説明

ベンゾイミダゾール駆虫組成物

本発明は、ベンゾイミダゾール駆虫薬少なくとも10%w/vと、b)ラクトン溶媒、エッセンシャルオイル、および界面活性剤を含む水不混和性溶媒系とを包含する動物用駆虫組成物を提供する。
【図1】



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
蠕虫病は、動物、特に、温血動物に影響を与える広く発生する疾患であり、実質的な経済的損失をもたらす。ヒツジ、ウシ、ヤギ、ウマ、および他の家畜化された草食動物が、特にこの感染症を起こしやすい。この感染症を引き起こす特定の蠕虫に対して様々な程度の有効性を持つ多くの知られている駆虫剤が発見されている。
【背景技術】
【0002】
ある種のクラスの駆虫薬は、程度の差はあるが活性スペクトルを有し、すなわち、それらは、範囲の程度の差はあるが寄生虫が関わる感染症を治療することができる。
【0003】
特に有用なクラスの駆虫薬は、アバメクチン、イベルメクチン、ドラメクチン、ミルベマイシンDおよびモキシデクチンにより例示されるアベルメクチンおよびミルベマイシンクラスの駆虫薬である。これらは、寄生性回虫に対して、さらには一部の外部寄生虫に対して活性を有するが、条虫および吸虫(trematode)(吸虫(fluke))に対して活性を欠く。
【0004】
肝吸虫は、ウシおよびヒツジに主に感染するが、ウマ、ブタ、ヤギ、ウサギならびに少なくともオーストラリアにおいてカンガルーおよびウォンバットなどの固有動物を包含する多くの他の動物において発生する可能性もある世界的疾患である。ヒトも、肝吸虫に感染することがある。肝吸虫は、重大な経済的損失をもたらすことがある。肝吸虫疾患による世界的損失は、1年当たり30億米国ドルを超すと見積もられている。ヒツジにおいて、肝吸虫の感染は、羊毛成長および毛質を包含する生産、分娩率ならびに子ヒツジの成長速度を低下させる。ヒツジは、肝吸虫感染が原因で命を落とすことがある。
【0005】
トリクラベンダゾールを包含するベンゾイミダゾールは、それらの駆虫活性でよく知られている。トリクラベンダゾールは、特に有用な駆虫薬であり、主に吸虫に対して、特に、肝吸虫に対して活性を有する。トリクラベンダゾールは、米国特許第4,197,307号に記載されており、5−クロロ−6(2,3−ジクロロフェノキシ)−2−メチルチオ−1H−ベンゾイミダゾールとしても知られている。トリクラベンダゾールは、幼虫早期の吸虫、幼吸虫および成虫の肝吸虫を包含する生活環のすべての段階において肝吸虫に対して極めて有効である。
【0006】
アベルメクチン/ミルベマイシンおよびトリクラベンダゾールの活性スペクトルを有するであろう駆虫活性物の組合せが望ましい。しかしながら、成功する組合せ製剤は、商業的に妥当な期間にわたる製剤の物理的安定性、その中の活性物の化学的安定性を提供し、個々の活性物の薬理学的活性のレベルを維持するか上回り、適当な剤形で動物に投与可能でなければならない。
【0007】
1つまたは複数の駆虫活性物を含有し、動物の背部にかける(pour−on)ことにより動物に容易に投与される液体製剤を有することが有利である。治療剤の液体製剤は、溶液または懸濁液の形態であってよい。トリクラベンダゾールの極めて溶けにくい性質のため、トリクラベンダゾールを含有する液体製剤を提供することは困難とされてきた。結果として、トリクラベンダゾールを含有する駆虫製剤は、通常、懸濁剤として調製されてきた。しかしながら、懸濁製剤は、いくつかの欠点を有する。まさにその性質により、懸濁液中の粒子状物質は、静置すると容器の底に沈むか沈降することがある。そのような沈降は、沈降物のケーキングおよび固化にもつながり、結果として、かき混ぜて懸濁液を再分散させることを困難にすることがある。沈降物は、製剤中の活性剤の濃度差をもたらすため、さらなる問題を引き起こす。この濃度差が今度は、動物を治療するための有効かつ安全な投与量を決定することおよび得ることの困難さにつながる。懸濁剤は、ポアオン(pour−on)投与によって適用される場合に吸収されにくいこともある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これらの理由から、懸濁液の形態よりも溶液の形態でトリクラベンダゾールを含有するポアオン液体製剤を提供することが望ましいであろう。溶液剤は、十分な生物学的利用能を得るために必要とされることがある。溶液剤は、適当な溶媒または互いに混和できる溶媒の混合物に溶解している1つまたは複数の化学物質を含有する液体調製物である。しかしながら、溶液剤中の物質は、固体状態にある物質よりも化学的不安定状態になりやすいことが多い。
【0009】
駆虫組成物を製剤化する場合、組成物は、活性化合物の化学的活性、ならびに製剤の物理的安定性の両方を維持することが必要である。このことは、組成物が、それらの意図する使用の十分前から調製され、市販品として有用な有効期限も有することを可能にする。
【0010】
さらに、適当なポアオン液体製剤は、皮膚を効果的に透過する能力を有し、それによって1つまたは複数の駆虫活性物を動物が全身的に吸収しやすくなる溶媒を包含することが好ましいであろう。適当なポアオン製剤は、ポアオンとしての投与に役立つ低い凝固点および低い表面張力を有し、雨または他の水暴露中に動物から洗い落とされること(wash off)を抑制するために極めて撥水性であることが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ラクトン溶媒、エッセンシャルオイル、および界面活性剤を含む水不混和性溶媒系中にベンゾイミダゾール駆虫薬少なくとも10%w/v[好ましくは、10〜40%w/v、例えば、15〜25%w/v]を包含する動物用駆虫組成物を提供する。
【0012】
さらに、本発明は、γ−ヘキサラクトン、1,8−シネオール、およびポリエチレングリコールカプリル酸/カプリン酸グリセリドを含む水不混和性溶媒系中にトリクラベンダゾール10〜40%w/v、好ましくは、約15%w/v〜約25%w/vを包含する動物用駆虫組成物を提供する。
【0013】
恒温動物において寄生虫を治療する方法も提供される。方法は、ラクトン溶媒、エッセンシャルオイル、および界面活性剤を含む水不混和性溶媒系中にベンゾイミダゾール駆虫薬少なくとも10%w/v[好ましくは、10〜40%w/v、例えば、15〜25%w/v]を包含する動物用駆虫組成物を恒温動物に投与することを包含する。
【0014】
本発明は、恒温動物において寄生虫を治療する方法をさらに提供する。方法は、γ−ヘキサラクトン、1,8−シネオール、およびポリエチレングリコールカプリル酸/カプリン酸グリセリドを含む水不混和性溶媒系中にトリクラベンダゾール少なくとも10%w/v[好ましくは、10〜40%w/v、例えば、15〜25%w/v]を含む動物用駆虫組成物を動物に投与することを包含する。
【0015】
さらに、本発明は、動物用組成物を調製する方法を提供する。方法は、ベンゾイミダゾール駆虫薬を、ラクトン溶媒、エッセンシャルオイル、および界面活性剤を含む水不混和性溶媒系と混ぜ合わせることを包含する。
【図面の簡単な説明】
【0016】

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ベンゾイミダゾール駆虫薬少なくとも10%w/vと、b)ラクトン溶媒、エッセンシャルオイル、および界面活性剤を含む水不混和性溶媒系と
を含む動物用駆虫組成物。
【請求項2】
ベンゾイミダゾール駆虫薬が、トリクラベンダゾールである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
トリクラベンダゾールが、約10%w/v〜約40%w/vの量で存在する、請求項1または請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
トリクラベンダゾールが、約15%w/v〜約25%w/vの量で存在する、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
ラクトン溶媒が、γ−ヘキサラクトン、ブチロラクトン、δ−ヘキサラクトン、γ−ドデカラクトン、δ−ノナラクトン、δ−デカラクトン、γ−デカラクトン、およびδ−ドデカラクトンおよび他のアルキルラクトンならびにそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
ラクトン溶媒が、γ−ヘキサラクトンである、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
ラクトン溶媒が、約10%w/v〜約40%w/vの量で存在する、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
エッセンシャルオイルが、1,8−シネオール、1,4−シネオール、オイガノール、リモネン油、ティーツリー油、シトロネロールおよびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
エッセンシャルオイル構成成分が、1,8−シネオールである、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
エッセンシャルオイルが、約5%w/v〜約50%w/vの量で存在する、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
エッセンシャルオイルが、約10%w/v〜約35%w/vの量で存在する、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
界面活性剤が、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル、アルコール−油エステル交換生成物、ポリグリセリル化脂肪酸、プロピレングリコール脂肪酸エステル、モノ、ジおよびトリグリセリドならびにそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
界面活性剤が、モノ、ジおよびトリグリセリドとポリエチレングリコールのモノおよびジ脂肪酸エステルの混合物である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
界面活性剤が、PEG−8カプリル酸/カプリン酸グリセリドまたはPEG−6カプリル酸/カプリン酸グリセリドである、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
界面活性剤が、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリエチレングリコールジオレエートまたはグリセリンポリエチレングリコールココナッツ油である、請求項12に記載の組成物。
【請求項16】
界面活性剤が、約30%w/v〜約60%w/vの量で存在する、請求項1から16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
界面活性剤が、約40%w/v〜約50%w/vの量で存在する、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
大環状ラクトン、テトラミゾール、レバミゾール、デプシペプチド、アミノアセトニトリルおよびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの追加の駆虫薬を包含する、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
大環状ラクトンが、モキシデクチンである、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
a)トリクラベンダゾール約15%w/v〜約25%w/vと、
b)γ−ヘキサラクトン、1,8−シネオール、およびポリエチレングリコールカプリル酸/カプリン酸グリセリドを含む水不混和性溶媒系と
を含む動物用駆虫組成物。
【請求項21】
モキシデクチンをさらに含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
モキシデクチンが、約0.01w/v〜約2%w/vの量で存在する、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
恒温動物において寄生虫を治療する方法であって、
a)ベンゾイミダゾール駆虫薬少なくとも10%w/vと、
b)ラクトン溶媒、エッセンシャルオイル、および界面活性剤を含む水不混和性溶媒系と
を含む動物用駆虫組成物を前記動物に投与することを含む方法。
【請求項24】
ベンゾイミダゾール駆虫薬が、トリクラベンダゾールである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
トリクラベンダゾールが、約10%w/v〜約40%w/vの量で存在する、請求項23または請求項24に記載の方法。
【請求項26】
ラクトン溶媒が、γ−ヘキサラクトンである、請求項23から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
ラクトン溶媒が、約10%w/v〜約40%w/vの量で存在する、請求項23から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
エッセンシャルオイル構成成分が、1,8−シネオールである、請求項23から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
エッセンシャルオイルが、約5%w/v〜約50%w/vの量で存在する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
界面活性剤が、モノ、ジおよびトリグリセリドとポリエチレングリコールのモノおよびジ脂肪酸エステルの混合物である、請求項23から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
界面活性剤が、約30%w/v〜約60%w/vの量で存在する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
投与組成物が、大環状ラクトン、テトラミゾール、レバミゾール、デプシペプチド、モネパンテルなどのアミノアセトニトリルおよびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの追加の駆虫薬をさらに包含する、請求項23から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
組成物が、ポアオンとして投与される、請求項23から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
恒温動物において寄生虫を治療する方法であって、
a)トリクラベンダゾール約15%w/v〜約25%w/vと、
b)γ−ヘキサラクトン、1,8−シネオール、およびポリエチレングリコールカプリル酸/カプリン酸グリセリドを含む水不混和性溶媒系と
を含む動物用駆虫組成物を前記動物に投与することを含む方法。
【請求項35】
投与組成物が、モキシデクチンをさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
モキシデクチンが、約0.01〜約2%w/vの量で存在する、請求項34または35に記載の方法。
【請求項37】
動物用組成物を調製する方法であって、
i)ベンゾイミダゾール駆虫薬を、ii)ラクトン溶媒、エッセンシャルオイル、および界面活性剤を含む水不混和性溶媒系と混ぜ合わせることを含む方法。
【請求項38】
前記混ぜ合わせが、界面活性剤の溶液にベンゾイミダゾール駆虫薬を溶解してベンゾイミダゾール/界面活性剤溶液を形成させること、およびベンゾイミダゾール/界面活性剤溶液をエッセンシャルオイルおよびラクトン溶媒と混合して組成物を形成させることを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
組成物に少なくとも1つの追加の駆虫薬を加えることをさらに含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
少なくとも1つの追加の駆虫薬が、大環状ラクトン、アミノアセトニトリルまたはそれらの組合せである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
組成物に安定化剤を加えることをさらに含む、請求項38から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
安定化剤が、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)である、請求項41に記載の方法。

【図1】治療後14日にわたり実施例3の組成物で治療されたウシの血漿中に存在するトリクラベンダゾールスルホキシド(トリクラベンダゾールの薬理学的に活性な代謝産物)の量のグラフである。
【図2】治療後14日にわたり実施例3の組成物で治療されたウシの血漿中に存在するトリクラベンダゾールスルホキシド(トリクラベンダゾールの薬理学的に活性な代謝産物)の量のグラフである。
【図3】治療後14日にわたり実施例4の組成物で治療されたウシの血漿中に存在するトリクラベンダゾールスルホキシド(トリクラベンダゾールの薬理学的に活性な代謝産物)の量のグラフである。
【図4】治療後14日にわたり実施例4の組成物で治療されたウシの血漿中に存在するトリクラベンダゾールスルホキシド(トリクラベンダゾールの薬理学的に活性な代謝産物)の量のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、ベンゾイミダゾール駆虫薬を包含する動物用組成物に関する。ベンゾイミダゾールは、家畜における内部寄生性疾患を治療するために使用され、幅広い活性スペクトルおよび低毒性を特徴とする。一実施形態において、組成物は、大環状ラクトンなどの別の駆虫化合物との組合せでベンゾイミダゾールを包含する。
【0018】
動物用駆虫組成物は、ラクトン溶媒、エッセンシャルオイル、および界面活性剤を含む水不混和性溶媒系中にベンゾイミダゾール駆虫薬少なくとも10%w/vを含む。一実施形態において、組成物は、ポアオン組成物である。
【0019】
一実施形態において、動物用駆虫組成物は、γ−ヘキサラクトン、1,8−シネオール、およびポリエチレングリコールカプリル酸/カプリン酸グリセリドを含む水不混和性溶媒系中にトリクラベンダゾール約15%w/v〜約25%w/vを包含する。
【0020】
本明細書において使用される場合、「水不混和性溶媒系」という用語は、混ぜ合わせられた場合の溶媒が、水と混合するか水との均一性を獲得することが実質的にできない3種以上の溶媒の非水系を意味することが意図されている。一般に、水不混和性溶媒系は、低レベルの水への溶解度を有し、例えば、溶媒混合物の水への溶解度は、10%w/w未満、特に、5%w/w未満である。
【0021】
本明細書において使用される「ポアオン組成物」などの用語は、特に好ましい投与経路がポアオン投与である組成物を意味することが意図されている。典型的には、「ポアオン」製剤は、通常、ウシ、ヒツジまたはウマなどの動物のき甲から尾根まで、動物の背部にかける(pour−on)ためにそのように呼ばれる。
【0022】
本明細書において使用される場合、「ベンゾイミダゾール」とは、チアベンダゾール、カンベンダゾール、パルベンダゾール、メベンダゾール、フェンベンダゾール、オクスフェンダゾール、オキシベンダゾール、アルベンダゾール、アルベンダゾールスルホキシド、チオファネート、フェバンテル、ネトビミン、トリクラベンダゾール、それらの塩、またはそれらの組合せなどのベンゾイミダゾール化学ファミリーの動物用化合物を示す。
【0023】
本明細書において使用される「大環状ラクトン」という用語は、イベルメクチン、アバメクチンもしくはドラメクチンなどのアベルメクチン、ミルベマイシンDもしくはモキシデクチンなどのミルベマイシン、またはそれらの組合せを包含するアベルメクチンまたはミルベマイシンファミリーの化合物における医薬化合物を示す。
【0024】
本明細書において使用される場合、「w/w」という用語は、重量/重量を示し、「w/v」という用語は、重量/体積を示し、「mg/kg」という用語は、体重1キログラム当たりのミリグラムを示す。
【0025】
上に記載されているように、組成物は、大環状ラクトンなどの別の駆虫化合物との組合せでベンゾイミダゾール化合物を包含することがある。大環状ラクトンとの組合せでベンゾイミダゾール化合物を投与して、防除される寄生虫のスペクトルを拡大させることが望ましい。理想的には、ベンゾイミダゾールと大環状ラクトンの両方を含有する動物用組成物は、安定で、生物学的に利用でき、ポアオンとして投与しやすいであろう。
【0026】
ベンゾイミダゾールは、大環状ラクトンまたはアミノアセトニトリルなどの少なくとも1つの追加の駆虫薬との組合せで使用される場合、恒温動物において相補的な寄生虫防除を提供する。例えば、トリクラベンダゾールは、肝吸虫に対して活性であるが、回虫または外部寄生虫に対してやや活性であるに過ぎず、モキシデクチン(大環状ラクトン)は、回虫および外部寄生虫に対して極めて活性であるが、殺吸虫薬としての活性はごくわずかである。さらに、エモデプシドなどのデプシペプチドおよびモネパンテルなどのアミノアセトニトリルは、回虫に対して活性である。
【0027】
驚いたことに、今回、ベンゾイミダゾール化合物および大環状ラクトンは、恒温動物へのポアオン投与に適している澄明で均一な水不混和性溶液として製剤化することができることが判明した。有利には、組成物は、ベンゾイミダゾール活性成分が溶液中にとどまり、生物学的に利用できるように自己乳化性である。駆虫組成物は、すべての段階の吸虫に対して有効であり、優れた経皮透過力を有する。さらに、組成物は、低い表面張力、良好な撥水性および低い凝固点を有し、これらはすべて、ポアオン製剤にとって望ましい特性である。
【0028】
組成物において使用するのに適しているベンゾイミダゾールは、チアベンダゾール、カンベンダゾール、パルベンダゾール、メベンダゾール、フェンベンダゾール、オクスフェンダゾール、オキシベンダゾール、アルベンダゾール、アルベンダゾールスルホキシド、チオファネート、フェバンテル、ネトビミン、トリクラベンダゾール、およびそれらの組合せを包含する。1つの好ましい実施形態において、ベンゾイミダゾール駆虫薬は、トリクラベンダゾールである。トリクラベンダゾールは、それらの生活環のすべての段階において肝吸虫に対して極めて有効である。
【0029】
駆虫組成物において使用するのに適しているラクトン溶媒は、以下のγ−ヘキサラクトン、ブチロラクトン、δ−ヘキサラクトン、γ−ドデカラクトン、δ−ノナラクトン、δ−デカラクトン、γ−デカラクトン、およびδ−ドデカラクトンおよび他のアルキルラクトンならびにそれらの組合せを包含するが、それらに限定されるものではない。トリクラベンダゾールは、これらのラクトン、ならびに類似のラクトンおよび組合せに驚くほど良好な溶解力を有する。好ましい実施形態において、ラクトン溶媒は、γ−ヘキサラクトンである。
【0030】
組成物の油構成成分は、以下の1,8−シネオール(オイカプリトールとしても知られている)、1,4−シネオール、オイガノール(Euganol)、リモネン油、ティーツリー油、シトロネロールおよびそれらの組合せから選択されるがそれらに限定されないエッセンシャルオイルであることが好ましい。一実施形態において、エッセンシャルオイル構成成分は、1,8−シネオールである。
【0031】
組成物において使用するのに適している界面活性剤は、以下のクラスの乳化剤または界面活性剤:ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル、アルコール−油エステル交換生成物、ポリグリセリル化(polyglycerized)脂肪酸、プロピレングリコール脂肪酸エステル、モノ、ジおよびトリグリセリドならびにそれらの組合せを包含するが、それらに限定されるものではない。非イオン性界面活性剤が好ましいことがある。
【0032】
1つの好ましい実施形態において、界面活性剤は、モノ、ジおよびトリグリセリドとポリエチレングリコールのモノおよびジ脂肪酸エステルの混合物である。例えば、適当な界面活性剤は、主にPEGエステルおよび中鎖アシルのグリセリドからなるLabrasol(登録商標)(Gattefosse、Saint−Priest、France)である。Labrasol(登録商標)は、PEG−8カプリル酸/カプリン酸グリセリドとしても知られている。別の適当な界面活性剤は、PEG−6カプリル酸/カプリン酸グリセリドである。組成物において使用するのに適している他の界面活性剤は、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリエチレングリコールジオレエートまたはグリセリンポリエチレングリコールココナッツ油などの界面活性剤である。
【0033】
上に記載されているように、組成物は、ベンゾイミダゾール化合物に加えて少なくとも1つの駆虫薬を任意選択で包含していてもよい。一実施形態において、少なくとも1つの駆虫薬は、以下の大環状ラクトン、テトラミゾール、レバミゾール、デプシペプチド(例えば、エモデプシド)、アミノアセトニトリル(例えば、モネパンテル)およびそれらの組合せから選択される。
【0034】
一実施形態において、組成物は、大環状ラクトンまたはアミノアセトニトリルを包含することができる。本発明の組成物において使用するのに適している大環状ラクトンは、ミルベマイシンD、アベルメクチン、イベルメクチン、アバメクチン、ドラメクチン、モキシデクチンおよびそれらの組合せを包含する。アミノアセトニトリルは、モネパンテルを包含する。1つの好ましい実施形態において、組成物は、モキシデクチンを包含する。
【0035】
ベンゾイミダゾール、大環状ラクトンおよび/またはアミノアセトニトリルなどの駆虫化合物の有効量は、化合物の効力、適用の方法、宿主動物、標的寄生虫、体内侵入の程度などによって変わることがある。一実施形態において、ベンゾイミダゾールは、約10%w/v〜約40%w/vの量で存在する。一般に、トリクラベンダゾールなどのベンゾイミダゾール約15〜25%w/vの量が好ましく、モキシデクチンなどの大環状ラクトン約0.01〜2.0%w/v、好ましくは、0.5%w/vの量が適当である。
【0036】
組成物は、ラクトン溶媒、エッセンシャルオイル、および界面活性剤を含む水不混和性溶媒系を包含する。ラクトン溶媒は、約10%w/v〜約40%w/vの量で組成物中に存在することができる。エッセンシャルオイルは、約5%w/v〜約50%w/vの量で存在することができる。好ましい実施形態において、エッセンシャルオイルは、約10%w/v〜約35%w/vの量で存在する。界面活性剤は、約30%w/v〜約60%w/vの量で存在する。好ましい実施形態において、界面活性剤は、約40%w/v〜約50%w/vの量で存在する。
【0037】
有利には、動物用組成物は、駆虫成分の容易な投与および有効な生物学的利用能を提供する。したがって、本発明は、恒温動物において寄生虫を治療する方法であって、ラクトン溶媒、エッセンシャルオイル、および界面活性剤を含む水不混和性溶媒系中にベンゾイミダゾール駆虫薬少なくとも10%w/vを含む組成物を前記動物に投与することを含む方法を提供する。
【0038】
一実施形態において、治療方法は、γ−ヘキサラクトン、1,8−シネオール、およびポリエチレングリコールカプリル酸/カプリン酸グリセリドを含む水不混和性溶媒系中にトリクラベンダゾール約15%w/v〜約25%w/vを含む動物用駆虫組成物を動物に投与することを包含する。
【0039】
方法の一実施形態において、ベンゾイミダゾール駆虫薬は、トリクラベンダゾールである。トリクラベンダゾールは、約10%w/v〜約40%w/vの量で投与組成物中に存在することができる。
【0040】
方法の別の実施形態において、投与組成物は、以下の大環状ラクトン、テトラミゾール、レバミゾール、デプシペプチド、アミノアセトニトリルおよびそれらの組合せから選択されるがそれらに限定されない少なくとも1つの追加の駆虫薬をさらに包含する。1つの好ましい実施形態において、追加の駆虫薬は、モキシデクチンである。モキシデクチンは、約0.01〜約2%w/vの量で存在することが好ましい。
【0041】
方法の一実施形態において、組成物は、ラクトン溶媒としてγ−ヘキサラクトンを包含する。ラクトン溶媒は、約10%w/v〜約40%w/vの量で存在することができる。
【0042】
方法のさらなる実施形態において、エッセンシャルオイル構成成分は、1,8−シネオールである。エッセンシャルオイルは、約5%w/v〜約50%w/vの量で存在することができる。
【0043】
方法のさらに別の実施形態において、界面活性剤は、モノ、ジおよびトリグリセリドとポリエチレングリコールのモノおよびジ脂肪酸エステルの混合物である。界面活性剤は、約30%w/v〜約60%w/vの量で存在することができる。
【0044】
一実施形態において、組成物は、ポアオン組成物として動物に投与することができる。典型的には、ポアオン組成物は、き甲から尾根までの動物の皮膚に投与される。
【0045】
方法で治療するのに適している恒温動物は、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、ヤギ、ラクダ、スイギュウ、ロバ、ファロージカ、トナカイなど、好ましくは、ブタ、ウシ、ウマまたはヒツジを包含する。
【0046】
実際の実施において、本発明の組成物は、宿主動物の体重1kg当たりの活性駆虫成分mgという用量で投与することができる。本発明の方法において使用するのに適している用量は、投与の様式、宿主動物の種および健康、標的寄生虫、感染または体内侵入の程度、飼育生息環境、追加の殺寄生虫化合物の効力などに応じて変わるはずである。
【0047】
本発明は、動物用組成物を調製する方法も提供する。方法は、i)ベンゾイミダゾール駆虫薬を、ii)ラクトン溶媒、エッセンシャルオイル、および界面活性剤を含む水不混和性溶媒系と混ぜ合わせることを包含する。一実施形態において、前記混ぜ合わせは、界面活性剤の溶液にベンゾイミダゾール駆虫薬を溶解してベンゾイミダゾール/界面活性剤溶液を形成させること、およびベンゾイミダゾール/界面活性剤溶液をエッセンシャルオイルおよびラクトン溶媒と混合して組成物を形成させることを含む。
【0048】
一実施形態において、方法は、組成物に少なくとも1つの追加の駆虫薬を加えることをさらに包含する。一実施形態において、少なくとも1つの追加の駆虫薬は、大環状ラクトン、アミノアセトニトリルまたはそれらの組合せである。方法の別の実施形態において、安定化剤が組成物に加えられてもよい。一実施形態において、安定化剤は、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)である。
【0049】
調製の方法において使用するのに適している大環状ラクトンは、ミルベマイシンD、アベルメクチン、イベルメクチン、アバメクチン、ドラメクチン、モキシデクチン、またはそれらの組合せ、好ましくは、モキシデクチンを包含する。
【0050】
調製の方法において使用するのに適しているアミノアセトニトリルは、モネパンテルを包含する。
【0051】
調製の方法において使用するのに適しているベンゾイミダゾールは、チアベンダゾール、カンベンダゾール、パルベンダゾール、メベンダゾール、フェンベンダゾール、オクスフェンダゾール、オキシベンダゾール、アルベンダゾール、アルベンダゾールスルホキシド、チオファネート、フェバンテル、ネトビミン、トリクラベンダゾール、またはそれらの組合せ、好ましくは、トリクラベンダゾールを包含する。
【0052】
当業者には明らかなように、本発明による組成物が、動物用医薬品において使用されることになる、または動物用医薬品において使用するために調製されることになる場合、それらは、追加の担体、安定化剤、緩衝剤、保存剤または当技術分野においてよく知られている他の賦形剤を含有することもできる。
【0053】
本発明のより明確な理解のため、下記の実施例を本明細書で以下に示す。これらの実施例は、単に例示であって、決して、本発明の範囲または根底にある原理を限定すると理解されない。実際に、本発明の様々な修正形態が、本明細書において図示および記載されているものに加えて、本明細書で以下に示される実施例および上記の説明から当業者に明らかになるであろう。そのような修正形態は、添付の特許請求の範囲内にあることも意図されている。
【実施例】
【0054】
(実施例1)
駆虫組成物を調製する方法
ポアオン動物用駆虫組成物は、下記の手順に従って調製することができる。Labrasol(界面活性剤)を混合タンクに加え、界面活性剤を約60℃まで加熱した。その後、トリクラベンダゾールを加熱した界面活性剤に加えた。加熱は、溶液が形成したら直ちに中止した。次いで、溶液を約40℃まで冷却させた後、1,8−シネオール(エッセンシャルオイル)を、混合を続けながら混合タンクに加えた。溶液が約30℃まで冷却されたら、γ−ヘキサラクトンを、混合を続けながら加えた。次いで、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)などの安定剤を混合容器に加え、溶解するまで混合した。その後、モキシデクチンを加え、溶解するまで混合した。得られた溶液を、2μmフィルターカートリッジ(Pall Corporation、East Hills、NY)に通して濾過し、ポアオン動物塗布に適している瓶に詰めた。
【0055】
上記は、方法の1つの好ましい実施形態について記載しているが、構成成分を異なる順序で加えることができることは十分に本発明の企図の範囲内にある。例えば、別の実施形態において、ラクトン溶媒を混合タンクにまず加え、続いて、混合を続けながらエッセンシャルオイルを加える。その後、ベンゾイミダゾール駆虫薬と、続いて、界面活性剤を加える。熱を加えて、方法中の1つまたは複数のステップにおいて溶液の形成を容易にすることができる。その後、溶液を約25〜30℃まで冷却させ、次いで、安定剤を加え、溶解するまで混合する。次いで、モキシデクチン、または他の適当な駆虫剤を加え、溶解するまで混合する。得られる組成物を濾過し、上に記載されているのと同様に詰める。
【0056】
(実施例2)
ポアオン動物用組成物
下記の表1は、本発明を代表する駆虫組成物の様々な実施形態を例示している。これらの組成物は、ウシ、シカおよび/またはヒツジなどの恒温動物においてポアオンとして投与するのに適している。
【0057】
【表1】
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【0058】
(実施例3)
吸虫試験
肝吸虫に感染したウシを使った試験を実施し、i)0.42%w/vまたは0.5%w/vのモキシデクチンおよびii)15、20または25%のいずれかのトリクラベンダゾールを含有する本発明の追加実施形態の有効性を2つの他の治療法および対照と比較した。下の表2は、本吸虫試験のために用いられた組成物の実施形態を提供する。
【0059】
【表2】
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【0060】
動物は、8頭の動物の12治療群に分けた。群1〜3の動物は、組成物Eを投与した。群4〜6の動物は、組成物Fを投与した。群7および8の動物は、組成物Gを投与した。群9および10の動物は、0.5%w/vアバメクチンおよび30%w/vトリクラベンダゾールを含有する市販殺吸虫薬を投与した。群11の動物は、0.5%w/vアバメクチンを含有する市販組成物を投与し、線虫有効性のみを評価した。群12の動物は、治療を受けなかった。すべての動物に、0日目に肝蛭(Fasciola hepatica)を実験的に感染させた。治療は、28日目(幼虫早期)、42日目(幼虫)および84日目(成虫)に行った。ウシを、試験の96日目〜100日目の間に屠殺し、吸虫カウントを行った。治療組成物は、き甲から尾根まで動物の背部にポアオンとして投与した。
【0061】
吸虫試験中、血漿中に存在するトリクラベンダゾールスルホキシド(トリクラベンダゾールの活性代謝産物)の量を、知られている方法に従って逆相高速液体クロマトグラフィー分析を使用して治療後14日にわたって測定した。動物の血漿におけるトリクラベンダゾールスルホキシドの存在は、親薬物が動物の皮膚を通して吸収され、肝臓により代謝されることを示した。肝吸虫感染を効果的に治療するため、トリクラベンダゾール駆虫薬は、寄生虫細胞内のそれらの特異的受容体に到達して作用を発揮する必要がある。総虫カウントは、当技術分野においてよく知られている手順を使用して行った。
【0062】
駆虫組成物の有効性を評価するために使用されるガイドラインは、下記の参考文献:World Association for the Advancement of Veterinary Prasitology(WAAVP)反芻動物(ウシ、ヒツジ、ヤギ)において駆虫薬の有効性を評価するためのガイドラインの第2版。I.B Woodら、Veterinary Parasitology、58 181〜213(1995)、およびGood Clinical Practices.VICH GL9.International Cooperation on Harmonization of Technical Requirements for Registration of Veterinary Medicinal Productsに記載されている。
【0063】
トリクラベンダゾールスルホキシドは、組成物E、F、Gを投与した治療群、ならびに市販殺吸虫薬を投与した治療群の血漿において決定した。驚いたことに、より高レベルのスルホキシド代謝産物が、30mg/kgトリクラベンダゾールの用量の市販殺吸虫薬と比較して、20mg/kgトリクラベンダゾールの用量の組成物Fで治療された動物の血漿中に見いだされた。幼虫早期の吸虫について28日目(図1)または幼吸虫について42日目(図2)に治療を行ったトリクラベンダゾールスルホキシドについての薬物動態プロファイルを示す図1および2を参照されたい。いずれの理論にも束縛されるわけではないが、本組成物において使用された溶媒系は、動物の皮膚への透過を高め、活性物を肝臓によってより吸収および代謝されやすくする可能性が極めて高い。
【0064】
試験の吸虫有効性結果は、表IIIに示されており、群有効性は、治療を受けていない動物群に対して算出されている。表IIIにおいて、「moxi」、「tricla」および「Tx」は、それぞれ「モキシデクチン」、「トリクラベンダゾール」および「治療」の略語である。28日の治療日は、4週齢の幼虫早期の吸虫についての治療に対応する。42日の治療日は、6週齢の幼吸虫についての治療に対応する。さらに、84日の治療日は、12週齢の成虫吸虫についての治療に対応する。
【0065】
【表3】
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【0066】
表IIIに示されている結果は、組成物E、FおよびGが、吸虫の幼虫早期、幼虫および成虫段階に対して有効であることを示しており、組成物FおよびGは、最大の有効性を示している。
【0067】
さらに、結果は、20mg/kgトリクラベンダゾールの用量で投与された組成物F(群4〜6)が、30mg/kgトリクラベンダゾールの用量で投与された市販殺吸虫薬(群9〜10)のように幼虫早期の吸虫と幼吸虫の両方に対して有効であることを示している。
【0068】
(実施例4)
他のウシ試験から得られた結果の要約
下の表IVaは、ウシにおける比較血漿レベル試験において使用された組成物を示している。
【0069】
【表4】
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【0070】
添付の図3は、治療後14日にわたる試験の動物血漿中に存在するトリクラベンダゾールスルホキシドの量のグラフである。以前に記載されているように、動物の血漿におけるトリクラベンダゾールスルホキシドの存在は、トリクラベンダゾールが動物の皮膚を通して吸収され、肝臓により代謝されることを示している。添付の図3は、表IVaに概要が示されている異なる製剤の間に見られる差を要約している。30mg/kgトリクラベンダゾールにて投薬された市販品と比較して、すべて20mg/kgトリクラベンダゾール(TBZ)で投薬された製剤AA、BBおよびCCによる血漿レベルが同等またはそれ以上であることに留意されたい。このことは、本発明における組成物が、皮膚をより良く透過することができたことを示している。
【0071】
本発明の優れた経皮吸収の別の例は、別の比較吸虫試験において使用された組成物を示す下の表IVbに概要が示されている。
【0072】
【表5】
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【0073】
添付の図4は、治療後14日にわたる試験のウシ血漿中に存在するトリクラベンダゾールスルホキシドの量のグラフである。以前に記載されているように、動物の血漿におけるトリクラベンダゾールスルホキシドの存在は、トリクラベンダゾールが動物の皮膚を通して吸収され、肝臓により代謝されることを示している。添付の図4は、表IVbに概要が示されている異なる製剤の間に見られる差を要約している。製剤DDおよびEEは、市販品についての推奨投与量である30mg/kgにて投薬され、一方、製剤EEおよびFFは、20mg/kgの率にて投薬された。製剤FFおよびGGは、わずか3分の2の投与量で市販品の血漿薬物動態プロファイルを超える。このことは、本発明における組成物が、皮膚を通じてより良く透過することができたことを示している。
【0074】
(実施例5)
安定性試験
安定性試験を実施し、本発明による組成物が安定であることを確認した。実施例3の組成物Fを、実施例1に記載されている方法に従って調製し、合計6カ月間にわたって周囲(25℃)または40℃のいずれかにて保存した。下の表Vに示されている各保存期間の終了時に、サンプルを、総モキシデクチンおよびトリクラベンダゾールレベルについて調べた。
【0075】
【表6】
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【0076】
表Vに示されている結果は、トリクラベンダゾールが保存の間、溶液中にとどまっていたことを明確に証明している。さらに、トリクラベンダゾールとモキシデクチンは共に、6カ月の全保存期間にわたって安定かつ活性なままであった。
【0077】
(実施例6)
物理的特性
組成物Fの物理的特性を測定した。結果は、下の表VIに示されている。
【0078】
【表7】
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【0079】
表VIにおける結果は、本発明による組成物の物理的特性が、ポアオン組成物として使用するのに理想的な特性を提供することを示している。特に、組成物Fは、ポアオン投与に役立つ低い凝固点(−20℃)を有する。さらに、組成物Fの低い表面張力は、組成物が動物の体に容易に広がることを可能にする。組成物Fは、極めて撥水性であり、雨または他の水暴露で洗い落とされる可能性のある量を低くし、これも、ポアオン組成物にとって望ましい特性である。
【0080】
(実施例7)
駆虫組成物のさらなる実施形態
下の表VIIは、本発明を代表する駆虫組成物のさらなる実施形態を例示している。これらの実施形態は、組成物がモキシデクチンなしに調製されるか(組成物I)、モキシデクチン以外の駆虫剤、例えば、アバメクチンが添加される(組成物J)ことを除いて、実施例1に記載されている方法に従って調製される。
【0081】
【表8】
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【0082】
(実施例8)
駆虫組成物のさらに別の実施形態
本発明を代表する駆虫組成物のさらに別の実施形態は、γ−ヘキサラクトン以外のラクトンが用いられることを除き、実施例1に記載されている方法に従って調製される。特に、組成物は、下記のラクトン溶媒:ブチロラクトン、δ−ヘキサラクトン、γ−ドデカラクトン、δ−ノナラクトン、δ−デカラクトン、γ−デカラクトンおよびδ−ドデカラクトンのうちの1つで調製される。トリクラベンダゾール、モキシデクチン、安定化剤(例えば、BHT)、エッセンシャルオイル(例えば、1,8−シネオール)、界面活性剤(例えば、Labrasol)およびラクトン溶媒の適当な量は、上に記載されているのと同じである。トリクラベンダゾールは、これらのラクトン溶媒(下の表VIIIを参照)および類似のラクトンならびにそれらの組合せにおいて驚くほど良好な溶解力を有することが判明した。
【0083】
【表9】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−505218(P2012−505218A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531083(P2011−531083)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【国際出願番号】PCT/US2009/059320
【国際公開番号】WO2010/042395
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(309040701)ワイス・エルエルシー (181)
【Fターム(参考)】