説明

ホログラム素子、ホログラム素子作製装置、ホログラム素子作製方法、偏向光学ユニット、情報記録装置および情報再生装置

【課題】光学系をコンパクトに保ちつつ参照光の対象物への照射面積を抑えることが可能な偏向光学ユニット、当該偏向光学ユニットに用いられるホログラム素子、当該ホログラム素子を作製するホログラム素子作製装置およびホログラム素子作製方法、および当該偏向光学ユニットを用いた情報記録装置および情報再生装置を提供する。
【解決手段】レーザー光源105から出射された光束104は、スペイシャルフィルタ106により所望のビーム径に変換され、コリメートレンズ107により平行光に変換される。平行光となった光束104は、NDフィルタ128により強度が調整される。強度が調整された光束104は、ミラー109により角度回転ミラー101に導かれる。角度回転ミラー101は、光束104をホログラム素子102に向けて反射する。ホログラム素子102には、光束104の入射位置にかかわらず所定の位置に再生光103a〜103cが集光するように予めホログラムが記録されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ホログラム素子、ホログラム素子作製装置、ホログラム素子作製方法、偏向光学ユニット、情報記録装置および情報再生装置に関し、より特定的には、光束を偏向するホログラム素子、ホログラム素子を作製するためのホログラム素子作製装置およびホログラム素子作製方法、ホログラム素子を用いて参照光の光軸を偏向する偏向光学ユニット、および偏向光学ユニットを用いた情報記録装置および情報再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ホログラム技術を利用して大容量データの記録再生を行なうホログラム記録再生装置が提案されている(たとえば、非特許文献1参照)。このホログラム記録再生装置では、記録密度向上のために多重記録という手法が用いられる。これは、従来のホログラム記録と異なり、1箇所に多数の独立なページを記録する方式である。このような多重記録方式として、代表的には、角度多重記録、シフト多重記録、位相コード多重記録などがあるが、その他スペックル多重など各種の方式が知られている。
【0003】
図14は、従来のホログラム記録再生装置1000における構成を部分的に示した概略構成図である。
【0004】
図14を参照して、従来のホログラム記録再生装置1000は、スキャンミラー1001と、4f光学系を構成するレンズ1002,1003とを備える。ホログラム記録再生装置1000は、角度多重記録方式でホログラム記録材料(ホログラム記録媒体)1006に情報を記録する。
【0005】
図示しないレーザー光源から出射されたレーザー光は、信号光1004と参照光1005とに分岐される。空間変調器(図示せず)で空間的に変調された信号光1004は、図示しない信号光光学系を通じてホログラム記録材料1006に集光される。一方、参照光1005は、図示しない参照光光学系を通じてスキャンミラー1001により反射され、所望の角度で参照光光学系のレンズ1002に入射する。
【0006】
参照光1005は、レンズ1003を介してホログラム記録材料1006を照射する。図14に示すように、信号光1004と参照光1005との干渉により発生する干渉縞すなわちホログラム1007がホログラム記録材料1006に記録される。ここで、スキャンミラー1001の角度を変化させると、その角度変化に応じて参照光1005のホログラム記録材料1006への入射角度が変化する。この入射角度毎に異なったホログラム1007がホログラム記録材料1006の同一記録領域に多重記録される。
【0007】
上記のように、図14のホログラム記録再生装置1000では、参照光1005を偏向させるためにスキャンミラー1001を用いている。特許文献1では、スキャンミラー1001の代替として回折光学素子を用いる手法も提案されている。
【0008】
図15は、図14のホログラム記録再生装置1000において入射角度の変化により参照光1005がホログラム記録材料1006を照射する面積の変化を示す図である。
【0009】
図15に示すように、参照光1005a,1005bは、ビームの太さが一定で、ホログラム記録材料1006への入射角度Ag,Bgが異なる。この場合、図15から明らかなように、参照光1005aに比べて参照光1005bの方が、ホログラム記録材料1006への照射面積が大きくなる。
【0010】
図16は、図14のホログラム記録再生装置1000において参照光1005の入射角度の変化に対するホログラム記録材料1006への照射面積の変化を示す図である。
【0011】
図16において、参照光1005a〜1005cは、いずれもビーム径φ1が一定であるものとする。この場合、図16の(A),(B),(C)に示すように、スキャンミラー1001の角度が変化して参照光1005a〜1005cの入射角度An〜Cnが小さくなればなるほど、ホログラム記録材料1006に対する参照光1005a〜1005cの照射径φ1〜φ3は大きくなる(φ1<φ2<φ3)。
【0012】
図17は、図14のホログラム記録再生装置1000においてホログラム記録材料1006に記録されたホログラム1007を再生する様子を示した図である。
【0013】
図17を参照して、再生時には、参照光1005のみがホログラム記録材料1006に照射される。図17では、説明を明確にするために、ホログラム記録材料1006に対してある入射角で入射する参照光1005pの光路を太矢印で示している。参照光1005は、記録時と同様に、スキャンミラー1001によって所望の角度に偏向され、レンズ1002,1003を通過してホログラム記録材料1006に入射する。そのとき、ホログラム記録材料1006に記録されているホログラム1007から再生光1008が発生する。再生光1008は、図示しないイメージセンサによって光電変換された後、画像処理を施されてデータとして再生される。
【特許文献1】特開2006−78942号公報
【非特許文献1】J. Ashley 外10名、「ホログラムデータ記憶(Holographic data storage)」、IBM, J. RES. DEVELOP,VOL. 44,NO.3,MAY 2000
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来のホログラム記録再生装置1000では、参照光1005のホログラム記録材料1006に対する入射角度が図15,16のように変化したとき、信号光1004は、参照光1005の入射角度の変化にかかわらず、一定の入射角度でホログラム記録材料1006の同一面積部分を照射する。これは、参照光1005の照射面積が増えるほど、信号光1004の照射範囲を含んで参照光1005がホログラム記録材料1006を照射する範囲が広がることを意味している。
【0015】
しかしながら、ホログラム記録再生装置1000では、参照光1005はホログラム記録材料1006内で信号光1004の照射範囲を必要最小限カバーする範囲で照射することが望ましい。なぜなら、参照光1005の不必要な部分の照射は、ホログラム記録材料1006をそれだけ余計に感光させてしまうからである。ホログラム記録材料1006の余分な感光は、そのダイナミックレンジの消費となり、ひいてはホログラム記録材料1006の記録容量の低下につながる。
【0016】
また、従来のホログラム記録再生装置1000のように、参照光1005の入射角度を2枚のレンズ1002,1003によって構成されたテレセントリック光学系(たとえば4f光学系)により変化させる場合は、2枚のレンズ1002,1003の正確な位置調整が要求される。また、テレセントリック光学系を組み込んだ場合、光学系の全長が長くなるため、結果としてホログラム記録再生装置1000が大きくなる。
【0017】
それゆえに、この発明の目的は、光学系をコンパクトに保ちつつ参照光の対象物への照射面積を抑えることが可能な偏向光学ユニット、当該偏向光学ユニットに用いられるホログラム素子、当該ホログラム素子を作製するホログラム素子作製装置およびホログラム素子作製方法、および当該偏向光学ユニットを用いた情報記録装置および情報再生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この発明のある局面によれば、入射された光束を偏向させるためのホログラム素子であって、第1の基点を通り入射光のビーム径によって定まる第1の領域内を通過してホログラム素子へ入射する第1の光束を受ける第1のホログラムと、第1の基点を通り入射光のビーム径によって定まる第2の領域内を通過してホログラム素子へ入射する第2の光束を受ける第2のホログラムとを備え、第1のホログラムでの第1の回折光は、第2の基点を通り第1の回折光のビーム径によって定まる第3の領域を通過し、第2のホログラムでの第2の回折光は、第2の基点を通り第2の回折光のビーム径によって定まる第4の領域を通過する。
【0019】
好ましくは、第1および第2の光束ならびに第1および第2の回折光は、いずれも平行光である。
【0020】
好ましくは、第1および第2のホログラムは、ホログラム素子に多重記録されている。
好ましくは、第1および第2のホログラムは、ホログラム素子への第1および第2の光束の入射角度によらず一定の回折効率で第1および第2の回折光をそれぞれ出射する。
【0021】
好ましくは、第1および第2の回折光の光束径は、第1および第2のホログラムからの出射位置によって異なる。
【0022】
この発明の他の局面によれば、ホログラム素子を作製するためのホログラム素子作製装置であって、光ビームを出射する光源と、光ビームを作製用信号光と作製用参照光とに分離するビームスプリッタと、信号光基準点を中心に角度を回転させることによって、作製用信号光をホログラム素子の各領域に反射する第1の角度回転ミラーと、参照光基準点を中心に角度を回転させることによって、作製用参照光を作製用信号光がホログラム素子を照射した個所に反射する第2の角度回転ミラーと、作製用信号光がホログラム素子を透過した後、作製用信号光を信号光基準点に向けて反射するミラーと、作製用信号光と作製用参照光との偏光を一致させる偏光調整部とを備える。
【0023】
好ましくは、作製用信号光および作製用参照光のビーム径を変化させるアパーチャをさらに備える。
【0024】
好ましくは、参照光基準点は、第1および第2の領域に含まれる第1の基点に対応し、信号光基準点は、第3および第4の領域に含まれる第2の基点に対応する。作製されるホログラム素子は、入射された光束を偏向させるためのホログラム素子であって、第1の基点を通り入射光のビーム径によって定まる第1の領域内を通過してホログラム素子へ入射する第1の光束を受ける第1のホログラムと、第1の基点を通り入射光のビーム径によって定まる第2の領域内を通過してホログラム素子へ入射する第2の光束を受ける第2のホログラムとを備え、第1のホログラムでの第1の回折光は、第2の基点を通り第1の回折光のビーム径によって定まる第3の領域を通過し、第2のホログラムでの第2の回折光は、第2の基点を通り第2の回折光のビーム径によって定まる第4の領域を通過する。
【0025】
この発明のさらに他の局面によれば、ホログラム素子を作製するためのホログラム素子作製方法であって、光ビームを出射するステップと、光ビームを作製用信号光と作製用参照光とに分離するステップと、信号光基準点を中心に角度を回転させることによって、作製用信号光をホログラム素子の各領域に反射するステップと、参照光基準点を中心に角度を回転させることによって、作製用参照光を作製用信号光がホログラム素子を照射した個所に反射するステップと、作製用信号光がホログラム素子を透過した後、作製用信号光を信号光基準点に向けて反射するステップと、作製用信号光と作製用参照光との偏光を一致させるステップと、作製用信号光と作製用参照光とをホログラム素子の所定の位置で干渉させることにより多重記録するステップとを備える。
【0026】
好ましくは、作製用信号光および作製用参照光のビーム径を変化させるステップをさらに備える。
【0027】
好ましくは、参照光基準点は、第1および第2の領域に含まれる第1の基点に対応し、信号光基準点は、第3および第4の領域に含まれる第2の基点に対応する。作製されるホログラム素子は、入射された光束を偏向させるためのホログラム素子であって、第1の基点を通り入射光のビーム径によって定まる第1の領域内を通過してホログラム素子へ入射する第1の光束を受ける第1のホログラムと、第1の基点を通り入射光のビーム径によって定まる第2の領域内を通過してホログラム素子へ入射する第2の光束を受ける第2のホログラムとを備え、第1のホログラムでの第1の回折光は、第2の基点を通り第1の回折光のビーム径によって定まる第3の領域を通過し、第2のホログラムでの第2の回折光は、第2の基点を通り第2の回折光のビーム径によって定まる第4の領域を通過する。
【0028】
この発明のさらに他の局面によれば、光ビームを偏向させる偏向光学ユニットであって、入射光の入射位置にかかわらず、入射光を再生光として所定の位置に照射するホログラム素子と、角度を回転させることによって、ホログラム素子の各領域に向けて光ビームを反射する角度回転ミラーとを備える。
【0029】
好ましくは、再生光の所定の位置への照射面積は、ホログラム素子からの出射角度にかかわらず一定である。
【0030】
好ましくは、ホログラム素子は、入射された光束を偏向させるためのホログラム素子であって、第1の基点を通り入射光のビーム径によって定まる第1の領域内を通過してホログラム素子へ入射する第1の光束を受ける第1のホログラムと、第1の基点を通り入射光のビーム径によって定まる第2の領域内を通過してホログラム素子へ入射する第2の光束を受ける第2のホログラムとを備え、第1のホログラムでの第1の回折光は、第2の基点を通り第1の回折光のビーム径によって定まる第3の領域を通過し、第2のホログラムでの第2の回折光は、第2の基点を通り第2の回折光のビーム径によって定まる第4の領域を通過する。
【0031】
好ましくは、角度回転ミラーの回転中心は、ホログラム素子作製装置の第2の角度回転ミラーの回転軸である参照光基準点に設けられ、所定の位置は、ホログラム素子作製装置の第1の角度回転ミラーの回転軸である信号光基準点に設定される。
【0032】
この発明のさらに他の局面によれば、角度多重記録方式により信号光と記録用参照光との干渉縞をホログラム記録媒体に記録する情報記録装置であって、光束を出射する光源と、光束を信号光と参照光とに分離するビームスプリッタと、信号光に情報を与える空間光変調器と、信号光をホログラム記録媒体に集光する対物レンズと、参照光を角度多重記録に合わせて偏向させてホログラム記録媒体に集光する偏向光学ユニットとを備える。偏向光学ユニットは、入射光の入射位置にかかわらず、入射光を記録用参照光としてホログラム記録媒体の所定の位置に照射するホログラム素子と、角度を回転させることによって、ホログラム素子の各領域に向けて光ビームを反射する角度回転ミラーとを含む。
【0033】
好ましくは、偏向光学ユニットは、光ビームを偏向させる偏向光学ユニットであって、入射光の入射位置にかかわらず、入射光を再生光として所定の位置に照射するホログラム素子と、角度を回転させることによって、ホログラム素子の各領域に向けて光ビームを反射する角度回転ミラーとを備える。
【0034】
この発明のさらに他の局面によれば、角度多重記録方式により信号光と記録用参照光との干渉縞が記録されているホログラム記録媒体から再生用参照光によって情報を再生する情報再生装置であって、参照光を角度多重記録に合わせて偏向させてホログラム記録媒体に集光する偏向光学ユニットを備える。偏向光学ユニットは、入射光の入射位置にかかわらず、入射光を再生用参照光としてホログラム記録媒体の所定の位置に照射するホログラム素子と、角度を回転させることによって、ホログラム素子の各領域に向けて光ビームを反射する角度回転ミラーとを含む。
【0035】
好ましくは、偏向光学ユニットは、光ビームを偏向させる偏向光学ユニットであって、入射光の入射位置にかかわらず、入射光を再生光として所定の位置に照射するホログラム素子と、角度を回転させることによって、ホログラム素子の各領域に向けて光ビームを反射する角度回転ミラーとを備える。
【発明の効果】
【0036】
この発明によれば、光学系をコンパクトに保ちつつ参照光の記録媒体への照射面積を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0038】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による偏向光学ユニット100を含む偏向光学系1の構成を示した図である。
【0039】
図1を参照して、実施の形態1の偏向光学系1は、偏向光学ユニット100と、レーザー光源105と、スペイシャルフィルタ106と、コリメートレンズ107と、ND(Neutral Density)フィルタ128と、ミラー109とを備える。偏向光学ユニット100は、角度回転ミラー101と、ホログラム素子102とを含み、対象物(たとえば記録媒体)403に対して再生光103a〜103cを照射する。
【0040】
レーザー光源105から出射された光束104は、スペイシャルフィルタ106により所望のビーム径に変換され、コリメートレンズ107により平行光に変換される。平行光となった光束104は、NDフィルタ128により強度が調整される。強度の調整は、たとえば波長板と偏光素子との組み合わせにより行なっても構わない。強度が調整された光束104は、ミラー109により角度回転ミラー101に導かれる。
【0041】
角度回転ミラー101は、光束104をホログラム素子102に向けて反射する。角度回転ミラー101としては、たとえばガルバノミラーがある。ホログラム素子102には、光束104の入射位置にかかわらず所定の位置に再生光103a〜103cが集光するように予めホログラムが記録されている。
【0042】
以上のように、実施の形態1によれば、偏向光学ユニット100を用いることにより、角度回転ミラー101の回転動作のみで、特定の領域に対して段階的に角度を変化させつつ光束が照射される偏向光学系1を構築することが可能となる。
【0043】
従来、特定の領域に対して偏向角を変えつつ光束を照射するためには、テレセントリックレンズを2枚用いた光学系を構築する必要があった。実施の形態1の偏向光学ユニット100では、ホログラム素子102を用いることにより、光学系を簡略化することができ、かつ光学系の調整が容易になる。
【0044】
[実施の形態2]
図2は、この発明の実施の形態2によるホログラム素子102の動作原理の一例を示す模式図である。
【0045】
図2を参照して、ホログラム素子102の材料としては、光の干渉縞(ホログラム)を記録できるような材料、具体的には感光性のポリマー材料などを用いることができる。ホログラム素子102の中には、光束の干渉によりホログラム10a1,10a2,10b1,10b2,10c,10dが多重記録されている。ここでは、まず一例として、ホログラム10b1に光束が照射される際の動作について説明する。
【0046】
光束11bは、基点13を通って角度α1でホログラム10b1に入射する。一方、光束12bは、基点14に向かって角度β1でホログラム10b1から出射する。実施の形態1の偏向光学ユニット100との対応では、基点13には角度回転ミラー101の回転中心が位置付けられ、基点14には対象物403が位置づけられる。
【0047】
図3は、この発明の実施の形態2によるホログラム素子102の動作原理の一例を示す模式図である。
【0048】
図3を参照して、ホログラム素子102中のホログラム10b1の作製時には、光束11bおよび光束12cがホログラム素子102に照射される。光束11b,12cは、いずれも、収束発散しない平行光の入射光束である。光束11bは、基点13を通過するように照射される。光束12cは、基点14を通過するように照射される。基点13,14は、それぞれ光束11b,12cのビーム径によって定まる領域内に存在している。このとき、ホログラム素子102中において、光束11b,12cの干渉によって干渉縞が回折格子(ホログラム)として形成される。
【0049】
図3において、ホログラム素子102中のホログラム10b1に対し、その作製時と同様の波長、入射角α1および波面を有する光束11bを照射した場合、すなわちブラッグ条件を満たす光束11bを照射した場合を仮定する。この場合、図2で示したように、ホログラム10b1の作製時に用いた光束12cと同様の経路をたどる再生光12bがホログラム素子102から発生する。一方、ホログラム10b1の作製時と波長、入射角、波面、位相などが異なる条件の光束11bを照射した場合、ブラッグ条件が満たされず、再生光12bは発生しない。
【0050】
図4は、この発明の実施の形態2によるホログラム素子102の動作原理の他の一例を示す模式図である。
【0051】
図4を参照して、光束11dは、基点13を通って角度α2でホログラム10dに入射する。一方、光束12dは、基点14に向かって角度β2でホログラム10dから出射する。光束11d,12dは、いずれも、収束発散しない平行光の入射光束である。
【0052】
図5は、この発明の実施の形態2によるホログラム素子102の動作原理の他の一例を示す模式図である。
【0053】
図5を参照して、ホログラム素子102中のホログラム10dの作製時には、光束11dおよび光束12eがホログラム素子102に照射される。光束11dは、基点13を通過するように照射される。光束12eは、基点14を通過するように照射される。
【0054】
図5において、ホログラム素子102中のホログラム10dに対し、その作製時と同様の波長、入射角α2および波面を有する光束11dを照射した場合、すなわちブラッグ条件を満たす光束11dを照射した場合を仮定する。この場合、図4で示したように、ホログラム10dの作製時に用いた光束12eと同様の経路をたどる再生光12dがホログラム素子102から発生する。
【0055】
上記のように、ホログラム素子102には、基点13を通過するように光束11b,11d,・・・が照射されてホログラムが多重記録されている。基点14を通過する回折光たる光束12b,12d,・・・の光束径は、ホログラム10b1,10d,・・・からの出射位置によって異なる。
【0056】
ホログラム10b1,10d,・・・は、ホログラム素子102への光束11b,11d,・・・の入射角度によらず、一定の回折効率で回折光たる光束12b,12dをそれぞれ出射する。なお、図2〜5中では間隔を空けてホログラム10a1,10a2,10b1,・・・を示したが、ホログラム10a1,10a2,10b1,・・・の一部が重なり合って記録すなわち多重記録されていても構わない。
【0057】
図6は、この発明の実施の形態2によるホログラム素子102の動作原理のさらに他の一例を示す模式図である。
【0058】
図6を参照して、ホログラム素子102には、ホログラム10b1の作製時と同じ波長および位相を有しており、かつ、基点13を通過し、ビーム径が作製時の光束11b,12cよりも大きい光束11bbが入射角α1で照射されている。このような場合、光束11bbのうち、ホログラム10b1のブラッグ条件を満たす成分によって、再生光12bが生成される。
【0059】
図6に示すように、光束10bbがホログラム10a1,・・・,10c,10dまで照射されたとしても、光束10bbの入射角はホログラム10a1,10a2,10b2,10c,10dの作製時における入射角とは異なるので、ホログラム10a1,10a2,10b2,10c,10dから再生光は生じない。したがって、ホログラム素子102の作製時と同じ波長を有し、かつ、基点14を所望の角度で通過する光束を生成するには、ホログラム素子102に対する光束10bbの入射角を調整するだけでよい。
【0060】
以上のように、実施の形態2によれば、実施の形態1の偏向光学ユニット100との対応で基点13,14を位置づけることにより、偏向光学ユニット100の構成を用いて所望のホログラム素子102を作製することができる。これにより、ブラッグ条件を満たす光束を照射した場合に限り、ホログラム作製時に用いた光束と同様の経路をたどる再生光がホログラム素子102から発生する。
【0061】
[実施の形態3]
図7は、この発明の実施の形態3によるホログラム素子102の作製方法を示す模式図である。
【0062】
図7においては、説明を簡単にするために、光束の伝搬方向を矢印で表記している。図示しない光源から出射された光束を偏光ビームスプリッタ(PBS)などにより分割し、一方をホログラム素子102の作製用信号光201とし、もう一方をホログラム素子102の作製用参照光202とする。作製用信号光201と作製用参照光202との偏光および強度は一致させておく。作製用信号光201は、作製用信号光201a〜201gを含む。作製用参照光202は、作製用参照光202a〜202gを含む。
【0063】
作製用信号光201aは、ホログラム素子102の出射側の信号光基準点203を通るようにホログラム素子102に照射される。作製用参照光202aは、ホログラム素子102の入射側の参照光基準点204を通ってホログラム素子102に照射され、作製用信号光201aとの干渉縞がホログラム素子102に記録される。
【0064】
同様に、作製用信号光201bと作製用参照光202bとの干渉縞、作製用信号光201cと作製用参照光202cとの干渉縞、・・・のようにホログラム素子102に干渉縞を多重記録していく。ただし、上述したように、作製用信号光201a〜201gは常に信号光基準点203に向けて照射され、作製用参照光202a〜202gは常に参照光基準点204を透過するようにホログラム素子102に照射される。
【0065】
ここで、参照光基準点204および信号光基準点203は、実施の形態2の図2〜6で示した基点13および14にそれぞれ対応する。すなわち、参照光基準点204および信号光基準点203は、参照光202および信号光201の各光束径によって定まる領域の範囲内の点である。
【0066】
また、作製用信号光201aと作製用信号光201bとのなす角、作製用信号光201bと作製用信号光201cとのなす角、・・・は、すべて等しい角度に設定されている。同様に、作製用参照光202aと作製用参照光202bとのなす角、作製用参照光202bと作製用参照光202cとのなす角、・・・は、すべて等しい角度に設定されている。なお、ホログラム素子102と信号光基準点203との間の距離と、ホログラム素子102と参照光基準点204との間の距離とは、同一であっても異なっていても構わない。
【0067】
図8は、この発明の実施の形態3によるホログラム素子作製装置2の構成を示した図である。
【0068】
図8を参照して、実施の形態3のホログラム素子作製装置2は、ミラー21a〜24a,27と、4分の1波長板21b〜24bと、アパーチャー25a,25bと、角度回転ミラー101a,101bと、レーザー光源105と、スペイシャルフィルタ106と、コリメートレンズ107と、半波長板108と、偏光ビームスプリッタ110とを備える。ミラー21a〜24aおよび4分の1波長板21b〜24bは、一体となって形成されていてもよい。
【0069】
アパーチャー25a,25bは、ホログラム素子102の作製時における光束の径を調整するために設けられている。また、図8においては、説明を簡単にするために、光束の主光線を矢印で表記している。
【0070】
レーザー光源105から出射された光ビームは、スペイシャルフィルタ106により所望のビーム径に変換され、コリメートレンズ107により平行光に変換される。平行光となった光ビームは、半波長板108を通って、偏光ビームスプリッタ110により、ホログラム素子102の作製用信号光201と、ホログラム素子102の作製用参照光202とに分割される。作製用信号光201と作製用参照光202との分割比率は、半波長板108の回転で調整される。
【0071】
作製用信号光201は、アパーチャー25bを通って角度回転ミラー101bへと導かれる。角度回転ミラー101bの回転中心は、図7で説明した信号光基準点203に設けられている。作製用参照光202は、アパーチャー25aを通ってミラー27で反射され、角度回転ミラー101aへと導かれる。角度回転ミラー101aの回転中心は、図7で説明した参照光基準点204に設けられている。
【0072】
角度回転ミラー101aによって作製用参照光202が反射され、所望の角度でホログラム素子102に入射する作製用参照光202a,202c,202e,202gが順次生成される。また、角度回転ミラー101bによって作製用信号光201が反射され、作製用参照光202a,202c,202e,202gがホログラム素子102に照射している領域を透過する方向で、ホログラム素子102に入射する作製用信号光201a,201c,201e,201gがそれぞれ生成される。
【0073】
上記の際、作製用参照光202と作製用信号光201とは、ホログラム素子102上の同一領域に照射される。しかしながら、この時点では作製用参照光202と作製用信号光201とで偏光方向が異なるため、両者による干渉は誘起されず、ホログラム素子102には影響を与えない。
【0074】
作製用信号光201a,201c,201e,201gは、ホログラム素子102をいったん透過した後、4分の1波長板21b〜24bによって順次円偏光に変換される。円偏光に変換された作製用信号光201a,201c,201e,201gは、ミラー21a〜24aによって角度回転ミラー101bの方向へそれぞれ反射され、再び4分の1波長板21b〜24bを通過して順次直線偏光に変換される。
【0075】
上記の際にも、作製用参照光202と作製用信号光201とは、ホログラム素子102上の同一領域に照射される。この時点では、作製用参照光202と作製用信号光201とで偏光方向が一致するため、ホログラム素子102中において両者の干渉が誘起され、干渉縞がホログラムとしてホログラム素子102に多重記録される。以上の動作により、ホログラム素子102が作製される。
【0076】
また、図8のホログラム素子作製装置2によってホログラム素子102を作製する際、作製用信号光201および作製用参照光202のビーム径をアパーチャー25a,25bによりそれぞれ変化させることで、下記に示すように、図1の対象物403に照射される再生光103a〜103cの照射面積を常に一定に保つことができる。
【0077】
図9は、ホログラム素子102から対象物403に照射される再生光401,402の様子を示した図である。
【0078】
図9に示すように、ビーム径pの再生光401は、ホログラム素子102から入射角αpで対象物403に出射される。また、ビーム径qの再生光402は、ホログラム素子102から入射角βqで対象物403に出射される。ホログラム素子102の作製時において、ビーム径pおよび入射角αpとビーム径qおよび入射角βqとが下記(1)の関係を満たすようにすることで、再生光401,402の入射角度が変化しても対象物403への照射面積404を一定に保つことができる。
【0079】
p/cosαp=q/cosβq (1)
図7では、ホログラム素子102を作製する際、図7のY−Z平面に対して平行な作製用信号光201と作製用参照光202とを干渉させて多重記録を行なった。しかし、作製用信号光201および作製用参照光202の方向はY−Z平面だけには限られない。
【0080】
図10は、ホログラム素子102に対して作製用参照光202等が照射される様子を立体的に示した図である。
【0081】
図10に示すように、Y−Z平面だけでなく、X−Z平面に対して平行な作製用信号光201a〜201dと作製用参照光202a〜204dとを干渉させて多重記録を行なっても構わない。ただし、いずれの場合においても、作製用信号光201は信号光基準点203を通過し、作製用参照光202は参照光基準点204を通過する必要がある。
【0082】
なお、作製用信号光201が信号光基準点203を通過し、作製用参照光202が参照光基準点204を通過するのであれば、ホログラム素子102の任意の個所に干渉縞を記録しても構わない。図8のホログラム素子作製装置2では、作製用信号光201a,201c,201e,201gは、一度ホログラム素子102を透過した後、偏光を作製用参照光202a,202c,202e,202gと一致させてから、再びホログラム素子102に照射される。
【0083】
図11は、図10のようなホログラム素子102に対する偏向光学ユニット100aの構成の一例を示した図である。
【0084】
図11を参照して、偏向光学ユニット100aは、2枚の角度回転ミラー101c,101dを含む。角度回転ミラー101cは、紙面に平行な向きに回転軸を有している。角度回転ミラー101dは、紙面に垂直な向きに回転軸を有している。外部からの光束104は、角度回転ミラー101c,101dによって方向が調整されてからホログラム素子102に入射し、再生光103a〜103cを照射する。
【0085】
以上のように、実施の形態3によれば、ホログラム素子作製装置2によってホログラム素子102を作製し、テレセントリック光学系の代わりにホログラム素子102を利用して参照光を記録媒体に照射することにより、光学系をコンパクトに保ちつつ参照光の記録媒体への照射面積を抑えることができる。
【0086】
[実施の形態4]
実施の形態4では、実施の形態1で説明した偏向光学ユニット100を用いたホログラム記録再生装置において、角度多重記録方式によりホログラム記録媒体に対して情報を記録または再生する場合について説明する。
【0087】
図12は、この発明の実施の形態4によるホログラム記録再生装置10の記録時の動作を示した図である。ホログラム記録再生装置10は、記録専用のホログラム記録装置であってもよい。
【0088】
図12を参照して、実施の形態4のホログラム記録再生装置10は、偏向光学ユニット100と、レーザ光源105と、スペイシャルフィルタ106と、コリメートレンズ107と、半波長板108,112,123と、偏光ビームスプリッタ(PBS)110,118と、シャッター111と、ビームエキスパンダ117と、空間光変調器(SLM)119と、撮像素子120と、リレーレンズ121と、ポリトピックアパーチャ122と、対物レンズ124と、結像レンズ125とを備える。
【0089】
偏向光学ユニット100は、角度回転ミラー101と、ホログラム素子102とを含み、ホログラム記録媒体130に対して記録用の参照光RLa〜RLcを照射する。ホログラム記録再生装置10は、ホログラム記録媒体130内に信号光SLと参照光RLとを干渉させて干渉縞を記録し、参照光RLの入射角を変化させてホログラムを角度多重記録方式で記録する。
【0090】
レーザー光源105から出射された光ビームは、スペイシャルフィルタ106により所望のビーム径に変換され、コリメートレンズ107により平行光に変換される。平行光となった光ビームは、半波長板108を通って、偏光ビームスプリッタ110により信号光SLと参照光RLとに分割される。信号光SLと参照光RLとの分割比率は、半波長板108の回転で調整される。
【0091】
参照光RLは、半波長板112により偏光を回転させられた後、角度回転ミラー101で反射されて、所望の角度でホログラム素子102に入射する。ホログラム素子102に参照光RLが入射すると、ホログラム素子102中のホログラムから記録用の参照光RLa〜RLcが生じる。
【0092】
ここで、角度回転ミラー101の角度を変化させると、その角度変化に応じて参照光RLのホログラム素子102への入射角度が変化する。この入射角度ごとに、異なった記録用参照光RLa〜RLcが生じる。
【0093】
一方、実施の形態3で説明したように、ホログラム記録媒体130は、記録用参照光RLa〜RLcが常に照射される位置(信号光基準点203)に設けられている。このため、記録用参照光RLa〜RLcは、ホログラム記録媒体130に対して常に所定の位置に照射される。その結果、角度回転ミラー101を回転させても、ホログラム記録媒体130に対する参照光RLa〜RLcの入射位置は変化しない。
【0094】
信号光SLは、空間光変調器119の全面を照射するようにビームエキスパンダ117によって光束径が調整され、空間光変調器119によって振幅変調および/または位相変調を受ける。空間光変調器119としては、たとえば、反射型液晶空間変調器、DMD(Digital Mirror Device)、磁気光学効果または電気光学効果を利用した空間光変調器を用いることができる。ここでは、空間光変調器119として反射型液晶空間光変調器を用いた場合の信号光SLの振幅変化について説明する。
【0095】
空間光変調器119は、入射するP偏光の信号光SLを画素単位でP偏光またはS偏光に変換して出射する。S偏光成分で構成された信号光SLは、偏光ビームスプリッタ118でホログラム記録媒体130の方向に反射される。当該反射された信号光SLは、リレーレンズ121および半波長板123を通り、対物レンズ124によってホログラム記録媒体130内に集光される。当該集光された信号光SLは、ホログラム記録媒体130内で上記の参照光RLと重なり、その結果発生する干渉縞の光強度分布がホログラムとして記録される。
【0096】
なお、空間光変調器119で発生する不要回折光は、ポリトピックアパーチャ122により遮光される。ポリトピックアパーチャ122は、信号光SLの光束の光軸を中心とした開口部を有する遮光マスクであり、図12ではリレーレンズ121のレンズ焦点面に配置される。記録時には、リレーレンズ121のレンズ焦点面に、空間光変調器119で形成された光振幅パターンのフーリエ変換像が形成される。当該フーリエ変換像は、複数の輝点を有する。光軸中心の輝点は0次回折光と呼ばれ、その周囲を1次、2次、3次、・・・といった高次の回折光が順に形成される。
【0097】
それぞれの回折光における強度分布は、ピーク値は異なるものの形状は同一である。ホログラム記録では、記録密度を高めるために、通常、0次回折光だけを通過させてホログラム記録媒体130に記録する。ポリトピックアパーチャ122は、周囲の高次の回折光を取り除く役割を果たす。なお、ポリトピックアパーチャ122というのは一例であって、その他のアパーチャであってもよい。
【0098】
ホログラム記録媒体130に情報が記録された後、次に記録されるデータページが空間光変調器119に表示される。これとともに、角度回転ミラー101がわずかに回転して、参照光RLの入射角度が変更される。その後、シャッター111が開くと、次に記録されるデータページがホログラム記録媒体130の同一記録領域に角度多重で記録される。これを繰り返して所定の多重度になると、ホログラム記録媒体130をX方向またはY方向に移動させ、次の記録領域に上記と同様の多重記録が行なわれる。
【0099】
図13は、この発明の実施の形態4によるホログラム記録再生装置10の再生時の動作を示した図である。ホログラム記録再生装置10は、再生専用のホログラム再生装置であってもよい。
【0100】
図13のホログラム記録再生装置10の構成は、図12で説明したのと同様なので、ここでは説明を繰り返さない。撮像素子120としては、たとえば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCD(Charge Coupled Device)などが用いられる。また、再生時には、参照光RLのみが用いられる。
【0101】
参照光RLは、記録時と同様に、角度回転ミラー101によって所望の角度に偏向されてホログラム素子102に照射される。ホログラム素子102からは再生用の参照光RLa〜RLcが生じ、ホログラム記録媒体130に入射する。参照光RLa〜RLcのホログラム記録媒体130への照射によって、記録されていた信号光SLと同一の光路をたどる再生光CLが発生する。この再生光CLは、結像レンズ125および撮像素子120によって検出され、光電変換された後、画像処理が施される。これにより、ホログラム記録媒体130に記録されていたデータが再生される。
【0102】
なお、上記した実施の形態4のホログラム記録再生装置10において、実施の形態3の図10に示したようなホログラム素子102を採用することもできる。また、実施の形態4のホログラム記録再生装置10において、図11に示したような2枚の角度回転ミラー101c,101dを用いた偏向光学ユニット100aを採用することもできる。
【0103】
以上のように、実施の形態4によれば、実施の形態1の偏向光学ユニットを用いたホログラム記録再生装置を用いた情報を記録再生することにより、光学系をコンパクトに保ちつつ参照光の記録媒体への照射面積を抑えることができる。
【0104】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】この発明の実施の形態1による偏向光学ユニット100を含む偏向光学系1の構成を示した図である。
【図2】この発明の実施の形態2によるホログラム素子102の動作原理の一例を示す模式図である。
【図3】この発明の実施の形態2によるホログラム素子102の動作原理の一例を示す模式図である。
【図4】この発明の実施の形態2によるホログラム素子102の動作原理の他の一例を示す模式図である。
【図5】この発明の実施の形態2によるホログラム素子102の動作原理の他の一例を示す模式図である。
【図6】この発明の実施の形態2によるホログラム素子102の動作原理のさらに他の一例を示す模式図である。
【図7】この発明の実施の形態3によるホログラム素子102の作製方法を示す模式図である。
【図8】この発明の実施の形態3によるホログラム素子作製装置2の構成を示した図である。
【図9】ホログラム素子102から対象物403に照射される再生光401,402の様子を示した図である。
【図10】ホログラム素子102に対して作製用参照光202等が照射される様子を立体的に示した図である。
【図11】図10のようなホログラム素子102に対する偏向光学ユニット100aの構成の一例を示した図である。
【図12】この発明の実施の形態4によるホログラム記録再生装置10の記録時の動作を示した図である。
【図13】この発明の実施の形態4によるホログラム記録再生装置10の再生時の動作を示した図である。
【図14】従来のホログラム記録再生装置1000における構成を部分的に示した概略構成図である。
【図15】図14のホログラム記録再生装置1000において入射角度の変化により参照光1005がホログラム記録材料1006を照射する面積の変化を示す図である。
【図16】図14のホログラム記録再生装置1000において参照光1005の入射角度の変化に対するホログラム記録材料1006への照射面積の変化を示す図である。
【図17】図14のホログラム記録再生装置1000においてホログラム記録材料1006に記録されたホログラム1007を再生する様子を示した図である。
【符号の説明】
【0106】
1 偏向光学系、2 ホログラム素子作製装置、10,1000 ホログラム記録再生装置、10a1,10a2,10b1,10b2,10c,10d ホログラム、11b,12b,11d,12d,12c,12e 光束、13,14 基点、21a〜24a,27,109 ミラー、21b〜24b 4分の1波長板、25a,25b アパーチャー、100 偏向光学ユニット、101,101a〜101d 角度回転ミラー、102 ホログラム素子、105 レーザー光源、106 スペイシャルフィルタ、107 コリメートレンズ、108,112,123 半波長板、110,118 偏光ビームスプリッタ、111 シャッター、117 ビームエキスパンダ、119 空間光変調器、120 撮像素子、121 リレーレンズ、122 ポリトピックアパーチャ、124 対物レンズ、125 結像レンズ、128 NDフィルタ、130 ホログラム記録媒体、403 対象物、1001 スキャンミラー、1002,1003 レンズ、1006 ホログラム記録材料。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射された光束を偏向させるためのホログラム素子であって、
第1の基点を通り入射光のビーム径によって定まる第1の領域内を通過して前記ホログラム素子へ入射する第1の光束を受ける第1のホログラムと、
前記第1の基点を通り入射光のビーム径によって定まる第2の領域内を通過して前記ホログラム素子へ入射する第2の光束を受ける第2のホログラムとを備え、
前記第1のホログラムでの第1の回折光は、第2の基点を通り前記第1の回折光のビーム径によって定まる第3の領域を通過し、
前記第2のホログラムでの第2の回折光は、前記第2の基点を通り前記第2の回折光のビーム径によって定まる第4の領域を通過する、ホログラム素子。
【請求項2】
前記第1および第2の光束ならびに前記第1および第2の回折光は、いずれも平行光である、請求項1に記載のホログラム素子。
【請求項3】
前記第1および第2のホログラムは、前記ホログラム素子に多重記録されている、請求項1または2に記載のホログラム素子。
【請求項4】
前記第1および第2のホログラムは、前記ホログラム素子への前記第1および第2の光束の入射角度によらず一定の回折効率で前記第1および第2の回折光をそれぞれ出射する、請求項1〜3のいずれかに記載のホログラム素子。
【請求項5】
前記第1および第2の回折光の光束径は、前記第1および第2のホログラムからの出射位置によって異なる、請求項1〜4のいずれかに記載のホログラム素子。
【請求項6】
ホログラム素子を作製するためのホログラム素子作製装置であって、
光ビームを出射する光源と、
前記光ビームを作製用信号光と作製用参照光とに分離するビームスプリッタと、
信号光基準点を中心に角度を回転させることによって、前記作製用信号光を前記ホログラム素子の各領域に反射する第1の角度回転ミラーと、
参照光基準点を中心に角度を回転させることによって、前記作製用参照光を前記作製用信号光が前記ホログラム素子を照射した個所に反射する第2の角度回転ミラーと、
前記作製用信号光が前記ホログラム素子を透過した後、前記作製用信号光を前記信号光基準点に向けて反射するミラーと、
前記作製用信号光と前記作製用参照光との偏光を一致させる偏光調整部とを備える、ホログラム素子作製装置。
【請求項7】
前記作製用信号光および前記作製用参照光のビーム径を変化させるアパーチャをさらに備える、請求項6に記載のホログラム素子作製装置。
【請求項8】
前記ホログラム素子は、請求項1〜5のいずれかに記載のホログラム素子であって、
前記参照光基準点は、前記第1および第2の領域に含まれる前記第1の基点に対応し、
前記信号光基準点は、前記第3および第4の領域に含まれる前記第2の基点に対応する、請求項6または7に記載のホログラム素子作製装置。
【請求項9】
ホログラム素子を作製するためのホログラム素子作製方法であって、
光ビームを出射するステップと、
前記光ビームを作製用信号光と作製用参照光とに分離するステップと、
信号光基準点を中心に角度を回転させることによって、前記作製用信号光を前記ホログラム素子の各領域に反射するステップと、
参照光基準点を中心に角度を回転させることによって、前記作製用参照光を前記作製用信号光が前記ホログラム素子を照射した個所に反射するステップと、
前記作製用信号光が前記ホログラム素子を透過した後、前記作製用信号光を前記信号光基準点に向けて反射するステップと、
前記作製用信号光と前記作製用参照光との偏光を一致させるステップと、
前記作製用信号光と前記作製用参照光とを前記ホログラム素子の所定の位置で干渉させることにより多重記録するステップとを備える、ホログラム素子作製方法。
【請求項10】
前記作製用信号光および前記作製用参照光のビーム径を変化させるステップをさらに備える、請求項9に記載のホログラム素子作製方法。
【請求項11】
前記ホログラム素子は、請求項1〜5のいずれかに記載のホログラム素子であって、
前記参照光基準点は、前記第1および第2の領域に含まれる前記第1の基点に対応し、
前記信号光基準点は、前記第3および第4の領域に含まれる前記第2の基点に対応する、請求項9または10に記載のホログラム素子作製方法。
【請求項12】
光ビームを偏向させる偏向光学ユニットであって、
入射光の入射位置にかかわらず、前記入射光を再生光として所定の位置に照射するホログラム素子と、
角度を回転させることによって、前記ホログラム素子の各領域に向けて光ビームを反射する角度回転ミラーとを備える、偏向光学ユニット。
【請求項13】
前記再生光の前記所定の位置への照射面積は、前記ホログラム素子からの出射角度にかかわらず一定である、請求項12に記載の偏向光学ユニット。
【請求項14】
前記ホログラム素子は、請求項1〜5のいずれかに記載のホログラム素子である、請求項12または13に記載の偏向光学ユニット。
【請求項15】
前記角度回転ミラーの回転中心は、請求項6〜8のいずれかに記載の参照光基準点に設けられ、前記所定の位置は、請求項6〜8のいずれかに記載の信号光基準点に設定される、請求項12〜14のいずれかに記載の偏向光学ユニット。
【請求項16】
角度多重記録方式により信号光と記録用参照光との干渉縞をホログラム記録媒体に記録する情報記録装置であって、
光束を出射する光源と、
前記光束を信号光と参照光とに分離するビームスプリッタと、
前記信号光に情報を与える空間光変調器と、
前記信号光を前記ホログラム記録媒体に集光する対物レンズと、
前記参照光を角度多重記録に合わせて偏向させて前記ホログラム記録媒体に集光する偏向光学ユニットとを備え、
前記偏向光学ユニットは、
入射光の入射位置にかかわらず、前記入射光を前記記録用参照光として前記ホログラム記録媒体の所定の位置に照射するホログラム素子と、
角度を回転させることによって、前記ホログラム素子の各領域に向けて光ビームを反射する角度回転ミラーとを含む、情報記録装置。
【請求項17】
前記偏向光学ユニットは、請求項12〜15のいずれかに記載の偏向光学ユニットである、請求項16に記載の情報記録装置。
【請求項18】
角度多重記録方式により信号光と記録用参照光との干渉縞が記録されているホログラム記録媒体から再生用参照光によって情報を再生する情報再生装置であって、
前記参照光を角度多重記録に合わせて偏向させて前記ホログラム記録媒体に集光する偏向光学ユニットを備え、
前記偏向光学ユニットは、
入射光の入射位置にかかわらず、前記入射光を前記再生用参照光として前記ホログラム記録媒体の所定の位置に照射するホログラム素子と、
角度を回転させることによって、前記ホログラム素子の各領域に向けて光ビームを反射する角度回転ミラーとを含む、情報再生装置。
【請求項19】
前記偏向光学ユニットは、請求項12〜15のいずれかに記載の偏向光学ユニットである、請求項18に記載の情報再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−20483(P2009−20483A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−72018(P2008−72018)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】