説明

ベンゼン環上に二置換基を有するβ−ベンジルオキシアスパラギン酸誘導体

【課題】高いL-グルタミン酸トランスポーターのグルタミン酸取り込み阻害活性を有し更にアフィニティーカラムリガンドとして働く化合物を提供する。
【解決手段】式(1)の化合物、またはその塩


(式中Rは置換基を有してもよい芳香族基であり、Rは置換基を有してもよく鎖に窒素または酸素が挿入されていてもよい直鎖若しくは分岐C〜C30脂肪族基、置換基を有してもよい芳香族基を表わす。)

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の属する技術分野
本発明は、L-グルタミン酸取り込み阻害作用を有するベンゼン環上に二置換基を有するβ−ベンジルオキシアスパラギン酸誘導体に関する。より詳細には、L-グルタミン酸トランスポーターのグルタミン酸取り込み活性の抑制作用を有する式(1)の化合物(ここで、式中R1は置換基を有してもよい芳香族基であり、置換基Rは置換基を有してもよく鎖に窒素または酸素が挿入されていてもよい直鎖若しくは分岐C〜C30脂肪族基、置換基を有してもよい芳香族基から選択される基を示す。)、またはその塩、及び前記化合物を得る製造方法、並びに前記化合物を用いたL-グルタミン酸トランスポーターの精製方法または検出方法に関する。
【0002】
従来の技術
L-グルタミン酸は、ほ乳動物の中枢神経系における興奮性神経刺激の伝達物質であり、シナプス間での素早い神経伝達を引き起こすだけではなく、高次で複雑な生理的過程である記憶や学習にも関与していることが知られている。シナプス間での興奮性の神経伝達は、プレシナプスからのグルタミン酸の放出に始まり、神経末端やグリア細胞に存在する高親和性のグルタミン酸トランスポーターによるシナプス間隙からの素早いグルタミン酸の取り込みにより終焉する(Attwell, D. and Nicholls, D., TIPS 68-74, 1991)。
【0003】
いくつかの遺伝的な神経変性疾患においては、患者の脳の一部にナトリウム依存性グルタミン酸取り込み活性の低下が報告されている(Rothstein, J. D. et al., N. Eng. J. Med 326, 1464-1468, 1992)。このため、グルタミン酸トランスポーターの機能の発現と阻害がこれらの疾患との関連で注目されている。
【0004】
したがって、グルタミン酸トランスポーター輸送機構の解明、およびてんかん・ハンチントン氏病・筋萎縮性側索硬化症(ALS)・アルツハイマー病などの神経障害などの神経変性疾患との関連の究明のためには、トランスポーター特異的に作用する阻害剤、とりわけブロッカーとして作用する阻害剤の開発が要望されている。
【0005】
本発明者らは、β位に置換基をもつβ−ヒドロキシアスパラギン酸誘導体が、EAAT1-5全てのサブタイプに対して、取り込み阻害作用を示すことを既に報告している(Lebrun, B. et al., J. Biol. Chem. 272, 20336-20339, 1997; Shimamoto, K. et al., Mol. Pharmacol. 53, 195-201, 1998; Shigeri, Y. et al., submitted to J. Neurochem.)。中でもβ位の置換基が嵩高い化合物は、全てのサブタイプにおいてブロッカーとして働き、グルタミン酸の取り込みのみならず、ヘテロエクスチェンジによるグルタミン酸の漏出やナトリウムイオンの流入も阻害することを見いだしている(Chatton, J-Y. et al., Brain Res. 893, 46-52, 2001)。特に式(2)に示すL-スレオ-β-ベンジルオキシアスパラギン酸(L-TBOA)は強いブロッカー作用を有し、しかもグルタミン酸受容体に対する親和性は既存の阻害剤より低いことから、グルタミン酸トランスポーター研究の標準物質となるに至っている。
【0006】
【化1】

【0007】
さらにL-TBOAのベンジル基メタ位にアミノ置換基を有する化合物が強い活性を示すことを見出し、中でもパラ位に置換されたベンゾイルアミド型化合物が高親和性であることを報告している(Shimamoto, K. et al., Mol. Pharmacol. 65, 1008-1015,2004)。とりわけ式(3)に示すトリフルオロメチルベンゾイル基を有する化合物(TFB-TBOA)は取り込み阻害活性のIC50がnMオーダーであった。
【0008】
【化2】

【0009】
一方、グルタミン酸トランスポーターの3次元構造を解明し、基質輸送機構や基質結合部位を明らかにするためには、蛋白の精製が不可欠となる。アフィニティカラムクロマトグラフは蛋白精製に有効な手段である。既に抗体を用いた蛋白精製が試みられているが、抗体と蛋白の結合が強すぎるために、溶出の際に蛋白が本来の機能を失うという不都合があった。カラムリガンドにブロッカーを用いることができれば穏和な条件で溶出できることから、強いL-グルタミン酸取り込み阻害活性を示しつつアフィニティカラムに結合できるような置換基を有するブロッカーが求められていた。先に開発した前述の置換TBOA類の中でも、置換基としてアミノ酸やビオチンを有するものはアフィニティカラムリガンドとして働くことが期待されるが、その親和性はμM程度と十分なものではなかった。さらに、精製後の蛋白を検出するための手段も必要とされていた。
【非特許文献1】Attwell, D. and Nicholls, D., TIPS 68-74, 1991
【非特許文献2】Rothstein, J. D. et al., N. Eng. J. Med 326, 1464-1468, 1992
【非特許文献3】Lebrun, B. et al., J. Biol. Chem. 272, 20336-20339, 1997
【非特許文献4】Shimamoto, K. et al., Mol. Pharmacol. 53, 195-201, 1998
【非特許文献5】Shigeri, Y. et al., submitted to J. Neurochem.
【非特許文献6】Chatton, J-Y. et al., Brain Res. 893, 46-52, 2001
【非特許文献7】Shimamoto, K. et al., Mol. Pharmacol. 65, 1008-1015,2004
【0010】
発明が解決しようとする課題
本発明は、高いL-グルタミン酸トランスポーターのグルタミン酸取り込み阻害活性を有し更にアフィニティーカラムリガンドとして働く化合物を提供する。
【0011】
本発明は、前記化合物を得る製造方法、および前記化合物を用いたL-グルタミン酸トランスポーターの精製方法および検出方法も提供する。
課題を解決するための手段
本発明者らは、TFB-TBOAおよびその類縁体の強い親和性に着目し、TFB-TBOAおよびその類縁体に更なる置換基を有する誘導体を合成し、それら誘導体をカラム担体への保持や検出に用いることを考えた。鋭意研究したところ、式(1)の(2S,3S)-3-(3,5-ジアミノベンジルオキシ)アスパラギン酸誘導体が、強いL-グルタミン酸取り込み阻害活性を示しつつアフィニティカラムに結合できる置換基を保持させることができることを見出し、本発明を完成した。
【0012】
【化3】

【0013】
即ち、本発明は、強いL-グルタミン酸取り込み阻害活性を示しつつアフィニティカラムに結合できる置換基を保持させることができる式(1)の化合物(ここで、式中R1は置換基を有してもよい芳香族基であり、置換基Rは置換基を有してもよく鎖に窒素または酸素が挿入されていてもよい直鎖若しくは分岐C〜C30脂肪族基、置換基を有してもよい芳香族基から選択される基を示す。)、またはその塩を提供する。
【0014】
発明の実施の形態
式(1)の化合物
式(1)の化合物は、強いL-グルタミン酸取り込み阻害活性を示しつつアフィニティカラムに結合できる置換基を保持させることができる化合物であり、式中R1は置換基を有してもよい芳香族基であり、置換基Rは置換基を有してもよく鎖に窒素または酸素が挿入されていてもよい直鎖若しくは分岐C〜C30脂肪族基、置換基を有してもよい芳香族基から選択される基を示す。
【0015】
置換基R1は上述の通り、置換基を有してもよい芳香族基である。R1で示される芳香族基としては、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基等が例示され、芳香環上に置換基を有していてもよい。芳香環上の置換基としては、直鎖または分岐C1-C7アルキル基、C4-C10アリール基、C1-C6アルコキシル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1-C7アシルアミノ基、カルボキシル基、ハロゲン、ハロゲン化C1-C6アルキル基、アジド基、4-(3-(トリフルオロメチル)-3H-ジアジリン-3-イル)基等が例示される。中でもパラ位に置換したフェニル基がL-グルタミン酸阻害活性が高く、そのような置換基としては4-(トリフルオロメチル)フェニル基、4-エチルフェニル基、4-メトキシフェニル基、4-アジドフェニル基、4-(3-(トリフルオロメチル)-3H-ジアジリン-3-イル)フェニル基などが挙げられる。
【0016】
置換基R2は上述の通り、置換基を有してもよく鎖に窒素または酸素が挿入されていてもよい直鎖若しくは分岐C〜C30脂肪族基、置換基を有してもよい芳香族基から選択される基を示す。直鎖若しくは分岐C〜C30脂肪族基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ビニル基、プロペニル基等が例示される。直鎖若しくは分岐C〜C30脂肪族基には、その鎖に窒素または酸素が挿入されていてもよく、窒素原子は1〜3個挿入されるのが好ましく、酸素原子は1〜8個挿入されるのが好ましい。それら脂肪族基上には不飽和結合または置換基があってもよく、その際の置換基の例としては、オキソ基、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基が含まれる。
【0017】
また、RCOとしては、アミノ酸、ペプチド、ポリエチレングリコール由来の基を含み、例えばグリシル基、アラニル基、β−アラニル基、システイニル基、6-アミノヘキサノイル基、これらが2−5個縮合したペプチド類が例示される。またH2N-(CH2CH2O)n-CH2CO (n = 2-6)で示されるポリエチレングリコール誘導体、これとアミノ酸・ペプチドを縮合させた直鎖化合物も含まれる。
【0018】
置換基Rの芳香族基としては、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基等が例示され、芳香環上に置換基を有していても良い。芳香環上の置換基としては、直鎖または分岐C1-C7アルキル基、C4-C10アリール基、C1-C6アルコキシル基、C1-C7アシルアミノ基、ハロゲン、ハロゲン化C1-C6アルキル基等が例示される。
【0019】
置換基R2としてアミノ基を有するリンカーを用いると、その遊離のアミノ基と市販のカラム担体のカルボン酸、もしくはカルボン酸活性エステルもしくはハロゲン化アルキル基に簡単に結合させることができる。または、アミノ基にビオチンを結合させると、市販のアビジンカラムに保持させることができる。従って、R2としてアミノ基を有する化合物の場合は、高いブロッカー活性を保ったままカラム担体への固定が可能な化合物となる。またカラム担体に代えて蛍光基または蛍光標識されたアビジンを結合させれば蛍光による検出が可能である。このようなリンカーとしては、β-アラニン、6-アミノヘキサン酸のようなアミノ酸類、これらを2−5個縮合させたペプチド類、アミノ基とカルボン酸を両端に有するポリエチレングリコール誘導体、またはこれらを縮合させた化合物が例示される。さらに、置換基R2として置換されてもよい直鎖または分岐C〜C30脂肪族基、置換基を有してもよい芳香族基を持つものも高い活性を保持しており、その一部に放射性同位体を導入することによりリガンドの検出が可能となる。
【0020】
本発明の化合物は、通常の方法によって塩とすることができる。このような塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等があるが、これらはいずれも本発明に含まれる。一方、通常の酸によっても塩とすることができる。このような塩としては、塩酸塩、硫酸塩等の無機酸の塩、酢酸塩、クエン酸、トリフルオロ酢酸塩等の有機酸の塩等があるが、これらも本発明に含まれる。
【0021】
化学式(1)の化合物の製造方法
本発明の化合物は、図1に示す方法にて合成することができる。
図1中のBoc基は、tert-ブトキシカルボニル基、TBSはt-ブチル-ジメチルシリル基を示す。
【0022】
光学活性エポキシドから導かれる既知化合物2(特許:PCT/JP02/06286の化合物6)の水酸基に塩化3,5-ジニトロベンジルと水素化ナトリウムを作用させて、ジニトロベンジルエーテルとする。TBS基を除去後水酸基を酸化しカルボン酸とする。次いでメチルエステルを除去し遊離のカルボン酸とした後、両方のカルボン酸をt-ブチルエステルに導く。ニトロ基を還元し、得られたアミノ基にR1COに相当するカルボン酸塩化物を1当量だけ加え、次いでRCOに相当するカルボン酸塩化物もしくはカルボン酸と縮合剤を加えて二置換体とする。全ての保護基を強酸で除去して目的化合物を得る。
【0023】
本発明化合物の有用性
本発明化合物は、恒常的にMDCK (Madin-Darby Canine Kidney) 細胞に発現させた、または一過性にCOS-1細胞に発現させた、ヒトEAAT2およびEAAT3において、14Cでラベルしたグルタミン酸の細胞への取り込みを阻害する。従って、本発明の化合物はグルタミン酸トランスポーターの機構解明に関する有用な分子プローブであり、構造活性相関、蛋白構造解析などの研究を通して、神経変性疾患治療に結びつく有用な化合物であることを示している。
【0024】
式(1)の化合物のうち、遊離のアミノ基をもつものは、グルタミン酸トランスポーター蛋白の単離および精製のためのアフィニティカラムリガンドとして使用することができる。アフィニティカラム調製のためには、公知の方法を用いることができる(カップリング反応一般については、Amersham Pharmacia Biotech社から出版されているアフィニティクロマトグラフィーハンドブック:原理と方法、を参照。)。また、カラム担体に代えて、活性エステルを有するビオチン誘導体や蛍光色素誘導体と反応させることにより、ビオチン標識や蛍光標識を行うことが可能である。
【0025】
式(1)の化合物のいくつかは、トランスポーター蛋白同定のための放射性同位体標識リガンドとしても有用である。例えば図2おいて、R2COに不飽和脂肪酸アシル基(例えばアクリロイル基など)を導入した後、水素添加を行うことができるが、この際にトリチウムガスを用いることにより、トリチウム同位体標識が可能である。また図3のようにR2COとしてハロゲン化ベンゾイル基を導入した後、公知の方法でスズ誘導体へと導き、さらに[125I]NaIで置換することで放射性ヨード体標識が可能である。
【0026】
実施例
以下に本発明を実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0027】
実施例1
(2S,3S)-3-(3-(6-(6-(2-(2-(2-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)アセトアミド)ヘキサンアミド)-ヘキサンアミド)-5-(4-(トリフルオロメチル)ベンズアミド)ベンジルオキシ)アスパラギン酸 (図1の化合物10)の合成
【0028】
【化4】

【0029】
実施例1−1
図1の化合物2から化合物3((2S,3R)-メチル 2-(3,5-ジニトロベンジルオキシ)-3-(tert-ブトキシカルボニル)-4-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-ブタノエート)の合成
化合物2 (500 mg, 1.38 mmol)のDMF溶液5mLに0度で水素化ナトリウム (83 mg, 2.07 mmol)とヨウ化テトラブチルアンモニウム(152 mg, 0.41 mmol)を加え、更に塩化3,5-ジニトロベンジル (450 mg, 2.07 mmol)を徐々に加えて、室温で30分撹拌した。更に水素化ナトリウムと塩化 3,5-ジニトロベンジル(150 mg,0.70 mmol) を加えて室温で30分攪拌した。5%クエン酸水溶液を加えて反応を終結させ、エーテルで抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を留去し得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し(エーテル / ヘキサン = 1 / 3)、(クロロホルム / メタノール = 300 / 1) 標題化合物455mg (61%)を得た。
【0030】
油状;[α]D+0.85°(c 1.28, CHCl3); H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ0.05 (s, 3H), 0.08 (s, 3 H), 0.86 (s, 9 H), 1.42 (s, 9 H), 3.59 (t, 1 H, J = 9.5 Hz), 3.74 (dd, 1 H, J = 5.5, ).5 Hz), 3.79 (s, 3 H), 4.23 (m, 1 H), 4.44 (d, 1 H, J = 2.0 Hz), 4.61 (d, 1 H, J = 12.5 Hz), 4.84 (d, 1 H, J = 10.0 Hz), 4.97 (d, 1 H, J = 12.5 Hz), 8.57 (d, 2 H, J = 2.0 Hz), 8.99 (t, 1 H, J = 4.0 Hz).
【0031】
実施例1−2
図1の化合物3から化合物5((2S,3S)-N-(tert-ブトキシカルボニル)-3-(3,5-ジニトロベンジルオキシ)アスパラギン酸 ジ-tert-ブチルエステル)の合成
化合物3 (455 mg, 0.84mmol)のメタノール溶液 3 mLに触媒量のDL-カンファースルホン酸を加えて室温で18時間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて反応を終結させ、エーテルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ溶媒を留去し得られた残査をアセトン5 mLに溶かしてJones試薬を褐色が消えなくなるまで加えた。室温で30分攪拌し、2-プロパノールを加えて反応を終結させ、エーテルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ溶媒を留去しカルボン酸(4)を得た(268 mg, 2段階72%)。得られた4をメタノール2 mLに溶解し、氷冷下で1 N NaOH 2.5 mLを加えた後室温で4時間攪拌した。反応液を2 N 塩酸でpH 1に調整し、酢酸エチルで抽出した。溶媒を留去して得られた残渣をN,N-ジメチルホルムアミド ジ-tert-ブチルアセタール5mLに溶かし90度で15分加熱した。反応液を氷冷し水を加えて18時間攪拌した。エーテルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ溶媒を留去し得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し(エーテル / ヘキサン = 1 / 3)、標題化合物257 mg (2段階77%)を得た。
【0032】
油状;[α]D-4.2°(c 1.22, CHCl3); H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ1.39 (s, 9 H), 1.44 (s, 9 H), 1.47 (s, 9 H), 4.51 (d, 1 H, J = 2.5 Hz), 4.58 (d, 1 H, J = 12.5 Hz), 4.81 (dd, 1 H, J = 2.0, 10.5 Hz), 5.03 (d, 1 H, J = 12.5 Hz), 5.19 (d, 1 H, J = 10.5 Hz), 8.50 (d, 2 H, J = 2.0 Hz), 8.93 (t, 1 H, J = 2.0 Hz).
【0033】
実施例1−3
図1の化合物5から化合物6((2S,3S)-N-(tert-ブトキシカルボニル)-3-(3,5-ジアミノベンジルオキシ)アスパラギン酸ジ-tert-ブチルエステル)の合成
化合物5 (257 mg, 0.47 mmol)をエタノール3 mLに溶解し、亜鉛末と2%硫酸銅水溶液から調製した活性亜鉛3.0gを加えて80度で18時間攪拌した。放冷後濾過し、濾液を濃縮した。得られた残渣を酢酸エチルに溶かし飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を留去し得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し(エーテル / ヘキサン = 2 / 1 - 3 /1)、標題化合物178 mg (78%)を得た。
【0034】
油状;[α]D-12.5°(c 1.02, CHCl3); 1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 1.41 (s, 9 H), 1.44 (s, 9 H), 1.48 (s, 9 H), 3.45 (bs, 2 H), 4.22 (d, 1 H, J = 11.0 Hz), 4.40 (d, 1 H, J = 2.0 Hz), 4.59 (d, 1 H, J = 11.0 Hz), 4.71 (dd, 1 H, J = 2.0, 10.5 Hz), 5.28 (d, 1 H, J = 10.5 Hz), 5.95 (t, 1 H, J = 1.5 Hz), 6.06 (d, 2 H, J = 1.5 Hz).
【0035】
実施例1−4
図1の化合物6から化合物8((2S,3S)-N-tert-ブトキシカルボニル-3-(3-(6-(6-(2-(2-(2-(2-(2-N-tert-ブトキシカルボニルアミノエトキシ)エトキシ)-エトキシ)エトキシ)アセトアミド)ヘキサンアミド)-ヘキサンアミド)-5-(4-(トリフルオロメチル)ベンズアミド)ベンジルオキシ)-アスパラギン酸 ジ-tert-ブチルエステル)の合成
化合物6 (120 mg, 0.25 mmol)とトリエチルアミン(104 μL, 0.75 mmol)を塩化メチレン5 mLに溶解し、氷冷下で塩化トリフルオロメチルベンゾイル37 μLの塩化メチレン溶液(2 mL)をゆっくり加えた。氷冷下で15分攪拌した後、リンカー(図1の7) (288 mg, 0.50 mmol)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩 (96 mg, 0.50 mmol)、4-N,N-ジメチルアミノピリジン(30 mg, 0.25 mmol)を加えた。反応液を40度で2時間攪拌し、エーテルと5%クエン酸水溶液を加えて反応を終結させた。有機層を飽和食塩水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を留去し得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し(メタノール / クロロホルム = 3 / 97 - 5 /95)、標題化合物184 mg (2段階 61%)と図1の化合物9 (40 mg, 19%)を得た。
【0036】
化合物8 油状;[α]D+4.0°(c 0.93, CHCl3); 1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 1.25-1.55 (m, 8 H), 1.42 (s, 27 H), 1.48 (s, 9 H), 1.60 (tt, 2 H, J = 7.5 Hz), 1.71 (tt, 2 H, J = 7.5 Hz), 2.15 (t, 2 H, J = 7.0 Hz), 2.36 (t, 2 H, J = 7.0 Hz), 3.25 (m, 6 H), 3.50 (m, 2 H), 3.55-3.70 (m, 14 H), 3.96 (d, 2 H, J = 5.0 Hz), 3.99 (d, 1 H, J = 11.5 Hz), 4.43 (s, 1 H), 4.76 (d, 2 H, J = 11.5 Hz), 5.10 (bs, 1 H), 5.35 (d, 1 H, J = 10.5 Hz), 5.95 (bs, 1 H), 7.05 (bs, 1 H), 7.31 (s, 1 H), 7.45 (s, 1 H), 7.73 (d, 2 H, J = 8.0 Hz), 7.99 (s, 1 H), 8.01 (d, 2 H, J = 8.0 Hz), 8.24 (bs, 1 H), 8.60 (bs, 1 H).
化合物9油状;[α]D+3.5°(c 1.34, CHCl3); 1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 1.41 (s, 18 H), 1,49 (s, 9 H), 4.44 (d, 1 H, J = 12.0 Hz), 4.46 (d, 1 H, J = 2.5 Hz), 4.80 (dd, 1 H, J = 2.5, 10.5 Hz), 5.37 (d, 1 H, J = 10.5 Hz), 7.46 (d, 2 H, J = 1.5 Hz), 7.72 (d, 4 H, J = 8.0 Hz), 7.95 (d, 4 H, J = 8.0 Hz), 8.19 (s, 1 H), 8.31 (s, 2 H).
【0037】
実施例1−5
図1の化合物8から化合物10((2S,3S)-3-(3-(6-(6-(2-(2-(2-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)アセトアミド)ヘキサンアミド)-ヘキサンアミド)-5-(4-(トリフルオロメチル)ベンズアミド)ベンジルオキシ)アスパラギン酸 )の合成
化合物8 (184 mg, 0.15 mmol)をクロロホルム1 mLに溶解し、トリフルオロ酢酸 (TFA) 1 mLを加えて室温で18時間攪拌した。溶媒を留去し得られた残査にクロロホルムを加えて留去する操作を3回繰り返した。残渣を水に溶かして凍結乾燥を2回繰り返し標題化合物をTFA塩として104 mg (62%)得た。
【0038】
アモルファス;[α]D-19.1°(c 0.37, H2O); 1H-NMR (D2O, 400 MHz) δ 1.05 (m, 2 H), 1.15 (m, 2 H), 1.26 (m, 2 H), 1.32 (m, 4 H), 1.44 (m, 2 H), 1.98 (t, 2 H, J = 7.8 Hz), 2.16 (m, 2 H), 2.96 (t, 4 H, J = 7.0 Hz), 3.05 (m, 2 H), 3.46-3.64 (m, 16 H), 3.83 (s, 2 H), 4.30 (d, 1 H, J = 12 Hz), 4.36 (d, 1 H, J = 2.5 Hz), 4.50 (d, 1 H, J = 2.5 Hz), 4.54 (d, 1 H, J = 12 Hz), 7.00 (s, 1 H), 7.09 (s, 1 H), 7.49 (d, 2 H, J = 8.5 Hz), 7.60 (s, 1 H), 7.68 (d, 2 H, J = 8.5 Hz).
【0039】
実施例1−6
図1の化合物9から化合物11((2S,3S)-3-{3,5-ビス[4-(トリフルオロメチル)ベンズアミド]ベンジルオキシ}アスパラギン酸 )の合成
化合物(9) (27 mg, 0.033 mmol)をクロロホルム1 mLに溶解し、トリフルオロ酢酸 (TFA) 1 mLを加えて室温で18時間攪拌した。溶媒を留去し得られた残査にクロロホルムを加えて留去する操作を3回繰り返した。残渣を水に溶かして凍結乾燥を2回繰り返し標題化合物をTFA塩として20mg (84%)得た。
【0040】
アモルファス;1H-NMR (D2O, 400 MHz) δ 4.01 (d, 1 H, J = 5.0 Hz), 4.41 (d, 1 H, J = 5.0 Hz), 4.49 (d, 1 H, J = 11.0 Hz), 4.74 (d, 1 H, J = 11.0 Hz), 7.48 (s, 2 H), 7.88 (d, 4 H, J = 8.0 Hz), 8.10 (d, 4 H, J = 8.0 Hz), 8.21 (d, 1 H, J = 1.5 Hz).
【0041】
実施例2
(2S,3S)-3-{3-プロピオニルアミド-5-[4-(トリフルオロメチル)ベンズアミド]ベンジルオキシ}アスパラギン酸(図2の化合物14)の合成
【0042】
【化5】

【0043】
実施例2−1
図1の化合物6から図2の化合物12((2S,3S)-N-tert-ブトキシカルボニル-3-{3-アクリルアミド-5-[4-(トリフルオロメチル)ベンズアミド]ベンジルオキシ}アスパラギン酸 ジ-tert-ブチルエステル )の合成
化合物6 (20 mg, 0.042 mmol)とトリエチルアミン(17 μL, 0.13 mmol)を塩化メチレン5 mLに溶解し、氷冷下で塩化トリフルオロメチルベンゾイル(6.7 μL, 0.042 mmol)の塩化メチレン溶液(2 mL)をゆっくり加えた。氷冷下で15分攪拌した後、塩化アクリロイル(4.0 μL, 0.050 mmol)を加えた。反応液をさらに15分攪拌し、エーテルと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて反応を終結させた。有機層を飽和食塩水、5%クエン酸水溶液、飽和食塩水の順に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を留去し得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し(エーテル/ヘキサン = 1 / 3)、標題化合物18.7 mg (2段階 63%)を得た。
【0044】
油状; 1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 1.41 (s, 18 H), 1.49 (s, 9 H), 4.41 (d, 1 H, J = 11.5 Hz), 4.45 (d, 1 H, J = 2.5 Hz), 4.79 (d, 2 H, J = 11.0 Hz), 5.38 (d, 1 H, J = 10.5 Hz), 5.76 (dd, 1 H, J = 1.0, 10.5 Hz), 6.25 (dd, 1 H, J = 10.5, 16.5 Hz), 6.40 (dd, 1 H, J = 1.0, 16.5 Hz), 7.33 (s, 1 H), 7.46 (s, 1 H), 7.74 (d, 2 H, J = 8.0 Hz), 7.75 (s, 1 H), 7.96 (d, 2 H, J = 8.0 Hz), 8.03 (s, 1 H), 8.24 (s, 1 H).
【0045】
実施例2−2
図2の化合物12から化合物13((2S,3S)-N-tert-ブトキシカルボニル-3-{3-プロピオニルアミド-5-[4-(トリフルオロメチル)ベンズアミド]ベンジルオキシ}-アスパラギン酸 ジ-tert-ブチルエステル)の合成
化合物12 (18 mg, 0.025 mmol)をメタノール2 mLに溶解し、10% パラジウム炭素を加えて、水素雰囲気下で2時間攪拌した。触媒を濾去し、濾液を濃縮して標題化合物16.0 mg (89%)を得た。
【0046】
油状; 1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 1.23 (t, 3 H, J = 7.5 Hz), 1.42 (s, 9 H), 1.43 (s, 9 H), 1.49 (s, 9 H), 2.37 (q, 2 H, J = 7.5 Hz), 4.40 (d, 1 H, J = 11.5 Hz), 4.45 (d, 1 H, J = 2.5 Hz), 4.77 (d, 1 H, J = 10.0 Hz), 4.78 (dd, 1 H, J = 2.5, 10.0 Hz), 5.37 (d, 1 H, J = 10.0 Hz), 7.37 (s, 1 H), 7.44 (s, 1 H), 7.66 (d, 2 H, J = 8.0 Hz), 7.90 (d, 2 H, J = 8.0 Hz), 7.81 (s 1 H), 8.13 (s, 1 H).
【0047】
実施例2−3
図2の化合物13から化合物14((2S,3S)-3-{3-プロピオニルアミド-5-[4-(トリフルオロメチル)ベンズアミド]ベンジルオキシ}アスパラギン酸 )の合成
化合物13 (16.0 mg, 0.023 mmol)をクロロホルム1 mLに溶解し、TFA1 mLを加えて室温で18時間攪拌した。溶媒を留去し得られた残査にクロロホルムを加えて留去する操作を3回繰り返した。残渣を水に懸濁させて凍結乾燥を2回繰り返し標題化合物をTFA塩として13.6 mg (98%)を得た。
【0048】
アモルファス;1H-NMR (D2O, 400 MHz) δ 1.05 (t, 3 H, J = 7.5 Hz), 2.29 (q, 2 H, J = 7.5 Hz), 4.04 (d, 1 H, J = 3.0 Hz), 4.41 (d, 1 H, J = 3.0 Hz), 4.43 (d, 1 H, J = 11.5 Hz), 4.67 (d, 1 H, J = 11.5 Hz), 7.29 (s, 1 H), 7.35 (s, 1 H), 7.85 (d, 2 H, J = 8.0 Hz), 7.99 (s, 1 H), 8.06 (d, 2 H, J = 8.0 Hz).
【0049】
実施例3 生物活性の検定
グルタミン酸トランスポーター阻害活性の測定
公知の方法(Shimamoto, K. et al., Mol. Pharmacol. 53, 195-201, 1998; Bioorg. Med. Chem. Lett. 10, 2407-2410, 2000)に従い、恒常的にMDCK (Madin-Darby Canine Kidney) 細胞に発現させたヒトEAAT2またはEAAT3において[14C]グルタミン酸の取り込み阻害作用を測定した。グルタミン酸取り込み活性は、1μMのL-[14C]グルタミン酸と所定の濃度の試料を加えて12分間インキュベートした後細胞を溶解して、取り込まれた放射活性を液体シンチレーターにより測定した。取り込み量は試験化合物が存在しない(緩衝液のみ)場合を100%とし、ナトリウムフリー溶液での取り込みの場合を0%とした%で表示し、IC50値を求め表1に示した。
【0050】
【表1】

【0051】
実施例4 カラムへの結合
調製例1
所定量のAffi-Gel 10 またはAffi-Gel 15 (BioRad社)をグラスフィルター上に秤量し、氷冷した無水2-プロパノール、次いで反応溶媒(アルコール、ジメチルスルフィド (DMSO)、ジオキサン、ホルムアミドで洗浄する。本発明品のリガンドを反応溶媒に溶解し、3級アミン(トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなど)を加えてpH 10-11に調整する。膨潤したゲルとリガンド溶液を混合し、室温で数時間反応させる。過剰のリガンドを洗浄して除去する。ゲルは4度で保存する。
調製例2
CNBr-活性化セファロース(Sepharose)4B (Amersham Bioscience社)の所定量をグラスフィルター上に秤量する。1 mM HClを用いて洗浄と膨潤を繰り返す。本発明のリガンドをカップリングバッファー(例えば0.5 M NaClを含む0.1 M NaHCO3, pH 8.3)に溶解する。このリガンドをゲル分散液と室温で2時間または4度で一夜混合する。次にゲルをブロッキング剤、例えば1 M エタノールアミンまたは0.2 M グリシン、pH 8.0中に導入する。このゲルをカップリング用バッファーおよび酢酸バッファー(0.5 M NaCl, 0.1 M AcOH, pH 4.0)にて洗浄し、過剰のリガンドおよびブロッキング剤を除去する。ゲルは4度で保存する。
【0052】
発明の効果
本発明によれば、化学式(1)で示される、光学活性β-ベンジルオキシアスパラギン酸のベンゼン環上に二つのアミノ基を有する誘導体およびその塩を、アフィニティーカラムのリガンドもしくは蛋白検出用リガンドとして供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、本発明の化合物(化合物10および11)の合成方法を示す。
【図2】図2は、本発明の化合物(化合物14)の合成方法を示す。
【図3】図3は、本発明の化合物(化合物18)の合成方法を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)の化合物、またはその塩:
【化1】

ここで、式中R1は置換基を有してもよい芳香族基であり;
置換基Rは置換基を有してもよく鎖に窒素または酸素が挿入されていてもよい直鎖若しくは分岐C〜C30脂肪族基、置換基を有してもよい芳香族基から選択される基を示す。
【請求項2】
置換基Rの末端がアミノ基で置換されている、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
置換基Rが脂肪族基であり、その鎖内に酸素原子と窒素原子を有している、請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
式(1)の化合物が(2S,3S)-3-(3-(6-(6-(2-(2-(2-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)アセトアミド)ヘキサンアミド)-ヘキサンアミド)-5-(4-(トリフルオロメチル)ベンズアミド)ベンジルオキシ)アスパラギン酸である、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物からなる、アフィニティーカラムリガンド。
【請求項6】
請求項4記載の化合物からなる、アフィニティーカラムリガンド。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物からなる、蛍光検出用リガンド。
【請求項8】
請求項4記載の化合物からなる、蛍光検出用リガンド。
【請求項9】
遊離のアミノ基と反応性であるカラム担体と、遊離のアミノ基を有するアフィニティーカラムリガンドとして請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物とを結合させることによりアフィニティーカラムを調製し;
L−グルタミン酸トランスポーター蛋白を含む可能性がある生物学的サンプルを、前記アフィニティーカラムに接触させ;
前記アフィニティーカラムを洗浄し;そして
前記アフィニティーカラムからL−グルタミン酸トランスポーター蛋白を溶出する;
工程からなる、生物学的試料中のL−グルタミン酸トランスポーター蛋白を精製する方法。
【請求項10】
請求項4記載の化合物を前記アフィニティーカラムリガンドとして用いる、請求項9記載の方法。
【請求項11】
遊離のアミノ基を有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物とビオチンを結合させ、次に得られた結合物をアビジンカラムに保持させることによりカラムを調製し;
L−グルタミン酸トランスポーター蛋白を含む可能性がある生物学的サンプルを、前記カラムに接触させ;
前記カラムを洗浄し;そして
前記カラムからL−グルタミン酸トランスポーター蛋白を溶出する;
工程からなる、生物学的試料中のL−グルタミン酸トランスポーター蛋白を精製する方法。
【請求項12】
請求項4記載の化合物をカラムリガンドとして用いる、請求項11記載の方法。
【請求項13】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物とビオチンを結合させ、次に得られた結合物を蛍光基または蛍光標識されたアビジンと結合させ;
L−グルタミン酸トランスポーター蛋白を含む可能性がある生物学的サンプルを、前記結合物と接触させ;そして
前記サンプル中での前記ビオチンアビジン結合物との結合の有無を蛍光により検出する;
工程からなる、L−グルタミン酸トランスポーター蛋白の蛍光による検出方法。
【請求項14】
請求項4記載の化合物を用いる、請求項13記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−182696(P2006−182696A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−377557(P2004−377557)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000001904)サントリー株式会社 (319)
【Fターム(参考)】