機は、これらラジアルベアリングおよびスラストベアリングが回転軸を支持するように設置される。
【0004】
一方、従来のスラストベアリング30は、図1に示すように、中央部に開口30aが形成された円盤状のベース33の一面に複数個の弾性フォイル31が重なっており、回転軸(図示せず)に設置されるディスク(図示せず)と弾性フォイル31の表面とが当接するようになる。また、回転軸が回転して所定時間が経過すると、前記ディスクと弾性フォイル31との間に気体膜が形成されることで、ディスクと弾性フォイル31とが所定間隔離隔される。
【0005】
しかしながら、従来のベアリング30によると、ベアリング30の負荷収容能力を高めるために弾性フォイル31の剛性を増加する場合、ディスクと弾性フォイル31との間に気体膜が形成されることで、ディスクの離隔速度が遅延される。よって、ディスクと弾性フォイル31との間に大きな摩擦が起こることで、弾性フォイル31の表面が損傷されるとともに、ターボ圧縮機の機械的損失が発生するという問題点があった。
【特許文献1】韓国登録特許10−0399325号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、それぞれ異なる剛性または曲率を有する複数個の弾性フォイルを用いることで、負荷収容能力を高めながらも、弾性フォイル表面の損傷及びターボ圧縮機の機械的損失を防止できるベアリング及びターボ圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明によるベアリングは、それぞれ異なる剛性を有する複数個の弾性フォイルを含むことを特徴とする。
【0008】
また、前記複数個の弾性フォイルは、それぞれ異なる曲率を有することを特徴とする。また、前記複数個の弾性フォイルは、円盤状のベースに放射状に配置されることを特徴とする。また、前記複数個の弾性フォイルは、前記ベースの内側に放射状に配置される内側フォイルと、前記ベースの外側に放射状に配置される外側フォイルとを含むことを特徴とする。
【0009】
また、前記内側フォイルは、前記外側フォイルよりも剛性が小さく、曲率が大きいことを特徴とする。
【0010】
また、前記弾性フォイルの一端は、前記ベースにより支持され、他端は、隣接する他の弾性フォイルの上部に載置されることを特徴とする。
【0011】
また、それぞれ異なる曲率を有する複数個の弾性フォイルを含むベアリングが提供されることを特徴とする。
【0012】
また、それぞれ異なる曲率を有する複数個の弾性フォイルを含むことを特徴とする。
【0013】
また、本発明によるターボ圧縮機は、それぞれ異なる剛性を有する複数個の弾性フォイルを含むベアリングを有することを特徴とする。
【0014】
また、それぞれ異なる曲率を有する複数個の弾性フォイルを含むベアリングを有することを特徴とする。
【0015】
また、前記ターボ圧縮機は、インペラーおよびディスクが設置される回転軸をさらに含み、前記ディスクは、前記弾性フォイルにより支持されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、それぞれ異なる剛性または曲率を有する複数個の弾性フォイルを用いることで、負荷収容能力を高めながらも、弾性フォイル表面の損傷及びターボ圧縮機の機械的損失を防止できるベアリング及びターボ圧縮機を提供できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
本発明によるターボ圧縮機は、図2に示すように、ハウジング10の内部に駆動室8が形成される。この駆動室8には、回転軸1が横切って設置される。回転軸1の中央部には、回転子5が設置される。回転子5の外側には、駆動室8の内壁の回転子5に対応する位置に固定子3が設置される。固定子3および回転子5からなる駆動モータ7は、外部から電源が印加されると、電磁気的な相互作用により回転軸1を回転する。また、駆動室8の内部には、回転軸1を支持する複数個のラジアルベアリング9およびスラストベアリング20が設置される。スラストベアリング20は、回転軸1の外周面に設けられたディスク1aの両面に当接し、回転軸1を軸方向に支持する。
【0019】
一方、回転軸1の両端部には、インペラー4a,4bが固定設置される。インペラー4a,4bは、吸入側の第1の段インペラー4aおよび排出側の第2の段インペラー4bにより構成される。また、ハウジング10には、外部から第1の段インペラー4a側に冷媒を吸入するために連通される吸入管6aと、第2の段インペラー4b側で圧縮された冷媒を吐出するために外部に連通される排出管6cと、が形成される。第1の段インペラー4a側および第2の段インペラー4b側は、連結管6bを通して連通される。
【0020】
したがって、駆動モータ7により回転軸1が回転されると、第1の段インペラー4aおよび第2の段インペラー4bが回転する。第1の段インペラー4aの回転により吸入管6aを通してハウジング10の内部に流れた冷媒は、第1の段インペラー4aによって一次的に圧縮された後、連結管6bを通して第2の段インペラー4b側に供給される。第2の段インペラー4bは、一次的に圧縮された冷媒を再び圧縮して排出管6cに排出する。
【0021】
一方、駆動時に駆動モータ7から発生する熱によってターボ圧縮機の効率が低下することを防止するために、ハウジング10には、駆動室8に連通される冷却冷媒吸入口8aおよび冷却冷媒排出口8bが形成される。すなわち、冷媒サイクルを循環する冷媒の一部を冷却冷媒吸入口8aを通して駆動室8に流入し、冷却冷媒排出口8bを通して再び冷媒サイクルに戻すことで、駆動室8の内部を冷却するようになる。
【0022】
一方、本発明によるベアリング20は、図3及び図4に示すように、中央部に開口23aが形成された円盤状のベース23と、このベース23の一面に付着される複数個の弾性フォイル22a,22bと、を備える。弾性フォイル22a,22bは、ベース23の内側に付着される内側フォイル22aと、ベース23の外側に付着される外側フォイル22bとを含む。ここで、弾性フォイル22a,22bは、外側フォイル22b同士が重なり、内側フォイル22a同士が重なるように放射状に設置される。
【0023】
図4に示すように、弾性フォイル22a,22bの一端は、支持部材25を介してベース23に固定され、他端は、隣接した弾性フォイル22a,22bの上部に載置される。また、内側フォイル22aは、外側フォイル22bよりも曲率およびベース23からの最高距離が大きく形成される。また、内側フォイル22aは、相対的に剛性が小さく、外側フォイル22bは、相対的に剛性が大きい。
【0024】
したがって、図5に示すように、回転軸1及びこれに形成されるディスク1aが停止中であるか、または、回転軸1が初期駆動状態である場合は、内側フォイル22aとディスク1aとが互いに当接するようになるが、外側フォイル22bは、ディスク1aと当接しない。したがって、剛性の小さい内側フォイル22aのみがディスク1aと接触することで、ディスク1aとベアリング20との間の摩擦により発生する弾性フォイル22a,22bの摩耗量が減少するとともに、ターボ圧縮機の機械損失も減少することになる。
【0025】
また、回転軸が駆動されて所定時間が経過すると、内側フォイル22a及び外側フォイル22bとディスク1aとの間には、所定間隔の空気膜が形成されることで、内側フォイル22aと外側フォイル22bとがディスク1aと離隔される。このとき、外側フォイル22bおよび内側フォイル22aによってディスク1aが同時に支持され、外側フォイル22bおよび内側フォイル22aに荷重が分散されるので、支持可能な荷重が増加するようになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】従来のベアリングを示した正面図である。
【図2】本発明によるターボ圧縮機を示した断面図である。
【図3】本発明によるターボ圧縮機のベアリングを示した正面図である。
【図4】本発明によるターボ圧縮機のベアリングを示した図3のIV-IV線断面図である。
【図5】本発明によるターボ圧縮機のベアリングを示した断面図で、ベアリングとディスクとの密着状態を示す。
【符号の説明】
【0027】
20 ベアリング
22a,22b 弾性フォイル
23 ベース
23a 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ異なる剛性を有する複数個の弾性フォイルを含むことを特徴とするベアリング。
【請求項2】
前記複数個の弾性フォイルは、それぞれ異なる曲率を有することを特徴とする請求項1記載のベアリング。
【請求項3】
前記複数個の弾性フォイルは、円盤状のベースに放射状に配置されることを特徴とする請求項2記載のベアリング。
【請求項4】
前記複数個の弾性フォイルは、前記ベースの内側に放射状に配置される内側フォイルと、前記ベースの外側に放射状に配置される外側フォイルと、を含むことを特徴とする請求項3記載のベアリング。
【請求項5】
前記内側フォイルは、前記外側フォイルよりも剛性が小さく、曲率が大きいことを特徴とする請求項4記載のベアリング。
【請求項6】
前記弾性フォイルの一端は、前記ベースにより支持され、他端は、隣接する他の弾性フォイルの上部に載置されることを特徴とする請求項2記載のベアリング。
【請求項7】
前記ベースにより支持された前記弾性フォイルの一端は、支持部材によって前記ベースに固定されることを特徴とする請求項6記載のベアリング。
【請求項8】
それぞれ異なる曲率を有する複数個の弾性フォイルを含むことを特徴とするベアリング。
【請求項9】
それぞれ異なる剛性を有する複数個の弾性フォイルを含むベアリングを有することを特徴とするターボ圧縮機。
【請求項10】
それぞれ異なる曲率を有する複数個の弾性フォイルを含むベアリングを有することを特徴とするターボ圧縮機。
【請求項11】
前記ターボ圧縮機は、インペラーおよびディスクが設置される回転軸をさらに含み、
前記ディスクは、前記弾性フォイルにより支持されることを特徴とする請求項9記載のターボ圧縮機。
【請求項12】
前記ターボ圧縮機は、インペラーおよびディスクが設置される回転軸をさらに含み、
前記ディスクは、前記弾性フォイルにより支持されることを特徴とする請求項10記載のターボ圧縮機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−52837(P2006−52837A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−161283(P2005−161283)
【出願日】平成17年6月1日(2005.6.1)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】