説明

ホームドア装置

【課題】ドア数の異なる車両が入線してくるプラットホームにも設置可能なホームドア装置を提供する。
【解決手段】一対のガイドボックス12aと扉体12bとを有し、第1乗降口21を開閉する両引き式の第1ユニット12と、第1ユニット12の一方のガイドボックス12aとの間に第2乗降口22を形成するように設置される戸袋体14aと、第2乗降口22を開閉する扉体14bとを有する第2ユニット14と、第1ユニット12の他方のガイドボックス12aとの間に第3乗降口を形成するように設置される戸袋体と、第3乗降口を開閉する扉体とを有する第3ユニットとを備える。入線する列車が奇数の乗降ドアを有する車両を有する場合に第1ユニット12の扉体12bを駆動する一方、入線する列車が偶数の乗降ドアを有する車両を有する場合に第2ユニット14の扉体14b及び第3ユニットの扉体を駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホームドア装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されているように、乗客の安全を確保する目的でプラットホームの軌道側縁部に沿って設置されるホームドア装置が知られている。この種のホームドア装置は、扉体が開閉する乗降口の位置が列車のドア位置に一致するように、プラットホームの縁部に沿って多数連ねて配設される。
【特許文献1】特開2007−313971号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のホームドア装置では、列車がプラットホームに入線した場合に、全ての扉体を一斉に開閉するようになっている。すなわち、列車のドア位置に合わせて扉体の位置が設定されているので、プラットホームに入線する列車を構成する車両のドア位置が予め定められた所定のものに限定されるという問題がある。すなわち、ドア数が例えば3の車両が入線してきたり、ドア数が4の車両が入線してくるプラットホームには、前記のホームドア装置を設置できないという問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ドア数の異なる車両が入線してくるプラットホームにも設置可能なホームドア装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の目的を達成するため、本発明は、プラットホームに設置され、扉体を開閉駆動することによって乗降口を開閉するホームドア装置であって、入線する車両のドア位置に応じて、開閉する扉体を変更する制御部を備えているホームドア装置である。
【0006】
本発明では、入線する車両のドア位置に応じて開閉する扉体が変更されるので、プラットホームにドア数の異なる車両の列車が入線する場合であっても、そのドア位置に応じた乗降口を開閉することができる。したがって、本発明のホームドア装置によれば、ドア数の異なる車両が入線してくるプラットホームにも設置することが可能となる。
【0007】
また、本発明は、プラットホームに設置され、扉体を開閉駆動することによって乗降口を開閉するホームドア装置であって、車両の中央位置に設けられる乗降ドアに対応して設置され、一対のガイドボックスとこのガイドボックスにそれぞれ移動可能に支持される扉体とを有し、この扉体を駆動することにより前記ガイドボックス間の第1乗降口を開閉する両引き式の第1ホームドアユニットと、前記第1ホームドアユニットの一方のガイドボックスとの間に第2乗降口を形成するように設置される戸袋体と、前記第2乗降口を開閉するように前記戸袋体に移動可能に支持される扉体とを有する第2ホームドアユニットと、前記第1ホームドアユニットの他方のガイドボックスとの間に第3乗降口を形成するように設置される戸袋体と、前記第3乗降口を開閉するように前記戸袋体に移動可能に支持される扉体とを有する第3ホームドアユニットと、入線する車両が奇数の乗降ドアを有する場合に前記第1ホームドアユニットの扉体を駆動する一方、入線する車両が偶数の乗降ドアを有する場合に前記第2ホームドニットの扉体及び前記第3ホームドアユニットの扉体を駆動する制御部と、を備えているホームドア装置である。
【0008】
本発明では、奇数の乗降ドアを有する車両が入線したときには、第1ホームドアユニットの扉体が開閉駆動され、車両中央に応じた位置で第1乗降口が開閉される。一方、偶数の乗降ドアを有する車両が入線したときには、第2ホームドアユニットの扉体が開閉駆動されるとともに、第3ホームドアユニットの扉体が開閉駆動される。これにより、第2乗降口と第3乗降口が開閉される。これら乗降口は第1乗降口に隣接する乗降口である。すなわち、入線する列車のドア位置に応じて開閉する扉体が変更されるので、プラットホームにドア数の異なる車両の列車が入線する場合であっても、そのドア位置に応じた乗降口を開閉することができる。したがって、本発明のホームドア装置によれば、ドア数の異なる車両が入線してくるプラットホームにも設置することが可能となる。
【0009】
しかも、本発明では、第1ホームドアユニットが両引き式に構成される一方で、第2及び第3ホームドアユニットにおいては、第1ホームドアユニットのガイドボックスとの間に乗降口が形成されるように戸袋体が設置されるとともに、この乗降口を開閉する扉体が設けられている。すなわち、仮に、第2及び第3ホームドアユニットが一対の戸袋体間で扉体を両引き式に開閉する構成とした場合には、第2及び第3ホームドアユニットの戸袋体が第1ホームドアユニットのガイドボックスに隣接して設置されることになるが、これとは異なり、本発明では、第2及び第3ホームドアユニットが1つの戸袋体からガイドボックスに向かって扉体が突出する構成とされているので、ガイドボックスと戸袋体とが隣接配置されることを回避することができる。このため、ガイドボックスを挟んで一方に第1乗降口が設定されるとともに、他方に第2乗降口(又は第3乗降口)が設定されることになり、第1乗降口と第2乗降口(又は第3乗降口)との間隔が拡大してしまうのを抑制することができる。
【0010】
ここで、前記ガイドボックスの幅は、前記扉体の幅よりも短いのが好ましい。車両の中央位置に乗降ドアのある奇数の乗降ドアを有する車両と、中央位置からずれたところに乗降ドアが設定された偶数の乗降ドアを有する車両とでは、車両の中央付近において乗降ドア位置が僅かにずれているが、この態様では、第1ホームドアユニットのガイドボックスの幅を短くすることができるので、車両によって中央付近の乗降ドア位置が僅かにずれても、乗降ドアの位置に応じた位置に乗降口を設定し易くなる。言い換えると、第1乗降口と第2乗降口との間隔をより小さくすることができるとともに、第1乗降口と第3乗降口との間隔をより小さくすることができる。
【0011】
この態様において、前記制御部は、前記第1乗降口を開閉するときに、前記第1ホームドアユニットの前記扉体と、前記第2ホームドアユニット及び前記第3ホームドアユニットの前記扉体とを同期して駆動するのがより好ましい。この態様では、第1ホームドアユニットにおいて、扉体が第1乗降口を開放するときに扉体の戸尻がガイドボックスから突出するが、この扉体と同期して第2ホームドアユニットの扉体及び第3ホームドアユニットの扉体が戸袋内に向かう方向に移動する。このため、扉体の戸尻がガイドボックスから突出する構成であったとしても、隣接する扉体と干渉することを防止できる。したがって、第1ホームドアユニットの扉体と第2ホームドアユニットの扉体及び第3ホームドアユニットの扉体とをその厚み方向にオフセットした構成にしなくても、これら扉体が近接するように配設することが可能となる。
【0012】
前記第2ホームドアユニットは、前記戸袋体に移動可能に支持される端側扉体を有し、この端側扉体が前記扉体とは反対側に前記戸袋体から進出可能に構成され、前記戸袋体に支持された扉体と端側扉体とは、その厚み方向に互いに位置ずれしているのが好ましい。この態様では、端側扉体を開閉することによって第2乗降口よりも車両の端側に位置する乗降口を開閉することができる。しかも、第2ホームドアユニットでは、2つの扉体に対して戸袋体が共用されているので、戸袋体の数が増大することを抑制することができる。さらに、扉体と端側扉体とが厚み方向に位置ずれしているので、これらが戸袋体内で厚み方向に並ぶように扉体及び端側扉体を収納することができる。このため、軌道に沿う方向における戸袋体の幅が大きくならないようにすることができる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、ドア数の異なる車両が入線してくるプラットホームにも設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係るホームドア装置10は、第1ホームドアユニット(以下、第1ユニットと称する)12と、第2ホームドアユニット(以下、第2ユニットと称する)14と、第3ホームドアユニット(以下、第3ユニットと称する)16とを備えている。第1ユニット12、第2ユニット14及び第3ユニット16は、軌道に沿って並んだ配置となっている。
【0016】
このホームドア装置10は、入線する列車の車両Cの1両分に相当するものであり、両端は固定の仕切り柵18,19となっている。そして、このホームドア装置10がプラットホームPの縁部に沿って多数並べられることにより、プラットホームPが内側と外側(軌道側)とに仕切られることになる。なお、仕切り柵18には、乗務員が乗降するための乗務員用扉18aが設けられていてもよい。
【0017】
第1ユニット12は、乗降ドア数が奇数の車両Cにおいて当該車両Cの中央位置にある乗降ドアに対応する位置に設けられるものである。第2ユニット14は、第1ユニット12に隣接して設けられ、第3ユニット16は、第2ユニット14とは反対側に第1ユニット12に隣接して設けられる。なお、以下の説明では、第2ユニット14が図1における左側(車両Cの後部側)に隣接し、第3ユニット16が図1における右側(車両Cの先頭側)に隣接しているものとするが、第2ユニット14と第3ユニット16とは、この逆の配置関係であってもよい。
【0018】
第1ユニット12は、図2(a)(b)にも示すように、一対のガイドボックス12a,12aと、この一対のガイドボックス12a,12aにそれぞれ移動可能に支持された扉体12b,12bとを有する両引き式のホームドアユニットによって構成されている。ガイドボックス12a,12aは、その幅方向(軌道に沿う方向)に貫通する貫通孔を有しており、扉体12b,12bはこの貫通孔を貫通している。扉体12b,12bは、平板状のパネルによって構成されており、扉体12b,12b自体は伸縮しない簡素な構成のものである。
【0019】
貫通孔は、ガイドボックス12a,12aにおけるプラットホームP内側寄りに配置されている。このため、扉体12b,12bは、図2(a)に示すように、ガイドボックス12a,12aにおけるプラットホームP内側寄りの配置設定となっている。
【0020】
扉体12b,12bの開閉駆動を行うための駆動源は、各ガイドボックス12a,12aにそれぞれ設けられている。この駆動方式は、ベルト駆動方式であってもラックアンドピニオン方式であってもよい。なお、両扉体12b,12bの開閉駆動は同期されているので、両扉体12b,12bは同時に開き動作や閉じ動作をする。扉体12b,12bは、閉じ位置(図2(a)(b)に示す位置)と、ガイドボックス12a,12a間の第1乗降口21を開放する開き位置との間で往復移動する。第1乗降口21は、車両Cの中央に設けられる乗降ドアに対応する位置に設定されている。
【0021】
第1ユニット12の扉体12bの幅は、それぞれガイドボックス12aの幅よりも大きくなっている。そして、扉体12bが閉じ位置にあるときには、扉体12bの戸先がガイドボックス12aの一方の端面(乗降口側の端面)から突出した状態にある一方、扉体12bの戸尻はガイドボックス12a内に収まっている。図示省略しているが、このとき扉体12bの戸尻は、ガイドボックス12aの他方の端面(第1乗降口21とは反対側の端面)にほぼ合っており、後述する第2ユニット14の扉体14bの戸先が当接している。そして、扉体12bが開き動作を行うと、扉体12bの戸尻は、ガイドボックス12aの前記他方の端面から外方に突出する。扉体12bが開き位置にある場合、扉体12bの戸先はガイドボックス12aにほぼ収まる。なお、扉体12bには、戸先に緩衝ゴム28が配設されるとともに、戸尻にも緩衝ゴム(図示省略)が配設されている。
【0022】
第2ユニット14は、戸袋体14aとこの戸袋体14aに移動可能に支持される扉体14bとを有するホームドアユニットによって構成されている。戸袋体14aは、第1ユニット12の一方のガイドボックス(車両Cの後部側に位置するガイドボック;以下、後側ガイドボックス)12aとの間に第2乗降口22が形成されるように、後側ガイドボックス12aとの間に所定の間隔をあけて設置される。扉体14bは、平板状のパネルによって構成されており、扉体14b自体は伸縮しない簡素な構成のものである。
【0023】
第2ユニット14の扉体14bは、戸袋体14a内に収まる開き位置に後退することで第2乗降口22を開放する一方、戸袋体14aから後側ガイドボックス12aに向かって突出した閉じ位置に進出することにより、第2乗降口22を閉じる。すなわち、第2ユニット14では、扉体14bが第2乗降口22を片引き式に開閉する。扉体14bは、戸袋体14aにおけるプラットホームP内側寄りに設定されており、扉体14bが閉じ位置となると、この扉体14bの戸先は第1ユニット12の扉体12bの戸尻に当接する。
【0024】
第2ユニット14は、端側扉体14cを備えている。この端側扉体14cは、前記扉体14bとは反対側に戸袋体14aから進出可能に構成されている。端側扉体14cは、第2乗降口22の隣の乗降口(第4乗降口)24を開閉する。第4乗降口24は、本実施形態では、車両Cの最後部の乗降ドアに対応する位置に設定されている。
【0025】
扉体14bと端側扉体14cとは、図2(a)に示すように、その厚み方向に互いに位置ずれしている。すなわち、扉体14bが戸袋体14aにおけるプラットホームP内側寄りに設定される一方、端側扉体14cは、戸袋体14aにおける軌道寄りに設定されている。これにより、扉体14b及び端側扉体14cが同時に戸袋体14a内に後退した場合でも、両者は互いに干渉し合わない。
【0026】
戸袋体14aには、扉体14bの開閉駆動機構(図示省略)と、端側扉体14cの開閉駆動機構(図示省略)とが設けられている。扉体14bと端側扉体14cとは独立して駆動制御される。これらの駆動方式は、ベルト駆動方式であってもラックアンドピニオン方式であってもよい。
【0027】
第3ユニット16の構成は、第2ユニット14とほぼ同様の構成となっている。すなわち、第3ユニット16は、戸袋体16aとこの戸袋体16aに移動可能に支持される扉体16bとを有するホームドアユニットによって構成されている。戸袋体16aは、第1ユニット12の他方のガイドボックス(車両Cの前側に位置するガイドボックス;以下、前側ガイドボックス)12aとの間に第3乗降口23が形成されるように、前側ガイドボックス12aとの間に所定の間隔をあけて設置される。扉体16bは、平板状のパネルによって構成されており、扉体16b自体は伸縮しない簡素な構成のものである。
【0028】
第3ユニット16の扉体16bは、戸袋体16a内に収まる開き位置に後退することで第3乗降口23を開放する一方、戸袋体16aから前側ガイドボックス12aに向かって突出した閉じ位置に進出することにより、第3乗降口23を閉じる。扉体16bは、戸袋体16aにおけるプラットホームP内側寄りに設定されており、扉体16bが閉じ位置となると、この扉体16bの戸先は第1ユニット12の扉体12bの戸尻に当接する。
【0029】
第3ユニット16は、端側扉体16cを備えている。この端側扉体16cは、前記扉体16bとは反対側に戸袋体16aから進出可能に構成されている。端側扉体16cは、第3乗降口23の隣の乗降口(第5乗降口)25を開閉する。第5乗降口25は、本実施形態では車両Cの最前部の乗降ドアの位置に対応する位置に設定されている。第2ユニット14と第3ユニット16とは、図1(b)に示すように、扉体14b,16bと端側扉体14c,16cの位置関係が対称関係となっているが、その点を除いて同じ構成である。
【0030】
図1では、ドア数が4の車両Cが入線した状態を示しているが、ドア数が3の車両Cが入線した場合には、第4乗降口24が車両Cの最後部の乗降ドアに一致し、第5乗降口25が車両Cの最前部の乗降ドアに一致することとなる。
【0031】
図例では、第1ユニット12〜第3ユニット16の何れの扉体12b,14b,16b及び端側扉体14c,16cとも、透明板29が嵌め込まれた構成を示しているが、これに限られるものではない。
【0032】
本ホームドア装置10は、図3に示すように、第1乗降口21〜第5乗降口25の開閉制御が可能な制御部30を備えている。この制御部30は、ホームドア制御装置(総合制御盤)32の一機能として設けられるものである。ホームドア制御装置32は、ATO等の上位システム34と信号授受が可能に接続されるとともに、手元操作箱36と信号授受が可能に接続されている。手元操作箱36は、乗務員が操作する操作盤又は駅務員が操作する操作盤を意味している。すなわち、手元操作箱36は、プラットホームPに設置されていても、列車に設置されていてもよい。なお、ホームドア制御装置32は、この構成に限られるものではない。例えば、上位システム34又は手元操作箱36の何れかのみと電気的に接続されていてもよい。
【0033】
ホームドア制御装置32は、上位システム34及び手元操作箱36から出力された列車種別信号S1、編成両数信号S2、開指令信号S3、閉指令信号S4、非常停止信号S5及び全開信号S6を受信する。また、ホームドア制御装置32は、開位置信号S11、閉位置信号S12、ドア故障信号S13、ドア支障信号S14を出力する。
【0034】
前記信号のうち、開指令信号S3、列車種別信号S1、編成両数信号S2については、例えば図4に示すように、アンド回路38を介してホームドア制御装置32に入力される。列車種別信号S1としては、乗降ドアの数が3の車両Cであることを示す3扉信号、乗降ドアの数が4の車両Cであることを示す4扉信号がある。これら3扉信号又は4扉信号は、入線する列車の車両Cのドア数に応じて上位システム34又は手元操作箱36から出力される。編成両数信号S2としては、4両編成、6両編成、7両編成、8両編成、10両編成又は12両編成であることをそれぞれ示す、4両編成信号、6両編成信号、7両編成信号、8両編成信号、10両編成信号及び12両編成信号がある。これら編成信号は、入線する列車の編成に応じて上位システム34又は手元操作箱36から出力される。そして、入線する列車が例えばドア数3の8両編成であれば、アンド回路38によって3扉8両開信号のみがオンするので、ホームドア制御装置32は、このオンした信号に応じた乗降口21,24,25を開閉すべく、各ユニット12,14,16に制御信号を送信する。これにより、列車の車両編成に応じた乗降口21〜25を開閉することができる。
【0035】
ここで、図5(a)〜(c)を参照しつつ、本実施形態のホームドア装置10による乗降口21〜25の開閉パターンについて説明する。この図は一車両分のみ示しているが、この他の車両Cについても同様の動作となる。なお、この開閉パターンは一例である。
【0036】
この説明では、便宜上、列車の後側(図の左側)から順に扉体14c,14b,12b,12b,16b,16cをドア1〜ドア6とする。つまり、第1ユニット12の一対の扉体12b,12bをドア3及びドア4とし、第2ユニット14の扉体14bをドア2とし、第2ユニット14の端側扉体14cをドア1とし、第3ユニット16の扉体16bをドア5とし、第3ユニット16の端側扉体14cをドア6とする。
【0037】
図5(a)は列車がまだ入線していない状態であり、ドア1〜ドア6は何れも閉じ位置にあり、第1乗降口21〜第5乗降口25は何れも閉鎖されている。なお、図5(a)中の矢印は、ドアの開き動作する方向を表している。
【0038】
ドア数が3の車両Cからなる列車が入線した場合には、上位システム34又は手元操作箱36から列車種別信号S1として3扉信号が出力されるとともに、列車の停止に合わせて開指令信号S3が出力される。編成両数信号S2は車両編成に応じた信号が出力される。これにより、図5(b)に示すように、第1乗降口21、第4乗降口24及び第5乗降口25が開放される。
【0039】
具体的には、ドア3及びドア4が開き位置まで移動することにより、第1乗降口21が開放されるが、このとき、ドア3と同期してドア2が移動し、ドア4と同期してドア5が移動する。すなわち、ドア3の戸尻がドア2の戸先と当接しているため、ドア3が開き動作するときには、ドア2を駆動することにより両者の干渉を防止している。このときのドア2の移動量はドア3の移動量と同じである。したがって、ドア2とドア3とはあたかも一つのドアのように動作する。ドア4とドア5との関係も同様である。
【0040】
また、ドア1及びドア6については、閉じ位置から開き位置まで移動する。これにより第4乗降口24と第5乗降口25とが開放される。そして、閉指令信号S4に応じて、ドア1〜ドア6が閉じ動作を行って各乗降口21,24,25が閉じられる。
【0041】
一方、ドア数が4の車両Cからなる列車が入線した場合には、上位システム34又は手元操作箱36から4扉信号が出力されるとともに、列車の停止に合わせて開指令信号S3が出力される。編成両数信号S2は車両編成に応じた信号が出力される。これにより、図5(c)に示すように、第2乗降口22、第3乗降口23、第4乗降口24及び第5乗降口25が開放される。すなわち、ドア1、ドア2、ドア5及びドア6が閉じ位置から開き位置まで移動することにより、前記の乗降口22〜25が開放される。
【0042】
以上説明したように、本実施形態では、奇数の乗降ドアを有する車両Cが入線したときには、第1ユニット12の扉体12bが開閉駆動され、車両C中央に応じた位置で第1乗降口21が開閉される。一方、偶数の乗降ドアを有する車両Cが入線したときには、第2ユニット14の扉体14bが開閉駆動されるとともに、第3ユニット16の扉体16bが開閉駆動される。これにより、第2乗降口22と第3乗降口23が開閉される。これら乗降口22,23は第1乗降口21に隣接する乗降口である。すなわち、入線する列車のドア位置に応じて開閉する扉体が変更されるので、プラットホームPにドア数の異なる車両Cの列車が入線する場合であっても、そのドア位置に応じた乗降口を開閉することができる。したがって、ドア数の異なる車両Cが入線してくるプラットホームPにも設置することが可能となる。
【0043】
しかも、本実施形態では、第1ユニット12が両引き式に構成される一方で、第2及び第3ユニット16においては、第1ユニット12のガイドボックス12aとの間に乗降口22,23が形成されるように戸袋体14a,16aが設置されるとともに、この乗降口22,23を開閉する扉体14b,16bが設けられている。すなわち、仮に、第2及び第3ユニットが一対の戸袋体間で扉体を両引き式に開閉する構成とした場合には、第2及び第3ユニットの戸袋体が第1ユニット12のガイドボックス12aに隣接して設置されることになるが、これとは異なり、本実施形態では、第2及び第3ユニット14,16が1つの戸袋体14a,16aからガイドボックス12a,12aに向かって扉体14b,16bが突出する構成とされているので、ガイドボックス12a,12aと戸袋体14a,16aとが互いに隣接して配置されることを回避することができる。このため、ガイドボックス12aを挟んで一方に第1乗降口21が設定されるとともに、他方に第2乗降口22(又は第3乗降口23)が設定されることになり、第1乗降口21と第2乗降口22(又は第3乗降口23)との間隔が拡大してしまうのを抑制することができる。
【0044】
また、一対のガイドボックス12a,12aにそれぞれ扉体12b,12bが1枚ずつ支持されるホームドアユニット12と、共通の戸袋体14a,16aの両側に扉体14b,14c,16b,16cが1枚ずつ配置されるホームドアユニット14,16との組み合わせという簡素な構成となっているので、既存のホームドアユニットを利用することができる。
【0045】
また、本実施形態では、第1ユニット12の扉体12bが、第1乗降口21を開放したときに戸尻がガイドボックス12aから突出する。車両Cの中央位置に乗降ドアのある奇数の乗降ドアを有する車両Cと、中央位置からずれたところに乗降ドアが設定された偶数の乗降ドアを有する車両Cとでは、車両Cの中央付近において乗降ドア位置が僅かにずれているが、本実施形態では、第1ユニット12のガイドボックス12aの幅を短くすることができるので、車両Cによって中央付近の乗降ドア位置が僅かにずれても、乗降ドアの位置に応じた位置に乗降口を設定し易くなる。言い換えると、第1乗降口21と第2乗降口22との間隔をより小さくすることができるとともに、第1乗降口21と第3乗降口23との間隔をより小さくすることができる。
【0046】
また、本実施形態では、第1ユニット12において、扉体12bが第1乗降口21を開放するときに扉体12bの戸尻がガイドボックス12aから突出するが、この扉体12bと同期して第2ユニット14の扉体14b及び第3ユニット16の扉体16bが戸袋体14a,16a内に向かう方向に移動する。このため、扉体12bの戸尻がガイドボックス12aから突出する構成であったとしても、隣接する扉体14b,16bと干渉することを防止できる。したがって、第1ユニット12の扉体12bと第2ユニット14の扉体14b及び第3ユニット16の扉体16bとをその厚み方向にオフセットした構成にすることなく、これら扉体12b,14b,16bが近接するように配設することが可能となる。
【0047】
また、本実施形態では、第2ユニット14(第3ユニット16)において、端側扉体14c,16cを開閉することによって第2乗降口22(第3乗降口23)よりも車両Cの端側に位置する乗降口24,25を開閉することができる。しかも、第2ユニット14(第3ユニット16)では、2つの扉体14b,14c(16b,16c)に対して戸袋体14a(16a)が共用されているので、戸袋体14a(16a)の数が増大することを抑制することができる。さらに、扉体14b(16b)と端側扉体14c(16c)とが厚み方向に位置ずれしているので、これらが戸袋体14a(16a)内で厚み方向に並ぶように扉体14b(16b)及び端側扉体14c(16c)を収納することができる。このため、軌道に沿う方向における戸袋体14a(16a)の幅が大きくならないようにすることができる。
【0048】
なお、本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。例えば、第1ユニット12の扉体12bと第2ユニット14の扉体14bとが当接する構成としたが、第1ユニット12の扉体12bと第2ユニット14の扉体14bとが厚み方向に位置ずれしている構成としてもよい。この構成の場合には、ドア3を開き動作する際にドア2を連動させる必要はない。この場合には、第3ユニット16との関係も同様とするのが好ましい。
【0049】
列車を構成する車両Cが全て同じドア数の場合について説明したが、列車がドア数の異なる車両Cによって編成されている場合には、車両Cごとに開閉する乗降口を変えることで対処可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施形態に係るホームドア装置を示しており、(a)は上面図であり、(b)は正面図である。
【図2】前記ホームドア装置を構成する第1ユニット及び第2ユニットを示しており、(a)は上面図であり、(b)は正面図である。
【図3】ホームドア制御装置が授受する信号を説明するためのブロック図である。
【図4】開指令信号、列車種別信号及び編成両数信号の流れ(一例)を説明するためのブロック図である。
【図5】前記ホームドア装置の動作を概略的に示す図であり、(a)は列車が入線していないときの状態、(b)はドア数が奇数の車両が入線したときの状態、(c)はドア数が偶数の車両が入線したときの状態を示している。
【符号の説明】
【0051】
12 第1ユニット(第1ホームドアユニット)
12a ガイドボックス
12b 扉体
14 第2ユニット(第2ホームドアユニット)
14a 戸袋体
14b 扉体
14c 端側扉体
16 第3ユニット(第3ホームドアユニット)
16a 戸袋体
16b 扉体
16c 端側扉体
21 第1乗降口
22 第2乗降口
23 第3乗降口
24 第4乗降口
25 第5乗降口
30 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラットホームに設置され、扉体を開閉駆動することによって乗降口を開閉するホームドア装置であって、
入線する車両のドア位置に応じて、開閉する扉体を変更する制御部を備えているホームドア装置。
【請求項2】
プラットホームに設置され、扉体を開閉駆動することによって乗降口を開閉するホームドア装置であって、
車両の中央位置に設けられる乗降ドアに対応して設置され、一対のガイドボックスとこのガイドボックスにそれぞれ移動可能に支持される扉体とを有し、この扉体を駆動することにより前記ガイドボックス間の第1乗降口を開閉する両引き式の第1ホームドアユニットと、
前記第1ホームドアユニットの一方のガイドボックスとの間に第2乗降口を形成するように設置される戸袋体と、前記第2乗降口を開閉するように前記戸袋体に移動可能に支持される扉体とを有する第2ホームドアユニットと、
前記第1ホームドアユニットの他方のガイドボックスとの間に第3乗降口を形成するように設置される戸袋体と、前記第3乗降口を開閉するように前記戸袋体に移動可能に支持される扉体とを有する第3ホームドアユニットと、
入線する車両が奇数の乗降ドアを有する場合に前記第1ホームドアユニットの扉体を駆動する一方、入線する車両が偶数の乗降ドアを有する場合に前記第2ホームドニットの扉体及び前記第3ホームドアユニットの扉体を駆動する制御部と、を備えているホームドア装置。
【請求項3】
前記ガイドボックスの幅は、前記扉体の幅よりも短い請求項2に記載のホームドア装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1乗降口を開閉するときに、前記第1ホームドアユニットの前記扉体と、前記第2ホームドアユニット及び前記第3ホームドアユニットの前記扉体とを同期して駆動する請求項3に記載のホームドア装置。
【請求項5】
前記第2ホームドアユニットは、前記戸袋体に移動可能に支持される端側扉体を有し、この端側扉体が前記扉体とは反対側に前記戸袋体から進出可能に構成され、
前記戸袋体に支持された扉体と端側扉体とは、その厚み方向に互いに位置ずれしている請求項2から4の何れか1項に記載のホームドア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−262628(P2009−262628A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−111519(P2008−111519)
【出願日】平成20年4月22日(2008.4.22)
【出願人】(503405689)ナブテスコ株式会社 (737)
【出願人】(391039173)株式会社ジェイアール西日本テクノス (26)
【出願人】(000196587)西日本旅客鉄道株式会社 (202)
【Fターム(参考)】