説明

ペリレン顔料組成物及びそのプロセス

透明で清浄な黄色を帯びた色合いを有する、顔料形態のペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸N,N′−ビス−メチルイミドの製造プロセスは、アルキル化剤によるペリレンテトラカルボン酸イミドのメチル化により生成されるペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸N,N′−ビス−メチルイミド及びペリレンテトラカルボン酸無水物とメチルアミンとの縮合により生成されるペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸N,N′−ビス−メチルイミドを含む混合物の、二量体化ロジンの存在下での微粉砕を含む。得られる顔料は、その優れた彩色及びレオロジー特性が顕著であり、多様な用途における使用に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染色的に重要な顔料形態のペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸N,N′−ビス−メチルイミド(色指数ピグメントレッド179)及びその製造プロセスに関する。特に、本発明は、前記赤色ペリレン顔料の透明で清浄な黄色を帯びた色合いに関する。
【0002】
下記式:
【0003】
【化1】

【0004】
で示されるペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸N,N′−ビス−メチルイミドは、顔料として長年知られている。顔料は、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物をメチルアミンと反応させること(方法1、例えばUS−4,153,602を参照すること);ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸ジイミドを、アルカリの存在下で、例えば塩化メチルにより(GB−923,721を参照すること)又は硫酸ジメチル若しくは炭酸ジメチルにより(方法2)メチル化すること;或いはナフタル酸N−メチルイミドをアルカリ金属水酸化物と縮合すること(方法3、DE−276,357)によって製造される。
【0005】
製造プロセスに応じて、粗顔料は、赤色の又は曇った赤色を帯びた褐色の色相を生成する顔料形態をもたらす。
【0006】
US−4,189,582(それの開示を本明細書中に援用する)によると、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸N,N′−ビス−メチルイミドの赤色顔料は、顔料が方法1で製造されたときに、得られるだけである。対照して、方法2及び3は、常に曇った赤色を帯びた褐色の生成物をもたらし、該生成物は、例えばDE−1,272,270(=GB923,721)に記載されているプロセスによる微粉砕及び仕上げの後でさえも、曇った赤色を帯びた褐色の顔料をもたらすだけである。
【0007】
今、驚くべきことに、アルキル化剤によるペリレンテトラカルボン酸イミドのメチル化(上記の方法2)により生成されるペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸N,N′−ビス−メチルイミド及びペリレンテトラカルボン酸無水物とメチルアミンとの縮合(上記の方法1)により生成されるペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸N,N′−ビス−メチルイミドを含む混合物の、二量体化ロジンの存在下での微粉砕が、前記赤色ペリレン顔料の透明で清浄な黄色を帯びた色合いを有する、染色的に重要な顔料形態のペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸N,N′−ビス−メチルイミドを生成することが見出された。
【0008】
したがって、本発明の一つの態様は、透明で清浄な黄色を帯びた色合いを有する、顔料形態のペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸N,N′−ビス−メチルイミドの製造プロセスであって、アルキル化剤によるペリレンテトラカルボン酸イミドのメチル化(方法2)により生成されるペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸N,N′−ビス−メチルイミド及びペリレンテトラカルボン酸無水物とメチルアミンとの縮合(方法1)により生成されるペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸N,N′−ビス−メチルイミドを含む混合物の、二量体化ロジンの存在下での微粉砕を含むプロセスである。
【0009】
本発明の別の態様は、アルキル化剤によるペリレンテトラカルボン酸イミドのメチル化(方法2)により生成されるペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸N,N′−ビス−メチルイミド及びペリレンテトラカルボン酸無水物とメチルアミンとの縮合(方法1)により生成されるペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸N,N′−ビス−メチルイミドを含む混合物の、二量体化ロジンの存在下での微粉砕を含むプロセスにより生成される、透明で清浄な黄色を帯びた色合いを有する顔料形態のペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸N,N′−ビス−メチルイミドである。
【0010】
二量体化ロジンの存在下で方法1及び2により生成されるペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸N,N′−ビス−メチルイミドを含む混合物の微粉砕は、顔料技術分野で既知の多様な技術により、例えば湿式摩砕及び塩摩砕により実施できる。簡便には、顔料粗原料が使用される。ペリレンの湿式摩砕はUS−6,154,361に記載されている。
【0011】
方法1で生成されるペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸N,N′−ビス−メチルイミド対方法2で生成されるものの比率は、相当に変えることができる。好ましい比率は、方法1で生成されるペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸N,N′−ビス−メチルイミド35〜90重量部対方法2で生成されるペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸N,N′−ビス−メチルイミド65〜10重量部、特に方法1で生成される40〜70部対方法2で生成される60〜30部、とりわけ方法1で生成されるもの45〜60部対方法2で生成されるもの55〜40部である。
【0012】
一つの好ましい実施態様において、混合物の微粉砕は塩摩砕により実施される。ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸N,N′−ビス−メチルイミドの塩摩砕は、例えばUS−5,145,964及びUS−6,235,099から知られている。
【0013】
本発明によると、顔料混合物1重量部当たり、適切には2〜15重量部の塩、都合よくは6〜12重量部の塩、特に8〜10重量部の塩が塩摩砕に使用される。塩は、妥当な量の水又は他の溶媒で洗浄することにより最終顔料から除去できるように、十分に可溶性(例えば水に)であるべきである。本発明での使用に適切な塩には、例えば、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム又は結晶水を有するか若しくは有さない任意の他の有機若しくは無機塩、特にアルカリ塩及びアルカリ土類塩が含まれる。好ましい粉砕補助剤は、塩化ナトリウム、ギ酸ナトリウム及び酢酸ナトリウムである。
【0014】
加えて、摩砕混合物は、有利には、顔料混合物1重量部当たり1〜2重量部の低級(C1〜C6)アルコール、エチレン若しくはプロピレングリコール、ジエチレングリコール、又は好ましくはグリセリンのような水溶性アルコールに、少量の塩基、例えば0.005〜0.05重量部、特に0.01〜0.04重量のアルカリ金属水酸化物のような塩基、例えば水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを加えて含有する。
【0015】
摩砕混合物は、追加的に、顔料混合物1重量部当たり0.02〜0.4重量部、特に0.06〜0.25重量部、とりわけ0.1〜0.2重量部の二量体化ロジンを含有する。
【0016】
驚くべきことに、摩砕プロセスの間に二量体化ロジンを入れると、優れた透明性及び色特性を持つばかりでなく、また、溶媒型OEM塗料における優れたレオロジー特性も持つピグメントレッド179をもたらす。
【0017】
典型的には、混合物の微粉砕は、3〜18時間、特に5〜16時間、とりわけ8〜12時間実施される。温度は、摩砕が進行すると上昇し、典型的には数時間後に約88〜105℃の範囲に達する。約110℃を超える温度は、避けるのが好ましい。
【0018】
摩砕が完了した後に、混合物を、例えば水に浸して塩及びアルコールを溶解し、濾過により単離し、水で洗浄し、水に懸濁し、35〜36%HClで酸性にしてpH1.0未満にし、濾過により回収し、水で洗浄し、脱イオン水に分散して、懸濁液をもたらして、典型的には約15g/100ml懸濁液を得て、噴霧乾燥して、乾燥最終生成物を得る。次いで、この生成物を、従来の装置、例えばハンマーミルを使用して超微粉砕することによりブレンドできる。
【0019】
分析は、二量体ロジンが生成物中に実質的に保持されていることを示す。
【0020】
本発明により得られる顔料は、顕著な彩色及びレオロジー特性が注目に値し、とりわけ優れたレオロジー、高い凝集安定性、高い透明性、分散の容易さ、良好な光沢性、高い色濃度、優れた溶媒耐性及び上塗り堅牢度、並びに非常に良好な耐候堅牢度が顕著である。これらは、溶媒型と水性系の両方で使用するのに適している。
【0021】
これより、本発明の別の態様は、アルキル化剤によるペリレンテトラカルボン酸イミドのメチル化(方法2)により生成されるペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸N,N′−ビス−メチルイミド及びペリレンテトラカルボン酸無水物とメチルアミンとの縮合(方法1)により生成されるペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸N,N′−ビス−メチルイミドを含む混合物の、二量体化ロジンの存在下での微粉砕を含むプロセスにより生成される、透明で清浄な黄色を帯びた色合いを有するペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸N,N′−ビス−メチルイミド顔料である。
【0022】
好ましくは、前記顔料は、65〜10重量部の、アルキル化剤によるペリレンテトラカルボン酸イミドのメチル化(方法2)により生成されるペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸N,N′−ビス−メチルイミド及び35〜90重量部の、ペリレンテトラカルボン酸無水物とメチルアミンとの縮合(方法1)により生成されるペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸N,N′−ビス−メチルイミドを含む混合物の、0.02〜0.4重量部の二量体化ロジンの存在下での微粉砕を含むプロセスにより生成される。
【0023】
本発明のペリレン顔料は、自動車産業において、とりわけアクリル/メラミン樹脂、アルキド/メラミン樹脂又は熱可塑性アクリル樹脂系、並びに水ベースのコーティング系で都合良く使用されるコーティングを調製するのに特に適している。
【0024】
溶媒型塗料に適用される場合、上記の本発明の生成物は、他のほとんどのピグメントレッド179の生成物と比べて赤色の魅力的で清浄な黄色の色合いを示す、非常に透明なコーティングをもたらす。加えて、それは、その優れたレオロジー特性のために、現在好まれているOEM塗料系に容易に分散する。その結果、より多量の顔料が装填されている塗料分散体を生成することができ、これより消費者にとって使用の際に特別な価値が提供される。
【0025】
本発明の顔料は、優れた顔料特性を示し、単独で適用されてもよく、或いはベースコート/クリアコートのようなマルチコートにおいて、並びにモノコート自動車用若しくは産業用塗料及びインク系において、他の顔料又は染料の存在下で適用されてもよい。
【0026】
熱硬化性コーティング又は架橋された化学反応性コーティングで使用される高分子量有機物質もまた、本発明発明の顔料で着色されてもよい。本発明により調製される顔料着色された高分子量有機物質は、慣用の結合剤を含有し、且つ高温で反応性である焼付け仕上塗りにおいて特に有用である。これらの焼付け仕上げ塗りは、当該技術において既知の溶媒又は水性又は粉末塗料系から得ることができる。コーティングに使用される顔料着色される高分子量有機物質の例には、アクリル、アルキド、エポキシ、フェノール、メラミン、尿素、ポリエステル、ポリウレタン、ブロックトイソシアネート、ベンゾグアナミン若しくはセルロースエステル樹脂、又はこれらの組み合わせが含まれる。本発明により調製される顔料着色された高分子量有機物質は、空気乾燥又は物理的に乾燥されるコーティングとしても有用である。
【0027】
本発明のペリレン化合物は、また、例えば金属、木材、プラスチック、ガラス、セラミック、コンクリート、繊維材料、紙又はゴム製の物品の表面を被覆するのに使用される、粉末及び粉末コーティング材料における、とりわけ摩擦電気的に又は動電学的に噴霧されうる粉末コーティング材料における着色剤としても適している(J. F. Hughes, "Electrostatics Powder Coating" Research Studies, John Wiley & Sons, 1984)。
【0028】
使用される典型的な粉末コーティング樹脂は、慣用の硬化剤を伴う、エポキシ樹脂、カルボキシル−及びヒドロキシル−含有ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、及びアクリル樹脂である。樹脂の組み合わせも使用される。例えば、エポキシ樹脂は、多くの場合にカルボキシル−及びヒドロキシル−含有ポリエステル樹脂と組み合わされて使用される。典型的な硬化剤成分は(樹脂系に応じて)、例えば、酸無水物、イミダゾール、またジシアンジアミド及びその誘導体、ブロックトイソシアネート、ビスアシルウレタン、フェノール及びメラミン樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、オキサゾリン及びジカルボン酸である。
【0029】
本明細書により調製される顔料は、一般に高分子量の、好ましくは103〜108g/molの範囲の、天然又は合成由来の有機物質を顔料着色(全体として着色)するのに使用できる。
【0030】
前記顔料で着色できる高分子量の有機物質の例は、個別の又は混合物における、エチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース又は酪酸セルロースのようなセルロースエーテル類及びセルロースエステル類、付加重合樹脂又は縮合樹脂のような天然樹脂及び合成樹脂、例えば、アミノ樹脂、特に尿素−ホルムアルデヒド及びメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート類、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリルのようなポリオレフィン類、ポリアクリレート類、ポリアミド類、ポリウレタン類又はポリエステル類、ゴム、カゼイン、シリコーン及びシリコーン樹脂である。
【0031】
したがって、本発明は、本発明のペリレン顔料の着色有効量を高分子量有機物質に組み込むことを含む、高分子有機物質の着色方法、並びに高分子量有機物質及び本発明のペリレン顔料の顔料着色有効量を含む組成物に関する。
【0032】
顔料着色有効量は、高分子量有機物質に所望の色をもたらすのに好適な任意の量である。特に、本発明の顔料は、顔料着色される高分子量有機物質の重量に基づき、0.01〜30重量%、好ましくは0.1〜10重量%の量で使用される。顔料濃度は、またより高くすることができ、例えばマスターバッチにおいて70重量%まで達することができる。
【0033】
言及される高分子量有機化合物が、プラスチック塊、溶融体、紡糸液、ワニス、塗料又は塗布用インクの形態であるかどうかは関係がない。
【0034】
本発明に従うペリレン顔料は、1−又は2−成分粉末トナー(1−又は2−成分顕色剤とも呼ばれる)、磁性トナー、液体トナー、重合トナー及び特殊トナーのような電子写真トナー及び顕色剤における着色剤として適している。
【0035】
典型的なトナー結合剤は、個別の又は組み合わせにおける、スチレン、スチレン−アクリレート、スチレン−ブタジエン、アクリレート、ポリエステル及びフェノール−エポキシ樹脂のような付加重合、重付加及び重縮合樹脂、ポリスルホン類、ポリウレタン類であり、また、ポリエチレン及びポリプロピレンであり、これらは電荷制御剤、ろう又は流動性助剤のような更なる構成成分を含んでもよく、又はこれらの添加剤により後で修飾されてもよい。
【0036】
更に、本発明に従うペリレンは、水性又は非水性のいずれかをベースにしたインクジェット用インクにおける、及びホットメルト技術に従って操作されるそれらのインクにおける着色剤としての使用に適している。
【0037】
下記の実施例は、本発明の所定の実施態様を説明するものでもあり、本発明はそれには限定されない。開示された実施態様への数多くの変更が、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、本明細書の開示に従ってなすことができることは、理解されるべきである。したがってこれらの実施例は、本発明の範囲を限定することを意味しない。むしろ、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びそれらの同等物によってのみ決定されるべきである。これらの実施例において挙げられている全ての部は、特記のない限り、重量による。
【0038】
実施例1:下記の成分を下記の比率で含む摩砕混合物を調製した:
部w/w
粗原料#1+粗原料#2:(0.50+0.50) 1.00
Polypale 二量体化ロジン 0.15
水酸化カリウム 0.02
グリセロール 1.64
塩化ナトリウム 9.0
【0039】
粗原料#1は、ペリレンテトラカルボン酸無水物(PTCA)とメチルアミンとの縮合により生成されるペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸N,N′−ビス−メチルイミド(方法1として上記で記載されている)であり、粗原料#2は、アルキル化剤によるペリレンテトラカルボン酸イミド(PTCI)のメチル化により生成されるペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸N,N′−ビス−メチルイミド(方法2として上記で記載されている)である。Polypale 二量体化ロジンは、Eastman Chemical Company の製品である。
【0040】
摩砕を実験室用混合粉砕機又は混練機中で80〜90℃で5時間実施した。摩砕の終了時に、混合物を95〜100℃で十分に撹拌しながら水に浸して、塩及びグリセロールを溶解した。6時間後、生成物を濾過により回収した。フィルターケーキを、廃液の伝導度が洗浄水と等しくなるまで水で洗浄した。洗浄されたフィルターケーキを周囲温度で水に懸濁し、HCl(35〜36%)溶液を、混合物がpH<1.0を有するまで加えた。混合物を2時間撹拌した後に、生成物を濾過により回収した。フィルターケーキを、廃液のpH及び伝導度の値が洗浄水と等しくなるまで水で洗浄した。
【0041】
次いで、洗浄されたフィルターケーキを脱イオン水に分散して、濃度15%(w/v)の懸濁液をもたらした。後者を噴霧乾燥機にポンプで通して、乾燥した最終生成物をもたらした。分析は、二量体ロジンが生成物中に実質的に保持されていることを示した。
【0042】
実施例2:種々の顔料が実施例1と同様に調製された。ハンマーミル又は同様の装置で超微粉砕した後に、顔料粉末を標準淡彩塗料配合物に組み込み、パネルに適用した。結果を下記に示す。
【0043】
【表1】


1 Paliogen(登録商標)レッドL3875、BASFから市販されているピグメントレッド179。
2 TR<1.0の場合、生成物は標準よりも透明であり、TR>1.0の場合、より不透明である。
3 PP=Polypale 二量体化ロジン、Eastman Chemical Companyの製品。
【0044】
表から見てとれるように、マストーンにおける標準に対する透明率(TR)と、比着色力と明度の最良の組み合わせが、実施例1の生成物により得られる。実施例1、5及び6の生成物は、実施例2、3及び4に比べて驚くほど良好な透明度及び高い着色力を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明で清浄な黄色を帯びた色合いを有する、顔料形態のペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸N,N′−ビス−メチルイミドの製造プロセスであって、アルキル化剤によるペリレンテトラカルボン酸イミドのメチル化(方法2)により生成されるペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸N,N′−ビス−メチルイミド及びペリレンテトラカルボン酸無水物とメチルアミンとの縮合(方法1)により生成されるペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸N,N′−ビス−メチルイミドを含む混合物の、二量体化ロジンの存在下での微粉砕を含む、プロセス。
【請求項2】
混合物が、35〜90重量部の、方法1で生成されるペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸N,N′−ビス−メチルイミド及び65〜10重量部の、方法2で生成されるペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸N,N′−ビス−メチルイミド、好ましくは40〜70重量部の、方法1で生成されるペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸N,N′−ビス−メチルイミド及び60〜30重量部の、方法2で生成されるペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸N,N′−ビス−メチルイミド、並びに顔料混合物1重量部当たり0.02〜0.4重量部の二量体化ロジンを含む、請求項1記載のプロセス。
【請求項3】
顔料粗原料が使用される、請求項1又は2記載のプロセス。
【請求項4】
顔料混合物の微粉砕が、好ましくは、顔料混合物1重量部当たり2〜15重量部の塩を3〜18時間用いる塩摩砕により実施される、請求項1記載のプロセス。
【請求項5】
混合物が、1〜2重量部の水溶性アルコール、好ましくは、低級アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール又はグリセリン、最も好ましくはグリセリン、及び0.005〜0.05重量部の塩基、好ましくは0.01〜0.04重量部のアルカリ金属水酸化物を追加的に含有する、請求項1〜4のいずれか1項記載のプロセス。
【請求項6】
40〜70重量部の、方法1で生成されるペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸N,N′−ビス−メチルイミド及び60〜30重量部の、方法2で生成されるペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸N,N′−ビス−メチルイミドを含む混合物の、それぞれ顔料混合物1重量部当たり6〜12重量部の塩、0.02〜0.4重量部の二量体化ロジン、0.02〜0.4重量部の二量体化ロジン、1〜2重量部のグリセリン及び0.1〜0.4重量部のアルカリ金属水酸化物の存在下での塩摩砕による微粉砕を含む、請求項1〜6のいずれか1項記載のプロセス。
【請求項7】
アルキル化剤によるペリレンテトラカルボン酸イミドのメチル化(方法2)により生成されるペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸N,N′−ビス−メチルイミド及びペリレンテトラカルボン酸無水物とメチルアミンとの縮合(方法1)により生成されるペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸N,N′−ビス−メチルイミドを含む混合物の、二量体化ロジンの存在下での微粉砕を含むプロセスにより生成される、透明で清浄な黄色を帯びた色合いを有するペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸N,N′−ビス−メチルイミド顔料。
【請求項8】
高分子量有機物質、好ましくは、溶剤型、水性もしくは粉末コーティング系を、又はセルロースエーテル、セルロースエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ゴム、カゼイン、シリコーン若しくはシリコーン樹脂を含む天然又は合成樹脂を顔料着色する方法であって、高分子量有機物質に、顔料着色される高分子有機物質の重量に基づき0.01〜70重量%の請求項7記載のペリレン顔料を組み込むことを含む、方法。
【請求項9】
高分子量有機物質及び顔料着色される高分子有機物質の重量に基づき0.01〜70重量%の請求項7記載のペリレン顔料を含む、顔料着色組成物。
【請求項10】
マスターバッチ、コーティング、トナー又はインクジェット組成物である、請求項9記載の組成物。

【公表番号】特表2007−524749(P2007−524749A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500206(P2007−500206)
【出願日】平成17年2月16日(2005.2.16)
【国際出願番号】PCT/EP2005/050664
【国際公開番号】WO2005/083008
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】