説明

ページング装置

【課題】 設置場所の制約を受けることなく設備費用を低減することができ、運用の自由度が高いページング装置を提供する。
【解決手段】 複数の通信回線の任意の1回線を用いて相互通話する複数の有線端末装置と、所定の通信回線を介して出力される音声信号を増幅してスピーカから出力する主装置と、音声情報を送受すると共に音声帯域内における所定周波数の信号を送出する複数の無線端末装置からの接続要求を受けて所定の伝送路に切り換える交換機の伝送路に接続され、各無線端末装置が出力する音声帯域内の所定周波数の信号が所定時間継続したことを判定して検出信号を出力する複数の信号検出器の検出信号に応じて交換機の伝送路を通信回線の所定の1回線に切り換えて、無線端末装置と有線端末装置または前記主装置とを接続する回線切換部とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ページング装置に係り、特に有線ページング装置および無線ページング装置との間で相互通話するに好適なページング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、敷地が広い例えばプラントなどの構内等では、従業員等をスピーカで呼び出して通話する有線ページング装置が用いられている(例えば、非特許文献1,2を参照)。この有線ページング装置は、例えば図5に示すように構内の所定の場所に複数のハンドセットステーション1を配置すると共に、複数の通話回線2と呼び出し用の放送回線3とを敷設したものとなっており、これらの通信回線は、主装置6に接続されている。この主装置6は、各ハンドセットステーション1に電源を供給すると共に、ハンドセットステーション1から放送回線3を介して伝送されたアナログ音声信号を増幅部6aにて増幅してスピーカ回線4に出力するようになっている。ちなみにスピーカ回線4は、構内の所定の場所に配設されて該スピーカ回線4に接続されたスピーカ5から音声信号(呼出情報)を出力する伝送路の役割を担っている。
【0003】
一方、ハンドセットステーション1には、利用者からなされる所望の回線への接続要求が入力されるスイッチ入力部7が設けられて、このスイッチ入力に従って放送回線3または複数の通話回線2のうち任意の1回線に接続を切り換える回線切換部8が設けられたものとなっている。このスイッチ入力部7は、スピーカ5から出力される音声により構内の従業員等を呼び出すべく放送回線に接続する呼出ボタン(図示せず)のほか、複数の通話回線2の中から任意の1回線を選択する回線選択ボタン(図示せず)が設けられている。また、ハンドセットステーション1には、音声通話用のハンドセット9が設けられて通話回線2を介して送受される信号を通話に相応しいレベルになるよう増幅する増幅部10が設けられている。
【0004】
このように構成された有線ページング装置にあっては、利用者がハンドセットステーション1に設けられた呼出ボタンを押下して、従業員等をスピーカ5を介して呼び出す。そして、この放送によって呼び出された従業員等は、指定された通話回線2に接続して相互通話を行うべく双方とも同じ通話回線2を選択する。このときなされる通話に関しては、主装置6の関与はなく、ハンドセットステーション1間で通話回線2を介して相互通信を行うようになっている。また、通話相手先の切り換えは、接続を所望する回線選択ボタンを押下するだけでよい。
【0005】
このような有線ページング装置の他、通信回線の敷設が不要な無線ページング装置が知られている(例えば、非特許文献1,2を参照)。この無線ページング装置は、例えば図6に示すように従業員等が所持する複数の携帯子機11と、この携帯子機11と無線送受して音声帯域の信号を送受する複数の基地局12およびこられの基地局12と有線回線で接続された交換機13とから構成される。なお、交換機13と基地局12との間の有線回線は、音声帯域の信号を送受する以外にも交換機13から基地局12を駆動する直流が重畳される。
【0006】
このように構成された無線ページング装置は、携帯子機11から通話したい相手先が持つ携帯子機11の子機番号(電話番号)をダイヤリングすることにより、交換機13が通話相手先の携帯子機11を呼び出して、相互通話ができるよう構成されている。ちなみに携帯子機11と基地局12との間の通信手順は、例えば、RCR STD−28に規定される第二世代コードレス電話システム標準規格等が適用される。なお、基地局12と交換機との間は、一般に独自方式の伝送手順が適用されている。
【0007】
ところで前述した有線ページング装置と比べて無線ページング装置が優れている点は、通信回線を敷設する必要がないこと、スピーカを用いて従業員等を呼び出すことがなく近隣への騒音問題も生じることがない等をあげることができる。
【非特許文献1】岩崎通信機(株),「岩通 有線ページング/放送装置 BIシリーズ」カタログ,岩崎通信機(株),2001年4月,カタログ番号 CT(T)104−534−3−05 SP8101−5138−2
【非特許文献2】岩崎通信機(株),「DIGIXII(ディジックス)デジタル フィールドコミュニケーションシステム」カタログ,岩崎通信機(株),2003年6月,カタログ番号 CT(G)602−621−1−10 SP8101−5160−0
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した従来の有線ページング装置は、複数のハンドセットステーション1やスピーカ5を配設すると共に、各ハンドセットステーション1にはそれぞれ複数の通信回線(通話回線2および放送回線3)を接続する必要がある。このため、いったん配置した後の設置場所の変更や、ハンドセットステーション1の増設等が困難であるという問題があった。
【0009】
一方、無線ページング装置は、従業員等が携行する携帯子機11を用いるため、有線ページング装置より運用の自由度が高い反面、交換機13を介した通信を行うため、通話相手先を切り換える都度、ダイヤルする必要があり操作性がよくないという問題もあった。つまり、無線ページング装置の場合、通話を所望する相手の携帯端末11をダイヤリングして呼び出さなければならず、有線ページング装置のように通話中に別の相手に切り換えて通話を行うことができないという問題があった。
【0010】
本発明はこのような従来の事情に対処してなされたものであり、その目的は、設置場所の制約を受けることなく設備費用を低減することができ、運用の自由度が高いページング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、本発明に係るページング装置は、 複数の通信回線にそれぞれ接続されて、該通信回線の任意の1回線を用いて相互通話する複数の有線端末装置と、複数の前記通信回線に接続されて、前記有線端末装置から所定の前記通信回線を介して出力される音声信号を増幅して所定の位置に配設された複数のスピーカから出力する主装置とからなる有線方式のページング装置と、音声情報を送受すると共に、音声帯域内における所定周波数の信号を送出する複数の無線端末装置(携帯子機)と、これらの無線端末装置からの接続要求を受けて所定の伝送路に切り換える交換機と、この交換機の伝送路に接続されて、前記各無線端末装置(携帯子機)により伝送される音声帯域の信号を受けて、この音声帯域内の所定周波数の信号が所定時間継続したことを判定して検出信号を出力する複数の信号検出器と、これらの信号検出器の検出信号に応じて前記交換機の伝送路を前記通信回線の所定の1回線に切り換えて、前記無線端末装置(携帯子機)と前記有線端末装置または前記無線端末装置(携帯子機)と前記主装置とを接続する回線切換部とを具備することを特徴としている。
【0012】
好ましくは、前記無線端末装置が送出する音声帯域内の所定周波数の信号は、単一周波数信号または複数の単一周波数信号を組み合わせたものが望ましい。
上述したページング装置によれば、無線端末装置(携帯子機)から音声帯域内における所定周波数の信号、具体的にはトーン信号を所定時間送出することで、有線方式のページング装置に設けられた放送回線あるいは通話回線に接続される。
【発明の効果】
【0013】
このように本発明のページング装置にあっては、無線端末装置(携帯子機)から音声帯域内における所定周波数の信号、すなわち単一周波数または複数の単一周波数からなるトーン信号を送出することで、有線方式におけるページング装置の所望とする通信回線に接続することができる。また無線端末装置(携帯子機)において通話回線を切り換える際、一端、交換機との接続を開放することなく通話回線を切り換えることが可能である等、実用上多大なる効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係るページング装置に関し、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るページング装置の全体構成を示す概略ブロック図である。尚、この図において前述した従来の実施形態と同一機能を有する部位については、同符号を付し、その説明を略述する。
本発明に係るページング装置が特徴とするところは、詳細は後述するが、有線ページング装置と無線ページング装置とを結合させるインタフェース部20を設けた点にある。
【0015】
さて、図1において1は、所定の場所に配設されるハンドセットステーションである。このハンドセットステーション1には、利用者が所望する通信回線(通話回線2または放送回線3)を選択するスイッチ入力部7が設けられている。このスイッチ入力部7には、詳しくは複数の通話回線2或いは放送回線3のいずれかを選択する図示しないスイッチが設けられたものとなっている。具体的には通話回線2が[3]回線からなり、例えばそれぞれの通話回線2の回線番号が[1],[2],[3]と割り当てられている場合、それぞれの回線番号毎に通話回線2を選択する上記回線番号を明示したボタンが設けられている。またスイッチ入力部7には、放送回線3を選択するボタンとして、例えば「呼出」なる名称が記載されたボタンが設けられている。
【0016】
ハンドセットステーション1には、上述したスイッチ入力部7によって選択された通信回線に接続を切り換える回線切換部8、音声通話用のハンドセット9および回線切換部8によって切り換えられた通話回線2を介して送受される信号を通話に相応しいレベルになるよう増幅する増幅部10がそれぞれ設けられている。
主装置6には、通話回線2、放送回線3およびスピーカ回線4がそれぞれ接続されている。また主装置6は、通話回線2に接続された複数のハンドセットステーション1に対して、電源を供給する電源部6bを備えている。この電源部6bは、放送回線3を介してハンドセットステーション1が動作するために必要な電源を供給すると共に、ハンドセットステーション1に設けられたハンドセット9がオフフックされたことを検出する役割と、その他に通話回線2を介してハンドセットステーション1にて放送回線3を選択したことを検出する役割を担っている。
【0017】
一方、無線ページング装置側には、複数の利用者がそれぞれ所持する複数の携帯子機11と、この携帯子機11と無線送受して音声帯域の信号を送受する複数の基地局12およびこられの基地局12と有線回線12aで接続された交換機13が設けられている。ちなみに、交換機13と基地局12との間の有線回線12aには、音声帯域の信号を送受する以外にも交換機13から基地局12を駆動電源としての直流が重畳される。詳しくはこの交換機13には、携帯子機11からの接続要求を受けて通話路の保持、回線の閉塞等を行うトランク14が設けられている。
【0018】
このトランク14に接続される伝送路15と、複数の通話回線2および放送回線3との間には、インタフェース部20が介挿されている。このインタフェース部20は、伝送路15を複数の通話回線2および放送回線3のいずれか一回線に接続する回線切換部21を備えたものとなっている。この回線切換部21は、図2にインタフェース部20の構成を示すように、通話回線2および放送回線3と交換機に入出力される伝送路15との間に介挿された複数の回線切換スイッチ22およびそれぞれの回線切換スイッチ22に接続されて、該回線切換スイッチ22の駆動(オン/オフ)を制御する複数のスイッチ制御部23から構成されている。そして回線切換スイッチ22の伝送路側は、それぞれ伝送路15に接続されている。
【0019】
一方、回線切換スイッチ22の通信路側は、複数の通話回線2および放送回線3にそれぞれ接続されている。これらの複数の回線切換スイッチ22は、後述するPBレシーバ24からの制御を受けてオン/オフ制御されるようになっている。PBレシーバ24から出力される回線切換スイッチ22のオン/オフ制御信号は、この制御信号をそれぞれ保持して回線切換スイッチ22に出力するスイッチ制御部23を介して回線切換スイッチ22に与えられる。
【0020】
PBレシーバ24は、伝送路15上に流れる音声帯域内における所定周波数の信号、即ち所定の周波数のトーン信号が、所定時間以上継続したことを監視するもので、該信号を検出した場合、検出信号をスイッチ制御部23に与えるようになっている。ちなみに、この図においては、PBレシーバ24が検出する信号の所定の周波数を[f1〜f4]の四つの異なる周波数を検出するものとして例示している。具体的には、伝送路15に周波数[f1]の単一周波数のトーン信号が所定時間継続されたことをPBレシーバ24の信号検出器24aが検出すると、スイッチ制御部23にそのトーン信号を検出した検出信号を与える。この検出信号を受けたスイッチ制御部23は、その検出信号を受けて該スイッチ制御部23によって保持されたスイッチを閉じる(オンする)制御信号を回線切換スイッチ22に与える。そしてこの制御信号を受けた回線切換スイッチ22は、スイッチを閉じて(オンして)通話回線2または放送回線3のいずれか一回線と交換機13の伝送路15とを接続する。また、信号検出器24aは、他のいずれかの信号検出器24aが所定周波数のトーン信号を検出すると、スイッチを閉じているスイッチ制御部23に対して、該スイッチを開くよう制御信号を与える。つまりPBレシーバ24に設けられた信号検出器24aのいずれかが、予め割り当てられたトーン信号を検出すると、そのトーン信号を検出した信号検出器24aが制御する回線切換スイッチ以外のすべての回線切換スイッチを開くようになっている。
【0021】
また交換機13とインタフェース部20との間には、上述したようにして通話回線2または放送回線3のいずれか一回線と交換機13の伝送路15とが接続された後、通話が終了したとき、トランク14からインタフェース部20に対して回線開放要求を伝送する制御路16が設けられている。この制御路16は、インタフェース部20のスイッチ制御部23を初期化するリセット部25に接続されている。そしてリセット部25は、トランク14から出される回線開放要求を受けて、スイッチ制御部23を初期化し、すべての回線切換スイッチを開く(オフする)ようになっている。
【0022】
このように構成された本発明の一実施形態に係るページング装置の作動に関して、図3に示すフローチャートを参照しながら詳細に説明する。このフローチャートに図示するアルゴリズムは、携帯子機11からスピーカ回線4を介してスピーカ5から利用者が通話を所望する相手を放送で呼び出して、該携帯子機11と任意のハンドセットステーション1に設けられたハンドセット9を介して相互通話する場合を例示したものである。尚、ここでは、既に携帯子機11と交換機13とは、基地局12を介して無線回線が確立しているものとする。
【0023】
さて、携帯子機11を携行する利用者は、通話を所望する相手を呼び出すべく該携帯子機11に割り当てられた所定のボタン(特番)を押下する[ステップS1]。この特番は、例えば「8」等の任意のボタンが予め割り当てられたものとなっている。携帯子機11から特番を受けた交換機13は、トランク14を補足すると共に、伝送路15をインタフェース部20に接続する。この後、初期接続部26から接続情報をスイッチ制御部23に与える。この情報を受けたスイッチ制御部23は、回線切換スイッチ22を閉じて交換機13の伝送路15と、所定の通信回線(この場合は通話回線2)とを接続する[ステップS2]。この時点で携帯子機11およびハンドセットステーション7が通話回線2を介して相互に接続されて通話することができる。
【0024】
次いで利用者は、スピーカ5を介して通話相手先を呼びだすべく該携帯子機11に割り当てられた所定のボタン(放送開始ボタン)を所定時間押下する[ステップS3]。この放送開始ボタンは、携帯子機11に例えば「*;アスタリスク」等の任意のボタンが予め割り当てられたものとなっている。ステップS3で携帯子機11に予め割り当てられた放送開始ボタンが押下されると、交換機13の伝送路15を介して、この放送開始ボタンに相当する音声帯域内の所定の信号(トーン信号)がインタフェース部20に与えられる。
【0025】
するとインタフェース部20に設けられたPBレシーバ24の信号検出器24aが放送開始ボタンに相当する音声帯域内の所定の信号(トーン信号)を検出する。ちなみに、ここでは、利用者によって携帯子機11の「*」ボタンを押下されると、携帯子機11から周波数[f4]のトーン信号が出力されるものとする。この周波数[f4]のトーン信号を検出した信号検出器24aは、検出信号を次段のスイッチ制御部23に与える。この検出信号を受けたスイッチ制御部23は、回線切換スイッチ22を閉じて交換機13の伝送路15と、所定の通信回線(この場合は放送回線3)を接続する[ステップS4](ステップ2で閉じた回線切換スイッチ22は開放する)。ちなみにスイッチ制御部23により回線切換スイッチ22の状態(オンまたはオフ)が保持されるので、携帯子機11からこの場合は、「*」ボタンを押下し続ける必要はない。
【0026】
そうして放送回線3に接続された後、利用者は、携帯子機11から送話することによって、交換機13のトランク14、インタフェース部20、放送回線3、主装置6の増幅部6aおよびスピーカ回線4を介してスピーカ5から音声が出力(呼出)することができる[ステップS5]。
このようにして呼出が終了した利用者は、呼出放送を終了すべく該携帯子機11に予め割り当てられた所定のボタン(放送終了ボタン)を所定時間押下する[ステップS6]。この放送終了ボタンは、例えば「#;シャープ」等の任意のボタンが予め割り当てられたものとなっている。ステップS6で携帯子機11に予め割り当てられた放送終了ボタンが押下されると、交換機13の伝送路15を介して、この放送終了ボタンに相当する音声帯域内の所定周波数の信号(トーン信号)がインタフェース部20に与えられる。
【0027】
するとこのインタフェース部20に設けられたPBレシーバ24の信号検出器24aが放送終了ボタンに相当する音声帯域内の所定周波数の信号(トーン信号)を検出する。ちなみに、ここでは、利用者が携帯子機11の「#」ボタンを押下すると、携帯子機11から周波数[f5]のトーン信号が出力されるものとする。この周波数[f5]のトーン信号を検出した信号検出器24aは、検出信号を次段のスイッチ制御部23に与える。この検出信号を受けたスイッチ制御部23は、回線切換スイッチ22を開いて交換機13の伝送路15と、所定の通信回線(この場合は放送回線3)を開放し、放送開始[ステップ3]以前の通信回線(この場合は通話回線2)に復帰する[ステップS7]。ちなみにスイッチ制御部23により回線切換スイッチ22の状態(オンまたはオフ)が保持されるので、携帯子機11からこの場合は、「#」ボタンを押下し続ける必要はない。
【0028】
次いで携帯子機11は放送によって呼出した相手方と、ステップ7で復帰した通話回線2を介して通話を行うことができるが、その他の通話回線2に切り換える場合、予め割り当てられた所定の通話回線選択ボタンを押下する[ステップS8]。この通話回線選択ボタンは、複数の通話回線2を選択するものであって、例えば通話回線2が三回線の場合、[1],[2],[3]等の任意のボタンが予め割り当てられたものとなっている。
【0029】
利用者が携帯子機11に予め割り当てられた通話回線選択ボタンが押下すると[ステップS8]、交換機13の伝送路15を介して、この通話回線選択ボタンに相当する音声帯域内の所定周波数の信号(トーン信号)がインタフェース部20に与えられる。
するとこのインタフェース部20に設けられたPBレシーバ24の信号検出器24aが通話回線選択ボタンに相当する音声帯域内の所定周波数の信号(トーン信号)を検出する。ちなみに、ここでは、利用者が携帯子機11の「1」ボタンを押下すると、携帯子機11から周波数[f1]のトーン信号が出力されるものとする。この周波数[f1]のトーン信号を検出した信号検出器24aは、検出信号を次段のスイッチ制御部23に与える。この検出信号を受けたスイッチ制御部23は、回線切換スイッチ22を閉じて交換機13の伝送路15と、所定の通信回線(この場合は通話回線2)とを接続する[ステップS9](ステップ7で復帰した回線切換スイッチ22は開放する)。ちなみにスイッチ制御部23により回線切換スイッチ22の状態(オンまたはオフ)が保持されるので、携帯子機11に予め割り当てられた通話回線選択ボタン、この場合は、「1」ボタンを押下し続ける必要はない。このようにして携帯子機11およびハンドセットステーション1が通話回線2を介して相互に接続されて通話することができる[ステップS10]。
【0030】
この通話中、利用者は、放送回線3に切り換えて放送(呼出)を行う場合[ステップS11]、上述したステップS3〜S7を実行することで放送を行った後、再びステップS8〜S10を実行することでハンドセットステーション1と通話を行うことができる。
或いは、放送(呼出)を行うことなく、他の通話回線2に切り換える場合[ステップS12]、携帯子機11に予め割り当てられた通話回線選択ボタンを押下し、上述したステップS8〜S10を実行することで任意の通話回線2に切り換えて通話を行うことが可能となる。
【0031】
このようにして携帯子機11とハンドセットステーション1と通話を行った後、終話する場合[ステップS13]、携帯子機11を携行している利用者は、終話ボタンを押下する[ステップS14]。すると交換機13のトランク14は、終話ボタンの押下を検出して、伝送路15を開放する[ステップS15]と共に、インタフェース部20のリセット部25に制御路16を介してリセット信号を与える。このリセット信号を受けたリセット部25は、スイッチ制御部23に対して、閉じている回線切換スイッチを開く(オフ)するよう指示を出して、通信回線を開放する[ステップS16]。
【0032】
なお、上述した実施形態にあっては、携帯子機11から音声帯域における所定周波数の信号として単一トーン信号を送出する場合を例示したが、例えば携帯子機11のボタンを押下することによって複数の単一周波数を組み合わせたデュアルトーン信号を送出するようにしてもかまわない。この場合は、一般の携帯電話等に用いられているDTMF信号をそのまま使うことができるので、携帯子機11に単一トーンの信号を出力する回路を省略することができて望ましい。
【0033】
かくしてこのように構成したページング装置にあっては、携帯子機11から出力される音声帯域における所定周波数の信号をPBレシーバ24で検出すると共に、このPBレシーバ24の検出信号から、交換機13の出力に設けた回線切換部21を作動させて通信回線(通話回線2および放送回線3)の所定の1回線に接続することができる。したがって、携帯端末11からスピーカ回線4に接続されたスピーカ5を介して通話を所望する相手を呼び出すことができると共に、呼び出した相手と任意の通話回線2を利用して相互通話を行うことができる。また、携帯端末11のボタン操作により回線切換部21が所望の回線に切り換えるので、再接続(ダイヤリング)する必要がない。
【0034】
更には、本発明のページャ装置は、携帯端末11を利用者が携行することができることから、設置場所の制限を受けない利便性を確保することもできる。特に携帯端末11には、従来から一般に使用されている例えば構内PHSシステムの無線端末装置を適用することが可能であり、設備費の低減を図ることもできる。
尚、上述した実施形態にあっては、携帯子機11の放送開始ボタンと放送終了ボタンとで、それぞれ別々のボタンを割り当てたものとして例示したが、例えば放送開始ボタンと放送終了ボタンを同一ボタンとして、このボタン操作によって出力される所定周波数の信号によってインタフェース部20に放送開始/放送終了を行わせる、所謂トグル動作をさせるように構成してもよい。具体的にはインタフェース部20は、図4に示すように放送開始を示す所定周波数の信号を受けて交換機13の伝送路15を放送回線3に接続する。そしてインタフェース部20は、前述した放送終了を示す所定周波数と同一信号を受けて交換機13の伝送路15を開放する。このようにすることで、携帯端末11に放送開始および放送終了のために二つのボタンを割り当てることなく放送開始/放送終了を行うことができるのでより簡易な構成とすることができると共に、操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態に係るページング装置の概略構成を示すブロック図。
【図2】図1に示すインタフェース部の内部構成を示すブロック図。
【図3】本発明の一実施形態に係るページング装置の作動アルゴリズムを示すフローチャート。
【図4】本発明のページング装置において携帯端末から出力される放送回線切換信号の別の実施形態を示すタイミング図。
【図5】従来の有線方式のページング装置の概略構成を示すブロック図。
【図6】従来の無線方式のページング装置の概略構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0036】
1 ハンドセットステーション
2 通話回線
3 放送回線
4 スピーカ回線
5 スピーカ
6 主装置
6a 増幅部
6b 電源部
7 スイッチ入力部
8 回線切換部
9 ハンドセット
10 増幅部
11 携帯子機
12 基地局
13 交換機
14 トランク
15 伝送路
16 制御路
20 インタフェース部
21 回線切換部
24 PBレシーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信回線にそれぞれ接続されて、該通信回線の任意の1回線を用いて相互通話する複数の有線端末装置と、
複数の前記通信回線に接続されて、前記有線端末装置から所定の前記通信回線を介して出力される音声信号を増幅して所定の位置に配設された複数のスピーカから出力する主装置と、
音声情報を送受すると共に、音声帯域内における所定周波数の信号を送出する複数の無線端末装置と、
これらの無線端末装置からの接続要求を受けて所定の伝送路に切り換える交換機と、
この交換機の伝送路に接続されて、前記各無線端末装置により伝送される音声帯域の信号を受けて、この音声帯域内の所定周波数の信号が所定時間継続したことを判定して検出信号を出力する複数の信号検出器と、
これらの信号検出器の検出信号に応じて前記交換機の伝送路を前記通信回線の所定の1回線に切り換えて、前記無線端末装置と前記有線端末装置または前記無線端末装置と前記主装置とを接続する回線切換部と
を具備することを特徴とするページング装置。
【請求項2】
前記無線端末装置が送出する音声帯域内の所定周波数の信号は、単一周波数信号または複数の単一周波数信号を組み合わせたものである請求項1に記載のページング装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−67290(P2006−67290A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−248195(P2004−248195)
【出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【出願人】(000000181)岩崎通信機株式会社 (133)
【Fターム(参考)】