説明

ホルダおよび電子機器

【課題】 メンテナンス性を維持しつつ第1の板状部材を第2の板状部材に簡単に取り付けることができるホルダを提供する。
【解決手段】 ホルダ20は、第1の板状部材と、第1の板状部材を支持する第2の板状部材と、の間に介在される。ホルダ20は、第2の板状部材に固定される第1の部分24と、第1の部分24の開口35内に嵌ったり開口35内から外れたり可能で、第1の板状部材18に固定される第2の部分25と、第1の部分24と第2の部分25とを連結したヒンジ部26と、を具備する。第2の部分は、第1の板状部材と係合する係合部43を有するとともに、開口35内から外れた状態で、係合部43を介して第1の板状部材を保持した状態を維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント回路板の固定に用いられるホルダおよびこれを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルムを車体の内面に装着するための固定用クリップが開示されている。この固定用クリップは、基板と押板とがヒンジを介して設けられている。基板には、車体内面に設けられた穴に挿入するための係止脚と、この係止脚が設けられた面とは反対側の面に設けられた係止突起と、を有している。また、押板には、穴部が設けられておりこの穴部の内側に係止突起が嵌め入れられるようになっている。
【0003】
フィルムは、係止突起の頭部を包み込むようにして係止突起と押板との間に挟み込まれて保持される。この状態で固定用クリップの係止脚を車体内面の穴に挿入して、フィルムを車体内面に固定することができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3827101号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような固定用クリップを電子機器等にも応用することが考えられるが、電子機器は、精密機器であるから修理時のメンテナンス性にも配慮する必要がある。すなわち、電子機器を修理する際には、筐体を開いて内部にあるプリント配線板を取り外して作業する必要があるが、その際の作業性を考慮する必要がある。しかしながら、上記従来の固定用クリップは、電子機器等に用いられるものではないからそのようなメンテナンス性への配慮が当然になく、改良の余地があった。
【0006】
本発明の目的は、メンテナンス性を維持しつつ第1の板状部材を第2の板状部材に簡単に取り付けることができるホルダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明の一つの形態に係るホルダは、第1の板状部材と、前記第1の板状部材を支持する第2の板状部材と、の間に介在されるホルダであって、前記第2の板状部材に固定されるとともに開口を有する第1の部分と、前記第1の部分の前記開口内に嵌ったり前記第1の部分の内側から外れたり可能で、前記第1の板状部材に固定される第2の部分と、前記第1の部分と前記第2の部分とを連結したヒンジ部と、を具備し、前記第2の部分は、前記第1の板状部材と係合する係合部を有するとともに、前記第1の部分の内側から外れた状態で、前記係合部を介して前記第1の板状部材を保持した状態を維持する。
【0008】
前記目的を達成するため、本発明の一つの形態に係る電子機器は、筐体と、前記筐体の内部に収容される第1の板状部材と、前記筐体の内部に収容されるとともに、前記第1の板状部材を支持する第2の板状部材と、前記第1の板状部材と前記第2の板状部材との間に介在されるホルダと、を具備する電子機器であって、前記ホルダは、前記第2の板状部材に固定されるとともに開口を有する第1の部分と、前記第1の部分の前記開口内に嵌ったり前記第1の部分の内側から外れたり可能で、前記第1の板状部材に固定される第2の部分と、前記第1の部分と前記第2の部分とを連結したヒンジ部と、を具備し、前記第2の部分は、前記第1の板状部材と係合する係合部を有するとともに、前記第1の部分の内側から外れた状態で、前記係合部を介して前記第1の板状部材を保持した状態を維持する。
【発明の効果】
【0009】
上記の構成によれば、メンテナンス性を維持しつつ第1の板状部材を第2の板状部材に簡単に取り付けることができるホルダを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態に係る表示装置を示す斜視図。
【図2】図1に示す表示装置の縦方向に沿った断面図。
【図3】図2に示す表示装置のホルダ周辺の構造を拡大して示した側面図。
【図4】図3に示すホルダを示した側面図。
【図5】図4に示すホルダを示した正面図。
【図6】図3に示すホルダを示す上面図。
【図7】図3に示すホルダをフレームに取り付ける工程を示した側面図。
【図8】図7に示す工程の後にホルダにプリント回路板を取り付ける工程を示した側面図。
【図9】図8に示すホルダの第1の部分に第2の部分を固定する工程を示した側面図。
【図10】図3に示すホルダの第1の部分から第2の部分を外してプリント回路板を半固定状態にした状態を示した側面図。
【図11】変形例にかかるホルダを示した正面図。
【図12】図11に示すホルダの第1の部分から第2の部分を外してプリント回路板を半固定状態にした状態を示した側面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図1から図10を参照して、ホルダを薄型テレビ等の表示装置に適用した実施形態について説明する。
【0012】
図1と図2に示すように、表示装置11は、前面である第1の面12Aおよびこれとは反対側の後面である第2の面12Bを有するフレーム12と、フレーム12の第1の面12Aに取り付けられた表示パネル13と、表示パネル13の前方を覆うとともに開放部14Aを有する第1のケース14と、フレーム12の第2の面12Bを覆うように第1のケース14に対向する第2のケース15と、開放部14Aを覆うように第1のケース14に取り付けられる保護板16と、フレーム12を縦置き状態で支持するスタンド17と、表示パネル13を駆動するプリント回路板18と、表示パネル13等に電力を供給する電源ユニット19と、フレーム12とプリント回路板18との間に介在されるホルダ20と、を備えている。プリント回路板18は、第1の板状部材の一例である。第1のケース14および第2のケース15は、筐体の一例である。
【0013】
プリント回路板18および電源ユニット19は、フレーム12の第2の面12Bに固定されている。本実施形態では、プリント回路板18は、その一例としてパネルコントローラで構成されている。プリント回路板18は、フレーム12に対向する一方の面18Aと、一方の面18Aとは反対側の他方の面18Bと、一方の面18Aと他方の面18Bとを連通した連通孔18Cと、を有している。また、フレーム12は、金属板金で構成されており、プリント回路板18を支持する第2の板状部材の一例である。図3に示すように、フレーム12は、ホルダ20が通される貫通孔12Cを有している。
【0014】
保護板16は、例えばアクリル系の樹脂によって、方形をなした透明の平板である。表示パネル13は、例えば、液晶パネルで構成されているが、これに限定されるものではない。表示パネル13は、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel)、有機ELディスプレイ(Organic Electro Luminescence Display)等の他のパネルであってもよい。
【0015】
図3から図6に示すように、ホルダ20は、合成樹脂材料によって一体に成形されている。ホルダ20は、フレーム12に固定される第1の部分24と、プリント回路板18に固定される第2の部分25と、第2の部分25を回動可能に第1の部分24と第2の部分25とを連結したヒンジ部26と、を有している。また、ホルダ20は、第1の部分24、第2の部分25、およびヒンジ部26の表面を被覆した被覆層27を有している。この被覆層27は、金属材料で形成されている。このため、この被覆層27を有するホルダ20は、導電性を有しており、フレーム12に対してプリント回路板18をアースすることができる。
【0016】
第1の部分24は、円筒形の本体部31と、本体部31の先端に設けられるフック部33と、後述する第2の部分25の係合部43が嵌め入れられる受け部の一例である通孔34と、を有している。
【0017】
図4に示すように、本体部31は、その内側に開口35を有している。なお、本実施形態では、本体部31は、開口35が上下に連通した円筒形をしているが、これに限定されるものではない。本体部31は、開口35を有する形状であれば、どのような形状でも良く、例えば、開口35を有する有底の円筒形であってもよい。
【0018】
図3に示すように、本体部31は、フレーム12に設けられた貫通孔12Cを貫いて配置されている。フック部33は、フレーム12の第1の面12Aに当接している。なお、本実施形態では受け部は通孔34で構成されているが、これに限定されるものではない。受け部は、係合部43が嵌り込むことが可能な凹部で構成されていてもよい。
【0019】
図4から図6に示すように、第2の部分25は、円筒形の本体部31の内側に嵌ったり本体部31の内側から外れたりできる軸部41と、軸部41の一方の端部に設けられる頭部42と、軸部41の他方の端部に設けられる係合部43と、を有している。係合部43は、第2の部分25が第1の部分24の内側に嵌った状態で、通孔34の内側に嵌っている。このため、第2の部分25は、係合部43および通孔34を介して第1の部分24の内側に嵌った状態を維持する。また、係合部43は、第2の部分25が第1の部分24の内側から外れた状態において、プリント回路板18の一方の面18Aに当接されている。
【0020】
ヒンジ部26は、略「U」字状に折り曲げられて配置されている。ヒンジ部26は、第2の部分25が第1の部分24の内側に嵌ったり、第1の部分24の内側から外れたりできるように、第2の部分25を回動可能に支持している。
【0021】
続いて、図3、図7〜図9を参照して、本実施形態のプリント回路板18の取り付け工程について説明する。まず、図7に示すように、フレーム12の貫通孔12Cに対してホルダ20の第1の部分24を挿入する。そして、図8に示すように、第1の部分24のフック部33は、フレーム12の第1の面12Aに当接する。この状態で、フレーム12は、ヒンジ部26と第1の部分24のフック部33との間に挟まれた状態となる。こうして第1の部分24は、フレーム12に固定される。
【0022】
さらに、この第1の部分24に対してプリント回路板18を取り付ける。その際、プリント回路板18の連通孔18Cの内側に第1の部分24を通すようにする。図9に示すように、第2の部分25を第1の部分24に向けて回動させ、第2の部分25の軸部41を第1の部分24の内側に挿入する。これによって、図3に示すように、フレーム12にプリント回路板18を固定した固定構造が完成する。
【0023】
また、表示装置11の組立後に、修理等の目的でプリント回路板18に対してメンテナンスを行う場合には、図10に示すように、第1の部分24から第2の部分25を取り外すことによって、プリント回路板18を自由に回動させることが可能な半固定状態になる。このとき、第2の部分25は、プリント回路板18から外れることなく、係合部43および頭部42を介してプリント回路板18を保持した状態を維持する。これによって、プリント回路板18の裏面、つまりフレーム12に対向した第1の面12Aを目視で確認することができる。
【0024】
第1の実施形態によれば、ホルダ20は、プリント回路板18と、プリント回路板18を支持するフレーム12と、の間に介在されるホルダ20であって、フレーム12に固定されるとともに開口35を有する第1の部分24と、第1の部分24の開口35内に嵌ったり開口35内から外れたり可能で、プリント回路板18に固定される第2の部分25と、第2の部分25を回動可能に第1の部分24と第2の部分25とを連結したヒンジ部26と、を具備し、第2の部分25は、プリント回路板18と係合する係合部43を有するとともに、開口35内から外れた状態で、係合部43を介してプリント回路板18を保持した状態を維持する。
【0025】
この構成によれば、ホルダ20の第1の部分24をフレーム12から取り外すことなく、第2の部分25およびヒンジ部26を介してプリント回路板18を第1の部分24から外れた半固定状態とすることができる。これによって、ホルダ20の第1の部分24をフレーム12から取り外すことなく、プリント回路板18に修理等のメンテナンスを加えることができ、修理時の作業性を著しく向上することができる。
【0026】
また、第1の部分24は、係合部43が嵌め入れられる受け部を有し、第2の部分25は、係合部43および受け部を介して第1の部分24の内側に嵌った状態を維持する。この構成によれば、係合部43にプリント回路板18を保持させる機能と、第2の部分25を第1の部分24に固定する機能の両方を果たさせることができる。これによって、ホルダ20の構造を簡略化できるとともに、ホルダ20の製造コストを削減することができる。
【0027】
この場合、ホルダ20は、第1の部分24、第2の部分25、およびヒンジ部26の表面を被覆した導電性の被覆層27を有し、フレーム12は、金属材料で構成される。この構成によれば、ホルダ20によってプリント回路板18を金属製のフレーム12にアースさせることができる。これによって、プリント回路板18から外部に照射される電磁波の不要輻射を低減することができる。
【0028】
なお、本実施形態では、プリント回路板18は、係合部43および頭部42の間に挟まれて上記半固定状態に保持されているが、これに限定されるものではない。プリント回路板18は、係合部43およびヒンジ部26の間に挟まれて半固定状態に保持されていてもよい。
【0029】
続いて、図11、図12を参照して、ホルダの変形例について説明する。この変形例では、係合部43以外の上記実施形態と概ね共通しているため、主として異なる部分について説明し、共通する部分については共通の符号を付して説明を省略する。
【0030】
図11に示すように、係合部43は、プリント回路板18の一方の面18Aに当接する第1の片43Aと、プリント回路板18の他方の面18Bに当接する第2の片43Bと、を有している。
【0031】
図12に示すように、係合部43の第1の片43Aおよび第2の片43Bは、第2の部分25が開口35から外れた状態において、プリント回路板18を保持した状態を維持することができる。これによって、ホルダ20の第1の部分24をフレーム12から取り外すことなく、プリント回路板18に修理等のメンテナンスを加えることができ、修理時の作業性を著しく向上することができる。すなわち、この変形例では、プリント回路板18は、係合部43の第1の片43Aおよび第2の片43Bの間に挟まれて半固定状態に保持される。
【0032】
本発明のホルダ20は、その他、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、上記実施形態では、ホルダ20をプリント回路板18とフレーム12との間に介在させているが、これに限定されるものではない。例えば、表示パネル13の裏面に設けたシールドである金属板に直接プリント回路板を固定する際に、この金属板とプリント回路板との間にホルダを介在させてもよい。また、第1の板状部材としてフレーム12を使用し、第2の板状部材としてプリント回路板18を使用してもよい。
【符号の説明】
【0033】
11…表示装置、12…フレーム、18…プリント回路板、20…ホルダ、24…第1の部分、25…第2の部分、26…ヒンジ部、27…被覆層、34…通孔、43…係合部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の板状部材と、前記第1の板状部材を支持する第2の板状部材と、を連結するホルダであって、
前記第2の板状部材に固定されるとともに開口を有する第1の部分と、
前記第1の部分の前記開口内に嵌ったり前記開口内から外れたり可能で、前記第1の板状部材に固定される第2の部分と、
前記第1の部分と前記第2の部分とを連結したヒンジ部と、
を具備し、
前記第2の部分は、前記第1の板状部材と係合する係合部を有するとともに、前記開口内から外れた状態で、前記係合部を介して前記第1の板状部材を保持した状態を維持することを特徴とするホルダ。
【請求項2】
前記第1の部分は、前記係合部が嵌め入れられる受け部を有し、
前記第2の部分は、前記係合部および前記受け部を介して前記第1の部分の内側に嵌った状態を維持することを特徴とする請求項1に記載のホルダ。
【請求項3】
前記第1の部分、前記第2の部分、および前記ヒンジ部の表面を被覆した導電性の被覆層を有し、
前記第1の板状部材は、プリント回路板で構成され、
前記第2の板状部材は、金属材料で構成されることを特徴とする請求項2に記載のホルダ。
【請求項4】
筐体と、
前記筐体の内部に収容される第1の板状部材と、
前記筐体の内部に収容されるとともに、前記第1の板状部材を支持する第2の板状部材と、
前記第1の板状部材と前記第2の板状部材との間に介在されるホルダと、
を具備する電子機器であって、
前記ホルダは、
前記第2の板状部材に固定されるとともに開口を有する第1の部分と、
前記第1の部分の前記開口内に嵌ったり前記開口内から外れたり可能で、前記第1の板状部材に固定される第2の部分と、
前記第1の部分と前記第2の部分とを連結したヒンジ部と、
を具備し、
前記第2の部分は、前記第1の板状部材と係合する係合部を有するとともに、前記開口内から外れた状態で、前記係合部を介して前記第1の板状部材を保持した状態を維持することを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−96939(P2011−96939A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−251174(P2009−251174)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】