説明

ペイント、コーティング及びエポキシ樹脂用の多機能性添加剤としてのポリヒドロキシ−ジアミン

式I(式中、R1、R2及びR3は明細書中で定義した通りである)のポリヒドロキシ−ジアミン化合物又はそれらの塩を提供する。これらの化合物は、ペイント、コーティング及びエポキシ樹脂配合物用の低添加剤として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2009年4月29日に出願された米国仮特許出願第61/173,619号の利益を請求する。この出願全体を参照によって本明細書中に組み入れる。
【0002】
発明の分野
本発明はポリヒドロキシ−ジアミン化合物並びにペイント、コーティング及びエポキシ樹脂配合物用の添加剤としてのそれらの使用に関する。ポリヒドロキシ−ジアミン化合物は、このような配合物中で種々の機能を提供する、低臭気で、低揮発性有機分(VOC)の物質である。
【背景技術】
【0003】
単純なアミン化合物は、ペイント及びコーティング(又は塗料)並びにエポキシ樹脂配合物中に使用された場合に、中和性、分散性及び/又は硬化性を与えることが知られている。しかし、単純なアミンは、これらの用途で使用された場合に種々の欠点及び不所望な性質を示すので、新しい、次世代の解決に対する継続的ニーズがある。
【0004】
例えば、多くの地域において、ペイント製造業者は、それらの配合物の揮発性有機分(VOC)を低減するための規制に直面している。ペイント配合物中に使用される従来の中和用アミンは100%揮発性であるので、VOCの原因物質である。更に、その他は低VOCであるペイント配合物中に使用される場合には、このようなアミンの臭気はより顕著である。VOCが低いか又全くなく且つアミンが非常に低い臭気の又は無臭の、効果的な中和剤があれば、ペイント及びコーティング業界において飛躍的な進歩となる。
【0005】
ペイント及びコーティングは、例えば貯蔵及び輸送中に、広範囲に変動する温度に供されることが多い。このような変動温度により、ペイント又はコーティングは1つ又はそれ以上の凍結融解サイクルを経る場合がある。しかし、凍結融解は、ペイント及びコーティングに悪影響を与え、それらの性能に好ましくない影響を及ぼし(例えば粘度を増加させることよって)、場合によっては配合物を使用不能にする。凍結融解安定性を与える目的で、ペイント及びコーティングに単純なグリコール(例えばエチレングリコール)を含ませる場合もある。しかし、これらの物質は、望ましい安定性レベルを提供するには不充分であることが多い。更に、これらは、高VOC物質である可能性があるので、特に低VOC配合物への使用には一般に好ましくないと考えられる。これらの懸念を払拭する新規物質が望ましい。
【0006】
エポキシ樹脂硬化業界において、現在使用されている既知のアミン系硬化剤の多くは、接着安定性が不充分な硬化樹脂を形成する。接着性の改善された樹脂を生じることができる置換物質があれば、当業界において有用であろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一面において、本発明は、ペイント、コーティング及びエポキシ樹脂に有用な添加剤であるポリヒドロキシ−ジアミン化合物を提供する。これらの化合物は、式I:
【0008】
【化1】

【0009】
(式中、R1、R2及びR3は本明細書中で定義する通りである)
の化合物又はそれらの塩である。
【0010】
別の面において、本発明は結合剤(バインダー)、担体、顔料及び式Iの化合物を含んでなる水性ペイント又はコーティングを提供する。
【0011】
更なる面において、本発明はエポキシ樹脂及び式Iの化合物を含んでなる硬化性樹脂系を提供する。式Iの化合物は硬化剤及び/又は接着促進剤として作用する。
【0012】
更なる面において、本発明は結合剤、担体及び顔料を含む水性ペイント又はコーティングの揮発性有機化合物含量の低減方法を提供する。この方法は、ペイント又はコーティング中に中和剤及び/又は凍結融解安定剤として、有効量の式Iの化合物を使用することを含む。
【0013】
別の面において、本発明は式Iの化合物の製造方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
前述のように、一面において、本発明はポリヒドロキシ−ジアミン化合物を提供する。これらの化合物は、式I:
【0015】
【化2】

【0016】
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、H、CH2OH、C1〜C6アルキルであり、R3は、それぞれ独立して、H又はC1〜C6アルキルである)
の化合物又はそれらの塩である。
【0017】
一部の態様において、式Iの化合物中のR1は、それぞれ、C1〜C3アルキル又はCH2OHである。更なる態様において、R1はいずれもメチルである。
【0018】
一部の態様において、R2は、それぞれ、C1〜C3アルキル又はCH2OHである。更なる態様において、R2はいずれもメチルである。更に別の態様において、R3はいずれもHである。
【0019】
一部の態様において、R1又はR2の一方がCH2OHである場合には、他方はH又はC3〜C6アルキルである。
【0020】
一部の態様において、R1及びR2はいずれもCH2OHである。一部の態様において、R3はいずれもHである。
【0021】
一部の態様において、式Iの化合物は2,2’−((2−ヒドロキシトリメチレン)ジイミノ)ビス(2−メチル−1−プロパノール)(即ち式I中のR1及びR2がいずれもメチルであり、R3がいずれもHである)、2,2’−((2−ヒドロキシトリメチレン)ジイミノ)ビス(2−エチル−1,3−プロパンジオール)(即ち式I中のR1がいずれもエチルであり、R2がいずれもヒドロキシメチル(CH2OH)であり、R3がいずれもHである)、2,2’−((2−ヒドロキシトリメチレン)ジイミノ)ビス(2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール)(即ち式I中のR1及びR2がいずれもヒドロキシメチルであり、R3がいずれもHである)、2,2’−(2−ヒドロキシプロパン−1,3−ジイル)ビス(アザンジイル)ビス(2−メチルプロパン−1,3−ジオール)(即ち式I中のR1がいずれもメチルであり、R2がいずれもヒドロキシメチル(CH2OH)であり、R3がいずれもHである)又は2,2’−(2−ヒドロキシプロパン−1,3−ジイル)ビス(アザンジイル)ジプロパン−1,3−ジオール(即ちR1がいずれもCH2OHであり、R2及びR3がいずれもHである)である。
【0022】
式Iの化合物は酸塩の形態で使用してもよい。好適な塩としては、塩酸、ホウ酸、乳酸、ペラルゴン酸、ノナン酸、ネオデカン酸、セバシン酸、アセライン酸、クエン酸、安息香酸、ウンデシレン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、タル油脂肪酸、エチレンジアミン四酢酸などが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0023】
式Iの化合物は、水性ペイント及びコーティング配合物において、中和剤として使用できる。中和剤は、pHを望ましい値まで、典型的には約8〜10の値まで上昇させるために、このような配合物中に含ませる。当業界で現在使用されている従来の中和剤は、VOC原因物質である。更に、その他は低VOCである配合物中に使用する場合には、従来の中和剤の臭気はより顕著である。
【0024】
これに対して、本発明の化合物は、VOCが全くないか又はごく低いという利点を有する優れた低臭気物質である。例えば、実施例によって証明されるように、本発明の例示化合物である2,2’−((2−ヒドロキシトリメチレン)ジイミノ)ビス(2−メチル−1−プロパノール)、2,2’−((2−ヒドロキシトリメチレン)ジイミノ)ビス(2−エチル−1,3−プロパンジオール)及び2,2’−((2−ヒドロキシトリメチレン)ジイミノ)ビス(2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール)はVOCの発生が全くないか又は非常に少ない。
【0025】
本発明の化合物は、優れた低VOC及び低臭気属性を有すると共に、配合物全体に対してそれほど多量の物質を添加することなく、より高pHの配合物を得ることも可能にし、従って、物質の節約を可能にする。更に、本発明の化合物は、ペイント及びコーティング配合物中に存在する顔料粒子の有効な分散剤であり、従って、配合物中で2つの役割を果たし、その結果として更に物質を節約する。
【0026】
本発明のポリヒドロキシ−ジアミン化合物は、水性ペイント及びコーティング中で低VOC中和剤として作用すると共に、このような系中で低VOCの凍結融解安定性増強剤として作用することも発見された。従って、更なる面において、本発明は、凍結融解安定性増強剤として式Iの化合物を含む水性ペイント及びコーティングを提供する。凍結融解添加剤をペイント及びコーティング配合物中に添加するのは、凝固点を低下させ、ひいては、温度変動への、特に凍結及び融解を引き起こすであろう温度への暴露後でも、粘度を含む望ましい性質を配合物に保持させるためである。このような添加剤が存在しない場合には、ペイントは凝集し且つ/又は粘度を上昇させ、結果として使用が困難になることがある。場合によっては、配合物は凝固し、使用不能になることがある。式Iの化合物は、凍結融解安定性を増強すると共に、低又は無VOC物質であるという更なる利点を有する。従って、これらの化合物は、グリコールなどのVOCがより高い凍結融解安定剤の効果的な代替物質となる。
【0027】
凍結融解増強添加剤として使用される場合、ポリヒドロキシ−ジアミンは、配合物中に遅い段階で(例えば、後述のように、製造プロセスのレットダウン相において)添加する。この態様において、ポリヒドロキシ−ジアミンは、第一に凍結融解安定剤として、そして第二に最終pH調整用の中和剤として、作用する。
【0028】
1=R2=CH2OHである式Iの化合物を組み込むと、特に改善された凍結融解安定性が観察される。更に、R1=R2=CH2OHである式Iの化合物を含むペイント及びコーティングは、一般に、より高い平衡pH値(後添加を用いない場合よりも、約0.1〜0.2pH単位高い)を示し、より大きい凍結融解安定性をもたらす。
【0029】
一部の態様において、式Iの化合物は、配合物の安定性を更に向上させるための他の凍結融解共添加剤(co-additive)と併用することもできる。この併用態様のための共添加剤としては、例えば、WO2009/091592(参照によってその全体を本明細書中に組み入れる)に開示された凍結融解安定剤が挙げられる。好ましい共添加剤としては、下記式A:
【0030】
【化3】

【0031】
(式中、nは6〜60、或いは8〜50、或いは8〜25である)
を有するエトキシル化トリステリルフェノール化合物が挙げられる。一部の態様において、式Aの化合物などの凍結融解共添加剤に対する、式Iの化合物の比は、約10:1〜約1:1、或いは6:1〜2:1であることができる。前述のように配合物中に式Iの化合物を中和剤として組み入れる場合には、中和剤として使用する化合物の量は前記比では計算しない。
【0032】
更なる面において、本発明は、式Iの化合物を中和剤及び/又は凍結融解安定剤として含む水性ペイント又はコーティングを提供する。このペイント又はコーティングは、住居用及び工業用表面材のための、例えば床、自動車、住宅の外装及び内装並びに他の建築物ための保護及び/又は装飾バリヤーの形成に使用される。本発明のこの面によれば、ペイント又はコーティング配合物は、式Iの化合物を含むと共に、結合剤、顔料及び担体も含む。
【0033】
顔料は、最終被覆物に所望の色を与えるために組み入れ、また、ペイント又はコーティングに嵩を与えるためにも使用できる。最終使用ペイント又はコーティング中に複数の顔料を存在させることもできるが、酸化亜鉛及び/又は酸化チタンなどの白色顔料のみを配合物の形成の初期段階で加えることもある。任意的に、種々の色(より白色の顔料を含む)の任意の他の望ましい顔料を、配合物形成のより遅い段階で又は配合物の形成後に添加することができる。
【0034】
顔料は有機でも無機でもよい。顔料の例としては、二酸化チタン、カオリンクレイ、焼成カオリンクレイ、カーボンブラック、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、褐色酸化鉄、有機赤色顔料、例えばキナクリドンレッド並びに含金属アゾレッド及び非含金属アゾレッド(例えば、リソール類、リソールルビン、トルイジンレッド、ナフトールレッド)、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、モノ−又はジ−アリリドイエロー、ベンズイミダゾロンイエロー、ヘテロサイクリックイエロー、キナクリドンマゼンタ、キナクリドンバイオレットなど、更にそれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0035】
顔料粒子が分散及び懸濁された網状構造を形成するために、ペイント及びコーティング配合物中に結合剤を組み入れる。結合剤は顔料粒子を互いに結合させ、ペイント又はコーティングフィルムに結着性及び接着性を与える。一般に、結合剤には2つの種類がある。ラテックス結合剤は水性配合物中に使用され、アルキド系結合剤は非水配合物に使用され、最終的にはそれぞれラテックスペイント及びコーティング並びにアルキドペイント及びコーティングを生じる。
【0036】
ラテックス系ペイント及びコーティング配合物において、結合剤は、典型的には、アクリル酸アルキル(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル及び/又はアクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸アルキル、ビニルアルコール/アセテート、スチレン、並びに/又はアクリロニトリル及びエチレン型モノマーを含むモノマー混合物の遊離基開始水性乳化重合によって製造される。本発明の配合物中の結合剤の量は、ペイント及びコーティング配合物に従来使用されている量であることができる。非限定的な例として、結合剤の固形分量は、配合物の総重量に基づき、約2〜約75重量%、或いは約5〜約65重量%、或いは約20〜約55重量%であることができる。
【0037】
配合物は、また、配合成分が溶解、分散及び/又は懸濁される担体を含む。本発明の水性配合物においては、担体は通常は水であるが、水−アルコール混合物などの他の水性溶液も使用できる。水性担体は、一般に、他の成分が全て計上された後の配合物の残りを構成する。
【0038】
ペイント及びコーティング配合物には、前述のポリヒドロキシ−ジアミン、顔料、結合剤及び担体に加えて、他の添加剤を組み入れることができる。これらに、限定するものではないが、他の添加剤はレベリング剤及び界面活性剤、増粘剤、レオロジー改質剤、補助溶媒、例えばポリエチレングリコール又はエチレングリコールを含むグリコール類、腐蝕防止剤、脱泡剤、共分散剤、追加のアミノアルコール化合物及び殺生剤などである。
【0039】
本発明のペイント及びコーティング配合物は、当業者によく知られている従来のペイント製造技術によって製造できる。典型的には、配合物は二段法で製造する。第1段階では、分散相(一般にグラインド相(grind phase)と称する)を調製する。この調製は、乾燥顔料と、ほとんどの他の固体粉体配合材料を含む他のグラインド相成分とを、高粘度且つ高固形分の混合物を形成するための一定の高剪断撹拌下で混合することによって行う。プロセスのこの部分は、乾燥顔料を効果的に湿潤及び脱塊(dis-agglomerate)し且つ水性分散液中で安定化させるように設計する。
【0040】
粘稠なグラインドが、一般に、グラインドミックスよりも粘稠でない残りの配合成分で希釈されるので、ペイント製造プロセスの第2段階は一般にレットダウン(letdown)又はシンダウン(thindown)相と称する。典型的には、混合及びおそらくは中等度の剪断しかを必要としない結合剤、予め分散された全ての顔料及び全ての他のペイント材料を、レットダウン相において組み入れる。レットダウン相は、グラインドミックスを含む容器中へのレットダウン成分の逐次添加によって、又はラテックス樹脂及び他のレットダウン成分のプレミックスを含む容器中にグラインドミックスを添加した後に、最終レットダウン成分を逐次添加することによって、実施できる。いずれの場合も、一定の撹拌が必要であるが、高剪断を適用する必要はない。本発明の式Iの化合物の配合物への添加は典型的には、製造プロセスの3つの異なる箇所の1つ又はそれ以上で、即ち顔料分散液に対して、結合剤分散液に対して及び/又はペイント配合物への最終添加において行う。
【0041】
主に中和剤として使用する場合には、使用量は、配合物の目的pHに基づいて決定される。典型的には、約8〜10、好ましくは約8.6〜9.5の範囲の最終pHを生じるような量の化合物を添加する。主に凍結融解添加剤として使用する場合には、ポリヒドロキシ−ジアミン化合物の量は、一部の態様では、配合物の総重量に基づき、約0.05〜約5%である。
【0042】
更なる面において、本発明は結合剤、担体及び顔料を含む水性ペイント又はコーティングの揮発性有機化合物含量の低減方法を提供する。この方法は、中和剤及び/又は凍結融解安定剤として、有効量の式Iの化合物を使用することを含む。前述のように、有効量は、ペイント又はコーティング配合物のpHを約8〜10、好ましくは8.5〜9.5とするのに必要な量である。
【0043】
更に別の面において、式Iの化合物は、エポキシ樹脂コーティング用の硬化剤として使用でき、標準的な、低温で溶融される融着エポキシ樹脂(fusion bonded epoxy)(FBE)中における、金属基材へのFRBコーティングの接着を改善することが判明した。従って、本発明の、この面によれば、樹脂配合物の総重量に基づき、35〜90重量%のエポキシ樹脂及び0.1〜35重量%の式Iの化合物を含む硬化性樹脂が提供される。
【0044】
硬化剤としての式Iの化合物は、また、高結晶質硬化剤と比較して融点が低いため、配合者はより低い適用温度を使用できる。ポリヒドロキシ−ジアミン化合物は、更に、陰極剥離(CD)に対する抵抗性を増大し、強化FBEコーティングを生成できる。
【0045】
硬化性エポキシ樹脂系は、少なくとも1種のエポキシ樹脂、前記ポリヒドロキシ−ジアミン並びに、任意的に、触媒、他の硬化剤、強化剤、難燃剤、充填剤及び当業者に知られ且つ使用されている他の添加剤を混合することによって形成できる。その場合、硬化性エポキシ樹脂系は、例えば、これらに限定するものではないが、使用されるエポキシ樹脂の型及びその対象用途に左右されずに、高温暴露、紫外線暴露などによって硬化させることができる。
【0046】
当業者によく知られており、また、充分に当業者の能力の範囲内であるが、本発明の方法によれば、エポキシ樹脂に対するポリヒドロキシ−ジアミン硬化剤の化学量論量以下の量を「有効量」とみなす。より詳細には、ポリヒドロキシ−ジアミン硬化剤の化学量論量は、使用されるポリヒドロキシ−ジアミン中の置換可能な−NH基当たりの重量に基づき、当量数を加算することによって算出される。一般に、当業者にはわかるように、より高分子量のポリヒドロキシ−ジアミン硬化剤の必要量は、より低分子量のポリヒドロキシ−ジアミン硬化剤の必要量よりも少ない。
【0047】
ジアミノアルコールは、任意の型のエポキシ樹脂と併用できる。本明細書中で使用する用語「エポキシ樹脂」は、本明細書中で「エポキシ基」又は「エポキシ官能基」と称する1つ又はそれ以上の反応性オキシラン基(−C230)を含む化合物を意味する。好適なエポキシ樹脂は、少なくとも1つの隣接エポキシ基を含む化合物を含む。エポキシ樹脂は、飽和又は不飽和、脂肪族、脂環式、芳香族又は複素環式であることができ、置換されていてもよい。エポキシ樹脂はモノマーでもポリマーでもよい。
【0048】
より詳細には、本発明に従って使用するのに好適なエポキシ樹脂としては、例えばこれに限定するものではないが、特に、脂環式(非環式)エポキシド、グリコールで改質された脂環式エポキシド、エポキシフェノールノボラック樹脂、多官能価(ポリエポキシ)エポキシ樹脂、ビスフェノールA系エポキシ樹脂及びビスフェノールF系エポキシ樹脂並びにそれらの混合物が挙げられる。これらの物質は、用途によっては、他の硬化剤及び/又は触媒系と併用できる。この物質は、最初にLER(液体エポキシ樹脂)と反応させ、次いでこの反応生成物を最終エポキシ樹脂配合物中で使用することによって、「改質硬化剤」又はプレポリマーとしても使用できる。
【0049】
更に別の面において、本発明は式Iの化合物の製造方法を提供する。この方法は、式(III):
【0050】
【化4】

【0051】
(式中、Xは脱離基である)
のエポキシド化合物を、2当量又はそれ以上の式(II):
【0052】
【化5】

【0053】
(式中、R1、R2及びR3は前に定義した通りである)
のアミノアルコール化合物と反応させて、式Iの化合物又はその塩を形成することを含む。
【0054】
式(III)の好適な脱離基Xとしては、ハロゲン、メシレート又はトシレートが挙げられる。好ましいのはClである。
【0055】
式(III)のエポキシドと式(II)のアミノアルコールとの反応は、ニートで又は溶媒中で実施する。好適な溶媒の非限定的例としては、水及びアルコール、例えばメタノール又はエタノールが挙げられる。反応は高発熱性であるが、加熱還流によってより容易に制御できる。反応が所望の完了レベルを達成したら、NaOHなどの塩基を添加して、化合物の全ての酸塩を中性化合物に転化させる。結晶化、濾過、蒸留、蒸発及び/又はクロマトグラフィーなどの従来の処理を用いて、目的化合物を単離できる。
【0056】
本明細書中で使用する用語「アルキル」は、示された炭素数の直鎖又は分岐鎖炭化水素を意味する。炭素数が示されない場合には、アルキルの炭素数は1〜6である。アルキルの代表例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル及びn−ヘキシルが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【実施例】
【0057】
以下の実施例は、本発明の例示であって、本発明の範囲を限定するものではない。特に明示しない限り、本明細書中で使用する比率、百分率、部などは重量基準である。
【0058】
実施例1
2,2’−((2−ヒドロキシトリメチレン)ジアミノ)ビス(2−メチル−1−プロパノール)(1)の合成
【0059】
【化6】

【0060】
撹拌棒、滴下漏斗、凝縮器及び窒素出口を装着した3つ口丸底フラスコに、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(95%水溶液として)52.3g(0.56モル)を装入する。室温において添加用漏斗から、この無色溶液にエピクロロヒドリン(22mL、0.28モル)を滴加する。反応混合物を撹拌する。エピクロロヒドリンの添加が完了し且つ約5分間持続的に撹拌後、大きい発熱量が観察される。無色溶液が高粘度の淡黄色物質に変わる。この時点で、撹拌を停止し、混合物にメタノール約200mLを添加して、物質の粘度を低下させ、撹拌を再開する。出発原料が消失するまで、フラスコの内容物を6〜10時間還流させる。
【0061】
反応を停止し、過剰のメタノールをロータリーエバポレーターによって除去する。得られた物質を、水酸化ナトリウム/メタノール溶液中に溶解させる。黄色透明の溶液が濁り、数分後に白色固体が溶液から析出する(crash out)。収集されたこの白色固体は、酸塩基反応において形成された塩化ナトリウム塩である。この塩を、重力濾過によって、溶液から分離し、メタノール溶液を無水硫酸マグネシウムで脱水し、濾過する。溶媒をロータリーエバポレーターによって除去し、溶媒を全て除去すると黄色固体が析出する。黄色固体をメタノール中で再結晶させ、得られた白色固体を空気乾燥させ、続いて60℃で5時間真空乾燥させる。真空乾燥後、目的化合物1を約39.2g(60%)を得る。GC分析は、99%超の純度を示している。1H NMR(MeOD−d4):δ1.05(ブロードs,12H)、δ2.53〜2.60(m,4H)及びδ3.26〜3.35(m,4H)、δ3.72(m,1H)。13C NMR(MeOD−d4):δ33.3、33.9、57.4、65.0、79.1及び81.2ppm。CI−MS:[MH]+m/z:235。固体の融点は、118〜121℃である。
【0062】
実施例2
2,2’−((2−ヒドロキシトリメチレン)ジイミノ)ビス(2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール)(2)の合成
撹拌棒、滴下漏斗、凝縮器及び窒素出口を装着した250mLの3つ口丸底フラスコに、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−1,3−ジオール(50.0g、0.413モル)を装入し、メタノール(30mL)に溶解させる。トリオールが全て溶解するまで、このスラリーを加温する。室温において添加用漏斗から、この無色溶液にエピクロロヒドリン(19.0g、0.205モル)を滴加する。反応混合物を撹拌する。エピクロロヒドリンの添加が完了し且つ約5分間持続的に撹拌後、わずかな発熱量が観察される。エピクロロヒドリンが消失するまで、フラスコの内容物を12時間還流させる。この時点で、反応を停止させ、ロータリーエバポレーターによって過剰のメタノールを除去する。得られた物質は高粘度である。
【0063】
この物質をメタノールに溶解させ、これに水酸化ナトリウム/メタノール溶液を添加する。無色透明の溶液が濁り、数分後に白色固体が溶液から析出する。この白色固体(酸塩基反応において形成された塩化ナトリウム塩)を、重力濾過によって、溶液から分離させる。濾液を更に30分間、室温に保持して、最初の濾過後に除去されなかった塩化ナトリウムを溶液から更に析出させる。得られたメタノール溶液を無水硫酸マグネシウムで脱水し、濾過する。溶媒をロータリーエバポレーターによって除去し、白色湿潤物質を得る。この物質を空気乾燥させ、続いて60℃で5時間真空乾燥させる。真空乾燥後、目的化合物2を約44g(72%)を得る。目的生成物をNMR及びHPLC−MSによって確認する。13C NMR(MeOD−d4):δ56.5、71.0、72.7及び82.2ppm。LC−MS:[MH]+m/z:299。NMRの68.0及び74.8ppmの余分のピークは、混合物中に依然として存在する残留出発トリオールに相当する。
【0064】
実施例3
2,2’−(2−ヒドロキシプロパン−1,3−ジイル)ビス(アザンジイル)ビス(2−メチレンプロパン−1,3−ジオール)(3)の合成
撹拌棒、滴下漏斗、凝縮器及び窒素出口を装着した500mLの3つ口丸底フラスコに、2−アミノ−2−メチルプロパン−1,3−ジオール(60.0g、0.571モル)を装入し、水(70mL)に溶解させる。透明な溶液が得られるまで、混合物を撹拌する。室温において添加用漏斗から、この無色溶液にエピクロロヒドリン(25.0g、21.2mL、0.272モル)を滴加する。反応混合物を撹拌する。エピクロロヒドリンの添加が完了し且つ持続的に撹拌後、発熱が観察される。エピクロロヒドリンが消失するまで、フラスコの内容物を12時間還流させる。この時点で、反応を停止させ、ロータリーエバポレーターによって過剰のメタノールを除去する。得られた物質は高粘度である。
【0065】
この物質をメタノールに溶解させ、これに水酸化ナトリウム/メタノール溶液を添加する。無色透明の溶液が濁り、数分後に白色固体(酸塩基反応において形成された塩化ナトリウム塩)が析出する。この塩を、重力濾過によって、溶液から分離させる。濾液を更に30分間、室温に保持して、最初の濾過後に除去されなかった塩化ナトリウムを、溶液から更に析出させる。得られたメタノール溶液を無水硫酸マグネシウムで脱水し、濾過する。溶媒をロータリーエバポレーターによって除去し、粘稠な湿潤物質を得る。この物質を空気乾燥させ、続いて60℃で6時間真空乾燥させる。真空乾燥後、目的化合物3を約54.3g(74%)を得る。目的生成物をHPLC−MSによって確認する。LC−MS:[MH]+m/z:269。
【0066】
実施例4
ペイント配合物中における中和性共分散アミンとしての有効性
実施例1の化合物を、水性ラテックス半光沢配合物中で中和性共分散アミンとして試験し、市販中和剤と比較する。比較中和剤は2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP):2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパン−ジオール(AEPD):N−ブチル−ジエタノールアミン(NBDA)である。
【0067】
化合物を試験するペイント配合物は、以下:
顔料、例えば二酸化チタン(例えば、DuPont製のTIPURE(登録商標)R942)及び重質炭酸カルシウム(例えばOmya,Inc.製のOMYACARB(登録商標)UF)(両顔料が合計で20〜25%);
結合剤、例えばUCAR(商標)Latex379及び6030(The Dow Chemical Company製)(両結合剤が合計で40〜45%);
増粘剤及びレオロジー改質剤、例えばヒドロキシエチルセルロース(例えばThe Dow Chemical Company製のCELLOSIZE(商標)HEC)及び無溶媒非イオン性会合性増粘剤/疎水変性ポリエチレンオキシドウレタン−HEUR(Rohm and Haas製のACRYSOL(商標)RM−5000)(両増粘剤が合計で3〜5%);
中和剤又はアミン、例えばAMP(比較)又は化合物1(本発明)(0.2〜2%)
を含むラッテクス系半光沢材料である。
【0068】
種々の試験化合物を含む配合物のpH、粒径、フィルム不透明度、光沢度及びVOCを、以下のようにして判定する:
コーティングの光学的性質(不透明度及び光沢度)。乾燥フィルムの不透明度、20、60及び85°における光沢度及び色度の測定は、Symyx XCMモジュールに基づく、色度/光沢度/厚さ測定用の自動ロボットを用いて行う。色度は、光ファイターケーブルによってOcean Optics USB4000分光計に接続された、0.4”サンプリング用開口部を有するOcean Optics ISP−REF積分球を用いて測定する。測定は、D65照明を用いて実施する。この装置を、測色計(colorimeter)を複数の位置のサンプル上に移動させることができるSymyx Core Module Robotの左側アーム上に配置する。この試験に関しては、各Leneta試験紙の黒色部分と白色部分の両方の表面の3つの異なる領域で測定を行う。光沢度は、BYK micro−Tri−gloss Meterを用いて測定する。この測定器を、BenchCelサンプルホテル(sample hotel)からこのModuleのデッキまでサンプルを移動させるのに使用されるプレートグリッパーと共に、Symyx Core Module Robotの右側アームに取り付ける。Leneta試験紙の黒色部分と白色部分の両方の表面のコーティングについて、3つの異なる箇所で光沢度を測定する。
【0069】
粒径分析。配合物の粒径分布の測定は、Beckman Coulter LS−230粒径分析器を用いてMicro−Volume Accessoryを使用して行う。配合物1滴を、脱イオン水約20mLに加え、充分に振盪する。次に、吸光度の読み取り値が少なくとも8%となるまで、ピペットを用いてMicro−Volume Accessoryにこの希釈溶液を滴加する。測定の間じゅう、サンプルを連続撹拌する。0.04〜2000ミクロンの粒径を検出できる。公称粒径35ミクロンのガーネット標準の粒径分布は36±15ミクロンと測定される。
【0070】
pH測定。配合物のpH測定は、ThermoElectron Orion 9203BN組合せpH電極を装着したFisher Scientific Accumet 15 pHメーターを用いて行う。各使用の前に、市販pH緩衝液を用いて装置を較正する。報告値は各配合物についての3つの異なる読み取り値の平均である。プローブは各測定の間に脱イオン水で清浄にする。
【0071】
揮発性有機分(VOC)。VOCは以下のようにして測定できる。アミンを皿に入れて秤量し、オーブン中で105〜110℃に1時間保持する。カールフィッシャー(Karl Fisher)滴定によって測定され得るサンプル中の水分量に対して補正された減量パーセントを、VOCとして報告する。この試験を用いて、ニートのアミンのみのVOC寄与を測定する。ペイント配合物において、アミンは、中和された塩の形態であることができ、比較的低い揮発度を示すことができる。
【0072】
VOCを測定するためのもう1つの試験は、GC法による。この方法は、ペイント成分をVOC原因物質又は非VOC原因物質のいずれかに指定するのに好ましい技術として当業界において浮上しつつある。この方法によれば、どの物質がVOCであるかを判定するためのカットオフとして280℃が使用される。個々の成分を、GC中に注入して、それらの保持時間を観察する。それらの物質の保持時間を、280℃の既知の沸点を有するマーカーと比較して記録する。GCにおいてマーカーより前に溶出する物質をVOCとみなし、GCカラム中にマーカーより長時間保持される物質を非VOCとみなす。典型的なGC条件は以下の通りである:DB−5カラム、初期温度75℃、初期時間1分、最終温度280℃、最終時間5分、速度10℃/分、フロント注入口温度250℃及びフロント検出器温度280℃。
【0073】
データを表Iに示す。
【0074】
【表1】

【0075】
これらの結果からわかるように、化合物1は、3つの市販製品AMP、NBDA及びAEPDに匹敵する性能を示し、良好なフィルム不透明度及び光沢度測定値につながる顔料の良好な共分散(粒径分析によって示される)を達成する。更に、使用した両試験によれば、化合物1は無VOC又は低VOC物質である。化合物はまた、色が無視できるほど少ないので、低VOCペイント配合物中においていくつかの既知の中和剤にみられる懸念を払拭する。
【0076】
実施例5
低VOC半光沢ペイントにおける凍結融解評価試験
表IIは、凍結融解安定性増強剤としての本発明の化合物の評価に関するデータを示す。表II中の配合物1及び2は本発明に関する。使用する略語は次の通りである。
Cmpd 2=前記実施例2に記載したようにして製造された本発明の化合物。
KU=クレブス(Krebs)単位で報告される粘度測定値。
ICI=高剪断粘度測定値。
Acrysol(商標)RM−5000:非イオン性ウレタンレオロジー改質剤。
Acrysol RM−895:非イオン性レオロジー改質剤。
FT−100:RHODOLINE(登録商標)FT100として入手可能な、Rhodia製の凍結融解界面活性剤。
BOPS:ポリマー固体に基づく。
総RM重量:レオロジー改質剤の総量。
Strodex TH 100/A−34:Herculesによって販売されている界面活性剤。
na=材料が固形分を含むため、粘度が測定不能。
【0077】
【表2】

【0078】
配合物2及び3はいずれも、後添加物として化合物2(本発明)を含む。凍結融解サイクル後のこれらの配合物には、粘度のわずか/中等度の増量が観察される。これに対して、本発明でない配合物1及び4は、140KUを超える極めて高い粘度を示した。
【0079】
実施例6
エポキシ樹脂配合物
DER 664UE(ビスフェノールA系樹脂);DEH 82(ヒドロキシル基含有ビスフェノールA系架橋剤);Epikure 101(超高速硬化エポキシ粉体コーティングコンバーター);Vansil W 20(メタケイ酸カルシウム;補強充填剤);Modaflow Powder III(流動増進添加剤);及び化合物3(実施例3参照)を配合することによって、融着エポキシ樹脂(FBE)粉体コーティング配合物を調製する。得られたFBE粉体コーティングを、232℃に加熱されたバー及びパネル上に流動床を用いて適用し、オーブン中で232℃において2分間硬化させる。硬化後、室温において水道水上でバー及びパネルをクエンチする。最終コーティングの厚さは15milである。下記の表IIIは、化合物3(本発明)で処理された配合物に関する陰極剥離(CD)データを、非処理配合物(対照)と比較して要約している。
【0080】
CD試験において、被覆サンプルを、3%NaCl溶液に既知電流において数日(7〜28日)間暴露して、腐蝕条件を再現する。次いで、ブレードを用いて、てこ運動によって手動で、コーティングを剥離させる。接着性能を、剥離されなかった面の大きさによって評価する。
【0081】
【表3】

【0082】
本発明をその好ましい態様に従って前述したが、この開示の精神及び範囲内で本発明は変更できる。従って、本出願は、本明細書中に開示された一般原則を用いる本発明のあらゆる変形、使用又は改変を網羅するものとする。更に、本出願は、本発明が関連する技術分野における既知の又は慣例的な実施の範囲内に入り且つ添付した「特許請求の範囲」の範囲内に入る、この開示からの逸脱も網羅するものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、H、CH2OH、C1〜C6アルキルであり、そしてR3は、それぞれ独立して、H又はC1〜C6アルキルであるが、R1又はR2の一方がCH2OHである場合には他方はH又はC3〜C6アルキルである)
で表される化合物又はその塩。
【請求項2】
1及びR2が、それぞれ独立して、C1〜C6アルキルであり、そしてR3が、それぞれ独立して、H又はC1〜C6アルキルである請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
1が、それぞれ独立して、C1〜C3アルキルである請求項1〜2のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項4】
2が、それぞれ独立して、C1〜C3アルキルである請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
3が、それぞれ独立して、Hである請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
2,2’−((2−ヒドロキシトリメチレン)ジイミノ)ビス(2−メチル−1−プロパノール)、2,2’−(2−ヒドロキシプロパン−1,3−ジイル)ビス(アザンジイル)ビス(2−メチルプロパン−1,3−ジオール)又は2,2’−(2−ヒドロキシプロパン−1,3−ジイル)ビス(アザンジイル)ジプロパン−1,3−ジオールである請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
結合剤、担体、顔料及び式I:
【化2】

(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、H、CH2OH、C1〜C6アルキルであり、R3は、それぞれ独立して、H又はC1〜C6アルキルである)
の化合物又はその塩を含んでなる水性ペイント又はコーティング。
【請求項8】
式Iの化合物が2,2’−((2−ヒドロキシトリメチレン)ジイミノ)ビス(2−メチル−1−プロパノール)である請求項7に記載の水性ペイント又はコーティング。
【請求項9】
式A:
【化3】

(式中、nは6〜60である)
の凍結融解安定剤を更に含む請求項7に記載の水性ペイント又はコーティング。
【請求項10】
式Iの化合物が2,2’−((2−ヒドロキシトリメチレン)ジイミノ)ビス(2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール)である請求項9に記載の水性ペイント又はコーティング。
【請求項11】
ペイント又はコーティング中に、中和剤として
(a)有効量の式I:
【化4】

(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、H、CH2OH、C1〜C6アルキルであり、そしてR3は、それぞれ独立して、H又はC1〜C6アルキルである)
の化合物を使用することを含んでなる結合剤、担体及び顔料を含む水性ペイント又はコーティングの揮発性有機化合物含量の低減方法。
【請求項12】
ペイント又はコーティング中に
(a)有効量の式I:
【化5】

(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、H、CH2OH、C1〜C6アルキルであり、そしてR3は、それぞれ独立して、H又はC1〜C6アルキルである)
の化合物;並びに
(b)有効量の式A:
【化6】

(式中、nは6〜60である)
の化合物
を含ませることを含んでなる水性ペイント又はコーティングの凍結融解安定性の増大方法。
【請求項13】
(a)少なくとも1種のエポキシ樹脂35〜90重量%;並びに
(b)式I:
【化7】

(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、H、CH2OH、C1〜C6アルキルであり、そしてR3は、それぞれ独立して、H又はC1〜C6アルキルである)
を有するポリヒドロキシ−ジアミン化合物又はその塩0.1〜35重量%
を含んでなる硬化性樹脂系。
【請求項14】
式(III):
【化8】

(式中、Xは脱離基である)
のエポキシド化合物を、2又はそれ以上の当量の式II:
【化9】

のアミノアルコールと反応させて、請求項1〜6の化合物を生成させることを含んでなる請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物の製造方法。

【公表番号】特表2012−525401(P2012−525401A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508627(P2012−508627)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/032701
【国際公開番号】WO2010/126962
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【出願人】(591252611)アンガス ケミカル カンパニー (32)
【Fターム(参考)】