説明

ベンゾオキサジン誘導体の製造法およびその製造中間体

【課題】抗菌薬の工業的に有利な製造法を提供する。
【解決手段】下記中間体を経由するレボフロキサシンの新規製造法。中間体


レボフロキサシン

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌性化合物の製造に有用な中間体およびその製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
(3S)−(−)9−フルオロ−3−メチル−10−(4−メチル−1−ピペラジニル)−7−オキソ−2,3−ジヒドロ−7H−ピリド[1,2,3−de][1,4]ベンゾオキサジン−6−カルボン酸(レボフロキサシン、LVFX;特許文献1)
【0003】
【化1】

【0004】
は優れた合成抗菌剤として知られている。このレボフロキサシンの製造中間体として、式(VI−a)
【0005】
【化2】

【0006】
(式中、XおよびXは、各々独立してハロゲン原子を表し、RおよびRは、各々独立してアルキル基を表す。)
で表される化合物(以下、化合物(VI−a)と表し、他の式で表される化合物も同様に表す。)は有用である。
また、ラセミ体の9−フルオロ−3−メチル−10−(4−メチル−1−ピペラジニル)−7−オキソ−2,3−ジヒドロ−7H−ピリド[1,2,3−de][1,4]ベンゾオキサジン−6−カルボン酸(オフロキサシン、OFLX)
【0007】
【化3】

【0008】
の中間体として、式(VI)
【0009】
【化4】

【0010】
(式中、XおよびXは、各々独立してハロゲン原子を表し、RおよびRは、各々独立してアルキル基を表す。)
で表される化合物は有用である。
この化合物(VI−a)の、従来の製造法を次に示す。
【0011】
【化5】

【0012】
図に示した製造法において、特許文献2記載の方法は塩基性または酸性条件下でエピメリゼーションが起こり、光学活性な(R)−HPNBの収率が低下するという欠点があった。
また、特許文献3記載の方法は微生物による還元法であるが、原料と生成物の物性の隔たりが小さく、生成物の精製が煩雑であった。
さらに、特許文献4記載の方法は、還元剤として使用する不斉水素化アシルオキシホウ素アルカリ金属が高価で、工業的製造法としては改良の余地があった。
あるいは、特許文献5記載の光学分割法は、理論上50%生じる不要な異性体の再利用法について検討しなければならなかった。
また、特許文献6記載の製造法は、ラセミ体の反応について示されたものであり、レボフロキサシンの製造については得られた生成物を光学分割しなければならず、不要な異性体のラセミ化または反転が必要であった。なお、この明細書には光学活性体の実験例は示されていなかった。
そして、中国の文献(非特許文献1)記載の方法では保護基のp−トルエンスルホニルオキシ基の脱保護のために工程数が増加してしまうという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開昭62−252790号公報公報
【特許文献2】特許第2612327号公報
【特許文献3】特許第2771871号公報
【特許文献4】特許第2573269号公報
【特許文献5】特公平7−20946号公報
【特許文献6】米国特許第5644056号明細書
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Chinese Chemical Letters Vol.6,No.10,857−860(1995)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本願発明は、レボフロキサシンの製造のための重要な中間体である化合物(VI−a)を従来の方法に比較して、安価にまた短工程で合成でき、工業的製造法として優れた方法である。本発明者らは鋭意検討した結果、次の合成経路によってレボフロキサシンの中間体を製造することで目的が達成できることを見出して本願発明を完成した。本願発明による、化合物(I)から化合物(VI)への製造の工程図を下記に示す。
【0016】
【化6】

【0017】
すなわち本発明は、レボフロキサシンを工業的有利に製造するために該化合物の中間体である式(VI−a)
【0018】
【化7】

【0019】
の化合物を工業的有利に製造する方法を提供するものであるが、本発明は以下の各方法に関するものである。
Process A:
式(I)
【0020】
【化8】

【0021】
で表される化合物と式(II−1−a)
【0022】
【化9】

【0023】
で表される化合物とを、塩基存在下に反応させて式(III−1−a)
【0024】
【化10】

【0025】
で表される化合物を得、この化合物を還元して式(IV−a)
【0026】
【化11】

【0027】
で表される化合物とし、この化合物と式
【0028】
【化12】

【0029】
で表される化合物とを反応させて式(V−a)
【0030】
【化13】

【0031】
で表される化合物を得、この化合物を塩基存在下に処理する方法;
Process B:
式(I)
【0032】
【化14】

【0033】
で表される化合物と式(II−2−a)
【0034】
【化15】

【0035】
で表される化合物とを、塩基存在下に反応させて式(III−2−a)
【0036】
【化16】

【0037】
で表される化合物を得、この化合物の水酸基の保護基を除去して式(IV−a)
【0038】
【化17】

【0039】
で表される化合物とし、この化合物と式
【0040】
【化18】

【0041】
で表される化合物とを反応させて式(V−a)
【0042】
【化19】

【0043】
で表される化合物を得、この化合物を塩基存在下に処理する方法;
Process C:
式(I)
【0044】
【化20】

【0045】
で表される化合物と式(II−1−a)
【0046】
【化21】

【0047】
で表される化合物とを、塩基存在下に反応させて式(III−1−a)
【0048】
【化22】

【0049】
で表される化合物を得、この化合物を還元して式(IV−a)
【0050】
【化23】

【0051】
で表される化合物とし、この化合物を塩基存在下に処理して式(VII−a)
【0052】
【化24】

【0053】
で表される化合物を得、この化合物に式
【0054】
【化25】

【0055】
で表される化合物を反応させる方法;
Process D:
式(I)
【0056】
【化26】

【0057】
で表される化合物と式(II−2−a)
【0058】
【化27】

【0059】
で表される化合物を、塩基存在下に反応させて式(III−2−a)
【0060】
【化28】

【0061】
で表される化合物を得、この化合物の水酸基の保護基を除去して式(IV−a)
【0062】
【化29】

【0063】
で表される化合物とし、この化合物を塩基存在下に処理して式(VII−a)
【0064】
【化30】

【0065】
で表される化合物を得、この化合物に式
【0066】
【化31】

【0067】
で表される化合物を反応させる方法;
Process E:
式(I)
【0068】
【化32】

【0069】
で表される化合物と式(II−1)
【0070】
【化33】

【0071】
で表される化合物とを、塩基存在下に反応させて式(III−1)
【0072】
【化34】

【0073】
で表される化合物を得、この化合物を下記のMethod 1または2の方法;
Method 1:
式(III−1)で表される化合物において、Rが水素原子でない化合物であるときは、該化合物をエステル不斉加水分解能を有する酵素、微生物の培養液、該微生物菌体、または該微生物菌体処理物で処理し、この処理の後に処理液から単離採取する方法。
Method 2:
式(III−1)で表される化合物において、Rが水素原子である化合物であるときは、該化合物を光学活性有機塩基と反応させて光学分割する方法。
によって、式
【0074】
【化35】

【0075】
で表されるカルボン酸化合物を得、この化合物を式 R−OHで表されるアルコールの存在下でエステル化して式
【0076】
【化36】

【0077】
で表されるエステル化合物とし、この化合物を還元して式(IV−a)
【0078】
【化37】

【0079】
で表される化合物とし、この化合物と式
【0080】
【化38】

【0081】
で表される化合物とを反応させて式(V−a)
【化39】

【0082】
で表される化合物を得、この化合物を塩基存在下に処理する方法;
Process F:
式(I)
【0083】
【化40】

【0084】
で表される化合物と式(II−1)
【0085】
【化41】

【0086】
で表される化合物とを、塩基存在下に反応させて式(III−1)
【0087】
【化42】

【0088】
で表される化合物を得、この化合物を下記のMethod 1または2の方法;
Method 1:
式(III−1)で表される化合物において、Rが水素原子でない化合物であるときは、該化合物をエステル不斉加水分解能を有する酵素、微生物の培養液、該微生物菌体、または該微生物菌体処理物で処理し、この処理の後に処理液から単離採取する方法。
Method 2:
式(III−1)で表される化合物において、Rが水素原子である化合物であるときは、該化合物を光学活性有機塩基と反応させて光学分割する方法。
によって、式
【0089】
【化43】


で表されるカルボン酸化合物を得、この化合物を式 R−OHで表されるアルコールの存在下でエステル化して式
【0090】
【化44】

【0091】
で表されるエステル化合物とし、この化合物を還元して式(IV−a)
【0092】
【化45】

【0093】
で表される化合物とし、この化合物を塩基存在下に処理して式(VII−a)
【0094】
【化46】

【0095】
で表される化合物を得、この化合物に式
【0096】
【化47】

【0097】
で表される化合物を反応させる方法;
Process G:

【0098】
【化48】


または、式
【0099】
【化49】

【0100】
で表される化合物に、式 CHCOCOORで表される化合物を、金属触媒の存在下に水素ガス雰囲気下で、所望により脱水剤または酸の存在下において反応させて式(III−1)
【0101】
【化50】

【0102】
で表される化合物を得、この化合物を下記のMethod 1または2の方法;
Method 1:
式(III−1)で表される化合物において、Rが水素原子でない化合物であるときは、該化合物をエステル不斉加水分解能を有する酵素、微生物の培養液、該微生物菌体、または該微生物菌体処理物で処理し、この処理の後に処理液から単離採取する方法。
Method 2:
式(III−1)で表される化合物において、Rが水素原子である化合物であるときは、該化合物を光学活性有機塩基と反応させて光学分割する方法。
によって、式
【0103】
【化51】

【0104】
で表されるカルボン酸化合物を得、この化合物を式 R−OHで表されるアルコールの存在下でエステル化して式
【0105】
【化52】

【0106】
で表されるエステル化合物とし、この化合物を還元して式(IV−a)
【0107】
【化53】

【0108】
で表される化合物とし、この化合物と式
【化54】

【0109】
で表される化合物とを反応させて式(V−a)
【0110】
【化55】

【0111】
で表される化合物を得、この化合物を塩基存在下に処理する方法;
Process H:

【0112】
【化56】


または、式
【0113】
【化57】

【0114】
で表される化合物に、式 CHCOCOORで表される化合物を、金属触媒の存在下に水素ガス雰囲気下で、所望により脱水剤または酸の存在下において反応させて式(III−1)
【0115】
【化58】

【0116】
で表される化合物を得、この化合物を下記のMethod 1または2の方法;
Method 1:
式(III−1)で表される化合物において、Rが水素原子でない化合物であるときは、該化合物をエステル不斉加水分解能を有する酵素、微生物の培養液、該微生物菌体、または該微生物菌体処理物で処理し、この処理の後に処理液から単離採取する方法。
Method 2:
式(III−1)で表される化合物において、Rが水素原子である化合物であるときは、該化合物を光学活性有機塩基と反応させて光学分割する方法。
によって、式
【0117】
【化59】

【0118】
で表されるカルボン酸化合物を得、この化合物を式 R−OHで表されるアルコールの存在下でエステル化して式
【化60】

【0119】
で表されるエステル化合物とし、この化合物を還元して式(IV−a)
【0120】
【化61】

【0121】
で表される化合物とし、この化合物を塩基存在下に処理して式(VII−a)
【0122】
【化62】

【0123】
で表される化合物を得、この化合物に式
【0124】
【化63】

【0125】
で表される化合物を反応させる方法;
Process I:

【0126】
【化64】

【0127】
で表される化合物に、式 CHCOCOORで表される化合物を反応させて、式
【0128】
【化65】

【0129】
で表される化合物を得、この化合物を不斉還元して式(III−1−a)
【0130】
【化66】

【0131】
で表される化合物を得、この化合物を還元して式(IV−a)
【0132】
【化67】

【0133】
で表される化合物とし、この化合物と式
【0134】
【化68】

【0135】
で表される化合物とを反応させて式(V−a)
【0136】
【化69】

【0137】
で表される化合物を得、この化合物を塩基存在下に処理する方法;
Process J:

【0138】
【化70】

【0139】
で表される化合物に、式 CHCOCOORで表される化合物を反応させて、式
【0140】
【化71】

【0141】
で表される化合物を得、この化合物を不斉還元して式(III−1−a)
【0142】
【化72】

【0143】
で表される化合物を得、この化合物を還元して式(IV−a)
【0144】
【化73】

【0145】
で表される化合物とし、この化合物を塩基存在下に処理して式(VII−a)
【0146】
【化74】

【0147】
で表される化合物を得、この化合物に式
【0148】
【化75】

【0149】
で表される化合物を反応させる方法;
[上記の各式中、X、XおよびXは、各々独立してハロゲン原子を表し、Rは、脱離基を表し、Rは、水素原子またはカルボキシル基の保護基を表し、Rは、水酸基の保護基を表し、RおよびRは、各々独立して炭素数1から6のアルキル基を表し、Rは、カルボキシル基の保護基を表し、Yは、炭素数1から6のアルコキシ基、ハロゲン原子、またはジアルキルアミノ基(このアルキル基は炭素数1から6のアルキル基でよく、両者は同一でも異なっていてもよい。)を表す。また、以下で使用する置換基の定義も同じ内容の定義である。]
【0150】
さらに本発明は、上記の各Processを構成する以下の各方法に関するものである。
1)式
【0151】
【化76】

【0152】
で表される化合物の製造法であって、次に示すProcess Cの方法によって式(VI−a)
【0153】
【化77】

【0154】
で表される化合物を得、この化合物を、三フッ化ホウ素化合物と処理して式
【0155】
【化78】

【0156】
で表されるホウ素キレート化合物に変換し、この化合物に4−メチルピペラジンを反応させて式
【0157】
【化79】

【0158】
で表される化合物とし、この化合物のホウ素キレートを切断除去する各プロセスからなることを特徴とする方法
Process C:
式(I)
【0159】
【化80】

【0160】
で表される化合物と式(II−1−a)
【0161】
【化81】

【0162】
で表される化合物とを、塩基存在下に反応させて式(III−1−a)
【0163】
【化82】

【0164】
で表される化合物を得、この化合物を還元して式(IV−a)
【0165】
【化83】

【0166】
で表される化合物とし、この化合物を塩基存在下に処理して式(VII−a)
【0167】
【化84】

【0168】
で表される化合物を得、この化合物に式
【0169】
【化85】

【0170】
で表される化合物を反応させる方法;
[上記の各式中、X1、X2およびX3は、各々独立してハロゲン原子を表し、Rは、脱離基を表し、R3は、水素原子またはカルボキシル基の保護基を表し、R5およびR6は、各々独立して炭素数1から6のアルキル基を表し、Yは、炭素数1から6のアルコキシ基、ハロゲン原子、またはジアルキルアミノ基(このアルキル基は炭素数1から6のアルキル基でよく、両者は同一でも異なっていてもよい。)を表す。]
2)式
【0171】
【化86】

【0172】
で表される化合物の製造法であって、次に示すProcess Dの方法によって式(VI−a)
【0173】
【化87】

【0174】
で表される化合物を得、この化合物を、三フッ化ホウ素化合物と処理して式
【0175】
【化88】

【0176】
で表されるホウ素キレート化合物に変換し、この化合物に4−メチルピペラジンを反応させて式
【0177】
【化89】

【0178】
で表される化合物とし、この化合物のホウ素キレートを切断除去する各プロセスからなることを特徴とする方法
Process D:
式(I)
【0179】
【化90】

【0180】
で表される化合物と式(II−2−a)
【0181】
【化91】

【0182】
で表される化合物を、塩基存在下に反応させて式(III−2−a)
【化92】

【0183】
で表される化合物を得、この化合物の水酸基の保護基を除去して式(IV−a)
【0184】
【化93】

【0185】
で表される化合物とし、この化合物を塩基存在下に処理して式(VII−a)
【0186】
【化94】

【0187】
で表される化合物を得、この化合物に式
【0188】
【化95】

【0189】
で表される化合物を反応させる方法;
[上記の各式中、X、XおよびXは、各々独立してハロゲン原子を表し、Rは、脱離基を表し、Rは、水酸基の保護基を表し、RおよびRは、各々独立して炭素数1から6のアルキル基を表し、Yは、炭素数1から6のアルコキシ基、ハロゲン原子、またはジアルキルアミノ基(このアルキル基は炭素数1から6のアルキル基でよく、両者は同一でも異なっていてもよい。)を表す。]
3)式
【0190】
【化96】

【0191】
で表される化合物の製造法であって、次に示すProcess F1の方法によって式(VI−a)
【0192】
【化97】

【0193】
で表される化合物を得、この化合物を、三フッ化ホウ素化合物と処理して式
【0194】
【化98】

【0195】
で表されるホウ素キレート化合物に変換し、この化合物に4−メチルピペラジンを反応させて式
【0196】
【化99】

【0197】
で表される化合物とし、この化合物のホウ素キレートを切断除去する各プロセスからなることを特徴とする方法
Process F1:
式(I)
【0198】
【化100】

【0199】
で表される化合物と式(II−1)
【0200】
【化101】

【0201】
で表される化合物とを、塩基存在下に反応させて式(III−1)
【0202】
【化102】

【0203】
で表される化合物を得、この化合物を下記のMethod 1または2の方法;
Method 1
式(III−1)で表される化合物において、R3が水素原子でない化合物であるときは、該化合物をエステル不斉加水分解能を有する酵素、微生物の培養液、該微生物菌体、または該微生物菌体処理物で処理し、この処理の後に処理液から単離採取する方法。
Method 2
式(III−1)で表される化合物において、R3が水素原子である化合物であるときは、該化合物を光学活性有機塩基と反応させて光学分割する方法。
によって、式
【0204】
【化103】

【0205】
で表されるカルボン酸化合物を得、この化合物を式
−OH
で表されるアルコールの存在下でエステル化して式
【0206】
【化104】

【0207】
で表されるエステル化合物とし、この化合物を還元して式(IV−a)
【0208】
【化105】

【0209】
で表される化合物とし、この化合物を塩基存在下に処理して式(VII−a)
【0210】
【化106】

【0211】
で表される化合物を得、この化合物に式
【0212】
【化107】

【0213】
で表される化合物を反応させる方法。
[上記の各式中、X1、X2およびX3は、各々独立してハロゲン原子を表し、Rは、脱離基を表し、R3は、水素原子またはカルボキシル基の保護基を表し、R5およびR6は、各々独立して炭素数1から6のアルキル基を表し、Rは、カルボキシル基の保護基を表し、Yは、炭素数1から6のアルコキシ基、ハロゲン原子、またはジアルキルアミノ基(このアルキル基は炭素数1から6のアルキル基でよく、両者は同一でも異なっていてもよい。)を表す。]
4)式
【0214】
【化108】

【0215】
で表される化合物の製造法であって、次に示すProcess F2の方法によって式(VI−a)
【0216】
【化109】

【0217】
で表される化合物を得、この化合物を、三フッ化ホウ素化合物と処理して式
【0218】
【化110】

【0219】
で表されるホウ素キレート化合物に変換し、この化合物に4−メチルピペラジンを反応させて式
【0220】
【化111】

【0221】
で表される化合物とし、この化合物のホウ素キレートを切断除去する各プロセスからなることを特徴とする方法
Process F2:
式(I)
【0222】
【化112】

【0223】
で表される化合物と式(II−1)
【0224】
【化113】

で表される化合物とを、塩基存在下に反応させて式(III−1)
【0225】
【化114】

【0226】
で表される化合物を得、この化合物のうちのエステル化合物をエステル不斉加水分解能を有する酵素、微生物の培養液、該微生物菌体、または該微生物菌体処理物で処理し、この処理液から単離採取することによって、式
【0227】
【化115】

【0228】
で表されるエステル化合物を得、この化合物を還元して式(IV−a)
【0229】
【化116】

【0230】
で表される化合物とし、この化合物を塩基存在下に処理して式(VII−a)
【0231】
【化117】

【0232】
で表される化合物を得、この化合物に式
【0233】
【化118】

【0234】
で表される化合物を反応させる方法;
[上記の各式中、X1、X2およびX3は、各々独立してハロゲン原子を表し、Rは、脱離基を表し、R3は、水素原子またはカルボキシル基の保護基を表し、R5およびR6は、各々独立して炭素数1から6のアルキル基を表し、Yは、炭素数1から6のアルコキシ基、ハロゲン原子、またはジアルキルアミノ基(このアルキル基は炭素数1から6のアルキル基でよく、両者は同一でも異なっていてもよい。)を表す。]
5)式
【0235】
【化119】

【0236】
で表される化合物の製造法であって、次に示すProcess Jの方法によって式(VI−a)
【0237】
【化120】

【0238】
で表される化合物を得、この化合物を、三フッ化ホウ素化合物と処理して式
【0239】
【化121】

【0240】
で表されるホウ素キレート化合物に変換し、この化合物に4−メチルピペラジンを反応させて式
【0241】
【化122】

【0242】
で表される化合物とし、この化合物のホウ素キレートを切断除去する各プロセスからなることを特徴とする方法。
Process J:

【0243】
【化123】

【0244】
で表される化合物に、式
CHCOCOOR
で表される化合物を反応させて、式
【0245】
【化124】

【0246】
で表される化合物を得、この化合物を不斉還元して式(III−1−a)
【0247】
【化125】

【0248】
で表される化合物を得、この化合物を還元して式(IV−a)
【0249】
【化126】

【0250】
で表される化合物とし、この化合物を塩基存在下に処理して式(VII−a)
【0251】
【化127】

【0252】
で表される化合物を得、この化合物に式
【0253】
【化128】

【0254】
で表される化合物を反応させる方法。
[上記の各式中、X1、X2およびX3は、各々独立してハロゲン原子を表し、R3は、水素原子またはカルボキシル基の保護基を表し、R5およびR6は、各々独立して炭素数1から6のアルキル基を表し、Rは、カルボキシル基の保護基を表し、Yは、炭素数1から6のアルコキシ基、ハロゲン原子、またはジアルキルアミノ基(このアルキル基は炭素数1から6のアルキル基でよく、両者は同一でも異なっていてもよい。)を表す。]
6)Method 1が、式(III−1)
【0255】
【化129】

【0256】
で表される化合物のうちのエステル化合物を、エステル不斉加水分解能を有する酵素、微生物の培養液、該微生物菌体、または該微生物菌体処理物の存在下に処理し、この処理液から、式
【0257】
【化130】

【0258】
で表される化合物を分離除去することを特徴とする、式
【0259】
【化131】

【0260】
で表されるカルボン酸化合物の製造法である3)に記載の製造法。
(上記の各式中、X1、X2およびX3は、各々独立してハロゲン原子を表し、R3は、水素原子またはカルボキシル基の保護基を表す。)
7)式(III−1−a)
【0261】
【化132】

【0262】
で表される化合物のうちのエステル化合物の製造法が、式(III−1)
【0263】
【化133】

【0264】
で表される化合物のうちのエステル化合物を、エステル不斉加水分解能を有する酵素、微生物の培養液、該微生物菌体、または該微生物菌体処理物の存在下に処理し、この処理液から、式
【0265】
【化134】

【0266】
で表されるカルボン酸化合物を分離除去することを特徴とする方法である4)に記載の製造法。
(上記の各式中、X1、X2およびX3は、各々独立してハロゲン原子を表し、R3は、水素原子またはカルボキシル基の保護基を表す。)
8)Method 2が、式
【0267】
【化135】

【0268】
(式中、X1、X2およびX3は、各々独立してハロゲン原子を意味する。)
で表される2−(2,3,4―トリハロゲノアニリノ)−プロピオン酸を光学活性有機塩基と処理し、2−(2,3,4―トリハロゲノアニリノ)−プロピオン酸の一方の光学異性体と光学活性有機塩基とのジアステレオマー塩を得、次いで該ジアステレオマー塩を酸処理する3)に記載の製造法。
9)光学活性有機塩基が式
【0269】
【化136】

【0270】
(式中、Arylは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、カルバモイル基、炭素数1から6のアルキル基、または炭素数1から6のアルコキシ基を有することもあるアリール基を意味し、
、RおよびR10は、各々独立して、
(1)ハロゲン原子、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のハロゲノアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、ニトロ基、カルバモイル基、もしくはシアノ基を有していてもよいフェニル基、
(2)ハロゲン原子、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のハロゲノアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、ニトロ基、カルバモイル基、もしくはシアノ基を有していてもよいベンジル基、
(3)炭素数1から6のアルキル基、または
(4)水素原子を意味する。)
で表される化合物から選択される8)に記載の製造法。
10)光学活性有機塩基が、1−フェニルエチルアミン、(R)−(+)−1−フェニルエチルアミン、1−(p−トリル)エチルアミン、1−(p−トリル)エチルアミン、(R)−(+)−1−(p−トリル)エチルアミン、1−フェニル−2−(p−トリル)エチルアミン、及び(S)−(+)−1−フェニル−2−(p−トリル)エチルアミンからなる群から選択される8)に記載の製造法。
11)式(III−1−a)
【0271】
【化137】

【0272】
または式
【0273】
【化138】

【0274】
で表される化合物の還元が、非プロトン性溶媒中、アルコールの存在下に、水素化ホウ素金属化合物を反応させる条件である1)および3)から10)のいずれか一項に記載の製造法。
(式中、X1、X2およびX3は、各々独立してハロゲン原子を表し、R3は、水素原子またはカルボキシル基の保護基を表し、Rは、カルボキシル基の保護基を表す。)
12)X1およびX2がいずれもフッ素原子である1)から11)のいずれか一項に記載の製造法。
13)三フッ化ホウ素化合物が、三フッ化ホウ素とエーテル化合物からなる三フッ化ホウ素化合物である1)から12)のいずれか一項に記載の製造法。
14)三フッ化ホウ素化合物が、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体または三フッ化ホウ素テトラヒドロフラン錯体である13)に記載の製造法。
15)4−メチルピペラジンの反応が、トリアルキルアミン存在下の反応である1)から14)のいずれか一項に記載の製造法。
16)トリアルキルアミンがトリエチルアミンまたはトリブチルアミンである15)に記載の製造法。
17)式(III−1)
【0275】
【化139】

【0276】
で表される化合物。
(式中、X1、X2およびX3は、各々独立してハロゲン原子を意味し、Rは水素原子またはカルボキシル基の保護基を意味する。)
18)式(III−1−a)
【0277】
【化140】

【0278】
で表される化合物。
(式中、X1、X2およびX3は、各々独立してハロゲン原子を意味し、Rは水素原子またはカルボキシル基の保護基を意味する。)
19)式
【0279】
【化141】

【0280】
で表されるカルボン酸化合物と光学活性有機塩基との塩。
(式中、X1、X2およびX3は、各々独立してハロゲン原子を意味する。)
20)式
【0281】
【化142】

【0282】
で表される化合物と光学活性有機塩基との塩。
(式中、X1、X2およびX3は、各々独立してハロゲン原子を意味する。)
21)光学活性有機塩基が式
【0283】
【化143】

【0284】
(式中、Arylは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、カルバモイル基、炭素数1から6のアルキル基、または炭素数1から6のアルコキシ基を有することもあるアリール基を意味し、
、RおよびR10は、各々独立して、
(1)ハロゲン原子、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のハロゲノアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、ニトロ基、カルバモイル基、もしくはシアノ基を有していてもよいフェニル基、
(2)ハロゲン原子、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のハロゲノアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、ニトロ基、カルバモイル基、もしくはシアノ基を有していてもよいベンジル基、
(3)炭素数1から6のアルキル基、または
(4)水素原子を意味する。)
で表される化合物から選択される19)または20)に記載の塩。
22)光学活性有機塩基が、1−フェニルエチルアミン、(R)−(+)−1−フェニルエチルアミン、1−(p−トリル)エチルアミン、1−(p−トリル)エチルアミン、(R)−(+)−1−(p−トリル)エチルアミン、1−フェニル−2−(p−トリル)エチルアミン、及び(S)−(+)−1−フェニル−2−(p−トリル)エチルアミン、(S)−(+)−1−(p−トリル)エチルアミン、及び(R)−(+)−1−フェニル−2−(p−トリル)エチルアミンからなる群から選択される19)または20)に記載の塩。
【発明を実施するための形態】
【0285】
以下に本発明について詳細に説明するが、まず本願明細書において記載される置換基について述べる。
、XおよびXは、各々独立してハロゲン原子を表すが、フッ素原子が好ましい。
は、脱離基を表す。脱離基としては、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキルスルホニルオキシ基、または置換基を有していてもよいアリールスルホニルオキシ基等を挙げることができる。
置換基を有していてもよいアルキルスルホニルオキシ基としては、例えば、メタンスルホニルオキシ基、エタンスルホニルオキシ基、プロパンスルホニルオキシ基、ブタンスルホニルオキシ基、イソブタンスルホニルオキシ基、t−ブタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基を挙げることができる。
また、置換基を有していてもよいアリールスルホニルオキシ基としては、例えば、ベンゼンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基、m−トルエンスルホニルオキシ基、p−ニトロベンゼンスルホニルオキシ基、m−ニトロベンゼンスルホニルオキシ基、p−メトキシベンゼンスルホニルオキシ基、p−クロロベンゼンスルホニルオキシ基、m−クロロベンゼンスルホニルオキシ基、2,4−ジメチルベンゼンスルホニルオキシ基、3,5−ジニトロベンゼンスルホニルオキシ基を挙げることができる。
脱離基としては、置換スルホニルオキシ基やハロゲン原子が好ましく、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基、塩素原子等が好ましい。
【0286】
は、−COORまたは−CHORを表す。
は、水素原子またはカルボキシル基の保護基を表す。
カルボキシル基の保護基としては、通常使用されるものでよいが、特にアラルキル基、アルキル基等を挙げることができる。
アラルキル基としては、炭素数1から6のアルキル基とアリール基で構成される基を表し、具体的にはベンジル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。また、アルキル基とは、直鎖状、分枝状、または環状の炭素数1から6のアルキル基でよく、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
としては、炭素数1から6のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、またはイソプロピル基が特に好ましい。
は、水酸基の保護基を表し、水酸基の保護基としては、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアシル基等を挙げることができる。
置換基を有していてもよいアルキル基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基等を挙げることができる。
置換基を有していてもよいアリール基としては、フェニル基、ジメトキシフェニル基、p−メトキシフェニル基等を挙げることができる。
置換基を有していてもよいアラルキル基としては、α−フェニルエチル基、ベンジル基、ニトロベンジル基、トリチル基、トルイル基等を挙げることができる。
置換基を有していてもよいアシル基としては、アセチル基、メトキシアセチル基、トリフルオロアセチル基、クロロアセチル基、ピバロイル基、ホルミル基、ベンゾイル基、p−メトキシベンジル基、p−ニトロベンゾイル基等を挙げることができる。
【0287】
としては、置換基を有していてもよいアシル基が好ましく、p−ニトロベンゾイル基が好ましい。
およびRは、各々独立して炭素数1から6のアルキル基を表すが、メチル基またはエチル基が好ましい。
は、カルボキシル基の保護基を表すが、これは先に述べたRで示された基と同じでよい。
Yは、炭素数1から6のアルコキシ基、ハロゲン原子、またはジアルキルアミノ基(アルキル基は炭素数1から6のものでよく、これらは同一でも異なっていてもよいが、より好ましくは同一のものである。)を表すが、これらのうちではアルコキシ基が好ましい。アルコキシ基としては、炭素数1から6のアルキル基でよいが、メトキシ基またはエトキシ基が好ましい。
なお、上記工程図では片方の異性体の製造法のみ示したが、化合物(II−a)の立体配置が逆のものを使用すれば、もう一方の異性体も同様に合成することができる。また、ラセミ体である化合物(II)を使用すれば、ラセミ体の化合物(VI)を得ることができる。
【0288】
以下に、本願発明を各工程ごとに詳細に説明する。
化合物(I)から化合物(III)への工程
【0289】
【化144】

【0290】
化合物(I)と化合物(II)とを、塩基存在下で反応させることにより化合物(III)を得ることができる。反応は、通常、溶媒中で実施する。
化合物(II)は、置換基Rの定義から、化合物(II−1)となるか化合物(II−2)となるかのいずれかである。また、化合物(II)において、LVFXの製造に有用なのは光学活性体であり、具体的には異性体の一方である化合物(II−a)がLVFXの製造に必要である。このことは化合物(II−1)および化合物(II−2)についても該当し、LVFXの製造に必要な化合物は化合物(II−1−a)および化合物(II−2−a)である。これらの化合物は次に示すとおりである。
【0291】
【化145】

【0292】
化合物(II)の製造は種々の方法によって実施できるが、乳酸のエステル化合物から変換して得ることができる。
例えば、化合物(II−1−a)は、D−乳酸のエステル化合物の水酸基を脱離可能な基に変換すればよい。例えば、無水酢酸や無水トリフルオロ酢酸を作用させることで、アセトキシ基、トリフルオロアセトキシ基に変換できる他、トリフルオロメタンスルホニルクロリド、メタンスルホニルクロリド、パラトルエンスルホニルクロリド、無水トリフルオロメタンスルホン酸を塩基存在下に反応させることによって、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基、パラトルエンスルホニルオキシ基等の置換スルホニルオキシ基に変換できる。
化合物(II−2−a)は、D−乳酸のエステル化合物の水酸基を保護した後にカルボキシエステル部分を還元してヒドロキシメチル基に変換し、この様にして得られた水酸基を保護し、その後に予め保護してあった水酸基に保護基を除去して水酸基を復活させ、先と同様の方法によって脱離基に変換すればよい。
また、化合物(II−2)は、1,2−プロパンジオールから得ることもできる。すなわち一級と二級の水酸基との反応性の違いを利用して末端の水酸基をまず保護し、さらに残った水酸基を脱離基に変換すればよい。プロパンジオールに光学活性体を使用すれば化合物(II−2−a)を得ることができる。
【0293】
化合物(I)と化合物(II)とから化合物(III)が得られるが、化合物(II−a)との反応では化合物(III−a)が得られ;化合物(III−1)との反応では化合物(III−1)が得られ;化合物(II−2)との反応では化合物(III−2)が得られ;化合物(II−1−a)との反応では化合物(III−1−a)が得られ;化合物(II−2−a)との反応では化合物(III−2−a)を得ることができる。
【0294】
【化146】

【0295】
化合物(I)と、化合物(II−1)または化合物(II−2)との反応はほぼ同一の条件下で実施できるが、以下にこれらの反応について説明する。
化合物(II)の使用量は、化合物(I)のモル数に対して1から2倍(モル)でよく、好ましくは1.0から1.1倍の範囲である。
塩基としては、無機塩基、有機塩基のいずれでも使用できるが、無機塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の炭酸塩または炭酸水素塩;フッ化カリウム、フッ化セシウム、ヨウ化カリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化化合物を挙げることができる。
【0296】
有機塩基としては、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン等のトリアルキルアミン;N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン等の炭素数1から4のN,N−ジアルキルアニリン誘導体;ピリジン、2,6−ルチジン等の、炭素数1から4のアルキル置換基を有していてもよいピリジン誘導体等を挙げることができる。
なお、Rがトリフルオロメタンスルホニルオキシ基の場合は、有機塩基存在下で反応させるのが好ましく、特に2,6−ルチジンが好ましい。Rがハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ基、またはp−トルエンスルホニルオキシ基の場合は、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の炭酸塩もしくは炭酸水素塩の存在下で反応を行うのが好ましく、特に炭酸カリウム存在下で反応させるのが好ましい。
塩基の使用量は化合物(I)のモル数に対して1から3倍(モル)でよく、好ましくは1.1から2倍の範囲である。
【0297】
用いる溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであればよく、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)等のアミド系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール(IPA)等のアルコール系溶媒等を挙げることができる。
なお、Rがトリフルオロメタンスルホニルオキシ基の場合は、ジクロロメタン、クロロホルム等が好ましい。また、Rが塩素原子、メタンスルホニルオキシ基、またはp−トルエンスルホニルオキシ基の場合は、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、トルエン、アセトン、ジクロロメタン等が好ましい。
溶媒の使用量は化合物(I)に対して5倍量以上でよく、好ましくは10から15倍量の範囲である(化合物(I)1gに対して溶媒1mlを使用するときが1倍量である。)。
がハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ基、またはp−トルエンスルホニルオキシ基の場合は添加剤を使用すると収率が向上する。添加剤としては、相間移動触媒、モレキュラーシーブス等を挙げることができる。
【0298】
相間移動触媒としては、テトラノルマルヘキシルアンモニウムクロライド、テトラノルマルヘキシルアンモニウムヨージド等の四級アンモニウム塩;18−クラウン−6、15−クラウン−5等のクラウンエーテル等を挙げることができる。
添加剤としては、相間移動触媒が好ましく、中でも親油性の四級アンモニウム塩が好ましい。
添加剤の使用量は、化合物(I)のモル数に対して1から100%の範囲であればよく、好ましくは5から30%の範囲である。
反応温度は、化合物(II−1)を反応させる場合は、使用する溶媒の沸点までであれば特に限定されないが、通常は−5から50℃でよく、好ましくは−5から室温の範囲である。また、化合物(II−2)を反応させる場合は、通常−78から50℃でよく、好ましくは−50から0℃の範囲で、特に−50℃から−30℃の範囲が好ましい。
反応時間は、反応温度によっても左右されるが、30分から5日間ほどで終了する。
生成物が化合物(III−1)であるときは、生成物は単離せずそのまま次工程に使用でき、したがって、化合物(I)から化合物(IV)への工程を連続して行うことができる。
化合物(III)から化合物(IV)を製造する工程は、化合物(III)が化合物(III−1)であるか、化合物(III−2)であるかで、各々異なった方法を選択する必要がある。
【0299】
化合物(III)は以下に述べる方法によっても製造することができる。
化合物(III−1)は、化合物(I−0)
【0300】
【化147】

【0301】
(式中、X、XおよびXは、各々独立して、ハロゲン原子を意味し、Zは、アミノ基またはニトロ基を意味する。)
とピルビン酸化合物(酸またはエステル)
CHCOCOOR
(式中、Rは、水素原子またはアルキル基を意味する。)
とを溶媒中、金属触媒存在下において、水素ガス雰囲気下で反応させることによって得ることができる。
【0302】
この製造法に用いることができる金属触媒としては、接触水素添加反応で使用できる金属触媒であれば特に制限はない。これらのうちで好ましくは、パラジウム−炭素、ラネーニッケル、ラネーコバルトである。
この反応では反応を促進するために脱水剤を加えてもよく、脱水剤としては反応に不活性なものであれば特に制限はないが、無水硫酸マグネシウム、無水硫酸ナトリウム、モレキュラーシーブ等を用いればよい。これらの脱水剤のうち、無水硫酸マグネシウム、無水硫酸ナトリウムが好ましい。
化合物(I−0)とピルビン酸化合物との反応は、触媒量の酸を添加して加圧下に水素添加反応を実施することでさらに簡便に実施できる。添加する酸としては有機酸であっても無機酸であってもいずれでもよい。例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸;置換カルボン酸化合物や置換スルホン酸化合物等の有機酸を挙げることができる。置換カルボン酸としては、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸等;置換スルホン酸としては、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等を挙げることができる。添加する無機酸としては、塩酸、硫酸が好ましい。
添加する酸は上記の酸を添加してもよいが、反応種であるピルビン酸誘導体としてピルビン酸自体(CHCOCOOH)を選択して、このピルビン酸に反応種としてだけではなく、反応促進剤としての酸の役割を兼ねさせてもよい。
【0303】
添加する酸の量は触媒量でよく、ピルビン酸以外の酸の場合は化合物(I−0)のモル数に対して、1から30%(モル)程度でよい。ピルビン酸自体に反応促進効果を担わせるときは、化合物(I−0)のモル数に対して当モルでもよいが、さらに小過剰量を加えることで反応促進効果が得られる。触媒効果のためのピルビン酸は1から5%(モル)程度あればよい。
溶媒としては、反応に不活性なものであれば特に制限はないが、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;その他、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、アセトン、酢酸エステル、水等を用いることができる。また、これらを混合溶媒として使用することもできる。
これらの溶媒のうち、アルコール系溶媒が好ましく、特にメタノール、エタノール、イソプロパノールが好ましい。
【0304】
反応温度は使用する溶媒により異なるが、通常、−78℃から溶媒の沸点の範囲で、好ましくは室温から溶媒の沸点の範囲である。
反応時間は1から24時間の範囲であり、通常、1から16時間の範囲で終了するこの方法は水素ガス雰囲気下において実施するが、水素圧は、通常、0.1MPaから10MPaの範囲でよく、好ましくは0.1から5Mpaでの範囲である。
ニトロベンゼン誘導体(Z=NO)を使用して本反応を実施したときは、まずニトロ基が還元されてアミノ基(アニリン誘導体)となり、このアミノ基とピルビン酸のカルボニル基とが反応してイミン化合物
【0305】
【化148】

【0306】
が生成し、このイミン化合物のイミノ基が水素添加されてアミノ基となる(ここにはイミン化合物の幾何異性体のうちの一方のみを示した)。したがって、本反応の出発物質としてはニトロ基が還元されたアニリン化合物を適用できることは言うまでもない。なお、このイミン化合物は、一方の異性体のみで得られることもあるしまた異性体の混合物として得られることもある。いずれに場合でもこの不斉還元に適用できる。
【0307】
化合物(I−0)とピルビン酸化合物を還元条件下で反応させる製造法においては、通常はラセミ体の化合物(III−1)が生成する。これに対して光学活性体である化合物(III−1−a)を得ようとするときは、化合物(I−0)およびピルビン酸化合物とから生成するイミン化合物を、不斉還元条件下で還元処理することによって得ることができる。
イミンの不斉還元反応は、以下に例示する反応条件によって達成することができる。
【0308】
(1)K.Yamada,J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1,265(1983);S.Ituno,Bull.Chem.Soc.Jpn.,60,395(1987);S.Ituno,J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1,1859(1990);B.T.Cho,Tetrahedron Asymmetry,3,1583(1992);T.Sakai,Synlett.,753(1995);M.Shimizu,Tetrahedron Lett.,36,8607(1995);C.Bolm,Synlett.,655(1994);J.M.Brunel,Synlett.,177(1996);R.O.Hutchins,J.Org.Chem.,52,704(1987)等にて報告されているホウ素およびアルミニウム化合物を用いる還元反応;
【0309】
(2)N.Langlois,Tetrahedron Lett.,4865(1973);H.B.Kagan,J.Organomet.Chem.,90,353(1975);X.Verdaguer,J.Am.Chem.Soc.,118,6784(1996)等にて報告されているヒドロシリル化反応;
(3)以下の文献等にて報告されている触媒的水素化反応(Rh触媒:A.Levi,J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,6(1975);S.Vastag,J.Mol.Catal.,22,283(1984);G.−J.Kang,J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,1466(1988);W.R.Cullen,J.Mol.Catal.,62,243(1990);A.G.Becalski,Inorg.Chem.,30,5002(1991);J.Bakos,J.Organomet.Chem.,279,23(1985);J.Bakos,J.Organomet.Chem.,370,263(1989);J.Bakos,J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,1684(1991);C.Lensink,Tetrahedron Asymmetry,3,235(1992);C.Lensink,Tetrahedron Asymmetry,4,215(1993);J.M.Buriak,Organometallics,15,3161(1996);M.J.Burk,J.Am.Chem.Soc.,114,6266(1992);M.J.Burk,Tetrahedron,50,4399(1994);Ir触媒:F.Spindler,Angew.Chem.,Int.Ed.Engl.,29,558(1990);A.Togni.,Angew.Chem.,Int.Ed.Engl.,35,1475(1996);T.Morimoto,Chem.Pharm.Bull.,42,1951(1994);T.Morimoto,Tetrahedron Asymmetry,6,2661(1995);T.Morimoto,Synlett.,748(1995);K.Tani,Chem.Lett.,955(1995);K.Satoh,Tetrahedron Asymmetry,9,2657(1998);Y.Ng C.Chan,J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,869(1990);Y.Ng C.Chan,J.Am.Chem.Soc.,112,9400(1990);R.Sablong,Tetrahedron.Lett.,37,4937(1996);Ti触媒:C.A.Willoughby,J.Am.Chem.Soc.,114,7562(1992);C.A.Willoughby,J.Org.Chem.,58,7627(1993);C.A.Willoughby,J.Am.Chem.Soc.,116,8952(1994);C.A.Willoughby,J.Am.Chem.Soc.,116,11703(1994);Ru触媒:C.Botteghi,Chimia,29,256(1975);W.Oppolzer,Tetrahedron Lett.,31,4117(1990);D.E.Fogg,Inorg.Chim.Acta.,222,85(1994))および(4)S.Hashiguchi,J.Am.Chem.Soc.,117,7562(1995);A.Fujii,J.Am.Chem.Soc.,118,2521(1996);N.Uematsu,J.Am.Chem.Soc.,118,4916(1996)等にて報告されている水素移動型還元反応が知られている。
光学活性な化合物(III−1−a)のうち、カルボン酸化合物(下記構造参照)
【0310】
【化149】

【0311】
は、当該化合物のエステル化合物を、エステル不斉加水分解能を有する酵素、微生物の培養液、該微生物菌体、または該微生物菌体処理物にて処理することによって得ることができる。
このエステルの不斉加水分解を実施するには、化合物(III−1)のエステル化合物(ラセミ体)を適当な緩衝液に懸濁し、酵素、微生物の培養液、該微生物菌体、または該微生物菌体処理物を加え攪拌して処理すればよい。この反応で使用できる酵素等はエステル不斉加水分解能を有していれば特に限定されないが、酵素としては微生物、動物および植物由来の市販酵素製剤を挙げることができる。例えば、各種のエステラーゼやプロテアーゼやキモトリプシンを使用することができる。また、微生物としては、バチルス属、マイクロコッカス属、アクチノマイセス属等の細菌;アスペルギルス属、リゾパス属、ナンニーザ属、ペニシリウム属等のカビ;キャンディダ属、サッカロマイセス属、ジゴアスカス属等の酵母;を用いることができる。
【0312】
上記の酵素や菌体等による処理によって、化合物(III−1)のうちの一方の異性体(対掌体)のエステル部分が加水分解されてカルボン酸が生成し、さらにこれはカルボン酸塩となって処理液に溶解する。この時点でこの処理液を酢酸エチル、クロロホルム、ジイソプロピルエーテル(IPE)、メチルt−ブチルエーテル等の有機溶媒によって抽出することで、不要の異性体(対掌体)である化合物(III−1−b)のエステル体(下記構造式参照)
【0313】
【化150】

【0314】
を単離採取することができる。
なお、この抽出操作に当たっては処理に用いた酵素、菌体等を、化合物(III−1−b)の抽出前に濾過等によって除去しておくのがよい。化合物(III−1−b)を抽出した後、処理液を液性を酸性にした後、ジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、酢酸エチル等の有機溶媒によって抽出を行なえば、遊離体である化合物(III−1−a)のカルボン酸化合物を得ることができる。
酵素、菌体等による処理の温度は、通常5℃から60℃の範囲であればよいが、好ましくは20℃から40℃の範囲である。
また、この際の処理液のpHは、4から9の範囲であればよいが、好ましくは6から8の範囲である。
酵素、菌体等による処理時間は、4時間から7日間の範囲であればよいが、好ましくは8時間から50時間の範囲である。
処理液中の化合物(III−1)の濃度は、通常は重量割合で0.1%から20%の範囲で行なうが、好ましくは0.5%から5%の範囲である。
酵素、微生物の培養液、該微生物菌体、または該微生物菌体処理物の使用量は特に限定されないが、乾燥重量に換算して、化合物(III−1)に対し重量比で0.05倍から0.5倍が適当である。
なお、化合物(III−1−a)のエステルを切断してカルボキシル基に変換するのとは反対の不斉認識能を有する酵素、微生物の培養液、該微生物菌体、または該微生物菌体処理物を使用することによって化合物(III−1−b)のカルボン酸化合物を得ることができる。
ラセミ体の化合物(III−1)のカルボン酸化合物は、光学活性有機塩基とジアステレオマー塩を形成させ晶析させることによって異性体(対掌体)を分離することができ、さらに、この様にして生成した塩を適当な溶媒を用いて再結晶を行なうことによって立体異性体的により純粋な塩を得ることができる。
【0315】
【化151】

【0316】
この様にして得た生成したジアステレオマー塩を酸処理することによって、化合物(III−1−a)および化合物(III−1−b)のカルボン酸化合物を分離することができる。
ここで「単一の(光学)異性体からなる」とは、他の(光学)異性体を全く含まない場合だけでなく、物理恒数に影響しない程度であれば他の異性体を含んでいてもよい。
本発明でいう「立体異性体的に純粋な塩」とは以下のようなものである。すなわち、塩を構成する酸と塩基に立体異性体が存在する場合において、1種の立体異性体から構成される酸と、あるいは同様に1種の立体異性体から構成される塩基とを組み合わせて生ずる塩を称して立体異性体的に純粋であるという。つまり、塩を構成する酸と塩基とがいずれも1種の立体異性体によって構成されることを示している。ここで、1種の立体異性体によって構成されるとは、化学的に実質的に他の異性体を含有しないと認められる状態であればよい。
この様な塩の形成に用いることのできる光学活性有機塩基としては、例えば式
【0317】
【化152】

【0318】
(式中、Arylは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、カルバモイル基、炭素数1から6のアルキル基、または炭素数1から6のアルコキシ基を有することもあるアリール基を表し、
、RおよびR10は、各々独立して、
(1)ハロゲン原子、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のハロゲノアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、ニトロ基、カルバモイル基、もしくはシアノ基を有していてもよいフェニル基、
(2)ハロゲン原子、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のハロゲノアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、ニトロ基、カルバモイル基、もしくはシアノ基を有していてもよいベンジル基、
(3)炭素数1から6のアルキル基、または
(4)水素原子を意味する。)
で表される、1位がアリール基で置換された光学活性なエチルアミン誘導体(1−アリールエチルアミン誘導体)を挙げることができる。
ここでアリール基としてはフェニル基、ナフチル基を例示することができる。これらのアリール基の芳香環は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、カルバモイル基、炭素数1から6のアルキル基、または炭素数1から6のアルコキシ基を1以上有していてもよく、またこれらの置換基の複数種を1以上有していてもよい。
【0319】
このような光学活性な塩基としては1−フェニルエチルアミン、1−(p−トリル)エチルアミン、または1−フェニル−2−(p−トリル)エチルアミンを例示することができる。
そして、これらの塩基のうちで化合物(III−1−a)のうちのカルボン酸化合物と組み合わせることで有利な塩形成を行なうことができる光学活性な塩基としては、(R)−(+)−1−フェニルエチルアミン、(R)−(+)−1−(p−トリル)エチルアミンまたは(S)−(+)−1−フェニル−2−(p−トリル)エチルアミンを挙げることができる。
また、化合物(III−1−b)のうちのカルボン酸化合物と組み合わせることで有利な塩形成を行なうことができる光学活性な塩基としては、(S)−(+)−1−フェニルエチルアミン、(S)−(+)−1−(p−トリル)エチルアミンまたは(R)−(+)−1−フェニル−2−(p−トリル)エチルアミンを挙げることができる。
一方、1−アリールエチルアミン誘導体の芳香環としては炭化水素系の芳香環だけではなく、硫黄原子、窒素原子または酸素原子等を含む芳香族複素環でもよい。例えば、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピリジン、キノリン、イソキノリン、フラン、ベンゾフラン等を挙げることができる。
【0320】
光学活性塩基の使用量は、カルボン酸化合物のモル数に対して通常は当倍モル以下を使用すればよい。
目的の塩を晶析または再結晶する際の溶媒は各種の溶媒を使用することができる。使用する溶媒としては、n−ヘキサン、n−ペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の脂肪族または芳香族炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール系溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン(EDC)等のハロゲン化炭化水素系溶媒を挙げることができる。この他に、水、アセトニトリル、酢酸エステル類、アセトン等を挙げることができる。これらの溶媒は単独でもよいが複数種を組み合わせてもよい。
使用する溶媒の量は、通常1から100重量倍程度、好ましくは2から50重量倍程度の範囲である。
目的の塩を晶析または再結晶する際の温度は一定ではないが、通常用いられている程度の温度条件でよく、具体的には氷冷から使用する溶媒の沸点の間の温度で行なえばよい。
反応時間は通常、1から24時間の範囲である。
また、カルボン酸塩を遊離体に導くには酸によって処理すればよく、塩酸、硫酸等の無機酸によって処理し、次いで有機溶媒によって抽出する等して単離すればよい。
【0321】
レボフロキサシンの製造に使用する異性体(対掌体)は、化合物(III−1−a)であり、したがってもう一方の異性体である化合物(III−1−b)はこのままでは利用価値がない。この化合物(III−1−b)のうちのエステル化合物は、塩基存在下に処理することによってラセミ化させることができる。この方法によって、不要の異性体を必要な異性体に転換することができる。
この異性化反応において使用できる溶媒としては各種のものを挙げることができるが、例えば、n−ヘキサン、n−ペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の脂肪族または芳香族炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール系溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒を挙げることができる。この他に、水、アセトニトリル、酢酸エステル類、アセトン等を挙げることができる。これらの溶媒は単独でもよいが複数種を組み合わせてもよい。
これら溶媒のうち、トルエン等の芳香族炭化水素系およびN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系が好ましい。
【0322】
反応温度は塩基の種類や使用する溶媒により異なるが、−78℃から溶媒の沸点で、好ましくは室温から溶媒の沸点である。
反応時間は通常、1から24時間の範囲で、好ましくは1から16時間の範囲である。
塩基としては、有機または無機のいずれであってもよく、アルカリ金属またはアルカリ土類金属、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウム等の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩およびアルコキシド等;水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化リチウム等の金属水素化物;n−ブチルリチウム、メチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド等のアルキルリチウム試薬;トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン等の三級アミン類、その他、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン(DBU)、1,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン(DBN)、N−メチルモルフォリン等の含窒素複素環化合物;ジメチルアニリン、ジエチルアニリン等のN,N−ジアルキルアニリン;等を用いることができる。
これらの塩基のうち、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン(DBU)等の含窒素複素環化合物;および炭酸カリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩;カリウムターシャリーブトキシド(t−BuOK)等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の金属アルコキシド;が好ましい。
塩基の使用量は通常、化合物(III−1−b)のエステル化合物のモル数に対して0.1から15倍量の範囲で使用すればよく、好ましくは1から5倍モル程度である。
また、反応を促進させるためにテトラブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド等の四級アンモニウム塩;ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属のヨウ化物;およびクラウンエーテル等の存在下で行ってもよい。
【0323】
化合物(III−1−b)は、塩基処理してラセミ化させた後、加水分解処理することによって化合物(III−1)のカルボン酸化合物に変化することができる。
溶媒は各種溶媒を使用することができ、例えば、n−ヘキサン、n−ペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の脂肪族または、芳香族炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール系溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒を挙げることができる。この他に、水、アセトニトリル、酢酸エステル類、アセトン等を挙げることができる。これらの溶媒は単独でもよいが複数種を組み合わせてもよい。
これら溶媒のうち、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒およびN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒が好ましい。
反応温度は塩基の種類や使用する溶媒によっても異なるが、−78℃から溶媒の沸点で、好ましくは室温から溶媒の沸点である。
反応時間は通常、1から24時間の範囲であり、通常は1から16時間の範囲で終了する。
【0324】
塩基としては、有機または無機のいずれであってもよく、アルカリ金属またはアルカリ土類金属、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウム等の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩およびアルコキシド等;水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化リチウム等の金属水素化物;n−ブチルリチウム、メチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド等のアルキルリチウム試薬;トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン等の三級アミン類;その他、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン(DBU)、1,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン(DBN)、N−メチルモルフォリン等の含窒素複素環化合物;ジメチルアニリン、ジエチルアニリン等のN,N−ジアルキルアニリン;等を用いることができる。
これらの塩基のうち、カリウムターシャリーブトキシド等のアルカリ金属アルコキシドおよび炭酸カリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩が好ましい。
塩基の使用量は通常、化合物(III−1−b)のモル数に対して0.1から15倍モルの範囲でよく、好ましくは1から5倍モル程度である。
また、反応を促進させるためにテトラブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド等の四級アンモニウム塩やヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属のヨウ化物およびクラウンエーテル等の存在下で行ってもよい。
【0325】
エステルの加水分解は酸または塩基を用いて行われ、酸性加水分解には塩酸、硫酸等の酸を用いる。塩基性加水分解には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩等の塩基が用いられ、塩基は通常、水溶液として用いられる。
酵素、微生物の培養液、該微生物菌体、または該微生物菌体処理物を使用した加水分解反応によって、あるいは塩基性もしくは酸性条件下の加水分解反応によって得られる化合物(III−a)のうちのカルボン酸化合物は、通常の方法によってエステル化合物に変換することができる。すなわち、酸触媒の存在下、アルコール
−OH
と処理すればよい。使用できるアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールを挙げることができる。これらのアルコールにより、そのアルコールに対応するエステル化が進行する。反応温度は使用するアルコールによって異なるが、−78℃からアルコールの沸点の範囲であり、好ましくは室温からアルコールの沸点である。使用できる酸としては、塩酸、硫酸、またはリン酸等を挙げることができる。この他のエステル化の方法として、酸クロリドを調製した後にアルコールと処理することでエステル化する方法も適用できる。
【0326】
なお、エステルの不斉加水分解反応あるいは酸や塩基の存在下での加水分解反応によって得られる化合物(III−a)のうちのカルボン酸化合物は、各種のアミン類との塩を形成させることで精製することができる。この精製のために使用できるアミンとしては、脂溶性の高いアミンが好ましく、例えばシクロヘキシシルアミン等の環状アルキルアミン類;ベンジルアミン、フェネチルアミン等のアラルキルアミンを挙げることができる。これらのアミンのうちでは、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミンが好ましく、シクロヘキシルアミンがさらに好ましい。これらのアミンの塩は通常の方法によって再結晶して精製すればよい。精製のための条件は先に述べた光学分割の条件を適宜採用することができる。この様にして得た化合物(III−1)のうちのカルボン酸化合物のアミン塩は酸処理することで遊離体に導くことができ、その後に上記の方法によってエステル化することができる。また、エステル化のために使用する酸の量を、カルボン酸塩のモル数に対して過剰量とすることによって、この遊離体を得るための操作を行うことなくエステル化を行うことができる。
【0327】
化合物(III−1)から化合物(IV)への工程
化合物(III−1)を、還元することにより化合物(IV)を得ることができる。反応は溶媒中、還元剤の存在下で処理すればよい。この還元で使用する化合物(III−1)としては、COOR部分がエステルであるものが特に好ましい。
還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素カルシウム、水素化ホウ素亜鉛、水素化ホウ素マグネシウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム等の水素化ホウ素系還元剤;リチウムアルミニウムハイドライド等の水素化アルミニウム系還元剤等を挙げることができる。還元剤としては、水素化ホウ素系還元剤が好ましく、水素化ホウ素ナトリウムが特に好ましい。
還元剤の使用量は、化合物(III−1)のモル数に対して1.1から2.5倍(モル)でよく、好ましくは1.1から1.5倍の範囲である。
使用できる溶媒としては、反応に影響がなければ特に限定されないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール等のアルコール系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;等を挙げることができる。溶媒としては、アルコール系溶媒が好ましく、イソプロパノールが好ましい。イソプロパノールを使用する場合、メタノールを化合物(III−1)のモル数に対して0.5から5倍(モル)、好ましくは0.5から2倍添加すると反応が促進される。
【0328】
反応温度は、反応に悪影響を与えない温度であればよく、好ましくは0から60℃、さらに好ましくは、室温から50℃の範囲である。反応時間は1時間から20時間の範囲でよい。
この還元反応を本願発明者がさらに検討した結果、式(III−1)のうちの光学活性体について還元反応を実施する場合は、溶媒として非アルコール系溶媒(非プロトン性溶媒)を選択し、アルコールの存在下に、還元剤として金属ヒドリド化合物によって処理するのがよいことが判明した。すなわち、本工程の還元反応を光学活性体についてプロトン供与性の溶媒中で実施すると一部立体が反転して光学純度の低下に繋がることが判明したのである。
金属ヒドリド化合物としては、金属水素化ホウ素化合物または金属水素化アルミニウム化合物を使用することができる。これらの具体例としては、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素カルシウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素亜鉛、水素化ホウ素マグネシウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム等の金属水素化ホウ素化合物;水素化リチウムアルミニウム等の金属水素化アルミニウム化合物を挙げることができる。これらのうちでは、金属水素化ホウ素化合物が好ましく、水素化ホウ素ナトリウムが特に好ましい。
還元剤の使用量は、化合物(III−1−a)または(III−1−b)のモル数に対して1から5倍(モル)の範囲でよく、好ましくは1.1から2倍程度である。
【0329】
本工程では、非プロトン性溶媒(aprotic solvent)を使用することが特に好ましい。非プロトン性溶媒としては、n−ヘキサン、n−ペンタン、シクロヘキサン、シクロペンタン等の、鎖状および環状の脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒;クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;を挙げることができる。この他に、酢酸エステル類等を使用してもよい。これらの溶媒は単独でもよいが複数種を組み合わせてもよい。
これらの溶媒のうち、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒およびジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル等のエーテル系溶媒;トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒が好ましい。
加えるアルコール類は、一級アルコールが好ましく、メタノールが特に好ましい。アルコール類の使用量は、化合物(III−1−a)または(III−1−b)に対して3から20倍量の範囲でよく、好ましくは4から15倍程度である。
反応温度は使用する溶媒により異なるが、−78℃から溶媒の沸点の範囲でよく、好ましくは10℃から溶媒の沸点の範囲の温度である。
反応時間は1から24時間の範囲でよく、通常は2から16時間程度で終了する。
本工程の還元反応を光学活性化合物についてこれを異性化させることなく実施するには、化合物(III−1−a)または(III−1−b)と還元剤とを非プロトン性溶媒に加えておき、ここにアルコールを(攪拌下)に添加していく手順によって行うのが好ましい。
【0330】
化合物(III−2)から化合物(IV)への工程
化合物(III−2)を脱保護することにより化合物(IV)を得ることができる。
脱保護は、水酸基の保護基として使用したRの種類により異なるが、Rの種類に応じてこの分野で通常用いられる方法によって行えばよい。すなわち、アラルキル基(アリールメチル)やアラルキルオキシカルボニル基であれば接触的加水素化分解反応、アシル基であれば酸やアルカリによる加水分解反応、アルコキシカルボニル基やエーテル類であれば酸による分解、その他、酢酸中における亜鉛処理等の反応も使用することができる。
【0331】
化合物(IV)から化合物(V)への工程
この工程は、化合物(IV)に式
【0332】
【化153】

【0333】
(式中、RおよびRは、各々独立してアルキル基を表し、Yは、アルコキシ基、ハロゲン原子、またはジアルキルアミノ基を表す。)
で表されるメチレンマロン酸ジアルキルエステル誘導体を加えて加熱するか、あるいは化合物(IV)とメチレンマロン酸ジアルキルエステル誘導体を溶媒中、塩基および相間移動触媒存在下処理することにより、化合物(V)が得られる。
(1)化合物(IV)にメチレンマロン酸ジアルキルエステル誘導体を加え加熱する方法
メチレンマロン酸ジアルキルエステル誘導体は、化合物(IV)のモル数に対して1から3倍(モル)でよく、好ましくは1.05から1.2倍の範囲である。
反応は、無溶媒または溶媒中で行うことができ、用いることができる溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであればよい。例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒を挙げることができる。
反応は、無溶媒で、あるいは、溶媒としてトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒を用いて行うのが好ましい。
反応温度は溶媒の沸点までの範囲であれば特に限定されないが、100℃から溶媒の沸点までの範囲が好ましい。反応時間は、反応温度にも左右されるが通常は1時間から1日で終了する。
(2)化合物(IV)とメチレンマロン酸ジアルキルエステル誘導体を溶媒中、塩基および相間移動触媒存在下処理する方法
メチレンマロン酸ジアルキルエステル誘導体は、化合物(IV)のモル数に対して1から3倍(モル)でよく、好ましくは1.05から2倍の範囲である。
【0334】
溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に限定されないが、n−ヘキサン、n−ペンタン等の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール系溶媒;クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素;を挙げることができる。この中では芳香族炭化水素系溶媒、アミド系溶媒、ケトン系溶媒、ハロゲン系溶媒が好ましく、さらには、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトン、ジクロロメタンが好ましい。これら溶媒のうち、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系がより好ましい。
【0335】
塩基としては、無機塩基、有機塩基のいずれでも使用できるが、無機塩基としては、ナトリウムハイドライド、リチウムハイドライド等のアルカリ金属水素化物;カルシウムハイドライド等のアルカリ土類金属水素化物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の炭酸塩または炭酸水素塩;フッ化カリウム、フッ化セシウム、ヨウ化カリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化化合物;を挙げることができる。
有機塩基としては、ナトリウムメトキシド、リチウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、リチウムエトキシド、ナトリウムターシャリーブトキシド、カリウムターシャリーブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド類;トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン等のトリアルキルアミン;N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン等の炭素数1から4のアルキル基を有するアニリン誘導体;ピリジン、2,6−ルチジン等の、炭素数1から4のアルキル置換基を有していてもよいピリジン誘導体;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の含窒素複素環化合物等を挙げることができる。
【0336】
この中でも、アルキル金属アルコキシド類、含窒素複素環化合物、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物が好ましく、カリウムターシャリーブトキシド、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、水酸化アルカリがより好ましく、さらに好ましくは水酸化カリウムである。水酸化アルカリ、とりわけ水酸化カリウムは反応時の異性化が進行しないことから好適に使用することができる。
塩基の使用量は化合物(IV)のモル数に対して1から15倍(モル)でよく、好ましくは1から3倍の範囲である。
反応は、添加剤を加えると収率が向上し、添加剤としては相間移動触媒、モレキュラーシーブス等を挙げることができる。
相間移動触媒としては、テトラノルマルヘキシルアンモニウムクロライド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチルフェニルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムハイドロゲンサルフェート等の四級アンモニウム塩;18−クラウン−6、15−クラウン−5等のクラウンエーテル等を挙げることができる。
添加剤としては相間移動触媒が好ましく、中でも親油性の四級アンモニウム塩が好ましい。
この様な相間移動触媒のうち、テトラノルマルヘキシルアンモニウムクロライド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチルフェニルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムハイドロゲンサルフェート等の四級アンモニウム塩が好ましい。
【0337】
相間移動触媒の使用量は、化合物(IV)のモル数に対して1%から100%の範囲で使用すればよく、好ましくは3%から30%程度である。
反応温度は塩基の種類や使用する溶媒により異なるが、−78℃から溶媒の沸点で、好ましくは室温から60℃であり、より好ましくは室温程度である。
反応時間は1から24時間の範囲でよく、通常、1から12時間程度で終了する。
生成物である化合物(V)は、単離せずそのまま次の工程に使用でき、化合物(IV)から化合物(VI)への工程を連続して行うこともできる。
【0338】
化合物(V)から化合物(VI)への工程
式(V)で表される化合物を分子内閉環させることにより式(VI)で表される化合物が得られる。本工程は溶媒中、塩基および相間移動触媒存在下に処理することにより実施すればよい。
塩基としては、無機塩基、有機塩基のいずれでも使用できるが、無機塩基としては、ナトリウムハイドライド、リチウムハイドライド等のアルカリ金属水素化物;カルシウムハイドライド等のアルカリ土類金属水素化物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の炭酸塩または炭酸水素塩;フッ化カリウム、フッ化セシウム、ヨウ化カリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化化合物;を挙げることができる。
有機塩基としては、ナトリウムメトキシド、リチウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、リチウムエトキシド、ナトリウムターシャリーブトキシド、カリウムターシャリーブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド類;トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン等のトリアルキルアミン;N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン等の炭素数1から4のアルキル基を有するN,N−ジアルキルアニリン誘導体;ピリジン、2,6−ルチジン等の炭素数1から4のアルキル置換基を有していてもよいピリジン誘導体;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の含窒素複素環化合物;等を挙げることができる。
【0339】
塩基としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物あるいはアルキル金属アルコキシド類が好ましく、水酸化カリウム、カリウムターシャリーブトキシドが好ましいが、より好ましくは水酸化カリウムである。
塩基の使用量は通常、化合物(V)のモル数に対して0.1から15倍(モル)の範囲で使用すればよく、好ましくは1から3倍程度である。
本工程の反応は相間移動触媒の存在下に実施することで促進させることができる。
相間移動触媒としては、テトラノルマルヘキシルアンモニウムクロライド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチルフェニルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムハイドロゲンサルフェート等の四級アンモニウム塩;18−クラウン−6、15−クラウン−5等のクラウンエーテル;等を挙げることができる。
【0340】
これらの相間移動触媒のうち、テトラノルマルヘキシルアンモニウムクロライド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチルフェニルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムハイドロゲンサルフェート等の四級アンモニウム塩が好ましい。
相間移動触媒の使用量は、化合物(IV)のモル数に対して1%から100%(モル)の範囲で使用すればよく、好ましくは3%から30%程度である。
溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に限定されないが、n−ヘキサン、n−ペンタン等の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール系溶媒;等を挙げることができる。この他には、水、アセトニトリル、酢酸エステル類、アセトン等を挙げることができる。これらの溶媒は単独でもよいが複数種を組み合わせてもよい。
【0341】
溶媒としては、芳香族炭化水素系溶媒、アミド系溶媒、ケトン系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒が好ましく、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトン、ジクロロメタン等がより好ましく、さらに好ましくはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒である。
反応温度は塩基の種類や使用する溶媒により異なるが、−78℃から溶媒の沸点で、好ましくは40℃から80℃であり、より好ましくは60℃程度である。
反応時間は1から24時間の範囲でよく、通常は2から16時間程度で終了する。
【0342】
化合物(IV)から化合物(VI)への連続的工程
化合物(IV)にメチレンマロン酸ジアルキルエステル誘導体を混合し、塩基存在下処理することにより、一気に化合物(VI)を得ることができる。すなわち、化合物(IV)から、化合物(V)を単離することなく、一気に化合物(VI)をする方法である。この2工程はいずれも相間移動触媒を使用して反応を実施できるが、化合物(V)を得る工程は室温で実施し、一方化合物(V)の閉環工程は60℃程度の加温状態で実施することで各々優れた収率と純度で各々の工程の生成物を得ることができる。
メチレンマロン酸ジアルキルエステル誘導体は化合物(IV)のモル数に対して1から4倍(モル)でよく、好ましくは1.5から3倍の範囲である。
溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に限定されないが、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒;等を挙げることができる。
溶媒としては、芳香族炭化水素系溶媒、アミド系溶媒、ケトン系溶媒、ハロゲン系溶媒が好ましく、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトン、ジクロロメタン等が特に好ましい。
【0343】
塩基としては、無機塩基、有機塩基のいずれでも使用できるが、無機塩基としては、ナトリウムハイドライド、リチウムハイドライド等のアルカリ金属水素化物;カルシウムハイドライド等のアルカリ土類金属水素化物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の炭酸塩または炭酸水素塩、フッ化カリウム、フッ化セシウム、ヨウ化カリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化化合物;等を挙げることができる。
有機塩基としては、ナトリウムメトキシド、リチウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、リチウムエトキシド、ナトリウムターシャリーブトキシド、カリウムターシャリーブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド類;トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン等のトリアルキルアミン;N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン等の炭素数1から4のアルキル基を有するN,N−ジアルキルアニリン誘導体;ピリジン、2,6−ルチジン等の炭素数1から4のアルキル置換基を有していてもよいピリジン誘導体;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の含窒素複素環化合物;等を挙げることができる。
【0344】
この中でも、アルキル金属アルコキシド類、含窒素複素環化合物、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物が好ましく、カリウムターシャリーブトキシド、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、水酸化アルカリがより好ましく、さらに好ましくは水酸化カリウムである。
塩基の使用量は化合物(IV)のモル数に対して2から6倍モルでよく、好ましくは、2から4倍モルである。
反応は、添加剤を加えると収率が向上し、添加剤としては相間移動触媒、モレキュラーシーブス等を挙げることができる。
【0345】
相間移動触媒としては、テトラノルマルヘキシルアンモニウムクロライド、テトラノルマルヘキシルアンモニウムヨージド等の四級アンモニウム塩等;18−クラウン−6、15−クラウン−5等のクラウンエーテル等を挙げることができる。
添加剤としては相間移動触媒が好ましく、親油性の四級アンモニウム塩が特に好ましい。
添加剤の使用量は、化合物(IV)のモル数に対して1から100%の範囲でよく、好ましくは5から30%の範囲である。
反応温度は、溶媒の沸点までであれば特に限定されないが、室温から60℃の範囲が好ましい。
反応時間は反応温度に左右されるが、1時間から3日の範囲でよい。
2工程を連続的に実施する場合は、例えば、相間移動触媒存在下に塩基(水酸化カリウム等、化合物(IV)のモル数に対して1.5倍(モル))を加えて室温で1時間程度攪拌の後、反応液を60℃に昇温してさらに先と同量の塩基を加えて5時間程度攪拌することで目的物を得ることができる。すなわち、一旦室温で攪拌して化合物(V)を生成させた後に、塩基を追加して反応温度を昇温して処理すればよく、これによって閉環反応までを一気に実施することができる。
【0346】
化合物(IV)から化合物(VII)への工程
化合物(IV)を塩基存在下で処理して分子内閉環させることにより、化合物(VII)を得ることができる。
ここで使用する塩基としては、無機塩基および有機塩基のいずれでも使用できるが、無機塩基としては、ナトリウムハイドライド、リチウムハイドライド等のアルカリ金属水素化物;カルシウムハイドライド等のアルカリ土類金属水素化物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の炭酸塩または炭酸水素塩;フッ化カリウム、フッ化セシウム、ヨウ化カリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化化合物;等を挙げることができる。
有機塩基としては、ナトリウムメトキシド、リチウムメトキシド、マグネシウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、リチウムエトキシド、マグネシウムエトキシド、ナトリウムターシャリーブトキシド、カリウムターシャリーブトキシド等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属アルコキシド類;n−ブチルリチウム、メチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド等のアルキルリチウム類;トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン等のトリアルキルアミン;N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン等の炭素数1から4のアルキル基を有するN,N−ジアルキルアニリン誘導体;ピリジン、2,6−ルチジン等の炭素数1から4のアルキル基を有していてもよいピリジン誘導体;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン(DBU)、1,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)等の含窒素複素環化合物;等を挙げることができる。
【0347】
これらの塩基のうちでは、アルカリ金属またはアルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属水酸化物、アルキル金属アルコキシド類および水素化金属が好ましく、具体的には炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、カリウムターシャリーブトキシド、ソジウムターシャリーブトキシド(t−BuONa)およびナトリウムハイドライドが特に好ましい。
塩基の使用量は化合物(IV)のモル数に対して1から15倍(モル)量でよく、好ましくは1から3倍程度である。
なお、アルカリ金属またはアルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属水酸化物を用いる場合は、添加剤を使用するのが好ましく、添加剤としては相間移動触媒、モレキュラーシーブス等を挙げることができる。相間移動触媒としては、テトラノルマルヘキシルアンモニウムクロライド、テトラノルマルヘキシルアンモニウムヨージド、テトラブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド等の四級アンモニウム塩を挙げることができる。さらにヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属のヨウ化物と18−クラウン−6、15−クラウン−5等のクラウンエーテル等との存在下で反応を実施してもよい。
添加剤としては相間移動触媒が好ましく、親油性の四級アンモニウム塩が特に好ましい。
【0348】
添加剤の使用量は、化合物(IV)のモル数に対して1から100%の範囲でよく、好ましくは5から30%の範囲である。
溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に限定されないが、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;n−ヘキサン、n−ペンタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、メチルt−ブチルエーテル(MTBE)、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール,n−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール系溶媒;等を挙げることができる。
溶媒としてはアミド系溶媒が好ましく、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが特に好ましい。
【0349】
反応温度は特に限定されず、−78℃から溶媒の沸点までの範囲で実施できるが、好ましくは室温から溶媒の範囲である。
反応時間は、反応温度に左右されるが、15分から12時間の範囲でよい。
この様にして得られた化合物(VII)は、式R11−SOH[式中、R11は、フェニル基(このフェニル基は、ハロゲン原子、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のハロゲノアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、ニトロ基、カルバモイル基およびシアノ基からなる群の基から選ばれる、1または2種以上の基を、1または2以上を有していてもよい。)、カンファー基(このカンファー基は、ハロゲン原子、ニトロ基、カルバモイル基、シアノ基、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のハロゲノアルキル基および炭素数1から6のアルコキシ基からなる群の基から選ばれる、1または2種以上の基を、1または2以上を有していてもよい。)、炭素数1から6のアルキル基、または炭素数1から6のハロゲノアルキル基を表す。]
で表される化合物との塩を形成することで精製することができる。特に、化合物(VII)の光学活性体は油状物質であるためにこの様に塩を形成させて生成を行うことで最終生成物であるレボフロキサシンの純度を高めることができる。
【0350】
これらのスルホン酸のうちでは、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、またはカンファースルホン酸が好ましい。
塩形成時に使用する溶媒としては、n−ヘキサン、n−ペンタン等の炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール系溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;を挙げることができる。この他に、水、アセトニトリル、酢酸エステル類、アセトン等を挙げることができる。これらの溶媒は単独でもよいが複数種を組み合わせてもよい。
これら溶媒のうち、トルエン等の芳香族炭化水素系、酢酸エステル類およびアセトンが好ましい。
使用する溶媒の量については、通常1から100重量倍程度、好ましくは2から50重量倍程度の範囲である。
【0351】
目的の塩を晶析する際の温度は一定ではないが、通常用いられている程度の温度条件でよく、具体的には氷冷から使用する溶媒の沸点の間の温度で行なえばよい。なお、塩を形成させる手順としては、化合物(VII)への閉環反応が終了した後に、溶媒を塩形成で使用する溶媒に変更してスルホン酸を加えればよい。閉環後の反応液を通常の手順によって処理して単離して塩形成ができることは言うまでもない。
また、形成された塩を遊離体にするにはアルカリによって処理すればよく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩等の塩基を用いることができる。これらの塩基は通常、水溶液として用いられ、遊離体は抽出等の方法によって単離することができる。
【0352】
化合物(VII)から化合物(VI)への工程
化合物(VII)とメチレンマロン酸ジアルキルエステル誘導体を反応させることによって化合物(VI)を得ることができる。
この工程は、化合物(VII)にメチレンマロン酸ジアルキルエステル誘導体を加え加熱するか、あるいは化合物(VII)とメチレンマロン酸ジアルキルエステル誘導体を溶媒中、塩基存在下処理することにより、化合物(VI)が得られる。
(1)化合物(VII)にメチレンマロン酸ジアルキルエステル誘導体を加え加熱する方法
メチレンマロン酸ジアルキルエステル誘導体は、化合物(VII)のモル数に対して1から3倍(モル)でよく、好ましくは1.1から1.6倍の範囲である。
反応は、無溶媒または溶媒中で行うことができ、用いることができる溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであればよい。例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒を挙げることができる。
反応は、無溶媒で、あるいは、溶媒としてトルエン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒を用いて行うのが好ましい。
反応温度は溶媒の沸点までであれば特に限定されないが、100℃から160℃までの範囲が好ましい。反応時間は、反応温度にも左右されるが通常は1時間から1日で終了する。
(2)化合物(VII)とメチレンマロン酸ジアルキルエステル誘導体を溶媒中、塩基および相間移動触媒存在下処理する方法
メチレンマロン酸ジアルキルエステル誘導体は化合物(VII)のモル数に対して1から3倍(モル)でよく、好ましくは1.05から2倍の範囲である。
【0353】
溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に限定されないが、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒;等を挙げることができる。
溶媒としては、芳香族炭化水素系溶媒、アミド系溶媒、ケトン系溶媒、ハロゲン系溶媒が好ましく、さらには、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、ジクロロメタン等が好ましい。
【0354】
塩基としては、無機塩基、有機塩基のいずれでも使用できるが、無機塩基としては、ナトリウムハライド、リチウムハライド等のアルカリ金属水素化物;カルシウムハライド等のアルカリ土類金属水素化物;ナトリウムメトキシド、リチウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、リチウムエトキシド、ナトリウムターシャリーブトキシド、カリウムターシャリーブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の炭酸塩または炭酸水素塩;フッ化カリウム、フッ化セシウム、ヨウ化カリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化化合物;を挙げることができる。
有機塩基としては、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン等のトリアルキルアミン;N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン等の炭素数1から4のアルキル基を有するアニリン誘導体;ピリジン、2,6−ルチジン等の炭素数1から4のアルキル置換基を有していてもよいピリジン誘導体;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の含窒素複素環化合物;等を挙げることができる。
【0355】
塩基としてはアルキル金属アルコキシド類が好ましく、カリウムターシャリーブトキシドが特に好ましい。
塩基の使用量は化合物(VII)のモル数に対して1から3倍(モル)でよく、好ましくは1から2倍の範囲である。
反応時間は反応温度にも左右されるが、1時間から1日で終了する。
以上述べた方法を実施することによって化合物(I)から化合物(VI)を製造することができるが、これらの方法の他に次に示す工程によっても製造することができると考えられる。
【0356】
【化154】

【0357】
得られた化合物(VI−a)は、既に知られた方法によってレボフロキサシンに変換できるが、その概略は以下の通りである。すなわち、化合物(VI−a)をポリリン酸またはそのエステルとともに加熱閉環させて三環性のカルボン酸エステル化合物に変換する。次いでこのカルボン酸エステルを塩基性または酸性条件下で加水分解して三環性のカルボン酸化合物に変換する。この三環性のカルボン酸化合物に、塩基の存在下で4−メチルピペラジンを反応させることでレボフロキサシンが得られる。この塩基は無機塩基でも、有機塩機でもよく、無機塩基としては、アルカリ金属、もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、炭酸水素塩等を挙げることができる。有機塩機としてはトリアルキルアミンや含窒素複素環化合物を挙げることができる。具体的には、トリエチルアミン、トリブチルアミン、エチルジイソプロピルアミン等、また、4−メチルモルフォリン、ジメチルアミノピリジン等、さらには4−メチルピペラジンを過剰量使用して塩基と兼用させてもよい。この反応は溶媒を使用するのがよく、ジメチルスルホキシドを使用することができる。4−メチルピペラジンの反応では、三環性のカルボン酸化合物ではなくこのカルボン酸のジハロゲノホウ素キレート化合物との反応を行うのがより効果的である。このジハロゲノホウ素キレート化合物は、三環性のカルボン酸化合物とトリハロゲノホウ素化合物を反応させればよいが、トリハロゲノホウ素化合物とエーテル化合物との錯体を使用するのが簡便である。例えば、ジエチルエーテル錯体やテトラヒドロフラン錯体等である。一方ハロゲン原子としてはフッ素原子が好ましい。このエーテル錯体とカルボン酸とを各種エーテル溶媒中で攪拌することで、カルボン酸のジハロゲノホウ素キレート化合物が得られる。4−メチルピペラジンとの反応は先と同様にして塩基存在下、溶媒中で実施すればよい。このカルボン酸のジハロゲノホウ素キレート化合物は、化合物(VI−a)とジハロゲノホウ素化合物、好ましくはエーテル化合物との錯体、とから溶媒中、例えば無水酢酸、で加熱下に実施することで一工程で得ることができる。4−メチルピペラジンとの反応後、キレートを除去(加水分解)することが必要であるが、これは、塩基存在下でプロトン性溶媒中加熱することで除去、切断することができる。例えば、アルコール溶媒中、トリアルキルアミン存在下に加熱する条件を例示することができるが、具体的にはエタノール中、トリエチルアミンの存在下に加熱攪拌すればよい。
【実施例】
【0358】
次に実施例を挙げて本願発明をさらに詳細に説明するが、本願発明はこれらに限定されるものではない。
【0359】
実施例1:(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)プロピオン酸メチル
氷浴下、D−乳酸メチル(8.5g)、2,6−ルチジン(11.4g)をジクロロメタン(100ml)に溶解し、無水トリフルオロメタンスルホン酸(25.4g)を滴下後、室温へ昇温し30分攪拌した。再度、0℃に冷却し、2,3,4−トリフルオロアニリン(12.0g)のジクロロメタン溶液(30ml)を滴下し、同温にて17時間攪拌した。この溶液に塩酸(0.5mol/l)を加え、ジクロロメタンで抽出し、抽出液を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥しろ過した後、溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、油状物質として標題化合物を17.1g(90%)得た。HPLCによる光学純度は97%eeであった。
H−NMR(CDCl,270MHz)δ:1.51(d,J=6.9Hz,3H),3.73(s,3H),4.07−4.13(m,1H),4.22(brs,1H),6.22−6.31(m,1H),6.73−6.85(m,1H)
IR(nujol):3407,2994,2956,1739cm−1
MS;m/z:233(M
【0360】
実施例2:(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)プロピオン酸メチル
2,3,4−トリフルオロアニリン(100mg)をトルエン(1ml)に溶解し、炭酸カリウム(188mg)、メチル(2R)−2−[[(4−メチルフェニル)スルフォニル]オキシ]プロピオン酸(193mg)、テトラヘキシルアンモニウムクロライド(40mg)を加え、加熱還流下15時間半攪拌した。実施例1と同様の後処理をした後、実施例1の化合物を標品とした逆相系HPLCにて分析した結果、標題化合物41mg(26%)相当であった。
【0361】
実施例3:(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)プロピオン酸メチル
実施例2の方法に準じて、2,3,4−トリフルオロアニリン(100mg)、炭酸カリウム(188mg)、(2R)−2−[(メタンスルフォニル)オキシ]プロピオン酸メチル(78mg)、テトラヘキシルアンモニウムクロライド(40mg)を用いて縮合反応を実施し、油状の標題化合物を得た。実施例1の化合物を標品とした逆相系HPLCにて分析した結果、標題化合物38mg(24%)相当であった。
【0362】
実施例4:(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)プロピオン酸メチル
実施例2の方法に準じて、2,3,4−トリフルオロアニリン(100mg)、炭酸カリウム(188mg)、(2R)−クロロプロピオン酸メチル(92mg)、テトラヘキシルアンモニウムクロライド(40mg)を用いて縮合反応を実施した。実施例1の化合物を標品とした逆相系HPLCにて分析した結果、標題化合物56mg(36%)相当であった。
【0363】
実施例5:2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸メチル
2,3,4−トリフルオロニトロベンゼン(100g)、ピルビン酸メチル(57.6g)をメタノール(1000ml)に溶解し、5%Pd−C(20.0g)、無水硫酸マグネシウム(90g)を加え、室温にて水素雰囲気下で16時間攪拌した。反応液をセライト濾過し、Pd−C、硫酸マグネシウムを濾去した。得られた濾液を減圧下濃縮し、残留物にフロリジル(100g)、ジエチルエーテル(700ml)を加え,2時間攪拌した。反応液を濾過後,得られた有機層を留去後、析出した結晶をヘキサンにて洗浄しながら濾取し、標題化合物(128.2g)を微黄白色結晶として得た。
融点:41−43℃
H−NMR(CDCl)δ:1.51(d,J=6.9Hz,3H),3.74(s,3H),4.0−4.3(m,2H),6.2−6.4(m,1H),6.7−6.9(m,1H)
IR(KBr);3357,1719,1510cm−1
元素分析:C1010NOとして;
理論値(%):C,51.51;H,4.32;N,6.01
実測値(%);C,51.65;H,4.31;N,5.99
【0364】
実施例6:2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸メチル
2,3,4−トリフルオロアニリン(2.94g)、ピルビン酸メチル(2.04g)をメタノール(30ml)に溶解し、5%Pd−C(2.0g)、無水硫酸マグネシウム(2.65g)を加え、50℃にて水素雰囲気下で16時間攪拌した。Pd−C、硫酸マグネシウムを濾去後、得られた濾液を減圧下濃縮した。析出した結晶をヘキサンにて洗浄しながら濾取し、標題化合物(4.44g)を微黄白色結晶として得た。各種スペクトルデータは実施例5で得たものと一致した。
【0365】
実施例7:2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸エチル
2,3,4−トリフルオロニトロベンゼン(3.54g)、ピルビン酸エチル(2.32g)をエタノール(30ml)に溶解し、5%Pd−C(2.0g)、無水硫酸マグネシウム(2.65g)を加え、50℃にて水素雰囲気下で16時間攪拌した。Pd−C、硫酸マグネシウムを濾去後、得られた濾液を減圧下濃縮した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−ノルマルヘキサン=1:4)に付し、標題化合物(4.84g)を淡黄色油状物として得た。
H−NMR(CDCl)δ:1.25(t,J=7.1Hz,3H),1.50(d,J=7.1Hz,3H),4.0−4.3(m,2H),4.19(dd,J=7.3,10.9Hz,3H),6.2−6.4(m,1H),6.7−6.9(m,1H)
IR(cm−1);1737,1524,909
【0366】
実施例8:2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸エチル
2,3,4−トリフルオロアニリン(2.94g)、ピルビン酸エチル(2.32g)をエタノール(30ml)に溶解し、5%Pd−C(2.0g)、無水硫酸マグネシウム(2.65g)を加え、50℃にて水素雰囲気下で16時間攪拌した。Pd−C、硫酸マグネシウムを濾去後、得られた濾液を減圧下濃縮した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−ノルマルヘキサン=1:4)に付し、標題化合物(4.69g)を淡黄色油状物として得た。各種スペクトルデータは実施例7で得たものと一致した。
【0367】
実施例9:2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸メチル
2,3,4−トリフルオロニトロベンゼン(1.01g)、ピルビン酸メチル(0.87g)をメタノール(8ml)に溶解し、5%Pd−C(0.11g)、濃塩酸(0.03g)を加え、40℃、水素圧2.94MPa(30kgf/cmを換算)にて2時間攪拌した。Pd−Cを濾去後、得られた濾液を減圧下濃縮し、標題化合物(1.31g)を微黄白色結晶として得た。各種スペクトルデータは実施例5で得たものと一致した。
【0368】
実施例10:2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸エチル
2,3,4−トリフルオロニトロベンゼン(1.01g)、ピルビン酸エチル(1.15g)をエタノール(8ml)に溶解し、5%Pd−C(0.11g)、濃塩酸(0.03g)を加え、40℃、水素圧2.94MPaにて3時間攪拌した。Pd−Cを濾去後、得られた濾液を減圧下濃縮し、標題化合物(1.38g)を淡黄色油状物として得た。各種スペクトルデータは実施例7で得たものと一致した。
【0369】
実施例11:2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸メチル
2,3,4−トリフルオロアニリン(0.83g)、ピルビン酸メチル(0.87g)をメタノール(8ml)に溶解し、5%Pd−C(0.11g)、濃塩酸(0.03g)を加え、40℃、水素圧2.94MPaにて2時間攪拌した。Pd−Cを濾去後、得られた濾液を減圧下濃縮し、標題化合物(1.26g)を微黄白色結晶として得た。各種スペクトルデータは実施例5で得たものと一致した。
【0370】
実施例12:2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸エチル
2,3,4−トリフルオロアニリン(0.83g)、ピルビン酸エチル(1.15g)をエタノール(8ml)に溶解し、5%Pd−C(0.11g)、濃塩酸(0.03g)を加え、40℃、水素圧2.94MPaにて3時間攪拌した。Pd−Cを濾去後、得られた濾液を減圧下濃縮し、標題化合物(1.32g)を淡黄色油状物として得た。各種スペクトルデータは実施例7で得たものと一致した。
【0371】
実施例13:2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸
2,3,4−トリフルオロニトロベンゼン(5.03g)、ピルビン酸(2.75g)をイソプロパノール(IPA;40ml)に溶解し、10%Pd−C(0.21g)を加え、40℃にて常圧水素雰囲気下で3時間攪拌した。Pd−Cを濾去後、得られた濾液を減圧下濃縮し、標題化合物(6.11g)を白色結晶として得た。各種スペクトルデータは別途合成された標品と一致した。
【0372】
実施例14:2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸
2,3,4−トリフルオロニトロベンゼン(5.03g)、ピルビン酸(2.75g)をIPA(40ml)に溶解し、10%Pd−C(0.21g)を加え、40℃、水素圧2.94MPaにて3時間攪拌した。Pd−Cを濾去後、得られた濾液を減圧下濃縮し、標題化合物(6.09g)を白色結晶として得た。各種スペクトルデータは別途合成された標品と一致した。
【0373】
実施例15:2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸
2,3,4−トリフルオロニトロベンゼン(1.01g)、ピルビン酸(0.75g)をメタノール(8ml)に溶解し、5%Pd−C(0.11g)を加え、40℃、水素圧4.9MPa(50kgf/cmを換算)にて5時間攪拌した。Pd−Cを濾去後、得られた濾液を減圧下濃縮し、標題化合物(1.20g)を白色結晶として得た。各種スペクトルデータは別途合成された標品と一致した。
【0374】
実施例16:2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸
2,3,4−トリフルオロアニリン(4.18g)、ピルビン酸(2.75g)をIPA(40ml)に溶解し、10%Pd−C(0.21g)を加え、40℃にて常圧水素雰囲気下で3時間攪拌した。Pd−Cを濾去後、得られた濾液を減圧下濃縮し、標題化合物(5.69g)を白色結晶として得た。各種スペクトルデータは別途合成された標品と一致した。
【0375】
実施例17:N−(1−メトキシカルボニルエチリデン)−2,3,4−トリフルオロアニリン
トリフルオロアニリン(1g)および硫酸マグネシウム(1.36g)をメタノール(5ml)中で室温下攪拌した。ここへ、ピルビン酸メチル(1.27g)を加えた後、40℃に昇温し、20時間攪拌した。反応終了後、硫酸マグネシウムを濾去した。得られた濾液を減圧下濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−ジエチルエーテル=1:3)に付し、標題化合物(552mg)を一メタノール晶として得た。
H−NMR(CDCl)d:6.92−6.74(m,2H),5.09(br s,1H),3.84(s,3H),3.24(s,3H),1.65(s,3H).
【0376】
実施例18:(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸メチル
クロロ−1,5−シクロオクダジエンイリジウム(I)二量体(12.8mg)および(2S,4S)−BCPM(23.6mg)をアルゴン気流下、IPA(2ml)にて溶解し、室温下1時間攪拌した。この反応液へ、N−(1−メトキシカルボニルエチリデン)−2,3,4−トリフルオロアニリン・一メタノール晶(50mg)のIPA(2ml)溶液を加えた。反応液をオートクレーブに移した後、50kg/cmの水素により加圧した。10℃にて15時間攪拌した。最終反応液に含まれる標題化合物の化学収率および光学純度を高速液体クロマトグラフィーにより測定した結果、70%、50%ee(S体)であった。
【0377】
実施例19−22:
光学活性配位子を変え、上記の反応と同様にしてイミノ化合物の不斉還元を行った。これらの実施例の結果を、次の表に示す。
【0378】
【表1】

【0379】
(2S,4S)−BCPM:
(2S,4S)−N−(t−ブトキシカルボニル)−4−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−2−[(ジフェニルホスフィノ)メチル]ピロリジン:
(2S,4S)−N−(t−butoxycarbonyl)−4−(dicyclohexylphosphino)−2−[(diphenylphosphino)methyl]pyrrolidine
(S)−(R)−JOSIPHOS:
(S)−1−[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン:
(S)−1−[(R)−2−(diphenylphosphino)ferrocenyl]ethyldicyclohexylphosphine
(4R,5R)−MOD−DIOP:
(4R,5R)−4,5−ビス[[ビス(4’−メトキシ−3’,5’−ジメチルフェニル)ホスフィノ]メチル]−2,2−ジメチル−1、3−ジオキソラン:
(4R,5R)−4,5−bis[[bis(4’−metoxy−3’,5’−dimethylphenyl)phosphino]methyl]−2,2−dimethyl−1,3−dioxolane
【0380】
実施例23:2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸
2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸メチル(46.64g)をメタノール(130ml)にて溶解し、0℃にて水酸化ナトリウム水溶液(3mol/l;100ml)を徐々に加えた。室温にて3時間攪拌後、溶媒を留去した。残留物に水を加え、クロロホルムで洗浄した後、水層に塩酸(6mol/l)をpH1まで徐々に添加し、その水層をジイソプロピルエーテル(IPE)にて抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒を留去し標題化合物(43.7g)を白色結晶として得た。
融点:114−119℃H−NMR(CDCl)δ:1.57(d,J=6.9Hz,3H),4.11(dd,J=6.9,10.3Hz,1H),6.2−6.4(m,1H),6.7−6.9(m,1H)
IR(cm−1);3357,1725,1524,1195
元素分析:CNOとして
理論値(%);C,49.32;H,3.68;N,6.39
実測値(%);C,49.33;H,3.65;N,6.34
【0381】
実施例24:2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸
2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸エチル(2.47g)をエタノール(40ml)にて溶解し、0℃にて水酸化ナトリウム水溶液(3mol/l;10ml)を徐々に加えた。室温にて3時間攪拌後、溶媒を留去した。残留物に水を加え,クロロホルムで洗浄した後、水層に塩酸(6mol/l)をpH1まで徐々に添加し、その水層をIPEにて抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒を留去し標題化合物(2.19g)を白色結晶として得た。各種スペクトルデータは実施例23で得たものと一致した。
【0382】
実施例25:(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸・(R)−1−フェニルエチルアミン塩
2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸(1.1g)をメタノール−IPE=1:20の混合溶媒(15ml)に溶解し、室温下、(R)−1−フェニルエチルアミン(333.2mg)をメタノール−IPE=1:20の混合溶媒に溶解した溶液(15ml)を徐々に加えた。懸濁液を室温にてさらに2時間攪拌後、IPEにて洗浄しながら濾取し、標題化合物を白色結晶として(802mg)得た。その光学純度は80%eeであった。続いて、得られた塩へクロロホルムを加え、50℃で18時間攪拌した。その懸濁液をIPEにて洗浄しながら濾取し、標題化合物を白色結晶として703mg得た。その光学純度は99%eeであった。
[α]=5.7°(c=0.386,メタノール)
融点(分解点):189−197℃
H−NMR(CDOD)δ:1.41(d,J=6.9Hz,3H),1.61(d,J=6.9Hz,3H),3.80(dd,J=6.9,15.4Hz,1H),4.42(dd,J=6.9,10.0Hz,1H),6.3−6.5(m,1H),6.7−6.9(m,1H),7.3−7.5(m,5H)
元素分析:C1710として;
理論値(%);C,60.86;H,5.96;N,7.91
実測値(%);C,61.01;H,5.97;N,7.85
【0383】
実施例26:(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸・(R)−1−p−トリルエチルアミン塩
2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸(1.1g)をメタノール−IPE=1:20の混合溶媒(15ml)にて溶解し、室温下、(R)−1−p−トリルエチルアミン(371.8mg)をメタノール−IPE=1:20の混合溶媒に溶解した溶液(15ml)を徐々に加えた。懸濁液を室温にてさらに2時間攪拌後、IPEにて洗浄しながら濾取し、標題化合物を白色結晶として860mg得た。その光学純度は52%eeであった。続いて、得られた塩へクロロホルムを加え、50℃で18時間攪拌した。その懸濁液をIPEにて洗浄しながら濾取し、標題化合物を白色結晶として591mg得た。その光学純度は99%eeであった。
[α]=−2.0°(c=0.197,メタノール)
融点(分解点):190−197℃
H−NMR(CDOD)δ:1.41(d,J=6.9Hz,3H),1.59(d,J=6.9Hz,3H),2.35(s,3H),3.80(dd,J=6.9,12.0Hz,1H),4.38(dd,J=6.9,12.0Hz,1H),6.3−6.5(m,1H),6.7−6.9(m,1H),7.2−7.3(m,4H)
元素分析:C1821として;
理論値(%);C,59.99;H,5.63;N,8.23
実測値(%);C,59.96;H,5.67;N,8.16
【0384】
実施例27:(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸・(S)−1−フェニル−2−p−トリルエチルアミン塩
2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸(1.1g)をメタノール−IPE=1:20の混合溶媒(15ml)に溶解し、室温下、(R)−1−p−トリルエチルアミン(581.8mg)をメタノール−IPE=1:20の混合溶媒に溶解した溶液(15ml)を徐々に加えた。懸濁液を室温にてさらに2時間攪拌後、IPEにて洗浄しながら濾取し、標題化合物を白色結晶として1.1g得た。その光学純度は79%eeであった。続いて、得られた塩へクロロホルムを加え、50℃で18時間攪拌した。その懸濁液をIPEにて洗浄しながら濾取し、標題化合物を白色結晶として923mg得た。その光学純度は99%eeであった。
[α]=−5.6°(c=0.386,メタノール)
融点(分解点):187−193℃
H−NMR(CDOD)δ:1.41(d,J=6.9Hz,3H),2.26(s,3H),3.0−3.3(m,2H),3.81(dd,J=6.9,11.7Hz,1H),4.43(dd,J=6.6,8.3Hz,1H),6.3−6.5(m,1H),6.7−6.9(m,1H),7.00(dd,J=7.9,21.0Hz,4H),7.2−7.3(m,5H)
元素分析:C2323として;
理論値(%);C,66.96;H,5.85;N,6.51
実測値(%);C,56.85;H,5.89;N,6.44
【0385】
実施例28:(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸
(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸・(S)−1−フェニルエチルアミン塩(1.0g;99%ee)にIPE(20ml)、塩酸(1mol/l)をpH1になるまで加え、室温にて1時間攪拌した。有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒を留去し、標題化合物を白色結晶として618mg得た。その光学純度は99%eeであった。H−NMRおよびIRスペクトルデータは実施例23で得た化合物と一致した。
[α]=−39.5°(c=0.496,メタノール)
【0386】
実施例29:(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸
(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸・(S)−1−p−トリルエチルアミン塩(1.0g;99%ee)にIPE(22ml)、塩酸(1mol/l)をpH1になるまで加え、室温にて1時間攪拌した。有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒を留去し、標題化合物を白色結晶として645mg得た。その光学純度は99%eeであった。H−NMRおよびIRスペクトルデータは実施例23で得た化合物と一致した。
【0387】
実施例30:(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸
(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸・(R)−1−フェニル−2−p−トリルエチルアミン塩(1.0g;99%ee)にIPE(25ml)、塩酸(1mol/l)をpH1になるまで加え、室温にて1時間攪拌した。有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒を留去し、標題化合物を白色結晶として510mg得た。その光学純度は99%eeであった。H−NMRおよびIRスペクトルデータは実施例23で得た化合物と一致した。
【0388】
実施例31:(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸メチル
(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸(1.1g;99%ee)をメタノール(10ml)に溶解し、室温にて塩酸(5mol/l;1ml)を加えた。反応液を6時間加熱還流した後、溶媒を留去した。得られた残留物へクロロホルム(10ml)を加えた後、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および水にて洗浄後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒留去後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−ノルマルヘキサン=1:4)に付し、標題化合物(1.17g)を油状物質として得た。その光学純度は99%eeであった。H−NMRおよびIRスペクトルデータは実施例5で得た化合物と一致した。
[α]=−49.9°(c=0.119,メタノール)
【0389】
実施例32:(2R)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸メチル
(2R)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸(1.1g;98%ee)をメタノール(10ml)に溶解し、室温にて塩酸(5mol/l;1ml)を加えた。反応液を6時間加熱還流した後、溶媒を留去した。得られた残留物へクロロホルム(10ml)を加えた後、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および水にて洗浄後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒留去後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−ノルマルヘキサン=1:4)に付し、標題化合物(1.17g)を油状物質として得た。その光学純度は98%eeであった。H−NMRおよびIRスペクトルデータは実施例5で得た化合物と一致した。
【0390】
実施例33:(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸エチル
(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸(219mg;99%ee)をエタノール(2ml)に溶解し、室温にて塩酸(5mol/l;0.2ml)を加えた。反応液を6時間加熱還流した後、溶媒を留去した。得られた残留物へクロロホルムを加え、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および水にて洗浄後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒留去後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−ノルマルヘキサン=1:4)に付し、標題化合物(246mg)を淡黄色油状物として得た。その光学純度は99%eeであった。H−NMRおよびIRスペクトルデータは実施例7で得た化合物と一致した。
[α]=−57.2°(c=0.352,メタノール)
【0391】
実施例34:(2R)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸エチル
(2R)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸(219mg;98%ee)をエタノール(2ml)に溶解し、室温にて塩酸(5mol/l;0.2ml)を加えた。反応液を6時間加熱還流した後、溶媒を留去した。得られた残留物へクロロホルムを加え、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および水にて洗浄後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒留去後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−ノルマルヘキサン=1:4)に付し、標題化合物(245mg)を淡黄色油状物として得た。その光学純度は98%eeであった。H−NMRおよびIRスペクトルデータは実施例7で得た化合物と一致した。
【0392】
実施例35:(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸
2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸メチル(2.0g)を0.1Mリン酸塩緩衝液(pH6.5;400ml)に懸濁し、プロテアーゼN(天野製薬社製、バチルス属細菌由来;0.4g)を加え静かに攪拌した。更に、この混合物を30℃に保ちながら14時間攪拌を続けた。反応液に塩化メチレンを加え、セライト濾過により変性蛋白質を除去した後分液した。有機層を5%炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水にて洗浄し,無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。次いで、溶媒を減圧下濃縮することにより(2R)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸メチル(0.94g)を得た。その光学純度は98%eeであった。一方、分液により生じた全ての水層を集め10%塩酸によりpH2とした後、IPEにて抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、留去することにより、標題化合物の粗体(0.96g)を得た。その光学純度は96%eeであった。更に,この粗体をイソプロピルエーテルとヘキサンの混合溶媒から再結晶することにより100%eeの標題化合物を得た。H−NMRおよびIRスペクトルデータは実施例28で得た化合物と一致した。
【0393】
実施例36:(2R)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸
2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸メチル(1.0g)を0.1Mリン酸塩緩衝液(pH6.5;200ml)に懸濁し、α−キモトリプシン(シグマ社製;0.2g)を加え静かに攪拌した。更に、この混合物を30℃に保ちながら16時間攪拌を続けた。反応液に塩化メチレンを加え、セライト濾過により変性蛋白質を除去した後分液した。有機層を5%炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水にて洗浄し,無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。次いで、溶媒を減圧下濃縮することにより、(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸メチル(0.43g)を得た。その光学純度は98%eeであった。一方、分液により生じた全ての水層を集め10%塩酸によりpH2とした後、IPEにて抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、留去することにより、標題化合物の粗体(0.47g)を得た。その光学純度は92%eeであった。更に、この粗体をイソプロピルエーテルとヘキサンの混合溶媒から再結晶することにより100%eeの標題化合物を得た。H−NMRおよびIRスペクトルデータは実施例29で得た化合物と一致した。
【0394】
実施例37−42:
不斉加水分解反応に使用する基質及び触媒(酵素及び微生物)を変化させ、実施例36と同様にして反応を行った。
【0395】
【表2】

【0396】
実施例43:(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸
微生物菌体(IAM−1623:バチルス ズブチリス)をブイヨン培地(pH7.0;50ml)中、30℃で14時間培養した。得られた培養物から遠心分離にて培地を除いた後、菌体を凍結乾燥して凍結乾燥菌体を得た。2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸メチル(2.0g)を0.1Mリン酸塩緩衝液(pH6.5;100ml)に懸濁し、上記凍結乾燥菌体(0.2g)を加え静かに攪拌した。更に、この混合物を30℃に保ちながら6時間攪拌を続けた。反応液に塩化メチレンを加え、セライト濾過により変性蛋白質を除去した後分液した。有機層を5%炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水にて洗浄し,無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。次いで、溶媒を減圧下濃縮することにより(2R)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸メチル(0.92g)を得た。その光学純度は97%eeであった。一方、分液により生じた全ての水層を集め10%塩酸によりpH2とした後、IPEで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥、留去することにより標題化合物を粗体として白色結晶として0.97gを得た。その光学純度は94%eeであった。更に、この粗体をイソプロピルエーテルとヘキサンの混合溶媒から再結晶することにより100%eeの標題化合物を得た。H−NMRおよびIRスペクトルデータは実施例28で得た化合物と一致した。
【0397】
実施例44:(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸
微生物菌体(IFO−1575:ジゴアスカス ヘレニカス)をMY培地(pH6.0;50ml)中で30℃で48時間培養した。2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸メチル(1.0g)を0.1Mリン酸塩緩衝液(pH6.5;90ml)に懸濁し、上記培養液(10ml)を加え静かに攪拌した。更に、この混合物を30℃に保ちながら16時間攪拌を続けた。この後、実施例43と同様の操作を行い、(2R)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸メチル(0.39g,光学純度91%ee)及び標題化合物(0.45g,光学純度84%ee)を得た。
また、上記と同じ不斉加エステル水分解反応を、微生物菌体としてIFO−8306:ナンニーザ ジプシアを用いて同様に実施したところ、表題化合物を、反応率55%;カルボン酸80%ee(S)で、エステルを80%ee(R)で得た。
同様に、IFO−12883:アクチノマイセス レボリスでは、反応率42%;カルボン酸92%ee(S)で、エステルを60%ee(R)で得た。さらに、NRIC1271:ペニシリウム クリソゲナムを用いて、反応率37%;カルボン酸91%ee(S)で、エステルを50%ee(R)で得た。得られた各化合物のH−NMRおよびIRスペクトルデータは実施例28で得た化合物と一致した。
【0398】
実施例45:2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸メチル
(2R)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸メチル(100mg,38%ee)をトルエン(2ml)に溶解し、室温にて1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン(DBU;71.8mg)を加えた。反応液を110℃にて16時間攪拌した。反応液に塩酸(1mol/l;1ml)を加えた後、水層をトルエンにて抽出した。有機層を水および飽和食塩水にて洗浄後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒留去後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−ノルマルヘキサン=1:4)に付し、標題化合物(86.6mg)を白色結晶として得た。その光学純度は0%eeであった。H−NMRおよびIRスペクトルデータは実施例5で得た化合物と一致した。
【0399】
実施例46:2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸メチル
(2R)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸メチル(50mg,57%ee)をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF;1ml)に溶解し、室温にて炭酸カリウム(63.2mg)を加えた。反応液を110℃にて19時間攪拌した。反応液に水を加え、水層を酢酸エチルにて抽出した。有機層を水にて洗浄後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒留去後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−ノルマルヘキサン=1:4)に付し、標題化合物(42.5mg)を白色結晶として得た。その光学純度は0%eeであった。H−NMRおよびIRスペクトルデータは実施例5で得た化合物と一致した。
【0400】
実施例47:2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸メチル
(2R)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸メチル(200mg,57%ee)をジメチルアセトアミド(DMAc;3ml)に溶解し、室温にて炭酸カリウム(474.1mg)を加えた。反応液を95℃にて19時間攪拌した。反応液に水を加え、水層を酢酸エチルにて抽出した。有機層を水にて洗浄後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒留去後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−ノルマルヘキサン=1:4)に付し、標題化合物(179mg)を白色結晶として得た。その光学純度は0%eeであった。H−NMRおよびIRスペクトルデータは実施例5で得た化合物と一致した。
【0401】
実施例48:2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸
カリウムターシャリーブトキシド(123.4mg)をDMAc(2ml)に懸濁し、氷冷下、(2R)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸メチル(223mg,91%ee)のDMAc(2ml)溶液を加えた。反応液をそのままの温度にて1時間攪拌した後、水酸化ナトリウム水溶液(3mol/l;2ml)を加え、1時間攪拌した。反応液を塩酸水溶液(3mol/l)によりpH2とした後、IPEで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥、留去することによって得た粗体を塩化メチレンとノルマルヘキサンの混合溶媒より再結晶することにより、標題化合物(206mg)を白色結晶として得た。その光学純度は0%eeであった。各種スペクトルデータは実施例23で得たものと一致した。
【0402】
実施例49:2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸
(2R)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸メチル(223mg,91%ee)をDMAc(3ml)に溶解し、室温にて炭酸カリウム(474.1mg)を加えた。反応液を95℃にて19時間攪拌した。反応液に水酸化ナトリウム水溶液(3mol/l)を加え、1時間攪拌した後、塩酸(3mol/l)によりpH2とした後、IPEで抽出し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒留去後、得られた粗体を塩化メチレンとノルマルヘキサンの混合溶媒より再結晶することにより、標題化合物(198mg)を白色結晶として得た。その光学純度は0%eeであった。各種スペクトルデータは実施例23で得たものと一致した。
【0403】
実施例50:2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸
炭酸カリウム(1.66g)をDMAc(18ml)に懸濁し、140℃にて(2R)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸メチル(2.33g、54%ee)のDMAc溶液(5ml)を滴下した。そのままの温度にて2時間攪拌した。反応液に水酸化カリウム水溶液(3mol/l)を加え、15分間攪拌した後、塩酸(6mol/l)によりpH2とした後、メチルt−ブチルエーテルにて抽出し、硫酸マグネシウムにて乾燥した.溶媒留去後、得られた粗体を酢酸エチル(12ml)に溶解し,60℃にてシクロヘキシルアミン(991.8mg)の酢酸エチル溶液(10ml)へ30分かけて滴下した。そのままの温度にて2時間攪拌し、析出した2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸のシクロヘキシルアミン塩(2.74g)を濾取した。
2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸・シクロヘキシルアミン塩のデータを次に示す。
元素分析:C1521として;
計算値(%):C,56.59;H,6.65;N,8.80
実測値(%):C,56.52;H,6.67;N,8.77
H−NMR(270MHz,CDCl)δ(ppm):1.11−2.05(m,16H),2.90−3.13(m,1H),3.73−3.86(m,1H),6.30−6.47(m,1H),6.75−6.89(m,1H)
次いで、このシクロヘキシルアミン塩に塩酸(6mol/l)を加え、メチルt−ブチルエーテル(MTBE)にて抽出し、硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒留去後、標題化合物(1.92g)を白色結晶として得た。その光学純度は0%eeであった。
【0404】
実施例51:(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−1−プロパノール
氷浴下、水素化ホウ素ナトリウム(1.2g)をIPA(50ml)に溶解し、メタノール(5ml)を加えた後,参考例1で得た化合物(5.0g)のIPA溶液を滴下した。50℃に昇温し1時間攪拌した後、塩酸(1mol/l)を加えしばらく攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出し、抽出溶液を水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥しろ過後、溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、油状物質として標題化合物を3.7g(84%)得た。
H−NMR(CDCl,270MHz)δ:1.21(d,J=6.3Hz,3H),1.77(brs,1H),3.55−3.71(m,4H),6.39−6.48(m,1H),6.75−6.87(m,1H)
IR:3394,2967,2933cm−1
MS;m/z:205(M
【0405】
実施例52:(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロパノール
室温にて、水素化ホウ素ナトリウム(35.7mg)をトルエン(0.2ml)に懸濁し、その溶液に(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸メチル(200mg、99.8%ee)のトルエン溶液(0.8ml)を加えた。反応液にメタノール(137.4mg)を加え、6時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を水、飽和塩化アンモニウム水溶液にて洗浄後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒留去後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、油状物質として標題化合物を162.9mg(99.8%ee)得た。H−NMRおよびIRスペクトルデータは実施例51で得た化合物と一致した。
【0406】
実施例53:(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロパノール
室温にて、水素化ホウ素ナトリウム(35.7mg)をクロロベンゼン(0.2ml)に懸濁し、その溶液に(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸メチル(200mg,99.8%ee)のクロロベンゼン溶液(0.8ml)を加えた。反応液にメタノール(137.4mg)を加え、6時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を水、飽和塩化アンモニウム水溶液にて洗浄後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒留去後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、油状物質として標題化合物を162.9mg(99.8%ee)得た。H−NMRおよびIRスペクトルデータは実施例51で得た化合物と一致した。
【0407】
実施例54:(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロパノール
室温にて、水素化ホウ素ナトリウム(35.7mg)をヘキサン(0.2ml)に懸濁し、その溶液に(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸メチル(200mg,99.8%ee)のヘキサン溶液(0.8ml)を加えた。反応液にメタノール(137.4mg)を加え、1時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を水、飽和塩化アンモニウム水溶液にて洗浄後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒留去後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、油状物質として標題化合物を176mg(99.8%ee)得た。なお、H−NMRおよびIRスペクトルデータは実施例51で得た化合物と一致した。
【0408】
実施例55:(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロパノール
室温にて、水素化ホウ素ナトリウム(35.7mg)をシクロヘキサン(0.2ml)に懸濁し、その溶液に(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸メチル(200mg,99.8%ee)のシクロヘキサン溶液(0.8ml)を加えた。反応液にメタノール(137.4mg)を加え、6時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を水、飽和塩化アンモニウム水溶液にて洗浄後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒留去後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、油状物質として標題化合物を176mg(99.8%ee)得た。なお、H−NMRおよびIRスペクトルデータは実施例51で得た化合物と一致した。
【0409】
実施例56:(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロパノール
室温にて、水素化ホウ素ナトリウム(35.7mg)をIPE(0.2ml)に懸濁し、その溶液に(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸メチル(200mg,99.8%ee)のIPE溶液(0.8ml)を加えた。反応液にメタノール(137.4mg)を加え、2時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を水、飽和塩化アンモニウム水溶液にて洗浄後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒留去後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、油状物質として標題化合物を176mg(99.8%ee)得た。なお、H−NMRおよびIRスペクトルデータは実施例51で得た化合物と一致した。
【0410】
実施例57:(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロパノール
室温にて、水素化ホウ素ナトリウム(35.7mg)をメチルt−ブチルエーテル(0.2ml)に懸濁し、その溶液に(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸メチル(200mg,99.8%ee)のメチルt−ブチルエーテル溶液(0.8ml)を加えた。反応液にメタノール(137.4mg)を加え、1時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を水、飽和塩化アンモニウム水溶液にて洗浄後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒留去後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、油状物質として標題化合物を176mg(99.8%ee)得た。なお、H−NMRおよびIRスペクトルデータは実施例51で得た化合物と一致した。
【0411】
実施例58:(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロパノール
室温にて、水素化ホウ素ナトリウム(35.7mg)をTHF(0.2ml)に懸濁し、その溶液に(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸メチル(200mg,99.8%ee)のTHF溶液(0.8ml)を加えた。反応液にメタノール(137.4mg)を加え、1時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を水、飽和塩化アンモニウム水溶液にて洗浄後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒留去後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、油状物質として標題化合物を176mg(99.8%ee)得た。H−NMRおよびIRスペクトルデータは実施例51で得た化合物と一致した。
【0412】
実施例59:(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロパノール
室温にて、水素化ホウ素ナトリウム(35.7mg)を1,2−ジメトキシエタン(0.2ml)に懸濁し、その溶液に(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸メチル(200mg,99.8%ee)のDME溶液(0.8ml)を加えた。反応液にメタノール(137.4mg)を加え、1時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を水、飽和塩化アンモニウム水溶液にて洗浄後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒留去後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、油状物質として標題化合物を176mg(99.8%ee)得た。なお、H−NMRおよびIRスペクトルデータは実施例51で得た化合物と一致した。
【0413】
実施例60:(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロパノール
室温にて、水素化ホウ素ナトリウム(35.7mg)をクロロホルム(0.2ml)に懸濁し、その溶液に(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸メチル(200mg,99.8%ee)のクロロホルム溶液(0.8ml)を加えた。反応液にメタノール(137.4mg)を加え、6時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を水、飽和塩化アンモニウム水溶液にて洗浄後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒留去後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、油状物質として標題化合物を137.3mg(99.8%ee)得た。なお、H−NMRおよびIRスペクトルデータは実施例51で得た化合物と一致した。
【0414】
実施例61:(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロパノール
室温にて、水素化ホウ素ナトリウム(35.7mg)を塩化メチレン(0.2ml)に懸濁し、その溶液に(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸メチル(200mg,99.8%ee)の塩化メチレン溶液(0.8ml)を加えた。反応液にメタノール(137.4mg)を加え、1時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を水、飽和塩化アンモニウム水溶液にて洗浄後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒留去後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、油状物質として標題化合物を159.8mg(99.8%ee)得た。なお、H−NMRおよびIRスペクトルデータは実施例51で得た化合物と一致した。
【0415】
実施例62:(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロパノール
室温にて、水素化ホウ素ナトリウム(35.7mg)を1、2−ジクロロエタン(EDC;0.2ml)に懸濁し、その溶液に(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロピオン酸メチル(200mg,99.8%ee)のEDC溶液(0.8ml)を加えた。反応液にメタノール(137.4mg)を加え、1時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を水、飽和塩化アンモニウム水溶液にて洗浄後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒留去後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、油状物質として標題化合物を159.8mg(99.8%ee)得た。なお、H−NMRおよびIRスペクトルデータは実施例51で得た化合物と一致した。
【0416】
実施例63:ジエチル[2,3,4−トリフルオロ[(1S)−2−ヒドロキシ−1−メチルエチル]アニリノ]メチレンマロネート
実施例51で得た化合物(300mg)、エトキシメチレンマロン酸ジエチル(632mg)およびテトラヘキシルアンモニウムクロリド(57mg)をアセトン(3ml)に溶解し、炭酸カリウム(445mg)加え、室温で4.5時間攪拌した。反応終了後、溶媒を留去し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、白色固体の標題化合物を338mg(84%)得た。
H−NMR(CDCl,270MHz)δ:1.13(t,J=7.26Hz,3H),1.23(t,J=7.26Hz,3H),2.34(brs,1H),3.62−3.81(m,5H),4.16(q,J=7.26,2H),6.87−7.11(m,2H),7.70(s,1H)
IR(KBr):3451,3093,2989,1706,1678cm−1
MS;m/z:375(M
【0417】
実施例64:ジエチル[2,3,4−トリフルオロ[(1S)−2−ヒドロキシ−1−メチルエチル]アニリノ]メチレンマロネート
実施例51で得た化合物(103mg)、エトキシメチレンマロン酸ジエチル(108mg)およびテトラヘキシルアンモニウムクロリド(29mg)をジクロロメタン(1ml)に溶解し、炭酸カリウム(138mg)加え、室温で22時間攪拌した。反応終了後、残留物を濾去し溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、白色固体の標題化合物を147mg(78%)得た。H−NMRおよびIRスペクトルデータは実施例63で得た化合物と一致した。
【0418】
実施例65:ジエチル[2,3,4−トリフルオロ[(1S)−2−ヒドロキシ−1−メチルエチル]アニリノ]メチレンマロネート
DMF(2ml)にカリウムターシャリーブトキシド(62mg)を加え0℃に冷却した後、実施例51で得た化合物(100mg)のDMF(200μl)溶液を滴下した。15分攪拌した後、エトキシメチレンマロン酸ジエチルを滴下し室温で8時間攪拌した。通常の後処理をした後、カラムクロマトグラフィーに付し、白色固体の標題化合物137mg(75%)を得た。H−NMRおよびIRスペクトルデータは実施例63で得た化合物と一致した。
【0419】
実施例66:ジエチル[2,3,4−トリフルオロ[(1S)−2−ヒドロキシ−1−メチルエチル]アニリノ]メチレンマロネート
実施例51で得た化合物(100mg)にエトキシメチレンマロン酸ジエチル(127mg)を加えた後、常圧で100℃に加熱しながら1時間攪拌した。さらに減圧下同温で1.5時間攪拌し、常圧に戻し16時間攪拌した。実施例63の化合物を標品とした逆相系HPLCにて分析した結果、標題化合物142mg(78%)相当であった。
【0420】
実施例67:ジメチル[2,3,4−トリフルオロ[(1S)−2−ヒドロキシ−1−メチルエチル]アニリノ]メチレンマロネート
実施例51で得た化合物(103mg)およびメトキシメチレンマロン酸ジメチル(87mg)をトルエン(3ml)に溶解し、21時間加熱還流した後、残留物を濾去し溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、白色結晶の標題化合物125mg(72%)を得た。
H−NMR(CDCl,270MHz)δ:1.22−1.25(m,3H),3.27(s,1H),3.57−3.82(m,8H),6.96−7.10(m,2H),7.76(s,1H)
IR(KBr):3452,2954,1722cm−1
MS;m/z:347(M),316,284
【0421】
実施例68:ジエチル[2,3,4−トリフルオロ[(1S)−2−ヒドロキシ−1−メチルエチル]アニリノ]メチレンマロネート
室温にて、水酸化カリウム(330mg)およびテトラヘキシルアンモニウムクロリド(190.1mg)をDMF(15ml)に溶解し、(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロパノール(1g,99.8%ee)およびエトキシメチレンマロン酸ジエチル(2.09g)のDMF溶液(5ml)を加え、1時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチル−n−ヘキサン(3:2)の混合溶媒にて抽出した。有機層を水にて洗浄後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒留去後、得られた粗体にIPEを加え、0℃にて1時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、得られた湿体を減圧乾燥し、標題化合物(1.65g、99.8%ee)を白色結晶として得た。H−NMRおよびIRスペクトルデータは実施例63で得た化合物と一致した。
【0422】
実施例69:ジエチル[2,3,4−トリフルオロ[(1S)−2−ヒドロキシ−1−メチルエチル]アニリノ]メチレンマロネート
室温にて、水酸化カリウム(330mg)およびテトラブチルアンモニウムハイドロゲンサルフェート(82.7mg)をDMF(15ml)に溶解し、(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロパノール(1g,99.8%ee)およびエトキシメチレンマロン酸ジエチル(2.09g)のDMF溶液(5ml)を加え、1時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチル−n−ヘキサン(3:2)の混合溶媒にて抽出した。有機層を水にて洗浄後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒留去後、得られた粗体にIPEを加え、0℃にて1時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、得られた湿体を減圧乾燥し、標題化合物(1.7g、99.8%ee)を白色結晶として得た。なお、H−NMRおよびIRスペクトルデータは実施例63で得た化合物と一致した。
【0423】
実施例70:ジエチル[2,3,4−トリフルオロ[(1S)−2−ヒドロキシ−1−メチルエチル]アニリノ]メチレンマロネート
室温にて、水酸化カリウム(330mg)およびテトラブチルアンモニウムハイドロゲンサルフェート(82.7mg)をDMF(15ml)に溶解し、(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロパノール(1g,99.8%ee)およびエトキシメチレンマロン酸ジエチル(2.09g)のDMF溶液(5ml)を加え、1時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチル−n−ヘキサン(3:2)の混合溶媒にて抽出した。有機層を水にて洗浄後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒留去後、得られた粗体にIPEを加え、0℃にて1時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、得られた湿体を減圧乾燥し、標題化合物(1.65g、99.8%ee)を白色結晶として得た。なお、H−NMRおよびIRスペクトルデータは実施例63で得た化合物と一致した。
【0424】
実施例71:ジエチル[(3S)−7,8−ジフルオロ−3−メチル−2,3−ジヒドロ−4H−[1,4]ベンゾオキサジン−4−イル]メチレンマロネート
DMF(5ml)に、氷冷下、カリウムター シャリーブトキシド(74mg)を加え、実施例63で得た化合物(200mg)のDMF(1ml)溶液を滴下した後、60℃で18時間攪拌した。通常の後処理をした後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、油状の標題化合物を149mg(79%)得た。得られた化合物の物理定数は特許第2769174号記載のものと一致した。
【0425】
実施例72:ジエチル[(3S)−7,8−ジフルオロ−3−メチル−2,3−ジヒドロ−4H−[1,4]ベンゾオキサジン−4−イル]メチレンマロネート
DMF(2ml)に、氷冷下、カリウムターシャリーブトキシド(226mg)を加え、実施例51で得た化合物(100mg)とエトキシメチレンマロン酸ジエチル(293mg)のDMF(0.5ml)溶液を滴下したのち、室温で18時間攪拌した。通常の後処理をした後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、油状の標題化合物113mg(65%)得た。得られた化合物の物理定数は特許第2769174号記載のものと一致した。
【0426】
実施例73:ジエチル[(3S)−7,8−ジフルオロ−3,4−ジヒドロ−3−メチル−2H−[1,4]ベンゾオキサジン−4−イル]メチレンマロネート
水酸化カリウム(180mg)およびテトラブチルアンモニウムハイドロゲンサルフェート(90.4mg)をDMF(15ml)中、60℃にて加熱溶解し、ジエチル[2,3,4−トリフルオロ[(1S)−2−ヒドロキシ−1−メチルエチル]アニリノ]メチレンマロネート(1g,99.8%ee)およびエトキシメチレンマロン酸ジエチル(120mg)のDMF溶液(5ml)を加えた。そのままの温度にて、2時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルにて抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒留去後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、黄色油状物質として標題化合物を852mg(99.8%ee)得た。なお、各種スペクトルデータは、特許第2769174号記載のものと一致した。
【0427】
実施例74:ジエチル[(3S)−7,8−ジフルオロ−3,4−ジヒドロ−3−メチル−2H−[1,4]ベンゾオキサジン−4−イル]メチレンマロネート
水酸化カリウム(180mg)およびベンジルトリメチルアンモニウムクロリド(49.5mg)をDMF(15ml)中、70℃にて加熱溶解し、ジエチル[2,3,4−トリフルオロ[(1S)−2−ヒドロキシ−1−メチルエチル]アニリノ]メチレンマロネート(1g,99.8%ee)およびエトキシメチレンマロン酸ジエチル(120mg)のDMF溶液(5ml)を加えた。そのままの温度にて、4時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルにて抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒留去後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、黄色油状物質として標題化合物を871mg(99.8%ee)得た。なお、各種スペクトルデータは、特許第2769174号記載のものと一致した。
【0428】
実施例75:ジエチル[(3S)−7,8−ジフルオロ−3,4−ジヒドロ−3−メチル−2H−[1,4]ベンゾオキサジン−4−イル]メチレンマロネート
水酸化カリウム(180mg)およびベンジルトリエチルアンモニウムクロリド(60.7mg)をDMF(15ml)中、60℃にて加熱溶解し、ジエチル[2,3,4−トリフルオロ[(1S)−2−ヒドロキシ−1−メチルエチル]アニリノ]メチレンマロネート(1g,99.8%ee)およびエトキシメチレンマロン酸ジエチル(120mg)のDMF溶液(5ml)を加えた。そのままの温度にて、7時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルにて抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒留去後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、黄色油状物質として標題化合物を899mg(99.8%ee)得た。なお、各種スペクトルデータは、特許第2769174号記載のものと一致した。
【0429】
実施例76:ジエチル[(3S)−7,8−ジフルオロ−3,4−ジヒドロ−3−メチル−2H−[1,4]ベンゾオキサジン−4−イル]メチレンマロネート
室温にて、KOH(330mg)およびテトラヘキシルアンモニウムクロリド(190.1mg)をDMF(15ml)に溶解し、(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロパノール(1g,99.8%ee)およびエトキシメチレンマロン酸ジエチル(2.09g)のDMF溶液(5ml)を加え、1時間攪拌した。次いで,60℃に昇温し,KOH(330mg)およびエトキシメチレンマロン酸ジエチル(120mg)のDMF溶液(5ml)を加えた。そのままの温度にて、5時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルにて抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒留去後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、黄色油状物質として標題化合物を1.37g(99.8%ee)得た。なお、各種スペクトルデータは、特許第2769174号記載のものと一致した。
【0430】
実施例77:ジエチル[(3S)−7,8−ジフルオロ−3,4−ジヒドロ−3−メチル−2H−[1,4]ベンゾオキサジン−4−イル]メチレンマロネート
室温にて、KOH(330mg)およびテトラブチルアンモニウムハイドロゲンサルフェート(82.7mg)をDMF(15ml)に溶解し、(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロパノール(1g,99.8%ee)およびエトキシメチレンマロン酸ジエチル(2.09g)のDMF溶液(5ml)を加え、1時間攪拌した。次いで,60℃に昇温し,KOH(330mg)およびエトキシメチレンマロン酸ジエチル(120mg)のDMF溶液(5ml)を加えた。そのままの温度にて、5時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルにて抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒留去後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、黄色油状物質として標題化合物を1.3g(99.8%ee)得た。なお、各種スペクトルデータは、特許第2769174号記載のものと一致した。
【0431】
実施例78:(3S)−(+)−7,8−ジフルオロ−3,4−ジヒドロ−3−メチル−2H−[1,4]ベンゾオキサジン
DMF(2ml)にソジウムハイドライド(39mg)を加えオイルバスで60℃に加熱した後、実施例51で得られた化合物(100mg)のDMF溶液を滴下し、1時間攪拌した。通常の後処理をした後、カラムクロマトグラフィーに付し、標題化合物60mg(66%)を得た。HPLCによる光学純度は>94%eeであった。各種スペクトルデータは別途合成した標品と一致した。
【0432】
実施例79:(3S)−(+)−7,8−ジフルオロ−3,4−ジヒドロ−3−メチル−2H−[1,4]ベンゾオキサジン
DMF(2ml)に、氷冷下、カリウムターシャリーブトキシド(110mg)を加え、実施例51で得られた化合物(100mg)のDMFを滴下し、30分攪拌した。通常の後処理をした後、カラムクロマトグラフィーに付し、標題化合物72mg(79%)を得た。HPLCによる光学純度は>94%eeであった。各種スペクトルデータは別途合成した標品と一致した。
【0433】
実施例80:(3S)−7,8−ジフルオロ−3−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−[1,4]ベンゾオキサジン・p−トルエンスルホン酸塩
ナトリウム ターシャリーブトキシド(t−BuONa;748mg)にDMAc(8ml)を加え、80℃で加熱溶解し、そのままの温度にて、(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロパノール(1.0g;99.8%ee)のDMAc(2ml)溶液を加えた。30分攪拌し放冷後、室温にて水(30ml)添加し、酢酸エチル(AcOEt;20ml)にて3回抽出した。抽出した有機層を減圧濃縮し、得られた溶液をp−トルエンスルホン酸・1水和物(927.5mg)のAcOEt(10ml)溶液中へ滴下した。室温にてさらに1時間攪拌した後、AcOEt(7ml)で洗浄しながら結晶を濾取した。得られた湿体を減圧乾燥し、標題化合物(1.6g)を白色結晶として得た。H−NMR(270MHz,CDOD)δ:1.43(d,3H,J=5.7Hz),2.34(d,3H,J=12.2Hz),3.85−3.89(m,1H),4.09−4.17(m,1H),7.22−7.32(m,1H),6.77−6.89(m,1H)
融点:131−133℃(分解点)
元素分析:C1617NOSとして;
計算値:C,53.77;H,4.79;N,3.92%
実測値:C,53.80;H,4.81;N,3.86%
【0434】
実施例81:(3S)−7,8−ジフルオロ−3−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−[1,4]ベンゾオキサジン・p−トルエンスルホン酸塩
カリウムターシャリーブトキシド(t−BuOK;1.24g)にDMF(18ml)を加え、80℃で加熱溶解し、そのままの温度にて、(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロパノール(1.0g,99.8%ee)のDMF(2ml)溶液を加えた。30分攪拌し放冷後、室温にて水(40ml)添加し、AcOEt(20ml)にて3回抽出した。抽出した有機層を減圧濃縮し、得られた溶液をp−トルエンスルホン酸・1水和物(927.5mg)のAcOEt(10ml)溶液中へ適下した。室温にてさらに1時間攪拌し、AcOEt(7ml)で洗浄しながら結晶を濾取した。得られた結晶を減圧乾燥し、標題化合物(1.39g)を白色結晶として得た。なお、各種スペクトルデータは実施例80で得たものと一致した。
【0435】
実施例82:(3S)−7,8−ジフルオロ−3−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−[1,4]ベンゾオキサジン・p−トルエンスルホン酸塩
水素化ナトリウム(NaH;262mg)にDMF(18ml)を加え、80℃で加熱溶解し、そのままの温度にて、(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロパノール(1.0g,99.8%ee)のDMF(2ml)溶液を加えた。30分攪拌し放冷後、室温にて水(40ml)添加し、AcOEt(20ml)にて3回抽出した。抽出した有機層を減圧濃縮し、得られた溶液をp−トルエンスルホン酸・1水和物(927.5mg)のAcOEt(10ml)溶液中へ適下した。室温にてさらに1時間攪拌し、AcOEt(7ml)で洗浄しながら結晶を濾取した。得られた結晶を減圧乾燥し、標題化合物(1.14g)を白色結晶として得た。なお、各種スペクトルデータは実施例80で得たものと一致した。
【0436】
実施例83:(3S)−7,8−ジフルオロ−3−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−[1,4]ベンゾオキサジン
(3S)−7,8−ジフルオロ−3−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−[1,4]ベンゾオキサジン・p−トルエンスルホン酸塩(1g)をAcOEt(10ml)中に懸濁させた後、炭酸水素ナトリウム水溶液(NaHCO;10ml)を加えた。室温にて1時間攪拌した後、AcOEtにて抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、減圧濃縮し、標題化合物(516mg,99.8%ee)を黄色油状物として得た。
H−NMR(270MHz,CDCl)δ:2.16(s,3H),4.60(s,2H),6.28(ddd,1H,J=2.3,4.7,8.9Hz),6.50−6.80(m,1H)
【0437】
実施例84:(3S)−7,8−ジフルオロ−3−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−[1,4]ベンゾオキサジン・メタンスルホン酸塩
t−BuONa(748mg)にDMAc(8ml)を加え、80℃で加熱溶解し、そのままの温度にて、(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロパノール(1.0g,99.8%ee)のDMAc(2ml)溶液を加えた。30分攪拌し放冷後、室温にて水(30ml)添加し、AcOEt(20ml)にて3回抽出した。有機層をあわせて減圧濃縮し、得られた溶液をメタンスルホン酸(468.4mg)のAcOEt(5ml)溶液中へ添加した。さらに室温にて1時間攪拌し、AcOEt(5ml)で洗浄しながら結晶を濾取した。得られた湿体を減圧乾燥し、標題化合物(960.4mg)を白色結晶として得た。
H−NMR(270MHz,CDOD):1.45(d,3H,J=6.8Hz),2.68(s,3H),3.89−3.93(m,1H),4.17(dd,1H,J=8.9,12.2Hz)),4.57(dd,1H,J=2.7,11.9Hz),6.96−7.15(m,2H)
融点:131−133℃(分解点)
元素分析:C1013NOSとして;
計算値:C,42.70;H,4.66%;N,4.98%
実測値:C,42.70;H,4.66%;N,4.92%
【0438】
実施例85:(3S)−7,8−ジフルオロ−3−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−[1,4]ベンゾオキサジン・メタンスルホン酸塩
t−BuOK(1.24g)にDMF(18ml)を加え、80℃で加熱溶解し、そのままの温度にて、(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロパノール(1.0g,99.8%ee)のDMF(2ml)溶液を加えた。30分攪拌し放冷後、室温にて水(30ml)添加し、AcOEt(20ml)にて3回抽出した。有機層をあわせて減圧濃縮し、得られた溶液をメタンスルホン酸(468.4mg)のAcOEt(5ml)溶液中へ添加した。さらに室温にて1時間攪拌し、AcOEt(5ml)で洗浄しながら結晶を濾取した。得られた湿体を減圧乾燥し、標題化合物(875mg)を白色結晶として得た。なお、各種スペクトルデータは実施例84で得たものと一致した。
【0439】
実施例86:(3S)−7,8−ジフルオロ−3−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−[1,4]ベンゾオキサジン・メタンスルホン酸塩
NaH(262mg)にDMF(18ml)を加え、80℃で加熱溶解し、そのままの温度にて(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロパノール(1.0g,99.8%ee)のDMF(2ml)溶液を加えた。30分攪拌し放冷後、室温にて水(30ml)添加し、AcOEt(20ml)にて3回抽出した。有機層をあわせて減圧濃縮し、得られた溶液をメタンスルホン酸(468.4mg)のAcOEt(5ml)溶液中へ添加した。さらに室温にて1時間攪拌し、AcOEt(5ml)で洗浄しながら結晶を濾取した。得られた湿体を減圧乾燥し、標題化合物(894mg)を白色結晶として得た。なお、各種スペクトルデータは実施例84で得たものと一致した。
【0440】
実施例87:(3S)−7,8−ジフルオロ−3−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−[1,4]ベンゾオキサジン
(3S)−7,8−ジフルオロ−3−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−[1,4]ベンゾオキサジン・p−トルエンスルホン酸塩(1g)をAcOEt(10ml)中に懸濁させた後、NaHCO水溶液(10ml)を加えた。室温にて1時間攪拌した後、AcOEtにて抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、減圧濃縮し、標題化合物(645.2mg,99.8%ee)を黄色油状物として得た。なお、各種スペクトルデータは実施例83で得たものと一致した。
【0441】
実施例88:(3S)−7,8−ジフルオロ−3−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−[1,4]ベンゾオキサジン・(±)−カンファースルホン酸塩
t−BuONa(748mg)にDMAc(8ml)を加え、80℃で加熱溶解し、そのままの温度にて、(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロパノール(1.0g,99.8%ee)のDMAc(2ml)溶液を加えた。30分攪拌溶解し放冷後、室温にて水(30ml)添加し、AcOEt(20ml)にて3回抽出した。有機層をあわせて減圧濃縮し、得られた溶液を(±)−カンファースルホン酸(1.137g)の5%EtOH(エタノール)/AcOEt(7ml)溶液中に添加した。さらに室温にて1時間攪拌し、AcoEt(7ml)で洗浄しながら結晶を濾取した。得られた湿体を減圧乾燥し、標題化合物(1.8g)を白色結晶として得た。
H−NMR(270MHz,CDOD):0.613(s,3H),0.847(s,3H),1.36−1.46(m,1H),1.45(d,3H,J=6.5Hz),1.55−1.65(m,1H),1.88(d,1H,J=18.4Hz),1.98−2.06(m,2H),2.76(d,1H,J=14.6Hz),3.27(d,1H,J=14.6Hz),3.85−3.97(m,1H),4.18(dd,1H,J=8.6,12.2Hz),4.57(dd,1H,J=2.7,11.9Hz),6.49−7.19(m,2H)
融点:232−236℃(分解点)
元素分析:C1925NOSとして;
計算値:C,54.66;H,6.04;N,3.36%
実測値:C,54.63;H,6.04;N,3.29%
【0442】
実施例89:(3S)−7,8−ジフルオロ−3−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−[1,4]ベンゾオキサジン・(±)−カンファースルホン酸塩
t−BuOK(1.24g)にDMF(18ml)を加え、80℃で加熱溶解し、そのままの温度にて、(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロパノール(1.0g,99.8%ee)のDMF(2ml)溶液を加えた。30分攪拌溶解し放冷後、室温にて水(30ml)添加し、AcOEt(20ml)にて3回抽出した。有機層をあわせて減圧濃縮し、得られた溶液を(±)−カンファースルホン酸(1.137g)の5%EtOH/AcoEt(7ml)溶液中に添加した。さらに室温にて1時間攪拌し、AcOEt(7ml)で洗浄しながら結晶を濾取した。得られた湿体を減圧乾燥し、標題化合物(1.72g)を白色結晶として得た。なお、各種スペクトルデータは実施例88で得たものと一致した。
【0443】
実施例90:(3S)−7,8−ジフルオロ−3−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−[1,4]ベンゾオキサジン・(±)−カンファースルホン酸塩
NaH(242mg)にDMF(18ml)を加え、80℃で加熱溶解し、そのままの温度にて、(2S)−2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)−プロパノール(1.0g)のDMF(2ml)溶液を加えた。30分攪拌溶解し放冷後、室温にて水(30ml)添加し、AcOEt(20ml)にて3回抽出した。有機層をあわせて減圧濃縮し、得られた溶液を(±)−カンファースルホン酸(1.137g)の5%EtOH/AcOEt(7ml)溶液中に添加した。さらに室温にて1時間攪拌し、AcOEt(7ml)で洗浄しながら結晶を濾取した。得られた湿体を減圧乾燥し、標題化合物(1.41g)を白色結晶として得た。なお、各種スペクトルデータは実施例88で得たものと一致した。
【0444】
実施例91:(3S)−7,8−ジフルオロ−3−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−[1,4]ベンゾオキサジン
(3S)−7,8−ジフルオロ−3−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−[1,4]ベンゾオキサジン・p−トルエンスルホン酸塩(1g)をAcOEt(10ml)中に懸濁させた後、NaHCO水溶液(10ml)を加えた。室温にて1時間攪拌した後、AcOEtにて抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、減圧濃縮し、標題化合物(438.9mg,99.8%ee)を黄色油状物として得た。なお、各種スペクトルデータは実施例83で得たものと一致した。
【0445】
実施例92:ジエチル[(3S)−7,8−ジフルオロ−3−メチル−2,3−ジヒドロ−4H−[1,4]ベンゾオキサジン−4−イル]メチレンマロネート
DMF(2.5ml)に、氷冷下、カリウムターシャリーブトキシド(75mg)を加え、実施例78で得られた化合物(100mg)およびエトキシメチレンマロン酸ジエチル(233mg)のDMF(0.5ml)溶液を滴下し、2時間攪拌した。通常の後処理をした後、カラムクロマトグラフィーに付し、油状の標題化合物153mg(88%)を得た。得られた化合物の物理定数は特許第2769174号記載のものと一致した。
【0446】
実施例93:ジエチル[(3S)−7,8−ジフルオロ−3−メチル−2,3−ジヒドロ−4H−[1,4]ベンゾオキサジン−4−イル]メチレンマロネート
(3S)−7,8−ジフルオロ−3−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−[1,4]ベンゾオキサジン1.20g(99.8%ee)をトルエン0.5mlに溶解し、エトキシメチレンマロン酸ジエチル(1.92g)を加え、120にて30分間攪拌後、減圧下、140℃にて30分間攪拌した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、黄色油状物質として標題化合物2.19g(99.8%ee)を得た。得られた化合物の物理定数は特許第2769174号記載のものと一致した。
【0447】
実施例94:2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)プロピル 4−ニトロベンゾエート
2−ヒドロキシプロピル 4−ニトロベンゾエート(225mg)をジクロロメタン(1ml)に攪拌溶解し、−50℃にて無水トリフルオロメタンスルホン酸(339mg)をジクロロメタン(1ml)に溶解した溶液を加えた。同温で30分攪拌した後、0℃にてジクロロメタンを減圧留去した。残留物をジクロロメタン(1ml)に溶解した後、2,3,4−トリフルオロアニリン(147.1mg)をジクロロメタン(1ml)に溶解した溶液を0℃にて滴下し、同温にて30分攪拌した。その溶液にジクロロメタン(10ml)を添加し、水(10ml)で洗浄した。そのジクロロメタン層を減圧濃縮し、得られた残留物をシリカゲルクロマトグラフィーにて分離精製を行って、黄色結晶の標題化合物を159.4mg(45%)得た。
H−NMR(270MHz,CDCl)δ:1.38(d,6.6Hz,3H),3.76−3.92(m,2H),4.30(dd,J=5.3,11.2Hz,1H),4.49(dd,J=5.3,11.2Hz,1H)6.46−6.55(m,1H),6.77−6.88(m,1H),8.17(dd,J=2.0,6.9Hz,2H),8.29(dd,J=2.0,6.9Hz,1H)
【0448】
実施例95:2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)プロパノール
2−(2,3,4−トリフルオロアニリノ)プロピル 4−ニトロベンゾエート(50mg)、水酸化カリウム(11.8mg)、メタノール(2ml)を加え攪拌溶解し室温にて18時間攪拌した。メタノールを減圧留去した後、クロロホルム(5ml)、水(5ml)を加え、分液を行った。クロロホルム層を濃縮し、シリカゲルクロマログラフィーにより精製分離して、無色オイル状の標題化合物を19.8mg(69.1%)得た。
H−NMR(270MHz,CDCl)δ:1.22(d,J=5.9Hz,3H),3.55−3.74(m,4H),6.3−6.5(m,1H),6.76−6.87(m,1H)
【0449】
実施例96:2−ヒドロキシプロピル 4−ニトロベンゾエート
2−ヒドロキシプロパノール(4.57g)をトルエン(80ml)に攪拌溶解し、0℃にてトリエチルアミン(6.68g)を滴下した。30分同温で攪拌後、p−ニトロベンゾイルクロリド(11.4g)をトルエン(12ml)に溶解した溶液を徐々に加えた。室温に昇温し2時間攪拌した後、ジクロロメタン(50ml)を添加し、析出した結晶を溶解させた。溶液を希炭酸水素ナトリウム水溶液(100ml)で洗浄後、塩酸水溶液(0.5mol/l)で更に洗浄した。得られた有機層を濃縮し、残留物をトルエン(45ml)に加熱溶解した後、室温で放冷晶析した。析出した結晶を濾取、減圧乾燥して、黄色結晶の標題化合物を6.90g(51%)得た。
H−NMR(270MHz,CDCl)δ:1.32(d,3.6Hz,3H),4.24−4.42(m,3H),8.22−8.33(m,4H)
【0450】
実施例97:(3S)−(−)−9,10−ジフルオロ−3−メチル−7−オキソ−2,3−ジヒドロ−7H−ピリド[1,2,3−de][1,4]ベンゾオキサジン−6−カルボン酸エチルエステル
S−(−)−7,8−ジフルオロ−3−メチル−2,3−ジヒドロ−4H−[1,4]ベンゾオキサジン(15.8g)に、ジエチル エトキシメチレンマロネート(24.0g)を加え、減圧下に130〜140℃で1時間攪拌した。冷後、反応液を無水酢酸(50ml)に溶解し、氷冷撹拌下これに無水酢酸−濃硫酸(2:1,V/V)混合液(80ml)を少量ずつ滴加した。室温で1時間攪拌後、浴温50〜60℃で30分撹拌した。反応液に氷水を加えた後、粉末の炭酸カリウムを加えて中和しクロロホルムで抽出した。抽出液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、次いで飽和食塩水で洗浄し、芒硝乾燥した。クロロホルムを留去し、残留物にジエチルエーテルを加え、結晶を濾取して標記の化合物20.0gを得た。
融点:257〜258℃[α]=−68.1°(c=0.250,酢酸)
【0451】
実施例98:(3S)−(−)−9,10−ジフルオロ−3−メチル−7−オキソ−2,3−ジヒドロ−7H−ピリド[1,2,3−de][1,4]ベンゾオキサジン−6−カルボン酸
上記で得たエステル体(19.5g)を酢酸(150ml)に溶解し、濃塩酸(400ml)を加え3時間還流した。冷後析出晶を濾取し、水、エタノール、ジエチルエーテルで順次洗浄し乾燥して標記のカルボン酸16.2gを得た。
融点>300℃[α]=−65.6°(c=0.985,DMSO)
【0452】
実施例99:(3S)−(−)−9−フルオロ−3−メチル−10−(4−メチル−1−ピペラジニル)−7−オキソ−2,3−ジヒドロ−7H−ピリド[1,2,3−de][1,4]ベンゾオキサジン−6−カルボン酸(レボフロキサシン
上記で得たカルボン酸(14.3g)をジエチルエーテル(600ml)に懸濁し、三フッ化ホウ素ジエチルエーテルコンプレックス(70ml)を加え、室温で5時間攪拌した。上澄を傾瀉で除去し、残留物にジエチルエーテルを加えて濾取し、ジエチルエーテルで洗浄後乾燥した。このものをジメチルスルホキシド(100ml)に溶解し、トリエチルアミン(14.2ml)およびN−メチルピペラジン(7.3ml)を加え室温で18時間攪拌した。溶媒を減圧留去し、残留物にジエチルエーテルを加え、濾取した黄色粉末を95%メタノール(400ml)に懸濁し、トリエチルアミン(25ml)を加え、25時間加熱還流した。溶媒を減圧留去し、残留物を10%塩酸(500ml)に溶解し、クロロホルムで3回洗浄後水酸化ナトリウム水溶液(4mol/l)でpH11とし、再び塩酸(1mol/l)でpH7.3に調整してクロロホルム(2000ml×3)で抽出、芒硝乾燥した。クロロホルムを留去し、得られた結晶性固体をエタノール−ジエチルエーテルより再結晶し、標記の化合物(レボフロキサシン)12.0gを得た。
融点:226〜230℃(分解)
[α]=−76.9°(c=0.655,NaOH(0.05mol/l))
【0453】
実施例100:(3S)−(−)−9−フルオロ−3−メチル−10−(4−メチル−1−ピペラジニル)−7−オキソ−2,3−ジヒドロ−7H−ピリド[1,2,3−de][1,4]ベンゾオキサジン−6−カルボン酸(レボフロキサシン)
S−(−)−9,10−ジフルオロ−3−メチル−7−オキソ−2,3−ジヒドロ−7H−ピリド−[1,2,3−de][1,4]ベンゾオキサジン−6−カルボン酸(281mg)をジエチルエーテル(30ml)に懸濁し、室温攪拌下、大過剰の三フッ化ホウ素ジエチルエーテルコンプレックスを加えて、45分間反応させた。沈殿物を濾取し、ジエチルエーテルで洗浄後減圧乾燥してホウ素キレート体を得た。
分解点>300℃[α]=−9.4°(c=0.490,DMSO)
元素分析:C13BFNOとして;
計算値:C,47.46;H,2.46;N,4.26
分析値:C,47.68;H,2.59;N,4.32
このキレート体(310mg)をジメチルスルホキシド(6ml)に溶解し、トリエチルアミン(0.32ml)およびN−メチルピペラジン(0.13ml)を加え、室温で17時間攪拌した後減圧乾固した。残留物をジエチルエーテルで洗浄した後、トリエチルアミン(0.5ml)を含む95%エタノール(20ml)に溶解して8時間加熱還流した。冷後減圧乾固して得た残留物を、希塩酸(5%)に溶解してクロロホルムと振り分け、水層を水酸化ナトリウム(1mol/l)でpH11とし、次いで塩酸(1mol/l)でpH7.4に調整した。これをクロロホルム(50ml×3)で抽出して芒硝乾燥後クロロホルムを留去し、得た粉末をエタノール−ジエチルエーテルより再結晶し、透明微針晶の標記の化合物120mgを得た。
融点:225〜227℃(分解)
元素分析:C1820FN・1/2HOとして;
計算値:C,58.37;H,5.72;N,11.35
分析値:C,58.17;H,5.58;N,11.27
【0454】
実施例101:(3S)−9,10−ジフルオロ−3−メチル−7−オキソ−2,3−ジヒドロ−7H−ピリド[1,2,3−de][1,4]ベンゾオキサジン−6−カルボン酸ボロンジフルオリドキレート錯体
(S)−ジエチル(7,8−ジフルオロ−3−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−[1,4]ベンゾオキサジン−4−イル)メチレンマロネート(2g)および無水酢酸(2ml)を混合して140℃にて47%三フッ化ホウ素・テトラヒドロフラン錯体(0.8ml)を加え、そのままの温度で1時間加熱攪拌した。生成する低沸点物を留去した後に反応液を室温までに冷却する。反応混合物にアセトン(10ml)を加えてそのままの温度で30分攪拌した。析出した結晶を集めてアセトンで洗浄し、標記の化合物1.55gを得た。
【0455】
実施例102:(3S)−(−)−9−フルオロ−3−メチル−10−(4−メチル−1−ピペラジニル)−7−オキソ−2,3−ジヒドロ−7H−ピリド[1,2,3−de][1,4]ベンゾオキサジン−6−カルボン酸(レボフロキサシン)
S−(−)−9,10−ジフルオロ−3−メチル−7−オキソ−2,3−ジヒドロ−7H−ピリド−[1,2,3−de][1,4]ベンゾオキサジン−6−カルボン酸(21mg)およびN−メチルピペラジン(30mg)を無水ジメチルスルホキシド(3ml)に溶解し,130〜140℃で1時間攪拌した。溶媒を減圧留去し、残留物にエタノール(2ml)を加え、析出した固体を濾取して少量のエタノールおよびエーテルで順次洗浄した。得られた粉末14mgを、シリカゲル5gのカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルム−メタノール−水(7:3:1)の下層溶液で溶出させてS−(−)−9−フルオロ−3−メチル−10−(4−メチル−1−ピペラジニル)−7−オキソ−2,3−ジヒドロ−7H−ピリド[1,2,3−de][1,4]ベンゾオキサジン−6−カルボン酸を得た。また、上記濾取母液を分取し、薄層クロマトグラフィ(シリカゲル、20×20cm、0.5mm)に付し、クロロホルム−メタノール−水(15:3:1)の下層溶液で展開して精製した。両者を合わせ目的物14mgの結晶を得た。融点:220〜228℃(分解)
元素分析:C1820FNとして;
計算値:C,59.82;H,5.58;N,11.63
分析値:C,60.01;H,5.69;N,11.53
MS(m/e);361(M
H−NMR(CDCl)δ(ppm):1.63(3H,d,J=7Hz),2.38(3H,s),2.54〜2.60(4H,m),3.40〜3.44(4H,m),4.35〜4.52(3H,m),7.76(1H,d),8.64(1H,s)

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

で表される化合物の製造法であって、次に示すProcess Cの方法によって式(VI−a)
【化2】

で表される化合物を得、この化合物を、三フッ化ホウ素化合物と処理して式
【化3】

で表されるホウ素キレート化合物に変換し、この化合物に4−メチルピペラジンを反応させて式
【化4】

で表される化合物とし、この化合物のホウ素キレートを切断除去する各プロセスからなることを特徴とする方法
Process C:
式(I)
【化5】

で表される化合物と式(II−1−a)
【化6】

で表される化合物とを、塩基存在下に反応させて式(III−1−a)
【化7】

で表される化合物を得、この化合物を還元して式(IV−a)
【化8】

で表される化合物とし、この化合物を塩基存在下に処理して式(VII−a)
【化9】

で表される化合物を得、この化合物に式
【化10】

で表される化合物を反応させる方法;
[上記の各式中、X1、X2およびX3は、各々独立してハロゲン原子を表し、Rは、脱離基を表し、R3は、水素原子またはカルボキシル基の保護基を表し、R5およびR6は、各々独立して炭素数1から6のアルキル基を表し、Yは、炭素数1から6のアルコキシ基、ハロゲン原子、またはジアルキルアミノ基(このアルキル基は炭素数1から6のアルキル基でよく、両者は同一でも異なっていてもよい。)を表す。]
【請求項2】

【化11】

で表される化合物の製造法であって、次に示すProcess Dの方法によって式(VI−a)
【化12】

で表される化合物を得、この化合物を、三フッ化ホウ素化合物と処理して式
【化13】

で表されるホウ素キレート化合物に変換し、この化合物に4−メチルピペラジンを反応させて式
【化14】

で表される化合物とし、この化合物のホウ素キレートを切断除去する各プロセスからなることを特徴とする方法
Process D:
式(I)
【化15】

で表される化合物と式(II−2−a)
【化16】

で表される化合物を、塩基存在下に反応させて式(III−2−a)
【化17】

で表される化合物を得、この化合物の水酸基の保護基を除去して式(IV−a)
【化18】

で表される化合物とし、この化合物を塩基存在下に処理して式(VII−a)
【化19】

で表される化合物を得、この化合物に式
【化20】

で表される化合物を反応させる方法;
[上記の各式中、X、XおよびXは、各々独立してハロゲン原子を表し、Rは、脱離基を表し、Rは、水酸基の保護基を表し、RおよびRは、各々独立して炭素数1から6のアルキル基を表し、Yは、炭素数1から6のアルコキシ基、ハロゲン原子、またはジアルキルアミノ基(このアルキル基は炭素数1から6のアルキル基でよく、両者は同一でも異なっていてもよい。)を表す。]
【請求項3】

【化21】

で表される化合物の製造法であって、次に示すProcess F1の方法によって式(VI−a)
【化22】

で表される化合物を得、この化合物を、三フッ化ホウ素化合物と処理して式
【化23】

で表されるホウ素キレート化合物に変換し、この化合物に4−メチルピペラジンを反応させて式
【化24】

で表される化合物とし、この化合物のホウ素キレートを切断除去する各プロセスからなることを特徴とする方法
Process F1:
式(I)
【化25】

で表される化合物と式(II−1)
【化26】

で表される化合物とを、塩基存在下に反応させて式(III−1)
【化27】

で表される化合物を得、この化合物を下記のMethod 1または2の方法;
Method 1
式(III−1)で表される化合物において、R3が水素原子でない化合物であるときは、該化合物をエステル不斉加水分解能を有する酵素、微生物の培養液、該微生物菌体、または該微生物菌体処理物で処理し、この処理の後に処理液から単離採取する方法。
Method 2
式(III−1)で表される化合物において、R3が水素原子である化合物であるときは、該化合物を光学活性有機塩基と反応させて光学分割する方法。
によって、式
【化28】

で表されるカルボン酸化合物を得、この化合物を式
−OH
で表されるアルコールの存在下でエステル化して式
【化29】

で表されるエステル化合物とし、この化合物を還元して式(IV−a)
【化30】

で表される化合物とし、この化合物を塩基存在下に処理して式(VII−a)
【化31】

で表される化合物を得、この化合物に式
【化32】

で表される化合物を反応させる方法。
[上記の各式中、X1、X2およびX3は、各々独立してハロゲン原子を表し、Rは、脱離基を表し、R3は、水素原子またはカルボキシル基の保護基を表し、R5およびR6は、各々独立して炭素数1から6のアルキル基を表し、Rは、カルボキシル基の保護基を表し、Yは、炭素数1から6のアルコキシ基、ハロゲン原子、またはジアルキルアミノ基(このアルキル基は炭素数1から6のアルキル基でよく、両者は同一でも異なっていてもよい。)を表す。]
【請求項4】

【化33】

で表される化合物の製造法であって、次に示すProcess F2の方法によって式(VI−a)
【化34】

で表される化合物を得、この化合物を、三フッ化ホウ素化合物と処理して式
【化35】

で表されるホウ素キレート化合物に変換し、この化合物に4−メチルピペラジンを反応させて式
【化36】

で表される化合物とし、この化合物のホウ素キレートを切断除去する各プロセスからなることを特徴とする方法
Process F2:
式(I)
【化37】

で表される化合物と式(II−1)
【化38】

で表される化合物とを、塩基存在下に反応させて式(III−1)
【化39】

で表される化合物を得、この化合物のうちのエステル化合物をエステル不斉加水分解能を有する酵素、微生物の培養液、該微生物菌体、または該微生物菌体処理物で処理し、この処理液から単離採取することによって、式
【化40】

で表されるエステル化合物を得、この化合物を還元して式(IV−a)
【化41】

で表される化合物とし、この化合物を塩基存在下に処理して式(VII−a)
【化42】

で表される化合物を得、この化合物に式
【化43】

で表される化合物を反応させる方法;
[上記の各式中、X1、X2およびX3は、各々独立してハロゲン原子を表し、Rは、脱離基を表し、R3は、水素原子またはカルボキシル基の保護基を表し、R5およびR6は、各々独立して炭素数1から6のアルキル基を表し、Yは、炭素数1から6のアルコキシ基、ハロゲン原子、またはジアルキルアミノ基(このアルキル基は炭素数1から6のアルキル基でよく、両者は同一でも異なっていてもよい。)を表す。]
【請求項5】

【化44】

で表される化合物の製造法であって、次に示すProcess Jの方法によって式(VI−a)
【化45】

で表される化合物を得、この化合物を、三フッ化ホウ素化合物と処理して式
【化46】

で表されるホウ素キレート化合物に変換し、この化合物に4−メチルピペラジンを反応させて式
【化47】

で表される化合物とし、この化合物のホウ素キレートを切断除去する各プロセスからなることを特徴とする方法。
Process J:

【化48】

で表される化合物に、式
CHCOCOOR
で表される化合物を反応させて、式
【化49】

で表される化合物を得、この化合物を不斉還元して式(III−1−a)
【化50】

で表される化合物を得、この化合物を還元して式(IV−a)
【化51】

で表される化合物とし、この化合物を塩基存在下に処理して式(VII−a)
【化52】

で表される化合物を得、この化合物に式
【化53】

で表される化合物を反応させる方法。
[上記の各式中、X1、X2およびX3は、各々独立してハロゲン原子を表し、R3は、水素原子またはカルボキシル基の保護基を表し、R5およびR6は、各々独立して炭素数1から6のアルキル基を表し、Rは、カルボキシル基の保護基を表し、Yは、炭素数1から6のアルコキシ基、ハロゲン原子、またはジアルキルアミノ基(このアルキル基は炭素数1から6のアルキル基でよく、両者は同一でも異なっていてもよい。)を表す。]
【請求項6】
Method 1が、式(III−1)
【化54】

で表される化合物のうちのエステル化合物を、エステル不斉加水分解能を有する酵素、微生物の培養液、該微生物菌体、または該微生物菌体処理物の存在下に処理し、この処理液から、式
【化55】

で表される化合物を分離除去することを特徴とする、式
【化56】

で表されるカルボン酸化合物の製造法である請求項3に記載の製造法。
(上記の各式中、X1、X2およびX3は、各々独立してハロゲン原子を表し、R3は、水素原子またはカルボキシル基の保護基を表す。)
【請求項7】
式(III−1−a)
【化57】

で表される化合物のうちのエステル化合物の製造法が、式(III−1)
【化58】

で表される化合物のうちのエステル化合物を、エステル不斉加水分解能を有する酵素、微生物の培養液、該微生物菌体、または該微生物菌体処理物の存在下に処理し、この処理液から、式
【化59】

で表されるカルボン酸化合物を分離除去することを特徴とする方法である請求項4に記載の製造法。
(上記の各式中、X1、X2およびX3は、各々独立してハロゲン原子を表し、R3は、水素原子またはカルボキシル基の保護基を表す。)
【請求項8】
Method 2が、式
【化60】

(式中、X1、X2およびX3は、各々独立してハロゲン原子を意味する。)
で表される2−(2,3,4―トリハロゲノアニリノ)−プロピオン酸を光学活性有機塩基と処理し、2−(2,3,4―トリハロゲノアニリノ)−プロピオン酸の一方の光学異性体と光学活性有機塩基とのジアステレオマー塩を得、次いで該ジアステレオマー塩を酸処理する請求項3に記載の製造法。
【請求項9】
光学活性有機塩基が式
【化61】

(式中、Arylは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、カルバモイル基、炭素数1から6のアルキル基、または炭素数1から6のアルコキシ基を有することもあるアリール基を意味し、
、RおよびR10は、各々独立して、
(1)ハロゲン原子、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のハロゲノアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、ニトロ基、カルバモイル基、もしくはシアノ基を有していてもよいフェニル基、
(2)ハロゲン原子、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のハロゲノアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、ニトロ基、カルバモイル基、もしくはシアノ基を有していてもよいベンジル基、
(3)炭素数1から6のアルキル基、または
(4)水素原子を意味する。)
で表される化合物から選択される請求項8に記載の製造法。
【請求項10】
光学活性有機塩基が、1−フェニルエチルアミン、(R)−(+)−1−フェニルエチルアミン、1−(p−トリル)エチルアミン、1−(p−トリル)エチルアミン、(R)−(+)−1−(p−トリル)エチルアミン、1−フェニル−2−(p−トリル)エチルアミン、及び(S)−(+)−1−フェニル−2−(p−トリル)エチルアミンからなる群から選択される請求項8に記載の製造法。
【請求項11】
式(III−1−a)
【化62】

または式
【化63】

で表される化合物の還元が、非プロトン性溶媒中、アルコールの存在下に、水素化ホウ素金属化合物を反応させる条件である請求項1および3から10のいずれか一項に記載の製造法。
(式中、X1、X2およびX3は、各々独立してハロゲン原子を表し、R3は、水素原子またはカルボキシル基の保護基を表し、Rは、カルボキシル基の保護基を表す。)
【請求項12】
1およびX2がいずれもフッ素原子である請求項1から11のいずれか一項に記載の製造法。
【請求項13】
三フッ化ホウ素化合物が、三フッ化ホウ素とエーテル化合物からなる三フッ化ホウ素化合物である請求項1から12のいずれか一項に記載の製造法。
【請求項14】
三フッ化ホウ素化合物が、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体または三フッ化ホウ素テトラヒドロフラン錯体である請求項13に記載の製造法。
【請求項15】
4−メチルピペラジンの反応が、トリアルキルアミン存在下の反応である請求項1から14のいずれか一項に記載の製造法。
【請求項16】
トリアルキルアミンがトリエチルアミンまたはトリブチルアミンである請求項15に記載の製造法。
【請求項17】
式(III−1)
【化64】

で表される化合物。
(式中、X1、X2およびX3は、各々独立してハロゲン原子を意味し、Rは水素原子またはカルボキシル基の保護基を意味する。)
【請求項18】
式(III−1−a)
【化65】

で表される化合物。
(式中、X1、X2およびX3は、各々独立してハロゲン原子を意味し、Rは水素原子またはカルボキシル基の保護基を意味する。)
【請求項19】

【化66】

で表されるカルボン酸化合物と光学活性有機塩基との塩。
(式中、X1、X2およびX3は、各々独立してハロゲン原子を意味する。)
【請求項20】

【化67】

で表される化合物と光学活性有機塩基との塩。
(式中、X1、X2およびX3は、各々独立してハロゲン原子を意味する。)
【請求項21】
光学活性有機塩基が式
【化68】

(式中、Arylは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、カルバモイル基、炭素数1から6のアルキル基、または炭素数1から6のアルコキシ基を有することもあるアリール基を意味し、
、RおよびR10は、各々独立して、
(1)ハロゲン原子、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のハロゲノアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、ニトロ基、カルバモイル基、もしくはシアノ基を有していてもよいフェニル基、
(2)ハロゲン原子、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のハロゲノアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、ニトロ基、カルバモイル基、もしくはシアノ基を有していてもよいベンジル基、
(3)炭素数1から6のアルキル基、または
(4)水素原子を意味する。)
で表される化合物から選択される請求項19または20に記載の塩。
【請求項22】
光学活性有機塩基が、1−フェニルエチルアミン、(R)−(+)−1−フェニルエチルアミン、1−(p−トリル)エチルアミン、1−(p−トリル)エチルアミン、(R)−(+)−1−(p−トリル)エチルアミン、1−フェニル−2−(p−トリル)エチルアミン、及び(S)−(+)−1−フェニル−2−(p−トリル)エチルアミン、(S)−(+)−1−(p−トリル)エチルアミン、及び(R)−(+)−1−フェニル−2−(p−トリル)エチルアミンからなる群から選択される請求項19または20に記載の塩。

【公開番号】特開2009−235077(P2009−235077A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−120140(P2009−120140)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【分割の表示】特願2009−64973(P2009−64973)の分割
【原出願日】平成12年9月7日(2000.9.7)
【出願人】(307010166)第一三共株式会社 (196)
【Fターム(参考)】