説明

ベルトシーラ

【課題】ヒーターに不具合が生じた場合のメンテナンスを迅速に行うことが可能なベルトシーラを提供する。
【解決手段】包装体Fを挟持搬送する第1ベルト30及び第2ベルト31を有するベルト機構3と、包装体Fのシール箇所を加熱してシールする加熱機構4と、を備え、加熱機構4は、第1ベルト30の内側に位置する第1挟持作用部40と、第1挟持作用部40を取り付け支持する第1取付支持部400と、第2ベルト31の内側に位置する第2挟持作用部41と、第2挟持作用部41を取り付け支持する第2取付支持部と、挟持作用部40,41に設けられる線状ヒーター44と、挟持作用部40,41により包装体Fを挟持押圧させるときの押圧力を付与する押圧力付与機構7と、この押圧力を付与させた状態と解除させた状態に切り換え可能な押圧力切換手段と、を備え、挟持作用部40,41は、押圧力を解除した状態で、取り外し可能なユニットとして構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム状の被シール体を挟持搬送するために循環駆動される第1ベルト及び第2ベルトを有するベルト機構と、被シール体のシール箇所を加熱してシールするために、前記ベルト機構により形成される搬送経路に配置される加熱機構と、を備えたベルトシーラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
かかるベルトシーラとして、下記特許文献1に開示されるインパルス式ベルトシーラが知られている。このベルトシーラは、循環駆動される第1・第2ベルトを備えており、このベルト間に樹脂フィルム等の被シール体を挟持させた状態で搬送し、搬送経路に接地されている加熱機構によりシール箇所を加熱してシールするものである。
【0003】
加熱機構は、第1ベルトの内側に位置する第1挟持作用部と、第2ベルトの内側に位置する第2挟持作用部とを備えており、これら挟持作用部にシール箇所を加熱するためのヒーター(加熱部材に相当)が設けられている。一般的にヒーターは線状に形成されており、加熱回路とは配線により接続されている。
【0004】
【特許文献1】特開2007−76659号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる加熱機構において、断線が生じたり、ヒーターに不具合が生じた場合、メンテナンスを行う必要がある。かかる場合、迅速にヒーターの交換などのメンテナンスを行う必要がある。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、加熱機構に不具合が生じた場合のメンテナンスを迅速に行うことが可能なベルトシーラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明に係るベルトシーラは、
フィルム状の被シール体を挟持搬送するために循環駆動される第1ベルト及び第2ベルトを有するベルト機構と、被シール体のシール箇所を加熱してシールするために、前記ベルト機構により形成される搬送経路に配置される加熱機構と、を備えたベルトシーラであって、
加熱機構は、第1ベルトの内側に位置する第1挟持作用部と、第1挟持作用部を取り付け支持する第1取付支持部と、第2ベルトの内側に位置する第2挟持作用部と、第2挟持作用部を取り付け支持する第2取付支持部と、第1挟持作用部と第2挟持作用部のうちの少なくとも第1挟持作用部に設けられる加熱部材と、第1挟持作用部と第2挟持作用部により被シール体を挟持押圧させるときの押圧力を付与するための押圧力付与機構と、押圧力付与機構による押圧力を付与させた状態と解除させた状態に切り換え可能な押圧力切換手段と、を備えており、
少なくとも前記第1挟持作用部は、前記押圧力を解除した状態で、取り外し可能なユニットとして構成されていることを特徴とするものである。
【0008】
かかる構成によるベルトシーラの作用・効果を説明する。フィルム状の被シール体は、第1ベルトと第2ベルトに挟持された状態で搬送される。搬送経路には加熱機構が設けられ、この加熱機構を構成する第1挟持作用部と第2挟持作用部で更に被シール体を挟持させた状態でシール箇所の加熱が行われる。これにより、シール箇所がシールされる。挟持作用部により挟持するためには、所定の押圧力を付与する必要があり、そのために押圧力付与機構が設けられている。また、押圧力付与機構による押圧力は押圧力切換手段により解除することができる。第1挟持作用部は加熱部材を備えており、加熱部材に不具合が生じた場合等には、上記押圧力を解除させ、第1挟持作用部を取り外すことができる。特に、この第1挟持作用部はユニット化されており、着脱作業を容易に行うことができる。従って、メンテナンスを迅速に行なうことができる。
【0009】
なお、本発明として、加熱部材は第1挟持作用部と第2挟持作用部の両方に設けられていてもよいし、第1挟持作用部のみに設けられていてもよい。両方に加熱部材が設けられる場合、両方ともユニット化して、着脱を容易にすることが好ましい。また、第1ベルトと第2ベルトは、一方が上側で他方が下側になるが、いずれが第1ベルトであると定義されていてもよい。
【0010】
本発明において、前記第1挟持作用部に設けられた被連結部と、第1取付支持部を構成する支持本体及びこの支持本体から絶縁された金属製の連結部と、連結部に形成された雌ねじと、
連結部と被連結部を締結する雄ねじと、を備え、
雄ねじによる締結時に、加熱部材が、前記連結部と雄ねじにより挟持されることが好ましい。
【0011】
この構成によると、第1取付支持部の連結部と、第1挟持作用部の被連結部が雄ねじにより締結される。従って、雄ねじを緩めるという簡単な作業で第1挟持作用部を取り外すことができる。また、雄ねじで締結する時は、加熱部材を挟持する形態でネジ締結されるため、接触抵抗を小さくした状態で強固に締結することができる。また、連結部は金属製であって、支持本体とは絶縁されているので、適切に加熱回路に接続させることができる。
【0012】
本発明において、前記第1ベルトと第2ベルトの搬送速度を制御する制御部と、加熱機構による加熱温度を設定する温度設定部と、を備え、
この温度設定部により設定された加熱温度に基づいて、前記搬送速度の設定値が制御部により変更されることが好ましい。
【0013】
第1ベルト及び第2ベルトの搬送速度は制御部により制御される。また、加熱機構による加熱温度は温度設定部により設定される。加熱温度は、被シール体の材質等に応じて設定することができる。加熱時間は、搬送速度に依存するが、搬送速度と加熱温度を個別に設定するようにすると、最適な組み合わせを見つけるまでに時間がかかる恐れがある。そこで、加熱温度の設定変更を行った場合には、搬送速度の設定も連動して変更されるように構成することが好ましい。これにより、最適な加熱温度と搬送速度の組み合わせを短時間で設定することができる。
【0014】
本発明において、被シール体の前記ベルト機構への挿入を検出する挿入検出センサーを備え、
前記制御部は、
この挿入検出センサーの検出結果に基づいて、ベルト機構の動作を開始させると共に、加熱機構による加熱開始タイミングを制御し、かつ、設定されている前記搬送速度に基づいて、被シール体が加熱機構の位置を通過するタイミングを算出し、被シール体が加熱機構を通過すると加熱機構をオフにする制御を行うことが好ましい。
【0015】
ベルト機構の駆動は、シール動作を行なう時のみで足りるので、挿入検出センサーを設け、被シール体の挿入を検出した時にベルト機構の駆動を開始する。また、加熱機構の加熱開始タイミングとオフにするタイミングを制御する。加熱機構は必要時間以上に加熱させないため、可能な限りオフのタイミングを早めることが好ましい。そこで、挿入検出センサーの検出結果と、ベルトの搬送速度に基づいて、被シール体が加熱機構を通過するタイミングを算出する。これにより、加熱機構をオフにするタイミングを適切に設定し、必要時間以上に加熱機構を駆動しなくても済む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に係るベルトシーラの好適な実施形態を図面を用いて説明する。図1は、本実施形態に係るベルトシーラの斜視図、図2はベルトシーラの平面図、図3はベルトシーラの特に加熱機構と放熱機構の拡大正面図である。図3Aは、加熱機構の部分拡大図である。
【0017】
<ベルトシーラの全体構成>
まず、ベルトシーラの全体構成について説明する。図1に示すように被シール体としてのフィルム状の包装袋Fの開口部Aを封止するためにシールをする装置である。包装袋Fの材質は、一般的には樹脂製であるが、これに限定されるものではない。包装袋Fの中に内容物が封入された後、図示されるベルトシーラ1により開口部Aが封止される。包装袋Fの搬送方向が図1に矢印Bで示される。
【0018】
ベルトシーラ1の正面側から見て右側には、挿入部2が設けられており、この位置から包装袋Fを手動で挿入する。挿入された包装袋Fは、第1ベルト30と第2ベルト31を有するベルト機構3により予め設定された搬送速度で搬送される。
【0019】
搬送経路の上流側には、加熱機構4が設けられており、包装袋Fの開口部Aをシールするために開口部Aの近傍を挟持して加熱する。加熱機構4は、シールする時にのみ瞬時的に加熱するものであり、本実施形態に係るベルトシーラ1は、インパルス式ヒートシーラーである。
【0020】
加熱機構4のすぐ下流側には、放熱機構5が設けられており、加熱された状態の包装袋Fの開口部近傍を冷却させる機能を有する。排出機構6は、シール済みの包装袋Fを排出させる機能を有する。
【0021】
加熱機構4と放熱機構5の上部には、押圧力付与機構7が設けられており、搬送経路に沿って包装袋Fを搬送させる際に、確実に包装袋Fの開口部Aを挟持できるように押圧力を付与する。また、ベルトシーラ1の前面側には、包装袋Fを安定した状態で搬送できるように、包装袋Fの底部(開口部Aと反対側)を支持しながら搬送させる補助ベルト機構8が設けられている。
【0022】
ベルトシーラ1の上面部と側面部はカバー板10でカバーされている。また、上面部には、操作パネル11が設けられており、温度条件、ベルト機構3の搬送速度などを設定することができる。また、操作パネル11に隣接して電源スイッチ12が設けられている。
【0023】
<<各部の構成>>
<挿入部の構成>
次に、各部の構成について説明する。挿入部2には、挿入検出センサー20が設けられており、この位置に包装袋Fが載置されると、挿入検出センサー20により包装袋Fの挿入が検出され、ベルト機構3の駆動開始等の制御が行われる。挿入検出センサー20は、載置プレート21から突出した検出部20aを有し、包装袋Fが載置されると、検出部20aが押し込まれ、内部のスイッチがオンするようになっている。ただし、挿入検出センサー20としては、他の方式のもの(光センサーやマイクロスイッチなど)を用いてもよい。
【0024】
<ベルト機構の構成>
ベルト機構3は、循環駆動される第1ベルト30と第2ベルト31を備えている。第1ベルト30が上側に位置し、第2ベルト31が下側に位置するが、この呼称は説明の便宜上決めたものである。第1ベルト30は、上流側のローラ32aと下流側のローラ32bに巻回されている。第2ベルト31は、上流側のローラ33aと下流側のローラ33bに巻回されている。これら第1・第2ベルト30,31は不図示のベルト駆動用モータにより駆動される。
【0025】
ベルト機構3を駆動するときは、第1・第2ベルト30,31は、テンションが掛けられた状態で駆動される。このテンション調整機構が設けられており、調整つまみ34により調整することができる。調整つまみ34を回すことで、テンションを掛けたり緩めたりすることができる。
【0026】
<加熱機構の構成>
図4は、加熱機構4の構成を示す部分斜視図である。加熱機構4は、第1ベルト30の内側に位置する第1挟持作用部40と、第2ベルト31の内側に位置する第2挟持作用部41とを備えている。搬送されてくる包装袋Fは、第1・第2ベルト30,31を介して、第1・第2挟持作用部40,41により挟持された状態で搬送される。第1挟持作用部40と、第2挟持作用部41の構成は同じであるので、第1挟持作用部40のみについて説明する。
【0027】
第1挟持作用部40は、アルミニウム製の支持本体40aと、支持本体40aの左右両側に取り付けられた樹脂製の被連結部40bを備えている。支持本体40aと被連結部40bは、ネジ42により連結される(図4参照)。支持本体40aは、搬送経路に沿った細長い形状を有する直方体状に形成される。また、支持本体40aには、多数の放熱穴40cが形成されており、放熱効果を高めている。一対の被連結部40bには、取り付け用穴部40dが形成される。
【0028】
図3Aに示すように、支持本体40aの第1ベルト30に面する側には、絶縁材43と、線状ヒーター44(加熱部材に相当)が層状に取り付けられている。絶縁材43としては、ヘミサル等の絶縁材やフッ素樹脂(テフロン(登録商標))テープなどが使用される。従って、線状ヒーター44が第1ベルト30のすぐ裏側に位置することになる。
【0029】
図4に示すように第1挟持作用部40は、ユニット化されており、第1取付支持部400に2本の雄ねじ45により締結される。第1取付支持部400は、取り付け板401と、連結部として機能する電極棒402を備えている。電極棒402は、表面が金メッキされた金属製であり、絶縁リング403を介して取り付け板401に取り付けられる。電極棒402には、雄ねじ45に螺合する雌ねじが形成されている。図示はしないが、第2挟持作用部41も同じ構造を有している。
【0030】
図5(a)は、第1挟持作用部40の取り付け構造を示す断面図である。線状ヒーター44は、図5(b)のヒーター図に示すように、加熱本体部44aの両側に取り付け部44bを備えている。雄ねじ45で第1挟持作用部40を結合する時には、図5(a)に示すように、取り付け部44bを挟持する形で締結される。従って、機械的接続だけでなく、電気的な接続も同時に行なうことができる。
【0031】
線状ヒーター44やその配線に不具合が生じた場合、部品交換などのメンテナンスを行う必要がある。メンテナンスを行なうためには、その作業を簡単に行なえるような構造が要求される。本発明では、第1挟持作用部40がユニット化されており、2本の雄ねじ45を緩めるのみで、第1挟持作用部40を第1取付支持部400から取り外すことができる。ヒーター等に不具合が生じた場合は、場合によっては、第1挟持作用部40そのものを新しいものと交換することもできる。従って、メンテナンス作業を簡単に行なうことができる。
【0032】
<放熱機構の構成>
次に、放熱機構5の構成を説明する。加熱機構4では、シールする時にのみ加熱を行うが、開口部Aを加熱してシールした後は、すぐに放熱(冷却)することが好ましい。そのために放熱機構5が設けられている。
【0033】
図3に示すように、第1ベルト30の内側に位置する第1搬送ユニット50と、第2ベルト31の内側に位置する第2搬送ユニット51を備えている。第1搬送ユニット50は、搬送経路に沿って配置される5つのローラ群52を備え、第2搬送ユニット51も、同じく5つのローラ群53を備える。これらローラ群52,53は、第1・第2ベルト30,31の移動に連動するフリーローラとして機能する。
【0034】
また、不図示のブロアが設けられており、シールされた包装袋Fが放熱機構5の位置を通過するときに、風を吹きつける。これにより、強制的に包装袋Fのシール箇所を冷却させる。ローラ群52,53自身にも放熱・冷却機能を持たせてもよい。積極的に冷却させる場合は、ペルチェ素子などを用いてもよい。
【0035】
<排出機構の構成>
次に、排出機構6の構成を説明する。排出機構6は、ベルト機構3のローラ32b,33bの下流側に配置される排出ローラ60,61を備えている。上側に位置する排出ローラ60の外表面には、円周方向に沿った凹凸部60aが形成されている。凹凸部60aの深さは、寸法的にはわずかな大きさであるが、シールされた包装袋Fが排出機構6を通過すると、図6に示すように、シール箇所に横縞模様が形成される。
【0036】
上側に位置する排出ローラ60は、連結ベルト62により、ベルト機構3のローラ32bと連結されており、下側に位置する排出ローラ61は、連結ベルト63により、ベルト機構3のローラ33bと連結されている。従って、排出機構6はベルト機構3と連動して駆動されることになる。
【0037】
<押圧力付与機構の構成>
次に、押圧力付与機構7の構成について図7の斜視図を中心に説明する。押圧力付与機構7は、加熱機構4による加熱が適切に行えるよう、また、包装袋Fをベルト機構3で搬送するときに適切な挟持力で搬送できるように押圧力を付与する。また、放熱機構5でローラ群52,53により適切な挟持力で包装袋Fを搬送できるように押圧力を付与する。加熱機構4側の押圧力付与機構7と、放熱機構5側の押圧力付与機構7とは、別個独立して操作することが可能であり、その構成も同じである。従って、加熱機構4側の押圧力付与機構7についてのみ説明することとする。
【0038】
加熱機構4の上側には加熱機構4を覆うように押圧プレート70が設けられている。押圧プレート70の裏面側には、押圧スプリング71が設けられており、押圧プレート70を上方に付勢している。押圧スプリング71は、ばね支持軸75に嵌挿されており、このばね支持軸75に形成された雄ねじが図4に示す、穴401aに形成された雌ねじに螺合される。
【0039】
押圧力付与機構7により押圧力を付与させた状態と、押圧力を解除させた状態を切り換えることができ、そのための押圧力切換手段が設けられている。押圧力切換手段として、切換つまみ72と、この切換つまみ72と一体化された操作軸73と、この操作軸73の両側に取り付けられた一対の切り換えカム74とを備えている。切り換えカム74は、円筒面74aと平面74bにより構成されている。切り換えカム74の回転中心から平面74bまでの距離は、円筒面74aの半径よりも小さく設定されている。
【0040】
図7(a)に示す状態は、切り換えカム74の平面74bが押圧プレート70の表面に面しており、押圧力が付与されている状態である。切換つまみ72を回転操作すると、円筒面74aにより、押圧プレート70を下方に押し下げるように作用する。これにより、押圧スプリング71が圧縮されて、第1挟持作用部40全体に対する押圧力が解除される。図7(a)は押圧力を付与した状態、(b)は押圧力を解除した状態を示す。
【0041】
<補助搬送機構の構成>
次に、補助搬送機構8の構成を説明する。補助搬送機構8は、図1に示すように、ローラ80,81に巻回されて循環駆動される幅広ベルト82を備えている。補助搬送機構8は、包装袋Fのシールを行なう時に、包装袋Fのシール箇所以外の箇所を支持しながら搬送するものである。ベルト機構3で挟持するのは、開口部Aの近傍のみであるから、補助搬送機構8がなければ、包装袋Fの底部は垂れ下がった状態で搬送されることになり、包装袋Fが搬送される時に引っ掛かりが生じるなどの不具合が発生する可能性がある。そこで、補助搬送機構8を設けることで、安定した状態で包装袋Fを搬送させることができる。補助搬送機構8は、ベルト機構3と同じモーターにより駆動され、ベルト機構3の第1・第2ベルト30,31と、補助搬送機構8の幅広ベルト82とは、同じ移動速度となるように駆動される。
【0042】
<制御部の構成>
次に、以上説明してきたベルトシーラ1の制御部9の機能について、図8のブロック図により説明する。
【0043】
前述の操作パネル11は、温度設定部11a及び速度設定部11bとしての機能を備えている。温度設定部11aは、包装体Fをシールする時の加熱温度、加熱時間などを設定する。包装体Fの材質によって、最適な加熱条件は異なるため、温度設定部11aの機能により設定変更可能に構成されている。
【0044】
また、加熱時間はベルト機構3の搬送速度に依存する。搬送速度が遅いほど加熱時間は長くなる。従って、加熱温度の設定変更に基づいて、搬送速度の設定(下記に示す上限値が変わる)を連動して変更するようにしている。従って、オペレータは、加熱温度の設定変更を行った場合、搬送速度の設定変更を行う必要はない。ただし、搬送速度の微調整をオペレータが行いたい場合があるので、速度設定部11bの機能が設けられている。
【0045】
なお、加熱温度に対応して設定可能な搬送速度の上限値は決まっている。加熱温度を高くすればするほど、可能な最大速度まで設定することができる。加熱温度を下げて設定変更した場合、設定可能な搬送速度の上限値も連動して下がる。加熱温度を下げた状態で、搬送速度をある値よりも上げてしまうと充分な加熱を行うことができず、シール不良を発生させる可能性がある。そのような不具合を防ぐために、上記のような上限値が決められている。
【0046】
以上のように、加熱温度を設定変更すると、上限値も連動して変動するが、設定された上限値までの範囲内で速度設定部11bの機能により微調整することができる。
【0047】
制御部9は、挿入検出センサー20からの検出結果に基づいて、モーター35の起動タイミングを制御する。モーター35は、ベルト機構3、排出機構6、補助搬送機構8を駆動するものであり、これにより、各ベルト、ローラ等に対する駆動制御を行なうことができる。
【0048】
また、制御部9は、挿入検出センサー20の検出結果に基づいて、線状ヒーター44に対する加熱開始・終了のタイミングを制御する。また、温度センサー36からの検出結果に基づいて、設定された温度になるように線状ヒーター44に対する駆動制御が行なわれる。
【0049】
更に、制御部9は、挿入検出センサー20の検出結果に基づいて、ブロア54の駆動タイミングを制御する。
【0050】
制御部9は、演算部9aを備えており、モーター35、線状ヒーター44、ブロア54の駆動開始タイミングなどを制御するため時間を演算する。すなわち、挿入検出センサー20により包装袋Fを検出してから何秒後にベルト機構3を駆動開始するかなどのタイミングを演算する。制御プログラム9bは、ベルトシーラ1の全体を制御するためのプログラム(ソフトウェア)である。
【0051】
<シール動作>
次に、図9のフローチャートにより、ベルトシーラ1により包装袋Fをシールする時の動作について説明する。
【0052】
まず、シール対象の包装袋Fを挿入部2の載置プレート21に載置する。これにより、包装袋Fが載置されたことが挿入検出センサー20により検出される(S1)。これにより、ベルト機構3の駆動が開始する(S2)。なお、包装袋Fを検出して直ちに駆動開始するのではなく、所定時間経過した後に駆動を開始してもよい。また、いきなり最高速度でベルト30,31を駆動するのではなく、段階的に速度を上げて最高速度にすることが好ましい。挿入部2と加熱機構4とは距離的に少し離れているので、これを考慮して搬送速度を制御することが好ましい。ベルト機構3の駆動開始タイミングは、演算部9aにより演算された時間に基づいて、制御される。
【0053】
挿入検出センサー20による検出結果に基づいて、線状ヒーター44のオン、ブロア54のオンタイミングが制御される(S20,S30)。オンする時間も演算部9aにより算出される。線状ヒーター44がオンにされた後のタイミングで、包装袋Fの先頭が加熱機構4の位置に搬送されてきて、シール箇所が加熱され、シールされる(S3)。包装袋Fは、加熱機構4の位置では、第1・第2挟持作用部40,41により挟持された状態で第1・第2ベルト30,31により搬送される。すなわち、包装袋Fは搬送されながらシールされる。
【0054】
包装袋Fの先頭が放熱機構5に進入してくると(S4)、シールされた箇所がブロア54により冷却される。ブロア54のオンのタイミングは、包装袋Fの先頭が進入してくるまでのタイミングで行なわれる。シール箇所はかなり高温になる場合があり、ブロア54により、強制的に冷却させて、後の取り扱いに支障がないようにする。
【0055】
包装体Fの後端が加熱機構4から脱出したタイミングで(S5)、線状ヒーター44をオフにする(S21)。脱出のタイミングについても、前述の演算部9aにより算出することができる。このように線状ヒーター44をできるだけ早いタイミングでオフにしているので、無駄なエネルギーを消費しなくてもすむ。
【0056】
包装体Fの後端が放熱機構5から脱出したタイミングで(S6)、ブロア54をオフにする(S31)。このタイミングも演算部9aにより算出することができる。ブロア54についてもできるだけ早いタイミングでオフにするので、無駄なエネルギーを消費しなくてもすむ。
【0057】
放熱機構5を通過した包装袋Fは、排出機構6を通過した後、排出される(S7)。排出された後、ベルト機構3を停止させる(S8)。排出タイミングについても同様に演算部9aにより算出することができる。
【0058】
<メンテナンス動作>
次に、メンテナンスを行なう時の作業について説明する。線状ヒーター44等に不具合が生じた場合、第1挟持作用部40を取り外す必要がある。その場合、まず、調整つまみ34を操作して、第1ベルト30を緩めた状態にする。ついで、押圧力付与機構7の押圧力を解除した状態にする。すなわち、切換つまみ72を回転させて、図7(b)から(a)の状態に移行させて押圧力を解除する。
【0059】
次に、雄ねじ45を2本とも緩める。これにより、第1挟持作用部40を第1取付支持部400から取り外すことができる。メンテナンスにおいては、第1挟持作用部40の全体を新しいものと交換することもできるし、線状ヒーター44のみを新しいものに交換することもできる。
【0060】
以上の構成によれば、雄ねじ45を緩めるだけでユニット化された第1挟持作用部40を取り外すことができるので、メンテナンス作業を簡単に行なうことができる。第2挟持作用部41に関しても同様の作業手順で行なうことができる。
【0061】
<別実施形態>
包装袋Fの内容物Cとしては、食品、薬品、医療品などの種々のものが例示可能であるが、特定のものに限定されるものではない。また、包装袋Fの材質・大きさ・厚みについても、ポリエチレン等の樹脂製フィルム、不織布等が例示されるが、特定の材質に限定されるものではない。
【0062】
本実施形態では、線状ヒーター44は、第1挟持作用部40と第2挟持作用部41の両方に設けられているが、いずれか一方にのみ設けてもよい。いずれか一方にのみ設ける場合、下方の挟持作用部のみに設けてもよい(この場合、下側のベルトが第1ベルトということになる)。
【0063】
本発明に係るベルトシーラは、インパルス式ヒートシーラーに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本実施形態に係るベルトシーラの斜視図
【図2】ベルトシーラの平面図
【図3】ベルトシーラの特に加熱機構と放熱機構の拡大正面図
【図3A】加熱機構の部分拡大図
【図4】加熱機構の構成を示す部分斜視図
【図5】挟持作用部の取り付け構造を示す図
【図6】シールされた包装袋の外観を示す図
【図7】押圧力付与機構の構成を示す斜視図
【図8】ベルトシーラの制御部の機能を示すブロック図
【図9】シール動作を説明するフローチャート
【符号の説明】
【0065】
1 ベルトシーラ
2 挿入部
3 ベルト機構
4 加熱機構
5 放熱機構
6 排出機構
7 押圧力付与機構
9 制御部
9a 演算部
11 操作パネル
11a 温度設定部
11b 速度設定部
20 挿入検出センサー
30 第1ベルト
31 第2ベルト
40 第1挟持作用部
40a 支持本体
40b 被連結部
41 第2挟持作用部
43 絶縁テープ
44 線状ヒーター
44b 取り付け部
45 雄ねじ
400 第1取付支持部
401 取り付け板
402 電極棒(連結)
A 開口部
F 包装袋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム状の被シール体を挟持搬送するために循環駆動される第1ベルト及び第2ベルトを有するベルト機構と、
被シール体のシール箇所を加熱してシールするために、前記ベルト機構により形成される搬送経路に配置される加熱機構と、を備えたベルトシーラであって、
加熱機構は、第1ベルトの内側に位置する第1挟持作用部と、
第1挟持作用部を取り付け支持する第1取付支持部と、
第2ベルトの内側に位置する第2挟持作用部と、
第2挟持作用部を取り付け支持する第2取付支持部と、
第1挟持作用部と第2挟持作用部のうちの少なくとも第1挟持作用部に設けられる加熱部材と、
第1挟持作用部と第2挟持作用部により被シール体を挟持押圧させるときの押圧力を付与するための押圧力付与機構と、
押圧力付与機構による押圧力を付与させた状態と解除させた状態に切り換え可能な押圧力切換手段と、を備えており、
少なくとも前記第1挟持作用部は、前記押圧力を解除した状態で、取り外し可能なユニットとして構成されていることを特徴とするベルトシーラ。
【請求項2】
前記第1挟持作用部に設けられた被連結部と、
第1取付支持部を構成する支持本体及びこの支持本体から絶縁された金属製の連結部と、
連結部に形成された雌ねじと、
連結部と被連結部を締結する雄ねじと、を備え、
雄ねじによる締結時に、加熱部材が、前記連結部と雄ねじにより挟持されることを特徴とする請求項1に記載のベルトシーラ。
【請求項3】
前記第1ベルトと第2ベルトの搬送速度を制御する制御部と、
加熱機構による加熱温度を設定する温度設定部と、を備え、
この温度設定部により設定された加熱温度に基づいて、前記搬送速度の設定値が制御部により変更されることを特徴とする請求項1又は2に記載のベルトシーラ。
【請求項4】
被シール体の前記ベルト機構への挿入を検出する挿入検出センサーを備え、
前記制御部は、
この挿入検出センサーの検出結果に基づいて、ベルト機構の動作を開始させると共に、加熱機構による加熱開始タイミングを制御し、かつ、設定されている前記搬送速度に基づいて、被シール体が加熱機構の位置を通過するタイミングを算出し、被シール体が加熱機構を通過すると加熱機構をオフにする制御を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のベルトシーラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図3A】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−190761(P2009−190761A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−33263(P2008−33263)
【出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(000236964)富士インパルス株式会社 (35)
【Fターム(参考)】