説明

ベルト破断監視装置、画像形成装置、ベルト破断監視プログラム

【課題】誤検出することなく、ベルトの亀裂を含む破断を確実に判別する。
【解決手段】中間転写ベルト16の破断の監視は、2段階で行われる。第1段階は、定電流制御されている一次転写電圧の変動に基づく判定である。感光体28と一次転写ロール18Y、18M、18C、18Kとが不安定な状態で接触、離間を繰り返す。この結果、当該感光体28と一次転写ロール18Y、18M、18C、18Kとの間の抵抗が大きく変動し、一次転写電圧は大きく振幅する。そこで、この一次転写電圧の振幅量が所定以上になった時点で、中間転写ベルト16が破断している可能性がある予備判定を行う。次に、第2段階は、濃度センサ112による検出値に基づく判定である。濃度センサ112は、中間転写ベルト16の幅方向の両端部に設けられ、画像濃度やトナー濃度検出用として用いられているが、中間転写ベルト16の破断の有無判定の手段として兼用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルト破断監視装置、画像形成装置、ベルト破断監視プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
原画像に基づいて画像を形成する画像形成装置では、原画像(例えば、画像データ)に基づいて、感光体ドラムに静電潜像を形成した状態で、トナーを供給することでトナー像を生成する。トナー像は感光体ドラムから転写体に一旦転写された後(一次転写)、この転写体から記録用紙に転写され(二次転写)、記録用紙に転写されたトナー像は、定着部を通過することで定着し、排出される。
【0003】
上記画像形成装置では、転写体として転写ベルトが適用され、この転写ベルトは、複数のローラに巻き掛けられ、一次転写部で一次転写ロールと対峙し、並びに二次転写部で二次転写ロールと対峙するように周回する。
【0004】
特許文献1には、用紙搬送ベルト又は中間転写ベルトにバイアス電圧を印加し、流れる電流に基づいて、用紙搬送ベルト又は中間転写ベルトの破断を検出することが提案されている。
【0005】
特許文献2には、中間転写ベルトの破断を検知するものではないが、中間転写ベルトの状態、周長、テンション、回転周期、転写電流からベルトの劣化を判断することが提案されている。
【0006】
特許文献3には、中間転写ベルトの破断を検知するものではないが、光学式センサでベルトの寿命検出を行うことが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−301404号公報
【特許文献2】特開平11−15290号公報
【特許文献3】特開2003−302878公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、誤検出することなく、本構成を有しない場合に比べて、ベルトの亀裂を含む破断を確実に判別することができるベルト破断監視装置、画像形成装置、ベルト破断監視プログラムを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、ローラに巻き掛けられることで方向転換しながら周回し、静電潜像に現像剤を供給することで現像された画像に対して定電流制御によって電圧を印加することで画像が転写される、又は転写体を搬送し、この搬送された転写体に画像が転写されるベルトと、前記ベルト表面に対向して配置された反射型光電変換センサと、前記反射型光電変換センサによる検出領域における、前記ベルトの裏面側に配置され、前記ベルト表面の反射率と異なる反射率の反射面を備えた反射部材と、前記反射型光電センサの受光部での検出結果に基づいて、前記ベルトが破断したか否かを判定する判定手段と、を有している。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、前記反射部材が、前記ベルトが巻き付けられるローラの表面である。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記反射型光電変化センサが、前記ベルトに転写される画像を検出して、画像の濃度或いは画像の位置を判定するセンサと共有する。
【0012】
請求項4に記載の発明は、前記請求項1〜請求項3の何れか1項記載の発明において、前記反射型光電変換センサを用いた、前記判定手段によるベルトの破断の有無の判定を行うか否かの予備判定を実行する予備判定手段をさらに有する。
【0013】
請求項5に記載の発明は、前記請求項4に記載の発明において、前記ベルトを介して、互いに対峙する像保持体と転写体との間に前記転写電圧を印加されており、前記予備判定手段が、転写電圧印加手段により電圧を印加したときに、前記像保持体、転写体又はベルトの状態に応じて変化する電圧特性を計測する電圧特性計測手段と、前記電圧特性計測手段で計測した実電圧特性に基づいて、前記ベルトが破断の可能性を確認する確認手段と、を備える。
【0014】
請求項6に記載の発明は、前記請求項5に記載の発明において、前記確認手段が、前記ベルトが存在しない状態で、前記像保持体と転写体との間隙が不安定な状態とされている場合、印加電圧の振幅差に基づいて、前記ベルトが破断の可能性を確認する。
【0015】
請求項7に記載の発明は、前記請求項5に記載の発明において、前記確認手段が、前記ベルトが存在しない状態で、前記像保持体と転写体との間隙が離間されている場合、印加電圧の上昇度合いに基づいて、前記ベルトが破断の可能性を確認する。
【0016】
請求項8に記載の発明は、前記請求項5に記載の発明において、前記確認手段が、前記ベルトが存在しない状態で、前記像保持体と転写体とが接触されている場合、印加電圧の下降度合いに基づいて、前記ベルトが破断の可能性を確認する。
【0017】
請求項9に記載の発明は、前記請求項1〜請求項8の何れか1項記載のベルト破断監視装置を備え、通常の画像形成処理中に、前記ベルト破断の有無を監視する画像形成装置である。
【0018】
請求項10に記載の発明は、コンピュータを、請求項1〜請求項8の何れか1項記載のベルト破断監視装置として機能させるためのベルト破断監視プログラムである。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の発明によれば、誤検出することなく、本構成を有しない場合に比べて、ベルトの亀裂を含む破断を確実に判別することができる。
【0020】
請求項2に記載の発明によれば、ローラの表面を反射面に利用することができる。
【0021】
請求項3記載の発明によれば、反射型光電変換センサを、既存のセンサを利用することができる。
【0022】
請求項4記載の発明によれば、センサ検出前に、予備判定することができる。
【0023】
請求項5に記載の発明によれば、予備判定が、転写電圧に基づいて実行することができる。
【0024】
請求項6に記載の発明によれば、転写電圧の振幅差を予備判定に用いることができる。
【0025】
請求項7に記載の発明によれば、ベルトがないとき、像保持体と転写体との間隙が常時離間されていることを条件に、転写電圧の上昇度合いを、予備判定に用いることができる。
【0026】
請求項8に記載の発明によれば、ベルトがないとき、像保持体と転写体との間隙が常時接触されていることを条件に、転写電圧の上昇度合いを、予備判定に用いることができる。
【0027】
請求項9記載の発明によれば、誤検出することなく、本構成を有しない場合に比べて、ベルトの亀裂を含む破断を確実に判別することができる。
【0028】
請求項10記載の発明によれば、誤検出することなく、本構成を有しない場合に比べて、ベルトの亀裂を含む破断を確実に判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本実施の形態に係るプリンタの概略図である。
【図2】本実施の形態に係るプリンタにおける制御ユニットのハード構成を示すブロック図である。
【図3】本実施の形態に係る一次転写電圧の特性図であり、時間軸の前半が通常時、後半が異常時を示す特性図である(予備判定)。
【図4】(A)は本実施の形態に係る濃度センサと中間転写ベルトとの相対位置関係を示す正面図、(B)は図4(A)のIVB−IVB線断面図(破断無しと破断有り)である。
【図5】本実施の形態に係る濃度センサの出力特性図であり、時間軸の前半が通常時、後半が異常時を示す特性図である(本判定)。
【図6】本実施の形態に係る印刷制御管理部における、ベルト破断監視制御を機能的示したブロック図である。
【図7】本実施の形態に係るベルト破断監視制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図8】本実施の形態の変形例1に係り、(A)は感光体と一次転写ロールとの接触状態を示す正面図、(B)は図7(A)の側面図である。
【図9】本実施の形態の変形例1に係り、一次転写電圧の特性図であり、時間軸の前半が通常時、後半が異常時を示す特性図である(予備判定)。
【図10】本実施の形態の変形例2に係り、(A)は感光体と一次転写ロールとの接触状態を示す正面図、(B)は図9(A)の側面図である。
【図11】本実施の形態の変形例2に係り、一次転写電圧の特性図であり、時間軸の前半が通常時、後半が異常時を示す特性図である(予備判定)。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1には、画像形成装置としてのプリンタ10が示されている。プリンタ10は、フルカラー画像又は白黒画像を形成するデジタルプリンタである。
【0031】
プリンタ10内部の上方には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各トナーを収容するトナーカートリッジ11Y、11M、11C、11Kが交換可能に設けられている。なお、以後の説明では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(黒)の各色に対応する部材の符号にY、M、C、Kを付与して区別する。
【0032】
トナーカートリッジ11Y、11M、11C、11Kには、それぞれトナー供給路13Y、13M、13C、13Kの一端が接続されている。なお、トナー供給路13Y、13M、13C、13Kは、円管部材で構成されており、プリンタ10の側面に沿って下方側へ向けられた配置となっているが、途中経路の図示は省略している。
【0033】
また、プリンタ10内部の中央には、Y、M、C、Kの現像剤に対応する4つの画像形成ユニット12(12Y、12M、12C、12K)が、図1の正面視にて右斜め下方に向けて互いに一部を重ねた状態で配置されている。
【0034】
画像形成ユニット12は、感光体28を備えている。感光体28の周囲には、感光体28の表面に接触して感光体28を一様に帯電する帯電装置の一例としての帯電ロールと、前述の露光光Lにより感光体28上に形成された静電潜像を各色の現像剤(トナー)で現像する現像部と、転写後の感光体28の表面に光を照射して除電を行う除電装置の一例としてのイレーズランプと、除電後の感光体28の表面を清掃するクリーニングユニットとが設けられている。
【0035】
現像剤は、非磁性タイプのトナーと、磁性を有するキャリアとが混合されたものである。ここで、トナー供給路13Y、13M、13C、13Kの他端が、4つの画像形成ユニット12Y、12M、12C、12Kにそれぞれ接続されており、各色のトナーが各画像形成ユニット12に供給されるようになっている。
【0036】
各画像形成ユニット12Y、12M、12C、12Kの上方には、転写部14が設けられている。転写部14は、中間転写ベルト16と、中間転写ベルト16の内側に配置され、各画像形成ユニット12Y、12M、12C、12Kの各トナー像を中間転写ベルト16に多重転写させる4つの一次転写部材としての一次転写ロール18Y、18M、18C、18Kと、中間転写ベルト16上で重ねられたトナー像を、記録用紙Pに転写させる二次転写ロール20とを有している。
【0037】
中間転写ベルト16は、図示しないモータで駆動される駆動ロール22と、中間転写ベルト16の張力を調整するテンションロール24と、二次転写ロール20と対向配置されたバックアップロール26とで構成されるローラ群に、一定の張力で巻き掛けられており、駆動ロール22により、図1の矢印X方向(反時計回り方向)に周回駆動されるようになっている。
【0038】
一次転写ロール18Y、18M、18C、18Kは、中間転写ベルト16を挟んでそれぞれの画像形成ユニット12Y、12M、12C、12Kの感光体28(28Y、28M、28C、28K)と対向配置されている。また、一次転写ロール18Y、18M、18C、18Kは、給電ユニット(図示省略)によって、トナー極性とは逆極性(本実施形態では一例として正極性)の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。なお、二次転写ロール20も、給電ユニットによって、トナー極性とは逆極性の転写バイアス電圧が付与されるようになっている。
【0039】
また、中間転写ベルト16の駆動ロール22が設けられている位置の外周面には、クリーニング装置30が設けられている。クリーニング装置30は、クリーニングブラシ32及びクリーニングブレード34を備えており、クリーニングブラシ32及びクリーニングブレード34によって、中間転写ベルト16上の残留トナーや紙粉等を除去するようになっている。
【0040】
さらに、中間転写ベルト16のテンションロール24が設けられている位置の外周面には、濃度センサ112が設けられている。この濃度センサ112は、中間転写ベルト16の幅方向の両端部に設けられ、主として、画像濃度やトナーコンディション(TC)の状態を観察するための基準画像の濃度を検出する約目を有している。
【0041】
プリンタ10の記録用紙Pの搬送経路と反対側の側面近傍には、プリンタ10の各部の駆動制御を行う制御ユニット36が設けられている。また、画像形成ユニット12の下側には、帯電された感光体28の表面に各色に対応した露光光L(LY、LM、LC、LK)を照射して静電潜像を形成する露光ユニット40が設けられている。
【0042】
露光ユニット40は、4つの画像形成ユニット12Y、12M、12C、12Kに共通の1つのユニットで構成されており、4つの半導体レーザ(図示省略)を各色の色材階調データに応じて変調して、これらの半導体レーザから露光光LY、LM、LC、LKを階調データに応じて出射するように構成されている。なお、露光ユニット40は、各画像形成ユニット12毎に個別に設けてもよい。
【0043】
また、露光ユニット40は、矩形のフレーム38で密閉されており、内部には、各露光光Lを主走査方向に走査するためのfθレンズ(図示省略)及びポリゴンミラー42が設けられている。フレーム38の上面には、4本の露光光LY、LM、LC、LKを、各画像形成ユニット12Y、12M、12C、12Kの感光体28に向けて出射するためのガラス窓44Y、44M、44C、44Kが設けられている。
【0044】
ここで、露光ユニット40の半導体レーザから出射された露光光LY、LM、LC、LKはポリゴンミラー42に照射され、このポリゴンミラー42から反射した光がfθレンズを介して偏向走査される。ポリゴンミラー42で偏向走査された露光光LY、LM、LC、LKは、結像レンズ及び複数枚のミラーからなる光学系(図示省略)を介して、感光体28上の露光ポイントに走査露光される。
【0045】
一方、露光ユニット40の下側には、記録用紙Pが収納された給紙カセット46が配置されている。また、給紙カセット46の端部から鉛直方向上方には、記録用紙Pを搬送する用紙搬送路50が設けられている。
【0046】
用紙搬送路50には、記録用紙Pを給紙カセット46から送り出す給紙ロール48と、記録用紙Pを1枚ずつ給紙させる用紙分離搬送用のロール対52と、中間転写ベルト16上の画像の移動タイミングと記録用紙Pの搬送タイミングを合わせる用紙先端位置合わせロール54とが設けられている。ここで、給紙カセット46から給紙ロール48によって順次送出された記録用紙Pは、用紙搬送路50を経由して、間欠的に回転する用紙先端位置合わせロール54によって中間転写ベルト16の二次転写位置まで一旦搬送され、停止される。
【0047】
二次転写ロール20の上方には、定着装置60が設けられている。定着装置60は、加熱された加熱ロール62と、この加熱ロール62に圧接された加圧ロール64とを備えている。ここで、二次転写ロール20によって各色のトナー像が転写された記録用紙Pは、加熱ロール62と加圧ロール64との圧接部で熱及び圧力により定着され、記録用紙Pの搬送方向下流側に設けられた排出装置の一例としての排紙ロール66によって、プリンタ10の上部に設けられた排出部68に排出されるようになっている。また、トナー像の二次転写工程が終了した中間転写ベルト16の表面は、クリーニング装置30によって残留トナーや紙粉等が除去される。
【0048】
図2に示される如く、制御ユニット36は、メインコントロール部70を含んでいる。メインコントロール部70は、CPU72、RAM74、ROM76、I/O(入出力部)78、及びこれらを接続するデータバスやコントロールバス等のバス80を有している。
【0049】
I/O78には、前記プリンタ10における搬送系や、画像形成のための走査露光系、現像系等の各処理系を制御し、管理するための印刷制御管理部88が接続されている。
【0050】
より詳細には、印刷制御管理部88には、搬送制御部100、走査露光制御部102、現像制御部104、転写制御部106、定着制御部108が接続され、各部の制御を管理している。
【0051】
印刷制御管理部88は、I/O78ではなく、直接バス80に接続された構成であってもよい。また、ここでは、印刷に関する制御を印刷制御管理部88に集約する構成としたが、当該制御をメインコントロール部70で実行する構成であってもよい。
【0052】
また、I/O78には、UI(ユーザ・インターフェイス)82が接続されている。UI82は、ユーザーからの入力指示を受け付け、かつユーザーへ画像処理に関する情報を報知する役目を有している。さらに、I/O78には、ハードディスク84が接続されている。また、I/O78は、I/F86を介して通信回線網90に接続されている。
【0053】
ところで、前記中間転写ベルト16は、画像形成処理の度に周回を重ねるため、消耗品の範疇である。このため、当初予測していた寿命とは別に、予期せぬ障害により早期に交換を要する場合がある。その1つとして、中間転写ベルト16の破断であり、特に、幅方向両端部に亀裂が入ることがある。
【0054】
そこで、本実施の形態では、特別に中間転写ベルト16の破断を監視し、中間転写ベルト16が破断しているか否かを判別している。
【0055】
中間転写ベルト16の破断の監視は、2段階で行われる。
【0056】
第1段階は、定電流制御されている一次転写電圧の変動に基づく判定である。
【0057】
図3に示される如く、通常時、一次転写電圧は、画像データ(画像濃度)に応じて抵抗値が変化するため、一次転写電圧値も若干変化するが、中間転写ベルト16が破断していると、感光体28と一次転写ロール18Y、18M、18C、18Kとが不安定な状態で接触、離間を繰り返す。この結果、当該感光体28と一次転写ロール18Y、18M、18C、18Kとの間の抵抗が大きく変動し、一次転写電圧は大きく振幅する。
【0058】
そこで、この一次転写電圧の振幅量が所定以上になった時点で、中間転写ベルト16が破断している可能性がある予備判定を行う。
【0059】
次に、第2段階は、濃度センサ112による検出値に基づく判定である。
【0060】
濃度センサ112は、前述したように、中間転写ベルト16の幅方向の両端部に設けられ、主として、画像濃度の状態を観察するための基準画像の濃度を検出する役目を有している。本実施の形態では、この濃度センサ112を中間転写ベルト16の破断の有無判定の手段として兼用する。
【0061】
なお、中間転写ベルト16の破断の有無判定の手段としてのセンサを別途設けてもよい。
【0062】
濃度センサ112は、中間転写ベルト16を挟んで、テンションロール24に対峙している。このテンションロール24はアルミニウム製であり、周面(表面)は光沢を持っている。
【0063】
図4に示される如く、通常、濃度センサ112は、中間転写ベルト16の素面、或いは基準画像を検出しているため、その出力値は中間転写ベルト16の素面の濃度が最大である(図4(B)の破断無しの場合であり、図5の前半特性参照)。
【0064】
しかし、中間転写ベルト16に亀裂が生じていると、濃度センサ112は、この亀裂から前記テンションロール24の光沢のある周面からの反射光を受けるため、出力値は最大値となる(図4(B)の破断有りの場合であり、図5の後半特性参照)。
【0065】
本実施の形態では、この濃度センサ112の出力値が所定以上となった時点で、中間転写ベルト16が破断しているという最終判定を行う。
【0066】
なお、中間転写ベルト16が破断しているときに反射する面を、テンションロール24の周面としたが、別途反射板を設けるようにしてもよい。
【0067】
図6は、印刷制御管理部88における、ベルト破断監視制御を、機能的示したブロック図である。なお、このブロック図は、あくまでも機能別に分類したものであり、印刷制御管理部88のハード構成を限定するものではない。
【0068】
印刷制御管理部88には、画像形成実行制御部114が設けられ、前記搬送制御部100、走査露光制御部102、現像制御部104、転写制御部106、定着制御部108がそれぞれ接続されている。
【0069】
この画像形成実行制御部114には、画像形成指示信号及び画像データが入力されるようになっている。画像形成実行制御部114では、画像形成指示信号の入力に基づき、前記搬送制御部100、走査露光制御部102、現像制御部104、転写制御部106、定着制御部108のそれぞれを制御し、画像データに基づいて画像形成処理を実行する。
【0070】
画像形成実行制御部114には、一次転写電圧実測部116が接続されている。この一時転写電圧実測部116は、画像形成実行制御部114から画像形成開始信号が入力されると、転写制御部106で制御している一次転写電圧値を取り込む役目を有している。
【0071】
一次転写電圧実測部116は、電圧振幅量演算部118に接続されており、取り込んだ一次転写電圧値の振幅量(Peak to Peak)を演算する。
【0072】
電圧振幅量演算部118は、判定部120に接続され、演算した振幅量を送出する。判定部120では、この振幅量が通常時か異常時か(図3参照)を判定し、その結果は、予備判定NG信号出力部122へ送出されるようになっている。
【0073】
予備判定NG信号出力部122では、判定部120から、「異常時」を示す結果が入力されると、濃度センサ稼動指示部124へNG信号を送出する(図3に示す予備判定)。
【0074】
濃度センサ稼動指示部124は、このNG信号の入力を受けて、濃度センサ出力取込部126へ起動信号を送出する。濃度センサ出力取込部126は、前記現像制御部104及び画像形成実行制御部114を介して濃度センサ112の出力値を取り込み、その値を比較部128へ送出する。
【0075】
比較部128は、ベルト破断しきい値メモリ130が接続されている。比較部128では、前記濃度センサ出力取込部126から濃度センサ出力値が入力されると、予め定めたベルト破断しきい値を読み出す。
【0076】
この結果、比較部128では、濃度センサ出力値としきい値とが比較され、中間転写ベルト16が破断しているか否かを判定する(図5に示す本判定)
比較部128での比較結果は、ベルト破断信号出力部132へ送出される。ベルト破断信号出力部132では、比較部128からの結果情報が中間転写ベルト16の破断有りを示す情報の場合、報知制御部134及び画像形成停止指示部136へ破断発生信号を送出する。
【0077】
報知制御部134では、破断発生信号に基づいて、UI82(図2参照)に中間転写ベルト16が破断した旨のメッセージ等を表示したり、アラームを発する。
【0078】
また、画像形成停止指示部136では、破断発生信号に基づいて、前記画像形成実行制御部114へ画像形成停止を指示する。
【0079】
以下に本実施の形態の作用を説明する。
【0080】
(画像形成手順)
画像データは、さらにイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の色材階調データに変換され、露光ユニット40に順次出力される。露光ユニット40では、各色の色材階調データに応じて各露光光Lを出射して、各感光体28に走査露光を行い、潜像(静電潜像)が形成される。
【0081】
感光体28上に形成された静電潜像は、現像部によって、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像として顕在化される(現像)。そして、各画像形成ユニット12Y、12M、12C、12Kの感光体28上に順次形成された各色のトナー像は、4つの一次転写ロール18Y、18M、18C、18Kによって中間転写ベルト16上に順次多重転写される。
【0082】
中間転写ベルト16上に多重転写された各色のトナー像は、二次転写ロール20によって、搬送されてきた記録用紙P上に二次転写される。そして、記録用紙P上の各色のトナー像が定着装置60で定着され、定着後の記録用紙Pは、排出トレイ68に排出される。
【0083】
トナー像の転写工程が終了した後の感光体28の表面は、クリーニングユニット76によって残留トナーや紙粉等が除去される。また、中間転写ベルト16上の残留トナーや紙粉等が、クリーニング装置30で除去される。
【0084】
(中間転写ベルト破断監視制御)
図7は、中間転写ベルト16に破断が発生しているか否かを判別する中間転写ベルト破断監視制御ルーチンを示すフローチャートである。
【0085】
ステップ200では、画像形成指示があったか否かが判断され、否定判定された場合はこのルーチンは終了する。
【0086】
また、ステップ200で肯定判定されると、ステップ202へ移行して、一次転写電圧を測定する。次のステップ204では、測定した一次転写電圧の振幅量を演算し、ステップ206へ移行する。
【0087】
ステップ206では、この振幅量に基づいて、中間転写ベルト16の破断の有無の予備判定を行う。次のステップ208では、前記予備判定がOKかNGかを判定する。
【0088】
このステップ208でOKと判別された場合は、ステップ210へ移行して、画像形成が終了したか否かが判断される。ステップ210で否定判定された場合は、ステップ202へ戻り、上記工程を繰り返す。また、ステップ210で肯定判定されると、このルーチンは終了する。
【0089】
前記ステップ208でNGと判別されば場合は、ステップ212へ移行して、濃度センサ112による出力値取り込みを指示する(稼動指示)。次のステップ214では、当該濃度センサ112からの出力値を取り込み、次いでステップ216へ移行してしきい値を読み出して、ステップ218へ移行する。
【0090】
ステップ218では、前記取り込んだ濃度センサ112の出力値としきい値とを比較して、中間転写ベルト16の破断の有無を判定する。
【0091】
次のステップ220では、中間転写ベルト16に破断があるか否かが判断され、否定判定された場合は、ステップ210へ移行する。
【0092】
また、ステップ220で肯定判定された場合は、ステップ222へ移行して、画像形成停止を指示し、次いで、ステップ224へ移行して、中間転写ベルト16が破断していることを報知して、このルーチンは終了する。
【0093】
(変形例1)
本実施の形態では、感光体28Y、28M、28C、28Kと一次転写ロール18Y、18M、18C、18Kとの関係が、中間転写ベルト16が存在しないとき、不安定に接触又は離間を繰り返す構成が前提となっている。
【0094】
これに対して変形例1は、図8に示される如く、感光体28Y、28M、28C、28Kと一次転写ロール18Y、18M、18C、18Kとが、中間転写ベルト16が挟まれていないとき、必ず、放電が発生しない距離(間隙寸法G)だけ離間する構成としたものである。また、感光体28Y、28M、28C、28Kの周面の端部近傍には、周方向に沿って感光体28Y、28M、28C、28Kの素材面がむき出しになっている。
【0095】
図8に示される如く、感光体28Y、28M、28C、28Kと一次転写ロール18Y、18M、18C、18Kとの間隙寸法Gは、一次転写電圧にもよるが、例えば、一次転写電圧の最高値が3KVのとき、3mm以上離間させる。この条件を、一般化した場合、一次転写電圧の最高値が1KV毎に1mm離間させれば、放電はないとみなす。
【0096】
この離間により、定電流制御されている一次転写電圧は大幅に上昇する(図9参照)。この大幅に上昇する一次転写電圧を検出することで、中間転写ベルト16の破断有りの予備判定を行う。
【0097】
(変形例2)
変形例2は、図10に示される如く、感光体28Y、28M、28C、28Kと一次転写ロール18Y、18M、18C、18Kとが、中間転写ベルト16が挟まれていないとき、必ず、接触する構成としたものである。また、感光体28Y、28M、28C、28Kの周面の端部近傍には、周方向に沿って感光体28Y、28M、28C、28Kの素材面がむき出しになっている。
【0098】
図10に示される如く、感光体28Y、28M、28C、28Kと一次転写ロール18Y、18M、18C、18Kとの接触により、抵抗値がほぼ0となり、定電流制御されている一次転写電圧は、ほぼ0Vとなる(図11参照)。このほぼ0Vとなる一次転写電圧を検出することで、中間転写ベルト16の破断有りの予備判定を行う。
【0099】
なお、本実施の形態では、破断を検出するベルトを中間ベルト16としたが、用紙等の転写体を搬送し、この搬送された転写体に画像が転写される構成の画像形成装置において、前記用紙を搬送する搬送ベルトの破断を検出することも可能である。
【符号の説明】
【0100】
P 記録用紙
10 プリンタ(画像形成装置)
12Y、12M、12C、12K 画像形成ユニット
14 転写部(画像形成部)
16 中間転写ベルト(ベルト)
18Y、18M、18C、18K 一次転写ロール
20 二次転写ロール
22 駆動ロール
24 テンションロール(反射部材)
26 バックアップロール
28Y、28M、28C、28K 感光体
36 制御ユニット
40 露光ユニット
60 定着装置(定着部)
70 メインコントロール部
72 CPU
74 RAM
76 ROM
78 I/O
88 印刷制御管理部
100 搬送制御部
102 走査露光制御部
104 現像制御部
106 転写制御部
108 定着制御部
112 濃度センサ(反射型光電変換センサ)
114 画像形成実行制御部
116 一次転写電圧実測部
118 電圧振幅量演算部
120 判定部
122 予備判定NG信号出力部
124 濃度センサ稼動指示部
126 濃度センサ出力取込部
128 比較部(判定手段)
130 ベルト破断しきい値メモリ
132 ベルト破断信号出力部(判定手段)
134 報知制御部
136 画像形成停止指示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラに巻き掛けられることで方向転換しながら周回し、静電潜像に現像剤を供給することで現像された画像に対して定電流制御によって電圧を印加することで画像が転写される、又は転写体を搬送し、この搬送された転写体に画像が転写されるベルトと、
前記ベルト表面に対向して配置された反射型光電変換センサと、
前記反射型光電変換センサによる検出領域における、前記ベルトの裏面側に配置され、前記ベルト表面の反射率と異なる反射率の反射面を備えた反射部材と、
前記反射型光電センサの受光部での検出結果に基づいて、前記ベルトが破断したか否かを判定する判定手段と、
を有するベルト破断監視装置。
【請求項2】
前記反射部材が、前記ベルトが巻き付けられるローラの表面である請求項1記載のベルト破断監視装置。
【請求項3】
前記反射型光電変化センサが、前記ベルトに転写される画像を検出して、画像の濃度或いは画像の位置を判定するセンサと共有する請求項1又は請求項2記載のベルト破断監視装置。
【請求項4】
前記反射型光電変換センサを用いた、前記判定手段によるベルトの破断の有無の判定を行うか否かの予備判定を実行する予備判定手段をさらに有する請求項1〜請求項3の何れか1項記載のベルト破断監視装置。
【請求項5】
前記ベルトを介して、互いに対峙する像保持体と転写体との間に前記転写電圧を印加されており、
前記予備判定手段が、
転写電圧印加手段により電圧を印加したときに、前記像保持体、転写体又はベルトの状態に応じて変化する電圧特性を計測する電圧特性計測手段と、
前記電圧特性計測手段で計測した実電圧特性に基づいて、前記ベルトが破断の可能性を確認する確認手段と、
を備える請求項4記載のベルト破断監視装置。
【請求項6】
前記確認手段が、前記ベルトが存在しない状態で、前記像保持体と転写体との間隙が不安定な状態とされている場合、印加電圧の振幅差に基づいて、前記ベルトが破断の可能性を確認する請求項5記載のベルト破断監視装置。
【請求項7】
前記確認手段が、前記ベルトが存在しない状態で、前記像保持体と転写体との間隙が離間されている場合、印加電圧の上昇度合いに基づいて、前記ベルトが破断の可能性を確認する請求項5記載のベルト破断監視装置。
【請求項8】
前記確認手段が、前記ベルトが存在しない状態で、前記像保持体と転写体とが接触されている場合、印加電圧の下降度合いに基づいて、前記ベルトが破断の可能性を確認する請求項5記載のベルト破断監視装置。
【請求項9】
前記請求項1〜請求項8の何れか1項記載のベルト破断監視装置を備え、通常の画像形成処理中に、前記ベルト破断の有無を監視する画像形成装置。
【請求項10】
コンピュータを、請求項1〜請求項8の何れか1項記載のベルト破断監視装置として機能させるためのベルト破断監視プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2010−210788(P2010−210788A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−55151(P2009−55151)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】