説明

ペレット化された低分子量臭素化芳香族ポリマー組成物

本発明が提示するプロセス技術により特定の一般式の新規のポリマー組成物が本発明のペレットに変換される。そのようなポリマー組成物の一つのポリマーである結合剤を含まない溶融物を形成し、かつ本明細書に記載したペレットに変換することで製造中、取り扱い中、および使用中に「微粉」または空気混入可能なダストの許容範囲の少ない量を超えずに産生するペレットの形成が可能である。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
我々の研究室において新規で高効率の低分子量臭素化芳香族ポリマー組成物が最近発見された。これら組成物を以下の一般式で表す。
C6H(5-x)BrxCH2CH2(C6H(5-x)BrxCHCH2-)nCH2C6H(5-x)Brx
ここで、nは約2.9から約3.9の範囲にある平均数であり、各xは同じか、または異なり、かつ3から5の範囲の整数であり、前記組成物中のすべてのxの平均数が約3.50から約3.80の範囲にあり、かつX線蛍光分光法(XRF)で決定されるポリマー中の臭素の重量パーセントが約73.4から約74.5の範囲である。これら新規の臭素化芳香族ポリマー組成物およびその調製と使用法の詳細は、同一出願人が所有する2008年12月2日に出願された米国特許仮出願第61/119、289号に記載されており、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
上記一般式のポリマーが相対的に低分子量(例えば、約3000の範囲にあるMw)を有することにより、上記の低分子量臭素化芳香族ポリマー組成物は、ダスト形状の粉末を含む相当量の粉末状の共生成物の同時形成なしでペレットに直接変換するような十分な固有強度をもつことができないと予想される。ダストと粉末の形成は、特にダストが空気中で浮遊している場合はもちろん非常に好ましくない。さらに、ダストと粉末がリサイクル用に回収されない限り、これらの形成により所望の生成物のロス、さらには結果的に経済的なロスとなる。
【0003】
上記の相対的低分子量ポリマーが、ダスト形状の粉末を含めて相当量の粉末状の共生成物の同時形成なしでペレットに直接変換するような十分な固有強度を有しないと我々が思うのは、研究室での実際の経験に基づいている。同一出願人が所有する国際公開公報第WO2008/011477号にて指摘したように、アニオン性重合阻害剤系の使用で形成されるポリスチレンであるアニオン性ポリスチレンなどのアニオン性スチレン系ポリマーは、生成物のペレット化する場合に相当量の小粒子および粉末を形成する傾向がある。外部からの結合剤などにより結合されない限り、形成中、取り扱い中、および/またはパッキング中にペレットは崩れやすく、かつ、小粒子および典型的には「微粉」と呼ばれる微粒子化した粉末に戻りやすい。この特徴により、種々の従来のペレット化またはコンパクト化の手順は、微粉を実質的に含まない臭素化アニオン性スチレンポリマーを産生、および、輸送中や取り扱い中に微粉を実質的に含まなくするのに適さない。容易に理解できるように、このタイプの生成物における微粉の存在または形成は、ペレット化生成物の外観に不利であるのみならず、消費者が望むものではない。
【0004】
以上の引用は典型的に約13,000の領域の分子量(Mw)を有するポリマーのタイプにおいてよく当てはまり、約3000の領域のMwを有するポリマーでも認めることができ、結合剤が無くては有用なペレットは産生できないという予想になり、たとえ結合剤を使用したとしても、ペレット化した生成物におけるそのような結合剤の量は微粉およびダスト粒子の量を十分最少にする目的で、比較的高くする必要がある。
【0005】
実際、上述したタイプの粉末状のポリマーをペレットに変換する方法を開発することができれば相当の利点がある。たとえ取り扱い中または使用中に崩れやすいとしても、ペレットが、有るとしても少しではあるが空気混入可能なダストの同時形成をともなったより小さな集合体を形成するであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのような期待に反して、驚くべきことに、下記一般式(I)のポリマーは本発明が提供するプロセス技術によりペレットに変換することができる。さらに詳細には、下記の一般式(I)のポリマー組成物の溶融物からなる溶融物を形成し、かつ、本明細書に記載されたように溶融物をペレットに変換することによって、製造中、取り扱い中、および使用中に許容できるほど小さな量の「微粉」または空気混入可能なダストを産生するペレットの形成を実現することが可能である。以下に示される実験データからわかるように、本発明によりペレットを形成することが可能であることが分かり、タンブリング摩耗試験を行った結果、微粉の形成は僅か4.2重量%であった。
【0007】
環境にやさしく、再利用可能で、かつ溶融物ブレンドすることができる、実質的にダストが出ないオフホワイト色のペレットが本発明により提供される。ペレットの臭素含有量は70重量%以上である。加えて、本発明のペレットは全般的に良好な機械的特性、良好な熱安定性、良好な色安定性、および良好な難燃性能を有すると見なされる。またさらに本発明の上記および他の特性、特徴および利点は次の記述、添付図面および添付の特許請求の範囲から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1A〜1Dは本発明のペレットから形成される微粉がある場合、その微粉を測定するタンブリング摩耗試験を実施する方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、とりわけ、下記の一般式(I)の臭素化芳香族ポリマー組成物をペレット化するプロセスを提示し、このプロセスは示された、かつ、以下(以下、単数の場合は「BAPC]、複数の場合は「BAPC’s」という)のように示された一般式(I)の臭素化芳香族ポリマー組成物からの結合剤を含まない流動溶融物の形成工程、さらには、そのような流動溶融物を固化させたペレットに変換する工程を有する。このプロセスは、ペレット化のプロセスにおいて、微粒子の形成が抑制され、かつ空気混入可能なダストの形成が少なくとも許容できるほど小さなレベルまで下げられることを特徴とし、さらに、ペレットが、取り扱い中または使用中に崩れやすい場合、許容できるほど少量の空気混入可能なダストを伴ってより小さな細粒が形成されることを特徴とする。言い換えれば、ごく少量のより小さな細粒は形成されるかもしれないが、ペレット形成中、ペレット処理中、およびペレット使用中に、ペレットは許容できないほどの量の空気混入可能なダストを伴わない、あるいは、形成しない。
【0010】
流動溶融物の形成に使用される場合、BAPCは小さい粒または細粒など様々な形でありえるが、典型的には粉末形状である。
【0011】
本発明の望ましいペレットの産生方法は、二軸混練押出機などの連続押出成形装置運転において昇温された温度でBAPCを流動溶融物に変換する上述のプロセスであり、押出物が固化する、または固化される前後に押出機からの押出物がペレット化される。2007年8月9日に発行された米国特許公開公報第2007/0185280号に記載のペレット製造装置の使用は、ダストが少なく、本発明によるペレットの産生の効果的方法であることが知られている。
【0012】
その他の本発明の望ましいペレットの産生方法は、BAPCおよび溶媒から形成される押出し可能な粘度を有する溶液またはスラリー液が昇温された温度での運転する脱揮押出機(以下、「デボル押出機」という)で流動溶融物に変換される上述のプロセスであり、押出物が固化する、または固化される前後にデボル押出機からの押出物がペレット化される。そのようなプロセスの実施にあたっては、デボル押出機を使用してBAPCから流動溶融物への変換のみならず、溶液またはスラリー液から蒸発した溶液の回収が特に望まし
い。溶液回収の有無に係わりなく、溶液またはスラリー液中のBAPC量は典型的には約40重量%から80重量%の範囲であり、かつ、押出物が固化する、または固化される前後にデボル押出機からの押出物がペレット化される。2008年1月24日に発行された米国特許公開公報第2008/011477号記載のペレット製造放置の使用は、ダストが少なく、本発明によるペレット産生の効果的方法である。
【0013】
本発明のペレット化方法では、「流動溶融物」または「ポリマー流動」などの類似する意味の用語に言及する。本明細書においては、クレームを含め、そのような用語は、一軸または二軸混練押出機、クロスヘッド押出機、デボル押出機などの押出装置を運転した場合に、BAPCが溶融した塊および/または十分に軟化した塊になり、これらの塊は装置(接続されたいかなる延長部分をも含めて)の残りの部分および機械の中のスクリューによる推力下で機械の吐出端に設置された金型を経由する(例えば、流れる)事実を言及する。厳密に言えば、ここで指摘したように、純粋な溶融物が形成されたか、あるいはBAPCが流動を起こす程度までの単なる軟化であるかどうかは問題ではない。
【0014】
また、本発明は、ペレットの唯一の成分が下記の一般式のBAPCであるペレット化した結合剤を使用しない難燃性組成物を提供する。
【0015】
【化1】

ここで、nは約2.9から約3.9(整数に切り上げた場合、約3から約4の範囲の平均数になる)の範囲にある平均数であり、各xは同じか、または異なり、かつ3から5の範囲の整数であり、組成物中のすべてのxの平均数が約3.50から約3.80の範囲にあり、かつX線蛍光分光法(XRF)で決定されるポリマー中の臭素の重量パーセントが約73.4から約74.5の範囲である。BAPCは、典型的には約400ppm(wt/wt)から検出限界より少ない約20ppm(wt/wt)の範囲の微量の臭素化トルエン、および典型的には約0.2から約1.0重量%の臭素化1、3−ジフェニルプロパンを含んでもよい。上記一般式(I)が分子中の官能基の間の結合を示す拡大した形式である点を除いて、上記一般式(I)は本開示の当初で提示した一般式と同じである。上記一般式(I)または以下の一般式(II)のいずれも分子の実際の空間配列を示すものではないことを理解されたい。むしろ、これらの一般式の記述は単に分子の組成を理解しやすくする目的である。
【0016】
BAPCおよびそれらの前駆体
BAPCは本発明によりペレット化した混合物の全成分を基本的には構成する。
【0017】
現在までに、新規なBAPCを産生する唯一知られている方法は、芳香族ポリマー組成物を臭素化する、すなわち下記の一般式の低分子量スチレンポリマーの分布の方法である。
【0018】
【化2】

nは約2.9から約3.9の範囲にある平均数であり、ただし、1、3−ジフェニルプロパン、すなわちnが0の一般式(II)の化合物は、任意で約1GPC面積%を超えない量でこの分布に存在し、かつ、任意で約0.1GPC面積%を超えない量でこの分布はさらにトルエンを含有するものであり、さらに、この分布は約650から約750の範囲でMw、約500から約600の範囲でMn、約830から約1120の範囲でMz、約1.2から約1.35の範囲で多分散度を有することを特徴とする。
【0019】
一般式(II)から、芳香族ポリマー組成物は特徴的なフェネチル末端基をその分子構造の中に有していることが留意されたい。便宜上、上に図示し記載した一般式(II)の芳香族ポリマー組成物は、しばしば以下においては単数では「APC]と複数では「APC’s」と称する。
【0020】
下記に示したものは一般式(II)のAPC調製に関するさらなる詳細および一般式(I)のBAPCを形成するためのAPCの臭素化反応である。従って、一般式(II)のAPCは一般式(I)のBAPCについての前駆体を構成する。
【0021】
APC
上記の一般式(II)のAPCを調製するには、(i)スチレンのモル数/トルエンのモル数/時間が約0.3から約1.5の範囲、かつ(ii)スチレンのモル数/アルキルリチウムのモル数/時間が約40から約110の範囲の率でトルエン、アルキルリチウム、N,N,N‘,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)を含有する成分から形成されている攪拌反応混合にスチレンを送り込む。スチレン対トルエンのモル比は約0.75から約4の範囲で、スチレン対アルキルリチウムのモル比は約150から約350であり、かつ、TMEDA対アルキルリチウムのモル比は約2.2から約8の範囲である。反応混合の温度は約70℃から約90℃の範囲を維持し、望ましくは約78℃から約81℃の範囲とし、反応混合物において本質的に均一な濃度プロファイルを維持するのに少なくとも十分な撹拌である。例えば、示したように反応完了後、典型的には約80℃以下の温度で一定の熱流束においてプロセス温度を急速に下げて反応混合物を急冷する。プロトン性溶媒を使用して急冷するが、(i)水が急冷溶媒である場合、有機および水性相を分離するために少なくとも1つの相切断を行い、ならびに、(ii)水以外の急冷溶媒を用いる場合、急冷溶媒を抽出するため、および後で相切断により分離される有機相と水相の形成をするために洗浄水を添加する。TMEDAおよび未反応トルエンは、典型的には蒸留またはストリッピング操作で反応混合物から分離回収し、それにより微量の水も反応混合物から共沸により除去した。好ましくは、TMEDA−トルエン混合物は従来の手法で乾燥後に回収され反応に戻し、その手法はモレキュラーシーブの通過、乾燥窒素の散布下での還流、または他の方法で好ましくはトルエンからTMEDAを除去しないものである。TMEDAを除去する方法としては、プロセス経済的観点から、TMEDAと同様にトルエンをも回収し再生するものが好ましい。急冷の工程とそれに続く洗浄において、スチレンポリマーの分布で発色体の形成を抑制があるので脱酸素水の使用が特に好ましい。商業ベースの生産が定常状態の生産に近づくと、そのような発色体は継続的に上昇する可能性があるので発色体の形成は全く好ましくない。商業ベースのプラント設備はバッチ、セミバッチでの運転、または上述したバランスのとれた供給を使用する連続モードで運
転をすることができる。
【0022】
上記工程を実施するには反応混合物中の試薬が均一に分散されていることが好ましい。従って、反応混合物中の試薬の有意な撹拌と分散混合の組み合せを用いる。使用する撹拌と混合は反応混合物において本質的に均一な濃度プロファイルの維持に少なくとも十分でなければならない。つまり、個別の反応ゾーンが1つも無い(つまり、そのような試薬の局所的な高濃度が極めて少ない)ようにするために反応混合物の総体積中での全ての試薬の濃度勾配は最低値でなければならない。この結果として、連鎖移動および連鎖成長の相補的反応動力学が反応混合物の総体積中で均一に起こり、本プロセス技術の実施において達成した均一な分子量分布を提供する。この実施により、触媒の不活性および不純物の形成に繋がるような競合する好ましくない副反応は実質的に取り除かれる。
【0023】
APC形成の全般のプロセス中のこの段階において、この段階までに実施された処理からの残留する反応生成物はさらに処理が必要な粗反応生成物である。
【0024】
次に、先に言及した分離操作後に残るスチレンポリマーの分布を含む粗反応混合物は、1、3−ジフェニルプロパンが、有る場合には、その含有量が約1GPC面積%以下にし、かつ、スチレンポリマーの分布において遊離トルエンが有る場合にはその含有量が約0.1GPC面積%未満であるようにする、選択的浄化操作に入る。加えて、この工程は約650から約750の範囲のMw、約500から約600の範囲のMn,約830から約1120の範囲のMz、ならびに約1.2から約1.35の範囲の多分散度を有する生成物を生産しなければならない。粗反応混合物の低分子量および粘度と熱特性のために、この選択的浄化は典型的には拭き取り式膜蒸発法を使用し実施する。拭き取り式膜蒸発器を一、二回通過させることで、この全般的な工程での所望の生成物として残ったAPCを劣化させずに臭素化反応における基質として使用した芳香族ポリマー組成物についての所望の仕様の達成に通常は十分である。
【0025】
BAPCを形成するAPCの臭素化反応
本発明に従ってペレット化したBAPCの調製をするために、芳香族炭化水素を臭素化反応するいかなる周知の方法でも使用してもよい。一般に光が存在しない状態で芳香族環の臭素化反応を実施し、かつ、臭素化剤として元素状臭素を用いる。ハロゲン化アルミニウムまたはハロゲン化第二鉄触媒などのルイス酸触媒を使用して、臭素化反応を無水条件下で実施する。好ましくは、脂肪族炭素原子の臭素化反応を最小化するために、反応を約25℃以下の温度で実施する。典型的には、臭素化反応溶媒をこのプロセスで使用する。
【0026】
本発明の実施において良好に使用するには、ハロゲン化アルミニウム臭素化反応触媒の触媒量と溶媒の存在下で臭素化剤として臭素でAPCを臭素化する臭素化プロセスを使用し、ならびに、約73.4から約74.5の範囲でXRFにより測定される臭素含有量を有する組成物の形成のために、少なくとも実質的にすべての臭素化反応が約-10℃から約0℃の範囲内の温度で起こる。
【0027】
望ましくは、上記の臭素化反応で使用するハロゲン化アルミニウム触媒の初期生成はAlCl3またはAlBr3である。しかしながら、所望に応じてこれらの混合を使用することができる。望ましくは、AlCl3は適切な希釈剤でスラリー化する。別法としては、液体希釈剤中で溶解度を向上させながら混合または一部混合のクロロブロモトリハロゲン化アルミニウムを産生するためにAlCl3は塩化物と臭化物の交換法(ハロゲン交換)で反応させることができる。AlBr3を使用する場合には、臭素中であらかじめ溶解することが望ましい。臭素化反応プロセスはバッチ、セミバッチでの運転、または連続プロセスで行うことができる。
【0028】
一般的に、BAPCの形成に好ましい臭素化反応プロセスは、臭素化剤およびハロゲン化アルミニウム触媒の反応器に近く、かつ、同時に結合または分離給送する際の溶質として反応器に送り込むAPCを追加的な特徴とすることができる。望ましくは、これらの給送は反応器の液体内容物の表面下で起こり(給送初期段階での液体溶媒ヒール、そして給送後の粗反応塊が開始される)、かつ、初期の反応器の内容物においてそのような給送はBAPC、ハロゲン化アルミニウム触媒および溶媒を少なくとも含む粗反応塊を形成する。また、粗反応塊は未反応臭素化剤を含むことができる。存在の可能性がある不純物の別の種類は、望ましくない発色体および熱に不安定な臭素を生成が考えられるN−ブロモアミンである。このN−ブロモアミンは連鎖移動重合促進剤、TMEDAからの誘導体として芳香族ポリマー組成物に存在すると考えられるアミン成分または不純物から形成される。
【0029】
好ましくは、APC給送のために選択された溶媒は、給送開始前に反応器に予備充填した溶媒と同じものである。
【0030】
APCと合わせる溶媒および反応器の予備充填は以下の例示の溶媒から選択することができる。ジクロロメタン、ジブロモメタン、ブロモクロロメタン、ブロモトリクロロメタン、クロロホルム、1、2‐ジブロモエタン、1,1‐ジブロモエタン、1‐ブロモ‐2‐クロロエタン、1,2‐ジクロロエタン、1,2‐トリブロモエタン、1,1,2,2‐テトラブロモエタン、1,2‐ジブロモプロパン、1‐ブロモ‐3‐クロロプロパン、1‐ブロモブタン、2‐ブロモブタン、2‐ブロモ‐2‐メチルプロパン、1‐ブロモペンタン、1,5‐ジブロモペンタン、1−ブロモ-2-メチルブタン、1−ブロモヘキサン、1−ブロモヘプタン、ブロモシクロヘキサン、およびこれらの液状異性体、同族体、または類似体、ならびに2つ以上の前記物の混合物などである。好ましい溶媒はジクロロメタン、ジブロモメタン、1,2‐ジクロロエタンである。ブロモクロロメタンは特に好ましい溶媒である。
【0031】
いずれの溶媒を選択するにせよ、相対的には水を含まないことが重要である。本分野においてさらに認められるように、臭素化反応の中の反応システム内の水はハロゲン化アルミニウム触媒の触媒活性に影響を与える。一般的に、溶媒は約50ppm(wt/wt)未満の水分量の含有が最善である。水に関して述べると、すべての反応体は乾燥しているべきである。臭素化剤、例えば臭素は約30ppm水分量を超えない含有量であるべきである。さらに有害な量の水が臭素化反応に入らないようにするために、芳香族ポリマー組成物は十分に乾燥させておくべきである。
【0032】
芳香族ポリマー組成物の給送における溶媒の量は、流動性で低粘度の溶液の形成を少なくとも可能にする量である。APCが液体である場合、無溶媒の給送を用いることも考慮できる。しかしながら、APC給送の希釈を助け、効率的な臭素化反応を反応塊中で起こすために溶媒を使用することが好ましいことが分かっている。一般的に、溶媒がブロモクロロメタンである場合、APCの給送の約60重量%から約80重量%(好ましくは、約65重量%から約75重量%)が溶媒である。臭素化反応の前にAPC溶液から極性種の除去が有利である。APC−臭素化の溶媒溶液は許容できない量の不純物を溶液に入れずに、溶液中でのその形成を触媒する固形吸収剤で処理して達成できる。そのような処理は320℃ほどの温度で熱HBr安定性が強化される。酸性酸化アルミニウムはそのような吸収剤の一例である。許容できない量の不純物を入れずにその形成を触媒する他の好適な固形吸収剤は、 Amberlyst(商標)の酸性型またはAmberlyte(商標)樹脂(Rohm & Haas
Company社)、さらにDowex(商標)樹脂の酸性型(The Dow Chemical Company社)を含む。また、大きい表面積を持つシリカゲル、酸化アルミニウムの中性や塩基性型、および特定の酸性ゼオライトも好適である。
【0033】
反応体および触媒の給送がなされる前の反応器への溶媒の予備充填は、副生成物であるHBr溶液の熱を合わせた臭素化反応熱の分散に適切なヒートシンクを提供するための、十分な質量を与える量であり、そのため「熱キック」または温度スパイクが上述した給送の近接において最低になる。そこで、熱および質量の均質性を推進するために粗反応器の内容物/粗反応塊は撹拌されることが好ましい。HBrで飽和している先の運転からのヒールを使用すれば、反応器の冷房システムに対する初期需要が低減し、このため一部の商業ベースの構成では好まれている。
【0034】
臭素化剤給送から反応器分離装置へハロゲン化アルミニウム溶媒を送り込むことができる。しかしながら、そのような分離した給送方式は好ましくない。プロセス簡易化から臭素化剤は臭素、ハロゲン化アルミニウム溶媒および臭素は単一の給送として送り込むことが求められる。AlBr3は臭素中で容易に溶解する。AlCl3は臭素中で分散またはスラリー化することができる。分離または臭素の給送との組み合わせのいずれであれ、送り込まれたAlBr3の量は、以下の式を使って計算して送り込まれた臭素1モルに対して約0.3モル%から約1モル%を供給するのに十分な触媒量である。
モル%AlBr3=(AlBr3の重量/266.7÷臭素の重量/159.81)×100
【0035】
送り込まれた臭素の量は副生成物HBrで少量の臭素のオーバーヘッドを仮定し、求められた所望の臭素化反応レベルの達成に必要な量である。従って、例えば、約73.4重量%から約74.5重量%の臭素含有量を得ることを望む場合には、約3.50モルから約3.80モルの臭素が存在するフェニル基1モルに対して送り込まれる。スチレンポリマー(III)に存在するフェニル基のモルは、
【0036】
【化3】

であり、以下の式で求められる。
モル フェニル/モル スチレンポリマー=2+n平均=2+[(Mn-196.29)/104.15]
【0037】
代替的およびより簡便に、以下の式に基づいて臭素を充填できる。

注記:b)の近似式は臭素により置換された蛋白質を計算に入れない少量の質量を無視した。
【0038】
従って

【0039】
所望の重量%臭素を得るのに必要な臭素の量を、可能な限り近い値で送り込むのが好ましい。過剰な臭素が送り込まれた場合、この過剰量の少なくとも一部は粗反応塊になり下流の最終工程で除去しなければならない。
【0040】
粗反応塊中の過剰臭素の存在理由がどうであれ、そのような過剰臭素を除去するために当分野で認識されている従来の技術を例えば、硫酸ナトリウムなどの還元剤を用いて臭素を水溶性臭化塩に変換するのに使用することができる。しかしながら、そのような還元剤の使用は下流の最終工程でエマルジョンおよび/またはラグの形成を促す傾向があることが認められる。エマルジョンまたはラグ層があると分離を困難にしてプロセスの非効率化を招く。
【0041】
APC、臭素化剤、およびAlBr3などのハロゲン化アルミニウムの給送は反応器の内容物/反応塊の表面の下および互いに近接するところで行わなければならない。APCの臭素化反応は急速に行わなければならない。この臭素化反応の反応速度は反応動力学により非常に速い。従って、速度決定因子は物質移動の速度である。それゆえ、近似の給送を使用することで反応体と触媒が互いに接近するように設計する。急速に臭素化反応をさせることができる他の因子は臭素と溶液中のAlBr3給送を用いることである。触媒が活性状態になるように臭素でAlBr3を予め調整しているので、最初の給送の時点で触媒が活性であると考えられる。給送の密接な近接性を保証する1つの技術は、給送チューブを共に保たれている反応器の内容物/反応塊に与えることであり、隣接して平行に、あるいは直接入射方向に送り込む。
【0042】
給送の場所から離れて熱散逸するので、反応器の内容物/粗反応塊の液面の下に給送する供給は有益である。商業化する場合には、給送の場所に「ホットスポット」を持つことは避けるようにする。先と同様に、反応器の内容物/粗反応塊を撹拌すると熱分散を促す。
【0043】
前記プロセスで必要な材料費用以上に高い負担をすることなく、反応器へ予備充填する溶媒の量は熱放散作用を達成するために必要な量であるべきである。
【0044】
反応器のサイズとデザイン、処理できる熱および熱管理に利用できる冷却、利用できる給送機器およびHBr副生成物のガスを安全に処理する能力を考慮して個々の給送の給送速度は可能な限り高くするべきである。給送速度が高いほどプロセスの効率が向上する。
【0045】
同時供給の間、反応器の内容物/粗反応塊は実質的にすべての臭素化反応が完了するまで約-20℃から約5℃の範囲、好ましくは約-20℃から約5℃の範囲、そしてより一般的には-10℃から約0℃の範囲の温度に維持されなければならない。便宜的に、反応器への給送は周囲温度で送り込まれる。上述した反応器の内容物/粗反応塊の温度を得るために反応器は適切な冷却をする。実用的には温度は給送の近くで計測するべきである。
【0046】
臭素化反応の間の反応器内の圧力は重要ではなく、大気圧を超えるのが標準である。しかしながら、設備の要件と安全性の問題から極端な高圧は好ましくない。自発的圧力は許容される。
【0047】
反応体および触媒の給送に続いては、臭素化反応の停止を保証するために反応塊にライド時間を経験させることは許容される。約74重量%臭素で臭素化している場合、消費を容易にするために約7℃まで加熱させ、かつ、実際的である限り送り込まれた臭素の反応は許容される。このことは初期の水中急冷の間、エマルジョンとラグ層についての煩雑さを避けるために実施者が臭素還元剤の使用を見合わせる決定をした場合には特に望ましい

【0048】
給送が完了したライド時間後、粗反応塊は反応器から取り除かれ水中で急冷する。前述したように、もし粗反応塊と、さらに言えば、臭素化反応の下流で処理される有機相が未反応臭素を含む場合には、臭素を水溶性臭化塩に変換する還元剤を使用して臭素含有量を低下または除去することができる。しかし、そのような還元剤の使用、特にエマルジョン形成もできる亜硫酸塩がハンターソリューションカラー値テストのより高いΔE値の生成物に導く。従って、亜硫酸水素塩または亜硫酸塩、またはその他の硫黄を基にして作られた臭素の還元剤を使用しないことが推奨される。
【0049】
急冷は周囲温度で便宜的に実施し、一般的に、相を分離させるのに残余HBr溶液の熱以外の熱は必要ない。臭素および他の活性臭素化種が存在できるので混合物の加熱と可視光線に露光を最小限にすることが好ましい。これにより熱に不安定でない臭素含有量をある程度は保証する。
【0050】
AlBr3の脱活性化および臭素の減少がほぼ瞬間的であり、粗反応塊が急冷水または急冷水還元剤溶液に送り込まれるので水による急冷ではライド時間が無い。急冷が完了すれば水相および有機相として定義される相が形成される。有機相は溶媒とBAPCを含むのでさらなる処理が必要となる。
【0051】
水による急冷、相分離、そして追加的な臭素除去工程(水の抽出または蒸留)の完了後、塩基性水素化ホウ素ナトリウム溶液で有機相を洗浄することが望ましい。ホウ化水素およびボラン副生成物は利用可能な未反応臭素化剤、例えば臭素(まだ残っている場合)、および未反応臭素化剤から形成されるいかなる利用可能な誘導体(例えば、次亜臭素酸塩、および/または次亜臭素酸)、さらには利用可能なN−ブロモアミンを含めて利用可能な活性臭素種を変換するように働き、そのために臭素および活性臭素種は臭化物へ還元され、N−ブロミドの場合、臭化ナトリウムと遊離アミンに還元される。従って、水素化ホウ素ナトリウムの使用の主要な作用は存在するN−ブロモアミンの量を減らすことであり、二次的な作用は存在する臭素の量の減少である。従って、定量的には使用される水素化ホウ素ナトリウムの量はこの二つの作用を処理するに必要な量である。本パラグラフにおいて使用されるとき、活性臭素種、未反応臭素化剤、未反応臭素化剤から形成される誘導体、およびN−ブロモアミンとの関連で用いるときには用語「使用可能な」は特定した材料が水素化ホウ素ナトリウム溶液と接触することで簡単に除去できなくなるまで固体内部に密封されていないことを指す。
【0052】
腐食性水性水素化ホウ素ナトリウム溶液が有機相の処理に使用されるので水相が形成される。本工程期間中は、水素化ホウ素ナトリウム溶液のpHについては形成された水相のpHが約10と約14の間を示し形成された水相が有機相と接触している。
【0053】
通常、ただし必ずしも限らないが、処理溶液の重量で計算して処理溶液の水素化ホウ素ナトリウム含有量は約0.05重量%から約1.0重量%の水素化ホウ素ナトリウムの範囲内である。
【0054】
腐食性水素化ホウ素ナトリウム工程の重要な特徴は、約45℃以上の温度で、好ましくは一気圧で約54℃から約62℃の範囲を処理期間中維持する。実験的研究から、室温ではN−ブロモアミン由来発色体および高温で得た熱に不安定な臭素の大きな減弱がないことが示された。
【0055】
処理温度は少なくとも処理の有益性を得るのに必要な時間を維持するが、これは少なくとも約30分であればより十分であると考えられる。必要に応じて実施者は長めのまたは
短めの時間を選択できる。一般的に実験的研究から、有機相および水性混合物(処理期間中、混合されている)は約45℃から約50℃で顕著に薄まり始めることが示された。存在するN−ブロミドおよびN‐スルフィドおよび/またはN‐オキシド種は四塩基であり、従って充填種または少なくとも極性種であると理論上想定される。そのような種は密接に混合された有機および塩基性水相の厚化に関係している。これは混合に使用した攪拌装置での引込み増加に認められる。45℃以上で54℃近くの温度ではそのような厚化は取り除かれ、この装置での引込みは減少する。45℃以下の温度で厚化が起こり、そして時として不完全な相分離が認められる。温度が高温に達すると、厚化の現象は取り除かれ、特に54℃を超える温度で実施された場合には相分離はほぼ瞬間的である。
【0056】
上述の水性腐食性水素化ホウ素ナトリウムの処理および洗浄の使用は水による急冷工程および相分離後、さらに下流の仕上げ列においていつでも実施できる。
【0057】
水素化ホウ素ナトリウムの処理前は有機相の大きな加熱を避けることが好ましい。すなわち、水素化ホウ素ナトリウムの処理前では35℃以下の温度が好ましい。
【0058】
最終洗浄後、有機相は水相から分離され例えば約90℃から約100℃の温水に送り込まれ、存在する溶媒を除去して水相に固体を得る。還流温度で水を維持することで温度管理を達成できる。この除去技術は臭素化ポリスチレンを生産する該技術分野において周知である。
【0059】
溶媒がいったん除去されると、従来の方法、例えば濾過などで固形物は水から分離される。次に、固体のTgを考慮しながら分離された固体は従来の乾燥技術で乾燥する。乾燥した固形物は本発明のペレット化プロセスにおいての使用に適した最終的なBAPCである。
【0060】
Tgポリマーを扱う場合に有用な別の方法は拭き取り式膜蒸発器、流下液膜蒸発器、連続ストリップケトルまたはデボル押出機に有機相を入れる方法であるが、これらでは溶媒が急速に除去され、得られた粘性溶融物は容易に操作でき、その後本発明によりペレット化される。
【0061】
脱揮を蒸発で実施する場合でも、拭き取り式膜蒸発器、流下液膜蒸発器、連続ストリップケトルまたはデボル押出機で実施する場合でも、共沸的乾燥溶液を活性化酸性酸化アルミニウムで濾過することが好ましい。溶解(含有)BAPC100重量部あたり酸化アルミニウム約1−5重量部は熱色安定性低下に寄与する不純物を除去するのに十分であることが分かっている。
【0062】
前述した臭素化反応および後処理により、本発明におけるペレット化に用いるBAPCの調製が可能となる。そのようなBAPCは一般式(I)を参照して上述したことを想起される。
【0063】
固形物の給送からの流動溶融物の形成による本発明のペレット産生
本発明のペレットを形成するのに種々のペレット化機器を用いることができる。例えば、BAPCの溶融混合物は適切な高速切削、高温、連続溶融混合器、一軸か二軸混練押出機、ギヤ式押出機、ディスク型押出機、ロールミル押出機で流動溶融物を産生し、かつ、少なくとも1つのストランド、好ましくは複数のストランドを産生するダイの開口部から流動溶融物を押し出してペレット化することができ、その後はチョッパ、エアナイフシステム、またはReduction Engineering社のConairストランドペレタイザ、Killion社のストランドペレタイザ、Brabender社のストランドペレタイザ、Rieter/Automatik社のペレタイザ、およびIkegai社またはCumberland社のストランドペレタイザなどのその他の形式の
ペレタイザを使用することでストランドをペレットに変換する。
【0064】
他の機器も使用できるが、本発明によるペレットの形成する効率的で効果的な1つの方法は、比較的穏やかな運転状態で実施する二軸混練押出機による高温での流動溶融物の形成を含む。水などの冷却水への流路、冷却した金属のコンベヤベルトなどの冷却した表面との接触、冷却空気または窒素などの冷却されたガスなどにより溶融物を冷却する適切な方法により押出物が固化する、または固化される前後に押出機からの押出物をペレット化する。
【0065】
少なくとも成分(A)と成分(B)の混合を含む結合剤を使用しない押出物をペレット形式に変換する効果的方法の1つは以下を含む方法である。
● 好ましくは、溶融されたBAPCの複数のストランドを形成する複数の開口部があるダイであり、押出機の出口端にダイが配置され、押出機の中の流動溶融物を通過させることで溶融されたBAPCの少なくとも1つのストランドを形成する工程、
● ストランドを孔コンベヤベルト上の冷却した下方に向けた強制空気流にあてる工程(それによりそのようなストランドがペレットになる)、および
● そのようなペレットをペレットから微粉を除去する分類器へ投下する工程。
上述したように、本発明のペレットが適切に調製された場合、分類器へ投下される間に少量の微粉のみが形成される。
溶液またはスラリー液の給送からの流動溶融物の形成による本発明のペレット産生
【0066】
本発明による本発明のペレットを産生する他の効果的方法は、高温運転されているデボル押出機中でBAPCの溶液またはスラリー液が流動溶融物に変換し、かつ、押出物が固化する、または固化される前後にデボル押出機からの押出物がペレット化される方法である。同時に、デボル押出機で流動溶融物が形成されるプロセスを実施するには、溶液またはスラリー液を形成するのに使用された溶媒は蒸発し、好ましくはリサイクル用に回収される。デボル押出機へ入った溶液またはスラリー液は十分に濃縮され、そのため押出し可能な粘度とすることもできる。典型的には、溶液またはスラリー液の重量で計算して溶液とスラリー液は約40重量%から約80重量%のBAPCを含む。
【0067】
そのようなプロセス技術による押出物の固化したペレットへの変換はごく少量の細粒は形成されるかもしれないが、ペレットを形成中、ペレット処理中、およびペレット使用中におけるペレットは許容できないほどの量の空気を取り入れるダストを伴わず、あるいは、その形成もしないことを特徴とする。
【0068】
従って、デボル押出機を利用した本発明のペレット形成の効果的方法は以下を含む。
● 揮発性溶媒中のBAPCの溶液またはスラリー液を含む押出し可能な粘度の混合物を、(i)デボル押出機中の溶液またはスラリー液から揮発性溶媒を分離し、かつ、(ii)押出物としてポリマー溶融物またはポリマー流動物を形成するように作られ、かつ運転されているデボル押出機中の流動溶融物へ変換する工程、
● 溶融されたBAPCの1つまたはそれ以上の移動するストランドを形成するために押出物をダイに通過させる工程、
● そのような移動するストランドを固化し、崩し、小分けし、さもなければBAPCのペレットに変換を可能にする、および/または実施することでストランドをペレット化する工程、および
● (a)サイズが大きすぎる粒子、および(b)生成物に存在するかもしれない微粉がある場合は、生成物から除去し回収するサイズ分類をペレットについて行う工程。
望ましくは、運転全般において運転中に分離された溶媒はリサイクル用に回収する。
【0069】
デボル押出機での使用のために、BAPCの溶液かスラリー液の形成に使用した溶媒は
溶液中かスラリー液中かに係わらず、溶液に存在する成分が熱劣化を起こし始める温度以下で、かつ、溶液またはスラリー液の成分と有害となるように反応しない温度以下で蒸発することができる液体溶媒であってよい。典型的には、溶媒は大気圧で沸騰温度が約150℃以下の1つ以上のハロゲン化溶媒を含む。典型的なハロゲン化溶媒は各ハロゲン原子が臭素原子または塩素原子であり、または溶媒が少なくとも1つの臭素原子と少なくとも1つの塩素原子を含むようなものである。臭素原子および/または塩素原子以外の1つ以上のハロゲン原子を含む溶媒はそれほど好ましくない。用語「揮発可能な」とは、溶媒が初期の溶液またはスラリー液における成分の特定の混合物が許容できない量の熱劣化を起し始める温度以下で沸騰することを単に意味する。もちろんこの温度はケースごとに異なり、溶液またはスラリー液の存在する種々の成分の同一性および熱特性、溶液またはスラリー液が閾値分解温度にあるときの時間の長さ、本発明の最終的なペレット構成に課された品質管理規格などの因子に依存している。有機溶媒に適した因子の非限定的な例には、ジクロロメタン、ジブロモメタン、ブロモクロロメタン、ブロモトリクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1、2‐ジブロモエタン、1,1‐ジブロモエタン、1-ブロモ-2-クロロエタン、1,2‐ジクロロエタン、1,2‐ジブロモプロパン、1‐ブロモ‐3‐クロロプロパン、1‐ブロモブタン、2‐ブロモブタン、2‐ブロモ‐2‐メチルプロパン、1‐ブロモペンタン、1‐ブロモ-2-メチルブタン、1-ブロモヘキサン、1-ブロモヘプタン、ブロモシクロヘキサン、およびこれらの液状異性体、同族体、または類似体を含む。2つ以上のそのような化合物の液体混合物を使用するこができる。ブロモクロロメタンは取得可能性、相対的な低価格、それに望ましい溶解と気化の特性があるので特に望ましい溶媒である。溶媒交換処理を用いる場合、ハロゲン化溶媒は、例えば揮発性液体芳香族炭化水素溶媒で置き換えてもよい。
【0070】
本発明のペレット
産生される本発明のペレットは種々のサイズと形であることもできる。典型的には、それらサイズは約3/8インチから約20標準米国メッシュサイズの範囲で、生産する場合にはより小さなサイズ(例えば、約5重量%を超えない)の小さな粒子を含む。典型的には、ダストサイズ範囲(つまり、約20ミクロンから約840ミクロンの範囲)における粒子量は約5重量%を超えない。
【0071】
以下に、APCの調製、BAPCを形成するAPCの臭素化反応、BAPCのペレット化および本発明のダスト非含有特性の試験作業の例を示す。これらの例は例示の目的で示されており、本発明の包括的範囲を限定することを意図するものではない。
【0072】
実施例1
臭素化のための基質、APCの調製
本運転では新しい他の反応体と同様に新しいトルエンが使用された。オーバーヘッド凝縮器、温排水拡散ウエル/熱結合おおび底部ドレインバルブ付きのガラス内張り100ガロン・ジャケット付き反応器。蒸気加減バルブを用いたジャケットを流れる水温管理により設定点での温度を維持した。激しい撹拌は可変駆動装置に付いている3枚羽根のリトリートカーブ撹拌機で実現した。実質的に、反応器は接液PTFE部品または他の重合フッ素化材料またはエラストマなどを含んでいない。
【0073】
運転中の反応器は、不活性乾燥N2雰囲気下で維持された。反応器は可搬式タンクからの圧力移動によりディップレッグを通した連鎖移動剤で充填した。アルキルリチウム、追加の溶媒およびアミン促進剤(TMEDA)のすべては同じディップレッグを通して撹拌された連鎖移動剤に表面下から送り込まれた。スチレンはモレキュラーシーブ(Zeochem社)の24"円筒柱

を通る絞り弁により可搬式耐圧容器から圧力伝達され、かつ、スリット型ノズルを通る反応混合物の表面上の細流またはスプレーとして送達された。
【0074】
トルエン140ポンド(689モル)を反応器に充填した。Karl Fischer社の水分解析法では7ppmの残余H2Oを示した。撹拌を開始した。容器ジャケットへ調質水を加えて溶媒を78℃まで加熱した。設定点温度に到達すると、トルエン(49.24モル)中のTMEDA(18.0モル)4.6ポンドを撹拌したトルエン反応混合物の表面下にあるディップレッグを通して反応器に充填した。そこで給送ラインは無水トルエン20ポンド(98mL)で洗浄した。次に、4.4lb n-BuLi溶液(シクロヘキサン中23.5重量%)(7.32モルn-BuLi)をブタンのガス排出が随伴するTMEDA錯体化リチウム負イオンの特徴的な赤橙色を形成している表面下給送ラインを通して充填した。その後、給送ラインは22ポンド(108mL)の無水トルエンで洗浄した。153分間、436lbのスチレン(99+%、1899モル、American Styrenics社)が送り込まれた。スチレンは2.84ln/分の一定した給送速度で絞り弁を通り窒素制御可搬式タンクからの圧力伝達の手段で添加した。反応が完全であることを確認するために反応器は5分間ライドさせた。
【0075】
反応混合物は70℃にて窒素ガスで分散させて一晩脱酸素化してある10ガロンの0.75重量%塩化アンモニウムを用いて急冷した。反応混合物は10ガロンの脱酸素水でさらに2回洗浄した。相切断は急速で整定時間は僅かであった。水およびいかなるラグまたはエマルジョンも底部ドレインバルブを通して除去した。洗浄した粗反応混合物の試料はGPC(Mp:312、Mn:466、Mw:673、Mz:934、多分散度(PD):1.44)で解析した。
【0076】
反応器は容器ジャケットの調質水を使用して常圧沸点まで加熱した。次に、140℃まで反応器のジャケットの温度を上昇させるために蒸気を反応器のジャケットに当てた。ポット温度が135℃になるまでオーバーヘッド凝縮器で沸騰し、濃縮したが、さらにドラムへ排出されたシクロヘキサン、残存水分およびトルエンが認められた。反応器は50℃まで冷却した。真空は容器に作用し、反応器は沸点まで加熱した。次に、反応器ジャケットを140℃まで加熱させるために蒸気は反応器ジャケットに作用した。真空は反応器圧力を35mmHgまで低下させるために使用した。ポット温度が135℃になるまでオーバーヘッド凝縮器で沸騰し、濃縮したが、さらにドラムへ排出されたシクロヘキサン、残存水分およびトルエンが認められた。GPC(Mp:314、Mn:468、Mw:676、Mz:940、多分散度(PD):1.44)を経由させて解析のためにアリコートを反応器から除去した。反応塊(557lbs)は350ガロン運搬容器中で回収した。
【0077】
実施例2
WFE処理用前駆体、粗APCを形成するリサイクルトルエンの部分的使用
この実施例では、前回の運転から回収したトルエン、TMEDA、シクロヘキサン、および1、3−ジフェニルプロパンで主として構成された一部の複合材料を使用した。従って、この実施例は充填された全トルエンの一部としてリサイクルトルエンが使用されていることを示す。
【0078】
新しいトルエン40ポンド(197モル)およびリサイクルトルエン97lb(97.1%、94.2lb、464モル、トルエン;1.7%、1.6lb、6.2モル、TMEDA;0.3%、0.3lb、0.7モル、1、3−ジフェニルプロパン;0.9%、0.9lb、4.9モル、シクロヘキサン)を反応器に充填した。Karl Fischerの水分解析法では7ppmの残余H2Oを示した。撹拌を開始した。容器ジャケットへ調質水を加えて溶媒を79℃まで加熱した。設定点温度に到達すると10ポンドのトルエン(49.24モル)中の3.6ポンドの新しく作られたTMEDA(12.8)を、撹拌したトル
エン反応混合物の表面下にあるディップレッグを通して反応器に充填した。その後、給送ラインは20ポンド(99mL)の無水トルエンで洗浄した。次に、4.4lb n-BuLi溶液(シクロヘキサン中の23.6重量%)(7.4モルn-BuLi)をブタンのガス排出が随伴するTMEDA錯体化リチウム負イオンの特徴的な赤橙色を形成している表面下給送ラインを通して充填した。その後、給送ラインを22ポンド(108mL)の無水トルエンで洗浄した。150分間、432lbのスチレン(99+%、1881モル、American Styrenics社)が送り込まれた。スチレンは2.88ln/分の一定した供給速度で絞り弁を通り、窒素制御可搬式タンクからの圧力伝達の手段で添加された。反応が完全であることを確認するために反応器は5分間ライドさせた。
【0079】
反応混合物は70℃で一晩脱酸素化してある10ガロンの0.75重量%塩化アンモニウムを用いて急冷した。反応混合物は第二の10ガロンの脱酸素水で洗浄した。相切断は急速で整定時間は僅かであった。水およびいかなるラグまたはエマルジョンも底部ドレインバルブを通して除去した。洗浄した粗反応混合物の試料はGPC(Mp:303、Mn:462、Mw:677、Mz:959、PD:1.47)で解析した。
【0080】
反応器は容器ジャケットの調質水を使用して常圧沸点まで加熱した。次に、反応器ジャケットを140℃まで加熱させるために蒸気は反応器ジャケットに作用した。ポット温度が135℃になるまでオーバーヘッド凝縮器で沸騰し、濃縮したが、さらにドラムへ排出されたシクロヘキサン、残存水分およびトルエンが認められた。反応器は50℃まで冷却した。真空は容器に作用し、反応器は沸点まで加熱した。次に、反応器ジャケットを140℃まで加熱させるために蒸気は反応器ジャケットに作用した。真空は反応器圧力を35mmHgまで低下させるために使用した。ポット温度が135℃になるまでオーバーヘッド凝縮器で沸騰し、濃縮したが、さらにドラムへ排出されたシクロヘキサン、残存水分およびトルエンが認められた。GPC(Mp:301、Mn:459、Mw:672、Mz:950、PD:1.46)を経由させて解析のために一定分量を反応器から除去した。反応塊(544lbs)は350ガロン運搬容器中に回収した。
【0081】
実施例3
APC形成のための粗APCバッチ混合および混合のWFE精製
真空ストリッピングが403から483までの範囲としたMnおよび566から721までの範囲としたMwで上記実施例1の一般的手順に従い全部で12の新しい運転がなされた。真空ストリッピングが404から463までの範囲としたMnおよび568から688までの範囲としたMwで、上記実施例2の一般的手順に従い全部で13のリサイクルトルエンの運転をした。これらの範囲が異なるのは温度、攪拌速度または給送速度の小さい変動の可能性がある。全ての新しい12の運転は13のリサイクル運転と組み合わせられ、産業用の拭き取り式膜蒸発器(WFE)に送り出され、試料はGPC(Mp:413、Mn:552、Mw:693、Mz:878、PD:1.26)で解析した。研究室でストリップした複合材料の5ガロン試料は極めて近い結果をもたらした(Mp:418、Mn:569、Mw:729、Mz:946、PD:1.28)。
【0082】
実施例4
BAPC溶液の調製
BCM中の溶液の形状で実施例3において形成されたAPCの2つのバッチを、接熱交換(加熱または冷却)または加熱用の蒸気のためにエチレングリコールを使用することができる50ガロンのガラス内張り被覆容器中でそれぞれ臭素化した。反応器には窒素封止器を有する傾斜翼ガラスライン撹拌機が備えられている。二つのバッチ反応とも約3時間の目標反応給送時間、−2℃から2℃までの目標反応温度、74±0.5重量%の目標臭素濃度がある。別々にかつ同時に、臭素化反応は3時間臭素の給送とAPCに関与する。APC対臭素の比率は一定に保ち、特定した臭素濃度である最終的生成物を調製するため
に反応が続く間は細かくモニターした。給送が完了後は、温度が6℃以下までに上昇する間、反応塊は反応器内で45分間保持した。反応塊中の過剰な臭素は水で急冷した。残余のHBrを中和するために水で洗浄し、その後、60℃以下で腐食性水素化ホウ素ナトリウム溶液を用いてもう一度洗浄した。洗浄溶液中の水素化ホウ素ナトリウムがあると、最終的に単離された生成物中で発色体を形成できる反応塊中に存在するアミン化合物を分解するとみられる。最後に、中性のpHにするために反応塊は再度洗浄する。
【0083】
臭素はTeflon(商標)PFA樹脂で(パーフルオロアルコキシ樹脂;DuPont社)(以下、PFAという)覆われたステンレス鋼5ガロンのミルク缶から圧力輸送で送り込んだ。使用されるミルク缶はライナーを付けない場合は9”ID、14”の高さであり、この缶の内部表面積の全体の周りで0.22”の厚みのライニングである。ライニングを含めた場合、この缶の実際の充填容量は4.6ガロン以下である。缶には3/8”PFAディップレッグ、窒素圧に使用する3つの追加的な1/2”ポート、ホルダー付きのPSD、およびベントダウンがついている。缶の2”センターポートにはNitronic60ナットで絞められたPFAプラグが付いている。
【0084】
この反応で使用される2つのフィードディップレッグがある。第一のディップレッグはパイプの長さ全体に穿孔された2×1/4”穴があるTeflon(商標)フルオロポリマーの固体パイプである。3/4”離れている各空孔空間の上から下までに1/4”PFAチューブがある。チューブは各端に穴があるパイプからチューブまでの雄コネクタおよびPFAナット/口金で固着される。他のディップレッグは形状が似ているが、頂部フランジ上の継手に3/8”の穴があり、Teflonフルオロポリマーの中空パイプの空孔空間を通して伸びる2×3/8”チューブを有する。チューブはPFA継手を経由して下方の20インチ以下のところからTeflonフルオロポリマー製の固体混合ノズルの上端までを接続する。ノズルはTeflonポリマーのパイプの内側にあるスレッドにねじ込まれていき、ノズルの底部にある1/8”穴を通して反応器に入る前に2つの給送に影響する。ディップレッグの両方ともディップレッグの底部フラングから24”以下の長さであり、撹拌器のブレード端部の上の約2”にある反応器まで伸びている。
【0085】
触媒は1”ステンレス鋼(SS)ブロック弁、1×1/2”SS還元装置、さらに1 1/2”フルポートSS内張りブロック弁から構成される充填用ボンベを経由して反応器に入る。ボンベへ充填される触媒は1.5”フルポート弁を通して、N2パージされたグローブボックス内で実施した。充填の後は圧力ゲージを備え付けN2をボンベに充填するために1/2”SSティーは1.5”弁の上端に取付けた。1”ブロック弁を経由して全体の セットアップが反応器ノズルにある径違いフランジに入る。
【0086】
水相切断はすべてPFAディップレッグを使用して実施された。1/2”PFAチューブの部分は真っ直ぐにされ、PFA口金を固定するために溝が加工されている。水相をデカントするために口金はチューブを押し下げ反応器の中に下げたが、チューブを固定している穴を開けた貫通PFA継手およびキャップを超えて反応器からチューブが出るのを防止した。ディップレッグチューブが反応器から、切断中に水性材料をサンプリングするのに使用したPlexiglas(商標)樹脂製のボックスまで直線的に走っている。反応器のディップレッグノズルとラインに存在し追加的な故障点に関連した水中曝露のリスクを低減するこの標本点との間に意図的に継手が無いようにしている。
【0087】
バッチ番号1および2からのBCM生成物溶液は、組み合わせて1つのBCM溶液にした。
【0088】
表1は、バッチ臭素化反応番号1と番号2について、使用した反応状態、その使用した成分と量、生成物と計算についての分析結果、および単離されたBAPC固体の2つの小
さな試料バッチについての特性および組成を要約したものである。
【0089】
【表1】

【0090】
実施例5
BAPCからのペレット調製
実施例4において形成された2つのバッチBCM溶液を、2008年1月24日に発行された国際公開公報第WO2008/011477号の図2および図3に概略的に図示され、記載されたプロセス装置設定を用いたデボル押出機への給送として使用した。国際公開公報第WO2008/011477号の図面および明細書の両方が参照により本明細書に組み込まれる。デボル押出機による本願運転と国際公開公報第WO2008/011477号のそれとの間の主要な違いは、臭素化スチレンポリマーと臭素アニオン化性スチレンポリマーをペレットまたは顆粒形状に変換する代わりに、実施例13で形成したBCM中の混合BAPC溶液が60重量%に濃縮され、かつ、デボル押出機への給送として使用されたことである。国際公開公報第WO2008/011477号に記載された運転と比較したデボル押出機運転の小さな別の違いは、本明細書において言及される。従って、本願運転でのデボル押出機への溶液の給送速度は当初は、35lbs/時間から40lbs/時間であったが運転が進むに従い、この速度は徐々に約63lbs/時間まで上昇させた。250rpm、トルクが23%、溶融物温度が336°F(169℃)、およびヘッド圧が115lbsで運転された二軸のこの時点で、ペレットまたは顆粒の回収が開始された。デボル押出機のゾーンの温度を次に示す。ゾーン1&2では225°F、ゾーン3&4では275°F、ゾーン5&6では325°F、ゾーン7&8では375°F、ゾーン
9&10では365°Fである。さらに、ダイの温度は365°Fである。運転から50分経過して、ゾーン9&10およびダイの温度は350°Fまで低下した。数時間後に本願運転は完了した。驚くべきことに、BAPCは典型的な臭素アニオン化性スチレンポリマーと比べてかなりMwが低い(BAPCは約3000、典型的な臭素アニオン化性スチレンポリマーは約13,000)のであるが良質なペレットが本願運転で形成された。
【0091】
図1Aから1Dまでに参照されている試験方法により、実施例5で形成されたペレットは微粉およびダストの形成に耐える能力にもとづいて評価された。参考までに、このテストはタンブリング摩耗試験と呼ばれる。
【0092】
タンブリング摩耗試験
原則、試験は、円筒内の閉鎖空間内を端から端まで自由にスライドするように寸法されたボトルまたはジャーを含有する各端で閉鎖した中空円筒の回転を含む。虚水平軸の周りを回転することができるように円筒を配置する。この軸上での円筒の回転により閉鎖されたボトルまたはジャーが円筒内で前後にスライドし、円筒のいずれかの閉鎖端に交互に衝撃を与える。これにより、特定した時間内でこれらの衝撃により微粒子が形成される程度の分析を可能とする。従って、同じ部分が同じ番号である図1A−1Dを参照して高さが5インチで、外周が2インチ、容量が250mLであるプラスチック製の充填ボトルまたはジャーは200グラムの評価されるペレットで充填する。典型的には、ペレットのこの量はボトルまたはジャーの約半分を満たす。次に、ボトルまたはジャー75はきつく密閉し、長さが15インチで内径が2インチより僅かに大きい中空円筒70の中に設置する。次に、円筒は端Aと端Bで閉鎖し、これによりボトルまたはジャー75が端から端までスライドできる閉鎖空間ができる。円筒70は矢印85で示している軸80の周りの垂直面で回転する位置に設置する。図1Bで示したように、円筒が90度以上も軸80の周りで回転するのでボトルまたはジャー75は円筒70の閉鎖端Aから閉鎖端Bへスライドし始める。図1Cで示したように、回転が約180度に達するとボトルまたはジャー75は円筒70の閉鎖端Bに衝撃を与える。回転が275度を超えると、ボトルまたはジャー75は閉鎖端Bから閉鎖端Aへスライドし始める。図1Dに示したように、回転が360度に達するとボトルまたはジャー75は円筒70の閉鎖端Aに再度衝撃を与える。円筒70は3分間15rpmの一定速度で回転する。これにより、ボトルまたはジャー75内のペレットは撹拌され各180度の回転ごとに衝撃を受ける。3分経過時点で、回転が止まり、ボトルまたはジャーの内容物は20メッシュの米国基準の篩網(0.033”開孔)でふるいにかけられる。この篩網を通過した微粉は回収し微粒子サイズ分布についての解析を行い微粉の塊を測定する。そこで、これによりペレットの開始量から試験期間中に形成されたる総微粉の質量百分率を計算できる。従って、この方法での試験運転により試験期間中の微粉の形成でペレットが摩耗した程度の分析を可能することが示される。
【0093】
実施例6
微粉およびダストの最小化に関しての本発明のペレットの評価
実施例5で形成されたペレットのバッチからペレットの試験量を取得し上述したタンブリング摩耗試験を行った。参考までに、類似の試験をペレット化した臭素アニオン化性スチレンポリマー(つまり、ポリマーを使用した臭素化ポリマーをアニオン開始反応を用いて産生した)で実施した。これらの評価結果を表2に示している。表2中の「BASP」は臭素アニオン化性スチレンポリマーを示す。
【0094】
【表2】

【0095】
表3は、表2で参照したタンブリング試験後に取得した微粉の粒子サイズ分布データを示す。
【0096】
【表3】

【0097】
解析方法
熱色解析を除き、APCおよびBAPCのアッセイ特性の適用可能な解析法を2008年12月18日の国際公開日の国際出願番号第WO2008/154453 A1号にて規定している。熱色解析の方法は以下の通り。20mlの平底シンチレーション用バイアルにぴったりと付く直径がある12の加熱ポートを特徴とするJ-Kem Scientific 社(St. Louis, MO)製の特別仕様した金属製加熱ブロックを使用する。加熱ブロックは窒素パージされたグローブボックスに設置し試験温度(250℃か300℃のいずれか)まで加熱した。2セットのBAPC粉末の5グラムの試料を加熱ブロックで熱処理するシンチレーション用バイアルに設置した。バイアル内の材料は特定の時間(250℃であれば15分間、または300℃であれば20分間)加熱する。熱処理または熱的エージングが完了時点でブロックから試料を速やかに除去し、窒素下で冷却する。試料を溶解させてクロロベンゼン中の10重量%溶液を作った。溶液の色はL、a、bを単位とした溶解試料の色であり、デルタEを測定しHunter Lab ColorQuest XE Colorimeter 社(Reston, VA)のクロロベンゼンのブランクスタンダード(L=100、a=0、b=0)と比較した。
【0098】
本発明は本明細書に記述した材料および/または手順を含み、構成し、または本質的に構成してもよい。
【0099】
明示的に特記が無い限り、本明細書で使用する場合の冠詞「一つ(a)」または「一つ(an)」は限定するものではなく、冠詞が言及する単一の要素を限定するように解釈すべきではない。むしろ、特に明示しない限り、本明細書で使用する場合の冠詞「a」または「an」はそのような要素の1つ以上をカバーする。
【0100】
本明細書のどの部分で参照したいずれの特許または出版物も、あたかもそれらが本明細書中にすべて示されたかのように、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0101】
本発明は実施される場合は相当数の変形が可能である。従って、前述の説明は限定することを意図せず、本発明を本明細書で提示した実施例に限定するように解釈すべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
臭素化芳香族ポリマー組成物のペレット化プロセスであって、
【化1】

nは約2.9から約3.9の範囲にある平均数であり、各xは同じか、または異なり、かつ3から5の範囲の整数であり、前記組成物中のすべてのxの平均数が約3.50から約3.80の範囲にあり、かつX線蛍光分光法で決定される前記ポリマー中の臭素の重量パーセントが約73.4から約74.5の範囲であり、このプロセスは上記一般式の臭素化芳香族ポリマー組成物から流動溶融物を形成し、かつ該流動溶融物を固化させたペレットに変換する工程を有し、前記プロセスはペレット化のプロセス中、微粒子の形成が抑制され、空気混入可能なダストの形成が許容できるほど少ないレベルにまで除去または減少させられることを特徴とし、かつ、前記ペレットは、取り扱い中または使用中に崩れやすい場合、空気混入可能なダストのあるとしても僅かな同時形成によりより小さな細粒が形成されることを特徴とする、プロセス。
【請求項2】
二軸混練押出機において昇温させた温度で該臭素化芳香族ポリマー組成物を流動溶融物に変換し、かつ、押出物が固化する、または固化される前後に押出機からの押出物をペレット化する、請求項1記載のプロセス。
【請求項3】
デボル押出機において昇温させた温度で該臭素化芳香族ポリマー組成物を流動溶融物に変換し、かつ、押出物が固化する、または固化される前後にデボル押出機からの押出物をペレット化する、請求項1記載のプロセス。
【請求項4】
ペレットが下記一般式の臭素化芳香族ポリマー組成物から形成された、ペレット化難燃組成物であって、
【化2】

nは約2.9から約3.9の範囲にある平均数であり、各xは同じか、または異なり、かつ3から5の範囲の整数であり、前記組成物中のすべてのxの平均数が約3.50から約3.80の範囲にあり、かつX線蛍光分光法で決定される前記ポリマー中の臭素の重量パーセントが約73.4から約74.5の範囲であり、取り扱い中または使用中に崩れやすい場合、ペレットは空気混入可能なダストのあるとしても僅かな同時形成によりより小さな細粒が形成されることを特徴とする、ペレット化難燃組成物。
【請求項5】
前記ペレットが、約400ppm(wt/wt)から検出限界の約20ppm(wt/wt)より少ない範囲の量の臭素化トルエンと、典型的には約0.2重量%から約1.0重量%の範囲にある臭素化1,3−ジフェニルプロパンを任意に含む、請求項4記載の組成物。
【請求項6】
溶融物を混合した下記一般式の臭素化芳香族ポリマー組成物で構成され、
【化3】

nは約2.9から約3.9の範囲にある平均数であり、各xは同じか、または異なり、かつ3から5の範囲の整数であり、前記組成物中のすべてのxの平均数が約3.50から約3.80の範囲にあり、かつX線蛍光分光法で決定される前記ポリマー中の臭素の重量パーセントが約73.4から約74.5の範囲であり、該ペレットはタンブリング摩耗試験を行った場合、20メッシュの米国基準の篩網を通過することができる微粒子の量が5重量%以下であることを特徴とする、ペレット。
【請求項7】
20メッシュの米国基準の篩網を通過することができる微粒子の量が4.5重量%以であるの、請求項6記載のペレット。

【図1】
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【公表番号】特表2012−525483(P2012−525483A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508716(P2012−508716)
【出願日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/032932
【国際公開番号】WO2010/127087
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(594066006)アルベマール・コーポレーシヨン (155)
【Fターム(参考)】