説明

ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体修飾因子

本発明は、構造式の化合物


(式中、Rは、−Hまたは−C−Cアルキルであり、Rは、−H、−C−Cアルキル、−C−Cアルキル−CF、フェニル、およびピリジニルからなる群から選択され、かつRは、−H、−C−Cアルキル、−C−Cアルキル−O−CH、−CH−シクロプロピル、−CH−C=CH、−CHCH−(2−F−フェニル)、および1〜2個のフッ素で置換されたフェニルからなる群から選択されるが、ただし、RおよびRが各々Hである場合、Rは、−C−Cアルキル、−C−Cアルキル−O−CH、−CH−シクロプロピル、−CH−C=CH、−CHCH−(2−F−フェニル)、および1〜2個のフッ素で置換されたフェニルからなる群から選択される)、あるいはその立体異性体および薬理学的に許容できる塩に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(相互参照)
本願は、2007年2月23日出願の米国仮出願第60/891261号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(PPAR)は、遺伝子発現を調節するリガンド活性化転写因子である核内ホルモン受容体スーパーファミリーのメンバーである。PPARの種々の亜型が発見されており、それらは新しい治療薬の開発に向けた標的であると報告されている。PPAR受容体には、PPARα、PPARγおよびPPARδが含まれる。このPPARα受容体およびPPARδ受容体は糖尿病、心血管疾患、肥満症、および炎症に関連付けられている。PPARα受容体およびPPARδ受容体の両方を調節する化合物は、心血管疾患、例えば、高脂血症、高トリグリセリド血症、およびアテローム性動脈硬化に対して特に有用であると考えられている。PPARαは、血漿トリグリセリドの実質的な減少および低比重リポタンパク質(LDL)コレステロールの中程度の減少をもたらすと報告されている、現在上市されている高脂血症用のフィブレート系薬物の標的である。特許文献1:国際公開第2003/38553号で開示された化合物は、PPARα受容体の作用薬であると報告されている。
【0003】
PPARδ受容体活性化作用は、高トリグリセリド血症およびインスリン抵抗性の治療標的である。PPARδ作用薬は、メタボリックシンドロームおよびアテローム性動脈硬化に関連する多くのパラメータの調節に使用される、潜在性のある治療として見出された。肥満した糖尿病ではないアカゲザルにおいて、PPARδ作用薬は循環性トリグリセリドおよびLDLコレステロールを減少させ、基底インスリンレベルを低下させ、HDLコレステロールを増加させることが報告されている。HDLコレステロールの増加は、HDL粒子の数の増加と関連付けられ、HDL関連アポリポタンパク質であるアポA−I、アポA−II、およびアポC−IIIの血清レベルの増加が存在し、空腹時インスリンレベルが低下する。PPARδ作用薬活性を標的とする治療は、心血管疾患およびインスリン抵抗性の両方にさらなる治療の選択肢を提供することが所望されている。心血管疾患、およびメタボリックシンドローム関連の病状に対する現在の治療は、しばしば他の医薬品と同時投与される。
【0004】
他の治療法との同時投与に対して許容できる安全性プロファイルを提供しつつ、PPARαおよびPPARδの両方を調節する化合物は、特に望ましいであろう。低PXR調節を有するPPAR作用薬は、所望されない薬物−薬物相互作用を最小にする可能性がある。他の薬物と同時に与えられる薬物は、植物エキス(例えば、オトギリソウまたはグレープフルーツジュース)との組合せで与えられる薬物でさえ、薬物治療の無効力または有害な薬物反応を引き起こす可能性を有する。それゆえ、特定の化合物を代謝する酵素の知見とその誘導因子および阻害薬の知見とを合わせた知見は、これらの有害な作用を予期かつ予防するための医療用医薬品添付文書または医薬品情報シートの一般的な特徴である。例えば、抗糖尿病薬であるトログリタゾン(レズリン(Rezulin)(商標))に関連する問題は、トログリタゾンのPPARに対する効果に加えて、それがプレグナンX受容体(PXR)を活性化するという発見によって、一部、説明することができると、報告されている。後に、トログリタゾン関連化合物であるロシグリタゾンは、PXR活性化について、否定的な試験結果が出た。ロシグリタゾンは、現在、薬物アバンディア(Avandia)(商標)として米国で上市されているが、トログリタゾンは、安全が懸念されることに起因して米国市場から排除された。従って、当業者は、許容できる安全性プロファイルを有し、かつ低PXR活性によって示唆されるような他の医薬品との低薬物−薬物相互作用を提供する新しいPPARδおよびPPARα作用薬を提供するという問題に直面している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2003/38553号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、PPARδおよびPPARαの強力な二重作用薬を提供する。本発明はまた、本願明細書で考察するPPARおよびPXRアッセイ方法を用いて、低PXR調節を示すPPARδおよびPPARαの二重作用薬を提供する。本発明の化合物は、低PXR活性化によって実証されるとおり、所望されない薬物−薬物相互作用の発生率を最小にしつつ、PPAR受容体活性によって示されるとおり、心血管疾患およびインスリン抵抗性に対する所望の治療を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の構造式Iで表される化合物:
【化1】

(式中、
は、−Hまたは−C−Cアルキルであり、
は、−H、−C−Cアルキル、−C−Cアルキル−CF、フェニル、およびピリジニルからなる群から選択され、かつ
は、−H、−C−Cアルキル、−C−Cアルキル−O−CH、−CH−シクロプロピル、−CH−C=CH、−CHCH−(2−F−フェニル)、および1〜2個のフッ素で置換されたフェニルからなる群から選択されるが、
ただし、RおよびRが各々Hである場合、Rは、−C−Cアルキル、−C−Cアルキル−O−CH、−CH−シクロプロピル、−CH−C=CH、−CHCH−(2−F−フェニル)、および1〜2個のフッ素で置換されたフェニルからなる群から選択される)
、あるいはその立体異性体および薬理学的に許容できる塩に関する。
【0008】
別の実施形態では、本発明は、構造式Iで表される化合物
(式中、
は、−Hまたは−CHであり、
は、−H、−C−Cアルキル、−C−Cアルキル−CF、フェニル、およびピリジニルからなる群から選択され、かつ
は、−H、−C−Cアルキル、−C−Cアルキル−O−CH、−CH−シクロプロピル、−CH−C=CH、−CHCH−(2−F−フェニル)、および1または2個のフッ素で置換されたフェニルからなる群から選択されるが、
ただし、RおよびRが各々Hである場合、Rは、−C−Cアルキル、−C−Cアルキル−O−CH、−CH−シクロプロピル、−CH−C=CH、−CHCH−(2−F−フェニル)、および1〜2個のフッ素で置換されたフェニルからなる群から選択される)
、あるいはその立体異性体および薬理学的に許容できる塩を提供する。
【0009】
別の実施形態では、本発明は、構造式Iで表される化合物
(式中、
は、−Hまたは−CHであり、
は、−H、−CH、−CHCH、−CHCHCH、−CHCHCHCH、−CH(CH3)、−CHCHCF、−CHCHCHCF、フェニル、および3−ピリジニルからなる群から選択され、かつ
は、−H、−CH、−CHCH、−CHCHCH、−CH(CH、−CH−C=CH、−CHCH−O−CH、−CHCH(CH、−C(CH、−CH−シクロプロピル、2,6−ジF−フェニル、2−F−フェニル、および−CHCH−(2−F−フェニル)からなる群から選択されるが、
ただし、RおよびRが各々Hである場合、Rは−CHCH、−CH(CH、2−F−フェニル、および2,6−ジF−フェニルからなる群から選択される)
、あるいはその立体異性体および薬理学的に許容できる塩を提供する。
【0010】
別の実施形態では、本発明は、構造式Iで表される化合物
(式中、
は、−Hまたは−CHであり、
は、−H、−C−Cアルキル、および−C−Cアルキル−CFからなる群から選択され、かつ
は、−C−Cアルキル、−CH−シクロプロピル、−CH−C=CH、および1または2個のフッ素で置換されたフェニルからなる群から選択されるが、
ただし、RおよびRが各々Hである場合、Rは−C−Cアルキル、−CH−シクロプロピル、−CH−C=CH、および1〜2個のフッ素で置換されたフェニルからなる群から選択される)
、またはその立体異性体および薬理学的に許容できる塩を提供する。
【0011】
別の実施形態では、本発明は、構造式Iで表される化合物
(式中、
は、−Hまたは−CHであり、
は、−H、−CH、−CHCH、−CHCHCH、−CHCHCHCH、および−CHCHCHCFからなる群から選択され、かつ
は、−CHCHCH、−CH(CH、−CH−C=CH、−CH−シクロプロピル、2,6−ジF−フェニル、または2−F−フェニルからなる群から選択される)
、あるいはその立体異性体および薬理学的に許容できる塩を提供する。
【0012】
別の実施形態では、本発明は、構造式Iで表される化合物
(式中、
は、−Hまたは−CHであり、
は、−CHCHCHまたは−CHCHCHCHであり、かつ
は、−2−F−フェニルまたは2,6−ジF−フェニルである)
、あるいはその立体異性体および薬理学的に許容できる塩を提供する。
【0013】
別の実施形態では、本発明は、構造式Iで表される化合物
(式中、
は−Hであり、
は、−H、−CH、−CHCH、−CHCHCH、−CHCHCHCH、−CHCHCF、−CHCHCHCF、フェニル、および3−ピリジニルからなる群から選択され、かつ
は、−CH、−CHCH、−CH(CH、2−F−フェニル、2,6−ジF−フェニル、または−CHCH−(2−F−フェニル)からなる群から選択されるが、
ただし、RおよびRが各々Hである場合、Rは、2−F−フェニル、−CHCH、2,6−ジF−フェニル、および−CH(CHからなる群から選択される)
、あるいはその立体異性体および薬理学的に許容できる塩を提供する。
【0014】
別の実施形態では、本発明は、構造式Iで表される化合物
(式中、
は−CHであり、
は、−H、−CH、−CHCHCH、−CHCHCHCH、−CHCHCF、−CHCHCHCF、フェニル、および3−ピリジニルからなる群から選択され、かつ
は、−CH、−CHCH、−CHCHCH、−CH−C=CH、−CH(CH、−CHCH(CH、−C(CH、−CHCH−O−CH、−CH−シクロプロピル、2,6−ジF−フェニル、2−F−フェニル、および−CHCH−(2−F−フェニル)からなる群から選択される)
、あるいはその立体異性体および薬理学的に許容できる塩を提供する。
【0015】
別の実施形態では、本発明はまた、本発明の少なくとも1種の化合物、またはその薬理学的に許容できる塩もしくは立体異性体と、薬理学的に許容できる担体とを含む医薬製剤に関する。
【0016】
別の実施形態では、本発明は、他のPPAR受容体亜型と比べて、PPARδ受容体およびPPARα受容体を選択的に、なおプレグナンX受容体に対してほとんど刺激効果を有さずに、調節する方法であって、そのそれぞれの受容体を、構造式Iによって表される少なくとも1種の化合物またはその薬理学的に許容できる塩もしくは立体異性体と接触させることによって行う、方法に関する。
【0017】
別の実施形態では、本発明は、式IVの中間体
【化2】

(式中、
Rは、−C−Cアルキルであり、
は、−Hまたは−C−Cアルキルであり、
は、−H、−C−Cアルキル、−C−Cアルキル−CF、フェニル、およびピリジニルからなる群から選択され、かつ
は、−H、−C−Cアルキル、−C−Cアルキル−O−CH、−CH−シクロプロピル、−CH−C=CH、−CHCH−(2−F−フェニル)、および1〜2個のフッ素で置換されたフェニルからなる群から選択されるが、
ただし、RおよびRが各々Hである場合、Rは、−C−Cアルキル、−C−Cアルキル−O−CH、−CH−シクロプロピル、−CH−C=CH、または1〜2個のフッ素で置換されたフェニルからなる群から選択される)
、あるいはその立体異性体および薬理学的に許容できる塩を提供する。
【0018】
鏡像異性体対の分離を行うために必要な適切なキラルカラム、溶離液および条件の選択は、十分に、当業者の知識の範囲に含まれる。加えて、式Iの化合物の具体的な立体異性体および鏡像異性体は、J.Jacquesら, 「Enantiomers,Racemates,and Resolutions」,John Wiley and Sons,Inc.,1981、およびE.L.ElielおよびS.H.Wilen, 「Stereochemistry of Organic Compounds」,(Wiley−Interscience 1994)、および欧州特許出願公開第838448号(1998年4月29日に公開)によって開示されるものなどの周知の技法およびプロセスを利用して、当業者が調製することができる。分割の例としては、再結晶技法またはキラルクロマトグラフィが挙げられる。
【0019】
本発明の化合物はキラル中心を有し、種々の立体異性配置で存在し得る。このキラル中心の結果として、本発明の化合物は、ラセミ体、鏡像異性体の混合物として、および個々の鏡像異性体として存在する。すべてのかかるラセミ体および鏡像異性体は、本発明の範囲に含まれる。本願明細書中の実施例は特に好ましい本発明の化合物である。
【0020】
「薬理学的に許容できる塩」は、臨床用途および/または獣医学的用途において許容できると考えられる本発明の化合物の塩を指す。これらの塩は、当業者に公知の方法によって調製できる。薬理学的に許容できる塩およびそれらを調製するための一般的な方法論は当該技術分野で周知である。例えば、P.Stahlら, HANDBOOK OF PHARMACEUTICAL SALTS:PROPERTIES,SELECTION AND USE,(VCHA/Wiley−VCH,2002);S.M.Bergeら, 「Pharmaceutical Salts」,Journal of Pharmaceutical Sciences,第66巻,第1号,1977年1月を参照。本発明の化合物は、好ましくは、種々のルートによって投与される医薬組成物として調製される。用語「薬理学的に許容できる」は、担体、希釈剤、賦形剤および塩が本組成物の他の成分と薬理学的に適合性であることを意味する。最も好ましくは、かかる製剤は経口投与のためのものである。かかる医薬製剤およびそれを調製するためのプロセスは、当該技術分野で周知である。例えば、REMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY(A.Gennaroら編,第19版,Mack Publishing Co.,1995)を参照。
【発明を実施するための形態】
【0021】
定義:THFはテトラヒドロフランであり、EtOAcは酢酸エチルであり、EtOはジエチルエーテルであり、DEADはジエチルアゾジカルボキシレートであり、PPhはトリフェニルホスフィンであり、ADDPは1,1’−(アゾジカルボニル)−ジピペリジンであり、BuPはトリ−n−ブチルホスフィンであり、DIPEAはN,N−ジイソプロピルエチルアミンであり、BBrは三臭化ホウ素であり、TMSOTfはトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルであり、Pd(OH)/Cは水酸化パラジウム/炭素であり、Bnはベンジルである。
【0022】
用語「アルキル」は、別段の記載がない限り、直鎖または分枝鎖のいずれかの飽和構成の指定された数の炭素原子を有するアルキル基を指す。C−Cアルキルは、メチル、エチル、n−プロピルおよびイソプロピルを指す。C−Cアルキルは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、およびtert−ブチルを指す。調製例および実施例は、MDL Information Systems,Inc.のMDL ISIS/Draw バージョン2.5 SP1の中のAutoNom 2000を用いて命名している。
【0023】
本発明の実施例の合成で用いられる方法が、スキーム1に示される。一般に、式IIのアルコール中間体は、光延条件下(DEAD/PPh、ADDP/BuPなど)で式IIIのフェノール中間体と反応し、式IVのエステルを形成する。式IIのフェノール化合物の調製について、国際公開第2001016120号および国際公開第2004063166号を参照。NaOHまたはLiOHの水溶液の存在下での加水分解によって式Iの化合物が得られる。
【化3】

【0024】
ある状況では、合成順序は、トリアゾロンのN−4位の保護基(PG)(例えば、アリル)が利用されるスキーム2に示すように変更されてよい。脱保護、次いで塩基(KCO、NaH、DIPEAなど)の存在下でのRXを用いたアルキル化によって、最終生成物の1つ前のエステルが得られ、これは塩基(NaOHまたはLiOH)水溶液の存在下で加水分解され、上記酸生成物を与える。
【化4】

【0025】
式IIのアルコール中間体は(チオイミド酸エステルを経由する)スキーム3に示すように調製され、このスキーム3はアルコール中間体ルートAと呼ばれる。α−ベンジルオキシアミド化合物2は、酸前駆体または塩化アシル前駆体から得られ、チオアミド化合物3に変換される。トリフルオロメタンスルホン酸メチルまたはヨウ化メチルを用いたアルキル化によってチオイミド酸エステル誘導体化合物4が得られ、これはさらにフェニルヒドラジン誘導体で処理され、次いでカルボジイミダゾールで処理され、化合物6を与える。BBrまたは水素化分解による化合物6の脱ベンジル化によって、式IIaの1級アルコール中間体化合物が得られる。
【化5】

【0026】
あるいは、中間体6は、(セミカルバジドを経由する)スキーム4に示す方法を使用して調製することができ、このスキーム4はアルコール中間体ルートBと呼ばれる。例えば、化合物1aはそのアシルヒドラジド誘導体化合物7に変換され、これはイソシアネートで処理され、次いでTMOSTfで処理され、トリアゾロン誘導体化合物9を与える。Buchwald条件下でのハロゲン化アリールとのカップリングによって化合物6が得られる。次いで、BBrまたは水素化分解による化合物6の脱ベンジル化によって、式IIaの1級アルコール中間体化合物が得られる。
【化6】

【0027】
スキーム5では、式IIaの化合物は、任意にアルデヒド化合物8に酸化してよく、そのアルデヒド化合物8は、次いでグリニャール試薬、RMgXの付加を経由して2級アルコール化合物9に変換される。
【化7】

【0028】
が水素以外の置換基である場合、以下に示すように、Rが結合している炭素にキラル中心が存在する。
【化8】

が水素以外のものである化合物については、エステル保護された最終生成物の1つ前の中間体(例えば、式IV)はラセミ体である。この時点で、このラセミ混合物は、キラルクロマトグラフィによって2種の異性体である異性体1および異性体2に分離される。次いで、各々が脱保護されて最終生成物を与える。
【実施例】
【0029】
(アルコール中間体ルートAを用いる調製)
(調製例1)
2−ベンジルオキシ−N−イソプロピル−アセトアミド
【化9】

ベンジルオキシアセチルクロリド(7.8mL、50mmol)を、ジクロロメタン(200mL)中のイソプロピルアミン(10.7mL、125mmol)の溶液に0℃で加えた。室温で一晩撹拌した後、濃縮し、酢酸エチルと1N HClとの間で分配した。有機層を乾燥し(NaSO)、濃縮し、白色固体10.4gを得た。H−NMR(CDCl)δ 7.36(m,5H),6.38(bs,1H),4.56(s,2H),4.11(m,1H),3.95(s,2H),1.73(d,6H)。
【0030】
(調製例2)
2−ベンジルオキシ−N−イソプロピル−チオアセトアミド
【化10】

Lawesson試薬(12.1g、30mmol)をトルエン(100mL)中の2−ベンジルオキシ−N−イソプロピル−アセトアミド(10.4g、50mmol)の懸濁液に加え、この混合物を還流状態で一晩撹拌した。乾固するまでエバポレートし、残渣をEtO/ヘキサンに懸濁させ、濾過した。濾液を濃縮し、カラムクロマトグラフィ(0〜15% EtOAcを含むヘキサン中)によって精製し、油状物10.5gを得た。
【0031】
(調製例3)
2−ベンジルオキシ−N−イソプロピル−チオアセトイミド酸メチルエステル
【化11】

トリフルオロメタンスルホン酸メチル(10g、61mmol)を、ジクロロメタン(200mL)中の2−ベンジルオキシ−N−イソプロピル−チオアセトアミド(10g、45mmol)の溶液に0℃で加え、この混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒をエバポレートして、黄褐色固体を得た。H−NMR(CDCl)δ 7.37(m,5H),4.79(s,2H),4.76(s,2H),4.00(m,1H),2.80(s,3H),1.42(d,6H)。
【0032】
(調製例4)
5−ベンジルオキシメチル−4−イソプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−オン
【化12】

ピリジン(150mL)中の2−ベンジルオキシ−N−イソプロピル−チオアセトイミド酸メチルエステルおよび4−トリフルオロメチルフェニルヒドラジン(7.9g、45mmol)の混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒をエバポレートし、残渣を真空乾燥し、油状物を得た。THF中で、還流状態で一晩、カルボニルジイミダゾール(11g、67.5mmol)で処理した。酢酸エチルで希釈し、1N HClで洗浄した。有機層を濃縮し、カラムクロマトグラフィ(0〜20% EtOAcを含むヘキサン)によって精製し、所望の生成物を油状物11gとして得た。LC−MS:392(M+1)。
【0033】
(調製例5)
5−ヒドロキシメチル−4−イソプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−オン
【化13】

エタノール(240mL)中の5−ベンジルオキシメチル−4−イソプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−オン(8.5g、21.7mmol)、Pd(OH)/C(3.3g)の混合物を水素化分解(H、60psi(約414kPa)、50℃、18時間)にかけた。セライトパッドを通して濾過した後、濾液を濃縮し、白色固体、6.5gを得た。H−NMR(DMSO−d)δ 8.13(d,2H),7.82(d,2H),5.86(bs,1H),4.48(s,2H),4.40(m,1H),1.47(d,6H)。
【0034】
(アルコール中間体ルートBを用いた調製)
(調製例6)
ベンジルオキシ−酢酸 ヒドラジド
【化14】

ヒドラジン水和物(25mL)およびエタノール(250mL)中のベンジルオキシ−酢酸メチルエステル(45g、250mmol)の溶液を、還流状態に4時間加熱した。この混合物を室温まで冷却し、およそ50mlの体積まで濃縮してから、水およびジエチルエーテルの1:1 混合物(250mL)に注ぎ込んだ。混合物を分離し、水層をさらに酢酸エチル(2×200mL)で抽出した。合わせた有機抽出液をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、ベンジルオキシ−酢酸ヒドラジド、35gを得た。H NMR(CDCl)δ 7.26−7.36(m,5H),4.56(s,2H),4.06(s,2H)。
【0035】
(調製例7)
5−ベンジルオキシメチル−4−(2−フルオロ−フェニル)−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−オン
【化15】

2−フルオロフェニルイソシアネート(2.49ml、22.2mmol)を、THF(50ml)中のベンジルオキシ酢酸ヒドラジド(4.0g、22.2mmol)の溶液に加えた。この溶液を2時間維持してから、濃縮し、セミカルバジドを白色固体、7.04gとして得た。H NMR:(DMSO−d)δ 9.81(s,1H),8.56(s,1H),8.37(s,1H),8.01(m,1H),7.30−7.43(m,5H),7.24(m,1H),7.14(m,1H),7.04(m,1H),4.61(s,2H),4.06(s,2H)。
【0036】
トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(5.97ml、33.0mmol)を、トルエン(50ml)中の、上で得た生成物(3.5g、11.0mmol)およびトリエチルアミン(7.67ml、55.0mmol)の溶液に加えた。この混合物を還流状態で16時間加熱してから、23℃まで冷却し、その内容物を飽和炭酸水素ナトリウム(250ml)に注ぎ込んだ。この混合物をジエチルエーテル(50ml)および酢酸エチル(50ml)で抽出した。合わせた有機抽出液を飽和塩化ナトリウムで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。この粗製混合物を、カラムクロマトグラフィ(0〜70% 酢酸エチル/ヘキサン)によって精製し、5−ベンジルオキシメチル−4−(2−フルオロ−フェニル)−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−オン(2.25g)を得た。H NMR(CDCl)δ 11.08(s,1H),7.43−7.52(m,2H),7.31(m,4H),7.15(m,2H),4.44(s,2H),4.37(s,2H)。ES−MS:300(M+1)。
【0037】
(調製例8)
5−ベンジルオキシメチル−4−(2−フルオロ−フェニル)−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−オン
【化16】

ジオキサン(15ml)中の5−ベンジルオキシメチル−4−(2−フルオロ−フェニル)−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−オン(2.25g、7.52mmol)、ヨウ化4−トリフルオロメチルフェニル(1.24ml、8.63mmol)、および炭酸カリウム(2.08g、15.0mmol)の混合物に、窒素ガスを5分間吹き込んだ。ヨウ化銅(I)(0.072g、0.38mmol)およびtrans−1,2−アミノシクロヘキサン(0.086g、0.75mmol)を順次に加え、次いでこの反応液を還流状態に16時間加熱した。この内容物を飽和炭酸水素ナトリウム(50ml)に注ぎ込んだ。この混合物をジエチルエーテル(2×25ml)および酢酸エチル(2×25ml)で抽出した。合わせた有機抽出液を水(2回)および飽和塩化ナトリウムで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。この粗製混合物をカラムクロマトグラフィ(0〜20% 酢酸エチル/ヘキサン)によって精製し、5−ベンジルオキシメチル−4−(2−フルオロ−フェニル)−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−オン(2.68g)を白色固体として得た。H−NMR(CDCl)δ 8.20(d,2H),7.71(d,2H),7.42−7.51(m,2H),7.31(m,5H),7.13(m,2H),4.47(s,2H),4.42(s,2H)。
【0038】
(調製例9)
4−(2−フルオロ−フェニル)−5−ヒドロキシメチル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−オン
【化17】

5−ベンジルオキシメチル−4−(2−フルオロフェニル)−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−オンから、調製例5に記載したのと同様の手順を用いた水素化分解の後に、標記の化合物を得た。H NMR(CDCl,7.26)δ 8.21(d,2H),7.73(d,2H),7.56(m,2H),7.37(m,2H),4.58(s,2H),2.09(br s,1H)。
【0039】
(スキーム5の2級アルコールの調製)
(調製例10)
4−イソプロピル−5−オキソ−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−4,5−ジヒドロ−1H−[1,2,4]トリアゾール−3−カルボアルデヒド
【化18】

ジクロロメタン(300mL)中の5−ヒドロキシメチル−4−イソプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−オン(5.1g、17mmol)、クロロクロム酸ピリジニウム(18.3g、85mmol)、セライト(18.3g)および4A モレキュラーシーブ(18.3g)の混合物を常温で一晩撹拌した。セライトパッドを通して濾過し、濾液を濃縮し、黄褐色固体、4gを得た。H−NMR(CDCl)δ 9.64(s,1H),8.21(d,2H),7.73(d,2H),5.05(m,1H),1.56(d,6H)。
【0040】
(調製例11)
5−(ヒドロキシ−ピリジン−3−イル−メチル)−4−イソプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−オン
【化19】

塩化イソプロピルマグネシウム(1.34mL、2.67mmol、2.0M THF溶液)を、THF(3mL)中の3−ブロモピリジン(262μL、2.67mmol)の常温溶液に滴下した。この反応液を室温で1時間撹拌した。トリエチルアミン(372μL、2.67mmol)を加え、次いでTHF(3mL)中の4−イソプロピル−5−オキソ−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−4,5−ジヒドロ−1H−[1,2,4]トリアゾール−3−カルボアルデヒド(800mg、2.67mmol)を滴下し、この反応液を室温で一晩撹拌した。この反応液を水でクエンチし、EtOで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、濃縮し、クロマトグラフにかけ(5〜40% EtOAC/ヘキサン)、標記の化合物、485mgを得た。ES−MS:379(M+1)。
【0041】
合成方法1(スキーム1)
光延反応、次いで塩基加水分解によるエステル保護された中間体の形成、次いで脱保護
(調製例12)
2−{4−[4−イソプロピル−5−オキソ−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−4,5−ジヒドロ−1H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルメトキシ]−2−メチル−フェノキシ}−2−メチル−プロピオン酸 エチルエステル
【化20】

トリ−n−ブチルホスフィン(598μl、2.40mmol)、2−(4−ヒドロキシ−2−メチル−フェノキシ)−2−メチル−プロピオン酸 エチルエステル(374mg、1.57mmol)を、トルエン(10ml)中の5−ヒドロキシメチル−4−イソプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−オン(481mg、1.60mmol)の常温溶液に加え、??℃に冷却した。1,1’−(アゾジカルボニル)−ジピペリジン(606mg、2.40mmol)を加え、この反応液を室温まで一晩加温した。この混合物をヘキサン(100ml)で希釈し、濾過し、濃縮し、クロマトグラフにかけ(120g SiO、0%〜15% EtOAc/ヘキサン)、所望の生成物、601mgを得た。LC−MS:522(M+1)。
【0042】
(実施例1)
2−{4−[4−イソプロピル−5−オキソ−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−4,5−ジヒドロ−1H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルメトキシ]−2−メチル−フェノキシ}−2−メチル−プロピオン酸
【化21】

水酸化リチウム(1.69ml、3.36mmol、2.0M HO溶液)を、ジオキサン(3ml)中の2−{4−[4−イソプロピル−5−オキソ−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−4,5−ジヒドロ−1H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルメトキシ]−2−メチル−フェノキシ}−2−メチル−プロピオン酸 エチルエステル(588mg、1.12mmol)の常温溶液に加え、50℃に一晩加熱した。この混合物を濃縮し、残渣をEtOと1N HClとの間で分配した。有機層をHOで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、濃縮し、所望の生成物、539mgを得た。LC−MS:494(M+1)。
【0043】
合成方法2(スキーム2)
エステル保護された中間体の形成、N−脱保護、次いでアルキル化および塩基加水分解
(調製例13)
2−メチル−2−{2−メチル−4−[5−オキソ−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−4,5−ジヒドロ−1H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルメトキシ]−フェノキシ}−プロピオン酸 エチルエステル
【化22】

パラジウムテトラキス−トリフェニルホスフィン(164mg、0,143mmol)を、ジオキサン(47mL)中の2−{4−[4−アリル−5−オキソ−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−4,5−ジヒドロ−1H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルメトキシ]−2−メチル−フェノキシ}−2−メチル−プロピオン酸 エチルエステル(7.37g、14.19mmol)、トリエチルアミン(4.9mL、35.47mmol)、およびギ酸(1.1mL、28.38mmol)の溶液に加えた。窒素を吹き込むことによって、この混合物を数回脱気し、85℃に18時間加熱した。室温まで冷却し、セライトパッドを通して濾過した。濾液を濃縮し、カラムクロマトグラフィ(10〜30% EtOAcを含むヘキサン)によって精製し、標記の生成物、6.2gを得た。H NMR(CDCl):8,11(d,2H),7,67(d,2H),6.83(s,1H),6.69(m,2H),4,97(s,2H),4,26(c,2H),2,2(s,3H),1,55(s,6H),1,26(t,3H)。
【0044】
(調製例14)
2−{4−[4−(2−メトキシ−エチル)−5−オキソ−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−4,5−ジヒドロ−1H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルメトキシ]−2−メチル−フェノキシ}−2−メチル−プロピオン酸 エチルエステル
【化23】

密封したチューブ中で、アセトニトリル(2.5mL)中の2−メチル−2−{2−メチル−4−[5−オキソ−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−4,5−ジヒドロ−1H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルメトキシ]−フェノキシ}−プロピオン酸 エチルエステル(480mg、1mmol)、1−クロロ−2−メトキシ−エタン(146μl、1,6mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(0,43mL、2.5mmol)、およびヨウ化ナトリウム(5mg)の混合物を、還流状態に18時間加熱した。この反応液を室温まで冷却し、溶媒を真空下でエバポレートした。残渣を酢酸エチルに溶解させた。この溶液を酢酸アンモニウムの飽和溶液、ブライン、および水で連続して洗浄した。この有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒をエバポレートした。この粗生成物を、酢酸エチルを含むヘキサン(10〜30%)の勾配で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィによって精製し、標記の生成物、529mgを得た。H NMR(CDCl):8,11(d,2H),7,63(d,2H),6.77(d,1H),6.64(m,2H),5,06(s,2H),4,22(c,2H),4,01(t,2H),3,6(t,2H),3,28(s,3H),2,18(s,3H),1,56(s,6H),1,2(t,3H)。
【0045】
(実施例2)
2−{4−[4−(2−メトキシ−エチル)−5−オキソ−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−4,5−ジヒドロ−1H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルメトキシ]−2−メチル−フェノキシ}−2−メチル−プロピオン酸
【化24】

2−{4−[4−(2−メトキシ−エチル)−5−オキソ−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−4,5−ジヒドロ−1H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルメトキシ]−2−メチル−フェノキシ}−2−メチル−プロピオン酸 エチルエステル(479mg、0.889mmol)を30mLのTHFとエタノールとの1対1 混合物に室温で溶解させた。2.2mLの水酸化カリウムの2N水溶液を加え、室温で18時間撹拌した。真空下で濃縮し、pH4まで酸性にした。酢酸エチルで希釈し、層を分離させた。水層を酢酸エチルで2回抽出した。有機物を合わせ、ブラインおよび水で連続して洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒をエバポレートし、標記の生成物、417mgを得た。ES−MS:510(M+1)。
【0046】
表1では、実施例は、式IIaのアルコール中間体をルートA(スキーム3)によって調製し、かつ合成方法1を使用することによって、基本的に実施例1に記載したようにして調製した。[課題を解決するための手段]に示した構造式Iについての置換基に関しては、RおよびRは示したとおりであり、Rは水素である。
【0047】
表1
【表1】

【0048】
表2では、実施例は、式IIaのアルコール中間体をルートA(スキーム3)によって調製し、かつ合成方法2を使用することによって、基本的に実施例2に記載したようにして調製した。[課題を解決するための手段]に示した構造式Iについての置換基に関しては、RおよびRは示したとおりであり、Rは水素である。
【0049】
表2
【表2】

【0050】
表3では、実施例は、式IIaのアルコール中間体をルートB(スキーム4)によって調製し、かつ合成方法1を使用することによって、基本的に実施例1に記載したようにして調製した。[課題を解決するための手段]に示した構造式Iについての置換基に関しては、RおよびRは示したとおりであり、Rは水素である。
【0051】
表3
【表3】

【0052】
表4では、実施例は、式IIaのアルコール中間体をルートA(スキーム3)によって調製し、かつ合成方法1を使用することによって、基本的に実施例1に記載したようにして調製した。[課題を解決するための手段]に示した構造式Iについての置換基に関しては、R、RおよびRは示したとおりである。
【0053】
表4
【表4−1】

【0054】
【表4−2】

表4a:表4の実施例の異性体。以下の実施例は、ラセミの保護された化合物をキラルHPLCによって分離し、その保護された異性体を集め、次いで脱保護することによって調製し、実施例を得た。
【0055】
表4a
【表5−1】

【0056】
【表5−2】

【0057】
表5では、実施例は、式IIaのアルコール中間体をルートB(スキーム4)によって調製し、かつ合成方法1を使用することによって、基本的に実施例1に記載したようにして調製した。[課題を解決するための手段]に示した構造式Iについての置換基に関しては、RおよびRは示したとおりであり、Rは2,6−ジ−フルオロ−フェニルである。
【0058】
表5
【表6−1】

【0059】
【表6−2】

表5a:表5の実施例の異性体。以下の実施例は、ラセミの保護された化合物をキラルHPLCによって分離し、その保護された異性体を集め、次いで脱保護することによって調製し、実施例を得た。
【0060】
表5a
【表7−1】

【0061】
【表7−2】

【0062】
表6では、実施例は、式IIaのアルコール中間体をルートB(スキーム4)によって調製し、かつ合成方法1を使用することによって、基本的に実施例1に記載したようにして調製した。[課題を解決するための手段]に示した構造式Iについての置換基に関しては、RおよびRは示したとおりであり、Rは2−フルオロ−フェニルである。
【0063】
表6
【表8−1】

【0064】
【表8−2】

表6a:表6の実施例の異性体。以下の実施例は、ラセミの保護された化合物をキラルHPLCによって分離し、その保護された異性体を集め、次いで脱保護することによって調製し、実施例を得た。
【0065】
表6a
【表9−1】

【0066】
【表9−2】

【0067】
【表9−3】

【0068】
(生物学的アッセイ)
(結合および同時トランスフェクション研究)
PPARα受容体を調節する化合物のインビトロ効力を、以下に詳述する手順によって測定した。DNA依存性結合(ABCD結合)を、PPAR受容体についてSPA技術を用いて実施した。トリチウム標識したPPARCX作用薬を、本発明の化合物についての置換曲線およびIC50値を生成するため、放射性リガンドとして使用した。同時トランスフェクションアッセイを、CV−1細胞で実施した。レポータープラスミドは、アシルCoAオキシダーゼ(AOX)PPREおよびルシフェラーゼレポーターcDNAの上流のTKプロモータを含む。適切なPPARを、CMVプロモーターを含むプラスミドを用いて、構成的に発現させた。PPARαについては、CV−1細胞中の内因性PPARγによる干渉が問題である。かかる干渉を排除するために、トランスフェクトしたPPARのDNA結合ドメインをGAL4のDNA結合ドメインで置き換えたGAL4キメラ系を使用し、GAL4反応エレメントを、AOX PPREの代わりに利用した。同時トランスフェクションの有効性を、PPARα作用薬基準分子に対して測定した。有効性を、濃度−反応曲線へのコンピュータフィッティングによって、またはある場合には1点の高濃度の作用薬(10μM)で決定した。
【0069】
これらの研究を、種々の核内転写因子、特にhuPPARα(「hu」は「ヒト」を表す)に結合する本発明の化合物の能力、および/またはそれを活性化する本発明の化合物の能力を評価するために実施した。これらの研究は、本発明の化合物の有効性および選択性に関してインビトロのデータを提供する。さらに、本発明の化合物についての結合および同時トランスフェクションデータを、huPPARαに作用する上市されている化合物についての対応するデータと比較した。
【0070】
(PXRアッセイ:HuH7細胞でのGAL4PXR/GAL4反応エレメントレポーターアッセイ)
ヒト肝臓HuH7細胞を、Fugeneを用いて同時トランスフェクトした。5つのGal4結合部位、およびルシフェラーゼレポーターcDNAの上流のアデノウイルスの主要な後期プロモーターを含むレポータープラスミドを、ウイルス性SV40初期プロモーターを用いて、GAL4 DNA結合ドメインおよびヒトSXRリガンド結合ドメインと整合するハイブリッド受容体を構成的に発現するプラスミドで、トランスフェクトした。細胞を、T225cmフラスコ中で、10%のチャコール処理したウシ胎仔血清(FBS)を含むDMEM:F12(3:1)培地中で10μgの全DNA/10細胞を用いてトランスフェクトした。一晩のインキュベーション後、トランスフェクトした細胞をトリプシン処理し、10%のチャコール処理したFBSを含むDMEM:F12(3:1)培地中で96ウェルの皿にプレーティングし、4時間インキュベートし、次いで半対数希釈率の0.8nM〜50μMの試験化合物に曝露した。化合物との24時間のインキュベーションの後、細胞を溶解させ、ルシフェラーゼ活性を測定した。データを、4パラメータフィッティングロジスティックにフィッティングさせ、EC50値を決定した。%有効性を、リファンピシンを用いて得られる最大刺激に対して測定した。
【0071】
本願明細書で開示した実施例のすべては、PPARδ受容体については600nM未満、およびPPARα受容体については3000nM未満のEC50で、結合アッセイにおいて活性を示した。本願明細書で開示した実施例のすべては、70未満の%有効性(対 リファンピシンを用いた最大刺激)で、PXRアッセイにおいて活性を示した。結合アッセイにおける実施例の化合物についての代表的なデータを下の表7に示す。
【0072】
表7
【表10】

【0073】
(参考文献)
Current Topics in Medicinal Chemistry. 3(14):1649−61(2003)。
Oliver,W.R.ら, Proc Natl Acad Sci 98:5306−5311(2001)。
Jonesら、The pregnane X receptor Mol. Endocrinol.14:27−39(2000)を引用するHandschin, Pharmacology Reviews,第55巻:4号 665頁。
Barish,G.D.ら, The Journal of Clinical Investigation 116(3):590−597(2006)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式の化合物:
【化1】

(式中、
は、−Hまたは−C−Cアルキルであり、
は、−H、−C−Cアルキル、−C−Cアルキル−CF、フェニル、およびピリジニルからなる群から選択され、かつ
は、−H、−C−Cアルキル、−C−Cアルキル−O−CH、−CH−シクロプロピル、−CH−C=CH、−CHCH−(2−F−フェニル)、および1〜2個のフッ素で置換されたフェニルからなる群から選択されるが、
ただし、RおよびRが各々Hである場合、Rは、−C−Cアルキル、−C−Cアルキル−O−CH、−CH−シクロプロピル、−CH−C=CH、−CHCH−(2−F−フェニル)、および1〜2個のフッ素で置換されたフェニルからなる群から選択される)
、あるいはその立体異性体および薬理学的に許容できる塩。
【請求項2】
がメチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
がHである、請求項1または請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
が−C−Cアルキルである、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
がCアルキルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
が、−Hまたは−CHであり、
が、−H、−C−Cアルキル、および−C−Cアルキル−CFからなる群から選択され、かつ
が、−C−Cアルキル、−CH−シクロプロピル、−CH−C=CH、および1または2個のフッ素で置換されたフェニルからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物、あるいはその立体異性体および薬理学的に許容できる塩。
【請求項7】
2−{4−[4−イソプロピル−5−オキソ−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−4,5−ジヒドロ−1H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルメトキシ]−2−メチル−フェノキシ}−2−メチル−プロピオン酸である、化合物。
【請求項8】
薬理学的に許容できる担体と、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の少なくとも1種の化合物とを含む医薬製剤。
【請求項9】
哺乳動物において心血管疾患を治療するための方法であって、前記哺乳動物に、治療上有効量の請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の化合物を投与するステップを含む、方法。
【請求項10】
哺乳動物においてトリグリセリドを低下させるための方法であって、前記哺乳動物に、治療上有効量の請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の化合物を投与するステップを含む、方法。
【請求項11】
哺乳動物において血糖値を低下させるための方法であって、治療上有効量の請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の化合物を投与するステップを含む、方法。
【請求項12】
医薬の製造において使用するための、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
心血管疾患を治療するための医薬の製造のための、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項14】
請求項1に記載の化合物を調製するための中間体であって、
【化2】

(式中、
Rは、−C−Cアルキルであり、
は、−Hまたは−C−Cアルキルであり、
は、−H、−C−Cアルキル、−C−Cアルキル−CF、フェニル、およびピリジニルからなる群から選択され、かつ
は、−H、−C−Cアルキル、−C−Cアルキル−O−CH、−CH−シクロプロピル、−CH−C=CH、−CHCH−(2−F−フェニル)、および1〜2個のフッ素で置換されたフェニルからなる群から選択されるが、
ただし、RおよびRが各々Hである場合、Rは、−C−Cアルキル、−C−Cアルキル−O−CH、−CH−シクロプロピル、−CH−C=CH、−CHCH−(2−F−フェニル)、および1〜2個のフッ素で置換されたフェニルからなる群から選択される)
、あるいはその立体異性体および薬理学的に許容できる塩である、中間体。

【公表番号】特表2010−519308(P2010−519308A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−550963(P2009−550963)
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/053653
【国際公開番号】WO2008/103574
【国際公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(594197872)イーライ リリー アンド カンパニー (301)
【Fターム(参考)】