説明

ベルトの梱包方法

【課題】ベルトの曲がりぐせの発生を抑制し、且つ収納体積を減少させてベルトの梱包方法を提供すること。
【解決手段】ベルト10Aの両端側内部にロール支持体12A,14Aを2本挿入して、掛け渡す。この際、2本のロール支持体12A,14Aのそれぞれにベルト10Aを巻き掛ける。そして、ベルト10Aの中央部の内周面同士を当接させる。このようにして、最小限に曲げられた状態でベルト10Aを梱包する。一方、ベルト10BもベルトAと同様に梱包する。そして、ベルトAの領域(空間)20Aにベルト10Bのロール支持体当接部18Bを位置させ、尚且つロール支持体12A,14A,12B,14Bが実質的に並列するように、ベルト10A及びベルト10B配置する。このようなに収納体積を減少させた状態で、ベルト10A及びベルト10Bを収納箱22に収納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトの梱包するためのベルト用梱包容器及びベルトの梱包方法に関する。特に、特に、電子写真方式の機能性ベルト(例えば、中間転写ベルト、転写搬送ベルト、定着ベルト等)として用いられるベルトに有用な、ベルトの梱包方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ベルトは、電子写真方式の機能性ベルト、具体的には感光体ベルトの基体ベルト、中間転写ベルト、転写搬送ベルト、定着ベルト等に使用されている。このようなベルトを収納箱などに梱包すると、折れ目がついてしまうという問題がある。
【0003】
このため特許文献1には、ベルトの両端(ベルト幅方向とは直交する方向の両端)に膨らみをもった収容空間を形成した容器を用いてベルトを梱包方法が開示されている(特許文献1:図1参照)。
【0004】
一方、特許文献2には、ベルトの両端内側(ベルト幅方向とは直交する方向の両端)に2本の円筒体を入れた後、さらにベルト外周面側に1本の円筒体を重ねて、内側に配置した円筒体と外側に配置した円筒体によりベルトを巻くことで、ベルトを小さく収納する梱包方法が開示されている(特許文献2:図1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−225971公報
【特許文献2】特開2003−335387公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、用いる容器が特殊な形状であるため費用がかさむばかりでなく、複数のベルトを一つの容器に収納できず、容器が特殊であるがゆえに重ねると体積がかさばるなどの問題があった。
【0007】
一方、特許文献2では、収納体積が減少させることができるが、ベルトを内側に配置した円筒体と外側に配置した円筒体により巻くため、ベルトが内曲げ・外曲げがなされた状態での梱包となるため、ベルトに複雑な曲がりぐせが発生するといった問題がある。
【0008】
このように、ベルトの梱包においては、曲がりぐせの抑制と、収納体積との両立が未だ不十分であり、改善が望まれているのが現状である。
【0009】
したがって、本発明は、上記従来の問題点に鑑み、ベルトの曲がりぐせの発生を抑制し、且つ収納体積を減少させるベルトの梱包方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
本発明の梱包方法は、複数のベルトを梱包するベルトの梱包方法であり、
ベルトの内部に一対のロール支持体を所定の間隔で挿入して、前記ベルトを前記一対のロール支持体で掛け渡すと共に前記一対のロール支持体のそれぞれに巻き掛け、前記一対のロール支持体で挟まれるベルト中央部の内周面同士を当接させて、ベルトを梱包し、且つ、ベルトの外周面上であって前記一対のロール支持体間で囲まれる領域に、梱包した他方のベルトにおける前記一対のロール支持体の一方を位置させると共に全てのロール支持体が並列するような状態で、複数のベルトを梱包箱に収納することを特徴としている。
【0011】
本発明のベルトの梱包方法では、一対のロール支持体それぞれにベルト内周面を当接させるように巻き掛け、且つ一対のロール支持体間で挟まれるベルト中央部の内周面同士を当接させてベルトを梱包している。このため、最小限にベルトを曲げた状態でベルトを梱包している。
【0012】
そして、ベルト外周面上であって、一対のロール支持体間で囲まれる領域に空間を持たせ、そこに、梱包された他のベルトの一対のロール支持体の一方を位置させると共に全てのロール支持体が並列させるので、収納体積も最小限に抑えられる。
【発明の効果】
【0013】
よって、本発明によれば、ベルトの曲がりぐせの発生を抑制し、且つ収納体積を減少させるベルトの梱包方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明について図面を参照しつつ説明する。なお、実質的に同一の機能を有する部材には全図面通して説明し、重複する説明を省略する場合がある。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係るベルトの包装形態を示す概略断面図である。図2は、本発明の実施形態に係るベルトの包装形態を示す分解斜視図である。
【0016】
本実施形態に係るベルトの梱包形態は、図1及び図2に示すように、例えば、直径366mm(周長1150mm)、幅(軸方向の長さ)369mm、厚さ80μmの寸法である、2つのベルト10A及びベルト10Bを梱包して収納箱に収納する梱包形態(梱包方法)である。
【0017】
まず、ベルト10Aの両端側内部(ベルト幅方向と直交方向の両端側内部)にロール支持体12A,14Aを2本挿入する。この所定の間隔を持って配置された2本のロール支持体12A,14Aによりベルト10Aを掛け渡す。この際、2本のロール支持体12A,14Aのそれぞれにベルト10Aを巻き掛ける。この巻き掛けるとは、ロール支持体12A,14Aの円周の半分から3/4程度で、ベルトAの内周面をロール支持体12A,14Aの外周面にそれぞれ当接させることを示す。無論、ベルトが柔らかい場合には、円周の3/4を超えて当接する場合もあり得る。
【0018】
そして、2本のロール支持体12A,14Aで挟まれたベルト10Aの中央部の内周面同士を当接させる。また、図示しないが、ベルト10Aの中央部の内周面同士は、両面テープなどの接着部材により接着して当接させる。この際、ベルト10A中央部で内周面が対向する領域の一方がロール支持体12A,14Aとの非当接領域で湾曲しないように(言い換えれば、他方のみがロール支持体12A,14Aとの非当接領域で湾曲するように)、ベルト10Aの中央部の内周面同士を当接させる。なお、ベルト10Aの中央部の内周面同士は、スポンジなどの板状の緩衝部材を介して当接させてもよい。
【0019】
ロール支持体12A,14Aとしては、ベルトがつぶれない程度の強度を持っていれば特に制限はなく、紙管、プラスチック管(プラスチック板を丸めて管状したものも含む:例えば、厚さ100μmのPETフィルムを管状に丸めたもの)、スポンジロール、発泡スチロール、等が適用できる。
【0020】
ロール支持体12A,14Aの直径としては、ベルトの直径(或いは周長)にもよるが、おおよそ、ベルトの直径が例えば200〜500mm(或いは周長例えば628〜1570mm)の場合、例えば30〜100mm程度とする。本実施形態では、直径50mm、長さ(軸方向長さ)370mmの寸法で、紙管からなるロールを適用した。このような直径とすることで、収納体積を減少させつつ、ベルトの曲がりぐせがつきにくく梱包することができる。
【0021】
このようにして、ベルト10A内周面とロール支持体12Aとが当接したロール支持体当接部16Aと、ベルト10A内周面とロール支持体14Aとが当接したロール支持体当接部18Aと、ベルト10Aの中央部の内周面同士が当接し、ベルト10A外周面上であってロール支持体12A,14Aに挟まれた領域(空間)20Aを有し、且つ最小限に曲げられた状態でベルト10Aを梱包する。
【0022】
一方、ベルト10Bもベルト10Aと同様に梱包する。なお、ベルト10Bにおける各部材の符号は、ベルト10Aにおける「A」を「B」に替えて付している。
【0023】
そして、ベルト10Aにおけるベルト10A中央部の内周面同士が当接し、ベルト10A外周面上であってロール支持体12A,14Aに挟まれた領域(空間)20Aに、ベルト10Bにおけるベルト10B内周面とロール支持体14Bとが当接したロール支持体当接部18Bを位置させ、尚且つベルト10A及びベルト10Bにおけるロール支持体12A,14A,12B,14Bが実質的に並列するように、ベルト10A及びベルト10B配置する。
【0024】
言い換えれば、ベルト10Bにおけるベルト10B中央部の内周面同士が当接し、ベルト10B外周面上であってロール支持体12B,14Bに挟まれた領域(空間)20Bに、ベルト10Aにおけるベルト10A内周面とロール支持体14Aとが当接したロール支持体当接部18Aを位置させ、尚且つベルト10A及びベルト10Bにおけるロール支持体12A,14A,12B,14Bが実質的に並列するように、第1ベルト及びベルト10B配置する。
【0025】
また、第1ベルト及びベルト10Bは、ロール支持体12A,14B同士、また、ロール支持体14A,12B同士がベルトを介して近接するように配置する。
【0026】
このようなに収納体積を減少させた状態で、ベルト10A及びベルト10Bを収納箱22に収納する。
【0027】
収納箱22は、箱本体24と蓋26から構成され、例えば、紙製或いはプラスチック製のダンボールで構成することができる。本実施形態では、幅650mm、奥行き380mm、深さ60mmの寸法である、ポリエチレンコート段ボールで構成された箱本体24と、幅660mm、奥行き390mm、深さ20mmの寸法である、同じ材質のポリエチレンコート段ボールで構成された蓋26と、からなる収納箱22を適用した。
【0028】
本実施形態に係る梱包形態では、上述のように、最小限に曲げられた状態でベルト10A及びベルト10Bをそれぞれ梱包し、且つ、互いにのベルト中央部の内周面同士が当接し、ベルト外周面上であってロール支持体に挟まれた領域(空間)に、他のベルトのロール支持体(ロール支持体当接部)を位置させ、各ロール支持体を実質的に一直線上に並列に配置するように、収納体積を減少させた状態で収納箱22に収納している。
【0029】
このため、ベルトの曲がりぐせの発生を抑制し、且つ収納体積を減少させて、ベルトを梱包することができる。
【0030】
なお、本実施形態では、2本のベルトを梱包した形態を説明したが、ベルトの本数に制限はなく、3本以上でもよく、例えば、図3に示すように3本のベルト10A、10B、10Cを梱包した形態でもよい。
【0031】
ここで、図3は、本発明の他の実施形態に係る梱包形態を示す概略断面図である。この実施形態に係る梱包形態は、図3に示すように、上記梱包形態(図1及び図2参照)におけるベルト10Aと同様に各ベルトを梱包し、ベルト10Aとベルト10Bとの関係と同様にベルト10Bとベルト10Cを配置して、ベルト10A、ベルト10B及びベルト10Cを収納箱22に収納している。
【0032】
即ち、ベルト10Bにおけるベルト10B中央部の内周面同士が当接し、ベルト10B外周面上であってロール支持体12B,14Bに挟まれた領域(空間)20Bに、ベルト10Aにおけるベルト10A内周面とロール支持体14Aとが当接したロール支持体当接部18Aとベルト10Cにおけるベルト10C内周面とロール支持体12Cとが当接したロール支持体当接部16Cとを位置させ、尚且つベルト10A、ベルト10B及びベルト10Cにおけるロール支持体12A,14A,12B,14B,12C,14Cが実質的に並列するように、ベルト10A及びベルト10B配置している。
【0033】
このような他の実施形態でも、同様に、ベルトの曲がりぐせの発生を抑制し、且つ収納体積を減少させて、ベルトを梱包することができる。
【0034】
なお、本実施形態に係る包装形態(包装方法)において、適用されるベルトは、その表面特性(表面粗さ、接触角、平面性、光沢等)が、形成される画質と密接な関係にあり、曲がりぐせが生じると画像欠陥となりやすい問題がある電子写真装置用の機能性ベルト(例えば、中間転写ベルト、転写搬送ベルト、定着ベルト等)が有効である。しかし、これに限られず、ベルトに曲がりぐせが生じると、その特性が悪化してしまうものであれば、本発明は有効に適用することができる
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態に係るベルトの包装形態を示す概略断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るベルトの包装形態を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の他の実施形態に係るベルトの包装形態を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0036】
10A、10B、10C ベルト
12A,14A,12B,14B,12C,14C ロール支持体
16A,16B,16B ロール支持体当接部
18A,18B,18B ロール支持体当接部
22 収納箱
24 箱本体
26 蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のベルトを梱包するベルトの梱包方法であって、
ベルトの内部に一対のロール支持体を所定の間隔で挿入して、前記ベルトを前記一対のロール支持体で掛け渡すと共に前記一対のロール支持体のそれぞれに巻き掛け、前記一対のロール支持体で挟まれるベルト中央部の内周面同士を当接させて、ベルトを梱包し、且つ、ベルトの外周面上であって前記一対のロール支持体間で囲まれる領域に、梱包した他方のベルトにおける前記一対のロール支持体の一方を位置させると共に全てのロール支持体が並列するような状態で、複数のベルトを梱包箱に収納することを特徴とするベルトの梱包方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−137448(P2007−137448A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−331324(P2005−331324)
【出願日】平成17年11月16日(2005.11.16)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】