説明

ベルトフィーダ

【課題】ベルトの両側部に堰を形成することにより、従来の横漏れや噛み込みをなくして、正確な原料供給の制御を行うことができるベルトフィーダの提供。
【解決手段】ベルトフィーダは、一対のロール4,4aにより回転するベルト6の両側部に突条からなる一対の堰30を形成し、ベルト6上に供給された原料の横漏れや噛み込みを防止し、正確な原料供給の制御を行うようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトフィーダに関し、特に、ベルトの両側部に突条の堰を設けることにより定量供給性を改善するための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複数種類の粉粒体原料を混合加工して連続的に製品を製造する処理装置において、それぞれの粉粒体原料を定量的に連続供給する装置としてベルトフィーダが使用されている。従来構成を示す文献名は特に開示していないが、従来のベルトフィーダは、図5〜図9に示すように構成されている。
【0003】
図6及び7において、符号1で示されるものはベルトフィーダであり、このベルトフィーダ1はベルトコンベア2、切出ホッパ3および駆動モータ4Aにより主として構成されている。このベルトコンベア2は、同一高さに水平かつ平行して配置された一対のロール4,4aと、これらを回転可能に支持する支持バー5と、各ロール4,4aの外周に掛け回されたベルト6と、このベルト6上に非接触状態で配置された一対のサイドスカート1A(図6では一方のみしか図示していない。)とベルト6の上部の内周面において、ベルト6の移動方向に直交するとともに接触して転動可能およびベルト6を支持可能に前後方向に離間して配置された2本の固定バー7,8とこの各固定バー7,8の中間部に配置され、ベルト6の内周面に転動可能に接触すると共に計量センサ9に支持された計量バー10とにより構成されている。
【0004】
以上の構成において、前記ベルト6は、図5に示すように、全幅および全周にわたって均一厚みに構成され、このベルト6とサイドスカート1Aとの間は、わずかな隙間が形成されている。
【0005】
前記切出ホッパ3は、全体形状が矩形に構成された筒状部材であり、下端が前記ベルトコンベア2のベルト6の上部後端部において、非接触状態に近接して配設され、ベルト6の移動方向に対して直交して配置された前面に矩形の切出口3aが形成されている。前記駆動モータ4Aは、前記ロール4aを回転駆動し、前記ベルト6を回転駆動するように構成されている。また、駆動モータ4Aは、図8に示すように、制御部20を介して前記計量バー10に設けられた計量センサ9に接続されて重量データ9aを受けるように構成され、この駆動モータ4Aは回転数を可変制御可能に構成されている。
【0006】
以上のように構成されたベルトフィーダ1は、ベルト6の先端が図示しない処理装置の原料供給口の上部に位置するように配置され、次のように作動する。すなわち、図8において、駆動モータ4Aが起動され、各ロール4,4aが図に示すように反時計方向へ回転駆動されることにより、ベルト6が移動し、切出ホッパ3の原料3Aが切出口3aから定量的かつ連続的にベルト6の上面に載って切出され、ベルト6の移動と共に前方へ移動し、先端から落下して処理装置の原料供給口へ供給される。尚、原料3Aは図示しない原料供給装置から切出ホッパ3へ継続的に供給されている。
【0007】
他方、ベルト6の上部の内周面では、各固定バー7,8により支持されて限定されたベルト6の区間6Aにおいて、その上面に積載されている原料3Aの重量が計量センサ9により計測される。この計量センサ9により計測された原料の重量データ9aは制御部20へ送られ、制御部20において演算処理され、原料3Aの供給量を所定の設定値に維持するための制御信号すなわち回転数制御信号20aが駆動モータ4Aへ送られる。このようにして、ベルト6に積載されている原料3Aの重量に対してベルト6の移動速度を制御することにより、ベルトフィーダ1の原料供給量が所定量に制御される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のベルトフィーダ1は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、切出ホッパ3の切出口3aから切出された粉粒体状の原料3Aは平坦なベルト6の上部の外周面上でその面側端部が幅方向へ崩れて拡がり、原料3Aの性状により崩れ方に差異があるが、崩れて幅方向に広がる原料3Aがベルト6の両側端から横漏れしないようにサイドスカート1Aが設けられている。
【0009】
しかし、図9に示すように、粉状の原料3Aがサイドスカート1Aの下端とベルト6の外周面との隙間に詰まった場合(Bの状態)、あるいは粒状の原料が噛み込まれた場合(Cの状態)には、サイドスカート1Aとベルト6とを過重連結する状態となる。その結果、計量センサ9に原料3Aの重量より大きい重量が計測され、正確な重量の計測が不可能となる。従って、制御部20および駆動モータ4Aにおいて正確な原料供給量の制御ができなくなることがあった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によるベルトフィーダは、一対のロール及び駆動モータを介して回転駆動されるベルト上の原料の重量を、前記ベルトの下方に位置する計量センサにより計測して前記原料を一定供給するようにしたベルトフィーダにおいて、前記ベルト外周面の両側部に突条をなす堰が形成されている構成であり、また、前記堰の材質は、前記ベルトの材質と同一とした構成である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によるベルトフィーダは、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、ベルトフィーダを構成するベルトにおいて、ベルトの外周面の両側部全周に突条の堰が形成されていることにより、ベルトの上流の外周面上に切出された粉粒体原料の両側が幅方向へ崩れて拡がろうとしても、ベルトの両側部において堰き止められ、横漏れすることがなくなった。また、ベルトに堰が形成されたことにより、従来のサイドスカートが不要になり、装置が簡素化された。
従って、ベルトに余分な過重連結の発生がなくなり、常時、原料の正確な重量計測が可能となり、正確な原料供給の制御が可能になった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、ベルトの両側部に堰を設けることにより、原料の横漏れや、噛み込みを防止し、正確な原料供給を行うようにしたベルトフィーダを提供することを目的とする。
【実施例】
【0013】
以下、図面と共に本発明によるベルトフィーダの好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分には、同一符号を付し、その説明は、従来例の説明を援用する。
【0014】
図1の前記ベルト6の外周面6aの両側部には一対の輪状をなす突条からなる堰30が形成されており、この堰30は、図2、図3で示されるように、曲折自在な材料すなわち前記ベルト6の材質と同一の材質で一体状に形成されている。
尚、この各堰30の高さは、図4で示されるように、原料3Aがベルト6上に供給された場合に、ベルト6の両側部から外側へ原料3Aが漏れることのないような高さとなるように構成されている。
【0015】
次に、前述の構成において、駆動モータ4Aが駆動され、各ロール4,4aが反時計方向へ回転駆動されている状態で、原料3Aが切出口3aからベルト6上へ供給され、ベルト6の移動と共に原料3Aが前方へ移動し、先端から落下して図示しない処理装置の原料供給口へ供給される。
この場合、ベルト6上に供給された原料3Aは、図4で示されるように、各堰30によってその位置が規制されているため、従来のような横漏れや噛み込みの現象は発生せず、安定した重量データ9aの測定が達成され、高精度の原料供給を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明は、成形装置用に限ることなく、他の一般物体(セメント、食品、薬品等)の定量搬送等に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明によるベルトフィーダの全体を示す斜視図である。
【図2】図1のベルトを示す断面図である。
【図3】図2に計量センサを設けた断面図である。
【図4】図3における運転状態図である。
【図5】従来のベルトフィーダにおけるベルトの断面図である。
【図6】従来のベルトフィーダの構成図である。
【図7】図6におけるA−A断面図である。
【図8】図6における運転状態図である。
【図9】図7における運転状態図である。
【符号の説明】
【0018】
1 ベルトフィーダ
1A サイドスカート
2 ベルトコンベア
4,4a ロール
3A 原料
4A 駆動モータ
6 ベルト
6a 外周面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のロール(4,4a)及び駆動モータ(4A)を介して回転駆動されるベルト(6)上の原料(3A)の重量を、前記ベルト(6)の下方に位置する計量センサ(9)により計測して前記原料(3A)を一定供給するようにしたベルトフィーダにおいて、
前記ベルト(6)外周面(6a)の両側部に突条をなす堰(30)が形成されていることを特徴とするベルトフィーダ。
【請求項2】
前記堰(30)の材質は、前記ベルト(6)の材質と同一であることを特徴とする請求項1記載のベルトフィーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−168919(P2006−168919A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−364054(P2004−364054)
【出願日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(000004215)株式会社日本製鋼所 (840)
【Fターム(参考)】