説明

ホスファゼン化合物、及び感光性樹脂組成物並びにその利用

ハロゲン系難燃剤を用いることなく、水系現像が可能で、良好なパターン形状が得られ、耐熱性、加水分解耐性、加工性(溶媒可溶性も含む)、接着性等の諸物性と、感光性、難燃性および十分な機械強度とを両立させることが可能であり、電子機器における電子部品の小型化、軽量化に十分に対応できる配線基板の製造に好適に用いることができるホスファゼン化合物と、感光性樹脂組成物とを提供する。本発明に係るホスファゼン化合物は、フェノール性水酸基を有する(A−1)フェノキシホスファゼン化合物、および/または、当該(A−1)フェノキシホスファゼン化合物を架橋してなる(A−2)架橋フェノキシホスファゼン化合物と、不飽和二重結合を有する(B)エポキシ化合物、および/または、(C)イソシアネート化合物とを反応させることによって、分子内に不飽和二重結合を有する。また、本発明に係る感光性樹脂組成物は、少なくとも、カルボキシル基および/または水酸基を有し、有機溶媒に可溶性を示す(G−1)可溶性ポリイミド樹脂を含むとともに、フェノール性水酸基を有する(H−1)フェノキシホスファゼン化合物、および/または、当該(H−1)フェノキシホスファゼン化合物を架橋してなる(H−2)架橋フェノキシホスファゼン化合物を含んでおり、さらに、(L)(メタ)アクリル系化合物を含んでいる。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェノール性水酸基を有する(A−1)フェノキシホスファゼン化合物、および/または、当該(A−1)フェノキシホスファゼン化合物を架橋してなり、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有する(A−2)架橋フェノキシホスファゼン化合物と、不飽和二重結合を有する(B)エポキシ化合物、および/または、(C)イソシアネート化合物とを反応させることによって得られ、
分子内に不飽和二重結合を有することを特徴とするホスファゼン化合物。
【請求項2】
上記(A−1)フェノキシホスファゼン化合物は、次に示す一般式(1)
【化35】

(ただし、式中mは3〜25の整数を示し、RおよびRはフェニル基またはヒドロキシフェニル基を示し、かつ、1分子中に少なくとも1個以上のヒドロキシフェニル基を含む。)
で表される(A−11)環状フェノキシホスファゼン化合物であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のホスファゼン化合物。
【請求項3】
上記(A−1)フェノキシホスファゼン化合物は、次に示す一般式(2)
【化36】

(ただし、式中nは3〜10000の整数を表し、RおよびRはフェニル基またはヒドロキシフェニル基を示し、かつ、1分子中に少なくとも1個以上のヒドロキシフェニル基を含み、Rは−N=P(OC、−N=P(OC(OCOH)、−N=P(OC)(OCOH)、−N=P(OCOH)、−N=P(O)OC、または−N=P(O)(OCOH)を示し、Rは−P(OC、−P(OC(OCOH)、−P(OC(OCOH)、−P(OC)(OCOH)、−P(OCOH)、−P(O)(OC、−P(O)(OC)(OCOH)、または−P(O)(OCOH)を示す。)
で表される(A−12)鎖状フェノキシホスファゼン化合物であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のホスファゼン化合物。
【請求項4】
上記(A−2)架橋フェノキシホスファゼン化合物は、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基または次に示す一般式(3)
【化37】

(ただし、式中Rは−C(CH−、−SO−、−S−または−O−を示し、pは0または1を示す。)
で表されるビスフェニレン基のうち、少なくとも何れか一つを含むフェニレン系架橋基により、上記(A−1)フェノキシホスファゼン化合物を架橋してなることを特徴とする請求の範囲第1項ないし第3項の何れか1項に記載のホスファゼン化合物。
【請求項5】
上記(A−2)架橋フェノキシホスファゼン化合物は、
上記フェノキシホスファゼン化合物として(A−11)環状フェノキシホスファゼン化合物、および/または(A−12)鎖状フェノキシホスファゼン化合物が用いられるとともに、
上記フェニレン系架橋基が、上記(A−1)フェノキシホスファゼン化合物のフェニル基およびヒドロキシフェニル基が脱離した2個の酸素原子間に介在し、かつ、当該架橋フェノキシホスファゼン化合物のフェニル基およびヒドロキシフェニル基の含有割合が、上記フェノキシホスファゼン化合物中のフェニル基およびヒドロキシフェニル基の総数を基準として50〜99.9%の範囲内となっている、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有する(A−3)フェニレン系架橋フェノキシホスファゼン化合物であることを特徴とする請求の範囲第4項に記載のホスファゼン化合物。
【請求項6】
上記請求の範囲第1項ないし第5項の何れか1項に記載のホスファゼン化合物と、有機溶媒に可溶性を示す(D)可溶性ポリイミド樹脂とを少なくとも含むことを特徴とする感光性樹脂組成物。
【請求項7】
(E−1)光反応開始剤をさらに含むことを特徴とする請求の範囲第6項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項8】
上記請求の範囲第1項ないし第5項の何れか1項に記載のホスファゼン化合物と、(E−1)光反応開始剤とを少なくとも含むことを特徴とする感光性樹脂組成物。
【請求項9】
(E−4)炭素間二重結合を有する化合物をさらに含むことを特徴とする請求の範囲第6項ないし第8項の何れか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項10】
上記(D)可溶性ポリイミド樹脂は、ジオキソラン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンから選択される少なくとも1種の有機溶媒に、室温〜100℃の温度範囲において1重量%以上溶解することを特徴とする請求の範囲第6項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項11】
上記請求の範囲第6項ないし第10項のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を用いて形成されてなる感光性樹脂フィルム。
【請求項12】
プリント配線板用接着剤シート、感光性カバーレイフィルム、プリント配線板用絶縁性回路保護膜、またはプリント配線板用基板として用いられることを特徴とする請求の範囲第11項に記載の感光性樹脂フィルム。
【請求項13】
(G)ポリイミド系樹脂および(H)ホスファゼン化合物を少なくとも含む感光性樹脂組成物であって、
上記(G)ポリイミド系樹脂として、カルボキシル基および/または水酸基を有し、有機溶媒に可溶性を示す(G−1)可溶性ポリイミド樹脂を含むとともに、
上記(H)ホスファゼン化合物として、フェノール性水酸基を有する(H−1)フェノキシホスファゼン化合物、および/または、当該(H−1)フェノキシホスファゼン化合物を架橋してなり、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有する(H−2)架橋フェノキシホスファゼン化合物を含んでおり、
さらに、(I)(メタ)アクリル系化合物を含むことを特徴とする感光性樹脂組成物。
【請求項14】
上記(H−1)フェノキシホスファゼン化合物が、次に示す一般式(1)
【化38】

(ただし、式中mは3〜30の整数を示し、RおよびRはフェニル基またはヒドロキシフェニル基を示し、かつ、1分子中に少なくとも1個以上のヒドロキシフェニル基を含む。)
で表される(H−11)環状フェノキシホスファゼン化合物を含むことを特徴とする請求の範囲第13項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項15】
上記(H−1)フェノキシホスファゼン化合物が、次に示す一般式(2)
【化39】

(ただし、式中nは3〜10000の整数を表し、RおよびRはフェニル基またはヒドロキシフェニル基を示し、かつ、1分子中に少なくとも1個以上のヒドロキシフェニル基を含み、Rは−N=P(OC、−N=P(OC(OCOH)、−N=P(OC)(OCOH)、−N=P(OCOH)、−N=P(O)OC、または−N=P(O)(OCOH)を示し、Rは−P(OC、−P(OC(OCOH)、−P(OC(OCOH)、−P(OC)(OCOH)、−P(OCOH)、−P(O)(OC、−P(O)(OC)(OCOH)、または−P(O)(OCOH)を示す。)
で表される(H−12)鎖状フェノキシホスファゼン化合物を含むことを特徴とする請求の範囲第13項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項16】
上記(H−2)架橋フェノキシホスファゼン化合物は、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基または次に示す一般式(3)
【化40】

(ただし、式中Rは−C(CH−、−SO−、−S−または−O−を示し、pは0または1を示す。)
で表されるビスフェニレン基のうち少なくとも何れか一つを含むフェニレン系架橋基により、上記(H−1)フェノキシホスファゼン化合物を架橋してなることを特徴とする請求の範囲第13項ないし第15項の何れか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項17】
上記(H−2)架橋フェノキシホスファゼン化合物は、
上記フェノキシホスファゼン化合物として(H−11)環状フェノキシホスファゼン化合物、および/または(H−12)鎖状フェノキシホスファゼン化合物が用いられるとともに、
上記フェニレン系架橋基が、上記(H−1)フェノキシホスファゼン化合物のフェニル基およびヒドロキシフェニル基が脱離した2個の酸素原子間に介在し、かつ、当該架橋フェノキシホスファゼン化合物のフェニル基およびヒドロキシフェニル基の含有割合が、上記フェノキシホスファゼン化合物中のフェニル基およびヒドロキシフェニル基の総数を基準として50〜99.9%の範囲内となっている、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有する(H−21)フェニレン系架橋フェノキシホスファゼン化合物であることを特徴とする請求の範囲第16項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項18】
上記(G−1)可溶性ポリイミド樹脂は、アクリル基、メタクリル基、ビニル基、アリル基からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の不飽和二重結合を有することを特徴とする請求の範囲第13項ないし第17項のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項19】
上記(H)ホスファゼン化合物は、上記(G)ポリイミド系樹脂および(I)(メタ)アクリル系化合物の総重量100重量部に対し、1〜100重量部の範囲内で含まれることを特徴とする請求の範囲第13項ないし第18項のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項20】
上記請求の範囲第13項ないし第19項いずれかの1項に記載の感光性樹脂組成物を用いて形成されてなる感光性樹脂フィルム。
【請求項21】
現像液として、40℃、1重量%の水酸化ナトリウムを用いるとともに、現像手段としてスプレー現像機を用いた場合に、
スプレー圧0.85MPaの条件下での溶解時間が、180秒以下となっていることを特徴とする請求の範囲第20項に記載の感光性樹脂フィルム。
【請求項22】
パターン回路用レジストフィルム、感光性カバーレイフィルム、または感光性ドライフィルムレジストとして用いられることを特徴とする請求の範囲第20項または第21項に記載の感光性樹脂フィルム。
【請求項23】
(K)カルボキシル基及び/又は水酸基を有する可溶性ポリイミド樹脂、(L)フェノキシホスファゼン化合物、並びに(M)(メタ)アクリル系化合物を含有する感光性樹脂組成物であって、
上記(L)フェノキシホスファゼン化合物が、一般式(22):
【化41】

(式中、aは3から30までの整数を示す。)で表される(L−1)環状フェノキシホスファゼン化合物、
又は一般式(23):
【化42】

(式中、R25は、基−N=P(OPh)若しくは基−N=P(O)OPhを示し、R26は、基−P(OPh)若しくは基−P(O)(OPh)を示す。bは3〜10000の整数を示す。)で表される(L−2)鎖状フェノキシホスファゼン化合物のうち少なくともいずれか一方を含むフェノキシホスファゼン化合物において、
フェニル基が脱離した酸素原子間に、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、又は下記一般式(3):
【化43】

(式中、Rは、−C(CH−、−SO−、−S−若しくは−O−を示す。pは、0若しくは1を示す。)で表されるビスフェニレン基のいずれか一つを含む架橋基を介在することにより架橋された構造を有する(L−3)架橋フェノキシホスファゼン化合物を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。
【請求項24】
上記(K)成分である可溶性ポリイミド樹脂が、アクリル基、メタクリル基、ビニル基、アリル基からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の炭素間二重結合を有することを特徴とする請求の範囲第23項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項25】
上記(L)成分が、(K)成分及び(L)成分の総量100重量部に対し、1〜100重量部の範囲内であることを特徴とする請求の範囲第23項又は第24項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項26】
請求の範囲第23項ないし第25項のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を用いて作製される感光性ドライフィルムレジスト。
【請求項27】
現像液として、40℃、1重量%の水酸化ナトリウムを用いるとともに、現像手段としてスプレー現像機を用いた場合に、スプレー圧0.85MPaの条件下での溶解時間が、180秒以下であることを特徴とする請求の範囲第26項に記載の感光性ドライフィルムレジスト。
【請求項28】
請求の範囲第26項又は第27項に記載の感光性ドライフィルムレジストを絶縁保護層として用いることを特徴とするプリント配線板。

【図1】
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【国際公開番号】WO2005/019231
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【発行日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−513241(P2005−513241)
【国際出願番号】PCT/JP2004/007719
【国際出願日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】