ホログラム記録媒体、ホログラム再生装置、ホログラム再生方法
【課題】要素ホログラムの二次元画像の適正な読取による再生エラーレートの向上
【解決手段】
第2の要素ホログラムhAからシンクパターンのみを有する第2の二次元画像が読み取れた際に、その二次元画像のシンクパターンから幾何学的な補正を行い、補正初期値を算出する。そして実際に情報がデータパターンとして記録された第1の要素ホログラムhDから第1の二次元画像が撮像された際には、補正初期値を用いて幾何歪み補正を行う。これにより、幾何歪み補正演算を著しく効率化し、適正な幾何歪み補正を行う。第2の要素ホログラムhAはホログラム記録媒体の二次元配列における端辺部に記録されていることで、第1の要素ホログラムhDの読取に先だって第2の要素ホログラムを読み出すことに好適とする。
【解決手段】
第2の要素ホログラムhAからシンクパターンのみを有する第2の二次元画像が読み取れた際に、その二次元画像のシンクパターンから幾何学的な補正を行い、補正初期値を算出する。そして実際に情報がデータパターンとして記録された第1の要素ホログラムhDから第1の二次元画像が撮像された際には、補正初期値を用いて幾何歪み補正を行う。これにより、幾何歪み補正演算を著しく効率化し、適正な幾何歪み補正を行う。第2の要素ホログラムhAはホログラム記録媒体の二次元配列における端辺部に記録されていることで、第1の要素ホログラムhDの読取に先だって第2の要素ホログラムを読み出すことに好適とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声/音楽等の音情報、静止画/動画等の画像情報、又はテキストファイル等のデータ情報を二次元画像化し、要素ホログラムとして記録したホログラム記録媒体と、ホログラム記録媒体から光学的に要素ホログラムの二次元画像を読み取り、読み取った二次元画像から情報を再生するホログラム再生装置、ホログラム再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2005−173646号公報
【0003】
シート状の記録媒体に情報を記録する例として、バーコード、QRコード、ドットコード等に代表される1次元コード又は2次元コードが挙げられる。しかし、これらの情報記録媒体は、単位面積あたりに記録できる情報量が数十から数キロバイト程度と極めて低い。この原因は、単なる画像の濃淡印刷の記録分解能に物理的な限界があるからである。
【0004】
また、同じくシート状の記録媒体としては、物体光と参照光の干渉縞によって各種データを記録するホログラム記録媒体も知られている。そしてホログラム記録媒体は、記録密度を飛躍的に向上させ、著しい大容量化が可能であることも知られており、例えばコンピュータデータや、オーディオやビデオ等のAV(Audio-Visual)コンテンツデータなどに対する大容量のストレージメディアとして有用であると考えられている。
【0005】
ホログラム記録媒体にデータを記録する際には、データを二次元ページデータとして画像化する。そして液晶パネル等に画像化したデータを表示させ、その液晶パネルを透過した光を物体光、つまり二次元ページデータの像となる物体光をホログラム記録媒体に照射する。加えて、所定の角度から参照光をホログラム記録媒体に照射する。このとき物体光と参照光によって生ずる干渉縞が、ドット状や短冊状などの1つの要素ホログラムとして記録されることになる。つまり1つの要素ホログラムは、1つの二次元ページデータを記録したものとなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、例えばシート状等のホログラムメモリを考え、コンピュータデータやAVコンテンツデータなどを記録し、一般ユーザーがホログラムリーダとしての再生装置を用いて、ホログラムメモリに記録されたデータを取得できるようにするシステムを考える。
シート状のホログラムメモリとは、メディア表面としての平面上に多数の要素ホログラムを敷き詰めるように記録するものであり、このメディア表面に対してホログラムリーダを対向させて、各要素ホログラムとして記録されたデータを読み取っていくようにするものである。
【0007】
このようなホログラムメモリに記録された各要素ホログラムを、ホログラムリーダ内のCMOSイメージャーなどのセンサーでスキャンして読み取るときに、手動でスキャンした場合は手振れがとても起こりやすい。また機械的にスキャンを行う自動スキャンであっても、ホログラムメモリとセンサーの位置関係が少しずれたり、斜めにスキャンしたり、常に最適条件でスキャンしているとは限らない。
そしてこのような事情から、読み取った二次元画像には、回転方向、水平方向、垂直方向等の幾何学的なずれや歪みが生じる。このような幾何学的なずれや歪みが生ずると、読み取り誤差が発生しやすくなり再生エラーレートが悪化する。
【0008】
そこで本発明は、要素ホログラムから得られる再生像光を撮像した二次元画像について幾何学的なずれを適正かつ効率よく補正できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のホログラム記録媒体は、二次元画像の物体光と記録用参照光とを干渉させ、干渉縞によって上記二次元画像が要素ホログラムとして記録されるホログラム記録媒体であって、上記要素ホログラムとして、記録する情報を二次元画像化したデータパターンとシンクパターンとを有する第1の二次元画像を記録した第1の要素ホログラムと、上記要素ホログラムとして、シンクパターンのみを有する第2の二次元画像を記録した第2の要素ホログラムとが記録されたものである。
また上記シンクパターンは、メインシンクパターンとサブシンクパターンとが二次元方向の所定位置に配置された画像パターンとする。
また上記要素ホログラムは、ホログラム記録媒体としての記録平面上に二次元配列されるとともに、上記第2の要素ホログラムは、上記二次元配列における端辺部に記録されるようにする。
【0010】
本発明のホログラム再生装置は、上記ホログラム記録媒体から、上記情報を再生するホログラム再生装置であり、上記ホログラム記録媒体に再生用参照光を照射するとともに上記ホログラム記録媒体の要素ホログラムからの再生像光としてあらわれる二次元画像を撮像する撮像手段と、上記撮像手段で撮像された二次元画像が上記第2の二次元画像であった場合、その二次元画像に対する幾何歪み補正演算を行って補正初期値を算出し、また、上記撮像手段で撮像された二次元画像が、上記第1の二次元画像であった場合、その二次元画像に対して、上記補正初期値を用いて幾何歪み補正演算を行う幾何歪み補正手段と、上記幾何歪み補正演算の結果により補正された二次元画像に対して復号処理を行い、上記情報を再生する復号処理手段とを備える。
また、上記幾何歪み補正手段は、上記第2の二次元画像が上記撮像手段で撮像されるたびに、上記補正初期値を算出するとともに、上記第1の二次元画像が上記撮像手段で撮像された際に、算出されている最新の上記補正初期値を用いて幾何歪み補正を行う。
また上記撮像手段で得られた二次元画像を記憶する情報用メモリ手段と、補正変数を記憶する変数用メモリ手段とを更に備えるようにする。そして上記幾何歪み補正手段は、上記情報用メモリ手段に記憶された二次元画像を読み出して幾何補正変数を算出し、算出した幾何補正変数を上記変数用メモリ手段に記憶させるととともに、二次元画像の二値化処理のために上記情報用メモリ手段から二次元画像を読み出すときに、上記変数用メモリ手段に記憶された上記補正変数に基づいて、上記情報用メモリ手段から読み出す二次元画像のアドレスを決定することで、二次元画像に対する幾何歪み補正を行う。
【0011】
本発明のホログラム再生方法は、上記ホログラム記録媒体に再生用参照光を照射するとともに、上記ホログラム記録媒体の要素ホログラムからの再生像光としてあらわれる二次元画像を撮像する撮像ステップと、上記撮像ステップで撮像された二次元画像が、上記第2の二次元画像であった場合、その二次元画像に対する幾何歪み補正演算を行って補正初期値を算出する補正初期値算出ステップと、上記撮像ステップで撮像された二次元画像が、上記第1の二次元画像であった場合、その二次元画像に対して、上記補正初期値を用いて幾何歪み補正演算を行う幾何歪み補正ステップと、上記幾何歪み補正ステップでの演算結果により補正された二次元画像に対して復号処理を行い、上記情報を再生する復号ステップとを備える。
【0012】
このような本発明ではホログラム再生装置によってホログラム記録媒体に対するスキャンを行う場合、第2の要素ホログラムからシンクパターンのみを有する第2の二次元画像が読み取れることになる。このときに、二次元画像のシンクパターンから幾何学的な補正を行い、補正初期値を算出する。この場合、二次元画像上にはシンクパターンのみであってデータパターンは存在しないことから、幾何歪み補正演算は効率よく実行できる。
そして実際に情報がデータパターンとして記録された第1の要素ホログラムから第1の二次元画像が撮像された際には、上記補正初期値を用いて幾何歪み補正を行う。データパターンを含む第1の二次元画像は複雑な画像パターンとなって、幾何歪みが大きいほど幾何歪み補正の演算量が多くなるが、補正初期値を用いることで、幾何歪みが少ない状態から補正演算を行うことができる。つまり幾何歪み補正演算を著しく効率化できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第2の要素ホログラムからシンクパターンのみを有する第2の二次元画像が読み取れた際に、その二次元画像のシンクパターンから幾何学的な補正を行い、補正初期値を算出する。そして実際に情報がデータパターンとして記録された第1の要素ホログラムから第1の二次元画像が撮像された際には、補正初期値を用いて幾何歪み補正を行う。これにより、幾何歪み補正演算を著しく効率化できるとともに、適正な幾何歪み補正が実現される。従って幾何歪み補正が適正になされた二次元画像に対する復号を行うことで、デコードエラーを低減し、再生エラーレートが改善され、高性能な再生装置を実現できるという効果がある。
【0014】
また、第2の要素ホログラムがホログラム記録媒体の二次元配列における端辺部に記録されていることで、第1の要素ホログラムの読取に先だって第2の要素ホログラムを読み出すことに好適である。つまり第1の二次元画像の幾何歪み補正に先立って、補正初期値を算出する動作に適している。
また、第1の二次元画像が撮像された際に、最新の補正初期値を用いて幾何歪み補正を行うことで、幾何歪み補正の際に最も適切な補正初期値を用いることができ、補正精度や補正演算効率を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を次の順序で説明する。
[1.ホログラムメモリの記録再生]
[2.ホログラムメモリの要素ホログラム配置]
[3.ホログラムリーダの構成]
[4.再生処理]
[5.実施の形態の効果]
【0016】
[1.ホログラムメモリの記録再生]
まずホログラムメモリ3に対する基本的な記録再生動作について図1で説明する。
図1(a)はホログラムメモリ3に対するデータ記録の様子を示している。例えばコンテンツデータやコンピュータプログラム等としてのデータをホログラムメモリ3に記録する場合、その記録データ全体は、多数の1ページ分のデータにエンコードされる。
例えばコンテンツデータ等の全体のデータが多数の所定サイズのデータブロックに分割され、ブロック単位でエンコード処理が行われる。
エンコードされた単位としての1つのデータブロックは、図示するような例えば二次元画像DPに変換され、液晶パネル1において表示される。
所定の光源から出力され、例えば平行光とされたレーザ光L1は、二次元画像DPが表示された液晶パネル1を通過することで、その二次元画像DPの像としての物体光L2となる。
この物体光L2は、集光レンズ2で集光され、ホログラムメモリ3上にスポットとして集光される。
このとき、ホログラムメモリ3に対しては、所定角度で記録参照光L3を照射する。これにより物体光L2と参照光L3が干渉し、その干渉縞によりドット状の要素ホログラムが記録されることになる。
なおこのように集光レンズ2を用いる場合、要素ホログラムとして記録されるデータは、集光レンズ2のフーリエ変換作用により、記録データの像のフーリエ像となる。
【0017】
このようにしてホログラムメモリ3に1つの要素ホログラムが記録されるが、順次エンコード単位のデータブロックが、同様に二次元画像DPに変換され、液晶パネル1に表示され、それぞれ要素ホログラムとして記録されていく。
各要素ホログラムの記録の際には、図示しない移送機構により、ホログラムメモリ3(ホログラム材料)の位置を移送させ(もしくは記録光学系を移送させ)、要素ホログラムの記録位置をホログラムメモリ3の平面上で僅かにずらせていく。これにより、例えばシート状のホログラムメモリ3に、その平面方向に多数の要素ホログラムが配置されるように記録が行われていくことになる。例えば図2には、1つの要素ホログラムを○で表しているが、このように平面上に多数の要素ホログラムが形成される。
【0018】
このように要素ホログラムが記録されたホログラムメモリ3に対しては図1(b)のように再生が行われる。図1(b)に示すコリメータレンズ4及びイメージャ5は、ホログラムリーダとしての再生装置内に設けられる構成である。
ホログラムメモリ3に対しては、記録時と同じ照射角度で、再生参照光L4を照射する。再生参照光L4を照射すると、要素ホログラムとして記録された再生像が得られる。つまり二次元ページデータの像が、記録時の液晶パネル1と共役な場所に現れる。これをイメージャ5で読み取ればよい。
即ちホログラムメモリ3からの再生像光L5はコリメータレンズ4で平行光とされ、例えばCCD撮像素子アレイ、もしくはCMOS撮像素子アレイなどで形成されたイメージャ5に入射する。ホログラムメモリ3上でのフーリエ像は、コリメータレンズ4で逆フーリエ変換されて二次元ページデータの像となるため、この二次元画像DPとしての再生像がイメージャ5で読み取られる。
イメージャ5は再生像に応じた電気信号としての再生像信号を発生させる。この再生像信号についてデコード処理を行うことで、元々のデータ、つまり記録のために二次元ページデータに変換する前のデータが得られることになる。
ホログラムメモリ3上の多数の要素ホログラムについて同様にデータ読出を行っていくことで、記録された元々のコンテンツデータ等を再生することができる。
【0019】
上記のように要素ホログラムによってデータが記録されるホログラムメモリ3は密着コピーによる大量複製も容易に可能である。
従って、図1(a)のようにしてホログラム材料上に要素ホログラムを記録したホログラムメモリ3は、それをそのまま一般ユーザーに提供するホログラムメモリとしても良いが、これをマスターメディアとし、密着コピーにより大量のホログラムメモリの複製に用いてもよい。
例えばコンピュータデータやAVコンテンツデータなどをホログラム記録媒体に記録し、これを広く頒布するとともに、一般ユーザーが再生装置(ホログラムリーダ6)を用いて、ホログラムメモリ3に記録されたデータを取得できるようにするシステムなどを想定した場合、図1(a)のようにしてホログラムマスターメディアを生成し、そのマスターメディアから複製されたホログラムメモリを頒布して、ユーザーサイドで図1(b)の動作でデータを読み出すようにすることが好適である。
【0020】
後述する本実施の形態の再生装置としてのホログラムリーダ6は、ホログラムメモリ3に対して再生参照光L4を照射して各要素ホログラムを読み取っていくスキャンを行う。このスキャン方式としては、ユーザーが実行する手動スキャン方式と、ホログラムリーダ6が機構的に実行する自動スキャン方式とが考えられる。
【0021】
手動スキャン方式の例を図3に示す。図3(a)には一例として、オーディオコンテンツなどのデータが記録されたホログラムメモリ3が、ポスターPT等に貼付されている状態を示している。ホログラムリーダ6は、ユーザーが手に持てる程度に小型軽量の機器とされている。このホログラムリーダ6の筐体上の一面には、上述した再生参照光L4を出力する光源や、ホログラムメモリ3からの再生像光を取り込むためのレンズ系などが形成されている。
ユーザーは図のようにホログラムリーダ6を持って、その筐体の一面側がホログラムメモリ3に対向するようにした状態で近接させ、ホログラムリーダ6を任意の方向に振るようにする。このとき、再生参照光L4が所定角度で照射された要素ホログラムの再生像がホログラムリーダ6によって読み取られていく。
なお、図3(a)にはホログラムリーダ6をホログラムメモリ3から離した状態でユーザーが左右に振るような様子を示しているが、図4に示すように、ホログラムリーダ6の筐体の一部をホログラムメモリ3の表面上に接触させた状態で上下左右に振る、つまり摺動させるようなスキャン方式も想定される。
【0022】
図3(b)は、多数の要素ホログラムh1〜h24が記録されたホログラムメモリ3を模式的に示しているが、ユーザーは任意に、例えば左右にホログラムリーダ6を振ることで、ホログラムメモリ3に対する読出スキャンの軌跡(再生参照光L4のスポットの軌跡)は破線で示すようになる。
実際にユーザーがどのようにホログラムリーダ6を移動させるかは全く不定であるため、再生参照光L4のスポットは、全く不規則かつ不安定に、ホログラムメモリ3上の要素ホログラムに照射される。この状態で、再生参照光L4のスポットが照射された要素ホログラムの再生像がホログラムリーダ6に読み取られていくことになる。つまり各要素ホログラムh1〜h24は、それぞれ、確率的に読み出しが行われる。ホログラムリーダ6側では読み取れた要素ホログラムから順にデコードして蓄積し、必要量のデータがデコードできた時点で、再生データを再構成すればよい。
【0023】
一方、自動スキャン方式とは、ホログラムリーダ6が例えば内部のスキャン機構(後述する図15に示すカメラ制御機構部13)の動作によって再生参照光L4の照射位置を移動させたり、或いはコリメータレンズ4及びイメージャ5を保持するユニットを移動させて行くことで、ホログラムメモリ3上の各要素ホログラムを順次読み取っていく方式である。例えば図4のようにホログラムリーダ6をポスター等に貼付されたホログラムメモリ3に対向させた状態で自動スキャンを行うことが考えられる。即ちその場合は、ユーザーは単にホログラムリーダ6をホログラムメモリ3の正面に維持していればよく、スキャン機構によって再生参照光L4の照射位置やレンズ系が移動されることで、ホログラムメモリ3上の各要素ホログラムに対するスキャンが行われる。
又は、例えばホログラムメモリ3としてのシートをカード状の基板部に貼付した形式のメディアとし、これをホログラムリーダ6内に装填し、ホログラムリーダ6内でスキャン動作を行って各要素ホログラムを読み取っていくような方式も想定できる。
【0024】
[2.ホログラムメモリの要素ホログラム配置]
実施の形態の再生装置(ホログラムリーダ6)が再生を行うホログラムメモリ3における記録様式を説明する。
上記図2のように、ホログラムメモリ3には多数の要素ホログラムが二次元的に配置されるが、図1で説明したように、各要素ホログラムには、それぞれ1ページ分の二次元画像DPが記録される。
図2では、ホログラムメモリ3の平面上に、横方向に32個の要素ホログラム、縦方向に24個の要素ホログラムを配置した例を示している。各要素ホログラムには例えば512×384画素(ピクセル)の二次元情報を記録する。
元々の記録データを図1(a)に示したように二次元画像DPとすること、及び二次元画像化したデータを記録する要素ホログラムを、図2のように二次元配列することで、合計4次元の情報がホログラムメモリ3に記録可能である。
【0025】
1つの要素ホログラムに記録される二次元画像の例を図11に示している。
この図11のような二次元画像が、上記した512×384画素の二次元情報である。記録データのエンコード過程では、最終的にこの512×384画素の二次元情報が、物理ページとして生成され、その物理ページが図1(a)のように液晶パネル1に表示されることで、当該物理ページを記録した1つの要素ホログラムが形成される。
【0026】
物理ページとしての二次元画像を生成するまでのエンコード過程を以下に述べる。
図5(a)にD0〜D7の8ビットのバイナリコードとしてのバイトデータを示す。このバイトデータは、コンテンツデータ等の元々の記録データについて、エラー訂正符号化やインターリーブ処理などの符号化処理が施されて得られた記録用のデータストリームにおける1バイトである。
この図5(a)のバイトデータは、図5(b)の4×4ピクセル(画素)の二次元パターンとしての二次元コードシンボルに変換される。この二次元パターンの各画素P0、P1・・・Pfのうち、Pf、Pb、Peを除く13個の画素が、バイトデータの値、つまりD0〜D7の8ビット値に応じて、白レベルまたは黒レベルのいずれかが選択される。13個の画素の内、3個は白レベル、10画素を黒レベルとする。そして3つの白レベルの画素の組み合わせにより、1バイト値、つまり「00000000」〜「11111111」までが表現される。
なお8ビットのバイトデータを表現するためには、
28=256[symbol]
の二次元コードシンボルが必要となる。ここで、「C」でコンビネーションを表し、13個のうちから3つの組み合わせの種類の数を求めると、
13C3=286[symbol]
であるので、二次元コードシンボルの画素数は13画素以上あれば、上記256通りの組合せを表現可能である。つまり上記のようにPf、Pb、Peを除く13個の画素を用いたパターンで1バイト値を表現できる。
例として、図5(c)に値「01011010」、つまり「5Ah」(hは16進表記を表す)のバイトデータを示しているが、これは図5(d)の二次元コードシンボルに変換される。この例では、画素P1、P7、P9の3つの画素が白レベルとされる。
【0027】
4×4画素のうち、画素Pf、Pb、Peについては、画素Pfをサブシンクピクセルとして、補助同期パターン用の画素に割り当てる。この画素Pfには後述するグループサブシンク(Group-SS)生成時に白レベルまたは黒レベルのいずれかを割り当てる。
また画素Pb,Peを、サブシンクピクセルをガードするサブシンクガードピクセルとする。この画素Pb,Peは常時黒レベルとする。
【0028】
1バイトのデータは以上のように4×4画素の二次元コードシンボルに変換されるが、4バイト分、つまり4つの4×4画素の二次元コードシンボルから、グループR(Group-R:Group Rotated・・回転グループ)が生成される。
図6(a)(b)(c)(d)として、4つのグループRを示している。即ち図6(a)はバイトデータA,B,C,Dから生成されたグループR、図6(b)はバイトデータE,F,G,Hから生成されたグループR、図6(c)はバイトデータI,J,K,Lから生成されたグループR、図6(d)はバイトデータM,N,O,Pから生成されたグループRである。
1つのグループRは、4つの二次元コードシンボルがそれぞれ所定回転された後に合成されて生成される。
例えば図6(a)のグループRは、バイトデータA、バイトデータB,バイトデータC,バイトデータDの各二次元コードシンボルが合成されるが、この4つの各二次元コードシンボルは、次のように回転操作を施した上で合成される。
バイトデータAの二次元コードシンボル:回転無し。
バイトデータBの二次元コードシンボル:右90°回転。
バイトデータCの二次元コードシンボル:180°回転。
バイトデータDの二次元コードシンボル:左90°回転。
そして、このように回転させた4シンボルを結合し、図6(a)に示す8×8画素のグループRが生成される。
【0029】
図6(a)(b)(c)(d)のグループRが、このようにして生成されたら、この4つのグループRを結合し、図6(e)のように16×16画素のグループサブシンク(Group -SS)を生成する。このとき、バイトデータC,H,I,Nについての4×4画素の二次元パターンにおける画素Pfに白レベルが割り当てられていることで、図示するようにグループサブシンクの中央に集まった2×2ピクセルの4つの画素Pfが4画素分の白領域を形成する。これがサブシンクパターンSSとなる。
また、他のバイトデータA,B,D,E,F,G,J,K,L,M,O,P,の画素Pfについては黒レベルを割り当てることで、グループサブシンク上での白画素の頻度を抑圧する。
図7には、このように生成された16×16画素のグループサブシンクの一例を示している。図のように中心の白レベルの4ピクセル分でサブシンクパターンSSが形成され、また各4×4画素単位でバイトデータ値に応じて白レベル画素と黒レベル画素が形成される。
【0030】
図8(a)(b)はメイン同期シンボルを示す。メイン同期シンボルは、上記のグループサブシンクと同じ、16×16画素で形成される。
このメイン同期シンボルと、上記グループサブシンクが合成されて後述するグループメインシンクが形成される。
メイン同期シンボルMSは、その二次元パターンが奇数番目のグループメインシンク用と偶数番目のグループメインシンク用で使い分けられている。
図8(a)は偶数番目のグループメインシンクに付加されるメイン同期シンボル、図8(b)は奇数番目のグループメインシンクに付加されるメイン同期シンボルを示している。
図8(a)の偶数番目のグループメインシンクのメイン同期シンボルMSは、16×16画素の二次元パターンとして、中央の8×8画素が白レベルで、その周囲の画素が全て黒レベルとされたパターンである。
図8(b)の奇数番目のグループメインシンクのメイン同期シンボルMSは、同じく16×16画素の二次元パターンにおいて、中央に◇状(菱形)となるように白レベルの画素が割り当てられている。
【0031】
グループサブシンク(Group -SS)とメイン同期シンボルMSで形成されるグループメインシンク(Group -MS)を図9に示す。グループメインシンクは、グループサブシンクが横方向に8個、縦方向に8個配列されて形成される。従って128×128画素の単位となる。
但し、任意の位置のグループサブシンクを空白とし、メイン同期シンボルMSが挿入される。図9では略中央にメイン同期シンボルMSを配置した例を示している。
なお、この図9は偶数番目のグループメインシンクの例であるため、図8(a)のメイン同期シンボルが挿入される。奇数番目のグループメインシンクの場合、同様の位置に図8(b)のメイン同期シンボルが配置されることになる。
【0032】
このようなグループメインシンクが、さらに二次元平面に配列されたものが物理ページとなる。図10に物理ページの構成例を示す。
ここでは横方向にpグループ、縦方向にqグループとなるようにグループメインシンクGroup-MS[0][0]・・・Group-MS[p-1][q-1]が配列されて物理ページ(Physical Pages)が形成された例を示している。
このような物理ページ(Physical Pages)の画像が図1の二次元ページデータとして液晶パネル1に表示される。
【0033】
なお、図10の物理ページには、各グループメインシンクに「EVEN」「ODD」として偶数番目のグループメインシンクと奇数番目のグループメインシンクを示した。そして縦方向/横方向ともに奇数番目グループメインシンク/偶数番目グループメインシンクが交互に配置されている。
上述のように、偶数番目のグループメインシンクでは図8(a)のメイン同期シンボルが付加され、奇数番目のグループメインシンクでは図8(b)のメイン同期シンボルが付加されている。
【0034】
なお、メイン同期シンボルMSは、二次元画像の相対位置及び位置同期をとるための特殊なパターンであり、媒体特性や光学系の性能に応じて、二次元的に適宜配置する。
またグループサブシンク内のサブシンクパターンSSは、グループサブシンク内のミクロな幾何学歪みを検出するためのパターンであり、メイン同期シンボルMSは、マクロな幾何学歪みを検出するためのパターンである。
【0035】
物理ページとして形成される二次元画像DPの実例を図11,図12に示す。ここでは上記p=4、q=3として、水平方向に4グループ、垂直方向に3グループのグループメインシンクが配列されてなる物理ページを例示している。1つのグループメインシンクは128×128画素であるため、この物理ページは、512×384画素で構成されることになる。
グループサブシンクの単位で言えば、グループサブシンクが水平方向に32個、垂直方向に24個配置されて物理ページが構成される。
【0036】
ここで図11は、記録するデータを上述のように二次元コードシンボル化し、サブシンクパターンSSを含むグループサブシンクを形成し、更にグループメインシンクを形成し、さらに水平方向に4グループ、垂直方向に3グループのグループメインシンクを配列して物理ページとした二次元画像である。
即ちこの図11は、記録する情報を二次元画像化したデータパターンと、シンクパターン(サブシンクパターンSS及びメイン同期シンボルMS)とを有する第1の二次元画像としての例である。
一方、図12は、有効な記録データの二次元コードシンボルを含まずに、サブシンクパターンSSとメイン同期シンボルMSのみを含む第2の二次元画像の例である。サブシンクパターンSS、及びメイン同期シンボルMSを表現する画素のみが白レベル(明レベル)であり、他は全て黒レベル(暗レベル)とされた二次元画像である。
【0037】
記録するコンテンツデータ等の各データブロックが、この図11のような二次元画像とされ、1つの要素ホログラムとして記録されていくことで、ホログラムメモリにコンテンツデータ等が記録されるものであるが、本例では、図12のようなコンテンツデータ等の主データを含まない二次元画像も、要素ホログラムとして記録される。
図13に第1,第2の二次元画像を記録する要素ホログラムの配置例を示す。
【0038】
図11のような第1の二次元画像を記録した要素ホログラムは、即ちデータページとしての要素ホログラムであり、説明上、以下、データ要素ホログラムhDと呼ぶ。また図12のように主データを含まないシンクパターンのみの第2の二次元画像(アンブルページ)を記録した要素ホログラムを、アンブル要素ホログラムhAと呼ぶこととする。
図13では、ホログラムメモリ3の平面上の配置として、○でデータ要素ホログラムhDを示し、また斜線を付した○でアンブル要素ホログラムhAを示している。
【0039】
図13(a)は、二次元配列される要素ホログラムにおいて、左端、右端の各1列の要素ホログラムが、アンブル要素ホログラムhAとされている例である。この図13では簡単のため、配列される要素ホログラムの数を11×11個で示しているが、例えば上記図2の配列を想定した場合、この図13(a)の配列は図14に示すようになる。即ち、左端の1列の24個の要素ホログラムと右端の1列の24個の要素ホログラムは、アンブル要素ホログラムhAとされ、図示するようにアンブルページとしての二次元画像が記録される。これ以外の第2列目から第31列目までの要素ホログラムは、データ要素ホログラムhDとされ、図示するようにデータページとしての二次元画像が記録されている。
【0040】
後述するが、本実施の形態のホログラムリーダ6では、アンブル要素ホログラムhAを読み込んで、幾何歪み補正の補正初期値を算出し、データ要素ホログラムhDを読み込んだ場合は、上記補正初期値を利用して幾何歪み補正演算を行う。このためデータ要素ホログラムhDを読み込む前に、アンブル要素ホログラムhAを読み込むことが好適である。ここで、上述したユーザーによる手動スキャンにおいて、ユーザーが左右にホログラムリーダ6を移動させる動作を考えると、図13(a)のように二次元配列における左右の端辺部の要素ホログラムをアンブル要素ホログラムhAとすることが好適と言える。つまり最初にアンブル要素ホログラムhAをスキャンする確率が高くなるためである。
【0041】
また、同様の理由で、ユーザーによる手動スキャンが二次元配列に対して上下方向にホログラムリーダ6を移動させることを想定するなら、図13(b)のように、二次元配列における上端の行と、下端の行の要素ホログラムをアンブル要素ホログラムhAとすることが適切となる。
更には、図13(c)のように二次元配列の周囲を囲むようにアンブル要素ホログラムhAを配置すれば、ユーザーの上下左右方向の不定の手動スキャンが行われる場合でも、アンブル要素ホログラムhAをデータ要素ホログラムhDより先に検出できる確率が高くなり、好適である。
【0042】
図13(d)(e)(f)は、さらに二次元配列において、端辺部以外にもそれぞれ図示するようにアンブル要素ホログラムhAを配置した例である。
これも後述するが、ホログラムリーダ6では、アンブル要素ホログラムhAが読み込めるたびに幾何歪み補正の補正初期値を算出していく。そしてデータ要素ホログラムhDが読み込まれた際には、最新の補正初期値を用いる。
幾何歪み補正とは、撮像する二次元画像の垂直方向、水平方向、回転方向などのズレを補正するものであるが、手動スキャンの場合においてスキャン軌跡が不定であることを考えると、あるデータ要素ホログラムhDに対して直近に読み込まれたアンブル要素ホログラムhAは、幾何歪みの状況が似通っているといえる。つまり補正初期値が適正な初期値になっているといえる。そのことから、なるべく頻繁に補正初期値が算出されていくことが好ましい。図13(d)(e)(f)のようにアンブル要素ホログラムhAを配置すれば、幾何歪み補正の補正初期値を算出する機会が多くなり、データ要素ホログラムhDの二次元画像の幾何歪み補正に対して、より適切な補正初期値を与えることができる。
【0043】
[3.ホログラムリーダの構成]
実施の形態のホログラムリーダ6(ホログラム再生装置)の構成を図15で説明する。
ホログラムリーダ6は、撮像部10、信号処理部20、メモリ部30、外部機器IF部40の4つのブロックを有する。これら各部は、システムコントローラ51の制御に基づいてそれぞれ所要の動作を行う。
【0044】
システムコントローラ51は、例えばマイクロコンピュータにより形成され、ホログラムメモリ3からのデータ読取のための動作を実行するために各部を制御する。
またシステムコントローラ51は操作部53の操作情報を監視し、ユーザーの操作に応じて必要な制御を行う。またシステムコントローラ51は、表示部52を制御してユーザーに提示する各種の情報の表示を実行させる。
【0045】
撮像部10は、ホログラムメモリ3の要素ホログラムから再生される二次元画像を撮像するためのブロックであり、コリメータレンズ11、撮像素子部(イメージャ)12、カメラ制御機構部13、発光駆動部14、ホログラムスキャン制御部15、参照光光源16を有して構成される。
コリメータレンズ11、撮像素子部12は、図1(b)で説明したコリメータレンズ4及びイメージャ5に相当する。撮像素子部12はCMOSイメージセンサ、或いはCCDイメージセンサ等の二次元画像を検出する装置である。
カメラ制御機構部13は撮像素子部12(或いは参照光光源16)とホログラムメモリ3との位置関係を制御するための装置であり、可動部を手動または自動で制御する機能を持つ。なお、図3,図4で説明したような手動スキャン方式を採用する場合は、このカメラ制御機構部13は不要となる。
参照光光源16は、図1に示した記録時の記録参照光L3と同じ角度でホログラムメモリ3に対して再生参照光L4を照射するようにホログラムリーダ6の筐体上に配置されている。例えばLED(Light Emitting Diode)或いは半導体レーザによる参照光光源16は、発光駆動部14によって発光される。発光駆動部14は、当該ホログラムリーダ6によってホログラムメモリ3の再生を行う場合に、システムコントローラ51の指示によって参照光光源16を発光駆動する。
ホログラムスキャン制御部15は、撮像素子部12から読み取られた二次元画像の状態及び変数用メモリ26に格納されたこれまでのスキャン状況を元にホログラムスキャンの撮像タイミングと読み出し画素を決定し、スキャンタイミング信号、スキャンアドレス信号を撮像素子部12に与えて撮像素子部12での撮像動作を制御する。また撮像素子部12で得られた二次元画像信号の処理を行う。
【0046】
信号処理部20は、撮像部10にて撮像された一連の二次元画像に信号処理を施すためのブロックであり、メモリコントローラ21、光学補正変数算出部22、幾何歪み補正変数算出部23、二値化部24、復号部25、変数用メモリ26、補正初期値用メモリ27で構成される。
メモリコントローラ21は、ホログラムスキャン制御部15、光学補正変数算出部22、幾何歪み補正変数算出部23、二値化部24、復号部25の各々と、メモリ部30とのデータ読み書きのアービトレーションをとる。
光学補正変数算出部22は、二次元画像内の輝度バラツキの状態を検出し、光学補正変数を決定する。
幾何歪み補正変数算出部23は、二次元画像内の幾何学的な歪みを検出し、幾何補正変数を決定する。
二値化部24は、光学補正変数及び幾何補正変数を元に、二次元画像を二値化する。
復号部25は二値化部24二値化されたデータを復号し、ホログラムメモリ3から読み出した情報を再生する。
変数用メモリ26は光学補正変数算出部22で算出された光学補正変数、幾何歪み補正変数算出部23で算出された幾何補正変数を格納する。
補正初期値用メモリ27は、幾何歪み補正変数算出部23が幾何歪み補正のための補正初期値を算出したときに、その補正初期値用を記憶する。
【0047】
メモリ部30は、ホログラムスキャン制御部15から転送されてくる二次元画像を記憶する機能と、信号処理部20にて行われる信号処理中間結果を記憶する機能、復号部25にて復号された情報を記憶する機能を有する装置であり、情報用メモリ31と不揮発性メモリ32で構成される。
情報用メモリ31は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)で構成され、ホログラムスキャン制御部15から転送されてくる二次元画像を記憶する記憶領域とされる。記憶した二次元画像は、光学補正変数算出部22、幾何歪み補正変数算出部23、二値化部24の処理のために読み出される。
不揮発性メモリ32は復号部25で復号された情報、例えば音声/映像情報等の記憶領域とされる。
【0048】
外部機器IF部40は、このホログラムリーダ6で読み出した音声/映像情報等を外部機器100へ伝送する装置であり、外部機器インターフェース41を備える。
【0049】
ホログラムメモリ3からのデータ読出の際の各部の動作を述べる。
ホログラムメモリ3に対するスキャンを行う際には、発光駆動部14が参照光光源16を発光駆動する。再生参照光L4が照射されたホログラムメモリ3からは、要素ホログラムの再生像光が得られ、これがコリメータレンズ4を介して撮像素子部12に結像する。撮像素子部12に結像した二次元画像は、電気信号に変換されてホログラムスキャン制御部15に転送される。
【0050】
ホログラムスキャン制御部15は、撮像素子部12の動作を制御すると共に、撮像素子部12によって得られる二次元画像信号の処理を行う。
即ちホログラムスキャン制御部15は、撮像素子部12に対してスキャンタイミング信号、スキャンアドレス信号等を供給して、いわゆる撮像動作により固体撮像素子アレイで得られる二次元画像信号を順次転送出力させる。そして撮像素子部12から転送されたきた二次元画像信号について、サンプリング処理、AGC処理、A/D変換処理等を施して出力する。
【0051】
ホログラムスキャン制御部15から出力されるデジタルデータ化された二次元画像信号は、メモリコントローラ21の制御によって情報用メモリ31に記憶される。
【0052】
情報用メモリ31に記憶された二次元画像信号については、光学補正変数算出部22で、光学補正変数が算出される。即ち情報用メモリ31から光学補正変数算出部22に二次元画像信号が転送され、光学補正変数算出部22で光学的な原因によるデータ値の変動である光学歪み補正や、明るさ調整補正のための補正変数が算出される。光学補正変数算出部22は、算出した光学補正変数を変数用メモリ26に格納する。
なお、光学補正変数算出部22は、実際に二次元画像信号に対して光学補正処理を行うものではなく、光学補正変数を算出して変数用メモリ26に格納する処理を行うのみである。つまり、二次元画像信号を補正し、補正した二次元画像信号を情報用メモリ31に転送して二次元画像信号を補正した状態に更新させる動作は行われない。
【0053】
また情報用メモリ31に記憶された二次元画像信号については、幾何歪み補正変数算出部23で、幾何補正変数が算出される。即ち情報用メモリ31から幾何歪み補正変数算出部23に二次元画像信号が転送され、幾何歪み補正変数算出部23で、画像位置ズレ補正、画像回転ズレ補正など、幾何歪み補正のための補正変数が算出される。幾何歪み補正変数算出部23は、算出した幾何補正変数を変数用メモリ26に格納する。
この幾何歪み補正変数算出部23は、上述したデータ要素ホログラムhDからのデータページの二次元画像、及びアンブル要素ホログラムhAからのアンブルページの二次元画像のいずれに対しても、幾何歪み補正変数の算出処理を行うことになるが、アンブルページの二次元画像に対して幾何歪み補正変数の算出処理を行って得た幾何補正変数については、それを補正初期値として扱い、補正初期値用メモリ27に格納する。
そしてデータページの二次元画像に対しては、補正初期値用メモリ27に記憶された補正初期値を用いて幾何歪み補正変数の算出処理を行う。この算出処理で得られた幾何補正変数を、変数用メモリ26に格納することになる。
なお、幾何歪み補正変数算出部23も、実際に二次元画像信号に対して幾何歪み補正処理を行うものではなく、幾何補正変数を算出して変数用メモリ26に格納する処理を行うのみであって、二次元画像信号を補正し、補正した二次元画像信号を情報用メモリ31に転送して二次元画像信号を補正した状態に更新させる動作は行われない。
【0054】
光学補正変数算出部22、幾何歪み補正変数算出部23での処理により、光学補正変数、幾何補正変数が変数用メモリ26に格納された二次元画像信号は、情報用メモリ31から二値化部24に転送され、二値化される。撮像素子部12によっては階調のある撮像データとして二次元画像信号が得られるが、これを白黒(明暗)の二値に変換する二値化処理を行うものである。ホログラムメモリ3から読み取るべきデータは、元々の記録データを白黒の二値のデータとして二次元ページデータ化されたものであるからである。
この二値化部24では、二値化の際に、その二次元画像信号について変数用メモリ26に格納されている光学補正変数、幾何補正変数を用いて処理を行う。即ち幾何補正変数に基づいて、情報用メモリ31からの二次元画像信号の読込の際の座標を調整し、また光学補正変数に基づいて二値化の際の閾値を設定する。
二値化部24で光学補正変数、幾何補正変数を用いた二値化処理を行うことで、二値化された二次元画像信号は、結果的に光学補正、幾何歪み補正が実行された状態となる。
二値化部24で二値化された二次元画像信号は、直接、或いは情報用メモリ31を介して、復号部25に転送される。
【0055】
復号部25は、二値化された二次元画像信号、つまり1つの要素ホログラムから得られたデータについて、デコード処理やエラー訂正処理を行い、元のデータを復号する。
復号部25は、デコードしたデータを、メモリコントローラ21に受け渡す。メモリコントローラ21は、デコードされたデータを不揮発性メモリ32に格納させる。
ホログラムメモリ3の各要素ホログラムから得られる二次元画像信号について、復号部25で順次デコードされ、不揮発性メモリ32に蓄積されていくことで、最終的に、ホログラムメモリ3に記録されている元々のデータ、例えばAVコンテンツデータやコンピュータデータ等が不揮発性メモリ32上で構築される。
【0056】
不揮発性メモリ32上で再構築されたデータは、外部機器インターフェース41により外部機器100、例えばパーソナルコンピュータや、オーディオプレーヤ或いはビデオプレーヤ等のAV装置、又は携帯電話器等の外部機器に対して、ホログラムメモリ3からの再生データとして転送される。外部インターフェース26は例えばUSBインターフェース等が想定される。もちろん外部インターフェース26はUSB以外の規格のインターフェースでもよい。ユーザーは外部機器100側で、ホログラムメモリ3からの再生データを利用できる。例えばパーソナルコンピュータでコンピュータデータを利用したり、AV装置や携帯電話等で、AVコンテンツデータを再生させることができる。
【0057】
なお図示していないが、所定の記録メディアに対して記録を行うメディアドライブを設け、再生データを、そのメディアドライブにより記録メディアに記録されるようにしてもよい。
記録メディアとしては、例えば光ディスク、光磁気ディスク等が想定される。例えばCD(Compact Disc)方式、DVD(Digital Versatile Disc)方式、ブルーレイディスク(Blu-Ray Disc)方式、ミニディスク(Mini Disc)方式などの各種方式の記録可能型のディスクが記録メディアとして考えられる。これらのディスクが記録メディアとされる場合、メディアドライブは、ディスク種別に対応したエンコード処理、エラー訂正コード処理、或いは圧縮処理等を施して、再生したデータをディスクに記録する。
また記録メディアとしてハードディスクも想定され、その場合、メディアドライブは、いわゆるHDD(ハードディスクドライブ)として構成される。
さらに記録メディアは、固体メモリを内蔵した可搬性のメモリカード、或いは内蔵型固体メモリとしても実現でき、その場合メディアドライブは、メモリカード或いは内蔵型固体メモリに対する記録装置部として構成され、必要な信号処理を行って再生したデータの記録を行う。
【0058】
さらには、例えば記録メディアに記録したAVコンテンツデータ等をメディアドライブで再生し、その再生したAVコンテンツデータ等をデコードして出力する音声再生出力系、映像再生出力系を備えることは当然考えられる。
またメディアドライブで再生したデータを外部機器インターフェース41を介して外部機器に転送することもできる。
さらに上記のCD、DVD、ブルーレイディスク、ミニディスク、メモリカード等の可搬性の記録メディアに記録した場合は、その記録メディアを外部機器で再生させることで、ユーザーはホログラムメモリ3から読み出した再生データを利用できる。
【0059】
なお、ホログラムメモリ3に対するスキャンを行ってデータを読み出す再生動作(データダウンロード動作)と、得られたオーディオ/画像等のデータを外部機器100に転送したり、或いは上記のように再生出力系で再生出力する動作は、基本的には同時に行われないとすれば、メモリ部30において、情報用メモリ31及び不揮発性メモリ32のいずれか一方、もしくは両方を再生装置に具備された他の記憶手段で代替することにより、メモリ構成を簡略化できる。
例えば上記のように光ディスクやHDDなどの記録メディアに復号したデータを記録するようにすれば、再生データ構築までは情報用メモリ31に格納し、不揮発性メモリ32を不要とすることも可能である。
【0060】
[4.再生処理]
ホログラムリーダ6による再生時の処理を図16で説明する。上述したように、本例のホログラムメモリ3には、要素ホログラムとして、データ要素ホログラムhDとアンブル要素ホログラムhAが記録されている。また、例えば手動スキャンを想定すれば、各要素ホログラムがどのような順番で読み取られるかは全く不定である。このようなシステムにおいて本例のホログラムリーダ6は、以下の処理を行うことでホログラムメモリ3の再生を行い、またそのとき幾何歪みを適切に補正し、データ再生能力を向上させる。
【0061】
図16はシステムコントローラ51の制御に基づいて図15の構成の各部で実行される処理を示している。
再生スキャンを開始する際には、システムコントローラ51は発光駆動部14を制御して参照光光源16による再生参照光L4の発光を開始させる。ホログラムリーダ6が上述したユーザーの手動スキャンを前提とした構成とされるときは、再生参照光L4を照射しながらユーザーがホログラムリーダ6を移動させることでスキャンが行われる。
またホログラムリーダ6がカメラ制御機構部13を備え、カメラ制御機構部13によってスキャン位置が制御される構成の場合は、スキャン開始と共にシステムコントローラ51はホログラムスキャン制御部15に指示してカメラ制御機構部13の動作を開始させる。
【0062】
スキャン開始に伴って、まず、ホログラムメモリ3の要素ホログラムの二次元画像における一部分の領域である部分二次元画像を撮像し、撮像した部分二次元画像から、要素ホログラムに対するトラッキング状態を判定する処理が行われる。
これはステップF101の部分撮像、ステップF102の要素トラッキング判定、ステップF103のカメラ制御の3つの処理の繰り返しにより実行される。なお、手動スキャンの場合は、ステップF103のカメラ制御は行われず、ステップF101,F102の繰り返しとなる。
再生参照光L4の照射が開始され、スキャンが開始されたらホログラムスキャン制御部15はスキャンタイミング信号、スキャンアドレス信号により撮像素子部12を制御し、所定タイミング間隔でステップF101の部分撮像を実行させて部分二次元画像信号を取り込む。そしてステップF102で、部分撮像した部分二次元画像信号からトラッキングを判定する処理を行う。
ステップF102でトラッキング状態が良好であると判定した場合は、ステップF104に移行するが、トラッキング状態が適切でないと判定されている場合は、ステップF103のカメラ制御でトラッキング位置を変更させてステップF101に戻る。或いは手動スキャンの場合は、ステップF103の処理は無いため、そのままステップF101に戻る。
【0063】
ステップF101の部分撮像とは、要素ホログラムから得られる二次元画像の一部を撮像素子部12で取り込む動作である。
図17は、撮像素子部12に結像した、或る要素ホログラムの全画像(512×384ピクセル)と、部分撮像する領域AR1の例を示している。
ホログラムスキャン制御部15は、ステップF101の部分撮像では、図15の結像画像の中から、領域AR1のみの画像を取り込む処理を行うものである。そして領域AR1の画像信号、即ち部分二次元画像信号からステップF102でトラッキング状態を判定する。
要素ホログラムの再生トラッキング状態は、輝度の明暗として現われることが知られている。そして当然ながら再生時には、なるべく明暗のくっきりした二次元画像を撮像する必要がある。
再生参照光L4のスポットが或る要素ホログラムの真上、つまり最適なトラッキング状態にあるときは、最も明暗のはっきりした二次元画像が撮像されるが、再生参照光L4のスポットが要素ホログラムからずれるに従って、明暗の曖昧な二次元画像が撮像される状態となる。つまりトラッキング状態が適切でないと、二次元画像における白レベル画素についての輝度が低下する。従って、例えば取り込んだ画像内の各画素の輝度レベルを加算し、その輝度レベル加算値の大小により、トラッキング状態を判定できる。
【0064】
但し、例えば512×384ピクセルである全画像について輝度レベルを加算して判定を行うことは、処理負担として大きく、また処理時間も長くなる。
ここで、トラッキング状態に起因する輝度の明暗ばらつきは画像全体に一様に生じるという特性がある。
そこで本例では、トラッキング判定のために全画像を取り込んで輝度の状態を判断することに代えて、部分撮像した領域AR1の部分二次元画像信号から輝度状態を判断するようにする。即ち、領域AR1内の画素について、輝度レベルを加算し、その輝度レベル加算値が所定値以上であればトラッキング状態良好と判定する。このようにすると、全画素で判断する場合に比べて、加算する画素数は著しく低減され、処理負担は軽くなり、また非常に高速にトラッキング状態の判定処理ができることになる。
なおステップF101で、要素ホログラムから読み取られる1つの二次元画像内でどの部分を撮像するかは任意である。図15の領域AR1は、1つのメイン同期シンボルを中心とした領域としているが、他のメイン同期シンボルを含む領域としても良いし、或いはメイン同期シンボルを含まない領域としても良い。
【0065】
このステップF101,F102の処理が高速に繰り返されていくことで、或る要素ホログラムに対して最適なトラッキング状態となっているか否かがスキャン中に監視されることになる。そして、或る要素ホログラムに対するトラッキングがOKとなった時点で、ステップF104以降に進む。
【0066】
まずステップF104で、ホログラムスキャン制御部15は撮像素子部12を制御して要素ホログラムの全画素撮像を実行する。即ちその時点でトラッキングOKと判定された或る要素ホログラムの全画素の二次元画像信号を取り込む。トラッキングOKの状態で二次元画像信号が取り込まれるため、得られた二次元画像信号は、規定以上の輝度レベルが確保されている。ホログラムスキャン制御部15は全画素撮像により取り込んだ二次元画像信号に対して所定の処理を行い、デジタル値に変換して出力する。この二次元画像信号のデータはメモリコントローラ21によって情報用メモリ31に記憶される。
但し、撮像した二次元画像信号には、種々の要因により、輝度ムラなどの光学的なばらつきや、水平方向、垂直方向、回転方向のずれなど幾何学的な歪みを持つものとなる。このため、光学歪み補正、幾何歪み補正が必要となる。
【0067】
ここでステップF105では、情報用メモリ31に取り込んだ二次元画像が、アンブルページの二次元画像であるかデータページの二次元画像であるかを判別する。例えば情報用メモリ31に取り込んだ二次元画像を幾何歪み補正変数算出部23が取り込み、その画素パターンを検出することで判別が可能となる。つまり、明レベル画素が上述したサブシンクパターンSS及びメイン同期シンボルMSに相当する位置関係のみであれば、その二次元画像はアンブルページの二次元画像であると判断でき、それ以外であればデータページの二次元画像と判別できる。
【0068】
ステップF104で撮像された要素ホログラムがアンブル要素ホログラムhAであってアンブルページの二次元画像が取り込まれた場合はステップF106に進み、そのアンブルページの二次元画像に対して幾何歪み補正変数算出部23で幾何歪み補正の演算が行われる。
まずステップF106で画像分割を実行する。この画像分割は変調時に規則的に挿入された二次元同期信号(メイン同期シンボルMS及びサブシンクパターンSS)を手掛かりに画像を小ブロックに分割する処理である。例えば上述したグループサブシンク単位に分割する。
【0069】
続いてステップF107では、分割したグループサブシンク単位で幾何歪み補正変数を算出する。サブシンクパターンSS及びメイン同期シンボルMSは、二次元画像における所定位置に挿入されているものであり、従って、撮像した二次元画像におけるサブシンクパターンSS、メイン同期シンボルMSの位置から、水平/垂直位置や回転角度等のズレや歪みを算出できる。
上記のようにメイン同期シンボルMSは、四角型と菱形として、他のパターンよりも大きなパターンで、規則的に二次元画像内に並んでおり、これを元に大まかな位置および角度の検出が可能になる。実際にあるべき場所と現在ある場所の差を算出すれば、それがあるべき場所に訂正するための処理のパラメータとなる。
サブシンクパターンSSはメイン同期シンボルMSの間に並んでおりサイズは小さく多数存在し、これを用いてメイン同期シンボルMSで算出した大まかなパラメータの微調整を行うことができる。
パラメータ、即ち幾何補正変数としては、サブシンクパターンのセンタ座標値ずれ、X軸縮尺ずれ、Y軸縮尺ずれ、回転角度ズレなどが算出される。
【0070】
ステップF108では、以上のようにアンブルページの二次元画像から算出した幾何補正変数を、データページの二次元画像の幾何歪み補正のための初期値として補正初期値用メモリ27に格納する。
なお、補正初期値用メモリ27に既に補正初期値が記憶されている場合は、補正初期値を上書き記憶する。即ち過去に算出した補正初期値は消去すればよい。
アンブルページの二次元画像には、元々の記録データとしての有効データは含まれていないため、アンブルページの二次元画像に関しては以上で処理を終える。
そしてステップF101に戻り、他の要素ホログラムのトラッキング判別及び撮像の処理を行う。
【0071】
ステップF104で或る要素ホログラムの二次元画像を取り込んだ後、ステップF105で、その二次元画像がデータページの二次元画像であると判別されたときは、ステップF109に進み、幾何歪み補正変数算出部23で幾何歪み補正変数の算出処理が行われる。
この場合も、まずステップF109で画像分割が行われ、補正変数算出演算の単位として二次元画像を例えばグループサブシンク単位に分割する。
そしてステップF110で幾何歪み補正変数の算出が行われる。このとき幾何歪み補正変数算出部23は、補正初期値用メモリ27に記憶されている補正初期値を読み出して、その補正初期値としてのパラメータを用いた上で、幾何歪みのパラメータを算出する。
アンブルページの二次元画像が得られる毎に上記のステップF106〜F108が行われるため、ステップF110の時点で補正初期値用メモリ27に記憶されている補正初期値は、現在処理中のデータページの二次元画像から直近の時点で撮像されたアンブルページの二次元画像から算出された補正初期値である。従って、補正初期値は、現在のデータページの二次元画像についての算出される幾何歪み補正変数にかなり近いパラメータ値となっていると推定できる。
後述するが、ステップF110で、このような補正初期値を用いて、現在処理対象のデータページの二次元画像について幾何歪み補正変数を算出することで、効率よくかつ適正な幾何歪み補正変数を算出することができる。
そして幾何歪み補正変数算出部23により算出された幾何補正変数は、変数用メモリ26に記憶される。
【0072】
続いてステップF111で、情報用メモリ31に取り込まれている現在処理対象の二次元画像が光学補正変数算出部22に読み込まれ、光学歪み補正変数算出処理が行われる。
この場合、光学補正変数として、例えば各グループサブシンク領域毎に輝度合計値が求められ、それらが変数用メモリ26に格納する処理が行われる。
【0073】
ステップF110,F111では、幾何歪み補正変数と光学補正変数が算出されて変数用メモリ26に記憶されるが、実際に二次元画像の幾何歪み、光学歪みが補正されるものではない。二次元画像に対する実際の補正は、ステップF112の二値化処理の際に、幾何補正変数、光学補正変数が参照されることで実行される。
ステップF112の二値化処理では、二値化部24が、情報用メモリ31から二次元画像を取り込む。上記ステップF110,F111では、実際の補正処理としての画像再構成は行われていないため、この時点で情報用メモリ31に保存されている二次元画像は、ステップF104で取り込んだままの状態、つまり幾何歪み、光学歪みが存在する状態である。
このとき二値化部24は、まず変数用メモリ26に格納されている幾何補正変数に基づいて、情報用メモリ31から読み出すべき画素アドレスを決定する。これにより、二値化部24は、幾何歪みが補正された状態の二次元画像信号を取り込むことができる。
そして二値化部は、取り込んだ二次元画像信号について二値化する。記録画像は白/黒(明/暗)の二値レベルであるが、撮像素子部12で撮像された二次元画像信号は、その中間的なレベルを含むものとなっているためである。
このときに、二値化の閾値、即ち二値化処理の基準値を、変数用メモリ26に記憶された光学補正変数に基づいて設定する。例えばグループサブシンク単位で記憶されている光学補正変数(輝度合計値)に従って、グループサブシンク単位毎に二値化閾値を設定し、各画素レベルを明レベル、暗レベルに二値化していく。すると、二値化された結果の二次元画像信号は、光学歪みが補正された状態の二値信号となる。
【0074】
このような二値化処理が完了したらステップF113の復号処理が行われる。
ステップF113では、復号部25に二値化部24で二値化された二次元画像信号が供給され、復号部25で復調及び誤り訂正等の復号処理を行う。これにより再生データが復元される。復号されたデータ、即ちホログラムメモリ3上の1つの要素ホログラムから再生された再生データは、メモリコントローラ21によって不揮発性メモリ32に格納される。
【0075】
ステップF114では、必要量の要素ホログラムを再生できたかどうかを判定し、再生完了であれば、スキャンを終了する。このときシステムコントローラ51は参照光光源16からの再生参照光L4の照射を終了させる。
また、必要量の要素ホログラムをまだ再生できていなければ、ステップF101に戻り、上述の処理を繰り返す。つまり、他の要素ホログラムについての再生処理を同様に実行していく。
なお、手動スキャンではなく、ステップF103でカメラ制御を行う構成の場合、ステップF114からF101に移行する際に、光学補正変数及び幾何補正変数を元に、ステップF103のカメラ制御処理で参照光強度、角度等の光学条件及び要素ホログラムと撮像素子の位置関係を調整すると同時に、読取り時のSN(Signal Noise)特性が良好な画素を推定して選択し、選択された画素のみを読み込むことにより、撮像速度及び読取り時のSN特性を改善できる。
【0076】
以上の図14の処理を完了することで、ホログラムメモリ3の各要素ホログラムから読み出されたデータが不揮発性メモリ32に蓄積された状態となり、例えばAVコンテンツデータなどの再生データが不揮発性メモリ32上で構築される状態となる。
この再生データは、その後、外部インターフェース41を介して外部機器100に転送され、ユーザーは、外部機器100において再生データを使用することができる。
【0077】
上記ステップF110では、補正初期値を用いてデータページの二次元画像の幾何歪み補正変数を算出するが、その動作を図18で模式的に説明する。なお、回転ズレの補正を例に挙げる。
図18(a)は、データ要素ホログラムhDから読み出したデータページの二次元画像に、角度θ1の回転ズレが生じていた状態を表している。
例えば図11に例示したように、データページの二次元画像には、サブシンクパターンSS、メイン同期シンボルMSに加えてデータパターンが混在している。このため補正変数算出演算が収束するまでには比較的長時間を要する。一方、幾何歪み補正変数算出はスキャン中の処理であって、実際には次々に要素ホログラムの読取を行うものであるため、1つの二次元画像に対する幾何歪み補正変数算出演算に割ける時間は短い。このため実際上、或るデータページの二次元画像に対する幾何歪み補正変数の算出は、補正変数が収束するまで続けることができない場合が多く、結局変数用メモリ26には収束しきる途中の値の補正変数が記憶される状況が発生する。
例えば図18(a)の角度θ1に相当する幾何補正変数まで収束できずに、図18(b)の角度θ2分を残した角度θ3の幾何補正変数が変数用メモリ26に格納されることがある。
すると、二値化の際には、角度θ3分の補正しかできず、結局図18(b)のように回転方向に角度θ2のズレを残したままの二次元画像が補正結果として得られるものとなってしまう。つまり幾何補正が不十分な状態のままとなる。当然これによっては、データ復号の際のエラーレートも悪化する。
【0078】
一方、図18(c)には、アンブル要素ホログラムhAから読み出したデータページの二次元画像に、角度θ1の回転ズレが生じていた状態を表している。図12に示したように、アンブルページの二次元画像には、サブシンクパターンSS、メイン同期シンボルMSしか存在しない。データパターンが混在していないため、補正変数算出演算は非常に迅速に収束でき、短時間で図18(d)のように回転ズレの無い状態とする幾何補正変数を算出することができる。このように角度θ1の回転補正を行う幾何補正変数が、補正初期値として補正初期値用メモリ27に記憶される。
【0079】
このような補正初期値が得られた後に撮像されたデータ要素ホログラムhDのデータページの二次元画像が図18(e)のように、角度θ1+αの回転ズレがあったとする。
この二次元画像に対して、補正初期値を用いることで、図18(f)のように、回転ズレを角度αの状態とすることができる。つまり幾何補正変数の算出をする前の時点で、回転ズレを殆ど解消した状態とすることができる。そして幾何補正変数の算出処理としては、この角度αの回転ズレを解消して図18(g)の状態とするまで収束させる演算を行えばよい。この場合、回転ズレが殆ど無い状態であるため、短時間で演算が収束し、角度αを補正するパラメータが得られる。そして結果として、角度θ1を補正する補正初期値のパラメータと、算出した角度αを補正するパラメータから、角度θ1+αの回転ズレを補正する幾何補正変数を求め、これを変数用メモリ26に記憶させればよい。これにより、二値化処理の際には、情報用メモリ31に格納された図18(e)のような二次元画像を、図18(g)の状態で読み込むことができる。
このような処理により、スキャン中に、各データ要素ホログラムhDの二次元画像に対して、ほぼ完全に近い精度の幾何歪み補正が可能となる。
【0080】
ところで、このような補正初期値を用いた幾何補正変数算出の効果を得るためには、アンブルページの二次元画像と、データページの二次元画像とで、類似した幾何歪みが生じていることが必要である。
このため、例えば上記図13の各例のようにアンブル要素ホログラムhAが配置されることや、アンブル要素ホログラムhAの撮像が行われる毎に、図16のステップF107,F108の処理が行われて補正初期値が更新されていくことが適切なものとなる。
【0081】
例えば図13(a)の配置を例に挙げ、図19でスキャンの際の読取状況を示す。ユーザーが手動スキャンを行う際に、再生参照光L4のスポット軌跡が図19の矢印に示すようになったとする。
この場合、まずアンブル要素ホログラムhA1の撮像が行われる。このとき、アンブル要素ホログラムhA1から読み込まれたアンブルページの二次元画像から補正初期値が算出され、補正初期値用メモリ27に書き込まれる。
次のタイミングで、データ要素ホログラムhD1が読み取られる。このときデータ要素ホログラムhD1から読み込まれたデータページの二次元画像については、アンブル要素ホログラムhA1の読取時に得られた補正初期値が用いられて幾何補正変数算出が行われる。
さらにデータ要素ホログラムhD2,hD3・・hD9が順次読み取られていくが、それらのデータ要素ホログラムhD2,hD3・・hD9から読み込まれた各二次元画像についても、アンブル要素ホログラムhA1の読取時に得られた補正初期値が用いられて幾何補正変数算出が行われる。
【0082】
その後、アンブル要素ホログラムhA2が読み取られ、そのアンブルページの二次元画像から補正初期値が算出されて補正初期値が更新される。
さらに、アンブル要素ホログラムhA3が読み取られ、そのアンブルページの二次元画像から補正初期値が算出されて補正初期値が更新される。
続いて、データ要素ホログラムhD10が読み取られる。このときデータ要素ホログラムhD10から読み込まれたデータページの二次元画像については、アンブル要素ホログラムhA3の読取時に得られた補正初期値が用いられて幾何補正変数算出が行われる。
さらにデータ要素ホログラムhD11,hD12・・hD18が順次読み取られていくが、それらのデータ要素ホログラムhD11,hD12・・hD18から読み込まれた各二次元画像についても、アンブル要素ホログラムhA3の読取時に得られた補正初期値が用いられて幾何補正変数算出が行われる。
【0083】
このように、例えばデータ要素ホログラムhD1・・・hD9の二次元画像の幾何補正変数の算出時には、アンブル要素ホログラムhA1の読込時に算出された補正初期値が利用される。アンブル要素ホログラムhA1とデータ要素ホログラムhD1・・・hD9は、1回の右方向へのスキャン過程で読み込まれるものであり、それらにはほぼ同様に幾何歪みが生じていると考えて良い。従って、アンブル要素ホログラムhA1の読込時に算出された補正初期値は、データ要素ホログラムhD1・・・hD9の二次元画像について算出すべき幾何補正変数にかなり近い値となっている。
データ要素ホログラムhD10・・・hD18の二次元画像と、アンブル要素ホログラムhA3の二次元画像にも、ほぼ同様の幾何歪みが生じていると考えて良いため、アンブル要素ホログラムhA3の読込時に算出された補正初期値は、データ要素ホログラムhD10・・・hD18の二次元画像について算出すべき幾何補正変数にかなり近い値となっている。
【0084】
つまり図16の処理では、このように各データ要素ホログラムhDの二次元画像は、ほぼ同様の幾何歪みが生じている直近に読み込まれたアンブル要素ホログラムhAの二次元画像から算出される補正初期値を用いて幾何補正変数が算出されることになるため、上述した補正変数算出の効率化と変数値の適正化の効果は、良好に発揮されるものである。
【0085】
[5.実施の形態の効果]
以上の実施の形態においては次のような効果を得ることができる。
本例のホログラムリーダ6は、アンブル要素ホログラムhAからシンクパターンのみを有するアンブルページの二次元画像が読み取れた際に、その二次元画像の幾何歪み補正演算を行い、補正初期値を算出する。そして実際に情報がデータパターンとして記録されたデータ要素ホログラムhDの二次元画像が撮像された際には、補正初期値を用いて幾何歪み補正変数を算出する。そしてその幾何補正変数を用いて二値化処理の際に幾何歪み補正を実行する。
これにより、幾何補正変数の演算を著しく効率化できるとともに、幾何補正変数は適切な値となり、幾何歪み補正が良好に実現される。従ってデコードエラーを低減し、再生エラーレートが改善される。
【0086】
またホログラムメモリ3の要素ホログラムの二次元配列において、アンブル要素ホログラムhAが端辺部に記録されていることで、データ要素ホログラムhDの読取りに先だってアンブル要素ホログラムhAを読み出せる確率が高くなる。つまりデータ要素ホログラムhDの二次元画像の幾何歪み補正に先立って、アンブル要素ホログラムhAの二次元画像から補正初期値を算出する動作に好適である。
特に手動スキャンを想定した場合は、端辺部の列方向や行方向に並ぶようにアンブル要素ホログラムhAが配置されていることが都合がよい。
【0087】
また図19を用いた説明からわかるように、データ要素ホログラムhDの二次元画像の幾何学補正には、直近の時点で読み込まれたアンブルページの二次元画像から得られる補正初期値を利用する。これにより、最適な補正初期値を利用でき、補正精度や補正演算効率を向上できる。
また、このことを考えれば、図13(d)(e)(f)のように端辺部以外にもアンブル要素ホログラムhAを配置し、補正初期値を更新する機会を増やすことで、データ要素ホログラムhDの二次元画像の幾何補正変数算出の際に、より適切な補正初期値を与えるようにできるものとなる。
【0088】
また本例では、情報用メモリ手段に記憶された二次元画像に対して幾何歪み補正、光学補正等のための補正変数を算出し、補正変数を変数用メモリ26に記憶する。そして二値化部24で二値化を行う際に、変数用メモリ26に記憶されている補正変数に基づいて処理を行うことで、結果的に幾何歪み補正、光学補正がなされた状態での情報再生を実現する。この場合、情報用メモリ31に記憶されている二次元画像に対して直接幾何歪み補正、光学補正等の補正処理を順次行うものではないため、補正処理した二次元画像についての情報用メモリ31への書込も発生しない。従って、幾何歪み補正、光学歪み補正を順次実行する場合に必要な情報用メモリ31に対するアクセス処理負担、及びそれによる処理時間負担を解消でき、再生処理の効率化を実現できる。
さらに、二値化処理を実行するまで二次元画像自体に対する補正処理を行わないことは、補正に伴う演算誤差の抑圧という利点も得られる。
【0089】
また、図16のステップF101,F102において、部分二次元画像を取り込み、部分二次元画像から、要素ホログラムに対するトラッキング状態を判定することで、二次元画像全体からトラッキング状態を判定するよりも遙かに高速にトラッキング状態を判定できる。そしてトラッキング状態を高速に判定しながら、良好なトラッキング状態となったタイミングで要素ホログラムの二次元画像の全体を取り込むようにすることで、データ再生のために適切な二次元画像を取り込むことができ、二次元画像読取時のS/N特性を向上させ、精度の良い再生性能を実現できる。
【0090】
また、要素ホログラムから読み出し、復号したデータは不揮発性メモリ32に蓄積されていき、最終的に各要素ホログラムからの再生データが不揮発性メモリ32上で再構築されてコンテンツデータ等の再生データが形成される。これはホログラムメモリ3上の要素ホログラムを任意の順番に読み出しても良いことを意味する。従って、図3,図4で説明した手動スキャンによって順不同に要素ホログラムを読み出すようにしても問題ない。またカメラ制御機構部13によってスキャン位置を可変制御していくときも、その可変制御動作の自由度を高めることができる。そしてこのことから、ステップF101、F102において、特に順番にこだわらずに、或る要素ホログラムに対してトラッキングOKと判断されたら、その要素ホログラムに対する二次元画像の撮像や復号処理を行っていけばよいものとなる。つまり各要素ホログラムに対して特定の順番で、順次トラッキングOKの状態とするような制御は不要であり、困難なトラッキング制御を実行する必要はない。このことから再生処理の容易性や、効率化が実現される。
【0091】
以上実施の形態を説明してきたが、実施の形態で述べたホログラムリーダ6の構成や処理手順はあくまで一例であり、本発明としてはその要旨の範囲内で多様な変形例が想定される。
またホログラムメモリにおけるアンブル要素ホログラムhAの配置状態も、例示した以外にも多様に考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の実施の形態のホログラムメモリの記録再生の説明図である。
【図2】実施の形態のホログラムメモリの要素ホログラムの説明図である。
【図3】実施の形態のホログラムリーダの手動スキャン動作例の説明図である。
【図4】実施の形態のホログラムリーダの手動スキャン動作例の説明図である。
【図5】実施の形態の要素ホログラム記録の際の二次元変調の説明図である。
【図6】実施の形態の要素ホログラムに記録されるグループサブシンクの説明図である。
【図7】実施の形態のグループサブシンクの説明図である。
【図8】実施の形態の要素ホログラムに記録されるグループメインシンクに付加されるメイン同期シンボルの説明図である。
【図9】実施の形態の要素ホログラムに記録されるグループメインシンクの説明図である。
【図10】実施の形態の要素ホログラムとされる物理ページの説明図である。
【図11】実施の形態のデータページの二次元画像の説明図である。
【図12】実施の形態のアンブルページの二次元画像の説明図である。
【図13】実施の形態のホログラムメモリのアンブル要素ホログラムとデータ要素ホログラムの配置例の説明図である。
【図14】実施の形態のホログラムメモリのアンブル要素ホログラムとデータ要素ホログラムの配置例の説明図である。
【図15】実施の形態のホログラムリーダのブロック図である。
【図16】実施の形態のホログラムリーダの再生処理のフローチャートである。
【図17】実施の形態の部分撮像動作の説明図である。
【図18】実施の形態の幾何歪み補正の説明図である。
【図19】実施の形態の要素ホログラムに対するスキャン動作の説明図である。
【符号の説明】
【0093】
3 ホログラムメモリ、6 ホログラムリーダ、10 撮像部、12 撮像素子、15 ホログラムスキャン制御部、20 信号処理部、21 メモリコントローラ、22 光学補正変数算出部、23 幾何歪み補正変数算出部、24 二値化部、25 復号部、26 変数用メモリ、27 補正初期値用メモリ、30 メモリ部、31 情報用メモリ、32 不揮発性メモリ、40 外部機器IF部、41 外部機器インターフェース、51 システムコントローラ
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声/音楽等の音情報、静止画/動画等の画像情報、又はテキストファイル等のデータ情報を二次元画像化し、要素ホログラムとして記録したホログラム記録媒体と、ホログラム記録媒体から光学的に要素ホログラムの二次元画像を読み取り、読み取った二次元画像から情報を再生するホログラム再生装置、ホログラム再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2005−173646号公報
【0003】
シート状の記録媒体に情報を記録する例として、バーコード、QRコード、ドットコード等に代表される1次元コード又は2次元コードが挙げられる。しかし、これらの情報記録媒体は、単位面積あたりに記録できる情報量が数十から数キロバイト程度と極めて低い。この原因は、単なる画像の濃淡印刷の記録分解能に物理的な限界があるからである。
【0004】
また、同じくシート状の記録媒体としては、物体光と参照光の干渉縞によって各種データを記録するホログラム記録媒体も知られている。そしてホログラム記録媒体は、記録密度を飛躍的に向上させ、著しい大容量化が可能であることも知られており、例えばコンピュータデータや、オーディオやビデオ等のAV(Audio-Visual)コンテンツデータなどに対する大容量のストレージメディアとして有用であると考えられている。
【0005】
ホログラム記録媒体にデータを記録する際には、データを二次元ページデータとして画像化する。そして液晶パネル等に画像化したデータを表示させ、その液晶パネルを透過した光を物体光、つまり二次元ページデータの像となる物体光をホログラム記録媒体に照射する。加えて、所定の角度から参照光をホログラム記録媒体に照射する。このとき物体光と参照光によって生ずる干渉縞が、ドット状や短冊状などの1つの要素ホログラムとして記録されることになる。つまり1つの要素ホログラムは、1つの二次元ページデータを記録したものとなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、例えばシート状等のホログラムメモリを考え、コンピュータデータやAVコンテンツデータなどを記録し、一般ユーザーがホログラムリーダとしての再生装置を用いて、ホログラムメモリに記録されたデータを取得できるようにするシステムを考える。
シート状のホログラムメモリとは、メディア表面としての平面上に多数の要素ホログラムを敷き詰めるように記録するものであり、このメディア表面に対してホログラムリーダを対向させて、各要素ホログラムとして記録されたデータを読み取っていくようにするものである。
【0007】
このようなホログラムメモリに記録された各要素ホログラムを、ホログラムリーダ内のCMOSイメージャーなどのセンサーでスキャンして読み取るときに、手動でスキャンした場合は手振れがとても起こりやすい。また機械的にスキャンを行う自動スキャンであっても、ホログラムメモリとセンサーの位置関係が少しずれたり、斜めにスキャンしたり、常に最適条件でスキャンしているとは限らない。
そしてこのような事情から、読み取った二次元画像には、回転方向、水平方向、垂直方向等の幾何学的なずれや歪みが生じる。このような幾何学的なずれや歪みが生ずると、読み取り誤差が発生しやすくなり再生エラーレートが悪化する。
【0008】
そこで本発明は、要素ホログラムから得られる再生像光を撮像した二次元画像について幾何学的なずれを適正かつ効率よく補正できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のホログラム記録媒体は、二次元画像の物体光と記録用参照光とを干渉させ、干渉縞によって上記二次元画像が要素ホログラムとして記録されるホログラム記録媒体であって、上記要素ホログラムとして、記録する情報を二次元画像化したデータパターンとシンクパターンとを有する第1の二次元画像を記録した第1の要素ホログラムと、上記要素ホログラムとして、シンクパターンのみを有する第2の二次元画像を記録した第2の要素ホログラムとが記録されたものである。
また上記シンクパターンは、メインシンクパターンとサブシンクパターンとが二次元方向の所定位置に配置された画像パターンとする。
また上記要素ホログラムは、ホログラム記録媒体としての記録平面上に二次元配列されるとともに、上記第2の要素ホログラムは、上記二次元配列における端辺部に記録されるようにする。
【0010】
本発明のホログラム再生装置は、上記ホログラム記録媒体から、上記情報を再生するホログラム再生装置であり、上記ホログラム記録媒体に再生用参照光を照射するとともに上記ホログラム記録媒体の要素ホログラムからの再生像光としてあらわれる二次元画像を撮像する撮像手段と、上記撮像手段で撮像された二次元画像が上記第2の二次元画像であった場合、その二次元画像に対する幾何歪み補正演算を行って補正初期値を算出し、また、上記撮像手段で撮像された二次元画像が、上記第1の二次元画像であった場合、その二次元画像に対して、上記補正初期値を用いて幾何歪み補正演算を行う幾何歪み補正手段と、上記幾何歪み補正演算の結果により補正された二次元画像に対して復号処理を行い、上記情報を再生する復号処理手段とを備える。
また、上記幾何歪み補正手段は、上記第2の二次元画像が上記撮像手段で撮像されるたびに、上記補正初期値を算出するとともに、上記第1の二次元画像が上記撮像手段で撮像された際に、算出されている最新の上記補正初期値を用いて幾何歪み補正を行う。
また上記撮像手段で得られた二次元画像を記憶する情報用メモリ手段と、補正変数を記憶する変数用メモリ手段とを更に備えるようにする。そして上記幾何歪み補正手段は、上記情報用メモリ手段に記憶された二次元画像を読み出して幾何補正変数を算出し、算出した幾何補正変数を上記変数用メモリ手段に記憶させるととともに、二次元画像の二値化処理のために上記情報用メモリ手段から二次元画像を読み出すときに、上記変数用メモリ手段に記憶された上記補正変数に基づいて、上記情報用メモリ手段から読み出す二次元画像のアドレスを決定することで、二次元画像に対する幾何歪み補正を行う。
【0011】
本発明のホログラム再生方法は、上記ホログラム記録媒体に再生用参照光を照射するとともに、上記ホログラム記録媒体の要素ホログラムからの再生像光としてあらわれる二次元画像を撮像する撮像ステップと、上記撮像ステップで撮像された二次元画像が、上記第2の二次元画像であった場合、その二次元画像に対する幾何歪み補正演算を行って補正初期値を算出する補正初期値算出ステップと、上記撮像ステップで撮像された二次元画像が、上記第1の二次元画像であった場合、その二次元画像に対して、上記補正初期値を用いて幾何歪み補正演算を行う幾何歪み補正ステップと、上記幾何歪み補正ステップでの演算結果により補正された二次元画像に対して復号処理を行い、上記情報を再生する復号ステップとを備える。
【0012】
このような本発明ではホログラム再生装置によってホログラム記録媒体に対するスキャンを行う場合、第2の要素ホログラムからシンクパターンのみを有する第2の二次元画像が読み取れることになる。このときに、二次元画像のシンクパターンから幾何学的な補正を行い、補正初期値を算出する。この場合、二次元画像上にはシンクパターンのみであってデータパターンは存在しないことから、幾何歪み補正演算は効率よく実行できる。
そして実際に情報がデータパターンとして記録された第1の要素ホログラムから第1の二次元画像が撮像された際には、上記補正初期値を用いて幾何歪み補正を行う。データパターンを含む第1の二次元画像は複雑な画像パターンとなって、幾何歪みが大きいほど幾何歪み補正の演算量が多くなるが、補正初期値を用いることで、幾何歪みが少ない状態から補正演算を行うことができる。つまり幾何歪み補正演算を著しく効率化できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第2の要素ホログラムからシンクパターンのみを有する第2の二次元画像が読み取れた際に、その二次元画像のシンクパターンから幾何学的な補正を行い、補正初期値を算出する。そして実際に情報がデータパターンとして記録された第1の要素ホログラムから第1の二次元画像が撮像された際には、補正初期値を用いて幾何歪み補正を行う。これにより、幾何歪み補正演算を著しく効率化できるとともに、適正な幾何歪み補正が実現される。従って幾何歪み補正が適正になされた二次元画像に対する復号を行うことで、デコードエラーを低減し、再生エラーレートが改善され、高性能な再生装置を実現できるという効果がある。
【0014】
また、第2の要素ホログラムがホログラム記録媒体の二次元配列における端辺部に記録されていることで、第1の要素ホログラムの読取に先だって第2の要素ホログラムを読み出すことに好適である。つまり第1の二次元画像の幾何歪み補正に先立って、補正初期値を算出する動作に適している。
また、第1の二次元画像が撮像された際に、最新の補正初期値を用いて幾何歪み補正を行うことで、幾何歪み補正の際に最も適切な補正初期値を用いることができ、補正精度や補正演算効率を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を次の順序で説明する。
[1.ホログラムメモリの記録再生]
[2.ホログラムメモリの要素ホログラム配置]
[3.ホログラムリーダの構成]
[4.再生処理]
[5.実施の形態の効果]
【0016】
[1.ホログラムメモリの記録再生]
まずホログラムメモリ3に対する基本的な記録再生動作について図1で説明する。
図1(a)はホログラムメモリ3に対するデータ記録の様子を示している。例えばコンテンツデータやコンピュータプログラム等としてのデータをホログラムメモリ3に記録する場合、その記録データ全体は、多数の1ページ分のデータにエンコードされる。
例えばコンテンツデータ等の全体のデータが多数の所定サイズのデータブロックに分割され、ブロック単位でエンコード処理が行われる。
エンコードされた単位としての1つのデータブロックは、図示するような例えば二次元画像DPに変換され、液晶パネル1において表示される。
所定の光源から出力され、例えば平行光とされたレーザ光L1は、二次元画像DPが表示された液晶パネル1を通過することで、その二次元画像DPの像としての物体光L2となる。
この物体光L2は、集光レンズ2で集光され、ホログラムメモリ3上にスポットとして集光される。
このとき、ホログラムメモリ3に対しては、所定角度で記録参照光L3を照射する。これにより物体光L2と参照光L3が干渉し、その干渉縞によりドット状の要素ホログラムが記録されることになる。
なおこのように集光レンズ2を用いる場合、要素ホログラムとして記録されるデータは、集光レンズ2のフーリエ変換作用により、記録データの像のフーリエ像となる。
【0017】
このようにしてホログラムメモリ3に1つの要素ホログラムが記録されるが、順次エンコード単位のデータブロックが、同様に二次元画像DPに変換され、液晶パネル1に表示され、それぞれ要素ホログラムとして記録されていく。
各要素ホログラムの記録の際には、図示しない移送機構により、ホログラムメモリ3(ホログラム材料)の位置を移送させ(もしくは記録光学系を移送させ)、要素ホログラムの記録位置をホログラムメモリ3の平面上で僅かにずらせていく。これにより、例えばシート状のホログラムメモリ3に、その平面方向に多数の要素ホログラムが配置されるように記録が行われていくことになる。例えば図2には、1つの要素ホログラムを○で表しているが、このように平面上に多数の要素ホログラムが形成される。
【0018】
このように要素ホログラムが記録されたホログラムメモリ3に対しては図1(b)のように再生が行われる。図1(b)に示すコリメータレンズ4及びイメージャ5は、ホログラムリーダとしての再生装置内に設けられる構成である。
ホログラムメモリ3に対しては、記録時と同じ照射角度で、再生参照光L4を照射する。再生参照光L4を照射すると、要素ホログラムとして記録された再生像が得られる。つまり二次元ページデータの像が、記録時の液晶パネル1と共役な場所に現れる。これをイメージャ5で読み取ればよい。
即ちホログラムメモリ3からの再生像光L5はコリメータレンズ4で平行光とされ、例えばCCD撮像素子アレイ、もしくはCMOS撮像素子アレイなどで形成されたイメージャ5に入射する。ホログラムメモリ3上でのフーリエ像は、コリメータレンズ4で逆フーリエ変換されて二次元ページデータの像となるため、この二次元画像DPとしての再生像がイメージャ5で読み取られる。
イメージャ5は再生像に応じた電気信号としての再生像信号を発生させる。この再生像信号についてデコード処理を行うことで、元々のデータ、つまり記録のために二次元ページデータに変換する前のデータが得られることになる。
ホログラムメモリ3上の多数の要素ホログラムについて同様にデータ読出を行っていくことで、記録された元々のコンテンツデータ等を再生することができる。
【0019】
上記のように要素ホログラムによってデータが記録されるホログラムメモリ3は密着コピーによる大量複製も容易に可能である。
従って、図1(a)のようにしてホログラム材料上に要素ホログラムを記録したホログラムメモリ3は、それをそのまま一般ユーザーに提供するホログラムメモリとしても良いが、これをマスターメディアとし、密着コピーにより大量のホログラムメモリの複製に用いてもよい。
例えばコンピュータデータやAVコンテンツデータなどをホログラム記録媒体に記録し、これを広く頒布するとともに、一般ユーザーが再生装置(ホログラムリーダ6)を用いて、ホログラムメモリ3に記録されたデータを取得できるようにするシステムなどを想定した場合、図1(a)のようにしてホログラムマスターメディアを生成し、そのマスターメディアから複製されたホログラムメモリを頒布して、ユーザーサイドで図1(b)の動作でデータを読み出すようにすることが好適である。
【0020】
後述する本実施の形態の再生装置としてのホログラムリーダ6は、ホログラムメモリ3に対して再生参照光L4を照射して各要素ホログラムを読み取っていくスキャンを行う。このスキャン方式としては、ユーザーが実行する手動スキャン方式と、ホログラムリーダ6が機構的に実行する自動スキャン方式とが考えられる。
【0021】
手動スキャン方式の例を図3に示す。図3(a)には一例として、オーディオコンテンツなどのデータが記録されたホログラムメモリ3が、ポスターPT等に貼付されている状態を示している。ホログラムリーダ6は、ユーザーが手に持てる程度に小型軽量の機器とされている。このホログラムリーダ6の筐体上の一面には、上述した再生参照光L4を出力する光源や、ホログラムメモリ3からの再生像光を取り込むためのレンズ系などが形成されている。
ユーザーは図のようにホログラムリーダ6を持って、その筐体の一面側がホログラムメモリ3に対向するようにした状態で近接させ、ホログラムリーダ6を任意の方向に振るようにする。このとき、再生参照光L4が所定角度で照射された要素ホログラムの再生像がホログラムリーダ6によって読み取られていく。
なお、図3(a)にはホログラムリーダ6をホログラムメモリ3から離した状態でユーザーが左右に振るような様子を示しているが、図4に示すように、ホログラムリーダ6の筐体の一部をホログラムメモリ3の表面上に接触させた状態で上下左右に振る、つまり摺動させるようなスキャン方式も想定される。
【0022】
図3(b)は、多数の要素ホログラムh1〜h24が記録されたホログラムメモリ3を模式的に示しているが、ユーザーは任意に、例えば左右にホログラムリーダ6を振ることで、ホログラムメモリ3に対する読出スキャンの軌跡(再生参照光L4のスポットの軌跡)は破線で示すようになる。
実際にユーザーがどのようにホログラムリーダ6を移動させるかは全く不定であるため、再生参照光L4のスポットは、全く不規則かつ不安定に、ホログラムメモリ3上の要素ホログラムに照射される。この状態で、再生参照光L4のスポットが照射された要素ホログラムの再生像がホログラムリーダ6に読み取られていくことになる。つまり各要素ホログラムh1〜h24は、それぞれ、確率的に読み出しが行われる。ホログラムリーダ6側では読み取れた要素ホログラムから順にデコードして蓄積し、必要量のデータがデコードできた時点で、再生データを再構成すればよい。
【0023】
一方、自動スキャン方式とは、ホログラムリーダ6が例えば内部のスキャン機構(後述する図15に示すカメラ制御機構部13)の動作によって再生参照光L4の照射位置を移動させたり、或いはコリメータレンズ4及びイメージャ5を保持するユニットを移動させて行くことで、ホログラムメモリ3上の各要素ホログラムを順次読み取っていく方式である。例えば図4のようにホログラムリーダ6をポスター等に貼付されたホログラムメモリ3に対向させた状態で自動スキャンを行うことが考えられる。即ちその場合は、ユーザーは単にホログラムリーダ6をホログラムメモリ3の正面に維持していればよく、スキャン機構によって再生参照光L4の照射位置やレンズ系が移動されることで、ホログラムメモリ3上の各要素ホログラムに対するスキャンが行われる。
又は、例えばホログラムメモリ3としてのシートをカード状の基板部に貼付した形式のメディアとし、これをホログラムリーダ6内に装填し、ホログラムリーダ6内でスキャン動作を行って各要素ホログラムを読み取っていくような方式も想定できる。
【0024】
[2.ホログラムメモリの要素ホログラム配置]
実施の形態の再生装置(ホログラムリーダ6)が再生を行うホログラムメモリ3における記録様式を説明する。
上記図2のように、ホログラムメモリ3には多数の要素ホログラムが二次元的に配置されるが、図1で説明したように、各要素ホログラムには、それぞれ1ページ分の二次元画像DPが記録される。
図2では、ホログラムメモリ3の平面上に、横方向に32個の要素ホログラム、縦方向に24個の要素ホログラムを配置した例を示している。各要素ホログラムには例えば512×384画素(ピクセル)の二次元情報を記録する。
元々の記録データを図1(a)に示したように二次元画像DPとすること、及び二次元画像化したデータを記録する要素ホログラムを、図2のように二次元配列することで、合計4次元の情報がホログラムメモリ3に記録可能である。
【0025】
1つの要素ホログラムに記録される二次元画像の例を図11に示している。
この図11のような二次元画像が、上記した512×384画素の二次元情報である。記録データのエンコード過程では、最終的にこの512×384画素の二次元情報が、物理ページとして生成され、その物理ページが図1(a)のように液晶パネル1に表示されることで、当該物理ページを記録した1つの要素ホログラムが形成される。
【0026】
物理ページとしての二次元画像を生成するまでのエンコード過程を以下に述べる。
図5(a)にD0〜D7の8ビットのバイナリコードとしてのバイトデータを示す。このバイトデータは、コンテンツデータ等の元々の記録データについて、エラー訂正符号化やインターリーブ処理などの符号化処理が施されて得られた記録用のデータストリームにおける1バイトである。
この図5(a)のバイトデータは、図5(b)の4×4ピクセル(画素)の二次元パターンとしての二次元コードシンボルに変換される。この二次元パターンの各画素P0、P1・・・Pfのうち、Pf、Pb、Peを除く13個の画素が、バイトデータの値、つまりD0〜D7の8ビット値に応じて、白レベルまたは黒レベルのいずれかが選択される。13個の画素の内、3個は白レベル、10画素を黒レベルとする。そして3つの白レベルの画素の組み合わせにより、1バイト値、つまり「00000000」〜「11111111」までが表現される。
なお8ビットのバイトデータを表現するためには、
28=256[symbol]
の二次元コードシンボルが必要となる。ここで、「C」でコンビネーションを表し、13個のうちから3つの組み合わせの種類の数を求めると、
13C3=286[symbol]
であるので、二次元コードシンボルの画素数は13画素以上あれば、上記256通りの組合せを表現可能である。つまり上記のようにPf、Pb、Peを除く13個の画素を用いたパターンで1バイト値を表現できる。
例として、図5(c)に値「01011010」、つまり「5Ah」(hは16進表記を表す)のバイトデータを示しているが、これは図5(d)の二次元コードシンボルに変換される。この例では、画素P1、P7、P9の3つの画素が白レベルとされる。
【0027】
4×4画素のうち、画素Pf、Pb、Peについては、画素Pfをサブシンクピクセルとして、補助同期パターン用の画素に割り当てる。この画素Pfには後述するグループサブシンク(Group-SS)生成時に白レベルまたは黒レベルのいずれかを割り当てる。
また画素Pb,Peを、サブシンクピクセルをガードするサブシンクガードピクセルとする。この画素Pb,Peは常時黒レベルとする。
【0028】
1バイトのデータは以上のように4×4画素の二次元コードシンボルに変換されるが、4バイト分、つまり4つの4×4画素の二次元コードシンボルから、グループR(Group-R:Group Rotated・・回転グループ)が生成される。
図6(a)(b)(c)(d)として、4つのグループRを示している。即ち図6(a)はバイトデータA,B,C,Dから生成されたグループR、図6(b)はバイトデータE,F,G,Hから生成されたグループR、図6(c)はバイトデータI,J,K,Lから生成されたグループR、図6(d)はバイトデータM,N,O,Pから生成されたグループRである。
1つのグループRは、4つの二次元コードシンボルがそれぞれ所定回転された後に合成されて生成される。
例えば図6(a)のグループRは、バイトデータA、バイトデータB,バイトデータC,バイトデータDの各二次元コードシンボルが合成されるが、この4つの各二次元コードシンボルは、次のように回転操作を施した上で合成される。
バイトデータAの二次元コードシンボル:回転無し。
バイトデータBの二次元コードシンボル:右90°回転。
バイトデータCの二次元コードシンボル:180°回転。
バイトデータDの二次元コードシンボル:左90°回転。
そして、このように回転させた4シンボルを結合し、図6(a)に示す8×8画素のグループRが生成される。
【0029】
図6(a)(b)(c)(d)のグループRが、このようにして生成されたら、この4つのグループRを結合し、図6(e)のように16×16画素のグループサブシンク(Group -SS)を生成する。このとき、バイトデータC,H,I,Nについての4×4画素の二次元パターンにおける画素Pfに白レベルが割り当てられていることで、図示するようにグループサブシンクの中央に集まった2×2ピクセルの4つの画素Pfが4画素分の白領域を形成する。これがサブシンクパターンSSとなる。
また、他のバイトデータA,B,D,E,F,G,J,K,L,M,O,P,の画素Pfについては黒レベルを割り当てることで、グループサブシンク上での白画素の頻度を抑圧する。
図7には、このように生成された16×16画素のグループサブシンクの一例を示している。図のように中心の白レベルの4ピクセル分でサブシンクパターンSSが形成され、また各4×4画素単位でバイトデータ値に応じて白レベル画素と黒レベル画素が形成される。
【0030】
図8(a)(b)はメイン同期シンボルを示す。メイン同期シンボルは、上記のグループサブシンクと同じ、16×16画素で形成される。
このメイン同期シンボルと、上記グループサブシンクが合成されて後述するグループメインシンクが形成される。
メイン同期シンボルMSは、その二次元パターンが奇数番目のグループメインシンク用と偶数番目のグループメインシンク用で使い分けられている。
図8(a)は偶数番目のグループメインシンクに付加されるメイン同期シンボル、図8(b)は奇数番目のグループメインシンクに付加されるメイン同期シンボルを示している。
図8(a)の偶数番目のグループメインシンクのメイン同期シンボルMSは、16×16画素の二次元パターンとして、中央の8×8画素が白レベルで、その周囲の画素が全て黒レベルとされたパターンである。
図8(b)の奇数番目のグループメインシンクのメイン同期シンボルMSは、同じく16×16画素の二次元パターンにおいて、中央に◇状(菱形)となるように白レベルの画素が割り当てられている。
【0031】
グループサブシンク(Group -SS)とメイン同期シンボルMSで形成されるグループメインシンク(Group -MS)を図9に示す。グループメインシンクは、グループサブシンクが横方向に8個、縦方向に8個配列されて形成される。従って128×128画素の単位となる。
但し、任意の位置のグループサブシンクを空白とし、メイン同期シンボルMSが挿入される。図9では略中央にメイン同期シンボルMSを配置した例を示している。
なお、この図9は偶数番目のグループメインシンクの例であるため、図8(a)のメイン同期シンボルが挿入される。奇数番目のグループメインシンクの場合、同様の位置に図8(b)のメイン同期シンボルが配置されることになる。
【0032】
このようなグループメインシンクが、さらに二次元平面に配列されたものが物理ページとなる。図10に物理ページの構成例を示す。
ここでは横方向にpグループ、縦方向にqグループとなるようにグループメインシンクGroup-MS[0][0]・・・Group-MS[p-1][q-1]が配列されて物理ページ(Physical Pages)が形成された例を示している。
このような物理ページ(Physical Pages)の画像が図1の二次元ページデータとして液晶パネル1に表示される。
【0033】
なお、図10の物理ページには、各グループメインシンクに「EVEN」「ODD」として偶数番目のグループメインシンクと奇数番目のグループメインシンクを示した。そして縦方向/横方向ともに奇数番目グループメインシンク/偶数番目グループメインシンクが交互に配置されている。
上述のように、偶数番目のグループメインシンクでは図8(a)のメイン同期シンボルが付加され、奇数番目のグループメインシンクでは図8(b)のメイン同期シンボルが付加されている。
【0034】
なお、メイン同期シンボルMSは、二次元画像の相対位置及び位置同期をとるための特殊なパターンであり、媒体特性や光学系の性能に応じて、二次元的に適宜配置する。
またグループサブシンク内のサブシンクパターンSSは、グループサブシンク内のミクロな幾何学歪みを検出するためのパターンであり、メイン同期シンボルMSは、マクロな幾何学歪みを検出するためのパターンである。
【0035】
物理ページとして形成される二次元画像DPの実例を図11,図12に示す。ここでは上記p=4、q=3として、水平方向に4グループ、垂直方向に3グループのグループメインシンクが配列されてなる物理ページを例示している。1つのグループメインシンクは128×128画素であるため、この物理ページは、512×384画素で構成されることになる。
グループサブシンクの単位で言えば、グループサブシンクが水平方向に32個、垂直方向に24個配置されて物理ページが構成される。
【0036】
ここで図11は、記録するデータを上述のように二次元コードシンボル化し、サブシンクパターンSSを含むグループサブシンクを形成し、更にグループメインシンクを形成し、さらに水平方向に4グループ、垂直方向に3グループのグループメインシンクを配列して物理ページとした二次元画像である。
即ちこの図11は、記録する情報を二次元画像化したデータパターンと、シンクパターン(サブシンクパターンSS及びメイン同期シンボルMS)とを有する第1の二次元画像としての例である。
一方、図12は、有効な記録データの二次元コードシンボルを含まずに、サブシンクパターンSSとメイン同期シンボルMSのみを含む第2の二次元画像の例である。サブシンクパターンSS、及びメイン同期シンボルMSを表現する画素のみが白レベル(明レベル)であり、他は全て黒レベル(暗レベル)とされた二次元画像である。
【0037】
記録するコンテンツデータ等の各データブロックが、この図11のような二次元画像とされ、1つの要素ホログラムとして記録されていくことで、ホログラムメモリにコンテンツデータ等が記録されるものであるが、本例では、図12のようなコンテンツデータ等の主データを含まない二次元画像も、要素ホログラムとして記録される。
図13に第1,第2の二次元画像を記録する要素ホログラムの配置例を示す。
【0038】
図11のような第1の二次元画像を記録した要素ホログラムは、即ちデータページとしての要素ホログラムであり、説明上、以下、データ要素ホログラムhDと呼ぶ。また図12のように主データを含まないシンクパターンのみの第2の二次元画像(アンブルページ)を記録した要素ホログラムを、アンブル要素ホログラムhAと呼ぶこととする。
図13では、ホログラムメモリ3の平面上の配置として、○でデータ要素ホログラムhDを示し、また斜線を付した○でアンブル要素ホログラムhAを示している。
【0039】
図13(a)は、二次元配列される要素ホログラムにおいて、左端、右端の各1列の要素ホログラムが、アンブル要素ホログラムhAとされている例である。この図13では簡単のため、配列される要素ホログラムの数を11×11個で示しているが、例えば上記図2の配列を想定した場合、この図13(a)の配列は図14に示すようになる。即ち、左端の1列の24個の要素ホログラムと右端の1列の24個の要素ホログラムは、アンブル要素ホログラムhAとされ、図示するようにアンブルページとしての二次元画像が記録される。これ以外の第2列目から第31列目までの要素ホログラムは、データ要素ホログラムhDとされ、図示するようにデータページとしての二次元画像が記録されている。
【0040】
後述するが、本実施の形態のホログラムリーダ6では、アンブル要素ホログラムhAを読み込んで、幾何歪み補正の補正初期値を算出し、データ要素ホログラムhDを読み込んだ場合は、上記補正初期値を利用して幾何歪み補正演算を行う。このためデータ要素ホログラムhDを読み込む前に、アンブル要素ホログラムhAを読み込むことが好適である。ここで、上述したユーザーによる手動スキャンにおいて、ユーザーが左右にホログラムリーダ6を移動させる動作を考えると、図13(a)のように二次元配列における左右の端辺部の要素ホログラムをアンブル要素ホログラムhAとすることが好適と言える。つまり最初にアンブル要素ホログラムhAをスキャンする確率が高くなるためである。
【0041】
また、同様の理由で、ユーザーによる手動スキャンが二次元配列に対して上下方向にホログラムリーダ6を移動させることを想定するなら、図13(b)のように、二次元配列における上端の行と、下端の行の要素ホログラムをアンブル要素ホログラムhAとすることが適切となる。
更には、図13(c)のように二次元配列の周囲を囲むようにアンブル要素ホログラムhAを配置すれば、ユーザーの上下左右方向の不定の手動スキャンが行われる場合でも、アンブル要素ホログラムhAをデータ要素ホログラムhDより先に検出できる確率が高くなり、好適である。
【0042】
図13(d)(e)(f)は、さらに二次元配列において、端辺部以外にもそれぞれ図示するようにアンブル要素ホログラムhAを配置した例である。
これも後述するが、ホログラムリーダ6では、アンブル要素ホログラムhAが読み込めるたびに幾何歪み補正の補正初期値を算出していく。そしてデータ要素ホログラムhDが読み込まれた際には、最新の補正初期値を用いる。
幾何歪み補正とは、撮像する二次元画像の垂直方向、水平方向、回転方向などのズレを補正するものであるが、手動スキャンの場合においてスキャン軌跡が不定であることを考えると、あるデータ要素ホログラムhDに対して直近に読み込まれたアンブル要素ホログラムhAは、幾何歪みの状況が似通っているといえる。つまり補正初期値が適正な初期値になっているといえる。そのことから、なるべく頻繁に補正初期値が算出されていくことが好ましい。図13(d)(e)(f)のようにアンブル要素ホログラムhAを配置すれば、幾何歪み補正の補正初期値を算出する機会が多くなり、データ要素ホログラムhDの二次元画像の幾何歪み補正に対して、より適切な補正初期値を与えることができる。
【0043】
[3.ホログラムリーダの構成]
実施の形態のホログラムリーダ6(ホログラム再生装置)の構成を図15で説明する。
ホログラムリーダ6は、撮像部10、信号処理部20、メモリ部30、外部機器IF部40の4つのブロックを有する。これら各部は、システムコントローラ51の制御に基づいてそれぞれ所要の動作を行う。
【0044】
システムコントローラ51は、例えばマイクロコンピュータにより形成され、ホログラムメモリ3からのデータ読取のための動作を実行するために各部を制御する。
またシステムコントローラ51は操作部53の操作情報を監視し、ユーザーの操作に応じて必要な制御を行う。またシステムコントローラ51は、表示部52を制御してユーザーに提示する各種の情報の表示を実行させる。
【0045】
撮像部10は、ホログラムメモリ3の要素ホログラムから再生される二次元画像を撮像するためのブロックであり、コリメータレンズ11、撮像素子部(イメージャ)12、カメラ制御機構部13、発光駆動部14、ホログラムスキャン制御部15、参照光光源16を有して構成される。
コリメータレンズ11、撮像素子部12は、図1(b)で説明したコリメータレンズ4及びイメージャ5に相当する。撮像素子部12はCMOSイメージセンサ、或いはCCDイメージセンサ等の二次元画像を検出する装置である。
カメラ制御機構部13は撮像素子部12(或いは参照光光源16)とホログラムメモリ3との位置関係を制御するための装置であり、可動部を手動または自動で制御する機能を持つ。なお、図3,図4で説明したような手動スキャン方式を採用する場合は、このカメラ制御機構部13は不要となる。
参照光光源16は、図1に示した記録時の記録参照光L3と同じ角度でホログラムメモリ3に対して再生参照光L4を照射するようにホログラムリーダ6の筐体上に配置されている。例えばLED(Light Emitting Diode)或いは半導体レーザによる参照光光源16は、発光駆動部14によって発光される。発光駆動部14は、当該ホログラムリーダ6によってホログラムメモリ3の再生を行う場合に、システムコントローラ51の指示によって参照光光源16を発光駆動する。
ホログラムスキャン制御部15は、撮像素子部12から読み取られた二次元画像の状態及び変数用メモリ26に格納されたこれまでのスキャン状況を元にホログラムスキャンの撮像タイミングと読み出し画素を決定し、スキャンタイミング信号、スキャンアドレス信号を撮像素子部12に与えて撮像素子部12での撮像動作を制御する。また撮像素子部12で得られた二次元画像信号の処理を行う。
【0046】
信号処理部20は、撮像部10にて撮像された一連の二次元画像に信号処理を施すためのブロックであり、メモリコントローラ21、光学補正変数算出部22、幾何歪み補正変数算出部23、二値化部24、復号部25、変数用メモリ26、補正初期値用メモリ27で構成される。
メモリコントローラ21は、ホログラムスキャン制御部15、光学補正変数算出部22、幾何歪み補正変数算出部23、二値化部24、復号部25の各々と、メモリ部30とのデータ読み書きのアービトレーションをとる。
光学補正変数算出部22は、二次元画像内の輝度バラツキの状態を検出し、光学補正変数を決定する。
幾何歪み補正変数算出部23は、二次元画像内の幾何学的な歪みを検出し、幾何補正変数を決定する。
二値化部24は、光学補正変数及び幾何補正変数を元に、二次元画像を二値化する。
復号部25は二値化部24二値化されたデータを復号し、ホログラムメモリ3から読み出した情報を再生する。
変数用メモリ26は光学補正変数算出部22で算出された光学補正変数、幾何歪み補正変数算出部23で算出された幾何補正変数を格納する。
補正初期値用メモリ27は、幾何歪み補正変数算出部23が幾何歪み補正のための補正初期値を算出したときに、その補正初期値用を記憶する。
【0047】
メモリ部30は、ホログラムスキャン制御部15から転送されてくる二次元画像を記憶する機能と、信号処理部20にて行われる信号処理中間結果を記憶する機能、復号部25にて復号された情報を記憶する機能を有する装置であり、情報用メモリ31と不揮発性メモリ32で構成される。
情報用メモリ31は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)で構成され、ホログラムスキャン制御部15から転送されてくる二次元画像を記憶する記憶領域とされる。記憶した二次元画像は、光学補正変数算出部22、幾何歪み補正変数算出部23、二値化部24の処理のために読み出される。
不揮発性メモリ32は復号部25で復号された情報、例えば音声/映像情報等の記憶領域とされる。
【0048】
外部機器IF部40は、このホログラムリーダ6で読み出した音声/映像情報等を外部機器100へ伝送する装置であり、外部機器インターフェース41を備える。
【0049】
ホログラムメモリ3からのデータ読出の際の各部の動作を述べる。
ホログラムメモリ3に対するスキャンを行う際には、発光駆動部14が参照光光源16を発光駆動する。再生参照光L4が照射されたホログラムメモリ3からは、要素ホログラムの再生像光が得られ、これがコリメータレンズ4を介して撮像素子部12に結像する。撮像素子部12に結像した二次元画像は、電気信号に変換されてホログラムスキャン制御部15に転送される。
【0050】
ホログラムスキャン制御部15は、撮像素子部12の動作を制御すると共に、撮像素子部12によって得られる二次元画像信号の処理を行う。
即ちホログラムスキャン制御部15は、撮像素子部12に対してスキャンタイミング信号、スキャンアドレス信号等を供給して、いわゆる撮像動作により固体撮像素子アレイで得られる二次元画像信号を順次転送出力させる。そして撮像素子部12から転送されたきた二次元画像信号について、サンプリング処理、AGC処理、A/D変換処理等を施して出力する。
【0051】
ホログラムスキャン制御部15から出力されるデジタルデータ化された二次元画像信号は、メモリコントローラ21の制御によって情報用メモリ31に記憶される。
【0052】
情報用メモリ31に記憶された二次元画像信号については、光学補正変数算出部22で、光学補正変数が算出される。即ち情報用メモリ31から光学補正変数算出部22に二次元画像信号が転送され、光学補正変数算出部22で光学的な原因によるデータ値の変動である光学歪み補正や、明るさ調整補正のための補正変数が算出される。光学補正変数算出部22は、算出した光学補正変数を変数用メモリ26に格納する。
なお、光学補正変数算出部22は、実際に二次元画像信号に対して光学補正処理を行うものではなく、光学補正変数を算出して変数用メモリ26に格納する処理を行うのみである。つまり、二次元画像信号を補正し、補正した二次元画像信号を情報用メモリ31に転送して二次元画像信号を補正した状態に更新させる動作は行われない。
【0053】
また情報用メモリ31に記憶された二次元画像信号については、幾何歪み補正変数算出部23で、幾何補正変数が算出される。即ち情報用メモリ31から幾何歪み補正変数算出部23に二次元画像信号が転送され、幾何歪み補正変数算出部23で、画像位置ズレ補正、画像回転ズレ補正など、幾何歪み補正のための補正変数が算出される。幾何歪み補正変数算出部23は、算出した幾何補正変数を変数用メモリ26に格納する。
この幾何歪み補正変数算出部23は、上述したデータ要素ホログラムhDからのデータページの二次元画像、及びアンブル要素ホログラムhAからのアンブルページの二次元画像のいずれに対しても、幾何歪み補正変数の算出処理を行うことになるが、アンブルページの二次元画像に対して幾何歪み補正変数の算出処理を行って得た幾何補正変数については、それを補正初期値として扱い、補正初期値用メモリ27に格納する。
そしてデータページの二次元画像に対しては、補正初期値用メモリ27に記憶された補正初期値を用いて幾何歪み補正変数の算出処理を行う。この算出処理で得られた幾何補正変数を、変数用メモリ26に格納することになる。
なお、幾何歪み補正変数算出部23も、実際に二次元画像信号に対して幾何歪み補正処理を行うものではなく、幾何補正変数を算出して変数用メモリ26に格納する処理を行うのみであって、二次元画像信号を補正し、補正した二次元画像信号を情報用メモリ31に転送して二次元画像信号を補正した状態に更新させる動作は行われない。
【0054】
光学補正変数算出部22、幾何歪み補正変数算出部23での処理により、光学補正変数、幾何補正変数が変数用メモリ26に格納された二次元画像信号は、情報用メモリ31から二値化部24に転送され、二値化される。撮像素子部12によっては階調のある撮像データとして二次元画像信号が得られるが、これを白黒(明暗)の二値に変換する二値化処理を行うものである。ホログラムメモリ3から読み取るべきデータは、元々の記録データを白黒の二値のデータとして二次元ページデータ化されたものであるからである。
この二値化部24では、二値化の際に、その二次元画像信号について変数用メモリ26に格納されている光学補正変数、幾何補正変数を用いて処理を行う。即ち幾何補正変数に基づいて、情報用メモリ31からの二次元画像信号の読込の際の座標を調整し、また光学補正変数に基づいて二値化の際の閾値を設定する。
二値化部24で光学補正変数、幾何補正変数を用いた二値化処理を行うことで、二値化された二次元画像信号は、結果的に光学補正、幾何歪み補正が実行された状態となる。
二値化部24で二値化された二次元画像信号は、直接、或いは情報用メモリ31を介して、復号部25に転送される。
【0055】
復号部25は、二値化された二次元画像信号、つまり1つの要素ホログラムから得られたデータについて、デコード処理やエラー訂正処理を行い、元のデータを復号する。
復号部25は、デコードしたデータを、メモリコントローラ21に受け渡す。メモリコントローラ21は、デコードされたデータを不揮発性メモリ32に格納させる。
ホログラムメモリ3の各要素ホログラムから得られる二次元画像信号について、復号部25で順次デコードされ、不揮発性メモリ32に蓄積されていくことで、最終的に、ホログラムメモリ3に記録されている元々のデータ、例えばAVコンテンツデータやコンピュータデータ等が不揮発性メモリ32上で構築される。
【0056】
不揮発性メモリ32上で再構築されたデータは、外部機器インターフェース41により外部機器100、例えばパーソナルコンピュータや、オーディオプレーヤ或いはビデオプレーヤ等のAV装置、又は携帯電話器等の外部機器に対して、ホログラムメモリ3からの再生データとして転送される。外部インターフェース26は例えばUSBインターフェース等が想定される。もちろん外部インターフェース26はUSB以外の規格のインターフェースでもよい。ユーザーは外部機器100側で、ホログラムメモリ3からの再生データを利用できる。例えばパーソナルコンピュータでコンピュータデータを利用したり、AV装置や携帯電話等で、AVコンテンツデータを再生させることができる。
【0057】
なお図示していないが、所定の記録メディアに対して記録を行うメディアドライブを設け、再生データを、そのメディアドライブにより記録メディアに記録されるようにしてもよい。
記録メディアとしては、例えば光ディスク、光磁気ディスク等が想定される。例えばCD(Compact Disc)方式、DVD(Digital Versatile Disc)方式、ブルーレイディスク(Blu-Ray Disc)方式、ミニディスク(Mini Disc)方式などの各種方式の記録可能型のディスクが記録メディアとして考えられる。これらのディスクが記録メディアとされる場合、メディアドライブは、ディスク種別に対応したエンコード処理、エラー訂正コード処理、或いは圧縮処理等を施して、再生したデータをディスクに記録する。
また記録メディアとしてハードディスクも想定され、その場合、メディアドライブは、いわゆるHDD(ハードディスクドライブ)として構成される。
さらに記録メディアは、固体メモリを内蔵した可搬性のメモリカード、或いは内蔵型固体メモリとしても実現でき、その場合メディアドライブは、メモリカード或いは内蔵型固体メモリに対する記録装置部として構成され、必要な信号処理を行って再生したデータの記録を行う。
【0058】
さらには、例えば記録メディアに記録したAVコンテンツデータ等をメディアドライブで再生し、その再生したAVコンテンツデータ等をデコードして出力する音声再生出力系、映像再生出力系を備えることは当然考えられる。
またメディアドライブで再生したデータを外部機器インターフェース41を介して外部機器に転送することもできる。
さらに上記のCD、DVD、ブルーレイディスク、ミニディスク、メモリカード等の可搬性の記録メディアに記録した場合は、その記録メディアを外部機器で再生させることで、ユーザーはホログラムメモリ3から読み出した再生データを利用できる。
【0059】
なお、ホログラムメモリ3に対するスキャンを行ってデータを読み出す再生動作(データダウンロード動作)と、得られたオーディオ/画像等のデータを外部機器100に転送したり、或いは上記のように再生出力系で再生出力する動作は、基本的には同時に行われないとすれば、メモリ部30において、情報用メモリ31及び不揮発性メモリ32のいずれか一方、もしくは両方を再生装置に具備された他の記憶手段で代替することにより、メモリ構成を簡略化できる。
例えば上記のように光ディスクやHDDなどの記録メディアに復号したデータを記録するようにすれば、再生データ構築までは情報用メモリ31に格納し、不揮発性メモリ32を不要とすることも可能である。
【0060】
[4.再生処理]
ホログラムリーダ6による再生時の処理を図16で説明する。上述したように、本例のホログラムメモリ3には、要素ホログラムとして、データ要素ホログラムhDとアンブル要素ホログラムhAが記録されている。また、例えば手動スキャンを想定すれば、各要素ホログラムがどのような順番で読み取られるかは全く不定である。このようなシステムにおいて本例のホログラムリーダ6は、以下の処理を行うことでホログラムメモリ3の再生を行い、またそのとき幾何歪みを適切に補正し、データ再生能力を向上させる。
【0061】
図16はシステムコントローラ51の制御に基づいて図15の構成の各部で実行される処理を示している。
再生スキャンを開始する際には、システムコントローラ51は発光駆動部14を制御して参照光光源16による再生参照光L4の発光を開始させる。ホログラムリーダ6が上述したユーザーの手動スキャンを前提とした構成とされるときは、再生参照光L4を照射しながらユーザーがホログラムリーダ6を移動させることでスキャンが行われる。
またホログラムリーダ6がカメラ制御機構部13を備え、カメラ制御機構部13によってスキャン位置が制御される構成の場合は、スキャン開始と共にシステムコントローラ51はホログラムスキャン制御部15に指示してカメラ制御機構部13の動作を開始させる。
【0062】
スキャン開始に伴って、まず、ホログラムメモリ3の要素ホログラムの二次元画像における一部分の領域である部分二次元画像を撮像し、撮像した部分二次元画像から、要素ホログラムに対するトラッキング状態を判定する処理が行われる。
これはステップF101の部分撮像、ステップF102の要素トラッキング判定、ステップF103のカメラ制御の3つの処理の繰り返しにより実行される。なお、手動スキャンの場合は、ステップF103のカメラ制御は行われず、ステップF101,F102の繰り返しとなる。
再生参照光L4の照射が開始され、スキャンが開始されたらホログラムスキャン制御部15はスキャンタイミング信号、スキャンアドレス信号により撮像素子部12を制御し、所定タイミング間隔でステップF101の部分撮像を実行させて部分二次元画像信号を取り込む。そしてステップF102で、部分撮像した部分二次元画像信号からトラッキングを判定する処理を行う。
ステップF102でトラッキング状態が良好であると判定した場合は、ステップF104に移行するが、トラッキング状態が適切でないと判定されている場合は、ステップF103のカメラ制御でトラッキング位置を変更させてステップF101に戻る。或いは手動スキャンの場合は、ステップF103の処理は無いため、そのままステップF101に戻る。
【0063】
ステップF101の部分撮像とは、要素ホログラムから得られる二次元画像の一部を撮像素子部12で取り込む動作である。
図17は、撮像素子部12に結像した、或る要素ホログラムの全画像(512×384ピクセル)と、部分撮像する領域AR1の例を示している。
ホログラムスキャン制御部15は、ステップF101の部分撮像では、図15の結像画像の中から、領域AR1のみの画像を取り込む処理を行うものである。そして領域AR1の画像信号、即ち部分二次元画像信号からステップF102でトラッキング状態を判定する。
要素ホログラムの再生トラッキング状態は、輝度の明暗として現われることが知られている。そして当然ながら再生時には、なるべく明暗のくっきりした二次元画像を撮像する必要がある。
再生参照光L4のスポットが或る要素ホログラムの真上、つまり最適なトラッキング状態にあるときは、最も明暗のはっきりした二次元画像が撮像されるが、再生参照光L4のスポットが要素ホログラムからずれるに従って、明暗の曖昧な二次元画像が撮像される状態となる。つまりトラッキング状態が適切でないと、二次元画像における白レベル画素についての輝度が低下する。従って、例えば取り込んだ画像内の各画素の輝度レベルを加算し、その輝度レベル加算値の大小により、トラッキング状態を判定できる。
【0064】
但し、例えば512×384ピクセルである全画像について輝度レベルを加算して判定を行うことは、処理負担として大きく、また処理時間も長くなる。
ここで、トラッキング状態に起因する輝度の明暗ばらつきは画像全体に一様に生じるという特性がある。
そこで本例では、トラッキング判定のために全画像を取り込んで輝度の状態を判断することに代えて、部分撮像した領域AR1の部分二次元画像信号から輝度状態を判断するようにする。即ち、領域AR1内の画素について、輝度レベルを加算し、その輝度レベル加算値が所定値以上であればトラッキング状態良好と判定する。このようにすると、全画素で判断する場合に比べて、加算する画素数は著しく低減され、処理負担は軽くなり、また非常に高速にトラッキング状態の判定処理ができることになる。
なおステップF101で、要素ホログラムから読み取られる1つの二次元画像内でどの部分を撮像するかは任意である。図15の領域AR1は、1つのメイン同期シンボルを中心とした領域としているが、他のメイン同期シンボルを含む領域としても良いし、或いはメイン同期シンボルを含まない領域としても良い。
【0065】
このステップF101,F102の処理が高速に繰り返されていくことで、或る要素ホログラムに対して最適なトラッキング状態となっているか否かがスキャン中に監視されることになる。そして、或る要素ホログラムに対するトラッキングがOKとなった時点で、ステップF104以降に進む。
【0066】
まずステップF104で、ホログラムスキャン制御部15は撮像素子部12を制御して要素ホログラムの全画素撮像を実行する。即ちその時点でトラッキングOKと判定された或る要素ホログラムの全画素の二次元画像信号を取り込む。トラッキングOKの状態で二次元画像信号が取り込まれるため、得られた二次元画像信号は、規定以上の輝度レベルが確保されている。ホログラムスキャン制御部15は全画素撮像により取り込んだ二次元画像信号に対して所定の処理を行い、デジタル値に変換して出力する。この二次元画像信号のデータはメモリコントローラ21によって情報用メモリ31に記憶される。
但し、撮像した二次元画像信号には、種々の要因により、輝度ムラなどの光学的なばらつきや、水平方向、垂直方向、回転方向のずれなど幾何学的な歪みを持つものとなる。このため、光学歪み補正、幾何歪み補正が必要となる。
【0067】
ここでステップF105では、情報用メモリ31に取り込んだ二次元画像が、アンブルページの二次元画像であるかデータページの二次元画像であるかを判別する。例えば情報用メモリ31に取り込んだ二次元画像を幾何歪み補正変数算出部23が取り込み、その画素パターンを検出することで判別が可能となる。つまり、明レベル画素が上述したサブシンクパターンSS及びメイン同期シンボルMSに相当する位置関係のみであれば、その二次元画像はアンブルページの二次元画像であると判断でき、それ以外であればデータページの二次元画像と判別できる。
【0068】
ステップF104で撮像された要素ホログラムがアンブル要素ホログラムhAであってアンブルページの二次元画像が取り込まれた場合はステップF106に進み、そのアンブルページの二次元画像に対して幾何歪み補正変数算出部23で幾何歪み補正の演算が行われる。
まずステップF106で画像分割を実行する。この画像分割は変調時に規則的に挿入された二次元同期信号(メイン同期シンボルMS及びサブシンクパターンSS)を手掛かりに画像を小ブロックに分割する処理である。例えば上述したグループサブシンク単位に分割する。
【0069】
続いてステップF107では、分割したグループサブシンク単位で幾何歪み補正変数を算出する。サブシンクパターンSS及びメイン同期シンボルMSは、二次元画像における所定位置に挿入されているものであり、従って、撮像した二次元画像におけるサブシンクパターンSS、メイン同期シンボルMSの位置から、水平/垂直位置や回転角度等のズレや歪みを算出できる。
上記のようにメイン同期シンボルMSは、四角型と菱形として、他のパターンよりも大きなパターンで、規則的に二次元画像内に並んでおり、これを元に大まかな位置および角度の検出が可能になる。実際にあるべき場所と現在ある場所の差を算出すれば、それがあるべき場所に訂正するための処理のパラメータとなる。
サブシンクパターンSSはメイン同期シンボルMSの間に並んでおりサイズは小さく多数存在し、これを用いてメイン同期シンボルMSで算出した大まかなパラメータの微調整を行うことができる。
パラメータ、即ち幾何補正変数としては、サブシンクパターンのセンタ座標値ずれ、X軸縮尺ずれ、Y軸縮尺ずれ、回転角度ズレなどが算出される。
【0070】
ステップF108では、以上のようにアンブルページの二次元画像から算出した幾何補正変数を、データページの二次元画像の幾何歪み補正のための初期値として補正初期値用メモリ27に格納する。
なお、補正初期値用メモリ27に既に補正初期値が記憶されている場合は、補正初期値を上書き記憶する。即ち過去に算出した補正初期値は消去すればよい。
アンブルページの二次元画像には、元々の記録データとしての有効データは含まれていないため、アンブルページの二次元画像に関しては以上で処理を終える。
そしてステップF101に戻り、他の要素ホログラムのトラッキング判別及び撮像の処理を行う。
【0071】
ステップF104で或る要素ホログラムの二次元画像を取り込んだ後、ステップF105で、その二次元画像がデータページの二次元画像であると判別されたときは、ステップF109に進み、幾何歪み補正変数算出部23で幾何歪み補正変数の算出処理が行われる。
この場合も、まずステップF109で画像分割が行われ、補正変数算出演算の単位として二次元画像を例えばグループサブシンク単位に分割する。
そしてステップF110で幾何歪み補正変数の算出が行われる。このとき幾何歪み補正変数算出部23は、補正初期値用メモリ27に記憶されている補正初期値を読み出して、その補正初期値としてのパラメータを用いた上で、幾何歪みのパラメータを算出する。
アンブルページの二次元画像が得られる毎に上記のステップF106〜F108が行われるため、ステップF110の時点で補正初期値用メモリ27に記憶されている補正初期値は、現在処理中のデータページの二次元画像から直近の時点で撮像されたアンブルページの二次元画像から算出された補正初期値である。従って、補正初期値は、現在のデータページの二次元画像についての算出される幾何歪み補正変数にかなり近いパラメータ値となっていると推定できる。
後述するが、ステップF110で、このような補正初期値を用いて、現在処理対象のデータページの二次元画像について幾何歪み補正変数を算出することで、効率よくかつ適正な幾何歪み補正変数を算出することができる。
そして幾何歪み補正変数算出部23により算出された幾何補正変数は、変数用メモリ26に記憶される。
【0072】
続いてステップF111で、情報用メモリ31に取り込まれている現在処理対象の二次元画像が光学補正変数算出部22に読み込まれ、光学歪み補正変数算出処理が行われる。
この場合、光学補正変数として、例えば各グループサブシンク領域毎に輝度合計値が求められ、それらが変数用メモリ26に格納する処理が行われる。
【0073】
ステップF110,F111では、幾何歪み補正変数と光学補正変数が算出されて変数用メモリ26に記憶されるが、実際に二次元画像の幾何歪み、光学歪みが補正されるものではない。二次元画像に対する実際の補正は、ステップF112の二値化処理の際に、幾何補正変数、光学補正変数が参照されることで実行される。
ステップF112の二値化処理では、二値化部24が、情報用メモリ31から二次元画像を取り込む。上記ステップF110,F111では、実際の補正処理としての画像再構成は行われていないため、この時点で情報用メモリ31に保存されている二次元画像は、ステップF104で取り込んだままの状態、つまり幾何歪み、光学歪みが存在する状態である。
このとき二値化部24は、まず変数用メモリ26に格納されている幾何補正変数に基づいて、情報用メモリ31から読み出すべき画素アドレスを決定する。これにより、二値化部24は、幾何歪みが補正された状態の二次元画像信号を取り込むことができる。
そして二値化部は、取り込んだ二次元画像信号について二値化する。記録画像は白/黒(明/暗)の二値レベルであるが、撮像素子部12で撮像された二次元画像信号は、その中間的なレベルを含むものとなっているためである。
このときに、二値化の閾値、即ち二値化処理の基準値を、変数用メモリ26に記憶された光学補正変数に基づいて設定する。例えばグループサブシンク単位で記憶されている光学補正変数(輝度合計値)に従って、グループサブシンク単位毎に二値化閾値を設定し、各画素レベルを明レベル、暗レベルに二値化していく。すると、二値化された結果の二次元画像信号は、光学歪みが補正された状態の二値信号となる。
【0074】
このような二値化処理が完了したらステップF113の復号処理が行われる。
ステップF113では、復号部25に二値化部24で二値化された二次元画像信号が供給され、復号部25で復調及び誤り訂正等の復号処理を行う。これにより再生データが復元される。復号されたデータ、即ちホログラムメモリ3上の1つの要素ホログラムから再生された再生データは、メモリコントローラ21によって不揮発性メモリ32に格納される。
【0075】
ステップF114では、必要量の要素ホログラムを再生できたかどうかを判定し、再生完了であれば、スキャンを終了する。このときシステムコントローラ51は参照光光源16からの再生参照光L4の照射を終了させる。
また、必要量の要素ホログラムをまだ再生できていなければ、ステップF101に戻り、上述の処理を繰り返す。つまり、他の要素ホログラムについての再生処理を同様に実行していく。
なお、手動スキャンではなく、ステップF103でカメラ制御を行う構成の場合、ステップF114からF101に移行する際に、光学補正変数及び幾何補正変数を元に、ステップF103のカメラ制御処理で参照光強度、角度等の光学条件及び要素ホログラムと撮像素子の位置関係を調整すると同時に、読取り時のSN(Signal Noise)特性が良好な画素を推定して選択し、選択された画素のみを読み込むことにより、撮像速度及び読取り時のSN特性を改善できる。
【0076】
以上の図14の処理を完了することで、ホログラムメモリ3の各要素ホログラムから読み出されたデータが不揮発性メモリ32に蓄積された状態となり、例えばAVコンテンツデータなどの再生データが不揮発性メモリ32上で構築される状態となる。
この再生データは、その後、外部インターフェース41を介して外部機器100に転送され、ユーザーは、外部機器100において再生データを使用することができる。
【0077】
上記ステップF110では、補正初期値を用いてデータページの二次元画像の幾何歪み補正変数を算出するが、その動作を図18で模式的に説明する。なお、回転ズレの補正を例に挙げる。
図18(a)は、データ要素ホログラムhDから読み出したデータページの二次元画像に、角度θ1の回転ズレが生じていた状態を表している。
例えば図11に例示したように、データページの二次元画像には、サブシンクパターンSS、メイン同期シンボルMSに加えてデータパターンが混在している。このため補正変数算出演算が収束するまでには比較的長時間を要する。一方、幾何歪み補正変数算出はスキャン中の処理であって、実際には次々に要素ホログラムの読取を行うものであるため、1つの二次元画像に対する幾何歪み補正変数算出演算に割ける時間は短い。このため実際上、或るデータページの二次元画像に対する幾何歪み補正変数の算出は、補正変数が収束するまで続けることができない場合が多く、結局変数用メモリ26には収束しきる途中の値の補正変数が記憶される状況が発生する。
例えば図18(a)の角度θ1に相当する幾何補正変数まで収束できずに、図18(b)の角度θ2分を残した角度θ3の幾何補正変数が変数用メモリ26に格納されることがある。
すると、二値化の際には、角度θ3分の補正しかできず、結局図18(b)のように回転方向に角度θ2のズレを残したままの二次元画像が補正結果として得られるものとなってしまう。つまり幾何補正が不十分な状態のままとなる。当然これによっては、データ復号の際のエラーレートも悪化する。
【0078】
一方、図18(c)には、アンブル要素ホログラムhAから読み出したデータページの二次元画像に、角度θ1の回転ズレが生じていた状態を表している。図12に示したように、アンブルページの二次元画像には、サブシンクパターンSS、メイン同期シンボルMSしか存在しない。データパターンが混在していないため、補正変数算出演算は非常に迅速に収束でき、短時間で図18(d)のように回転ズレの無い状態とする幾何補正変数を算出することができる。このように角度θ1の回転補正を行う幾何補正変数が、補正初期値として補正初期値用メモリ27に記憶される。
【0079】
このような補正初期値が得られた後に撮像されたデータ要素ホログラムhDのデータページの二次元画像が図18(e)のように、角度θ1+αの回転ズレがあったとする。
この二次元画像に対して、補正初期値を用いることで、図18(f)のように、回転ズレを角度αの状態とすることができる。つまり幾何補正変数の算出をする前の時点で、回転ズレを殆ど解消した状態とすることができる。そして幾何補正変数の算出処理としては、この角度αの回転ズレを解消して図18(g)の状態とするまで収束させる演算を行えばよい。この場合、回転ズレが殆ど無い状態であるため、短時間で演算が収束し、角度αを補正するパラメータが得られる。そして結果として、角度θ1を補正する補正初期値のパラメータと、算出した角度αを補正するパラメータから、角度θ1+αの回転ズレを補正する幾何補正変数を求め、これを変数用メモリ26に記憶させればよい。これにより、二値化処理の際には、情報用メモリ31に格納された図18(e)のような二次元画像を、図18(g)の状態で読み込むことができる。
このような処理により、スキャン中に、各データ要素ホログラムhDの二次元画像に対して、ほぼ完全に近い精度の幾何歪み補正が可能となる。
【0080】
ところで、このような補正初期値を用いた幾何補正変数算出の効果を得るためには、アンブルページの二次元画像と、データページの二次元画像とで、類似した幾何歪みが生じていることが必要である。
このため、例えば上記図13の各例のようにアンブル要素ホログラムhAが配置されることや、アンブル要素ホログラムhAの撮像が行われる毎に、図16のステップF107,F108の処理が行われて補正初期値が更新されていくことが適切なものとなる。
【0081】
例えば図13(a)の配置を例に挙げ、図19でスキャンの際の読取状況を示す。ユーザーが手動スキャンを行う際に、再生参照光L4のスポット軌跡が図19の矢印に示すようになったとする。
この場合、まずアンブル要素ホログラムhA1の撮像が行われる。このとき、アンブル要素ホログラムhA1から読み込まれたアンブルページの二次元画像から補正初期値が算出され、補正初期値用メモリ27に書き込まれる。
次のタイミングで、データ要素ホログラムhD1が読み取られる。このときデータ要素ホログラムhD1から読み込まれたデータページの二次元画像については、アンブル要素ホログラムhA1の読取時に得られた補正初期値が用いられて幾何補正変数算出が行われる。
さらにデータ要素ホログラムhD2,hD3・・hD9が順次読み取られていくが、それらのデータ要素ホログラムhD2,hD3・・hD9から読み込まれた各二次元画像についても、アンブル要素ホログラムhA1の読取時に得られた補正初期値が用いられて幾何補正変数算出が行われる。
【0082】
その後、アンブル要素ホログラムhA2が読み取られ、そのアンブルページの二次元画像から補正初期値が算出されて補正初期値が更新される。
さらに、アンブル要素ホログラムhA3が読み取られ、そのアンブルページの二次元画像から補正初期値が算出されて補正初期値が更新される。
続いて、データ要素ホログラムhD10が読み取られる。このときデータ要素ホログラムhD10から読み込まれたデータページの二次元画像については、アンブル要素ホログラムhA3の読取時に得られた補正初期値が用いられて幾何補正変数算出が行われる。
さらにデータ要素ホログラムhD11,hD12・・hD18が順次読み取られていくが、それらのデータ要素ホログラムhD11,hD12・・hD18から読み込まれた各二次元画像についても、アンブル要素ホログラムhA3の読取時に得られた補正初期値が用いられて幾何補正変数算出が行われる。
【0083】
このように、例えばデータ要素ホログラムhD1・・・hD9の二次元画像の幾何補正変数の算出時には、アンブル要素ホログラムhA1の読込時に算出された補正初期値が利用される。アンブル要素ホログラムhA1とデータ要素ホログラムhD1・・・hD9は、1回の右方向へのスキャン過程で読み込まれるものであり、それらにはほぼ同様に幾何歪みが生じていると考えて良い。従って、アンブル要素ホログラムhA1の読込時に算出された補正初期値は、データ要素ホログラムhD1・・・hD9の二次元画像について算出すべき幾何補正変数にかなり近い値となっている。
データ要素ホログラムhD10・・・hD18の二次元画像と、アンブル要素ホログラムhA3の二次元画像にも、ほぼ同様の幾何歪みが生じていると考えて良いため、アンブル要素ホログラムhA3の読込時に算出された補正初期値は、データ要素ホログラムhD10・・・hD18の二次元画像について算出すべき幾何補正変数にかなり近い値となっている。
【0084】
つまり図16の処理では、このように各データ要素ホログラムhDの二次元画像は、ほぼ同様の幾何歪みが生じている直近に読み込まれたアンブル要素ホログラムhAの二次元画像から算出される補正初期値を用いて幾何補正変数が算出されることになるため、上述した補正変数算出の効率化と変数値の適正化の効果は、良好に発揮されるものである。
【0085】
[5.実施の形態の効果]
以上の実施の形態においては次のような効果を得ることができる。
本例のホログラムリーダ6は、アンブル要素ホログラムhAからシンクパターンのみを有するアンブルページの二次元画像が読み取れた際に、その二次元画像の幾何歪み補正演算を行い、補正初期値を算出する。そして実際に情報がデータパターンとして記録されたデータ要素ホログラムhDの二次元画像が撮像された際には、補正初期値を用いて幾何歪み補正変数を算出する。そしてその幾何補正変数を用いて二値化処理の際に幾何歪み補正を実行する。
これにより、幾何補正変数の演算を著しく効率化できるとともに、幾何補正変数は適切な値となり、幾何歪み補正が良好に実現される。従ってデコードエラーを低減し、再生エラーレートが改善される。
【0086】
またホログラムメモリ3の要素ホログラムの二次元配列において、アンブル要素ホログラムhAが端辺部に記録されていることで、データ要素ホログラムhDの読取りに先だってアンブル要素ホログラムhAを読み出せる確率が高くなる。つまりデータ要素ホログラムhDの二次元画像の幾何歪み補正に先立って、アンブル要素ホログラムhAの二次元画像から補正初期値を算出する動作に好適である。
特に手動スキャンを想定した場合は、端辺部の列方向や行方向に並ぶようにアンブル要素ホログラムhAが配置されていることが都合がよい。
【0087】
また図19を用いた説明からわかるように、データ要素ホログラムhDの二次元画像の幾何学補正には、直近の時点で読み込まれたアンブルページの二次元画像から得られる補正初期値を利用する。これにより、最適な補正初期値を利用でき、補正精度や補正演算効率を向上できる。
また、このことを考えれば、図13(d)(e)(f)のように端辺部以外にもアンブル要素ホログラムhAを配置し、補正初期値を更新する機会を増やすことで、データ要素ホログラムhDの二次元画像の幾何補正変数算出の際に、より適切な補正初期値を与えるようにできるものとなる。
【0088】
また本例では、情報用メモリ手段に記憶された二次元画像に対して幾何歪み補正、光学補正等のための補正変数を算出し、補正変数を変数用メモリ26に記憶する。そして二値化部24で二値化を行う際に、変数用メモリ26に記憶されている補正変数に基づいて処理を行うことで、結果的に幾何歪み補正、光学補正がなされた状態での情報再生を実現する。この場合、情報用メモリ31に記憶されている二次元画像に対して直接幾何歪み補正、光学補正等の補正処理を順次行うものではないため、補正処理した二次元画像についての情報用メモリ31への書込も発生しない。従って、幾何歪み補正、光学歪み補正を順次実行する場合に必要な情報用メモリ31に対するアクセス処理負担、及びそれによる処理時間負担を解消でき、再生処理の効率化を実現できる。
さらに、二値化処理を実行するまで二次元画像自体に対する補正処理を行わないことは、補正に伴う演算誤差の抑圧という利点も得られる。
【0089】
また、図16のステップF101,F102において、部分二次元画像を取り込み、部分二次元画像から、要素ホログラムに対するトラッキング状態を判定することで、二次元画像全体からトラッキング状態を判定するよりも遙かに高速にトラッキング状態を判定できる。そしてトラッキング状態を高速に判定しながら、良好なトラッキング状態となったタイミングで要素ホログラムの二次元画像の全体を取り込むようにすることで、データ再生のために適切な二次元画像を取り込むことができ、二次元画像読取時のS/N特性を向上させ、精度の良い再生性能を実現できる。
【0090】
また、要素ホログラムから読み出し、復号したデータは不揮発性メモリ32に蓄積されていき、最終的に各要素ホログラムからの再生データが不揮発性メモリ32上で再構築されてコンテンツデータ等の再生データが形成される。これはホログラムメモリ3上の要素ホログラムを任意の順番に読み出しても良いことを意味する。従って、図3,図4で説明した手動スキャンによって順不同に要素ホログラムを読み出すようにしても問題ない。またカメラ制御機構部13によってスキャン位置を可変制御していくときも、その可変制御動作の自由度を高めることができる。そしてこのことから、ステップF101、F102において、特に順番にこだわらずに、或る要素ホログラムに対してトラッキングOKと判断されたら、その要素ホログラムに対する二次元画像の撮像や復号処理を行っていけばよいものとなる。つまり各要素ホログラムに対して特定の順番で、順次トラッキングOKの状態とするような制御は不要であり、困難なトラッキング制御を実行する必要はない。このことから再生処理の容易性や、効率化が実現される。
【0091】
以上実施の形態を説明してきたが、実施の形態で述べたホログラムリーダ6の構成や処理手順はあくまで一例であり、本発明としてはその要旨の範囲内で多様な変形例が想定される。
またホログラムメモリにおけるアンブル要素ホログラムhAの配置状態も、例示した以外にも多様に考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の実施の形態のホログラムメモリの記録再生の説明図である。
【図2】実施の形態のホログラムメモリの要素ホログラムの説明図である。
【図3】実施の形態のホログラムリーダの手動スキャン動作例の説明図である。
【図4】実施の形態のホログラムリーダの手動スキャン動作例の説明図である。
【図5】実施の形態の要素ホログラム記録の際の二次元変調の説明図である。
【図6】実施の形態の要素ホログラムに記録されるグループサブシンクの説明図である。
【図7】実施の形態のグループサブシンクの説明図である。
【図8】実施の形態の要素ホログラムに記録されるグループメインシンクに付加されるメイン同期シンボルの説明図である。
【図9】実施の形態の要素ホログラムに記録されるグループメインシンクの説明図である。
【図10】実施の形態の要素ホログラムとされる物理ページの説明図である。
【図11】実施の形態のデータページの二次元画像の説明図である。
【図12】実施の形態のアンブルページの二次元画像の説明図である。
【図13】実施の形態のホログラムメモリのアンブル要素ホログラムとデータ要素ホログラムの配置例の説明図である。
【図14】実施の形態のホログラムメモリのアンブル要素ホログラムとデータ要素ホログラムの配置例の説明図である。
【図15】実施の形態のホログラムリーダのブロック図である。
【図16】実施の形態のホログラムリーダの再生処理のフローチャートである。
【図17】実施の形態の部分撮像動作の説明図である。
【図18】実施の形態の幾何歪み補正の説明図である。
【図19】実施の形態の要素ホログラムに対するスキャン動作の説明図である。
【符号の説明】
【0093】
3 ホログラムメモリ、6 ホログラムリーダ、10 撮像部、12 撮像素子、15 ホログラムスキャン制御部、20 信号処理部、21 メモリコントローラ、22 光学補正変数算出部、23 幾何歪み補正変数算出部、24 二値化部、25 復号部、26 変数用メモリ、27 補正初期値用メモリ、30 メモリ部、31 情報用メモリ、32 不揮発性メモリ、40 外部機器IF部、41 外部機器インターフェース、51 システムコントローラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次元画像の物体光と記録用参照光とを干渉させ、干渉縞によって上記二次元画像が要素ホログラムとして記録されるホログラム記録媒体であって、
上記要素ホログラムとして、記録する情報を二次元画像化したデータパターンと、シンクパターンとを有する第1の二次元画像を記録した第1の要素ホログラムと、
上記要素ホログラムとして、シンクパターンのみを有する第2の二次元画像を記録した第2の要素ホログラムとが記録されたことを特徴とするホログラム記録媒体。
【請求項2】
上記シンクパターンは、メインシンクパターンとサブシンクパターンとが二次元方向の所定位置に配置された画像パターンであることを特徴とする請求項1に記載のホログラム記録媒体。
【請求項3】
上記要素ホログラムは、ホログラム記録媒体としての記録平面上に二次元配列されるとともに、上記第2の要素ホログラムは、上記二次元配列における端辺部に記録されることを特徴とする請求項1に記載のホログラム記録媒体。
【請求項4】
二次元画像の物体光と記録用参照光とを干渉させ、干渉縞によって上記二次元画像が要素ホログラムとして記録されるホログラム記録媒体であって、上記要素ホログラムとして、記録する情報を二次元画像化したデータパターンとシンクパターンとを有する第1の二次元画像を記録した第1の要素ホログラムと、シンクパターンのみを有する第2の二次元画像を記録した第2の要素ホログラムとが記録されたホログラム記録媒体から、上記情報を再生するホログラム再生装置として、
上記ホログラム記録媒体に再生用参照光を照射するとともに、上記ホログラム記録媒体の要素ホログラムからの再生像光としてあらわれる二次元画像を撮像する撮像手段と、
上記撮像手段で撮像された二次元画像が、上記第2の二次元画像であった場合、その二次元画像に対する幾何歪み補正演算を行って補正初期値を算出し、また上記撮像手段で撮像された二次元画像が、上記第1の二次元画像であった場合、その二次元画像に対して、上記補正初期値を用いて幾何歪み補正演算を行う幾何歪み補正手段と、
上記幾何歪み補正演算の結果により補正された二次元画像に対して復号処理を行い、上記情報を再生する復号処理手段と、
を備えることを特徴とするホログラム再生装置。
【請求項5】
上記幾何歪み補正手段は、上記第2の二次元画像が上記撮像手段で撮像されるたびに、上記補正初期値を算出するとともに、上記第1の二次元画像が上記撮像手段で撮像された際に、算出されている最新の上記補正初期値を用いて幾何歪み補正演算を行うことを特徴とする請求項4に記載のホログラム再生装置。
【請求項6】
上記撮像手段で得られた二次元画像を記憶する情報用メモリ手段と、
補正変数を記憶する変数用メモリ手段と、
を更に備え、
上記幾何歪み補正手段は、上記情報用メモリ手段に記憶された二次元画像を読み出して幾何補正変数を算出し、算出した幾何補正変数を上記変数用メモリ手段に記憶させるととともに、二次元画像の二値化処理のために上記情報用メモリ手段から二次元画像を読み出すときに、上記変数用メモリ手段に記憶された上記補正変数に基づいて、上記情報用メモリ手段から読み出す二次元画像のアドレスを決定することで、二次元画像に対する幾何歪み補正を行うことを特徴とする請求項4に記載のホログラム再生装置。
【請求項7】
二次元画像の物体光と記録用参照光とを干渉させ、干渉縞によって上記二次元画像が要素ホログラムとして記録されるホログラム記録媒体であって、上記要素ホログラムとして、記録する情報を二次元画像化したデータパターンとシンクパターンとを有する第1の二次元画像を記録した第1の要素ホログラムと、シンクパターンのみを有する第2の二次元画像を記録した第2の要素ホログラムとが記録されたホログラム記録媒体から、上記情報を再生するホログラム再生方法として、
上記ホログラム記録媒体に再生用参照光を照射するとともに、上記ホログラム記録媒体の要素ホログラムからの再生像光としてあらわれる二次元画像を撮像する撮像ステップと、
上記撮像ステップで撮像された二次元画像が、上記第2の二次元画像であった場合、その二次元画像に対する幾何歪み補正演算を行って補正初期値を算出する補正初期値算出ステップと、
上記撮像ステップで撮像された二次元画像が、上記第1の二次元画像であった場合、その二次元画像に対して、上記補正初期値を用いて幾何歪み補正演算を行う幾何歪み補正ステップと、
上記幾何歪み補正ステップでの演算結果により補正された二次元画像に対して復号処理を行い、上記情報を再生する復号ステップと、
を備えることを特徴とするホログラム再生方法。
【請求項1】
二次元画像の物体光と記録用参照光とを干渉させ、干渉縞によって上記二次元画像が要素ホログラムとして記録されるホログラム記録媒体であって、
上記要素ホログラムとして、記録する情報を二次元画像化したデータパターンと、シンクパターンとを有する第1の二次元画像を記録した第1の要素ホログラムと、
上記要素ホログラムとして、シンクパターンのみを有する第2の二次元画像を記録した第2の要素ホログラムとが記録されたことを特徴とするホログラム記録媒体。
【請求項2】
上記シンクパターンは、メインシンクパターンとサブシンクパターンとが二次元方向の所定位置に配置された画像パターンであることを特徴とする請求項1に記載のホログラム記録媒体。
【請求項3】
上記要素ホログラムは、ホログラム記録媒体としての記録平面上に二次元配列されるとともに、上記第2の要素ホログラムは、上記二次元配列における端辺部に記録されることを特徴とする請求項1に記載のホログラム記録媒体。
【請求項4】
二次元画像の物体光と記録用参照光とを干渉させ、干渉縞によって上記二次元画像が要素ホログラムとして記録されるホログラム記録媒体であって、上記要素ホログラムとして、記録する情報を二次元画像化したデータパターンとシンクパターンとを有する第1の二次元画像を記録した第1の要素ホログラムと、シンクパターンのみを有する第2の二次元画像を記録した第2の要素ホログラムとが記録されたホログラム記録媒体から、上記情報を再生するホログラム再生装置として、
上記ホログラム記録媒体に再生用参照光を照射するとともに、上記ホログラム記録媒体の要素ホログラムからの再生像光としてあらわれる二次元画像を撮像する撮像手段と、
上記撮像手段で撮像された二次元画像が、上記第2の二次元画像であった場合、その二次元画像に対する幾何歪み補正演算を行って補正初期値を算出し、また上記撮像手段で撮像された二次元画像が、上記第1の二次元画像であった場合、その二次元画像に対して、上記補正初期値を用いて幾何歪み補正演算を行う幾何歪み補正手段と、
上記幾何歪み補正演算の結果により補正された二次元画像に対して復号処理を行い、上記情報を再生する復号処理手段と、
を備えることを特徴とするホログラム再生装置。
【請求項5】
上記幾何歪み補正手段は、上記第2の二次元画像が上記撮像手段で撮像されるたびに、上記補正初期値を算出するとともに、上記第1の二次元画像が上記撮像手段で撮像された際に、算出されている最新の上記補正初期値を用いて幾何歪み補正演算を行うことを特徴とする請求項4に記載のホログラム再生装置。
【請求項6】
上記撮像手段で得られた二次元画像を記憶する情報用メモリ手段と、
補正変数を記憶する変数用メモリ手段と、
を更に備え、
上記幾何歪み補正手段は、上記情報用メモリ手段に記憶された二次元画像を読み出して幾何補正変数を算出し、算出した幾何補正変数を上記変数用メモリ手段に記憶させるととともに、二次元画像の二値化処理のために上記情報用メモリ手段から二次元画像を読み出すときに、上記変数用メモリ手段に記憶された上記補正変数に基づいて、上記情報用メモリ手段から読み出す二次元画像のアドレスを決定することで、二次元画像に対する幾何歪み補正を行うことを特徴とする請求項4に記載のホログラム再生装置。
【請求項7】
二次元画像の物体光と記録用参照光とを干渉させ、干渉縞によって上記二次元画像が要素ホログラムとして記録されるホログラム記録媒体であって、上記要素ホログラムとして、記録する情報を二次元画像化したデータパターンとシンクパターンとを有する第1の二次元画像を記録した第1の要素ホログラムと、シンクパターンのみを有する第2の二次元画像を記録した第2の要素ホログラムとが記録されたホログラム記録媒体から、上記情報を再生するホログラム再生方法として、
上記ホログラム記録媒体に再生用参照光を照射するとともに、上記ホログラム記録媒体の要素ホログラムからの再生像光としてあらわれる二次元画像を撮像する撮像ステップと、
上記撮像ステップで撮像された二次元画像が、上記第2の二次元画像であった場合、その二次元画像に対する幾何歪み補正演算を行って補正初期値を算出する補正初期値算出ステップと、
上記撮像ステップで撮像された二次元画像が、上記第1の二次元画像であった場合、その二次元画像に対して、上記補正初期値を用いて幾何歪み補正演算を行う幾何歪み補正ステップと、
上記幾何歪み補正ステップでの演算結果により補正された二次元画像に対して復号処理を行い、上記情報を再生する復号ステップと、
を備えることを特徴とするホログラム再生方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2007−86874(P2007−86874A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−272018(P2005−272018)
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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