説明

ホースバンド固定装置

【課題】任意の外径のホースを材料に無駄が生じることなく締付固定することができる、ホースバンド固定装置を提供する。
【解決手段】ウォーム溝を備えた長尺のバンド13を収容し、該バンドをウォーム溝と噛み合って送るクランプネジ23と、該クランプネジを正逆回転させるモータ24とを備えたバンド収容具21と、バンドの先端13aを下層に、ホース12を周回したバンド13を上層に挿通が可能で、上層のバンドのウォーム溝と噛み合ってバンドを送るクランプネジ15を備えたクランプ金具14と、バンド収容具21のクランプネジ23とクランプ金具14のクランプネジ15とを連結する連結具25とを備えた。クランプネジ23とクランプネジ15とは連結具25により同期回転してバンド13を前進または後進させ、バンドによりホース12を締付固定し、引き出したバンドをバンド収容具21内に巻き戻す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば金属パイプ等の配管外周にゴム等のホース内周を被覆し、その外周をホースバンドで締め付け、ホースを配管に固定するホースバンド固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、工場等では各種配管のゴムホース等の接続部で、その外周をホースバンドで締付固定することが行われている。係るホースバンドは、ウォーム溝を備えた金属帯材のバンドの一端を予めクランプ金具にネジ止め等で固定し、バンドの他端をクランプ金具内に挿通して、クランプ金具内のクランプネジのウォーム歯と噛み合せ、リング状のバンドを形成したものである。リング状のバンドの内径がホースの外径よりも少し大きく形成されていて、クランプ金具内のウォーム歯を備えたクランプネジを回転することで、バンドを前進させ、バンドを締め付けることで、バンドでホースを配管端部に固定する。
【特許文献1】特開2007−333078号公報
【0003】
バンドで固定するホースの外径は、様々であり、ホースの凡その外径に合わせたホースバンドが市販されている。従って、その中から現場のホースの外径に合わせたものを選択し、現場に持参して施工にあたるのが一般的である。しかしながら、ホースの外径はまちまちであるため、準備したものに過不足が生じ、施工に不都合をきたす場合がある。また、対象現場におけるホースの外径を予め調べ、それらに合わせたホースバンドを過不足なく準備することは、非効率的であり、且つ煩わしい作業を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述の事情に基づいてなされたもので、任意の外径のホースを材料に無駄が生じることなく締付固定することができる、ホースバンド固定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のホースバンド固定装置は、ウォーム溝を備えた長尺のバンドを収容し、該バンドを前記ウォーム溝と噛み合って送るクランプネジと、該クランプネジを正逆回転させるモータとを備えたバンド収容具と、前記バンドの先端を下層に、ホースを周回した前記バンドを上層に挿通が可能で、上層の前記バンドのウォーム溝と噛み合って前記バンドを送るクランプネジを備えたクランプ金具と、前記バンド収容具のクランプネジと、前記クランプ金具のクランプネジとを連結する連結具と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
バンド収容具のクランプネジとクランプ金具のクランプネジとは連結具により同期回転し、両クランプネジでバンドを前進または後進させることができる。すなわち、バンド収容具のクランプネジでバンドを前進させてバンドを引き出し、ホースを周回したバンドの先端をクランプ金具の下層に固定し、その後両クランプネジでバンドを後進させ、バンドでホースを締付固定すると共に、引き出したバンドをバンド収容具内に巻き戻すことができる。従って、クランプ金具の近傍で、必要最小限の剰余の長さを残し、バンドを切断することができ、バンドの材料に無駄が生じない。
【発明の効果】
【0007】
それ故、本発明によれば、任意の外径のホースをバンドで締付固定することができ、且つバンド材料に無駄が生じない。また、モータの駆動力を利用してバンドを締付固定することができるので、手作業と比較して、作業を容易に且つ楽に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態のホースバンド固定装置の説明図である。
【図2】ホースバンドでホースを締付固定した状態例を示す斜視図である。
【図3】クランプ金具の構成例を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図1乃至図3を参照して説明する。なお、各図中、同一または相当する部材または要素には、同一の符号を付して説明する。
【0010】
このホースバンド固定装置は、図1に示すように、ウォーム溝を備えた長尺のバンド13を巻回して収容するバンド収容具21を備え、バンド収容具21はバンド13をそのウォーム溝と噛み合って送るクランプネジ23と、該クランプネジを正逆回転させるモータ24とを備える。従って、モータ24の正逆回転により、バンド13を前進または後進させる。バンド収容具21は、例えば使い始めは30m程度の長さのバンド13をフープ状に収容可能であることが好ましい。
【0011】
そして、ホース12の外周には、クランプ金具14が配置され、クランプ金具14はバンドの先端13aを下層に挿通して固定し、ホース12を周回したバンド13を上層に挿通し、上層のバンド13のウォーム溝と噛み合ってバンド13を送るクランプネジ15を備えている。そして、クランプ金具14のクランプネジ15とバンド収容具21のクランプネジ23とが連結具25により連結される。連結具25は例えば金属丸棒でよく、その両端にクランプネジ15の軸15aと嵌合する接続部およびクランプネジ23の軸23aと嵌合する接続部を備える。
【0012】
従って、クランプ金具14内において、バンド13のウォーム溝とクランプネジ15のウォーム歯とが噛み合った状態で、クランプネジ15を正逆回転させることで、バンド13を前進または後進させることができ、これを連結具25を介してモータ24の駆動力を用いて行うことができる。その時、バンド収容具21のクランプネジ23とクランプ金具14のクランプネジ15とは同期回転するので、歯の径およびピッチを合わせておくことで、両者は同期してバンド13を前進または後進させることができる。すなわち、バンド13の前進で、バンド13が収容具21から引き出され、ホース12の周囲を巻回し、バンド13の後進で、バンド13がホース12を締め込み、バンド13が収容具21に巻き戻される。
【0013】
次に、このホースバンド固定装置を用いたホースバンドの締付固定の手順について説明する。まず、クランプネジ15を備えたクランプ金具15を固定対象のホース12の近傍に配置し、ガイド16をクランプ金具15に取り付ける。ガイド16は固定対象のホースの半径を有する円弧状のガイドであり、バンド先端13aをクランプ金具14を通して挿通し、連結具25でクランプネジ15の軸15aとクランプネジ23の軸23aとを接続する。そして、モータ24を正回転させ、クランプネジ15とクランプネジ23とを同期正回転することで、金属帯状のバンド13を前進させ、ガイド16を通過したバンド13はガイド16の曲率半径に塑性変形して延びていく。この時、収容具21からバンド13が引き出される。
【0014】
そして、バンド先端13aがホース12を一周すると、再びクランプ金具14内に挿通させ、バンド先端13aを折り曲げてクランプ金具14に固定し、連結具25でクランプネジ15の軸15aとクランプネジ23の軸23aとを接続する(図1参照)。この状態で、ガイド16を取り外し、モータ24を逆回転させることで、クランプネジ15とクランプネジ23とが同期逆回転し、バンド13を後進させ、クランプネジ15でバンド13によりホース12を締付固定し、クランプネジ23により引き出されたバンド13をバンド収容具21内に巻き戻す。
【0015】
クランプネジ15の逆回転で、バンド13の後進による締付固定が完了したら、モータ24の逆回転を停止し、クランプ金具14の近傍で、必要最小限の剰余の長さを残し、バンド13を切断する。図2は、上述の装置を用い、金属パイプ等の配管11の外周にゴム製等のホース端部12を被覆し、その外周をホースバンド13で固定した一例を示す。バンド13の後端13bは必要最小限の剰余の長さを残して切断されている。
【0016】
これにより、1回のホースバンドの固定が完了する。切断後のバンド13の先端は、次のホースバンドの締め付けに、バンドの先端13aとして用いられる。従って、この装置を用いることで、任意の外径のホースを締め付け固定することができ、且つバンド13の材料に無駄が生じないホースバンドの固定が行える。
【0017】
図3は、他の実施形態のクランプ金具の構成例を示す。このクランプ金具14Aは、バンドの先端13aを下層に挿通し、バンド13を上層に挿通し、そのウォーム溝13yをクランプネジ15のウォーム歯15xと噛み合わせる点で、図1に示すクランプ金具14と共通する。しかしながら、このクランプ金具14Aは、上層と下層のバンド13,13の間に、上面が平滑で下面にウォーム歯17xを備えた金属板17を備える。このウォーム歯17xには、図示するような傾斜を持たせておくことが好ましい。
【0018】
これにより、下層のバンドの先端13aは前進時にクランプ金具14に挿入が容易で、そのウォーム溝13yがウォーム歯17と噛み合い、バンド13の後進時に引き抜きが困難となるように固定される。すなわち、図1に示す実施形態のように、バンドの先端13aを折り曲げるという作業が不要となり、単にバンドの先端13aをクランプ金具14Aに挿通するだけで、バンドの先端13aをクランプ金具に固定することができる。
【0019】
これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明のホースバンド固定装置は、各種配管のゴムホース等の接続部で、その外周をホースバンドで締付固定することに利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウォーム溝を備えた長尺のバンドを収容し、該バンドを前記ウォーム溝と噛み合って送るクランプネジと、該クランプネジを正逆回転させるモータとを備えたバンド収容具と、
前記バンドの先端を下層に、ホースを周回した前記バンドを上層に挿通が可能で、上層の前記バンドのウォーム溝と噛み合って前記バンドを送るクランプネジを備えたクランプ金具と、
前記バンド収容具のクランプネジと、前記クランプ金具のクランプネジとを連結する連結具と、を備えたホースバンド固定装置。
【請求項2】
前記クランプ金具内に下面に歯を備えた板を配置し、該歯が前記バンドの先端のウォーム溝と噛み合うことで、前記バンドの先端を前記クランプ金具に固定する、請求項1に記載のホースバンド固定装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−281354(P2010−281354A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133794(P2009−133794)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(392022075)産機電業株式会社 (11)
【Fターム(参考)】