説明

ベンズオキサジン成分および強化剤としての第二級アミン末端基を有するアクリロニトリル−ブタジエンコポリマーを含む熱硬化性組成物

ベンズオキサジン系熱硬化性組成物は、たとえば、マトリックス樹脂または接着剤として使用する熱硬化性組成物としてなど、航空宇宙産業における用途で有用であり、本発明の基礎を成すものである。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ベンズオキサジン系組成物などの硬化性組成物は、たとえば、マトリックス樹脂または接着剤として使用する熱硬化性組成物としてなど、航空宇宙産業における用途で有用であり、本発明の基礎を成すものである。
【背景技術】
【0002】
種々の硬化剤を伴うエポキシ樹脂が、接着剤およびさまざまな基材と共にプリプレグ集成材中で使用するマトリックス樹脂の両方として、航空宇宙産業および電子産業で広く使用されてきた。
【0003】
ベンズオキサジンそれ自体は、一般に、高いガラス転移温度、良好な電気的特性(たとえば、誘電率)、および低い可燃性を有するものとして文献で報告されてきた。
【0004】
エポキシ樹脂とベンズオキサジンのブレンドが知られている。たとえば、米国特許第4,607,091号(Schreiber)、第5,021,484号(Schreiber)、第5,200,452号(Schreiber)、および第5,445,911(Schreiber)を参照されたい。これらのブレンドは、エポキシ樹脂がベンズオキサジンの溶融粘度を低下させることができて、加工可能な粘度を維持しつつ、より多量の充填剤の添加を可能にするので、電子産業において有用である可能性があると見られる。しかし、エポキシ樹脂は、望ましくないことに、しばしばベンズオキサジンが重合する温度を高める。
【0005】
ベンズオキサジン、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂の三成分ブレンドも知られている。米国特許第6,207,786号(Ishida)、ならびにS.RimdustおよびH.Ishidaの「ベンズオキサジン、エポキシ、およびフェノール樹脂三成分系に基づく新種のエレクトロニクス用実装材料の開発(Development of new class of electronic packaging materials based on ternary system of benzoxazine,epoxy,and phenolic resin)」Polymer、41巻、7941〜49頁、2000年、を参照されたい。
【0006】
反応性モノマー、ポリマーおよびオキサゾリン、ポリイミド/シロキサンコポリマーならびにシアナートエステルなどの他の樹脂も知られている。オキザゾリンに関しては、米国特許第4,806,267号(Culbertson)を、またポリベンズオキサジン ポリイミド−ポリ有機シロキサンコポリマーに関しては、J.McGrathらの「セグメント化されたポリイミド−ポリ有機シロキサンコポリマーの合成とキャラクタリゼーション(Synthesis and Characterization of Segmented Polyimide−Polyorganosiloxane Copolymers)」、Advances in Polym.Sci.、140巻、Springer−Verlag、Berlin、61〜105頁、1999年、を参照されたい。
【0007】
さらに、J.Jang らの「ゴム改質ポリベンズオキサジンの性能向上(Performance Improvement of Rubber Modified Polybenzoxazine)」J.Appl.Polym.Sci.、67巻、1〜10頁、1998年、で著者らは、力学的特性を向上させるために、末端アミンを有するブタジエンアクリロニトリルゴムおよびカルボキシル末端を有するブタジエンアクリロニトリルゴムで改質した、ポリベンズオキサジンの使用を報告している。ここで選択されたポリベンズオキサジンは、ビスフェノールA、ホルムアルデヒドおよび芳香族アミンであるアニリンから合成された。
【0008】
このような技術の現状にもかかわらず、ベンズオキサジンとアミン末端を有するブタジエンアクリロニトリルゴムの組み合わせに基づく熱硬化性組成物を調製するという開示、教示、または示唆はされておらず、向上した性能特性を有するものについては言うまでもないことである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の組成物は、ベンズオキサジン成分および強化剤成分を含む熱硬化性組成物を包含する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1つの態様において、本発明は、
【0011】
【化1】

【0012】
[上式で、oは、1〜4であり、Xは、直接結合(oが2である場合)、アルキル(oが1である場合)、アルキレン(oが2〜4である場合)、カルボニル(oが2である場合)、チオール(oが1である場合)、チオエーテル(oが2である場合)、スルホキサイド(oが2である場合)、およびスルホン(oが2である場合)であり、Rは、メチル、エチル、プロピル、およびブチルなどのアルキルである。]、または
【0013】
【化2】

【0014】
[上式で、pは、2であり、Yは、ビフェニル(pが2である場合)、ジフェニルメタン(pが2である場合)、ジフェニルイソプロパン(pが2である場合)、ジフェニルスルフィド(pが2である場合)、ジフェニルスルホキサイド(pが2である場合)、ジフェニルスルホン(pが2である場合)、およびジフェニルケトン(pが2である場合)から選択され、Rは、水素、ハロゲン、アルキルおよびアルケニルから選択される。]
を含むベンズオキサジン成分;および第二級アミン末端基を有するアクリロニトリル−ブタジエンコポリマー(「ATBN」)を含む強化剤成分を提供する。
【0015】
本発明の前記態様のより詳細な実施形態では、ベンズオキサジン成分は、
【0016】
【化3】

【0017】
【化4】

【0018】
【化5】

【0019】
[上式で、Xは、直接結合、CH、C(CH、C=O、S、S=OおよびO=S=Oから選択され、R、R、およびRは、同じかまたは異なり、メチル、エチル、プロピル、ブチルなどのアルキルであり、Rは、水素、アルキル、アルケニルおよびアリールから選択される。]の1種または複数からなる。
【0020】
さらに詳細な実施形態では、ベンズオキサジンは、
【0021】
【化6】

【0022】
[上式で、Xは、直接結合、CH、C(CH、C=O、S、S=OおよびO=S=Oから選択され、RおよびRは、同じかまたは異なり、メチル、エチル、プロピルおよびブチルから選択される。]で表される。
【0023】
本発明の前記態様のさらにより詳細な実施形態では、ベンズオキサジン成分は、
【0024】
【化7】

【0025】
[上式で、RおよびRは、同じかまたは異なり、メチル、エチル、プロピルおよびブチルから選択されるが、特に望ましい実施形態ではRおよびRはそれぞれメチルである。]で表される。
【0026】
本発明の組成物の硬化反応生成物は、たとえば177〜232℃(350〜450°F)の範囲のような少なくとも177℃(350°F)の湿潤Tg、たとえば0.34〜0.71kgf−cm/cm(1.9〜4.0in−lb/in)の範囲のような小さくとも0.34kgf−cm/cm(1.9 in−lb/in)のGICによって測定した靭性、ビスフェノールFおよびアニリンから調製したベンズオキサジンと比較して少なくとも15%のΔH減少率、および、強化剤濃度を増加して使用した場合の、乾燥Tgと比較した湿潤Tgの6%未満の低下率、の少なくとも1つを実証することができる。
【0027】
本発明の組成物の硬化反応生成物はまた、組成物中の強化剤成分の量が増加するのに従って、TgおよびGICによって測定した靭性の向上を示すこともできる。
【0028】
さらに、硬化させた本発明の組成物の反応生成物はまた、1.2g/cc未満の硬化物密度も有するはずである。
【0029】
本発明はさらに、本発明の組成物のプリプレグおよびそれの硬化反応生成物、本発明の組成物のプリプレグおよびそれの硬化反応生成物、本発明の組成物のトウプレグ(towpreg)およびそれの硬化反応生成物、プリプレグおよびトウプレグの製造方法、本発明の組成物の接着剤組成物およびそのフィルム、本発明の組成物の調製方法および使用方法、本発明の組成物を使用して組み立てた製造物品などを対象とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
先に言及したように、本発明は、概してベンズオキサジン成分および強化剤成分の組み合わせを含む熱硬化性組成物を提供する。
【0031】
1つの態様では、本発明は、
【0032】
【化8】

【0033】
[上式で、oは、1〜4であり、Xは、直接結合(oが2である場合)、アルキル(oが1である場合)、アルキレン(oが2〜4である場合)、カルボニル(oが2である場合)、チオール(oが1である場合)、チオエーテル(oが2である場合)、スルホキサイド(oが2である場合)、およびスルホン(oが2である場合)であり、Rは、メチル、エチル、プロピル、およびブチルなどのアルキルである。]、または
【0034】
【化9】

【0035】
[上式で、pは、2であり、Yは、ビフェニル(pが2である場合)、ジフェニルメタン(pが2である場合)、ジフェニルイソプロパン(pが2である場合)、ジフェニルスルフィド(pが2である場合)、ジフェニルスルホキサイド(pが2である場合)、ジフェニルスルホン(pが2である場合)、およびジフェニルケトン(pが2である場合)から選択され、Rは、水素、ハロゲン、アルキルおよびアルケニルから選択される。]
を含むベンズオキサジン成分、およびATBNを含む強化剤成分を提供する。
【0036】
前記の態様のより詳細な実施形態では、ベンズオキサジン成分は、
【0037】
【化10】

【0038】
【化11】

【0039】
【化12】

【0040】
[上式で、Xは、直接結合、CH、C(CH、C=O、S、S=OおよびO=S=Oから選択され、R、R、およびRは、同じかまたは異なり、メチル、エチル、プロピル、ブチルなどのアルキルであり、Rは、水素、アルキル、アルケニルおよびアリールから選択される。]の1種または複数からなる。
【0041】
さらに詳細な実施形態では、ベンズオキサジンは、
【0042】
【化13】

【0043】
[上式で、Xは、直接結合、CH、C(CH、C=O、S=OおよびO=S=O、Sからなる群から選択され、RおよびRは、同じかまたは異なり、メチル、エチル、プロピルおよびブチルから選択される。]で表される。
【0044】
本発明の前記態様のさらにより詳細な実施形態では、ベンズオキサジン成分は、
【0045】
【化14】

【0046】
[上式で、RおよびRは、同じかまたは異なり、メチル、エチル、プロピルおよびブチルから選択されるが、特に望ましい実施形態ではRおよびRはそれぞれメチルである。]で表される。
【0047】
本発明の組成物の硬化反応生成物は、たとえば177〜232℃(350〜450°F)の範囲のような低くとも177℃(350°F)の湿潤Tg、たとえば0.34〜0.71kg−cm/cm(1.9〜4.0 in−lb/in)の範囲のような少なくとも0.34kg−cm/cm(1.9 in/cm)のGICによって測定した靭性、ビスフェノールFおよびアニリンから調製したベンズオキサジンと比較して少なくとも15%のΔH減少率、および、強化剤濃度を増加して使用した場合の、乾燥Tgと比較した湿潤Tgの6%未満の低下率、の少なくとも1つを示すことができる。
【0048】
本発明の組成物の硬化反応生成物はまた、組成物中の強化剤成分の量が増加するのに従って、TgおよびGICによって測定した靭性の向上を示すこともできる。
【0049】
さらに、硬化させた本発明の組成物の反応生成物はまた、1.2g/cc未満の硬化物密度をも有するはずである。
【0050】
ベンズオキサジン成分は、組成物の全重量に対して、約10〜約99重量%、たとえば約25〜約75重量%、望ましくは約35〜約65重量%の範囲の量で存在しなければならない。
【0051】
強化剤成分は、組成物の全重量に対して、約1〜約90重量%、たとえば約10〜約70重量%、望ましくは約15〜約30重量%の範囲の量で存在しなければならない。
【0052】
本発明のベンズオキサジン成分は、通常ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSまたはチオジフェノールなどのフェノール系化合物を、アルデヒドおよびアルキルアミンと反応させることによって調製することができる。参照により本明細書に明確に組み込む米国特許第5,543,516号は、反応時間が、反応剤の濃度、反応性、および温度に応じて数分から数時間まで変わりうるベンズオキサジンの形成法を記載している。また、Burkeらの、J.Org.Chem.、30巻10号、3423頁、1965年をも参照されたい。一般的には、米国特許第4,607,091号(Schreiber)、第5,021,484号(Schreiber)、第5,200,452号(Schreiber)および第5,443,911号(Schreiber)を参照されたい。
【0053】
ベンズオキサジンは、現在数社の発売元から市販されており、Vantico社(Brewster、ニューヨーク)、Georgia−Pacific Resins社および四国化成社(千葉、日本)などがあるが、この最後の会社はとりわけ、B−a、B−m、F−a、C−aおよびF−aベンズオキサジン樹脂を提供している。これらの中で、本発明のベンズオキサジンは、しばしば望ましくはB−mベンズオキサジン樹脂の一族に入る。
【0054】
ベンズオキサジンの重合は、ルイス酸などのカチオン性開始剤、ならびに他の知られているカチオン性開始剤、たとえば金属ハライド、有機金属誘導体、塩化アルミニウムフタロシアニンなどの金属ポルフィリン化合物、メチルトシレート、メチルトリフレート、トリフリック(triflic)酸、およびオキシハライドによっても開始することができる。
【0055】
本発明の組成物はまた、共反応剤、硬化剤および/またはベンズオキサジン成分用の触媒を含んでいてもよい。その例には、フェノールおよびその誘導体などのルイス酸、アルキレン酸などの強酸およびカチオン性触媒などがある。
【0056】
本発明の組成物はまた、シリカなどの無機充填剤を含んでいてもよい。たとえば、本発明の組成物は、さらにシリカのナノ粒子成分を含んでいてもよい。シリカナノ粒子は、あらかじめエポキシ樹脂に分散させておくことができ、NANOPOX XP 0314、XP 0516、XP 0525など、NANOPOXの商品名でHanse Chemie、ドイツ、から市販されているものから選択すればよい。これらのNANOPOX製品は、5nm〜80nmの粒子サイズを有すると考えられている。NANOPOX XP 0314は、製造者の資料によれば、脂環族エポキシ樹脂中に、粒子サイズ50nmのシリカ粒子を40重量%含有している。本発明はまた、本発明の熱硬化性組成物が注入された繊維層から形成されるプリプレグにも関する。
【0057】
これに関連して、本発明はまた、プリプレグの製造方法にも関する。そうした方法の1つは、(a)繊維層を用意するステップと、(b)本発明の熱硬化性組成物を用意するステップと、(c)熱硬化性組成物と繊維層を合わせてプリプレグ集成材を形成し、得られたプリプレグ集成材を、繊維層に熱硬化性組成物を注入するのに足る、高められた温度と圧力の条件下に置いてプリプレグを形成するステップを含む。
【0058】
もう1つのそうした方法は、(a)繊維層を用意するステップと、(b)液体形態の本発明の熱硬化性組成物を用意するステップと、(c)繊維層を液体熱硬化性組成物中に通して繊維層に熱硬化性組成物を浸み込ませるステップと、(d)過剰の熱硬化性組成物をプリプレグ集成材から除去するステップを含む。
【0059】
繊維層は、一方向繊維、繊維織物、短繊維、繊維不織布、または長い不連続繊維から構成されていればよい。
【0060】
繊維は、カーボン、ガラス、アラミド、ボロン、ポリアルキレン、石英、ポリベンズイミダゾール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリp−フェニレンベンゾビスオキサゾール、シリコンカーバイド、フェノールホルムアルデヒド、フタレートおよびナフテノエートから選択すればよい。
【0061】
カーボンは、ポリアクリロニトリル、ピッチ、およびアクリル系から選択し、ガラスは、Sガラス、S2ガラス、Eガラス、Rガラス、Aガラス、ARガラス、Cガラス、Dガラス、ECRガラス、ガラスフィラメント、ガラス短繊維、Tガラスおよび酸化ジルコニウムガラスから選択する。
【0062】
本発明は、さらに、本発明の熱硬化性組成物を浸み込ませたこのような繊維の束から形成されるトウプレグをも想定している。
【0063】
これに関連して、本発明はまた、トウプレグの製造方法にも関する。そうした方法の1つでは、(a)繊維の束を用意するステップと、(b)熱硬化性組成物を用意するステップと、(c)熱硬化性組成物と繊維束を合わせてトウプレグ集成材を形成し、得られたトウプレグ集成材を、繊維束に熱硬化性組成物を注入するのに足る、高められた温度と圧力の条件下に置いてトウプレグを形成するステップを含む。
【0064】
もう1つのそうした方法は、(a)繊維束を用意するステップと、(b)液体形態の本発明の熱硬化性組成物を用意するステップと、(c)繊維束を液体熱硬化性組成物中に通して繊維層に熱硬化性組成物を浸み込ませるステップと、(d)過剰の熱硬化性組成物をトウプレグ集成材から除去し、それによってトウプレグを形成するステップを含む。
【0065】
本発明の組成物はまた、追加の強化剤を含んでいてもよく、その例としてはポリ(プロピレン)オキサイド;日本の住友化学社から市販されているPES 5003Pなどのアミン末端を有するポリエチレンスルフィド;ユニオンカーバイド社(Danbury、Connecticut)、から市販されているPS 1700などのコアシェルポリマー;ゼネラルエレクトリック社から市販されているBLENDEX 338、SILTEM STM 1500およびULTEM 2000などがある。ULTEM 2000(CAS 登録番号、61128−46−9)は、分子量(「MW」)約30,000±10,000のポリエーテルイミドである。
【0066】
本発明の組成物は、接着剤の形態であってもよく、その場合は、接着促進剤、難燃剤、充填剤(たとえば前記の無機充填剤またはその他のものなど)、熱可塑性添加剤、反応性または非反応性希釈剤、およびチキソトロープ剤の1つまたは複数を含んでいてもよい。加えて、本発明の接着剤は、フィルム形態にしてもよく、その場合は、ナイロン、ガラス、カーボン、ポリエステル、ポリアルキレン、石英、ポリベンズイミダゾール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリp−フェニレンベンゾビスオキサゾール、シリコンカーバイド、フェノールホルムアルデヒド、フタレートおよびナフテノエートから構成された支持体が含まれていてもよい。
【0067】
本発明の組成物は、通常約120〜約180℃の範囲に加熱して約30分〜4時間硬化させる。したがって、本発明の組成物は、比較的穏やかな温度で使用することができて、良好な生産性が達成される。
【0068】
本発明の組成物(およびそれから調製されるプリプレグとトウプレグ)は、航空宇宙用および産業用の最終用途向け複合材料製部品の製造および組み立て、複合材料製部品および金属製部品の接合、サンドイッチ構造の心材および心充填剤、ならびに複合材料の表面仕上げにおいて特に有用である。
【0069】
本発明はまた、熱硬化性組成物を製造する方法をも提供する。この方法は、
(a)
【0070】
【化15】

【0071】
[上式で、oは、1〜4であり、Xは、直接結合(oが2である場合)、アルキル(oが1である場合)、アルキレン(oが2〜4である場合)、カルボニル(oが2である場合)、チオール(oが1である場合)、チオエーテル(oが2である場合)、スルホキサイド(oが2である場合)、スルホン(oが2である場合)であり、Rはアルキルである。]、または
【0072】
【化16】

【0073】
[上式で、pは、2であり、Yは、ビフェニル(pが2である場合)、ジフェニルメタン(pが2である場合)、ジフェニルイソプロパン(pが2である場合)、ジフェニルスルフィド(pが2である場合)、ジフェニルスルホキサイド(pが2である場合)、ジフェニルスルホン(pが2である場合)、およびジフェニルケトン(pが2である場合)から選択され、Rは、水素、ハロゲン、アルキルおよびアルケニルから選択される。]
を含むベンズオキサジンを用意するステップと;
(b)第二級アミン末端基を有するアクリロニトリル−ブタジエンコポリマーを含む強化剤成分を混合しながら用意するステップと;
(c)ベンズオキサジンおよび強化剤成分を、熱硬化性組成物を生成するのに適当な条件下で混合するステップと
を含む。
【0074】
本発明を、以下の代表的な実施例によって、さらに例示する。
【実施例】
【0075】
最初の比較例では、下記の表1に記載した成分を使用して試料1および2を調製した。
【0076】
【表1】

【0077】
それぞれの試料は、次のとおりに調製した。
【0078】
ベンズオキサジンを、82〜93℃(180〜200°F)の範囲の温度に温めて、硬化を開始させずに流動性を与えた。
【0079】
エポキシ成分が存在する場合は、流動性のあるベンズオキサジンをエポキシ樹脂と、82℃(180°F)の温度で均質な混合物が形成されるまで混合した。
【0080】
ATBNが存在する場合は、ATBNを混合物中に、71〜82℃(160〜180°F)の範囲の温度で混合した。
【0081】
こうして形成された組成物を、真空下71〜82℃(160〜180°F)の範囲の温度で15〜30分間混合した。こうして形成された組成物を、密閉容器中、室温で貯蔵した。
【0082】
表1に記した試料は、オートクレーブに入れた上面開口の金型の中で、次の硬化手順で硬化させることができる。
【0083】
試料には、オート−クレーブ中で、6.3kgf/cm(90psi)の圧力を加え、オートクレーブ中の温度を、2.8℃/min(5°F/min)の上昇速度で177℃(350°F)まで、約3時間かけて上昇させた。次に、硬化させた試料を、金型に入れたままで2.8℃/min(5°F/min)の降下速度で32℃(90°F)まで、約1時間かけて冷却してから、使用または評価した。
【0084】
硬化試料は、次の特性試験法を使用して評価した。
【0085】
硬化試料について、両持ち梁固定具を使用して、動的熱機械分析(「DMTA」)を実施した。硬化試料を、オーブン中40℃で等温的に平衡させてから、温度を5℃/minの上昇速度で250℃まで上昇させた。開始時G’、すなわち貯蔵剪断弾性率、からのDMTA計算からTg値を得た。
【0086】
硬化試料はまた、沸騰水に3日間漬けて、重量増加を記録した。これらの試料からDMTA計算を使用してTg値を得た。
【0087】
未硬化の試料と硬化試料の密度を、ASTM D 792に従って測定し、次いで硬化収縮を計算した。
【0088】
曲げ強度および曲げ弾性率は、ASTM D 790に従って、次の試験片寸法を有する硬化試料を使用して測定した。0.32×1.3×10.2cm(0.125×0.5×4in.)、固定間隔5.1cm(2in.)、試験速度:1.26mm/min(0.05in./min)。
【0089】
ICおよびGICは、ASTM D5045−96に従って、硬化試料のシングルエッジノッチ曲げ(「SENB」)試験片を使用して測定した。
【0090】
試料1および2について、これらの評価の結果を表2に記載している。
【0091】
【表2】

【0092】
試料1および2から得られたこれらの結果を比較すると、このベンズオキサジンエポキシ系にATBNを加えることによって、Tgは大して変化しないことが明らかである。また、GICで表した破壊靭性は、2倍を超えて増加した。しかし、試料1および2のTgと高温/湿潤Tgを比較すると、それぞれ大きく低下した。これは、使用条件下では、そのような組成物で作製した完成部品は、使用可能温度が低くなると思われるので、望ましくない。
【0093】
次に、本発明の範囲に入る試料3〜11を、Bm−タイプのベンズオキサジンおよび、表3a、3b、3cで表示されている場合はその表示量で、ATBNを使用して調製した。ATBNを含まない試料3は、比較の目的で使用した。また、試料21および22は、無機充填剤に関する比較の目的で使用した。
【0094】
【表3】

【0095】
【表4】

【0096】
【表5】

【0097】
試料3〜11および21〜24(試料21および22は、試料6および8と同じであるが、シリカナノ粒子を含んでいる試料と比較するために表示してある)の調製方法は、先に試料1および2に関して記載したとおりであり(シリカナノ粒子が加えられた試料23および24を除き、また、前者にはATBNが加えられた)、硬化の手順も同様であった。
【0098】
試料3〜11および21〜24を硬化させ、特性の成績を評価した。その結果を、表4a、4b、4cに示している。
【0099】
【表6】

【0100】
【表7】

【0101】
【表8】

【0102】
試料3〜11および21〜24から得たこれらの結果を比較すると、Bm−タイプのベンズオキサジンにATBNを加えることによってTgが上昇することは明らかである。また、GICで表した破壊靭性も、ATBNの量の増加と共に増加する。なお、試料3〜11および21〜24のTgと高温/湿潤Tgを比較すると、これらの値には大した違いがないことが示され、試料1および2で観察された値とは大いに違っていた。
【0103】
シリカナノ粒子、たとえばNANOPOX XP0314を使用することの利点には、Tgおよび高温/湿潤Tgを低下させずに、硬化組成物の弾性率を高め、靭性を改善することなどがある。加えて、シリカナノ粒子を使用すると、(より大きいシリカ粒子とは対照的に)ナノ粒子でなければそのような大きな粒子を捕捉するはずの(プリプレグまたはRTMで使用される)ろ過工程の後でさえ、この種のシリカナノ粒子を組成物中に包含させることが可能になる。
【0104】
B−mタイプのベンズオキサジンとATBNから作製される組成物の場合は、良好な靭性と高いTg(乾燥および高温/湿潤)が観測された。ATBNの量を増すと、弾性率の低下が実測された(たとえば、試料6〜8参照)。(エポキシ樹脂分散体中の)シリカナノ粒子(NANOPOX XP 0314など)を加えることによって、Tgに影響を与えずに、弾性率が向上することが観測された。したがって、ATBNおよびシリカナノ粒子の量を調節することによって、本発明は、高靭性、高Tgおよび高低さまざまな弾性率を有する熱硬化性組成物を提供する。低い弾性率の組成物は、接着用途に適し、高い弾性率の組成物は、高性能プリプレグの要件を満たすことが多い。
【0105】
さらなる比較の目的で、試料12〜20を、ビスフェノールF−タイプ、ビスフェノールA−タイプ、Bmタイプのベンズオキサジンのいずれか(表示のとおり)および記入されている場合はエポキシ樹脂を、表示の強化剤、表5aおよび5bに記入された量のATBNと共に使用して調製した。
【0106】
【表9】

【0107】
【表10】

【0108】
試料12〜20のそれぞれを調製する方法は、先に試料1および2に関して記載したとおりであり、硬化手順も同様であった。
【0109】
試料12〜20の性能特性の評価は、次のように行い、結果は、表6aおよび6bに記載した。
【0110】
未硬化の試料は示差走査熱量計(「DSC」)によって、40〜350℃の温度範囲内で上昇速度20℃/minで温度範囲を上げて測定し、それからΔHを記録した。
【0111】
硬化試料は、前記のとおりに評価した。
【0112】
【表11】

【0113】
【表12】

【0114】
図1〜3を参照すると、本発明の組成物(図1に例示されている)を使用した場合は、ATBN濃度が増加するとGICおよび乾燥Tgと高温/湿潤Tgが増加することを示しているが、特許請求された構造以外のベンズオキサジン(図2および3に例示されている)を使用した場合は、ATBN濃度が増加するとGICは向上するが、Tgは低下する。図1は、本発明の組成物では、組成物中の強化剤の量が増加するにつれてTgおよびGICによって測定した靭性が増加することを示しているが、図2および3は、アリール置換ベンズオキサジン(すなわち、Rおよび/またはRの位置)および/またはATBNの代わりにCTBNを使用した場合には、いずれも反対の結果が例証されることを示している。
【0115】
200(乾燥)のような向上したTgと3のような向上した強靭性の共存は、同じ熱硬化系では通常見られない。これの知られている1つの例外は、Cytec Industries 977−2であり、これはエポキシプリプレグの熱硬化をもたらす。しかし、このCytec製品は、約3〜5%の水分吸収があることが知られており、それが低い高温/湿潤Tg(約300など)および、ΔHが500J/g未満であって163J/gという1例もあることが実証されている本発明と比べて、500〜700J/gというような高いΔHの原因となる。低いΔHは、冷却の間に、集成された構造内に応力が生じないので望ましい。また、本発明の組成物から得られる熱硬化は、普通なら、不溶性の強化剤物質を加えない限り見られないか、あるいは市販の用途では許容されない粘度を有することになるような、高いTgに達する可能性を有している。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】ガラス転移温度(左側縦軸)対靭性対GIC(右側縦軸)をATBN濃度の増加するベンズオキサジンに対してプロットした図である。
【図2】J.Jayらからの図3の再提示であり、ATBNおよびカルボキシル末端基を有するアクリロニトリル−ブタジエンコポリマー(「CTBN」)の濃度に対してGICをプロットした図である。
【図3】J.Jayらからの図6の再提示であり、ATBNおよびCTBN濃度に対してTgをプロットした図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化性組成物であって、
(a)1つまたは複数の、
【化1】

[上式で、oは、1〜4であり、Xは、直接結合(oが2である場合)、アルキル(oが1である場合)、アルキレン(oが2〜4である場合)、カルボニル(oが2である場合)、チオール(oが1である場合)、チオエーテル(oが2である場合)、スルホキサイド(oが2である場合)、およびスルホン(oが2である場合)からなる群からなる群から選択され、Rは、水素、アルキル、およびアリールからなる群から選択され、Rは、水素、ハロゲン、アルキル、およびアルケニルから選択される。]、または
【化2】

[上式で、pは、2であり、Yは、ビフェニル(pが2である場合)、ジフェニルメタン(pが2である場合)、ジフェニルイソプロパン(pが2である場合)、ジフェニルスルフィド(pが2である場合)、ジフェニルスルホキサイド(pが2である場合)、ジフェニルスルホン(pが2である場合)、およびジフェニルケトン(pが2である場合)からなる群から選択され、Rは、水素、ハロゲン、アルキルおよびアルケニルからなる群から選択される。]
を含むベンズオキサジン成分、ならびに
(b)第二級アミン末端基を有するアクリロニトリル−ブタジエンコポリマーを含む強化剤成分
を含む熱硬化性組成物。
【請求項2】
(a)
【化3】

[上式で、Xは、直接結合、CH、C(CH、C=O、S、S=OおよびO=S=Oからなる群から選択され、R、RおよびRは、同じかまたは異なり、アルキル、アルケニルおよびアリールからなる群から選択される。]
を含むベンズオキサジン成分、および
(b)第二級アミン末端基を有するアクリロニトリル−ブタジエンコポリマーを含む強化剤成分
を含む熱硬化性組成物であって、前記組成物の硬化反応生成物が、少なくとも177℃(350°F)の湿潤Tg、少なくとも0.34kgf−cm/cm(1.9 in−lb/in)のGICによって測定した靭性、ビスフェノールFとアニリンから調製したベンズオキサジンと比較して少なくとも15%のΔH減少率、ならびに、強化剤濃度を増加して使用した場合の、乾燥Tgと比較した湿潤Tgの6%未満の低下率、の少なくとも1つを示すことができる熱硬化性組成物。
【請求項3】
(a)
【化4】

[上式で、Xは、C(CHであり、R、R、およびRは、同じかまたは異なり、アルキル、アルケニルおよびアリールからなる群から選択される。]
を含むベンズオキサジン成分、および
(b)第二級アミン末端基を有するアクリロニトリル−ブタジエンコポリマーを含む強化剤成分
を含む熱硬化性組成物であって、前記組成物の硬化反応生成物が、少なくとも177℃(350°F)の湿潤Tg、少なくとも0.34kgf−cm/cm(1.9 in−lb/in)のGICによって測定した靭性、ビスフェノールFとアニリンから調製したベンズオキサジンと比較して少なくとも15%のΔH減少率、ならびに、強化剤濃度を増加して使用した場合の、乾燥Tgと比較した湿潤Tgの6%未満の低下率、の少なくとも1つを示すことができる熱硬化性組成物。
【請求項4】
熱硬化性組成物であって、
(a)
【化5】

[上式で、Xは、直接結合、CH、C(CH、C=O、S、S=OおよびO=S=Oからなる群から選択され、R、R、およびRは、同じかまたは異なり、アルキル、アルケニルおよびアリールからなる群から選択される。]
を含むベンズオキサジン成分、および
(b)第二級アミン末端基を有するアクリロニトリル−ブタジエンコポリマーを含む強化剤成分
を含み、TgおよびGICによって測定した靭性が、強化剤量の増加に従って上昇する熱硬化性組成物。
【請求項5】
ベンズオキサジン成分が、次式
【化6】

[上式で、RおよびRは、同じかまたは異なり、メチル、エチル、プロピルおよびブチルからなる群から選択される。]
を含む請求項1から4に記載の熱硬化性組成物。
【請求項6】
硬化物の密度が、1.2g/cc未満である請求項1から4に記載の熱硬化性組成物。
【請求項7】
成分(a)が、組成物の全重量に対して約10〜約99重量%の範囲の量で存在する請求項1から4に記載の熱硬化性組成物。
【請求項8】
成分(b)が、組成物の全重量に対して約1〜約90重量%の範囲の量で存在する請求項1から4に記載の熱硬化性組成物。
【請求項9】
ベンズオキサジンが、
【化7】

【化8】

[上式で、Xは、直接結合、CH、C(CH、C=O、S、S=OおよびO=S=Oからなる群から選択され、R、R、およびRは、同じかまたは異なり、かつアルキルであり、Rは、水素、アルキル、アルケニルおよびアリールから選択される。]
の1つまたは複数を含む請求項1から4に記載の熱硬化性組成物。
【請求項10】
ベンゾオキザジンが、
【化9】

【化10】

【化11】

の1つまたは複数を含む請求項9に記載の熱硬化性組成物。
【請求項11】
さらに、無機充填剤成分を含む請求項1から4に記載の熱硬化性組成物。
【請求項12】
無機充填剤成分が、シリカナノ粒子を含む請求項11に記載の熱硬化性組成物。
【請求項13】
請求項1から4に記載の熱硬化性組成物が注入された繊維層を含むプリプレグ。
【請求項14】
繊維層が、一方向繊維から作製される請求項13に記載のプリプレグ。
【請求項15】
繊維層が、繊維織物から作製される請求項13に記載のプリプレグ。
【請求項16】
繊維が、カーボン、ガラス、アラミド、ホウ素、ポリアルキレン、石英、ポリベンズイミダゾール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリp−フェニレンベンゾビスオキサゾール、シリコンカーバイド、フェノールホルムアルデヒド、フタレートおよびナフテノエートからなる群から選択される請求項13に記載のプリプレグ。
【請求項17】
ガラスが、Sガラス、S2ガラス、Eガラス、Rガラス、Aガラス、ARガラス、Cガラス、Dガラス、ECRガラス、ガラスフィラメント、ガラス短繊維、Tガラスおよび酸化ジルコニウムガラスからなる群から選択されたものである請求項16に記載のプリプレグ。
【請求項18】
カーボンが、ポリアクリロニトリル、ピッチおよびアクリル系からなる群から選択されたものである請求項16に記載のプリプレグ。
【請求項19】
請求項13から18に記載のプリプレグの硬化反応生成物。
【請求項20】
(a)繊維層を用意するステップと、
(b)請求項1から4に記載の熱硬化性組成物を用意するステップと、
(c)前記熱硬化性組成物および前記繊維層を合わせてプリプレグ集成材を形成し、得られたプリプレグ集成材を、熱硬化性組成物を繊維層に注入するのに足る、高められた温度および圧力の条件下に置いてプリプレグを形成するステップと
を含むプリプレグの製造方法。
【請求項21】
(a)繊維層を用意するステップと、
(b)請求項1から4に記載の熱硬化性組成物を液体の形態で用意するステップと、
(c)前記繊維層を前記液体熱硬化性組成物中に通して繊維層に熱硬化性組成物を注入するステップと、
(d)過剰の熱硬化性組成物をプリプレグ集成材から除去するステップと
を含むプリプレグの製造方法。
【請求項22】
請求項20に記載の方法によって作製されたプリプレグ。
【請求項23】
請求項21に記載の方法によって作製されたプリプレグ。
【請求項24】
請求項20に記載のプリプレグの硬化反応生成物。
【請求項25】
請求項21に記載のプリプレグの硬化反応生成物。
【請求項26】
(a)請求項1から4に記載の熱硬化性組成物を注入した繊維の束
を含むトウプレグ。
【請求項27】
繊維が、カーボン、ガラス、アラミド、ホウ素、ポリアルキレン、石英、ポリベンズイミダゾール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリp−フェニレンベンゾビスオキサゾール、シリコンカーバイド、フェノールホルムアルデヒド、フタレートおよびナフテノエートからなる群から選択される請求項26に記載のトウプレグ。
【請求項28】
ガラスが、S2ガラス、Eガラス、Rガラス、Rガラス、Aガラス、ARガラス、Cガラス、Dガラス、ECRガラス、ガラスフィラメント、ガラス短繊維、Tガラスおよび酸化ジルコニウムガラスからなる群から選択されたものである請求項27に記載のトウプレグ。
【請求項29】
カーボンが、ポリアクリロニトリル、ピッチおよびアクリル系からなる群から選択されたものである請求項28に記載のトウプレグ。
【請求項30】
請求項27から29に記載のトウプレグの硬化反応生成物。
【請求項31】
(a)繊維束を用意するステップと、
(b)請求項1から4に記載の熱硬化性組成物を用意するステップと、
(c)前記熱硬化性組成物と前記繊維束を合わせてトウプレグ集成材を形成し、得られたトウプレグ集成材を、繊維束に熱硬化性組成物を含浸させるのに足る、高められた温度と圧力の条件下に置いてトウプレグを形成するステップと
を含むトウプレグの製造方法。
【請求項32】
(a)繊維束を用意するステップと、
(b)請求項1から4に記載の熱硬化性組成物を液体の形態で用意するステップと、
(c)前記繊維束を前記液体熱硬化性組成物に通して繊維束に熱硬化性組成物を含浸させるステップと、
(d)過剰の熱硬化性組成物をトウプレグ集成材から除去し、それによってトウプレグを形成するステップと
を含むトウプレグの製造方法。
【請求項33】
請求項31に記載の方法によって作製されたトウプレグ。
【請求項34】
請求項32に記載の方法によって作製されたトウプレグ。
【請求項35】
請求項33のトウプレグの硬化反応生成物。
【請求項36】
請求項34のトウプレグの硬化反応生成物。
【請求項37】
請求項1から4に記載の熱硬化性組成物を含む接着剤組成物。
【請求項38】
さらに、接着促進剤、難燃剤、熱可塑性添加剤、反応性または非反応性希釈剤、およびチキソトロープ剤の1つまたは複数を含む請求項37の接着剤組成物。
【請求項39】
請求項37に記載の接着剤組成物の硬化反応生成物。
【請求項40】
請求項1から4に記載の熱硬化性組成物を含む接着剤フィルム。
【請求項41】
ナイロン、ガラス、カーボン、ポリエステル、ポリアルキレン、石英、ポリベンズイミダゾール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリp−フェニレンベンゾビスオキサゾール、シリコンカーバイド、フェノールホルムアルデヒド、フタレートおよびナフテノエートからなる群から選択された支持体をさらに含む請求項40に記載の接着剤フィルム。
【請求項42】
請求項41に記載の接着剤フィルムの硬化反応生成物。
【請求項43】
熱硬化性組成物の製造方法であって、
(a)
【化12】

[上式で、oは、1〜4であり、Xは、直接結合(oが2である場合)、アルキル(oが1である場合)、アルキレン(oが2〜4である場合)、カルボニル(oが2である場合)、チオール(oが1である場合)、チオエーテル(oが2である場合)、スルホキサイド(oが2である場合)、およびスルホン(oが2である場合)からなる群からなる群から選択され、Rは、水素、アルキル、およびアリールからなる群から選択され、Rは、水素、ハロゲン、アルキル、およびアルケニルから選択される。]、または
【化13】

[上式で、pは、2であり、Yは、ビフェニル(pが2である場合)、ジフェニルメタン(pが2である場合)、ジフェニルイソプロパン(pが2である場合)、ジフェニルスルフィド(pが2である場合)、ジフェニルスルホキサイド(pが2である場合)、ジフェニルスルホン(pが2である場合)、およびジフェニルケトン(pが2である場合)からなる群から選択され、Rは、水素、ハロゲン、アルキルおよびアルケニルから選択される。]
を含むベンズオキサジンを用意するステップと、
(b)第二級アミン末端基を有するアクリロニトリル−ブタジエンコポリマーを含む強化剤成分を混合しながら用意するステップと、
(c)ベンズオキサジンと強化剤成分を、熱硬化性組成物を生成するのに適当な条件下で混合するステップと
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−524728(P2007−524728A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517582(P2006−517582)
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/020145
【国際公開番号】WO2005/000955
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(500538520)ヘンケル コーポレイション (99)
【氏名又は名称原語表記】HENKEL CORPORATION
【Fターム(参考)】